説明

重大事故回避用の車止め

【課題】ブレーキとアクセルを間違えて加速した自動車を安全に停止させる。
【解決手段】地上部5と地下部6の非直線棒状の止め柱4から成り、地上部5は立設状態
であると共に、地下に埋設した収納管7内に地下部6を引き出し自在に挿入した車止めで
あって、地上部5の前方移動時に地下部6がせり上がり状で引き出される非直線形状と成
すことによって、自動車が地上部5に衝突した時に、地上部5が押圧移動する時に地下部
6が引き出され、地上部5等は前方移動すると共にせり上がり、自動車は止め柱4の地上
部5や地下部6に乗り上げ、駆動力が無くなって停止する。例えば、非直線形状として地
下部6および収納管7を下端が前方となる様に湾曲させることによって、地上部5が前方
傾斜すると共に、全体的に高くなり、地上部5および引き出された地下部6に乗り上げて
停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場等に設置される車止めに関し、特に、ブレーキとアクセルを間違えて
減速、徐行すべき処を加速する自動車を停止させる重大事故回避用の車止めに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の駐車場には各種の車止めが設置されており、例えば、コンクリート
製ブロックを固定した簡易車止めでは、徐行している自動車の車輪が車止めに接触し運転
者が感知してブレーキを踏み込んで停車させている。
又、自動車の駐車場に設置される車止めにおいて、ローラーと、支持具とを備え、前記
支持具が前記ローラーを回転可能に支持し、前記ローラーが前記自動車の駆動輪の外周に
接触したときに、前記ローラーが前記自動車の駆動輪の回転により回転する車止めが発明
されている。
この車止めでは、徐行している自動車の車輪が勢いよく当たっても、ローラーが回転し
て駆動輪が空転し、自動車が確実に停止する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、最近、駐車場では減速、徐行すべき処、ブレーキとアクセルを間違え加速し
て店舗に突入したり、階上駐車場では隔壁を突破し、駐車場から飛び出して地面へ落下す
る様な重大事故が発生している。
【0004】
従来の車止めは、減速し徐行、低速の自動車には効果があるが、加速状態の自動車は車
止めへの接触直後に飛び越えてしまい、車止めの効果を全く発揮出来なかった。
尚、ボラードの様なコンクリート製や鋼棒製の強靱な固定立設柱では、加速状態の自動
車でも略停止させることが出来るとしても、車輛破損が著しく、乗員を危険に晒すことに
なる。
【特許文献1】特開2003ー13625号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、駐車場内でブレーキとアクセルを間違えて加速する自動車
を安全に停止させる点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記従来技術に基づく、間違えて加速する自動車を停止出来ず、重大事故が
発生していた課題に鑑み、地上部と地下部の非直線棒状の止め柱から成り、地上部は立設
状態であると共に、地下に埋設した収納管内に地下部を引き出し自在に挿入した車止めで
あって、地上部の前方移動時に地下部がせり上がり状で引き出される非直線形状と成すこ
とによって、自動車が地上部に衝突した時に、地上部が押圧移動する時に地下部が引き出
され、地上部又は地下部は前方移動すると共にせり上がり、自動車は止め柱の地上部や地
下部に乗り上げ、駆動力が無くなって停止する様にして、上記課題を解決する。
【0007】
地下部および収納管を下端が前方となる様に湾曲させることによって、地上部が前方傾
斜すると共に全体的に高くなり、地上部および引き出された地下部に乗り上げて停止させ
る。
【発明の効果】
【0008】
要するに本発明は、地上部と地下部の非直線棒状の止め柱から成り、地上部は立設状態
であるので、自動車の前部が確実に当接することが出来、又地下に埋設した収納管内に地
下部を引き出し自在に挿入したので、地上部の移動で地下部を引き出して非直線棒状の止
め柱による停車および緩衝作用を発生させることが出来、又地上部の前方移動時に地下部
がせり上がり状で引き出される非直線形状と成したので、引き出されて上昇した地下部や
地上部等に自動車が乗り上がって駆動力が消失すると共に、止め柱との接触抵抗で停車さ
せることが出来る。
従って、加速した自動車は地上部に衝突した後、地下部等に乗り上がって確実に停車し
、且つ、衝突された地上部は移動することにより、衝撃力が緩和、軽減して、車輛破損や
乗員損傷を軽微化することが出来る。
【0009】
地下部および収納管を下端が前方となる様に湾曲させたので、引き出された地下部の延
長線上に地上部が延設状となり、自動車の乗り上げ可能距離が長くなって、停車作用を向
上することが出来、又引き出し初期からせり上がり量を大きくして停車作用を向上するこ
とが出来る。
【0010】
地上部の頂端に係止部を設けたので、自動車の前面やバンパーの当接を確実化すること
が出来る等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る車止め1は、駐車場Pでブレーキとアクセルを間違えて加速する自動車C
を停止させる重大事故回避用のものである。
図1に示す様に、車止め1の設置例としては、駐車場Pにおける駐車スペースの奥方で
地表面GLにコンクリートブロック製等の簡易車止め2を設置し、該簡易車止め2と隔壁
や店舗3の間に数十cm高さの車止め1を設置している。
【0012】
図2、4に示す様に、車止め1の止め柱4は地上部5と地下部6が一体化された非直線
棒状で、剛性が高い金属棒、棒鋼等から成る。
止め柱4の地上部5は地表面GLから数十cm高さで立設状態と成して外見上は立設ポ
ール状と成し、地下に埋設した収納管7内に地下部6を軸方向に摺動自在、即ち、本発明
の作用時には引き出し自在に挿入し、収納管7の内径より地下部6の外径を若干小さくし
ている。
更に、地上部5の頂端に設けた円盤状の係止部8を、後方側である簡易車止め2側に突
出した形状と成している。
尚、地表面GLから立設する地上部5の高さは、自動車Cのフロント部の高さや歩行者
への違和感を配慮した高さで、60〜100cm程度で、好ましくは70〜90cmであ
り、約80cmが最も好ましい。
【0013】
地上部5と地下部6から成る全体的に非直線棒状の止め柱4の具体的形状としては、図
2に示す様に、収納管7の先端下端を前方側とすると共に、上端を地表面GLに臨ませた
状態で約90度の湾曲管と成し、湾曲する地下部6の上端から接線方向に直線状の地上部
5を一体化している。
【0014】
非直線状の止め柱4の形状は上記形状に限らず、地上部5の前方移動時に地下部6がせ
り上がり状で引き出される非直線形状であれば良く、例えば、図4に示す様に、直線状の
地上部5は立設状態と成すと共に、地下部6及び収納管7は直線状で下端が後方側となる
様に傾斜させ、更に、地上部5と地下部6は連結個所で折曲させても良い。
尚、図示していないが、地下部6が収納管7から完全に引き出されない様に、地下部6
と収納管7の間にストッパーを設けている。
【0015】
次に本発明に係る重大事故回避の車止めの作用について説明する。
図2に示す第1実施形態では、自動車Cが減速せず加速して止め柱4の地上部5に衝突
すると、フロントバンパー等が地上部5の中途部に当接し、その後、地上部5頂端の係止
部8に当接し、図中、一点鎖線で示す様に、地上部5は押圧されて前方側に押圧される。
その時、止め柱4は地表面GLに固定されずに地下部6が収納管7から引き出し自在と
なっているため、地下部6が地上に引き出される。
【0016】
その時、止め柱4は非直線棒状で収納管7及び地下部6が湾曲状であるため、地下部6
が収納管7の湾曲形状に沿って引き出されると、地下部6の上端はせり上がりつつ前方に
引き出され、地上部5は前方移動すると共に上昇し、且つ、傾斜状態となる。
図3に示す様に、自動車Cは止め柱4の地上部5等に乗り上げ、前輪駆動車では駆動力
が消失すると共に、車輛の下部が止め柱4と接触して摩擦力で停止する。
【0017】
図4に示す第2実施形態では、自動車Cが衝突した地上部5は前方に押圧移動すると共
に、地上部5と一体の地下部6は収納管7から引き出されて地上に引き出され、止め柱4
は全体的にせり上がりつつ前方移動する。
地上に傾斜状態でせり上がった地下部6に自動車Cが乗り上げて、図3に示す場合と同
様に自動車は停止する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る重大事故回避用の車止めの設置例を示す図である。
【図2】車止めの設置状態を示す縦断面図である。
【図3】自動車が衝突し乗り上げた状態を示す図である。
【図4】別例の車止めを示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 車止め
4 止め柱
5 地上部
6 地下部
7 収納管
8 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上部と地下部の非直線棒状の止め柱から成り、地上部は立設状態であると共に、地下
に埋設した収納管内に地下部を引き出し自在に挿入した車止めであって、
地上部の前方移動時に地下部がせり上がり状で引き出される非直線形状と成したことを
特徴とする重大事故回避用の車止め。
【請求項2】
地下部および収納管を下端が前方となる様に湾曲させたことを特徴とする請求項1記載
の重大事故回避用の車止め。
【請求項3】
地上部の頂端に係止部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の重大事故回避用
の車止め。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−28961(P2006−28961A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211704(P2004−211704)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(504275605)
【Fターム(参考)】