説明

農園用不要物回収装置

【課題】樹冠面や葉層内部や枝葉から、異物や病害虫などの不要物を、除去して回収する農園用不要物回収装置を提供する。
【解決手段】回転ブラシ11aを回転することで、回転ブラシ11aにより樹木を振動して、枝葉から不要物を剥離させ、この剥離された不要物を、吹き出しダクト13の吹き出し口13aからの風により、不要物の下側から吹き上げて、茶うね50の樹冠面より浮遊させ、この浮遊された不要物を、吸い込みダクト14の吸い込み口14aから吸い上げる。この吸い上げられた不要物は、回収フィルタ16に、収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、茶園などの農園用の不要物回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農園の一例としての茶園に関して、茶の生産は、大面積のほ場で大型の管理機械を用いて行われていた。このため、希に新芽以外の異物が樹冠面に付着していても、異物を除去できず、そのまま製茶工場に搬入されて、製品に混入してしまう問題があった。
【0003】
また、病害虫防除について、これまで、化学合成農薬以外に有効な手段がなく、有機栽培などを行う場合には、大きく収量を落としたり、品質が低下するなど、良質のお茶を安定的に生産することは、極めて困難であった。
【0004】
また、例えば、特開2004−222679号公報(特許文献1)や特開2005−312361号公報(特許文献2)に示されるように、茶の新芽の部分に送風または散水して、害虫を除去する装置はあるが、茶葉層内部の罹病葉や、枝葉にしがみついた害虫などの除去は、難しかった。
【特許文献1】特開2004−222679号公報
【特許文献2】特開2005−312361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明の課題は、樹冠面や葉層内部や枝葉から、異物や病害虫などの不要物を、除去して回収する農園用不要物回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の農園用不要物回収装置は、
走行方向である前方からみて略門型の本体フレームと、
上記本体フレームの下側に取り付けられた走行部と、
上記本体フレームに取り付けられると共に吹き出し口を有する吹き出しダクトと、
上記本体フレームに取り付けられると共に吸い込み口を有する吸い込みダクトと
を備え、
上記吹き出しダクトの上記吹き出し口は、上記本体フレームの内側でかつ上側を向くように、上記本体フレームの前方からみて左右の少なくとも一方側に配置され、
上記吸い込みダクトの上記吸い込み口は、上記吹き出しダクトの上記吹き出し口からの空気によって吹き飛ばされた不要物を吸い込むように、上記吹き出しダクトの上記吹き出し口よりも上側に、配置されていることを特徴としている。
【0007】
この発明の農園用不要物回収装置によれば、上記吹き出しダクトの上記吹き出し口は、上記本体フレームの内側でかつ上側を向くように、上記本体フレームの前方からみて左右の少なくとも一方側に配置され、上記吸い込みダクトの上記吸い込み口は、上記吹き出しダクトの上記吹き出し口からの空気によって吹き飛ばされた不要物を吸い込むように、上記吹き出しダクトの上記吹き出し口よりも上側に、配置されているので、樹冠面および葉層における新芽以外の異物や、害虫や、病気の被害葉や、樹木に付着した降灰や砂埃などの不要物を、吹き出しダクトの吹き出し口からの上方向の圧力風により、不要物の下側から吹き上げて樹冠面より浮遊させ、この浮遊された不要物を、吸い込みダクトの吸い込み口から吸い上げて回収する。
【0008】
したがって、樹冠面や葉層内部や枝葉から、異物や病害虫などの不要物を、除去して回収することができる。
【0009】
また、一実施形態の農園用不要物回収装置では、
上記本体フレームに取り付けられた送風機を備え、
上記吹き出しダクトは、上記送風機の吹き出し側に接続される一方、上記吸い込みダクトは、上記吹き出しダクトが接続された上記送風機の吸い込み側に接続されている。
【0010】
この実施形態の農園用不要物回収装置によれば、上記吹き出しダクトは、上記送風機の吹き出し側に接続される一方、上記吸い込みダクトは、上記吹き出しダクトが接続された上記送風機の吸い込み側に接続されているので、送風機を、吸い込みおよび吹き出しの両方に同時に用いることができて、部品数を削減でき、小型化および軽量化を図れる。また、吸い込みの風量と吹き出しの風量とのバランスを、容易にとることができる。また、吸い込み動作および吹き出し動作を同時に行うことができる。
【0011】
また、一実施形態の農園用不要物回収装置では、上記吸い込みダクト内に回収フィルタを有する。
【0012】
この実施形態の農園用不要物回収装置によれば、上記吸い込みダクト内に回収フィルタを有するので、不要物を回収フィルタにより回収できる。
【0013】
また、一実施形態の農園用不要物回収装置では、
上記本体フレームの内側に取り付けられた可動ブラシ部を備え、
上記可動ブラシ部は、上記吹き出しダクトの上記吹き出し口よりも上側に、配置され、上記吸い込みダクトの上記吸い込み口は、上記可動ブラシ部よりも上側に、配置されている。
【0014】
この実施形態の農園用不要物回収装置によれば、上記可動ブラシ部は、上記吹き出しダクトの上記吹き出し口よりも上側に、配置され、上記吸い込みダクトの上記吸い込み口は、上記可動ブラシ部よりも上側に、配置されているので、可動ブラシ部により樹木を振動させることで、不要物を枝葉から剥離させることができて、不要物を剥離した後で、吹き出しダクトの吹き出し口からの風により浮遊させ、この浮遊された不要物を、吸い込みダクトの吸い込み口から回収する。
【0015】
また、一実施形態の農園用不要物回収装置では、
上記可動ブラシ部は、前後に配置され互いに接触または近接する一対の回転ブラシを有し、
上記各回転ブラシは、左右方向に延在して左右方向の回転軸を有し、
上記一対の回転ブラシは、互いの対向面が上側に走行するように、互いに逆方向に回転する。
【0016】
この実施形態の農園用不要物回収装置によれば、上記可動ブラシ部は、前後に配置される一対の回転ブラシを有し、上記一対の回転ブラシは、互いの対向面が上側に走行するように、互いに逆方向に回転するので、一対の回転ブラシにより、不要物を挟持しつつ吸い込みダクトの吸い込み口に導くことができる。
【0017】
また、一実施形態の農園用不要物回収装置では、
上記本体フレームに取り付けられると共に上記本体フレームの内側に向かって散水および送風を行う散水送風部を備え、
上記散水送風部は、貯水タンクと、この貯水タンクに接続されると共にノズルを有する噴霧機と、送風口を有する送風ダクトとを有し、
上記送風ダクトは、上記吹き出しダクトおよび上記吸い込みダクトが接続された上記送風機の吹き出し側に接続され、
上記噴霧機のノズル口と上記送風ダクトの送風口とは、近傍に配置されている。
【0018】
この実施形態の農園用不要物回収装置によれば、上記散水送風部を有するので、樹木に付着した降灰や砂埃を洗い流すことができる。また、上記送風ダクトは、上記吹き出しダクトおよび上記吸い込みダクトが接続された上記送風機の吹き出し側に接続されているので、送風機の吹き出しを、散水送風部に利用することができて、部品の共通化を図ることができる。また、上記噴霧機のノズル口と上記送風ダクトの送風口とは、近傍に配置されているので、勢いよく散水することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明の農園用不要物回収装置によれば、上記吹き出しダクトの上記吹き出し口は、上記本体フレームの内側でかつ上側を向くように、上記本体フレームの前方からみて左右の少なくとも一方側に配置され、上記吸い込みダクトの上記吸い込み口は、上記吹き出しダクトの上記吹き出し口よりも上側に、配置されているので、樹冠面や葉層内部や枝葉から、異物や病害虫などの不要物を、除去して回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0021】
図1は、この発明の農園用不要物回収装置の一実施形態である側面図を示している。図2は、農園用不要物回収装置の正面図を示している。図3は、農園用不要物回収装置の背面図を示している。
【0022】
図1〜図3に示すように、この回収装置は、茶園に用いられて、茶園の不要物を回収する。不要物とは、例えば、樹冠面および葉層における新芽以外の異物や、害虫や、病気の被害葉や、樹木に付着した降灰や砂埃などをいう。
【0023】
この回収装置は、本体フレーム1と、この本体フレーム1の下側に取り付けられた走行部2と、本体フレーム1に取り付けられた回収部10と、本体フレーム1に取り付けられた散水送風部20とを備える。
【0024】
上記本体フレーム1は、走行方向である前方からみて略門型に形成されている。本体フレーム1は、前方からみて左右に脚部1a,1aを有する。本体フレーム1は、茶うね50を跨ぐ大きさに設定されている。
【0025】
茶うね50は、略直線状に配置された複数の茶木51にて構成されている。例えば、茶うね50の幅は、160cm〜190cmであり、茶うね50の長さは、50m〜100mであり、茶うね50の高さは、50cm〜100cmである。茶木51の葉層部は、上部樹冠面より10cm〜20cm下側の領域に位置する。葉層部よりも下側の領域には、枝幹部であり、茶葉は殆ど存在しない。
【0026】
上記走行部2は、本体フレーム1の左右の脚部1a,1aの下端にそれぞれ取り付けられている。走行部2は、クローラであり、前後の車輪と、前後の車輪を取り巻くように取り付けられた無限軌道とを有する。なお、走行部2は、無限軌道に限定されず、タイヤ付の車輪のみの構成であってもよい。
【0027】
上記回収部10は、本体フレーム1の前後方向略中央部において、茶うね50の不要物を回収する。上記散水送風部20は、本体フレーム1の後方において、茶うね50に向かって散水および送風を行い、不要物を洗い流す。散水送風部20は、必要に応じて、使用すればよい。
【0028】
そして、オペレータは、本体フレーム1の上面の運転部4にて、回収装置(回収車)を操作することで、回収装置は、茶うね50を跨いで走行しながら、茶うね50の不要物を回収すると共に、選択的に茶うね50の不要物を洗い流す。
【0029】
上記運転部4は、座席41と、走行操作のためのハンドル42と、各種装置の制御部43とを有する。本体フレーム1上には、走行部2、回収部10および散水送風部20の駆動のための原動機5が搭載されている。
【0030】
上記回収部10は、本体フレーム1に取り付けられた、可動ブラシ部11、送風機12、吹き出しダクト13および吸い込みダクト14を有する。
【0031】
可動ブラシ部11は、本体フレーム1の前後方向略中央部で、本体フレーム1の上部内側に取り付けられている。可動ブラシ部11は、茶うね50に適合した高さに保持されている。つまり、可動ブラシ部11は、油圧シリンダ7によって、茶うね50の高さに応じて、高さが自在に変更できるようになっている。
【0032】
送風機12は、本体フレーム1の後方上部に、パイプフレーム15を介して取り付けられている。
【0033】
吹き出しダクト13は、送風機12の吹き出し側に接続されると共に吹き出し口13aを有する。吸い込みダクト14は、送風機12の吸い込み側に接続されると共に吸い込み口14aを有する。吹き出しダクト13と吸い込みダクト14とは、同一の送風機12の吹き出し側と吸い込み側に、接続している。
【0034】
吹き出しダクト13の吹き出し口13aは、本体フレーム1の内側でかつ上側を向くように、本体フレーム1の前方からみて左右の両側のそれぞれに配置されている。吹き出し口13aは、本体フレーム1の前方からみて、茶うね50の上面(樹冠面)の形状に沿う方向(斜め上方向)に指向している。
【0035】
可動ブラシ部11は、吹き出しダクト13の吹き出し口13aよりも上側に、配置されている。吸い込みダクト14の吸い込み口14aは、可動ブラシ部11よりも上側に、配置されている。つまり、吸い込みダクト14の吸い込み口14aは、吹き出しダクト13の吹き出し口13aからの空気によって吹き飛ばされた不要物を吸い込むように、吹き出しダクト13の吹き出し口13aよりも上側に、配置されている。
【0036】
可動ブラシ部11は、前後に配置され互いに接触または近接する一対の回転ブラシ11a,11aを有する。一対の回転ブラシ11a,11aは、左右方向に4組並んで設けられている。
【0037】
回転ブラシ11aは、ナイロンブラシである。回転ブラシ11aは、左右方向に延在して左右方向の回転軸を有する。
【0038】
一対の回転ブラシ11a,11aは、互いの対向面が上側に走行するように、互いに逆方向に回転する。
【0039】
回転ブラシ11aの回転軸は、吸い込みダクト14の吸い込み口14aの部分(フード部)に、取り付けられている。吸い込みダクト14は、上下方向に伸縮可能に形成され、回転ブラシ11aは、油圧シリンダ7により、吸い込みダクト14とともに、茶うね50の上方に接近または離隔する。
【0040】
前後一対の回転ブラシ11a,11aの間の下側に、吹き出しダクト13の吹き出し口13aが、位置する。前後一対の回転ブラシ11a,11aの間の上側に、吸い込みダクト14の吸い込み口14aの中心が、位置する。
【0041】
吸い込みダクト14内には、回収フィルタ16が設けられている。回収フィルタ16は、ナイロン網である。吸い込みダクト14の取り出し口(図6の取り出し口14c)には、取り出し口を開閉可能な取り出し蓋14bが設けられ、この取り出し蓋14bを(仮想線に示すように)開けることで、吸い込みダクト14内から回収フィルタ16を取り出すことができる。
【0042】
回収フィルタ16には、二種類のロープ17a,17bの一端が取り付けられ、このロープ17a,17bの他端は、吸い込みダクト14の外側に取り付けられている。このロープ17a,17bを引くことで、回収フィルタ16を取り出すことができる。
【0043】
上記散水送風部20は、本体フレーム1の内側に向かって散水および送風を行う。散水送風部20は、貯水タンク21と、噴霧機22と、送風ダクト23とを有する。
【0044】
貯水タンク21には、水が溜められる。噴霧機22は、貯水タンク21に接続されると共にノズル22aを有する。送風ダクト23は、送風機12の吹き出し側に接続されると共に送風口23aを有する。送風ダクト23は、吹き出しダクト13および吸い込みダクト14が接続された同一の送風機12に、接続している。ノズル22aのノズル口と送風ダクト23の送風口23aとは、近傍に配置されている。
【0045】
ノズル22aは、送風ダクト23の送風口23aの部分(フード部)に、取り付けられている。送風ダクト23は、上下方向に伸縮可能に形成され、ノズル22aは、油圧シリンダ7により、送風ダクト23とともに、茶うね50の上方に接近または離隔する。ノズル22aを駆動する油圧シリンダ7は、可動ブラシ部11を駆動する油圧シリンダ7と同一である。なお、ノズル用油圧シリンダと可動ブラシ部用油圧シリンダとを、別々に設けてもよい。
【0046】
次に、上記構成の回収装置の使用方法および作用について説明する。
【0047】
まず、回収装置を操縦し茶園に進入させて、回収装置を、茶うね50に沿うように茶うね50の端部に待機する。回転ブラシ11aの高さを、茶うね50の葉層に5cm〜10cm程度くい込ませるように設定する。
【0048】
また、吹き出しダクト13の吹き出し口13aを、茶うね50の左右両側面に対向させる。噴霧機22のノズル22aおよび送風ダクト23の送風口23aを、茶うね50の上面に対向させる。
【0049】
そして、送風機12を作動させ、回転ブラシ11aを作動させ、回収装置を茶うね50に沿って走行させる。
【0050】
このとき、図4に示すように、送風機12を回転することにより、送風機12の排気を、吹き出しダクト13および送風ダクト23に排出すると同時に、送風機12の吸気を、吸い込みダクト14に吸入する。
【0051】
回収部10において、回転ブラシ11aを回転することで、回転ブラシ11aにより樹木を振動して、枝葉から不要物を剥離させ、この剥離された不要物を、吹き出しダクト13の吹き出し口13aからの風により、不要物の下側から吹き上げて、茶うね50の樹冠面より浮遊させ、この浮遊された不要物を、吸い込みダクト14の吸い込み口14aから吸い上げる。この吸い上げられた不要物は、回収フィルタ16に、収容される。
【0052】
一方、散水送風部20において、ノズル22aのノズル口からの水を、送風ダクト23の送風口23aからの風により、勢いよく茶うね50に吹き付ける。
【0053】
回収フィルタ16が不要物により満たされると、図示しない信号発信部により、告知される。告知後、吸い込みダクト14の取り出し蓋14bを開けて、吸い込みダクト14から回収フィルタ16を取り出して、回収フィルタ16から不要物を取り除く。そして、再度、回収フィルタ16を吸い込みダクト14内に収容して、作業を続ける。
【0054】
なお、散水送風部20による作業は、必ず行う必要はなく、必要に応じて、行えばよい。
【0055】
図5Aと図5Bに示すように、回収フィルタ16は、袋状であり、この内面に、複数のフック18が、環状に配列されている。絞り兼引き出し用ロープ17aの一端は、一つのフック18に取り付けられ、ロープ17aは、全てのフック18に係止され、ロープ17aの他端は、回収フィルタ16の外側に引き出される。ロープ17aは、フック18の位置において、回収フィルタ16の内面に、絞り輪を形成し、ロープ17aの他端を引っ張ることで、絞り輪の径を小さくして、回収フィルタ16を絞ることができる。
【0056】
回収フィルタ16の内面の底部には、排出用ロープ17bの一端が取り付けられ、ロープ17bの他端は、回収フィルタ16の外側に引き出される。
【0057】
そして、回収フィルタ16内の不要物を排出するとき、図6に示すように、絞り兼引き出し用ロープ17aの他端を引っ張ることで、回収フィルタ16を絞りながら取り出し口14cから取り出す。そして、絞り兼引き出し用ロープ17aによる回収フィルタ16の絞りを緩め、回収フィルタ16の口を広げて、排出用ロープ17bを引っ張り、回収フィルタ16の内部から不要物を、回収容器19に排出する。
【0058】
不要物が取り除かれた回収フィルタ16を、取り出し口14cから吸い込みダクト14に放り込み、送風機12を作動させることで、送風機12の吸引力により、回収フィルタ16は、吸い込みダクト14内に沿って、吸い込みダクト14の下流側にたなびくように膨らんで、次回の不要物の回収準備を行える。
【0059】
図7Aと図7Bに示すように、他の回収フィルタ16Aとして、この外面に、複数のフック18を、環状に配列してもよい。つまり、絞り兼引き出し用ロープ17aは、回収フィルタ16Aの外面に、絞り輪を形成する。この回収フィルタ16Aの使用方法や作用は、図6と同じであるので、説明を省略する。
【0060】
上記構成の農園用不要物回収装置によれば、吹き出しダクトの吹き出し口は、本体フレーム1の内側でかつ上側を向くように、本体フレーム1の前方からみて左右両側に配置され、吸い込みダクト14の吸い込み口14aは、吹き出しダクト13の吹き出し口13aよりも上側に、配置されているので、不要物を、吹き出しダクト13の吹き出し口13aからの上方向の圧力風により、不要物の下側から吹き上げて樹冠面より浮遊させ、この浮遊された不要物を、吸い込みダクト14の吸い込み口14aから吸い上げて回収する。したがって、樹冠面や葉層内部や枝葉から、不要物を除去して回収することができる。
【0061】
また、可動ブラシ部11は、吹き出しダクト13の吹き出し口13aよりも上側に、配置され、吸い込みダクト14の吸い込み口14aは、可動ブラシ部11よりも上側に、配置されているので、可動ブラシ部11により樹木を振動させることで、不要物を枝葉から剥離させることができて、不要物を剥離した後で、吹き出しダクト13の吹き出し口13aからの風により浮遊させ、この浮遊された不要物を、吸い込みダクト14の吸い込み口14aから回収する。
【0062】
具体的に述べると、害虫および病葉の除去について説明する。本発明の回収装置は、吸い込みおよび吹き出しと同時に、樹木を振動させることにより、葉の表と裏の両方に生息する害虫を除去することができる。
【0063】
また、茎葉に強くしがみついた害虫や、葉層内部に逃げ込んだ害虫も、可動ブラシ部11により、樹木を揺らしながら剥離させつつ、吹き出しダクト13により、茶うね50の左右両側から吹き上げて、吸い込みダクト14により、確実に回収できる。
【0064】
例えば、カンザワハダニ、チャノミドリヒメヨコバイ、チャノキイロアザミウマ、ハマキ虫類、チャノホソガ、シャクトリムシ類などの防除が可能である。また、病葉の除去については、葉層内に多くの病葉が溜まるため、除去することは困難であったが、病気の発生源を除去することができる。
【0065】
異物の除去について説明する。樹冠面には、茶以外の草木の葉や枝葉が風により落下し、異物混入の原因となっており、これまで人手による除去しか有効な手段がなかった。本発明の回収装置は、可動ブラシ部11により、樹木を揺らしながら異物を剥離させつつ、吹き出しダクト13により、茶うね50の左右両側から異物を吹き上げて、吸い込みダクト14により、異物を確実に回収できる。また、樹冠面のみでなく、葉層内に入り込んだ異物についても、異物を浮かして除去できる。また、降灰についても、吸い込みダクト14により回収し、散水送風部20により除去できる。
【0066】
また、上記構成の農園用不要物回収装置によれば、吸い込みダクト14内に回収フィルタ16,16Aを有するので、不要物を回収フィルタ16,16Aにより回収できる。回収フィルタ16,16Aにより、吸い込みダクト14内の目詰まりを防止し、かつ、茶うね50への不要物の落下を防止できる。回収フィルタ16,16Aの網目を小さくすることで、降灰も有効に回収できる。
【0067】
また、上記構成の農園用不要物回収装置によれば、吹き出しダクト13は、送風機12の吹き出し側に接続される一方、吸い込みダクト14は、送風機12の吸い込み側に接続されているので、送風機12を、吸い込みおよび吹き出しの両方に同時に用いることができて、部品数を削減でき、小型化および軽量化を図れる。また、吸い込みの風量と吹き出しの風量とのバランスを、容易にとることができる。また、吸い込み動作および吹き出し動作を同時に行うことができる。
【0068】
また、上記構成の農園用不要物回収装置によれば、可動ブラシ部11は、前後に配置される一対の回転ブラシ11aを有し、一対の回転ブラシ11aは、互いの対向面が上側に走行するように、互いに逆方向に回転するので、一対の回転ブラシ11aにより、不要物を挟持しつつ吸い込みダクト14の吸い込み口14aに導くことができる。
【0069】
また、上記構成の農園用不要物回収装置によれば、散水送風部20を有するので、樹木に付着した降灰や砂埃を洗い流すことができる。また、送風ダクト23は、送風機12の吹き出し側に接続されているので、送風機12の吹き出しを、散水送風部20に利用することができて、部品の共通化を図ることができる。また、噴霧機22のノズル口と送風ダクト23の送風口23aとは、近傍に配置されているので、勢いよく散水することができる。
【0070】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、吹き出しダクト13の吹き出し口13aを、本体フレーム1の内側でかつ上側を向くように、本体フレーム1の前方からみて左右の少なくとも一方側に配置してもよい。また、散水送風部20は、必須の構成でなく、必要に応じて設ければよい。また、可動ブラシ部11としては、回転ブラシ11a以外に、樹冠面を払拭するように揺動するブラシであってもよい。また、上記構成の回収装置を、茶園以外の野菜園や果樹園などの農園に、利用してもよい。
【0071】
また、回転ブラシの素材は、ナイロンに限定されず、茶葉を損傷しないような可撓性を有する線材であればよい。例えば、他の合成繊維や、麻や綿などの天然繊維からなる線材を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の農園用不要物回収装置の一実施形態を示す側面図である。
【図2】農園用不要物回収装置の正面図である。
【図3】農園用不要物回収装置の背面図である。
【図4】農園用不要物回収装置の作用説明図である。
【図5A】回収フィルタの簡略構成図である。
【図5B】図5Aの拡大断面図である。
【図6】回収フィルタの作用説明図である。
【図7A】他の回収フィルタの簡略構成図である。
【図7B】図7Aの拡大図である。
【符号の説明】
【0073】
1 本体フレーム
1a 脚部
2 走行部
10 回収部
11 可動ブラシ部
11a 回転ブラシ
12 送風機
13 吹き出しダクト
13a 吹き出し口
14 吸い込みダクト
14a 吸い込み口
14b 取り出し蓋
14c 取り出し口
15 パイプフレーム
16,16A 回収フィルタ
17a 絞り兼引き出し用ロープ
17b 排出用ロープ
18 フック
19 回収容器
20 散水送風部
21 貯水タンク
22 噴霧機
22a ノズル
23 送風ダクト
23a 送風口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行方向である前方からみて略門型の本体フレームと、
上記本体フレームの下側に取り付けられた走行部と、
上記本体フレームに取り付けられると共に吹き出し口を有する吹き出しダクトと、
上記本体フレームに取り付けられると共に吸い込み口を有する吸い込みダクトと
を備え、
上記吹き出しダクトの上記吹き出し口は、上記本体フレームの内側でかつ上側を向くように、上記本体フレームの前方からみて左右の少なくとも一方側に配置され、
上記吸い込みダクトの上記吸い込み口は、上記吹き出しダクトの上記吹き出し口からの空気によって吹き飛ばされた不要物を吸い込むように、上記吹き出しダクトの上記吹き出し口よりも上側に、配置されていることを特徴とする農園用不要物回収装置。
【請求項2】
請求項1に記載の農園用不要物回収装置において、
上記本体フレームに取り付けられた送風機を備え、
上記吹き出しダクトは、上記送風機の吹き出し側に接続される一方、上記吸い込みダクトは、上記吹き出しダクトが接続された上記送風機の吸い込み側に接続されていることを特徴とする農園用不要物回収装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の農園用不要物回収装置において、
上記吸い込みダクト内に回収フィルタを有することを特徴とする農園用不要物回収装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一つに記載の農園用不要物回収装置において、
上記本体フレームの内側に取り付けられた可動ブラシ部を備え、
上記可動ブラシ部は、上記吹き出しダクトの上記吹き出し口よりも上側に、配置され、上記吸い込みダクトの上記吸い込み口は、上記可動ブラシ部よりも上側に、配置されていることを特徴とする農園用不要物回収装置。
【請求項5】
請求項4に記載の農園用不要物回収装置において、
上記可動ブラシ部は、前後に配置され互いに接触または近接する一対の回転ブラシを有し、
上記各回転ブラシは、左右方向に延在して左右方向の回転軸を有し、
上記一対の回転ブラシは、互いの対向面が上側に走行するように、互いに逆方向に回転することを特徴とする農園用不要物回収装置。
【請求項6】
請求項2に記載の農園用不要物回収装置において、
上記本体フレームに取り付けられると共に上記本体フレームの内側に向かって散水および送風を行う散水送風部を備え、
上記散水送風部は、貯水タンクと、この貯水タンクに接続されると共にノズルを有する噴霧機と、送風口を有する送風ダクトとを有し、
上記送風ダクトは、上記吹き出しダクトおよび上記吸い込みダクトが接続された上記送風機の吹き出し側に接続され、
上記噴霧機のノズル口と上記送風ダクトの送風口とは、近傍に配置されていることを特徴とする農園用不要物回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2010−104274(P2010−104274A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278304(P2008−278304)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(592264237)松元機工株式会社 (16)
【出願人】(591155242)鹿児島県 (56)
【Fターム(参考)】