説明

遮断システム

【課題】遮断弁の口径を自動認識して、その口径に対応した処理を実行することができる遮断システムを提供する。
【解決手段】遮断システム1において、操作装置10は口径情報記憶手段12に記憶している口径情報を口径情報送信手段11a1によって駆動制御装置20に送信する。そして、駆動制御装置20は口径情報受信手段21a1によって口径情報を受信すると、該口径情報に対応した固有情報を固有情報記憶手段22aから固有情報抽出手段21a2が抽出する。駆動制御装置20は抽出した固有情報に基づいて例えば復帰漏洩確認、気密漏洩検査、等の所定処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口径が異なる複数種類の遮断弁の駆動を制御する駆動制御装置に電力を供給し且つ前記駆動制御装置との間で通信を行う操作装置を有する遮断システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス遮断弁は、ガス配管の途中にフランジを介して挿入接続されるハウジングと、そのハウジングに着脱可能に設けられる弁本体及び弁駆動機構を有して構成している。例えば、特許文献1に記載されているガス遮断弁は、ガス配管に接続される一対のフランジを有するハウジング内部を、一方のフランジ側配管に連通する流路空間と他方のフランジ側配管に連通する流路空間を仕切って隔壁を設け、その隔壁に形成された貫通穴にリング状のノズルを気密に装着し、そのノズルに対して平板状の弁体を接続可能に設け、遮断指令に基づいて弁体をノズルに押し付けて弁ハウジングのガスの入口側流路と出口側流路を遮断するように構成されている。
【0003】
また、ガス遮断弁は、その機能を保持するために、一定期間(例えば、10年等)ごとに交換或いは保守点検することが必要となる。そのため、特許文献2に示すガス遮断弁は、ガス配管に接続されたハウジングを交換する必要性がほとんどないことに鑑み、ガス遮断弁の交換等が必要な部品を含む主要部をユニット化して、そのユニットの部分のみを交換可能な構成とすることで、ガス遮断弁の交換等の作業時には、ガス配管に接続されたハウジングを取り外さずに、遮断弁ユニットの基部をハウジングの取り付け座から取り外し、交換する新たな遮断弁ユニットをハウジングに装着することにより、ガス遮断弁の交換作業を終了できるようにしている。
【特許文献1】特開平7−248070号公報
【特許文献2】特開2007−270957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようにガス遮断弁は、遮断弁ユニットとハウジングとの交換が可能な構成となり、複数の設置場所、配管等の差異は複数種類の異なる遮断弁の口径を用意することで解消できることから、複数種類のハウジングに共通の遮断弁ユニットを用いることが可能となった。
【0005】
しかしながら、このように遮断弁ユニットの共通化を図る場合、遮断弁ユニットは例えば復帰漏洩確認、気密漏洩検査の時間等を遮断弁の口径に対応して設定する必要があった。そのため、遮断弁ユニットに操作器を接続し、その操作器から口径データを取得して各種設定を行う機能を遮断弁ユニットに設けたり、マグネットと磁力でONするスイッチを有する口径の自動確認する検出機構を遮断弁ユニットに設ける等が必要となり、この余計な構成、検出機構によって遮断弁ユニット等がコストアップしてしまうという問題があった。また、ガス遮断弁ごとに、その遮断弁の口径を遮断弁ユニットに登録、設定する作業が必要となったり、その口径を示す口径データを管理するシステムが必要となる。
【0006】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、遮断弁の口径を自動認識して、その口径に対応した処理を実行することができる遮断システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の遮断システムは、図1の基本構成図に示すように、口径が異なる複数種類の遮断弁の駆動を制御する駆動制御装置20と、前記駆動制御装置20に電力を供給し且つ前記駆動制御装置20との間で通信を行う操作装置10と、を有する遮断システム1において、前記操作装置10が、前記駆動制御装置20の駆動対象となる遮断弁の口径を示す口径情報を記憶する口径情報記憶手段12と、前記口径情報記憶手段12が記憶している口径情報を前記駆動制御装置20に送信する口径情報送信手段11a1と、を有し、前記駆動制御装置20が、前記複数種類の遮断弁の各々に対応した複数種類の固有情報を記憶する固有情報記憶手段22aと、前記操作装置10の口径情報送信手段11a1が送信した口径情報を受信する口径情報受信手段21a1と、前記口径情報受信手段21a1が受信した口径情報に対応した前記固有情報を、前記複数種類の固有情報の中から抽出する固有情報抽出手段21a2と、前記固有情報抽出手段21a2が抽出した固有情報に基づいて、予め定められた所定処理を実行する所定処理実行手段21a3と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記請求項1に記載した本発明の遮断システムによれば、操作装置10は口径情報記憶手段12に記憶している口径情報を口径情報送信手段11a1によって駆動制御装置20に送信する。そして、駆動制御装置20は口径情報受信手段21a1によって口径情報を受信すると、該口径情報に対応した固有情報を固有情報記憶手段22aから固有情報抽出手段21a2が抽出する。駆動制御装置20は抽出した固有情報に基づいて例えば復帰漏洩確認、気密漏洩検査、等の所定処理を実行する。
【0009】
請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1に記載の遮断システムにおいて、前記駆動制御装置20が、該駆動制御装置20に着脱自在の前記遮断弁と、前記装着された遮断弁に対応して登録された前記口径を示す登録口径情報を記憶する登録口径情報記憶手段22bと、前記登録口径情報記憶手段22bが記憶している登録口径情報を前記操作装置10に送信する登録口径情報送信手段21a4と、を有し、前記操作装置10が、前記駆動制御装置20の登録口径情報送信手段21a4が送信した登録口径情報を受信する登録口径情報受信手段11a2を有し、前記口径情報記憶手段12が、前記登録口径情報受信手段11a2によって受信した登録口径情報を前記口径情報として記憶する手段であることを特徴とする。
【0010】
上記請求項2に記載した本発明の遮断システムによれば、駆動制御装置20は装着された遮断弁に対応して登録された登録口径情報を登録口径情報記憶手段22bに記憶していると、その登録口径情報を登録口径情報送信手段21a4によって操作装置10に送信する。そして、操作装置10は、登録口径情報送信手段21a4が送信した登録口径情報を登録口径情報受信手段11a2によって受信すると、その登録口径情報を口径情報として口径情報記憶手段12に記憶する。
【0011】
請求項3記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1又は2に記載の遮断システムにおいて、前記駆動制御装置20が、該駆動制御装置20を識別するための識別情報を前記操作装置10に送信する識別情報送信手段21a5を有し、前記操作装置10が、前記識別情報を前記駆動制御装置20から受信する識別情報受信手段11a3と、前記受信した識別情報と前回受信した識別情報との比較結果に基づいて前記駆動制御装置20の交換を検出する交換検出手段11a4と、を有し、前記操作装置10の口径情報送信手段11a1が、前記交換検出手段11a4による交換の検出に応じて、前記口径情報を前記駆動制御装置20に送信する手段であることを特徴とする。
【0012】
上記請求項3に記載した本発明の遮断システムによれば、駆動制御装置20は識別情報送信手段21a5によって識別情報を操作装置10に送信すると、操作装置10は識別情報受信手段11a3によって駆動制御装置20から識別情報を受信すると、今回受信した識別情報と前回受信した識別情報との比較結果に基づいて、駆動制御装置20の交換が交換検出手段11a4によって検出する。操作装置10はその交換の検出に応じて、口径情報を駆動制御装置20に口径情報送信手段11a1によって送信する。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように請求項1に記載した本発明によれば、操作装置が記憶している口径情報を駆動制御装置に送信し、駆動制御装置が受信した口径情報に対応した固有情報を複数の固有情報から抽出し、該固有情報に基づいて所定処理を実行するようにしたことから、操作装置に口径情報を記憶させておくことで、駆動制御装置を交換しても遮断弁の口径情報を駆動制御装置に自動で認識させることができるため、駆動制御装置は遮断弁の口径に適した各種処理を行うことができ、作業者が駆動制御装置に口径を登録するという登録作業、通信により口径を登録するための装置等を不要とすることができる。従って、遮断弁の口径を誤って設定することがなるため、遮断弁に余計な口径検出機構を追加する必要がなくなり、遮断システムのコストアップを防止できる。
【0014】
請求項2に記載した本発明によれば、駆動制御装置が記憶している登録口径情報を操作装置に送信し、操作装置がその受信した登録口径情報を口径情報として記憶するようにしたことから、遮断弁に対応した登録口径情報を操作装置に自動で記憶させることができるため、駆動制御装置が口径情報を記憶していない共通の駆動制御装置に交換されたときに、操作装置から共通の駆動制御装置に口径情報を送信して自動的に認識させることができる。よって、遮断弁の口径の登録を要することなく、駆動制御装置の共通化を図ることができるため、遮断システムのコストダウンに貢献することができる。
【0015】
請求項3に記載した本発明によれば、駆動制御装置がその識別情報を操作装置に送信し、操作装置が今回受信した識別情報と前回受信した識別情報とを比較して駆動制御装置の交換を検出すると、その交換の検出に応じて記憶している口径情報を駆動制御装置に送信するようにしたことから、駆動制御装置の交換に応じて操作装置に記憶している口径情報を駆動制御装置に自動で記憶させることができるため、駆動制御装置が口径情報を記憶していない共通の駆動制御装置に交換されたときに、迅速に共通の駆動制御装置に制御対象となる遮断弁20Aの口径を自動的に認識させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る遮断システムの一実施形態を、図1〜図8の図面を参照して以下に説明する。
【0017】
図2〜3において、遮断システム1は、宅内等に設けられる操作装置10と、ガス供給路の配管5に組み込まれ且つ操作装置10の制御等によって配管5を遮断する遮断弁ユニット20と、を有して構成している。そして、操作装置10と遮断弁ユニット20は、通信線3を介して、双方向のシリアル通信可能に接続されている。また、操作装置10は、遮断弁ユニット20と電気的に接続されており、外部電源等から供給される電力によって動作すると共に、その電力を遮断弁ユニット20に供給している。
【0018】
操作装置10は、図3に示すように、予め定められたプログラムに従って動作するマイクロプロセッサ(MPU)11を有している。MPU11は、周知のように、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)11a、CPU11aのためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROM11b、各種のデータを格納するとともにCPU11aの処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM11c等を有して構成している。
【0019】
ROM11bは、上述した図1に示す請求項中の口径情報送信手段11a1、登録口径情報受信手段11a2、識別情報受信手段11a3、交換検出手段11a4、等の各種手段として、CPU11aを機能させるための各種プログラム等を記憶している。
【0020】
操作装置10はさらに、メモリ部12と、通信部13と、設定部16と、表示部17と、操作部18と、電力供給部19と、を有しており、各々はMPU11と電気的に接続されている。
【0021】
メモリ部12は、電力供給が断たれた場合でも、格納された各種データの保持が可能であり、CPU11aの処理作業に必要な各種格納エリアを有する電気的消去/書き換え可能なメモリ(EEPROM)等が用いられる。このメモリ部12は、図4に示すように、操作装置製造年月121、操作装置使用時間122、遮断弁ユニット製造年月123、遮断弁使用時間124、駆動制御装置使用時間125、遮断弁の口径126、等の各種データを記憶している。
【0022】
操作装置製造年月121は、操作装置10が製造された製造年月(例えば、年のみでも可)データが設定される。例えば「1009」の場合、2010年9月を示している。操作装置使用時間122は、設置されてからの使用時間データが定期的に書き込まれる。遮断弁ユニット製造年月123は、遮断弁ユニット10から取得した製造年月データ等が設定される。遮断弁使用時間124は、後述する遮断弁20Aの使用時間データが定期的に書き込まれる。駆動制御装置使用時間125は、後述する駆動制御装置20bの使用時間データが定期的に書き込まれる。
【0023】
遮断弁20Aの口径126は、遮断弁ユニット20から取得した口径データが設定される。口径データの一例としては、口径20〜25が「1」、口径32〜40が「2」、口径50が「3」、口径80が「4」となっている。
【0024】
通信部13は、通信線3と電気的に接続されると共に、MPU11と電気的に接続されている。通信部13は、通信線3を介してMPU11から入力される各種電文を示す信号を遮断弁ユニット20に送信すると共に、通信線3を介して遮断弁ユニット20から受信した信号が示す電文をMPU11に出力する。
【0025】
設定部16は、遮断弁ユニット20の遮断弁26を通信異常発生時に遮断するか否かがON/OFFを選択するためのディップスイッチを有している。設定部16は、操作装置10のケース本体で隠され且つシステム管理者等によってのみ操作が可能な構成となっている。設定部16は、前記ディップスイッチが操作装置10の設置時、ガス需要者からの設定変更が要求されたとき等にシステム管理者等によって設定され、MPU11によってディップスイッチの設定状態が検出される。
【0026】
表示部17は、MPU11と電気的に接続されており、MPU11からの要求に応じて表示が可能な構成となっている。表示部17は、図示しないが、警報器故障、停電検知、故障検知、検査中等の各々に対応したLEDの点灯によって表示状態となり、LEDの消灯によって非表示状態となる。
【0027】
操作部18は、MPU11と電気的に接続されており、利用者、作業者等に各種データの入力、選択を行わせる、ための複数の操作スイッチと、弁開スイッチと、弁閉スイッチと、を有している。操作部18は、それらの操作スイッチに対する操作に応じた操作信号をMPU11に出力する。そして、操作部18の弁開スイッチ又は弁閉スイッチが操作されると、MPU11は通信線3を介して遮断(弁閉)要求信号又は開放(弁開)要求信号を遮断弁ユニット20に送信する。
【0028】
このように構成した操作装置10のCPU11aは、外部電源等からの電力供給によって起動されると、所定のプログラムを実行することで、電力供給部19を制御してその電力の一部を遮断弁ユニット20に供給する。即ち、電力供給部19は、遮断弁ユニット20に所定の電力を供給するための回路等によって構成している。このような電力の供給により、遮断弁ユニット20は起動されて動作可能状態となる。
【0029】
次に、上述した操作装置10のCPU11aの口径情報管理処理プログラムの実行による口径情報管理処理の一例を、図6に示すフローチャートを参照して以下に説明する。なお、この口径情報管理処理は、操作装置10の電源断、上位処理からの強制終了等に応じて処理を終了することを前提としている。
【0030】
CPU11aによって口径情報管理処理プログラムが実行されると、ステップS11において、通信部13を介して駆動制御装置20Bから遮断弁ユニット製造年月データを有する識別情報を受信したか否かが判定される。識別情報を受信していないと判定された場合(S11でN)、ステップS12において、通信部13を介して駆動制御装置20Bから口径情報を受信したか否かが判定される。口径情報を受信していないと判定された場合(S12でN)、ステップS11に戻り、一連の処理が繰り返される。
【0031】
一方、ステップS12で口径情報を受信したと判定された場合(S12でY)、ステップS13において、その口径情報がメモリ部12に記憶されることで、口径情報の口径データがメモリ部12の口径126に設定され、その後ステップS11に戻り、一連の処理が繰り返される。
【0032】
また、ステップS11で識別情報を受信したと判定された場合(S11でY:識別情報受信手段)、識別情報がRAM11cに時系列的に記憶され、ステップS14(交換検出手段)において、今回受信した識別情報と前回受信した識別情報とが同一であるか否かが判定される。具体的には、識別情報の遮断弁ユニット製造年月データとメモリ部12の遮断弁ユニット製造年月123に設定されたデータとを比較する。
【0033】
ステップS14で前回と同一であると判定された場合(S14でY)、遮断弁ユニット20側で交換が発生していないと判定し、ステップS11に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、前回と同一ではないと判定された場合(S14でN)、遮断弁ユニット20側で交換が発生したと判定し、ステップS15に進む。
【0034】
ステップS15において、受信した識別情報がメモリ部12に記憶されることで、メモリ部12の遮断弁ユニット製造年月123に識別情報の遮断弁ユニット製造年月データが設定され、その後ステップS16(口径情報送信手段)において、メモリ部12の遮断弁20Aの口径126に設定されている口径データとメモリ部12が記憶している配管容積データを有する口径情報が作成され、該口径情報が通信部13を介して駆動制御装置20Bに送信され、その後ステップS11に戻り、一連の処理が繰り返される。
【0035】
以上説明した図6に示す口径情報管理処理をCPU11aが実行することで、上述した図1に示す請求項中の口径情報送信手段11a1、識別情報受信手段11a3、交換検出手段11a4、等としてCPU11aが機能することになる。そして、図6に示すフローチャート中のステップS11が識別情報受信手段11a3、ステップS14が交換検出手段11a4、ステップS16が口径情報送信手段11a1にそれぞれ相当している。
【0036】
また、CPU11の登録口径情報受信手段11a2は、通信部13を介して駆動制御装置20Bから受信した登録口径情報を受信する。そして、本実施形態では、登録口径情報受信手段11a2がメモリ部12の遮断弁20Aの口径126に口径データを記憶する場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、登録口径情報受信手段11a2以外の手段等が登録口径情報を口径情報として記憶してもよい。
【0037】
次に、上述した操作装置10から供給される電力によって動作する遮断弁ユニット20の概略構成の一例を、図2〜3,図5の図面を参照して以下に説明する。
【0038】
遮断弁ユニット20は、図2及び図3に示すように、配管5の一部として組み込まれ、その配管5を遮断する遮断機構を有する遮断弁20Aと、口径が異なる複数種類の遮断弁20Aの駆動を制御する駆動制御装置20Bとを有している。遮断弁20Aと駆動制御装置20Bは、手動操作部20Cを操作することで、各々を分離できる構造となっている。即ち、遮断弁20Aと駆動制御装置20Bを個別に交換可能な構成とすることで、駆動制御装置20Bが故障したときに、駆動制御装置20Bのみの交換が可能となっている。
【0039】
なお、遮断弁20Aは、上述した背景技術のハウジングに相当し、後述する駆動部27を介してMPU21に電気的に接続されており、モータ駆動方式遮断弁、ソレノイド方式遮断弁等が任意に用いられる。本実施形態では、遮断弁20Aとしてモータ駆動方式遮断弁を用いる場合について説明する。そして、遮断弁20Aは、MPU21によって弁閉されると、配管5におけるガスの供給を遮断し、また、弁開されると、配管5におけるガスの供給を可能とする。
【0040】
駆動制御装置20Bは、上述した操作装置10から供給された電力によって駆動され、図3に示すように、予め定められたプログラムに従って動作するマイクロプロセッサ(MPU)21と、メモリ部22と、通信部23と、遮断弁26を駆動する駆動部27と、圧力センサ28と、を有して構成しており、それらは電気的に接続されている。
【0041】
MPU21は、上述したように、CPU21aとROM21bとRAM21cとを有している。ROM21bは、CPU21aを図1に示す請求項中の口径情報受信手段21a1、固有情報抽出手段21a2、所定処理実行手段21a3、登録口径情報送信手段21a4、識別情報送信手段21a5、等の各種手段として機能させるための各種プログラムを記憶している。そして、CPU21aがそれらのプログラムを実行することで、口径情報受信手段21a1、固有情報抽出手段21a2、所定処理実行手段21a3、登録口径情報送信手段21a4、識別情報送信手段21a5として機能することになる。
【0042】
メモリ部22は、数種類の遮断弁20Aの各々に対応した複数種類の固有情報を記憶している。固有情報の各々は、予め定められた所定処理に相当する復帰漏洩確認処理、気密漏洩検査処理、等に用いる口径に対応して定められた複数のパラメータの各設定値データを有している。例えば、気密漏洩検査処理に対応した固有情報は、口径と配管容積(例えば標準、最大)とに対応した時間データ等を有している。
【0043】
メモリ部22は、図5に示すように、遮断弁ユニット製造年月221、遮断弁使用時間222、駆動制御装置使用時間223、遮断弁の口径224、等の各種データを記憶する記憶領域を有している。
【0044】
遮断弁ユニット製造年月221は、遮断弁20A及び駆動制御装置20Bの少なくとも一方の製造年月を示す製造年月データが、製品出荷時等に設定される。なお、本実施形態では、遮断弁ユニット製造年月221が遮断弁20Aの製造年月データと駆動制御装置20Bの製造年月データの双方を有する構成としたことで、遮断弁20A及び駆動制御装置20Bの何れかのみを交換した場合に、該当する製造年月データのみを書き換えることを可能としている。
【0045】
遮断弁使用時間222は、操作装置10から供給された電力を遮断弁20Aに通電した時間を示す通算時間データが設定される。駆動制御装置使用時間223は、操作装置10から供給された電力を駆動制御装置20Bに通電した時間を示す通算時間データが設定される。
【0046】
遮断弁の口径224は、駆動制御装置20Bが制御対象としている遮断弁20Aの口径を示す口径データが設定される。なお、共通化された駆動制御装置20Bは、どのような口径の遮断弁20Aに装着されるか分からないため、遮断弁20A及び駆動制御装置20Bが一体に製造された遮断弁ユニット20にのみ、口径データが設定されている。このとき、遮断弁の口径224が請求項中の登録口径情報に相当している。また、遮断弁の口径224は、共通化された駆動制御装置20Bの場合には口径データが設定されていないため、本発明では、操作装置10に記憶している遮断弁の口径126を受信して記憶することになる。
【0047】
よって、本実施形態ではメモリ部22が図1に請求項中の固有情報記憶手段22a及び登録口径情報記憶手段22bとして機能してる。なお、固有情報記憶手段22aについては、機能の追加、変更等による書き換えが不要であれば、ROM21bで実現させることもできる。
【0048】
通信部23は、上述した通信線3と電気的に接続されると共に、MPU21と電気的に接続されている。通信部23は、前記通信線3を介してMPU21から入力される各種電文を示す信号を操作装置10に送信すると共に、前記通信線3を介して操作装置10から受信した信号が示す電文をMPU21に出力する。
【0049】
また、遮断弁ユニット20のCPU21aは、通信部23を介して操作装置10から遮断要求信号を受信すると、上述したように駆動部27を制御して遮断弁26を弁閉し、また、開放要求信号を受信すると、駆動部27を制御して遮断弁26を弁開する。このようにCPU21aは駆動制御手段として機能している。
【0050】
圧力センサ28は、MPU21に電気的に接続されており、配管5内の気体の空気圧の変化を感圧素子にて圧力信号に変換する機械式又は電子式のものが任意に用いられる。圧力センサ28は、遮断弁26の下流側(ガス供給側)における配管5内の圧力を感知して圧力信号をMPU21に出力する。
【0051】
次に、上述した構成の駆動制御装置20BのCPU21aによる各種プログラムの実行によってCPU21aが機能する、図1に示す請求項中の各種手段の動作を説明する。
【0052】
CPU21aの口径情報受信手段21a1は、通信部23を介して操作装置10から受信した各種情報の中から口径情報を受信する。CPU21aの固有情報抽出手段21a2は、その受信した口径情報をメモリ部22の遮断弁20Bの口径224に設定すると共に、メモリ部22に記憶している複数種類の口径情報の中から当該口径情報に対応した固有情報を抽出してRAM21cのパラメータ等に設定する。
【0053】
CPU21aの所定処理実行手段21a3は、固有情報に基づいて、予め定められた所定処理を行う所定処理プログラムを実行する。即ち、所定処理プログラムは、固有情報を遮断弁20Aの固有パラメータとして用いる処理プログラムであり、所定処理の一例としては、復帰漏洩確認処理、気密漏洩検査処理、等が挙げられる。
【0054】
CPU21aの登録口径情報送信手段21a4は、メモリ部22の遮断弁20Aの口径224に設定されている口径データを有する登録口径情報を作成し、通信部23を介して操作装置10に送信する。そして、CPU21aの識別情報送信手段21a5は、識別情報を作成し、通信部23を介して該識別情報を操作装置10に送信する。なお、本実施形態では、メモリ部22の遮断弁ユニット製造年月221に設定された製造年月データを有する識別情報を作成する場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば駆動制御装置20Bの製造番号(シリアル番号)、登録番号、等の駆動制御装置20Bを識別可能な各種データを有する識別情報とすることができる。
【0055】
次に、上述した遮断システム1の操作装置10と遮断弁ユニット20の駆動制御装置20Bの本発明に係る動作(作用)の一例を、図7及び図8の図面を参照して以下に説明する。
【0056】
図7に示す製品出荷時の状態ST1において、駆動制御装置20Bのメモリ部22には、遮断弁ユニット製造年月221に「1009(上位)/1009(下位)」、遮断弁使用時間222に「0」、駆動制御装置使用時間223に「0」、口径224に「2」がそれぞれ設定されている。また、操作装置10のメモリ部12には、操作装置製造年月121に「1008」、操作装置使用時間122に「0」、遮断弁ユニット製造年月123に「0000(上位)/0000(下位)」、遮断弁使用時間124に「0」、駆動制御装置使用時間125に「0」、口径126に「0」がそれぞれ設定されている。なお、遮断弁ユニット製造年月123及び遮断弁ユニット製造年月221は、その上位が遮断弁20A、下位が駆動制御装置20Bに対応した内容になっている。
【0057】
設置、使用開始の状態ST2において、操作装置10と駆動制御装置20Bが結線されて、操作装置10から駆動制御装置20Bへの電力供給が開始されると、駆動制御装置20Bは操作装置10に遮断弁ユニット製造年月221を識別情報、遮断弁使用時間222及び駆動制御装置使用時間223を使用時間情報、口径224を口径情報(登録口径情報に相当)としてそれぞれ送信する。
【0058】
その結果、操作装置10のメモリ部12には、操作装置製造年月121及び操作装置使用時間122は更新されずに、遮断弁ユニット製造年月123に「1009/1009」、遮断弁使用時間124に「0」、駆動制御装置使用時間125に「0」、口径126に「2」がそれぞれ設定されて更新される。
【0059】
例えば1年使用した使用中の状態ST3において、操作装置10は駆動制御装置20Bへの通電中、例えば24時間毎に駆動制御装置20Bから前記使用時間情報を取得して、メモリ部12の遮断弁使用時間222及び駆動制御装置使用時間223の設定値を更新する。
【0060】
その結果、駆動制御装置20のメモリ部22の遮断弁使用時間222及び駆動制御装置使用時間223に書き込まれている「8760」が、操作装置10のメモリ部12の遮断弁使用時間124及び駆動制御装置使用時間125に設定されることで、操作装置10のメモリ部12が更新される。
【0061】
例えば2年使用された操作装置10の表示操作時の状態ST4において、操作装置10は駆動制御装置20Bから前記使用時間情報を取得して、メモリ部12の遮断弁使用時間222及び駆動制御装置使用時間223の設定値を更新し、その内容を表示部17に表示する。
【0062】
その結果、駆動制御装置20のメモリ部22の遮断弁使用時間222及び駆動制御装置使用時間223に書き込まれている「17520」が、操作装置10のメモリ部12の遮断弁使用時間124及び駆動制御装置使用時間125に設定されることで、操作装置10のメモリ部12が更新される。
【0063】
例えば10年使用された駆動制御装置20Bが交換される状態ST5において、遮断弁ユニット20は新たな駆動制御装置20Bに交換されると、図8に示すように、駆動制御装置20Bのメモリ部22には、遮断弁ユニット製造年月221に「0000/2009」、遮断弁使用時間222に「0」、駆動制御装置使用時間223に「0」、口径224に「0」がそれぞれ設定されている。即ち、遮断弁ユニット製造年月221には駆動制御装置20Bの製造年月のみが設定され、口径224には初期値である「0」が設定されているため、駆動制御装置20Bは遮断弁20Aの口径に応じた各種処理を行うことができない状態となっている。
【0064】
そして、操作装置10と新たな駆動制御装置20Bが結線されて、操作装置10から新たな駆動制御装置20Bへの電力供給が開始されると、駆動制御装置20Bは操作装置10に遮断弁ユニット製造年月221を識別情報、遮断弁使用時間222及び駆動制御装置使用時間223を使用時間情報、口径224を口径情報としてそれぞれ送信する。
【0065】
操作装置10は、今回受信した識別情報の遮断弁ユニット製造年月221とメモリ部12に記憶している識別情報の遮断弁ユニット製造年月123とを比較すると、一致しないことから、駆動制御装置20Bが交換されたものと判定する。そして、操作装置10は、メモリ部12の遮断弁ユニット製造年月221を「1009/1009」を「1009/2009」に上書きして更新し、駆動制御装置使用時間125に「0」を設定してクリアすると共に、メモリ部12の口径126に設定されている「2」を示す口径情報を作成して新たな駆動制御装置20Bに送信する。
【0066】
新たな駆動制御装置20Bは、受信した口径情報に基づいてメモリ部22の口径224を「0」から「2」に変更することで更新し、その口径情報に対応した固有情報をメモリ部22から抽出し、その固有情報を設定することで、その後は遮断弁2Aの口径に適した処理を行うことになる。
【0067】
以上説明した遮断システム1によれば、操作装置10が口径情報を駆動制御装置20Bに送信し、駆動制御装置20Bが受信した口径情報に対応した固有情報を複数の固有情報の中から抽出し、該固有情報に基づいて所定処理を実行するようにしたことから、操作装置10に口径情報を記憶させておくことで、駆動制御装置20Bを交換しても遮断弁20Aの口径情報を駆動制御装置20Bに自動で認識させることができるため、駆動制御装置20Bは遮断弁20Aの口径に適した各種処理を行うことができ、作業者が駆動制御装置20Bに口径を登録するという登録作業、通信により口径を登録するための装置等を不要とすることができる。従って、遮断弁20Aの口径を誤って設定することがなるため、遮断弁20Aの口径を検出する余計な口径検出機構を追加する必要がなくなり、遮断システム1のコストアップを防止できる。
【0068】
また、駆動制御装置20Bが登録口径情報を操作装置10に送信し、操作装置10がその受信した登録口径情報を口径情報としてメモリ部12に記憶するようにしたことから、遮断弁20Aに対応した登録口径情報を操作装置10に自動で記憶させることができるため、駆動制御装置20Bが口径情報を記憶していない共通の駆動制御装置20Bに交換されたときに、操作装置10から共通の駆動制御装置20Bに口径情報を送信して自動的に認識させることができる。よって、遮断弁20Aの口径の登録を要することなく、駆動制御装置20Bの共通化を図ることができるため、遮断システム1のさらなるコストダウンに貢献することができる。
【0069】
さらに、駆動制御装置20Bがその識別情報を操作装置10に送信し、操作装置10が今回受信した識別情報と前回受信した識別情報とを比較して駆動制御装置20Bの交換を検出すると、その交換の検出に応じて記憶している口径情報を駆動制御装置20Bに送信するようにしたことから、駆動制御装置20Bの交換に応じて操作装置10に記憶している口径情報を駆動制御装置20Bに自動で記憶させることができるため、駆動制御装置20Bが口径情報を記憶していない共通の駆動制御装置20Bに交換されたときに、迅速に共通の駆動制御装置20Bに遮断弁20Aの口径を自動的に認識させることができる。
【0070】
このように上述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の遮断システムの基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明の遮断システムの概略構成を説明するための図である。
【図3】遮断システムにおける操作装置及び遮断弁ユニットの構成を示す構成図である。
【図4】図3中の操作装置のメモリ部の一例を示すメモリマップである。
【図5】図3中の駆動制御装置のメモリ部の一例を示すメモリマップである。
【図6】図3中の操作装置のCPUが実行する口径情報管理処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る操作装置及び駆動制御装置の各メモリ部の内容と状態との関係の一部を説明するための図である。
【図8】本発明に係る操作装置及び駆動制御装置の各メモリ部の内容と状態との関係の他の一部を説明するための図である。
【符号の説明】
【0072】
1 遮断システム
10 操作装置
11a1 口径情報送信手段(操作装置のCPU)
11a2 登録口径情報受信手段(操作装置のCPU)
11a3 識別情報受信手段(操作装置のCPU)
11a4 交換検出手段(操作装置のCPU)
12 口径情報記憶手段(操作装置のメモリ部)
20 遮断弁ユニット
20A 遮断弁
20B 駆動制御装置
21a1 口径情報受信手段(駆動制御装置のCPU)
21a2 固有情報抽出手段(駆動制御装置のCPU)
21a3 所定処理実行手段(駆動制御装置のCPU)
21a4 登録口径情報送信手段(駆動制御装置のCPU)
21a5 識別情報送信手段(駆動制御装置のCPU)
22a 固有情報記憶手段(駆動制御装置のメモリ部)
22b 登録口径情報記憶手段(駆動制御装置のメモリ部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口径が異なる複数種類の遮断弁の駆動を制御する駆動制御装置と、前記駆動制御装置に電力を供給し且つ前記駆動制御装置との間で通信を行う操作装置と、を有する遮断システムにおいて、
前記操作装置が、前記駆動制御装置の駆動対象となる遮断弁の口径を示す口径情報を記憶する口径情報記憶手段と、前記口径情報記憶手段が記憶している口径情報を前記駆動制御装置に送信する口径情報送信手段と、を有し、
前記駆動制御装置が、前記複数種類の遮断弁の各々に対応した複数種類の固有情報を記憶する固有情報記憶手段と、前記操作装置の口径情報送信手段が送信した口径情報を受信する口径情報受信手段と、前記口径情報受信手段が受信した口径情報に対応した前記固有情報を、前記複数種類の固有情報の中から抽出する固有情報抽出手段と、前記固有情報抽出手段が抽出した固有情報に基づいて、予め定められた所定処理を実行する所定処理実行手段と、を有することを特徴とする遮断システム。
【請求項2】
前記駆動制御装置が、該駆動制御装置に着脱自在の前記遮断弁と、前記装着された遮断弁に対応して登録された前記口径を示す登録口径情報を記憶する登録口径情報記憶手段と、前記登録口径情報記憶手段が記憶している登録口径情報を前記操作装置に送信する登録口径情報送信手段と、を有し、
前記操作装置が、前記駆動制御装置の登録口径情報送信手段が送信した登録口径情報を受信する登録口径情報受信手段を有し、
前記口径情報記憶手段が、前記登録口径情報受信手段によって受信した登録口径情報を前記口径情報として記憶する手段であることを特徴とする請求項1に記載の遮断システム。
【請求項3】
前記駆動制御装置が、該駆動制御装置を識別するための識別情報を前記操作装置に送信する識別情報送信手段を有し、
前記操作装置が、前記識別情報を前記駆動制御装置から受信する識別情報受信手段と、前記受信した識別情報と前回受信した識別情報との比較結果に基づいて前記駆動制御装置の交換を検出する交換検出手段と、を有し、
前記操作装置の口径情報送信手段が、前記交換検出手段による交換の検出に応じて、前記口径情報を前記駆動制御装置に送信する手段であることを特徴とする請求項1又は2に記載の遮断システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−48264(P2010−48264A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210310(P2008−210310)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】