説明

追尾装置のための組み込まれた制御部および調整部を有する変換器

太陽発電機によって供給される直流を交流に変換するための変換器は、太陽発電機を太陽を追って追尾させることを可能にするために、太陽発電機の駆動部のために制御信号を供給する制御部を含み、制御部は、変換器に組み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽エネルギーに基づいて電気エネルギーを生成する分野に関し、ここでは特に太陽発電機によって供給される直流を交流に変換するための変換器に関し、太陽発電機は、制御信号に基づいて太陽を追って太陽発電機の追尾を可能にする駆動部を含む。
【背景技術】
【0002】
追尾装置と呼ばれる、太陽発電機を太陽の現在位置に追尾させるための装置が、先行技術で知られており、一例が独国実用新案出願公開第DE20204679U1号に記載されている。そのような装置の駆動部は、常に最大限に可能な太陽放射が太陽発電機に影響を与えるように、太陽を追ってアジマス角および/または仰角方向に太陽発電機を導く。アジマス角および/または仰角方向に追尾を可能にする既知のプラントは、例えば、支持ポールの端に、アジマス角(東西方向)を調整するための回転リングと、仰角(傾斜)を調整するための可変長の位置ロッドとを含む。
【0003】
そのような追尾プラントまたは「追尾装置」は、太陽発電機が空で最も明るい位置を連続的に追尾するように、追尾装置またはその駆動エレメントをそれぞれ制御する制御部または調整部にそれぞれ効果的に接続される。そのような制御部は、個々の装置として構成され、自給自足的に作動する。そのような制御部の一例が独国特許出願公開第DE10043525A1号に記載され、それは、ソーラープラントを太陽の現在位置に追尾させるための装置を記載し、太陽電池がセンサとして用いられている。
【0004】
図2Aは、追尾ソーラープラントの既知の構造を例示的に示す。ソーラープラントは、少なくとも1つの太陽発電機116を含み、それは、複数のソーラーモジュール102を含み、それらは、太陽104からの光が影響を与えるときに、例えば直流の形で、電気エネルギーを生成する。ソーラーモジュール102は、追尾装置100に取り付けられる。軸108および110の周囲で太陽発電機116の調整は、図2Aに示されない追尾装置100の駆動部を介して可能にされ、駆動部は、例えば、ポール106に取り付けられる。日中に太陽104を追って太陽発電機116を追尾させることは、駆動部によって可能にされる。
【0005】
図2Aに例示的に示される従来のアプローチにおいて、太陽発電機116に加えて、追尾装置100のための制御ユニット123が設けられ、それは、示された例において追尾装置100に取り付けられ、また、それは、ソーラーモジュール102を担持する。制御ユニット123は、追尾装置100から離れた別の位置に設けることができる。制御ユニット123は、センサまたは検出器114を含み、それは、影響を与える光に基づいて強度信号を生成し、それは、制御ユニットに組み込まれる制御部に供給され、それ自体は、空で最も明るい位置に太陽発電機116の最適な位置合わせを確実にするために、制御信号を追尾装置100の駆動部125に伝える。駆動部は別として、追尾装置100は、ポール106も含む。
【0006】
ソーラープラントは、変換器118をさらに含み、それは、図2Aに概略的に示される接続部120によって、太陽発電機116によって生成される直流を受信する。変換器118は、受信された直流を交流に変換するための変換手段DC/ACを含む。生成された交流は、変換器118の概略的に示された出力122で出力される。
【0007】
図2Aに示される構成は、図2Bにおいて概略的に示され、図示されるように、センサ114は、センサ信号接続部124を介して制御ユニット123に供給されるセンサ信号を生成する。制御ユニット123は、追尾装置100の駆動部125(モータ)のために制御信号を生成し、それは、制御信号接続部124を介して送信される。さらに、太陽発電機116および変換器118は示され、それらは、電気ライン120を介して接続される。変換器118は、ライン122を介して交流を出力する。
【0008】
別々のエレメント116および118または114、123および125がそれぞれ用いられる図2に記載される従来の構成は、調整部または制御部123が、それぞれ、他のシステムとは無関係に作動することができ、そのため、異なるソーラーモジュールおよび変換器で作動させることができるという利点がある。
【0009】
しかしながら、このアプローチの不利な点は、複数のエレメントのために比較的に高いコストが発生し、さらに、それぞれ追尾装置の調整部または制御部114およびそれぞれ変換器118の制御部または調整部の独立運転のために、両方の調整部を接続する可能性がないということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国実用新案出願公開第DE20204679U1号
【特許文献2】独国特許出願公開第DE10043525A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この先行技術から、本発明の目的は、不必要なコストを回避して追尾ソーラープラントの制御部/調整部の改良を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載の変換器によって解決される。
【0013】
さらに、本発明は、本発明の変換器を用いたソーラープラントを提供する。
【0014】
本発明は、太陽発電機によって供給される直流を交流に変換するための変換器を提供し、太陽発電機は、太陽発電機を所望の方向に向ける駆動部を含み、制御部が、変化器に組み込まれ、それは、太陽発電機の追尾をもたらすために、太陽発電機を駆動するために制御信号を供給する。
【発明の効果】
【0015】
第1の好適な実施形態によれば、変換器は、センサに影響を与える光に基づいて強度信号を生成する少なくとも1つのセンサをさらに含み、制御部は、強度信号を受信しさらに強度信号に基づいて制御信号を供給し、変換器は、それに制御部が制御信号を適用する制御信号出力をさらに含む。
【0016】
さらなる好適な実施形態によれば、変換器は、強度信号を受信するためのセンサ信号入力を含み、それを、外部センサは、センサに影響を与える光に基づいて生成し、制御部は、強度信号を受信しさらに強度信号に基づいて制御信号を生成するためにセンサ信号入力に接続され、変換器は、それに制御部が制御信号を適用する制御信号出力をさらに含む。好ましくは、外部センサは、追尾装置に取り付けられるセンサである。あるいは、外部センサは、太陽発電機の1つまたはいくつかのソーラーモジュールによって形成されることができる。
【0017】
好ましくは、変換器は、例えば、交流に直流の変換を制御するプロセッサを含む制御ユニットを含み、ソーラーモジュールを駆動するために制御信号を生成するための制御部は、この制御ユニットに組み込まれる。
【0018】
変換器において追尾装置のための調整部/制御部を組み込んでいる本発明のアプローチは、利点があり、なぜなら、これは大きなコスト削減をもたらすからであり、変換器は、最小限の特別な努力でこのさらなるタスクを実現することができるからである。特に、さらなるハウジングのためのさらなるコスト、さらなる電流供給、データ交換のためのさらなるインターフェイス、さらなるプロセッサなどが、省略される。さらに、本発明によれば、ソーラープラントの全体システムの挙動/性能は、両方の調整部を組み合わせることによって、著しく増加される。加えて、追尾ソーラープラントの全体効率は、増加され、それは、さらなる制御部の電気損失も省略されるからである。
【0019】
本発明の好適な実施形態が添付図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】図1Aは、発明の変換器を有する追尾ソーラープラントの実施形態を示す。
【図1B】図1Bは、発明の変換器を有する追尾ソーラープラントの実施形態を示す。
【図2A】図2Aは、従来の追尾ソーラープラントの例を示す。
【図2B】図2Bは、従来の追尾ソーラープラントの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1Aは、図2と同様に、太陽発電機116を含むソーラープラントの概略図を示し、太陽発電機116は、複数のソーラーモジュール102を含みさらに追尾装置100に取り付けられる。図1に示されない駆動部によって、太陽発電機116は、軸108および110の周囲で旋回され、さらに、太陽104を追って追尾することができる。
【0022】
図2に基づいて記載されている従来のアプローチに対して、変換器200は、図1Aに示される本発明の実施形態において設けられ、それは、受信された直流(DC)を交流(AC)に変換するための変換回路202を含む。さらに、制御部/調整部204が、変換器200に組み込まれ、それは、太陽発電機116が、日中に、それぞれ(例えば曇りのときに)、太陽104または空の最も明るい位置を追って追尾するように、その駆動部を制御するために、追尾装置100のために制御信号を生成する。
【0023】
さらに、図1Aに示される実施形態において、センサまたは検出器206が、それぞれ、設けられ、それは、影響を与える光に基づいて強度信号を生成しさらにそれをセンサ信号接続部208を介して変換器200の入力210に供給する。変換器200における制御部204は、受信された強度信号に基づいて追尾装置100を駆動するために、制御信号を生成するために入力210に接続され、制御信号を変換器200の制御信号出力212に供給する。示された実施形態において、制御信号は、駆動部のそれぞれの調整を可能にするために変換器200から制御信号ライン214を介して追尾装置100に供給される。
【0024】
検出手段206に関連して、それが1つまたはいくつかのセンサ電池を含むことができる点に留意すべきであり、いくつかのセンサ電池を設ける場合、また、いくつかの強度信号は、制御部204に供給され、それは、例えば独国特許出願公開第DE10043525A1号に記載されているように、太陽発電機を追尾させるために評価される。
【0025】
さらに、変換器は、図2と同様に、それぞれ、太陽発電機116からライン120および122を介して直流を受信しまたは変換された交流を出力するための直流入力216および交流出力218を含む。
【0026】
図1Bは、また概略的に図1Aに記載されている構成を示す。
【0027】
本発明によれば、要求されるコストを節約することは、太陽発電機のために追尾信号を生成するための制御部を実施するために変換器のリソースを用いることによって得られ、それは、直流を交流に変換するために、要求されるパワースイッチは別として、例えばマイクロプロセッサの形でそれぞれの制御ユニットとそれぞれのメモリーエレメントとを含む。このように、太陽発電機を追尾させるための制御部を実施するために、これらのリソースは、アクセスされることができ、その結果、コンパクトな構造は別として、上述のコスト節約が得られることもできる。
【0028】
さらに、電流変換または追尾のための調整部/制御部を組み合わせることによって、全体システムの挙動は、著しく改善されることができ、さらに、全体効率は、増加されることができる。
【0029】
図1に基づいて、実施形態が記載され、検出器またはセンサ206が、それぞれ、追尾装置100の一部として示されている。本発明は、そのような実施に限らず、むしろ、別の実施形態において、検出器またはセンサ電池206は、それぞれ、変換器に組み込まれることができ、さらに、センサ信号ライン208およびそれぞれのセンサ信号入力210が省略されるような場合において、変換器の使用に関してさらなる簡単化が生じ、それは、それが、検出器およびそれぞれのセンサラインを有するそれを改良することを必要とせずに、従来の追尾ソーラープラントによって作動させることができるからである。
【0030】
さらなる実施形態によれば、検出器は、それぞれ太陽発電機または追尾装置の外部におよび変換器の外部に配置される別の検出器として実装されることができ、さらに、それぞれのセンサ信号ラインを介して変換器200のセンサ信号入力210に接続される。
【0031】
さらなる実施形態によれば、検出器は、省略されることができる。この場合、太陽発電機を追尾させることは、変換器の制御ユニットによって、天文学的な計算に基づいて実行される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽発電機(116)によって供給される直流を交流に変換するための変換器であって、前記太陽発電機(116)は、前記太陽発電機(116)を所望の方向に向ける駆動部を含み、
制御部(204)が、前記変換器(200)に組み込まれ、それは、前記太陽発電機(116)を太陽(104)を追って追尾させることをもたらすために、前記太陽発電機(116)の前記駆動部のために制御信号を供給することを特徴とする、変換器。
【請求項2】
センサ(206)に影響を与える光に基づいて強度信号を生成する少なくとも1つのセンサ(206)であって、前記制御部(204)は、前記強度信号を受信しさらに前記強度信号に基づいて前記制御信号を供給する、センサ(206)、および
それに前記制御部(204)が前記制御信号を適用する制御信号出力(212)を含む、請求項1に記載の変換器。
【請求項3】
センサに影響を与える光に基づいて外部センサ(206)によって生成される強度信号を受信するためのセンサ信号入力(210)であって、前記制御部(204)は、前記強度信号を受信しさらに前記強度信号に基づいて前記制御信号を生成するために前記センサ信号入力(210)に接続される、センサ信号入力(210)、および
それに前記制御部(204)が前記制御信号を適用する制御信号出力(212)を含む、請求項1に記載の変換器。
【請求項4】
前記外部センサ(206)は、前記太陽発電機(116)に取り付けられ、または、前記外部センサは、前記太陽発電機(116)の1つまたはいくつかのソーラーモジュール(102)によって形成される、請求項3に記載の変換器。
【請求項5】
前記太陽発電機(116)によって生成される直流を受信するための直流入力(216)、
直流を交流に変換するために前記直流入力(216)に接続される変換回路(202)、および
交流を出力するために前記変換回路(202)に接続される交流出力(218)を含む、請求項1ないし請求項4のうちの1つに記載の変換器。
【請求項6】
交流への直流の変換を制御する制御ユニットを含み、前記太陽発電機(116)の前記駆動部のために前記制御信号を生成するための前記制御部(204)は、前記制御ユニットに組み込まれる、請求項1ないし請求項5のうちの1つに記載の変換器。
【請求項7】
太陽発電機(116)、および
請求項1ないし請求項6のうちの1つに記載の変換器を含む、ソーラープラント。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2010−512654(P2010−512654A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540612(P2009−540612)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009576
【国際公開番号】WO2008/071266
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(591037214)フラウンホッファー−ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ (259)
【出願人】(509168726)コンセントリックス ゾラール ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング (1)
【Fターム(参考)】