農産物の処理装置
【課題】IDタグの生育情報や選別仕分け情報を入力して生育の相違を判断することができる農産物の処理装置を提供する。
【解決手段】作物毎に生育情報を入力したICタグを付設し、農産物を収穫する鋏やカッターなどの収穫器具の作動によってこのICタグに記憶された情報を、収穫農産物を収容するトレーやコンテナ等の収容体に付設したICタグに伝送すべく構成する。このとき作物毎のICタグ及び収容体のICタグを非接触型ICタグに構成し、このICタグは収穫器具の収穫操作による作動信号を受信することによって記憶された情報を所定の農産物収容体に付設したICタグに伝送する構成とした。
【解決手段】作物毎に生育情報を入力したICタグを付設し、農産物を収穫する鋏やカッターなどの収穫器具の作動によってこのICタグに記憶された情報を、収穫農産物を収容するトレーやコンテナ等の収容体に付設したICタグに伝送すべく構成する。このとき作物毎のICタグ及び収容体のICタグを非接触型ICタグに構成し、このICタグは収穫器具の収穫操作による作動信号を受信することによって記憶された情報を所定の農産物収容体に付設したICタグに伝送する構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農産物の収穫、搬送、選別等の処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農産物の収穫後、コンテナ詰めして選別施設へ入荷しその入荷元の情報管理を確実とする目的で、パレットに積載された入荷用コンテナに、IDナンバーを有するIDマーカを設け、コンテナの入荷元の情報を入力する荷受け設定器と、IDマーカ65のIDナンバーを読み取るIDリーダ71を備え、このIDリーダ71により読み取られるIDナンバーと荷受け設定器により入力される前記入荷元の情報に基づいて、パレットP上のコンテナEを管理する構成が公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−104515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ころが、上記の特許文献によるIDマーカには、生産者、品種、園地、コンテナ数を情報として持つだけであるから、これに選別処理結果データを付加することができても、例えばハウス栽培における特定エリアの栽培管理に対応できない
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題に鑑み、この発明は次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に記載の発明は、作物毎に生育情報を入力したICタグを付設し、農産物を収穫する収穫器具の作動によってこのICタグに記憶された情報を、収穫農産物を収容するトレーやコンテナ等の収容体に付設したICタグに伝送すべく構成してなる農産物の処理装置とする。
【0005】
請求項2に記載の発明は、作物毎のICタグ及び収容体のICタグを非接触型ICタグに構成し、このICタグは収穫器具の収穫操作による作動信号を受信することによって記憶された情報を所定の農産物収容体に付設したICタグに伝送する構成とした請求項1に記載の農産物の処理装置とする。
【0006】
請求項1及び2のように構成すると、収穫器具で農産物を収穫する度に、予めICタグで作物に付設された固有情報が収穫農産物を収容する収容体に付設のICタグに伝送され、以後生育情報は生産者からの出荷処理、共同選果施設での選別処理が行なわれる農産物に付随する。
【0007】
請求項3に記載の発明は、収穫器具はカッターまたは鋏とし、収穫操作によってスイッチを切り替えてその切替信号を作動信号として出力する請求項2に記載の農産物の処理装置とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、選果施設における農産物の選別仕分け情報と、選果施設へ農産物を搬送する収容体に付随したICタグによる生育情報とを管理制御手段に入力し、これら選別仕分け情報と生育情報とから栽培管理情報を出力する農産物処理装置の構成とする。従って、収穫時に得られる生育情報と、選果処理後に得られる選別区分情報とを総合的に判定できる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1〜3に記載の発明は、栽培された作物から収穫適期と判定された農産物を収穫器具で収穫する度に、予めICタグで作物に付設された固有情報が収穫農産物を収容する収容体に付設のICタグに伝送されるものであるから、自動的に作物のICタグに付設された固有情報が収容体側に伝送出力され誤操作や伝送の漏れがない。
【0010】
請求項4に記載の発明は、温室内での位置情報、播種年月日、定植日、施肥日時・施肥名、農薬名・散布日時、収穫日時等の生育情報と、等・階級選別区分情報とを総合的に判定でき、選別結果から作物毎の生育過程の相違を導き出し栽培管理を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面に基づき実施例を説明する。
栽培ハウス1には農産物、例えばトマトが複数の列状に養液栽培されている。列状栽培床2,2…間には、給湯配管3の送り側配管3aと戻り側配管3bとを平行に設け、これら配管3a及び3bをもって台車4Aを往復案内する軌条としている。なおこれら給湯配管3は温湯供給装置に通じてハウス内暖房に寄与する公知の構成である。
【0012】
上記送り側配管3a及び戻り側配管3b夫々と栽培床2との間隔部には、収穫コンベア5a,5bを配設している。これらコンベア5a,5bは収穫トマトTを1個宛載せたトレー6(農産物収容体)を移送しうる構成である。なお、台車4A上には作業員の搭乗空間、トレー6を複数保持するトレー棚7等が設けられている。該台車4A下部には上記送り側配管3a及び戻り側配管3bに対応して前後夫々に車輪8a,8bを設け、駆動装置(例えばバッテリーによるモータ駆動)9によって正逆に回転駆動されるよう構成している。
【0013】
各栽培床2,2…間に設けられる上記収穫コンベア5a,5bは、ベルトコンベア形態に設けられ適宜駆動手段によって一定速度にて矢印方向(イ)に移行すべく構成すると共に、これら収穫コンベア5a,5bの各終端を接続すべく搬送コンベア10を設ける。この搬送コンベア10もベルトコンベア形態で駆動され矢印方向(ロ)に移行すべく構成している。収穫コンベア5a,5bの各搬送終端には搬送コンベア10へ向けてトレー6を押出す押出手段、トレー6を収穫コンベア5の終端位置で停止させる上下に出退するストッパ機構(いずれも図示せず)を設けて、搬送コンベア10の搬送状況を検出する検出手段(図示せず)との連繋によって搬送コンベア10の前後空き部分にトレー6を割り込みさせるようストッパ機構の退避と押出し手段の押出し動作がなされるよう構成している。
【0014】
搬送コンベア10は、栽培ハウス1の内周に沿って配設されるよう直線コンベア10aとカーブコンベア10bとを組み合わせて構成する。そして、その一部は栽培ハウス1外に出て、選果部11に至る。
【0015】
選果部11は、搬送コンベア10にて兼用される選別コンベア、品質形状検出手段12、分級部13、マニピュレータ14、受けボックス15、搬出コンベア16等によって構成される。例えばトマトの外観、外径を検出する品質形状検出手段12、該品質形状検出手段12からの検出情報を入力し、いずれの分級範囲に属するかを判定すると共に複数に設けた分級部13a,13b,13c及び13dに配設するマニピュレータ14a,14b,14c,14dに作動指令信号を出力すべく選果制御部15を構成する。なお、各マニピュレータ14は、トレー6に乗せられたトマトを把持して所定分級部13である受けボックスに移す構成である。受けボックスに所定に分級仕分けされたトマトは、搬出コンベア16にて搬送され途中で箱詰めされ製品出荷部(図示せず)にまで搬出されるよう構成している。
【0016】
搬送コンベア10は、分級部13を通過した後は空トレーの搬出部としての作用を行うコンベアとなる。つまり、搬送コンベア10は循環経路を形成し、分級部12を通過し再度栽培ハウス1に入るまでの搬送経路9cは、空トレーの搬送を行う。そしてこの搬送経路9cからは前記送り側配管3aと戻り側配管3bの一対の台車搬送部の始端側に向け分岐コンベア17を配設し、空トレーを台車に向け移送しうる構成である。
【0017】
前記栽培ハウス1の列状栽培床2は、養液を含浸させてトマトに供給すべくロックウール等の含浸材からなる床部20、この床部20を収容する樋部21、及び床部20の上面にそれの長手方向に株間間隔をおいて配置するポット22とからなる。そしてポット22から生長してくる作物(トマト)の先端側を建屋から吊り下げた紐23で懸架している。
【0018】
図3は農産物収容体としてのトレー6の斜視図を示し、凹部内にトマトを収容しうるよう形成され、胴部にはICタグ25を内蔵している。26は等級指定部で、押込み位置と再押込みにて復帰する標準位置とに変更できる表示板29a,29b,29cを備え、これらを夫々品質秀,同優,同良に割当て、収穫作業員の目視による判定結果で該当の等級の表示板29の状態を変更させて等級品質を他の等級とは異なる表示形態としている。この目視判定による等級結果は、前記品質形状検出手段11によって画像処理を行う等によって検出され、前記選果制御部15での等級判定要素の一とされる。
【0019】
上記ICタグ25について、作物(トマトの幹)の温室内における位置情報や該作物毎に設けたICタグ27の情報を入力する構成とし、トマト収穫用の鋏(収穫器具)28に設けたスイッチ28aが切断作用側に操作されてオンする度にアンテナ部28bから発信されるオン信号を受信すると同時にICタグ27の情報が当該収穫に係るトマトを収容すべきトレー6のICタグ25に発信される。ICタグ25は、ICタグ27の情報、例えば、温室内での位置情報のほか、生育情報としての播種年月日、定植日、施肥日時・施肥名、農薬名・散布日時、収穫日時等を入力する。
【0020】
なお、ICタグ25への情報の入力は例えば次のように行なわれる。畝間にアンテナ(図示せず)を配設し、このアンテナ線への信号出力を栽培管理用コンピュータ(図示せず)から行わせることによって各作物毎に位置情報として付与するアドレスと必要栽培情報とを組み合わせて出力させることにより、作物毎に設けられているICタグ25,25…は記憶すべき情報か否かを判断し自らに関わる情報のみを受け入れる構成である。
【0021】
なお、選果制御部15にはトレー6,6…の選別区分情報が入力されて記憶されるよう構成している。
また、管理制御手段(コンピュータ)70を設け、前記ICタグ25,25…と、選果制御部15からの情報を入力しうる構成とし、栽培管理等に利用する構成である。例えば、養液管理、温湿度が主の環境管理等の栽培管理情報、作業人員配置等の経営管理情報を出力しうる(図11)。
【0022】
上例の作用について説明する。台車4Aに乗っている収穫作業員は、該台車4Aを起動し、近傍の栽培床2で生長した栽培トマトから所望に熟したものを確認する。鋏(収穫器具)28を操作して収穫するが、この鋏(収穫器具)28にはその操作の際にオンすべく近接式等のスイッチ28aが構成されているから、収穫作業員の収穫操作に基づいて該スイッチ28aはオンする。このスイッチ28aのオンに基づいて、作物茎部に配置されたICタグ27の情報がこの収穫トマトを乗せるべきトレー6のICタグ25に受信される。すなわち、トレー6を作物茎のICタグ27情報の受信圏内に位置させておくことにより、該ICタグ27の前記情報、温室内での位置情報、播種年月日、定植日、施肥日時・施肥名、農薬名・散布日時、収穫日時が、対象のトレー6のICタグ25に受信できる。このトレー6は搬送コンベア5a又は5bに乗せられるが、その際等級指定部26への操作を行う。
【0023】
トレー6は、搬送コンベア5a又は5bによって搬送され、搬送コンベア10に移される。この搬送コンベア10によって選果部11に入る。ここでは先ず品質形状手段12にて表面色と外径を検出し、外観の色情報による品質評価、外観による形状評価を行い、所定の等・階級による分級部13が指定される。なお、このとき品質形状手段12にて等級指定部26の指定等級を検出し上記外観の品質評価に加味していずれか低い等級に判定する。このような品質・形状検出情報はトレー6の前記温室内でのアドレスと対応させて選果制御部15の記憶部に記憶され、管理制御手段70へ送信している。
【0024】
選果部11の分級部13においては、所定分級位置に達したトレー6からマニピュレータ14によってトマトが把持されて受けボックス(分級位置13)に移される。この受けボックス(分級位置13)から適宜箱詰めされ出荷部に搬出される。
【0025】
搬送コンベア10は空トレー6を引き続いて搬送し、分岐コンベア18に分配手段(図示せず)で分配供給されながら当該分岐コンベア17部で待機し、往復移動して戻ってきた台車4Aのトレー棚7に載せて再利用する。
【0026】
上記のように、栽培ハウス1に隣接して選果部11Aを構成し、収穫されたトマトを搬送コンベア5a又は5b、搬送コンベア10を経由して選果部11Aに供給できるため、別途共同選果場への輸送を伴わず、鮮度を維持したままの状態で選果処理できる。また、栽培床2の近傍に搬送コンベア5を設け、トレー6を収穫野菜の搬送に使用するため、長い距離の搬送であっても損傷が少ない。
【0027】
また、空のトレー6,6…を搬送する搬送経路9cにはICタグ25の情報を入力するリーダ71を設け、循環移送して再利用するための前記の管理制御手段70に、該トレー6のICタグ25情報を読み込ませ、一方選果制御部15からの受け取った情報との総合により、管理制御手段70は栽培管理や経営管理を実行する。すなわち、選果制御部15からの情報によって、等級あるいは階級の分布状況から養液濃度の適正化を判断し、次回の栽培の適正化に反映させることができる。例えば、階級の分布状況から温室内所定区分において小玉が目立つときは当該区分域での養液濃度を濃くする対応をとり、過熟割合が多いときには当該濃度を薄めるなどの対応をとる、また、所定期間にわたって情報を入力していくことで、収量の偏り分布が明らかとなってくるから、適熟収穫時の人員の適正配置を予測できる、などの管理を実行することができる。
【0028】
図4における実施例では、栽培ハウス1内で、給湯配管3の送り側配管3aと戻り側配管3bとを平行に設け、これら配管3a及び3bをもって台車4Bを往復案内する軌条としていることに加えて次の構成としている。即ち、これら配管3a及び3bの間に2本の直線状のガイドレール30a,30bを配設する。このガイドレール30a,30bはコンテナ31を乗せて台車4Bの押送力をもって移動する構成としている。農産物収容体としてコンテナ31を用いる形態である。
【0029】
図5において、台車4Bは座席32を備え、駆動モータ33を載置して車輪8を駆動しうる構成としている。
また、ガイドレール30a,30bにはローラ34を備え非駆動のローラコンベア30cをもってコンテナ用コンベアを構成し、一列のコンテナ31を台車4B先端の押圧具35でコンテナ31胴部を押して進行させるよう構成している。
【0030】
上記ガイドレール30a,30bで構成されるローラコンベア30cの終端は搬送コンベア36に接続すべく構成されるが、非駆動の上記ローラコンベア30cと搬送コンベア36との間には中継用駆動ローラコンベア37を設ける。即ち、駆動モータ38を備えた中継用のローラコンベア37は、搬送コンベア36のコンテナ31の載置状況を検出する手段との連繋で作動し、待機するコンテナ31を搬送コンベア36に向けて送り出す構成である。なお、中継用駆動ローラコンベア37の終端には出退動するストッパ(図示せず)を設けるとよい。
【0031】
上記搬送コンベア36は、栽培ハウス1の内周に沿って配設されるよう直線コンベア36aとカーブコンベア36bとを組み合わせて構成する。そして、その一部は栽培ハウス1内にて、選果部11Bに至る。
【0032】
選果部11Bは、コンテナ31を反転して例えばトマトを等級コンベア38に移すコンテナダンパ39、目視による等級判定部40、左右各3条の選別コンベア41等からなり、作業台42上の等級作業員によって、等級コンベア38のトマトを秀・優・良に仕分けて予め等級を設定した選別コンベア41に移すものである。その後は、途中の形状選別部(図示せず)によって階級信号を受け、総合判定のもとに図外分級部で仕分け処理しようとする。43は空コンテナ搬送コンベアである。
【0033】
上記構成とすると、栽培床2の間において台車4Bの座席32に座って収穫作業を行う。鋏(収穫器具)28で収穫されたトマトは前側にあって台車4Bで押送されるコンテナ31内に収容する。順次収穫されコンテナ31詰めされて満杯になると別な空コンテナ31を台車4Bの直前方に位置させておき収穫作業を行う。
【0034】
トマトを収容したコンテナ31は、ガイドレール30a,30bで構成されるローラコンベア30cの端部に至り、搬送コンベア36に移されるものであるが、中継ローラコンベア37の駆動を伴って搬送コンベア36に引き継がれる。
【0035】
搬送コンベア36から隣接の選果部11Bに搬送されたコンテナ31はコンテナダンパ39でコンテナ毎反転され、内部のトマトは等級選別及び階級選別に仕分けて予め設定した分級区分ごとに仕分けて出荷処理される。
【0036】
上記のように、コンテナ31をローラコンベア30cに配置し、搬送コンベア36に移して選果部11Bに直接搬送する構成であるから、省力化がはかれ作業能率を向上するものである。
【0037】
上記コンテナ31には、夫々ICタグ72が装着されている。前記のように、鋏(収穫器具)28の収穫操作でオンするスイッチ28aの信号を得て発信するICタグ27からの情報を受信する。このとき、コンテナ31には複数の作物茎からの収穫トマトに関する情報が入力されることとなる。コンテナ31毎の情報は管理制御手段70に入力され、前記のように選果制御部15からの情報と相俟って栽培管理、経理管理に利用される。
【0038】
図6は作業台車4Cを選果部11Cに搬送しようするものである。コンテナ31は台車4Cに載置して搬送する構成とする(図7)。該台車4Cは、列状栽培床2,2…間の給湯配管3の送り側配管3aと戻り側配管3bをもって往復案内される構成とし、上記台車4Bとは相違して座席を備えずコンテナ載置空間としている。また、該台車4Cの車輪構成は、送り側配管3aと戻り側配管3bに跨設される主車輪8Ca,8Cbと、後記搬送コンベア45に設ける並設の案内レール45a,45a部に跨設される小車輪46a、46bを有する。
【0039】
前記送り側配管3aと戻り側配管3bには夫々延長レール47a,47bが設けられ、台車4Cは送り側配管3aと戻り側配管3bから該延長レール47a,47bへの乗り継ぎが行われる。この延長レール47a,47b部は、搬送コンベア45と交差し、該交差部にはリフト機構48を備えるものである。
【0040】
リフト機構47は、小車輪46a,46bを支持するリフト受け部48aを下方から上方に向けて昇降するピストン部材47bからなり、該リフト機構48による台車4Cを昇降させることによって延長レール47a,47bから浮上して案内レール45a、45aに接合する構成である。
【0041】
搬送コンベア45の終端側には、選果部11Cを設けている。台車4Cの状態で搬送されるコンテナ31を選別コンベア(図示せず)の始端側で荷降しし、コンテナダンパを設けてこれに供給するか、人手によって選別コンベアに移すようになしている。
【0042】
上記のように構成すると、収穫物をコンテナ収容し台車4Cに乗せたままで搬送され選果部1 図8に基づき選果部の具体的構成例について説明する。
選別コンベア75から分級排出されたトマトTは、個数カウントセンサ76を備えた案内シュート77を経て複数段に構成された分割型引き出しコンベア78a,78b,…78fに排出される。該引き出しコンベア78a,78b,…78fは夫々に駆動モータ79a〜79fを設けて独立的に駆動停止可能に設けるベルトコンベア形態とされ、その表面には小突起を有する。
上記のように構成された引き出しコンベアの作用を説明すると、案内シュート77を所定個数の果実が通過すると、コンベア78aおよび次段のコンベア78bを駆動し、コンベア78aの果実をコンベア78bに移す。コンベア78aの果実がすべて移されるとこのコンベア78aを停止する。コンベア78cに乗っていないときは、コンベア78b,コンベア78cを駆動し、果実をコンベアcに移す。このように順次前送りして最終コンベア78fまで送る。作業員は手載せで待機するダンボール箱や透明袋のパック(何れも図示せず)に収容処理する。引き出しコンベア前端には果実検出センサ80を設け、すべてのコンベア78a〜78fに溜まると作業員に警報を発する。
【0043】
次いで図9は、トマトの所定個数パック詰め処理装置におけるトマトの供給方法に関する。従来大きさ別にパック詰めする個数を決定し、その玉数と平均重量を掛けた値が1パック重量になるように、選別コンベア途中で個々重量を計測し、分級して6個詰め用、7個詰め用、…10個詰め用に取り出し夫々の個数にパック詰めする構成としていた。ところが、各個詰めにおいても分級範囲(設定幅)があって、順次流れてくるトマトに重量的な偏りが否めず、中でも重い物が偏ったり、軽い物が偏ったりすることがあって、1パック重量が不足し、あるいは過重になることがある。
【0044】
そこで、図9のように構成して偏りを防止しようとする。選別コンベア81の途中には重量検出手段82を設け、所定個数毎の分級仕分け部83a(例えば6個詰め)、83b(同7個詰め)、83c(同8個詰め)、83d(同9個詰め)、83e(同10個詰め)を設ける。分級指令信号を受けて作動する分級部84a〜84eで転倒しうるカップ85,85…からのトマトを一旦受面積の広い貯留部86,86…で受け、この貯留部86から複数に分岐した整列供給部87L,87R(図例では2つ)を接続してこれらの端部にパック88を待機させるパック詰め装置を配置している。従って、貯留部86から整列供給部87L,87Rに分流される際に大小に混在することとなって、これらから所定個数の半分ずつ、例えば6個詰めでは3個ずつパック詰めされるときには偏りを少なくさせるものである。89は制御手段である。なお、パック詰め装置の詳細構成については省略したが、主としてパック開袋手段と1個宛て供給装置とからなる。
【0045】
図10は、形状や着色程度等のために選別コンベア90途中に設ける上下部カメラセンサ91,91の検出精度を維持すべくカメラ清掃を行なう構成の改良に係る。各カメラセンサ91,91の近傍には圧搾空気を噴風しうるエジェクタ92,92を配置し、その噴出先端をカメラセンサのレンズ部に向けている。このエジェクタ92,92への途中にはオン・オフ切替バルブ93を備え、選別コンベア90のカメラセンサ91,91の位置よりも上手側に果実検出センサ94を設ける。果実検出センサ94の果実検出時間が所定時間を超えて長いときには、果実中断の状態を示すものであるから、このタイミングで制御部95は前記切替バルブ93をオンになし、エジェクタ92,92から圧搾空気を出してカメラ洗浄を行なう。したがって、選果運転中であっても僅かな作業中断を有効利用してカメラ洗浄できる効果ある。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】作物栽培ハウスと選果部の全体平面図
【図2】その側面図
【図3】要部の概念図
【図4】別例の全体平面図
【図5】その一部の側面図
【図6】更に別例の全体平面図
【図7】その一部の側面図
【図8】引き出しコンベアの側面図
【図9】パック詰め用引き出し部の平面図
【図10】選別コンベアの側面図
【図11】制御ブロック図
【符号の説明】
【0047】
1 栽培ハウス
2 栽培床
3 給湯配管
4A,4B,4C 台車
5 収穫コンベア
6 トレー(農産物収容体)
8 車輪
9 駆動装置
10 搬送コンベア
11A,11B,11C 選果部
13 分級部
15 選果制御部
25 ICタグ
26 等級指定部
27 ICタグ
28 鋏(収穫器具)
31 コンテナ(農産物収容体)
70 管理制御手段
72 ICタグ
【技術分野】
【0001】
本発明は、農産物の収穫、搬送、選別等の処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農産物の収穫後、コンテナ詰めして選別施設へ入荷しその入荷元の情報管理を確実とする目的で、パレットに積載された入荷用コンテナに、IDナンバーを有するIDマーカを設け、コンテナの入荷元の情報を入力する荷受け設定器と、IDマーカ65のIDナンバーを読み取るIDリーダ71を備え、このIDリーダ71により読み取られるIDナンバーと荷受け設定器により入力される前記入荷元の情報に基づいて、パレットP上のコンテナEを管理する構成が公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−104515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ころが、上記の特許文献によるIDマーカには、生産者、品種、園地、コンテナ数を情報として持つだけであるから、これに選別処理結果データを付加することができても、例えばハウス栽培における特定エリアの栽培管理に対応できない
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題に鑑み、この発明は次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に記載の発明は、作物毎に生育情報を入力したICタグを付設し、農産物を収穫する収穫器具の作動によってこのICタグに記憶された情報を、収穫農産物を収容するトレーやコンテナ等の収容体に付設したICタグに伝送すべく構成してなる農産物の処理装置とする。
【0005】
請求項2に記載の発明は、作物毎のICタグ及び収容体のICタグを非接触型ICタグに構成し、このICタグは収穫器具の収穫操作による作動信号を受信することによって記憶された情報を所定の農産物収容体に付設したICタグに伝送する構成とした請求項1に記載の農産物の処理装置とする。
【0006】
請求項1及び2のように構成すると、収穫器具で農産物を収穫する度に、予めICタグで作物に付設された固有情報が収穫農産物を収容する収容体に付設のICタグに伝送され、以後生育情報は生産者からの出荷処理、共同選果施設での選別処理が行なわれる農産物に付随する。
【0007】
請求項3に記載の発明は、収穫器具はカッターまたは鋏とし、収穫操作によってスイッチを切り替えてその切替信号を作動信号として出力する請求項2に記載の農産物の処理装置とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、選果施設における農産物の選別仕分け情報と、選果施設へ農産物を搬送する収容体に付随したICタグによる生育情報とを管理制御手段に入力し、これら選別仕分け情報と生育情報とから栽培管理情報を出力する農産物処理装置の構成とする。従って、収穫時に得られる生育情報と、選果処理後に得られる選別区分情報とを総合的に判定できる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1〜3に記載の発明は、栽培された作物から収穫適期と判定された農産物を収穫器具で収穫する度に、予めICタグで作物に付設された固有情報が収穫農産物を収容する収容体に付設のICタグに伝送されるものであるから、自動的に作物のICタグに付設された固有情報が収容体側に伝送出力され誤操作や伝送の漏れがない。
【0010】
請求項4に記載の発明は、温室内での位置情報、播種年月日、定植日、施肥日時・施肥名、農薬名・散布日時、収穫日時等の生育情報と、等・階級選別区分情報とを総合的に判定でき、選別結果から作物毎の生育過程の相違を導き出し栽培管理を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面に基づき実施例を説明する。
栽培ハウス1には農産物、例えばトマトが複数の列状に養液栽培されている。列状栽培床2,2…間には、給湯配管3の送り側配管3aと戻り側配管3bとを平行に設け、これら配管3a及び3bをもって台車4Aを往復案内する軌条としている。なおこれら給湯配管3は温湯供給装置に通じてハウス内暖房に寄与する公知の構成である。
【0012】
上記送り側配管3a及び戻り側配管3b夫々と栽培床2との間隔部には、収穫コンベア5a,5bを配設している。これらコンベア5a,5bは収穫トマトTを1個宛載せたトレー6(農産物収容体)を移送しうる構成である。なお、台車4A上には作業員の搭乗空間、トレー6を複数保持するトレー棚7等が設けられている。該台車4A下部には上記送り側配管3a及び戻り側配管3bに対応して前後夫々に車輪8a,8bを設け、駆動装置(例えばバッテリーによるモータ駆動)9によって正逆に回転駆動されるよう構成している。
【0013】
各栽培床2,2…間に設けられる上記収穫コンベア5a,5bは、ベルトコンベア形態に設けられ適宜駆動手段によって一定速度にて矢印方向(イ)に移行すべく構成すると共に、これら収穫コンベア5a,5bの各終端を接続すべく搬送コンベア10を設ける。この搬送コンベア10もベルトコンベア形態で駆動され矢印方向(ロ)に移行すべく構成している。収穫コンベア5a,5bの各搬送終端には搬送コンベア10へ向けてトレー6を押出す押出手段、トレー6を収穫コンベア5の終端位置で停止させる上下に出退するストッパ機構(いずれも図示せず)を設けて、搬送コンベア10の搬送状況を検出する検出手段(図示せず)との連繋によって搬送コンベア10の前後空き部分にトレー6を割り込みさせるようストッパ機構の退避と押出し手段の押出し動作がなされるよう構成している。
【0014】
搬送コンベア10は、栽培ハウス1の内周に沿って配設されるよう直線コンベア10aとカーブコンベア10bとを組み合わせて構成する。そして、その一部は栽培ハウス1外に出て、選果部11に至る。
【0015】
選果部11は、搬送コンベア10にて兼用される選別コンベア、品質形状検出手段12、分級部13、マニピュレータ14、受けボックス15、搬出コンベア16等によって構成される。例えばトマトの外観、外径を検出する品質形状検出手段12、該品質形状検出手段12からの検出情報を入力し、いずれの分級範囲に属するかを判定すると共に複数に設けた分級部13a,13b,13c及び13dに配設するマニピュレータ14a,14b,14c,14dに作動指令信号を出力すべく選果制御部15を構成する。なお、各マニピュレータ14は、トレー6に乗せられたトマトを把持して所定分級部13である受けボックスに移す構成である。受けボックスに所定に分級仕分けされたトマトは、搬出コンベア16にて搬送され途中で箱詰めされ製品出荷部(図示せず)にまで搬出されるよう構成している。
【0016】
搬送コンベア10は、分級部13を通過した後は空トレーの搬出部としての作用を行うコンベアとなる。つまり、搬送コンベア10は循環経路を形成し、分級部12を通過し再度栽培ハウス1に入るまでの搬送経路9cは、空トレーの搬送を行う。そしてこの搬送経路9cからは前記送り側配管3aと戻り側配管3bの一対の台車搬送部の始端側に向け分岐コンベア17を配設し、空トレーを台車に向け移送しうる構成である。
【0017】
前記栽培ハウス1の列状栽培床2は、養液を含浸させてトマトに供給すべくロックウール等の含浸材からなる床部20、この床部20を収容する樋部21、及び床部20の上面にそれの長手方向に株間間隔をおいて配置するポット22とからなる。そしてポット22から生長してくる作物(トマト)の先端側を建屋から吊り下げた紐23で懸架している。
【0018】
図3は農産物収容体としてのトレー6の斜視図を示し、凹部内にトマトを収容しうるよう形成され、胴部にはICタグ25を内蔵している。26は等級指定部で、押込み位置と再押込みにて復帰する標準位置とに変更できる表示板29a,29b,29cを備え、これらを夫々品質秀,同優,同良に割当て、収穫作業員の目視による判定結果で該当の等級の表示板29の状態を変更させて等級品質を他の等級とは異なる表示形態としている。この目視判定による等級結果は、前記品質形状検出手段11によって画像処理を行う等によって検出され、前記選果制御部15での等級判定要素の一とされる。
【0019】
上記ICタグ25について、作物(トマトの幹)の温室内における位置情報や該作物毎に設けたICタグ27の情報を入力する構成とし、トマト収穫用の鋏(収穫器具)28に設けたスイッチ28aが切断作用側に操作されてオンする度にアンテナ部28bから発信されるオン信号を受信すると同時にICタグ27の情報が当該収穫に係るトマトを収容すべきトレー6のICタグ25に発信される。ICタグ25は、ICタグ27の情報、例えば、温室内での位置情報のほか、生育情報としての播種年月日、定植日、施肥日時・施肥名、農薬名・散布日時、収穫日時等を入力する。
【0020】
なお、ICタグ25への情報の入力は例えば次のように行なわれる。畝間にアンテナ(図示せず)を配設し、このアンテナ線への信号出力を栽培管理用コンピュータ(図示せず)から行わせることによって各作物毎に位置情報として付与するアドレスと必要栽培情報とを組み合わせて出力させることにより、作物毎に設けられているICタグ25,25…は記憶すべき情報か否かを判断し自らに関わる情報のみを受け入れる構成である。
【0021】
なお、選果制御部15にはトレー6,6…の選別区分情報が入力されて記憶されるよう構成している。
また、管理制御手段(コンピュータ)70を設け、前記ICタグ25,25…と、選果制御部15からの情報を入力しうる構成とし、栽培管理等に利用する構成である。例えば、養液管理、温湿度が主の環境管理等の栽培管理情報、作業人員配置等の経営管理情報を出力しうる(図11)。
【0022】
上例の作用について説明する。台車4Aに乗っている収穫作業員は、該台車4Aを起動し、近傍の栽培床2で生長した栽培トマトから所望に熟したものを確認する。鋏(収穫器具)28を操作して収穫するが、この鋏(収穫器具)28にはその操作の際にオンすべく近接式等のスイッチ28aが構成されているから、収穫作業員の収穫操作に基づいて該スイッチ28aはオンする。このスイッチ28aのオンに基づいて、作物茎部に配置されたICタグ27の情報がこの収穫トマトを乗せるべきトレー6のICタグ25に受信される。すなわち、トレー6を作物茎のICタグ27情報の受信圏内に位置させておくことにより、該ICタグ27の前記情報、温室内での位置情報、播種年月日、定植日、施肥日時・施肥名、農薬名・散布日時、収穫日時が、対象のトレー6のICタグ25に受信できる。このトレー6は搬送コンベア5a又は5bに乗せられるが、その際等級指定部26への操作を行う。
【0023】
トレー6は、搬送コンベア5a又は5bによって搬送され、搬送コンベア10に移される。この搬送コンベア10によって選果部11に入る。ここでは先ず品質形状手段12にて表面色と外径を検出し、外観の色情報による品質評価、外観による形状評価を行い、所定の等・階級による分級部13が指定される。なお、このとき品質形状手段12にて等級指定部26の指定等級を検出し上記外観の品質評価に加味していずれか低い等級に判定する。このような品質・形状検出情報はトレー6の前記温室内でのアドレスと対応させて選果制御部15の記憶部に記憶され、管理制御手段70へ送信している。
【0024】
選果部11の分級部13においては、所定分級位置に達したトレー6からマニピュレータ14によってトマトが把持されて受けボックス(分級位置13)に移される。この受けボックス(分級位置13)から適宜箱詰めされ出荷部に搬出される。
【0025】
搬送コンベア10は空トレー6を引き続いて搬送し、分岐コンベア18に分配手段(図示せず)で分配供給されながら当該分岐コンベア17部で待機し、往復移動して戻ってきた台車4Aのトレー棚7に載せて再利用する。
【0026】
上記のように、栽培ハウス1に隣接して選果部11Aを構成し、収穫されたトマトを搬送コンベア5a又は5b、搬送コンベア10を経由して選果部11Aに供給できるため、別途共同選果場への輸送を伴わず、鮮度を維持したままの状態で選果処理できる。また、栽培床2の近傍に搬送コンベア5を設け、トレー6を収穫野菜の搬送に使用するため、長い距離の搬送であっても損傷が少ない。
【0027】
また、空のトレー6,6…を搬送する搬送経路9cにはICタグ25の情報を入力するリーダ71を設け、循環移送して再利用するための前記の管理制御手段70に、該トレー6のICタグ25情報を読み込ませ、一方選果制御部15からの受け取った情報との総合により、管理制御手段70は栽培管理や経営管理を実行する。すなわち、選果制御部15からの情報によって、等級あるいは階級の分布状況から養液濃度の適正化を判断し、次回の栽培の適正化に反映させることができる。例えば、階級の分布状況から温室内所定区分において小玉が目立つときは当該区分域での養液濃度を濃くする対応をとり、過熟割合が多いときには当該濃度を薄めるなどの対応をとる、また、所定期間にわたって情報を入力していくことで、収量の偏り分布が明らかとなってくるから、適熟収穫時の人員の適正配置を予測できる、などの管理を実行することができる。
【0028】
図4における実施例では、栽培ハウス1内で、給湯配管3の送り側配管3aと戻り側配管3bとを平行に設け、これら配管3a及び3bをもって台車4Bを往復案内する軌条としていることに加えて次の構成としている。即ち、これら配管3a及び3bの間に2本の直線状のガイドレール30a,30bを配設する。このガイドレール30a,30bはコンテナ31を乗せて台車4Bの押送力をもって移動する構成としている。農産物収容体としてコンテナ31を用いる形態である。
【0029】
図5において、台車4Bは座席32を備え、駆動モータ33を載置して車輪8を駆動しうる構成としている。
また、ガイドレール30a,30bにはローラ34を備え非駆動のローラコンベア30cをもってコンテナ用コンベアを構成し、一列のコンテナ31を台車4B先端の押圧具35でコンテナ31胴部を押して進行させるよう構成している。
【0030】
上記ガイドレール30a,30bで構成されるローラコンベア30cの終端は搬送コンベア36に接続すべく構成されるが、非駆動の上記ローラコンベア30cと搬送コンベア36との間には中継用駆動ローラコンベア37を設ける。即ち、駆動モータ38を備えた中継用のローラコンベア37は、搬送コンベア36のコンテナ31の載置状況を検出する手段との連繋で作動し、待機するコンテナ31を搬送コンベア36に向けて送り出す構成である。なお、中継用駆動ローラコンベア37の終端には出退動するストッパ(図示せず)を設けるとよい。
【0031】
上記搬送コンベア36は、栽培ハウス1の内周に沿って配設されるよう直線コンベア36aとカーブコンベア36bとを組み合わせて構成する。そして、その一部は栽培ハウス1内にて、選果部11Bに至る。
【0032】
選果部11Bは、コンテナ31を反転して例えばトマトを等級コンベア38に移すコンテナダンパ39、目視による等級判定部40、左右各3条の選別コンベア41等からなり、作業台42上の等級作業員によって、等級コンベア38のトマトを秀・優・良に仕分けて予め等級を設定した選別コンベア41に移すものである。その後は、途中の形状選別部(図示せず)によって階級信号を受け、総合判定のもとに図外分級部で仕分け処理しようとする。43は空コンテナ搬送コンベアである。
【0033】
上記構成とすると、栽培床2の間において台車4Bの座席32に座って収穫作業を行う。鋏(収穫器具)28で収穫されたトマトは前側にあって台車4Bで押送されるコンテナ31内に収容する。順次収穫されコンテナ31詰めされて満杯になると別な空コンテナ31を台車4Bの直前方に位置させておき収穫作業を行う。
【0034】
トマトを収容したコンテナ31は、ガイドレール30a,30bで構成されるローラコンベア30cの端部に至り、搬送コンベア36に移されるものであるが、中継ローラコンベア37の駆動を伴って搬送コンベア36に引き継がれる。
【0035】
搬送コンベア36から隣接の選果部11Bに搬送されたコンテナ31はコンテナダンパ39でコンテナ毎反転され、内部のトマトは等級選別及び階級選別に仕分けて予め設定した分級区分ごとに仕分けて出荷処理される。
【0036】
上記のように、コンテナ31をローラコンベア30cに配置し、搬送コンベア36に移して選果部11Bに直接搬送する構成であるから、省力化がはかれ作業能率を向上するものである。
【0037】
上記コンテナ31には、夫々ICタグ72が装着されている。前記のように、鋏(収穫器具)28の収穫操作でオンするスイッチ28aの信号を得て発信するICタグ27からの情報を受信する。このとき、コンテナ31には複数の作物茎からの収穫トマトに関する情報が入力されることとなる。コンテナ31毎の情報は管理制御手段70に入力され、前記のように選果制御部15からの情報と相俟って栽培管理、経理管理に利用される。
【0038】
図6は作業台車4Cを選果部11Cに搬送しようするものである。コンテナ31は台車4Cに載置して搬送する構成とする(図7)。該台車4Cは、列状栽培床2,2…間の給湯配管3の送り側配管3aと戻り側配管3bをもって往復案内される構成とし、上記台車4Bとは相違して座席を備えずコンテナ載置空間としている。また、該台車4Cの車輪構成は、送り側配管3aと戻り側配管3bに跨設される主車輪8Ca,8Cbと、後記搬送コンベア45に設ける並設の案内レール45a,45a部に跨設される小車輪46a、46bを有する。
【0039】
前記送り側配管3aと戻り側配管3bには夫々延長レール47a,47bが設けられ、台車4Cは送り側配管3aと戻り側配管3bから該延長レール47a,47bへの乗り継ぎが行われる。この延長レール47a,47b部は、搬送コンベア45と交差し、該交差部にはリフト機構48を備えるものである。
【0040】
リフト機構47は、小車輪46a,46bを支持するリフト受け部48aを下方から上方に向けて昇降するピストン部材47bからなり、該リフト機構48による台車4Cを昇降させることによって延長レール47a,47bから浮上して案内レール45a、45aに接合する構成である。
【0041】
搬送コンベア45の終端側には、選果部11Cを設けている。台車4Cの状態で搬送されるコンテナ31を選別コンベア(図示せず)の始端側で荷降しし、コンテナダンパを設けてこれに供給するか、人手によって選別コンベアに移すようになしている。
【0042】
上記のように構成すると、収穫物をコンテナ収容し台車4Cに乗せたままで搬送され選果部1 図8に基づき選果部の具体的構成例について説明する。
選別コンベア75から分級排出されたトマトTは、個数カウントセンサ76を備えた案内シュート77を経て複数段に構成された分割型引き出しコンベア78a,78b,…78fに排出される。該引き出しコンベア78a,78b,…78fは夫々に駆動モータ79a〜79fを設けて独立的に駆動停止可能に設けるベルトコンベア形態とされ、その表面には小突起を有する。
上記のように構成された引き出しコンベアの作用を説明すると、案内シュート77を所定個数の果実が通過すると、コンベア78aおよび次段のコンベア78bを駆動し、コンベア78aの果実をコンベア78bに移す。コンベア78aの果実がすべて移されるとこのコンベア78aを停止する。コンベア78cに乗っていないときは、コンベア78b,コンベア78cを駆動し、果実をコンベアcに移す。このように順次前送りして最終コンベア78fまで送る。作業員は手載せで待機するダンボール箱や透明袋のパック(何れも図示せず)に収容処理する。引き出しコンベア前端には果実検出センサ80を設け、すべてのコンベア78a〜78fに溜まると作業員に警報を発する。
【0043】
次いで図9は、トマトの所定個数パック詰め処理装置におけるトマトの供給方法に関する。従来大きさ別にパック詰めする個数を決定し、その玉数と平均重量を掛けた値が1パック重量になるように、選別コンベア途中で個々重量を計測し、分級して6個詰め用、7個詰め用、…10個詰め用に取り出し夫々の個数にパック詰めする構成としていた。ところが、各個詰めにおいても分級範囲(設定幅)があって、順次流れてくるトマトに重量的な偏りが否めず、中でも重い物が偏ったり、軽い物が偏ったりすることがあって、1パック重量が不足し、あるいは過重になることがある。
【0044】
そこで、図9のように構成して偏りを防止しようとする。選別コンベア81の途中には重量検出手段82を設け、所定個数毎の分級仕分け部83a(例えば6個詰め)、83b(同7個詰め)、83c(同8個詰め)、83d(同9個詰め)、83e(同10個詰め)を設ける。分級指令信号を受けて作動する分級部84a〜84eで転倒しうるカップ85,85…からのトマトを一旦受面積の広い貯留部86,86…で受け、この貯留部86から複数に分岐した整列供給部87L,87R(図例では2つ)を接続してこれらの端部にパック88を待機させるパック詰め装置を配置している。従って、貯留部86から整列供給部87L,87Rに分流される際に大小に混在することとなって、これらから所定個数の半分ずつ、例えば6個詰めでは3個ずつパック詰めされるときには偏りを少なくさせるものである。89は制御手段である。なお、パック詰め装置の詳細構成については省略したが、主としてパック開袋手段と1個宛て供給装置とからなる。
【0045】
図10は、形状や着色程度等のために選別コンベア90途中に設ける上下部カメラセンサ91,91の検出精度を維持すべくカメラ清掃を行なう構成の改良に係る。各カメラセンサ91,91の近傍には圧搾空気を噴風しうるエジェクタ92,92を配置し、その噴出先端をカメラセンサのレンズ部に向けている。このエジェクタ92,92への途中にはオン・オフ切替バルブ93を備え、選別コンベア90のカメラセンサ91,91の位置よりも上手側に果実検出センサ94を設ける。果実検出センサ94の果実検出時間が所定時間を超えて長いときには、果実中断の状態を示すものであるから、このタイミングで制御部95は前記切替バルブ93をオンになし、エジェクタ92,92から圧搾空気を出してカメラ洗浄を行なう。したがって、選果運転中であっても僅かな作業中断を有効利用してカメラ洗浄できる効果ある。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】作物栽培ハウスと選果部の全体平面図
【図2】その側面図
【図3】要部の概念図
【図4】別例の全体平面図
【図5】その一部の側面図
【図6】更に別例の全体平面図
【図7】その一部の側面図
【図8】引き出しコンベアの側面図
【図9】パック詰め用引き出し部の平面図
【図10】選別コンベアの側面図
【図11】制御ブロック図
【符号の説明】
【0047】
1 栽培ハウス
2 栽培床
3 給湯配管
4A,4B,4C 台車
5 収穫コンベア
6 トレー(農産物収容体)
8 車輪
9 駆動装置
10 搬送コンベア
11A,11B,11C 選果部
13 分級部
15 選果制御部
25 ICタグ
26 等級指定部
27 ICタグ
28 鋏(収穫器具)
31 コンテナ(農産物収容体)
70 管理制御手段
72 ICタグ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物毎に生育情報を入力したICタグを付設し、農産物を収穫する収穫器具の作動によってこのICタグに記憶された情報を、収穫農産物を収容するトレーやコンテナ等の収容体に付設したICタグに伝送すべく構成してなる農産物の処理装置。
【請求項2】
作物毎のICタグ及び収容体のICタグを非接触型ICタグに構成し、このICタグは収穫器具の収穫操作による作動信号を受信することによって記憶された情報を所定の農産物収容体に付設したICタグに伝送する構成とした請求項1に記載の農産物の処理装置。
【請求項3】
収穫器具はカッターまたは鋏とし、収穫操作によってスイッチを切り替えてその切替信号を作動信号として出力する請求項2に記載の農産物の処理装置。
【請求項4】
選果施設における農産物の選別仕分け情報と、選果施設へ農産物を搬送する収容体に付随したICタグによる生育情報とを管理制御手段に入力し、これら選別仕分け情報と生育情報とから栽培管理情報を出力する農産物処理装置。
【請求項1】
作物毎に生育情報を入力したICタグを付設し、農産物を収穫する収穫器具の作動によってこのICタグに記憶された情報を、収穫農産物を収容するトレーやコンテナ等の収容体に付設したICタグに伝送すべく構成してなる農産物の処理装置。
【請求項2】
作物毎のICタグ及び収容体のICタグを非接触型ICタグに構成し、このICタグは収穫器具の収穫操作による作動信号を受信することによって記憶された情報を所定の農産物収容体に付設したICタグに伝送する構成とした請求項1に記載の農産物の処理装置。
【請求項3】
収穫器具はカッターまたは鋏とし、収穫操作によってスイッチを切り替えてその切替信号を作動信号として出力する請求項2に記載の農産物の処理装置。
【請求項4】
選果施設における農産物の選別仕分け情報と、選果施設へ農産物を搬送する収容体に付随したICタグによる生育情報とを管理制御手段に入力し、これら選別仕分け情報と生育情報とから栽培管理情報を出力する農産物処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−94833(P2006−94833A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287431(P2004−287431)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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