説明

道路標識装置

【課題】標示内容の視認性を効率的に高めた道路標識装置を提供する。
【解決手段】前面に平らな標示面を有する標識板2と、この標識板2の上部に配置させて標示面を照らす照明部3とを備え、照明部3は、光を集光するレンズ部を備えた砲弾型発光ダイオードと、砲弾型発光ダイオードよりも光の指向角が大きなチップ型発光ダイオードとを、それぞれ光の向きを揃えて複数個列設させた発光部を備え、砲弾型発光ダイオードとチップ型発光ダイオードとが発する光を標示面へそれぞれ照らすようにする。レンズ部にて集光された砲弾型発光ダイオードからの強い光と、より広範囲に放射されるチップ型発光ダイオードからの光とが、それぞれ標示面を効率的に照らして、その視認性を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夜間でも良好に視認できる道路標識装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路脇などに設置される道路標識には、規制標識や警戒標識や指示標識など、種々のものが用いられており、その標示内容を明確に伝達させるために種々の発明が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、支柱(1)の適宜高さに設けられる所定の標示を施した標識板(2)の外周に、該標識板(2)を囲む支持枠体(6)が支柱(1)に取付けられ、一方、発光体(9)は長手方向に沿った両側方に取付板(14)、(14)が突設された透明樹脂製中空パイプ(10)の相対向した溝(20)、(20)内に、複数の発光ダイオード(11)、(11)…を配列し配線した基板(12)の長手方向の両縁部が挿入されてなり、該発光体(9)が取付板(14)、(14)を介して支持枠体(6)に沿って取り付けられ、該発光体(9)に電源(15)、コントローラ(19)が接続されて発光体(9)が点灯または点滅するようになされた警告灯付き道路標識、が本件出願人によって開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平06−032964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示される道路標識は、標識板(2)の外周に配列させた複数の発光ダイオード(11)を点灯または点滅させることで、標識板への注意を喚起するように設けられたものであるが、前記各発光ダイオード(11)の発光は注意喚起のものであり、標識板の標示面を照らしてその視認性を直接的に向上させるものではなかった。
【0006】
本発明は、標示内容の視認性を効率的に高めた道路標識装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る道路標識装置は、前面に平らな標示面を有する標識板と、該標識板の上部に配置されて前記標示面を照らす照明部とを備え、
前記照明部は、光を集光するレンズ部を備えた砲弾型発光ダイオードと、該砲弾型発光ダイオードよりも光の指向角が大きなチップ型発光ダイオードとが、それぞれ光の向きを揃えて複数個列設された発光部を備え、前記砲弾型発光ダイオードとチップ型発光ダイオードとから発せられる光が前記標示面をそれぞれ照らすようになされていることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る道路標識装置によれば、前面に平らな標示面を有する標識板と、この標識板の上部に配置させて前記標示面を照らす照明部とを備えるので、照明部からの光によって標識板の標示面が明るく照らされその標示内容が良好に視認出来るようになされる。
また、光を集光するレンズ部を備えた砲弾型発光ダイオードと、この砲弾型発光ダイオードより光の指向角が大きなチップ型発光ダイオードとを、それぞれ光の向きを揃えて複数個列設された発光部を前記照明部に備えさせ、前記砲弾型発光ダイオードとチップ型発光ダイオードとから発せられる光で前記標示面をそれぞれ照らすので、前記レンズ部にて集光された砲弾型発光ダイオードからの強い光と、より広範囲に放射されるチップ型発光ダイオードからの光とが、それぞれ前記標示面を効率的に照らして、その視認性を高める。
【0009】
また、前記標識板を逆三角形形状、又は円形形状、又は角部を上下左右方向へ向けた正方形形状に形成させ、前記砲弾型発光ダイオードを前記発光部の中央寄りに配置させて列設させれば、前記発光部からの距離が最も遠くなる前記標識板の標示面の中央の下端まで、前記レンズ部にて集光された強い光が照射されて、標示面を効率良く照明できるので、好ましい。
また、前記チップ型発光ダイオードを前記発光部の両方の端側にそれぞれ配置させて列設させれば、前記発光部からの距離が比較的近い前記標識板の標示面の左右の端側に、より広範囲に放射されるチップ型発光ダイオードからの光が照射されて、標示面を効率良く照明できるので、好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の道路標識装置によれば、照明部からの光を標識板の標示面へ効率的に照射させて、その視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る道路標識装置の実施の一形態を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は側面図である。
【図2】図1の照明部を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)正面図であり、(ハ)は底面図であり、(ニ)は側面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2のB−B断面図である。
【図5】図2のC−C断面の概要を示す図である。
【図6】図1の照明部の発光ダイオードからの光が標示面を照らす状況を示す図である。
【図7】本発明に係る道路標識装置の実施の他の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図面において、1は道路標識装置である。
本実施形態の道路標識装置1は、角部が丸い逆三角形の板状に形成された標識板2と、その上部に配置された照明部3とを備えている。
【0013】
本実施形態の標識板2は、前面が標示面21となされて、「止まれ」の文字表示が形成されている。
また標識板2の後面には、長手方向を左右へ向けた胴縁22が、上下方向に間隔をあけて2本固定されており、撓みなどの標識板2の変形を抑制させている。
【0014】
胴縁22の後面には、後方へ開口するボルト溝22aが胴縁22の左右両端に至る全長に亘って形成されている。
ボルト溝22aの開口幅は、奥部より幅狭に設けられており、具体的には、前記ボルト溝22aは、その内部にボルト(図示せず)のボルト頭部を収納可能な大きさに形成されると共に、前記ボルト溝22aの開口幅は前記ボルトの雄ねじ部を挿通可能な大きさに形成されている。
そして、前記ボルト溝22aの内部にボルト頭部が収納され、その雄ねじ部をボルト溝22aの開口より後方へ突出させて、前記胴縁22に取り付けられたボルトは、前記標識板22を支柱等の設置場所へ固定する用途に用いられる。
【0015】
照明部3は、左右に設けられた2本の取付金具4を介して標識板2に取り付けられている。
前記各取付金具4は、長い平板形状の金属板を曲げ加工して形成させており、下端付近に円形の取付穴(図示せず)が形成されている。そして、この取付穴に、前記標識板2に固定された上側の胴縁22のボルト溝22aに取り付けたボルトの雄ねじ部を挿通させて、更にこの雄ねじ部にナットを螺結させて、前記各取付金具4が標識板2にそれぞれ取り付けられている。
【0016】
図2は図1の照明部3を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)正面図であり、(ハ)は底面図であり、(ニ)は側面図である。
照明部3は、左右に長い略筒形状の外形に形成されている。
具体的には、長手方向を左右へ向け下方へ開口する中空の本体31と、この本体31の左右の両端をそれぞれ塞ぐ2枚の側板32を備えている。
また、本体31の下方には、透光カバー33と、この透光カバー33の左右にそれぞれ配置された2枚の下板34とが取り付けられて設けられ、これら透光カバー33と、各下板34とが、前記本体31の下方の開口を塞ぐように設けられている。
そして、本体31内には、発光ダイオードを備えた発光部5が内装され、この発光部5から発せられる光が前記透光カバー33を透過して、照明部3の下方から放射され、前記標識板2の標示面21を照らすようになされている。(発光部5についての説明は後述する)
また、前記照明部3の上面には、3枚の太陽電池Sが取り付けられて設けられている。
【0017】
前記本体31の後面には、後方へ開口するボルト溝31aが本体31の左右両端に至る全長に亘って形成されている。
ボルト溝31aの開口幅は、奥部より幅狭に設けられており、具体的には、前記標識板2に取り付けられた各胴縁22のボルト溝22aと同様に、その内部にボルト(図示せず)のボルト頭部を収納可能な大きさに形成されると共に、前記ボルト溝31aの開口幅は前記ボルトの雄ねじ部を挿通可能な大きさに形成されている。
そして、前記ボルト溝31aの内部にボルト頭部が収納され、その雄ねじ部をボルト溝31aの開口より後方へ突出させて、前記本体31に取り付けられたボルトは、前記本体31を前記各取付金具4へ取り付ける用途に用いられる。
【0018】
図3は図2のA−A断面図であり、図4は図2のB−B断面図であり、図5は図2のC−C断面の概要を示す図である。
照明部3の内部には発光部5と蓄電池Dが内装されており、前記各太陽電池Sにて生起された電力が、前記蓄電池Dに蓄えられて、前記発光部5の発光に用いられるようになされている。
【0019】
発光部5は、左右に長い反射板54と、この反射板54の下方に配置された発光ダイオード51、52とを備えて形成されており、照明部3の左右方向の中央付近に配置されて内装されている。
反射板54は、下面が白色や鏡面状など光反射性が良好な状態に形成されており、前記発光ダイオード51、52の発する光が反射板54の下面に照射されたときに下方へ向けて反射されるようになされている。
また、本実施形態の反射板54には、前記発光ダイオード51、52の取付位置の前方に、前方へ至る程下方へ下る傾斜面54aが形成され、前記発光ダイオード51、52の取付位置の後方に、後方へ至る程下方へ下る傾斜面54bが形成されるように、曲げ加工されている。反射板54に前記傾斜面54a、54bをそれぞれ設けることで、前記発光ダイオード51、52の発する光が前記傾斜面54a、54bに照射されたときに下方へ向けて光が反射されるようになされる。
【0020】
本実施形態の発光部5に設けられた発光ダイオード51、52は、反射板54の長手方向に沿ってそれぞれ等間隔で、その光の向きを下方に揃えて一列に列設されている。
具体的には、前記発光ダイオード51は砲弾型発光ダイオードであり、前記反射板54の中央付近に6個一列に列設されている。そして、前記発光ダイオード52はチップ型発光ダイオードであり、前記列設された砲弾型発光ダイオード52の両端側にそれぞれ1個づつ合計2個設けられている。
【0021】
砲弾型発光ダイオード51は、光を集光するレンズ部51aを備え、指向角が小さく強い光L1を発するようになされている。本実施形態の発光部5は、砲弾型発光ダイオード51を中央付近に配置させることで、照明部3の中央付近において、より強い光L1が放射されるように設けられている。
また、チップ型発光ダイオード52は、光を集光するレンズ部を備えておらず、砲弾型発光ダイオード51ほどの光の強さはないが、砲弾型発光ダイオード51よりも指向角が大きな光L2を発するようになされている。本実施形態の発光部5は、前記砲弾型発光ダイオード51の両端側にチップ型発光ダイオード52をそれぞれ配置して列設させることで、照明部3の左右両端付近においては、より指向角の大きな光L2が放射されるように設けられている。
尚、上記の光の指向角とは、放射された光の光軸に対する広がりを表す角度をいう。
また、図5においては、図の簡略化のために、砲弾型発光ダイオード51からの光L1と、チップ型発光ダイオード52からの光L2とを、それぞれ1つづつのみ図示している。
【0022】
図6は図1の照明部3の発光ダイオード51、52からの光L1、L2が標示面21を照らす状況を示す図である。
本実施形態の照明部3は、砲弾型発光ダイオード51を上記のように配置させて内装させることで、左右方向の中央付近から強い光L1が、標示面21に照射されるようになされている。
本実施形態の標示面21は、逆三角形状に形成されているため、左右方向の中央において、標示面21の下端と照明部3との距離が最も大きくなる。本実施形態の照明部3は、砲弾型発光ダイオード51が標示面21の中央付近上方に配置されて、標示面21の下端まで明るく照らすことができる強い光L1によって標示面21を照らし、標示面21を効率良く照明できるように設けられている。
また、本実施形態の照明部3は、チップ型発光ダイオード52を上記のように配置させて内装させることで、左右方向の両端付近から指向角の大きな光L2が、標示面21に照射されるようになされている。
本実施形態の標示面21は、左右方向の両端において、標示面21の下端と照明部3との距離が最も小さくなる。本実施形態の照明部3は、チップ型発光ダイオード52が標示面21の左右両端付近にそれぞれ配置されて、標示面21の下端まで十分照らすことができる程度の光の強さを持ち、且つ指向角の大きな光L2によって、標示面21のより広い範囲を照らし、標示面21を効率良く照明できるように設けられている。
尚、図6においては、図の簡略化のために、砲弾型発光ダイオード51からの光L1と、チップ型発光ダイオード52からの光L2とを、それぞれ1つづつのみ図示している。
【0023】
本実施形態の照明部3において、中央側に砲弾型発光ダイオード51を6個列設させ、その両端側にチップ型発光ダイオード52をそれぞれ1個づつ合計2個列設させているが、これに限るものではなく、砲弾型発光ダイオード51とチップ型発光ダイオード52の個数や、比率をそれぞれ変化させてもよい。
【0024】
図1〜6に示す実施形態の道路標識装置1では、標識板2を逆三角形状に形成させているが、これに限るものではない。
図7は本発明に係る道路標識装置の実施の他の形態を示す図である。
図7(イ)の実施形態の道路標識装置1は、標識板2を円形形状に形成した点が図1〜6に示した実施形態と異なる事項であり、図7(ロ)の実施形態の道路標識装置1は、角部を上下左右方向へ向けた正方形形状、所謂ひし形に標識板2を形成した点が、図1〜6に示した実施形態と異なる事項である。
即ち、図7(イ)(ロ)に示す実施形態において、照明部3は図1〜6に示す実施形態と同一の構成に形成されており、左右に配置された2本の取付金具4を介して標識板2に取り付けられている。
これら図7(イ)(ロ)に示す形状に形成された標識板2においては、左右の両端より中央に至るほど標示面21の下端が下方へ下り、上方に設けた照明部3からの距離が大きくなるため、左右方向の中央側に砲弾型発光ダイオード51を配置し、左右両端側にチップ型発光ダイオード52を配置させた照明部3によって効率的に照明できる。
【符号の説明】
【0025】
1 道路標識装置
2 標識板
21 標示面
22 胴縁
22a ボルト溝
3 照明部
31 本体
31a ボルト溝
32 側板
33 透光カバー
34 下板
4 取付金具
5 発光部
51 砲弾型発光ダイオード
52 チップ型発光ダイオード
54 反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に平らな標示面を有する標識板と、該標識板の上部に配置されて前記標示面を照らす照明部とを備え、
前記照明部は、光を集光するレンズ部を備えた砲弾型発光ダイオードと、該砲弾型発光ダイオードよりも光の指向角が大きなチップ型発光ダイオードとが、それぞれ光の向きを揃えて複数個列設された発光部を備え、前記砲弾型発光ダイオードとチップ型発光ダイオードとから発せられる光が前記標示面をそれぞれ照らすようになされていることを特徴とする道路標識装置。
【請求項2】
前記標識板は逆三角形形状、又は円形形状、又は角部を上下左右方向へ向けた正方形形状に形成され、
前記砲弾型発光ダイオードは前記発光部の中央寄りに配置されて列設され、前記チップ型発光ダイオードは前記発光部の両方の端側にそれぞれ配置されて列設されていることを特徴とする請求項1に記載の道路標識装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−193545(P2012−193545A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58352(P2011−58352)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】