説明

通風路を備えた構造体およびこの構造体を用いた移動体

【課題】車両等の移動体構造物に備えられる操作機器を戸外にて操作するにあたって、作業者による必要な作業空間を維持することができると共に、機器からの放熱を良好になし得る通風路を備えた構造体を提供すること。
【解決手段】通風路を備えた構造体20は、所要の広さを有する床面部30と、この床面部30に対して所要の間隔をあけて対向配置される天井部31と、この天井部31側から床面部30側に亘って全体を覆うように設けられる帆布33とを具備し、帆布33には、少なくともその一側面に形成される帆布側通風孔34と、この通風孔34を塞ぐように設けられ、この帆布側通風孔34から風圧P1を受けることにより、この風圧P1に応じて帆布側通風孔34の開口を開くように設けられる弁体35とを備え、床面部30には、帆布側通風孔34から浸入した風d1を外部へ通す床面側通風孔30aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両等の移動体構造物に備えられる操作機器を戸外で操作するにあたり、風の強い天候の場合でも操作機器を良好に保全し得る通風路を備えた構造体およびこの構造体を用いた移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の通風路を備えた構造体として、一般建築物、建造物その他の構造物における換気、吸・排気設備などの通気口や換気口に遮音性および防水性を有するルーバーが設けられたものがある。このルーバーは、構造物の特に風の影響を受け易い壁部に設けられ、この風が直接構造物内に容易に浸入させることのない構成になっている。
【0003】
例えばこの種のルーバーを備えた構造体として、特開平4−84051号公報([特許文献1]参照)に開示されたものがある。特許文献に開示された従来の通風路を備えた構造体を図9および図10を参照して説明する。
【0004】
図9は通風路を備えた構造体1の水平断面図、図10はその側断面図である。
【0005】
図9に示す通風路を備えた構造体1は、上枠2、下枠3およびこの両枠の端部に接合する左・右の側枠4(一方のみ図示)とから構成される枠体5と、この枠体5の上枠2および下枠3の間に掛け渡されるように設けられる複数の縦向き羽根板6と、左・右の側枠4の羽根板6側に設けられる羽根板半体7とから構成される。
【0006】
複数の縦向き羽根板6は、隣り合う羽根板8が相互に所定の間隔をおいて、上・下の枠体2および3の間に立設される。各羽根板6は、図9に示すように、その横断面が碇形状をなしており、その基部である羽根部分9と、この羽根部分9から二股状に分かれた円弧状羽根部分10とを有している。また、各羽根板6は相互に所定の間隔をおいて立設されるに際して、それぞれの羽根板6の前方(外部側)から見て重なるように配設される。
【0007】
このように構成された構造体1は、各羽根板6間において、枠体5の前方から後方(内部側)側へ通じる通風路11が形成される。通風路11は、各羽根板6の円弧状羽根部分10が、前方より見て重なるように配置されたことから上方から見てS字状に迂回した通風路になっている。
【特許文献1】特開平4−84051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の通風路11を備えた構造体1によれば、S字状に迂回した通風路11が形成されるために、枠体5の前方から風が浸入してきても通風路に流れ込むため矢印aにて示すように迂回しながら枠体5の後方へ流れ込む。従って、戸外で1つの壁体として用いる際には、風が浸入してきても機器への悪影響を防御することができる。
【0009】
しかしながら、構造体1は、定型の部材を組み合わせて設けられたものであって、この構造体1を一つの構成部材として複数組み合わせ、例えば所要の箱形に形成して用いる場合には、大型且つ重量物となり、その取り扱いが不便であった。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、戸外にて車両等の移動体に搭載された各種機器の操作をする場合に受ける自然の突風等の風による悪影響を抑制し得る通風路を備えた構造体およびこの構造体を用いるに適する移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明によれば、所要の広さを有する床面部と、この床面部に対して所要の間隔をあけて対向配置される天井部と、この天井部側から上記床面部側に亘って全体を覆うように設けられる帆布とを具備し、上記帆布には少なくともその一側面に形成される帆布側通風孔と、この通風孔を塞ぐように設けられ、この帆布側通風孔から風圧を受けることにより、この風圧に応じて上記帆布側通風孔の開口を開くように設けられる弁体とを備え、上記床面部には、上記帆布側通風孔から浸入した風を外部へ通す床面側通風孔を備えたことを特徴とする通風路を備えた構造体を提供する。
【0012】
前記目的を達成するために、本発明によれば、所要の広さを有する床面部と、この床面部に対して所要の間隔をあけて対向配置される天井部と、この天井部側から上記床面部側に亘って全体を覆うように設けられる帆布とを備えた構造体と、上記構造体側に設けられた鈎部を係止する構造を備えた移動体本体とを具備し、上記構造体の帆布には、その一側面に形成される帆布側通風孔と、この通風路を塞ぐように設けられ、この帆布側通風孔から風圧を受けることにより、この風圧に応じて上記帆布側通風孔の開口を開くように設けられる弁体と、上記床面部には上記帆布側通風孔から浸入した風を外部へ通す床面側通風孔とを備えたことを特徴とする通風路を備えた構造体を用いた移動体を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、持ち運びが容易な比較的軽量な構造体であって、特に戸外にて作業者が作業を行うに際に使用するに適する通風路を備えた構造体を提供することができる。
【0014】
また、本発明によれば、車両等の移動体構造物に備えられる操作機器を作業者が戸外にて操作するにあたって、その作業性を良好にすると共に、操作機器が風を直接受けることによる悪影響をなくすことのできる通風路を備えた構造体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る通風路を備えた構造体およびこの構造体を使用した移動体の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の通風路を備えた構造体20を取り付けた移動体である車両21を示す斜視図である。
【0017】
図2は、図1のA−A線に沿う拡大断面図である。図3は、図1のB方向から見た通風路を備えた構造体の側面図である。また、図4は、図1のC方向から見た通風路を備えた構造体の上面図である。
【0018】
図1に示す車両21は、車両本体21Aと、この車両本体21Aの後部に搭載された機器収納筐体22と、この機器収納筐体22に対して着脱可能に支持される通風路を備えた構造体20とより構成される。
【0019】
構造体20を着脱可能に支持する機器収納筐体22は、図2に示すように、その側面部22aに収納機器(図示せず)から露出する複数の操作部23が設けられる。機器収納筐体22の側面部22aは、構造体20の上部との接合部にて上下に分割され、当接合部に長い蝶番形支持具24を支点として、構造体20と接する面が下から水平に開く構造であり、構造体20の天井部31となり、閉じた状態では操作部23を保護している。また、側面部22aの下部には、構造体20の下部を支持する鈎形の支持具25が固定される。
【0020】
構造体20は、具体的には、図2に示すように、剛性を有する平板状の床面部30と、この床面部30と相対向し、人の背の高さ位の高さ位置に設けられる天井部31と、機器収納筐体22の側面部22a側に設けられる支持具22bとを一体的に接合して、天井部31を水平に支持する補強部材32と、天井部31,補強部材32および床面部30を上方よりすっぽり覆い、内部に作業者による作業空間が形成されるように設けられた帆布33と、床面部30の自由端側下方に一端が取り付けられ、他端が地面Gに設置可能に設けられる床面部支持脚42とから構成される。
【0021】
なお、床面部30には、作業空間に浸入する風d1の通風をよくする複数の床面側通風孔30aが設けられる。また、床面部支持脚42は、床面部30に作業者が乗り、重量がかかっても十分に支持し得る、例えば金属製のものである。
【0022】
具体的には、図1および図2に示すように、天井部31は、中央部が上方へやや突出した屋根形構造のもので、上方から覆い被せて設けられる帆布33が容易に脱落せず、また、重みに耐え得る強度を有している。
【0023】
天井部31は、蝶番形支持具24に支持され、機器収納筐体22の側面部22a側の操作部23を覆うようにほぼ垂直位置からほぼ水平な状態に回動自在に支持されるように設けられる。
【0024】
この天井部31には、当該天井部31の補強用として天井補強梁31bが設けられる。また、この天井補強梁31bには、所定部位に支持具31cが設けられる。天井補強梁31bは、蝶番形支持具24の両側に相対向して一対の位置に設けられる。
【0025】
一方、補強部材32は、一端側が支持具22b側に、例えば回動自在に支持され、他端側が天井部31の天井補強梁31bの支持具31cに着脱可能に設けられる。
【0026】
また、天井部31の機器収納筐体22側には、幅方向に長い鈎部31aが設けられ、この鈎部31aを機器収納筐体22の側面部22a側に固定された蝶番形支持具24の係合部24aに支持される。
【0027】
蝶番形支持具24の相対向位置に設けられた補強部材32は、図4に示すように、構造体20の反対側の側面から風圧Pを受けた場合には、この反対側の側面には通風孔が設けられていないので、風圧Pをそのまま受け比較的大きな凹みができる。しかしながら、必要な作業空間cが得られる範囲内での凹みに収まるように強靭且つ柔軟性を有している。
【0028】
次に、帆布33について詳述する。
【0029】
帆布33は、図1および図2に示すように、機器収納筐体22側を除く3面を覆う防風カーテンのような役割をなすもので、構造体20の横方向から風d1を受けた場合にでも、この風d1を受け流すことができるように比較的柔軟な素材、例えば綿を主体とした素材で造られたものである。そして、この帆布33は、風の他に雨や太陽光のような水や光に対して遮蔽効果を得るために特に耐候性の良好な綿糸を主体とした素材を用い、その表面に例えば、シリコーン薄膜の防水コーティング、更には光を透過させない光遮蔽コーティングが施される。
【0030】
更に、帆布33は、図1に示すように、帆布33の他の側面側から風d1の風圧P1を受けた際に、この風d1の風圧P1を受け流すことができるように複数の帆布側通風孔34が形成される。
【0031】
この複数の帆布側通風孔34は、図1および図3に示すように、長孔、例えば長方形状のものが互いに隣接して平行に設けられる。また、これらの帆布側通風孔34の裏側(作業空間c側)には、このそれぞれの帆布側通風孔34を塞ぐように、帆布側通風孔34よりやや大きめな弁体35が設けられる。
【0032】
これらの弁体35は、図5に示すように、綿糸36にて部分的に縫い込まれている。また、縫い込まれていない部分は、図6(A)に示すように風d1の風圧P1がかかれば、矢印g1にて示すように、僅かに帆布側通風孔34が開くように変形するものである。また、無風状態では、それぞれの帆布側通風孔34は弁体35により閉じられた状態になっている。
【0033】
この弁体35は、帆布側通風孔34の周囲の一部に綿糸36により、断続的に縫い付けられて設けられる。すなわち、帆布側通風孔34のそれぞれに設けられる弁体35の周囲部の一部において断続的、例えば6箇所の縫付け部37a〜37fが設けられる。
【0034】
この縫付け部以外の部分(以下、自由端部という。)35aにおいては、図6(A)に示すように、外部からの風d1が吹き付けられると、弁体35の自由端部35aが風圧P1にて点線図示のように変形して風d1が構造体20の作業空間c側へ浸入するようになっている。
【0035】
また、強い風圧P2がかかった場合には、図6(B)に示すように、弁体35の縫付け部分の間の部分35bが浮き上がるように変形して、この変形した箇所から、すなわち、複数の縫付け部37a〜37f相互間の隙yから風d2が作業空間c側へ浸入するようになっている。従って、構造体20の作業空間c内に流入した風d1(d2)は、図2に示すように、作業空間c内を循環した後、床面部30側の床面側通風孔30aから外部へ放出されるようになっている。
【0036】
また、この作業空間c内を循環する風d1(d2)は、操作機器の操作部23側からの放熱kを吸収して床面部30の床面側通風孔30aから外部へ放出させることができるものである。
【0037】
なお、図1に示す符号38は、作業者が必要により持ち運びできる梯子で、作業者が構造体20の作業空間c内に入る際に必要により用いられる。
【0038】
次に、帆布側通風路を備えた構造体20を使用した車両21の作用について説明する。
【0039】
移動体である車両21を戸外に移動させ、車両21の操作機器筐体22側から露出する操作部23を操作する際に、図1に示すように矢印B方向から風d1が吹いてきたとすると、汎布33は、図6(A)に示すように所定の風圧P1にて、帆布側通風孔34に設けた弁体35の自由端部35aが矢印g1方向に押されて一点鎖線にて示す位置まで変形する。このように弁体35が変形することによって、帆布側通風孔34の一部が開口し、この開口から風d1が作業空間c側に浸入する。
【0040】
また、図1に示すように矢印B方向から風d1より強い風圧P2の風d2が吹いてきたとすると、図6(B)に示すように、綿糸36による縫付け部分の間の部分35bが矢印g2方向に浮き上がり、その結果、隙yができる。この縫付け部分の間の部分35bが隙yができるまで浮き上がることにより、風d2が作業空間c側に浸入する。
【0041】
このように、構造体20が風d1(d2)による風圧P1(P2)の影響を受けたとしても、構造体20の汎布33は、これらの風d1(d2)を受け流すようになる。
【0042】
次に、帆布側通風孔34の一部からはこれらの風d1(d2)の一部を作業空間c内に受け入れるようになるので、作業空間c側に浸入した風d1(d2)は、作業空間c内を循環して後に床面部30の床面側通風孔30aから自動的に外部へ抜けるようになる。従って、作業空間cは、作業者の作業に必要な範囲が維持されると共に、作業空間cに面する操作機器の操作部23からの放熱は、風d1(d2)に曝されて熱交換され、操作機器(操作部23)が所望に冷却される。
【0043】
また、同時に、構造体20側に対して太陽光等の光が帆布33の側面側から照射された場合、図6(A)および(B)に示すように、一方向から入って来る光h1および他方向から入ってくる光h2の何れも帆布側通風孔34を透過して浸入するのを防止する。
【0044】
このように、通風路を備えた構造体20によれば、所要の広さを有する床面部30と、この床面部30に対して所要の間隔をあけて対向配置される天井部31と、この天井部31側から床面部30側に亘って全体を覆うように設けられる帆布33とを具備し、帆布33には、少なくともその一側面に形成される帆布側通風孔34と、この通風孔34を塞ぐように設けられ、この帆布側通風孔34から風圧P1(P2)を受けることにより、この風圧P1(P2)に応じて帆布側通風孔34の開口を開くように設けられる弁体35とを備え、床面部30には、帆布側通風孔34から浸入した風d1(d2)を外部へ通す床面側通風孔30aを備えた構成であるから、例えば車両等の移動体に備えられる操作機器を戸外にて操作するに際しては、操作機器が風d1(d2)や太陽光等の光h1(h2)を直接受けることによる悪影響をなくす一方で、機器からの放熱を良好になし得ることができるものである。
【0045】
また、通風路を備えた構造体20を用いた移動体によれば、所要の広さを有する床面部30と、この床面部30に対して所要の間隔をあけて対向配置される天井部31と、この天井部31側から床面部30側に亘って全体を覆うように設けられる帆布33とを備えた構造体20と、構造体20側に設けられた鈎部30bを係止する支持具25を備えた移動体本体21Aとを具備し、構造体20の帆布33には、その一側面に形成される帆布側通風孔34と、この通風孔34を塞ぐように設けられ、この帆布側通風孔34から風圧P1を受けることにより、この風圧P1に応じて帆布側通風孔34の開口を開くように設けられる弁体35と、床面部30には帆布側通風孔34から浸入した風d1を外部へ通す床面側通風孔30aとを備えた構成にしたから、車両等の移動体に備えられる操作機器を戸外にて操作するに際しては、風d1(d2)の風圧P1(P2)に対して構造体20の帆布33により受け流すことにより構造体20に対する風圧P1(P2)の悪影響を少なくすると共に、操作機器が風d1(d2)や太陽光等の光h1(h2)を直接受けることによる悪影響をなくす一方で、機器からの放熱を良好になし得ることができるものである。
【0046】
なお、本発明の通風路を備えた構造体20によれば、帆布33は、天井部31の上方からすっぽり覆われるように設けたが、必ずしもその必要はなく、天井部31が、例えば屋根形のものであれば、その屋根周辺から床面部30まで至るカーテン形のものであってもよい。
【0047】
また、通風路を備えた構造体20によれば、帆布33の一側面に設けた複数の帆布側通風孔34は、長方形状のものが互いに隣接して平行に設けたが、この構成に限らず、図7に示すように、それぞれ異なった向きの、例えば3つの帆布側通風孔34A,34Bおよび34Cを組み合わせて設けるようにしてもよい。
【0048】
そして、これらの3つの帆布側通風孔34A,34Bおよび34Cには、それぞれ、これらの帆布側通風孔34A,34Bおよび34Cのそれぞれの向きに応じた弁体35を設けることができる。すなわち、複数の弁体35を帆布側通風孔34A,34Bおよび34Cのそれぞれの周囲の全部または一部に断続的に縫付け部39a〜39fを有するように縫付けることができる。
【0049】
このように向きの異なった帆布側通風孔34A,34Bおよび34Cを設けることにより、これらの帆布側通風孔34A,34Bおよび34Cに対してそれぞれ浸入する風d1(d2)は、帆布33内の作業空間cに浸入した際に、その方向がそれぞれ異なるために、浸入した風d1(d2)間でスクランブル現象が生じ、作業空間cに面する操作機器の操作部23に対する熱交換効率を一層高めることができる。
【0050】
更に、通風路を備えた構造体20によれば、帆布側通風孔34、34A,34Bおよび34Cとして、長孔形状にしたが、この形状のものに限らず、図8に示すように、円状の帆布側通風孔34Dを設けることができる。そして、この円状の帆布側通風孔34Dには、この帆布側通風孔34Dに応じた円状弁体40を設けることができる。
【0051】
また、この円状弁体40は、帆布側通風孔34Dの周囲の全部または一部に断続的に縫付け部41a〜41fを有するように縫付けることができる。このように円状の帆布側通風孔34Dを設けることにより、この帆布側通風孔Dに浸入する風d1(d2)は、帆布33内の作業空間cに浸入した際に、風d1(d2)間でスクランブル現象が生じ、作業空間cに面する操作機器の操作部23に対する熱交換効率を一層高めることができる。
【0052】
更に、本発明の通風路を備えた構造体20によれば、帆布33に設けた帆布側通風孔34は、帆布33の一側面に設けたものを例示したが、他側面側に設けてもよく、更には両側に設けても差し支えない。更にまた、通風路を備えた構造体20によれば、天井部31を剛性を有する平板状のもので構成したが、平板状のものに限らず所定の合成を有する骨組み構造のものであっても差し支えない。
【0053】
また、通風路を備えた構造体20によれば、天井部31と床面部30との間に跨ぐように接合して設けた補強部材32は必ずしも必要なものでなく、床面部30単体で、車両本体21Aの操作機器筐体22側に対して相当の強度で支持し得る構成にすることもできる。
【0054】
更に、通風路を備えた構造体20によれば、床面部30は、操作機器筐体22側に設けた支持具25に床面部30に設けた鈎部30bを係合させて支持する構成にしたが、必ずしもこの構成に限らず、地面に直接設置するセパレートタイプのものや、構造体20より床面部30が引き出せるスライドタイプであっても差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の通風路を備えた構造体およびこの構造体を用いた移動体の実施形態を示す斜視図。
【図2】図1のA−A線に沿う拡大断面図。
【図3】図1のB方向から見た通風路を備えた構造体の側面図。
【図4】図1のC方向から見た通風路を備えた構造体の上面図。
【図5】図3のD−Dに沿う拡大断面図。
【図6】図3のE−E線に沿う拡大断面図で、(A)および(B)は、それぞれ異なった条件下での断面を示す図。
【図7】本発明の通風路を備えた構造体の他の実施例を示す図3に対応する側面図。
【図8】本発明の通風路を備えた構造体の更に他の実施例を示す図4に対応する側面図。
【図9】従来の通風路を備えた構造体の一部の横断面図。
【図10】従来の通風路を備えた構造体の縦断面図。
【符号の説明】
【0056】
20 構造体
21 車両(移動体)
21A 車両本体(移動体本体)
22 機器収納筐体
22a 側面部
22b,25,31c 支持具
23 操作部
24 蝶番形支持具
24a 係合部
30 床面部
30a 床面側通風孔
30b,31a 鈎部
31 天井部
31b 天井補強梁
32 補強部材
33 帆布
34,34A〜34C 帆布側通風孔
35 弁体
35a 自由端部
36 綿糸
37a〜37f,39a〜39f,41a〜41e 縫付け部
38 梯子
40 円状弁体
42 床面支持脚
c 作業空間
d1,d2 風
h1,h2 光
k 放熱
P,P1,P2 風圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要の広さを有する床面部と、この床面部に対して所要の間隔をあけて対向配置される天井部と、この天井部側から上記床面部側に亘って全体を覆うように設けられる帆布とを具備し、
上記帆布には少なくともその一側面に形成される帆布側通風孔と、この通風孔を塞ぐように設けられ、この帆布側通風孔から風圧を受けることにより、この風圧に応じて上記帆布側通風孔の開口を開くように設けられる弁体とを備え、
上記床面部には、上記帆布側通風孔から浸入した風を外部へ通すことができるように形成された床面側通風孔を備えたことを特徴とする通風路を備えた構造体。
【請求項2】
上記帆布側通風孔は、複数の長孔形状のものであって、且つ前記長孔のそれぞれが所定間隔をとってほぼ平行に設けられたことを特徴とする請求項1記載の通風路を備えた構造体。
【請求項3】
上記帆布側通風孔は、複数の長孔形状のものであって、且つ前記長孔のそれぞれが所定間隔をとると共に、それぞれの長手方向がそれぞれ異なる方向に向かうように設けられたことを特徴とする請求項1記載の通風路を備えた構造体。
【請求項4】
上記帆布側通風孔は、円状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の通風路を備えた構造体。
【請求項5】
上記帆布側通風孔に設けられた弁体は、上記通風孔の周囲の全部または一部に断続的に縫付けられたことを特徴とする請求項1記載の通風路を備えた構造体。
【請求項6】
所要の広さを有する床面部と、この床面部に対して所要の間隔をあけて対向配置される天井部と、この天井部側から上記床面部側に亘って全体を覆うように設けられる帆布とを備えた構造体と、上記構造体側に設けられた鈎部を係止する構造体支持具を備えた移動体本体とを具備し、
上記構造体の帆布には、その一側面に形成される帆布側通風孔と、この通風孔を塞ぐように設けられ、この帆布側通風孔から風圧を受けることにより、この風圧に応じて上記帆布側通風孔の開口を開くように設けられる弁体と、上記床面部には上記帆布側通風孔から浸入した風を外部へ通す床面側通風孔とを備えたことを特徴とする通風路を備えた構造体を用いた移動体。
【請求項7】
上記帆布側通風孔の開口を開くように設けられる弁体は、その弁体の開く側が機器収納筐体と反対側になるようにしたことを特徴とする請求項6記載の通風路を備えた構造体を用いた移動体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−210524(P2007−210524A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34161(P2006−34161)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】