通過判定装置、通過判定方法、プログラム
【課題】通過ポイントの通過時刻の判定精度を向上させること。
【解決手段】本発明は、予め設定されたコースを任意の手段で走行するトレーニングを行うユーザが携帯する通過判定装置に適用される。本発明の通過判定装置は、記憶部と、所定間隔で自装置の位置を取得する位置情報取得部と、ユーザにより予め設定されたコースおよび当該コース上の通過ポイントの位置を前記記憶部に記憶させると共に、前記位置情報取得部により取得された位置を、当該位置が取得された時刻と共に前記記憶部に記憶させる制御部と、を有し、前記制御部は、自装置の位置が前記通過ポイントの所定範囲内に入った場合、取得した当該所定範囲内の位置のうち当該通過ポイントに最も近い位置と、当該位置を取得した時刻と、に基づいて、当該通過ポイントを通過した通過時刻を判定する。
【解決手段】本発明は、予め設定されたコースを任意の手段で走行するトレーニングを行うユーザが携帯する通過判定装置に適用される。本発明の通過判定装置は、記憶部と、所定間隔で自装置の位置を取得する位置情報取得部と、ユーザにより予め設定されたコースおよび当該コース上の通過ポイントの位置を前記記憶部に記憶させると共に、前記位置情報取得部により取得された位置を、当該位置が取得された時刻と共に前記記憶部に記憶させる制御部と、を有し、前記制御部は、自装置の位置が前記通過ポイントの所定範囲内に入った場合、取得した当該所定範囲内の位置のうち当該通過ポイントに最も近い位置と、当該位置を取得した時刻と、に基づいて、当該通過ポイントを通過した通過時刻を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザがトレーニングで走行するコースに予め設定された通過ポイントを通過した通過時刻を判定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康志向の高まりにより、トレーニングを行うユーザが増えており、中でも、自転車によるトレーニングは、場所を選ばず、公衆用の道路においても行うことができ、身近で手軽なトレーニングとして人気を集めている。
【0003】
そのため、最近は、自転車によるトレーニングを支援するための技術も幾つか実現されており、例えば、特許文献1には、自転車などの移動体に設けた装置によって、ユーザが走行するコースに予め設定された通過ポイントを通過した通過時刻を判定する技術が開示されている。
【0004】
詳細には、特許文献1に開示された技術では、GPS(Global Positioning System)により測位した移動体の現在位置が、予め設定した通過ポイントの位置を中心とした所定範囲内に入った場合、その時刻をその通過ポイントを通過した通過時刻と判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−166988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献1に開示された技術では、GPSにより測位した移動体の現在位置が通過ポイントの所定範囲内に入った時刻を、その通過ポイントの通過時刻と判定している。
【0007】
しかしながら、GPSには測位誤差があるため、移動体が実際には通過ポイントの所定範囲外に位置しているにも関わらず、所定範囲内に入ったと認識し、その時刻を通過時刻と判定してしまう可能性があり、通過時刻の判定精度が悪いという課題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、通過ポイントの通過時刻の判定精度を向上させることができる通過判定装置、通過判定方法、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の通過判定装置は、
予め設定されたコースを任意の手段で走行するトレーニングを行うユーザが携帯する通過判定装置であって、
記憶部と、
所定間隔で自装置の位置を取得する位置情報取得部と、
ユーザにより予め設定されたコースおよび当該コース上の通過ポイントの位置を前記記憶部に記憶させると共に、前記位置情報取得部により取得された位置を、当該位置が取得された時刻と共に前記記憶部に記憶させる制御部と、を有し、
前記制御部は、
自装置の位置が前記通過ポイントの所定範囲内に入った場合、取得した当該所定範囲内の位置のうち当該通過ポイントに最も近い位置と、当該位置を取得した時刻と、に基づいて、当該通過ポイントを通過した通過時刻を判定する。
【0010】
本発明の通過判定方法は、
予め設定されたコースを任意の手段で走行するトレーニングを行うユーザが携帯する通過判定装置による通過判定方法であって、
ユーザにより予め設定されたコースおよび当該コース上の通過ポイントの位置を前記記憶部に記憶させ、
所定間隔で自装置の位置を取得し、前記取得した位置を、当該位置が取得された時刻と共に前記記憶部に記憶させ、
自装置の位置が前記通過ポイントの所定範囲内に入った場合、取得した当該所定範囲内の位置のうち当該通過ポイントに最も近い位置と、当該位置を取得した時刻と、に基づいて、当該通過ポイントを通過した通過時刻を判定する。
【0011】
本発明のプログラムは、
前記通過判定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の通過判定装置によれば、自装置の取得した位置が通過ポイントの所定範囲内に入った場合、取得した所定範囲内の位置のうち通過ポイントに最も近い位置と、その位置を取得した時刻と、に基づいて、通過ポイントを通過した通過時刻を判定する。
【0013】
このように、本実施形態は、関連技術のように、自装置の位置が通過ポイントの所定範囲内に入った時刻を通過時刻と即座に判定するのではなく、所定範囲内の位置の中で通過ポイントに最も近い位置とその位置を取得した時刻とに基づき通過時刻を判定する。
【0014】
そのため、自装置の位置に測位誤差があったとしても、判定した通過時刻が実際の通過時刻に近い確率が高くなり、その結果、通過ポイントの通過時刻の判定精度を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の通過判定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した通過判定装置における、通過ポイントの設定動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示した記憶部に記憶されるコース情報の一例を示す図である。
【図4】図1に示した通過判定装置における、通過ポイントが1つである場合の通過ポイントの通過判定動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4に示したステップB3における通過ポイントの通過時刻の判定処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】図5において通過時刻の計算対象となる交点の具体例を示す図である。
【図7】図1に示した通過判定装置における、通過ポイントが複数である場合の通過ポイントの通過判定動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】図7において判定対象となる往復コースの具体例を示す図である。
【図9】図7において判定対象となる往復コースの具体例を示す図である。
【図10】図7において判定対象となる周回コースの具体例を示す図である。
【図11】図1に示した記憶部に記憶されるトレーニング情報の一例を示す図である。
【図12】図1に示した表示部に表示される通過ポイント間のラップタイムの表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0017】
なお、以下の実施形態では、本発明の通過判定装置を、予め設定されたコースを自転車で走行するトレーニングを行うユーザが携帯するものとして説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の通過判定装置10は、制御部11と、表示部12と、入力部13と、位置取得部14と、記憶部15と、送受信部16と、を有している。
【0019】
制御部11は、通過判定装置10内の構成要素を制御し、各種の処理を行う。
【0020】
表示部12は、各種の情報を表示画面において表示する。また、表示画面上にはタッチパネルが設けられている。
【0021】
入力部13は、表示部12の表示画面上に設けられたタッチパネルや、通過判定装置10の筐体上に設けられたボタンである。
【0022】
位置取得部14は、ユーザにより入力部13を介してGPSがONされると起動し、GPSを利用して、所定間隔で通過判定装置10の現在位置(緯度、経度)を取得する。
【0023】
記憶部15は、各種の情報を記憶する。
【0024】
送受信部16は、通過判定装置10の外部の装置との間で、各種の情報を送受信する。
【0025】
なお、通過判定装置10内の上記の構成要素の具体的な動作内容については、以降の動作の説明において詳しく述べる。
【0026】
次に、本実施形態の通過判定装置10の動作について説明する。
(A)通過ポイントの設定動作
最初に、通過ポイントの設定動作について、図2のフローチャートに沿って説明する。
【0027】
図2に示すように、まず、制御部11は、ステップA1において、送受信部16を用いて、通過判定装置10の外部の装置から地図データを受信し、ステップA2において、ステップA1で受信した地図データを表示部12の表示画面上に表示する。
【0028】
次に、ユーザは、ステップA3において、入力部13を用いて、コース名を設定し、また、表示画面上に表示された地図データをなぞることでコースを設定し、さらに、そのコース上の所望の位置をタッチすることで通過ポイントを設定する。ここでの設定方法は特に限定はなく、他の方法でもよい。このとき、ユーザは、スタート地点、ゴール地点を任意で設定することもできる。
【0029】
その後、制御部11は、ステップA4において、ステップA3で設定されたコース名や通過ポイントの位置を記憶部15に記憶させる。なお、ステップA3で複数の通過ポイントが設定された場合は、制御部11は、複数の通過ポイントのそれぞれに対し、ユーザの通過順に順次低くなるようにした優先順位を設定し、設定した優先順位も記憶部15に記憶させる。また、ステップA3でスタート地点、ゴール地点が設定された場合は、これらの位置も合わせて記憶部15に記憶させる。このときに記憶される情報(コース情報)の一例を図3に示す。
【0030】
図3に示すように、制御部11は、コースごとに、各コースの情報を記憶部15に記憶させる。なお、図3において、コースの位置は、ユーザがなぞった地図データ上の位置を順次示すものであり、通過ポイントの位置とは必ずしも一致しない。また、スタート地点およびゴール地点の位置は、ユーザが設定した場合に記憶すればよい。
(B)通過ポイントが1つの場合における通過ポイントの通過判定動作
次に、通過ポイントが1つである場合の通過ポイントの通過判定動作について、図4のフローチャートに沿って説明する。
【0031】
図4に示すように、まず、制御部11は、ステップB1において、ユーザがトレーニングを開始したか否かを判断する。ここでは、例えば、図3に示したコース情報にスタート地点の位置が記憶されていない場合は、ユーザがGPSをONしたことをもってトレーニングの開始と判断し、スタート地点の位置が記憶されている場合は、記憶部15に記憶された軌跡位置がスタート地点の位置を中心とした所定範囲内に入ったことをもってトレーニングの開始と判断する。
【0032】
トレーニングが開始されると、制御部11は、ステップB2において、位置取得部14を用いて、所定間隔で通過判定装置10の現在位置を取得し、取得した現在位置を軌跡位置として取得した時刻とともに記憶部15に記憶させる。
【0033】
以降、制御部11は、記憶部15に記憶された軌跡位置を、時系列的に順次読み出し追跡していく。
【0034】
もし、記憶部15から読み出した軌跡位置が通過ポイントの位置を中心とした所定範囲内に入った場合、制御部11は、ステップB3において、所定範囲内にある軌跡位置のうち通過ポイントに最も近い軌跡位置と、その軌跡位置を取得した時刻と、に基づいて、通過ポイントを通過した通過時刻を判定し、判定した通過時刻を記憶部15に記憶させる。
【0035】
例えば、GPSの測位誤差の関係で、軌跡位置が所定範囲内に入ってから、その後、一旦所定範囲外となり、再度所定範囲内に入る場合があり、対象の軌跡位置が判別できなかったり、同じ通過ポイントを2回通過したことになったりしてしまう。一定時間以上所定範囲外となった場合は、GPSの測位誤差を考慮しても、ユーザは、すでに通過ポイント付近から移動している可能性が高いと考えられる。そこで、ステップB3では、軌跡位置が所定範囲内に入ってから一定時間以上所定範囲外となった場合において、最後に所定範囲内になった軌跡位置の取得時刻までに取得した軌跡位置で、かつ所定範囲内の軌跡位置を限定的に用いて、通過時刻を判定している。なお、ステップB3の通過ポイントの通過時刻を判定する処理は、軌跡位置が通過ポイントの一定時間以上所定範囲外となった時に行う。
【0036】
その後、制御部11は、ステップB4において、ユーザがトレーニングを終了したか否かを判断し、トレーニングが終了している場合は、処理を終了する。ここでは、例えば、図3に示したコース情報にゴール地点の位置が記憶されていない場合は、ユーザがGPSをOFFしたことをもってトレーニングの終了と判断し、ゴール地点の位置が記憶されている場合は、記憶部15に記憶された軌跡位置がゴール地点の位置を中心とした所定範囲内に入ったことをもってトレーニングの終了と判断する。
【0037】
ここで、図4のステップB3において、通過ポイントの通過時刻を判定する処理について、図5のフローチャートに沿って詳細に説明する。
【0038】
図5に示すように、まず、制御部11は、ステップB31において、所定範囲内にある軌跡位置の全てを対象とし、通過ポイントとの間の距離を計算する。
【0039】
次に、制御部11は、ステップB32において、対象の軌跡位置の中から、通過ポイントに最も近い軌跡位置と、その軌跡位置の直前および直後に取得した軌跡位置のうち通過ポイントに近い方の軌跡位置と、の2つの軌跡位置を抽出する。
【0040】
次に、制御部11は、ステップB33において、上記で抽出した2つの軌跡位置の間に直線をひき、通過ポイントの位置から直線に下ろした垂線の交点を求める。
【0041】
その後、制御部11は、ステップB34において、上記で求めた交点と上記で抽出した2つの軌跡位置のそれぞれとの間の距離の比率に応じて、上記で求めた交点を通過した場合における通過時刻を計算し、計算した通過時刻を通過ポイントの通過時刻と判定する。
【0042】
ここで、図5の処理について、図6の例を用いて具体的に説明する。
【0043】
図6に示すように、例えば、制御部11は、ステップB32において、対象の軌跡位置の中から、通過ポイントに最も近い軌跡位置A(取得時刻:「00:10」)と、その直後に取得した軌跡位置B(取得時刻:「00:20」)と、を抽出したとする。
【0044】
この場合、制御部11は、ステップB33において、軌跡位置Aと軌跡位置Bとの間に直線をひき、通過ポイントの位置からその直線に下ろした垂線の交点Nを求める。
【0045】
このとき、交点Nと軌跡位置A間の距離と、交点Nと軌跡位置B間の距離と、の比率が、2対3であるとすると、軌跡位置Aから軌跡位置Bまでの所要時間が10分であるため、制御部11は、ステップB34において、軌跡位置Aから交点Nまでの所要時間を、10分×(2/5)=4分と計算し、交点Nを通過した場合における通過時刻を、「00:14」と計算し、これを通過ポイントの通過時刻とする。
(C)通過ポイントが複数の場合における通過ポイントの通過判定動作
次に、通過ポイントが複数である場合の通過ポイントの通過判定動作について、図7のフローチャートに沿って説明する。
【0046】
図7に示すように、まず、制御部11は、ステップC1において、ユーザがトレーニングを開始したか否かを判断する。ここでは、図4のステップB1と同様に、トレーニングの開始を判断する。
【0047】
トレーニングが開始されると、制御部11は、ステップC2において、位置取得部14を用いて、所定間隔で通過判定装置10の現在位置を取得し、取得した現在位置を軌跡位置として記憶部15に記憶させる。
【0048】
以降、制御部11は、記憶部15に記憶された軌跡位置を、時系列的に順次読み出し追跡していく。
【0049】
もし、記憶部15から読み出した軌跡位置が、複数の通過ポイントのいずれかの所定範囲内に入った場合、制御部11は、ステップC3において、所定範囲内にある軌跡位置のうちその通過ポイントに最も近い軌跡位置と、その軌跡位置を取得した時刻と、に基づいて、その通過ポイントを通過した通過時刻を判定する。ここでは、図4のステップB3および図5と同様に、通過時刻を判定する。なお、ステップC3の通過ポイントの通過時刻を判定する処理は、軌跡位置が通過ポイントの一定時間以上所定範囲外となった時か、軌跡位置が次の通過ポイントの所定範囲内に入った時に行う。そして、制御部11は、通過判定をした通過ポイントの通過時刻を、仮通過時刻として記憶部15に記憶させる。
【0050】
次に、制御部11は、ステップC4において、記憶部15に記憶されている複数の通過ポイントの仮通過時刻が所定時間内(例えば、3秒)にあるか否かを判断する。
【0051】
例えば、往復コースにおいて、往路と復路とで略同様の緯度経度の位置に通過ポイントが設定されている場合や、周回コースにおいて、異なる周で略同様の緯度経度の位置に通過ポイントが設定されている場合には、これらの通過ポイント同士で仮通過時刻が所定時間内になる可能性がある。ここで、両通過ポイントの仮通過時刻を同時刻とせず、所定時間内としたのは、制御部11の処理遅延を考慮したためである。
【0052】
ステップC4において、複数の通過ポイントの仮通過時刻が所定時間内にない場合、制御部11は、ステップC5において、ステップC3で通過判定をした通過ポイント(以下、現在の通過ポイントと称する)よりも優先順位が低い通過ポイント、すなわち、未だ通過していない通過ポイントの仮通過時刻が記憶部15に記憶されているか否かを判断し、記憶されていれば、ステップC6において、優先順位が低い通過ポイントの仮通過時刻を記憶部15から消去する。
【0053】
さらに、制御部11は、ステップC7において、現在の通過ポイントよりも優先順位が高い通過ポイント、すなわち、すでに通過した通過ポイントの仮通過時刻が記憶部15に記憶されているか否かを判断し、記憶されていれば、ステップC8において、優先順位が高い通過ポイントの仮通過時刻を通過時刻と確定し、記憶部15に新たに記憶させる。
【0054】
次に、制御部11は、ステップC9において、ユーザがトレーニングを終了したか否かを判断する。ここでは、図4のステップB4と同様に、トレーニングの終了を判断する。
【0055】
ステップC9において、トレーニングが終了していない場合、ステップC3に戻り、軌跡位置が次の通過ポイントの所定範囲内に入った時点で以降に同様の処理を行う。
【0056】
また、ステップC9において、トレーニングが終了している場合、ステップC10において、記憶部15に記憶されている全ての通過ポイントの仮通過時刻を通過時刻と確定し、記憶部15に新たに記憶させ、処理を終了する。
【0057】
一方、ステップC4において、複数の通過ポイントの仮通過時刻が所定時間内にある場合、制御部11は、ステップC11において、複数の通過ポイントのうち優先順位が最も高い通過ポイント以外の仮通過時刻を記憶部15から消去する。そして、優先順位が最も高い通過ポイントを現在の通過ポイントとして扱い、ステップC5に進む。
【0058】
ここで、図7の処理について具体的に説明する。なお、複数の通過ポイントが設定されるコースとしては、走行中に略同様の位置を通過しないコース(直線コース等)も存在するが、以下では、本発明の特徴的な動作を説明するために、図8〜図10のように、走行中に略同様の位置を通過する往復コースまたは周回コースを例に挙げて、図7の処理について説明する。
(C−1)第1の例
図8に示すように、本例は、往路において通過ポイント#1→#2を通過し、通過ポイント#3で折り返し、復路において通過ポイント#4→#5を通過する往復コースになっている。すなわち、通過順は通過ポイント#1→#2→#3→#4→#5であり、この順で優先順位も順次低くなっている。また、本例は、往路と復路とで通過ポイントの位置が略同様の緯度経度になることはない。
【0059】
本例では、ユーザが往路を走行すると、まず、復路に設定されている通過ポイント#5の所定範囲内を通過することになる。
【0060】
そのため、ステップC3で通過ポイント#5の通過時刻が「00:30」と判定され、仮通過時刻として記憶される。この時点で通過ポイント#5以外には仮通過時刻が記憶されていないため、仮通過時刻の消去も確定も行われずに、ステップC9からステップC3へ戻る。
【0061】
そして、ユーザがさらに往路を走行すると、続いて、往路に設定されている通過ポイント#1の所定範囲内を通過することになる。
【0062】
そのため、ステップC3で通過ポイント#1の通過時刻が「00:50」と判定され、仮通過時刻として記憶される。この時点で通過ポイント#5の仮通過時刻「00:30」が記憶されているのみであり、「00:50」から所定時間内にある仮通過時刻は記憶されていない。そのため、ステップC4からステップC5へ進む。ここで、通過ポイント#5は、現在の通過ポイント#1よりも優先順位が低いため、通過ポイント#5の仮通過時刻がステップC6で消去される。
【0063】
以降の説明は省略する。
(C−2)第2の例
図9に示すように、本例は、往路において通過ポイント#1→#2を通過し、通過ポイント#3で折り返し、復路において通過ポイント#4→#5を通過する往復コースになっている。すなわち、通過順は通過ポイント#1→#2→#3→#4→#5であり、この順で優先順位も順次低くなっている。ただし、本例は、第1の例とは異なり、往路の通過ポイント#1の位置と復路の通過ポイント#5の位置とが略同様の緯度経度、往路の通過ポイント#2の位置と復路の通過ポイント#4の位置とが略同様の緯度経度となっている。
【0064】
本例では、ユーザが往路を走行すると、まず、往路に設定されている通過ポイント#1および復路に設定されている通過ポイント#5の所定範囲内を通過することになる。
【0065】
そのため、ステップC3で通過ポイント#1および#5の通過時刻が判定される。ここで、通過ポイント#1および#5の通過時刻は共に「00:30」と判定され、仮通過時刻として記憶されたとすると、ステップC4からステップC11へ進む。ここでは、通過ポイント#1の優先順位が最も高いため、通過ポイント#5の仮通過時刻がステップC11で消去される。以降、ステップC5へ進むが、この時点では通過ポイント#1以外には仮通過時刻が記憶されていないため、仮通過時刻の消去も確定も行われず、ステップC9からステップC3へ戻る。
【0066】
そして、ユーザがさらに往路を走行すると、続いて、往路に設定されている通過ポイント#2および復路に設定されている通過ポイント#4の所定範囲内を通過することになる。
【0067】
そのため、今度は、ステップC3で通過ポイント#2および#4の通過時刻が判定される。ここで、通過ポイント#2および#4の通過時刻は共に「01:10」と判定され、仮通過時刻として記憶されたとすると、ステップC4からステップC11へ進む。ここでは、通過ポイント#2の優先順位が最も高いため、通過ポイント#4の仮通過時刻がステップC11で消去され、ステップC5へ進む。ここで、通過ポイント#1は、現在の通過ポイント#2よりも優先順位が高いため、通過ポイント#1の仮通過時刻がステップC8で通過時刻と確定され、ステップC9からステップC3へ戻る。
【0068】
以降の説明は省略する。
(C−3)第3の例
図10に示すように、本例は、同じコースを3周回る周回コースになっており、1周目で通過ポイント#1を、2周目で通過ポイント#2を、3周目で通過ポイント#3を通過する。すなわち、通過順は通過ポイント#1→#2→#3であり、この順で優先順位も順次低くなっている。また、本例は、1〜3周目の通過ポイント#1〜#3の位置が略同様の緯度経度となっている。
【0069】
本例では、ユーザが1周目を走行すると、1〜3周目に設定されている通過ポイント#1〜#3の所定範囲内を通過することになる。
【0070】
そのため、ステップC3で通過ポイント#1〜#3の通過時刻が判定される。ここで、通過ポイント#1〜#3の通過時刻は共に「00:30」と判定され、仮通過時刻として記憶されたとすると、ステップC4からステップC11へ進む。ここでは、通過ポイント#1の優先順位が最も高いため、通過ポイント#2,#3の仮通過時刻がステップC11で消去される。以降、ステップC5へ進むが、この時点では通過ポイント#1以外には仮通過時刻が記憶されていないため、仮通過時刻の消去も確定も行われず、ステップC9からステップC3へ戻る。
【0071】
そして、ユーザが2周目を走行すると、1〜3周目に設定されている通過ポイント#1〜#3の所定範囲内を通過することになる。
【0072】
ただし、通過ポイント#1の仮通過時刻はすでに記憶されているため、ここでは、ステップC3で通過ポイント#2,#3の通過時刻が判定される。ここで、通過ポイント#2,#3の通過時刻は共に「01:00」と判定され、仮通過時刻として記憶されたとすると、ステップC4からステップC11へ進む。ここでは、通過ポイント#2の優先順位が最も高いため、通過ポイント#3の仮通過時刻がステップC11で消去され、ステップC5へ進む。ここで、通過ポイント#1は、現在の通過ポイント#2よりも優先順位が高いため、通過ポイント#1の仮通過時刻がステップC8で通過時刻と確定され、ステップC9からステップC3へ戻る。
【0073】
以降の説明は省略する。
(D)通過ポイントが複数の場合におけるラップタイムの表示動作
次に、通過ポイントが複数である場合における、通過ポイント間の所要時間を表すラップタイムの表示動作について説明する。
【0074】
図11に示すように、制御部11は、各トレーニングごとのラップタイムの計測・表示を可能とするために、トレーニングごとに、トレーニング識別子(図11では日付)と対応付けて、各トレーニングの情報を記憶部15に記憶させる。なお、図11において、スタート時刻は、図3のコース情報にスタート地点の位置が記憶されている場合は、記憶部15に記憶された軌跡位置がスタート地点の位置を中心とした所定範囲内に入った時刻とし、スタート地点の位置が記憶されていない場合は、ユーザがGPSをONした時刻とする。また、ゴール時刻は、図3のコース情報にゴール地点の位置が記憶されている場合は、記憶部15に記憶された軌跡位置がゴール地点の位置を中心とした所定範囲内に入った時刻とし、ゴール地点の位置が記憶されていない場合は、ユーザがGPSをOFFした時刻とする。
【0075】
制御部11は、ラップタイムを表示する場合、図12に示すような表示画面を表示部12に表示する。この表示画面において、最上部の帯状の部分は、スタート地点、各通過ポイント、ゴール地点を示しており、ユーザは、帯状部分のある通過ポイント間(図12では、通過ポイント#1と通過ポイント#2の間)をタッチすることで、その通過ポイント間のラップタイムを表示する旨の指示を行うことができる。
【0076】
制御部11は、この表示画面において、トレーニング(図12ではトレーニングを行った日付)ごとに、互いに平行な1つの軸を設けている。
【0077】
そして、例えば、通過ポイント#1と通過ポイント#2の間のラップタイムを表示する旨の指示を受けた場合、制御部11は、トレーニングごとに、通過ポイント#1と通過ポイント#2の間のラップタイムを計測し、上記軸上において、通過ポイント#1と通過ポイント#2間のラップタイムに相当する距離だけ離して、通過ポイント#1と通過ポイント#2の通過時刻を表す点をそれぞれプロットする。このとき、各トレーニングの上記軸上の通過ポイント#1の通過時刻を表す点を、軸方向と直交する方向において一致させる。
【0078】
上述したように本実施形態においては、自装置の取得した位置が通過ポイントの所定範囲内に入った場合、取得した所定範囲内の位置のうち通過ポイントに最も近い位置と、その位置を取得した時刻と、に基づいて、通過ポイントを通過した通過時刻を判定する。
【0079】
このように、本実施形態は、関連技術のように、自装置の位置が通過ポイントの所定範囲内に入った時刻を通過時刻と即座に判定するのではなく、所定範囲内の位置の中で通過ポイントに最も近い位置とその位置を取得した時刻とに基づき通過時刻を判定する。
【0080】
そのため、自装置の位置に測位誤差があったとしても、判定した通過時刻が実際の通過時刻に近い確率が高くなり、その結果、通過ポイントの通過時刻の判定精度を向上させることができる。
【0081】
また、本実施形態においては、通過ポイントが複数ある場合、複数の通過ポイントのそれぞれに対し、ユーザの通過順に順次低くなるように優先順位を設定し、通過ポイントの通過時刻を判定した場合、判定した通過時刻を仮通過時刻として記憶する。
【0082】
そして、通過ポイントの仮通過時刻を記憶した時点で、その通過ポイントよりも優先順位が低い通過ポイントの仮通過時刻を消去し、優先順位が高い通過ポイントの仮通過時刻を通過時刻と確定し、また、トレーニングが終了した時点で、全ての通過ポイントの仮通過時刻を通過時刻と確定する(第1〜第3の処理)。
【0083】
そのため、図8のような往復コースにおいて、往路の走行中に、後に通過予定の復路の通過ポイント#5の通過時刻を先に判定してしまうような場合にも、通過ポイント#5の仮通過時刻が確定されてしまうことを回避することができる。
【0084】
また、本実施形態においては、通過ポイントの仮通過時刻を記憶した時点で、複数の通過ポイントの仮通過時刻が所定時間内にある場合、最も優先順位が高い通過ポイント以外の通過ポイントの仮通過時刻を消去し、その後に第1〜第3の処理を行う。
【0085】
そのため、図9のように、往路と復路とで略同様の位置に通過ポイント#1,#5(#2,#4も同様)が設定されている往復コースや、図10のように、異なる周で略同様の位置に通過ポイント#1〜#3が設定されている周回コースにおいて、これらの通過ポイント同士で仮通過時刻が所定時間内になった場合にも、後に通過予定の通過ポイントの仮通過時刻を消去した上で、第1〜第3の処理を行うことができる。
【0086】
したがって、トレーニングを往復コースや周回コースで行う場合においても、複雑な処理をすることなく、通過ポイントの通過時刻を判定することができる。
【0087】
また、本実施形態においては、第1および第2の通過ポイント間のラップタイムの表示指示を受けた場合、図12のように、トレーニングごとに、互いに平行な1つの軸を設け、この軸上において、第1および第2の通過ポイントの通過時刻を表す点を、ラップタイムに相当する距離だけ離してそれぞれプロットし、各トレーニングの軸上の第1の通過ポイントの通過時刻を表す点を、軸方向と直交する方向において一致させる。
【0088】
このように、各トレーニングの軸上の第1の通過ポイントの通過時刻を表す点を、軸方向と直交する方向において一致させ、さらに、第1および第2の通過ポイントの通過時刻を表す点を、ラップタイムに相当する距離だけ離していることから、トレーニングごとのラップタイムの差異を明確に表示することができる。
【0089】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されものでない。本発明の構成や詳細には、本発明の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0090】
例えば、本実施形態においては、自転車でコースを走行するトレーニングに本発明を適用する場合の例について説明したが、本発明はこれに限定されず、他の手段(車、バイク、人間の足等)でコースを走行するトレーニング、例えば、カーレース、バイクレース、マラソン、トライアスロン等に適用することができる。
【0091】
また、本発明の携帯端末にて行われる方法は、コンピュータに実行させるためのプログラムに適用してもよい。また、そのプログラムを記憶媒体に格納することも可能である。
【符号の説明】
【0092】
10 通過判定装置
11 制御部
12 表示部
13 入力部
14 位置取得部
15 記憶部
16 送受信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザがトレーニングで走行するコースに予め設定された通過ポイントを通過した通過時刻を判定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康志向の高まりにより、トレーニングを行うユーザが増えており、中でも、自転車によるトレーニングは、場所を選ばず、公衆用の道路においても行うことができ、身近で手軽なトレーニングとして人気を集めている。
【0003】
そのため、最近は、自転車によるトレーニングを支援するための技術も幾つか実現されており、例えば、特許文献1には、自転車などの移動体に設けた装置によって、ユーザが走行するコースに予め設定された通過ポイントを通過した通過時刻を判定する技術が開示されている。
【0004】
詳細には、特許文献1に開示された技術では、GPS(Global Positioning System)により測位した移動体の現在位置が、予め設定した通過ポイントの位置を中心とした所定範囲内に入った場合、その時刻をその通過ポイントを通過した通過時刻と判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−166988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献1に開示された技術では、GPSにより測位した移動体の現在位置が通過ポイントの所定範囲内に入った時刻を、その通過ポイントの通過時刻と判定している。
【0007】
しかしながら、GPSには測位誤差があるため、移動体が実際には通過ポイントの所定範囲外に位置しているにも関わらず、所定範囲内に入ったと認識し、その時刻を通過時刻と判定してしまう可能性があり、通過時刻の判定精度が悪いという課題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、通過ポイントの通過時刻の判定精度を向上させることができる通過判定装置、通過判定方法、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の通過判定装置は、
予め設定されたコースを任意の手段で走行するトレーニングを行うユーザが携帯する通過判定装置であって、
記憶部と、
所定間隔で自装置の位置を取得する位置情報取得部と、
ユーザにより予め設定されたコースおよび当該コース上の通過ポイントの位置を前記記憶部に記憶させると共に、前記位置情報取得部により取得された位置を、当該位置が取得された時刻と共に前記記憶部に記憶させる制御部と、を有し、
前記制御部は、
自装置の位置が前記通過ポイントの所定範囲内に入った場合、取得した当該所定範囲内の位置のうち当該通過ポイントに最も近い位置と、当該位置を取得した時刻と、に基づいて、当該通過ポイントを通過した通過時刻を判定する。
【0010】
本発明の通過判定方法は、
予め設定されたコースを任意の手段で走行するトレーニングを行うユーザが携帯する通過判定装置による通過判定方法であって、
ユーザにより予め設定されたコースおよび当該コース上の通過ポイントの位置を前記記憶部に記憶させ、
所定間隔で自装置の位置を取得し、前記取得した位置を、当該位置が取得された時刻と共に前記記憶部に記憶させ、
自装置の位置が前記通過ポイントの所定範囲内に入った場合、取得した当該所定範囲内の位置のうち当該通過ポイントに最も近い位置と、当該位置を取得した時刻と、に基づいて、当該通過ポイントを通過した通過時刻を判定する。
【0011】
本発明のプログラムは、
前記通過判定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の通過判定装置によれば、自装置の取得した位置が通過ポイントの所定範囲内に入った場合、取得した所定範囲内の位置のうち通過ポイントに最も近い位置と、その位置を取得した時刻と、に基づいて、通過ポイントを通過した通過時刻を判定する。
【0013】
このように、本実施形態は、関連技術のように、自装置の位置が通過ポイントの所定範囲内に入った時刻を通過時刻と即座に判定するのではなく、所定範囲内の位置の中で通過ポイントに最も近い位置とその位置を取得した時刻とに基づき通過時刻を判定する。
【0014】
そのため、自装置の位置に測位誤差があったとしても、判定した通過時刻が実際の通過時刻に近い確率が高くなり、その結果、通過ポイントの通過時刻の判定精度を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の通過判定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した通過判定装置における、通過ポイントの設定動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示した記憶部に記憶されるコース情報の一例を示す図である。
【図4】図1に示した通過判定装置における、通過ポイントが1つである場合の通過ポイントの通過判定動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4に示したステップB3における通過ポイントの通過時刻の判定処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】図5において通過時刻の計算対象となる交点の具体例を示す図である。
【図7】図1に示した通過判定装置における、通過ポイントが複数である場合の通過ポイントの通過判定動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】図7において判定対象となる往復コースの具体例を示す図である。
【図9】図7において判定対象となる往復コースの具体例を示す図である。
【図10】図7において判定対象となる周回コースの具体例を示す図である。
【図11】図1に示した記憶部に記憶されるトレーニング情報の一例を示す図である。
【図12】図1に示した表示部に表示される通過ポイント間のラップタイムの表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0017】
なお、以下の実施形態では、本発明の通過判定装置を、予め設定されたコースを自転車で走行するトレーニングを行うユーザが携帯するものとして説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の通過判定装置10は、制御部11と、表示部12と、入力部13と、位置取得部14と、記憶部15と、送受信部16と、を有している。
【0019】
制御部11は、通過判定装置10内の構成要素を制御し、各種の処理を行う。
【0020】
表示部12は、各種の情報を表示画面において表示する。また、表示画面上にはタッチパネルが設けられている。
【0021】
入力部13は、表示部12の表示画面上に設けられたタッチパネルや、通過判定装置10の筐体上に設けられたボタンである。
【0022】
位置取得部14は、ユーザにより入力部13を介してGPSがONされると起動し、GPSを利用して、所定間隔で通過判定装置10の現在位置(緯度、経度)を取得する。
【0023】
記憶部15は、各種の情報を記憶する。
【0024】
送受信部16は、通過判定装置10の外部の装置との間で、各種の情報を送受信する。
【0025】
なお、通過判定装置10内の上記の構成要素の具体的な動作内容については、以降の動作の説明において詳しく述べる。
【0026】
次に、本実施形態の通過判定装置10の動作について説明する。
(A)通過ポイントの設定動作
最初に、通過ポイントの設定動作について、図2のフローチャートに沿って説明する。
【0027】
図2に示すように、まず、制御部11は、ステップA1において、送受信部16を用いて、通過判定装置10の外部の装置から地図データを受信し、ステップA2において、ステップA1で受信した地図データを表示部12の表示画面上に表示する。
【0028】
次に、ユーザは、ステップA3において、入力部13を用いて、コース名を設定し、また、表示画面上に表示された地図データをなぞることでコースを設定し、さらに、そのコース上の所望の位置をタッチすることで通過ポイントを設定する。ここでの設定方法は特に限定はなく、他の方法でもよい。このとき、ユーザは、スタート地点、ゴール地点を任意で設定することもできる。
【0029】
その後、制御部11は、ステップA4において、ステップA3で設定されたコース名や通過ポイントの位置を記憶部15に記憶させる。なお、ステップA3で複数の通過ポイントが設定された場合は、制御部11は、複数の通過ポイントのそれぞれに対し、ユーザの通過順に順次低くなるようにした優先順位を設定し、設定した優先順位も記憶部15に記憶させる。また、ステップA3でスタート地点、ゴール地点が設定された場合は、これらの位置も合わせて記憶部15に記憶させる。このときに記憶される情報(コース情報)の一例を図3に示す。
【0030】
図3に示すように、制御部11は、コースごとに、各コースの情報を記憶部15に記憶させる。なお、図3において、コースの位置は、ユーザがなぞった地図データ上の位置を順次示すものであり、通過ポイントの位置とは必ずしも一致しない。また、スタート地点およびゴール地点の位置は、ユーザが設定した場合に記憶すればよい。
(B)通過ポイントが1つの場合における通過ポイントの通過判定動作
次に、通過ポイントが1つである場合の通過ポイントの通過判定動作について、図4のフローチャートに沿って説明する。
【0031】
図4に示すように、まず、制御部11は、ステップB1において、ユーザがトレーニングを開始したか否かを判断する。ここでは、例えば、図3に示したコース情報にスタート地点の位置が記憶されていない場合は、ユーザがGPSをONしたことをもってトレーニングの開始と判断し、スタート地点の位置が記憶されている場合は、記憶部15に記憶された軌跡位置がスタート地点の位置を中心とした所定範囲内に入ったことをもってトレーニングの開始と判断する。
【0032】
トレーニングが開始されると、制御部11は、ステップB2において、位置取得部14を用いて、所定間隔で通過判定装置10の現在位置を取得し、取得した現在位置を軌跡位置として取得した時刻とともに記憶部15に記憶させる。
【0033】
以降、制御部11は、記憶部15に記憶された軌跡位置を、時系列的に順次読み出し追跡していく。
【0034】
もし、記憶部15から読み出した軌跡位置が通過ポイントの位置を中心とした所定範囲内に入った場合、制御部11は、ステップB3において、所定範囲内にある軌跡位置のうち通過ポイントに最も近い軌跡位置と、その軌跡位置を取得した時刻と、に基づいて、通過ポイントを通過した通過時刻を判定し、判定した通過時刻を記憶部15に記憶させる。
【0035】
例えば、GPSの測位誤差の関係で、軌跡位置が所定範囲内に入ってから、その後、一旦所定範囲外となり、再度所定範囲内に入る場合があり、対象の軌跡位置が判別できなかったり、同じ通過ポイントを2回通過したことになったりしてしまう。一定時間以上所定範囲外となった場合は、GPSの測位誤差を考慮しても、ユーザは、すでに通過ポイント付近から移動している可能性が高いと考えられる。そこで、ステップB3では、軌跡位置が所定範囲内に入ってから一定時間以上所定範囲外となった場合において、最後に所定範囲内になった軌跡位置の取得時刻までに取得した軌跡位置で、かつ所定範囲内の軌跡位置を限定的に用いて、通過時刻を判定している。なお、ステップB3の通過ポイントの通過時刻を判定する処理は、軌跡位置が通過ポイントの一定時間以上所定範囲外となった時に行う。
【0036】
その後、制御部11は、ステップB4において、ユーザがトレーニングを終了したか否かを判断し、トレーニングが終了している場合は、処理を終了する。ここでは、例えば、図3に示したコース情報にゴール地点の位置が記憶されていない場合は、ユーザがGPSをOFFしたことをもってトレーニングの終了と判断し、ゴール地点の位置が記憶されている場合は、記憶部15に記憶された軌跡位置がゴール地点の位置を中心とした所定範囲内に入ったことをもってトレーニングの終了と判断する。
【0037】
ここで、図4のステップB3において、通過ポイントの通過時刻を判定する処理について、図5のフローチャートに沿って詳細に説明する。
【0038】
図5に示すように、まず、制御部11は、ステップB31において、所定範囲内にある軌跡位置の全てを対象とし、通過ポイントとの間の距離を計算する。
【0039】
次に、制御部11は、ステップB32において、対象の軌跡位置の中から、通過ポイントに最も近い軌跡位置と、その軌跡位置の直前および直後に取得した軌跡位置のうち通過ポイントに近い方の軌跡位置と、の2つの軌跡位置を抽出する。
【0040】
次に、制御部11は、ステップB33において、上記で抽出した2つの軌跡位置の間に直線をひき、通過ポイントの位置から直線に下ろした垂線の交点を求める。
【0041】
その後、制御部11は、ステップB34において、上記で求めた交点と上記で抽出した2つの軌跡位置のそれぞれとの間の距離の比率に応じて、上記で求めた交点を通過した場合における通過時刻を計算し、計算した通過時刻を通過ポイントの通過時刻と判定する。
【0042】
ここで、図5の処理について、図6の例を用いて具体的に説明する。
【0043】
図6に示すように、例えば、制御部11は、ステップB32において、対象の軌跡位置の中から、通過ポイントに最も近い軌跡位置A(取得時刻:「00:10」)と、その直後に取得した軌跡位置B(取得時刻:「00:20」)と、を抽出したとする。
【0044】
この場合、制御部11は、ステップB33において、軌跡位置Aと軌跡位置Bとの間に直線をひき、通過ポイントの位置からその直線に下ろした垂線の交点Nを求める。
【0045】
このとき、交点Nと軌跡位置A間の距離と、交点Nと軌跡位置B間の距離と、の比率が、2対3であるとすると、軌跡位置Aから軌跡位置Bまでの所要時間が10分であるため、制御部11は、ステップB34において、軌跡位置Aから交点Nまでの所要時間を、10分×(2/5)=4分と計算し、交点Nを通過した場合における通過時刻を、「00:14」と計算し、これを通過ポイントの通過時刻とする。
(C)通過ポイントが複数の場合における通過ポイントの通過判定動作
次に、通過ポイントが複数である場合の通過ポイントの通過判定動作について、図7のフローチャートに沿って説明する。
【0046】
図7に示すように、まず、制御部11は、ステップC1において、ユーザがトレーニングを開始したか否かを判断する。ここでは、図4のステップB1と同様に、トレーニングの開始を判断する。
【0047】
トレーニングが開始されると、制御部11は、ステップC2において、位置取得部14を用いて、所定間隔で通過判定装置10の現在位置を取得し、取得した現在位置を軌跡位置として記憶部15に記憶させる。
【0048】
以降、制御部11は、記憶部15に記憶された軌跡位置を、時系列的に順次読み出し追跡していく。
【0049】
もし、記憶部15から読み出した軌跡位置が、複数の通過ポイントのいずれかの所定範囲内に入った場合、制御部11は、ステップC3において、所定範囲内にある軌跡位置のうちその通過ポイントに最も近い軌跡位置と、その軌跡位置を取得した時刻と、に基づいて、その通過ポイントを通過した通過時刻を判定する。ここでは、図4のステップB3および図5と同様に、通過時刻を判定する。なお、ステップC3の通過ポイントの通過時刻を判定する処理は、軌跡位置が通過ポイントの一定時間以上所定範囲外となった時か、軌跡位置が次の通過ポイントの所定範囲内に入った時に行う。そして、制御部11は、通過判定をした通過ポイントの通過時刻を、仮通過時刻として記憶部15に記憶させる。
【0050】
次に、制御部11は、ステップC4において、記憶部15に記憶されている複数の通過ポイントの仮通過時刻が所定時間内(例えば、3秒)にあるか否かを判断する。
【0051】
例えば、往復コースにおいて、往路と復路とで略同様の緯度経度の位置に通過ポイントが設定されている場合や、周回コースにおいて、異なる周で略同様の緯度経度の位置に通過ポイントが設定されている場合には、これらの通過ポイント同士で仮通過時刻が所定時間内になる可能性がある。ここで、両通過ポイントの仮通過時刻を同時刻とせず、所定時間内としたのは、制御部11の処理遅延を考慮したためである。
【0052】
ステップC4において、複数の通過ポイントの仮通過時刻が所定時間内にない場合、制御部11は、ステップC5において、ステップC3で通過判定をした通過ポイント(以下、現在の通過ポイントと称する)よりも優先順位が低い通過ポイント、すなわち、未だ通過していない通過ポイントの仮通過時刻が記憶部15に記憶されているか否かを判断し、記憶されていれば、ステップC6において、優先順位が低い通過ポイントの仮通過時刻を記憶部15から消去する。
【0053】
さらに、制御部11は、ステップC7において、現在の通過ポイントよりも優先順位が高い通過ポイント、すなわち、すでに通過した通過ポイントの仮通過時刻が記憶部15に記憶されているか否かを判断し、記憶されていれば、ステップC8において、優先順位が高い通過ポイントの仮通過時刻を通過時刻と確定し、記憶部15に新たに記憶させる。
【0054】
次に、制御部11は、ステップC9において、ユーザがトレーニングを終了したか否かを判断する。ここでは、図4のステップB4と同様に、トレーニングの終了を判断する。
【0055】
ステップC9において、トレーニングが終了していない場合、ステップC3に戻り、軌跡位置が次の通過ポイントの所定範囲内に入った時点で以降に同様の処理を行う。
【0056】
また、ステップC9において、トレーニングが終了している場合、ステップC10において、記憶部15に記憶されている全ての通過ポイントの仮通過時刻を通過時刻と確定し、記憶部15に新たに記憶させ、処理を終了する。
【0057】
一方、ステップC4において、複数の通過ポイントの仮通過時刻が所定時間内にある場合、制御部11は、ステップC11において、複数の通過ポイントのうち優先順位が最も高い通過ポイント以外の仮通過時刻を記憶部15から消去する。そして、優先順位が最も高い通過ポイントを現在の通過ポイントとして扱い、ステップC5に進む。
【0058】
ここで、図7の処理について具体的に説明する。なお、複数の通過ポイントが設定されるコースとしては、走行中に略同様の位置を通過しないコース(直線コース等)も存在するが、以下では、本発明の特徴的な動作を説明するために、図8〜図10のように、走行中に略同様の位置を通過する往復コースまたは周回コースを例に挙げて、図7の処理について説明する。
(C−1)第1の例
図8に示すように、本例は、往路において通過ポイント#1→#2を通過し、通過ポイント#3で折り返し、復路において通過ポイント#4→#5を通過する往復コースになっている。すなわち、通過順は通過ポイント#1→#2→#3→#4→#5であり、この順で優先順位も順次低くなっている。また、本例は、往路と復路とで通過ポイントの位置が略同様の緯度経度になることはない。
【0059】
本例では、ユーザが往路を走行すると、まず、復路に設定されている通過ポイント#5の所定範囲内を通過することになる。
【0060】
そのため、ステップC3で通過ポイント#5の通過時刻が「00:30」と判定され、仮通過時刻として記憶される。この時点で通過ポイント#5以外には仮通過時刻が記憶されていないため、仮通過時刻の消去も確定も行われずに、ステップC9からステップC3へ戻る。
【0061】
そして、ユーザがさらに往路を走行すると、続いて、往路に設定されている通過ポイント#1の所定範囲内を通過することになる。
【0062】
そのため、ステップC3で通過ポイント#1の通過時刻が「00:50」と判定され、仮通過時刻として記憶される。この時点で通過ポイント#5の仮通過時刻「00:30」が記憶されているのみであり、「00:50」から所定時間内にある仮通過時刻は記憶されていない。そのため、ステップC4からステップC5へ進む。ここで、通過ポイント#5は、現在の通過ポイント#1よりも優先順位が低いため、通過ポイント#5の仮通過時刻がステップC6で消去される。
【0063】
以降の説明は省略する。
(C−2)第2の例
図9に示すように、本例は、往路において通過ポイント#1→#2を通過し、通過ポイント#3で折り返し、復路において通過ポイント#4→#5を通過する往復コースになっている。すなわち、通過順は通過ポイント#1→#2→#3→#4→#5であり、この順で優先順位も順次低くなっている。ただし、本例は、第1の例とは異なり、往路の通過ポイント#1の位置と復路の通過ポイント#5の位置とが略同様の緯度経度、往路の通過ポイント#2の位置と復路の通過ポイント#4の位置とが略同様の緯度経度となっている。
【0064】
本例では、ユーザが往路を走行すると、まず、往路に設定されている通過ポイント#1および復路に設定されている通過ポイント#5の所定範囲内を通過することになる。
【0065】
そのため、ステップC3で通過ポイント#1および#5の通過時刻が判定される。ここで、通過ポイント#1および#5の通過時刻は共に「00:30」と判定され、仮通過時刻として記憶されたとすると、ステップC4からステップC11へ進む。ここでは、通過ポイント#1の優先順位が最も高いため、通過ポイント#5の仮通過時刻がステップC11で消去される。以降、ステップC5へ進むが、この時点では通過ポイント#1以外には仮通過時刻が記憶されていないため、仮通過時刻の消去も確定も行われず、ステップC9からステップC3へ戻る。
【0066】
そして、ユーザがさらに往路を走行すると、続いて、往路に設定されている通過ポイント#2および復路に設定されている通過ポイント#4の所定範囲内を通過することになる。
【0067】
そのため、今度は、ステップC3で通過ポイント#2および#4の通過時刻が判定される。ここで、通過ポイント#2および#4の通過時刻は共に「01:10」と判定され、仮通過時刻として記憶されたとすると、ステップC4からステップC11へ進む。ここでは、通過ポイント#2の優先順位が最も高いため、通過ポイント#4の仮通過時刻がステップC11で消去され、ステップC5へ進む。ここで、通過ポイント#1は、現在の通過ポイント#2よりも優先順位が高いため、通過ポイント#1の仮通過時刻がステップC8で通過時刻と確定され、ステップC9からステップC3へ戻る。
【0068】
以降の説明は省略する。
(C−3)第3の例
図10に示すように、本例は、同じコースを3周回る周回コースになっており、1周目で通過ポイント#1を、2周目で通過ポイント#2を、3周目で通過ポイント#3を通過する。すなわち、通過順は通過ポイント#1→#2→#3であり、この順で優先順位も順次低くなっている。また、本例は、1〜3周目の通過ポイント#1〜#3の位置が略同様の緯度経度となっている。
【0069】
本例では、ユーザが1周目を走行すると、1〜3周目に設定されている通過ポイント#1〜#3の所定範囲内を通過することになる。
【0070】
そのため、ステップC3で通過ポイント#1〜#3の通過時刻が判定される。ここで、通過ポイント#1〜#3の通過時刻は共に「00:30」と判定され、仮通過時刻として記憶されたとすると、ステップC4からステップC11へ進む。ここでは、通過ポイント#1の優先順位が最も高いため、通過ポイント#2,#3の仮通過時刻がステップC11で消去される。以降、ステップC5へ進むが、この時点では通過ポイント#1以外には仮通過時刻が記憶されていないため、仮通過時刻の消去も確定も行われず、ステップC9からステップC3へ戻る。
【0071】
そして、ユーザが2周目を走行すると、1〜3周目に設定されている通過ポイント#1〜#3の所定範囲内を通過することになる。
【0072】
ただし、通過ポイント#1の仮通過時刻はすでに記憶されているため、ここでは、ステップC3で通過ポイント#2,#3の通過時刻が判定される。ここで、通過ポイント#2,#3の通過時刻は共に「01:00」と判定され、仮通過時刻として記憶されたとすると、ステップC4からステップC11へ進む。ここでは、通過ポイント#2の優先順位が最も高いため、通過ポイント#3の仮通過時刻がステップC11で消去され、ステップC5へ進む。ここで、通過ポイント#1は、現在の通過ポイント#2よりも優先順位が高いため、通過ポイント#1の仮通過時刻がステップC8で通過時刻と確定され、ステップC9からステップC3へ戻る。
【0073】
以降の説明は省略する。
(D)通過ポイントが複数の場合におけるラップタイムの表示動作
次に、通過ポイントが複数である場合における、通過ポイント間の所要時間を表すラップタイムの表示動作について説明する。
【0074】
図11に示すように、制御部11は、各トレーニングごとのラップタイムの計測・表示を可能とするために、トレーニングごとに、トレーニング識別子(図11では日付)と対応付けて、各トレーニングの情報を記憶部15に記憶させる。なお、図11において、スタート時刻は、図3のコース情報にスタート地点の位置が記憶されている場合は、記憶部15に記憶された軌跡位置がスタート地点の位置を中心とした所定範囲内に入った時刻とし、スタート地点の位置が記憶されていない場合は、ユーザがGPSをONした時刻とする。また、ゴール時刻は、図3のコース情報にゴール地点の位置が記憶されている場合は、記憶部15に記憶された軌跡位置がゴール地点の位置を中心とした所定範囲内に入った時刻とし、ゴール地点の位置が記憶されていない場合は、ユーザがGPSをOFFした時刻とする。
【0075】
制御部11は、ラップタイムを表示する場合、図12に示すような表示画面を表示部12に表示する。この表示画面において、最上部の帯状の部分は、スタート地点、各通過ポイント、ゴール地点を示しており、ユーザは、帯状部分のある通過ポイント間(図12では、通過ポイント#1と通過ポイント#2の間)をタッチすることで、その通過ポイント間のラップタイムを表示する旨の指示を行うことができる。
【0076】
制御部11は、この表示画面において、トレーニング(図12ではトレーニングを行った日付)ごとに、互いに平行な1つの軸を設けている。
【0077】
そして、例えば、通過ポイント#1と通過ポイント#2の間のラップタイムを表示する旨の指示を受けた場合、制御部11は、トレーニングごとに、通過ポイント#1と通過ポイント#2の間のラップタイムを計測し、上記軸上において、通過ポイント#1と通過ポイント#2間のラップタイムに相当する距離だけ離して、通過ポイント#1と通過ポイント#2の通過時刻を表す点をそれぞれプロットする。このとき、各トレーニングの上記軸上の通過ポイント#1の通過時刻を表す点を、軸方向と直交する方向において一致させる。
【0078】
上述したように本実施形態においては、自装置の取得した位置が通過ポイントの所定範囲内に入った場合、取得した所定範囲内の位置のうち通過ポイントに最も近い位置と、その位置を取得した時刻と、に基づいて、通過ポイントを通過した通過時刻を判定する。
【0079】
このように、本実施形態は、関連技術のように、自装置の位置が通過ポイントの所定範囲内に入った時刻を通過時刻と即座に判定するのではなく、所定範囲内の位置の中で通過ポイントに最も近い位置とその位置を取得した時刻とに基づき通過時刻を判定する。
【0080】
そのため、自装置の位置に測位誤差があったとしても、判定した通過時刻が実際の通過時刻に近い確率が高くなり、その結果、通過ポイントの通過時刻の判定精度を向上させることができる。
【0081】
また、本実施形態においては、通過ポイントが複数ある場合、複数の通過ポイントのそれぞれに対し、ユーザの通過順に順次低くなるように優先順位を設定し、通過ポイントの通過時刻を判定した場合、判定した通過時刻を仮通過時刻として記憶する。
【0082】
そして、通過ポイントの仮通過時刻を記憶した時点で、その通過ポイントよりも優先順位が低い通過ポイントの仮通過時刻を消去し、優先順位が高い通過ポイントの仮通過時刻を通過時刻と確定し、また、トレーニングが終了した時点で、全ての通過ポイントの仮通過時刻を通過時刻と確定する(第1〜第3の処理)。
【0083】
そのため、図8のような往復コースにおいて、往路の走行中に、後に通過予定の復路の通過ポイント#5の通過時刻を先に判定してしまうような場合にも、通過ポイント#5の仮通過時刻が確定されてしまうことを回避することができる。
【0084】
また、本実施形態においては、通過ポイントの仮通過時刻を記憶した時点で、複数の通過ポイントの仮通過時刻が所定時間内にある場合、最も優先順位が高い通過ポイント以外の通過ポイントの仮通過時刻を消去し、その後に第1〜第3の処理を行う。
【0085】
そのため、図9のように、往路と復路とで略同様の位置に通過ポイント#1,#5(#2,#4も同様)が設定されている往復コースや、図10のように、異なる周で略同様の位置に通過ポイント#1〜#3が設定されている周回コースにおいて、これらの通過ポイント同士で仮通過時刻が所定時間内になった場合にも、後に通過予定の通過ポイントの仮通過時刻を消去した上で、第1〜第3の処理を行うことができる。
【0086】
したがって、トレーニングを往復コースや周回コースで行う場合においても、複雑な処理をすることなく、通過ポイントの通過時刻を判定することができる。
【0087】
また、本実施形態においては、第1および第2の通過ポイント間のラップタイムの表示指示を受けた場合、図12のように、トレーニングごとに、互いに平行な1つの軸を設け、この軸上において、第1および第2の通過ポイントの通過時刻を表す点を、ラップタイムに相当する距離だけ離してそれぞれプロットし、各トレーニングの軸上の第1の通過ポイントの通過時刻を表す点を、軸方向と直交する方向において一致させる。
【0088】
このように、各トレーニングの軸上の第1の通過ポイントの通過時刻を表す点を、軸方向と直交する方向において一致させ、さらに、第1および第2の通過ポイントの通過時刻を表す点を、ラップタイムに相当する距離だけ離していることから、トレーニングごとのラップタイムの差異を明確に表示することができる。
【0089】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されものでない。本発明の構成や詳細には、本発明の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0090】
例えば、本実施形態においては、自転車でコースを走行するトレーニングに本発明を適用する場合の例について説明したが、本発明はこれに限定されず、他の手段(車、バイク、人間の足等)でコースを走行するトレーニング、例えば、カーレース、バイクレース、マラソン、トライアスロン等に適用することができる。
【0091】
また、本発明の携帯端末にて行われる方法は、コンピュータに実行させるためのプログラムに適用してもよい。また、そのプログラムを記憶媒体に格納することも可能である。
【符号の説明】
【0092】
10 通過判定装置
11 制御部
12 表示部
13 入力部
14 位置取得部
15 記憶部
16 送受信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定されたコースを任意の手段で走行するトレーニングを行うユーザが携帯する通過判定装置であって、
記憶部と、
所定間隔で自装置の位置を取得する位置情報取得部と、
ユーザにより予め設定されたコースおよび当該コース上の通過ポイントの位置を前記記憶部に記憶させると共に、前記位置情報取得部により取得された位置を、当該位置が取得された時刻と共に前記記憶部に記憶させる制御部と、を有し、
前記制御部は、
自装置の位置が前記通過ポイントの所定範囲内に入った場合、取得した当該所定範囲内の位置のうち当該通過ポイントに最も近い位置と、当該位置を取得した時刻と、に基づいて、当該通過ポイントを通過した通過時刻を判定し、
前記通過ポイントの通過時刻を判定するに際し、
当該通過ポイントに最も近い位置と、当該位置の直前および直後に取得した位置のうち当該通過ポイントに近い方の位置と、の2つの位置を抽出し、
当該2つの位置の間に直線をひき、
当該通過ポイントの位置から前記直線に下ろした垂線の交点を求め、
前記交点と前記2つの位置のそれぞれとの間の距離の比率に応じて、前記交点を通過した場合における通過時刻を計算し、計算した通過時刻を当該通過ポイントの通過時刻と判定する、通過判定装置。
【請求項2】
予め設定されたコースを任意の手段で走行するトレーニングを行うユーザが携帯する通過判定装置による通過判定方法であって、
ユーザにより予め設定されたコースおよび当該コース上の通過ポイントの位置を前記記憶部に記憶させ、
所定間隔で自装置の位置を取得し、前記取得した位置を、当該位置が取得された時刻と共に前記記憶部に記憶させ、
自装置の位置が前記通過ポイントの所定範囲内に入った場合、取得した当該所定範囲内の位置のうち当該通過ポイントに最も近い位置と、当該位置を取得した時刻と、に基づいて、当該通過ポイントを通過した通過時刻を判定し、
前記通過ポイントの通過時刻を判定するに際し、
当該通過ポイントに最も近い位置と、当該位置の直前および直後に取得した位置のうち当該通過ポイントに近い方の位置と、の2つの位置を抽出し、
当該2つの位置の間に直線をひき、
当該通過ポイントの位置から前記直線に下ろした垂線の交点を求め、
前記交点と前記2つの位置のそれぞれとの間の距離の比率に応じて、前記交点を通過した場合における通過時刻を計算し、計算した通過時刻を当該通過ポイントの通過時刻と判定する、通過判定方法。
【請求項3】
請求項2に記載の通過判定方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
予め設定されたコースを任意の手段で走行するトレーニングを行うユーザが携帯する通過判定装置であって、
記憶部と、
所定間隔で自装置の位置を取得する位置情報取得部と、
ユーザにより予め設定されたコースおよび当該コース上の通過ポイントの位置を前記記憶部に記憶させると共に、前記位置情報取得部により取得された位置を、当該位置が取得された時刻と共に前記記憶部に記憶させる制御部と、を有し、
前記制御部は、
自装置の位置が前記通過ポイントの所定範囲内に入った場合、取得した当該所定範囲内の位置のうち当該通過ポイントに最も近い位置と、当該位置を取得した時刻と、に基づいて、当該通過ポイントを通過した通過時刻を判定し、
前記通過ポイントの通過時刻を判定するに際し、
当該通過ポイントに最も近い位置と、当該位置の直前および直後に取得した位置のうち当該通過ポイントに近い方の位置と、の2つの位置を抽出し、
当該2つの位置の間に直線をひき、
当該通過ポイントの位置から前記直線に下ろした垂線の交点を求め、
前記交点と前記2つの位置のそれぞれとの間の距離の比率に応じて、前記交点を通過した場合における通過時刻を計算し、計算した通過時刻を当該通過ポイントの通過時刻と判定する、通過判定装置。
【請求項2】
予め設定されたコースを任意の手段で走行するトレーニングを行うユーザが携帯する通過判定装置による通過判定方法であって、
ユーザにより予め設定されたコースおよび当該コース上の通過ポイントの位置を前記記憶部に記憶させ、
所定間隔で自装置の位置を取得し、前記取得した位置を、当該位置が取得された時刻と共に前記記憶部に記憶させ、
自装置の位置が前記通過ポイントの所定範囲内に入った場合、取得した当該所定範囲内の位置のうち当該通過ポイントに最も近い位置と、当該位置を取得した時刻と、に基づいて、当該通過ポイントを通過した通過時刻を判定し、
前記通過ポイントの通過時刻を判定するに際し、
当該通過ポイントに最も近い位置と、当該位置の直前および直後に取得した位置のうち当該通過ポイントに近い方の位置と、の2つの位置を抽出し、
当該2つの位置の間に直線をひき、
当該通過ポイントの位置から前記直線に下ろした垂線の交点を求め、
前記交点と前記2つの位置のそれぞれとの間の距離の比率に応じて、前記交点を通過した場合における通過時刻を計算し、計算した通過時刻を当該通過ポイントの通過時刻と判定する、通過判定方法。
【請求項3】
請求項2に記載の通過判定方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−29513(P2013−29513A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−186453(P2012−186453)
【出願日】平成24年8月27日(2012.8.27)
【分割の表示】特願2010−187139(P2010−187139)の分割
【原出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(306029774)NECビッグローブ株式会社 (115)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月27日(2012.8.27)
【分割の表示】特願2010−187139(P2010−187139)の分割
【原出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(306029774)NECビッグローブ株式会社 (115)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
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