説明

部品の同時整列装置

【課題】効率的に多数の部品を一度に整列させることができる部品の同時整列装置を提供する。
【解決手段】同時整列装置1は、複数の整列孔22が形成された孔側部材20と、複数の整列突起14が一面に突設されると共に、複数の整列突起14が複数の整列孔22にそれぞれ挿入された状態で孔側部材20と重ねられる突起側部材10と、この孔側部材20と突起側部材10を相対的に移動させる駆動部80と、部品が配置されるトレイ2とを備え、複数の部品のトレイ2から突出した部分を整列孔22内にそれぞれ配置した状態で、駆動部80により突起側部材10および孔側部材20を相対的に移動させて、部品の側面に整列孔22の内側面および整列突起14の側面を当接させることで、複数の部品を一度に整列させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多数の電子部品等の部品を一度に整列させる部品の同時整列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、圧電振動子等の電子部品の小型化が進み、表面実装可能なチップ状の電子部品が多くなっている。このような電子部品の製造では、出荷前に電気的特性等を検査し、良品、不良品の判定や特性分類等が行われている。この電器的特性等の検査では、通常、電子部品は、製造ラインで電子部品を搬送するトレイ上に載置された状態で製造ラインから検査装置に搬送される。そして、検査装置では、トレイ上に載置された状態のまま電子部品の端子にプローブを接触させて、電気的特性等の検査が行われている。
【0003】
電子部品は、一般にトレイ上面に形成された窪みに収容されているため、それなりに整列した状態となっている。しかし、電子部品のハンドリングを考慮してトレイ上面の窪みは電子部品の寸法よりも少し大きめに形成する必要があるため、窪み内部における電子部品の姿勢はばらついた状態となっている。従って、トレイ上の電子部品にプローブを接触させる場合に、電子部品が正しい姿勢でなければプローブを電子部品の端子に適切に接触させることができないという問題があった。このため、高精度な検査を行う必要がある場合には、電子部品を高精度に整列させる専用のトレイに乗せ替えた上で検査を行っている。
【0004】
一方、トレイの内部に電磁石を設け、磁力により電子部品を整列させる手法等も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−340696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電子部品を専用のトレイに乗せ替える方法では、電子部品の乗せ替えに使用するハンドリング装置にコストを要するだけでなく、乗せ替えに要する時間だけ生産性が悪化するという問題があった。
【0006】
また、上記特許文献1に記載された手法では、内部に電磁石を備えた複雑な構造のトレイを用意する必要があるのに加えて、トレイ内部の電磁石を励起させるために、トレイに通電する特別な通電装置を用意する必要があるため、コストが増大するという問題があった。さらに、上記特許文献1に記載された手法は、電子部品を1つずつ整列させることしかできないことから、検査も1つずつ行う必要があり、検査に多大な時間を要するという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、トレイ上に載置された多数の部品を効率的且つ一度に整列させることができる部品の同時整列装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)複数の整列孔が一面から他面にかけて貫通するように形成された孔側部材と、複数の整列突起が一面に突設されると共に、前記複数の整列突起が前記複数の整列孔にそれぞれ挿入された状態で前記孔側部材と重ねられる突起側部材と、前記孔側部材および前記突起側部材をスライドさせて相対的に移動させる駆動部と、複数の部品と共に、前記孔側部材および前記突起側部材が上面に配置されるトレイと、を備え、前記孔側部材の前記整列孔内に、前記複数の部品の前記トレイから突出した部分を収容させた状態で、前記駆動部により前記突起側部材および前記孔側部材を相対的に移動させて、前記部品の側面に前記整列孔の内側面および前記整列突起の側面を当接させることで、前記複数の部品を一度に整列させることを特徴とする、部品の同時整列装置。
【0009】
(2)前記複数の部品は、六面体形状であり、前記整列孔の内側面には、互いに直交する2つの孔側当接面が形成されると共に、前記整列突起には、互いに直交して前記孔側当接面に対向する2つの突起側当接面を備え、前記孔側当接面と前記突起側当接面の間に略方形状の整列領域が形成されるようにし、前記複数の部品の前記トレイから突出した部分を前記整列領域内にそれぞれ配置した状態で、前記駆動部により前記整列領域の一方の対角線方向に前記孔側当接面及び前記突起側当接面を相対的に移動させて、前記部品の4つの側面に前記孔側当接面及び前記突起側当接面を当接させることで、前記複数の部品を一度に整列させることを特徴とする、上記(1)に記載の部品の同時整列装置。
【0010】
(3)前記突起側部材には、一面から他面にかけて貫通する複数の挿通孔が前記複数の部品に対応して形成され、前記挿通孔を通してプローブを前記部品の端子に接触させることで、前記部品の検査を行うことが可能であることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の部品の同時整列装置。
【0011】
(4)前記突起側部材および前記孔側部材を保持する保持機構を有するベースと、前記ベースに設けられ、前記トレイに対して平面方向に位置決めする位置決め手段と、をさらに備え、前記保持機構は、前記突起側部材および前記孔側部材の少なくともいずれかを、、前記ベースに対して少なくとも偏倚可能に保持することを特徴とする、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の部品の同時整列装置。
【0012】
(5)前記保持機構における前記孔側部材の前記ベースに対する偏倚量は、前記突起側部材の偏倚量よりも大きく設定されることを特徴とする、上記(4)に記載の部品の同時整列装置。
【0013】
(6)前記保持機構は、前記突起側部材および前記孔側部材の少なくともいずれかについて、両端の略2個所を保持することを特徴とする上記(4)又は(5)に記載の部品の同時整列装置。
【0014】
(7)前記保持機構は、前記突起側部材および前記孔側部材の少なくともいずれかについて、ボールジョイントを介して保持することを特徴とする上記(4)、(5)又は(6)に記載の部品の同時整列装置。
【0015】
(8)前記保持機構は、前記ベースに対して揺動可能に配設されて、前記突起側部材の両端近傍を保持する1対の第1アームと、前記ベースに対して揺動可能に配設されて、前記孔側部材の両端近傍を保持する1対の第2アームと、を備えることを特徴とする上記(4)乃至(7)のいずれか記載の部品の同時整列装置。
【0016】
(9)前記第2アーム及び前記第1アームは、前記整列領域の一方の対角線方向に相対移動自在に配設されていることを特徴とする上記(8)に記載の部品の同時整列装置。
【0017】
(10)前記第2アームは前記第1アームに配設されることで、前記ベースに対して揺動可能となっていることを特徴とする上記(8)又は(9)に記載の部品の同時整列装置。
【0018】
(11)前記突起側部材は、略長方形板の一方の対角に切り欠き領域、他方の対角に保持領域を有する部材であり、前記孔側部材は、前記突起側部材の前記切り欠き領域に対応する場所に保持領域を有する部材であり、前記ベースは、互いに重ねられた前記突起側部材および前記孔側部材の前記保持領域近辺を少なくとも囲む部材であり、前記ベースにおける、前記突起側部材の前記切り欠き領域と同じ側の対角部には、第1アームがそれぞれ揺動可能に配設され、前記第1アームの先端は、前記突起側部材の前記保持領域を保持すると共に、前記第1アームの先端近傍には、前記第2アームが揺動可能に接続され、前記第2アームは、前記突起側部材の前記切り欠き領域を臨んで、前記孔側部材の前記保持領域を保持することを特徴とする、上記(10)に記載の部品の同時整列装置。
【0019】
(12)前記第1アームは、第1揺動軸によって前記ベースに対して揺動可能であると共に、前記駆動部によって前記第1揺動軸の軸方向に沿って摺動可能であり、前記第2アームは、第2揺動軸によって前記第1アームに対して揺動可能であると共に、前記駆動部によって前記第2揺動軸の軸方向に沿って摺動可能であることを特徴とする、上記(11)に記載の部品の同時整列装置。
【0020】
(13)前記駆動部は、前記第1アームに配設されることを特徴とする、上記(8)乃至(12)のいずれかに記載の部品の同時整列装置。
【0021】
(14)前記駆動部による前記第1アーム及び前記第2アームのスライド範囲を設定するストッパが、前記ベースに配設されていることを特徴とする、上記(8)乃至(13)のいずれかに記載の部品の同時整列装置。
【0022】
(15)複数の整列孔が一面から他面にかけて貫通するように形成された孔側部材と、複数の整列凹部が形成されると共に、前記複数の整列凹部が前記複数の整列孔にそれぞれ対応した状態で前記孔側部材と重ねられる凹部側部材と、前記孔側部材および前記凹部側部材をスライドさせて相対的に移動させる駆動部と、複数の部品と共に、前記孔側部材および前記凹部側部材が上面に配置されるトレイと、を備え、前記孔側部材の前記整列孔内に、前記複数の部品の前記トレイから突出した部分を収容させた状態で、前記駆動部により前記突起側部材および前記孔側部材を相対的に移動させて、前記部品の側面に前記整列孔の内側面および前記整列凹部の内側面を当接させることで、前記複数の部品を一度に整列させることを特徴とする、部品の同時整列装置。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、効率的に多数の部品を一度に整列させることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の例について詳細に説明する。
【0025】
図1(a)は本発明の実施の形態に係る同時整列装置1の平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図である。この同時整列装置1は、トレイ2上に載置された複数の部品を一度に整列させるためのものである。なお、図示は省略するが、本実施形態におけるトレイ2は、上面に8×10のマトリクス状に複数の窪みが形成されており、この窪み内に部品を収容した状態で製造ライン等から検査装置まで搬送されるように構成されている。また、トレイ2の上面には上方に向けて突設された2つの位置決めピン2Aが設けられている。
【0026】
図1(a)および(b)に示されるように、同時整列装置1は、突起側部材10と、突起側部材10の下方に重ねられる孔側部材20と、突起側部材10および孔側部材20の周囲を囲む略長方形の枠状のベース30と、ベース30の図の左下部に揺動可能に配設された左第1アーム40および左第1アーム40に揺動可能に接続された左第2アーム50と、ベース30の図の右上部に揺動可能に配設された右第1アーム60および右第1アーム60に接続された右第2アーム70と、突起側部材10および孔側部材20を相対的に移動させる駆動部80を備えている。
【0027】
図2(a)は、突起側部材10の平面図である。突起側部材10は、略長方形板の一方の対角部(図の左下の角部および右上の角部)を切り欠いて形成される切り欠き領域10Aを有し、平面視が略クランク状となる板部材である。突起側部材10の切りかかれていない方の対角部(図の左上の角部および右下の角部)は、長手方向に延在する保持領域10Bとなり、左第1アーム40および右第1アーム60を固定するための複数の取付孔11がそれぞれ形成されている。また、突起側部材10の中央部には、上面から下面にかけて貫通する挿通孔12が複数形成されると共に、下面にはL字形断面の整列突起14が挿通孔12の側縁において突設されている。この挿通孔12および整列突起14は、トレイ2の窪みに対応させた8×10のマトリクス状に配列して形成されている。整列突起14は、突起側部材10と孔側部材20を重ねた場合に、後述する孔側部材20の整列孔22内に収容されるようになっている(図1(b)参照)。また、整列突起14の突出量は、孔側部材20の厚みと略同一に設定されている。
【0028】
図2(b)は、挿通孔12および整列突起14を拡大して示した図である。同図に示されるように、挿通孔12は断面が略長方形状の孔であり、整列突起14は、挿通孔12の図の右下の2つの側面に沿って形成されている。整列突起14の曲折部の内側部分およびこれに対応する挿通孔12の角部には逃げ溝16が形成されている。また、挿通孔12の図の右上の角部にも逃げ溝18が形成されており、整列突起14のこれに対応する部分は逃げ溝18の形状に沿って角が落とされている。図2(c)に示されるように、整列突起14は、挿通孔12に沿って下側に突出するL字形状の部材であり、その内面に、互いに直角をなす突起側当接面14A,14Bを備える。
【0029】
図3(a)は、孔側部材20の平面図である。孔側部材20は、突起側部材10の切り欠き領域10Aとは反対側の対角部(図の左上の角部および右下の角部)を切り欠いて形成される切り欠き領域20Aを備えた板部材であり、平面視が突起側部材10とは対称な略クランク状となっている。従って、孔側部材20の切り欠き領域10Aと反対側の対角部(図の右上の角部および左下の角部)は保持領域20Bとなる。この一対の保持領域20Bには、左第2アーム50および右第2アーム70を接続するための取付孔21がそれぞれ形成されている。また、孔側部材20の中央部には、上面から下面にかけて貫通する整列孔22が複数形成されている。この整列孔22は、突起側部材10同様にトレイ2の窪みに対応させた8×10のマトリクス状に配列して形成されている。
【0030】
図3(b)は、整列孔22を拡大して示した図である。同図に示されるように、整列孔22は断面が略長方形状の孔である。整列孔22は、突起側部材10および孔側部材20を重ねた場合に内部に整列突起14を収容可能な大きさに形成されている。また、整列孔22の図の左上の角部、および図の左側の側面には、逃げ溝26、28がそれぞれ形成されている。整列孔22の内側面には、互いに直角をなす孔側当接面22A,22Bを備える。孔側当接面22A、22Bは、突起側当接面14A、14Bと対向するようになっている。
【0031】
図1(a)および(b)に戻って、ベース30は、中央部に略長方形状の開口部31を備えた枠状の部材であり、開口部31内に突起側部材10および孔側部材20を収容している。また、ベース30は、図の上部および下部からそれぞれ開口部31内に向けて突出する2つの位置決め手段32を備えている。この2つの位置決め手段32は、トレイ2に対する同時整列装置1の、トレイ2の上面と平行な方向の位置決めを行うためのものである。位置決め手段32の先端部には位置決め孔33が形成されており、トレイ2に突設された位置決めピン2Aをこの位置決め孔33内に挿入することによって、平面方向の位置決めが行われる。なお、突起側部材10および孔側部材20の位置決め手段32に対応する部分は、位置決め手段32と干渉しないように切り欠かれている。
【0032】
なお、位置決め手段32は、ここでは開口部31内に突出する形態を示したが、本発明はそれに限定されず、その他の構造のものであってもよいし、電磁的または光学的に位置決めを行うものであってもよい。
【0033】
次に、図4及び図5を用いて、保持機構について説明する。図4(a)は、左側保持機構200の周辺の平面図であり、図4(b)は図4(a)のB方向矢視図である。これらの図に示されるように、この左側保持機構200は、左第1アーム40および左第2アーム50を備えている。ベース30の図の左下の角部には、左支持ブロック41が固定されている。この左支持ブロック41は、図の左斜め上方に向けてベース30と平行に突設された第1揺動軸42を備えている。左第1アーム40の基端部には第1挿入孔43が形成されており、左第1アーム40は、この第1挿入孔43内に第1揺動軸42を挿入した状態で、先端を図の右斜め上方に向けて配設されている。第1揺動軸42および第1挿入孔43は互いに回動可能且つ摺動可能に構成されている。従って、左第1アーム40は、第1揺動軸42を中心に揺動可能であると共に、第1揺動軸42の軸方向に沿って、ベース30と平行な方向に移動可能となっている。
【0034】
左第1アーム40の図の左斜め上方のベース30には、左ストッパブロック44が配設されている。この左ストッパブロック44は、左第1アーム40の図の左斜め上方に向けてのベース30に対する平行移動を制限するものである。左ストッパブロック44の左第1アーム40と当接する部分には調整ネジ44Aが設けられており、この調整ネジ44Aの突出量を調整することで左第1アーム40の移動量を調整することができる。
【0035】
さらに、左第1アーム40の中央やや基端よりの部分には、ベース30に対して垂直な方向に貫通するストッパ孔45が形成されている。このストッパ孔45の中には、ベース30に突設されたストッパピン46が挿入されている。すなわち、ストッパ孔45の内側部分がストッパピン46に当接することによって、左第1アーム40の図の右斜め下方に向けてのベース30に対する平行移動を制限するようになっている。ストッパ孔45のストッパピン46に当接する部分には、左第1アーム40の移動量を調整するための調整ネジ45Aが設けられている。
【0036】
左第1アーム40の先端からやや基端よりの下面には、2つの取付ネジ47を介して突起側部材10の保持領域10Bが固定されている。従って、突起側部材10は、左第1アーム40の動作に伴ってベース30に対して揺動可能且つ平行移動可能となっている。
【0037】
左第2アーム50は、平面視が略三角形状の部材であり、基端部の側面に第2揺動軸51が突設されている。左第1アーム40の先端からやや基端よりの部分には、第1挿入孔43と平行に第2挿入孔48が形成されており、左第2アーム50は、この第2挿入孔48内に第2揺動軸51を挿入することで、左第1アーム40に接続されている。第2揺動軸51および第2挿入孔48は互いに回動可能且つ摺動可能に構成されている。従って、左第2アーム50は、第2揺動軸51を中心に揺動可能であると共に、第2揺動軸51に沿ってベース30と平行な方向に移動可能となっている。なお、左第2アーム50の先端は左第1アーム40の基端側に向けられているため、左第1アーム40および左第2アーム50は、互いに揺動することでパンタグラフ状に動作するようになっている。
【0038】
左第2アーム50の先端部分には、ベース30に対して垂直な方向に貫通するストッパ孔52が形成されている。このストッパ孔52の中には、ベース30に突設されたストッパピン53が挿入されている。左第2アームのベース30に対する平行移動は、ストッパ孔52の内側部分がストッパピン53に当接することによって制限される。ストッパ孔52のストッパピン53に当接する2箇所の部分には、左第2アーム50の移動量を調整するための2つの調整ネジ52A、52Bが設けられている。
【0039】
左第2アーム50の先端からやや基端よりの下側には、ボールジョイント54を介して孔側部材20の保持領域20Bに接続されている。このボールジョイント54は、傾斜等に対して自由度を持っているので、孔側部材20は、第2アーム50に対して傾斜可能な状態で保持されている。また、左第2アーム50自体も、揺動且つ平行移動可能であるので、孔側部材20は、ベース30に対して、揺動可能且つ平行移動可能であると共に、左第2アーム50に対して任意の方向に傾斜可能となり、極めて自由度の高い状態となっている。
【0040】
駆動部80は、本実施形態ではエアシリンダから構成されており、左第1アーム40の先端部分に固定されている。駆動部80の伸縮するロッド81の先端は、ブラケット82を介して左第2アーム50の基端部分に接続されている。駆動部80のロッド81の伸縮動作によって、左第1アーム40および左第2アーム50は、第1揺動軸42および第2揺動軸51の軸方向に沿って互いに離隔または近接するように相対的に移動する。そして、突起側部材10および孔側部材20は、左第1アーム40および左第2アーム50の移動に伴って、第1揺動軸42および第2揺動軸51と平行な方向に互いにスライドするように相対的に移動する。
【0041】
なお、第1揺動軸42および第2揺動軸51は、突起側部材10の挿通孔12および孔側部材20の整列孔22の一方の対角線(図2(b)および図3(b)において左上角部と右下角部を結ぶ対角線)と平行に設けられている。このため、詳細は後述するが、突起側部材10および孔側部材20は、挿通孔12および整列孔22の対角線方向に相対的にスライドするようになっている。
【0042】
図5(a)は、右側保持機構202周辺の平面図であり、図5(b)は図5(a)のC方向矢視図である。これらの図に示されるように、右側保持機構202は、右第1アーム60および右第2アーム70を備える。右第1アーム60および右第2アーム70は左第1アーム40および左第2アーム50と同様の構成であり、ベース30の右側において、左第1アーム40および左第2アーム50と点対称に配設されている。すなわち、右支持ブロック61は、図の右斜め下方に向けて突設された第1揺動軸62を備えており、ベース30の図の左下の角部に配設されている。そして、右第1アーム60の基端部には第1挿入孔63が形成されており、右第1アーム60は、この第1挿入孔63内に第1揺動軸62を挿入した状態で、先端を図の左斜め下方に向けて配設されている。第1揺動軸62および第1挿入孔63は互いに回動可能且つ摺動可能に構成されている。また、第1揺動軸62は、左側の第1揺動軸42と平行に配設されている。
【0043】
右第1アーム60の図の右斜め下方のベース30には、調整ネジ64Aを備えた右ストッパブロック64が配設されている。右第1アーム60の中央やや基端よりの部分には、ベース30に対して垂直な方向に貫通するストッパ孔65が形成されている。このストッパ孔65は調整ネジ65Aを備えると共に、内部にベース30に突設されたストッパピン66が挿入されている。また、右第1アーム60の先端部分には、3つの取付ネジ67を介して突起側部材10の保持領域10Bが固定されている。
【0044】
右第2アーム70は、平面視が略三角形状の部材であり、基端部の側面に第2揺動軸71が突設されている。右第2アーム70は、右第1アーム60の先端からやや基端よりの部分に形成された第2挿入孔68内に第2揺動軸71を挿入することで、右第1アーム60に接続されている。右第2アーム70の先端は右第1アーム60の基端側に向けられている。また、第2揺動軸71および第2挿入孔68は互いに回動可能且つ摺動可能に構成されており、第2揺動軸71は、左側の第2揺動軸51と平行に配設されている。
【0045】
右第2アーム70の先端部分には、ベース30に対して垂直な方向に貫通するストッパ孔72が形成されており、このストッパ孔72の中には、ベース30に突設されたストッパピン73が挿入されている。ストッパ孔72のストッパピン73に当接する2箇所の部分には、右第2アーム70の移動量を調整するための2つの調整ネジ72A、72Bが設けられている。そして、右第2アーム70の先端からやや基端よりの下側には、ボールジョイント74を介して孔側部材20が揺動可能に接続されている。
【0046】
図1(a)および(b)に戻って、右第1アーム60および右第2アーム70は、駆動部80のロッド81の伸縮動作によって、第1揺動軸62および第2揺動軸71に沿って互いに離隔または近接するように相対的に移動する。具体的には右第1アーム60は、左第1アーム40および突起側部材10と一体的に移動し、右第2アーム70は、左第2アーム50および孔側部材20と一体的に移動する。従って、左第1アーム40および左第1アーム50が互いに離隔するように移動する場合は、右第1アーム60および右第2アーム70は互いに近接するように移動し、左第1アーム40および左第1アーム50が互いに近接するように移動する場合は、右第1アーム60および右第2アーム70は互いに離隔するように移動する。
【0047】
上記構成により、突起側部材10および孔側部材20は、突起側部材10が上側、孔側部材20が下側に積層された状態で、いわばフローティング状態でベース30に保持されている。すなわち、突起側部材10および孔側部材20は、各アーム40〜70の揺動によって所定の範囲の高さ方向の移動や、傾斜に対する自由度を持った状態でベース30に保持されている。これにより、トレイ2が多少傾いていたり、ベース30が多少傾いていたりしても、孔側部材20の下面をトレイ2の上面の全面にわたって略密着させることが可能となっている。
【0048】
更に、下側の孔側部材20は、左右第1アーム40、60、左右第2アーム50、70、およびボールジョイント54、74を介して保持されているため、左右第1アーム40、60のみを介して保持されている上側の突起側部材10よりも、特に傾斜に対して大きい自由度を有している。ただし、左右第2アーム50、70は、左右第1アーム40,70にそれぞれ接続されているため、孔側部材20の偏倚は、突起側部材10から完全に独立したものではなく、突起側部材10の偏倚に所定の程度だけ追随するように設定されている。これにより、突起側部材10および孔側部材20が偏倚した場合であっても、両者の距離は一定の上限を超えて大きくなることはなく、一定の範囲内を維持できることになる。また、トレイ2上に配置した際に、両者が略密着した重なりを維持することが可能となっている。
【0049】
次に、本実施形態に係る同時整列装置1による部品の整列の手順について、図6〜8を用いて説明する。
【0050】
図6は、同時整列装置1の使用の態様を示した概略図である。同図に示されるように、同時整列装置1は、例えば圧電振動子等の電子部品の温度特性を検査する場合の部品の整列に使用される。この場合、部品3(図示省略)を載置したトレイ2は、ペルチェ素子等の温度制御素子を備えた熱伝達プレート4上に載置される。そして、複数のプローブ5を備えたプローブユニット6を上方から下降させて、各プローブ5をトレイ2上の全ての部品3の端子と接触させることにより、所定の温度における部品3の出力が測定される。この例では、プローブ5をトレイ2上の全ての部品3の端子に一度に接触させることによって、検査時間の短縮を図っている。
【0051】
同時整列装置1は、プローブ5を部品3に接触させる前に部品3を整列させることで、全てのプローブ5を全ての部品3の端子に確実に接触させるために使用される。具体的には、トレイ2の上方からプローブユニット6より先に同時整列装置1を下降させて、孔側部材20の下面をトレイ2の上面に当接させる。このとき、トレイ2の位置決めピン2Aを位置決め手段32の位置決め孔33に挿入することで水平方向の位置決めが行われる。同時整列装置1は水平方向に自由度を有した状態で昇降ユニット7に取り付けられており、また、位置決めピン2Aの先端および位置決め孔33にはテーパが付けられているため、同時整列装置1を下降させるだけで、位置決めピン2Aは位置決め孔33内に挿入される。
【0052】
次に、孔側部材20の下面をトレイ2の上面に当接させた状態で、駆動部80により突起側部材10および孔側部材20を相対的に移動させることで、トレイ2上の全ての部品を一度に整列させる。図7(a)は部品3を整列させる前の状態を拡大して示した平面図であり、図7(b)は図7(a)のD−D線断面図であり、図7(c)は図7(a)のE−E線断面図である。
【0053】
本実施形態では、部品3は略直方体状であり、同図(b)または(c)に示されるように、端子3Aを上に向けた状態でトレイ2の上面に形成された窪み2B内に収容されている。この部品3の上部は僅かに(0.1mm程度)トレイ2の上面から突出している。孔側部材20の下面をトレイ2の上面に当接させた場合には、上述のように孔側部材20の下面は、トレイ2上面の略全面にわたって略密着する。また、突起側部材10と孔側部材20の略密着した重なりが維持されることにより、同図(b)または(c)に示されるように、突起側部材10の整列突起14の先端(下端)面もトレイ2の上面に略密着する。
【0054】
孔側部材20の下面をトレイ2の上面に当接させた場合、同図(a)に示されるように、窪み2Bに収容された部品3の上部の突出部分は、突起側部材10の整列突起14および孔側部材20の整列孔22に挟まれた略長方形状の領域内に位置することとなる。本発明では、この領域を整列領域100としている。整列領域100は、より詳細には、整列突起14の逃げ溝16を挟んで互いに直交する突起側当接面14A、14B、ならびに整列孔22の逃げ溝26を挟んで互いに直交する孔側当接面22A、22Bによって囲まれた領域である。また、整列領域100の対角線は挿通孔12および整列孔22の対角線と平行となる。従って、突起側部材10および孔側部材20は、整列領域100の図の左上角部と右下角部を結ぶ対角線と平行な方向に移動することとなる。
【0055】
同時整列装置1は、このように部品3を整列領域100内に配置した状態で各突起側当接面14A、14B、孔側当接面22A、22Bを部品3の4つの端面に当接させることによって、部品3を整列させる。具体的には、駆動部80のロッド81を伸張させて突起側部材10および孔側部材20を相対的にスライド移動させる。このとき、突起側部材10は図7(図1も同様)における左上方に向けて移動し、孔側部材20は図7(図1も同様)における右下方に向けて移動する。従って、図7において整列突起14は左上方に向けて移動し、整列孔22は右下方に向けて移動することとなり、部品3は両者によって挟持されることとなる。
【0056】
図8(a)は部品3を整列させた状態を拡大して示した平面図であり、図8(b)は図8(a)のF−F線断面図であり、図8(c)は図8(a)のG−G線断面図である。位置決め手段32によってトレイ2に対するベース30の水平方向の位置が決定されている。その上で、駆動部80のロッド81を伸張させた場合の、突起側部材10のベース30に対する移動量(位置)は左第1アーム40およびストッパブロック44ならびに右第1アーム60およびストッパピン66によって決定され、孔側部材20のベース30に対する移動量(位置)は左第2アーム50およびストッパピン53ならびに右第2アーム70およびストッパピン73によって決定されるため、各突起側当接面14A、14B、孔側当接面22A、22Bが当接された部品3は、所定の位置において所定の方向を向いた整列状態となる。
【0057】
上述のように、孔側部材20の下面および整列突起14の先端面はトレイ2上面の全ての範囲にわたって略密着しているため、部品3の窪み2Bからの突出量が少なく、且つトレイ2が若干傾斜している場合であっても、トレイ2のどの部分においても各突起側当接面14A、14B、孔側当接面22A、22Bを確実に部品3の4つの端面に当接させることが可能である。従って、トレイ2上に載置された全ての部品3を一度に整列させることができる。
【0058】
また、部品3の角部に対応する位置に逃げ溝16、18、26、28を適宜に配置しているため、図7(a)〜(c)に示したように、部品3がトレイ2上で水平方向に斜めになっている場合であっても、突起側当接面14A、14B、孔側当接面22A、22Bが部品3の角部の頂点に接触しないようになっている。これにより、部品3が斜めの状態のまま各突起側当接面14A、14B、孔側当接面22A、22Bの間に挟まれてしまい、整列不能な状態となるのを防止することができる。
【0059】
なお、部品3を整列させる場合に、各突起側当接面14A、14B、孔側当接面22A、22Bを部品3の4つの端面に完全に接触させるのではなく、若干の隙間が生じるようにしてもよい。すなわち、部品3の位置および姿勢のばらつきが許容範囲内となる大きさに整列領域100を狭めることによって、部品3を整列させるようにしてもよい。
【0060】
また、部品3を整列させた後にプローブ5を部品3の端子3Aに接触させて温度特性の検査等が行われるが、本実施形態では、上方から突起側部材10の挿通孔12を通してプローブ5を部品3の端子に接触させることが可能となっている。従って、同時整列装置1をプローブユニット6の動作範囲から退避させることなく、検査等を行うことができる。このため、各突起側当接面14A、14B、孔側当接面22A、22Bを部品3に当接させた状態(または整列領域100を狭めた状態)のまま検査等を行ってもよいし、駆動部80のロッド81を縮退させて各突起側当接面14A、14B、孔側当接面22A、22Bと部品3の当接を解除した状態(または整列領域100を広げた状態)で検査等を行ってもよい。
【0061】
以上説明したように、本実施形態に係る同時整列装置1は、複数の整列孔22が一面から他面にかけて貫通するように形成された孔側部材20と、複数の整列突起14が一面に突設されると共に、複数の整列突起14が複数の整列孔22にそれぞれ挿入された状態で突起側部材10と重ねられる突起側部材10と、孔側部材20および突起側部材10をスライドさせて相対的に移動させる駆動部80と、を備えている。そして、孔側部材20および突起側部材10が重ねられた状態の両側面の一方を、複数の部品3が載置されたトレイ2上面に当接させ、複数の部品3のトレイ2から突出した部分を、整列孔22内にそれぞれ配置した状態で、駆動部80により突起側部材10および孔側部材20を相対的に移動させる。これにより、部品3の側面に整列孔22の内側面および整列突起14の側面を当接させることで、複数の部品3を一度に整列させる。このため、部品の製造や検査等においてトレイ2上に載置された複数の部品3を整列させる必要がある場合に、部品3の整列をきわめて短時間で行うことが可能となり、部品の製造効率や検査効率を向上させることができる。また、通常の搬送用のトレイ上で部品3を整列させることが可能であり、整列専用のトレイ等に部品3を乗せ替える必要がないため、乗せ替えのためのハンドリング装置や専用トレイ等を必要とせず、部品3の製造ラインまたは検査ラインのコストを削減することができる。
【0062】
また、複数の部品3は、直方体状であり、整列孔22の内側面には、互いに直交する2つの孔側当接面22A、22Bが形成され、整列突起14は、互いに直交する2つの突起側当接面14A、14Bを備えるL字形状であると共に、整列孔22に挿入された場合に整列孔22の2つの孔側当接面22A、22Bと自身の2つの突起側当接面14A、14Bの間に略長方形状の整列領域100を形成する。そして、複数の部品3のトレイ2から突出した部分を整列領域100内にそれぞれ配置した状態で、駆動部80により整列領域100の一方の対角線方向に突起側部材10および孔側部材20を相対的に移動させて、部品3の4つの端面に整列孔22の2つの孔側当接面22A、22Bおよび整列突起14の2つの突起側当接面14A、14Bを当接させることで、複数の部品3を一度に整列させる。このため、直方体状の部品3の4つの端面に、4つの突起側当接面14A、14B、孔側当接面22A、22Bをそれぞれ当接させることで、高精度且つ確実に複数の部品3を整列させることができる。
【0063】
なお、4つの突起側当接面14A、14B、孔側当接面22A、22Bにおいて、整列領域100の角部に対応する位置に逃げ溝16、18、26、28をそれぞれ形成するようにすれば、部品3が斜めの状態のまま部品3の角部の頂点を突起側当接面14A、14B、孔側当接面22A、22Bで挟み込むような不具合を防止することができる。
【0064】
また、突起側部材10には、一面から他面にかけて貫通する複数の挿通孔12が複数の部品3に対応して形成され、挿通孔12を通してプローブ5を部品3の端子3Aに接触させることで、部品3の検査等を行うことが可能となっている。このため、プローブ5を部品3の端子3Aに接触させる前にプローブユニット6の移動範囲から同時整列装置1を退避させる必要がない。これにより、検査等に要する時間を大幅に短縮することができる。また、同時整列装置1によって部品3を整列状態に保持したままプローブ5を端子3Aに接触させて検査を行うことが可能となるため、プローブ5と端子3Aをより確実に接触させた状態で検査を行うことができる。
【0065】
また、同時整列装置1は、トレイ2の上面と平行な方向の位置を決定する位置決め手段32を有するベース30をさらに備え、突起側部材10および孔側部材20は、孔側部材20の下面(突起側部材10に対向しない面)がトレイ2の上面に均一に密着するように、移動およびねじれに対する自由度を持ってベース30に保持されている。このため、孔側部材20の下面および整列突起14の先端面を全範囲にわたってトレイ2の上面に略密着させることが可能となる。これにより、部品3が極めて小さいものであり、トレイ2からの突出量が1mm以下のごく僅かな量であっても、部品3の4つの端面に突起側当接面14A、14B、孔側当接面22A、22Bを確実に当接させてトレイ2上の全ての部品3を整列させることができる。また、トレイ2がベース30に対して傾いた状態であっても、トレイ2上の全ての部品3を確実に整列させることができる。
【0066】
また、孔側部材20の自由度は、突起側部材10よりも大きく設定されているため、自由度の大きい孔側部材20を確実にトレイ2上面に倣わせると共に、自由度の小さい突起側部材10により上方から孔側部材20をトレイ2に向けてなかば押圧することにより、孔側部材20の下面および整列突起14の先端面を全範囲にわたってトレイ2上面に略密着させることが可能となる。これにより、部品3の形状およびトレイ2の状態によらず、トレイ2上の全ての部品3を確実に整列させることができる。また、ベース30を上昇させると、パンタグラフ状に伸びる連節機構である保持機構200、202によって、孔側部材20及び突起側部材10がその自重によって一定の間隔を保持することができる。そして、ベース30に対して、孔側部材20が最も低い位置に偏倚し、突起側部材10がベース30と孔側部材20の間に偏倚することになる。従って、この状態のまま、ベース30をトレイ2上に下降させていくと、まず、孔側部材20がトレイ2の上面に接触して、その傾斜等の自由度によって自ら滑らかに密着していき、その後、パンタグラフ状の保持機構200、202が収縮しながら、突起側部材10が孔側部材20の上面に密着することができる。
【0067】
また、突起側部材10は、略長方形板の一方の対角部を切り欠いた切り欠き領域10Aを有する部材であり、孔側部材20は、この突起側部材10の切り欠き領域10Aに対応する部分に保持領域20Bを有している。また、ベース30は、互いに重ねられた突起側部材10および孔側部材20の保持領域10B,20Bの近辺を少なくとも囲む略長方形の枠状の部材である。そして、ベース30には、突起側部材10の切り欠き領域10A近傍には、左右第1アーム40、60がそれぞれ揺動可能に配設され、左右第1アーム40、60の先端は、突起側部材10の保持領域10Bを保持する。更にこの左右第1アーム40、60の先端近傍には、左右第2アーム50、70が揺動可能に接続され、左右第2アーム50、70の先端近傍は、突起側部材19の切り欠き領域10Aを臨んで、孔側部材20の保持領域20Aを保持するようになっている。
【0068】
このように、左右の保持機構200、202によって、重ねられた突起側部材10および孔側部材20においてそれぞれ異なる方向の対角部となる2個所をそれぞれを保持することにより、各突起側部材10および孔側部材20を、略水平に維持しながらも適度に傾斜できる状態にできる。この結果、トレイ2の状態によらずに孔側部材20の下面および整列突起14の先端面を全範囲にわたってトレイ2の上面に略密着させることが可能となる。また、左右第2アーム50、70を、左右第1アーム40,70にそれぞれ接続することで、保持機構200、202がパンタグラフ構造(2本のリンクを有するリンク機構)となり、孔側部材20の高さ方向の偏倚と、突起側部材10の高さ方向の偏倚が連動するようになる。これにより、突起側部材10および孔側部材20が、両者が不要に衝突したりせずに、静かにトレイ2に当接可能となっている。
【0069】
また、左右第1アーム40、60は、孔側部材20の下面(突起側部材10に対向しない面)がトレイ2の上面に当接された場合にベース30と左右第1アーム40,60を繋ぐ第1揺動軸42、62を中心として揺動可能であると共に、駆動部80による突起側部材10の移動に伴って第1揺動軸42、62に沿って摺動可能である。また、左右第2アーム50、70は、孔側部材20の下面(突起側部材10に対向しない面)がトレイ2の上面に当接された場合に左右第1アーム40、60と左右第2アーム50、70を繋ぐ第2揺動軸51、71を中心として揺動可能であると共に、駆動部80による孔側部材20の移動に伴って第2揺動軸51、71に沿って摺動可能である。
【0070】
このようにすることで、同時整列装置1を簡潔に構成することができ、故障や不具合の発生頻度が減少して同時整列装置1の機能を確実に発揮させることが可能となるだけでなく、製造およびメンテナンスのコストを削減することが可能となる。
【0071】
また、孔側部材20の切り欠かれていない方の対角部は、それぞれボールジョイント54、74を介して左右第2アーム50、70に接続されているため、孔側部材20を左右第2アーム50、70に対して任意の方向に揺動させることができる。これにより、孔側部材20は適切な自由度を有することとなり、トレイ2上面の全範囲にわたって孔側部材20の下面を略密着させることができる。
【0072】
また、駆動部80は、左第1アーム40に配設されるため、1つの駆動部80によって突起側部材10および孔側部材20の両方を相対的に移動させることができる。特に、この駆動部80は、第1アーム40と第2アーム50の間を接続する構造となっており、駆動部80が伸縮することで、第1アーム40と第2アームの距離を変化できるようになっている。これにより、突起側部材10および孔側部材20の有する自由度に影響を与えることなく、駆動部を簡潔に配設することができる。
【0073】
また、駆動部80による左右第1アーム40、60の移動範囲、ならび、同駆動部80による左右第2アーム50、70の移動範囲が、左右ストッパブロック44、64、およびストッパピン46、53、66、73によって規制されるため、トレイ2に対して位置決めされたベース30を基準に、突起側部材10および孔側部材20の移動後の位置を決定することが可能となり、より高精度な位置に部品3を整列させることができる。
【0074】
なお、突起側部材10の挿通孔12および孔側部材20の整列孔22の形状は、本実施形態において示した形状に限定されるものではない。図9および10は、挿通孔12および整列孔22のその他の例をそれぞれ示した図である。挿通孔12は、図9に示されるように、整列させた部品3の端子3Aに対応する位置にそれぞれ設けた複数の孔であってもよい。すなわち、挿通孔12は、プローブを挿通して部品3の端子に接触させることが可能であれば、どんな形状であってもよい。また、整列孔22は、図10に示されるように、内部に複数の部品3を配置することが可能な形状であってもよい。すなわち、整列孔22は、1つの部品に対応する孔側当接面22A、22Bを形成可能なものであれば、他の形状であっても構わない。
【0075】
また、部品3の形状は本実施形態において示した形状に限定されるものではなく、その他の種々の形状であってもよい。この場合、整列突起14および整列孔22を部品3の形状に対応させた形状にすると共に、部品3に当接させる当接面をそれぞれ適宜に形成することによって部品3を整列させることができる。
【0076】
また、突起側部材10および孔側部材20は、突起側部材10を下にして重ねるようにしてもよい。すなわち、突起側部材10を左右第2アーム50、70に、孔側部材20を左右第1アーム40、60にそれぞれ接続すると共に、挿通孔12を部品3が通過可能な形状として、突起側部材10をトレイ2の上面に密着させるようにしてもよい。この場合は、整列突起14は上方に突出させるようにする。
【0077】
また、部品の同時整列装置1を構成する各部材は、本実施形態に示した形状に限定されるものではなく、使用目的や条件に合わせた種々の形状を採用することができる。
【0078】
例えば、図11に示されるように、同時整列装置1において、孔側部材20の厚さを更に薄く設定し、一方で、突起側部材10に代えて、凹部側部材90を重ねるようにしても良い。この凹部側部材90には、孔側部材20の整列孔22に対応するようにして、複数の整列凹部92が形成されている。具体的にこの整列凹部92は、凹部側部材90を貫通する挿通孔となっており、その内壁に凹部側当接面92A、92Bが形成されている。従って、この図11の同時整列装置1では、孔側部材20と凹部側部材90を相対移動させることにより、凹部側当接面92A、92Bと、孔側当接面22A、22Bによって部品3を整列することが可能となっている。部品3が比較的大きくてトレイ2から十分に突出させることができる場合や、孔側部材20を薄肉に構成できる場合は、突起側部材による整列突起を用いることなく、凹部側部材90の整列凹部92用いて整列させることも望ましい。
【0079】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の部品の同時整列装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、電子機器や電子部品もしくはその他の各種物品の製造、または物流の分野において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】(a)は本発明の実施の形態に係る同時整列装置1の平面図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図2】(a)は突起側部材10の平面図であり、(b)は挿通孔12および整列突起14を拡大して示した図である。
【図3】(a)は孔側部材20の平面図であり、(b)は整列孔22を拡大して示した図である。
【図4】(a)は左第1アーム40および左第2アーム50周辺の平面図であり、(b)は(a)のB方向矢視図である。
【図5】(a)は右第1アーム60および右第2アーム70周辺の平面図であり、(b)は(a)のC方向矢視図である。
【図6】同時整列装置1の使用の態様を示した概略図である。
【図7】(a)は部品3を整列させる前の状態を拡大して示した平面図であり、(b)は(a)のD−D線断面図であり、(c)は(a)のE−E線断面図である。
【図8】(a)は部品3を整列させた状態を拡大して示した平面図であり、(b)は(a)のF−F線断面図であり、(c)は(a)のG−G線断面図である。
【図9】挿通孔12のその他の例をそれぞれ示した図である。
【図10】整列孔22のその他の例をそれぞれ示した図である。
【図11】本実施形態の同時整列装置の他の態様を示した概略図である。
【符号の説明】
【0082】
1・・・同時整列装置
2・・・トレイ
3・・・部品
3A・・・部品の端子
5・・・プローブ
10・・・突起側部材
12・・・挿通孔
14・・・整列突起
14A、14B・・・突起側当接面
20・・・孔側部材
22・・・整列孔
22A、22B・・・孔側当接面
30・・・ベース
32・・・位置決め手段
40・・・左第1アーム
42、62・・・第1揺動軸
44・・・左ストッパブロック
46、53、66、73・・・ストッパピン
50・・・左第2アーム
51、71・・・第2揺動軸
54、74・・・ボールジョイント
60・・・右第1アーム
64・・・右ストッパブロック
70・・・右第2アーム
80・・・駆動部
200、202・・・保持機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の整列孔が一面から他面にかけて貫通するように形成された孔側部材と、
複数の整列突起が一面に突設されると共に、前記複数の整列突起が前記複数の整列孔にそれぞれ挿入された状態で前記孔側部材と重ねられる突起側部材と、
前記孔側部材および前記突起側部材をスライドさせて相対的に移動させる駆動部と、
複数の部品と共に、前記孔側部材および前記突起側部材が上面に配置されるトレイと、を備え、
前記孔側部材の前記整列孔内に、前記複数の部品の前記トレイから突出した部分を収容させた状態で、前記駆動部により前記突起側部材および前記孔側部材を相対的に移動させて、前記部品の側面に前記整列孔の内側面および前記整列突起の側面を当接させることで、前記複数の部品を一度に整列させることを特徴とする、部品の同時整列装置。
【請求項2】
前記複数の部品は、六面体形状であり、
前記整列孔の内側面には、互いに直交する2つの孔側当接面が形成されると共に、前記整列突起には、互いに直交して前記孔側当接面に対向する2つの突起側当接面を備え、前記孔側当接面と前記突起側当接面の間に略方形状の整列領域が形成されるようにし、
前記複数の部品の前記トレイから突出した部分を前記整列領域内にそれぞれ配置した状態で、前記駆動部により前記整列領域の一方の対角線方向に前記孔側当接面及び前記突起側当接面を相対的に移動させて、前記部品の4つの側面に前記孔側当接面及び前記突起側当接面を当接させることで、前記複数の部品を一度に整列させることを特徴とする、
請求項1に記載の部品の同時整列装置。
【請求項3】
前記突起側部材には、一面から他面にかけて貫通する複数の挿通孔が前記複数の部品に対応して形成され、
前記挿通孔を通してプローブを前記部品の端子に接触させることで、前記部品の検査を行うことが可能であることを特徴とする、
請求項1または2に記載の部品の同時整列装置。
【請求項4】
前記突起側部材および前記孔側部材を保持する保持機構を有するベースと、
前記ベースに設けられ、前記トレイに対して平面方向に位置決めする位置決め手段と、をさらに備え、
前記保持機構は、前記突起側部材および前記孔側部材の少なくともいずれかを、、前記ベースに対して少なくとも偏倚可能に保持することを特徴とする、
請求項1乃至3のいずれかに記載の部品の同時整列装置。
【請求項5】
前記保持機構における前記孔側部材の前記ベースに対する偏倚量は、前記突起側部材の偏倚量よりも大きく設定されることを特徴とする、
請求項4に記載の部品の同時整列装置。
【請求項6】
前記保持機構は、前記突起側部材および前記孔側部材の少なくともいずれかについて、両端の略2個所を保持することを特徴とする請求項4又は5に記載の部品の同時整列装置。
【請求項7】
前記保持機構は、前記突起側部材および前記孔側部材の少なくともいずれかについて、ボールジョイントを介して保持することを特徴とする請求項4、5又は6に記載の部品の同時整列装置。
【請求項8】
前記保持機構は、
前記ベースに対して揺動可能に配設されて、前記突起側部材の両端近傍を保持する1対の第1アームと、
前記ベースに対して揺動可能に配設されて、前記孔側部材の両端近傍を保持する1対の第2アームと、を備えることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか記載の部品の同時整列装置。
【請求項9】
前記第2アーム及び前記第1アームは、前記整列領域の一方の対角線方向に相対移動自在に配設されていることを特徴とする請求項8に記載の部品の同時整列装置。
【請求項10】
前記第2アームは前記第1アームに配設されることで、前記ベースに対して揺動可能となっていることを特徴とする請求項8又は9に記載の部品の同時整列装置。
【請求項11】
前記突起側部材は、略長方形板の一方の対角に切り欠き領域、他方の対角に保持領域を有する部材であり、
前記孔側部材は、前記突起側部材の前記切り欠き領域に対応する場所に保持領域を有する部材であり、
前記ベースは、互いに重ねられた前記突起側部材および前記孔側部材の前記保持領域近辺を少なくとも囲む部材であり、
前記ベースにおける、前記突起側部材の前記切り欠き領域と同じ側の対角部には、第1第1アームがそれぞれ揺動可能に配設され、
前記第1アームの先端は、前記突起側部材の前記保持領域を保持すると共に、前記第1アームの先端近傍には、前記第2アームが揺動可能に接続され、
前記第2アームは、前記突起側部材の前記切り欠き領域を臨んで、前記孔側部材の前記保持領域を保持することを特徴とする、
請求項10に記載の部品の同時整列装置。
【請求項12】
前記第1アームは、第1揺動軸によって前記ベースに対して揺動可能であると共に、前記駆動部によって前記第1揺動軸の軸方向に沿って摺動可能であり、
前記第2アームは、第2揺動軸によって前記第1アームに対して揺動可能であると共に、前記駆動部によって前記第2揺動軸の軸方向に沿って摺動可能であることを特徴とする、
請求項11に記載の部品の同時整列装置。
【請求項13】
前記駆動部は、前記第1アームに配設されることを特徴とする、
請求項8乃至12のいずれかに記載の部品の同時整列装置。
【請求項14】
前記駆動部による前記第1アーム及び前記第2アームのスライド範囲を設定するストッパが、前記ベースに配設されていることを特徴とする、
請求項8乃至13のいずれかに記載の部品の同時整列装置。
【請求項15】
複数の整列孔が一面から他面にかけて貫通するように形成された孔側部材と、
複数の整列凹部が形成されると共に、前記複数の整列凹部が前記複数の整列孔にそれぞれ対応した状態で前記孔側部材と重ねられる凹部側部材と、
前記孔側部材および前記凹部側部材をスライドさせて相対的に移動させる駆動部と、
複数の部品と共に、前記孔側部材および前記凹部側部材が上面に配置されるトレイと、を備え、
前記孔側部材の前記整列孔内に、前記複数の部品の前記トレイから突出した部分を収容させた状態で、前記駆動部により前記突起側部材および前記孔側部材を相対的に移動させて、前記部品の側面に前記整列孔の内側面および前記整列凹部の内側面を当接させることで、前記複数の部品を一度に整列させることを特徴とする、部品の同時整列装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−190882(P2009−190882A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35815(P2008−35815)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(501410137)アキム株式会社 (49)
【Fターム(参考)】