説明

退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物及びそのスクリーニング方法

【課題】退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物及びそのスクリーニング方法を提供する。
【解決手段】退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物、及びそれをスクリーニングする方法に係り、該退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質のスクリーニング方法によれば、退行性脳疾患の予防物質または治療物質を効果的にスクリーニングすることができ、それにより、退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物は、さまざまな退行性脳疾患を効果的に予防または治療することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物、及びそれをスクリーニングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)を始めとする退行性脳疾患は、概して、記憶力と認知機能の障害、行動能力の障害を誘発し、特に、アルツハイマー病は、数年以上の期間をおいて、漸進的に悪化する慢性的疾患であり、患者だけではなく、周囲の家族らにも深刻な精神的苦痛や莫大な医療費支出など、さまざまな問題を引き起こしている。しかし、現在まで開発された治療剤は、単に一時的に症状だけ緩和させるだけであるから、病気を根本的に治療したり、進行を抑制する薬物の開発が切実に要求されている。
【0003】
アルツハイマー病を例にとれば、現在まで治療剤開発の主なターゲットは、アルツハイマー病で現れる神経伝達物質であって、特に、コリン性神経細胞をターゲットにしたコリンエステラーゼ抑制剤(Aricept、Exelon、Reminylなど)が現在市販中である。最近、アメリカ食品医薬品局(FDA)承認のグルタメート受容体の拮抗剤であるメマンチン(memantine)も、代表的な神経伝達物質のグルタメートをターゲットとする。しかし、それら薬物も、病気の進行自体を根源的に防ぐことはできず、最近では、アルツハイマー病の主要特徴であるアミロイドプラーク(amyloid plaque)をなすβ−amyloid(Αβ)を主要ターゲットとし、Αβ生成に重要な役割を果たすβ−セクレターゼまたはγ−セクレターゼを抑制したり、生成されたAβが分解する薬物を開発しようとする研究が活発に進められている。しかし、その場合、人体内に正常に存在する蛋白質をターゲットとするので、正常な機能を阻害することがあり、副作用が発生しうる。
【0004】
従って、従来技術によっても、さまざまな退行性脳疾患と関連して、新しい蛋白質をターゲットとする予防用または治療用の薬学的組成物が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一具体例は、退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質のスクリーニング方法を提供することである。
【0006】
本発明の他の具体例は、退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一様相は、次の段階を含む退行性脳疾患の予防用または治療用の物質のスクリーニング方法を提供する:
(a)反応性星状細胞に、分析しようとする試料を接触させる段階と、
(b)前記分析しようとする試料が、前記反応性星状細胞内のGABA濃度を低下させるか否かを測定する段階と、であり、
前記分析しようとする試料が、前記反応性星状細胞内のGABA濃度を低下させると測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質であると判断する。
【0008】
本発明の他の様相は、次の段階を含む退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質のスクリーニング方法を提供する:
(a)反応性星状細胞に、分析しようとする試料を接触させる段階と、
(b)前記反応性星状細胞内のMAO−Bをコーディングする遺伝子の発現量、MAO−B蛋白質の量、またはMAO−B蛋白質の活性を測定する段階と、であり、
前記MAO−Bをコーディングする遺伝子の発現量、MAO−B蛋白質の量、またはMAO−B蛋白質の活性が低減調節(down-regulation)されると測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質であると判断する。
【0009】
本発明のさらに他の様相は、次の段階を含む退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質のスクリーニング方法を提供する:
(a)反応性星状細胞に、分析しようとする試料を接触させる段階と、
(b)前記反応性星状細胞でベストロフィン1チャネルの細胞内分布様相を測定する段階と、であり、
前記ベストロフィン1チャネルの細胞内分布様相が、細胞体並びに主突起からマイクロドメイン方向に変化したと測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質であると判断する。
【0010】
本発明のさらに他の様相は、次の段階を含む退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質のスクリーニング方法を提供する:
(a)反応性星状細胞に分析しようとする試料を接触させる段階と、
(b)前記反応性星状細胞内のベストロフィン1をコーディングする遺伝子の発現量、ベストロフィン1蛋白質の量またはベストロフィン1蛋白質の活性を測定する段階と、であり、
前記ベストロフィン1をコーディングする遺伝子の発現量、ベストロフィン1蛋白質の量またはベストロフィン1蛋白質の活性が低減調節(down-regulation)されると測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質であると判断する。
【0011】
本発明のさらに他の様相は、次の段階を含む退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質のスクリーニング方法を提供する:
(a)反応性星状細胞に、分析しようとする試料を接触させる段階と、
(b)前記反応性星状細胞内のGABAトランスアミナーゼをコーディングする遺伝子の発現量、GABAトランスアミナーゼ蛋白質の量、またはGABAトランスアミナーゼ蛋白質の活性を測定する段階と、であり、
前記GABAトランスアミナーゼ遺伝子の発現量、GABAトランスアミナーゼ蛋白質の量、またはGABAトランスアミナーゼ蛋白質の活性が増大−調節(up-regulation)されると測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質であると判断する。
【0012】
本発明のさらに他の様相は、反応性星状細胞内で、GABA濃度を低下させる物質を有効成分として含む退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物を提供する。
【0013】
本発明のさらに他の様相は、反応性星状細胞内で、MAO−Bをコーディングする遺伝子の発現を抑制したり、あるいはMAO−B蛋白質の活性を低減させる物質を有効成分として含む退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物を提供する。
【0014】
本発明のさらに他の様相は、反応性星状細胞内で、ベストロフィン1チャネルの細胞内分布様相を、細胞体並びに主突起からマイクロドメイン方向に変化させる物質を有効成分として含む退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物を提供する。
【0015】
本発明さらに他の様相は、反応性星状細胞内で、ベストロフィン1チャンネルをコーディングする遺伝子の発現を抑制したり、またはベストロフィン1蛋白質の活性を低下させる物質を有効成分として含む退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物を提供する。
【0016】
本発明のさらに他の様相は、反応性星状細胞内で、GABAトランスアミナーゼをコーディングする遺伝子の発現を誘導したり、あるいはGABAトランスアミナーゼ蛋白質の活性を増大させる物質を有効成分として含む退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一具体例による退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質のスクリーニング方法によれば、退行性脳疾患の予防物質または治療物質を効果的にスクリーニングすることができ、それによる退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物は、さまざまな退行性脳疾患を効果的に予防または治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】アルツハイマー・マウスモデルの海馬で観察した反応性星状細胞及び反応性星状細胞内でのGABAを示す共焦点蛍光イメージである。
【図2】アルツハイマー・マウスモデルの海馬で観察した反応性星状細胞内でのMAO−Bの発現量を示す共焦点蛍光イメージである。
【図3】アルツハイマー・マウスモデルの海馬で観察した反応性星状細胞内でのベストロフィン1チャネルの細胞内分布を示す共焦点蛍光イメージである。
【図4】アルツハイマー・マウスモデルの海馬で観察した反応性星状細胞内でのGABAトランスアミナーゼの発現量を示す共焦点蛍光イメージである。
【図5】アルツハイマー・マウスモデルの海馬組織から観察したGABAの分布を示した共焦点蛍光イメージである。
【図6】脳損傷マウスモデルの海馬で観察した反応性星状細胞内でのベストロフィン1チャネルの細胞内分布を示す共焦点蛍光イメージである。
【図7】脳損傷マウスモデルの海馬で観察した反応性星状細胞内でのMAO−Bの発現量を示す共焦点蛍光イメージである。
【図8】脳損傷マウスモデルの海馬で観察した反応性星状細胞内でのGABAトランスアミナーゼの発現量を示す共焦点蛍光イメージである。
【図9】ヒトアルツハイマー患者の死後大脳組織で観察した反応性星状細胞内でのGABAを示す光学顕微鏡イメージである。
【図10】ヒトアルツハイマー患者の死後大脳組織で観察した反応性星状細胞内でのMAO−B発現量、GABAを示す共焦点蛍光イメージ、GFAP及びMAO−BmRNAの発現量増加を示すグラフである。
【図11】ウイルス感染モデルマウスの視床核で観察した反応性星状細胞及び反応性星状細胞内でのGABAを示す共焦点蛍光イメージである。
【図12】パーキンソン病モデルラットの黒質緻密部で観察した反応性星状細胞及び反応性星状細胞内でのMAO−BとGABAとを示す共焦点蛍光イメージである。
【図13】パーキンソン病モデルマウスの黒質緻密部で観察した反応性星状細胞及び反応性星状細胞内でのベストロフィン1とGABAとを示す共焦点蛍光イメージである。
【図14】アルツハイマーモデルマウスの海馬抽出物のMAO−B酵素活性程度を示すグラフである。
【図15】アルツハイマーモデルマウスの海馬組織内細胞に存在するGABAの濃度を示す高性能液体クロマトグラフィ結果のグラフである。
【図16】アルツハイマーモデルマウスの海馬歯状回顆粒細胞が、持続性GABAによって受ける抑制性電流の大きさを比較したトレース図面及びグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について、望ましい実施例を挙げて詳細に説明する。
【0020】
一様相は、次の段階を含む退行性脳疾患の予防用または治療用の物質のスクリーニング方法を提供する:
(a)反応性星状細胞に、分析しようとする試料を接触させる段階と、
(b)前記分析しようとする試料が、前記反応性星状細胞内のGABA濃度を低下させるか否か、あるいは前記反応性星状細胞からのGABA放出を低減させるか否かを測定する段階と、であり、
前記分析しようとする試料が、前記反応性星状細胞内のGABA濃度を低下させるか、あるいは前記前記反応性星状細胞からのGABA放出を低減させると測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質であると判断する。
【0021】
他の様相は、次の段階を含む退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質のスクリーニング方法を提供する:
(a)反応性星状細胞に、分析しようとする試料を接触させる段階と、
(b)前記反応性星状細胞内のMAO−Bをコーディングする遺伝子の発現量、MAO−B蛋白質の量、またはMAO−B蛋白質の活性を測定する段階と、であり、
前記MAO−Bをコーディングする遺伝子の発現量、MAO−B蛋白質の量、またはMAO−B蛋白質の活性が低減−調節(down-regulation)されると測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質であると判断する。
【0022】
他の様相は、次の段階を含む退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質のスクリーニング方法を提供する:
(a)反応性星状細胞に、分析しようとする試料を接触させる段階と、
(b)前記反応性星状細胞でベストロフィン1チャネルの細胞内分布様相を測定する段階と、であり、
前記ベストロフィン1チャネルの細胞内分布様相が、細胞体並びに主突起からマイクロドメイン方向に変化したと測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質であると判断する。
【0023】
他の様相は、次の段階を含む退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質のスクリーニング方法を提供する:
(a)反応性星状細胞に分析しようとする試料を接触させる段階と、
(b)前記反応性星状細胞内のベストロフィン1をコーディングする遺伝子の発現量、ベストロフィン1蛋白質の量またはベストロフィン1蛋白質の活性を測定する段階と、であり、
前記ベストロフィン1をコーディングする遺伝子の発現量、ベストロフィン1蛋白質の量またはベストロフィン1蛋白質の活性が低減調節(down-regulation)されると測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質であると判断する。
【0024】
他の様相は、次の段階を含む退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質のスクリーニング方法を提供する:
(a)反応性星状細胞に、分析しようとする試料を接触させる段階と、
(b)前記反応性星状細胞内のGABAトランスアミナーゼをコーディングする遺伝子の発現量、GABAトランスアミナーゼ蛋白質の量、またはGABAトランスアミナーゼ蛋白質の活性を測定する段階と、であり、
前記GABAトランスアミナーゼ遺伝子の発現量、GABAトランスアミナーゼ蛋白質の量、またはGABAトランスアミナーゼ蛋白質の活性が増大−調節(up-regulation)されると測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質であると判断する。
【0025】
本発明者らは、アルツハイマー疾患を始めとする退行性脳疾患の発病と関連した予防剤または治療剤を開発しようと研究努力し、結局、アルツハイマー疾患を有する動物モデルの海馬に存在する反応性星状細胞内で、神経伝達物質のうち一つであるガンマ−アミノブチル酸(GABA:gamma-aminobutyric acid)の濃度が上昇するということを確認し、これは、GABAを生成する過程で、必須な酵素であるMAO−Bの発現量増加、またはGABAトランスアミナーゼの発現量減少によるものであることを最初に究明した。また、反応性星状細胞で、GABAが通過することができるベストロフィン1チャンネルの細胞内分布様相の変化、またはベストロフィン1の発現量増加が起きることを確認した。
【0026】
本発明は、反応性星状細胞内のGABA濃度を低下させる物質を、退行性脳疾患予防用または治療用の物質としてスクリーニングする方法に係り、退行性脳疾患と関連して、MAO−B、ベストロフィン1チャネルまたはGABAトランスアミナーゼを退行性脳疾患の予防または治療のターゲットとする。このように、退行性脳疾患のターゲットとして、前記蛋白質の新規用途は、アルツハイマー疾患を有するマウスモデルの海馬に存在する反応性星状細胞内で、正常マウスモデルと比較してMAO−Bの発現量が増加し、GABAトランスアミナーゼの発現量が減少し、反応性星状細胞内のGABA濃度が上昇し、ベストロフィン1チャネルの細胞内分布様相が変わり、ベストリフィン1の発現量が増加し、反応性星状細胞外部にGABAが分泌され、持続性(tonic)GABAが生成されるという本発明者らの発見によるものである。
【0027】
持続性GABAは、神経細胞の持続性GABA受容体に結合し、塩素イオン(Cl)が神経細胞内に入るようにする。これは、神経細胞の細胞膜の休止電位を低くし、正常な神経信号伝達を妨害する。欠神癲癇(absence epilepsy)では、持続性GABAにより、神経信号伝達が抑制されているということが知られており(David W. Cope, Giuseppe Di Giovanni, Sarah J. Fyson, Gergely Orban, Adam C. Errington, Magor L. Lorincz, Timothy M. Gould, David A. Carter, and Vincenzo Crunelli, Nat Med., 2009, 15(12): 1392−1398)、 脳卒中の場合、持続性GABAを抑制して神経回復を促進することができるということが知られている(Andrew N. Clarkson, Ben S. Huang, Sarah E. MacIsaac, Istvan Mody and S. Thomas Carmichael, Nature, 2010, 468: 305−309)。また、海馬に特異的に存在する持続性GABAの受容体を抑制したとき、記憶と認知能力とが改善されるという報告がある(G. R. Dawson, K. A. Maubach, N.Collinson, M. Cobain, B. J. Everitt, A. M.MacLeod, H. I. Choudhury, L. M. McDonald, G.Pillai, W. Rycroft, A. J. Smith, F. Sternfeld, F. D. Tattersall, K. A. Wafford, D. S.Reynolds, G. R. SeabrookandJ. R. Atack, JPET, 2006, 316(3): 1335-1345及びH. Lal, B. Kumar, and M. J. Forster, The FASEB Journal, 1988, 2(11): 2707-2711).
一方、退行性脳疾患は、中枢神経系の神経細胞に、退行性変化が現れつつ発生する脳疾患を総称する概念として解釈される。退行性脳疾患は、ほとんど発病原因が知られていないが、関連神経系に選択的に侵犯し、疾病の発病が徐々に始まり、持続的な進行を示すということが特徴である。一具体例によれば、前記退行性脳疾患は、例えば、アルツハイマー病、軽度認知障害、脳卒中及び血管性痴呆、前頭側頭葉痴呆、レビー小体(Lewy body)痴呆、クロイツフェルト・ヤコブ病、外傷性頭部損傷、梅毒、後天性免疫欠乏症候群及びその他ウイルス感染、脳膿瘍、脳腫瘍、多発性硬化症、代謝性疾患による痴呆、低酸素症、パーキンソン病、ルー・ゲーリック病、ハンチントン病、ピック病、筋萎縮性側索硬化症、癲癇、虚血、中風、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、精神分裂症、憂鬱症、躁鬱症、外傷後ストレス障害、脊髄損傷及び脊髄炎からなる群から選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0028】
本発明の方法によれば、まず、反応性星状細胞に、分析しようとする試料を接触させる。一具体例によれば、前記反応性星状細胞は、脳損傷動物モデルの脳組織、ウイルス感染動物の脳組織、パーキンソン病動物モデルの脳組織、またはアルツハイマー疾患を有する動物モデルの脳組織から由来したものであってもよい。前記動物モデルは、哺乳類由来であって、例えば、マウス、ラットのような齧歯類、または猿のような霊長類であるが、それらに限定されるものではない。また、一具体例によれば、前記脳組織は、海馬、線条体、黒質緻密部または視床核であるが、それらに限定されるものではない。
【0029】
前記スクリーニング方法を言及しつつ使われる用語「試料(sample)」は、前記反応性星状細胞内のGABA濃度を低下させるか否か、あるいは前記反応性星状細胞からのGABA放出を低減させるか否かを検査するために、スクリーニングで利用される未知の物質を意味する。前記GABA濃度を低下させるか、あるいはGABA放出を低減させるメカニズムは、例えば、i)前記反応性星状細胞内のMAO−Bをコーディングする遺伝子の発現量、MAO−B蛋白質の量、またはMAO−B蛋白質の活性の増大、ii)前記反応性星状細胞で、ベストロフィン1をコーディングする遺伝子の発現量、ベストロフィン1蛋白質の量またはベストロフィン1蛋白質の活性上昇、あるいはベストロフィン1チャネルの細胞内分布様相が、マイクロドメインから細胞体並びに主突起の方向に変化、またはiii)前記反応性星状細胞内のGABAトランスアミナーゼをコーディングする遺伝子の発現量、GABAトランスアミナーゼ蛋白質の量、またはGABAトランスアミナーゼ蛋白質の活性の低下によるものであってもよい。前記試料は、化学物質、ヌクレオチド、アンチセンスRNA、shRNA(short hairpin RNA)、siRNA(small interference RNA)及び天産物抽出物を含むが、それらに限定されるものではない。
【0030】
次に、分析しようとする試料が処理された反応性星状細胞内で、GABA濃度を低下させるか否かを測定する。これは、下記3種の方法で測定可能である。
【0031】
i)前記反応性星状細胞内のMAO−Bをコーディングする遺伝子の発現量、MAO−B蛋白質の量、またはMAO−B蛋白質の活性を測定する。測定結果、前記MAO−Bをコーディングする遺伝子の発現量、MAO−B蛋白質の量、またはMAO−B蛋白質の活性が低減−調節(down-regulation)されると測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質と判定することができる。
【0032】
ii)前記反応性星状細胞内のベストロフィン1をコーディングする遺伝子の発現量、ベストロフィン1蛋白質の量またはベストロフィン1蛋白質の活性を測定する。測定結果、前記ベストロフィン1をコーディングする遺伝子の発現量、ベストロフィン1蛋白質の量またはベストロフィン1蛋白質の活性が低減調節(down-regulation)されると測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質であると判定することができる。
【0033】
iii)前記反応性星状細胞で、ベストロフィン1チャネルの細胞内分布様相を測定する。測定結果、前記ベストロフィン1チャネルの細胞内分布様相が、細胞体並びに主突起からマイクロドメイン方向に変化したと測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質と判定することができる。
【0034】
iv)前記反応性星状細胞内のGABAトランスアミナーゼをコーディングする遺伝子の発現量、GABAトランスアミナーゼ蛋白質の量、またはGABAトランスアミナーゼ蛋白質の活性を測定を測定する。測定結果、前記GABAトランスアミナーゼ遺伝子の発現量、GABAトランスアミナーゼ蛋白質の量、またはGABAトランスアミナーゼ蛋白質の活性が増大−調節(up-regulation)されると測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質と判定することができる。
【0035】
前記蛋白質(MAO−B、ベストロフィン1またはGABAトランスアミナーゼ)をコーディングする遺伝子の発現量変化の測定は、当業界に公知の多様な方法を介して実施される。例えば、RT−PCR、ノーザンブロッティング、cDNAマイクロアレイを利用した混成化反応、またはインサイチュ(in situ)混成化反応を利用して実施することができる。例えば、RT−PCRプロトコルによって実施する場合には、まず、試料を処理した細胞で、総RNAが分離した後、オリゴdTプライマー及び逆転写酵素を利用して、第1鎖cDNAを製造する。次に、第1鎖cDNAをテンプレートとして利用し、前記蛋白質をコーディングする遺伝子特異的プライマーセットを利用してPCR(polymerase chain reaction)反応を実施する。その後、PCR増幅産物を電気泳動し、形成されたバンドが分析し、前記蛋白質をコーディングする遺伝子の発現量変化を測定する。
【0036】
前記蛋白質(MAO−B、ベストロフィン1チャネルまたはGABAトランスアミナーゼ)の量または細胞内分布変化は、当業界に公知の多様な方法を介して実施可能である。例えば、前記MAO−B、ベストロフィン1またはGABAトランスアミナーゼの量的変化は、免疫組織化学法、放射能免疫分析、放射能免疫沈殿、免疫沈殿、ウェスタンブロッティング、ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)、キャプチャELISA、サンドウィッチ分析法によって確認することができるが、それらに限定されるものではなく、前記蛋白質(ベストロフィン1チャネル)の細胞内分布変化は、免疫組織化学法及び透過電子顕微鏡(TEM)を介して確認することができるが、それらに限定されるものではない。一方、前記蛋白質の活性変化は、当業界に知られた酵素活成分析(enzyme activity assay in vitro)方法によって測定可能である。
【0037】
他の様相は、反応性星状細胞内で、GABA濃度を低下させる物質を有効成分として含む退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物を提供する。
【0038】
他の様相は、反応性星状細胞内で、MAO−Bをコーディングする遺伝子の発現を抑制したり、あるいはMAO−B蛋白質の活性を低減させる物質を有効成分として含む退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物を提供する。
【0039】
一具体例によれば、前記MAO−B蛋白質の活性を低減させる物質は、下記化学式Iで表示される化合物、その薬学的に許容可能な塩、異性体、溶媒和物、水和物及びそれらの組み合わせからなる群から選択される化合物であってもよい。
【0040】
【化1】

【0041】
前記化学式Iで、前記R及びRはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、置換または非置換のC−C12アルキル、置換または非置換のC−C12アルケニル、置換または非置換のC−C12アルキニル、置換または非置換のC−C15シクロアルキル、置換または非置換の核原子数3ないし40のヘテロシクロアルキル、(置換または非置換のC−C20アリール)C−C12アルキル、置換または非置換のC−C12アルコキシ、置換または非置換のC−C20アリールアミン、置換または非置換のC−C30ジアリールアミン、置換または非置換のC−C20アリールオキシ、置換または非置換のC−C20アリール、あるいは置換または非置換の核原子数5ないし20のヘテロアリールであり、前記Xは、−O−、−S−または−N(H)−を有している。
【0042】
本明細書で用語「アルキル」は、アルカンの単一炭素原子から、1個の水素原子を除去することによって誘導された飽和、分岐されたり、あるいは直鎖の一価炭化水素基を指す。典型的なアルキル基は、例えば、メチル、エチル、プロパン−1−イル、プロパン−2−イル、シクロプロパン−1−イルのようなプロピル;ブタン−1−イル、ブタン−2−イル、2−メチル−プロパン−1−イル、2−メチル−プロパン−2−イル、シクロブタン−1−イル、tert−ブチルのようなブチルなどを含むが、それらに限定されるものではない。特定具体例で、アルキル基は、1ないし12個の炭素原子を含む。前記アルキル基に存在する一つ以上の水素原子は、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキル基などで置換されてもよい。用語「低級アルキル」は、1ないし6個の炭素原子を含むアルキル基を指す。
【0043】
用語「アルケニル」は、アルケンの単一炭素原子から、1個の水素原子を除去して誘導された少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する不飽和分岐されたり、直鎖または環状アルキル基を指す。前記基は、二重結合近辺で、Z形態またはE形態(またはシス立体形態またはトランス立体形態)であってもよい。典型的なアルケニル基は、例えば、エテニル;プロプ−1−エン−1−イル、プロプ−1−エン−2−イル、プロプ−2−エン−1−イル(アリル)、プロプ−2−エン−2−イル、シクロプロプ−1−エン−1−イルのようなプロペニル;シクロプロプ−2−エン−1−イル;ブト−1−エン−1−イル、ブト−1−エン−2−イル、2−メチル−プロプ−1−エン−1−イル、ブト−2−エン−1−イル、ブト−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブト−1−エン−1−イル、シクロブト−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イルのようなブテニルなどを含むが、それらに限定されるものではない。特定具体例で、アルケニル基は、2ないし12個の炭素原子を有するか、あるいは他の具体例で、2ないし6個の炭素原子を有し、すなわち「低級アルケニル」である。
【0044】
用語「アルキニル」は、アルキンの単一炭素原子から、1個の水素原子を除去することによって誘導された少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する不飽和、分岐されたり、あるいは直鎖を指す。典型的なアルキニル基は、例えば、エチニル;プロピニル;ブチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニルなどを含むが、それらに限定されるものではない。一具体例で、アルキニル基は、2ないし12個の炭素原子を有し、他の具体例で、2ないし6個の炭素原子(すなわち「低級アルキニル」)を有する。
【0045】
用語「アルコキシ」は、ラジカル−ORを指し、このとき、Rは、アルキルである。例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシなどを含むが、それらに限定されるものではない。
【0046】
用語「アリール」は、芳香族環系の単一炭素原子から、1個の水素原子を除去して誘導された一価芳香族炭化水素基を指す。アリールは、5員あるいは6員の炭素環芳香族環を含み、例えば、ベンゼン;二環(bicyclic)系(このとき、少なくとも1個の環は、炭素環及び芳香族、例えば、ナフチレン、インダン及びテトラリンである);及び三環系(このとき、少なくとも1個の環は、炭素環であり、かつ芳香族、例えば、フルオレンである)である。例えば、アリールは、N、O及びSから選択された1以上のヘテロ原子を含有する5員ないし7員のヘテロシクロアルキル環に融合された5員及び6員の炭素環芳香族環を含んでもよい。特定具体例で、アリール基は、6ないし10個の炭素原子を含んでもよい。しかし、アリールは、以下で個別的に定義されたヘテロアリールを含まなかったり、あるいは重畳されていない。従って、1以上の炭素環芳香族環がヘテロシクロアルキル芳香族環と融合されれば、生成された環系は、本明細書で定義されているように、ヘテロアリールであって、アリールではない。
【0047】
用語「カルボキシル」は、ラジカル−C(O)OHを指す。
【0048】
用語「シアノ」は、ラジカル−CNを指す。
【0049】
用語「シクロアルキル」は、飽和または不飽和であるが、非芳香族、環状アルキル基を指す。特定レベルの飽和を目的とする場合、名称「シクロアルカニル「または「シクロアルケニル」が使われる。典型的シクロアルキル基は、非制限的に、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどから誘導された基を含む。特定具体例で、前記シクロアルキル基は、C3−10シクロアルキル、例えば、C−Cシクロアルキルであってもよい。
【0050】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、飽和または不飽和であるが、非芳香族、環状アルキル基で、1以上の炭素原子(及び関連水素原子)は、独立して適切には、同一であるか、あるいは異なるヘテロ原子及びその関連水素原子によって置換される。炭素原子を置換する典型的なヘテロ原子は、非制限的に、N、P、O、S、及びSiを含む。典型的ヘテロシクロアルキル基は、非制限的に、エポキシド、イミダゾリジン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラゾリジン、ピロリジン、キヌクリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどから誘導された基を含む。置換されたヘテロシクロアルキルは、またピペリジニルN−オキシド、モルホリニル−N−オキシド、1−オキソ−1−チオモルホリニル及び1,1−ジオキソ−1−チオモルホリニルのような1以上のオキソ(=0)置換基またはオキシド(−O−)置換基によって置換された環系を含む。
【0051】
用語「ハロ」は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基またはヨード基を指す。
【0052】
用語「ヘテロアリール」は、ヘテロ芳香族環系の単一原子から、1個の水素原子を除去することによって誘導された一価ヘテロ芳香族基を指す。ヘテロアリールは、N、O、及びSから選択された1以上の、例えば、1ないし4個、または特定具体例で、1ないし3個のヘテロ原子を含有し、残りの環原子は炭素である5員ないし7員の芳香族環、単環;N、O及びSから選択される1以上、例えば、1ないし4個、または特定具体例で、1ないし3個のヘテロ原子を含有し、残りの環原子は炭素であり、また少なくとも1個のヘテロ原子が芳香族環に存在する多環ヘテロシクロアルキル環を含む。例えば、ヘテロアリールは、5員ないし7員のシクロアルキル環に融合された5員ないし7員のヘテロ芳香族環、及び5員ないし7員のヘテロシクロアルキル環に融合された5員ないし7員のヘテロ芳香族環を含む。環のただ一つが、1以上のヘテロ原子を含有するような融合された二環ヘテロアリール環の場合、付着点は、ヘテロ芳香族環またはシクロアルキル環であってもよい。ヘテロアリール基中のS原子及びO原子の全体数が1を超えれば、ヘテロ原子は、互いに隣接しない。特定具体例で、ヘテロアリール基中のS及びO原子の全体数は、2以下である。特定具体例で、ヘテロアリール基中のS及びO原子の全体数は、1以下である。ヘテロアリールは、前記で定義されたようなアリールを含まなかったり、あるいはそれと重畳されていない。典型的ヘテロアリール基は、非制限的に、アクリジン、アルシンドール、カルバゾール、β−カボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリニジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどから誘導された基を含む。特定具体例で、ヘテロアリール基は、例えば、5員ないし10員ヘテロアリールのような5員ないし20員ヘテロアリールであってもよい。特定具体例で、ヘテロアリール基は、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ピリジン、キノリン、イミダゾール、オキサゾール及びピラジンから誘導された基である。
【0053】
一具体例によれば、前記化学式Iで表示される化合物で、前記R及びRはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、置換または非置換のC−C12アルキル、あるいは置換または非置換のC−C12アルコキシであり、前記Xは、−O−または−S−であってもよい。
【0054】
一具体例によれば、前記MAO−B蛋白質の活性を低減させる物質は、N−シクロヘキシルー2−フェニルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−フェニル−5−(ピロリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−フェニル−5−(ピロリジン−1−イル)チアゾロ[5,4−b]ピリジン、2−(2−クロロフェニル)−5−(ピロリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−(3−クロロフェニル)−5−(ピロリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−(4−フルオロフェニル)−5−(ピロリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−フェニル−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−フェニル−5−(ピペリジン−1−イル)チアゾロ[5,4−b]ピリジン、2−(2−クロロフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−(3−フルオロフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−(3−クロロフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、3−(5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)ベンゾニトリル、2−(4−フルオロフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−(4−ブロモフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−(4−メトキシフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−(3−クロロフェニル)−N−メチルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンまたは2−(4−クロロフェニル)−N−メチルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンであってもよい。
【0055】
他の様相は、反応性星状細胞内で、ベストロフィン1チャネルの細胞内分布様相を、細胞体並びに主突起からマイクロドメイン方向に変化させる物質を有効成分として含む退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物を提供する。
【0056】
他の様相は、反応性星状細胞内で、GABAトランスアミナーゼをコーディングする遺伝子の発現を誘導したり、あるいはGABAトランスアミナーゼ蛋白質の活性を増大させる物質を有効成分として含む退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物を提供する。
【0057】
本発明の薬学的組成物は、化学物質、ヌクレオチド、アンチセンス、shRNA、siRNAオリゴヌクレオチド及び天産物抽出物を有効成分として含んでもよい。
【0058】
一具体例によれば、前記退行性脳疾患は、アルツハイマー病、軽度認知障害、脳卒中及び血管性痴呆、前頭側頭葉痴呆、レビー小体痴呆、クロイツフェルト・ヤコブ病、外傷性頭部損傷、梅毒、後天性免疫欠乏症候群及びその他ウイルス感染、脳膿瘍、脳腫瘍、多発性硬化症、代謝性疾患による痴呆、低酸素症、パーキンソン病、ルー・ゲーリック病、ハンチントン病、ピック病、筋萎縮性側索硬化症、癲癇、虚血、中風、注意欠陥・多動性障害、精神分裂症、憂鬱症、躁鬱症、外傷後ストレス障害、脊髄損傷及び脊髄炎からなる群から選択されるものであるが、、それらに限定されるものではない。
【0059】
前記薬学的組成物は、薬学的に許容される担体を含んでもよい。前記薬学的組成物に含まれる薬学的に許容される担体は、製剤時に一般的に利用されるものであり、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム及びミネラルオイルなどを含むが、それらに限定されるものではない。前記薬学的組成物は、前記成分以外に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などを追加して含んでもよい。適した薬学的に許容される担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed.,1995)に詳細に記載されている。
【0060】
前記薬学的組成物は、経口または非経口の投与(例えば、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与または局部投与)が可能である。
【0061】
前記薬学的組成物の適した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性、病的状態、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度及び反応感応性のような要因によって多様に処方される。一方、前記薬学的組成物の投与量は、望ましくは、1日当たり0.001−100mg/kg(体重)であってもよい。
【0062】
前記薬学的組成物は、当発明が属する技術分野で当業者が容易に実施することができる方法によって、薬学的に許容される担体及び/または賦形剤を利用して製剤化することによって、単位容量形態に製造されたり、あるいは多用量容器内に入れて製造される。このとき、剤形は、油性媒質または水性媒質中の溶液、懸濁液または乳化液形態であるか、エキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤またはカプセル剤の形態でもあり、分散剤または安定化剤を追加して含んでもよい。
【0063】
以下、一つ以上の具体例について、実施例を介してさらに詳細に説明する。しかし、それら実施例は、一つ以上の具体例を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がそれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0064】
〔実施例1−1:アルツハイマー・モデルマウスでの反応性星状細胞内GABA増加の確認〕
アルツハイマー病で、正常星状細胞が反応性星状細胞に変わりつつ、細胞内GABAの量が増加するか否かを確認するために、周知のアルツハイマー病モデルであるAPPswe/PSEN1形質転換マウス(購入先:The Jackson Laboratory、http://www.jax.org)で、免疫組織化学法を遂行した。また、免疫染色を終えた組織に、チオフラビン−S染色を追加して遂行し、アルツハイマー病の特徴であるアミロイドプラーク(plaque)を共に観察した。
【0065】
8〜9ヵ月齢のAPPswe/PSEN1マウスに、アバチン(avertin)で深く麻酔をかけた、4%パラホルムアルデヒドで潅流固定させた。脳を取り出し、海馬の30μm厚の冠状超冷凍薄切薄片(coronal cryostat sections)を得て、りん酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗い、ブロッキング溶液(0.3% Triton−X、2% normal serum in 0.1M PBS、Sigma)で1時間反応させた。ニワトリ抗GFAP抗体(1:500、Chemmicon)及びギニアピッグ抗GABA抗体(1:1,000、Chemicon)の混合物と共に、4℃で一晩振蕩培養した。PBSで3回洗浄し、次に、対応する二次抗体が接合された抗ニワトリAlexa 488(1:200、Invitrogen)及び抗ギニアピッグAlexa 647(1:200、Invitrogen)で3時間反応させた後、さらにPBSで3回洗浄した。50%エタノール水溶液に溶かした1mMチオフラビン−S(thioflavin−S)に8分間反応させ、80%エタノールに10秒間2回、三次蒸溜水に10秒間3回洗浄した。染色が終わった組織は、PBSに移し、スライドガラス上に載せ、マウンティング培地(Dako)にマウンティングさせた。FV1000共焦点顕微鏡(Olympus)を使用し、一連の共焦点蛍光イメージを得た。前記イメージは、Olympus FLUOVIEW software ver.2.1で加工した。
【0066】
前記で得られたAPPswe/PSEN1形質転換マウス海馬でのGFAP及びGABAに対する抗体を利用した高倍率(x40)免疫組織化学共焦点イメージを図1に示した。図1で、アルツハイマー・モデルマウス海馬では、正常マウスにはないアミロイドプラーク(青色)が観察された。星状細胞マーカーであるGFAP(緑色)で染色された細胞は、アルツハイマーモデルで、反応性星状細胞に変化しつつ、GFAPで染色された程度が大きく上昇し、細胞体の大きさと主突起の太さとが増大したことが分かる。正常星状細胞内部には、GABA(赤色)がないか、ほぼない一方、アルツハイマーモデルでは、細胞内GABAの量が劇的に増加するということを確認することができた。一方、GFAPでは染色されないが、GABAで染色されたインターニューロン(interneuron)は、正常マウスとアルツハイマー・モデルマウスとで、大きさやGABA染色程度に差がなかった。
【0067】
〔実施例1−2:アルツハイマー患者の脳での反応性星状細胞内GABA増加の確認〕
アルツハイマー病にかかった患者で、正常星状細胞が反応性星状細胞に変わりつつ、細胞内GABAの量が増加するか否かを確認するために、正常人とアルツハイマー病患者との死後脳組織(出所:ボストン医科大学)の大脳部分で、免疫組織化学法を遂行した。固定された死後脳組織を、30μm厚の冠状超冷凍薄切薄片(coronal cryostat sections)を得て、過酸化水素水溶液に反応させ、組織内に残っているフェロキシダーゼ酵素の活性を抑制させた後、PBSで3回すすぎ、ブロッキング溶液(0.3%Triton−X、0.1M PBS中の2% normal serumin、Sigma)で1時間反応させた。次に、ギニアピッグ抗GABA抗体(1:1000、Chemicon)の混合物と共に、4℃で一晩振盪培養した。PBSで3回洗浄し、次に、対応する二次抗体が接合された抗ギニアピッグHRP(1:200、Invitrogen)で3時間反応させた後、再びPBSで3回洗浄した。次に、DAB溶液と反応させ、HRP活性によって褐色の染色反応を現れようにした後、染色が終わった組織はPBSに移し、スライドガラス上に載せ、マウンティング培地(Dako)にマウンティングして光学顕微鏡で観察した。正常人とアルツハイマー患者との死後大脳組織で、GABAに対する抗体を利用した高配率(x40)免疫組織化学光学イメージを図9に示した。図9で、正常人の大脳星状細胞内部には、GABA(褐色)がないか、あるいはほとんどない一方、アルツハイマー患者の大脳星状細胞内部には、細胞内GABAの量が劇的に増加するということを確認することができた。前記結果から、GABAを蓄積する反応性星状細胞が現れる現象が、アルツハイマーモデルマウスだけではなく、実際のヒト患者でも同一に現れるので、本技術が、アルツハイマー病の予防と治療とに適用されることを裏付ける。
【0068】
〔実施例2−1:反応性星状細胞のMAO−B、ベストロフィン1及びGABAトランスアミナーゼの発現変化確認〕
反応性星状細胞内のMAO−B、ベストロフィン1及びGABAトランスアミナーゼの発現変化を確認するために、下記のように、抗体の種類を追加したことを除いては、実施例1と同じ方法を使用し、免疫組織化学染色を遂行した。
【0069】
一次抗体は、ニワトリ抗GFAP抗体(1:500、Chemmicon)及びギニアピッグ抗GABA抗体(1:1,000、Chemicon)を基本とし、ウサギ抗MAO−B抗体(1:50、Sigma)、ウサギ抗Best1抗体(1:100、Soria et al.,2006)、ウサギ抗GABAトランスアミナーゼ抗体(1:100、Epitomics)を追加した。二次抗体は、抗ニワトリDyLight 488(1:200、Jackson IR)及び抗ギニアピッグAlexa 647(1:200、Invitrogen)に、抗ウサギAlexa 555(1:200Invitrogen)抗体を追加して反応させた。
【0070】
その結果、図2から分かるように、反応性星状細胞内で、MAO−Bが増加したということを確認することができ、図3から分かるように、反応性星状細胞内のGABAトランスアミナーゼが減少するということを確認することができ、かようなMAO−Bの発現量増加及びGABAトランスアミナーゼの発現量減少によって、反応性星状細胞内にGABAの量が増加するということが分かった。また、図4から分かるように、対照群(wild type)と比較し、ベストロフィン1チャネルの細胞内分布位置(subcellular localization)が変化したということを確認することができ、これによって、GABAの分泌様相が変化し、アルツハイマー疾患を誘導するということが分かった。
【0071】
〔実施例2−2:アルツハイマーモデルマウスの脳でのMAO−Bの蛋白質活性上昇の確認〕
本実験は、Aldrichから購買したヒトMAO−B酵素と、Amplex(登録商標) Red monoamine oxidase assay kitとを利用し、スタック溶液準備は、マニュアルに従った。このキット内には、5X reaction buffer、Amplex(登録商標) red reagent(1mg)、HRP(horseradish peroxidase)、DMSO、H、p−チラミン(MAO−A,Bの基質)、ベンジルアミン(MAO−Bの基質)、クロルジリン(MAO−Aの阻害剤)、パルギリン(MAO−Bの阻害剤)が入っている。そのうち、MAO−B基質として、ベンジルアミンを使用し、MAO−Bの阻害剤としては、パルギリンを使用した。全体基質として作用する溶液の準備過程は、次の通りである。
【0072】
Amplex(登録商標) red 1mgにDMSO 200μlを入れて十分に溶かした200μl、HRPと1mlの1X bufferとを混ぜた100μl、ベンジルアミンと1.2mlのdHOとに溶かした200μlを9.5mlの1X bufferに入れて総10mlを作る。この量は、100個のウェルに使用することができる。MAO−B阻害剤であるパルギリンに1mlのdHOを混ぜて各ウェル当たり0.5μlを入れる。
【0073】
まず、準備した96ウェルの最初の列(レーン)と2列目とにアルツハイマーマウスから分離した海馬抽出物を入れ、3列目と4列目とには、正常マウスから分離した海馬抽出物を入れる。マウスに麻酔をかけた後、脳を取り出して海馬を摘出し、海馬からCA1部位とDG部位とを別途に分離した。分離した組織は、新鮮な状態で均質化溶液に入れて押しつぶして均質化させた。遠心分離機を弱く回して大きい塊りを除去し、上澄み液だけ採取した後、高速遠心分離(13,000rpm、20分)してミトコンドリアが濃縮された沈殿物を得た。海馬から抽出したこの沈殿物を、50μgずつMAO−B酵素活性測定に利用した。
【0074】
2列目と4列目には、パルギリン阻害製剤を0.5μlずつ追加して入れる。実験の誤差を減らし、正確性を高めるために、1化合物当たり3回ずつ実験を反復した。30分後、暗室で基質に作用する溶液を100μlずつ入れる。Amplex(登録商標) reagentが光に敏感であるために、暗室で実験を行う。結局、各ウェル当たり200μlの量がなる。2〜3時間後、発色の程度を測定すれば、最初の列と2列目とのデータ値の違いが、アルツハイマーマウスの海馬で、純粋にMAO−B酵素とその基質との反応による活性であり、3列目と4列目とのデータ値の違いが、正常マウスの海馬で、純粋にMAO−B酵素とその基質との反応による活性である。
【0075】
図14から、アルツハイマーマウスで、正常マウスに比べて、海馬のMAO−B活性が増大しているということが分かる。全体海馬抽出物はもとより、特に、海馬のDG部分で、MAO−Bの活性が25%ほど上昇した。これにより、MAO−Bの活性が増大し、アルツハイマー疾患を誘導するということが分かった。
【0076】
〔実施例2−3:アルツハイマー患者の脳での反応性星状細胞のMAO−B発現増加の確認〕
反応性星状細胞内のMAO−Bの発現変化を確認するために、下記のように、抗体の種類を追加したことを除いては、実施例2と同じ方法を使用し、アルツハイマー患者の死後大脳組織で免疫組織化学染色を遂行した。
【0077】
一次抗体は、ニワトリ抗GFAP抗体(1:500、Chemmicon)、ギニアピッグ抗GABA抗体(1:1000、Chemicon)及びウサギ抗MAO−B抗体(1:50、Sigma)を使用した。二次抗体は、抗ニワトリDyLight488(1:200、JacksonIR)及び抗ギニアピッグAlexa 647(1:200、Invitrogen)に、抗ウサギAlexa 555(1:200、Invitrogen)抗体を追加して反応させた。
【0078】
その結果、図10Aから分かるように、反応性星状細胞内で、MAO−Bが増加したということを確認することができた。かようなMAO−Bの発現量増加によって、反応性星状細胞内に、GABAの量が増加するということが分かった。これにより、ヒトアルツハイマー患者でも、反応性星状細胞内のMAO−Bの発現量増加によってGABAが増加し、アルツハイマー疾患を誘導するということが分かった。
【0079】
また、quantitative RT−PCR法を利用し、アルツハイマー患者の脳で、MAO−BのmRNA発現量が増加したということを確認した。アルツハイマー患者の死後脳組織から総RNAを採取し、オリゴdTプライマー及び逆転写酵素を利用して、第1鎖cDNAを製造する。続いて、第1鎖cDNAをテンプレートとして利用し、MAO−B蛋白質とGFAP蛋白質とをコーディングする遺伝子特異的プライマーセットを利用し、PCR反応を実施する。その後、PCR増幅産物を電気泳動と、形成されたバンドを分析し、前記蛋白質をコーディングする遺伝子の発現量変化を測定する。
【0080】
その結果、図10Bから分かるように、星状細胞マーカーであるGFAPの発現量が、アルツハイマー患者の脳で増加し、図10Cでのように、GABAを作る酵素であるMAO−Bの発現量も、アルツハイマー患者の脳で増加していた。図10Dは、各患者サンプルのGFAPとMAO−B発現量との相関関係を示したものである。これにより、アルツハイマー患者の脳で、MAO−B蛋白質の量だけではなく、mRNA発現量も増加しているということが分かった。
【0081】
〔実施例3−1:アルツハイマー・モデルマウスでの反応性星状細胞のGABA生産による海馬組織内持続性GABAの増加の確認〕
実施例1によって製作されたスライドから、FV1000共焦点顕微鏡(Olympus)を使用し、低倍率(x10)で共焦点蛍光イメージを得た。図5から分かるように、アルツハイマー・モデルマウスの海馬で、歯状回(dentate gyrus)の分子層(molecular layer)部分に、GABA染色が全体的に増加した(白色矢印)。これは、細胞内外のGABA量が増えることを意味し、実施例2の結果と共に、反応性星状細胞内で、MAO−Bが増加することによって、細胞内部のGABAが蓄積し、ベストロフィン1チャネルの細胞内分布位置(subcellular localization)が変化することによって、細胞外にGABAが分泌され、持続性GABAになるということを確認することができた。かようなGABAの分泌様相変化によって、アルツハイマー疾患を誘導するということを予想することができた。
【0082】
〔実施例3−2:アルツハイマーモデルマウスでの反応性星状細胞のGABA生産による海馬組織内細胞外でのGABA濃度の増加の確認〕
アルツハイマーモデルマウスの海馬で、microdialysis微細透析法と、HPLC高性能液体クロマトグラフィ法とを利用し、組織内細胞外のGABA濃度が上昇するということを確認した。前記のモデルマウスに、isofluraneで麻酔をかけた後、stereotaxicに固定させ、図15a及び、図15bのように、海馬でアミロイドプラークが多く生じる部位に、guide cannulaと微細透析プローブとを移植した。マウスが麻酔から完全に覚めた後、プローブを介して人工脳脊髓液を流しつつ、微細透析されて出てきた液体を20分間隔で採集して、この液体に入っているGABAの量を高性能液体クロマトグラフィで分析した。
【0083】
図15で、アルツハイマーモデルマウスは、組織内細胞外のGABAの濃度が、正常マウスに比べて、2倍ほど上昇しているということが分かった。これは、反応性星状細胞内で作られたGABAが蓄積された後、細胞外に分泌されて持続性GABAを形成しているということを意味し、かようなGABAの分泌増加によって、アルツハイマー疾患を誘導するということを予想することができた。
【0084】
〔実施例3−3:アルツハイマーモデルマウスでの反応性星状細胞のGABA生産による海馬神経細胞が受ける抑制信号の増加の確認〕
アルツハイマーモデルマウスの海馬にある神経細胞が、GABAによって媒介された抑制信号を受ける程度を、全細胞パッチクランプ記録(whole-cell patch clamp)法で測定した。
【0085】
アルツハイマーモデルマウスに、halothaneで麻酔にかけた後、頭を切って頭蓋骨から脳を迅速に取り出し、切断溶液(ice-cold cutting solution)に浸漬させ、前記溶液は、250mMスクロース、26mM NaHCO、10mM D(+)グルコース、4mM MgCl、3mM myo-inositol、2.5mM KCl、2mM sodium pyruvate、1.25mM NaHPO、0.5mM ascorbic acid、0.1mM CaCl及び1mMkynurenic acid(pH7.4)を含む。あらゆる溶液を95%O及び5%COでガス処理した。脳の前部と小脳部分とをナイフで切って除去した後、海馬を含む300μm厚の薄片をミクロトーム(Leica VT 1000)で切断し、人工脳脊髓液に移し、前記溶液は、126mM NaCl、24mM NaHCO、1mM NaHPO、2.5mM KCl、2.5mM CaCl、2mM MgCl及び10mM D(+)グルコース(pH7.4)を含む。薄片を少なくとも常温で、40分間インキュベーティングした。全細胞パッチ記録のために、海馬薄片を、flow controller(Synaptosoft)と、真空ポンプ(Charles Austen、model Capex 8C)とによって調節される人工脳脊髓液で継続して流し(superfusing、flow rate:2ml/min)、電子生理学的記録チャンバ(RC−26G、WarnerIn struments)に移した。スライスチャンバを、定立顕微鏡(upright microscope、Olympus)の対物台上に載せ、微分干渉対比(differential interference contrast)及び赤外線オプティックで、X60水浸体(water immersion objective)で観察した。細胞形態を、Imaging Workbench 6.0(INDEC Systems,Inc.)、camera controller(Hamamatsu、C4742−95)及びlight microscope controller(Olympus、TH4−200)を介して視覚的に確認した。ほとんどの海馬の歯状回部分に位置する神経細胞である顆粒細胞(granule cell)の細胞体(somata)から、全細胞電圧クランプ記録を得た。
【0086】
顆粒細胞記録のために、厚壁BOLOSILLIK'EITEガラス毛細管(thick-walled borosilicate glass capillaries、SC150F−10、Warner instrument Corp)から、パッチピペット(8−12MΩ)を作り、ピペットを、次の組成を有する内部溶液で充填させた:135mM CsCl、4mM NaCl、0.5mM CaCl、10mM HEPES、5mM EGTA、2mM Mg−ATP、0.5mM Na2−GTP及び10mM QX−314;CsOHでpH7.2に調整(278−285mOsmol)(Rossi、et al.,2003)。かような内部溶液、電圧クランプEcl=0mV及び維持電位−70mVに内向電流(inward current)が誘導された。顆粒細胞をパッチピペットで、全細胞パッチクランプ記録を行いつつ、興奮性物質であるglutamateによる神経信号伝達を抑制するために、AP−5とCNQXとを含んだ人工脳脊髓液を5分以上流し、抑制性物質であるGABAによる神経信号だけ選択的に記録した。5分が経過すれば、GABAによる神経信号伝達を抑制するbicucullineを含んだ人工脳脊髓液を3分間流し、GABA信号を抑制した。Bicuculillineで抑制される前後のbaselineを比較すれば、顆粒細胞が受ける持続性GABA信号の量を知ることができた。
【0087】
前記得られた信号を計数化し、pCLAMP 10.2 software(Molecular Devices)を使用し、Digidata 1440A(Molecular Devices)及びMulticlamp 700B amplifier(Molecular Devices)で、50μs間隔で(に)サンプリングした。Clampfit 10.2(Molecular Devices)、SigmaPlot10.0(SPSS)及びExcel 2003(Microsoft)を利用してオフライン分析を遂行した。
【0088】
本実施例で使われたあらゆる薬物と化学物質は、次のような取り立てての言及がない限り、Sigma社から購入したものである:QX−314(Tocris)、AP−5(Tocris)、CNQX(Tocris)、bicuculline methobromide(Tocris)。
【0089】
数値データは、means±S.E.Mで示した。比較用データの有意性は、Student’s two-tailed unpaired t testによって求め、有意レベルは、*(p<0.05)、**(p<0.01)及び***(p<0.001)で示した。データは、2kHzでフィルタリングした。
【0090】
実験結果、アルツハイマーモデルマウスの海馬歯状回の顆粒細胞は、正常マウスと比較し、さらに多くの持続性GABAによる抑制を受けていた(図16)。GABAによる細胞内塩素イオンの流入を示す電流の大きさは、アルツハイマーモデルマウスで、平均12pA、正常マウスで8pAであった。細胞の面積を考慮した持続性電流密度も、アルツハイマーマウスで、正常に比べて、2個ほど増加していた。これにより、アルツハイマー病の海馬内の反応性星状細胞が作ったGABAが、細胞外の組織内に分泌され、神経細胞を抑制するということが分かる。これは、結果的に、神経細胞の円滑な信号伝達を抑制し、正常な脳機能を妨害し、アルツハイマー病の主な症状である記憶力減退などとして現れるものであると予想することができる。
【0091】
〔実施例4−1:ウイルス感染モデルマウスでの反応性星状細胞内GABA増加の確認〕
アルツハイマーモデルマウスのl代わりに、wildtype C57BL/6マウス(購入先:The Jackson Laboratory)を利用し、マウスに麻酔をかけてstereotaxic装備に固定させた後、視床核部位に、GFP蛍光蛋白質を発現するアデノウイルスを注射し、ウイルス感染を誘導した。ウイルスに感染されたマウスから、実施例1と同じ方法を使用し、免疫化学的試験を遂行した。
【0092】
図11から分かるように、ウイルスに感染されていない視床核では、星状細胞(緑色)にGABAがほとんどないが、アデノウイルスを感染させた視床核では、アルツハイマーモデルと同様に、GABAをたくさん有した星状細胞(黄色)が現れた。
【0093】
前記結果は、GABAを蓄積する反応性星状細胞が生じる状況が、アルツハイマー病だけではなく、ウイルス感染を含んだ他の退行性脳疾患及び脳損傷まで拡張するということを裏付ける。
【0094】
〔実施例4−2:パーキンソン病モデルラットとマウスとでの反応性星状細胞内GABA増加並びにMAO−B、ベストロフィン1の発現の変化確認〕
パーキンソン病モデルラットとしては、6−OHDAを脳に注射したwildtypeラットを使用し、パーキンソン病モデルマウスとしては、MPTPを腹腔に注射したwildtype C57BL/6マウス(購入先:The Jackson Laboratory)を利用した。2つのモデルいずれも黒質緻密部(substantia nigra、pars compacta)部分にあるドーパミンを生成する神経細胞を殺し、パキスン症状を誘導した。これにより、実施例1と同じ方法を使用し、免疫化学的試験を遂行した。
【0095】
図12から分かるように、パーキンソン病モデルラットで、アルツハイマーモデルと同様に、反応性星状細胞内でMAO−B発現が上回り、GABAの量が増えることを確認することができた。また、図13から分かるように、パーキンソン病モデルマウスで、ベストロフィン1チャンネルの細胞内分布様相が、反応性星状細胞で、マイクロドメインから細胞体及び主突起の方向に順次変化し、発現量も増加した。また、反応性星状細胞内で、GABAの量も増えた。
【0096】
前記結果は、GABAを蓄積する反応性星状細胞が生じる状況が、アルツハイマー病だけではなく、パーキンソン病を含んだ他の退行性脳疾患及び脳損傷まで拡張するということを裏付ける。
【0097】
〔実施例4−3:海馬損傷マウスモデルでの反応性星状細胞内GABA増加と、MAO−B、ベストロフィン1及びGABAトランスアミナーゼの発現変化との確認〕
アルツハイマー・モデルマウスの代わりに、GFAP−EGFP形質転換マウス(購入先:The Jackson Laboratory)を利用し、実施例1と同じ方法でマウスに麻酔をかけ、麻酔状態のマウスの海馬に尖ったピンを導入し、海馬損傷を誘導した。海馬損傷後5日目、14日目、マウスから実施例1と同じ方法を使用して免疫化学的試験を遂行した。
【0098】
図5から分かるように、海馬損傷後5日目(injury+5days)、14日目(injury+14days)で、アルツハイマーモデルと同様に、反応性星状細胞のベストロフィン1チャネルの細胞内分布様相が、反応性星状細胞で、マイクロドメインから細胞体並びに主突起の方向に順次変化し、図7から分かるように、海馬損傷後5日目に、反応性星状細胞内で、MAO−B発現が増加するということを確認することができた。また、図8から分かるように、海馬損傷後5日目に、星状細胞の細胞体並びに主突起の大きさ増大に比べ、細胞面積当たりGABAトランスアミナーゼの発現は、減少したということを確認することができた。
【0099】
前記結果は、GABAを蓄積する反応性星状細胞が生じうる状況が、アルツハイマー病だけではなく、他の退行性脳疾患及び脳損傷まで拡張されるということを裏付けている。
【0100】
〔実施例5:MAO−Bの活性を阻害させる物質のスクリーニングのための化合物の製造〕
前記実施例で説明したように、本発明の退行性脳疾患の治療と関連するMAO−Bの活性を阻害させる化合物をスクリーニングするために、下記のような方法で、全79種の化合物を得た。
【0101】
〔実施例5−1:N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)ベンズアミドの合成〕
【0102】
【化2】

【0103】
塩化ベンゾイル(0.038ml、0.33mmol)をアセトニトリル4mlに溶かした後、2,6−ジクロロピリジン−3−アミン(50mg、0.30mmol)を入れ、70℃で6時間還流した。TLCで反応終結を確認し、常温に冷やした後に減圧蒸留した。生成された褐色固体を少量のメタノールに入れれば、白色固体が生成されるが、これを濾過乾燥させ、目的化合物58.7mg(0.22mmol、収得率:73〜90%)を得た。
【0104】
H NMR(400MHz、MeOD)δ 8.29(d,J=8.4Hz,1H)、8.00−7.98(m,2H)、7.62(t,J=6.1Hz,1H)、7.57−7.50(m,3H)
〔実施例5−2:2−クロロ−N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)ベンズアミドの合成〕
【0105】
【化3】

【0106】
開始物質として、2−クロロベンゾイルクロリド(0.04ml、0.33mmol)を使用したことを除いては、実施例5−1と同じ方法で目的化合物65mg(0.19mmol、75%)を得た。
【0107】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.98(d,J=8.6Hz,1H)、8.68(s,1H)、7.80(d,J=6.67Hz,1H)、7.56−7.52(m,2H)、7.49−7.45(m,1H)、7.39(d,J=8.6Hz,1H)
〔実施例5−3:N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)−3−フルオロベンズアミドの合成〕
【0108】
【化4】

【0109】
開始物質として、3−フルオロベンゾイルクロリド(0.04ml、0.33mmol)を使用したことを除いては、実施例5−1と同じ方法で、目的化合物45mg(0.18mmol、60〜100%)を得た。
【0110】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.93(d,J=8.5Hz,1H)、8.37(s,1H)、7.68(t,J=7.5Hz,2H)、7.57(q,J=8.0Hz,1H)、7.41−7.34(m,2H)
〔実施例5−4:3−クロロ−N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)ベンズアミドの合成〕
【0111】
【化5】

【0112】
開始物質として、3−クロロベンゾイルクロリド(0.04ml、0.33mmol)を使用したことを除いては、実施例5−1と同じ方法で、目的化合物58.8mg(0.19mmol、59%)を得た。
【0113】
H NMR(400MHz、MeOD)δ 8.22(d,J=8.3Hz,1H)、7.97(t,J=1.9Hz,1H)、7.90−7.88(m,1H)、7.62−7.61(m,1H)、7.5(dd,J=7.9,11.6Hz,2H)
〔実施例5−5:N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)−3−メチルベンズアミドの合成〕
【0114】
【化6】

【0115】
開始物質として、3−メチルベンゾイルクロリド(0.63ml、4。7mmol)を使用したことを除いては、実施例5−1と同じ方法で、目的化合物1g(3.6mmol、83%)を得た。
【0116】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.92(d,J=8.4Hz,1H)、8.36(s,1H)、7.72(s,1H)、7.70−7.67(m,1H)、7.43(d,J=4.2Hz,1H)、7.35(d,J=3.3Hz,1H)、2.47(s,3H)
〔実施例5−6:N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)−3−ニトロベンズアミドの合成〕
【0117】
【化7】

【0118】
開始物質として、3−ニトロベンゾイルクロリド(626mg、3.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−1と同じ方法で、目的化合物960mg(3.07mmol、99%)を得た。
【0119】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.87(d,J=8.4Hz,1H)、8.77(s,1H)、8.49(dd,J=2.4,6.0Hz,1H)、8.37(s,1H)、8.24(d,J=7.8Hz,1H)、7.89(t,J=8.1Hz,1H)、7.58(d,J=3.6Hz,1H)
〔実施例5−7:3−シアノ−N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)ベンズアミドの合成〕
【0120】
【化8】

【0121】
開始物質として、3−シアノベンゾイルクロリド(1g、6.1mmol)を使用したことを除いては、実施例5−1と同じ方法で、目的化合物1.5g(5.1mmol、83%)を得た。
【0122】
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ 8.41(s,1H)、8.29(d,J=10.5Hz,1H)、8.18−8.09(m,2H)、7.78(t,J=7.8Hz,1H)、7.65(dd,J=0.9,7.2Hz,1H)
〔実施例5−8:N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)−4−フルオロベンズアミドの合成〕
【0123】
【化9】

【0124】
開始物質として、4−フルオロベンゾイルクロリド(0.04ml、0.33mmol)を使用したことを除いては、実施例5−1と同じ方法で、目的化合物70mg(0.28mmol、94%)を得た。
【0125】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.72(d,J=4.5Hz,1H)、8.24(s,1H)、7.72(d,J=8.0Hz,2H)、7.46(d,J=8.1Hz,2H)、7.28(d,J=8.0z,1H)
〔実施例5−9:4−クロロ−N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)ベンズアミドの合成〕
【0126】
【化10】

【0127】
開始物質として、4−クロロベンゾイルクロリド(0.04ml、0.33mmol)を使用したことを除いては、実施例5−1と同じ方法で、目的化合物90mg(0.29mmol、99%)を得た。
【0128】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.93(d,J=4.7Hz,1H)、8.34(s,1H)、7.89(d,J=8.3Hz,2H)、7.56(d,J=8.3Hz,2H)、7.39(d,J=8.6Hz,1H)
〔実施例5−10:4−ブロモ−N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)ベンズアミドの合成〕
【0129】
【化11】

【0130】
開始物質として、4−ブロモベンゾイルクロリド(739mg、3.37mmol)を使用したことを除いては、実施例5−1と同じ方法で、目的化合物610mg(1.77mmol、56〜95%)を得た。
【0131】
H NMR(300MHz、MeOD)δ 8.27(d,J=8.3Hz,1H)、7.92−7.89(m,2H)、7.76−7.73(m,2H)、7.51(d,J=8.4Hz,1H)
〔実施例5−11:N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)−4−メチルベンズアミドの合成〕
【0132】
【化12】

【0133】
開始物質として、4−メチルベンゾイルクロリド(0.63ml、4.7mmol)を使用したことを除いては、実施例5−1と同じ方法で、目的化合物970mg(3.6mmol、80%)を得た。
【0134】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.97(d,J=8.6Hz,1H)、8.38(s,1H)、7.84(d,J=8.1Hz,2H)、7.38(d,J=8.3Hz,3H)、2.49(s,3H)
〔実施例5−12:N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)−4−メトキシベンズアミドの合成〕
【0135】
【化13】

【0136】
開始物質として、4−メトキシベンゾイルクロリド(0.95ml、6.7mmol)を使用したことを除いては、実施例5−1と同じ方法で、目的化合物1.8g(6.0mmol、98%)を得た。
【0137】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.96(d,J=8.6Hz,1H)、8.33(s,1H)、7.94−7.90(m,2H)、7.38(d,J=8.5Hz,1H)、7.09−7.04(m,2H)、3.94(s,3H)
〔実施例5−13:N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)−4−ニトロベンズアミドの合成〕
【0138】
【化14】

【0139】
開始物質として、4−ニトロベンゾイルクロリド(620mg、6.7mmol)を使用したことを除いては、実施例5−1と同じ方法で、目的化合物1.6g(5.2mmol、84%)を得た。
【0140】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.93(d,J=8.6Hz,1H)、8.45(d,J=8.6Hz,2H)、8.41(s,1H)、8.13(d,J=8.9Hz,2H)、7.43(d,J=8.6Hz,1H)
〔実施例5−14:4−シアノ−N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)ベンズアミドの合成〕
【0141】
【化15】

【0142】
開始物質として、4−シアノベンゾイルクロリド(1.13ml、6.8mmol)を使用したことを除いては、実施例5−1と同じ方法で、目的化合物1.7g(5.9mmol、96%)を得た。
【0143】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.92(d,J=8.6Hz,1H)、8.38(s,1H)、8.05(d,J=8.3Hz,2H)、7.90(d,J=8.2Hz,2H)、7.42(d,J=8.6Hz,1H)
〔実施例5−15:5−クロロ−2−フェニルオキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0144】
【化16】

【0145】
N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)ベンズアミド(58mg、0.22mmol)と炭酸ナトリウム25mgとを、ジメチルホルムアミド2.2mlに入れた後、160℃で24時間還流させた。TLCで反応終結を確認し、常温に冷やした後、減圧濃縮した濃縮液に少量の蒸溜水を入れ、水層を塩化メチレンで抽出した。抽出した有機層を無水MgSOで乾燥させた後、濾過して減圧濃縮した。濃縮液をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で分離し、目的化合物48mg(0.21mmol、95%)を得た。
【0146】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.30(d,J=6.4Hz,2H)、8.05(d,J=8.2Hz,1H)、7.67−7.57(m,3H)、7.43(d,J=8.2Hz,1H)
〔実施例5−16:5−クロロ−2−(2−クロロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0147】
【化17】

【0148】
開始物質として、2−クロロ−N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)ベンズアミド(600mg、2.0mmol)を使用したことを除いては、実施例5−15と同じ方法で、目的化合物400mg(1.5mmol、75%)を得た。
【0149】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.20(d,J=8.6Hz,1H)、7.99(d,J=8.2Hz,1H)、7.65(d,J=8.1Hz,1H)、7.45−7.33(m,3H)
〔実施例5−17:5−クロロ−2−(3−フルオロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0150】
【化18】

【0151】
開始物質として、N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)−3−フルオロベンズアミド(300mg、1.0mmol)を使用したことを除いては、実施例5−15と同じ方法で、目的化合物130mg(0.52mmol、51〜80%)を得た。
【0152】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.07(d,J=8.1Hz,2H)、7.97(d,J=9.1Hz,1H)、7.57(q,J=8.0Hz,1H)、7.44(d,J=8.2Hz,1H)、7.36−7.30(m,1H)
〔実施例5−18:5−クロロ−2−(3−クロロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0153】
【化19】

【0154】
開始物質として、3−クロロ−N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)ベンズアミド(500mg、1.65mmol)を使用したことを除いては、実施例5−15と同じ方法で、目的化合物275mg(1.03mmol、63%)を得た。
【0155】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.29(s,1H)、8.50(dd,J=2.9,4.6Hz,1H)、8.06(d,J=8.2Hz,1H)、7.63−7.51(m,2H)、7.45(d,J=8.2Hz,1H)
〔実施例5−19:5−クロロ−2−m−トリルオキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0156】
【化20】

【0157】
開始物質として、N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)−3−メチルベンズアミド(200mg、0.7mmol)を使用したことを除いては、実施例5−15と同じ方法で、目的化合物130mg(0.53mmol、76%)を得た。
【0158】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.07−7.97(m,3H)、7.46−7.32(m,3H)、2.46(s,3H)
〔実施例5−20:5−クロロ−2−(3−ニトロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0159】
【化21】

【0160】
開始物質として、N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)−3−ニトロベンズアミド(230mg、0.74mmol)を使用したことを除いては、実施例5−15と同じ方法で、目的化合物103mg(0.37mmol、50%)を得た。
【0161】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 9.11(s,1H)、8.56(d,J=5.4Hz,1H)、8.44(d,J=5.1Hz,1H)、8.08(d,J=8.4Hz,1H)、7.78(t,J=8.1Hz,1H)、7.45(d,J=8.4Hz,1H)
〔実施例5−21:3−(5−クロロオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)ベンゾニトリルの合成〕
【0162】
【化22】

【0163】
開始物質として、3−シアノ−N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)ベンズアミド(500mg、1.0mmol)を使用したことを除いては、実施例5−15と同じ方法で、目的化合物165mg(0.65mmol、38%)を得た。
【0164】
H NMR(400MHz、CDCl)δ 8.55(s,1H)、8.47(d,J=5.2Hz,1H)、8.06(d,J=8.2Hz,1H)、7.87(d,J=5.1Hz,1H)、7.70(t,J=7.8Hz,1H)、7.44(d,J=8.2Hz,1H)
〔実施例5−22:5−クロロ−2−(4−フルオロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0165】
【化23】

【0166】
開始物質として、N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)−4−フルオロベンズアミド(400mg、1.37mmol)を使用したことを除いては、実施例5−15と同じ方法で、目的化合物250mg(1.01mmol、73%)を得た。
【0167】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.32−8.26(m,2H)、8.04(d,J=8.2Hz,1H)、7.43(d,J=8.2Hz,1H)、7.32−7.21(m,2H)
〔実施例5−23:5−クロロ−2−(4−クロロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0168】
【化24】

【0169】
開始物質として、4−クロロ−N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)ベンズアミド(500mg、1.65mmol)を使用したことを除いては、実施例5−15と同じ方法で、目的化合物255mg(0.96mmol、60%)を得た。
【0170】
H NMR(400MHz、CDCl)δ 8.51(dd,J=1.8,5.1Hz,2H)、8.01(d,J=8.2Hz,1H)、7.54(dd,J=1.8,5.2Hz,2H)、7.40(d,J=8.2Hz,1H)
〔実施例5−24:2−(4−ブロモフェニル)−5−クロロオキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0171】
【化25】

【0172】
開始物質として、4−ブロモ−N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)ベンズアミド(600mg、1.7mmol)を使用したことを除いては、実施例5−15と同じ方法で、目的化合物300mg(0.97mmol、57%)を得た。
【0173】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.15(d,J=8.6Hz,2H)、8.05(d,J=8.2Hz,1H)、7.74(d,J=8.6Hz,2H)、7.44(d,J=8.2Hz,1H)
〔実施例5−25:5−クロロ−2−p−トリルオキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0174】
【化26】

【0175】
開始物質として、N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)−4−メチルベンズアミド(450mg、1.6mmol)を使用したことを除いては、実施例5−15と同じ方法で、目的化合物346mg(1.4mmol、88%)を得た。
【0176】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.18(d,J=8.3Hz,2H)、8.02(d,J=8.2Hz,1H)、7.42−7.37(m,3H)、2.50(s,4H)
〔実施例5−26:5−クロロ−2−(4−メトキシフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0177】
【化27】

【0178】
開始物質として、N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)−4−メトキシベンズアミド(700mg、2.3mmol)を使用したことを除いては、実施例5−15と同じ方法で、目的化合物434mg(1.6mmol、72%)を得た。
【0179】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.23(dd,J=2.0,4.9Hz,2H)、7.99(d,J=8.2Hz,1H)、7.39(d,J=8.2Hz,1H)、7.09(dd,J=2.0,4.9Hz,2H)、3.95(s,3H)
〔実施例5−27:5−クロロ−2−(4−ニトロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0180】
【化28】

【0181】
開始物質として、N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)−4−ニトロベンズアミド(230mg、0.7mmol)を使用したことを除いては、実施例5−15と同じ方法で、目的化合物103mg(0.4mmol、51%)を得た。
【0182】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.47(s,4H)、8.13(d,J=8.3Hz,1H)、7.50(d,J=8.3Hz,1H)
〔実施例5−28:4−(5−クロロオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)ベンゾニトリルの合成〕
【0183】
【化29】

【0184】
開始物質として、4−シアノ−N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)ベンズアミド(500mg、1.7mmol)を使用したことを除いては、実施例5−15と同じ方法で、目的化合物197mg(0.8mmol、45%)を得た。
【0185】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.41(d,J=8.3Hz,2H)、8.11(d,J=8.3Hz,1H)、7.90(d,J=8.3Hz,2H)、7.49(d,J=8.3Hz,1H)
〔実施例5−29:5−クロロ−2−フェニルチアゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0186】
【化30】

【0187】
N−(2,6−ジクロロピリジン−3−イル)ベンズアミド(50mg、0.2mmol)とローソン試薬(Lawesson’s reagent)(117mg、0.3mmol)とを3mlのトルエンに入れた後、110℃で5時間還流させた。TLCで反応の進行を確認して冷やした後、減圧蒸留した濃縮液に、KCO(80mg、0.6mmol)とジメチルホルムアミド3mlとを入れ、160℃で3時間還流させた。その後、TLCで反応終結を確認し、常温に冷やした後、少量の蒸溜水を入れ、水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を無水MgSOで乾燥させた後、濾過して減圧濃縮した濃縮液をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で分離し、目的化合物22mg(0.1mmol、50〜70%)を得た。
【0188】
H NMR(400MHz、CDCl)δ 8.22(d,J=8.5Hz,1H)、8.09−8.07(m,2H)、7.55−7.50(m,3H)、7.45(d,J=8.5Hz,1H)
〔実施例5−30:2−フェニル−5−(ピロリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0189】
【化31】

【0190】
5−クロロ−2−フェニルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン(200mg、0.9mmol)と10当量のピロリジンとをジメチルホルムアミド1mlに入れた後、135℃で4時間還流させた。TLCで反応終結を確認し、常温に冷やした後、減圧蒸留してピロリジンを除去した。濃縮液に飽和NaHCO溶液を入れ、水層を塩化メチレンで抽出し、有機層を無水NaSOで乾燥させた後、濾過して減圧濃縮した。濃縮液をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で分離し、目的化合物33mg(0.1mmol、15%)を得た。
【0191】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.23−8.20(m,2H)、7.82(d,J=8.7Hz,1H)、7.53−7.49(m,3H)、6.40(d,J=8.7Hz,1H)、3.56(t,J=6.7Hz,4H)、2.10−2.06(m,4H)
〔実施例5−31:2−フェニル−5−(ピロリジン−1−イル)チアゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0192】
【化32】

【0193】
開始物質として、5−クロロ−2−フェニルチアゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物74mg(0.3mmol、65%)を得た。
【0194】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.03(d,J=8.9Hz,3H)、7.50−7.45(m,3H)、6.54(d,J=9.0Hz,1H)、3.58(t,J=6.7Hz,4H)、2.10−2.05(m,4H)
〔実施例5−32:2−(2−クロロフェニル)−5−(ピロリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0195】
【化33】

【0196】
開始物質として、5−クロロ−2−(2−クロロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物38mg(0.13mmol、32%)を得た。
【0197】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.21−8.16(m,1H)、7.91(d,J=8.7Hz,1H)、7.60−7.54(m,1H)、7.44−7.38(m,2H)、6.43(d,J=8.8Hz,1H)、3.58(s,4H)、2.08(s,4H)
〔実施例5−33:2−(3−クロロフェニル)−5−(ピロリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0198】
【化34】

【0199】
開始物質として、5−クロロ−2−(3−クロロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物30mg(0.1mmol、26%)を得た。
【0200】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.22(s,1H)、8.09−8.06(m,1H)、7.82(d,J=8.7Hz,1H)、7.46−7.44(m,2H)、6.42(d,J=8.7Hz,1H)、3.57(t,J=6.6Hz,4H)、2.11−2.07(m,4H)
〔実施例5−34:2−(4−フルオロフェニル)−5−(ピロリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0201】
【化35】

【0202】
開始物質として、5−クロロ−2−(4−フルオロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物25mg(0.1mmol、22%)を得た。
【0203】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.11(d,J=8.9Hz,2H)、7.90(d,J=8.1Hz,1H)、7.34−7.32(m,1H)、6.67(d,J=8.9Hz,2H)、3.44(t,J=6.6Hz,4H)、2.12−2.09(m,4H)
〔実施例5−35:2−(4−クロロフェニル)−5−(ピロリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0204】
【化36】

【0205】
開始物質として、5−クロロ−2−(4−クロロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物40mg(0.13mmol、34%)を得た。
【0206】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.16−8.12(m,2H)、7.84−7.80(m,1H)、7.51−7.47(m,2H)、7.30(s,1H)、6.44(m,1H)、3.57(d,J=4.4Hz,4H)、2.09(d,J=4.7Hz,4H)
〔実施例5−36:2−(4−ブロモフェニル)−5−(ピロリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0207】
【化37】

【0208】
開始物質として、2−(4−ブロモフェニル)−5−クロロオキサゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物20mg(0.06mmol、15%)を得た。
【0209】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.06(d,J=8.6Hz,2H)、7.81(d,J=8.7Hz,1H)、7.64(d,J=8.6Hz,2H)、6.40(d,J=8.7Hz,1H)、3.56(t,J=6.5Hz,4H)、2.11−2.06(m,4H)
〔実施例5−37:2−フェニル−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0210】
【化38】

【0211】
開始物質として、5−クロロ−2−フェニルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)と10当量のピペリジンとを使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物28mg(0.1mmol、26%)を得た。
【0212】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.22−8.16(m,2H)、7.80(d,J=8.7Hz,1H)、7.83−7.47(m,3H)、6.70(d,J=8.7Hz,1H)、3.63(s,4H)、1.68(s,6H)
〔実施例5−38:2−フェニル−5−(ピペリジン−1−イル)チアゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0213】
【化39】

【0214】
開始物質として、5−クロロ−2−フェニルチアゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物83mg(0.3mmol、73%)を得た。
【0215】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.04(d,J=9.2Hz,3H)、7.51−7.48(m,3H)、6.84(d,J=9.2Hz,1H)、3.67(s,4H)、1.71(s,6H)
〔実施例5−39:2−(2−クロロフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0216】
【化40】

【0217】
開始物質として、5−クロロ−2−(2−クロロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物21mg(0.06mmol、18%)を得た。
【0218】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.19−8.16(m,1H)、7.91(d,J=8.9Hz,1H)、7.59−7.56(m,1H)、7.44−7.41(m,2H)、6.73(d,J=8.9Hz,1H)、3.67(s,4H)、1.72(s,6H)
〔実施例5−40:2−(3−フルオロフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0219】
【化41】

【0220】
開始物質として、5−クロロ−2−(3−フルオロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物23mg(0.1mmol、19%)を得た。
【0221】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.00(d,J=7.8Hz,1H)、7.90(d,J=8.0Hz,1H)、7.84(d,J=8.9Hz,1H)、7.53−7.18(m,1H0)、7.21(t,J=5.9Hz,1H)、6.73(d,J=8.9Hz,1H)、3.67(s,4H)、1.72(s,6H)
〔実施例5−41:2−(3−クロロフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0222】
【化42】

【0223】
開始物質として、5−クロロ−2−(3−クロロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物67mg(0.2mmol、56%)を得た。
【0224】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.22(s,1H)、8.09(d,J=6.5Hz,1H)、7.84(d,J=8.8Hz,1H)、7.47(s,2H)、6.72(d,J=8.9Hz,1H)、3.67(s,4H)、1.72(s,6H)
〔実施例5−42:5−(ピペリジン−1−イル)−2−m−トリルオキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0225】
【化43】

【0226】
開始物質として、5−クロロ−2−m−トリルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物61mg(0.2mmol、52%)を得た。
【0227】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.07(s,1H)、8.02(d,J=7.7Hz,1H)、7.41(t,J=7.6Hz,1H)、7.32(d,J=7.6Hz,1H)、3.66(s,4H)、2.47(s,3H)、1.72(s,6H)
〔実施例5−43:2−(3−ニトロフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0228】
【化44】

【0229】
開始物質として、5−クロロ−2−(3−ニトロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物39mg(0.12mmol、30%)を得た。
【0230】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 9.06(s,1H)、8.51(d,J=7.8Hz,1H)、8.35(d,J=5.0Hz,1H)、7.87(d,J=8.9Hz,1H)、7.71(t,J=8.0Hz,1H)、6.75(d,J=8.9Hz,1H)、3.70(s,4H)、1.73(s,6H)
〔実施例5−44:3−(5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)ベンゾニトリルの合成〕
【0231】
【化45】

【0232】
開始物質として、3−(5−クロロオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)ベンゾニトリル(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物26mg(0.09mmol、22%)を得た。
【0233】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.50(s,1H)、8.42(d,J=5.3Hz,1H)、7.85(d,J=8.9Hz,1H)、7.78(d,J=3.56Hz,1H)、7.65(t,J=7.9Hz,1H)、6.75(d,J=8.9Hz,1H)、3.71(s,4H)、1.73(s,6H)
〔実施例5−45:2−(4−フルオロフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0234】
【化46】

【0235】
開始物質として、5−クロロ−2−(4−フルオロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物20mg(0.1mmol、11%)を得た。
【0236】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.11(d,J=9.1Hz,2H)、7.92(d,J=8.2Hz,1H)、7.33(t,J=8.1Hz,1H)、7.36(d,J=9.1Hz,2H)、3.43(s,4H)、1.72(s,6H)
〔実施例5−46:2−(4−クロロフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0237】
【化47】

【0238】
開始物質として、5−クロロ−2−(4−クロロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(150mg、0.6mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物30mg(0.1mmol、17%)を得た。
【0239】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.14(d,J=8.7Hz,2H)、7.83(d,J=8.9Hz,1H)、7.50(d,J=8.7Hz,2H)、6.72(d,J=8.9Hz,1H)、3.67(s,4H)、1.72(s,6H)
〔実施例5−47:2−(4−ブロモフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0240】
【化48】

【0241】
開始物質として、2−(4−ブロモフェニル)−5−クロロオキサゾロ[5,4−b]ピリジン(150mg、0.5mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物40mg(0.1mmol、23%)を得た。
【0242】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.11(d,J=9.1Hz,2H)、7.92(d,J=8.2Hz,1H)、7.33(t,J=8.1Hz,1H)、7.35(d,J=9.1Hz,2H)、3.43(s,4H)、1.72(s,6H)
〔実施例5−48:5−(ピペリジン−1−イル)−2−p−トリルオキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0243】
【化49】

【0244】
開始物質として、5−クロロ−2−p−トリルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物30mg(0.1mmol、25%)を得た。
【0245】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.11(d,J=8.2Hz,2H)、7.83(d,J=8.8Hz,1H)、7.34(d,J=8.0Hz,2H)、6.70(d,J=8.8Hz,1H)、3.66(s,4H)、2.46(s,3H)、1.72(s,6H)
〔実施例5−49:2−(4−メトキシフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0246】
【化50】

【0247】
開始物質として、5−クロロ−2−(4−メトキシフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物20mg(0.06mmol、17%)を得た。
【0248】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.15(d,J=9.0Hz,2H)、7.80(d,J=8.8Hz,1H)、7.04(dd,J=2.8,6.9Hz,2H)、6.69(d,J=8.8Hz,1H)、3.91(s,3H)、3.64(s,4H)、1.71(s,6H)
〔実施例5−50:4−(5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)ベンゾニトリルの合成〕
【0249】
【化51】

【0250】
開始物質として、4−(5−クロロオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)ベンゾニトリル(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物18mg(0.06mmol、15%)を得た。
【0251】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.30(d,J=8.5Hz,2H)、7.83(q,J=8.9Hz,3H)、6.75(d,J=8.9Hz,1H)、3.70(s,4H)、1.73(s,6H)
〔実施例5−51:2−(3−クロロフェニル)−N−シクロペンチルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0252】
【化52】

【0253】
開始物質として、5−クロロ−2−(3−クロロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)と10当量のシクロペンチルアミンとを使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物18mg(0.06mmol、15%)を得た。
【0254】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.21(s,1H)、8.10−8.06(m,1H)、7.80(d,J=8.6Hz,1H)、7.50−7.45(m,2H)、6.44(d,J=8.6Hz,1H)、4.75(d,J=6.2Hz,1H)、4.25−4.19(m,1H)、2.21−2.11(m,2H)、1.83−1.68(m,4H)、1.58−1.50(m,2H)
〔実施例5−52:N−シクロヘキシル−2−フェニルチアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0255】
【化53】

【0256】
開始物質として、5−クロロ−2−フェニルチアゾロ[5,4−b]ピリジン(99mg、0.4mmol)と10当量のシクロペンチルアミンとを使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物10mg(0.03mmol、9%)を得た。
【0257】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.03−7.99(m,3H)、7.48(s,3H)、6.53(d,J=8.9Hz,1H)、4.68(d,J=6.4Hz,1H)、3.75(t,J=3.4Hz,1H)、2.13(d,J=12.1Hz,2H)、1.84−1.80(m,2H)、1.73−1.69(m,1H)、1.54−1.42(m,2H)、1.33−1.22(m,3H)
〔実施例5−53:2−(3−クロロフェニル)−N−シクロヘキシルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0258】
【化54】

【0259】
開始物質として、5−クロロ−2−(3−クロロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物24mg(0.07mmol、19%)を得た。
【0260】
H NMR(300MHz、MeOD)δ 8.07(s,1H)、8.03−8.00(m,1H0)、7.68(d,J=8.7Hz,1H)、7.54−7.51(m,2H)、6.53(d,J=8.7Hz,1H)、3.79−3.75(m,1H)、2.06(d,J=9.7Hz,2H)、1.82(d,J=6.2Hz,2H)、1.70(d,J=3.6Hz,1H)、1.54−1.40(m,2H)、1.33−1.25(m,3H)
〔実施例5−54:5−(アゼパン−1−イル)−2−フェニルオキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0261】
【化55】

【0262】
開始物質として、5−クロロ−2−フェニルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン(97mg、0.4mmol)と10当量のヘキサメチレンイミンとを使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物70mg(0.2mmol、57%)を得た。
【0263】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.24−8.20(m,2H)、7.82(d,J=8.8Hzm1H)、7.54−7.50(m,3H)、6.54(d,J=8.9Hz,1H)、3.74(t,J=5.9Hz,4H)、1.88(s,4H)、1.63−1.59(m,4H)
〔実施例5−55:5−(アゼパン−1−イル)−2−フェニルチアゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0264】
【化56】

【0265】
開始物質として、5−クロロ−2−フェニルチアゾロ[5,4−b]ピリジン(85mg、0.35mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物51mg(0.2mmol、47%)を得た。
【0266】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.05−8.00(m,3H)、7.50−7.48(m,3H)、6.68(d,J=9.2Hz,1H)、3.75(t,J=5.9Hz,4H)、1.87(s,4H)、1.63−1.59(m,4H)
〔実施例5−56:5−(アゼパン−1−イル)−2−(4−フルオロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの合成〕
【0267】
【化57】

【0268】
開始物質として、5−クロロ−2−(4−フルオロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物29mg(0.1mmol、23%)を得た。
【0269】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.23−8.18(m,2H)、7.80(d,J=8.8Hz,1H)、7.20(t,J=8.7Hz,2H)、6.54(d,J=8.9Hz、1H0、3.73(t,J=5.9Hz,4H)、1.88(s,4H)、1.63−1.60(m,4H)
〔実施例5−57:N−ベンジル−2−フェニルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0270】
【化58】

【0271】
開始物質として、5−クロロ−2−フェニルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン(97mg、0.4mmol)と10当量のベンジルアミンとを使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物30mg(0.1mmol、25%)を得た。
【0272】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.24−8.21(m,2H)、7.82(d,J=8.6Hz,1H)、7.55−7.51(m,3H)、7.46−7.31(m,5H)、6.46(d,J=8.6Hz,1H)、5.04(s,1H)、4.67(d,J=5.7Hz,2H)
〔実施例5−58:N−ベンジル−2−フェニルチアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0273】
【化59】

【0274】
開始物質として、5−クロロ−2−フェニルチアゾロ[5,4−b]ピリジン(60mg、0.24mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物49mg(0.2mmol、65%)を得た。
【0275】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.06−8.00(m,3H)、7.54−7.31(m,8H)、6.57(d,J=8.9Hz,1H)、5.10(s,1H)、4.67(d,J=5.7Hz,2H)
〔実施例5−59:N−ベンジル−2−(3−フルオロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0276】
【化60】

【0277】
開始物質として、5−クロロ−2−(3−フルオロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(70mg、0.3mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物30mg(0.1mmol、35%)を得た。
【0278】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.00(d,J=7.8Hz,1H)、7.93−7.88(m,1H)、7.82(d,J=8.6Hz,1H)、7.54−7.32(m,6H)、7.26−7.19(m,1H)、6.48(d,J=8.6Hz,1H)、5.07(s,1H)、4.67(d,J=5.8Hz,2H)
〔実施例5−60:N−ベンジル−2−(3−クロロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0279】
【化61】

【0280】
開始物質として、5−クロロ−2−(3−クロロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(70mg、0.3mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物20mg(0.1mmol、23%)を得た。
【0281】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.22(s,1H)、8.10−8.08(m,1H)、7.81(d,J=8.6Hz,1H)、7.51−7.34(m,7H)、6.48(d,J=8.6Hz,1H)、5.08(s,1H)、4.67(d,J=5.6Hz,2H)
〔実施例5−61:N−ベンジル−2−(4−クロロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0282】
【化62】

【0283】
開始物質として、5−クロロ−2−(4−クロロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(70mg、0.3mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物29mg(0.09mmol、32%)を得た。
【0284】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.15(d,J=8.8Hz,2H)、7.81(d,J=8.6Hz,1H)、7.51(d,J=8.8Hz,2H)、7.46−7.30(m,5H)、6.47(d,J=8.6Hz,1H)、5.06(s,1H0、4.67(d,J=5.7Hz,2H)
〔実施例5−62:N−(2−モルホリノエチル)−2−フェニルチアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0285】
【化63】

【0286】
開始物質として、5−クロロ−2−フェニルチアゾロ[5,4−b]ピリジン(50mg、0.2mmol)と2−モルホリノエタンアミン3当量とを使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物31mg(0.1mmol、50%)を得た。
【0287】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.05−8.00(m,3H)、7.54−7.47(m,3H)、6.59(d,J=8.9Hz,1H)、5.38(s,1H)、3.78(t,J=4.6Hz,4H)、3.52(q,J=5.1Hz,2H)、2.69(t,J=6.0Hz,2H)、2.55(t,J=4.4Hz,4H)
〔実施例5−63:N−ベンジル−N−メチル−2−フェニルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0288】
【化64】

【0289】
開始物質として、5−クロロ−2−フェニルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン(200mg、0.9mmol)と5当量のN−ベンジルメチルアミンとを使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物218mg(0.7mmol、80%)を得た。
【0290】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.25−8.21(m,2H)、7.85(d,J=8.8Hz,1H)、7.54−7.50(m,3H)、7.39−7.27(m,5H)、6.58(d,J=8.8Hz,1H)、4.91(s,2H)、3.21(s,3H)
〔実施例5−64:N−ベンジル−N−メチル−2−フェニルチアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0291】
【化65】

【0292】
開始物質として、5−クロロ−2−フェニルチアゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物100mg(0.3mmol、72%)を得た。
【0293】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.05(d,J=9.1Hz,3H)、7.54−7.47(m,3H)、7.40−7.29(m,5H)、6.71(d,J=9.1Hz,1H)、4.93(s,2H)、3.21(s,3H)
〔実施例5−65:N−ベンジル−2−(2−クロロフェニル)−N−メチルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0294】
【化66】

【0295】
開始物質として、5−クロロ−2−(2−クロロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(80mg、0.3mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物70mg(0.2mmol、67%)を得た。
【0296】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.19−8.16(m,1H)、7.92(d,J=8.8Hz,1H)、7.60−7.57(m,1H)、7.46−7.28(m,7H)、6.60(d,J=8.9Hz,1H)、4.92(s,2H)、3.22(s,3H)
〔実施例5−66:N−ベンジル−2−(3−フルオロフェニル)−N−メチルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0297】
【化67】

【0298】
開始物質として、5−クロロ−2−(3−フルオロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(90mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物118mg(0.4mmol、98%)を得た。
【0299】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.01(d,J=7.8Hz,1H)、7.93(d,J=5.6Hz,1H)、7.85(d,J=8.8Hz,1H)、7.53−7.46(m,1H)、7.40−7.28(m,5H)、7.24−7.18(m,1H)、6.59(d,J=8.8Hz,1H)、4.91(s,2H)、3.21(s,3H)
〔実施例5−67:N−ベンジル−2−(3−クロロフェニル)−N−メチルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0300】
【化68】

【0301】
開始物質として、5−クロロ−2−(3−クロロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(80mg、0.3mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物57mg(0.2mmol、65%)を得た。
【0302】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.24−8.22(m,1H)、8.11−8.08(m,1H)、7.85(d,J=8.8Hz,1H)、7.48−7.46(m,2H)、7.40−7.35(m,2H)、7.35−7.28(m,4H)、6.59(d,J=8.9Hz,1H)、4.91(s,2H)、3.22(s,3H)
〔実施例5−68:N−ベンジル−2−(4−クロロフェニル)−N−メチルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0303】
【化69】

【0304】
開始物質として、5−クロロ−2−(4−クロロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(100mg、0.4mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物121mg(0.3mmol、92%)を得た。
【0305】
1H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.15(d,J=8.6Hz,2H)、7.83(d,J=8.8Hz,1H)、7.50(d,J=8.6Hz,2H)、7.40−7.28(m,5H)、6.58(d,J=8.8Hz,1H)、4.90(s,2H)、3.21(s,3H)
〔実施例5−69:N−ベンジル−N−メチル−2−p−トリルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0306】
【化70】

【0307】
開始物質として、5−クロロ−2−p−トリルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン(172mg、0.7mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物130mg(0.4mmol、60%)を得た。
【0308】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.12(d,J=8.2Hz,2H)、7.83(d,J=8.7Hz,1H)、7.39−7.28(m,7H)、6.56(d,J=8.8Hz,1H)、4.90(s,2H)、3.21(s,3H)、2.46(s,3H)
〔実施例5−70:N−ベンジル−2−(4−メトキシフェニル)−N−メチルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0309】
【化71】

【0310】
開始物質として、5−クロロ−2−(4−メトキシフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(88mg、0.3mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物67mg(0.2mmol、57%)を得た。
【0311】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.17(d,J=9.0Hz,2H0)、7.81(d,J=8.7Hz,1H)、7.37−7.28(m,5H)、7.04(d,J=6.9Hz,2H)、6.55(d,J=8.8Hz,1H)、4.90(s,2H)、3.92(s,3H)、3.20(s,3H)
〔実施例5−71:N−ベンジル−N−メチル−2−(4−ニトロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0312】
【化72】

【0313】
開始物質として、5−クロロ−2−(4−ニトロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(45mg、0.2mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物65mg(0.2mmol、99%)を得た。
【0314】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.36(s,4H)、7.88(d,J=8.9Hz,1H)、7.40−7.26(m,5H)、6.63(d,J=8.9Hz,1H)、4.92(s,2H)、3.24(s,3H)
〔実施例5−72:4−(5−(ベンジル(メチル)アミノ)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)ベンゾニトリルの合成〕
【0315】
【化73】

【0316】
開始物質として、4−(5−クロロオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)ベンゾニトリル(63mg、0.3mmol)を使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物61mg(0.2mmol、71%)を得た。
【0317】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.30(d,J=8.4Hz、2H0)、7.88−7.28(m,3H)、7.40−7.28(m,5H)、6.62(d,J=8.9Hz,1H)、4.92(s,2H)、3.23(s,3H)
〔実施例5−73:N−メチル−2−フェニルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0318】
【化74】

【0319】
N−ベンジル−N−メチル−2−フェニルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミン(50mg、0.16mmol)と95% HSO0.25mlとを入れ、12時間撹拌した。TLCで反応終結を確認し、常温に冷やした後、1.25ml HOを滴加した。15% NaOHを使用し、pH4に滴定した。このとき、生成される固体を濾過させた後、濾液をさらにpH10に合わせた後、水層を塩化メチレンで抽出して減圧蒸留し、目的化合物25mg(0.1mmol、69%)を得た。
【0320】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.24−8.20(m,2H0)、7.83(d,J=8.6Hz,1H)、7.55−7.51(m,3H)、6.46(d,J=8.6Hz、1H0)、4.75(s,1H)、3.07(d,J=5.1Hz,3H)
〔実施例5−74:N−メチル−2−フェニルチアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0321】
【化75】

【0322】
開始物質として、N−ベンジル−N−メチル−2−フェニルチアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミン(70mg、0.2mmol)を使用したことを除いては、実施例5−73と同じ方法で、目的化合物47mg(0.2mmol、92%)を得た。
【0323】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.05−8.01(m,3H)、7.52−7.48(m,3H)、6.56(d,J=8.9Hz,1H)、4.87(s,1H)、3.06(d,J=5.1Hz,3H)
〔実施例5−75:2−(3−フルオロフェニル)−N−メチルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0324】
【化76】

【0325】
開始物質として、N−ベンジル−2−(3−フルオロフェニル)−N−メチルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミン(70mg、0.2mmol)を使用したことを除いては、実施例5−73と同じ方法で、目的化合物31mg(0.1mmol、58%)を得た。
【0326】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.00(d,J=5.4Hz,1H)、7.90(d,J=5.6Hz,1H)、7.83(d,J=8.6Hz,1H)、7.54−7.47(m,1H)、7.25−7.18(m,1H)、6.47(d,J=8.6Hz,1H)、4.79(s,1H)、3.07(d,J=5.1Hz,3H)
〔実施例5−76:2−(3−クロロフェニル)−N−メチルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0327】
【化77】

【0328】
開始物質として、N−ベンジル−2−(3−クロロフェニル)−N−メチルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミン(57mg、0.2mmol)を使用したことを除いては、実施例5−73と同じ方法で、目的化合物30mg(0.1mmol、72%)を得た。
【0329】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.22(s,1H)、8.10−8.07(m,1H)、7.82(d,J=8.6Hz,1H)、7.50−7.43(m,2H)、6.47(d,J=8.6Hz,1H)、4.79(s,1H)、3.08(d,J=5.1Hz,3H)
〔実施例5−77:2−(4−クロロフェニル)−N−メチルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0330】
【化78】

【0331】
開始物質として、N−ベンジル−2−(4−クロロフェニル)−N−メチルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミン(70mg、0.2mmol)を使用したことを除いては、実施例5−73と同じ方法で、目的化合物43mg(0.2mmol、83%)を得た。
【0332】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.13(d,J=8.6Hz,2H)、7.80(d,J=8.6Hz,1H)、7.50(d,J=8.6Hz,2H)、6.45(d,J=8.6Hz,1H)、4.78(s,1H)、3.06(d,J=5.1Hz,3H)
〔実施例5−78:N−メチル−2−p−トリルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0333】
【化79】

【0334】
開始物質として、N−ベンジル−N−メチル−2−p−トリルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミン(40mg、0.12mmol)を使用したことを除いては、実施例5−73と同じ方法で、目的化合物21mg(0.09mmol、75%)を得た。
【0335】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.09(d,J=7.6Hz,2H)、7.79(d,J=8.5Hz,1H)、7.32(d,J=7.8Hz,2H)、6.42(d,J=8.4Hz,1H)、3.04(s,3H)、2.44(s,3H)
〔実施例5−79:2−(4−メトキシフェニル)−N−メチルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0336】
【化80】

【0337】
開始物質として、N−ベンジル−2−(4−メトキシフェニル)−N−メチルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミン(40mg、0.12mmol)を使用したことを除いては、実施例5−73と同じ方法で、目的化合物18mg(0.07mmol、60%)を得た。
【0338】
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.14(d,J=9.0Hz,2H)、7.77(d,J=8.5Hz,1H)、7.03(d,J=9.0Hz,2H)、6.42(d,J=8.6Hz,1H)、3.90(s,3H)、3.04(d,J=5.1Hz,3H)
1HNMR(300MHz、CDCl3)δ8。14(d、J=9。0Hz、2H)、7。77(d、J=8。5Hz、1H)、7。03(d、J=9。0Hz、2H)、6。42(d、J=8。6Hz、1H)、3。90(s、3H)、3。04(d、J=5。1Hz、3H)
〔実施例5−80:N−シクロヘキシル−2−フェニルオキサゾロ[5,6−b]ピリジン−5−アミンの合成〕
【0339】
【化81】

【0340】
開始物質として、5−クロロ−2−フェニルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン(50mg、0.2mmol)と10当量のシクロペンチルアミンとを使用したことを除いては、実施例5−30と同じ方法で、目的化合物20mg(0.07mmol、34%)を得た。
【0341】
HNMR(300MHz、MeOD)δ 8.12−8.11(m,2H)、7.70(d,J=8.7Hz、1H)、7.57−7.53(m,3H)、6.54(d,J=8.7Hz、1H)、3.79(s,1H)、2.08(d,J=12.2Hz、2H)、1.83(dd,J=3.9、5.7Hz、2H)、1.71(d,J=13.2Hz、1H)、1.52−1.42(m,2H)、1.30(t,J=12.0Hz、3H)
〔実施例6:MAO−Bの活性を阻害させる物質のスクリーニング〕
前記実施例5で製作した化合物を対象に、前記化合物がMAO−Bの活性を阻害するか否かを実験した。
【0342】
本実験は、Aldrichから購買したヒトMAO−B酵素と、Amplex(登録商標) Red monoamine oxidase assay kitを利用し、スタックK溶液準備は、マニュアルに従った。前記キット中には、5X reaction buffer、 Amplex(登録商標) red reagent(1mg)、HRP(horseradish peroxidase)、DMSO、H、p−チラミン(MAO−A、Bの基質)、ベンジルアミン(MAO−Bの基質)、クロルジリン(MAO−Aの阻害剤)、パルギリン(MAO−Bの阻害剤)が入っている。その中で本実験では、MAO−B基質としてベンジルアミンを使用し、MAO−Bの阻害剤としては、パルギリンを使用した。全体基質として作用する溶液の準備過程は、次の通り行った。
【0343】
Amplex(登録商標) red 1mgにDMSO 200μlを入れて十分に溶かした200μl、HRPと1mlの1X bufferとを混ぜた100μl、ベンジルアミンを1.2mlのdHOに溶かした200μlを、9.5mlの1X bufferに入れて総10mlを製造した。この量は、100個のウェルに使用することができる。MAO−B阻害剤であるパルギリンに1mlのdH2Oを混ぜ、各ウェル当たり0.5μlを入れた。合成した化合物の濃度は、10μMを基準にMAO−Bの活性を確認した。
【0344】
まず、準備した96ウェルに、基準になるpositive、negativeそしてwild typeを準備した。Positive typeの場合、基質及び過酸化水素だけを入れ、negative typeの場合には、基質のみを入れた。最後に、wild typeは、合成した化合物を入れずに、酵素、基質そしてMAO−Bの阻害剤を入れた。その後、1mM濃度の合成した化合物を2μlずつ分けて入れ、最初の列(レーン)には、ヒトMAO−B酵素だけを入れた。このとき、ヒトMAO−B酵素は、各ウェル当たり0.5μgずつ1X buffer 100μlと共に入れた。2列目には、ヒトMAO−B酵素にパルギリン阻害製剤を0.5μlずつ共に入れた。実験の誤差を減らして正確性を高めるために、1化合物当たり3回ずつ実験を反復した。30分後、暗室で、基質として作用する溶液を100μlずつ入れた。Amplex(登録商標) reagentが光に敏感であるために、暗室で実験を行った。結局、各ウェル当たり、200μlの量にした。2〜3時間後、発色の程度を測定すれば、最初の列と2列目とのデータ値の違いが、純粋にMAO−B酵素とその基質との反応による活性であり、合成した化合物を追加した場合は、化合物により、MAO−Bが阻害されて残った活性(remaining activity)の値を求めることになる。かような方法を介して、MAO−B酵素以外の他の酵素の活性を除外することができるのである。実験した化合物の濃度が10μMであるとき、活性値が良好であるものを集め、0.001μM、0.01μM、0.1μM、1μM、10μMの濃度別に活性実験を介して、濃度に依存するIC50値を求めるとができる。
【0345】
前記化合物のMAO−B活性に係わる阻害効果を測定した結果を、下記表1に記載した。
【0346】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0347】
本発明の退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物及びそのスクリーニング方法は、例えば、退行性脳疾患の予防関連または治療関連の技術分野に効果的に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階を含む退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質のスクリーニング方法:
(a)反応性星状細胞に、分析しようとする試料を接触させる段階と、
(b)前記分析しようとする試料が、前記反応性星状細胞内のGABA濃度を低下させるか否かを測定する段階と、であり、
前記分析しようとする試料が、前記反応性星状細胞内のGABA濃度を低下させると測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質であると判断する。
【請求項2】
次の段階を含む退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質のスクリーニング方法:
(a)反応性星状細胞に、分析しようとする試料を接触させる段階と、
(b)前記反応性星状細胞内のMAO−Bをコーディングする遺伝子の発現量、MAO−B蛋白質の量、またはMAO−B蛋白質の活性を測定する段階と、であり、前記MAO−Bをコーディングする遺伝子の発現量、MAO−B蛋白質の量、またはMAO−B蛋白質の活性が低減−調節(down−regulation)されると測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質であると判断する。
【請求項3】
次の段階を含む退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質のスクリーニング方法:
(a)反応性星状細胞に、分析しようとする試料を接触させる段階と、
(b)前記反応性星状細胞で、ベストロフィン1チャネルの細胞内分布様相を測定する段階と、であり、
前記ベストロフィン1チャネルの細胞内分布様相が、細胞体並びに主突起からマイクロドメイン方向に変化したと測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質であると判断する。
【請求項4】
次の段階を含む退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質のスクリーニング方法:
(a)反応性星状細胞に分析しようとする試料を接触させる段階と、
(b)前記反応性星状細胞内のベストロフィン1をコーディングする遺伝子の発現量、ベストロフィン1蛋白質の量またはベストロフィン1蛋白質の活性を測定する段階と、であり、
前記ベストロフィン1をコーディングする遺伝子の発現量、ベストロフィン1蛋白質の量またはベストロフィン1蛋白質の活性が低減調節(down-regulation)されると測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質であると判断する。
【請求項5】
次の段階を含む退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質のスクリーニング方法:
(a)反応性星状細胞に、分析しようとする試料を接触させる段階と、
(b)前記反応性星状細胞内のGABAトランスアミナーゼをコーディングする遺伝子の発現量、GABAトランスアミナーゼ蛋白質の量、またはGABAトランスアミナーゼ蛋白質の活性を測定する段階と、であり、
前記GABAトランスアミナーゼ遺伝子の発現量、GABAトランスアミナーゼ蛋白質の量、またはGABAトランスアミナーゼ蛋白質の活性が増大−調節されると測定される場合には、前記試料を退行性脳疾患の予防用または治療用の候補物質であると判断する。
【請求項6】
前記反応性星状細胞は、脳損傷動物モデルの脳組織、ウイルス感染動物の脳組織、パーキンソン病動物モデル、またはアルツハイマー疾患を有する動物モデルの脳組織から由来したことを特徴とする請求項1ないし請求項5のうち、いずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記脳組織は、海馬、線条体、黒質緻密部及び視床核からなる群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記退行性脳疾患は、アルツハイマー病、軽度認知障害、脳卒中及び血管性痴呆、前頭側頭葉痴呆、レビー小体痴呆、クロイツフェルト・ヤコブ病、外傷性頭部損傷、梅毒、後天性免疫欠乏症候群及びその他ウイルス感染、脳膿瘍、脳腫瘍、多発性硬化症、代謝性疾患による痴呆、低酸素症、パーキンソン病、ルー・ゲーリック病、ハンチントン病、ピック病、筋萎縮性側索硬化症、癲癇、虚血、中風、注意欠陥・多動性障害、精神分裂症、憂鬱症、躁鬱症、外傷後ストレス障害、脊髄損傷及び脊髄炎から選択されることを特徴とする請求項1ないし請求項5のうち、いずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
反応性星状細胞内で、GABA濃度を低下させる物質を有効成分として含む退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物。
【請求項10】
反応性星状細胞内で、MAO−Bをコーディングする遺伝子の発現を抑制したり、あるいはMAO−B蛋白質の活性を低減させる物質を有効成分として含む退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物。
【請求項11】
前記MAO−B蛋白質の活性を低減させる物質は、下記化学式Iで表示される化合物、その薬学的に許容可能な塩、異性体、溶媒和物、水和物及びそれらの組み合わせからなる群から選択される化合物であることを特徴とする請求項10に記載の薬学的組成物:
【化1】

前記化学式Iで、前記R及びRはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、置換または非置換のC−C12アルキル、置換または非置換のC−C12アルケニル、置換または非置換のC−C12アルキニル、置換または非置換のC−C15シクロアルキル、置換または非置換の核原子数3ないし40のヘテロシクロアルキル、(置換または非置換のC−C20アリール)C−C12アルキル、置換または非置換のC−C12アルコキシ、置換または非置換のC−C20アリールアミン、置換または非置換のC−C30ジアリールアミン、置換または非置換のC−C20アリールオキシ、置換または非置換のC−C20アリール、あるいは置換または非置換の核原子数5ないし20のヘテロアリール基であり、前記Xは、−O−、−S−または−N(H)−である。
【請求項12】
前記MAO−B蛋白質の活性を低減させる物質は、下記化学式Iで表示される化合物、その薬学的に許容可能な塩、異性体、溶媒和物、水和物及びそれらの組み合わせからなる群から選択される化合物であることを特徴とする請求項10に記載の薬学的組成物:
【化2】

前記化学式Iで、前記R及びRはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、置換または非置換のC−C12アルキル、あるいは置換または非置換のC−C12アルコキシであり、前記Xは、−O−または−S−である。
【請求項13】
前記MAO−B蛋白質の活性を低減させる物質は、KDDG00176、2−フェニル−5−(ピロリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−フェニル−5−(ピロリジン−1−イル)チアゾロ[5,4−b]ピリジン、2−(2−クロロフェニル)−5−(ピロリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−(3−クロロフェニル)−5−(ピロリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−(4−フルオロフェニル)−5−(ピロリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−フェニル−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−フェニル−5−(ピペリジン−1−イル)チアゾロ[5,4−b]ピリジン、2−(2−クロロフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−(3−フルオロフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−(3−クロロフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、3−(5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)ベンゾニトリル、2−(4−フルオロフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−(4−ブロモフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−(4−メトキシフェニル)−5−(ピペリジン−1−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、2−(3−クロロフェニル)−N−メチルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンまたは2−(4−クロロフェニル)−N−メチルオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミンであることを特徴とする請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
反応性星状細胞内で、ベストロフィン1チャネルの細胞内分布様相を、細胞体並びに主突起からマイクロドメイン方向に変化させる物質を有効成分として含む退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物。
【請求項15】
反応性星状細胞内で、ベストロフィン1チャンネルをコーディングする遺伝子の発現を抑制したり、またはベストロフィン1蛋白質の活性を低下させる物質を有効成分として含む退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物。
【請求項16】
反応性星状細胞内で、GABAトランスアミナーゼをコーディングする遺伝子の発現を誘導したり、あるいはGABAトランスアミナーゼ蛋白質の活性を増大させる物質を有効成分として含む退行性脳疾患の予防用または治療用の薬学的組成物。
【請求項17】
前記退行性脳疾患は、アルツハイマー病、軽度認知障害、脳卒中及び血管性痴呆、前頭側頭葉痴呆、レビー小体痴呆、クロイツフェルト・ヤコブ病、外傷性頭部損傷、梅毒、後天性免疫欠乏症候群及びその他ウイルス感染、脳膿瘍、脳腫瘍、多発性硬化症、代謝性疾患による痴呆、低酸素症、パーキンソン病、ルー・ゲーリック病、ハンチントン病、ピック病、筋萎縮性側索硬化症、癲癇、虚血、中風、注意欠陥・多動性障害、精神分裂症、憂鬱症、躁鬱症、外傷後ストレス障害、脊髄損傷及び脊髄炎からなる群から選択されることを特徴とする請求項9ないし請求項16のうち、いずれか1項に記載の薬学的組成物。

【図14】
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【図16】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−40945(P2013−40945A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−181633(P2012−181633)
【出願日】平成24年8月20日(2012.8.20)
【出願人】(304039548)コリア・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー (36)
【Fターム(参考)】