運動補助装置
【課題】より好適に脚部の運動を行うことが可能な運動補助装置を提供する。
【解決手段】臀部支持部13は、揺動駆動装置12により前後方向及び左右方向に揺動運動する。揺動駆動装置12は、伸縮可能な連結機構19を介して足置き装置20と連結されている。足置き装置20を構成する足置き部21は、前後方向にスライド可能に設けられるとともに、足で押されて前方へスライドした位置から元の位置へ戻すために必要な付勢力でコイルばね23により後方へ付勢されている。足置き部21はストッパ27に当たることで前方への最大移動量が、臀部支持部13の前方への最大移動量よりも小さく規制されている。このため、臀部支持部13が前方へ移動するときに足置き部21がストッパ27に当たることにより、使用者の脚部の過伸展が抑えられるとともに脚部に適度な反力が加わるようになっている。
【解決手段】臀部支持部13は、揺動駆動装置12により前後方向及び左右方向に揺動運動する。揺動駆動装置12は、伸縮可能な連結機構19を介して足置き装置20と連結されている。足置き装置20を構成する足置き部21は、前後方向にスライド可能に設けられるとともに、足で押されて前方へスライドした位置から元の位置へ戻すために必要な付勢力でコイルばね23により後方へ付勢されている。足置き部21はストッパ27に当たることで前方への最大移動量が、臀部支持部13の前方への最大移動量よりも小さく規制されている。このため、臀部支持部13が前方へ移動するときに足置き部21がストッパ27に当たることにより、使用者の脚部の過伸展が抑えられるとともに脚部に適度な反力が加わるようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚部の運動を行うことができる運動補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脚部の運動を可能とする運動補助装置としては、例えば室内でランニングを可能とするトレッドミルや自転車の漕ぎ運動を模したフィットネスバイクなどが広く知られている。トレッドミルやフィットネスバイクのような運動補助装置では、膝関節の屈伸を伴ったり、膝関節に強い負荷が作用したりすることから、高齢者や膝痛者などの使用者には、過度な負荷となり、運動を継続することが難しい。
【0003】
このような問題を改善するべく、使用者の膝にかかる負荷を抑えて脚部(特に大腿部)の運動を可能とする運動補助装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の運動補助装置は、使用者の臀部を支持する臀部支持部と、使用者の足部を支持する足置き部(足台(ステップ))とを備え、臀部支持部を揺動駆動部によって揺動動作させる。そして、臀部支持部が前方へ移動したときに、使用者の臀部に作用していた自重の一部を脚部側に作用させて脚部の運動を行う。
【0004】
また、特許文献2には、座席部材がモータにより前後に揺動するとともに踏板がモータにより上下に移動し、座席部材の傾斜角度が大きくなるほど踏板を下方に移動させて、使用者の膝間接の屈曲角度をほとんど変化させることなく、使用者の自重により脚に作用する負荷を変化させて脚のトレーニングを行う脚部トレーニング装置が開示されている。この特許文献2には、踏板の下部にばね材を設け、荷重の大きさに対して踏板が望ましい降下量となる構成も開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、使用者が座る可動部(座部)に、乗馬を模した前後左右の揺動運動を行わせる駆動部を備えた揺動型運動装置と、可動部に座った使用者の足先を載せるステップ板を有するステップ部とを備えた訓練装置が開示されている。ステップ板は上下方向に可動に支持されるとともにばねで上方へ付勢され、ステップ板の踏み込み動作に対してばね負荷が加えられることで、より確実に膝まわりの筋肉を鍛えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−264320号公報
【特許文献2】特開2007−181731号公報(例えば段落[0044][0051]等)
【特許文献3】特開2009−160187号公報(例えば段落[0007][0013]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、特許文献1〜3に記載の運動補助装置は、臀部支持部(座部)を前後に揺動させて、脚部にかかる自重を変化させて脚部をトレーニングするものである。ところで、この種の運動補助装置において、臀部支持部が前方へ移動するときに足置き部から脚部に加わる反力を巧く利用して脚部の筋活動を促進できると、さらに効果的な脚部トレーニングの実現を期待できる。しかし、従来の運動補助装置は、足置き部(足台、踏板)から脚部に加わる反力を巧く利用できるものではなかった。よって、より好適に脚部の運動を行うことが可能な運動補助装置の開発が望まれている。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、より好適に脚部の運動を行うことが可能な運動補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、使用者の臀部を支持する臀部支持部と、前記使用者の足を置く足置き部と、前記臀部支持部を少なくとも前後方向に揺動させる揺動駆動手段とを備えた運動補助装置であって、前記臀部支持部に着座した使用者の脚の伸展方向へ前記足置き部を移動可能とする機構を有し、前記足置き部の前記伸展方向への最大移動量が、前記臀部支持部の前方への最大移動量である第1移動量よりも小さな第2移動量に規制されていることを要旨とする。
【0010】
本発明の運動補助装置において、前記足置き部を前記伸展方向へ移動した位置から元の位置へ戻すために必要な付勢力を前記足置き部に与える弾性体を更に備えることが好ましい。
【0011】
本発明の運動補助装置において、前記機構は、前記足置き部を前後方向に移動可能とすることが好ましい。
本発明の運動補助装置において、前記足置き部の前記第2移動量を超える移動を規制するストッパを備えることが好ましい。
【0012】
本発明の運動補助装置において、前記足置き部の足置き面は、凸曲面又は略鉛直面であることが好ましい。
本発明の運動補助装置において、前記機構は前記足置き部をスライドさせるスライド機構であることが好ましい。
【0013】
本発明の運動補助装置において、前記足置き部は左右独立してスライド可能に二個設けられていることが好ましい。
本発明の運動補助装置において、前記足置き部は、直径15〜30cmの円柱状の周面の少なくとも一部を前記足置き面とする形状を有していることが好ましい。
【0014】
本発明の運動補助装置において、前記足置き部は、踵を踵接地部につけたときに足腹部から足指付け根の間を接触しうる高さに配置されたロッドを備えることが好ましい。
本発明の運動補助装置において、前記足置き部は、回動部と、前記回動部を回動させる回動軸とを備え、前記回動部の前記回動軸を挟んだ両側に左右の足を置くための一対の足置き面を有することが好ましい。
【0015】
本発明の運動補助装置において、前記回動部は前記回動軸を中心として±20度以下の所定回動範囲に規制されることが好ましい。
本発明の運動補助装置において、前記足置き部の前記足置き面は、略鉛直面であり、かつ前記使用者の足のMP関節部からつま先部を接触させうる面であることが好ましい。
【0016】
本発明の運動補助装置において、前記足置き部は、足置き面の内側にクッション層を有することが好ましい。
本発明の運動補助装置において、前記足置き部は、足置き面の内側に、衝撃吸収材からなる衝撃吸収層を有することが好ましい。
【0017】
本発明の運動補助装置において、前記足置き部は、前記クッション層と、前記衝撃吸収層とを有していることが好ましい。
本発明の運動補助装置において、前記足置き部に置く足の踵を接地するための踵接地部を備え、前記踵接地部は、前記足置き部の移動方向と略平行な面を有することが好ましい。
【0018】
本発明の運動補助装置において、前記足置き部が足で押されるときの移動方向を前方下側となるように当該足置き部を支持する斜面を有する台部を備えることが好ましい。
本発明の運動補助装置において、前記足置き部の前記足置き面には、足裏を刺激可能な複数の凸部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、より好適に脚部の運動を行うことが可能な運動補助装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)(b)第1実施形態における運動補助装置の斜視図。
【図2】運動補助装置の側面図。
【図3】運動補助装置に備えられる揺動駆動装置の分解斜視図。
【図4】運動補助装置に備えられる揺動駆動装置の側面図。
【図5】(a)(b)足置き装置の側面図。
【図6】足置き装置の斜視図。
【図7】足置きパッドの部分断面図。
【図8】(a)(b)運動補助装置を用いたトレーニングを説明する側面図。
【図9】(a)(b)運動補助装置を用いたトレーニングを説明する側面図。
【図10】(a)実施形態、(b)比較例の各運動補助装置でトレーニングを行ったときの脚の筋活動を示すグラフ。
【図11】第2実施形態の足置き装置を示し、(a)は平面図、(b)は側面図。
【図12】足置き装置の動作を説明し、(a)(b)は平面図、(c)(d)は背面図。
【図13】(a)(b)スライド式の足置き装置の変形例を示す側面図。
【図14】(a)(b)回動式の足置き装置の変形例を示す側面図。
【図15】(a)(b)変形例の足置きパッドの部分断面図。
【図16】(a)(b)変形例の足置き装置を備えた運動補助装置の側面図。
【図17】変形例の回動式の足置き装置の変形例を示し、(a)は平面図、(b)は側面図。
【図18】(a)〜(d)変形例の足置き装置を説明する説明図。
【図19】変形例の足置き装置を示し、(a)(b)平面図、(c)は側断面図、(d)は側面図。
【図20】(a)(b)変形例の足置き部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
次に、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図10に従って説明する。
図1(a),(b)及び図2に示すように、運動補助装置10は、その基台11が図示しない床面に載置されるとともに、基台11上に設けられた揺動駆動装置12と、この揺動駆動装置12により揺動する臀部支持部13とを備えている。臀部支持部13は上面に、使用者が着座可能なシート13a(座部)を備える。揺動駆動装置12は、臀部支持部13に対して前後方向Xの揺動運動と左右方向Yの揺動運動とを与える。このとき、臀部支持部13は、前後方向に2回の揺動運動を行う間に、左右方向に1回の揺動運動を行う横8の字を描くように揺動運動する。
【0022】
臀部支持部13の後方には、背もたれ部15が基台11から延出する複数本の支持部材16に支持された状態で配置されている。背もたれ部15にはその幅方向(左右方向Y)両側から前方へ延出する肘置き部17が一体に形成されており、使用者は肘置き部17の上面に肘を置くことが可能になっている。そして、基台11、揺動駆動装置12、臀部支持部13、背もたれ部15及び肘置き部17等により、シート揺動タイプの椅子18が構成される。
【0023】
また、基台11の前部には、前後方向Xに多段階(本例では3段階)に伸縮可能な連結機構19が設けられている。この連結機構19の前端部には足置き装置20が固定されている。よって、足置き装置20は、連結機構19を伸縮させることにより、臀部支持部13に対する前後方向Xの相対位置を任意に調整可能となっている。つまり、シート13aに着座した使用者の脚の長さに合わせて、シート13aに対する足置き装置20の前後方向Xにおける相対位置を位置調整可能となっている。また、連結機構19を収縮させることにより、足置き装置20を、図1(b)に示すように椅子18側に寄せた収納位置に配置できるようになっている。このため、不使用時には足置き装置20をコンパクトに収納できるので、運動補助装置10は室内に置いてもさほど邪魔にならない。図1及び図2に示すように、足置き装置20には、使用者の左右の足を独立して置くことが可能な左右一対の足置き部21を備えている。
【0024】
次に、足置き装置20の詳細な構造を、図1、図2、図4を用いて説明する。
足置き装置20は、連結機構19を構成する連結部19aの先端部(前端部)に固定された基台22を有している。基台22上には、左右一対の足置き部21が前後方向Xに移動可能な状態で設けられている。左右一対の足置き部21はコイルばね23により椅子18側の方向(後方)へ付勢されている。このため、使用者が足で足置き部21を押して前方へ移動させた状態で、足の押す力を弱めれば足置き部21は元の位置(初期位置)に復帰するようになっている。なお、コイルばね23により足置き部21を後方へ付勢する付勢力は、特許文献3に記載のばねのように膝まわりの筋肉を鍛えられるほどの強さはなく、単に足置き部21を元の初期位置に戻すために必要な比較的弱い強さに設定されている。
【0025】
図1及び図2に示すように、足置き部21は、円柱状の足置きパッド24と、足置きパッド24を支持する支持台25とを備える。図2に示すように、支持台25は、リニアガイド26を介して基台22上を前後方向Xに移動可能に設けられている。詳しくは、基台22の上面にはガイドレール26aが組み付けられ、支持台25の底部にはガイドレール26a上を移動可能な可動ガイド26bが固定されている。基台22上における支持台25の前方側の位置にはストッパ27が固定され、足置き部21は、足置きパッド24を支持する支持台25がストッパ27に当たるまでのストロークを移動可能になっている。本実施形態では、前述のようにコイルばね23による後方への付勢力が比較的弱いため、臀部支持部13が前方へ移動したときに使用者が足置き部21を足で押すときにばね負荷はほとんど感じることなく支持台25がストッパ27に当たる。そして、足置き部21を前方へ押し込んだ力が一定以下に弱まれば、足置き部21は元の初期位置に復帰する。
【0026】
本実施形態では、足置き部21が初期位置にあるときの支持台25がストッパ27に当たるまでのストロークに相当する足置き部21の最大移動量は、臀部支持部13(シート13a)が前方へ移動するときの最大移動量である第1移動量よりも小さな第2移動量に設定されている。このため、使用者は、運動補助装置10のシート13aに着座し、股関節、膝関節が適度に屈曲された状態で足裏を足置きパッド24に置き、臀部支持部13が前方に移動したときに使用者の脚部に足置き部21から反力がかかり易くなっている。また、椅子18と足置き装置20とが連結機構19を介して連結されているので、足置き部21から脚への反力が生じるともに、反力が生じたときに椅子18が背部側に倒れることを防いでいる。なお、足置き装置20の詳細や脚トレーニングの詳細については後述する。
【0027】
次に図3及び図4を参照して、揺動駆動装置12の詳細な構造について説明する。
揺動駆動装置12は、シート13aが固定された台座13bをモータ41により幅方向Y及び高さ方向Zと奥行方向(前後方向)X回りで揺動運動させることにより、台座13bとともにシート13aを揺動運動させるようになっている。
【0028】
また本実施形態の揺動駆動装置12においては、シート13aの角度を調整する昇降機構70が設けられている。
揺動駆動装置12は、前方の端部と後方の端部が同程度の高さとなる状態で脚部の上面に固定されるベース31と、揺動運動が可能となるように台座13bを支持する筐体33とを備える。また、揺動駆動装置12は、筐体33及び台座13bを互いに接続する連結リンク36と、連結リンク36を介して台座13bを揺動運動させるための駆動部40とを備える。
【0029】
連結リンク36は、側板38と接続される。連結リンク36としては、奥行方向Xにおいて所定の間隔をおいて配置された2つのリンク、すなわち前リンク36A及び昇降機構70が設けられている。
【0030】
連結リンク36は、次のように台座13b及び側板38に連結されている。連結リンク36の前リンク36Aの下端は、下軸ピン39Aにより側板38に対して回転可能な状態で側板38の前端に連結されている。また連結リンク36の前リンク36Aの上端は、上軸ピン39Bにより台座13bに対して回転可能な状態で台座13bの前端に連結されている。
【0031】
昇降機構70は、次のように台座13b及び側板38に連結されている。昇降機構70の下端は、下軸ピン39Cにより側板38に対して回転可能な状態で側板38の後端に連結されている。昇降機構70の上端は、上軸ピン39Dにより台座13bに対して回転可能な状態で台座13bの後端に連結されている。
【0032】
台座13bの前端部は下軸ピン39Aを中心とする円弧上を移動し、台座13bの後端部は下軸ピン39Cを中心とする円弧上を移動するように、台座13bの移動範囲が規制されている。ここで、後リンク36は前リンク36よりも長寸に形成してあり、台座13bの前端部と後端部との回転半径が異なることにより、台座13bは前後に移動するのに伴って上面の傾斜角度を変化させることになる。
【0033】
奥行方向Xの後方側に設けられる昇降機構70が伸長及び縮小することにより、台座13b及びシート13aが前傾状態及び後傾状態の間で動作する。昇降機構70が最大限まで伸長または最大限まで縮小したときの台座13b及びシート13aの傾斜角度は、昇降機構70が各下軸ピン39A,39Cを中心に回転したときの最大の傾斜角度よりも大きい。
【0034】
図3に示されるように、筐体33の左側及び右側の端のそれぞれは、奥行方向Xに沿う形状の側板38により形成されている。筐体33の前方及び後方の端のそれぞれは、高さ方向Zに沿う形状の連結板34により形成されている。
【0035】
図4に示されるように、ベース31には、奥行方向Xに並べられた2つの軸支板32(図3参照)が設けられている。各軸支板32には、支軸35により軸支板32に対して回転可能な状態で連結板34が連結されている。すなわち支軸35は、前後方向X回りの回転が可能な状態で筐体33を支持している。
【0036】
次に台座13bと連結リンク36との関係について説明する。
連結リンク36が各下軸ピン39A,39Cを中心に前方に向けて回転したとき、高さ方向Zにおいて昇降機構70がベース31に対して傾斜する。このため、高さ方向Zにおいて台座13bの後方の端部が前方の端部よりも低くなる。すなわち、奥行方向Xにおいて前方から後方に向かうにつれて高さ方向Zにおいて上方から下方に向けて台座13bが傾斜する。
【0037】
連結リンク36が各下軸ピン39A,39Cを中心に後方に向けて回転したとき、高さ方向Zにおいて昇降機構70がベース31に対して傾斜する。このため、高さ方向Zにおいて台座13bの後方の端部が前方の端部よりも低くなる。すなわち、奥行方向Xにおいて前方から後方に向かうにつれて高さ方向Zにおいて上方から下方に向けて台座13bが傾斜する。
【0038】
昇降機構70は、ウォームギヤ及びウォームホイール(いずれも図示略)が内部に設けられたギヤボックス71と、ウォームギヤを回転するためのモータ72と、モータ72の回転に基づいて直線運動するボールねじ73とを備える。ボールねじ73は、ウォームホイールに噛み合わされている。また、ボールねじ73の上端は台座13bに左右方向Y回りに回転可能に連結されている。
【0039】
また、ギヤボックス71はギヤボックス支持板71Aを介して筐体33に左右方向Y回りに回転可能に連結されているモータ72の回転にともないウォームホイールが回転することにより、ウォームギヤが回転する。これにより、ウォームギヤの回転がボールねじ73に伝達される。そして、ボールねじ73が回転に応じて直線運動することにより、昇降機構70が伸長または縮小する。
【0040】
図3を参照して、駆動部40の詳細な構造について説明する。
駆動部40は、高さ方向Zに沿うように配置される出力軸42を有するモータ41と、幅方向Yに沿うように配置される第1シャフト44とを備える。また、駆動部40は、出力軸42に設けられるモータギヤ43と、第1シャフト44に設けられてモータギヤ43に噛み合わされる第1ギヤ45とを備える。また、駆動部40は、台座13bを奥行方向Xにおいて運動させるための第1駆動部50と、台座13bを幅方向Yにおいて運動させるための第2駆動部60とを備える。モータ41は、側板38に固定されている。第1シャフト44の両端は、それぞれ側板38により支持されている。
【0041】
第1駆動部50は、第1シャフト44の両端に接続される2つの偏心クランク51と、一端が偏心クランク51に接続される2つのアームリンク53とを備える。また、図4に示されるように、各偏心クランク51と各アームリンク53の一端とを互いに接続する軸ピン52と、前リンク36Aと各アームリンク53の他端とを互いに接続する軸ピン54とを備える。
【0042】
第2駆動部60の詳細な構造について説明する。
第2駆動部60は、第1シャフト44に固定される連動ギヤ63と、連動ギヤ63に噛み合わされる第2ギヤ61と、第2ギヤ61が設けられる第2シャフト62と、第2シャフト62に連結される偏心ロッド64とを備える。また、第2駆動部60は、偏心ロッド64の下端が回転可能な状態で連結された連結金具66と、偏心ロッド64の下端と連結金具66とを互いに回転可能に連結する軸ピン67とを備える。また、第2シャフト62は、第2シャフト62の左端と偏心ロッド64の上端とを互いに連結する軸ピン65を備える。
【0043】
第2シャフト62は、幅方向Yに沿うように配置されるとともに筐体33により支持されている。偏心ロッド64は、第2シャフト62の回転中心に対して偏心して同シャフト62に連結されている。
【0044】
次に、図4を参照して、揺動駆動装置12の駆動態様並びに運動補助装置10の作用について説明する。
モータ41の出力軸42が回転するとき、出力軸42の回転がモータギヤ43を介して第1ギヤ45に伝達される。これにより、第1ギヤ45とともに第1シャフト44が回転する。このとき、各偏心クランク51が第1シャフト44に対して回転運動する。そして、偏心クランク51の回転運動にともないアームリンク53が第1シャフト44に対して偏心運動を行ない、前リンク36Aが奥行方向Xに往復運動し、これにともないシート13aが図中の矢印Mの方向に往復運動する。
【0045】
出力軸42の回転にともない第1シャフト44が回転するとき、同シャフト44の回転が連動ギヤ63を介して第2ギヤ61に伝達される。これにより、第2ギヤ61とともに第2シャフト62が回転する。このとき、第2シャフト62の回転にともない偏心ロッド64の上端が第2シャフト62に対して偏心運動する。そして、この偏心ロッド64の偏心運動が同偏心ロッド64の上端及び第2シャフト62を介して筐体33に伝達される。台座13b及びシート13aが幅方向Yに往復運動する。
【0046】
そして、上述したシート13aの2つの往復運動、すなわち図4中矢印Mの方向の往復運動及び幅方向Yの往復運動が組み合わされることにより、シート13aが幅方向Y及び高さ方向Zと奥行方向X回りの揺動運動を行う。
【0047】
揺動駆動装置12においては、シート13aが幅方向Yに1往復する間にシート13aが奥行方向Xに2往復するように第1駆動部50及び第2駆動部60の各ギヤが構成されている。このため、運動補助装置10の平面視においてシート13aが例えば乗馬を模した8の字状に揺動運動する。
【0048】
そして、例えば、揺動駆動装置12にて臀部支持部13が前後方向Xに揺動されることで臀部支持部13が前方に動作して使用者の身体がそれに伴って移動する場合に、足置き部21に置かれた使用者の脚部に負荷がかかり脚部を鍛えることができるようになっている。また、揺動駆動装置12にて臀部支持部13が左右方向Yに揺動されることで、例えば使用者の腰の筋肉にも負荷を与えることができる。
【0049】
次に、このような揺動運動をするシート13aに着座した使用者が、トレーニング時に足を置く足置き部21を有する足置き装置20の詳細な構成を説明する。
次に足置き装置20の詳細な構成を説明する。図5、図6に示すように、足置き部21は、基台22上をリニアガイド26を介して前後方向Xにスライド可能な支持台25と、支持台25に支持された足置きパッド24とを備える。足置きパッド24は、少なくとも足裏が置かれる可能性のある部分が、直径15〜30cmの円柱状の一部(本例では約1/4円周分)となる形状を有している。足置きパッド24は、その円弧面上に足を置くことができるように軸心がY方向と一致する向きに配置されている。本例の足置きパッド24では、足裏が置かれる足置き面21aが、円柱状の周面の少なくとも一部からなる円弧面(凸曲面)となっている。支持台25の下部は、リニアガイド26を構成する可動ガイド26bが固定されている。前述のとおり、基台22の上部にはリニアガイド26を構成するガイドレール26aがその長手方向(レール延在方向)が前後方向Xとなる状態で組み付けられている。このため、足置き部21は、支持台25がガイドレール26aに沿って移動することにより、前後方向Xにスライド可能となっている。
【0050】
基台22の前端には上方へ垂直に延出する延出部22aが設けられている。基台22上には、延出部22aの内側(図5における左側)となる位置にブロック28が固定されており、ブロック28と支持台25との間には、前後方向Xに延びる軸部29がその一端部(図5における右端部)をブロック28に固定する状態で支持されている。軸部29には、軸部29が挿通された状態でコイルばね23が外装されている。軸部29の他端部(図5における左端部)は、支持台25の前端面(図5における右端面)に開口する孔(図示省略)に挿入されている。
【0051】
また、図5及び図6に示すように、支持台25の前端面に対して前後方向Xに対向する基台22上の位置には、支持台25一個につき2個ずつのストッパ27が配置されている。各ストッパ27は、左右方向Yにおいてコイルばね23及びブロック28を避けた位置に配置されている。
【0052】
図5及び図6に示す足置き部21は、足で押圧されていない状態(非押圧状態)では、コイルばね23の付勢力により、図5(a)及び図6に示す初期位置に配置されている。そして、使用者がトレーニング時にシート13aが前方へ移動する過程で、足で足置き部21を前方へ押すと、足置き部21は、支持台25がストッパ27に当接しそれ以上の前方への移動が規制された図5(b)に示す停止位置まで変位する。
【0053】
ここで、シート13aが後傾状態から前傾状態に移動する際の前方への最大移動量をΔX1(第1移動量)とおく。また、足置き部21が、図5(a)に示す初期位置から図5(b)に示す停止位置まで移動するまでの足置き部21の前方への最大移動量ΔX2(第2移動量)とおく。本実施形態では、足置き部21の前後方向Xの最大移動量ΔX2は、シート13aが後傾状態と前傾状態との間で揺動する際における前後方向Xの最大移動量ΔX1に比べ、小さく設定されている(ΔX1>ΔX2)。
【0054】
また、コイルばね23は、前方へ移動した足置き部21を初期位置に復帰させるための付勢力を与えるもので、トレーニング時の負荷を与える目的はない。このため、コイルばね23の付勢力はかなり小さい。使用者がシート13aの前方への移動時に、特に脚部を曲げたり伸ばしたりしなければ、シート13aが前方へほぼΔX1だけ移動した時点で、足置き部21はストッパ27に当接する。そして、足置き部21がストッパ27に当接した時点から、シート13aが前方へさらに移動量(ΔX1−ΔX2)だけ移動するときに、脚部には足置き部21から反力を受けるようになっている。
【0055】
このとき、最大移動量ΔX2が最大移動量ΔX1より大きいと、足置き部21がストッパ27に当たらず、足置き部21から脚部に反力が得られにくくなる虞がある。また、最大移動量ΔX2が最大移動量ΔX1より小さすぎて、その差(ΔX1−ΔX2)が大きいと、足置き部21がストッパ27に当たってからさらにシート13aが前方へ大きく移動することになるので、脚部を大きく屈曲させなければならなくなる。この場合、脚部を大きく屈曲させてしまうと、膝に負荷がかかり易くなるうえ、反力に対して脚部を突っ張らせるトレーニングが困難となる。このため、シート13aと足置き部21の前後方向Xにおける移動量の差分(ΔX1−ΔX2)は、例えば1〜10cmの範囲が好ましい。また、反対に、差分(ΔX1−ΔX2)が小さ過ぎると、足置き部21から脚部への反力が得られにくくなり、膝を適度に曲げた状態で反力を利用して脚部を突っ張らせて行うトレーニングがしにくくなるからである。
【0056】
また、足置き部21の前後方向Xの最大移動量ΔX2は、シート13aの前後方向Xの最大移動量ΔX1に対して5〜50%であることが好ましい。そして、特に、前記1〜10cmの範囲かつ5〜50%の範囲であることが望ましい。足置き部21のストローク(最大移動量ΔX2)は、足置き部21から足へ適切な反力が得られるように、足置き部21のスライドにより、足関節、膝関節、股関節が過伸展にならない長さに設定されている。もちろん、トレーニング時に足置き部21がストッパ27に当たって反力を受けられるのであれば、これらの数値範囲に限定されるものではない。
【0057】
図7に示すように、足置きパッド24は複数層構造を有している。具体的には、足置きパッド24は、外側から順に、合成樹脂製シートからなる表皮24a、スポンジ又は発泡ウレタン等の多孔質樹脂材料からなるクッション層24bと、衝撃吸収材からなる衝撃吸収層24cと、芯材24dとを備える。芯材24dは、金属又は樹脂よりなる円柱状又は円筒状の部材よりなる。芯材24dの外周には衝撃吸収層24cが配置され、さらにその外側にクッション層24bが配置されている。クッション層24bは、足置き部21を押すときの足の痛みを軽減する機能があり、衝撃吸収層24cは、足裏が足置き部21から受ける反力の衝撃を吸収する機能がある。なお、本実施形態では、足置き部21の最大移動量ΔX2には、足で押圧された際の足置きパッド24の凹み量も含まれている。これは、足の前後方向Xの位置を決める足置きパッド24の凹み分も、足置き部21から脚部が受ける反力の強さや、反力を受けるときの膝の角度を決める要因になるからである。
【0058】
本実施形態の運動補助装置10では、図8及び図9に示す以下の2通りのトレーニングを行うことができる。
図8、図9に示すように、使用者Uは、椅子18のシート13aに座り足置き部21に足を置く。シート13aが前後方向や左右方向に揺動することにより、使用者Uは左右の脚に交互に負荷をかける歩行運動を行う。1つめのトレーニングは、図8に示すように、足に力を入れて足置き部21を押すことにより、足置き部21からの反力を脚部にかかるようにし、反力を利用して脚部の筋力をトレーニングするクローズド・キネティック・チェーン(CKC)(閉鎖運動連鎖)トレーニングである。足置き部21には、両足の足指の付け根の関節(中足指節関節(metatarsophalangeal joint))(以下、「MP関節」という。)からつま先部を当てる。シート13aが前方に移動したとき、足部を突っ張るようにすると、足置き部21が足裏の基節骨周辺を中心として力を受け反力が生じる。足の基節骨周辺で力をうけることにより反力により脚部、特に大腿前部の運動に効果がある。CKCトレーニングでは、主に大腿前部の大腿四頭筋の筋活動を生じ、その他に、大腿後部のハムストリング、股関節屈曲筋、足底屈筋群、足背屈筋群も協調的に筋活動が生じるため、下腿・足を含む脚部のトータル的なトレーニングが可能となる。つまり、CKCトレーニングでは、膝などに大きな負荷をかけることなく、脚部全体及び腰部の筋力を鍛えるトレーニングである。
【0059】
また、2つめのトレーニングは、図9に示すように、足置き部21に力を入れずに足を載せ、足置き部21に足の力を伝達せずに、足関節、膝関節、股関節、腰部関節が過伸展しない範囲で、これら各関節の他動の屈曲と伸展を繰り返すROM(Range of Motion)トレーニング(間接可動域運動)である。ROMトレーニングを行う場合は、足の裏(例えば土踏まず)を足置き部21の上部に載せる。ROMトレーニングでは、膝部や腰部などの間接部を他動で曲げたり伸ばしたりして、筋力を使わずに、膝部や腰部などの間接部を曲げたり伸ばしたりできるので、筋肉や関節部に負荷をかけず間接可動域を訓練するとともに、体液の循環を促進させることが可能である。
【0060】
ここで、歩行時の筋活動を詳しく見ると、遊脚時(足が地面から離れ足を前に振り出している時期)は脚の腹側筋群大腿四頭筋や前傾骨筋が活動し、立脚時(足が地面についているとき)は脚の背側の筋群大殿筋、ハムストリング、ひ腹筋が活動し体幹を前に押し出している。足が地面についた初期は地面からの反力を受け脚全ての筋群が活動する。これらの筋活動は足関節、膝関節、股関節への衝撃を干渉する役割も担う。さらに、足が地面に設置する少し前には、脚のひ腹筋などが少ないが筋活動し、地面接地への衝撃の準備をするように脳内でプログラムされている。
【0061】
このように反力を受ける前に事前に少しの筋活動をし、反力による衝撃への準備をする役目が足置き部21のスライドである。シート13aが前方へ移動して足が前方に行くときに、足に力を入れると、足置き部21のスライドが感知され、もうすぐ反力が加わると脳内の運動中枢に合図を送れる。また、足置き部21を足で押すときには、脚にほとんど負荷にならないレベルであるが、コイルばね23により弱い反力が生じ、脚筋群が少し活動する。足置き部21が前方へスライドして脚部に衝撃準備期間を与えつつ、コイルばね23により弱い反力を与えることは、歩行時の筋活動と類似し、脚関節への衝撃準備が可能となる。このため、本実施形態では、足置き部21のストローク量(最大移動量ΔX2)は脚部の衝撃準備に適切な長さに設定されている。
【0062】
以下、運動補助装置10の作用を説明する。
まず図8を用いて、CKCトレーニングを行う場合を説明する。CKCトレーニングを行う場合は、まず使用者Uは、連結機構19を伸縮調整して、椅子18に対する足置き装置20の前後方向Xの相対位置を適切な位置に位置調整する。使用者Uは、シート13aに着座し、脚部を前方へ伸ばし、図8(a)に示すように、膝部の角度を例えば約140°に軽く曲げた状態で、足裏(例えば内側足根小球)を足置きパッド24の後側面やや上側に当てる。また、昇降用スイッチ(図示せず)を操作してモータ72を正転又は逆転駆動させることによりシート13aの高さを調整する。
【0063】
足置き部21が図8(a)に示す初期位置にある状態で、運転スイッチ(図示せず)を操作する。すると、モータ41が回転駆動する。モータ41が回転駆動することにより、駆動部50による臀部支持部13の前後方向Xの揺動運動と、駆動部60による臀部支持部13の左右方向Yの揺動運動とが組み合わされ、シート13aが例えば横8の字状に揺動運動をする。このとき、臀部支持部13が前後方向Xに1回揺動する度に、シート13aの左右方向Yの傾き方向が切り換わるので、使用者Uは歩行運動を行うことができる。
【0064】
例えばシート13aが左側に傾いた状態で、図8(a)に示す後傾状態から、図8(b)に示す前傾状態に前方へ第1移動量ΔX1だけ移動するときに、左足に力を入れてその力を足置き部21に伝達すると、足置き部21が第2移動量ΔX2だけスライドした後にストッパ27に当たる。その結果、図8(b)に示すように、使用者Uは足置き部21から左足に反力を受けることになる。この反力は、左足から膝部及び腰部へ伝わるため、この反力によって脚部全体と腰部の筋肉が鍛えられる。そして、シート13aが前傾状態から後傾状態に戻るときに、足置き部21に対する左足の押圧力が弱まると、足置き部21はコイルばね23の付勢力により初期位置に復帰する。使用者Uがこの歩行運動でシート13aが左方向に傾いて左脚に力を入れるときには、右脚は休んでいる。
【0065】
そして、次にシート13aが後傾状態から前傾状態へ揺動するときは、シート13aは右側に傾いた状態にある。このため、シートが後傾状態から前傾状態に前方へ第1移動量ΔX1だけ移動するときに、右足に力を入れてその力を足置き部21に伝達すると、足置き部21が第2移動量ΔX2だけスライドした後にストッパ27に当たる。その結果、図8(b)に示すように、使用者Uは足置き部21から右足に反力を受けることになる。この反力は、右足から膝部及び腰部へ伝わるため、この反力によって脚部全体と腰部の筋肉が鍛えられる。そして、シート13aが前傾状態から後傾状態に戻るときに、足置き部21に対する右足の押圧力が弱まると、足置き部21はコイルばね23の付勢力により初期位置に復帰する。使用者Uがこの歩行運動でシート13aが右方向に傾いて右脚に力を入れるときには、左脚は休んでいる。
【0066】
こうして臀部支持部13が前後方向Xに揺動を繰り返すことにより、使用者Uは足置き部21から反力を受けつつ左右の脚で歩行運動を行うことにより、継続的にCKCトレーニングを行うことができる。例えば両脚同時にトレーニングを行う方法であると、ある程度の回数に達した時点で筋肉が疲労してそれ以上のトレーニングの継続が困難になる。これに対して、本実施形態の運動補助装置10では、左右の脚を交互にトレーニングし、一方の脚がトレーニングしている期間は他方の脚がトレーニングを休憩しているので、トレーニングをより多くの回数に亘って継続しやすい。
【0067】
足置き部21がスライドすることにより、反力を受ける前に事前に少しの筋活動をし、反力による衝撃への準備をする。このとき、足に力を入れると足置き部21のスライドが感知され、もうすぐ反力が加わると脳内の運動中枢に合図を送れる。また、足置き部21を押すとコイルばね23により弱いが反力が生じ、脚筋群が少し活動する。脚部がスライドし、コイルばね23により弱い反力を得ることは、歩行時の筋活動と類似し、脚関節への衝撃準備が可能となる。さらに足置き部21がスライドすることは使用者Uの運動実感も上げることができる。また、足置き部21の最大移動量ΔX2が、足関節、膝関節、股関節がスライドにより過伸展にならない長さに設定されているので、足置き部21からの適切な反力が得られる。
【0068】
次に図9を用いて、ROMトレーニングを行う場合を説明する。ROMトレーニングを行う場合も、使用者Uは、シート13aの高さ調整と、椅子18に対する足置き装置20の前後方向Xの位置調整とを行う。そして、使用者Uは、シート13aに着座し、脚部を前方へ伸ばし、図9(a)に示すように、膝部の角度を例えば約140°に軽く曲げた状態で、足の裏(例えば土踏まず)を足置き部21の上部に載せる。
【0069】
足置き部21が図9(a)に示す初期位置にある状態で、運転スイッチ(図示せず)を操作すると、モータ41が駆動し、シート13aが横8の字状の揺動運動をする。このとき、臀部支持部13が前後方向Xに1回揺動する度に、シート13aの左右方向Yの傾き方向が切り換わるので、使用者Uは歩行運動を行うことができる。
【0070】
例えばシート13aが左側に傾いた状態で、図9(a)に示す後傾状態から図9(b)に示す前傾状態に前方へ移動するときには、使用者Uは足の力を入れない。このとき、使用者Uの足は足置き部21の上部に載せてあるだけなので、シート13aが前方へ移動するときに右脚及び腰部は他動により屈曲する。このとき、CKCトレーニング時のように足置き部21から比較的強い反力を受けることはない。そして、シート13aが前傾状態から後傾状態に戻るときに、臀部の位置が後方へ移動するため、左脚及び腰部が元の間接角度まで伸展する。
【0071】
そして、次にシート13aが後傾状態から前傾状態へ揺動するときは、シート13aは右側に傾いた状態にある。このため、シート13aが後傾状態から前傾状態へ揺動するときに、右脚及び腰部は他動により屈曲する。そして、シート13aは前傾状態から後傾状態に戻るときに、臀部の位置が後方へ移動するため、右脚及び腰部が元の間接角度まで伸展する。
【0072】
こうして使用者Uは左右交互に脚部及び腰部の間接の屈伸を繰り返すことにより、膝関節及び股関節のROMトレーニングが継続的に行われる。このように脚部及び腰部を他動により屈曲させるので、膝部などに負担をかけることなく、各間接部の可動域訓練を行いつつ体液の循環が促進される。このとき、足を円柱状の足置きパッド24の上部に載せることで、使用者Uはリラックスポジションをとりやすいので、膝と股関節の角度が大きくなり、膝伸展の筋群、股関節屈曲の筋群がさらに緩んだ状態になり、膝関節及び股関節のROM運動の運動効果が上がり易い。
【0073】
図10は、本実施形態の運動補助装置10と比較例の運動補助装置とで、トレーニングを行ったときに使用する筋肉の筋活動を比較したグラフである。図10(a)が本実施形態の運動補助装置10を使用したときの筋活動の様子を示すグラフ、図10(b)が比較例の運動補助装置を使用したときの筋活動の様子を示すグラフである。比較例の運動補助装置は、手でハンドルを握った状態でシート(座部)に着座し、左右の足を左右のペダル(踏み台)にそれぞれ載せ、座部がモータの動力で前後左右に揺動することで、他動によりペダルを交互に踏み込む歩行運動を行う装置である(例えば特許文献1)。両装置とも、膝角度を約140度に調整してトレーニングを行ったときの筋電位を測定した。
【0074】
図10において一番下のグラフは、シート(座部)の動作を示す(シートの揺動運動)を示し、横軸が時間(秒)、縦軸がシートの前後方向の変位を示す。前後に揺動するシートはサイン波形を描き、最小値から最大値へ向かう過程がシートの前方への移動過程、最大値から最小値へ向かう過程がシートの後方への移動過程となる。
【0075】
図10においてシート動作のグラフの上側に示された5つのグラフが、脚部の各筋肉の筋電位を示す。詳しくは、図10において、上から順番に、大腿直筋の筋電位V1、内側広筋の筋電位V2、外側広筋の筋電位V3、大腿二頭筋の筋電位V4、ひ腹筋の筋電位V5の各グラフを示す。
【0076】
図10(a)に示すように、本実施形態の運動補助装置10では、太股の筋肉は、前側・内側・外側の筋肉(大腿直筋、内側広筋、外側広筋)だけでなく、後側の筋肉(大腿二頭筋)も一様に鍛えられることが分かる。また、グラフから、ふくらはぎの筋肉(ひ腹筋)も鍛えられることも分かる。これに対して、比較例の運動補助装置は、図10(b)に示すように、太股の前側・内側・外側(大腿直筋、内側広筋、外側広筋)の筋肉が鍛えられるものの、後側の筋肉(大腿二頭筋)が鍛えられにくいことが分かる。また、ふくらはぎの筋肉(ひ腹筋)も鍛えられにくいことが分かる。このように本実施形態の運動補助装置10によれば、太股の筋肉を前後一様に鍛えることができるうえ、ふくらはぎの筋肉も鍛えることができる。
【0077】
以上詳述したように本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)臀部支持部13(シート13a)が前方へ移動する際の移動量ΔX1に比べ、足置き部21が前方へ移動する移動量ΔX2の方が小さい(ΔX1>ΔX2)ので、足置き部21から受ける反力を利用して脚部のトレーニングを行うことができる。このとき、反力を利用するので、図10(a)のグラフに示すように脚部全体をトレーニングすることができる。すなわち、足置き部21の最大移動量ΔX2は、足関節角度、膝関節角度、股関節角度に依存し、どの関節もスライドにより過伸展にならない長さに設定しているので、足置き部21からの反力を確実に得ることができる。
【0078】
(2)円柱状の足置きパッド24を採用したので、足置き部21に対する足を置く位置を替えることにより、CKCトレーニングとROMトレーニングを切り換えることができる。足置きパッド24は少なくとも直径15〜30cmの円柱状の一部(本例では1/4円周分)の形状を有しているため、MP間接部からつま先部を足置き部21に当てることができる。このため、ROMトレーニングにおいて、シート13aが前方に移動するときに、足に力を入れて足置き部21を押すと、足置き部21から足に適切な反力が得られ、大腿前部の大腿四頭筋の筋活動をはじめとして、大腿後部のハムストリング、股関節屈曲筋、足底屈筋群、足背屈筋群も協調的に筋活動し、トータル的な脚のトレーニングを行うことができる。また、トレーニング時に踵を床面に接地させる必要がないので、踵がすれることがない。
【0079】
(3)足を足置きパッド24の上部に載せて足に力を入れずにトレーニングを行った場合は、膝にあまり負荷を与えることなく、脚部及び腰部の屈曲と伸展とを繰り返すROMトレーニングを行うことができる。このため、膝部に負担をかけることなく、間接可動域を大きくすることができるうえ、体液の循環を促進させることができる。
【0080】
(4)足置き装置20は、足より加わった方向(前方)にスライド可能な足置き部21と、足置き部21のスライド量を一定距離(第2移動量ΔX2)に規制するストッパ27と、加わった力がなくなるとスライドした足置き部21を元の位置に戻すコイルばね23(弾性体)とを備える。足置き部21が前方へスライドすることにより、反力を受ける前に事前に、反力による衝撃への準備をすることができる。また、シート13aが前方へ移動するときに、足に力を入れると足置き部21のスライドが感知され、もうすぐ反力が加わると脳内の運動中枢に合図を送れる。また、足置き部21を押したときにコイルばね23により足が弱い反力を受けて僅かに筋活動することにより、歩行時の筋活動と類似し、脚関節への衝撃準備が可能となる。
【0081】
(5)足置き部21を左右独立して設けたので、歩行運動を行うことができる。このように足置き部が左右独立で配置することにより、右足、左足を強く意識させることができる。シート13aの前後方向Xの揺動に合わせて、足置き部21を踏む側を右足、左足と交互に踏むことにより、歩行リズムの脳内運動中枢の再教育につながるともに、歩行のリズムが運動を飽きさせないで継続させることもできる。さらに、両足同時に反力を受けることは両足全部の筋群を活動させることになり、脚の筋肉に非活動時間帯がなくなる。このような運動は一期に血圧を上昇させることにつながり、高血圧の使用者や高齢者には使用しないのが一般的である。本実施形態のように、足置き部21を左右独立に設ければ、使用者Uに左右交互に脚に反力がかかるように足置き部21を押すことを意識させることができる。さらに、シート13aが前後動作に左右動作を合成させた横8の字動作をするので、シート13aが前後方向のみに揺動する構成に比べ、左右の足で交互に足置き部21を踏む運動が一層容易になる。
【0082】
(6)コイルばね23の付勢力により、足からの押す力がなくなると、足置き部21を初期位置へ復帰させるようにしたので、歩行運動で休憩している側の脚に対応する足置き部21が元の位置に戻る。このため、左右の脚部を交互に切り換えながら歩行運動を行うことができる。また、足に力を入れることで足置き部21がスライドすることは、使用者Uの運動実感を上げることもできる。
【0083】
(7)椅子18と足置き装置20とを双方の相対位置の変更が可能な状態で連結する連結機構19を設けた。このため、運動補助装置10を不使用時にはコンパクトに収納できるうえ、トレーニングを行うときには椅子18に対する足置き部21の位置をトレーニングに適した適切な位置(例えば膝角度が約140度になる位置)に配置することができる。
【0084】
(8)臀部支持部13を構成するシート13aの後部には、使用者Uの背部をもたれさせる背もたれ部15が備えられる。背もたれ部15によって使用者Uの身体が後部に逃げることを抑えることができるため、使用者Uの脚部の筋力に作用する力(負荷)を背もたれ部15が省略した構成と比較して大きくできる。これにより、より好適に使用者Uの脚部の運動を行うことができる。
【0085】
(9)使用者Uの肘を置くことが可能な肘置き部17が備えられる。これにより、肘を置くことができ、利便性を向上できる。更に、肘置き部17を利用することで、シート13aにのみ使用者Uの自重が作用することによる腰の痛みを和らげることも可能となる。
【0086】
(10)シート13aが揺動駆動装置12により前後方向及び左右方向に動作される。これにより、左右方向の揺動動作によって使用者Uの脚部の一方に対して負荷を与えることができ、より効果的な運動を行うことができる。
【0087】
(11)足置き部21を構成する足置きパッド24のうち少なくとも足裏が接触する部分の内側に、発砲ウレタンやスポンジ等の柔らかい多孔質樹脂材料からなるクッション層24bを設けた。このため、足置き部21の足置きパッド24を押すときの足の痛みを軽減できる。
【0088】
(12)足置き部21を構成する足置きパッド24のうち少なくとも足裏が接触する部分の内側に、衝撃吸収材からなる衝撃吸収層24cを設けた。このため、足置きパッド24から脚部に反力が加わる際の衝撃力を吸収し、足、膝、股関節を衝撃力から守ることができる。
【0089】
(13)特に本実施形態では、クッション層24bと衝撃吸収層24cの両方を備えたので、足置きパッド24を押すときの足の痛みを軽減できるとともに、足置きパッド24から脚部に反力が加わる際の衝撃力を吸収し、足、膝、股関節を衝撃力から守ることができる。
【0090】
(14)特許文献1〜3に記載の運動補助装置は、臀部支持部が前方へ移動したときに自重の一部が加わった側の足で足置き部を踏み込む構成であり、足裏全体を載せることが前提の足置き部(踏台や踏板)であったので、足のMP間接部からつま先部を当てることが難しかった。このため、足置き部から足に反力が得られにくくCKCトレーニングを行うことが困難であった。これに対して、本実施形態の運動補助装置10では、足置き面21aが円弧面(凸曲面)なので、足のMP間接部からつま先部を足置き部21に当てることができるので、適切な反力を得てCKCトレーニングを行うことができる。
【0091】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図11及び図12に従って説明する。第2実施形態では、足置き部の構成のみが第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、その説明の一部又は全部を省略する。
【0092】
図11に示すように、足置き装置81を構成する基台82の上面には、四角板状の足置き板83の幅方向中央位置に固定された1本の回動軸84が回動自在に支持されている。このため、足置き板83は、その幅方向中央位置の回動軸84を中心として回動可能となっている。なお、回動軸84の下端部は、基台82に対して軸受(図示省略)を介して支持されている。
【0093】
基台82上において足置き板83の後側(図11(a)では上側)となる位置には、左右一対の四角板状のストッパ85が固定されている。各ストッパ85は、図11(a)に示すように回動軸84に対して左斜め後方位置と右斜め後方位置にそれぞれ配置されている。足置き板83は、図11(a)における時計方向に回動したときに左側のストッパ85に当たり、反時計方向に回動したときに右側のストッパ85に当たることにより、その回動量が所定角度範囲に規制されている。本実施形態では、足置き板83のストッパ85と反対側の面が、足を置く足置き面83aとなっている。図11(b)に示すように、足置き面83aは、基台82の上面(水平面)に対して直交する略鉛直面となっており、回動軸84の両側に配置された右足用の足置き面と左足用の足置き面とを有する。足置き面83aが略鉛直面であるので、足のMP間接部からつま先部を足置き面83aに当てることができる。
【0094】
足置き面83aが左右方向Yと平行となる図11(a)に示す初期位置(初期姿勢)にあるときの足置き板83の回動角(姿勢角)を基準角度「0度」とした場合に、所定角度範囲は±20度以下に設定されている。但し、足、膝、股関節が過伸展にならない範囲の所定角度範囲である。本例では、例えば足置き板83が左右方向幅40cm以下であれば、所定角度範囲「±20度以下」は、使用が想定される体格の使用者Uであれば脚部が過伸展にならない範囲となる。
【0095】
また、各ストッパ85には前後方向Xに貫通する透孔(図示せず)が設けられ、この透孔に軸部86が前後方向Xに延びる状態で挿通されている。軸部86の前端部(図11(a)における下端部)は足置き板83の裏面(後面)に対し、左右方向Yに相対移動可能な状態で係合している。詳しくは、図12(c)に示すように、足置き板83の裏面における軸部86の係合位置に相当する箇所には、軸部86の直径より若干大きなサイズでかつ左右方向Yに延びる形状のガイド溝83bが形成されている。軸部86の前端部は、ガイド溝83bに挿入され、ガイド溝83bに沿って左右方向Yに相対移動可能かつ抜け止めされた状態で係合している。
【0096】
なお、軸部86の前端部の近傍に足置き板83から僅かに離間可能な位置に板部を固定し、板部とストッパ85との間にコイルばね87を介装させる構成とすることが好ましい。この構成の場合、コイルばね87の一端(前端)が足置き板83の裏面に押圧されることがなくなり、このコイルばね87の一端が足置き板83の裏面に押し付けられたときの摩擦力に起因して、軸部86のガイド溝83bに沿った相対移動がしにくくなる事態を回避しやすくなって、足置き板83をスムーズに回動させることができる。
【0097】
図11(a)に示すように、ストッパ85と足置き板83との間には、軸部86が挿通された状態でコイルばね87が介装されている。コイルばね87は足置き板83を初期位置に復帰させるためのものであり、その付勢力(弾性力)は、足置き板83がトレーニング時に足から受ける押圧力(回動力)に比べ十分に小さい。
【0098】
次に、足置き装置81を備えた運動補助装置10を用いてトレーニングを行うときの作用を説明する。トレーニングを行うときには、図12(a)に示すように、足置き板83の足置き面83aにおける左側部分に左足を当て、右側部分に右足を当てる。このとき、足のMP間接部からつま先部を足置き面83aに当てる。運転スイッチを入れると、シート13aの揺動運動が開始される。例えばシート13aが右側に傾動した状態で前方へ揺動するとき、右側に体重が載るので、右足で足置き板83の右側部分を押すことになる。この結果、図12(b)に示すように、右足で強く押された足置き板83は反時計方向に回動する。このとき、回動した足置き板83は直ぐにストッパ85に当たりそれ以上の回動が規制される(図12(b)の状態)。このとき、図12(d)に示すように、足置き板83の回動に伴って各軸部86の前端部は、ガイド溝83bに係合されたままガイド溝83bに沿って左右方向外側へ相対移動する。これによりコイルばね87に付勢された状態での足置き板83の回動が可能となる。
【0099】
本実施形態では、足置き板83が回動可能な所定角度範囲が±20度以下であるので、足置き板83の押し込みストロークが短い。つまり、シート13aが後傾姿勢から前傾姿勢になるまでの前方への最大移動量ΔX1に比べ、足置き板83の回動に伴う足の前方への最大移動量ΔX2の方が小さい。このため、シート13aが前方へ移動するときに、足に力を入れると、少しの前方へのスライドを伴った後、足置き板83がストッパ85に当たったときに、足置き板83から足が反力を受ける。この反力を利用して膝に負担をかけずに脚部及び腰部を鍛えるCKCトレーニングを行うことができる。
【0100】
一方、力を入れない反対側の足は、体幹側(後方)へ移動し、膝関節及び股関節は、第1実施形態の足置き装置20を採用する場合に比べ、より屈曲することになる。このため、このような運動により血圧上昇も防ぐことができる。また、片方の脚を伸展し力を入れたときは、その足置き板83からの反力により筋活動が生まれ、もう一方の足は膝関節及び股関節が曲がることから、立った状態でいえばその場で足踏みをしている状態と非常に類似し、歩行リズムの脳内運動中枢の再教育につながる。
【0101】
回動する足置き板83と接触する部分にストッパ85を配置し、足置き板83とストッパ85との間に足置き板83に初期位置に戻すために必要な付勢力を与えるコイルばね87(弾性体)を設けた。足置き板83が回動して脚が前方へスライドすることにより、反力を受ける前に事前に、反力による衝撃への準備をすることができる。また、シート13aが前方へ移動するときに、足に力を入れると足置き板83の回動による足のスライドが感知され、もうすぐ反力が加わると脳内の運動中枢に合図を送れる。また、足置き板83を押したときにコイルばね87により足が弱い反力を受けて僅かに筋活動することにより、歩行時の筋活動と類似し、脚関節への衝撃準備が可能となる。
【0102】
なお、実施形態は、以下に示す態様で実現することもできる。
・足置き装置を構成する基台にトレーニング時に踵を接地する踵接地部を設けてもよい。例えば第1実施形態では、図13に示すように、足置き装置20を構成する基台22を後方(同図の右方向)へ延ばし、トレーニング時に踵を接地する踵接地部22bを設ける。この構成によれば、図13(a),(b)に示すように、踵を踵接地部22bに接地できるので、踵から爪先に至る足の角度を調整し、足置き部21(詳しくは足置きパッド24)に置く足の位置を調整しやすい。また、第2実施形態では、図14に示すように、足置き装置81を構成する基台82を後方(同図の右方向)へ延ばし、トレーニング時に踵を接地する踵接地部22bを設ける。この構成によれば、図14(a)に示すように、踵を踵接地部22bに接地できるので、踵から爪先に至る足の角度を調整し、足置き板83に置く足の位置を調整しやすい。もちろん、図14(b)に示すように、踵を接地させずに浮かせた状態で足を足置き板83に置いてトレーニングを行うことも可能である。また、図13及び図14において、踵接地部22b又は82aをゴム部材等の滑り止めの役割を担う部材を採用し、足の位置ずれを抑えることが可能な構成としてもよい。
【0103】
・前記第1実施形態では、足置きパッド24を衝撃吸収層24cとクッション層24bとの2層を含む複数層構造とした。これに対して、図15(a)に示すように、クッション層24bを無くし衝撃吸収層24cを含む複数層構造を採用したり、図15(b)に示すように、衝撃吸収層24cを無くしクッション層24bを含む複数層構造を採用したりしてもよい。
【0104】
・シートが前方へ移動する際に脚部が伸展する方向に沿って足置き部がスライド又は回動するようにしてもよい。例えば図16に示すように、スライド式の足置き装置20において、使用者Uの脚の伸展方向(伸展時の力の向き)に沿って足置き部がスライドするように、脚の伸展方向の勾配をもつ斜面91aを有する台部91を設け、斜面91aに沿って足置き部21がスライドするようにする。ここで、図16(a)は勾配が大きい場合の台部91の例、図16(b)は勾配が小さい場合の台部91の例である。これらの構成によれば、脚の伸展時の力の向きが斜めでも、足置き部21がスムーズにスライドし脚部の運動がしやすくなる。また、例えば第2実施形態で示した回動式の足置き板(足置き部)において、脚の伸展方向(伸展時の力の向き)と平行な勾配をもつ斜面を有する台部を設け、斜面に垂直に立てた回動軸を中心に足置き板を回動可能に設けた構成とする。この構成によれば、脚の伸展時の力の向きが斜めでも足置き板がスムーズに回動し脚部の運動がしやすくなる。
【0105】
・図16に示す足置き装置20において、斜面91aを後方上側へ延ばして踵接地部を設け、踵を接地させた状態でトレーニングを行える構成としてもよい。
・足置き部を初期位置に復帰させるためのばねを廃止してもよい。例えば図17(a),(b)に示すように、基台82上に回動軸84を中心に回動可能に設けられた足置き板83の後方(図17(a)では上側)に、左右一対の円柱状のストッパ94が配置されるのみで、ばね(弾性体)が廃止された構成とする。このようなばねのない構成の場合でも、足置き板83の前面右側を足で押した力により足置き板83が回動することで、足置き板83の左側が手前(後方)に戻るので、左右の脚部を交互に使って押す歩行運動は行うことができる。
【0106】
・スライド式の足置き部21の場合、足置きパッド24が支持台25に支持された構成に限定されない。例えば図18(a)に示すように、基台96の幅方向両側から上方へ延出する左右一対の直方板状の支持部材97の対向面に、硬質な円柱棒からなるロッド98(例えば鉄棒)がその両端部が前後方向Xに相対移動可能な状態で支持された足置き部であってもよい。図18(b)に示すように、支持部材97の側面(対向面)には、ロッド98の直径より若干大きな第1ガイド溝97aが前後方向Xに延びるように形成されており、ロッド98は第1ガイド溝97aに沿って前後方向Xに移動可能な状態で支持部材97に支持されている。ロッド98の両端部には凸部98a(図18における紙面直交方向奥側の1つのみ図示)が軸方向外側へ突出し、この凸部98aは支持部材97の側面(対向面)に形成された第2ガイド溝97bに挿入された状態で前後方向Xに移動可能となっている。第2ガイド溝97bには、凸部98aの後側の領域にコイルばね99が収容されている。コイルばね99はその一端(後端)が第2ガイド溝97bの後端面に当接し、その他端(前端)が凸部98aに当接している。ロッド98が後方へ押されて凸部98aが後方へ移動すると、コイルばね99が圧縮され、ロッド98への押圧力が弱まる又は無くなると、コイルばね99の付勢力により図18(a),(b)に示す初期位置に復帰するようになっている。両足のMP関節からつま先部をロッド98(足置き部)に当てることで反力が発生することに着目し、踵が踵接地部96a(又は床)に着いた状態で足腹部から足指付け根の間でロッド98が足裏と接触しうる高さにロッド98を配置している。
【0107】
トレーニングを行うときには、図18(c)に示すように基台96の踵接地部96aに踵を接地させた状態でロッド98に左右の足を置く。運転スイッチを入れると、図18(d)に示すシート13aが揺動運動を開始し、シート13aが前方へ移動するときに使用者Uは足に力を入れ、ロッド98を押してロッド98がストッパ97c(第1ガイド溝97aの後端面)に当たる。このとき、ロッド98から脚部に反力が発生する。この反力が脚部に加わることで、主に大腿前部の大腿四頭筋の筋活動をはじめ、大腿後部のハムストリング、股関節屈曲筋、足底屈筋群、足背屈筋群も協調的に筋活動が生じ、トータル的な脚部及び腰部のトレーニングが可能となる。
【0108】
・図18に示すロッドを左右独立してスライド可能に2個設けた構成も採用できる。この場合、左右の脚を交互にCKCトレーニングする歩行運動が可能になるので、両脚に同時に負荷をかけるトレーニングに比べ、トレーニングをより多くの回数継続できる。
【0109】
・前記各実施形態では、足置き部がスライド又は回動する構成であったが、固定式の足置き部を採用してもよい。例えば図19(a)に示す足置き装置101は、足置き部102を構成する1本の円柱状の足置きパッド103が連結機構19を介して椅子18と連結された構成である。また、図19(b)に示す足置き装置105は、2個の足置き部106を構成する円柱状の足置きパッド107が共通の連結機構19を介して椅子18と連結された構成である。これらの足置きパッド103(107)は、第1実施形態の足置きパッド24と同様に、外側から順に、表皮108a、クッション層108b、衝撃吸収層108c及び芯材108dが配置された複数層構造を有している。図19(d)に示すように、足で押したときに足置きパッド103,107が脚の伸展方向に凹み、この凹み量ΔX3(第2移動量)が、シート13aが前方へ移動するときの最大移動量ΔX1(第1移動量)よりも小さくなっている。このため、足が凹み量ΔX3だけ沈みこむことによって、反力を受ける前に事前に少しの筋活動をし、反力による衝撃への準備をする役目を果たすとともに、その準備後、足置きパッド103,107から受ける反力により、脚部のトータル的なトレーニングを行うことができる。
【0110】
・図20(a),(b)に示すように、足置き部21又は足置き板83の足と接する表面の領域に、足裏を刺激可能な先端形状が半球面状となった柱状の凸部110を、足裏を刺激可能な適度な間隔を開けて一面に多数設け、凹凸状の表面としてもよい。また、図17に示す足置き板83の足置き面に複数の凸部を設けたり、図18に示すロッド98の表面(足置き面)に複数の凸部を設けたりしてもよい。これらの構成によれば、脚部のトレーニングを行いながら、足裏を刺激してマッサージ効果が得られるので、血行がよくなる。
【0111】
・円柱状の足置きパッドを、その軸線方向中央部に設けた回動軸を中心に回動させる構成も採用できる。
・足置き部を元の位置に戻すために付勢する弾性体は、コイルばねに限定されず、板ばねなどの他のばねでもよい。
【0112】
・凸曲面の足置き面を有する足置き部は、足置きパッドやロッドのように円柱状であることに限定されない。例えば断面が楕円状のように曲率が変化する凸曲面を有する形状でもよい。
【0113】
・足置き部は足置き板83のような板状であることに限定されない。足裏が置かれる足置き面が略鉛直面となっていればよい。例えば三角柱状や半円柱状でもよい。
・足置き板83を回動式に替えて、スライド式にしてもよい。さらにスライド式とした場合、左右独立してスライドする2個の足置き板を設けた構成としてもよい。また、スライド式の足置き板は、図18に示したロッドに替えて、足のMP関節部からつま先部を接触させうる程度のサイズの足置き板を、MP関節部からつま先部を接触させうる高さに配置した構成でもよい。
【0114】
・踵接地部を廃止し、踵の接地される位置に相当する領域が開口し、その開口位置の床面に踵を接地する構成でもよい。この場合、図18のロッドは、踵を床面につけたときに足腹部から足指付け根の間を接触しうる高さに配置する。
【0115】
・回動板を、足置き面の内側にクッション層と衝撃吸収層のうち少なくとも一方の層を備えた構成とすることができる。特に回動板を足置き面の外側から順に、表皮、クッション層、衝撃吸収層、基板が配置された複数層構造とすることが望ましい。
【0116】
・背もたれ部15の角度を変更可能な構成、つまりリクライニング機構を備えた構成を採用してもよい。
・基台11に設けられる伸縮式の連結機構19(位置調整手段)により足置き装置をシート13aの下方近くまで移動させて収容する構成としたが、収容不能な構成を採用してもよい。また、足置き部の前後方向における位置を調整不能、つまり足置き部の前後方向における位置を固定する構成としてもよい。
【0117】
・揺動駆動装置12により臀部支持部13(シート13a)を前後方向及び左右方向の揺動を組み合わせて横8の字状に揺動運動させる構成としたが、少なくとも前後方向に揺動させる構成であればよい。例えばシート13aが、横8の字以外のV字、W字状に揺動動作する構成してもよい。もちろん、シート13aが前後方向のみに揺動する構成でもよい。さらに前後方向の揺動は、シート13aが円弧軌跡を描くように往復回動する揺動に限らず、シート13aが直線軌跡を描くようにスライド往復運動をする揺動でもよい。
【0118】
・臀部支持部13を構成するシート13aと背もたれ部15とを一体形成し、背もたれ部15も揺動する構成を採用してもよい。
・肘置き部17を無くしてもよい。また、背もたれ部15を無くしてもよい。
【0119】
・使用者が手で握るとともに前後に傾動する把持部を設けてもよい。この場合、把持部は使用者が自らの腕の力で傾動動作させる構成や、モータの動力により他動で把持部を傾動動作させる構成を採用できる。
【0120】
・足置き部を上下方向に位置調整可能な構成を採用してもよい。この場合、使用者の好みの高さで足置き部を使用することが可能となる。
・前記第1実施形態において、足置き部21を左右独立に2個設ける構成に替え、両足を置けるサイズのものを1つ設けてもよい。この場合、左右独立に2個設ける構成に比べ、運動補助装置の部品点数を少なく抑えることができる。
【0121】
・足置き部をモータやアクチュエータ等の動力源により他動で脚の伸展方向(例えば前方)へ移動させる構成も採用できる。
【符号の説明】
【0122】
10…運動補助装置、12…揺動駆動手段としての揺動駆動装置、13…臀部支持部、13a…シート、15…背もたれ部、17…肘置き部、18…椅子、19…連結機構、20…足置き装置、21…足置き部、21a…足置き面、22…基台、22b…踵接地部、23…弾性体としてのコイルばね、24…足置きパッド、24b…クッション層、24c…衝撃吸収層、24d…芯材、26…機構及びスライド機構を構成するリニアガイド、27…ストッパ、29…軸部、41…揺動駆動手段を構成するモータ、81…足置き装置、82…基台、82a…踵接地部、83…足置き部及び回動部としての足置き板、83a…足置き面、84…機構を構成する回動軸、85…ストッパ、87…弾性体としてのコイルばね、91…台部、91a…斜面、94…ストッパ、96…基台、96a…踵接地部、97…支持部材、97a…第1ガイド溝、97b…第2ガイド溝、97c…ストッパ、98…足置き部としてのロッド、99…弾性体としてのコイルばね、101…足置き装置、102…足置き部、103…足置きパッド、105…足置き装置、106…足置き部、107…足置きパッド、108b…クッション層、108c…衝撃吸収層、110…凸部、ΔX1…第1移動量としてのシートの最大移動量、ΔX2…第2移動量としての足置き部の最大移動量、X…前後方向(奥行方向)、Y…左右方向(幅方向)、Z…高さ方向(上下方向)、U…使用者。
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚部の運動を行うことができる運動補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脚部の運動を可能とする運動補助装置としては、例えば室内でランニングを可能とするトレッドミルや自転車の漕ぎ運動を模したフィットネスバイクなどが広く知られている。トレッドミルやフィットネスバイクのような運動補助装置では、膝関節の屈伸を伴ったり、膝関節に強い負荷が作用したりすることから、高齢者や膝痛者などの使用者には、過度な負荷となり、運動を継続することが難しい。
【0003】
このような問題を改善するべく、使用者の膝にかかる負荷を抑えて脚部(特に大腿部)の運動を可能とする運動補助装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の運動補助装置は、使用者の臀部を支持する臀部支持部と、使用者の足部を支持する足置き部(足台(ステップ))とを備え、臀部支持部を揺動駆動部によって揺動動作させる。そして、臀部支持部が前方へ移動したときに、使用者の臀部に作用していた自重の一部を脚部側に作用させて脚部の運動を行う。
【0004】
また、特許文献2には、座席部材がモータにより前後に揺動するとともに踏板がモータにより上下に移動し、座席部材の傾斜角度が大きくなるほど踏板を下方に移動させて、使用者の膝間接の屈曲角度をほとんど変化させることなく、使用者の自重により脚に作用する負荷を変化させて脚のトレーニングを行う脚部トレーニング装置が開示されている。この特許文献2には、踏板の下部にばね材を設け、荷重の大きさに対して踏板が望ましい降下量となる構成も開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、使用者が座る可動部(座部)に、乗馬を模した前後左右の揺動運動を行わせる駆動部を備えた揺動型運動装置と、可動部に座った使用者の足先を載せるステップ板を有するステップ部とを備えた訓練装置が開示されている。ステップ板は上下方向に可動に支持されるとともにばねで上方へ付勢され、ステップ板の踏み込み動作に対してばね負荷が加えられることで、より確実に膝まわりの筋肉を鍛えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−264320号公報
【特許文献2】特開2007−181731号公報(例えば段落[0044][0051]等)
【特許文献3】特開2009−160187号公報(例えば段落[0007][0013]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、特許文献1〜3に記載の運動補助装置は、臀部支持部(座部)を前後に揺動させて、脚部にかかる自重を変化させて脚部をトレーニングするものである。ところで、この種の運動補助装置において、臀部支持部が前方へ移動するときに足置き部から脚部に加わる反力を巧く利用して脚部の筋活動を促進できると、さらに効果的な脚部トレーニングの実現を期待できる。しかし、従来の運動補助装置は、足置き部(足台、踏板)から脚部に加わる反力を巧く利用できるものではなかった。よって、より好適に脚部の運動を行うことが可能な運動補助装置の開発が望まれている。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、より好適に脚部の運動を行うことが可能な運動補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、使用者の臀部を支持する臀部支持部と、前記使用者の足を置く足置き部と、前記臀部支持部を少なくとも前後方向に揺動させる揺動駆動手段とを備えた運動補助装置であって、前記臀部支持部に着座した使用者の脚の伸展方向へ前記足置き部を移動可能とする機構を有し、前記足置き部の前記伸展方向への最大移動量が、前記臀部支持部の前方への最大移動量である第1移動量よりも小さな第2移動量に規制されていることを要旨とする。
【0010】
本発明の運動補助装置において、前記足置き部を前記伸展方向へ移動した位置から元の位置へ戻すために必要な付勢力を前記足置き部に与える弾性体を更に備えることが好ましい。
【0011】
本発明の運動補助装置において、前記機構は、前記足置き部を前後方向に移動可能とすることが好ましい。
本発明の運動補助装置において、前記足置き部の前記第2移動量を超える移動を規制するストッパを備えることが好ましい。
【0012】
本発明の運動補助装置において、前記足置き部の足置き面は、凸曲面又は略鉛直面であることが好ましい。
本発明の運動補助装置において、前記機構は前記足置き部をスライドさせるスライド機構であることが好ましい。
【0013】
本発明の運動補助装置において、前記足置き部は左右独立してスライド可能に二個設けられていることが好ましい。
本発明の運動補助装置において、前記足置き部は、直径15〜30cmの円柱状の周面の少なくとも一部を前記足置き面とする形状を有していることが好ましい。
【0014】
本発明の運動補助装置において、前記足置き部は、踵を踵接地部につけたときに足腹部から足指付け根の間を接触しうる高さに配置されたロッドを備えることが好ましい。
本発明の運動補助装置において、前記足置き部は、回動部と、前記回動部を回動させる回動軸とを備え、前記回動部の前記回動軸を挟んだ両側に左右の足を置くための一対の足置き面を有することが好ましい。
【0015】
本発明の運動補助装置において、前記回動部は前記回動軸を中心として±20度以下の所定回動範囲に規制されることが好ましい。
本発明の運動補助装置において、前記足置き部の前記足置き面は、略鉛直面であり、かつ前記使用者の足のMP関節部からつま先部を接触させうる面であることが好ましい。
【0016】
本発明の運動補助装置において、前記足置き部は、足置き面の内側にクッション層を有することが好ましい。
本発明の運動補助装置において、前記足置き部は、足置き面の内側に、衝撃吸収材からなる衝撃吸収層を有することが好ましい。
【0017】
本発明の運動補助装置において、前記足置き部は、前記クッション層と、前記衝撃吸収層とを有していることが好ましい。
本発明の運動補助装置において、前記足置き部に置く足の踵を接地するための踵接地部を備え、前記踵接地部は、前記足置き部の移動方向と略平行な面を有することが好ましい。
【0018】
本発明の運動補助装置において、前記足置き部が足で押されるときの移動方向を前方下側となるように当該足置き部を支持する斜面を有する台部を備えることが好ましい。
本発明の運動補助装置において、前記足置き部の前記足置き面には、足裏を刺激可能な複数の凸部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、より好適に脚部の運動を行うことが可能な運動補助装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)(b)第1実施形態における運動補助装置の斜視図。
【図2】運動補助装置の側面図。
【図3】運動補助装置に備えられる揺動駆動装置の分解斜視図。
【図4】運動補助装置に備えられる揺動駆動装置の側面図。
【図5】(a)(b)足置き装置の側面図。
【図6】足置き装置の斜視図。
【図7】足置きパッドの部分断面図。
【図8】(a)(b)運動補助装置を用いたトレーニングを説明する側面図。
【図9】(a)(b)運動補助装置を用いたトレーニングを説明する側面図。
【図10】(a)実施形態、(b)比較例の各運動補助装置でトレーニングを行ったときの脚の筋活動を示すグラフ。
【図11】第2実施形態の足置き装置を示し、(a)は平面図、(b)は側面図。
【図12】足置き装置の動作を説明し、(a)(b)は平面図、(c)(d)は背面図。
【図13】(a)(b)スライド式の足置き装置の変形例を示す側面図。
【図14】(a)(b)回動式の足置き装置の変形例を示す側面図。
【図15】(a)(b)変形例の足置きパッドの部分断面図。
【図16】(a)(b)変形例の足置き装置を備えた運動補助装置の側面図。
【図17】変形例の回動式の足置き装置の変形例を示し、(a)は平面図、(b)は側面図。
【図18】(a)〜(d)変形例の足置き装置を説明する説明図。
【図19】変形例の足置き装置を示し、(a)(b)平面図、(c)は側断面図、(d)は側面図。
【図20】(a)(b)変形例の足置き部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
次に、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図10に従って説明する。
図1(a),(b)及び図2に示すように、運動補助装置10は、その基台11が図示しない床面に載置されるとともに、基台11上に設けられた揺動駆動装置12と、この揺動駆動装置12により揺動する臀部支持部13とを備えている。臀部支持部13は上面に、使用者が着座可能なシート13a(座部)を備える。揺動駆動装置12は、臀部支持部13に対して前後方向Xの揺動運動と左右方向Yの揺動運動とを与える。このとき、臀部支持部13は、前後方向に2回の揺動運動を行う間に、左右方向に1回の揺動運動を行う横8の字を描くように揺動運動する。
【0022】
臀部支持部13の後方には、背もたれ部15が基台11から延出する複数本の支持部材16に支持された状態で配置されている。背もたれ部15にはその幅方向(左右方向Y)両側から前方へ延出する肘置き部17が一体に形成されており、使用者は肘置き部17の上面に肘を置くことが可能になっている。そして、基台11、揺動駆動装置12、臀部支持部13、背もたれ部15及び肘置き部17等により、シート揺動タイプの椅子18が構成される。
【0023】
また、基台11の前部には、前後方向Xに多段階(本例では3段階)に伸縮可能な連結機構19が設けられている。この連結機構19の前端部には足置き装置20が固定されている。よって、足置き装置20は、連結機構19を伸縮させることにより、臀部支持部13に対する前後方向Xの相対位置を任意に調整可能となっている。つまり、シート13aに着座した使用者の脚の長さに合わせて、シート13aに対する足置き装置20の前後方向Xにおける相対位置を位置調整可能となっている。また、連結機構19を収縮させることにより、足置き装置20を、図1(b)に示すように椅子18側に寄せた収納位置に配置できるようになっている。このため、不使用時には足置き装置20をコンパクトに収納できるので、運動補助装置10は室内に置いてもさほど邪魔にならない。図1及び図2に示すように、足置き装置20には、使用者の左右の足を独立して置くことが可能な左右一対の足置き部21を備えている。
【0024】
次に、足置き装置20の詳細な構造を、図1、図2、図4を用いて説明する。
足置き装置20は、連結機構19を構成する連結部19aの先端部(前端部)に固定された基台22を有している。基台22上には、左右一対の足置き部21が前後方向Xに移動可能な状態で設けられている。左右一対の足置き部21はコイルばね23により椅子18側の方向(後方)へ付勢されている。このため、使用者が足で足置き部21を押して前方へ移動させた状態で、足の押す力を弱めれば足置き部21は元の位置(初期位置)に復帰するようになっている。なお、コイルばね23により足置き部21を後方へ付勢する付勢力は、特許文献3に記載のばねのように膝まわりの筋肉を鍛えられるほどの強さはなく、単に足置き部21を元の初期位置に戻すために必要な比較的弱い強さに設定されている。
【0025】
図1及び図2に示すように、足置き部21は、円柱状の足置きパッド24と、足置きパッド24を支持する支持台25とを備える。図2に示すように、支持台25は、リニアガイド26を介して基台22上を前後方向Xに移動可能に設けられている。詳しくは、基台22の上面にはガイドレール26aが組み付けられ、支持台25の底部にはガイドレール26a上を移動可能な可動ガイド26bが固定されている。基台22上における支持台25の前方側の位置にはストッパ27が固定され、足置き部21は、足置きパッド24を支持する支持台25がストッパ27に当たるまでのストロークを移動可能になっている。本実施形態では、前述のようにコイルばね23による後方への付勢力が比較的弱いため、臀部支持部13が前方へ移動したときに使用者が足置き部21を足で押すときにばね負荷はほとんど感じることなく支持台25がストッパ27に当たる。そして、足置き部21を前方へ押し込んだ力が一定以下に弱まれば、足置き部21は元の初期位置に復帰する。
【0026】
本実施形態では、足置き部21が初期位置にあるときの支持台25がストッパ27に当たるまでのストロークに相当する足置き部21の最大移動量は、臀部支持部13(シート13a)が前方へ移動するときの最大移動量である第1移動量よりも小さな第2移動量に設定されている。このため、使用者は、運動補助装置10のシート13aに着座し、股関節、膝関節が適度に屈曲された状態で足裏を足置きパッド24に置き、臀部支持部13が前方に移動したときに使用者の脚部に足置き部21から反力がかかり易くなっている。また、椅子18と足置き装置20とが連結機構19を介して連結されているので、足置き部21から脚への反力が生じるともに、反力が生じたときに椅子18が背部側に倒れることを防いでいる。なお、足置き装置20の詳細や脚トレーニングの詳細については後述する。
【0027】
次に図3及び図4を参照して、揺動駆動装置12の詳細な構造について説明する。
揺動駆動装置12は、シート13aが固定された台座13bをモータ41により幅方向Y及び高さ方向Zと奥行方向(前後方向)X回りで揺動運動させることにより、台座13bとともにシート13aを揺動運動させるようになっている。
【0028】
また本実施形態の揺動駆動装置12においては、シート13aの角度を調整する昇降機構70が設けられている。
揺動駆動装置12は、前方の端部と後方の端部が同程度の高さとなる状態で脚部の上面に固定されるベース31と、揺動運動が可能となるように台座13bを支持する筐体33とを備える。また、揺動駆動装置12は、筐体33及び台座13bを互いに接続する連結リンク36と、連結リンク36を介して台座13bを揺動運動させるための駆動部40とを備える。
【0029】
連結リンク36は、側板38と接続される。連結リンク36としては、奥行方向Xにおいて所定の間隔をおいて配置された2つのリンク、すなわち前リンク36A及び昇降機構70が設けられている。
【0030】
連結リンク36は、次のように台座13b及び側板38に連結されている。連結リンク36の前リンク36Aの下端は、下軸ピン39Aにより側板38に対して回転可能な状態で側板38の前端に連結されている。また連結リンク36の前リンク36Aの上端は、上軸ピン39Bにより台座13bに対して回転可能な状態で台座13bの前端に連結されている。
【0031】
昇降機構70は、次のように台座13b及び側板38に連結されている。昇降機構70の下端は、下軸ピン39Cにより側板38に対して回転可能な状態で側板38の後端に連結されている。昇降機構70の上端は、上軸ピン39Dにより台座13bに対して回転可能な状態で台座13bの後端に連結されている。
【0032】
台座13bの前端部は下軸ピン39Aを中心とする円弧上を移動し、台座13bの後端部は下軸ピン39Cを中心とする円弧上を移動するように、台座13bの移動範囲が規制されている。ここで、後リンク36は前リンク36よりも長寸に形成してあり、台座13bの前端部と後端部との回転半径が異なることにより、台座13bは前後に移動するのに伴って上面の傾斜角度を変化させることになる。
【0033】
奥行方向Xの後方側に設けられる昇降機構70が伸長及び縮小することにより、台座13b及びシート13aが前傾状態及び後傾状態の間で動作する。昇降機構70が最大限まで伸長または最大限まで縮小したときの台座13b及びシート13aの傾斜角度は、昇降機構70が各下軸ピン39A,39Cを中心に回転したときの最大の傾斜角度よりも大きい。
【0034】
図3に示されるように、筐体33の左側及び右側の端のそれぞれは、奥行方向Xに沿う形状の側板38により形成されている。筐体33の前方及び後方の端のそれぞれは、高さ方向Zに沿う形状の連結板34により形成されている。
【0035】
図4に示されるように、ベース31には、奥行方向Xに並べられた2つの軸支板32(図3参照)が設けられている。各軸支板32には、支軸35により軸支板32に対して回転可能な状態で連結板34が連結されている。すなわち支軸35は、前後方向X回りの回転が可能な状態で筐体33を支持している。
【0036】
次に台座13bと連結リンク36との関係について説明する。
連結リンク36が各下軸ピン39A,39Cを中心に前方に向けて回転したとき、高さ方向Zにおいて昇降機構70がベース31に対して傾斜する。このため、高さ方向Zにおいて台座13bの後方の端部が前方の端部よりも低くなる。すなわち、奥行方向Xにおいて前方から後方に向かうにつれて高さ方向Zにおいて上方から下方に向けて台座13bが傾斜する。
【0037】
連結リンク36が各下軸ピン39A,39Cを中心に後方に向けて回転したとき、高さ方向Zにおいて昇降機構70がベース31に対して傾斜する。このため、高さ方向Zにおいて台座13bの後方の端部が前方の端部よりも低くなる。すなわち、奥行方向Xにおいて前方から後方に向かうにつれて高さ方向Zにおいて上方から下方に向けて台座13bが傾斜する。
【0038】
昇降機構70は、ウォームギヤ及びウォームホイール(いずれも図示略)が内部に設けられたギヤボックス71と、ウォームギヤを回転するためのモータ72と、モータ72の回転に基づいて直線運動するボールねじ73とを備える。ボールねじ73は、ウォームホイールに噛み合わされている。また、ボールねじ73の上端は台座13bに左右方向Y回りに回転可能に連結されている。
【0039】
また、ギヤボックス71はギヤボックス支持板71Aを介して筐体33に左右方向Y回りに回転可能に連結されているモータ72の回転にともないウォームホイールが回転することにより、ウォームギヤが回転する。これにより、ウォームギヤの回転がボールねじ73に伝達される。そして、ボールねじ73が回転に応じて直線運動することにより、昇降機構70が伸長または縮小する。
【0040】
図3を参照して、駆動部40の詳細な構造について説明する。
駆動部40は、高さ方向Zに沿うように配置される出力軸42を有するモータ41と、幅方向Yに沿うように配置される第1シャフト44とを備える。また、駆動部40は、出力軸42に設けられるモータギヤ43と、第1シャフト44に設けられてモータギヤ43に噛み合わされる第1ギヤ45とを備える。また、駆動部40は、台座13bを奥行方向Xにおいて運動させるための第1駆動部50と、台座13bを幅方向Yにおいて運動させるための第2駆動部60とを備える。モータ41は、側板38に固定されている。第1シャフト44の両端は、それぞれ側板38により支持されている。
【0041】
第1駆動部50は、第1シャフト44の両端に接続される2つの偏心クランク51と、一端が偏心クランク51に接続される2つのアームリンク53とを備える。また、図4に示されるように、各偏心クランク51と各アームリンク53の一端とを互いに接続する軸ピン52と、前リンク36Aと各アームリンク53の他端とを互いに接続する軸ピン54とを備える。
【0042】
第2駆動部60の詳細な構造について説明する。
第2駆動部60は、第1シャフト44に固定される連動ギヤ63と、連動ギヤ63に噛み合わされる第2ギヤ61と、第2ギヤ61が設けられる第2シャフト62と、第2シャフト62に連結される偏心ロッド64とを備える。また、第2駆動部60は、偏心ロッド64の下端が回転可能な状態で連結された連結金具66と、偏心ロッド64の下端と連結金具66とを互いに回転可能に連結する軸ピン67とを備える。また、第2シャフト62は、第2シャフト62の左端と偏心ロッド64の上端とを互いに連結する軸ピン65を備える。
【0043】
第2シャフト62は、幅方向Yに沿うように配置されるとともに筐体33により支持されている。偏心ロッド64は、第2シャフト62の回転中心に対して偏心して同シャフト62に連結されている。
【0044】
次に、図4を参照して、揺動駆動装置12の駆動態様並びに運動補助装置10の作用について説明する。
モータ41の出力軸42が回転するとき、出力軸42の回転がモータギヤ43を介して第1ギヤ45に伝達される。これにより、第1ギヤ45とともに第1シャフト44が回転する。このとき、各偏心クランク51が第1シャフト44に対して回転運動する。そして、偏心クランク51の回転運動にともないアームリンク53が第1シャフト44に対して偏心運動を行ない、前リンク36Aが奥行方向Xに往復運動し、これにともないシート13aが図中の矢印Mの方向に往復運動する。
【0045】
出力軸42の回転にともない第1シャフト44が回転するとき、同シャフト44の回転が連動ギヤ63を介して第2ギヤ61に伝達される。これにより、第2ギヤ61とともに第2シャフト62が回転する。このとき、第2シャフト62の回転にともない偏心ロッド64の上端が第2シャフト62に対して偏心運動する。そして、この偏心ロッド64の偏心運動が同偏心ロッド64の上端及び第2シャフト62を介して筐体33に伝達される。台座13b及びシート13aが幅方向Yに往復運動する。
【0046】
そして、上述したシート13aの2つの往復運動、すなわち図4中矢印Mの方向の往復運動及び幅方向Yの往復運動が組み合わされることにより、シート13aが幅方向Y及び高さ方向Zと奥行方向X回りの揺動運動を行う。
【0047】
揺動駆動装置12においては、シート13aが幅方向Yに1往復する間にシート13aが奥行方向Xに2往復するように第1駆動部50及び第2駆動部60の各ギヤが構成されている。このため、運動補助装置10の平面視においてシート13aが例えば乗馬を模した8の字状に揺動運動する。
【0048】
そして、例えば、揺動駆動装置12にて臀部支持部13が前後方向Xに揺動されることで臀部支持部13が前方に動作して使用者の身体がそれに伴って移動する場合に、足置き部21に置かれた使用者の脚部に負荷がかかり脚部を鍛えることができるようになっている。また、揺動駆動装置12にて臀部支持部13が左右方向Yに揺動されることで、例えば使用者の腰の筋肉にも負荷を与えることができる。
【0049】
次に、このような揺動運動をするシート13aに着座した使用者が、トレーニング時に足を置く足置き部21を有する足置き装置20の詳細な構成を説明する。
次に足置き装置20の詳細な構成を説明する。図5、図6に示すように、足置き部21は、基台22上をリニアガイド26を介して前後方向Xにスライド可能な支持台25と、支持台25に支持された足置きパッド24とを備える。足置きパッド24は、少なくとも足裏が置かれる可能性のある部分が、直径15〜30cmの円柱状の一部(本例では約1/4円周分)となる形状を有している。足置きパッド24は、その円弧面上に足を置くことができるように軸心がY方向と一致する向きに配置されている。本例の足置きパッド24では、足裏が置かれる足置き面21aが、円柱状の周面の少なくとも一部からなる円弧面(凸曲面)となっている。支持台25の下部は、リニアガイド26を構成する可動ガイド26bが固定されている。前述のとおり、基台22の上部にはリニアガイド26を構成するガイドレール26aがその長手方向(レール延在方向)が前後方向Xとなる状態で組み付けられている。このため、足置き部21は、支持台25がガイドレール26aに沿って移動することにより、前後方向Xにスライド可能となっている。
【0050】
基台22の前端には上方へ垂直に延出する延出部22aが設けられている。基台22上には、延出部22aの内側(図5における左側)となる位置にブロック28が固定されており、ブロック28と支持台25との間には、前後方向Xに延びる軸部29がその一端部(図5における右端部)をブロック28に固定する状態で支持されている。軸部29には、軸部29が挿通された状態でコイルばね23が外装されている。軸部29の他端部(図5における左端部)は、支持台25の前端面(図5における右端面)に開口する孔(図示省略)に挿入されている。
【0051】
また、図5及び図6に示すように、支持台25の前端面に対して前後方向Xに対向する基台22上の位置には、支持台25一個につき2個ずつのストッパ27が配置されている。各ストッパ27は、左右方向Yにおいてコイルばね23及びブロック28を避けた位置に配置されている。
【0052】
図5及び図6に示す足置き部21は、足で押圧されていない状態(非押圧状態)では、コイルばね23の付勢力により、図5(a)及び図6に示す初期位置に配置されている。そして、使用者がトレーニング時にシート13aが前方へ移動する過程で、足で足置き部21を前方へ押すと、足置き部21は、支持台25がストッパ27に当接しそれ以上の前方への移動が規制された図5(b)に示す停止位置まで変位する。
【0053】
ここで、シート13aが後傾状態から前傾状態に移動する際の前方への最大移動量をΔX1(第1移動量)とおく。また、足置き部21が、図5(a)に示す初期位置から図5(b)に示す停止位置まで移動するまでの足置き部21の前方への最大移動量ΔX2(第2移動量)とおく。本実施形態では、足置き部21の前後方向Xの最大移動量ΔX2は、シート13aが後傾状態と前傾状態との間で揺動する際における前後方向Xの最大移動量ΔX1に比べ、小さく設定されている(ΔX1>ΔX2)。
【0054】
また、コイルばね23は、前方へ移動した足置き部21を初期位置に復帰させるための付勢力を与えるもので、トレーニング時の負荷を与える目的はない。このため、コイルばね23の付勢力はかなり小さい。使用者がシート13aの前方への移動時に、特に脚部を曲げたり伸ばしたりしなければ、シート13aが前方へほぼΔX1だけ移動した時点で、足置き部21はストッパ27に当接する。そして、足置き部21がストッパ27に当接した時点から、シート13aが前方へさらに移動量(ΔX1−ΔX2)だけ移動するときに、脚部には足置き部21から反力を受けるようになっている。
【0055】
このとき、最大移動量ΔX2が最大移動量ΔX1より大きいと、足置き部21がストッパ27に当たらず、足置き部21から脚部に反力が得られにくくなる虞がある。また、最大移動量ΔX2が最大移動量ΔX1より小さすぎて、その差(ΔX1−ΔX2)が大きいと、足置き部21がストッパ27に当たってからさらにシート13aが前方へ大きく移動することになるので、脚部を大きく屈曲させなければならなくなる。この場合、脚部を大きく屈曲させてしまうと、膝に負荷がかかり易くなるうえ、反力に対して脚部を突っ張らせるトレーニングが困難となる。このため、シート13aと足置き部21の前後方向Xにおける移動量の差分(ΔX1−ΔX2)は、例えば1〜10cmの範囲が好ましい。また、反対に、差分(ΔX1−ΔX2)が小さ過ぎると、足置き部21から脚部への反力が得られにくくなり、膝を適度に曲げた状態で反力を利用して脚部を突っ張らせて行うトレーニングがしにくくなるからである。
【0056】
また、足置き部21の前後方向Xの最大移動量ΔX2は、シート13aの前後方向Xの最大移動量ΔX1に対して5〜50%であることが好ましい。そして、特に、前記1〜10cmの範囲かつ5〜50%の範囲であることが望ましい。足置き部21のストローク(最大移動量ΔX2)は、足置き部21から足へ適切な反力が得られるように、足置き部21のスライドにより、足関節、膝関節、股関節が過伸展にならない長さに設定されている。もちろん、トレーニング時に足置き部21がストッパ27に当たって反力を受けられるのであれば、これらの数値範囲に限定されるものではない。
【0057】
図7に示すように、足置きパッド24は複数層構造を有している。具体的には、足置きパッド24は、外側から順に、合成樹脂製シートからなる表皮24a、スポンジ又は発泡ウレタン等の多孔質樹脂材料からなるクッション層24bと、衝撃吸収材からなる衝撃吸収層24cと、芯材24dとを備える。芯材24dは、金属又は樹脂よりなる円柱状又は円筒状の部材よりなる。芯材24dの外周には衝撃吸収層24cが配置され、さらにその外側にクッション層24bが配置されている。クッション層24bは、足置き部21を押すときの足の痛みを軽減する機能があり、衝撃吸収層24cは、足裏が足置き部21から受ける反力の衝撃を吸収する機能がある。なお、本実施形態では、足置き部21の最大移動量ΔX2には、足で押圧された際の足置きパッド24の凹み量も含まれている。これは、足の前後方向Xの位置を決める足置きパッド24の凹み分も、足置き部21から脚部が受ける反力の強さや、反力を受けるときの膝の角度を決める要因になるからである。
【0058】
本実施形態の運動補助装置10では、図8及び図9に示す以下の2通りのトレーニングを行うことができる。
図8、図9に示すように、使用者Uは、椅子18のシート13aに座り足置き部21に足を置く。シート13aが前後方向や左右方向に揺動することにより、使用者Uは左右の脚に交互に負荷をかける歩行運動を行う。1つめのトレーニングは、図8に示すように、足に力を入れて足置き部21を押すことにより、足置き部21からの反力を脚部にかかるようにし、反力を利用して脚部の筋力をトレーニングするクローズド・キネティック・チェーン(CKC)(閉鎖運動連鎖)トレーニングである。足置き部21には、両足の足指の付け根の関節(中足指節関節(metatarsophalangeal joint))(以下、「MP関節」という。)からつま先部を当てる。シート13aが前方に移動したとき、足部を突っ張るようにすると、足置き部21が足裏の基節骨周辺を中心として力を受け反力が生じる。足の基節骨周辺で力をうけることにより反力により脚部、特に大腿前部の運動に効果がある。CKCトレーニングでは、主に大腿前部の大腿四頭筋の筋活動を生じ、その他に、大腿後部のハムストリング、股関節屈曲筋、足底屈筋群、足背屈筋群も協調的に筋活動が生じるため、下腿・足を含む脚部のトータル的なトレーニングが可能となる。つまり、CKCトレーニングでは、膝などに大きな負荷をかけることなく、脚部全体及び腰部の筋力を鍛えるトレーニングである。
【0059】
また、2つめのトレーニングは、図9に示すように、足置き部21に力を入れずに足を載せ、足置き部21に足の力を伝達せずに、足関節、膝関節、股関節、腰部関節が過伸展しない範囲で、これら各関節の他動の屈曲と伸展を繰り返すROM(Range of Motion)トレーニング(間接可動域運動)である。ROMトレーニングを行う場合は、足の裏(例えば土踏まず)を足置き部21の上部に載せる。ROMトレーニングでは、膝部や腰部などの間接部を他動で曲げたり伸ばしたりして、筋力を使わずに、膝部や腰部などの間接部を曲げたり伸ばしたりできるので、筋肉や関節部に負荷をかけず間接可動域を訓練するとともに、体液の循環を促進させることが可能である。
【0060】
ここで、歩行時の筋活動を詳しく見ると、遊脚時(足が地面から離れ足を前に振り出している時期)は脚の腹側筋群大腿四頭筋や前傾骨筋が活動し、立脚時(足が地面についているとき)は脚の背側の筋群大殿筋、ハムストリング、ひ腹筋が活動し体幹を前に押し出している。足が地面についた初期は地面からの反力を受け脚全ての筋群が活動する。これらの筋活動は足関節、膝関節、股関節への衝撃を干渉する役割も担う。さらに、足が地面に設置する少し前には、脚のひ腹筋などが少ないが筋活動し、地面接地への衝撃の準備をするように脳内でプログラムされている。
【0061】
このように反力を受ける前に事前に少しの筋活動をし、反力による衝撃への準備をする役目が足置き部21のスライドである。シート13aが前方へ移動して足が前方に行くときに、足に力を入れると、足置き部21のスライドが感知され、もうすぐ反力が加わると脳内の運動中枢に合図を送れる。また、足置き部21を足で押すときには、脚にほとんど負荷にならないレベルであるが、コイルばね23により弱い反力が生じ、脚筋群が少し活動する。足置き部21が前方へスライドして脚部に衝撃準備期間を与えつつ、コイルばね23により弱い反力を与えることは、歩行時の筋活動と類似し、脚関節への衝撃準備が可能となる。このため、本実施形態では、足置き部21のストローク量(最大移動量ΔX2)は脚部の衝撃準備に適切な長さに設定されている。
【0062】
以下、運動補助装置10の作用を説明する。
まず図8を用いて、CKCトレーニングを行う場合を説明する。CKCトレーニングを行う場合は、まず使用者Uは、連結機構19を伸縮調整して、椅子18に対する足置き装置20の前後方向Xの相対位置を適切な位置に位置調整する。使用者Uは、シート13aに着座し、脚部を前方へ伸ばし、図8(a)に示すように、膝部の角度を例えば約140°に軽く曲げた状態で、足裏(例えば内側足根小球)を足置きパッド24の後側面やや上側に当てる。また、昇降用スイッチ(図示せず)を操作してモータ72を正転又は逆転駆動させることによりシート13aの高さを調整する。
【0063】
足置き部21が図8(a)に示す初期位置にある状態で、運転スイッチ(図示せず)を操作する。すると、モータ41が回転駆動する。モータ41が回転駆動することにより、駆動部50による臀部支持部13の前後方向Xの揺動運動と、駆動部60による臀部支持部13の左右方向Yの揺動運動とが組み合わされ、シート13aが例えば横8の字状に揺動運動をする。このとき、臀部支持部13が前後方向Xに1回揺動する度に、シート13aの左右方向Yの傾き方向が切り換わるので、使用者Uは歩行運動を行うことができる。
【0064】
例えばシート13aが左側に傾いた状態で、図8(a)に示す後傾状態から、図8(b)に示す前傾状態に前方へ第1移動量ΔX1だけ移動するときに、左足に力を入れてその力を足置き部21に伝達すると、足置き部21が第2移動量ΔX2だけスライドした後にストッパ27に当たる。その結果、図8(b)に示すように、使用者Uは足置き部21から左足に反力を受けることになる。この反力は、左足から膝部及び腰部へ伝わるため、この反力によって脚部全体と腰部の筋肉が鍛えられる。そして、シート13aが前傾状態から後傾状態に戻るときに、足置き部21に対する左足の押圧力が弱まると、足置き部21はコイルばね23の付勢力により初期位置に復帰する。使用者Uがこの歩行運動でシート13aが左方向に傾いて左脚に力を入れるときには、右脚は休んでいる。
【0065】
そして、次にシート13aが後傾状態から前傾状態へ揺動するときは、シート13aは右側に傾いた状態にある。このため、シートが後傾状態から前傾状態に前方へ第1移動量ΔX1だけ移動するときに、右足に力を入れてその力を足置き部21に伝達すると、足置き部21が第2移動量ΔX2だけスライドした後にストッパ27に当たる。その結果、図8(b)に示すように、使用者Uは足置き部21から右足に反力を受けることになる。この反力は、右足から膝部及び腰部へ伝わるため、この反力によって脚部全体と腰部の筋肉が鍛えられる。そして、シート13aが前傾状態から後傾状態に戻るときに、足置き部21に対する右足の押圧力が弱まると、足置き部21はコイルばね23の付勢力により初期位置に復帰する。使用者Uがこの歩行運動でシート13aが右方向に傾いて右脚に力を入れるときには、左脚は休んでいる。
【0066】
こうして臀部支持部13が前後方向Xに揺動を繰り返すことにより、使用者Uは足置き部21から反力を受けつつ左右の脚で歩行運動を行うことにより、継続的にCKCトレーニングを行うことができる。例えば両脚同時にトレーニングを行う方法であると、ある程度の回数に達した時点で筋肉が疲労してそれ以上のトレーニングの継続が困難になる。これに対して、本実施形態の運動補助装置10では、左右の脚を交互にトレーニングし、一方の脚がトレーニングしている期間は他方の脚がトレーニングを休憩しているので、トレーニングをより多くの回数に亘って継続しやすい。
【0067】
足置き部21がスライドすることにより、反力を受ける前に事前に少しの筋活動をし、反力による衝撃への準備をする。このとき、足に力を入れると足置き部21のスライドが感知され、もうすぐ反力が加わると脳内の運動中枢に合図を送れる。また、足置き部21を押すとコイルばね23により弱いが反力が生じ、脚筋群が少し活動する。脚部がスライドし、コイルばね23により弱い反力を得ることは、歩行時の筋活動と類似し、脚関節への衝撃準備が可能となる。さらに足置き部21がスライドすることは使用者Uの運動実感も上げることができる。また、足置き部21の最大移動量ΔX2が、足関節、膝関節、股関節がスライドにより過伸展にならない長さに設定されているので、足置き部21からの適切な反力が得られる。
【0068】
次に図9を用いて、ROMトレーニングを行う場合を説明する。ROMトレーニングを行う場合も、使用者Uは、シート13aの高さ調整と、椅子18に対する足置き装置20の前後方向Xの位置調整とを行う。そして、使用者Uは、シート13aに着座し、脚部を前方へ伸ばし、図9(a)に示すように、膝部の角度を例えば約140°に軽く曲げた状態で、足の裏(例えば土踏まず)を足置き部21の上部に載せる。
【0069】
足置き部21が図9(a)に示す初期位置にある状態で、運転スイッチ(図示せず)を操作すると、モータ41が駆動し、シート13aが横8の字状の揺動運動をする。このとき、臀部支持部13が前後方向Xに1回揺動する度に、シート13aの左右方向Yの傾き方向が切り換わるので、使用者Uは歩行運動を行うことができる。
【0070】
例えばシート13aが左側に傾いた状態で、図9(a)に示す後傾状態から図9(b)に示す前傾状態に前方へ移動するときには、使用者Uは足の力を入れない。このとき、使用者Uの足は足置き部21の上部に載せてあるだけなので、シート13aが前方へ移動するときに右脚及び腰部は他動により屈曲する。このとき、CKCトレーニング時のように足置き部21から比較的強い反力を受けることはない。そして、シート13aが前傾状態から後傾状態に戻るときに、臀部の位置が後方へ移動するため、左脚及び腰部が元の間接角度まで伸展する。
【0071】
そして、次にシート13aが後傾状態から前傾状態へ揺動するときは、シート13aは右側に傾いた状態にある。このため、シート13aが後傾状態から前傾状態へ揺動するときに、右脚及び腰部は他動により屈曲する。そして、シート13aは前傾状態から後傾状態に戻るときに、臀部の位置が後方へ移動するため、右脚及び腰部が元の間接角度まで伸展する。
【0072】
こうして使用者Uは左右交互に脚部及び腰部の間接の屈伸を繰り返すことにより、膝関節及び股関節のROMトレーニングが継続的に行われる。このように脚部及び腰部を他動により屈曲させるので、膝部などに負担をかけることなく、各間接部の可動域訓練を行いつつ体液の循環が促進される。このとき、足を円柱状の足置きパッド24の上部に載せることで、使用者Uはリラックスポジションをとりやすいので、膝と股関節の角度が大きくなり、膝伸展の筋群、股関節屈曲の筋群がさらに緩んだ状態になり、膝関節及び股関節のROM運動の運動効果が上がり易い。
【0073】
図10は、本実施形態の運動補助装置10と比較例の運動補助装置とで、トレーニングを行ったときに使用する筋肉の筋活動を比較したグラフである。図10(a)が本実施形態の運動補助装置10を使用したときの筋活動の様子を示すグラフ、図10(b)が比較例の運動補助装置を使用したときの筋活動の様子を示すグラフである。比較例の運動補助装置は、手でハンドルを握った状態でシート(座部)に着座し、左右の足を左右のペダル(踏み台)にそれぞれ載せ、座部がモータの動力で前後左右に揺動することで、他動によりペダルを交互に踏み込む歩行運動を行う装置である(例えば特許文献1)。両装置とも、膝角度を約140度に調整してトレーニングを行ったときの筋電位を測定した。
【0074】
図10において一番下のグラフは、シート(座部)の動作を示す(シートの揺動運動)を示し、横軸が時間(秒)、縦軸がシートの前後方向の変位を示す。前後に揺動するシートはサイン波形を描き、最小値から最大値へ向かう過程がシートの前方への移動過程、最大値から最小値へ向かう過程がシートの後方への移動過程となる。
【0075】
図10においてシート動作のグラフの上側に示された5つのグラフが、脚部の各筋肉の筋電位を示す。詳しくは、図10において、上から順番に、大腿直筋の筋電位V1、内側広筋の筋電位V2、外側広筋の筋電位V3、大腿二頭筋の筋電位V4、ひ腹筋の筋電位V5の各グラフを示す。
【0076】
図10(a)に示すように、本実施形態の運動補助装置10では、太股の筋肉は、前側・内側・外側の筋肉(大腿直筋、内側広筋、外側広筋)だけでなく、後側の筋肉(大腿二頭筋)も一様に鍛えられることが分かる。また、グラフから、ふくらはぎの筋肉(ひ腹筋)も鍛えられることも分かる。これに対して、比較例の運動補助装置は、図10(b)に示すように、太股の前側・内側・外側(大腿直筋、内側広筋、外側広筋)の筋肉が鍛えられるものの、後側の筋肉(大腿二頭筋)が鍛えられにくいことが分かる。また、ふくらはぎの筋肉(ひ腹筋)も鍛えられにくいことが分かる。このように本実施形態の運動補助装置10によれば、太股の筋肉を前後一様に鍛えることができるうえ、ふくらはぎの筋肉も鍛えることができる。
【0077】
以上詳述したように本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)臀部支持部13(シート13a)が前方へ移動する際の移動量ΔX1に比べ、足置き部21が前方へ移動する移動量ΔX2の方が小さい(ΔX1>ΔX2)ので、足置き部21から受ける反力を利用して脚部のトレーニングを行うことができる。このとき、反力を利用するので、図10(a)のグラフに示すように脚部全体をトレーニングすることができる。すなわち、足置き部21の最大移動量ΔX2は、足関節角度、膝関節角度、股関節角度に依存し、どの関節もスライドにより過伸展にならない長さに設定しているので、足置き部21からの反力を確実に得ることができる。
【0078】
(2)円柱状の足置きパッド24を採用したので、足置き部21に対する足を置く位置を替えることにより、CKCトレーニングとROMトレーニングを切り換えることができる。足置きパッド24は少なくとも直径15〜30cmの円柱状の一部(本例では1/4円周分)の形状を有しているため、MP間接部からつま先部を足置き部21に当てることができる。このため、ROMトレーニングにおいて、シート13aが前方に移動するときに、足に力を入れて足置き部21を押すと、足置き部21から足に適切な反力が得られ、大腿前部の大腿四頭筋の筋活動をはじめとして、大腿後部のハムストリング、股関節屈曲筋、足底屈筋群、足背屈筋群も協調的に筋活動し、トータル的な脚のトレーニングを行うことができる。また、トレーニング時に踵を床面に接地させる必要がないので、踵がすれることがない。
【0079】
(3)足を足置きパッド24の上部に載せて足に力を入れずにトレーニングを行った場合は、膝にあまり負荷を与えることなく、脚部及び腰部の屈曲と伸展とを繰り返すROMトレーニングを行うことができる。このため、膝部に負担をかけることなく、間接可動域を大きくすることができるうえ、体液の循環を促進させることができる。
【0080】
(4)足置き装置20は、足より加わった方向(前方)にスライド可能な足置き部21と、足置き部21のスライド量を一定距離(第2移動量ΔX2)に規制するストッパ27と、加わった力がなくなるとスライドした足置き部21を元の位置に戻すコイルばね23(弾性体)とを備える。足置き部21が前方へスライドすることにより、反力を受ける前に事前に、反力による衝撃への準備をすることができる。また、シート13aが前方へ移動するときに、足に力を入れると足置き部21のスライドが感知され、もうすぐ反力が加わると脳内の運動中枢に合図を送れる。また、足置き部21を押したときにコイルばね23により足が弱い反力を受けて僅かに筋活動することにより、歩行時の筋活動と類似し、脚関節への衝撃準備が可能となる。
【0081】
(5)足置き部21を左右独立して設けたので、歩行運動を行うことができる。このように足置き部が左右独立で配置することにより、右足、左足を強く意識させることができる。シート13aの前後方向Xの揺動に合わせて、足置き部21を踏む側を右足、左足と交互に踏むことにより、歩行リズムの脳内運動中枢の再教育につながるともに、歩行のリズムが運動を飽きさせないで継続させることもできる。さらに、両足同時に反力を受けることは両足全部の筋群を活動させることになり、脚の筋肉に非活動時間帯がなくなる。このような運動は一期に血圧を上昇させることにつながり、高血圧の使用者や高齢者には使用しないのが一般的である。本実施形態のように、足置き部21を左右独立に設ければ、使用者Uに左右交互に脚に反力がかかるように足置き部21を押すことを意識させることができる。さらに、シート13aが前後動作に左右動作を合成させた横8の字動作をするので、シート13aが前後方向のみに揺動する構成に比べ、左右の足で交互に足置き部21を踏む運動が一層容易になる。
【0082】
(6)コイルばね23の付勢力により、足からの押す力がなくなると、足置き部21を初期位置へ復帰させるようにしたので、歩行運動で休憩している側の脚に対応する足置き部21が元の位置に戻る。このため、左右の脚部を交互に切り換えながら歩行運動を行うことができる。また、足に力を入れることで足置き部21がスライドすることは、使用者Uの運動実感を上げることもできる。
【0083】
(7)椅子18と足置き装置20とを双方の相対位置の変更が可能な状態で連結する連結機構19を設けた。このため、運動補助装置10を不使用時にはコンパクトに収納できるうえ、トレーニングを行うときには椅子18に対する足置き部21の位置をトレーニングに適した適切な位置(例えば膝角度が約140度になる位置)に配置することができる。
【0084】
(8)臀部支持部13を構成するシート13aの後部には、使用者Uの背部をもたれさせる背もたれ部15が備えられる。背もたれ部15によって使用者Uの身体が後部に逃げることを抑えることができるため、使用者Uの脚部の筋力に作用する力(負荷)を背もたれ部15が省略した構成と比較して大きくできる。これにより、より好適に使用者Uの脚部の運動を行うことができる。
【0085】
(9)使用者Uの肘を置くことが可能な肘置き部17が備えられる。これにより、肘を置くことができ、利便性を向上できる。更に、肘置き部17を利用することで、シート13aにのみ使用者Uの自重が作用することによる腰の痛みを和らげることも可能となる。
【0086】
(10)シート13aが揺動駆動装置12により前後方向及び左右方向に動作される。これにより、左右方向の揺動動作によって使用者Uの脚部の一方に対して負荷を与えることができ、より効果的な運動を行うことができる。
【0087】
(11)足置き部21を構成する足置きパッド24のうち少なくとも足裏が接触する部分の内側に、発砲ウレタンやスポンジ等の柔らかい多孔質樹脂材料からなるクッション層24bを設けた。このため、足置き部21の足置きパッド24を押すときの足の痛みを軽減できる。
【0088】
(12)足置き部21を構成する足置きパッド24のうち少なくとも足裏が接触する部分の内側に、衝撃吸収材からなる衝撃吸収層24cを設けた。このため、足置きパッド24から脚部に反力が加わる際の衝撃力を吸収し、足、膝、股関節を衝撃力から守ることができる。
【0089】
(13)特に本実施形態では、クッション層24bと衝撃吸収層24cの両方を備えたので、足置きパッド24を押すときの足の痛みを軽減できるとともに、足置きパッド24から脚部に反力が加わる際の衝撃力を吸収し、足、膝、股関節を衝撃力から守ることができる。
【0090】
(14)特許文献1〜3に記載の運動補助装置は、臀部支持部が前方へ移動したときに自重の一部が加わった側の足で足置き部を踏み込む構成であり、足裏全体を載せることが前提の足置き部(踏台や踏板)であったので、足のMP間接部からつま先部を当てることが難しかった。このため、足置き部から足に反力が得られにくくCKCトレーニングを行うことが困難であった。これに対して、本実施形態の運動補助装置10では、足置き面21aが円弧面(凸曲面)なので、足のMP間接部からつま先部を足置き部21に当てることができるので、適切な反力を得てCKCトレーニングを行うことができる。
【0091】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図11及び図12に従って説明する。第2実施形態では、足置き部の構成のみが第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、その説明の一部又は全部を省略する。
【0092】
図11に示すように、足置き装置81を構成する基台82の上面には、四角板状の足置き板83の幅方向中央位置に固定された1本の回動軸84が回動自在に支持されている。このため、足置き板83は、その幅方向中央位置の回動軸84を中心として回動可能となっている。なお、回動軸84の下端部は、基台82に対して軸受(図示省略)を介して支持されている。
【0093】
基台82上において足置き板83の後側(図11(a)では上側)となる位置には、左右一対の四角板状のストッパ85が固定されている。各ストッパ85は、図11(a)に示すように回動軸84に対して左斜め後方位置と右斜め後方位置にそれぞれ配置されている。足置き板83は、図11(a)における時計方向に回動したときに左側のストッパ85に当たり、反時計方向に回動したときに右側のストッパ85に当たることにより、その回動量が所定角度範囲に規制されている。本実施形態では、足置き板83のストッパ85と反対側の面が、足を置く足置き面83aとなっている。図11(b)に示すように、足置き面83aは、基台82の上面(水平面)に対して直交する略鉛直面となっており、回動軸84の両側に配置された右足用の足置き面と左足用の足置き面とを有する。足置き面83aが略鉛直面であるので、足のMP間接部からつま先部を足置き面83aに当てることができる。
【0094】
足置き面83aが左右方向Yと平行となる図11(a)に示す初期位置(初期姿勢)にあるときの足置き板83の回動角(姿勢角)を基準角度「0度」とした場合に、所定角度範囲は±20度以下に設定されている。但し、足、膝、股関節が過伸展にならない範囲の所定角度範囲である。本例では、例えば足置き板83が左右方向幅40cm以下であれば、所定角度範囲「±20度以下」は、使用が想定される体格の使用者Uであれば脚部が過伸展にならない範囲となる。
【0095】
また、各ストッパ85には前後方向Xに貫通する透孔(図示せず)が設けられ、この透孔に軸部86が前後方向Xに延びる状態で挿通されている。軸部86の前端部(図11(a)における下端部)は足置き板83の裏面(後面)に対し、左右方向Yに相対移動可能な状態で係合している。詳しくは、図12(c)に示すように、足置き板83の裏面における軸部86の係合位置に相当する箇所には、軸部86の直径より若干大きなサイズでかつ左右方向Yに延びる形状のガイド溝83bが形成されている。軸部86の前端部は、ガイド溝83bに挿入され、ガイド溝83bに沿って左右方向Yに相対移動可能かつ抜け止めされた状態で係合している。
【0096】
なお、軸部86の前端部の近傍に足置き板83から僅かに離間可能な位置に板部を固定し、板部とストッパ85との間にコイルばね87を介装させる構成とすることが好ましい。この構成の場合、コイルばね87の一端(前端)が足置き板83の裏面に押圧されることがなくなり、このコイルばね87の一端が足置き板83の裏面に押し付けられたときの摩擦力に起因して、軸部86のガイド溝83bに沿った相対移動がしにくくなる事態を回避しやすくなって、足置き板83をスムーズに回動させることができる。
【0097】
図11(a)に示すように、ストッパ85と足置き板83との間には、軸部86が挿通された状態でコイルばね87が介装されている。コイルばね87は足置き板83を初期位置に復帰させるためのものであり、その付勢力(弾性力)は、足置き板83がトレーニング時に足から受ける押圧力(回動力)に比べ十分に小さい。
【0098】
次に、足置き装置81を備えた運動補助装置10を用いてトレーニングを行うときの作用を説明する。トレーニングを行うときには、図12(a)に示すように、足置き板83の足置き面83aにおける左側部分に左足を当て、右側部分に右足を当てる。このとき、足のMP間接部からつま先部を足置き面83aに当てる。運転スイッチを入れると、シート13aの揺動運動が開始される。例えばシート13aが右側に傾動した状態で前方へ揺動するとき、右側に体重が載るので、右足で足置き板83の右側部分を押すことになる。この結果、図12(b)に示すように、右足で強く押された足置き板83は反時計方向に回動する。このとき、回動した足置き板83は直ぐにストッパ85に当たりそれ以上の回動が規制される(図12(b)の状態)。このとき、図12(d)に示すように、足置き板83の回動に伴って各軸部86の前端部は、ガイド溝83bに係合されたままガイド溝83bに沿って左右方向外側へ相対移動する。これによりコイルばね87に付勢された状態での足置き板83の回動が可能となる。
【0099】
本実施形態では、足置き板83が回動可能な所定角度範囲が±20度以下であるので、足置き板83の押し込みストロークが短い。つまり、シート13aが後傾姿勢から前傾姿勢になるまでの前方への最大移動量ΔX1に比べ、足置き板83の回動に伴う足の前方への最大移動量ΔX2の方が小さい。このため、シート13aが前方へ移動するときに、足に力を入れると、少しの前方へのスライドを伴った後、足置き板83がストッパ85に当たったときに、足置き板83から足が反力を受ける。この反力を利用して膝に負担をかけずに脚部及び腰部を鍛えるCKCトレーニングを行うことができる。
【0100】
一方、力を入れない反対側の足は、体幹側(後方)へ移動し、膝関節及び股関節は、第1実施形態の足置き装置20を採用する場合に比べ、より屈曲することになる。このため、このような運動により血圧上昇も防ぐことができる。また、片方の脚を伸展し力を入れたときは、その足置き板83からの反力により筋活動が生まれ、もう一方の足は膝関節及び股関節が曲がることから、立った状態でいえばその場で足踏みをしている状態と非常に類似し、歩行リズムの脳内運動中枢の再教育につながる。
【0101】
回動する足置き板83と接触する部分にストッパ85を配置し、足置き板83とストッパ85との間に足置き板83に初期位置に戻すために必要な付勢力を与えるコイルばね87(弾性体)を設けた。足置き板83が回動して脚が前方へスライドすることにより、反力を受ける前に事前に、反力による衝撃への準備をすることができる。また、シート13aが前方へ移動するときに、足に力を入れると足置き板83の回動による足のスライドが感知され、もうすぐ反力が加わると脳内の運動中枢に合図を送れる。また、足置き板83を押したときにコイルばね87により足が弱い反力を受けて僅かに筋活動することにより、歩行時の筋活動と類似し、脚関節への衝撃準備が可能となる。
【0102】
なお、実施形態は、以下に示す態様で実現することもできる。
・足置き装置を構成する基台にトレーニング時に踵を接地する踵接地部を設けてもよい。例えば第1実施形態では、図13に示すように、足置き装置20を構成する基台22を後方(同図の右方向)へ延ばし、トレーニング時に踵を接地する踵接地部22bを設ける。この構成によれば、図13(a),(b)に示すように、踵を踵接地部22bに接地できるので、踵から爪先に至る足の角度を調整し、足置き部21(詳しくは足置きパッド24)に置く足の位置を調整しやすい。また、第2実施形態では、図14に示すように、足置き装置81を構成する基台82を後方(同図の右方向)へ延ばし、トレーニング時に踵を接地する踵接地部22bを設ける。この構成によれば、図14(a)に示すように、踵を踵接地部22bに接地できるので、踵から爪先に至る足の角度を調整し、足置き板83に置く足の位置を調整しやすい。もちろん、図14(b)に示すように、踵を接地させずに浮かせた状態で足を足置き板83に置いてトレーニングを行うことも可能である。また、図13及び図14において、踵接地部22b又は82aをゴム部材等の滑り止めの役割を担う部材を採用し、足の位置ずれを抑えることが可能な構成としてもよい。
【0103】
・前記第1実施形態では、足置きパッド24を衝撃吸収層24cとクッション層24bとの2層を含む複数層構造とした。これに対して、図15(a)に示すように、クッション層24bを無くし衝撃吸収層24cを含む複数層構造を採用したり、図15(b)に示すように、衝撃吸収層24cを無くしクッション層24bを含む複数層構造を採用したりしてもよい。
【0104】
・シートが前方へ移動する際に脚部が伸展する方向に沿って足置き部がスライド又は回動するようにしてもよい。例えば図16に示すように、スライド式の足置き装置20において、使用者Uの脚の伸展方向(伸展時の力の向き)に沿って足置き部がスライドするように、脚の伸展方向の勾配をもつ斜面91aを有する台部91を設け、斜面91aに沿って足置き部21がスライドするようにする。ここで、図16(a)は勾配が大きい場合の台部91の例、図16(b)は勾配が小さい場合の台部91の例である。これらの構成によれば、脚の伸展時の力の向きが斜めでも、足置き部21がスムーズにスライドし脚部の運動がしやすくなる。また、例えば第2実施形態で示した回動式の足置き板(足置き部)において、脚の伸展方向(伸展時の力の向き)と平行な勾配をもつ斜面を有する台部を設け、斜面に垂直に立てた回動軸を中心に足置き板を回動可能に設けた構成とする。この構成によれば、脚の伸展時の力の向きが斜めでも足置き板がスムーズに回動し脚部の運動がしやすくなる。
【0105】
・図16に示す足置き装置20において、斜面91aを後方上側へ延ばして踵接地部を設け、踵を接地させた状態でトレーニングを行える構成としてもよい。
・足置き部を初期位置に復帰させるためのばねを廃止してもよい。例えば図17(a),(b)に示すように、基台82上に回動軸84を中心に回動可能に設けられた足置き板83の後方(図17(a)では上側)に、左右一対の円柱状のストッパ94が配置されるのみで、ばね(弾性体)が廃止された構成とする。このようなばねのない構成の場合でも、足置き板83の前面右側を足で押した力により足置き板83が回動することで、足置き板83の左側が手前(後方)に戻るので、左右の脚部を交互に使って押す歩行運動は行うことができる。
【0106】
・スライド式の足置き部21の場合、足置きパッド24が支持台25に支持された構成に限定されない。例えば図18(a)に示すように、基台96の幅方向両側から上方へ延出する左右一対の直方板状の支持部材97の対向面に、硬質な円柱棒からなるロッド98(例えば鉄棒)がその両端部が前後方向Xに相対移動可能な状態で支持された足置き部であってもよい。図18(b)に示すように、支持部材97の側面(対向面)には、ロッド98の直径より若干大きな第1ガイド溝97aが前後方向Xに延びるように形成されており、ロッド98は第1ガイド溝97aに沿って前後方向Xに移動可能な状態で支持部材97に支持されている。ロッド98の両端部には凸部98a(図18における紙面直交方向奥側の1つのみ図示)が軸方向外側へ突出し、この凸部98aは支持部材97の側面(対向面)に形成された第2ガイド溝97bに挿入された状態で前後方向Xに移動可能となっている。第2ガイド溝97bには、凸部98aの後側の領域にコイルばね99が収容されている。コイルばね99はその一端(後端)が第2ガイド溝97bの後端面に当接し、その他端(前端)が凸部98aに当接している。ロッド98が後方へ押されて凸部98aが後方へ移動すると、コイルばね99が圧縮され、ロッド98への押圧力が弱まる又は無くなると、コイルばね99の付勢力により図18(a),(b)に示す初期位置に復帰するようになっている。両足のMP関節からつま先部をロッド98(足置き部)に当てることで反力が発生することに着目し、踵が踵接地部96a(又は床)に着いた状態で足腹部から足指付け根の間でロッド98が足裏と接触しうる高さにロッド98を配置している。
【0107】
トレーニングを行うときには、図18(c)に示すように基台96の踵接地部96aに踵を接地させた状態でロッド98に左右の足を置く。運転スイッチを入れると、図18(d)に示すシート13aが揺動運動を開始し、シート13aが前方へ移動するときに使用者Uは足に力を入れ、ロッド98を押してロッド98がストッパ97c(第1ガイド溝97aの後端面)に当たる。このとき、ロッド98から脚部に反力が発生する。この反力が脚部に加わることで、主に大腿前部の大腿四頭筋の筋活動をはじめ、大腿後部のハムストリング、股関節屈曲筋、足底屈筋群、足背屈筋群も協調的に筋活動が生じ、トータル的な脚部及び腰部のトレーニングが可能となる。
【0108】
・図18に示すロッドを左右独立してスライド可能に2個設けた構成も採用できる。この場合、左右の脚を交互にCKCトレーニングする歩行運動が可能になるので、両脚に同時に負荷をかけるトレーニングに比べ、トレーニングをより多くの回数継続できる。
【0109】
・前記各実施形態では、足置き部がスライド又は回動する構成であったが、固定式の足置き部を採用してもよい。例えば図19(a)に示す足置き装置101は、足置き部102を構成する1本の円柱状の足置きパッド103が連結機構19を介して椅子18と連結された構成である。また、図19(b)に示す足置き装置105は、2個の足置き部106を構成する円柱状の足置きパッド107が共通の連結機構19を介して椅子18と連結された構成である。これらの足置きパッド103(107)は、第1実施形態の足置きパッド24と同様に、外側から順に、表皮108a、クッション層108b、衝撃吸収層108c及び芯材108dが配置された複数層構造を有している。図19(d)に示すように、足で押したときに足置きパッド103,107が脚の伸展方向に凹み、この凹み量ΔX3(第2移動量)が、シート13aが前方へ移動するときの最大移動量ΔX1(第1移動量)よりも小さくなっている。このため、足が凹み量ΔX3だけ沈みこむことによって、反力を受ける前に事前に少しの筋活動をし、反力による衝撃への準備をする役目を果たすとともに、その準備後、足置きパッド103,107から受ける反力により、脚部のトータル的なトレーニングを行うことができる。
【0110】
・図20(a),(b)に示すように、足置き部21又は足置き板83の足と接する表面の領域に、足裏を刺激可能な先端形状が半球面状となった柱状の凸部110を、足裏を刺激可能な適度な間隔を開けて一面に多数設け、凹凸状の表面としてもよい。また、図17に示す足置き板83の足置き面に複数の凸部を設けたり、図18に示すロッド98の表面(足置き面)に複数の凸部を設けたりしてもよい。これらの構成によれば、脚部のトレーニングを行いながら、足裏を刺激してマッサージ効果が得られるので、血行がよくなる。
【0111】
・円柱状の足置きパッドを、その軸線方向中央部に設けた回動軸を中心に回動させる構成も採用できる。
・足置き部を元の位置に戻すために付勢する弾性体は、コイルばねに限定されず、板ばねなどの他のばねでもよい。
【0112】
・凸曲面の足置き面を有する足置き部は、足置きパッドやロッドのように円柱状であることに限定されない。例えば断面が楕円状のように曲率が変化する凸曲面を有する形状でもよい。
【0113】
・足置き部は足置き板83のような板状であることに限定されない。足裏が置かれる足置き面が略鉛直面となっていればよい。例えば三角柱状や半円柱状でもよい。
・足置き板83を回動式に替えて、スライド式にしてもよい。さらにスライド式とした場合、左右独立してスライドする2個の足置き板を設けた構成としてもよい。また、スライド式の足置き板は、図18に示したロッドに替えて、足のMP関節部からつま先部を接触させうる程度のサイズの足置き板を、MP関節部からつま先部を接触させうる高さに配置した構成でもよい。
【0114】
・踵接地部を廃止し、踵の接地される位置に相当する領域が開口し、その開口位置の床面に踵を接地する構成でもよい。この場合、図18のロッドは、踵を床面につけたときに足腹部から足指付け根の間を接触しうる高さに配置する。
【0115】
・回動板を、足置き面の内側にクッション層と衝撃吸収層のうち少なくとも一方の層を備えた構成とすることができる。特に回動板を足置き面の外側から順に、表皮、クッション層、衝撃吸収層、基板が配置された複数層構造とすることが望ましい。
【0116】
・背もたれ部15の角度を変更可能な構成、つまりリクライニング機構を備えた構成を採用してもよい。
・基台11に設けられる伸縮式の連結機構19(位置調整手段)により足置き装置をシート13aの下方近くまで移動させて収容する構成としたが、収容不能な構成を採用してもよい。また、足置き部の前後方向における位置を調整不能、つまり足置き部の前後方向における位置を固定する構成としてもよい。
【0117】
・揺動駆動装置12により臀部支持部13(シート13a)を前後方向及び左右方向の揺動を組み合わせて横8の字状に揺動運動させる構成としたが、少なくとも前後方向に揺動させる構成であればよい。例えばシート13aが、横8の字以外のV字、W字状に揺動動作する構成してもよい。もちろん、シート13aが前後方向のみに揺動する構成でもよい。さらに前後方向の揺動は、シート13aが円弧軌跡を描くように往復回動する揺動に限らず、シート13aが直線軌跡を描くようにスライド往復運動をする揺動でもよい。
【0118】
・臀部支持部13を構成するシート13aと背もたれ部15とを一体形成し、背もたれ部15も揺動する構成を採用してもよい。
・肘置き部17を無くしてもよい。また、背もたれ部15を無くしてもよい。
【0119】
・使用者が手で握るとともに前後に傾動する把持部を設けてもよい。この場合、把持部は使用者が自らの腕の力で傾動動作させる構成や、モータの動力により他動で把持部を傾動動作させる構成を採用できる。
【0120】
・足置き部を上下方向に位置調整可能な構成を採用してもよい。この場合、使用者の好みの高さで足置き部を使用することが可能となる。
・前記第1実施形態において、足置き部21を左右独立に2個設ける構成に替え、両足を置けるサイズのものを1つ設けてもよい。この場合、左右独立に2個設ける構成に比べ、運動補助装置の部品点数を少なく抑えることができる。
【0121】
・足置き部をモータやアクチュエータ等の動力源により他動で脚の伸展方向(例えば前方)へ移動させる構成も採用できる。
【符号の説明】
【0122】
10…運動補助装置、12…揺動駆動手段としての揺動駆動装置、13…臀部支持部、13a…シート、15…背もたれ部、17…肘置き部、18…椅子、19…連結機構、20…足置き装置、21…足置き部、21a…足置き面、22…基台、22b…踵接地部、23…弾性体としてのコイルばね、24…足置きパッド、24b…クッション層、24c…衝撃吸収層、24d…芯材、26…機構及びスライド機構を構成するリニアガイド、27…ストッパ、29…軸部、41…揺動駆動手段を構成するモータ、81…足置き装置、82…基台、82a…踵接地部、83…足置き部及び回動部としての足置き板、83a…足置き面、84…機構を構成する回動軸、85…ストッパ、87…弾性体としてのコイルばね、91…台部、91a…斜面、94…ストッパ、96…基台、96a…踵接地部、97…支持部材、97a…第1ガイド溝、97b…第2ガイド溝、97c…ストッパ、98…足置き部としてのロッド、99…弾性体としてのコイルばね、101…足置き装置、102…足置き部、103…足置きパッド、105…足置き装置、106…足置き部、107…足置きパッド、108b…クッション層、108c…衝撃吸収層、110…凸部、ΔX1…第1移動量としてのシートの最大移動量、ΔX2…第2移動量としての足置き部の最大移動量、X…前後方向(奥行方向)、Y…左右方向(幅方向)、Z…高さ方向(上下方向)、U…使用者。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の臀部を支持する臀部支持部と、前記使用者の足を置く足置き部と、前記臀部支持部を少なくとも前後方向に揺動させる揺動駆動手段とを備えた運動補助装置であって、
前記臀部支持部に着座した使用者の脚の伸展方向へ前記足置き部を移動可能とする機構を有し、
前記足置き部の前記伸展方向への最大移動量が、前記臀部支持部の前方への最大移動量である第1移動量よりも小さな第2移動量に規制されていることを特徴とする運動補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運動補助装置において、
前記足置き部を前記伸展方向へ移動した位置から元の位置へ戻すために必要な付勢力を前記足置き部に与える弾性体を更に備えたことを特徴とする運動補助装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の運動補助装置において、
前記機構は、前記足置き部を前後方向に移動可能とすることを特徴とする運動補助装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部の前記第2移動量を超える移動を規制するストッパを備えたことを特徴とする運動補助装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部の足置き面は、凸曲面又は略鉛直面であることを特徴とする運動補助装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記機構は前記足置き部をスライドさせるスライド機構であることを特徴とする運動補助装置。
【請求項7】
請求項6に記載の運動補助装置において、
前記足置き部は左右独立してスライド可能に二個設けられていることを特徴とする運動補助装置。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部は、直径15〜30cmの円柱状の周面の少なくとも一部を前記足置き面とする形状を有していることを特徴とする運動補助装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部は、踵を踵接地部につけたときに足腹部から足指付け根の間を接触しうる高さに配置されたロッドを備えたことを特徴とする運動補助装置。
【請求項10】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部は、回動部と、前記回動部を回動させる回動軸とを備え、前記回動部の前記回動軸を挟んだ両側に左右の足を置くための一対の足置き面を有することを特徴とする運動補助装置。
【請求項11】
請求項10に記載の運動補助装置において、
前記回動部は前記回動軸を中心として±20度以下の所定回動範囲に規制されることを特徴とする運動補助装置。
【請求項12】
請求項5、10、11のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部の前記足置き面は、略鉛直面であり、かつ前記使用者の足のMP関節部からつま先部を接触させうる面であることを特徴とする運動補助装置。
【請求項13】
請求項1〜8、10〜12のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部は、足置き面の内側にクッション層を有することを特徴とする運動補助装置。
【請求項14】
請求項1〜8、10〜12のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部は、足置き面の内側に、衝撃吸収材からなる衝撃吸収層を有することを特徴とする運動補助装置。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の運動補助装置において、
前記足置き部は、請求項13に記載のクッション層と、請求項14に記載の衝撃吸収層とを有している運動補助装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部に置く足の踵を接地するための踵接地部を備え、
前記踵接地部は、前記足置き部の移動方向と略平行な面を有することを特徴とする運動補助装置。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部が足で押されるときの移動方向を前方下側となるように当該足置き部を支持する斜面を有する台部を備えたことを特徴とする運動補助装置。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部の足置き面には、足裏を刺激可能な複数の凸部が設けられていることを特徴とした運動補助装置。
【請求項1】
使用者の臀部を支持する臀部支持部と、前記使用者の足を置く足置き部と、前記臀部支持部を少なくとも前後方向に揺動させる揺動駆動手段とを備えた運動補助装置であって、
前記臀部支持部に着座した使用者の脚の伸展方向へ前記足置き部を移動可能とする機構を有し、
前記足置き部の前記伸展方向への最大移動量が、前記臀部支持部の前方への最大移動量である第1移動量よりも小さな第2移動量に規制されていることを特徴とする運動補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運動補助装置において、
前記足置き部を前記伸展方向へ移動した位置から元の位置へ戻すために必要な付勢力を前記足置き部に与える弾性体を更に備えたことを特徴とする運動補助装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の運動補助装置において、
前記機構は、前記足置き部を前後方向に移動可能とすることを特徴とする運動補助装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部の前記第2移動量を超える移動を規制するストッパを備えたことを特徴とする運動補助装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部の足置き面は、凸曲面又は略鉛直面であることを特徴とする運動補助装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記機構は前記足置き部をスライドさせるスライド機構であることを特徴とする運動補助装置。
【請求項7】
請求項6に記載の運動補助装置において、
前記足置き部は左右独立してスライド可能に二個設けられていることを特徴とする運動補助装置。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部は、直径15〜30cmの円柱状の周面の少なくとも一部を前記足置き面とする形状を有していることを特徴とする運動補助装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部は、踵を踵接地部につけたときに足腹部から足指付け根の間を接触しうる高さに配置されたロッドを備えたことを特徴とする運動補助装置。
【請求項10】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部は、回動部と、前記回動部を回動させる回動軸とを備え、前記回動部の前記回動軸を挟んだ両側に左右の足を置くための一対の足置き面を有することを特徴とする運動補助装置。
【請求項11】
請求項10に記載の運動補助装置において、
前記回動部は前記回動軸を中心として±20度以下の所定回動範囲に規制されることを特徴とする運動補助装置。
【請求項12】
請求項5、10、11のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部の前記足置き面は、略鉛直面であり、かつ前記使用者の足のMP関節部からつま先部を接触させうる面であることを特徴とする運動補助装置。
【請求項13】
請求項1〜8、10〜12のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部は、足置き面の内側にクッション層を有することを特徴とする運動補助装置。
【請求項14】
請求項1〜8、10〜12のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部は、足置き面の内側に、衝撃吸収材からなる衝撃吸収層を有することを特徴とする運動補助装置。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の運動補助装置において、
前記足置き部は、請求項13に記載のクッション層と、請求項14に記載の衝撃吸収層とを有している運動補助装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部に置く足の踵を接地するための踵接地部を備え、
前記踵接地部は、前記足置き部の移動方向と略平行な面を有することを特徴とする運動補助装置。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部が足で押されるときの移動方向を前方下側となるように当該足置き部を支持する斜面を有する台部を備えたことを特徴とする運動補助装置。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか一項に記載の運動補助装置において、
前記足置き部の足置き面には、足裏を刺激可能な複数の凸部が設けられていることを特徴とした運動補助装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−17637(P2013−17637A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153086(P2011−153086)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
[ Back to top ]