説明

送風装置

【課題】より簡素な構成でモータの軸に毛髪が絡まるのを防止することのできる送風装置を提供する。
【解決手段】ファン5には、モータ7の出力軸7aを支持する軸受部5aが突設されているとともに、モータ7を支持する整流翼25には、モータ7の出力軸7aを覆うリブ26が設けられており、前記リブ26は、毛髪を巻き付かせることが可能な毛髪巻付部26aを備え、前記軸受部5aと前記毛髪巻付部26aとを出力軸7aの軸方向にオーバーラップさせた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばヘアドライヤなどの送風装置に関し、詳細には、空気と共に内部に吸い込まれてしまう毛髪がモータの軸に絡まることを防ぐための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、吸入口と送風ファンとの間に、当該送風ファンとは別の空転軸を有した羽根車を配設することで、吸入口から吸い込まれた毛髪をこの羽根車あるいは空転軸に未然に巻き付かせて、モータの軸に毛髪が絡まるのを防止したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平5−88404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術では、送風ファンとは別に羽根車を設ける構成としているため、構造が複雑化してしまうとともに、コストが嵩んでしまうという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、より簡素な構成でモータの軸に毛髪が絡まるのを防止することのできる送風装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、吸入口と吐出口を有する本体部の内部に送風部が設けられた送風装置であって、前記送風部は、ファンと、当該ファンを回転駆動する出力軸を有したモータと、当該モータを支持する整流翼と、当該整流翼に設けられて前記モータの出力軸を覆うリブと、を備え、前記ファンには、前記出力軸を支持する軸受部が突設されているとともに、前記リブには、毛髪を巻き付かせることが可能な毛髪巻付部が設けられており、前記軸受部と前記毛髪巻付部とが前記出力軸の軸方向にオーバーラップしていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の送風装置であって、前記毛髪巻付部の前記ファン側の端部には、フランジ部が外方に向けて延設されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の送風装置であって、前記フランジ部と前記ファンとの軸方向のクリアランスが1ミリメートル以下であることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、吸入口と吐出口を有する本体部の内部に送風部が設けられた送風装置であって、前記送風部は、ファンと、当該ファンを回転駆動する出力軸を有したモータと、当該モータを支持する整流翼と、当該整流翼に設けられて前記モータの出力軸を覆うリブと、を備え、前記ファンには、前記出力軸を支持する軸受部が突設されているとともに、当該軸受部を囲う外壁部が設けられており、前記リブには、毛髪を巻き付かせることが可能な毛髪巻付部が設けられているとともに、当該毛髪巻付部が前記軸受部の周壁部に沿って延在するように設けられ、前記外壁部には、当該外壁部から前記リブの毛髪巻付部に向けて延在する突出片が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の送風装置であって、前記突出片の前記軸受部側の端部と前記リブとのクリアランスが1ミリメートル以下であることを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の送風装置であって、前記毛髪巻付部の前記ファン側の端部には、フランジ部が外方に向けて延設されており、当該フランジ部が前記突出片よりも前記軸受部の基端側に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、整流翼に設けられてモータの出力軸を覆うとともに、毛髪を巻き付かせることが可能な毛髪巻付部が設けられたリブを利用するため、ファンとは別に羽根車を設ける構成と比べて、より簡素な構成でモータの軸に毛髪が絡まるのを防止することができる。
【0012】
また、ファンの軸受部とリブの毛髪巻付部とを出力軸の軸方向にオーバーラップさせるようにすることで、毛髪巻付部を軸方向に長くすることができるため、リブの毛髪を巻き付けることのできる範囲を広げることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、毛髪巻付部のファン側の端部にフランジ部が外方に向けて延設されているため、毛髪がモータの出力軸に浸入するのを防ぐことができ、これによりモータの軸に毛髪が絡まるのを防止することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、フランジ部とファンとの軸方向のクリアランスが1ミリメートル以下であるため、毛髪がモータの出力軸に浸入するのをより確実に防ぐことができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、リブの毛髪巻付部がファンの軸受部の周壁部に沿って延在しおり、ファンの外壁部には、当該外壁部からリブの毛髪巻付部に向けて延在する突出片が設けられているため、ファンとは別に羽根車を設ける構成と比べて、より簡素な構成でモータの軸に毛髪が絡まるのを防止することができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、突出片の軸受部側の端部とリブとのクリアランスが1ミリメートル以下であるため、毛髪がモータの出力軸に浸入するのを防ぐことができ、これによりモータの軸に毛髪が絡まるのを防止することができる。
【0017】
請求項6の発明によれば、毛髪巻付部のファン側の端部には、フランジ部が外方に向けて延設され、当該フランジ部が突出片よりも軸受部の基端側に設けられているため、突出片とフランジ部とでラビリンス構造を作り出すことができ、これによりモータの出力軸に毛髪が浸入するのをより確実に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の複数の実施形態には同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素に共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態にかかる送風装置としてのヘアドライヤの側面図、図2は、ヘアドライヤの断面図、図3は、ヘアドライヤを吐出口側から見た正面図である。
【0020】
本実施形態にかかる送風装置としてのヘアドライヤ1は、使用者が手で握る部分としての把持部1aと、把持部1aと交差する方向に結合された本体部1bと、本体部1bの内部に配設される送風部2とを備えており、使用時には把持部1aと本体部1bとで略T字状あるいは略L字状(本実施形態では略T字状)の外観を呈するように構成されている。把持部1aの突出端部からは、電源コード12が引き出されている。また、把持部1aは、本体部1b側の根元部1cと先端部1dとに分割されており、これら根元部1cと先端部1dとが、連結部1eを介して回動可能に連結されている。先端部1dは、本体部1bに沿う位置まで折り畳むことができるようになっている。
【0021】
ヘアドライヤ1の外壁をなすケース3は、複数の分割体を継ぎ合わせて構成されている。ケース3の内部には空洞が形成されており、この空洞内に、各種電気部品が収容されている。
【0022】
本体部1bの内部には、その長手方向(図1の左右方向)の一方側(右側)の入口開口4a(吸入口)から出口開口4b(吐出口)に至る風洞4が形成されており、この風洞4内に収容された送風部2のファン5を回転させることによって空気流Wが形成される。すなわち、空気流Wは、外部から入口開口4aを介して風洞4内に流入し、当該風洞4内を通って出口開口4bから外部に排出される。
【0023】
また、本体部1bにおいて、ケース3の外筒3aの内部には、略円筒状の内筒6が設けられており、空気流Wはこの内筒6の内側を流れるようになっている。内筒6の内側では、最も上流側にファン5が配置され、その下流側にファン5を回転駆動する出力軸7aを有したモータ7が配置され、モータ7のさらに下流側に加熱機構としてのヒータ8が配置されている。ヒータ8は、本体部1bに設けられたスイッチ23により動作モードを切り換えることができるようになっており、ヒータ8を作動させたときには、出口開口4bから加熱された温風が吹き出され、ヒータ8を作動させないときには、出口開口4bからそのままの冷風が吹き出される。なお、本実施形態では、ヒータ8は、帯状かつ波板状の電気抵抗体を内筒6の内周に沿って巻回して配置したものとして構成されているが、かかる構成には限定されない。
【0024】
また、内筒6の上流側には、モータ7を支持する整流翼25が設けられている。この整流翼25は、略円筒状の筒状部25eと当該筒状部25eから内方に突設される翼部25dを介して筒状部25eに支持されるモータ支持部25aとを備えており、図2に示すように、筒状部25eの下流側の端部を内筒6の上流側の端部に係合させることで、内筒6に連続して空気流Wの流れる風洞4を形成している。
【0025】
モータ支持部25aは、略円形状に形成される底壁25bと当該底壁25bの外周からモータ7の出力軸7aの軸方向に向けて延設される周壁25cとを備えた断面略コの字状に形成されている。筒状部25eから突設された翼部25dは、モータ支持部25aの周壁25cに結合されており、入口開口4aを介して流入される空気流Wの流量を低下させないように、周方向に適宜間隔を空けて複数(本実施形態では等間隔に3つ)配置されている。また、底壁25bの略中央部分には、モータ7の出力軸7aを挿通させる孔25fが設けられており、モータ7は当該モータ7の出力軸7aをこの孔25fから露出させるように周壁25cの奥まで差し込まれて嵌着される。
【0026】
さらに、本実施形態の整流翼25には、モータ支持部25aの底壁25bから延設されてモータ7の出力軸7aを覆うリブ26が設けられている。このリブ26は、モータ7の出力軸7aに毛髪が絡まるのを防止するためのもので、略円筒状に形成されて毛髪を巻き付かせることが可能な毛髪巻付部26aを備えている。
【0027】
ここで、本実施形態では、この毛髪巻付部26aをファン5に突設して設けられた軸受部5aの周壁部5bに沿って延在させて、軸受部5aと毛髪巻付部26aとを出力軸7aの軸方向にオーバーラップさせるようにした。毛髪巻付部26aは、ファン5の回転に支障がない範囲でオーバーラップさせることが好ましく、本実施形態では、毛髪巻付部26aを軸受部5aに対して軸方向で7ミリメートルオーバーラップさせている。
【0028】
このように本実施形態では、モータ7を支持する整流翼25には略円筒状に形成されるリブ26の毛髪巻付部26aが設けられているため、モータ7の出力軸7aに毛髪が絡まるのを防止することができるとともに、軸受部5aと毛髪巻付部26aとを出力軸7aの軸方向にオーバーラップさせているため、毛髪巻付部26aを軸方向に長くとることができ、これによりリブ26の毛髪を巻き付けることのできる範囲を広くすることができる。
【0029】
また、毛髪巻付部26aのファン5側の端部には、軸受部5aを囲うファン5の外壁部5cに向けて外方に延設されるフランジ部26bが設けられている。本実施形態では、このフランジ部26bが周方向に複数分散して設けられており、フランジ部26bとファン5とのクリアランスが0.5ミリメートル、フランジ部26bの外壁部5c側の端部と外壁部5cとのクリアランスが0.3ミリメートルとなるように形成されている。
【0030】
このように本実施形態では、モータ7の出力軸7aを覆うリブ26は、毛髪巻付部26aのファン5側の端部から外方に延設されるフランジ部26bを備えているため、毛髪がモータ7の出力軸7aに浸入するのを防ぐことができる。そして、これによりモータ7の出力軸7aに毛髪が絡まるのを防止することができ、結果として、ヘアドライヤ1の寿命を長くすることができる。
【0031】
また、本実施形態では、内筒6は、筒状部6aと、筒状部6aから径方向外側に向けて伸びて周方向に分散して配置された複数の支持リブ6b(図1では一箇所のみ図示)と、支持リブ6bを介して筒状部6aに接続され当該筒状部6aの軸方向と略直交する方向に張り出すフランジ部6cと、を有している。筒状部6aとフランジ部6cとの間には間隙g1が形成されており、この間隙g1を介して空洞9内に空気流Wの一部が分岐されて流入し、分岐流Wpが形成されている。なお、分岐流Wpの空洞9内への導入口となる間隙g1は、ファン5の下流でありかつヒータ8の上流側となる位置に設けられている。したがって、分岐流Wpは、ヒータ8によって加熱される前の、比較的冷たい空気流となる。
また、本体部1b内で、ケース3と内筒6との間に形成された空洞9には、金属微粒子生成部10や図示せぬミスト生成部等が収容されている。図3に示すように、ケース3には、空洞9の出口開口4b側となる位置に、楕円形の貫通孔3bが形成されており、この貫通孔3bを塞ぐ絶縁性のカバー20に、金属微粒子排出口20aとミスト排出口20bとが形成されている。
【0032】
金属微粒子生成部10とミスト生成部は、把持部1aの根本部1cに設けられたスイッチ18等により動作モードを切り換えることができるようになっている。なお、把持部1aの先端部1dに設けられたスイッチ19は、電源のONとOFFとを切り換えるスイッチである。
【0033】
本実施形態では、金属微粒子生成部10およびミスト生成部ともに、イオンを発生させるイオン発生部に相当するものである。なお、ミスト生成部としては、水を加熱してスチームを発生させるスチーム発生機構を搭載してもよいし、金属微粒子生成部としては、金属の溶液を霧化して金属微粒子を生成する金属溶液霧化機構を搭載してもよい。
【0034】
また、本実施形態では、図3に示すように、金属微粒子排出口20aの孔径を、ミスト排出口20bの孔径より小さくしてある。すなわち、ミスト排出口20bを介してのミスト生成部のメンテナンスや状態の確認等をより容易に行わせるとともに、金属微粒子排出口20aを介しての手指や道具等の誤進入を抑制してある。
【0035】
さらに、本実施形態にかかるヘアドライヤ1は、発光部21を備えている。発光部21は、空洞9内に配置されたLED(発光ダイオード)等の光源21aと、光源21aの光を導光するアクリル等の透光性を有する合成樹脂材料で形成される導光部材21bと、を有している。図3に示すように、カバー20の、金属微粒子排出口20aとミスト排出口20bとの間には、縦長の長円状の孔20cが形成されており、導光部材21bの光源21aと反対側の出射端部21cが、この孔20cに嵌挿されて、カバー20の外に露出している。したがって、光源21aの光は導光部材21bによって導光され、出射端部21cからカバー20の外に出射される。かかる構成では、ヘアドライヤ1の使用時には、出射端部21cが使用者の頭部に対向して配置されることになる。
【0036】
この発光部21は、ヘアドライヤ1の動作モードの表示手段として利用することができる。例えば、ヒータ8を使用していて温風が吹き出されている状態では赤色、ヒータ8を使用せず冷風が吹き出されている状態では緑色、金属微粒子生成部10が稼動していて金属微粒子が放出されている状態では黄色、ミスト生成部が稼動していてミストが放出されている状態では青色、など、動作状態に応じて色を変化させるようにすることができる。この場合、各色に対応する光源21aが複数実装され、制御回路がこれら複数の光源21aの発光を制御することになる。なお、制御回路によって光源21aを点滅させたり、その点滅間隔を制御したり、発光強度を変化させたりすることも可能であり、これら発光形態を、種々の動作モードに対応づけて設定することも可能である。
【0037】
また、発光部21からの光によって、人体に所定の効果を与えることも可能である。例えば、光源21aとして波長415[nm]の高輝度LEDを用いた場合には、当該光源21aから出射される青色光により、細菌の破壊による殺菌効果や、毛孔の縮小や皮脂の分泌低下等によるざ瘡(にきび)の予防効果などが得られることが確認されている。また、光源21aとして波長630[nm]程度の高輝度LEDを用いた場合には、当該光源21aから出射される赤色光により、血行促進、血管新生による新陳代謝の活性、コラーゲンやエラスチンの生成を促進するなどの効果が得られることが確認されている。さらに、赤色光の照射回数を重ねた場合には、小じわ、しみ、くすみ、開大毛孔などの光老化皮膚やざ瘡後の瘢痕の改善に有効であることが確認されている。なお、これらの効果は、人によって異なるものとなる。
【0038】
さらに、発光部21を、金属微粒子生成部10あるいはミスト生成部を照らす照射手段として利用することができる。こうすれば、金属微粒子生成部10やミスト生成部の状態を視認しやすくなるとともに、掃除等のメンテナンスを行う場合にも視認性が高まって作業効率が向上するという効果が得られる。
【0039】
以上、説明したように、本実施形態では、入口開口4a(吸入口)と出口開口4b(吐出口)を有する本体部1bの内部に送風部2が設けられた送風装置としてのヘアドライヤ1において、送風部2は、ファン5と、当該ファン5を回転駆動する出力軸7aを有したモータ7と、当該モータ7を支持する整流翼25と、当該整流翼25に設けられるリブ26と、を備えており、前記リブ26は、モータ7の出力軸7aを覆うとともに、毛髪を巻き付かせることが可能な毛髪巻付部26aを備えているため、ファン5とは別に羽根車を設ける構成と比べて、より簡素な構成でモータ7の出力軸7aに毛髪が絡まるのを防止することができる。
【0040】
また、ファン5の軸受部5aとリブ26の毛髪巻付部26aとを出力軸7aの軸方向にオーバーラップさせるようにすることで、毛髪巻付部26aを軸方向に長くとることができるため、リブ26の毛髪を巻き付けることのできる範囲を広げることができる。
【0041】
また、本実施形態では、毛髪巻付部26aのファン5側の端部にフランジ部26bが外方に向けて延設されているため、毛髪がモータ7の出力軸7aに浸入するのを防ぐことができ、これによりモータ7の出力軸7aに毛髪が絡まるのを防止することができる。
【0042】
また、本実施形態では、フランジ部26bとファン5との軸方向のクリアランスが1ミリメートル以下であるため、毛髪がモータ7の出力軸7aに浸入するのをより確実に防ぐことができる。
【0043】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。図4は、本実施形態にかかる送風装置としてのヘアドライヤの断面図である。
【0044】
本実施形態にかかる送風装置としてのヘアドライヤ100は、送風部2のファン5Aの構造が上記第1実施形態のファン5に対して異なるものである。
【0045】
具体的には、本実施形態のファン5Aは、軸受部5aを囲う外壁部5cに当該外壁部5cからリブ26の毛髪巻付部26aに向けて延在する突出片5dが設けられている。
【0046】
入口開口4aを介してファン5の隙間から浸入してくる毛髪はどうしても防ぎようがないため、上記第1実施形態では、出力軸7aを覆うリブ26の毛髪巻付部26aをファン5の軸受部5aに対してオーバーラップさせることで、浸入してきた毛髪をより多く巻き付かせてメンテナンスの回数を低減させるという目的であったものに対して、本実施形態では、この突出片5bを設けることで、モータ7の出力軸7aに毛髪が浸入するのをより確実に防止することを目的としている。
【0047】
突出片5dは、外壁部5cの出口開口4b側端部から毛髪巻付部26aに向けて延在しており、本実施形態では、突出片5bの軸受部5a側の端部とリブ26の毛髪巻付部26aとのクリアランスが0.3ミリメートルとされている。
【0048】
突出片5dは、例えば外壁部5cに溶着などの手段で結合されており、周方向に複数分散して配置されるフランジ部26bの隙間を通過させて、これら突出片5dとフランジ部26bとを対向して配置させることができる。また、このとき、本実施形態では、フランジ部26bを突出片5dよりも軸受部5aの基端側に配置するようにしている。
【0049】
このように本実施形態では、リブ26の毛髪巻付部26aがファン5の軸受部5aの周壁部5bに沿って延在しおり、ファン5の外壁部5cには、当該外壁部5cからリブ26の毛髪巻付部26aに向けて延在する突出片5dが設けられているため、ファン5とは別に羽根車を設ける構成と比べて、より簡素な構成でモータ7の出力軸7aに毛髪が絡まるのを防止することができる。
【0050】
また、突出片5dの軸受部5a側の端部とリブ26の毛髪巻付部26aとのクリアランスが1ミリメートル以下であるため、毛髪がモータ7の出力軸7aに浸入するのを防ぐことができ、これによりモータ7の出力軸7aに毛髪が絡まるのを防止することができる。
【0051】
さらに、本実施形態では、リブ26のフランジ部26bが突出片5dよりも軸受部5aの基端側に設けられているため、突出片5dとフランジ部26bとでラビリンス構造を作り出すことができ、これによりモータ7の出力軸7aに毛髪が浸入するのをより確実に防ぐことができる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、ファンの外壁部をモータの出力軸の軸方向に沿って延在させているが、外壁部を入口開口側から出口開口側に向けて拡径するテーパ形状にすることも可能である。このように外壁部をテーパ形状とすることで、入口開口から浸入してくる毛髪をスムーズに風洞の下流側に流すことができ、これによりモータの出力軸に毛髪が絡まるのをさらに防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる送風装置の側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる送風装置の断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる送風装置の正面図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる送風装置の断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1, 100 ヘアドライヤ(送風装置)
1b 本体部
2 送風部
4a 入口開口(吸入口)
4d 出口開口(吐出口)
5,5A ファン
5a 軸受部
7 モータ
7a 出力軸
25 整流翼
26 リブ
26a 毛髪巻付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入口と吐出口を有する本体部の内部に送風部が設けられた送風装置であって、
前記送風部は、ファンと、当該ファンを回転駆動する出力軸を有したモータと、当該モータを支持する整流翼と、当該整流翼に設けられて前記モータの出力軸を覆うリブと、を備え、
前記ファンには、前記出力軸を支持する軸受部が突設されているとともに、前記リブには、毛髪を巻き付かせることが可能な毛髪巻付部が設けられており、
前記軸受部と前記毛髪巻付部とが前記出力軸の軸方向にオーバーラップしていることを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記毛髪巻付部の前記ファン側の端部には、フランジ部が外方に向けて延設されていることを特徴とする請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記フランジ部と前記ファンとの軸方向のクリアランスが1ミリメートル以下であることを特徴とする請求項2に記載の送風装置。
【請求項4】
吸入口と吐出口を有する本体部の内部に送風部が設けられた送風装置であって、
前記送風部は、ファンと、当該ファンを回転駆動する出力軸を有したモータと、当該モータを支持する整流翼と、当該整流翼に設けられて前記モータの出力軸を覆うリブと、を備え、
前記ファンには、前記出力軸を支持する軸受部が突設されているとともに、当該軸受部を囲う外壁部が設けられており、
前記リブには、毛髪を巻き付かせることが可能な毛髪巻付部が設けられているとともに、当該毛髪巻付部が前記軸受部の周壁部に沿って延在するように設けられ、
前記外壁部には、当該外壁部から前記リブの毛髪巻付部に向けて延在する突出片が設けられていることを特徴とする送風装置。
【請求項5】
前記突出片の前記軸受部側の端部と前記リブとのクリアランスが1ミリメートル以下であることを特徴とする請求項4に記載の送風装置。
【請求項6】
前記毛髪巻付部の前記ファン側の端部には、フランジ部が外方に向けて延設されており、当該フランジ部が前記突出片よりも前記軸受部の基端側に設けられていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の送風装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−125134(P2010−125134A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304144(P2008−304144)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】