説明

重ね合わせ画像の構築方法

【課題】一の包埋標本から得られた複数の薄層切片をそれぞれ撮像し、得られた2次元画像同士を重ね合わせる際に、薄層切片取得時の歪み等を簡便に補正し、より正確な重ね合わせ画像を構築する方法の提供。
【解決手段】(a)被検試料及びマーカーが埋め込まれている包埋標本を作製する工程と、(b)前記工程(a)の後、前記包埋標本を薄切りし、2枚以上の薄層切片を作製する工程と、(c)前記工程(b)の後、作製された各薄層切片の2次元画像を撮像する工程と、(d)前記工程(c)の後、取得された2次元画像同士を、各2次元画像中のマーカーを基準として重ね合わせた画像を構築する工程と、を有することを特徴とする、重ね合わせ画像の構築方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一の包埋標本から得られた複数の薄層切片をそれぞれ撮像し、得られた2次元画像同士を重ね合わせ、重ね合わせ画像を構築する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な組織学的検査では、被検者から採取された組織片等の包埋標本を薄切りして得られた薄層切片をスライドグラスに貼り付け、各種染色等を行い、2次元染色画像を解析することが行われている。近年の画像解析技術の進歩により、複数枚の連続する薄層切片(連続切片)の2次元画像を、コンピュータ上で人為的に位置や角度を調整して重ね合わせ、3次元画像を再構築することが可能になった。この3次元画像構築により、2次元画像からは理解が難しかった組織の立体構造についても、より詳細に解析できるようになった。ただし、包埋標本を薄切りにして連続切片を作製する際に、包埋標本がずれてしまう等により、完全に平行な連続切片を取得することは難しい。このため、連続切片の2次元画像からより正確な3次元画像を再構築する方法の開発が重要である。
【0003】
1枚のスライドグラスに貼り付けた薄層切片から、明視野画像と蛍光染色画像等の2種類以上の2次元画像を撮像し、これらを重ね合わせることが一般的である。1枚の薄層切片から撮像された複数の2次元画像をずれなく正確に重ね合わせるために、例えば、薄層切片を貼り付けたスライドグラス上に予め人為的にマーカーを付し、当該マーカーを含む視野で撮像し、得られた2次元画像同士を、当該マーカーの位置が一致するように重ね合わせる方法がある(例えば、特許文献1及び2参照。)
【0004】
しかしながら、スライドグラスに直接付したマーカーを利用する方法では、連続切片から撮像された複数の2次元画像をずれなく正確に重ね合わせることは非常に難しい。連続切片の場合には、全ての薄層切片をスライドグラス中の一定の位置に貼り付けることは不可能であるため、薄層切片を貼り付けた後のスライドグラスにマーカーを付したとしても、スライドグラス間で、薄層切片とマーカーの位置関係にずれが生じているためである。
【0005】
そこで、連続切片の2次元画像を重ね合わせる際に、2次元画像中から、各薄層切片中の共通した任意の特徴的な部分を複数箇所選択し、当該共通部分の位置が一致するように各2次元画像を変形・補正した後に重ね合わせる方法も行われている(例えば、特許文献3及び非特許文献1参照。)。
【0006】
しかしながら、全ての連続切片中にマーカーとして使用できる部分が必ず存在しているとは限らず、各薄層切片中に共通した特徴的な部分が存在していない場合には、特許文献3及び非特許文献1に記載の方法は利用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3766421号公報
【特許文献2】特開2010−085219号公報
【特許文献3】特開2008−046098号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】井戸祥人、他3名、「2次元病理画像群の変形補正による3次元画像構築」、“Optics and Photonics Japan講演予稿集”、2009年、第362〜363ページ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、一の包埋標本から得られた複数の薄層切片をそれぞれ撮像し、得られた2次元画像同士を重ね合わせる際に、薄層切片取得時の歪み等を簡便に補正し、より正確な重ね合わせ画像を構築する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
(1) (a)被検試料及びマーカーが埋め込まれている包埋標本を作製する工程と、
(b)前記工程(a)の後、前記包埋標本を薄切りし、2枚以上の薄層切片を作製する工程と、
(c)前記工程(b)の後、作製された各薄層切片の2次元画像を撮像する工程と、
(d)前記工程(c)の後、取得された2次元画像同士を、各2次元画像中のマーカーを基準として重ね合わせた画像を構築する工程と、
を有することを特徴とする、重ね合わせ画像の構築方法、
(2) 前記工程(a)において、前記包埋標本を、被検試料及びマーカーを同時に包埋することにより作製することを特徴とする、前記(1)に記載の重ね合わせ画像の構築方法、
(3) 前記マーカーが、前記包埋標本の作製に用いられる包埋剤溶液に不溶性の樹脂であることを特徴とする前記(2)に記載の重ね合わせ画像の構築方法、
(4) 前記樹脂が、キシレン又はエタノールに不溶であることを特徴とする前記(3)に記載の重ね合わせ画像の構築方法、
(5) 前記工程(a)において、前記包埋標本を、被検試料を埋め込んだ包埋標本を作製した後、当該包埋標本中、前記被検試料中の被検部位以外の部位に、マーカーを埋め込むことにより作製することを特徴とする、前記(1)に記載の重ね合わせ画像の構築方法、
(6) 前記マーカーが、乾燥により固化する液状のタンパク質又は樹脂であることを特徴とする前記(5)に記載の重ね合わせ画像の構築方法、
(7) 前記タンパク質が、コラーゲン又はフィブリンであることを特徴とする前記(6)に記載の重ね合わせ画像の構築方法、
(8) 前記包埋標本に、2以上のマーカーが埋め込まれていることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の重ね合わせ画像の構築方法、
(9) 前記工程(d)において、取得された複数の2次元画像のうちの1枚を基準画像とし、
各2次元画像に対してそれぞれ、
2次元画像中の任意の2つのマーカーの位置関係及び中心間距離が、基準画像中の相当する2つのマーカーの位置関係及び中心間距離と等しくなるように、当該2次元画像を収縮又は伸展させた補正画像を作製し、
得られた全補正画像及び基準画像を重ね合わせることを特徴とする前記(8)に記載の重ね合わせ画像の構築方法、
を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の重ね合わせ画像の構築方法により、一の包埋標本から得られた複数の薄層切片の2次元画像に対して、薄層切片取得時の歪み等を従来になく簡便に補正し、より正確な重ね合わせ画像を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】断面が6本の線のうちの1本が矢印であるアスタリスク形状の柱状のマーカーを埋め込んだ場合の画像の重ね合わせの工程を模式的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の重ね合わせ画像の構築方法は、下記工程(a)〜(d)を有することを特徴とする。
(a)被検試料及びマーカーが埋め込まれている包埋標本を作製する工程と、
(b)前記工程(a)の後、前記包埋標本を薄切りし、2枚以上の薄層切片を作製する工程と、
(c)前記工程(b)の後、作製された各薄層切片の2次元画像を撮像する工程と、
(d)前記工程(c)の後、取得された2次元画像同士を、各2次元画像中のマーカーを基準として重ね合わせた画像を構築する工程。
2次元画像を重ね合わせる際の指標として、被検試料とともに包埋したマーカーを用いることにより、包埋標本の薄切り時の標本面のずれ、及び薄層切片をスライドグラスに貼り付ける際のずれの両方に由来するずれを簡便に補正することができ、より正確な重ね合わせ画像を構築することができる。
【0014】
本発明において用いられる被検試料は、連続切片により画像を取得し解析される対象であり、2枚以上の薄層切片を作製可能な程度の厚みのある固形であれば特に限定されるものではないが、生体試料であることが好ましく、中でも病理検査やその他の生物学的実験等のために取得された組織切片であることが好ましい。
【0015】
被検試料が組織切片等の生体試料である場合、包埋標本作製前に、予め、当該被検試料を固定処理しておくことが好ましい。固定処理は、細胞や組織切片等に対する固定処理において通常行われている方法の中から、被検試料の種類に応じて適宜選択して行うことができる。固定処理としては、固定液として例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド、エタノール、メタノール、アセトン等を用いる方法が挙げられる。固定化処理後、被検試料から固定液を除去しておくことも好ましい。
【0016】
包埋の方法によっては、包埋処理の前に予め、固定した被検試料を脱水・脱脂処理しておいてもよい。例えば、固定済み被検試料をアルコールに浸漬させることにより、脱水処理を行う。脱水処理後、包埋剤を溶解させた溶媒によって浸漬させておくことも好ましい。具体的には、包埋剤溶液としてパラフィンをキシレンに溶解させた溶液を用いる場合、固定済み被検試料を無水アルコールに浸漬させて脱水させた後、キシレンにさらに浸漬させる。
【0017】
まず、工程(a)として、被検試料及びマーカーが埋め込まれている包埋標本を作製する。被検試料と共に埋め込むマーカーは、1つであってもよく、2以上であってもよい。複数のマーカーを埋め込む場合、各マーカーの色は同じであってもよく、マーカーごとに色を変えてもよい。
【0018】
包埋方法は特に限定されるものではなく、組織切片の包埋標本を作製する際に用いられるいずれの方法で行ってもよい。包埋方法としては、例えば、包埋剤としてパラフィンを用いるパラフィン包埋、凍結用包埋剤で包埋した後、液体窒素等を用いて凍結させる凍結包埋、包埋剤として樹脂を用いる樹脂包埋、包埋剤としてゼラチンを用いるゼラチン包埋等が挙げられる。包埋剤として使用されるパラフィン、凍結用包埋剤、樹脂、ゼラチン等は、当該技術分野で使用されているものを適当な濃度で使用することができる。例えば、凍結用包埋剤としてOCT(Optimal Cutting Temperature)コンパウンド等、樹脂包埋剤として低温光重合性のメタクリレート樹脂等が挙げられる。
【0019】
本発明において用いられるマーカーは、被検試料と共に包埋された後、得られた包埋標本の薄層切片を顕微鏡下で観察した際に、視覚的に識別可能なものである。すなわち、被検試料とマーカーが共に包埋された包埋標本は、当該マーカーが包埋されていない包埋標本と同様に、常法により薄層切片が作製可能な柔らかさを有している必要がある。このため、マーカーは、ミクロトーム等の装置により、4〜20μmの厚みで切断可能な程度の硬度を有する固体である。さらに、マーカーは顕微鏡観察下で視覚的に確認できる色を有している。マーカー自身が色を有していてもよく、ヘマトキシリン、エオシン等の各種染色剤によって染色可能なものであってもよい。また、マーカーは、可視光領域で吸収ピークのある物質、すなわち光を不透過な物質であってもよい。
【0020】
マーカーとしては、例えば、低密度(密度:0.910以上0.930未満)ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂、二トリルゴムラテックス等のゴム、コラーゲン、フィブリン等のタンパク質等が挙げられる。樹脂やゴム等は、予め各種色素や蛍光物質により着色したものを用いることができる。また、タンパク質等の生体分子を用いた場合には、薄層切片作製後、被検試料中の生体分子と同時に染色してもよい。
【0021】
工程(a)においては、最終的に、被検試料とマーカーが共に包埋された標本が作製できればよい。被検試料とマーカーを同時に包埋剤で包埋することにより作製してもよく、はじめに被検試料を埋め込んだ包埋標本を作製した後、当該包埋標本中の被検試料が埋め込まれている部位以外の部位に、マーカーを埋め込むことにより作製してもよい。
【0022】
被検試料とマーカーを同時に包埋剤で包埋する場合、マーカーは、包埋剤又は当該包埋剤を溶解させた溶媒に不溶な固体であることが必要である。例えば、包埋剤として、キシレンに溶解させたパラフィンを用いる場合、マーカーは、キシレン不溶性の樹脂やゴム、例えばキシレン耐性のある低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、二トリルゴムラテックス等を用いることができる。
【0023】
また、用いるマーカーは、被検試料よりも高さがあるものであれば、その形状は特に限定されるものではない。被検試料よりも高さがあれば、被検試料と共に包埋した場合に、包埋標本から連続切片を作製した際、被検試料が含まれる薄層切片中に必ずマーカーを含めることができる。マーカーの形状としては、具体的には例えば、円柱状、三角形等の多角形柱状、米印状の柱状、球状等が挙げられる。
【0024】
まず被検試料を埋め込んだ包埋標本を作製した後、当該包埋標本中にマーカーを埋め込む場合には、包埋標本に柱状の穴を開けた後、当該穴に柱状のマーカーを埋め込むか、又は当該穴に液状のマーカーを流し込み、固化させる。液状のマーカーとしては、乾燥により固化する液状のタンパク質又は樹脂が挙げられる。具体的には、着色剤を含む低温光重合性の樹脂溶液であってもよいが、コラーゲン、フィブリン等の液状タンパク質であることが好ましい。
また、包埋標本中のマーカーを埋め込む位置は、被検試料中の検査・観察の対象となる部位(被検部位)が損なわれない位置であればよい。すなわち、当該包埋標本中、前記被検試料中の被検部位以外の部位であればよく、具体的には、例えば、包埋標本中の被検試料が埋め込まれていない位置であってもよく、被検試料中の被検部位以外の部位であってもよい。
【0025】
次いで、工程(b)として、前記包埋標本を薄切りし、2枚以上の薄層切片を作製した後、工程(c)として、作製された各薄層切片の2次元画像を撮像する。
薄層切片は連続切片であることが好ましい。包埋標本の薄切りは、ミクロトーム等の装置を用いて常法により行うことができる。
さらに、作製された薄層切片は、スライドグラスに貼り付けた後に、顕微鏡下で撮像し、2次元画像を得る。必要に応じて、撮像前にスライドグラスに貼り付けた薄層切片から、包埋剤を除いておくことが好ましい。
また、撮像前に、HE染色、免疫染色等により、被検試料中の生体分子を染色しておくことも好ましい。
スライドグラスへの薄層切片の貼り付け、包埋剤の除去、染色、顕微鏡下での撮像等も、常法により行うことができる。
【0026】
その後、工程(d)として、取得された2次元画像同士を、各2次元画像中のマーカーを基準として重ね合わせた画像を構築する。具体的には、各画像中のマーカーの位置が一致するように、2次元画像同士を重ね合わせる。
【0027】
円柱状のマーカーを用いる場合、円柱状のマーカーを薄切り面に対して直角になるように包埋することによって、2次元画像を重ね合わせる際に、マーカーの中心点を基準とし、各2次元画像中のマーカーの中心が一致するように重ね合わせることにより、正確な3次元画像を構築することができる。
【0028】
また、スライドグラス中の薄層切片を貼り付ける位置は、各薄層切片によって異なる場合が多い。つまり、スライドグラス中の被検試料とマ―カーの位置が相違するため、円柱状のマーカーを1つのみ用いた場合には、各2次元画像中のマーカーの中心が一致するように重ね合わせたとしても、被検試料が重ならない場合がある。このため、円柱状マーカーを用いる場合、2以上のマーカーを埋め込むことが好ましい。
【0029】
断面が6本の線のうちの1本が矢印であるアスタリスク形状である柱状のマーカーを薄切り面に対して直角になるように包埋することによって、各2次元画像中のマーカーの矢印の向きが一致するように、各2次元画像を重ね合わせることにより、マーカーが1つのみであったとしても、正確な3次元画像を構築することができる。図1は、断面が6本の線のうちの1本が矢印であるアスタリスク形状である柱状のマーカーを埋め込んだ場合の画像の重ね合わせの工程を模式的に表した図である。図1A及びBは、連続切片のうちの2枚の薄層切片(図示せず。)をそれぞれ貼り付けたスライドグラス1及び2である。各スライドグラスから撮像された2次元画像をそのまま重ね合わせた場合には、図1Cに示すように、被検試料1a及び被検試料2aが重ならない。図1Dに示すように、各スライドグラス中のマーカー1b及びマーカー2bが一致するように両画像を重ね合わせることにより、被検試料1a及び被検試料2aの2次元画像を重ね合わせることができる。
【0030】
球状のマーカーを用いる場合、包埋時に角度等を気にせずに包埋することができる。また、薄切り位置によらず、球状のマーカーの薄層切片中の形状は必ず同じ円形であるため、2次元画像中の円形のマーカーの中心点が一致するように重ね合わせることにより、正確な3次元画像を構築することができる。但し、円柱状のマーカーを用いる場合と同様、2次元画像同士の重ね合わせ時に角度調整が必要になる場合があるため、2以上のマーカーを埋め込むことが好ましい。
【0031】
また、各薄層切片が平行ではなく、包埋標本に対する薄切り面がずれていた場合には、2次元画像中のマーカーを一致させたとしても、完全には被検試料の薄切り面が重ならない場合がある。この場合には、2以上のマーカーを用いて、2次元画像中のマーカーの中心間の距離やマーカー同士の位置関係等を基準として各2次元画像を伸縮する補正を行った後に重ね合わせることが好ましい。具体的には、取得された複数の2次元画像のうちの1枚を基準画像とし、各2次元画像に対してそれぞれ、2次元画像中の任意の2つのマーカーの位置関係及び中心間距離が、基準画像中の相当する2つのマーカーの位置関係及び中心間距離と等しくなるように、当該2次元画像を収縮又は伸展させた補正画像を作製し、
得られた全補正画像及び基準画像を重ね合わせる。
【0032】
具体的には、まず、複数のマーカーの中から2つを任意に選択し、2次元画像中のこれらのマーカーの中心点若しくは矢印の位置が基準画像と一致するように、当該2次元画像をX軸方向及びY軸方向にそれぞれ収縮・伸展させて変形させる。得られた補正画像を、順次重ね合わせることにより、3次元画像を構築する。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の重ね合わせ画像の構築方法を用いることにより、一の包埋標本から得られた複数の薄層切片の2次元画像からより正確な重ね合わせ画像を簡便に構築できることから、特に病理検体の包埋標本から撮像された病理画像の解析等の医療分野において利用が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1、2…スライドグラス、1a、2a…被検試料,1b、2b…マーカー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)被検試料及びマーカーが埋め込まれている包埋標本を作製する工程と、
(b)前記工程(a)の後、前記包埋標本を薄切りし、2枚以上の薄層切片を作製する工程と、
(c)前記工程(b)の後、作製された各薄層切片の2次元画像を撮像する工程と、
(d)前記工程(c)の後、取得された2次元画像同士を、各2次元画像中のマーカーを基準として重ね合わせた画像を構築する工程と、
を有することを特徴とする、重ね合わせ画像の構築方法。
【請求項2】
前記工程(a)において、前記包埋標本を、被検試料及びマーカーを同時に包埋することにより作製することを特徴とする、請求項1に記載の重ね合わせ画像の構築方法。
【請求項3】
前記マーカーが、前記包埋標本の作製に用いられる包埋剤溶液に不溶性の樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の重ね合わせ画像の構築方法。
【請求項4】
前記樹脂が、キシレン又はエタノールに不溶であることを特徴とする請求項3に記載の重ね合わせ画像の構築方法。
【請求項5】
前記工程(a)において、前記包埋標本を、被検試料を埋め込んだ包埋標本を作製した後、当該包埋標本中、前記被検試料中の被検部位以外の部位に、マーカーを埋め込むことにより作製することを特徴とする、請求項1に記載の重ね合わせ画像の構築方法。
【請求項6】
前記マーカーが、乾燥により固化する液状のタンパク質又は樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の重ね合わせ画像の構築方法。
【請求項7】
前記タンパク質が、コラーゲン又はフィブリンであることを特徴とする請求項6に記載の重ね合わせ画像の構築方法。
【請求項8】
前記包埋標本に、2以上のマーカーが埋め込まれていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の重ね合わせ画像の構築方法。
【請求項9】
前記工程(d)において、取得された複数の2次元画像のうちの1枚を基準画像とし、
各2次元画像に対してそれぞれ、
2次元画像中の任意の2つのマーカーの位置関係及び中心間距離が、基準画像中の相当する2つのマーカーの位置関係及び中心間距離と等しくなるように、当該2次元画像を収縮又は伸展させた補正画像を作製し、
得られた全補正画像及び基準画像を重ね合わせることを特徴とする請求項8に記載の重ね合わせ画像の構築方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2013−83474(P2013−83474A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221928(P2011−221928)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】