説明

遠隔操作式草刈機

【課題】本発明は、草刈機を遠隔操作することによって、安全かつ快適に作業をすることができ、さらに、草刈機の過去の運転状態を記憶させることによって、同じ区域であれば、無人で自動的に反復して草刈作業をすることができる遠隔操作用草刈機を提供するものである。
【解決手段】エンジン駆動により水平に回転する刈刃と、前記エンジンを動力として前進又は後進が可能な走行手段と、を有する草刈機において、草刈機と離れた位置にある遠隔送信機の操作信号を受信し、前記操作信号により前記エンジンの回転数と前後進の切替と走行速度と走行方向とを制御する指令を出す制御装置を有することを特徴とする遠隔操作式草刈機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重労働である草刈作業を安全かつ快適に行なうことができる遠隔操作式草刈機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
草刈は、人が土地を利用する場合に行なう最も基本的な管理法の一つである。草刈を行なわなければ、堤防の法面や田の畦は身の丈以上の雑草で覆われ、人の侵入を拒むことが多々あり、貴重な土地を有効に利用できなくなし、美観を損なうおそれがある。
【0003】
しかし、草刈は、手作業で行なう場合は腰をかがめる姿勢をとって長時間行なう重労働であり、かつ、法面での作業においては、足元がすべり転倒及び転落する危険性が潜んでいる。
【0004】
上述の問題を解決する方法として、手作業でなく、機械式の草刈機を用いることが行なわれている。例えば、堤防などの法面において、いちいち堤防上の平地で進行方向の転換をせずに、オペレーターがハンドルを持ち操縦することで自走式草刈機が前進及び後進を切り換えて方向転換することによって、効率よく草刈ができる自走式草刈機及び草刈方法が先行技術として開示されている〔参考文献1〕。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−45076公報(〔0002〜0050〕、〔図1〜3〕)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
草刈は、手作業で行なう場合は腰をかがめる姿勢を長時間行なう重労働であるため、平地で自走式の草刈機を使用すれば長時間の重労働を強いられることはなくなる。しかし、自走式草刈機を使用する場合でも、平地での使用は、適切でよいものであるが、例えば傾斜地である堤防が高くて法面長が長い法面において草刈作業をする場合には、足場のよい堤防上から作業できる範囲は限られており、方向転換の度に、足場の悪い法面で方向転換するか、若しくは、足場のよい堤防上の平地まで余分に移動して方向転換しなければならず、相変わらず重労働である問題があった。
【0007】
前記先行技術における自走式草刈機及び草刈方法は、自走式草刈機が、前進及び後進できるため堤防の法面で180度ターンができ、作業効率が良く疲労が少なくなることが示されている。しかし、作業者が実際に自走式草刈機の機側において作業するため、足場の悪い急斜面の法面上での作業は、転倒や転落の危険性があり、また、作業中に毒虫や毒蛇に襲われる危険性があり、本作業は未だ改善されているとはいえない。
【0008】
本発明は、これらの問題を解決するために、なしたものであって、運転、操作する人が草刈機を操作しにくい急斜面の法面上や、毒虫や毒蛇が生息するような悪環境な現場に行かずとも安全な場所で草刈機を遠隔操作することによって、安全かつ快適に作業をすることができ、さらに、草刈機の過去の運転状態を記憶させることによって、同じ区域であれば、無人で自動的に反復して草刈作業をすることができる遠隔操作式草刈機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る遠隔操作式草刈機は、エンジン駆動により水平に回転する刈刃と、前記エンジンを動力として前進又は後進が可能な走行手段と、を有する草刈機において、草刈機と離れた位置にある遠隔送信機の操作信号を受信し、前記操作信号により前記エンジンの回転数と前後進の切替と走行速度と走行方向とを制御する指令を出す制御装置を有することを特徴とする。
【0010】
この構成を採用することにより、作業者が草刈機から離れた位置から遠隔送信機を用いて、遠隔操作で、エンジンの回転数を上下したり、前後進の切替を行い、変速を変え、走行タイヤを操舵する等の運転をすることができる。移動の動力系統については、エンジンの回転が、前後進切替装置を経て変速装置に伝わり、最終的にタイヤ等の走行手段に伝達され草刈機が移動することができることになる。また、刈刃の動力系統については、エンジンの回転が、エンジンと前後進切替装置との間で動力を分岐して、エンジンの回転が刈刃に伝達することで刈刃が回転して、草を刈ることができる。エンジンの回転数を上げると、タイヤの回転数を上げ走行速度を上げることができ、さらに、エンジンの回転に連動している草刈用の刈刃の回転数が上がり草刈能力を高めた作業をすることができる。また、草刈機の走行する操舵はタイヤの走行する方向を変えて行うことができる。
【0011】
これらの構成によって、作業者は、安全な場所において、草刈機を遠隔操作することができ、実際に作業者が法面上に立って作業する必要がなく、法面での転倒や転落をする危険性がなくなり、回転する刈刃が小石等の異物に当り、異物が作業者の目や体などに当たる危険性もなくなる。また、作業者は、空調や屋根のある車等から遠隔操作することも可能で、夏の炎天下に屋外に出る必要もなく、熱中症をも防ぐことができ、さらに雨天での作業も可能となる。また、遠隔操作ができるため、足場の悪い法面上で草刈機と共に広範囲に歩く必要がないので作業者の疲労を極力抑えることができる。さらに、毒虫や毒蛇が生息する現場に行かずとも、草刈作業ができるので、作業者の安全や衛生面でも好ましい。さらに、乗用タイプの草刈機と異なり、運転席が不要であり、かつ、草刈機を小型化することができるので、製作費用も低く抑えることができる。
【0012】
本発明の請求項2に係る遠隔操作式草刈機は、走行手段に車輪又はキャタピラーを用いてなることを特徴とする。
【0013】
この構成を採用することにより、車輪を使用して走行する場合には、特にオフロードタイヤを用いて走行すれば、走行速度をより速くすることが可能となる。また、方向転換の際もハンドル操作が容易である。さらに、キャタピラーを使用する場合より草刈機の構造が簡単であり、草刈機を安価に製作することができる。
【0014】
また、キャタピラーを使用した場合には、悪路においても走行不能に陥らない。特に地面がぬかるんでいる場合や上りの急勾配の斜面上での草刈作業において、タイヤを使用する場合と違い、スリップせずに確実に草刈機を走行させることが可能になる。そのことより、堤防の法面における草刈作業も横方向だけでなく、勾配のある縦方向にも走行して作業をすることが可能になる。
【0015】
本発明の請求項3に係る遠隔操作式草刈機は、前記エンジンの回転数と前記前後進の切替と前記走行速度と前記走行方向を制御する操作信号を順次記憶でき、かつ、前記記憶した操作信号を再出力できる前記制御装置を備えることを特徴とする。
【0016】
この構成を採用することにより、エンジンの回転数制御信号、前後進の切替信号、変速信号、操舵信号による草刈機への命令を刻々制御装置に記憶させることができ、後日、同じ地域で草刈作業をする場合には、その草刈機のエンジンの回転制御信号、前後進の切替信号、変速信号、操舵信号を制御装置から再び取り出し、記憶させた走行順路に倣って草刈機を走行及び草刈作業させることができる。これによって、一度草刈をした地域については、後日再び雑草が伸びても作業員が送信機により草刈機を操作しなくとも無人で自動で草刈作業が可能となり、省力化に繋がる。
【0017】
本発明の請求項4に係る遠隔操作式草刈機は、遠隔送信機が、該遠隔送信機から送信する操作信号を順次記憶でき、前記記憶した操作信号を再出力できる記憶装置を備えることを特徴とする。
【0018】
この構成を採用することにより、遠隔送信機の中には処理装置と記憶装置があり、遠隔送信機を操作した操作信号が処理装置から刻々と記憶装置に記憶させることができ、後日、同じ地域で草刈作業をする場合には、遠隔送信機の中の記憶装置が記憶した操作信号を、再び記憶装置から処理装置に取り出して、送信装置から操作信号を草刈機に送信することができる。これによって、以前の操作に倣って、草刈機を操作することができ、一度草刈をした地域については、後日再び雑草が伸びても作業員がいちいち遠隔送信機を操って、草刈機を操作しなくとも、記憶に従い自動で草刈作業が可能となり、省力化に繋がる。
【0019】
本発明の請求項5に係る遠隔操作式草刈機は、レーザー発射装置と、前記発射装置から発射され反射鏡を備える標柱から反射し戻ってきたレーザーを受信して走行方向のずれを検出する受信装置と、を備えることを特徴とする。
【0020】
この構成を採用することにより、遠隔操作式草刈機が、自動運転中に直線を走行する場合に、レーザーを発射して、直線上にある目標に立てられたプリズムミラーで反射させた反射光を草刈機の受信装置で感知することができる。このことより、請求項3、4の自動草刈作業中に、小石などに草刈機が当り、本来草刈作業しなければならないコースから外れてしまった場合に、レーザーの反射波の受光からそのずれを検知することができる。そのずれから走行方向の微修正を加えて、自動運転中に本来進むべき進路を草刈機が維持することができる。草刈機を停止させることや元のコースに手動で戻すことや警報を鳴らすことも可能である。
【0021】
本発明の請求項6に係る遠隔操作式草刈機は、草刈機の位置情報を得るGPS機能と、前記GPS位置情報から草刈機が移動した過去の軌跡情報とその際の前記エンジンの回転数と前記前後進の切替と前記走行速度と前記走行方向を制御する運転操作情報を記憶できると共に、必要に応じて、前記記憶した情報に基づいた操作信号を再出力できる前記制御装置と、を備えることを特徴とする。
【0022】
この構成を採用することにより、GPS機能と制御装置から草刈機の現在位置が把握でき、その位置情報と、その時のエンジンの回転信号、前後進の切替信号、変速信号、操舵信号を刻々と制御装置に記憶させることができ、後日、同じ地域で草刈作業をする場合には、その草刈機の走行位置情報に基づいたエンジンの回転信号、前後進の切替信号、変速信号、操舵信号を制御装置から再び取り出し、記憶させた走行順路に倣って草刈機を走行及び草刈作業させることができる。これによって、一度草刈をした地域については、後日再び雑草が伸びても作業員が送信機により草刈機を操作しなくとも無人で自動で草刈作業が可能となり、省力化に繋がる。特に、平地で広範囲に草刈を要する田畑において、本発明に係る遠隔操作用草刈機を用いることで、無人で効率よい作業が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る請求項1に記載の遠隔操作式草刈機によれば、作業者は、法面で足を滑らせることによる転倒や法面を転落をする危険性がなく、飛び石が操作者の目などに当たる危険性もない。また、空調設備がある等環境のよい場所から遠隔操作することができるので熱中症等をも防ぐことができる。また、草刈機の機側に居る必要がないので作業者の肉体的、精神的疲労を抑えることができる。さらに、草刈作業中に毒虫や毒蛇に襲われる危険性もない。
【0024】
本発明に係る請求項2に記載のタイヤで走行する遠隔操作用草刈機によれば、走行速度速くすることが可能となる。また、方向転換の際のハンドル操作も容易であり、さらに草刈機を安価に製作することができる。
【0025】
また、キャタピラーで走行する遠隔操作式草刈機によれば、地面を確実にグリップできるから、傾斜地でもスリップせずに確実に草刈機を走行させることが可能になる。そのことより、堤防の法面における草刈作業も横方向だけでなく、縦方向にも走行し作業することが可能となる。
【0026】
本発明に係る請求項3、4、5、6に記載の遠隔操作式草刈機によれば、一度草刈をした地域については、後日再び雑草が伸びても作業員が遠隔送信機により草刈機を操作しなくとも、自動で、無人で草刈作業をすることができるので省力化に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の実施するための形態に係る遠隔操作式草刈機の模式図である。
【図2】図2は、本発明の実施するための形態に係る草刈機にGPS装置と記憶装置を有する遠隔操作式草刈機における制御装置のブロック線図である。
【図3】図3は、本発明の実施するための形態に係る遠隔操作式草刈機であって、平地を作業する場合の模式的斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施するための形態に係る遠隔操作式草刈機であって、堤防の法面を作業する場合の模式的斜視図である。
【図5】図5は、本発明の実施するための形態に係る草刈機に記憶装置を有する遠隔操作式草刈機における制御装置のブロック線図である。
【図6】図6は、本発明の実施するための形態に係る遠隔送信機に記憶装置を有する遠隔操作式草刈機における制御装置のブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る遠隔操作式草刈機を実施するための形態について図1、2、3、4、5、6を用いて説明する。図1は、本発明の実施するための形態に係る遠隔操作式草刈機の模式図である。図2は、本発明の実施するための形態に係る草刈機にGPS装置と記憶装置を有する遠隔操作式草刈機における制御装置のブロック線図である。図3は、本発明の実施するための形態に係る遠隔操作式草刈機であって、平地を作業する場合の模式的斜視図である。図4は、本発明の実施するための形態に係る遠隔操作式草刈機であって、堤防の法面を作業する場合の模式的斜視図である。図5は、本発明の実施するための形態に係る草刈機に記憶装置を有する遠隔操作用草刈機における制御装置のブロック線図である。図6は、本発明の実施するための形態に係る遠隔送信機に記憶装置を有する遠隔操作用草刈機における制御装置のブロック線図である。
【0029】
図1は、遠隔操作式草刈機の模式図である。遠隔操作式草刈機は、離れた位置にある草刈機1に操作信号を送り草刈機1の草刈と走行をコントロールする遠隔送信機2と、草刈機1から構成されている。草刈機1は、エンジン1−1駆動により水平に回転する刈刃1−2と、エンジン1−1の動力による前進又は後進の切替えと走行速度の調整が可能な走行手段と、遠隔送信機2からの操作信号を受信して、エンジン1−1の回転数、前進又は後進の切替、走行速度の可変、及び、走行方向の走行方向の調整を指令する制御装置3と、前記各装置を装架するフレーム1−5から構成される。前記走行手段は、エンジン1−1の回転を、前後進の切替と回転数を可変する速度装置を経由して、タイヤ車輪1−3又はキャタピラーに伝達するものである。また、制御装置3には、遠隔送信機2からの操作信号を受信装置3−1で受け、エンジン制御装置3−4、前後進切替装置3−5、変速装置3−6、操舵装置3−7に操作信号を出力する処理装置3−2に加えて、GPS装置4から走行軌跡情報と、前記各装置のエンジン制御装置3−4、前後進切替装置3−5、変速装置3−6、操舵装置3−7への操作信号を運転状況の情報と、を記憶して、さらに操作信号を再出力する記憶装置3−4が加えられる。
【0030】
また、遠隔送信機2には、草刈機1のエンジンの回転数の変更、草刈機1の前後進の切替、変速装置の変速切替、操舵方向の調整等の操作信号を送信する装置、また、GPS機能に基づく位置情報や、エンジンの回転数の変更、草刈機の前後進の切替、変速装置の変速切替、操舵方向の調整の状態を記憶及び出力する制御装置を動作させる操作(命令)を処理装置2−2で操作信号に変換して送信装置2−1から送信する機能を有している。また、遠隔送信機2には、操作(命令)を処理装置2−1により操作信号に変換した操作信号を記憶して、さらに再出力できる記憶装置2−2を加えられる。
【0031】
次に、本発明に係る遠隔操作式草刈機の使用方法について説明する。まず、草刈機1を草刈作業をする現場に運搬し、エンジン1−1をスタートさせた後、遠隔送信機2で草刈機1を操作する作業者11は、作業現場から離れた場所で、草刈機1のエンジン1−1の回転数、草刈機の前後進の切替、変速装置の変速切替、走行方向、GPS機能の作動、及びGPSによる位置情報と草刈機1の動作状態の記憶について、操作信号を送信して草刈機1を操作する。詳しくは、遠隔送信機2からのエンジン1−1の回転を制御する操作信号に従い、エンジン1−1の回転数が調整され、エンジン1−1の回転数を、順次、前後進切替装置3−5、変速装置3−6、タイヤ車輪1−3等に回転力を伝達させ走行させる。また同時に、遠隔送信機2から、変速装置の変速及び前後進を指示して、所定の速度やトルク及び前後進の方向を制御する。これによって、平地において適切な速度を維持し、或いは斜面等の上り勾配において走行に必要なトルクを確保できて、草刈作業に適した走行速度で移動できる。また、タイヤ車輪1−3の向きを変える操作信号を遠隔送信機2から送信して、草刈機1の移動方向を変えることができる。このことによって、作業者11の意のままに草刈機1を移動させて草刈作業をすることができる。一方、草刈をする刈刃1−2は、草刈機1のエンジン1−1の回転を前後進切替装置3−5に伝達される間にギアを介し分岐して刈刃1−2に回転を伝達し、刈刃1−2を回転させて雑草21等の草刈りを行なうことができる。なお、刈刃は、草刈用、笹葉用等の使用目的に合わせて、通常用いられている市販の刈刃から選択して採用すればよい。また、草刈機1の前部又は後部若しくはその両方に、草刈機1の全幅にわたりバリカン形状の刈刃1−2を装着することもできる。
【0032】
図2は、草刈機1に備えられた制御装置3のブロック線図である。遠隔操作機2から送信された操作信号は、制御装置3内の受信装置3−1で受信され、その信号を処理装置3−2に送り、その信号を基に目的別の装置であるエンジン制御装置3−4、前後進切替装置3−5、変速装置3−6、操舵装置3−7に分配する。エンジン1−1の回転数を制御する操作信号の場合は、エンジン制御装置3−4に操作信号を送り、エンジン1−1の回転数を調整して、タイヤ車輪1−3や刈刃1−2の回転数の調整をする。前後進を切替える操作信号の場合は、前後進切替装置3−5に操作信号を送り、前後進切替装置3−5の前後進を切替えて草刈機1について前後の進行方向の切替を行なう。変速装置3−6の変速を切替える操作信号の場合は、変速装置3−6に操作信号を送り変速を行なって、上り勾配や平地を走行するのに適した速度やトルクを調整する。操舵装置3−7を制御する操作信号の場合は、操舵装置3−7に操作信号を送り、操舵方向を変えて、草刈機1の走行方向を制御する。
【0033】
また、遠隔送信機2から記憶装置3−3とGPS装置4を作動する操作信号を送り、上述の草刈機1のエンジン1−1の回転数の制御信号、前後進の切替信号、変速信号、操舵信号による草刈機1を制御する運転操作の情報と、GPS機能を用いた草刈機1の位置を連続的に把握して走行軌跡情報として記憶装置3−3に記憶することができる。後日、前記記憶させた地域を再び草刈する場合には、遠隔送信機2から、前記記憶を出力する操作信号を草刈機1に送信して、記憶装置3−3に記憶してある運転操作情報と走行情報を呼起こす。その情報は処理装置3−2を経て、再びそれぞれの操作信号となりエンジン制御装置3−4、前後進切替装置3−5、変速装置3−6、操舵装置3−7を制御する。これらのことによって、草刈機1は、記憶した動作を再現して草刈作業をすることができるのでいちいち草刈機1を操作しなくとも、自動で草刈作業をすることが可能となる。
【0034】
図3は、平地を作業する場合の模式的斜視図である。本発明の遠隔操作式草刈機を用いれば、夏の炎天下において、また、雨天や厳冬期でも、例えば自動車12の中から操作でき、安全で、かつ、空調の効いた快適な場所で操作できる。また、この草刈機1を用いた無人の平地での草刈作業で、回転式の刈刃を使用した場合でも、刈刃の回転による小石を跳ね飛ばしによって、その飛び石が作業者11の目に当り怪我をするおそれがなくなった。また、湿気が多く雑草21が生い茂り足元が見えず、身の丈以上の高さがある雑草21のジャングルには、夏場においてはマムシ等の毒蛇、スズメバチややぶ蚊等の毒虫に襲われる恐れがなくなった。よって、草刈作業によって、飛び石による負傷することもなければ熱中症になることもない。また、草刈作業の手順として平地においては、雑草21によって草刈機1が確認しにくくなるので、草刈機を確認しながら遠隔送信機2で操作できるように、図3のように作業者11側の手前から順番に刈込んで行くのが好ましい。また、走行手段は、基本的に移動速度が速くて作業が早く、構造が簡単で製作費の安い普通のタイヤ車輪1−3を用いるのが好ましく、雨天中や雨上がりにおける地面がぬかるんだ状態であれば、オフロードのタイヤ車輪1−3を用いることもできる。
【0035】
図4は、堤防の法面を作業する場合の模式的斜視図である。堤防22の法面22−1の勾配は、通常盛土であるため、高さと水平距離の比が、1:1.8から1:3であり、およそ30度から20度ぐらいの傾斜角を有している。本発明の遠隔操作式草刈機を用いれば、草刈機1の作業者11は、法面から離れた場所から草刈機1を操作できるので、転倒や転落による怪我等の心配はない。これにより、作業員が従来の伴走するタイプである草刈機を用いた場合には、雑草21を踏んだり、浮石を踏んだりして、法面22−1上で転倒したり転落したりする危険性があっが、この危険性を無くすことができる。
【0036】
堤防22の法面22−1上での作業における草刈機の走行手段は、急勾配によるスリップが予測されるのでキャタピラーを使用するのがよい。キャタピラーを使用すれば、法面22−1上の作業において、堤防22の河川23と平行(横)方向に草刈機を移動させて作業するだけでなく、堤防22の法面22−1を上下する直角(縦)方向にも移動でき草刈作業が可能となる。また、堤防22の高さが高く、かつ、横方向の作業距離が長く一日で作業が終わらないような場合には、縦方向に作業することによって、作業終了地域と未作業地域がきれいに分かれ、作業の終わり状態を区別することもできる。
【0037】
前述した草刈作業の一つの応用として、次の作業も可能である。すなわち、広大な面積での作業では、作業区域の両端に、ワイヤーを張ることが可能な杭を打ち込んでワイヤーを張り、そこに、上部が環状であるガイドピンを前後に設けた草刈機1を用いて、そのガイドピンの環にワイヤーを通して草刈作業をすることもできる。草刈機1に設けたガイドピンの環に通されたワイヤーが、ガイドの役割を果たすので、草刈機1は、その作業区域に張られたワイヤーに従って真っ直ぐに草刈作業をすることができる。このことによって、ワイヤーの端から端まで草刈作業する間、作業者11は、草刈機1を操作する必要がない。そして、順次、両端の杭とワイヤーを隣に移動させることによって、広大な面積の草刈作業を半自動で、簡単な装置でもってすることができる。
【0038】
次に、堤防22の法面22−1上での作業における草刈機1の自動草刈作業について説明する。初めて草刈作業をする作業者11は、遠隔送信機2から記憶装置3−3とGPS装置4を作動する操作信号を送った後、本発明に係る草刈機の通常行なっている遠隔操作で草刈作業を行なう。これによって、この草刈作業におけるエンジン1−1の回転の制御信号、前後進の切替信号、変速信号、操舵信号の運転操作の情報と、GPS機能を用いた草刈機1の位置を連続的に把握して走行軌跡情報として記憶装置3−3に記憶することができる。数ヶ月後に、再び同じ場所で雑草が伸びると、作業員11は、前回、草刈作業をした場所において、遠隔送信機2から前回記憶させた作業を呼び出す信号を、草刈機1に送信する。すると、草刈機は、記憶装置3−3に記憶させた運転操作情報と走行情報を呼び起こし、その情報は処理装置3−2を経て、再びそれぞれの操作信号となりエンジン制御装置3−4、前後進切替装置3−5、変速装置3−6、操舵装置3−7を制御して、前回と同じ草刈作業を自動で行なうことになる。従って、草刈作業を記憶させた場所において、無人で作業を行なえるので、作業員11は、別の作業に従事するなど、他の目的に時間を有効に使うことができる。
【0039】
さらに、別の自動草刈作業を図5を用いて説明する。初めて草刈作業をする作業者11は、遠隔送信機2から記憶装置3−3を作動する操作信号を送った後、本発明に係る草刈機1の通常行なっている遠隔操作で草刈作業を行なう。これによって、草刈作業と並行して、この草刈作業におけるエンジン1−1の回転の制御信号、前後進の切替信号、変速信号、操舵信号による草刈機1を制御する運転操作の情報を記憶装置3−3に記憶することができる。数ヶ月後に、再び同じ場所で雑草が伸びると、作業員11は、前回、草刈作業をした場所において、遠隔送信機2から前回記憶させた作業を呼び出す信号を、草刈機1に送信する。すると、草刈機1は、記憶装置3−3に記憶させた運転情報を呼び起こし、その情報は処理装置3−2を経て、再びそれぞれの操作信号となりエンジン制御装置3−4、前後進切替装置3−5、変速装置3−6、操舵装置3−7を制御して、前回と同じ草刈作業を自動で行なうことになる。また、これらの草刈作業をユニットとして、番号付けして整理しておけば、次回の草刈作業では番号を指定するだけで運転操作の記憶の取出しが容易となる。
【0040】
また、さらに別の自動草刈作業を図6を用いて説明する。初めて草刈作業をする作業者11は、本草刈機1の通常行なっている遠隔操作で草刈作業を行なう。すると、遠隔送信機2を操作するとその操作を処理装置2−2が操作信号に変換して送信装置2−1に伝達して送信され、操作信号が草刈機1の受信装置3−1に送られることにより、草刈機1は、草刈作業を行う。これと同時に並行して、処理装置2−2が変換した操作信号を記憶装置2−3が記憶する。数ヶ月後に、再び同じ場所で雑草が伸びると、作業員11は、前回、草刈作業をした場所において、遠隔送信機2から前回記憶させた操作信号を呼び出す操作をして、草刈機1に送信する。すると、草刈機1は、その操作信号を受信装置3−1で受信する。そして、その操作信号は、処理装置3−2を経て、それぞれの操作信号となりエンジン制御装置3−4、前後進切替装置3−5、変速装置3−6、操舵装置3−7を制御して、前回と同じ草刈作業を自動で行なうことになる。また、これらの草刈作業をユニットとして、番号付けして整理しておけば、次回の草刈作業では番号を指定するだけで運転操作の記憶の取出しが容易となる。
【0041】
実際に、図5及び図6の自動草刈作業をする場合には、草刈機1が小石などに衝突することによって、本来草刈作業をすべき道順から外れてしまうことがある。そこで、草刈作業区域に監視カメラを設置して、草刈機1が異常な作業をしていないか監視しながら自動草刈作業をすることが望ましい。また、自動草刈作業が直線を作業する場合には、草刈機1にレーザー発射装置(図示しない)と受信装置(図示しない)を設置して、草刈機1からレーザーを発射して、草刈作業する直線上にプリズムミラーのついたポール(図示しない)を立てて、それにレーザーを反射させ、反射光を受信装置(図示しない)で受信する。前述のように、草刈機1が小石などに衝突することによって、本来草刈作業をすべき道順から外れてしまった場合には、レーザーの反射波の受光からそのずれを検知することができる。そのずれから走行方向の微修正を加えて、自動運転中に本来進むべき進路を草刈機1が維持することができる。草刈機1を停止させることや元のコースに手動で戻すことや警報を鳴らすことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
草刈機だけでなく、炎天下で作業する農作業機械等に利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1:草刈機 1−1:エンジン 1−2:刈刃
1−3:タイヤ車輪 1−4:制御装置 1−5:フレーム
2:遠隔送信機 2−1:送信装置 2−2:処理装置
2−3:記憶装置
3:制御装置 3−1:受信装置 3−2:処理装置
3−3:記憶装置 3−4:エンジン制御装置 3−5:前後進切替装置
3−6:変速装置 3−7:操舵装置
4:GPS装置
11:作業者
12:自動車
21:雑草
22:堤防 22−1:法面
23:河川

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン駆動により水平に回転する刈刃と、前記エンジンを動力として前進又は後進が可能な走行手段と、を有する草刈機において、草刈機と離れた位置にある遠隔送信機の操作信号を受信し、前記操作信号により前記エンジンの回転数と前後進の切替と走行速度と走行方向とを制御する指令を出す制御装置を有することを特徴とする遠隔操作式草刈機。
【請求項2】
前記走行手段が車輪又はキャタピラーを用いてなることを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作用草刈機。
【請求項3】
前記草刈機が、前記エンジンの回転数と前記前後進の切替と前記走行速度と前記走行方向を制御する操作信号を順次記憶でき、かつ、前記記憶した操作信号を再出力できる前記制御装置を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔操作式草刈機。
【請求項4】
前記遠隔送信機が、該遠隔送信機から送信する操作信号を順次記憶でき、前記記憶した操作信号を再出力できる記憶装置を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔操作式草刈機。
【請求項5】
前記草刈機が、レーザー発射装置と、前記発射装置から発射され反射鏡を備える標柱から反射し戻ってきたレーザーを受信して走行方向のずれを検出する受信装置と、を備えることを特徴とする請求項3または4に記載の遠隔操作式草刈機。
【請求項6】
前記草刈機が、該草刈機の位置情報を得るGPS機能と、前記GPS位置情報から草刈機が移動した過去の軌跡情報とその際の前記エンジンの回転数と前記前後進の切替と前記走行速度と前記走行方向を制御する運転操作情報を記憶できると共に、必要に応じて、前記記憶した情報に基づいた操作信号を再出力できる前記制御装置と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔操作式草刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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