説明

部品搬送装置、部品実装装置及び部品検査装置

【課題】ヘッドユニットに複数のヘッドをより狭ピッチで搭載できるようにする。
【解決手段】部品実装装置は、X軸方向に一列に並ぶ複数のヘッド16を備えたヘッドユニット15を有し、これにより基板P上に部品を搬送して実装する。各ヘッド16は、レール321とこのレール321に装着されるスライダ322とを有するリニアガイド32と、リニアガイド32により上下方向に移動可能に設けられるノズル35と、固定子42と可動子44との間に吸引力を発生させながら駆動シャフト34を上下方向に駆動するリニアモータ40と、ノズル35に上向きの付勢力を与えるリターンスプリング48と、を含み、リニアガイド32、リニアモータ本体部分(スライドベース441以外の部分)及びリターンスプリング48がY軸方向に沿って並ぶように配置され、平面視でこれらリニアモータ本体部分等の並ぶ軸線上にノズル35が配設された構成とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を保持する複数のヘッドを備えた移動可能なヘッドユニットを有する部品搬送装置、および同装置を有する部品実装装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置として、従来から、複数のヘッドを搭載したヘッドユニットを装備し、このヘッドユニットによりテープフィーダから部品を取出して複数同時に基板上に搬送して実装させるものがある。この種の部品実装装置では、部品保持の際、若しくは部品実装の際には各ヘッドに設けられる部品吸着用のノズル(部品保持部材)を個別に昇降させる必要があり、従来は、ヘッド毎にねじ軸を用いた直動機構を設けてノズル個別に昇降させていた。しかし、最近では、例えば特許文献1に開示されるように、リニアモータを用いた直動機構によりノズルを昇降させるものが提供されている。概略的に説明すると、ヘッドは、リング状の固定子にシャフト型の可動子が挿入されたシャフト型のリニアモータを駆動源として有し、可動子の先端に設けられたノズルにより部品を吸着保持すると共に、前記リニアモータの作動によりノズルを昇降駆動する構成となっている。
【特許文献1】特開2006−180645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、部品実装基板はその搭載部品の高密化が進んでおり、他方、基板の生産はより一層の高速化が求められている。かかる要求に対応するには、部品実装時に、基板上におけるヘッドユニットの移動量を抑えつつ近接する実装位置に効率的に部品を実装できるようにすることが必要であり、これには、ヘッドの狭ピッチ化を図ることが必須となる。
【0004】
ところが、シャフト型のリニアモータを適用した従来のヘッド構造では、ノズルを有するシャフト(可動子)の外周に一定のギャップを隔てて筒状の固定子が配設され、さらに、モータ停止時にシャフトを上昇位置にリセットするためのリターンスプリングがシャフトの外周に配置されるので、ヘッドを幅方向(径方向)に小型化することが難しく、複数ヘッドを狭ピッチで並設する上で不利であった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、複数のヘッドをより狭ピッチでヘッドユニットに搭載できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、部品を保持する複数のヘッドを備えた移動可能なヘッドユニットを有し、このヘッドユニットにより部品を搬送する部品搬送装置において、前記複数のヘッドが並列に配列された状態で前記ヘッドユニットに搭載され、前記各ヘッドは、前記ヘッドユニットに対して上下方向に延設されるレールとこのレールに移動自在に装着されるスライダとを有するガイド手段と、前記ガイド手段により前記ヘッドユニットに対して上下方向に移動可能に設けられる部品保持部材と、コイル部及び永久磁石により構成される固定子と可動子とを有し、これら固定子と可動子との間に吸引力を発生させながら前記部品保持部材を上下方向に進退駆動するリニアモータと、前記部品保持部材に対して上向きの付勢力を与えるリターンスプリングと、を含み、前記コイル部及び永久磁石からなるリニアモータ本体部分、前記ガイド手段及びリターンスプリングがヘッド配列方向と直交する方向に沿って並ぶように配置されると共に、平面視で、前記リニアモータ本体部分、ガイド手段及びリターンスプリングが並ぶ軸線上の所定位置に前記部品保持部材が配設されているものである。
【0007】
このように構成された部品実装装置では、ヘッドを構成するリニアモータ本体部分、ガイド手段及びリターンスプリングがヘッド配列方向と直交する方向に並ぶように構成され、平面視でこれらリニアモータ本体部分、ガイド手段及びリターンスプリングが並ぶ軸線上の所定位置に前記駆動シャフトが配設されるので、ヘッド自体を、前記ヘッド配列方向にコンパクトな構成とすることができる。そのため、複数のヘッドをより狭ピッチで配置することが可能となる。
【0008】
この構成において、前記部品保持部材は、ヘッド配列方向と直交する方向に沿ってガイド手段やリターンスプリングと共にこれらの配列方向に並べて配置してもよいが、前記リニアモータ本体部分、ガイド手段及びリターンスプリングに対してこれらの下方に配置する構成によれば、リニアモータ本体部分等の下方に部品保持部材が配置される分、ヘッドを、ヘッド配列方向と直交する方向にコンパクト化することが可能となる。
【0009】
なお、ヘッド配列方向と直交する方向にリターンスプリング、リニアモータ本体部分及びガイド手段が並ぶ前記ヘッドの構成では、リニアモータによる推進力の作用位置とリターンスプリングの付勢力の作用位置とがガイド手段に対してそれらの並び方向(ヘッド配列方向と直交する方向)にオフセットされているため、これらの力のモーメントによりガイド手段に捩れが生じて部品保持部材の円滑な駆動(特に下降)が妨げられることが考えられる。しかし、このような不都合は、以下の構成により緩和される。
【0010】
すなわち、前記ヘッドは、前記並び方向における一端側から順に、前記リターンスプリング、リニアモータ本体部分及びガイド手段が並んだ構成とされる。この構成によれば、ガイド手段に対してリターンスプリングとリニアモータ本体部分とが同じ側に位置するため、部品保持部材の下降時には、リニアモータの推進力によりガイド手段に作用するモーメントとリターンスプリングによりガイド手段に作用するモーメントの向きが逆となる。従って、ガイド手段に作用する総モーメントが低減され、これによって部品保持部材の下降時にガイド手段に捩れが生じることが緩和される。
【0011】
また、この構成によれば、リターンスプリングが前記並び方向の一端に配置されているので、リターンスプリングへのアクセスが容易となり、経時劣化に伴うスプリング交換等のメンテナンス性が向上するという利点もある。なお、前記ヘッド配列方向と平行な方向に延びるヘッドユニット支持部材を有し、この支持部材の長手方向と直交する方向を前後方向としたときに、前記ヘッドユニットは、このヘッドユニット支持部材の前側に配置されると共にこのヘッドユニット支持部材に沿ってその長手方向に移動可能に支持されるものであり、前記リターンスプリング、リニアモータ本体部分及びガイド手段は、前記ヘッドユニットに対してその前側から順に並んでいるものであるのが好適である。
【0012】
この構成によれば、ヘッドユニット支持部材に邪魔されることなく容易にリターンスプリングにアクセスすることが可能となるため、上記スプリング交換等のメンテナンス性がより一層向上する。
【0013】
一方、本発明に係る部品実装装置は、部品を保持する複数のヘッドを備えた移動可能なヘッドユニットを有する部品搬送装置により、部品供給部から部品を取出して基板上に実装する部品実装装置において、前記部品搬送装置として、上記のような部品搬送装置を有するものである。
【0014】
また、本発明に係る部品検査装置は、部品を保持する複数のヘッドを備えた移動可能なヘッドユニットを有する部品搬送装置により、部品供給部から部品を取出して所定の部品検査部に移載して部品検査を行う部品検査装置において、前記部品搬送装置として、上記のような部品搬送装置を有するものである。
【0015】
これらの装置によれば、上記のような部品搬送装置を有しているので、狭ピッチでヘッドを搭載したヘッドユニットを用いて、基板上の密接した位置に効率的に部品を実装することが可能となり、また、密接した複数の部品検査部に効率的に部品を移載することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ヘッドを構成するガイド手段、リニアモータ本体部分及びリターンスプリングがヘッド配列方向と直交する方向に沿って並ぶように構成され、平面視でこれらガイド手段、リニアモータ本体部分及びリターンスプリングが並ぶ軸線上の所定位置に駆動シャフトが配設されているので、ヘッド自体を、前記ヘッド配列方向にコンパクトな構成とすることができる。従って、複数のヘッドを、ヘッド配列方向により狭ピッチで配置することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明に係る部品実装装置(本発明に係る部品搬送装置が適用される部品実装装置)の概略構成を平面図で示している。なお、この図を含め本説明で使用する図面には、各図の方向関係を明確にするためにXYZ直角座標軸が示してある。
【0018】
同図に示すように、部品実装装置の基台10上には、基板搬送機構としてコンベア12が配置されており、このコンベア12によりプリント基板P(以下、単に基板Pという)が同図右側から左側に搬送されて所定の作業位置(同図に示す基板Pの位置)に搬入されるようになっている。作業位置の下方領域には、実装作業中に基板Pをバックアップピンにより支持する基板支持装置11が配置されている。
【0019】
前記コンベア12の両側(図1では上下両側)にはそれぞれフィーダ設置領域13が設けられており、これらフィーダ設置領域13には、例えばテープフィーダ14等の部品供給装置がコンベア12に沿って並列に配置されている。各テープフィーダ14は、集積回路(IC)、トランジスタ、抵抗、コンデンサ等の小片状のチップ部品を所定間隔で収納、保持したテープが巻回されたリールを保持しており、このリールから前記テープを繰り出すことによりフィーダ先端の部品供給位置に部品を供給し、ヘッドユニット15により部品をピックアップさせるように構成されている。
【0020】
前記基台10の上方には部品実装用の前記ヘッドユニット15が設けられている。このヘッドユニット15は、前記テープフィーダ14から部品を吸着して基板P上に搬送すると共に、基板P上の所定位置に実装するもので、所定領域内でX軸方向(コンベア12による基板Pの搬送方向)及び水平面上でこれと直交するY軸方向にそれぞれ移動可能とされている。すなわち、ヘッドユニット15は、X軸方向に延びるヘッドユニット支持部材18に移動可能に支持されている。また、このヘッドユニット支持部材18は、両端部がY軸方向に延びる固定レール17に支持され、この固定レール17に沿ってY軸方向に移動可能となっている。そして、X軸サーボモータ20によりボールねじ軸21を介してヘッドユニット15がX軸方向に駆動される一方、Y軸サーボモータ22によりボールねじ軸23を介してヘッドユニット支持部材18がY軸方向に駆動されるようになっている。なお、当実施形態では、ヘッドユニット15と当該ヘッドユニット15を移動させるための上記機構等が本発明に係る部品搬送装置に相当する。
【0021】
ヘッドユニット15には、図2に示すように、部品を保持して搬送するための複数のヘッド16が搭載されており、当実施形態では、合計10個のヘッド16がX軸方向に列状に配置されている。各ヘッド16は、Z軸方向(上下方向)に延びる駆動シャフト34を有しており、この駆動シャフト34の先端(下端)には部品吸着用のノズル35が取付けられている。ノズル35は、駆動シャフト34の内部通路及び図略の切換弁等を介して負圧発生装置に接続されており、部品吸着時には、吸着ノズル先端に前記負圧発生装置から負圧吸引力が与えられることにより部品の吸着、保持が可能となっている。この当実施形態では、この駆動シャフト34及びノズル35が本発明に係る部品保持部材に相当する。
【0022】
ノズル35(駆動シャフト34)は、ヘッドユニット15に対して昇降(Z軸方向の移動)およびノズル中心軸(R軸)回りの回転が可能とされ、昇降駆動機構および回転駆動機構によりそれぞれ駆動されるようになっている。これらの駆動機構のうち昇降駆動機構は各ヘッド16に各々組み込まれている。なお、昇降駆動機構を含む各ヘッド16の構成、及び回転駆動機構の構成については、後に説明する。
【0023】
ヘッドユニット15には、基板撮像ユニット24が搭載されている。この基板撮像ユニット24は、CCD等の撮像素子をもつエリアカメラおよび照明装置等からなり、ヘッドユニット15に対して下向きの姿勢で固定され、作業位置に搬入される基板P上の各種マークを撮像可能となっている。
【0024】
なお、前記基台10上には、図1に示すように、ヘッドユニット15の各ヘッド16(ノズル35)に吸着された部品を撮像するための部品撮像ユニット25が設けられている。この部品撮像ユニット25も、前記基板撮像ユニット24と同様にエリアカメラおよび照明装置等から構成されており、基台10上に上向きの姿勢で固定されている。これにより、部品吸着後、ヘッドユニット15が部品撮像ユニット25上方に配置された際、各ヘッド16にて吸着された部品を部品撮像ユニット25により撮像可能となっている。
【0025】
次に、ヘッドユニット15および各ヘッド16の具体的な構成について説明する。
【0026】
前記ヘッドユニット15には上記の通り10個のヘッド16が搭載されている。各ヘッド16は、X軸方向に扁平なユニット化された部材であり、図2に示すように、X軸方向に10個並べた状態で一体にヘッドユニット15に対して固定されている。
【0027】
図3〜図5は、前記ヘッド16の具体的な構成を示しており、図3は側面図(図2のIII−IIIに沿った矢視図)で、図4は正面図で、図5は分解斜視図でそれぞれヘッド16を示している。なお、図5では、駆動シャフト34等、一部の部品は便宜上省略されている。
【0028】
前記ヘッド16は、概略的には、前記ノズル35を下端部に備える前記駆動シャフト34と、この駆動シャフト34とノズル35等をZ軸方向に駆動するリニアガイド32(ガイド手段)及びリニアモータ40と、ノズル35等に対して上向きの付勢力を付与するリターンスプリング48と、フレーム30等とからなり、フレーム30にリニアガイド32等の構成要素が一体に組み付けられることによりユニット化されている。そして、リニアモータ40によりノズル35をZ軸方向に駆動すると共に、リニアモータ40の停止時には、リターンスプリング48の付勢力によりノズル35を上方位置に保持するように構成されている。
【0029】
詳細に説明すると、前記フレーム30は、ベースプレート301の周囲一部分に側壁部302を備えたX軸方向に扁平な皿形の部材で、表面処理を施したアルミ合金等により構成されている。このフレーム30には、リニアモータ40及びリニアガイド32が組付けられている。
【0030】
リニアモータ40は、固定子42と可動子44と有している。固定子42は、櫛型のコア421にコイル422(コイル部)が装着された固定子本体、及びこの固定子本体とは別体の一対のサブティース423,423により構成されている。固定子本体及びサブティース423,423は各々ベースプレート301にボルトで固定されており、図3に示すように、サブティース423,423は、固定子本体の前記コイル422の両端に並ぶようにベースプレート301に固定されている。これらサブティース423,423は、モータ駆動時に固定子両端の磁束形成を補うことにより所謂コギング力を低減するものである。なお、当実施形態では、サブティース423,423は、固定子本体とは別体に設けられているが、勿論、固定子本体(コア421)に一体的に設けられていてもよい。
【0031】
可動子44は、固定子42に対してY軸方向に横並びに設けられている。可動子44は、Z軸方向に延びる断面コ字型のスライドベース441を有しており、このスライドベース441の側面(固定子42との対向面)にヨーク443を介して複数の永久磁石442が配列された構成となっている。具体的には、固定子42側がN極、可動子44側がS極の永久磁石442と固定子42側がS極、可動子44側がN極の永久磁石442とがZ軸方向に交互に配列されている。そして、この可動子44がリニアガイド32の後記スライダ322に固定されることにより、当該可動子44がZ軸方向に移動可能となっている。なお、この実施形態では、固定子42、可動子44の永久磁石442、バックヨーク443(すなわちスライドベース441以外の部分)が本発明に係るリニアモータ本体部分に相当する。
【0032】
リニアガイド32は、Z軸方向に延びるレール321と、このレール321に対してZ軸方向にスライド自在に装着される複数のスライダ322,322とから構成されており、前記レール321がベースプレート301にボルトで固定されることによりフレーム30に組み込まれている。そして、このリニアガイド32の各スライダ322,322に対してリニアモータ40の前記可動子44(スライドベース441)が固定されている。これにより図外のリニア駆動制御部から前記リニアモータ40の固定子42に所定の駆動信号が与えられると、その駆動信号に応じた方向及び速度で可動子44がZ軸方向に駆動される構成となっている。
【0033】
なお、固定子42と可動子44は、これらの間(正確には櫛形のコア421の可動子側端部と永久磁石442の固定子側表面との間)に所定のギャップが形成された状態でフレーム30に固定されている。
【0034】
詳しく説明すると、前記ベースプレート301には、固定子位置決め用の基準面304を有する一対の突部303,303が一体形成されており、他方、固定子42の前記コア421の両端にはティース並び方向に延設される延設部421a,421aが一体に形成されている。そして、各突部303,303の基準面304に対し、コア421の各延設部421aが前記可動子44側とは反対側(図3では左側)から突き当てられ、この状態でコア421に形成される貫通孔を介してボルト425がベースプレート301のねじ孔301aに螺合挿入されている。これにより前記固定子42がY軸方向に位置決めされた状態でフレーム30に組付けられている。
【0035】
また、前記ベースプレート301には、可動子位置決め用の突条305が一体形成されており、この突条305に対し、前記レール321が前記固定子42側とは反対側(図3では右側)から突き当てられ、この状態で、当該レール321に形成される貫通孔を介してボルト325がベースプレート301のねじ孔301bに螺合挿入されている。これによりリニアガイド32を介して前記可動子44がY軸方向に位置決めされた状態でフレーム30に組付けられている。なお、レール321をベースプレート301に組付けた後に前記可動子44をスライダ322の定められた位置に組付けてもよいし、予め前記可動子44をスライダ322に組付けてからレール321をベースプレート301に組付けてもよい。
【0036】
このように、前記固定子42及び可動子44がそれぞれY軸方向に位置決めされた状態でフレーム30に組付けられることにより、固定子42と可動子44との間に所定寸法のギャップが形成されている。なお、図中符合323は、スライダ322のZ軸方向の移動を規制するストッパであり、また符合324は、前記可動子44(スライドベース441)のZ軸方向の移動を規制するストッパであり、それぞれベースプレート301にボルトで固定されている。
【0037】
上記のように構成されたリニアモータ40の前記可動子44に対して駆動シャフト34が取付けられている。詳しくは、前記スライドベース441の下端部分に、前記固定子42の下方に向かってY軸方向に延びる取付アーム37が固定され、この取付アーム37の下面にシャフト支持部材36を介して駆動シャフト34が取付けられている。
【0038】
駆動シャフト34は、中空軸からなり、シャフト支持部材36に対してR軸回りに回転自在に支持されると共に、このシャフト支持部材36に設けられる負圧導入用のポート361及び図外の負圧通路を介して前記負圧発生装置に接続されている。
【0039】
駆動シャフト34は、図示されないスプライン等機構により、軸方向に変位可能に、かつシャフト中心回り(R軸回り)に回転自在に、前記ヘッドユニット15に保持されている。
【0040】
そして、リニアモータ本体部分(リニアモータ40のうちスライドベース441以外の部分)を挟んでリニアガイド32とは反対側の位置にリターンスプリング48が配設されている。このリターンスプリング48は、前記フレーム30の上端部分と前記取付アーム37とに亘って装着されており、これにより取付アーム37及びシャフト支持部材36を介して前記駆動シャフト34に上向きの付勢力が付与されている。
【0041】
なお、ヘッド16には、可動子44及び駆動シャフト34(ノズル35)の位置を検出するための位置検出サンサとして磁気センサ45が組込まれている。すなわち、図5に示すように、リニアモータ40の前記可動子44(スライドベース441)の側面のうち、前記永久磁石442の配設面とは反対側の面には、磁気的に目盛りを記録したプレート状の磁気スケール46がスライドベース441に沿って固定されている。一方、フレーム30には、前記ベースプレート301に設けられたセンサ支持部306に、MRセンサやホールセンサ等の磁気センサ45が取付けられており、この磁気センサ45により磁気スケール46を読み取ることにより、可動子44及び駆動シャフト34(ノズル35)の位置が検出可能となっている。なお、図中符合451は、磁気センサ45の制御基板等を被うカバー部材である。
【0042】
このように構成された10個のヘッド16が互いにX軸方向に重装され、前記ヘッドユニット15に対してその前面側(ヘッドユニット支持部材18側とは反対側)にリターンスプリング48が位置する状態で一体に固定されている。詳しくは、前記フレーム30のうちリニアガイド32等の組付け面側に一対の位置決めピン310,310が突設される一方、他面側にはこれに対応する図外の位置決め孔が穿設されており、これら位置決めピン310,310が隣接するヘッド16の位置決め孔に挿入されることによって各ヘッド16が互いに位置決めされた状態でX軸方向に重装されている。そして、この重装されたヘッド16群に対してそのX軸方向外側から各々取付用フレーム15bが重装され、各フレーム30に形成される貫通孔312を通じて取付用フレーム15b及びヘッド16群がボルト151,ナット152により一体に締結された上で、両取付用フレーム15bがヘッドユニット15の本体フレーム15aに対して位置決め固定されている。これによって10個のヘッド16が一体に前記ヘッドユニット15に固定されている。
【0043】
ヘッドユニット15に固定された各ヘッド16の駆動シャフト34は、図2に示すように、本体フレーム15aに設けられる保持部15cにより保持されている。さらに、駆動シャフト34は前記保持部15cに回転自在に支持され、図外の駆動ベルト等により、前記本体フレーム15aに固定された駆動モータ(回転型モータ)26,26の駆動プーリ(図示省略)に連結されており、これによって上記回転駆動機構が構成されている。
【0044】
上記のように構成された部品実装装置では、次のようにして部品の実装が行われる。
【0045】
まず、ヘッドユニット15がフィーダ設置領域13に移動して各ヘッド19による部品の吸着が行われる。具体的には、所定のヘッド16がテープフィーダ15の上方に配置された後、リニアモータ40により駆動シャフト34が昇降駆動され、これによりノズル35が下降してテープ内の部品を吸着して取出す。この際、可能な場合には、複数のヘッド16により同時に部品の取出しが行われる。部品の吸着が完了すると、所定の経路に沿ってヘッドユニット15が部品認識カメラ17の上方を経由してから基板P上に移動する。この移動中に、各ヘッド16(ノズル35)による部品の吸着状態が画像認識されて実装時の補正量が演算される。そして、ヘッドユニット15が基板P上の最初の実装位置に到達すると、リニアモータ40により駆動シャフト34が昇降駆動され基板P上に部品が実装され、以降ヘッドユニット15が順次実装位置に移動することにより基板P上に残りの吸着部品が実装されることとなる。
【0046】
以上のような本発明に係る部品実装装置では、ヘッドユニット15に複数(10個)のヘッド16が搭載され、これらのヘッド16により部品を搬送しながら基板P上に実装するが、上記のように、各ヘッド16は、リニアガイド32、リニアモータ本体部分(リニアモータ40のうちスライドベース441以外の部分)及びリターンスプリング48がヘッド配列方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)に一列に並び、これらリニアモータ40等の下方位置にノズル35(駆動シャフト34)が配設された構成となっているので、図4等に示す通り、ヘッド16がX軸方向にコンパクトな扁平構造となる。そして、このような扁平構造の複数のヘッド16がX軸方向に互いに重装する状態で上記ヘッドユニット15に搭載されているので、各ヘッド16がX軸方向に狭ピッチで配置されることとなる。従って、この部品実装装置によれば、このように複数のヘッド16がヘッドユニット15に狭ピッチで搭載されている結果、高密度実装が要求される基板P、つまり実装位置が接近した基板Pへの部品の実装時には、ヘッドユニット15の移動量を抑えつつ近接する実装位置に効率的にノズル35を移動させて部品を実装することが可能となり、従って、部品の実装をより効率的に行うことができる。
【0047】
また、各ヘッド16は、リターンスプリング48がヘッドユニット15の前面側(ヘッドユニット支持部材18側とは反対側)に位置する状態でヘッドユニット15に固定されているため、例えば、スプリング交換等のメンテナンス時には、ヘッドユニット支持部材18に邪魔されることなく容易に作業者がリターンスプリングにアクセスして作業を行うことができる。従って、上記リターンスプリング48のメンテナンス性が良いという利点もある。
【0048】
なお、上記のように、リターンスプリング48、リニアモータ本体部分及びリニアガイド32がY軸方向に並ぶ上記ヘッド16の構成では、リニアモータ40による推進力の作用位置とリターンスプリング48による付勢力の作用位置とがオフセットされるため、特に、部品装着時や実装時には、これらの力のモーメントによりリニアガイド32(スライダ322)に捩れが生じて、円滑なノズル35(駆動シャフト34)の下降動作が妨げられることが考えられる。しかし、上記のヘッド16では、Y軸方向の一端側から順にリターンスプリング48、リニアモータ本体部分及びリニアガイド32が並んでおり、リニアモータ40の推進力F1(図3参照)によりリニアガイド32に作用するモーメントと、リターンスプリング48の付勢力F2(図3参照)によりリニアガイド32に作用するモーメントが逆向きとなる。従って、リニアガイド32に作用する総モーメントを効果的に低減させることができ、その結果、ノズル下降時のリニアガイド32の捩れを緩和することができる。従って、リターンスプリング48、リニアモータ本体部分及びリニアガイド32をY軸方向に沿って並べて配置しながらも(つまりヘッド16を扁平構造としながらも)、基板Pへの部品装着には、円滑にノズル35を駆動させることができるという利点もある。
【0049】
なお、ここでは、ノズル(駆動シャフト34)下降時のリニアガイド32の捩れのみを問題としているが、これは、ノズル上昇時のリニアガイド32の捩れは、実装精度等への影響が少ないからである。つまり、部品吸着後(テープフィーダ14からの部品取出し後)、ノズル上昇時にリニアガイド32に捩れが生じて吸着部品がガタつき、その吸着位置が多少ずれたとしても、当該ずれは、その後の部品撮像ユニット25による部品認識処理により補正が可能であり、実装精度への影響は殆どない。そして、部品実装後のノズル上昇時は部品を吸着しておらず、従って、上記ガタつきによる部品の吸着ずれが生じる余地がないためである。
【0050】
ところで、以上説明した部品実装装置は、本発明に係る部品実装装置の好ましい実施形態の一例であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0051】
例えば、上記実施形態では、ヘッド16は、Y軸方向に沿って一端側から順にリターンスプリング48、リニアモータ本体部分(リニアモータ40のうちスライドベース441以外の部分)及びリニアガイド32が略一列に並んだ構成となっているが、例えば一端側からリニアモータ本体部分、リニアガイド32及びリターンスプリング48の順で並ぶように構成されていてもよい。但し、ノズル下降時のリニアガイド32に生じる捩れを緩和して駆動シャフト34を円滑に駆動する上では、上記実施形態のような配列でリニアモータ本体部分等を配置するのが望ましい。
【0052】
また、上記実施形態では、ヘッド16(駆動シャフト34)は、リターンスプリング48、リニアモータ40及びリニアガイド32等に対してその下方位置に駆動シャフト34を配置する構成となっているが、例えば、駆動シャフト34を、リターンスプリング48、リニアモータ本体部分及びリニアガイド32と共にY軸方向に横並びに配置してもよい。要するに、ノズル35(駆動シャフト34)は、平面視で、リターンスプリング48、リニアモータ本体部分及びリニアガイド32が並ぶ軸線上の所定位置に配置されていればよい。但し、上記実施形態のようにリニアモータ40等の下方位置にノズル35(駆動シャフト34)を配置する構成によると、ヘッドユニット15をY軸方向にコンパクト化する上で有利となる。
【0053】
また、上記実施形態では、部品実装装置を例に本発明の適用について説明したが、本発明の適用対象は部品実装機に限定されるものではなく、例えば、部品を保持する複数のヘッドを備えた移動可能なヘッドユニットを有する部品搬送装置により、部品供給部から部品を取出して所定の部品検査部に移載して部品検査を行う部品検査装置についても本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る部品実装装置(本発明に係る部品搬送装置を有する部品実装装置)の概略構成を示す平面図である。
【図2】ヘッドユニットの具体的な構成を示す正面図である。
【図3】ヘッドユニットに搭載されるヘッドの構成を示す側面図(図2のIII−III線に沿った矢視図)である。
【図4】ヘッドの構成を示す正面図である。
【図5】ヘッドの構成を示す分解斜視図である。
【図6】ヘッドユニットに対する各ヘッドの組付け方を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
15 ヘッドユニット
16 ヘッド
30 フレーム
32 リニアガイド
321 レール
322 スライダ
34 駆動シャフト
35 ノズル
40 リニアモータ
42 固定子
44 可動子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を保持する複数のヘッドを備えた移動可能なヘッドユニットを有し、このヘッドユニットにより部品を搬送する部品搬送装置において、
前記複数のヘッドが並列に配列された状態で前記ヘッドユニットに搭載され、
前記各ヘッドは、前記ヘッドユニットに対して上下方向に延設されるレールとこのレールに移動自在に装着されるスライダとを有するガイド手段と、
前記ガイド手段により前記ヘッドユニットに対して上下方向に移動可能に設けられる部品保持部材と、
コイル部及び永久磁石により構成される固定子と可動子とを有し、これら固定子と可動子との間に吸引力を発生させながら前記部品保持部材を上下方向に進退駆動するリニアモータと、
前記部品保持部材に対して上向きの付勢力を与えるリターンスプリングと、を含み、
前記コイル部及び永久磁石からなるリニアモータ本体部分、前記ガイド手段及びリターンスプリングがヘッド配列方向と直交する方向に沿って並ぶように配置されると共に、平面視で、前記リニアモータ本体部分、ガイド手段及びリターンスプリングが並ぶ軸線上の所定位置に前記部品保持部材が配設されている
ことを特徴とする部品搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品搬送装置において、
前記部品保持部材は、前記リニアモータ本体部分、ガイド手段及びリターンスプリングに対してこれらの下方に配置されていることを特徴とする部品搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の部品搬送装置において、
前記並び方向における一端側から順に、前記リターンスプリング、リニアモータ本体部分及びガイド手段が並んでいることを特徴とする部品搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の部品搬送装置において、
前記ヘッド配列方向と平行な方向に延びるヘッドユニット支持部材を有し、この支持部材の長手方向と直交する方向を前後方向としたときに、前記ヘッドユニットは、このヘッドユニット支持部材の前側に配置されると共にこのヘッドユニット支持部材に沿ってその長手方向に移動可能に支持されるものであり、前記リターンスプリング、リニアモータ本体部分及びガイド手段は、前記ヘッドユニットに対してその前側から順に並んでいることを特徴とする部品搬送装置。
【請求項5】
部品を保持する複数のヘッドを備えた移動可能なヘッドユニットを有する部品搬送装置により、部品供給部から部品を取出して基板上に実装する部品実装装置において、
前記部品搬送装置として、請求項1乃至4の何れか一項に記載の部品搬送装置を有することを特徴とする部品実装装置。
【請求項6】
部品を保持する複数のヘッドを備えた移動可能なヘッドユニットを有する部品搬送装置により、部品供給部から部品を取出して所定の部品検査部に移載して部品検査を行う部品検査装置において、
前記部品搬送装置として、請求項1乃至4の何れか一項に記載の部品搬送装置を有することを特徴とする部品検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−170525(P2009−170525A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4641(P2008−4641)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】