通信システム及び時刻同期方法
【課題】PONを用いた通信システムにおいて、L2SW又は基地局等のマスター装置に対して基地局等のスレーブ装置の時刻同期を実現する。
【解決手段】GPS衛星3より取得した時刻情報をOLT4のディスカバリ機能のレンジング情報により補正する事で、ONU6の時刻情報へ反映させる。遅延推定メカニズムを用いてL2SW2からOLT4までの伝搬遅延を求め、レンジングにより求めたOLT4からONU6までの伝搬遅延を加算して、L2SW2からONU6までの伝搬遅延を求める。伝達されているタイムスタンプ値に、求めたL2SW2からONUまでの伝搬遅延を加えることによって、基地局7又はフェムトセル8側で受信されるタイムスタンプ値はONU6までの伝搬遅延を繰りこんだ時刻となり、時刻タイマの絶対値の同期が可能となる。この加算処理は、OLT4内部又はONU6内部でパケットのタイムスタンプ値を書き換えることで実現可能である。
【解決手段】GPS衛星3より取得した時刻情報をOLT4のディスカバリ機能のレンジング情報により補正する事で、ONU6の時刻情報へ反映させる。遅延推定メカニズムを用いてL2SW2からOLT4までの伝搬遅延を求め、レンジングにより求めたOLT4からONU6までの伝搬遅延を加算して、L2SW2からONU6までの伝搬遅延を求める。伝達されているタイムスタンプ値に、求めたL2SW2からONUまでの伝搬遅延を加えることによって、基地局7又はフェムトセル8側で受信されるタイムスタンプ値はONU6までの伝搬遅延を繰りこんだ時刻となり、時刻タイマの絶対値の同期が可能となる。この加算処理は、OLT4内部又はONU6内部でパケットのタイムスタンプ値を書き換えることで実現可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム及び時刻同期方法に係り、特に、PON(Passive Optical Network)を用いた装置間の通信システム及び時刻同期方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを用いる公衆回線網の一つにIEEE802.3ahで標準化されたGE−PONがある。 GE−PONは、従来LANで使われていた技術であるGigabit Ethernet(登録商標)を応用し、局側装置よりユーザ端末までEthernet(登録商標)のパケットを双方向に最大1Gbpsのサービス提供が可能である。PONはOLT(Optical Line Terminal)と複数のONU(Optical Network Unit)を備え、ONUに接続された端末(PC他)からの信号を光信号でONU→光ファイバ→光スプリッタを介しOLTへの光ファイバと光学(時分割)多重してOLTに送り、OLTが各種信号処理後、あるONUの端末から該PONの他のONUの端末との通信あるいはNWの端末との通信を行う。各ONUは例えば光ファイバ長0〜20kmの範囲の中に任意に設置されるので、このままでは伝送遅延が異なり、各ONUから出力される光信号同士が衝突・干渉する可能性がある。したがってIEEE802.3の64章に記載されているように、レンジングという技術を用いて、各ONUがあたかも等距離に設置されたかのように各ONUからの出力信号の遅延を調整して、OLTへの光ファイバ上で各ONUからの光信号が干渉しないようにしている。
【0003】
一方、携帯電話は、端末の移動に従って最も受信感度の高い基地局に交信相手を切り替えるハンドオーバー機能を持っている。電気通信において、例えば、半径数10m程度の極めて小さな範囲の携帯電話の通話エリア、又はその基地局をフェムトセルと呼ぶ。従来の基地局おいて、ビルの中や地下等では、電波強度が微弱となり通信しづらい場所が残る場合があるが、このような場所にフェムトセルを配置することにより、通話エリアの穴を埋めることが可能となる。
CDMA2000やLTE等ではハンドオーバー機能や通信品質向上のために基地局間の、例えば1μs未満の精度での時刻同期が必要である。基地局にGPS信号受信機を設置し、それにより時刻同期を図るのが一般的であるが、地下街などの基地局ではGPS信号受信機の設置が困難であることが想定され、又、フェムトセルのような超小型基地局では経済的にもGPS信号受信機を設置するのは難しい場合が考えられる。したがって、上記説明したPONを介して家庭内にフェムトセルを設置するシステムにおいて、ネットワークを介して正確な時刻同期を実現する必要が生じる。
ネットワークでの時刻情報提供手段として現在最も有力な方式として、IEEE1588による時刻情報配信が挙げられる。本方式の詳細はIEEE1588 Tutorialに記載されているが、第1段階として、マスタ側からタイムスタンプを入れたパケットをスレーブ側に繰り返し送信することで、スレーブ側の時刻タイマ周期とマスタ側の時刻タイマ周期を同期させる。この段階では、マスタ〜スレーブ間の信号伝搬遅延が不明のため、時刻タイマ周期は同期できても、時刻の絶対値が同期できない。続いて第2段階として、スレーブ側よりマスタ側に往復伝搬遅延(マスタ〜スレーブ間のラウンドトリップタイム)を測定するためのパケットを送信する。マスタ側は上記パケットを受信すると規定時間以内に同パケットをスレーブ側に向けて返信する。同パケットを受信したスレーブ側は、同パケットの受信時刻と送信時刻から往復伝搬遅延を測定し、スレーブ側からマスタ側までの伝搬遅延と、マスタ側からスレーブ側までの伝搬遅延がほぼ等しいという仮定に基づき、上記測定した往復伝搬遅延の半分の値をマスタ側からスレーブ側までの伝搬遅延とみなす。続いて上述のマスタ側で付与されたタイムスタンプ値と、上記求めたマスタ側からスレーブ側までの伝搬遅延を用いて、マスタ側とスレーブ側の時刻タイマの絶対値を同期させている。
上記時刻配信用のパケットをスイッチやルータを介して伝送するとパケット遅延にゆらぎが生じるため、リンクバイリンクでの適用が望ましい。ただし複数回の試行後に平均値をとるなど、ある程度の統計量をもって精度を出すことも可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】IEEE802.3規格64章
【非特許文献2】IEEE1588 Tutorial
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PONを介したネットワークにおいて上記従来技術を用いた場合、上記の一般的な方法では時刻同期の精度が十分出ない場合があるという課題がある。この理由を以下に説明する。PONでは局側から加入者側への下り信号はOLTに接続されるすべてのONUに同報で信号が伝送される。したがって下り信号の伝搬遅延は、光ファイバ長に比例する伝送遅延(例えば、せいぜい数100マイクロ秒程度)と、OLTおよびONU内の処理遅延(例えば、トラヒックの輻輳がなければ通常数10ナノ秒程度)の和に止まる。一方、加入者側から局側への上り信号は、OLTに接続されるそれぞれのONUがTDMA(Time Division Multiple Access)方式に基づいて順番に信号を伝送している。この順番はOLTの制御のもとに、例えば、数ミリ秒程度の周期で行われており、ONUからの信号は最大前記制御周期の時間だけONU内部で待たされる。すなわち、上り信号の伝搬遅延は、下り信号の伝搬遅延要因に加えて(上述の例では数100マイクロ秒程度)、TDMAの制御周期である、例えば数ミリ秒を加えた大きな値になるという特徴がある。このように下り信号の伝搬遅延と上り信号の伝搬遅延に大きな差がある状況では、上記説明した往復遅延時間測定に基づくIEEE1588の遅延推定メカニズムでは正しい伝搬遅延時間が推定できず、結果として正しい時刻同期が妨げられる可能性がある。
本発明の目的は、以上の点に鑑み、局側装置、基地局又は端末装置等のマスター装置に対して基地局又は端末装置等のスレーブ装置の高精度な時刻同期を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
PONシステムは従来技術の項にて説明したように、OLTとONUの間の伝搬遅延を測定するレンジングと呼ばれるメカニズムを有している。上記課題は、IEEE1588で用いられる時刻情報を、レンジングで求めたOLTからONUまでの伝搬遅延時間で補正することにより解決される。
具体的に上記課題を解決する第1の手段は以下の通りである。
従来のIEEE1588等の遅延推定メカニズムを用いてマスタからOLTまでの伝搬遅延を求め、さらにレンジングにより求めたOLTからONUまでの伝搬遅延を加算して、マスタからONUまでの伝搬遅延を求める。従来のIEEE1588の第1段階で伝達されているタイムスタンプ値に、上記求めたマスタからONUまでの伝搬遅延を加えることによって、スレーブ側で受信されるタイムスタンプ値はONUまでの伝搬遅延を繰りこんだ時刻となる。すなわちスレーブ側はIEEE1588等のメカニズムの第1段階のみで、第2段階を使用することなく、時刻タイマの絶対値の同期が可能となる。この加算処理はOLT内部、又はONU内部でIEEE1588仕様のパケットのタイムスタンプ値を書き換えることで実現可能である。
ONUとスレーブ間の接続ケーブル長はせいぜい数メートルであり、ONUからスレーブまでの伝搬遅延時間は数10ナノ秒程度であるため、無視することも可能であるが、IEEE1588等の遅延推定メカニズムを用いてONUからスレーブまでの伝搬遅延を求め、上記タイムスタンプ値にONUからスレーブまでの伝搬遅延をONU内にてさらに加算することで、さらに精度の良い時刻同期を行うことも可能である。
【0007】
又、具体的に上記課題を解決する第2の手段は以下の通りである。
従来のIEEE1588等の遅延推定メカニズムを用いてマスタからOLTまでの伝搬遅延を求め、さらにレンジングにより求めたOLTからONUまでの伝搬遅延を加算して、マスタからONUまでの伝搬遅延を求める。この伝搬遅延の値をONUに転送する。続いて、従来のIEEE1588等の第2段階の遅延推定メカニズムを用いて、スレーブ側が遅延測定用パケットを伝送すると、それをモニタしたONUは遅延測定用パケットをマスタに向けて伝送することなく廃棄し、さらにONUは遅延測定用パケットの到着時刻後、上記求めたマスタからONUまでの伝搬遅延時間の2倍の時間後に返信用遅延測定用パケットを生成し、スレーブに向けて送り返す。スレーブ側はこの遅延測定用パケットに基づいて時刻タイマを同期するため、TDMAによる遅延の影響は除去される。
【0008】
又、具体的に上記課題を解決する第3の手段は以下の通りである。
従来のIEEE1588等の第1段階で伝達されているタイムスタンプ値に、上記説明したTDMAの制御周期の半分の値を減算して、スレーブ側の時刻タイマを同期させる。続いて従来のIEEE1588等の第2段階の遅延推定メカニズムを用いて、マスタからスレーブまでの伝搬遅延時間を求め、スレーブ側の時刻タイマを同期させる。この段階で、スレーブ側の時刻タイマは、TDMAによる最悪遅延量を繰りこんだ値で時刻同期が行われる。しかし、TDMA制御による実際の遅延量は、伝搬遅延測定パケットのONU到着時刻とOLTによるTDMA制御周期に依存しており、TDMA制御周期とは異なる。そこで上記IEEE1588の第2段階の遅延推定メカニズムにおいて、ONUは伝搬遅延測定パケットを受信してから送信するまでの時間を測定し記憶しておく。IEEE1588の第2段階の遅延推定メカニズム終了後、周期的にIEEE1588の第1段階でタイムスタンプ値の伝達が行われるので、ONUはこのタイムスタンプ値より、(TDMAの制御周期(最悪遅延量)−実際の遅延量)等の2倍の値を減算する(又は、上り信号のONU6内での滞留時間の最悪値−実際の上り信号のTDMA制御に起因するONU6内での待ち時間)の2倍の値を減算する)。スレーブ側がこの補正されたタイムスタンプ値と過去の伝搬遅延時間測定による補正値に基づいてタイマ値を再同期すると、実際の遅延量に基づいた時刻同期が完了する。
【0009】
本発明によると、例えば、OLT、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONUから構成されるPONと、時刻情報を発信するマスタ装置と、前記時刻情報を受信するスレーブ装置とから構成される通信システムにおいて、
前記OLTは、レンジングプロセスにより取得した前記OLTと前記ONUとの間の信号転送遅延量を用いて受信した前記時刻情報を補正する部分と、前記補正した時刻情報を送信する時刻情報送信部を有することを特徴とする通信システムが提供される。
前記ONUは、前記OLTが管理する前記信号転送遅延量に基づき受信した前記時刻情報を補正する機能と、前記補正した時刻情報を送信する時刻情報送信部を有することができる。
前記時刻情報はGPS衛星からの受信信号としてもよい。
前記OLTは、前記時刻情報に、前記マスタ装置と前記OLTの間の信号転送遅延量と、前記OLTと前記ONUとの間の信号転送遅延量を加算して補正することができる。
前記OLTは、前記マスタ装置と前記OLTの間の信号転送遅延量を測定する手段を有し、
前記ONUは、前記マスタ装置と前記OLTの間の信号転送遅延量と、前記OLTと前記ONUとの間の信号転送遅延量を受信する手段を有し、前期スレーブ装置から遅延時間測定用信号を受信すると、前記マスタ装置と前記OLTの間の信号転送遅延量と、前記OLTと前記ONUとの間の信号転送遅延量の2倍の時間後に前期遅延時間測定用信号を前記スレーブ装置に向けて返信することを特徴とすることができる。
前記ONUは、受信した前記時刻情報を補正する機能と、前記補正した時刻情報を送信する時刻情報送信部を有し、
さらに前期スレーブ装置から遅延時間測定用信号を受信してから前記OLTに向けて前期遅延時間測定用信号を送信するまでの時間を記憶する機能を有し、受信した前記時刻情報を前期スレーブ装置から遅延時間測定用信号を受信してから前記OLTに向けて前期遅延時間測定用信号を送信するまでの時間を用いて補正することを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明によると、例えば、OLT、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONUから構成されるPONと、時刻情報を発信するマスタ装置と、前記時刻情報を受信するスレーブ装置とから構成される通信システムにおいて、
GPS衛星からの受信信号である前記時刻情報を終端する時刻情報終端部と、受信した前記時刻情報により前記OLT時刻の時刻同期を行う時刻同期部と、時刻同期を行った前記OLT時刻より時刻同期用パケットを生成する時刻同期用パケット生成部と、生成した前記時刻同期用パケットを送信する時刻情報送信部を有する前記OLTと、前記通信回線を介して前記OLTからの前記時刻同期用パケットを受信し、前記時刻同期用パケットを終端する時刻同期用パケット終端部と、受信した前記時刻同期用パケットにより前記ONU時刻の時刻同期を行う時刻同期部と、時刻同期を行った前記ONU時刻より時刻同期用パケットを生成する時刻同期用パケット生成部と、生成した時刻同期用パケットを送信する時刻情報送信部を有する前記ONUを有する通信システムが提供される。
【0011】
さらに、本発明によると、例えば、OLT、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONUから構成されるPONと、時刻情報を発信するマスタ装置と、前記時刻情報を受信するスレーブ装置とから構成される通信システムにおいて、
GPS衛星からの前記時刻情報を受信できるGPS受信機を有する装置を収容する前記ONUと、前記時刻情報を送信する前記時刻情報送信部を有する前記ONUと、受信した前記時刻情報を前記OLT内で折り返す機能を有するOLTを有する通信システムが提供される。
前記OLT内で折り返した前記時刻情報を、前記ONUの情報より時刻情報を補正する機能と、補正した前記時刻情報を前記ONUへ送信する機能を有する前記OLTと、送信された前記OLT内で折り返された前記時刻情報を受信する機能と、受信した前記OLT内で折り返された前記時刻情報により時刻同期を行う機能を有する前記ONUを有することができる。
【0012】
本発明の第1の解決手段によると、
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記OLTに接続されて基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、各前記ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおいて、
前記OLTは、第1遅延測定信号を前記ONUに送信し、前記ONUから該第1遅延測定信号に対する第1返信信号を受信し、該第1遅延測定信号の送信時刻と該第1返信信号の受信時刻との差の半分の値から、OLT−ONU間片道伝搬遅延時間を判定する、第1レンジング処理と、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、該時刻同期メッセージを受信して前記OLTの時刻タイマを該タイムスタンプ値にセットする、第1段階時刻同期処理と、
前記OLTは、前記マスタ装置に第2遅延時間測定信号を送信し、前記マスタ装置から該第2遅延測定信号に対する第2返信信号を受信し、該第2遅延時間測定信号の送信時刻と該第2返信信号の受信時刻との差の半分の値からマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を判定し、前記OLTは、前記OLTの時刻タイマ値にマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を加算した値に、前記OLTの時刻タイマ値を更新する、第2段階時刻同期処理と、
前記マスタ装置は、時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、該時刻同期メッセージのタイムスタンプ値に、前記第1レンジング処理にて得られたOLT−ONU間片道伝搬遅延時間と、上記第2段階時刻同期処理にて得られたマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間とを加算した値に、タイムスタンプ値を書き換え、書き換えられたタイムスタンプ値を含む時刻同期メッセージを前記スレーブ装置に送信し、前記スレーブ装置は、前記スレーブ装置の時刻タイマをタイムスタンプ値にセットする、第3段階時刻同期処理と
を備えた通信システム、及び、前記通信システムにおける時刻同期方法が提供される。
【0013】
本発明の第2の解決手段によると、
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記OLTに接続されて基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、各前記ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおいて、
前記OLTは、第1遅延測定信号を前記ONUに送信し、前記ONUから該第1遅延測定信号に対する第1返信信号を受信し、該第1遅延測定信号の送信時刻と該第1返信信号の受信時刻との差の半分の値から、OLT−ONU間片道伝搬遅延時間を判定する、第1レンジング処理と、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、該時刻同期メッセージを受信して前記OLTの時刻タイマを該タイムスタンプ値にセットする、第1段階時刻同期処理と、
前記OLTは、前記マスタ装置に第2遅延時間測定信号を送信し、前記マスタ装置から該第2遅延測定信号に対する第2返信信号を受信し、該第2遅延時間測定信号の送信時刻と該第2返信信号の受信時刻との差の半分の値からマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を判定し、前記OLTは、前記OLTの時刻タイマ値にマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を加算した値に、前記OLTの時刻タイマ値を更新する、第2段階時刻同期処理と、
前記ONUは、前記第1レンジング処理により測定されたOLT−ONU間片道伝搬遅延時間と前記第2段階時刻同期処理にて得られたマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間、及び/又は、該マスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間と該OLT−ONU間片道伝搬遅延時間を合計したマスタ装置−ONU間総片道伝搬遅延時間を、前記OLTから受信及び記憶する、転送処理と、
前記スレーブ装置は、第3遅延測定信号を前記ONUに送信し、前記ONUは、マスタ装置−ONU間総片道伝搬遅延時間の2倍の時間後に、第3返信信号を、前記スレーブ装置に返送し、前記スレーブ装置は、前記第3遅延測定信号の送信時刻と前記第3返信信号の受信時刻との差によりマスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を判定し、該マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間により前記スレーブ装置の時刻タイマ値を補正する、第4段階時刻同期処理と
を備えた通信システム、及び、前記通信システムにおける時刻同期方法が提供される。
【0014】
本発明の第3の解決手段によると、
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記OLTに接続されて基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、各前記ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおいて、
前記マスタ装置は、時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した第1時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、前記ONU内での予め定められた滞留時間の最悪値の半分を、該第1時刻同期メッセージ中のタイムスタンプ値から減算してタイムスタンプ値を書き換えて前記スレーブ装置に送信する、第1段階同期処理と、
前記スレーブ装置は、前記マスタ装置に遅延時間測定信号を前記ONU送信し、前記ONUは、該遅延時間測定信号を、予め定められた待ち時間だけ内部に留めた後に、前記マスタ装置に向けて送信し、前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプに挿入した返信信号を前記スレーブ装置に返信し、前記スレーブ装置は、該遅延時間測定信号の送信時刻と該返信信号の受信時刻との差の半分の値からマスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を判定し、前記スレーブ装置は、前記スレーブ装置の時刻タイマ値に該マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を加算して時刻タイマ値を更新する、第2段階同期処理と、
前記マスタ装置は、時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入された第2時刻同期メッセージを前記ONUに送信し、前記ONUは、タイムスタンプ値から、(前記滞留時間の最悪値−前記待ち時間)の2倍の値を減算した値にタイムスタンプ値を補正し、該第2時刻同期メッセージに補正されたタイムスタンプ値を含めて前記スレーブ装置に送信し、前記スレーブ装置は、補正されたタイムスタンプ値と前記第2段階同期処理で求めた該マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間とを加算した値に、前記スレーブ装置の時刻タイマ値をセットする、第3段階同期処理と、
を備えた通信システム、及び、前記通信システムにおける時刻同期方法が提供される。
【0015】
本発明の第4の解決手段によると、
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記複数のONUのうちの第1ONUの配下にあり基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、前記複数のONUのうちの第2ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおいて、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した第1時刻同期メッセージを前記第1ONUに送信し、前記第1ONUは、前記第1ONU内での予め定められた第1滞留時間を、該第1時刻同期メッセージ中のタイムスタンプ値へ加算した値にタイムスタンプ値を書き換えた第1時刻同期メッセージを、前記第2ONUに接続されている前記スレーブ装置に向けて送信する、第1段階処理と、
前記スレーブ装置は、遅延時間測定信号を送信し、前記第2ONUは、該遅延時間測定信号を前記第2ONU内での予め定められた滞留時間後に送信し、前記マスタ装置は、該遅延時間測定信号を受信し、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した返信信号を返信し、前記第1ONUは、該返信信号を前記第1滞留時間後に送信し、前記スレーブ装置は、前記遅延時間測定信号の送信時刻と受信した前記返信信号の受信時刻との差から往復伝搬遅延時間を求め、さらに前記第1ONUの前記第1滞留時間及び前記第2ONUの前記第2滞留時間を減算することで、マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を判定する、第2段階処理と、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した第2時刻同期メッセージを送信し、前記第1ONUは、該第2時刻同期メッセージを受信し、第2時刻同期メッセージ中のタイムスタンプ値に前記第1滞留時間を加算した値にタイムスタンプ値を書き換えて送信し、前記スレーブ装置は、書き換えられたタイムスタンプ値と、前記第2段階処理で得られたマスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間との加算した値に、前記スレーブ装置のタイマ値をセットする、第3段階処理と
を備えた通信システム、及び、前記通信システムにおける時刻同期方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、基地局やフェムトセル等のスレーブ装置にてGPS信号受信機の設置が不要となる。特に、本発明によると、既にIEEE1588機能を搭載して導入が開始されたマスタ装置やスレーブ装置(フェムトセル基地局)とPON装置の組み合わせにより、正確な時刻同期が実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1のシステム構成図を示す。
【図2】本発明の実施の形態1のOLT4のブロック図を示す。
【図3】本発明の関連技術の時刻同期シーケンスを示す。
【図4】本発明の実施の形態1の時刻同期シーケンスを示す。
【図5】本発明の実施の形態1のOLT4の時刻同期フローチャートを示す。
【図6】本発明の実施の形態2−1の時刻同期シーケンスを示す。
【図7】本発明の実施の形態2−2のONU6のブロック図を示す。
【図8】本発明の実施の形態2−2の時刻同期シーケンスを示す。
【図9】本発明の実施の形態2−2のOLT4の時刻同期フローチャートを示す。
【図10A】本発明の実施の形態2−2のONU6の時刻同期フローチャート(1)を示す。
【図10B】本発明の実施の形態2−2のONU6の時刻同期フローチャート(2)を示す。
【図11】本発明の実施の形態2−3の時刻同期シーケンスを示す。
【図12】本発明の実施の形態3のONU6のブロック図を示す。
【図13】本発明の実施の形態3のOLT4のブロック図を示す。
【図14】本発明の実施の形態3の時刻同期シーケンスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
携帯電話等のサービスには高精度の時刻同期が必要である。ここでは、基地局、又はフェムトセルに対して、時刻同期を図るためのGPS信号受信機を具備せずに、高精度な時刻同期を実現する方法を、実施の形態を3通り挙げて説明する。
1.実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成図である。携帯電話の通信ネットワークである移動体コア網1と、移動体コア網1と通信を行うためのインタフェースとしてL2SW2があり、このL2SW2はGPS衛星3からのGPS信号受信機能をもつ。L2SW2はOLT4を収容し、OLT4は光スプリッタ5を用いることで複数のONU6を収容できる。ONU6は基地局7、又はフェムトセル8を収容する。ここでは、マスタ側のOLT4に時刻同期機能を具備する事により、スレーブ側の基地局7、又はフェムトセル8がGPS信号受信機を具備せずに時刻同期を実現する方法について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1のOLT4の機能ブロック図である。OLT4は、ディスカバリ機能により定期的にOLT4−ONU6間の距離測定(レンジング)をしており(10)、又、L2SW2−OLT4間の時刻同期処理を行っている(11)。OLT4は、L2SW2から受信したパケットを確認し(12)、GPS衛星より受信した時刻情報を持つIEEE1588のパケットである場合、L2SW2より受信したパケットから宛先のONU6の情報を読み取り(13)、L2SW2から受信した時刻情報を持つIEEE1588のパケットに含まれているタイムスタンプを取得し(14)、宛先のONU6とのレンジング情報を持つ遅延時間テーブル(15)を参照し、OLT4−ONU6間の遅延時間を加算する事によりタイムスタンプを補正した後(16)、補正したタイムスタンプを受信した時刻情報を持つIEEE1588のパケットに含まれているタイムスタンプに書き換え(17)、宛先のONU6へパケットを送信する(18)。タイムスタンプを補正した値に書き換える事により、基地局7、又はフェムトセル8は、GPS信号受信機を具備せずに、高精度な時刻情報を取得し、時刻同期を図る事が可能となる。
【0019】
図3は、本発明の関連技術の時刻同期シーケンスである。
本発明の実施の形態1のシーケンスを説明する前に、本発明の関連技術についてのシーケンスを図3で説明する。なお、以降の説明では、マスタであるL2SW2からOLT4までの伝搬遅延を300マイクロ秒、OLT4からONU6までの伝搬遅延を100マイクロ秒、ONU6から基地局7までの伝搬遅延を0.01マイクロ秒と仮定する。すなわちL2SW2から基地局7までの伝搬遅延の総和は、上記の合計である400.01マイクロ秒である。
IEEE1588に規定される処理の第1段階として、マスタであるL2SW2からタイムスタンプを入れたパケット100をOLT4およびONU6を経由してスレーブである基地局7に繰り返し送信する。L2SW2の時刻タイマ値が10,000マイクロ秒の時刻に、この値をタイムスタンプ値として挿入されたパケット100−1が送信される。本パケットは、L2SW2から基地局7までの伝搬遅延後(すなわち400.01マイクロ秒後)に基地局7に受信され、基地局7の時刻タイマは10,000マイクロ秒にセットされる。以下続いて受信されるパケット100の値は基地局7内でモニタされ時刻タイマの周期を同期させ続ける。この段階では、マスタ〜スレーブ間の信号伝搬遅延は反映されず、L2SW2の時刻タイマが10,500.01マイクロ秒の時、基地局7の時刻タイマは10,100マイクロ秒であって、時刻の絶対値が同期できていない。
続いて第2段階として、基地局7の時刻タイマ値が11,100マイクロ秒の時刻に基地局7よりL2SW2に往復伝搬遅延時間を測定するためのパケット101−1を送信する。パケット101−1はPON上り信号のTDMA制御に起因する待ち時間だけONU6内部に留めおかれ、この例では、待ち時間は予め1,000秒と定められているものとし、1,000秒後にL2SW2に向けたパケット101−2が送信される。L2SW2はL2SW2の時刻タイマ値が12,900.02(=11,500.01+400.01+1,000)マイクロ秒の時刻に上記パケット101−2を受信し、無視できるほど小さい規定時間以内に(例えばIEEE1588の時刻制度の単位である1ナノ秒以下の時間で)、返信パケット102を基地局7に向けて返信する。基地局7は、基地局7の時刻タイマ値が12,900.02マイクロ秒の時刻に同パケット102を受信し、同パケット102の受信時刻とパケット101−1の送信時刻(11,100マイクロ秒)から往復伝搬遅延時間を測定し、1,800.02マイクロ秒との値を得、片道遅延時間を半分の値である900.01マイクロ秒と判断する。基地局7は、基地局7の時刻タイマ値12,900.02マイクロ秒に片道遅延時間900.01マイクロ秒を加算し、時刻タイマ値を13,800.03マイクロ秒に更新する。しかし、この時刻にL2SW2の時刻タイマは13,300.03であり、2つのタイマは時刻同期していない。これは、ONU6にてパケット101−1が1,000マイクロ秒だけ留めおかれたためである。このため、正しくは400.01マイクロ秒である下り片道伝搬遅延を、900.01マイクロ秒と誤った値が算出される原因となっていた。
【0020】
図4は、本発明の実施の形態1の時刻同期シーケンスである。OLT4は、信号103をONU6に送信し、ONU6が返信する信号014の受信時刻からOLT4とONU6の間の往復遅延時間を測定し、その半分の値をとることで片道伝搬遅延時間を得る。このプロセスの信号104はONU6が受信すると直ちに返信することがIEEE802.3規格64章に規定されており、正しい片道伝搬遅延時間が得られる。上記の様に、レンジングによりOLT4−ONU6間の伝搬遅延時間を求める事ができ、本発明の各実施の形態ではその半分の時間を使用する。
続いて、L2SW2とOLT4の間の時刻同期を以下の手順で行う。第1段階として、L2SW2の時刻タイマ値が、例えば、10,000マイクロ秒の時刻に、この値をタイムスタンプ値として挿入されたパケット105−1がOLT4に送信される。本パケットは、L2SW2からOLT4までの伝搬遅延後(すなわち300マイクロ秒後)にOLT4に受信され、OLT4の時刻タイマは10,000マイクロ秒にセットされる。以下続いて受信されるパケット105−2の値はOLT4内でモニタされ時刻同期タイマの周期を同期させ続ける。なお、ここでL2SW2からOLT4へ送信される105−1と105−2のパケットは同報宛である。以降、この時刻同期をするための信号を時刻同期メッセージと呼称する。
第2段階として、OLT4の時刻タイマ値が、例えば11,100マイクロ秒の時刻にOLT4よりL2SW2に往復伝搬遅延時間を測定するためのパケット106を送信する。L2SW2はL2SW2の時刻タイマ値が11,700マイクロ秒の時刻に上記パケット106を受信し、返信パケット107をOLT4に向けて返信する。OLT4は、OLT4の時刻タイマ値が11,700秒の時刻に同パケット107を受信し、同パケット107の受信時刻とパケット107の送信時刻(11,100マイクロ秒)から往復伝搬遅延を測定し、600マイクロ秒との値を得、片道伝搬遅延時間を半分の値である300マイクロ秒と判断する。OLT4は、OLT4の時刻タイマ値11,700マイクロ秒に片道伝搬遅延時間300マイクロ秒を加算し、時刻タイマ値を12,000マイクロ秒に更新する。こうしてL2SW2とOLT4の時刻タイマが同期した。
次にL2SW2の時刻タイマ値が13,000マイクロ秒の時刻に、この値をタイムスタンプ値として挿入された時刻同期メッセージ108−1がOLT4に送信される。OLT4では、時刻同期メッセージのタイムスタンプ値13,000に、上記レンジングにて測定したOLT4からONU6への遅延時間100マイクロ秒と、上記時刻同期にて得られたL2SW2からOLT4への遅延時間300マイクロ秒を加算して、13,400マイクロ秒に書き換えられたタイムスタンプ値の時刻同期メッセージ108−2を基地局7に向けて送信する。このタイムスタンプ値の書き替えは各ONU6に対して実行され、又、タイムスタンプ値の書き替え時間は1ns以下であり、タイムスタンプ値の書き替え時間による影響はないものとする。以後、L2SW2の時刻タイマ値が14,000マイクロ秒の時刻にも同じ処理を繰り返し、L2SW2の時刻タイマ値が14,400.01秒の時刻に、基地局7の時刻タイマは14,400マイクロ秒にセットされ、誤差0.01マイクロ秒で時刻同期が完了した。
【0021】
図5は、本発明の実施の形態1のOLT4の時刻同期フローチャートである。OLT4は、L2SW2からパケットを受信すると、ONU6毎にレンジング処理を行い(20)、又、L2SW2〜OLT4間の時刻同期処理を図4で述べた通りL2SW2〜OLT4間の往復伝搬遅延時間から片道伝搬遅延時間を算出し、OLT4の時刻タイマに加算してL2SW2〜OLT4間の時刻同期を行う(21)。次に、受信したパケットが、時刻情報を持つIEEE1588のパケットであるかを確認する(22)。受信したパケットが、時刻情報を持つIEEE1588のパケットであれば、受信したパケットの送信先のONU6を確認し(23)、受信したパケットに含まれているタイムスタンプ値を取得し(24)、送信先のONU6とのレンジング情報よりOLT4〜ONU6間の遅延分を加算してタイムスタンプを補正し(25)、受信したパケットのタイムスタンプへ書き替え(26)、送信先のONU6へパケットを送信する(27)。又、OLT4は、L2SW2から受信したパケットが、時刻情報を持つIEEE1588のパケットでない場合、上記その他の処理後(28)、例えばOLT4はONU6登録時に受信フレームの取捨選択を判断するためのLLID(Logical Link ID)という識別子を決定しているので、OLT4にて受信したパケットの宛先ONU6に該当するLLIDを受信したパケットへ書き込み、ONU6へパケットを送信する(27)。
【0022】
2.実施の形態2
2−1.実施の形態2−1
次に、本発明の実施の形態2について説明する。装置の構成、ブロック図は実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1よりも高精度な時刻同期を実現する方法について説明する。
図6は、実施の形態2−1の時刻同期シーケンスである。実施の形態1では、L2SW2と基地局7の時刻タイマ値に0.01マイクロ秒の誤差が発生していた。これは、特に、ONU6と基地局7の間の伝搬時間を補正する機能がなかったためである。実施の形態2−1のシーケンス図では、基地局7は遅延測定信号109をONU6に向けて送信し、ONU6は遅延測定信号110を返すことで、基地局7とONU6間の往復伝搬遅延時間を測定し、片道伝搬遅延時間を求める。基地局7は、時刻タイマ値に片道伝搬遅延時間を加算し、0.01マイクロ秒の誤差を補正することができる。この例では、基地局7がパケット109の送信時刻15,000マイクロ秒と、パケット110の受信時刻15,000.02マイクロ秒から、この誤差が測定される。
【0023】
2−2.実施の形態2−2
図7は、実施の形態2−2のONU6のブロック図である。ONU6は、レンジング処理(30)にて、OLT4が測定したOLT4−ONU6間の遅延時間とL2SW2−OLT4間の遅延時間の情報をOLT4より転送され、遅延時間テーブル(31)に記憶している。一方、ONU6は、基地局7より遅延測定信号を受信(32)すると受信パケットを確認し(33)、タイムスタンプを取得し(34)、遅延時間テーブル(31)を参照し、記憶しているL2SW2−ONU6間の総遅延時間の2倍の時間後に(35)、遅延測定信号を基地局7へ返信する(36)。基地局7は遅延測定信号の受信時刻から伝搬遅延の値を算出し、時刻同期を図る事が可能となる。
図8は、実施の形態2−2の時刻同期シーケンスである。この例では、図4で説明したシーケンスで、パケット103〜107の送受信等により、L2SW2とOLT4の間の時刻同期を行うが、OLT4は、L2SW2から基地局7に向けて送信される時刻同期メッセージのタイムスタンプ値の書き替えを行わない。代わりに、レンジングにて測定した(パケット103、104等)OLT4からONU6への遅延時間100マイクロ秒と、時刻同期にて得られた(パケット106、107等)L2SW2からOLT4への遅延時間300マイクロ秒、合計400マイクロ秒の情報がOLT4からONU6に転送され(200)記憶される。なお、転送及び/又は記憶される情報は、OLT4からONU6への遅延時間100マイクロ秒とL2SW2からOLT4への遅延時間300マイクロ秒のそれぞれでもよいし、両遅延時間を合計して求めた総遅延時間のみでもよいし、これら両方でもよい。合計の計算もOLT4又はONU6のどちらで行ってもよい。一方、基地局7は遅延測定信号111をONU6に向けて送信し、ONU6は上記の記憶したL2SW2−ONU6間の総遅延時間(400マイクロ秒)の値の2倍である800マイクロ秒後に遅延測定信号112を返す。基地局7は遅延測定信号112の受信時刻に基づいて400マイクロ秒の伝搬遅延の値を算出し、時刻タイマ値を補正することができる。
【0024】
図9は、本発明の実施の形態2−2の時刻同期フローチャートである。OLT4は、L2SW2から時刻同期メッセージを受信すると、L2SW2とOLT4の間の時刻同期処理を行い(40)、時刻同期にて得られたL2SW2からOLT4への遅延時間と、レンジングにて測定したOLT4からONU6への遅延時間の情報をOLT4からONU6へ送信する。この際、ONU6へ送信する時刻同期メッセージのタイムスタンプの書き替えは行わない。
図10は、本発明の実施の形態2−2のONU6の時刻同期フローチャートである。図10(A)に示すように、ONU6は、OLT4より時刻同期メッセージを受信すると、タイムスタンプを取得し(50)、タイムスタンプより、OLT4より受信し記憶したL2SW2〜ONU6間の総遅延時間の値を加算し補正する(51)。補正したタイムスタンプを受信した時刻同期メッセージへ挿入し(52)、基地局7へ送信する(53)。また、図10(B)に示すように、ONU6は、基地局7より遅延測定信号を受信すると(54)、上記で記憶したL2SW2〜ONU6間の遅延時間の2倍の時間後(55)に基地局7へ遅延測定信号を送信する。
【0025】
2−3.実施の形態2−3
図11は、本発明の実施の形態2−3の時刻同期シーケンスである。第1段階として、L2SW2の時刻タイマ値が10,000マイクロ秒の時刻に、この値をタイムスタンプ値として挿入されたパケット113−1がOLT4に送信される。本パケットは、L2SW2からOLT4までの伝搬遅延後(すなわち300マイクロ秒後)にOLT4にて受信される。OLT4は、上り信号のONU6内での滞留時間の最悪値(例えば、1000マイクロ秒)の半分、この例では500マイクロ秒の値を、パケット113−1中のタイムスタンプ値から減算し、9,500マイクロ秒に書き換えて基地局7に向けて送信する。この段階で、基地局7の時刻タイマは、最悪遅延量を織り込んだ値で時刻同期が行われる。なお、この滞留時間の最悪値は、測定値、経験値、統計値等により予め適宜定められる。
続いて第2段階として、基地局7の時刻タイマ値が10,000マイクロ秒の時刻に基地局7よりL2SW2に往復伝搬遅延時間を測定するためのパケット114−1を送信する。パケット114−1はPON上り信号のTDMA制御に起因する待ち時間だけONU6内部に留めおかれ、この例では800マイクロ秒後にL2SW2に向けたパケット114−2が送信される。この時ONU6は、待ち時間800マイクロ秒の値を記憶しておく。なお、この待ち時間は、測定値、経験値、統計値等により予め適宜定められる。L2SW2はL2SW2の時刻タイマ値が12,100.02(=10,900.01+0.01+800+100+300)マイクロ秒の時刻に上記パケット114−2を受信し、この時刻タイマ値をタイムスタンプに挿入した返信パケット115を基地局7に向けて返信する。基地局7は、基地局7の時刻タイマ値が11,600.02マイクロ秒の時刻に同パケット115を受信し、同パケット115の受信時刻とパケット114−1の送信時刻10,000マイクロ秒から往復伝搬遅延時間を測定し、1,600.02マイクロ秒との値を得、片道伝搬遅延時間を半分の値である800.01マイクロ秒と判断する。基地局7は、基地局7の時刻タイマ値11,600.02マイクロ秒に片道伝搬遅延時間800.01マイクロ秒を加算し、時刻タイマ値を12,400.03マイクロ秒に更新する。この時点で、L2SW2の時刻タイマと基地局7の時刻タイマ値はまだ一致していない。
続いて第3段階として、L2SW2の時刻タイマ値が13,000マイクロ秒の時刻に、この値をタイムスタンプ値として挿入されたパケット116−1がONU6に送信される。ONU6は、タイムスタンプ値13,000マイクロ秒から、(上り信号のONU6内での滞留時間の最悪値1,000マイクロ秒−実際の上り信号のTDMA制御に起因するONU6内での待ち時間800マイクロ秒)の2倍の値である400マイクロ秒の値を減算して、基地局7に向けて送信する。L2SW2の時刻タイマ値が13,100マイクロ秒の時刻にも同じ処理を繰り返す。基地局7が、この補正されたタイムスタンプ値と過去の伝搬遅延時間測定により計算された補正値(片道伝搬遅延時間)800.01マイクロ秒の加算を行うことで時刻タイマ値をセットして再同期すると、実際の遅延量に基づいた時刻同期が完了する。
【0026】
3.実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3について説明する。装置の構成は実施の形態1と同様であるが、実施の形態1との違いは、GPS信号受信機がL2SW2ではなく、基地局7、又はフェムトセル8のいずれかに具備されている事である。ここでは、例えばある基地局7−1にGPS信号受信機を具備する事により、他の基地局7−2がGPS信号受信機を具備せずに時刻同期を実現する方法について説明する。なお、GPS信号受信機を具備するのはフェムトセル8であってもよい。
図12は、本発明の実施の形態3のONU6のブロック図である。ONU6は、基地局7より時刻同期メッセージを受信(60)すると受信パケットを確認し(61)、タイムスタンプを取得し(62)、ONU6内での滞留時間をタイムスタンプ値へ加算し(63)、OLT4へ送信する(64)。
図13は、本発明の実施の形態3のOLT4のブロック図である。OLT4は、ここではONU6−1より時刻同期メッセージのパケットを受信すると(70)、OLT4内部でパケットを折り返し、ONU6−2へ送信する。
【0027】
図14は、本発明の実施の形態3の時刻同期シーケンスである。第1段階として、基地局7−1の時刻タイマ値が10,000マイクロ秒の時刻に、この値をタイムスタンプ値として挿入されたパケット117−1がONU6−1に送信される。本パケットは、基地局7−1からONU6−1までの伝搬遅延後(すなわち0.01マイクロ秒後)にONU6−1にて受信される。ONU6−1は、TDMA制御による上り信号のONU6−1内での滞留時間、例えば1,000マイクロ秒の値を、パケット117−1中のタイムスタンプ値へ加算し、11,000マイクロ秒に書き換えて、OLT4に向けて送信する。本パケットを受信したOLT4は、OLT4内部でパケットを折り返し、OLT4配下の各ONU6(例ではONU6−2)に接続されている基地局7−2に向けて送信する。
続いて第2段階として、基地局7−2の時刻タイマ値が20,000マイクロ秒の時刻に基地局7−2より基地局7−1に往復伝搬遅延時間を測定するためのパケット118−1を送信する。パケット118−1はONU6−2内部にTDMA制御による上り信号の待ち時間(滞留時間)だけ留めおかれ、この例では1,000マイクロ秒後に基地局7−1に向けたパケット118−2が送信される。基地局7−1は基地局7−1の時刻タイマ値が21,200.02(=20,000+0.01+1000+100+100+0.01)マイクロ秒の時刻に上記パケット118−2を受信し、この値をタイムスタンプ値として挿入した返信パケット119−1を基地局7−2に向けて返信する。ONU6−1は、パケット119−1のタイムスタンプ値にONU6−1内での滞留時間を加算し、タイムスタンプ値を置き換えて基地局7−2に向けて送信する。基地局7−2は、基地局7−2の時刻タイマ値が22,400.04(=21,200.02+0.01+1000+200+0.01)マイクロ秒の時刻にONU6−1にて伝搬遅延時間を加算されたパケット119−2を受信し、同パケット119−2の受信時刻とパケット118−2の送信時刻(20,000マイクロ秒)から往復伝搬遅延時間を測定し、2400.04マイクロ秒との値を得、それからPON上り信号と下り信号の両方のTDMA制御に起因する待ち時間(滞留時間)(1000マイクロ秒×2)を減算し、片道伝搬遅延時間を半分の値である200.02マイクロ秒と判断する。
続いて第3段階として、基地局7−1の時刻タイマ値が30,000マイクロ秒の時刻に、この値をタイムスタンプ値として挿入されたパケット119−3が基地局7−2に送信される。ONU6−1は、タイムスタンプ値30,000マイクロ秒に、PON上り信号のTDMA制御に起因する待ち時間の値である1,000マイクロ秒の値を加算して、タイムスタンプ値を書き換え、基地局7−2に向けて送信する。基地局7−2が、この補正されたタイムスタンプ値と過去の伝搬遅延時間測定による補正値200.02マイクロ秒の加算を行った値に時刻タイマ値をセットすることで、時刻タイマ値を同期することにより、時刻同期が完了する。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上では、マスタ装置をL2SWとし、スレーブ装置を基地局とした実施の形態、及び、マスタ装置を基地局とし、スレーブ装置を他の基地局とした実施の形態について説明したが、本発明は、これに限らず、マスタ装置及びスレーブ装置を適宜の通信装置等の装置に適用することができる。
基準となる時刻情報をGPS衛星より受信している例を説明したが、本発明は、これに限らず適宜の基準時刻発生装置からの時刻情報を用いることができる。
【符号の説明】
【0029】
1…移動体コア網、2…L2SW、3…GPS衛星、4…OLT、5…光スプリッタ、6…ONU、7…基地局、8…フェムトセル、10…レンジング処理部、11…L2SW2−OLT4間時刻同期処理部、12…受信パケット確認部、13…宛先ONU確認部、14…タイムスタンプ取得部、15…遅延時間テーブル(OLT4−ONU6間)、16…タイムスタンプ補正部、17…タイムスタンプ書替部、18…パケット送信処理部、30…レンジング処理部、31…遅延時間テーブル(L2SW2−OLT4間,OLT4−ONU6間)、32…遅延測定信号処理部、33…受信パケット確認部、34…タイムスタンプ取得部、35…L2SW2−ONU6間の総遅延時間×2倍待機部、36…パケット送信処理部、60…時刻同期メッセージ受信部、61…受信パケット確認部、62…タイムスタンプ取得部、63…タイムスタンプ加算部、64…パケット送信処理部、70…パケット送受信処理部、71…パケット折り返し処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム及び時刻同期方法に係り、特に、PON(Passive Optical Network)を用いた装置間の通信システム及び時刻同期方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを用いる公衆回線網の一つにIEEE802.3ahで標準化されたGE−PONがある。 GE−PONは、従来LANで使われていた技術であるGigabit Ethernet(登録商標)を応用し、局側装置よりユーザ端末までEthernet(登録商標)のパケットを双方向に最大1Gbpsのサービス提供が可能である。PONはOLT(Optical Line Terminal)と複数のONU(Optical Network Unit)を備え、ONUに接続された端末(PC他)からの信号を光信号でONU→光ファイバ→光スプリッタを介しOLTへの光ファイバと光学(時分割)多重してOLTに送り、OLTが各種信号処理後、あるONUの端末から該PONの他のONUの端末との通信あるいはNWの端末との通信を行う。各ONUは例えば光ファイバ長0〜20kmの範囲の中に任意に設置されるので、このままでは伝送遅延が異なり、各ONUから出力される光信号同士が衝突・干渉する可能性がある。したがってIEEE802.3の64章に記載されているように、レンジングという技術を用いて、各ONUがあたかも等距離に設置されたかのように各ONUからの出力信号の遅延を調整して、OLTへの光ファイバ上で各ONUからの光信号が干渉しないようにしている。
【0003】
一方、携帯電話は、端末の移動に従って最も受信感度の高い基地局に交信相手を切り替えるハンドオーバー機能を持っている。電気通信において、例えば、半径数10m程度の極めて小さな範囲の携帯電話の通話エリア、又はその基地局をフェムトセルと呼ぶ。従来の基地局おいて、ビルの中や地下等では、電波強度が微弱となり通信しづらい場所が残る場合があるが、このような場所にフェムトセルを配置することにより、通話エリアの穴を埋めることが可能となる。
CDMA2000やLTE等ではハンドオーバー機能や通信品質向上のために基地局間の、例えば1μs未満の精度での時刻同期が必要である。基地局にGPS信号受信機を設置し、それにより時刻同期を図るのが一般的であるが、地下街などの基地局ではGPS信号受信機の設置が困難であることが想定され、又、フェムトセルのような超小型基地局では経済的にもGPS信号受信機を設置するのは難しい場合が考えられる。したがって、上記説明したPONを介して家庭内にフェムトセルを設置するシステムにおいて、ネットワークを介して正確な時刻同期を実現する必要が生じる。
ネットワークでの時刻情報提供手段として現在最も有力な方式として、IEEE1588による時刻情報配信が挙げられる。本方式の詳細はIEEE1588 Tutorialに記載されているが、第1段階として、マスタ側からタイムスタンプを入れたパケットをスレーブ側に繰り返し送信することで、スレーブ側の時刻タイマ周期とマスタ側の時刻タイマ周期を同期させる。この段階では、マスタ〜スレーブ間の信号伝搬遅延が不明のため、時刻タイマ周期は同期できても、時刻の絶対値が同期できない。続いて第2段階として、スレーブ側よりマスタ側に往復伝搬遅延(マスタ〜スレーブ間のラウンドトリップタイム)を測定するためのパケットを送信する。マスタ側は上記パケットを受信すると規定時間以内に同パケットをスレーブ側に向けて返信する。同パケットを受信したスレーブ側は、同パケットの受信時刻と送信時刻から往復伝搬遅延を測定し、スレーブ側からマスタ側までの伝搬遅延と、マスタ側からスレーブ側までの伝搬遅延がほぼ等しいという仮定に基づき、上記測定した往復伝搬遅延の半分の値をマスタ側からスレーブ側までの伝搬遅延とみなす。続いて上述のマスタ側で付与されたタイムスタンプ値と、上記求めたマスタ側からスレーブ側までの伝搬遅延を用いて、マスタ側とスレーブ側の時刻タイマの絶対値を同期させている。
上記時刻配信用のパケットをスイッチやルータを介して伝送するとパケット遅延にゆらぎが生じるため、リンクバイリンクでの適用が望ましい。ただし複数回の試行後に平均値をとるなど、ある程度の統計量をもって精度を出すことも可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】IEEE802.3規格64章
【非特許文献2】IEEE1588 Tutorial
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PONを介したネットワークにおいて上記従来技術を用いた場合、上記の一般的な方法では時刻同期の精度が十分出ない場合があるという課題がある。この理由を以下に説明する。PONでは局側から加入者側への下り信号はOLTに接続されるすべてのONUに同報で信号が伝送される。したがって下り信号の伝搬遅延は、光ファイバ長に比例する伝送遅延(例えば、せいぜい数100マイクロ秒程度)と、OLTおよびONU内の処理遅延(例えば、トラヒックの輻輳がなければ通常数10ナノ秒程度)の和に止まる。一方、加入者側から局側への上り信号は、OLTに接続されるそれぞれのONUがTDMA(Time Division Multiple Access)方式に基づいて順番に信号を伝送している。この順番はOLTの制御のもとに、例えば、数ミリ秒程度の周期で行われており、ONUからの信号は最大前記制御周期の時間だけONU内部で待たされる。すなわち、上り信号の伝搬遅延は、下り信号の伝搬遅延要因に加えて(上述の例では数100マイクロ秒程度)、TDMAの制御周期である、例えば数ミリ秒を加えた大きな値になるという特徴がある。このように下り信号の伝搬遅延と上り信号の伝搬遅延に大きな差がある状況では、上記説明した往復遅延時間測定に基づくIEEE1588の遅延推定メカニズムでは正しい伝搬遅延時間が推定できず、結果として正しい時刻同期が妨げられる可能性がある。
本発明の目的は、以上の点に鑑み、局側装置、基地局又は端末装置等のマスター装置に対して基地局又は端末装置等のスレーブ装置の高精度な時刻同期を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
PONシステムは従来技術の項にて説明したように、OLTとONUの間の伝搬遅延を測定するレンジングと呼ばれるメカニズムを有している。上記課題は、IEEE1588で用いられる時刻情報を、レンジングで求めたOLTからONUまでの伝搬遅延時間で補正することにより解決される。
具体的に上記課題を解決する第1の手段は以下の通りである。
従来のIEEE1588等の遅延推定メカニズムを用いてマスタからOLTまでの伝搬遅延を求め、さらにレンジングにより求めたOLTからONUまでの伝搬遅延を加算して、マスタからONUまでの伝搬遅延を求める。従来のIEEE1588の第1段階で伝達されているタイムスタンプ値に、上記求めたマスタからONUまでの伝搬遅延を加えることによって、スレーブ側で受信されるタイムスタンプ値はONUまでの伝搬遅延を繰りこんだ時刻となる。すなわちスレーブ側はIEEE1588等のメカニズムの第1段階のみで、第2段階を使用することなく、時刻タイマの絶対値の同期が可能となる。この加算処理はOLT内部、又はONU内部でIEEE1588仕様のパケットのタイムスタンプ値を書き換えることで実現可能である。
ONUとスレーブ間の接続ケーブル長はせいぜい数メートルであり、ONUからスレーブまでの伝搬遅延時間は数10ナノ秒程度であるため、無視することも可能であるが、IEEE1588等の遅延推定メカニズムを用いてONUからスレーブまでの伝搬遅延を求め、上記タイムスタンプ値にONUからスレーブまでの伝搬遅延をONU内にてさらに加算することで、さらに精度の良い時刻同期を行うことも可能である。
【0007】
又、具体的に上記課題を解決する第2の手段は以下の通りである。
従来のIEEE1588等の遅延推定メカニズムを用いてマスタからOLTまでの伝搬遅延を求め、さらにレンジングにより求めたOLTからONUまでの伝搬遅延を加算して、マスタからONUまでの伝搬遅延を求める。この伝搬遅延の値をONUに転送する。続いて、従来のIEEE1588等の第2段階の遅延推定メカニズムを用いて、スレーブ側が遅延測定用パケットを伝送すると、それをモニタしたONUは遅延測定用パケットをマスタに向けて伝送することなく廃棄し、さらにONUは遅延測定用パケットの到着時刻後、上記求めたマスタからONUまでの伝搬遅延時間の2倍の時間後に返信用遅延測定用パケットを生成し、スレーブに向けて送り返す。スレーブ側はこの遅延測定用パケットに基づいて時刻タイマを同期するため、TDMAによる遅延の影響は除去される。
【0008】
又、具体的に上記課題を解決する第3の手段は以下の通りである。
従来のIEEE1588等の第1段階で伝達されているタイムスタンプ値に、上記説明したTDMAの制御周期の半分の値を減算して、スレーブ側の時刻タイマを同期させる。続いて従来のIEEE1588等の第2段階の遅延推定メカニズムを用いて、マスタからスレーブまでの伝搬遅延時間を求め、スレーブ側の時刻タイマを同期させる。この段階で、スレーブ側の時刻タイマは、TDMAによる最悪遅延量を繰りこんだ値で時刻同期が行われる。しかし、TDMA制御による実際の遅延量は、伝搬遅延測定パケットのONU到着時刻とOLTによるTDMA制御周期に依存しており、TDMA制御周期とは異なる。そこで上記IEEE1588の第2段階の遅延推定メカニズムにおいて、ONUは伝搬遅延測定パケットを受信してから送信するまでの時間を測定し記憶しておく。IEEE1588の第2段階の遅延推定メカニズム終了後、周期的にIEEE1588の第1段階でタイムスタンプ値の伝達が行われるので、ONUはこのタイムスタンプ値より、(TDMAの制御周期(最悪遅延量)−実際の遅延量)等の2倍の値を減算する(又は、上り信号のONU6内での滞留時間の最悪値−実際の上り信号のTDMA制御に起因するONU6内での待ち時間)の2倍の値を減算する)。スレーブ側がこの補正されたタイムスタンプ値と過去の伝搬遅延時間測定による補正値に基づいてタイマ値を再同期すると、実際の遅延量に基づいた時刻同期が完了する。
【0009】
本発明によると、例えば、OLT、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONUから構成されるPONと、時刻情報を発信するマスタ装置と、前記時刻情報を受信するスレーブ装置とから構成される通信システムにおいて、
前記OLTは、レンジングプロセスにより取得した前記OLTと前記ONUとの間の信号転送遅延量を用いて受信した前記時刻情報を補正する部分と、前記補正した時刻情報を送信する時刻情報送信部を有することを特徴とする通信システムが提供される。
前記ONUは、前記OLTが管理する前記信号転送遅延量に基づき受信した前記時刻情報を補正する機能と、前記補正した時刻情報を送信する時刻情報送信部を有することができる。
前記時刻情報はGPS衛星からの受信信号としてもよい。
前記OLTは、前記時刻情報に、前記マスタ装置と前記OLTの間の信号転送遅延量と、前記OLTと前記ONUとの間の信号転送遅延量を加算して補正することができる。
前記OLTは、前記マスタ装置と前記OLTの間の信号転送遅延量を測定する手段を有し、
前記ONUは、前記マスタ装置と前記OLTの間の信号転送遅延量と、前記OLTと前記ONUとの間の信号転送遅延量を受信する手段を有し、前期スレーブ装置から遅延時間測定用信号を受信すると、前記マスタ装置と前記OLTの間の信号転送遅延量と、前記OLTと前記ONUとの間の信号転送遅延量の2倍の時間後に前期遅延時間測定用信号を前記スレーブ装置に向けて返信することを特徴とすることができる。
前記ONUは、受信した前記時刻情報を補正する機能と、前記補正した時刻情報を送信する時刻情報送信部を有し、
さらに前期スレーブ装置から遅延時間測定用信号を受信してから前記OLTに向けて前期遅延時間測定用信号を送信するまでの時間を記憶する機能を有し、受信した前記時刻情報を前期スレーブ装置から遅延時間測定用信号を受信してから前記OLTに向けて前期遅延時間測定用信号を送信するまでの時間を用いて補正することを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明によると、例えば、OLT、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONUから構成されるPONと、時刻情報を発信するマスタ装置と、前記時刻情報を受信するスレーブ装置とから構成される通信システムにおいて、
GPS衛星からの受信信号である前記時刻情報を終端する時刻情報終端部と、受信した前記時刻情報により前記OLT時刻の時刻同期を行う時刻同期部と、時刻同期を行った前記OLT時刻より時刻同期用パケットを生成する時刻同期用パケット生成部と、生成した前記時刻同期用パケットを送信する時刻情報送信部を有する前記OLTと、前記通信回線を介して前記OLTからの前記時刻同期用パケットを受信し、前記時刻同期用パケットを終端する時刻同期用パケット終端部と、受信した前記時刻同期用パケットにより前記ONU時刻の時刻同期を行う時刻同期部と、時刻同期を行った前記ONU時刻より時刻同期用パケットを生成する時刻同期用パケット生成部と、生成した時刻同期用パケットを送信する時刻情報送信部を有する前記ONUを有する通信システムが提供される。
【0011】
さらに、本発明によると、例えば、OLT、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONUから構成されるPONと、時刻情報を発信するマスタ装置と、前記時刻情報を受信するスレーブ装置とから構成される通信システムにおいて、
GPS衛星からの前記時刻情報を受信できるGPS受信機を有する装置を収容する前記ONUと、前記時刻情報を送信する前記時刻情報送信部を有する前記ONUと、受信した前記時刻情報を前記OLT内で折り返す機能を有するOLTを有する通信システムが提供される。
前記OLT内で折り返した前記時刻情報を、前記ONUの情報より時刻情報を補正する機能と、補正した前記時刻情報を前記ONUへ送信する機能を有する前記OLTと、送信された前記OLT内で折り返された前記時刻情報を受信する機能と、受信した前記OLT内で折り返された前記時刻情報により時刻同期を行う機能を有する前記ONUを有することができる。
【0012】
本発明の第1の解決手段によると、
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記OLTに接続されて基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、各前記ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおいて、
前記OLTは、第1遅延測定信号を前記ONUに送信し、前記ONUから該第1遅延測定信号に対する第1返信信号を受信し、該第1遅延測定信号の送信時刻と該第1返信信号の受信時刻との差の半分の値から、OLT−ONU間片道伝搬遅延時間を判定する、第1レンジング処理と、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、該時刻同期メッセージを受信して前記OLTの時刻タイマを該タイムスタンプ値にセットする、第1段階時刻同期処理と、
前記OLTは、前記マスタ装置に第2遅延時間測定信号を送信し、前記マスタ装置から該第2遅延測定信号に対する第2返信信号を受信し、該第2遅延時間測定信号の送信時刻と該第2返信信号の受信時刻との差の半分の値からマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を判定し、前記OLTは、前記OLTの時刻タイマ値にマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を加算した値に、前記OLTの時刻タイマ値を更新する、第2段階時刻同期処理と、
前記マスタ装置は、時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、該時刻同期メッセージのタイムスタンプ値に、前記第1レンジング処理にて得られたOLT−ONU間片道伝搬遅延時間と、上記第2段階時刻同期処理にて得られたマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間とを加算した値に、タイムスタンプ値を書き換え、書き換えられたタイムスタンプ値を含む時刻同期メッセージを前記スレーブ装置に送信し、前記スレーブ装置は、前記スレーブ装置の時刻タイマをタイムスタンプ値にセットする、第3段階時刻同期処理と
を備えた通信システム、及び、前記通信システムにおける時刻同期方法が提供される。
【0013】
本発明の第2の解決手段によると、
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記OLTに接続されて基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、各前記ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおいて、
前記OLTは、第1遅延測定信号を前記ONUに送信し、前記ONUから該第1遅延測定信号に対する第1返信信号を受信し、該第1遅延測定信号の送信時刻と該第1返信信号の受信時刻との差の半分の値から、OLT−ONU間片道伝搬遅延時間を判定する、第1レンジング処理と、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、該時刻同期メッセージを受信して前記OLTの時刻タイマを該タイムスタンプ値にセットする、第1段階時刻同期処理と、
前記OLTは、前記マスタ装置に第2遅延時間測定信号を送信し、前記マスタ装置から該第2遅延測定信号に対する第2返信信号を受信し、該第2遅延時間測定信号の送信時刻と該第2返信信号の受信時刻との差の半分の値からマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を判定し、前記OLTは、前記OLTの時刻タイマ値にマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を加算した値に、前記OLTの時刻タイマ値を更新する、第2段階時刻同期処理と、
前記ONUは、前記第1レンジング処理により測定されたOLT−ONU間片道伝搬遅延時間と前記第2段階時刻同期処理にて得られたマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間、及び/又は、該マスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間と該OLT−ONU間片道伝搬遅延時間を合計したマスタ装置−ONU間総片道伝搬遅延時間を、前記OLTから受信及び記憶する、転送処理と、
前記スレーブ装置は、第3遅延測定信号を前記ONUに送信し、前記ONUは、マスタ装置−ONU間総片道伝搬遅延時間の2倍の時間後に、第3返信信号を、前記スレーブ装置に返送し、前記スレーブ装置は、前記第3遅延測定信号の送信時刻と前記第3返信信号の受信時刻との差によりマスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を判定し、該マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間により前記スレーブ装置の時刻タイマ値を補正する、第4段階時刻同期処理と
を備えた通信システム、及び、前記通信システムにおける時刻同期方法が提供される。
【0014】
本発明の第3の解決手段によると、
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記OLTに接続されて基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、各前記ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおいて、
前記マスタ装置は、時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した第1時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、前記ONU内での予め定められた滞留時間の最悪値の半分を、該第1時刻同期メッセージ中のタイムスタンプ値から減算してタイムスタンプ値を書き換えて前記スレーブ装置に送信する、第1段階同期処理と、
前記スレーブ装置は、前記マスタ装置に遅延時間測定信号を前記ONU送信し、前記ONUは、該遅延時間測定信号を、予め定められた待ち時間だけ内部に留めた後に、前記マスタ装置に向けて送信し、前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプに挿入した返信信号を前記スレーブ装置に返信し、前記スレーブ装置は、該遅延時間測定信号の送信時刻と該返信信号の受信時刻との差の半分の値からマスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を判定し、前記スレーブ装置は、前記スレーブ装置の時刻タイマ値に該マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を加算して時刻タイマ値を更新する、第2段階同期処理と、
前記マスタ装置は、時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入された第2時刻同期メッセージを前記ONUに送信し、前記ONUは、タイムスタンプ値から、(前記滞留時間の最悪値−前記待ち時間)の2倍の値を減算した値にタイムスタンプ値を補正し、該第2時刻同期メッセージに補正されたタイムスタンプ値を含めて前記スレーブ装置に送信し、前記スレーブ装置は、補正されたタイムスタンプ値と前記第2段階同期処理で求めた該マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間とを加算した値に、前記スレーブ装置の時刻タイマ値をセットする、第3段階同期処理と、
を備えた通信システム、及び、前記通信システムにおける時刻同期方法が提供される。
【0015】
本発明の第4の解決手段によると、
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記複数のONUのうちの第1ONUの配下にあり基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、前記複数のONUのうちの第2ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおいて、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した第1時刻同期メッセージを前記第1ONUに送信し、前記第1ONUは、前記第1ONU内での予め定められた第1滞留時間を、該第1時刻同期メッセージ中のタイムスタンプ値へ加算した値にタイムスタンプ値を書き換えた第1時刻同期メッセージを、前記第2ONUに接続されている前記スレーブ装置に向けて送信する、第1段階処理と、
前記スレーブ装置は、遅延時間測定信号を送信し、前記第2ONUは、該遅延時間測定信号を前記第2ONU内での予め定められた滞留時間後に送信し、前記マスタ装置は、該遅延時間測定信号を受信し、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した返信信号を返信し、前記第1ONUは、該返信信号を前記第1滞留時間後に送信し、前記スレーブ装置は、前記遅延時間測定信号の送信時刻と受信した前記返信信号の受信時刻との差から往復伝搬遅延時間を求め、さらに前記第1ONUの前記第1滞留時間及び前記第2ONUの前記第2滞留時間を減算することで、マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を判定する、第2段階処理と、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した第2時刻同期メッセージを送信し、前記第1ONUは、該第2時刻同期メッセージを受信し、第2時刻同期メッセージ中のタイムスタンプ値に前記第1滞留時間を加算した値にタイムスタンプ値を書き換えて送信し、前記スレーブ装置は、書き換えられたタイムスタンプ値と、前記第2段階処理で得られたマスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間との加算した値に、前記スレーブ装置のタイマ値をセットする、第3段階処理と
を備えた通信システム、及び、前記通信システムにおける時刻同期方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、基地局やフェムトセル等のスレーブ装置にてGPS信号受信機の設置が不要となる。特に、本発明によると、既にIEEE1588機能を搭載して導入が開始されたマスタ装置やスレーブ装置(フェムトセル基地局)とPON装置の組み合わせにより、正確な時刻同期が実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1のシステム構成図を示す。
【図2】本発明の実施の形態1のOLT4のブロック図を示す。
【図3】本発明の関連技術の時刻同期シーケンスを示す。
【図4】本発明の実施の形態1の時刻同期シーケンスを示す。
【図5】本発明の実施の形態1のOLT4の時刻同期フローチャートを示す。
【図6】本発明の実施の形態2−1の時刻同期シーケンスを示す。
【図7】本発明の実施の形態2−2のONU6のブロック図を示す。
【図8】本発明の実施の形態2−2の時刻同期シーケンスを示す。
【図9】本発明の実施の形態2−2のOLT4の時刻同期フローチャートを示す。
【図10A】本発明の実施の形態2−2のONU6の時刻同期フローチャート(1)を示す。
【図10B】本発明の実施の形態2−2のONU6の時刻同期フローチャート(2)を示す。
【図11】本発明の実施の形態2−3の時刻同期シーケンスを示す。
【図12】本発明の実施の形態3のONU6のブロック図を示す。
【図13】本発明の実施の形態3のOLT4のブロック図を示す。
【図14】本発明の実施の形態3の時刻同期シーケンスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
携帯電話等のサービスには高精度の時刻同期が必要である。ここでは、基地局、又はフェムトセルに対して、時刻同期を図るためのGPS信号受信機を具備せずに、高精度な時刻同期を実現する方法を、実施の形態を3通り挙げて説明する。
1.実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成図である。携帯電話の通信ネットワークである移動体コア網1と、移動体コア網1と通信を行うためのインタフェースとしてL2SW2があり、このL2SW2はGPS衛星3からのGPS信号受信機能をもつ。L2SW2はOLT4を収容し、OLT4は光スプリッタ5を用いることで複数のONU6を収容できる。ONU6は基地局7、又はフェムトセル8を収容する。ここでは、マスタ側のOLT4に時刻同期機能を具備する事により、スレーブ側の基地局7、又はフェムトセル8がGPS信号受信機を具備せずに時刻同期を実現する方法について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1のOLT4の機能ブロック図である。OLT4は、ディスカバリ機能により定期的にOLT4−ONU6間の距離測定(レンジング)をしており(10)、又、L2SW2−OLT4間の時刻同期処理を行っている(11)。OLT4は、L2SW2から受信したパケットを確認し(12)、GPS衛星より受信した時刻情報を持つIEEE1588のパケットである場合、L2SW2より受信したパケットから宛先のONU6の情報を読み取り(13)、L2SW2から受信した時刻情報を持つIEEE1588のパケットに含まれているタイムスタンプを取得し(14)、宛先のONU6とのレンジング情報を持つ遅延時間テーブル(15)を参照し、OLT4−ONU6間の遅延時間を加算する事によりタイムスタンプを補正した後(16)、補正したタイムスタンプを受信した時刻情報を持つIEEE1588のパケットに含まれているタイムスタンプに書き換え(17)、宛先のONU6へパケットを送信する(18)。タイムスタンプを補正した値に書き換える事により、基地局7、又はフェムトセル8は、GPS信号受信機を具備せずに、高精度な時刻情報を取得し、時刻同期を図る事が可能となる。
【0019】
図3は、本発明の関連技術の時刻同期シーケンスである。
本発明の実施の形態1のシーケンスを説明する前に、本発明の関連技術についてのシーケンスを図3で説明する。なお、以降の説明では、マスタであるL2SW2からOLT4までの伝搬遅延を300マイクロ秒、OLT4からONU6までの伝搬遅延を100マイクロ秒、ONU6から基地局7までの伝搬遅延を0.01マイクロ秒と仮定する。すなわちL2SW2から基地局7までの伝搬遅延の総和は、上記の合計である400.01マイクロ秒である。
IEEE1588に規定される処理の第1段階として、マスタであるL2SW2からタイムスタンプを入れたパケット100をOLT4およびONU6を経由してスレーブである基地局7に繰り返し送信する。L2SW2の時刻タイマ値が10,000マイクロ秒の時刻に、この値をタイムスタンプ値として挿入されたパケット100−1が送信される。本パケットは、L2SW2から基地局7までの伝搬遅延後(すなわち400.01マイクロ秒後)に基地局7に受信され、基地局7の時刻タイマは10,000マイクロ秒にセットされる。以下続いて受信されるパケット100の値は基地局7内でモニタされ時刻タイマの周期を同期させ続ける。この段階では、マスタ〜スレーブ間の信号伝搬遅延は反映されず、L2SW2の時刻タイマが10,500.01マイクロ秒の時、基地局7の時刻タイマは10,100マイクロ秒であって、時刻の絶対値が同期できていない。
続いて第2段階として、基地局7の時刻タイマ値が11,100マイクロ秒の時刻に基地局7よりL2SW2に往復伝搬遅延時間を測定するためのパケット101−1を送信する。パケット101−1はPON上り信号のTDMA制御に起因する待ち時間だけONU6内部に留めおかれ、この例では、待ち時間は予め1,000秒と定められているものとし、1,000秒後にL2SW2に向けたパケット101−2が送信される。L2SW2はL2SW2の時刻タイマ値が12,900.02(=11,500.01+400.01+1,000)マイクロ秒の時刻に上記パケット101−2を受信し、無視できるほど小さい規定時間以内に(例えばIEEE1588の時刻制度の単位である1ナノ秒以下の時間で)、返信パケット102を基地局7に向けて返信する。基地局7は、基地局7の時刻タイマ値が12,900.02マイクロ秒の時刻に同パケット102を受信し、同パケット102の受信時刻とパケット101−1の送信時刻(11,100マイクロ秒)から往復伝搬遅延時間を測定し、1,800.02マイクロ秒との値を得、片道遅延時間を半分の値である900.01マイクロ秒と判断する。基地局7は、基地局7の時刻タイマ値12,900.02マイクロ秒に片道遅延時間900.01マイクロ秒を加算し、時刻タイマ値を13,800.03マイクロ秒に更新する。しかし、この時刻にL2SW2の時刻タイマは13,300.03であり、2つのタイマは時刻同期していない。これは、ONU6にてパケット101−1が1,000マイクロ秒だけ留めおかれたためである。このため、正しくは400.01マイクロ秒である下り片道伝搬遅延を、900.01マイクロ秒と誤った値が算出される原因となっていた。
【0020】
図4は、本発明の実施の形態1の時刻同期シーケンスである。OLT4は、信号103をONU6に送信し、ONU6が返信する信号014の受信時刻からOLT4とONU6の間の往復遅延時間を測定し、その半分の値をとることで片道伝搬遅延時間を得る。このプロセスの信号104はONU6が受信すると直ちに返信することがIEEE802.3規格64章に規定されており、正しい片道伝搬遅延時間が得られる。上記の様に、レンジングによりOLT4−ONU6間の伝搬遅延時間を求める事ができ、本発明の各実施の形態ではその半分の時間を使用する。
続いて、L2SW2とOLT4の間の時刻同期を以下の手順で行う。第1段階として、L2SW2の時刻タイマ値が、例えば、10,000マイクロ秒の時刻に、この値をタイムスタンプ値として挿入されたパケット105−1がOLT4に送信される。本パケットは、L2SW2からOLT4までの伝搬遅延後(すなわち300マイクロ秒後)にOLT4に受信され、OLT4の時刻タイマは10,000マイクロ秒にセットされる。以下続いて受信されるパケット105−2の値はOLT4内でモニタされ時刻同期タイマの周期を同期させ続ける。なお、ここでL2SW2からOLT4へ送信される105−1と105−2のパケットは同報宛である。以降、この時刻同期をするための信号を時刻同期メッセージと呼称する。
第2段階として、OLT4の時刻タイマ値が、例えば11,100マイクロ秒の時刻にOLT4よりL2SW2に往復伝搬遅延時間を測定するためのパケット106を送信する。L2SW2はL2SW2の時刻タイマ値が11,700マイクロ秒の時刻に上記パケット106を受信し、返信パケット107をOLT4に向けて返信する。OLT4は、OLT4の時刻タイマ値が11,700秒の時刻に同パケット107を受信し、同パケット107の受信時刻とパケット107の送信時刻(11,100マイクロ秒)から往復伝搬遅延を測定し、600マイクロ秒との値を得、片道伝搬遅延時間を半分の値である300マイクロ秒と判断する。OLT4は、OLT4の時刻タイマ値11,700マイクロ秒に片道伝搬遅延時間300マイクロ秒を加算し、時刻タイマ値を12,000マイクロ秒に更新する。こうしてL2SW2とOLT4の時刻タイマが同期した。
次にL2SW2の時刻タイマ値が13,000マイクロ秒の時刻に、この値をタイムスタンプ値として挿入された時刻同期メッセージ108−1がOLT4に送信される。OLT4では、時刻同期メッセージのタイムスタンプ値13,000に、上記レンジングにて測定したOLT4からONU6への遅延時間100マイクロ秒と、上記時刻同期にて得られたL2SW2からOLT4への遅延時間300マイクロ秒を加算して、13,400マイクロ秒に書き換えられたタイムスタンプ値の時刻同期メッセージ108−2を基地局7に向けて送信する。このタイムスタンプ値の書き替えは各ONU6に対して実行され、又、タイムスタンプ値の書き替え時間は1ns以下であり、タイムスタンプ値の書き替え時間による影響はないものとする。以後、L2SW2の時刻タイマ値が14,000マイクロ秒の時刻にも同じ処理を繰り返し、L2SW2の時刻タイマ値が14,400.01秒の時刻に、基地局7の時刻タイマは14,400マイクロ秒にセットされ、誤差0.01マイクロ秒で時刻同期が完了した。
【0021】
図5は、本発明の実施の形態1のOLT4の時刻同期フローチャートである。OLT4は、L2SW2からパケットを受信すると、ONU6毎にレンジング処理を行い(20)、又、L2SW2〜OLT4間の時刻同期処理を図4で述べた通りL2SW2〜OLT4間の往復伝搬遅延時間から片道伝搬遅延時間を算出し、OLT4の時刻タイマに加算してL2SW2〜OLT4間の時刻同期を行う(21)。次に、受信したパケットが、時刻情報を持つIEEE1588のパケットであるかを確認する(22)。受信したパケットが、時刻情報を持つIEEE1588のパケットであれば、受信したパケットの送信先のONU6を確認し(23)、受信したパケットに含まれているタイムスタンプ値を取得し(24)、送信先のONU6とのレンジング情報よりOLT4〜ONU6間の遅延分を加算してタイムスタンプを補正し(25)、受信したパケットのタイムスタンプへ書き替え(26)、送信先のONU6へパケットを送信する(27)。又、OLT4は、L2SW2から受信したパケットが、時刻情報を持つIEEE1588のパケットでない場合、上記その他の処理後(28)、例えばOLT4はONU6登録時に受信フレームの取捨選択を判断するためのLLID(Logical Link ID)という識別子を決定しているので、OLT4にて受信したパケットの宛先ONU6に該当するLLIDを受信したパケットへ書き込み、ONU6へパケットを送信する(27)。
【0022】
2.実施の形態2
2−1.実施の形態2−1
次に、本発明の実施の形態2について説明する。装置の構成、ブロック図は実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1よりも高精度な時刻同期を実現する方法について説明する。
図6は、実施の形態2−1の時刻同期シーケンスである。実施の形態1では、L2SW2と基地局7の時刻タイマ値に0.01マイクロ秒の誤差が発生していた。これは、特に、ONU6と基地局7の間の伝搬時間を補正する機能がなかったためである。実施の形態2−1のシーケンス図では、基地局7は遅延測定信号109をONU6に向けて送信し、ONU6は遅延測定信号110を返すことで、基地局7とONU6間の往復伝搬遅延時間を測定し、片道伝搬遅延時間を求める。基地局7は、時刻タイマ値に片道伝搬遅延時間を加算し、0.01マイクロ秒の誤差を補正することができる。この例では、基地局7がパケット109の送信時刻15,000マイクロ秒と、パケット110の受信時刻15,000.02マイクロ秒から、この誤差が測定される。
【0023】
2−2.実施の形態2−2
図7は、実施の形態2−2のONU6のブロック図である。ONU6は、レンジング処理(30)にて、OLT4が測定したOLT4−ONU6間の遅延時間とL2SW2−OLT4間の遅延時間の情報をOLT4より転送され、遅延時間テーブル(31)に記憶している。一方、ONU6は、基地局7より遅延測定信号を受信(32)すると受信パケットを確認し(33)、タイムスタンプを取得し(34)、遅延時間テーブル(31)を参照し、記憶しているL2SW2−ONU6間の総遅延時間の2倍の時間後に(35)、遅延測定信号を基地局7へ返信する(36)。基地局7は遅延測定信号の受信時刻から伝搬遅延の値を算出し、時刻同期を図る事が可能となる。
図8は、実施の形態2−2の時刻同期シーケンスである。この例では、図4で説明したシーケンスで、パケット103〜107の送受信等により、L2SW2とOLT4の間の時刻同期を行うが、OLT4は、L2SW2から基地局7に向けて送信される時刻同期メッセージのタイムスタンプ値の書き替えを行わない。代わりに、レンジングにて測定した(パケット103、104等)OLT4からONU6への遅延時間100マイクロ秒と、時刻同期にて得られた(パケット106、107等)L2SW2からOLT4への遅延時間300マイクロ秒、合計400マイクロ秒の情報がOLT4からONU6に転送され(200)記憶される。なお、転送及び/又は記憶される情報は、OLT4からONU6への遅延時間100マイクロ秒とL2SW2からOLT4への遅延時間300マイクロ秒のそれぞれでもよいし、両遅延時間を合計して求めた総遅延時間のみでもよいし、これら両方でもよい。合計の計算もOLT4又はONU6のどちらで行ってもよい。一方、基地局7は遅延測定信号111をONU6に向けて送信し、ONU6は上記の記憶したL2SW2−ONU6間の総遅延時間(400マイクロ秒)の値の2倍である800マイクロ秒後に遅延測定信号112を返す。基地局7は遅延測定信号112の受信時刻に基づいて400マイクロ秒の伝搬遅延の値を算出し、時刻タイマ値を補正することができる。
【0024】
図9は、本発明の実施の形態2−2の時刻同期フローチャートである。OLT4は、L2SW2から時刻同期メッセージを受信すると、L2SW2とOLT4の間の時刻同期処理を行い(40)、時刻同期にて得られたL2SW2からOLT4への遅延時間と、レンジングにて測定したOLT4からONU6への遅延時間の情報をOLT4からONU6へ送信する。この際、ONU6へ送信する時刻同期メッセージのタイムスタンプの書き替えは行わない。
図10は、本発明の実施の形態2−2のONU6の時刻同期フローチャートである。図10(A)に示すように、ONU6は、OLT4より時刻同期メッセージを受信すると、タイムスタンプを取得し(50)、タイムスタンプより、OLT4より受信し記憶したL2SW2〜ONU6間の総遅延時間の値を加算し補正する(51)。補正したタイムスタンプを受信した時刻同期メッセージへ挿入し(52)、基地局7へ送信する(53)。また、図10(B)に示すように、ONU6は、基地局7より遅延測定信号を受信すると(54)、上記で記憶したL2SW2〜ONU6間の遅延時間の2倍の時間後(55)に基地局7へ遅延測定信号を送信する。
【0025】
2−3.実施の形態2−3
図11は、本発明の実施の形態2−3の時刻同期シーケンスである。第1段階として、L2SW2の時刻タイマ値が10,000マイクロ秒の時刻に、この値をタイムスタンプ値として挿入されたパケット113−1がOLT4に送信される。本パケットは、L2SW2からOLT4までの伝搬遅延後(すなわち300マイクロ秒後)にOLT4にて受信される。OLT4は、上り信号のONU6内での滞留時間の最悪値(例えば、1000マイクロ秒)の半分、この例では500マイクロ秒の値を、パケット113−1中のタイムスタンプ値から減算し、9,500マイクロ秒に書き換えて基地局7に向けて送信する。この段階で、基地局7の時刻タイマは、最悪遅延量を織り込んだ値で時刻同期が行われる。なお、この滞留時間の最悪値は、測定値、経験値、統計値等により予め適宜定められる。
続いて第2段階として、基地局7の時刻タイマ値が10,000マイクロ秒の時刻に基地局7よりL2SW2に往復伝搬遅延時間を測定するためのパケット114−1を送信する。パケット114−1はPON上り信号のTDMA制御に起因する待ち時間だけONU6内部に留めおかれ、この例では800マイクロ秒後にL2SW2に向けたパケット114−2が送信される。この時ONU6は、待ち時間800マイクロ秒の値を記憶しておく。なお、この待ち時間は、測定値、経験値、統計値等により予め適宜定められる。L2SW2はL2SW2の時刻タイマ値が12,100.02(=10,900.01+0.01+800+100+300)マイクロ秒の時刻に上記パケット114−2を受信し、この時刻タイマ値をタイムスタンプに挿入した返信パケット115を基地局7に向けて返信する。基地局7は、基地局7の時刻タイマ値が11,600.02マイクロ秒の時刻に同パケット115を受信し、同パケット115の受信時刻とパケット114−1の送信時刻10,000マイクロ秒から往復伝搬遅延時間を測定し、1,600.02マイクロ秒との値を得、片道伝搬遅延時間を半分の値である800.01マイクロ秒と判断する。基地局7は、基地局7の時刻タイマ値11,600.02マイクロ秒に片道伝搬遅延時間800.01マイクロ秒を加算し、時刻タイマ値を12,400.03マイクロ秒に更新する。この時点で、L2SW2の時刻タイマと基地局7の時刻タイマ値はまだ一致していない。
続いて第3段階として、L2SW2の時刻タイマ値が13,000マイクロ秒の時刻に、この値をタイムスタンプ値として挿入されたパケット116−1がONU6に送信される。ONU6は、タイムスタンプ値13,000マイクロ秒から、(上り信号のONU6内での滞留時間の最悪値1,000マイクロ秒−実際の上り信号のTDMA制御に起因するONU6内での待ち時間800マイクロ秒)の2倍の値である400マイクロ秒の値を減算して、基地局7に向けて送信する。L2SW2の時刻タイマ値が13,100マイクロ秒の時刻にも同じ処理を繰り返す。基地局7が、この補正されたタイムスタンプ値と過去の伝搬遅延時間測定により計算された補正値(片道伝搬遅延時間)800.01マイクロ秒の加算を行うことで時刻タイマ値をセットして再同期すると、実際の遅延量に基づいた時刻同期が完了する。
【0026】
3.実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3について説明する。装置の構成は実施の形態1と同様であるが、実施の形態1との違いは、GPS信号受信機がL2SW2ではなく、基地局7、又はフェムトセル8のいずれかに具備されている事である。ここでは、例えばある基地局7−1にGPS信号受信機を具備する事により、他の基地局7−2がGPS信号受信機を具備せずに時刻同期を実現する方法について説明する。なお、GPS信号受信機を具備するのはフェムトセル8であってもよい。
図12は、本発明の実施の形態3のONU6のブロック図である。ONU6は、基地局7より時刻同期メッセージを受信(60)すると受信パケットを確認し(61)、タイムスタンプを取得し(62)、ONU6内での滞留時間をタイムスタンプ値へ加算し(63)、OLT4へ送信する(64)。
図13は、本発明の実施の形態3のOLT4のブロック図である。OLT4は、ここではONU6−1より時刻同期メッセージのパケットを受信すると(70)、OLT4内部でパケットを折り返し、ONU6−2へ送信する。
【0027】
図14は、本発明の実施の形態3の時刻同期シーケンスである。第1段階として、基地局7−1の時刻タイマ値が10,000マイクロ秒の時刻に、この値をタイムスタンプ値として挿入されたパケット117−1がONU6−1に送信される。本パケットは、基地局7−1からONU6−1までの伝搬遅延後(すなわち0.01マイクロ秒後)にONU6−1にて受信される。ONU6−1は、TDMA制御による上り信号のONU6−1内での滞留時間、例えば1,000マイクロ秒の値を、パケット117−1中のタイムスタンプ値へ加算し、11,000マイクロ秒に書き換えて、OLT4に向けて送信する。本パケットを受信したOLT4は、OLT4内部でパケットを折り返し、OLT4配下の各ONU6(例ではONU6−2)に接続されている基地局7−2に向けて送信する。
続いて第2段階として、基地局7−2の時刻タイマ値が20,000マイクロ秒の時刻に基地局7−2より基地局7−1に往復伝搬遅延時間を測定するためのパケット118−1を送信する。パケット118−1はONU6−2内部にTDMA制御による上り信号の待ち時間(滞留時間)だけ留めおかれ、この例では1,000マイクロ秒後に基地局7−1に向けたパケット118−2が送信される。基地局7−1は基地局7−1の時刻タイマ値が21,200.02(=20,000+0.01+1000+100+100+0.01)マイクロ秒の時刻に上記パケット118−2を受信し、この値をタイムスタンプ値として挿入した返信パケット119−1を基地局7−2に向けて返信する。ONU6−1は、パケット119−1のタイムスタンプ値にONU6−1内での滞留時間を加算し、タイムスタンプ値を置き換えて基地局7−2に向けて送信する。基地局7−2は、基地局7−2の時刻タイマ値が22,400.04(=21,200.02+0.01+1000+200+0.01)マイクロ秒の時刻にONU6−1にて伝搬遅延時間を加算されたパケット119−2を受信し、同パケット119−2の受信時刻とパケット118−2の送信時刻(20,000マイクロ秒)から往復伝搬遅延時間を測定し、2400.04マイクロ秒との値を得、それからPON上り信号と下り信号の両方のTDMA制御に起因する待ち時間(滞留時間)(1000マイクロ秒×2)を減算し、片道伝搬遅延時間を半分の値である200.02マイクロ秒と判断する。
続いて第3段階として、基地局7−1の時刻タイマ値が30,000マイクロ秒の時刻に、この値をタイムスタンプ値として挿入されたパケット119−3が基地局7−2に送信される。ONU6−1は、タイムスタンプ値30,000マイクロ秒に、PON上り信号のTDMA制御に起因する待ち時間の値である1,000マイクロ秒の値を加算して、タイムスタンプ値を書き換え、基地局7−2に向けて送信する。基地局7−2が、この補正されたタイムスタンプ値と過去の伝搬遅延時間測定による補正値200.02マイクロ秒の加算を行った値に時刻タイマ値をセットすることで、時刻タイマ値を同期することにより、時刻同期が完了する。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上では、マスタ装置をL2SWとし、スレーブ装置を基地局とした実施の形態、及び、マスタ装置を基地局とし、スレーブ装置を他の基地局とした実施の形態について説明したが、本発明は、これに限らず、マスタ装置及びスレーブ装置を適宜の通信装置等の装置に適用することができる。
基準となる時刻情報をGPS衛星より受信している例を説明したが、本発明は、これに限らず適宜の基準時刻発生装置からの時刻情報を用いることができる。
【符号の説明】
【0029】
1…移動体コア網、2…L2SW、3…GPS衛星、4…OLT、5…光スプリッタ、6…ONU、7…基地局、8…フェムトセル、10…レンジング処理部、11…L2SW2−OLT4間時刻同期処理部、12…受信パケット確認部、13…宛先ONU確認部、14…タイムスタンプ取得部、15…遅延時間テーブル(OLT4−ONU6間)、16…タイムスタンプ補正部、17…タイムスタンプ書替部、18…パケット送信処理部、30…レンジング処理部、31…遅延時間テーブル(L2SW2−OLT4間,OLT4−ONU6間)、32…遅延測定信号処理部、33…受信パケット確認部、34…タイムスタンプ取得部、35…L2SW2−ONU6間の総遅延時間×2倍待機部、36…パケット送信処理部、60…時刻同期メッセージ受信部、61…受信パケット確認部、62…タイムスタンプ取得部、63…タイムスタンプ加算部、64…パケット送信処理部、70…パケット送受信処理部、71…パケット折り返し処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記OLTに接続されて基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、各前記ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおいて、
前記OLTは、第1遅延測定信号を前記ONUに送信し、前記ONUから該第1遅延測定信号に対する第1返信信号を受信し、該第1遅延測定信号の送信時刻と該第1返信信号の受信時刻との差の半分の値から、OLT−ONU間片道伝搬遅延時間を判定する、第1レンジング処理と、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、該時刻同期メッセージを受信して前記OLTの時刻タイマを該タイムスタンプ値にセットする、第1段階時刻同期処理と、
前記OLTは、前記マスタ装置に第2遅延時間測定信号を送信し、前記マスタ装置から該第2遅延測定信号に対する第2返信信号を受信し、該第2遅延時間測定信号の送信時刻と該第2返信信号の受信時刻との差の半分の値からマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を判定し、前記OLTは、前記OLTの時刻タイマ値にマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を加算した値に、前記OLTの時刻タイマ値を更新する、第2段階時刻同期処理と、
前記マスタ装置は、時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、該時刻同期メッセージのタイムスタンプ値に、前記第1レンジング処理にて得られたOLT−ONU間片道伝搬遅延時間と、上記第2段階時刻同期処理にて得られたマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間とを加算した値に、タイムスタンプ値を書き換え、書き換えられたタイムスタンプ値を含む時刻同期メッセージを前記スレーブ装置に送信し、前記スレーブ装置は、前記スレーブ装置の時刻タイマをタイムスタンプ値にセットする、第3段階時刻同期処理と
を備えた通信システム。
【請求項2】
さらに、前記スレーブ装置は、前記ONUに第3遅延時間測定信号を送信し、前記ONUから該第3遅延測定信号に対する第3返信信号を受信し、該第3遅延時間測定信号の送信時刻と該第3返信信号の受信時刻との差の半分の値からスレーブ装置−ONU間片道伝搬遅延時間を判定し、前記スレーブ装置の時刻タイマ値にスレーブ装置−ONU間片道伝搬遅延時間をさらに加算した値に、時刻タイマ値を補正することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記OLTに接続されて基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、各前記ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおいて、
前記OLTは、第1遅延測定信号を前記ONUに送信し、前記ONUから該第1遅延測定信号に対する第1返信信号を受信し、該第1遅延測定信号の送信時刻と該第1返信信号の受信時刻との差の半分の値から、OLT−ONU間片道伝搬遅延時間を判定する、第1レンジング処理と、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、該時刻同期メッセージを受信して前記OLTの時刻タイマを該タイムスタンプ値にセットする、第1段階時刻同期処理と、
前記OLTは、前記マスタ装置に第2遅延時間測定信号を送信し、前記マスタ装置から該第2遅延測定信号に対する第2返信信号を受信し、該第2遅延時間測定信号の送信時刻と該第2返信信号の受信時刻との差の半分の値からマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を判定し、前記OLTは、前記OLTの時刻タイマ値にマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を加算した値に、前記OLTの時刻タイマ値を更新する、第2段階時刻同期処理と、
前記ONUは、前記第1レンジング処理により測定されたOLT−ONU間片道伝搬遅延時間と前記第2段階時刻同期処理にて得られたマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間、及び/又は、該マスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間と該OLT−ONU間片道伝搬遅延時間を合計したマスタ装置−ONU間総片道伝搬遅延時間を、前記OLTから受信及び記憶する、転送処理と、
前記スレーブ装置は、第3遅延測定信号を前記ONUに送信し、前記ONUは、マスタ装置−ONU間総片道伝搬遅延時間の2倍の時間後に、第3返信信号を、前記スレーブ装置に返送し、前記スレーブ装置は、前記第3遅延測定信号の送信時刻と前記第3返信信号の受信時刻との差によりマスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を判定し、該マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間により前記スレーブ装置の時刻タイマ値を補正する、第4段階時刻同期処理と
を備えた通信システム。
【請求項4】
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記OLTに接続されて基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、各前記ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおいて、
前記マスタ装置は、時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した第1時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、前記ONU内での予め定められた滞留時間の最悪値の半分を、該第1時刻同期メッセージ中のタイムスタンプ値から減算してタイムスタンプ値を書き換えて前記スレーブ装置に送信する、第1段階同期処理と、
前記スレーブ装置は、前記マスタ装置に遅延時間測定信号を前記ONU送信し、前記ONUは、該遅延時間測定信号を、予め定められた待ち時間だけ内部に留めた後に、前記マスタ装置に向けて送信し、前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプに挿入した返信信号を前記スレーブ装置に返信し、前記スレーブ装置は、該遅延時間測定信号の送信時刻と該返信信号の受信時刻との差の半分の値からマスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を判定し、前記スレーブ装置は、前記スレーブ装置の時刻タイマ値に該マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を加算して時刻タイマ値を更新する、第2段階同期処理と、
前記マスタ装置は、時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入された第2時刻同期メッセージを前記ONUに送信し、前記ONUは、タイムスタンプ値から、(前記滞留時間の最悪値−前記待ち時間)の2倍の値を減算した値にタイムスタンプ値を補正し、該第2時刻同期メッセージに補正されたタイムスタンプ値を含めて前記スレーブ装置に送信し、前記スレーブ装置は、補正されたタイムスタンプ値と前記第2段階同期処理で求めた該マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間とを加算した値に、前記スレーブ装置の時刻タイマ値をセットする、第3段階同期処理と、
を備えた通信システム。
【請求項5】
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記複数のONUのうちの第1ONUの配下にあり基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、前記複数のONUのうちの第2ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおいて、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した第1時刻同期メッセージを前記第1ONUに送信し、前記第1ONUは、前記第1ONU内での予め定められた第1滞留時間を、該第1時刻同期メッセージ中のタイムスタンプ値へ加算した値にタイムスタンプ値を書き換えた第1時刻同期メッセージを、前記第2ONUに接続されている前記スレーブ装置に向けて送信する、第1段階処理と、
前記スレーブ装置は、遅延時間測定信号を送信し、前記第2ONUは、該遅延時間測定信号を前記第2ONU内での予め定められた滞留時間後に送信し、前記マスタ装置は、該遅延時間測定信号を受信し、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した返信信号を返信し、前記第1ONUは、該返信信号を前記第1滞留時間後に送信し、前記スレーブ装置は、前記遅延時間測定信号の送信時刻と受信した前記返信信号の受信時刻との差から往復伝搬遅延時間を求め、さらに前記第1ONUの前記第1滞留時間及び前記第2ONUの前記第2滞留時間を減算することで、マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を判定する、第2段階処理と、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した第2時刻同期メッセージを送信し、前記第1ONUは、該第2時刻同期メッセージを受信し、第2時刻同期メッセージ中のタイムスタンプ値に前記第1滞留時間を加算した値にタイムスタンプ値を書き換えて送信し、前記スレーブ装置は、書き換えられたタイムスタンプ値と、前記第2段階処理で得られたマスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間との加算した値に、前記スレーブ装置のタイマ値をセットする、第3段階処理と
を備えた通信システム。
【請求項6】
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記OLTに接続されて基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、各前記ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおける時刻同期方法であって、
前記OLTは、第1遅延測定信号を前記ONUに送信し、前記ONUから該第1遅延測定信号に対する第1返信信号を受信し、該第1遅延測定信号の送信時刻と該第1返信信号の受信時刻との差の半分の値から、OLT−ONU間片道伝搬遅延時間を判定する、第1レンジング処理と、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、該時刻同期メッセージを受信して前記OLTの時刻タイマを該タイムスタンプ値にセットする、第1段階時刻同期処理と、
前記OLTは、前記マスタ装置に第2遅延時間測定信号を送信し、前記マスタ装置から該第2遅延測定信号に対する第2返信信号を受信し、該第2遅延時間測定信号の送信時刻と該第2返信信号の受信時刻との差の半分の値からマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を判定し、前記OLTは、前記OLTの時刻タイマ値にマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を加算した値に、前記OLTの時刻タイマ値を更新する、第2段階時刻同期処理と、
前記マスタ装置は、時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、該時刻同期メッセージのタイムスタンプ値に、前記第1レンジング処理にて得られたOLT−ONU間片道伝搬遅延時間と、上記第2段階時刻同期処理にて得られたマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間とを加算した値に、タイムスタンプ値を書き換え、書き換えられたタイムスタンプ値を含む時刻同期メッセージを前記スレーブ装置に送信し、前記スレーブ装置は、前記スレーブ装置の時刻タイマをタイムスタンプ値にセットする、第3段階時刻同期処理と
を備えた時刻同期方法。
【請求項7】
さらに、前記スレーブ装置は、前記ONUに第3遅延時間測定信号を送信し、前記ONUから該第3遅延測定信号に対する第3返信信号を受信し、該第3遅延時間測定信号の送信時刻と該第3返信信号の受信時刻との差の半分の値からスレーブ装置−ONU間片道伝搬遅延時間を判定し、前記スレーブ装置の時刻タイマ値にスレーブ装置−ONU間片道伝搬遅延時間をさらに加算した値に、時刻タイマ値を補正することを特徴とする請求項6に記載の時刻同期方法。
【請求項8】
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記OLTに接続されて基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、各前記ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおける時刻同期方法であって、
前記OLTは、第1遅延測定信号を前記ONUに送信し、前記ONUから該第1遅延測定信号に対する第1返信信号を受信し、該第1遅延測定信号の送信時刻と該第1返信信号の受信時刻との差の半分の値から、OLT−ONU間片道伝搬遅延時間を判定する、第1レンジング処理と、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、該時刻同期メッセージを受信して前記OLTの時刻タイマを該タイムスタンプ値にセットする、第1段階時刻同期処理と、
前記OLTは、前記マスタ装置に第2遅延時間測定信号を送信し、前記マスタ装置から該第2遅延測定信号に対する第2返信信号を受信し、該第2遅延時間測定信号の送信時刻と該第2返信信号の受信時刻との差の半分の値からマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を判定し、前記OLTは、前記OLTの時刻タイマ値にマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を加算した値に、前記OLTの時刻タイマ値を更新する、第2段階時刻同期処理と、
前記ONUは、前記第1レンジング処理により測定されたOLT−ONU間片道伝搬遅延時間と前記第2段階時刻同期処理にて得られたマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間、及び/又は、該マスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間と該OLT−ONU間片道伝搬遅延時間を合計したマスタ装置−ONU間総片道伝搬遅延時間を、前記OLTから受信及び記憶する、転送処理と、
前記スレーブ装置は、第3遅延測定信号を前記ONUに送信し、前記ONUは、マスタ装置−ONU間総片道伝搬遅延時間の2倍の時間後に、第3返信信号を、前記スレーブ装置に返送し、前記スレーブ装置は、前記第3遅延測定信号の送信時刻と前記第3返信信号の受信時刻との差によりマスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を判定し、該マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間により前記スレーブ装置の時刻タイマ値を補正する、第4段階時刻同期処理と
を備えた時刻同期方法。
【請求項9】
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記OLTに接続されて基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、各前記ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおける時刻同期方法であって、
前記マスタ装置は、時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した第1時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、前記ONU内での予め定められた滞留時間の最悪値の半分を、該第1時刻同期メッセージ中のタイムスタンプ値から減算してタイムスタンプ値を書き換えて前記スレーブ装置に送信する、第1段階同期処理と、
前記スレーブ装置は、前記マスタ装置に遅延時間測定信号を前記ONU送信し、前記ONUは、該遅延時間測定信号を、予め定められた待ち時間だけ内部に留めた後に、前記マスタ装置に向けて送信し、前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプに挿入した返信信号を前記スレーブ装置に返信し、前記スレーブ装置は、該遅延時間測定信号の送信時刻と該返信信号の受信時刻との差の半分の値からマスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を判定し、前記スレーブ装置は、前記スレーブ装置の時刻タイマ値に該マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を加算して時刻タイマ値を更新する、第2段階同期処理と、
前記マスタ装置は、時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入された第2時刻同期メッセージを前記ONUに送信し、前記ONUは、タイムスタンプ値から、(前記滞留時間の最悪値−前記待ち時間)の2倍の値を減算した値にタイムスタンプ値を補正し、該第2時刻同期メッセージに補正されたタイムスタンプ値を含めて前記スレーブ装置に送信し、前記スレーブ装置は、補正されたタイムスタンプ値と前記第2段階同期処理で求めた該マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間とを加算した値に、前記スレーブ装置の時刻タイマ値をセットする、第3段階同期処理と、
を備えた時刻同期方法。
【請求項10】
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記複数のONUのうちの第1ONUの配下にあり基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、前記複数のONUのうちの第2ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおける時刻同期方法であって、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した第1時刻同期メッセージを前記第1ONUに送信し、前記第1ONUは、前記第1ONU内での予め定められた第1滞留時間を、該第1時刻同期メッセージ中のタイムスタンプ値へ加算した値にタイムスタンプ値を書き換えた第1時刻同期メッセージを、前記第2ONUに接続されている前記スレーブ装置に向けて送信する、第1段階処理と、
前記スレーブ装置は、遅延時間測定信号を送信し、前記第2ONUは、該遅延時間測定信号を前記第2ONU内での予め定められた滞留時間後に送信し、前記マスタ装置は、該遅延時間測定信号を受信し、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した返信信号を返信し、前記第1ONUは、該返信信号を前記第1滞留時間後に送信し、前記スレーブ装置は、前記遅延時間測定信号の送信時刻と受信した前記返信信号の受信時刻との差から往復伝搬遅延時間を求め、さらに前記第1ONUの前記第1滞留時間及び前記第2ONUの前記第2滞留時間を減算することで、マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を判定する、第2段階処理と、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した第2時刻同期メッセージを送信し、前記第1ONUは、該第2時刻同期メッセージを受信し、第2時刻同期メッセージ中のタイムスタンプ値に前記第1滞留時間を加算した値にタイムスタンプ値を書き換えて送信し、前記スレーブ装置は、書き換えられたタイムスタンプ値と、前記第2段階処理で得られたマスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間との加算した値に、前記スレーブ装置のタイマ値をセットする、第3段階処理と
を備えた時刻同期方法。
【請求項11】
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値を、GPS衛星又は他の基準時刻発生装置からの時刻に同期する機能を備えることを特徴とする請求項6乃至10に記載の時刻同期方法。
【請求項1】
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記OLTに接続されて基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、各前記ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおいて、
前記OLTは、第1遅延測定信号を前記ONUに送信し、前記ONUから該第1遅延測定信号に対する第1返信信号を受信し、該第1遅延測定信号の送信時刻と該第1返信信号の受信時刻との差の半分の値から、OLT−ONU間片道伝搬遅延時間を判定する、第1レンジング処理と、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、該時刻同期メッセージを受信して前記OLTの時刻タイマを該タイムスタンプ値にセットする、第1段階時刻同期処理と、
前記OLTは、前記マスタ装置に第2遅延時間測定信号を送信し、前記マスタ装置から該第2遅延測定信号に対する第2返信信号を受信し、該第2遅延時間測定信号の送信時刻と該第2返信信号の受信時刻との差の半分の値からマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を判定し、前記OLTは、前記OLTの時刻タイマ値にマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を加算した値に、前記OLTの時刻タイマ値を更新する、第2段階時刻同期処理と、
前記マスタ装置は、時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、該時刻同期メッセージのタイムスタンプ値に、前記第1レンジング処理にて得られたOLT−ONU間片道伝搬遅延時間と、上記第2段階時刻同期処理にて得られたマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間とを加算した値に、タイムスタンプ値を書き換え、書き換えられたタイムスタンプ値を含む時刻同期メッセージを前記スレーブ装置に送信し、前記スレーブ装置は、前記スレーブ装置の時刻タイマをタイムスタンプ値にセットする、第3段階時刻同期処理と
を備えた通信システム。
【請求項2】
さらに、前記スレーブ装置は、前記ONUに第3遅延時間測定信号を送信し、前記ONUから該第3遅延測定信号に対する第3返信信号を受信し、該第3遅延時間測定信号の送信時刻と該第3返信信号の受信時刻との差の半分の値からスレーブ装置−ONU間片道伝搬遅延時間を判定し、前記スレーブ装置の時刻タイマ値にスレーブ装置−ONU間片道伝搬遅延時間をさらに加算した値に、時刻タイマ値を補正することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記OLTに接続されて基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、各前記ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおいて、
前記OLTは、第1遅延測定信号を前記ONUに送信し、前記ONUから該第1遅延測定信号に対する第1返信信号を受信し、該第1遅延測定信号の送信時刻と該第1返信信号の受信時刻との差の半分の値から、OLT−ONU間片道伝搬遅延時間を判定する、第1レンジング処理と、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、該時刻同期メッセージを受信して前記OLTの時刻タイマを該タイムスタンプ値にセットする、第1段階時刻同期処理と、
前記OLTは、前記マスタ装置に第2遅延時間測定信号を送信し、前記マスタ装置から該第2遅延測定信号に対する第2返信信号を受信し、該第2遅延時間測定信号の送信時刻と該第2返信信号の受信時刻との差の半分の値からマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を判定し、前記OLTは、前記OLTの時刻タイマ値にマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を加算した値に、前記OLTの時刻タイマ値を更新する、第2段階時刻同期処理と、
前記ONUは、前記第1レンジング処理により測定されたOLT−ONU間片道伝搬遅延時間と前記第2段階時刻同期処理にて得られたマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間、及び/又は、該マスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間と該OLT−ONU間片道伝搬遅延時間を合計したマスタ装置−ONU間総片道伝搬遅延時間を、前記OLTから受信及び記憶する、転送処理と、
前記スレーブ装置は、第3遅延測定信号を前記ONUに送信し、前記ONUは、マスタ装置−ONU間総片道伝搬遅延時間の2倍の時間後に、第3返信信号を、前記スレーブ装置に返送し、前記スレーブ装置は、前記第3遅延測定信号の送信時刻と前記第3返信信号の受信時刻との差によりマスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を判定し、該マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間により前記スレーブ装置の時刻タイマ値を補正する、第4段階時刻同期処理と
を備えた通信システム。
【請求項4】
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記OLTに接続されて基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、各前記ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおいて、
前記マスタ装置は、時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した第1時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、前記ONU内での予め定められた滞留時間の最悪値の半分を、該第1時刻同期メッセージ中のタイムスタンプ値から減算してタイムスタンプ値を書き換えて前記スレーブ装置に送信する、第1段階同期処理と、
前記スレーブ装置は、前記マスタ装置に遅延時間測定信号を前記ONU送信し、前記ONUは、該遅延時間測定信号を、予め定められた待ち時間だけ内部に留めた後に、前記マスタ装置に向けて送信し、前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプに挿入した返信信号を前記スレーブ装置に返信し、前記スレーブ装置は、該遅延時間測定信号の送信時刻と該返信信号の受信時刻との差の半分の値からマスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を判定し、前記スレーブ装置は、前記スレーブ装置の時刻タイマ値に該マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を加算して時刻タイマ値を更新する、第2段階同期処理と、
前記マスタ装置は、時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入された第2時刻同期メッセージを前記ONUに送信し、前記ONUは、タイムスタンプ値から、(前記滞留時間の最悪値−前記待ち時間)の2倍の値を減算した値にタイムスタンプ値を補正し、該第2時刻同期メッセージに補正されたタイムスタンプ値を含めて前記スレーブ装置に送信し、前記スレーブ装置は、補正されたタイムスタンプ値と前記第2段階同期処理で求めた該マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間とを加算した値に、前記スレーブ装置の時刻タイマ値をセットする、第3段階同期処理と、
を備えた通信システム。
【請求項5】
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記複数のONUのうちの第1ONUの配下にあり基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、前記複数のONUのうちの第2ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおいて、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した第1時刻同期メッセージを前記第1ONUに送信し、前記第1ONUは、前記第1ONU内での予め定められた第1滞留時間を、該第1時刻同期メッセージ中のタイムスタンプ値へ加算した値にタイムスタンプ値を書き換えた第1時刻同期メッセージを、前記第2ONUに接続されている前記スレーブ装置に向けて送信する、第1段階処理と、
前記スレーブ装置は、遅延時間測定信号を送信し、前記第2ONUは、該遅延時間測定信号を前記第2ONU内での予め定められた滞留時間後に送信し、前記マスタ装置は、該遅延時間測定信号を受信し、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した返信信号を返信し、前記第1ONUは、該返信信号を前記第1滞留時間後に送信し、前記スレーブ装置は、前記遅延時間測定信号の送信時刻と受信した前記返信信号の受信時刻との差から往復伝搬遅延時間を求め、さらに前記第1ONUの前記第1滞留時間及び前記第2ONUの前記第2滞留時間を減算することで、マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を判定する、第2段階処理と、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した第2時刻同期メッセージを送信し、前記第1ONUは、該第2時刻同期メッセージを受信し、第2時刻同期メッセージ中のタイムスタンプ値に前記第1滞留時間を加算した値にタイムスタンプ値を書き換えて送信し、前記スレーブ装置は、書き換えられたタイムスタンプ値と、前記第2段階処理で得られたマスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間との加算した値に、前記スレーブ装置のタイマ値をセットする、第3段階処理と
を備えた通信システム。
【請求項6】
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記OLTに接続されて基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、各前記ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおける時刻同期方法であって、
前記OLTは、第1遅延測定信号を前記ONUに送信し、前記ONUから該第1遅延測定信号に対する第1返信信号を受信し、該第1遅延測定信号の送信時刻と該第1返信信号の受信時刻との差の半分の値から、OLT−ONU間片道伝搬遅延時間を判定する、第1レンジング処理と、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、該時刻同期メッセージを受信して前記OLTの時刻タイマを該タイムスタンプ値にセットする、第1段階時刻同期処理と、
前記OLTは、前記マスタ装置に第2遅延時間測定信号を送信し、前記マスタ装置から該第2遅延測定信号に対する第2返信信号を受信し、該第2遅延時間測定信号の送信時刻と該第2返信信号の受信時刻との差の半分の値からマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を判定し、前記OLTは、前記OLTの時刻タイマ値にマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を加算した値に、前記OLTの時刻タイマ値を更新する、第2段階時刻同期処理と、
前記マスタ装置は、時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、該時刻同期メッセージのタイムスタンプ値に、前記第1レンジング処理にて得られたOLT−ONU間片道伝搬遅延時間と、上記第2段階時刻同期処理にて得られたマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間とを加算した値に、タイムスタンプ値を書き換え、書き換えられたタイムスタンプ値を含む時刻同期メッセージを前記スレーブ装置に送信し、前記スレーブ装置は、前記スレーブ装置の時刻タイマをタイムスタンプ値にセットする、第3段階時刻同期処理と
を備えた時刻同期方法。
【請求項7】
さらに、前記スレーブ装置は、前記ONUに第3遅延時間測定信号を送信し、前記ONUから該第3遅延測定信号に対する第3返信信号を受信し、該第3遅延時間測定信号の送信時刻と該第3返信信号の受信時刻との差の半分の値からスレーブ装置−ONU間片道伝搬遅延時間を判定し、前記スレーブ装置の時刻タイマ値にスレーブ装置−ONU間片道伝搬遅延時間をさらに加算した値に、時刻タイマ値を補正することを特徴とする請求項6に記載の時刻同期方法。
【請求項8】
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記OLTに接続されて基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、各前記ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおける時刻同期方法であって、
前記OLTは、第1遅延測定信号を前記ONUに送信し、前記ONUから該第1遅延測定信号に対する第1返信信号を受信し、該第1遅延測定信号の送信時刻と該第1返信信号の受信時刻との差の半分の値から、OLT−ONU間片道伝搬遅延時間を判定する、第1レンジング処理と、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、該時刻同期メッセージを受信して前記OLTの時刻タイマを該タイムスタンプ値にセットする、第1段階時刻同期処理と、
前記OLTは、前記マスタ装置に第2遅延時間測定信号を送信し、前記マスタ装置から該第2遅延測定信号に対する第2返信信号を受信し、該第2遅延時間測定信号の送信時刻と該第2返信信号の受信時刻との差の半分の値からマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を判定し、前記OLTは、前記OLTの時刻タイマ値にマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間を加算した値に、前記OLTの時刻タイマ値を更新する、第2段階時刻同期処理と、
前記ONUは、前記第1レンジング処理により測定されたOLT−ONU間片道伝搬遅延時間と前記第2段階時刻同期処理にて得られたマスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間、及び/又は、該マスタ装置−OLT間片道伝搬遅延時間と該OLT−ONU間片道伝搬遅延時間を合計したマスタ装置−ONU間総片道伝搬遅延時間を、前記OLTから受信及び記憶する、転送処理と、
前記スレーブ装置は、第3遅延測定信号を前記ONUに送信し、前記ONUは、マスタ装置−ONU間総片道伝搬遅延時間の2倍の時間後に、第3返信信号を、前記スレーブ装置に返送し、前記スレーブ装置は、前記第3遅延測定信号の送信時刻と前記第3返信信号の受信時刻との差によりマスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を判定し、該マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間により前記スレーブ装置の時刻タイマ値を補正する、第4段階時刻同期処理と
を備えた時刻同期方法。
【請求項9】
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記OLTに接続されて基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、各前記ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおける時刻同期方法であって、
前記マスタ装置は、時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した第1時刻同期メッセージを前記OLTに送信し、前記OLTは、前記ONU内での予め定められた滞留時間の最悪値の半分を、該第1時刻同期メッセージ中のタイムスタンプ値から減算してタイムスタンプ値を書き換えて前記スレーブ装置に送信する、第1段階同期処理と、
前記スレーブ装置は、前記マスタ装置に遅延時間測定信号を前記ONU送信し、前記ONUは、該遅延時間測定信号を、予め定められた待ち時間だけ内部に留めた後に、前記マスタ装置に向けて送信し、前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプに挿入した返信信号を前記スレーブ装置に返信し、前記スレーブ装置は、該遅延時間測定信号の送信時刻と該返信信号の受信時刻との差の半分の値からマスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を判定し、前記スレーブ装置は、前記スレーブ装置の時刻タイマ値に該マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を加算して時刻タイマ値を更新する、第2段階同期処理と、
前記マスタ装置は、時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入された第2時刻同期メッセージを前記ONUに送信し、前記ONUは、タイムスタンプ値から、(前記滞留時間の最悪値−前記待ち時間)の2倍の値を減算した値にタイムスタンプ値を補正し、該第2時刻同期メッセージに補正されたタイムスタンプ値を含めて前記スレーブ装置に送信し、前記スレーブ装置は、補正されたタイムスタンプ値と前記第2段階同期処理で求めた該マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間とを加算した値に、前記スレーブ装置の時刻タイマ値をセットする、第3段階同期処理と、
を備えた時刻同期方法。
【請求項10】
OLT(Optical Line Terminal)、光ファイバ、光スプリッタ、複数のONU(Optical Network Unit)を有するPON(Passive Optical Network)と、前記複数のONUのうちの第1ONUの配下にあり基準となる時刻情報を発信するマスタ装置と、前記複数のONUのうちの第2ONUの配下にあり前記時刻情報を受信するスレーブ装置とを備えた通信システムにおける時刻同期方法であって、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した第1時刻同期メッセージを前記第1ONUに送信し、前記第1ONUは、前記第1ONU内での予め定められた第1滞留時間を、該第1時刻同期メッセージ中のタイムスタンプ値へ加算した値にタイムスタンプ値を書き換えた第1時刻同期メッセージを、前記第2ONUに接続されている前記スレーブ装置に向けて送信する、第1段階処理と、
前記スレーブ装置は、遅延時間測定信号を送信し、前記第2ONUは、該遅延時間測定信号を前記第2ONU内での予め定められた滞留時間後に送信し、前記マスタ装置は、該遅延時間測定信号を受信し、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した返信信号を返信し、前記第1ONUは、該返信信号を前記第1滞留時間後に送信し、前記スレーブ装置は、前記遅延時間測定信号の送信時刻と受信した前記返信信号の受信時刻との差から往復伝搬遅延時間を求め、さらに前記第1ONUの前記第1滞留時間及び前記第2ONUの前記第2滞留時間を減算することで、マスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間を判定する、第2段階処理と、
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値をタイムスタンプ値として挿入した第2時刻同期メッセージを送信し、前記第1ONUは、該第2時刻同期メッセージを受信し、第2時刻同期メッセージ中のタイムスタンプ値に前記第1滞留時間を加算した値にタイムスタンプ値を書き換えて送信し、前記スレーブ装置は、書き換えられたタイムスタンプ値と、前記第2段階処理で得られたマスタ装置−スレーブ装置間片道伝搬遅延時間との加算した値に、前記スレーブ装置のタイマ値をセットする、第3段階処理と
を備えた時刻同期方法。
【請求項11】
前記マスタ装置は、前記マスタ装置の時刻タイマ値を、GPS衛星又は他の基準時刻発生装置からの時刻に同期する機能を備えることを特徴とする請求項6乃至10に記載の時刻同期方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−60217(P2012−60217A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198798(P2010−198798)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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