説明

遮音パネル及び遮音パネルのリフレッシュ方法

【課題】大きな作業負担を要することなく資源の有効利用を図ることができ、しかも、簡単な構造で太陽電池モジュールの角度可変が可能な遮音パネルを得る。
【解決手段】遮音構造151を有して車両が走行する走行路の側に向けて配置される正面板104の裏面側に背面板102を着脱自在に固定し、走行路の端部に沿って設置された支柱の間に積み重ねられた状態で保持されて全体として遮音壁をなす遮音パネル101に、太陽電池モジュール111を取り付ける。太陽電池モジュール111は、一端側が背面板102の表面に固定されて他端側が太陽電池モジュール111のフレーム113を固定するスペーサ121を介して背面板102の表面に固定される。スペーサ121は、少なくとも二種類の高さから選択された少なくとも二個を一組とする上下一組ずつ設けられ、太陽電池モジュール111の上方両側部と下方両側部とをそれぞれ背面板102に隙間を開けて連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や電車等の車両が走行する走行路の付帯設備として利用する遮音壁を形成するための遮音パネルに係り、特に、太陽電池モジュールと一体となった遮音パネルに関する。本発明は、また、既設置の遮音パネルを上記太陽電池モジュールと一体となった本発明の遮音パネルと交換し、取り外した既設置の遮音パネルを上記太陽電池モジュールと一体となった本発明の遮音パネルとして再生産する遮音パネルのリフレッシュ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や電車等の車両が走行する走行路、とりわけ高速道路や自動車専用道路には、その付帯設備として遮音壁が設置されることがある。遮音壁は、走行路の側部に沿って設置され、車両の走行によって発生する騒音が近隣に及ぶことを抑制する。このような遮音壁は、走行路の端部に沿って所定間隔で設置された支柱の間に複数個の遮音パネルを積み重ねて保持することで構築されている。
【0003】
近年、省エネルギー化による地球環境保護等の観点より、遮音壁を利用した太陽光発電についての試みが始まっている。例えば、特許文献1には、遮音壁をなす遮音パネルの一部をくり抜き、このくり抜き部分に太陽電池モジュールを取り付けるようにした発明が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、遮音壁をなす遮音パネルの裏面側、つまり走行路と反対側に太陽電池モジュールを設置するようにした発明が記載されている。特許文献2の記載によれば、遮音構造を有して走行路の側に向けて配置される正面板の裏面側に、直接、シート状の太陽電池モジュールをSUS製木ネジでねじ止め固定している(特許文献1の段落0006〜0007、図1〜図3参照)。
【0005】
なお、特許文献3には、遮音壁の上端に太陽電池モジュールを角度可変可能に設置した発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−060434公報
【特許文献2】特開2006−270006公報
【特許文献3】特表平10−507312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された発明は、既存の遮音パネルをくり抜いてリフレッシュするのであるから、既存の遮音パネルの有効利用を図ることができる。しかしながら、特許文献1に記載されている内容からして、遮音パネルをなす大部分、例えば遮音パネルが内蔵する吸音部材もくり抜き捨ててしまうのではないかと推定される。このため、資源の有効利用が図られないばかりか、その作業も大変な作業となり、作業性が極めて悪い。
【0008】
特許文献2に記載された発明は、遮音構造を有して走行路の側に向けて配置される正面板の裏面側に太陽電池モジュールを直接固定するのであるから、比較的、作業性が良好である。しかしながら、特許文献2の記載内容からして、太陽電池モジュール付きである新規の遮音パネルを製造してこれを新設するか、あるいは、既設置の遮音パネルに代えてそのような新規の遮音パネルを設置するものと推定される。このため、既設置の遮音パネルの再利用が果たされず、資源の有効利用を図ることができない。
【0009】
加えて、遮音板に太陽電池モジュールを設置する場合、設置場所毎に太陽電池モジュールの角度を可変できれば、効率的な発電を行なうことができる。設置場所毎に、太陽光が太陽電池モジュールに当たる角度が微妙に異なるからである。この点、特許文献3を参照されたい。これに対して、特許文献1、2に記載された発明は、その構造上、太陽電池モジュールの角度可変が不可能である。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、大きな作業負担を要することなく資源の有効利用を図ることができ、しかも、簡単な構造で太陽電池モジュールの角度可変が可能な遮音パネルを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、車両が走行する走行路の端部に沿って所定間隔で設置された支柱の間に積み重ねられた状態で保持されて全体として遮音壁をなす遮音パネルであって、遮音構造を有して走行路の側に向けて配置される正面板と、前記正面板の裏面側に着脱自在に固定されて当該正面板の裏面を覆う背面板と、重ね合わせた前記背面板からはみ出さない大きさでパネル状の太陽電池セルの周囲をフレームで保持して形成された太陽電池モジュールと、一端側が前記背面板の表面に連結されて他端側が前記太陽電池モジュールのフレームを連結する少なくとも二種類の高さから選択された少なくとも二個を一組とする上下一組ずつのスペーサを有し、前記太陽電池モジュールの上方両側部と下方両側部とをそれぞれ前記上下一組ずつのスペーサで前記背面板に隙間を開けて連結する支持構造と、を備える。
【0012】
本発明の別の一態様は、遮音構造を有して走行路の側に向けて配置される既設置の正面板の裏面側にこの既設置の正面板の裏面を覆う既設置の背面板を着脱自在に固定し、車両が走行する走行路の端部に沿って所定間隔で設置された支柱の間に積み重ねられた状態で保持されて全体として遮音壁をなす既設置の遮音パネルを前記支柱から取り外す工程と、前記既設置の遮音パネルを取り外した前記支柱の間の領域に、上記本発明の一態様の遮音パネルを設置する工程と、前記既設置の遮音パネルの前記既設置の正面板から前記既設置の背面板を離脱させ、上記本発明の一態様の遮音パネルの要素である前記太陽電池モジュールが前記支持構造によって連結された前記背面板を前記既設置の背面板を離脱させた前記既設置の正面板に着脱自在に固定して上記本発明の一態様の遮音パネルを製造する工程と、を備える遮音パネルのリフレッシュ方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、既設置の遮音パネルを取り外して遮音構造を有する正面板から背面板を離脱させ、背面板を離脱させた既設置の正面板に太陽電池モジュールが支持構造によって連結された背面板を固定することによって遮音パネルを製造することができ、これにより、大きな作業負担を要することなく資源の有効利用を図ることができる。また、本発明によれば、上下一組ずつのスペーサの高さを適宜選択し、あるいは、少なくとも二個を一組とするスペーサの高さを適宜設定するだけという簡単な構造で太陽電池モジュールの角度可変を行なうことができ、したがって、その組立作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の一形態として、遮音壁を示す背面図である。
【図2】遮音壁の組立工程を例示する斜視図である。
【図3】遮音壁の一要素である遮音パネルの背面図である。
【図4】遮音パネルを構成する正面板と背面板との接合固定構造を示す分解斜視図である。
【図5】遮音パネルの縦断側面図である。
【図6】遮音パネルの横断平面図である。
【図7】背面板に取り付けられる太陽電池モジュールの一部分を示し、(a)は側面カバーが取り付けられていない状態の側面図、(b)は側面カバーが取り付けられた状態の側面図である。
【図8】太陽電池モジュールのフレームの一部分を示す斜視図である。
【図9】太陽電池モジュールと背面板とをスペーサを用いて連結する支持構造を示す分解斜視図である。
【図10】太陽電池セルから引き出される配線を保持して通す配線通路を示す模式図である。
【図11】太陽光発電システムのシステム構成を示すブロック図である。
【図12】遮音パネルのリフレッシュ方法の手順を示す模式図である。
【図13】(a)は太陽電池モジュールが僅かに上向き状態である場合、(b)は太陽電池モジュールがより上向き状態である場合、(c)は太陽電池モジュールが下向き状態である場合をそれぞれ示す遮音パネルの縦断側面図である。
【図14】本発明の別の実施の一形態として、太陽電池モジュールが取り付けられた背面板を示す横断平面図である。
【図15】本発明の更に別の実施の一形態として、太陽電池モジュールが取り付けられた背面板を側断面方向から示す模式図である。
【図16】太陽電池モジュールが取り付けられた背面板を横断面方向から示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の一形態を図1ないし図13に基づいて説明する。本実施の形態では、遮音パネル101を一要素とする遮音壁201を紹介し、この遮音壁201を利用した太陽光発電システム301についても言及する。本実施の形態は、また、既設置の遮音パネル11を太陽電池モジュール111と一体となった本実施の形態の遮音パネル101と交換し、取り外した既設置の遮音パネル11を太陽電池モジュール111と一体となった本実施の形態の遮音パネル101として再生産する遮音パネル101のリフレッシュ方法をも含んでいる。
【0016】
図1は、遮音壁201を示す背面図である。遮音壁201は、車両が走行する走行路401(図2参照)に沿って所定間隔で設置された複数本の支柱202の間に、複数個の遮音パネル101を積み重ねて保持することで構築されている。遮音パネル101は、その背面側に太陽電池モジュール111を一体的に備えている。太陽電池モジュール111は、一つの遮音パネル101に一つ設けられている。
【0017】
遮音壁201は、所々にパワーコンディショナ311を設置している。パワーコンディショナ311は、二つ分の遮音パネル101の分のスパンを利用して二本の支柱202の間に保持されたパワーコンディショナ壁312に内蔵されている。一つのパワーコンディショナ311は、複数個の太陽電池モジュール111に対応し、これらの複数個の太陽電池モジュール111から直流電力を取り込む。
【0018】
図2は、遮音壁201の組立工程を例示する斜視図である。遮音パネル101を保持する支柱202は、水平断面H形状をしたH鋼である(図6も参照)。そこで、支柱202は、両側に凹状となった保持溝203を備えている。複数本の支柱202は、保持溝203同士が対面するように走行路401に沿って立設されている。
【0019】
遮音パネル101は、隣接する二本の支柱202に形成されて相対面している保持溝203に、支柱202の上方から差し込まれている。差し込まれた後の遮音パネル101は、固定構造(図示せず)によって支柱202に固定されている。こうして、次から次へと隣接する二本の支柱202の間に遮音パネル101が装着されることで、遮音壁201が構築される。
【0020】
図3は、遮音壁201の一要素である遮音パネル101の背面図である。遮音壁201は、前述したように、その背面側に太陽電池モジュール111を有している。太陽電池モジュール111は、パネル状の太陽電池セル112の周囲をフレーム113及び側面カバー114で保持して形成されている。このような太陽電池モジュール111は、遮音パネル101の背面側の構造物である背面板102(図4ないし図6も参照)に形成された凹部103に収められて配置されている。
【0021】
図4は、遮音パネル101を構成する正面板と背面板との接合固定構造を示す分解斜視図である。遮音パネル101は、先に説明した背面板102と正面板104とをベース部材として構成されている。これらの背面板102と正面板104とは、プレス加工された高耐候性メッキ鋼板であり、互いに接合可能な接合辺102a、104aを有している。これらの接合辺102a、104aは、背面板102及び正面板104の互いの裏面側の上部及び下部を垂直に折り曲げ加工して形成された辺状部であり、互いに接合するよう寸法を定めて形成されている。そして、背面板102に形成されている上下一対の接合辺102aと正面板104に形成されている上下一対の接合部104aとには、互いに位置合わせされてリベット孔102b、104bが形成されている。そこで、背面板102と正面板104とは、互いの接合辺102a、104aを接合させた状態で、互いのリベット孔102b、104bにリベット105を挿入して押し潰すことにより、リベット止めされている。リベット止めは、周知のように、複数の部材にアルミ製等のリベットを貫通させて押し潰すことによりそれらの複数の部材を固定する手法であり、リベットを捻じ切れば、比較的容易にリベット止めした複数の部材を離反させることができる。そこで、本実施の形態においても、リベット止めした背面板102と正面板104とを比較的容易に離脱させることができる。この意味で、背面板102と正面板104とは、着脱自在に固定されていることになる。
【0022】
図4に示すように、背面板102には、複数個の取付孔106が形成されている。これらの取付孔106は、背面板102に太陽電池モジュール111を取り付けるために形成されている孔である。個々の取付孔106の詳細については、後述する。
【0023】
図4に示すように、正面板104には、その正面に位置させて、パネル露出孔107が形成されている。パネル露出孔107は、図示しないが横方向に複数個配列されている。これらのパネル露出孔107は、後述する遮音構造151が有している蛇腹パネル152を走行路401の側に露出させるための孔である。
【0024】
図5は、遮音パネル101の縦断側面図である。遮音パネル101は、正面板104に遮音構造151を担わせている。遮音構造151は、正面板104に形成されたパネル露出孔107から露出するように取り付けられる蛇腹パネル152と、この蛇腹パネル152の背面側に位置させて配置された吸音材153とによって形成されている。
【0025】
蛇腹パネル152は、一例としてアルミ材を材料とし、蛇腹形状に形成されている。蛇腹パネル152は、正面板104に形成されたパネル露出孔107から露出することで、遮音パネル101の正面側に位置する走行路401に対面することになる。
【0026】
吸音材153としては、グラスウールやロックウール等が用いられる。このような吸音材153は、吸音材保護フィルム154に充填されて用いられている。吸音材保護フィルム154に充填された吸音材153は、正面板104の構成材である補強板108に挟み込まれるようにして正面板104に保持されている。
【0027】
図6は、遮音パネル101の横断平面図である。図5に示す遮音パネル101の縦断側面図と共に、また、後述する図7ないし図9に示す各種図と共に、太陽電池モジュール111について説明し、背面板102に対する太陽電池モジュール111の固定構造についても説明する。ここで、図7は、背面板102に取り付けられる太陽電池モジュール111の一部分を示し、(a)は側面カバー114が取り付けられていない状態の側面図、(b)は側面カバー114が取り付けられた状態の側面図である。図8は、太陽電池モジュール111のフレーム113の一部分を示す斜視図である。図9は、太陽電池モジュール111と背面板102とをスペーサ121を用いて連結する支持構造122を示す分解斜視図である。
【0028】
まず、太陽電池モジュール111について説明する。太陽電池モジュール111の主体をなすパネル状の太陽電池セル112は、その上辺と下辺とに取り付けられた一対のフレーム113と、これらのフレーム113をその両端で連結する一対の側面カバー114とによって保持されている。フレーム113及び側面カバー114は、一例として、アルミの押し出し成形によって形成されたアルミ押出材である。
【0029】
図7(a)及び図8にも示すように、フレーム113は、太陽電池セル112が嵌り込むコの字形状のフレーム溝115を有している。フレーム113は、また、その両端面に二つのボルト孔116を有している。これらのボルト孔116は、フレーム113の端部に側面カバー114をボルト117(図7(b)参照)でボルト止めするために用いられる。そこで、太陽電池セル112の上辺と下辺とをフレーム溝115に嵌め込ませて太陽電池セル112の上部と下部とにフレーム113を取り付け、この状態で、上下一対のフレーム113の両端に一対の側面カバー114を固定する(図5、図6参照)。固定は、側面カバー114に形成された取付孔118にワッシャWを介して挿通させたボルト117をフレーム113のボルト孔116に螺合させて締め付けることによってなされる(図8参照)。フレーム113に固定された側面カバー114は、上下一対のフレーム113を連結する役割を担う。これにより、上下一対のフレーム113と左右一対の側面カバー114とは、窓枠形状のフレーム構造体となる。しかも、フレーム113に固定された側面カバー114は、フレーム113に形成されたフレーム溝115を覆う。これにより、このフレーム溝115に嵌め込まれている太陽電池セル112が抜け止めされ、フレーム113の側方に脱落してしまうことが防止される(図7(a)、(b)参照)。こうして、太陽電池セル112がフレーム113及び側面カバー114によって保持され、太陽電池モジュール111が形成される。
【0030】
次いで、太陽電池モジュール111と背面板102とをスペーサ121を用いて連結する支持構造122について説明する。支持構造122は、太陽電池モジュール111の上方両側部と下方両側部とをそれぞれ、上下一組ずつのスペーサ121を用いて、背面板102の凹部103に隙間を開けて連結する構造を有している。スペーサ121は、一端側が背面板102の表面に連結されて他端側が太陽電池モジュール111のフレームに連結されている。このようなスペーサ121は、少なくとも二種類の高さから選択された同一高さの二個を一組として、上下一組ずつ設けられている。太陽電池モジュール111は、その上方部分を同一高さの二個一組のスペーサ121によって支持され、その下方部分も同一高さの二個一組のスペーサ121によって支持されている。上方部分においても下方部分においても、スペーサ121は太陽電池モジュール111の隅部近傍を支持している。これにより、太陽電池モジュール111は、その四隅がスペーサに支持された状態となっている。
【0031】
支持構造122は、上方に位置するスペーサ121の組と下方に位置するスペーサ121の組との高さをそれぞれ変えることで、太陽電池モジュール111の上下方向の角度を調節することができる。この場合、太陽電池モジュール111の傾斜角度の変化に応じて、太陽電池モジュール111に対するスペーサ121の連結点の垂直間距離が変動し、また、太陽電池モジュール111に対するスペーサ121の連結角度が変動する。そこで、支持構造122は、このような変動を吸収するための構造を必要とする。支持構造122は、そのような吸収のための構造として、第一に、背面板102に対してスペーサ121を上下方向に位置調節自在にする構造を有し(便宜上、第一の構造という)、第二に、スペーサ121に対して太陽電池モジュール111を水平軸周りに回転自在にする構造を有する(便宜上、第二の構造という)。第一の構造は、太陽電池モジュール111の傾斜角度の変化に応じて、太陽電池モジュール111に対するスペーサ121の連結点の垂直間距離が変動することを吸収するための構造である。第二の構造は、太陽電池モジュール111の傾斜角度の変化に応じて、太陽電池モジュール111に対するスペーサ121の連結角度が変動することを吸収するための構造である。
【0032】
第一の構造、つまり、背面板102に対してスペーサ121を上下方向に位置調整自在にするための構造について説明する。スペーサ121は、背面板102の表面に固定される第1の部品123と太陽電池モジュール111のフレーム113に連結される第2の部品124とに二分割されており、二分割された第1の部品123と第2の部品124とが上下方向に位置調節自在に固定されている。
【0033】
つまり、第1の部品123は、一例として、フッ素鋼板の加工品であり、コの字形にプレス加工されて形成され、平面及び底面形状がコの字となる方向で背面板102に上下二箇所のボルト止めで固定されている。ここでは、第1の部品123のコの字形をなすよう相対向する二辺のうち、背面板102に固定される方を固定辺125、第2の部品124に連結固定される方を連結辺126と呼ぶ。固定辺125と連結辺126とには、それぞれ二つの取付孔125a、126aが形成されている。このような第1の部品123を背面板102にボルト止めするために、背面板102の取付孔106が利用される。利用されるのは、取付孔106のうち、上下二箇所に二個ずつ形成されたスペーサ用取付孔106a(図4参照)である。第1の部品123をボルト止めするに際しては、背面板102の裏面側からスペーサ用取付孔106aにワッシャWを介してボルト127を挿通し、背面板102の表面側に突出したボルト127に、第1の部品123の固定辺125に形成されている取付孔125aを嵌め込む。その後、取付孔125aから突出するボルト127にワッシャWを介してナット128を螺合させ、締め込む。これにより、背面板102の上下二箇所に、スペーサ121の一部である第1の部品123が強固に固定される(第1の締着構造)。
【0034】
第2の部品124は、一例として、フッ素鋼板の加工品であり、L字形にプレス加工されて形成され、平面及び底面形状がL字となる方向で第1の部品123に上下二箇所のボルト止めで連結固定されている。ここでは、第2の部品124のL字形をなす二辺のうち、第1の部品123に連結固定される方を連結固定辺129、別の一辺を回転連結辺130と呼ぶ。回転連結辺130は、太陽電池モジュール111に回転自在に連結される辺であり、その詳細は後述する。連結固定辺129は、第1の部品123の連結辺126に接合させ、この連結辺126にボルト止めされる。そのための構造として、連結固定辺129には、第1の部品123の連結辺126に形成されている取付孔126aと位置合わせされた二つの取付孔129aが形成されている。第2の部品124の連結固定辺129を第1の部品123の連結辺126にボルト止めするに際しては、連結辺126に連結固定辺129を接合させ、連結辺126の裏面側から取付孔126aにワッシャWを介してボルト131を挿通し、連結固定辺129の表面側に突出させ、その突出したボルト131にワッシャWを介してナット132を螺合させ、締め込む。これにより、第1の部品123に第2の部品124が強固に固定される(第2の締着構造)。
【0035】
ここで、図9に示すように、第1の部品123の連結辺126に形成されている取付孔126aは、上下方向に長い長孔である。そこで、第2の部品124は、ボルト131が取付孔126a内を可動する範囲内で、上下方向に位置をずらすことができる。これにより、二分割された第1の部品123と第2の部品124とを上下方向に位置調節自在に固定することができ、背面板102に対してスペーサ121を上下方向に位置調整自在とすることができる。
【0036】
第二の構造、つまり、スペーサ121に対して太陽電池モジュール111を水平軸周りに回転自在にする構造について説明する。第2の部品124が有している回転連結辺130は、三角形形状をしており、その頂点近傍位置には円柱状の支軸133がボルト止めで固定されている。回転連結辺130は、垂直方向に向けて配置されており、支軸133は、そのような回転連結辺130に直角に固定されているため、支軸133の軸方向は水平方向に向けられている。しかも、四個のスペーサ121がそれぞれ有している支軸133は、全て、太陽電池モジュール111の方に向けられている。太陽電池モジュール111は、これらの四個のスペーサ121によって支持されている。
【0037】
図9に示すように、支軸133のボルト止め構造として、回転連結辺130は、支軸133を固定する位置に支軸133よりも小径の取付孔134を有し、支軸133は、その取付孔134に嵌合するネジ部135を有している。そこで、支軸133のネジ部135を回転連結辺130の取付孔134に挿入し、ワッシャWを介してナット136を螺合させて締め付けることで、回転連結辺130に支軸133が強固に固定される。
【0038】
図8に示すように、遮音パネル101のフレーム113は、支軸133を挿入可能なピン挿入孔141を有している。このピン挿入孔141は、フレーム溝115と平行に形成された断面矩形の空洞であり、左右の幅寸法は支軸133の直径と略同一寸法に形成され、上下の高さ寸法は支軸133の直径よりも長い寸法で形成されている。そこで、フレーム113は、ピン挿入孔141内にその長手方向と直交する方向に延出させた四個の支持ボルト142を配置し、これらの四個の支持ボルト142によって、支軸133の上部と下部とを四点支持している。この場合、上方に位置する一対の支持ボルト142Uと下方に位置する一対の支持ボルト142Lとの間の離間距離は、支軸133の直径と略同一寸法に設定されている(図7(a)、(b)参照)。これにより、フレーム113と支軸133とは、互いに回転自在となる。
【0039】
フレーム113のピン挿入孔141内に四個の支持ボルト142を配置するための構成として、フレーム113は、その側面に四個のネジ孔143を有している。四個の支持ボルト142を、それぞれワッシャWを介して四個のネジ孔143に螺合させて締め込むことで、ピン挿入孔141内に四個の支持ボルト142を配置することができる。
【0040】
こうして、太陽電池モジュール111のフレーム113に形成されたピン挿入孔141にスペーサ121の支軸133が挿入されることで、太陽電池モジュール111は支軸133に支持される。この場合、スペーサ121と太陽電池モジュール111とは互いに水平軸周りに回転自在であるので、スペーサ121に対して太陽電池モジュール111を水平軸周りに回転自在とすることができる。
【0041】
次いで、遮音パネル101は、背面板102からの太陽電池モジュール111の脱落を抑制する脱落抑制構造161と、もしも太陽電池モジュール111が背面板102から脱落した場合であっても、太陽電池モジュール111が落下してしまうことを防止する脱落防止構造171とを有している。
【0042】
脱落抑制構造161は、背面板102から離反する太陽電池モジュール111のフレーム113に当接してその動きを規制する規制板162による。つまり、図5及び図7に示すように、フレーム113は、その端部が垂直方向に延出して当接部163となっている。上方に位置するフレーム113の当接部163は下方に向けて延び、下方に位置するフレーム113の当接部163は上方に向けて延びている。上下それぞれ設けられている規制板162は、その一端が背面板102にボルト止めで固定され、自由端側が垂直に屈曲した屈曲辺164となっている。屈曲辺164は、フレーム113に形成された当接部163よりも背面板102から離反した位置でその当接部163に僅かな隙間を開けて対面している。これにより、第1の締着構造をなすボルト127や第2の締着構造をなすボルト131が緩むことによってフレーム113が背面板102から離反する方向に移動した場合、フレーム113に形成された当接部163が規制板162の屈曲辺164に当接し、それ以上のボルト127、131の緩みを抑制する。これにより、脱落抑制構造161は、背面板102からの太陽電池モジュール111の脱落を抑制することができる。
【0043】
本実施の形態の遮音パネル101は、二種類の脱落防止構造171を有している。
【0044】
一つは、上方に位置する規制板162である。この規制板162に形成された屈曲辺164は、上方に向けて屈曲しているので、上方に位置するスペーサ121から太陽電池モジュール111のフレーム113が脱落したもしもの場合であっても、そのフレーム113に形成された当接部163を引っ掛けて保持することができる。これにより、脱落防止構造171は、もしも太陽電池モジュール111が背面板102から脱落した場合であっても、太陽電池モジュール111が落下してしまうことを防止することができる。
【0045】
もう一つは、背面板102と太陽電池モジュール111のフレーム113との間に掛け渡された連結部材172である。つまり、連結部材172は例えばチェーンによって形成され、一端が上方に位置する規制板162に連結され、他端が下方に位置するフレーム113に連結されている。これにより、スペーサ121から太陽電池モジュール111が脱落した場合でも、太陽電池モジュール111は連結部材172によって保持され、その落下を防止することができる。
【0046】
ここで、背面板102に太陽電池モジュール111を取り付けるための作業手順について述べる。まず、背面板102には、ボルト127を主体とする第1の締着構造で四個のスペーサ121を強固に固定しておく(図9参照)。この際、スペーサ121を構成する第1の部品123から第2の部品124を取り外し、第1の部品123のみを背面板102に固定する。そして、支軸133にスペーサ121を構成する第2の部品124を予め固定する(図9参照)。その後、太陽電池モジュール111のフレーム113に形成されているピン挿入孔141のそれぞれに、第2の部品124を固定した支軸133を挿入する。この際、支軸133にストッパ137を取り付けておく(図8参照)。ストッパ137は、支軸133に形成したストッパ溝138に嵌め込んで取り付ける。そして、支軸133を支持する四本の支持ボルト142のうち、手前側の支持ボルト142と奥側の支持ボルト142との間にストッパ137を位置付け、支持ボルト142を抜け止めしておく。この処置は、仮に、支軸133がスペーサ121から脱落した場合であっても、フレーム113から支軸133が脱落しないようにするための処置である。そして、最後に、背面板102に固定された第1の部品123に第2の部品124を固定することで、背面板102に太陽電池モジュール111を固定することができる。
【0047】
こうして、背面板102に固定された太陽電池モジュール111は、背面板102に形成されている凹部103内に配置される(図5参照)。そして、凹部103内の天井面103aは、凹部103の入口に向かうに従い上方に向けて傾斜し、太陽電池モジュール111の上辺から離反している。これにより、凹部103内の天井面103aの入口部分と太陽電池モジュール111との間には、ある程度の離間距離が保たれている。
【0048】
図10は、太陽電池セル112から引き出される配線Cを保持して通す配線通路181を示す模式図である。背面板102は、正面板104に接合される裏面側の一部分が内側にオフセットしている(図4、図6も参照のこと)。換言すると、背面板102の表面側は、左右方向に出っ張っている。この出っ張った部分は、支柱202を覆って隠すための延出部182である。背面板102は、その上部に位置させて、延出部182に配線通路181を内蔵している(図4も参照のこと)。配線通路181は、例えば角パイプ形状をした部材であり、太陽電池セル112のコネクトボックス183(図5参照)から引き出される配線Cを保持して通すことができるようになっている。
【0049】
図11は、太陽光発電システム301のシステム構成を示すブロック図である。前述したように、一つのパワーコンディショナ311は、複数個の太陽電池モジュール111に対応し、これらの複数個の太陽電池モジュール111から直流電力を取り込む。そこで、太陽電池モジュール111のコネクトボックス183から引き出された配線Cは、前述した配線通路181を通されて隣接する太陽電池モジュール111のコネクトボックス183から引き出された配線Cに直列接続され、最終的に一つのパワーコンディショナ311に集められて接続されている。パワーコンディショナ311は、複数個の太陽電池モジュール111から供給された電力を直列から並列に変換して出力する。このようなパワーコンディショナ311は、コンピュータ構成のデータ計測装置321と接続され、データ計測装置321に情報を提供したり、データ計測装置321からの指示を受信したりする。データ計測装置321は、パワーコンディショナ311から受信した情報を大型の表示装置322に表示する。
【0050】
一つのパワーコンディショナ311と複数個の太陽電池モジュール111という系統は、複数系統が連系盤331に集められて接続されている。連系盤331は、高圧受電盤341及び低圧主幹盤342に接続され、負荷351に対する電力供給や、電力会社352への電力売買を実現する。
【0051】
図12は、遮音パネル101のリフレッシュ方法の手順を示す模式図である。本実施の形態の遮音パネル101のリフレッシュ方法は、既設置の遮音パネル11を太陽電池モジュール111と一体となった本実施の形態の遮音パネル101と交換し、取り外した既設置の遮音パネル11を太陽電池モジュール111と一体となった本実施の形態の遮音パネル101として再生産する、というものである。
【0052】
つまり、図12(a)に示すように、二本の支柱202の間から既設置の遮音パネル11を次々と外し、図12(b)に示すように、本実施の形態の遮音パネル101を次々と装着し、遮音壁201を改修する。この際、遮音パネル101としては、全く新規に製造したものであっても、本実施の形態のリフレッシュ方法によって再生産したものであっても、いずれでも良い。
【0053】
次いで、図12(c)に示すように、取り外した既設置の遮音パネル11を例えば再生産工場に持ち帰り、その遮音構造151を有する正面板104から背面板12を取り外す。そして、図12(d)に示すように、背面板12を取り外した既設置の正面板104に、太陽電池モジュール111を有する本実施の形態の背面板102を固定する。こうして、図12(e)に示すように、既設置の遮音パネル11が本来有していた遮音構造151を有する正面板104を再利用した遮音パネル101が完成する。こうして完成した遮音パネル101は、図12(b)に示すように、既設置の遮音パネル11を取り外した後に設置する太陽電池モジュール111付きの遮音パネル101として利用することができる。したがって、大きな作業負担を要することなく、資源の有効利用を図ることができる。
【0054】
図13(a)〜(c)は、太陽電池モジュール111が様々な傾斜角度に設定された状態を示す遮音パネル101の縦断側面図である。本実施の形態の遮音パネル101によれば、上下一組ずつのスペーサ121の高さを適宜選択するだけという簡単な構造で太陽電池モジュール111の上下方向の角度可変を行なうことができる。一例として、図13(a)は、太陽電池モジュール111が僅かに上向き状態である場合を示している。この状態は、下方に位置するスペーサ121の高さを上方に位置するスペーサ121の高さよりも僅かに高くすることによって実現する。この例では、スペーサ121を構成する第1の部品123と第2の部品124とのうち、第2の部品124の高さは上下で変えず、第1の部品123の高さを上下で変更することによって対処している。別の一例として、図13(b)は、太陽電池モジュール111がより上向き状態である場合を示している。この状態は、下方に位置するスペーサ121の高さを上方に位置するスペーサ121の高さよりもより高くすることによって実現する。この例では、上方に位置するスペーサ121については、第1の部品123を設けないことによって対処している。更に別の一例として、図13(c)は、太陽電池モジュール111が下向き状態である場合を示している。この状態は、下方に位置するスペーサ121の高さを上方に位置するスペーサ121の高さよりも低くすることによって実現する。この例では、下方に位置するスペーサ121については、第1の部品123を設けないことによって対処している。このように、本実施の形態によれば、上下一組ずつのスペーサ121の高さを適宜選択するだけという簡単な構造で太陽電池モジュール111の上下方向の角度可変を行なうことができ、したがって、その組立作業の効率化を図ることができる。
【0055】
ここで、本実施の形態によれば、スペーサ121は、太陽電池モジュール111のフレーム113をその上方両側端及び下方両側端の四箇所で水平軸周りに回転自在に支持する四個の支軸133を有し、これらの支軸133によって太陽電池モジュール111のフレーム113を回転自在に連結する(図5、図6参照)。これにより、太陽電池モジュール111の角度可変によって生ずるスペーサ121と太陽電池モジュール111との間の角度変化を簡単な構造によって確実に吸収することができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、スペーサ121は、背面板102の表面に固定される第1の部品123と太陽電池モジュール111のフレーム113を連結する第2の部品124とに二分割され、二分割された第1の部品123と第2の部品124とが上下方向に位置調節自在に固定されている(図9参照)。これにより、太陽電池モジュール111の角度可変によって生ずるスペーサ121と背面板102との垂直方向寸法の変動を簡単な構造によって確実に吸収することができる。
【0057】
また、本実施の形態によれば、背面板102と第1の部品123とを軸方向の締め付けによって締着し、第1の部品123と第2の部品124とを軸方向の締め付けによって固定する(図9参照)。これにより、締着構造によって背面板102と太陽電池モジュール111とが強固に固定され、太陽電池モジュール111の脱落等を抑制することができる。このような太陽電池モジュール111の脱落抑制に対しては、背面板102に固定した規制板162も有効に機能する(図5、図6参照)。
【0058】
更に、上方に位置する規制板162は、スペーサ121から脱落後のフレーム113を引っ掛け保持する屈曲辺164を有していることから、太陽電池モジュール111が万が一、背面板102から脱落してしまったとしても、その落下事故を未然に防止することができる(図5参照)。このような太陽電池モジュール111の落下事故防止に対しては、背面板102と太陽電池モジュール111のフレーム113との間に掛け渡された連結部材172も有効に機能する(図5参照)。
【0059】
加えて、太陽電池モジュール111は、背面板102に形成されている凹部103内に配置される(図5参照)。このため、遮音パネル101、あるいは背面板102を積み重ねて配置したとしても、太陽電池モジュール111の損傷を防止することができる。
【0060】
更に、凹部103内の天井面103aは、凹部103の入口に向かうに従い上方に向けて傾斜し、太陽電池モジュール111の上辺から離反している。これにより、凹部103内の天井面103aの入口部分と太陽電池モジュール111との間には、ある程度の離間距離が保たれている。このため、太陽電池モジュール111を凹部103に収納保持したとしても、背面板102の天井面103aが太陽電池モジュール111に対する太陽光を遮蔽することがない。したがって、太陽電池モジュール111に対して確実に太陽光を照射させることができ、発電効率の向上を図ることができる。
【0061】
別の実施の一形態を図14に基づいて説明する。図1ないし図13に基づいて説明した前記実施の形態(説明の便宜上、最初の実施の形態と略称する)と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0062】
図14は、太陽電池モジュール111が取り付けられた背面板102を示す横断平面図である。最初の実施の形態では、支持構造122が太陽電池モジュール111を上下方向に角度可変自在に背面板102に取り付けているのに対して、本実施の形態の支持構造122は、太陽電池モジュール111を左右方向に角度可変自在に背面板102に取り付けている。そのための構造として、太陽電池モジュール111にスペーサ121を取り付けた状態の構造物を、最初の実施の形態に対して90度回転させた状態で背面板102に固定している。
【0063】
このような構成上、二個を一組とする左右のスペーサ121をそれぞれ異なる高さに設定し、上下一組ずつのスペーサ121をそれぞれ同一高さに設定することによって、太陽電池モジュール111を左右方向に傾斜配置することができる。このように、本実施の形態の遮音パネル101によれば、左右のスペーサ121の高さを適宜選択するだけという簡単な構造で太陽電池モジュール111の左右方向の角度可変を行なうことができる。したがって、遮音パネル101の組立作業の効率化を図ることができる。
【0064】
更に別の実施の一形態を図15及び図16に基づいて説明する。最初の実施の形態及び図14に基づいて説明した前記実施の形態(説明の便宜上、次の実施の形態と略称する)と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0065】
図15は、太陽電池モジュール111が取り付けられた背面板102を側断面方向から示す模式図、図16は、太陽電池モジュール111が取り付けられた背面板102を横断面方向から示す模式図である。本実施の形態は、太陽電池モジュール111の傾斜角度を上下及び左右のあらゆる方向に可変できるようにした一例である。そのための構造として、太陽電池モジュール111にスペーサ121(図15及び図16中、スペーサ121Aとして示す)を取り付けた状態の構造物を用意する。この構造物は、最初の実施の形態と同様に、図15及び図16中には図示しない支軸133(図7〜図8参照)の軸方向の向きを水平方向とする。そして、このような構造物が有するスペーサ121Aを、最初の実施の形態のように直接的に背面板102に固定するのではなく、左右一対の中間板191を介して背面板102に間接的に固定する。また、それらの左右一対の中間板191も直接的に背面板102に固定するのではなく、背面板102に直接的に取り付けられたスペーサ121(図15及び図16中、スペーサ121Bとして示す)を介在させて固定する。この場合、背面板102の上下端には、図15及び図16中には図示しない支軸133(図7〜図8参照)を設けておく。これらの支軸133の軸方向の向きは垂直方向である。したがって、太陽電池モジュール111は、スペーサ121Aによって水平向きの回転軸HRA周りに回転自在となり、スペーサ121Bによって垂直向きの回転軸VRA周りに回転自在となる。
【0066】
このような構成上、上下一組ずつのスペーサ121Aをそれぞれ異なる高さに設定することによって、太陽電池モジュール111を上下方向に傾斜配置することができる。また、左右のスペーサ121Bをそれぞれ異なる高さに設定することによって、太陽電池モジュール111を左右方向に傾斜配置することができる。したがって、スペーサ121Aとスペーサ121Bとの高さを適宜組み合わせることで、太陽電池モジュール111の角度を上下方向及び左右方向のいずれの方向にも所望の角度に設定することが可能となる。このように、スペーサ121Aとスペーサ121Bとの高さを適宜設定するだけという簡単な構造によって太陽電池モジュール111をあらゆる方向に角度可変することができ、遮音パネル101の組立作業の効率化を図ることができる。
【符号の説明】
【0067】
101 遮音パネル
102 背面板
103 凹部
104 正面板
111 太陽電池モジュール
112 太陽電池セル
113 フレーム
121 スペーサ
122 支持構造
123 第1の部品
124 第2の部品
127 ボルト(第1の締着構造)
128 ナット(第1の締着構造)
131 ボルト(第2の締着構造)
132 ナット(第2の締着構造)
133 支軸
151 遮音構造
162 規制板
164 屈曲辺
172 連結部材
181 配線通路
201 遮音壁
202 支柱
401 走行路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する走行路の端部に沿って所定間隔で設置された支柱の間に積み重ねられた状態で保持されて全体として遮音壁をなす遮音パネルであって、
遮音構造を有して走行路の側に向けて配置される正面板と、
前記正面板の裏面側に着脱自在に固定されて当該正面板の裏面を覆う背面板と、
重ね合わせた前記背面板からはみ出さない大きさでパネル状の太陽電池セルの周囲をフレームで保持して形成された太陽電池モジュールと、
一端側が前記背面板の表面に連結されて他端側が前記太陽電池モジュールのフレームを連結する少なくとも二種類の高さから選択された少なくとも二個を一組とする上下一組ずつのスペーサを有し、前記太陽電池モジュールの上方両側部と下方両側部とをそれぞれ前記上下一組ずつのスペーサで前記背面板に隙間を開けて連結する支持構造と、
を備えることを特徴とする遮音パネル。
【請求項2】
前記少なくとも二個を一組とするスペーサがそれぞれ同一高さに設定され、前記上下一組ずつのスペーサがそれぞれ異なる高さに設定されることによって、前記太陽電池モジュールが上下方向に傾斜配置されている、ことを特徴とする請求項1記載の遮音パネル。
【請求項3】
前記スペーサは、上下方向に位置調節自在に前記背面板に連結され、水平軸周りに回転自在に前記太陽電池モジュールのフレームを連結する、ことを特徴とする請求項2記載の遮音パネル。
【請求項4】
前記スペーサは、前記太陽電池モジュールのフレームをその上方両側端及び下方両側端の四箇所で水平軸周りに回転自在に支持する四個の支軸を有し、これらの支軸によって前記太陽電池モジュールのフレームを回転自在に連結する、ことを特徴とする請求項3記載の遮音パネル。
【請求項5】
前記スペーサは、前記背面板の表面に固定される第1の部品と前記太陽電池モジュールのフレームを連結する第2の部品とに二分割され、二分割された前記第1の部品と前記第2の部品とが上下方向に位置調節自在に固定されている、ことを特徴とする請求項3又は4記載の遮音パネル。
【請求項6】
前記少なくとも二個を一組とするスペーサがそれぞれ異なる高さに設定され、前記上下一組ずつのスペーサがそれぞれ同一高さに設定されることによって、前記太陽電池モジュールが左右方向に傾斜配置されている、ことを特徴とする請求項1記載の遮音パネル。
【請求項7】
前記スペーサは、上下方向に位置調節自在に前記背面板に連結され、垂直軸周りに回転自在に前記太陽電池モジュールのフレームを連結する、ことを特徴とする請求項6記載の遮音パネル。
【請求項8】
前記スペーサは、前記太陽電池モジュールのフレームをその上方両側端及び下方両側端の四箇所で垂直軸周りに回転自在に支持する四個の支軸を有し、これらの支軸によって前記太陽電池モジュールのフレームを回転自在に連結する、ことを特徴とする請求項7記載の遮音パネル。
【請求項9】
前記スペーサは、前記背面板の表面に固定される第1の部品と前記太陽電池モジュールのフレームを連結する第2の部品とに二分割され、二分割された前記第1の部品と前記第2の部品とが左右方向に位置調節自在に固定されている、ことを特徴とする請求項7又は8記載の遮音パネル。
【請求項10】
前記少なくとも二個を一組とするスペーサと前記上下一組ずつのスペーサとがそれぞれ異なる高さに設定されることによって、前記太陽電池モジュールが上下方向と左右方向とに傾斜配置されている、ことを特徴とする請求項1記載の遮音パネル。
【請求項11】
前記背面板と前記第1の部品とを軸方向の締め付けによって締着する第1の締着構造と、
前記第1の部品と前記第2の部品とを軸方向の締め付けによって固定する第2の締着構造と、
を備えることを特徴とする請求項5又は9記載の遮音パネル。
【請求項12】
前記第1の締着構造による締着方向と前記第2の締着構造による締着方向とは、共に、前記背面板の板面に直交する方向であり、
前記背面板から離反する前記太陽電池モジュールのフレームに当接してその動きを規制する規制板を前記背面板に固定した、
ことを特徴とする請求項11記載の遮音パネル。
【請求項13】
前記規制板は、前記太陽電池モジュールのフレームの下方に位置付けられて上方に向けて屈曲する屈曲辺を前記背面板から離反する前記フレームに当接させると共に、前記スペーサから脱落後の前記フレームを前記屈曲辺によって引っ掛け保持する、ことを特徴とする請求項12記載の遮音パネル。
【請求項14】
前記背面板と前記太陽電池モジュールのフレームとの間には、連結部材が掛け渡されている、ことを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一記載の遮音パネル。
【請求項15】
前記背面板は、表面側に凹部を有し、
前記太陽電池モジュールは、前記凹部内に配置されている、
ことを特徴とする請求項1ないし14のいずれか一記載の遮音パネル。
【請求項16】
前記凹部内の天井面は、前記凹部の入口に向かうに従い上方に向けて傾斜し、前記太陽電池モジュールの上辺から離反している、ことを特徴とする請求項15記載の遮音パネル。
【請求項17】
前記背面板の表面側の側部は、前記支柱を覆う位置まで延出し、この延出部分に前記太陽電池セルから引き出される配線を保持して通す配線通路を内蔵させる、ことを特徴とする請求項1ないし16のいずれか一記載の遮音パネル。
【請求項18】
遮音構造を有して走行路の側に向けて配置される既設置の正面板の裏面側にこの既設置の正面板の裏面を覆う既設置の背面板を着脱自在に固定し、車両が走行する走行路の端部に沿って所定間隔で設置された支柱の間に積み重ねられた状態で保持されて全体として遮音壁をなす既設置の遮音パネルを前記支柱から取り外す工程と、
前記既設置の遮音パネルを取り外した前記支柱の間の領域に、請求項1ないし17のいずれか一記載の遮音パネルを設置する工程と、
前記既設置の遮音パネルの前記既設置の正面板と前記既設置の背面板とを離脱させ、請求項1ないし17のいずれか一記載の遮音パネルの要素である前記太陽電池モジュールが前記支持構造によって連結された前記背面板を前記既設置の背面板から離脱させた前記既設置の正面板に着脱自在に固定して請求項1ないし17のいずれか一記載の遮音パネルを製造する工程と、
を備えることを特徴とする遮音パネルのリフレッシュ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−1720(P2011−1720A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144390(P2009−144390)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(594076441)大成工務株式会社 (2)
【出願人】(395014596)株式会社アイアールエフ (11)
【出願人】(000140111)株式会社荏原電産 (51)
【Fターム(参考)】