説明

野菜収穫機

【課題】
野菜を収容する容器の積載量を作業条件に応じて変更でき、容器の積み降ろしが容易に行えると共に、容器が機体から脱落しにくい野菜収穫機を提供する。
【解決手段】
機体フレーム1の左右両側に畝を跨いで走行する走行装置19L,19Rを設け、機体フレーム1の左右一側に野菜Oを圃場から収穫する収穫装置49L,49Rを設け、収穫装置49L,49Rの搬送終端部下方に収穫された野菜Oを搬送する搬送装置116の搬送始端部を配置し、搬送装置116の搬送終端部の下方に、野菜Oを収容する容器122を積載する積載部129を設け、積載部129の機体外側の部位に開放部Sを設け、開放部Sに積載部129の外側端部から外側方向へ所定の間隔をおいて配置して容器122の脱落を防止する支持部材131を着脱自在に設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に植生する玉葱等の野菜を収穫して回収する野菜収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、玉葱等の野菜を収穫する野菜収穫機としては、特許文献1に示されるように、圃場から野菜を拾い上げて収穫し、機体後部の大型コンテナで回収するものがある。
また、特許文献2に示すように、圃場から掘り取って収穫した野菜を機体後部のコンテナで収容し、野菜を収容したコンテナを機体外側のコンテナ載置台に載置するものがある。
【特許文献1】特開2004−154070号公報
【特許文献2】特開2005−021038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に示される野菜収穫機は、一つの大きなコンテナに大量の野菜を収容するため、このコンテナの底部に収容した野菜が上に積まれていく野菜の重量によって損傷しやすい。また、コンテナを交換する際にはフォークリフト等の機械を用いなければならないほど、コンテナの交換が容易ではないという問題点がある。
【0004】
また、特許文献2に示される野菜収穫機は、複数のコンテナをコンテナ載置台上に載置しておくことができるものの、コンテナの脱落を防止する手段が無いため、圃場の起伏等で機体が大きく振れるとコンテナが脱落してしまうという問題がある。
【0005】
そして、特許文献1及び2に示される野菜収穫機は、コンテナやコンテナの載置台の大きさが決まっているので、収容量が多い時には頻繁にコンテナを機体から積み下ろす必要があり、作業能率を低下させると共に作業者の労力を増大させてしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために次の技術的手段を講じた。
機体フレーム(1)の左右両側に畝を跨いで走行する走行装置(19L,19R)を設け、機体フレーム(1)の左右一側に野菜(O)を圃場から収穫する収穫装置(49L,49R)を設け、該収穫装置(49L,49R)の搬送終端部下方に収穫された野菜(O)を搬送する搬送装置(116)の搬送始端部を配置し、該搬送装置(116)の搬送終端部の下方に、野菜(O)を収容する容器(122)を積載する積載部(129)を設け、該積載部(129)の機体外側の部位に開放部(S)を設け、該開放部(S)に積載部(129)の外側端部から外側方向へ所定の間隔をおいて配置して容器(122)の脱落を防止する支持部材(131)を着脱自在に設けたことを特徴とする野菜収穫機とした。
【0007】
従って、積載部(129)の外側部の開放部(S)に着脱自在な支持部材(131)を設けたことによって、容器(122)を、積載部(129)の外側端部を越えて支持部材(131)に当接する位置まで配置することができる。
【0008】
また、収穫作業中に機体が大きく揺れても、容器(122)が積載部(129)の開放部(S)から脱落することを支持部材(131)が防止すると共に、支持部材(131)を積載部(129)から取り外すことによって容器(122)を積載部(129)の開放部(S)から容易に出し入れすることができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記支持部材(131)と積載部(129)の外側端部との間隔を、容器(122)の幅と略同じ長さに設定したことを特徴とする請求項1記載の野菜収穫機とした。
【0010】
従って、容器(122)の積載量を容器(122)の幅の分大きくすることができるので、容器(122)を機体から積み下ろす回数を少なくすることができる。
請求項3記載の発明は、前記支持部材(131)と積載部(129)の外側端部との間の下方の位置に、容器(122)を載置する載置台(128)を設け、該載置台(128)を機体フレーム(1)に対して上下回動自在に取り付けたことを特徴とする請求項1又は2記載の野菜収穫機とした。
【0011】
従って、載置台(128)を機体フレーム(1)に対して下側に回動させることによって、空の容器(122)や野菜(O)が満載された容器(122)を載置するスペースを増やすことができる。
【0012】
また、収穫作業が終了し、容器(122)を機外に下ろした後は、載置台(128)を機体フレーム(1)に対して上側に回動させることによって、機体の左右幅をコンパクトにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、容器(122)を、積載部(129)の外側端部を越えて支持部材(131)に当接する位置まで配置することができるので、積載部(129)の容器(122)の積載量が増加するため、野菜(O)を複数の容器(122)に分けて収容することができ、容器(122)の底部に収容された野菜(O)が上側に収容された野菜(O)の重量で傷付くことが防止され、野菜(O)の商品価値が維持される。
【0014】
また、積載部(129)の容器(122)積載量が増加したことによって、野菜(O)の収容量を増加させることができるので、容器(122)を機体から積み下ろす回数が少なくなり、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0015】
そして、収穫作業中に機体が大きく揺れても容器(122)が積載部(129)の開放部(S)から脱落することを仕切部材(131)が防止するので、落下の衝撃で野菜(O)が傷付くことが防止されて野菜(O)の商品価値が維持されると共に、作業者が野菜(O)や容器(122)を拾い集める作業が省略されるので、作業者の労力が軽減される。
【0016】
さらに、仕切部材(131)を積載部(129)から取り外すことによって、容器(122)を積載部(129)の開放部(S)から容易に出し入れすることができるので、作業者は手作業で容器(122)を積み下ろすことができ、作業能率が向上する。
【0017】
請求項2記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加え、支持部材(131)を積載部(129)の機体外側端部から外側方向へ配置する間隔を、容器(122)の幅と略同じ長さに設定したことによって、積載部(129)に積載できる容器(122)の数を増やすことができるので、容器(122)を機体から積み下ろす回数を少なくすることができ、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0018】
請求項3記載の発明の効果は、請求項1及び2記載の発明の効果に加え、載置台(128)を機体フレーム(1)に対して下側に回動させることによって、載置台(128)に空の容器(122)や野菜(O)が満載された容器(122)を載置することができるので、容器(122)を積んだり下ろしたりする作業を頻繁に行う必要がなくなり、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0019】
また、容器(122)を機外に下ろした後は、載置台(128)を機体フレーム(1)に対して上側に回動させることによって、機体の左右幅をコンパクトにすることができるので、機体をトラック等の輸送手段からはみ出さないように積載でき、輸送時の安全性を向上させることができると共に、倉庫等に機体を格納する際、余分なスペースを費やすことが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の形態について、一実施例として2条ずつ玉葱Oを、マルチフィルムを敷設した圃場であればマルチフィルムを押さえながら引き抜き収穫する玉葱収穫機を説明する。
【0021】
図1〜図15に示すように、玉葱収穫機は、機体の走行クローラ19L,19Rや操縦装置11、エンジン5やミッションケース6等の駆動系を備えた走行車体Aと、圃場に敷設されたマルチフィルムを上方から接地する接地装置Bと、圃場から玉葱Oの茎葉部を挟持して引き抜き収穫して機体後方へ搬送する収穫搬送装置Cと、収穫搬送装置Cに搬送されてきた玉葱Oの茎葉部と根部とを除去して調整する調製装置Dと、調製装置Dで調製された玉葱Oを一時貯留する貯留部Eと、貯留部Eに貯留された玉葱Oを選別搬送する選別搬送装置Fと、選別搬送装置Fで選別された玉葱Oをコンテナ122aやフレキシブルコンテナ122b等の容器122で収容する収容部Gとから構成される。
【0022】
以下に、各部の詳細を具体的に記載する。
まず、走行車体Aについて説明する。
図1〜図9で示すように、メインフレーム1の前部左右一側にアッパーフレーム2を該メインフレーム1よりも上方に取り付け、アッパーフレーム2の前部に操縦カバー3を取り付ける。そして、該操縦カバー3よりも機体後側に機体の操縦者が搭乗する操縦席4を取り付け、該操縦席4の下方に駆動力を供給するエンジン5と、該エンジン5の駆動力を機体各部に伝動するミッションケース6とを取り付ける。また、前記操縦カバー3に機体を左右旋回動作させる左右旋回レバー7L,7Rと、後述する左右引抜搬送装置49L,49Rの引抜作業高さを調節する調節レバー8と、該左右引抜搬送装置49L,49Rを作業状態と非作業状態とに切り替える作業クラッチレバー9と、機体の走行・停止を切り替えると共に走行速度を変速する走行クラッチレバー10とを取り付けて操縦装置11を構成する。
【0023】
さらに、前記アッパーフレーム2の下端部よりも下方で且つメインフレーム1の上端部よりも上方位置にミッションケース6の左右出力軸12,12を延出し、該左右出力軸12,12に左右駆動スプロケット13,13を軸着する。そして、前記メインフレーム1の左右両側に取り付ける左右クローラフレーム14,14の後端部で且つ左右クローラフレーム14,14よりも下方に左右従動ローラ15,15を回転自在に取り付け、該左右クローラフレーム14,14の前端部に左右アイドルスプロケット16,16を回転時座に取り付けると共に、左右クローラフレーム14,14の底部に複数の左右転輪17,17・・・を取り付ける。さらに、前記左右駆動スプロケット13,13と左右従動ローラ15,15と左右アイドルスプロケット16,16と複数の左右転輪17,17・・・とに左右クローラベルト18,18を無端状に巻き掛けて、圃場を走行する左右走行クローラ19L,19Rが構成される。
【0024】
そして、該左右走行クローラ19L,19Rの後方で且つメインフレーム1の左右後下部に左右補助走行輪126L,126Rを回転自在に取り付けることによって、走行車体Aが構成される。
【0025】
上記構成によれば、操縦装置11を取り付けたアッパーフレーム2を、メインフレーム1の前部の左右一側で且つメインフレーム1よりも上方に取り付けたことによって、操縦装置11を構成する操縦席4に搭乗する操縦者は高い位置から圃場に植生する玉葱Oや左右引抜搬送装置49L,49Rの引抜搬送始端部を見ながら作業をすることができるので、左右引抜搬送装置49L,49R引抜搬送始端部を玉葱Oの植生する位置に合わせて確実に収穫できるため、作業能率が向上すると共に、抜き残した玉葱Oを人手で引き抜く作業が省略されるので、作業者の労力が軽減される。
【0026】
また、アッパーフレーム2の下端部よりも下方で且つメインフレーム1の上端部よりも上方位置に延出させたミッションケース6の左右出力軸12,12に左右走行クローラ19L,19Rの左右駆動スプロケット13,13を軸着したことによって、左右走行クローラ19L,19Rの地上高を機体が畝を跨いで走行可能してもメインフレーム1やミッションケース6の底部が畝に接触しない高さに設定することができるので、メインフレーム1やミッションケース6の底部が畝に接触して畝を壊したり、メインフレーム1やミッションケース6自体が破損することが防止され、機体の耐久性が向上する。
【0027】
また、メインフレーム1やミッションケース6の底部が圃場に植生する玉葱Oに接触して傷つけることが防止されるので、玉葱Oの商品価値が維持される。
さらに、左右クローラフレーム14,14の後端部に左右従動スプロケット15,15を左右クローラフレーム14,14よりも下方に設けたことによって、アッパーフレーム2側の走行クローラ19Lがアッパーフレーム2にもメインフレーム1にも接触しない構成となるので、機体を安定して走行させることができ、作業能率が向上する。
【0028】
そして、左右走行クローラ19L,19Rの後方で且つインフレーム1の左右後下部に左右補助走行輪126L,126Rを取り付けたことによって、左右補助走行輪が機体後部に掛かる荷重を受けるため、後述する補助作業座席121に選別作業等を行う補助作業者が着座したり、選別搬送コンベア116や収容部Gの容器122に玉葱Oが投入されたりしても安定した走行ができるので、作業の安全性が向上する。
【0029】
なお、本実施例では機体の走行を左右走行クローラ19L,19Rによって行っているが、チェーンケース等を介して複数の車輪を回転自在に取り付ける構成としてもよい。
次に、接地装置Bについて説明する。
【0030】
図2及び図3で示すように、前記メインフレーム1の左右一側前端部に支持フレーム20を取り付け、メインフレーム1の機体左右方向において略中間部に第1支持プレート21を取り付ける。そして、支持フレーム20の下端部に第1伝動ケース22の上端部を取り付け、該第1伝動ケース22下部の入力軸を走行クローラ19Rのアイドルスプロケット16の内側に軸着すると共に、第1伝動ケース22上部で且つ機体内側に中間伝動軸23の一端を軸着する。また、該中間伝動軸23の他端を第2伝動ケース24の上部に軸着し、該第2伝動ケース24は中間伝動軸23を回動支点として上下方向に回動自在に構成する。さらに、前記第1支持プレート21の下端部に第2支持プレート25の上端部を取り付け、該第2支持プレート25の下部と第2伝動ケース24の下部との間で且つ後述する左右引抜搬送装置49L,49Rの引抜搬送始端部の後側にマルチフィルムを上方から接地させる複数の剥離規制ローラ26・・・を機体左右方向に移動自在に軸着した接地シャフト27を第2伝動ケース24から駆動力を受けて回転するように取り付けて、接地装置Bが構成される。
【0031】
上記構成によれば、走行クローラ19Rを構成するアイドルスプロケット16から駆動力により複数の剥離規制ローラ26・・・を軸着した接地シャフト27が回転することによって、圃場に敷設したマルチフィルムの下に石や土塊があったり、圃場に大きな起伏があったりしても、複数の剥離規制ローラ26・・・が回転しながらマルチフィルムを確実に接地させることができるため、玉葱Oと共に引き抜かれたマルチフィルムが左右引抜搬送装置49L,49R絡み付いて故障させたり作業を中断させたりすることが防止されるので、作業能率が向上すると共に機体の耐久性が向上する。
【0032】
また、第2伝動ケース24が中間伝動軸23を回動支点として上下方向に回動自在に構成されていることによって、マルチフィルムを敷設した圃場では第2伝動ケース24を下方回動させて複数の剥離規制ローラ26・・・を圃場面に接触させ、露地圃場では第2伝動ケース24を上方回動させて複数の剥離規制ローラ26を圃場面に接触させないようにすることができるので、マルチフィルムを敷設した圃場では左右引抜搬送装置49L,49Rでマルチフィルムを引き抜いてしまうことが防止されて作業能率や機体の耐久性が向上すると共に、マルチフィルムを敷設しない露地圃場では複数の剥離規制ローラ26・・・を圃場に接触させないことによって、走行にかかる抵抗が低減するので作業能率が向上する。
【0033】
そして、複数の剥離規制ローラ26・・・を接地シャフト27に機体左右方向に移動自在に軸着したことによって、圃場に植生する玉葱Oの品種や育ち方に合わせて剥離規制ローラ26同士の間隔を変更することができるので、マルチフィルムが玉葱Oと共に左右引抜搬送装置49L,49Rによって引き抜かれ、左右引抜搬送装置49L,49Rに絡み付いて故障させたり作業を中断させたりすることが防止されるので、作業能率が向上すると共に機体の耐久性が向上する。
【0034】
本実施例は接地装置Bを1基(玉葱O2条分に対応)設けた状態を開示しているが、例えば玉葱Oを4条同時に引き抜く玉葱収穫機であれば、接地装置Bをもう1基設ける構成としてもよい。
【0035】
なお、従来のマルチフィルムを敷設した圃場から野菜を引き抜く際、マルチフィルムが野菜ごと持ち上げられないように、上方からマルチフィルムを抑える複数のマルチ押さえローラを備えた野菜収穫機は、圃場の凹凸等により機体の走行に追従して回転せず、機体の走行を妨げてしまうという問題点があると共に、圃場の凹凸等によりマルチフィルムに十分な押圧力を与えられず、引抜搬送装置が野菜ごとマルチフィルムを引き抜いてしまい、マルチフィルムを引抜搬送装置に詰まらせてしまうという問題点があった。
【0036】
次に、収穫搬送装置Cについて説明する。
図1、図4、図6、図8及び図10で示すように、メインフレーム1の上部にエンジン5の動力を伝達する伝動フレーム28を取り付け、該伝動フレーム28の機体前側に左右出力軸29L,29Rと中央出力軸29Cの基部を夫々取り付ける。そして、該左右出力軸29L,29Rの端部に左右伝動ケース30L,30Rを取り付けると共に、中央出力軸29Cの端部に中央伝動ケース30Cを取り付ける。また、該左右伝動ケース30L,30Rの出力軸に夫々駆動プーリ31L,31Rを軸着すると共に、中央伝動ケース30Cの2本の出力軸に夫々駆動プーリ31CL,31CRを軸着する。さらに、該駆動プーリ31L,31R,31CL,31CRの上部から機体前方に亘って搬送カバー32,32,32,32を取り付けると共に、該搬送部カバー32,32,32,32の前端部に従動プーリ33,33,33,33を取り付ける。
【0037】
そして、前記搬送カバー32,32,32,32のうち、機体内側の左右搬送カバー32,32の機体前側で且つ機体外側部に左右内側挟持補助フレーム34,34を機体前後方向に亘って取り付け、該左右内側挟持補助フレーム34,34に複数の内側挟持補助ローラ35・・・を回転自在に取り付ける。また、前記左右内側挟持補助フレーム34,34の後部に左右内側テンションフレーム36,36を取り付け、該左右内側テンションフレーム36,36の機体外側部に複数の内側テンションローラ37・・・を取り付ける。なお、前記左右内側挟持補助フレーム34,34の先端部を従動プーリ33,33の溝部に接触させて配置すると、左右内側挟持補助フレーム34,34が従動プーリ33,33の溝部に詰まった泥土や茎葉等を取るスクレーパとなるため、メンテナンス性が向上する。さらに、前記駆動プーリ31CL,31CRと従動プーリ33,33と内側挟持補助ローラ35・・・と内側テンションローラ37・・・とに左右内側挟持搬送ベルト38,38を無端状に巻き掛ける。そして、該左右内側挟持搬送ベルト38,38の挟持搬送作用面側で左右内側テンションフレーム36,36の下面で且つ挟持搬送後部寄りに挟持搬送される玉葱Oを調整装置Cに高さを揃えながら送る送り爪部材39,39を夫々取り付ける。
【0038】
そして、機体外側の左右搬送カバー32,32の機体前側に左右外側挟持補助フレーム40,40を回動支点Pを支点に機体左右方向に回動自在に取り付け、該左右外側挟持補助フレーム40,40の機体内側部に複数の外側挟持補助ローラ41・・・を回転自在に取り付けると共に、機体外側部に左右外側挟持補助フレーム40,40を開閉する左右開閉レバー42,42を機体左右方向に回動自在に取り付ける。また、前記左右外側挟持補助フレーム40,40の後部に左右外側テンションフレーム43,43を取り付け、該左右外側テンションフレーム43,43に複数の外側テンションローラ44・・・を回転自在に取り付ける。さらに、前記駆動プーリ31L,31Rと従動プーリ33,33と外側挟持補助ローラ41・・・と外側テンションローラ44・・・とに左右外側挟持搬送ベルト45,45を無端状に巻き掛ける。また、左右両外側の従動プーリ33,33の軸の下部に左右スターホイル46,46を取り付け、左右内側テンションフレーム36,36の下部を連結プレート47で連結すると共に、該連結プレート47とメインフレーム1との間に電動シリンダ48を伸縮自在且つ機体前後方向に回動自在に取り付ける。さらに、該左右外側挟持搬送ベルト45,45の挟持搬送作用面側で左右外側テンションフレーム43,43の下面で且つ挟持搬送後部寄りに挟持搬送される玉葱Oを調整装置Dに高さを揃えながら送る送り爪部材39,39を夫々取り付けて、左右引抜搬送装置49L,49Rが構成される。なお、前記電動シリンダ48は、油圧シリンダやエアシリンダ等の伸縮部材に置き換えても構わない。
【0039】
なお、本実施例は玉葱を圃場から2条ずつ引き抜き収穫するため上記構成としているが、例えば4条ずつ引き抜く場合は、左右引抜搬送装置49L,49Rを一対追加すればよく、さらに条数を増やしたいときは、その数に応じて左右引抜搬送装置49L,49Rを追加すればよい。
【0040】
そして、前記前記メインフレーム1の前側から左右引抜搬送装置49L,49Rの引抜搬送始端部に向けて引起し支持フレーム50を前下がり傾斜姿勢に取り付け、該引起し支持フレーム50の基部側に振動装置51と伸縮自在な電動シリンダ54とを取り付ける。また、前記ミッションケース6の伝動軸を振動装置51に取り付ける。また、該振動装置51に振動フレーム52を機体上下方向に回動自在に取り付けると共に、該振動フレーム48に土中の玉葱Oの周囲の土を掘り解す平面視で逆T字型のソイラ53を取り付ける。
【0041】
さらに、前記電動シリンダ54の下部に屈曲自在なゲージ輪アーム55を取り付けると共に、該ゲージ輪支持アーム55の前端部外側にゲージ輪56を回転自在に取り付ける。前記電動シリンダ54は、油圧シリンダやエアシリンダ等の伸縮部材に置き換えても構わない。
【0042】
また、前記ミッションケース6に引起し伝動シャフト57を機体前側に向けて取り付け、該引起し伝動シャフト57の端部を左右引抜搬送装置49L,49Rの上方に機体左右方向に配置する引起し伝動ケース58に取り付ける。そして、複数の引起し爪63・・・を取り付けた引起しチェーン59を巻き掛けた引起し駆動スプロケット60と引起し従動スプロケット61とを引起しケース62に内装して構成する引起し装置64L,64C,64Rを前記伝動ケース58に内装する伝動軸に機体上下方向に回動自在に装着する。さらに、該引起し装置64L,64C,64Rのうち左右両外側の引起し装置64L,64Rの引起しケース65,65の外側に複数の穴部を形成し、この複数の穴部に上下方向に長穴を形成した左右引起し支持アーム66,66を合わせてボルト等の固定部材で取り付けると共に、該引起し支持アーム66,66の端部を前記引起し支持フレーム50に取り付ける。また、前記引起し装置64L,64C,64Rの下部に玉葱Oの茎葉部を持ち上げる分草体67,67,67を取り付け、該分草体67,67,67に茎葉部を掻き分けて後方に送る掻分部材68,68、68を夫々取り付けたことにより、収穫搬送装置Cが構成される。
【0043】
上記構成によれば、夫々内側挟持搬送ベルト38と外側挟持搬送ベルト45で玉葱Oを引き抜いて搬送する左右一対の引抜搬送装置49L,49Rを設けたことによって、2条の玉葱Oを引き抜いても引抜搬送装置49L,49Rには夫々1条分の玉葱Oの茎葉部が挟持されるだけであるので、引抜搬送装置49L,49Rに玉葱Oの茎葉部が詰まることが防止され、作業能率が向上すると共に、作業者が詰まった茎葉を取り除く作業が省略されるので、作業者の労力が軽減される。
【0044】
また、左右引抜搬送装置49L,49Rの内側の駆動を中央伝動ケース30Cの2本の出力軸に夫々軸着した駆動プーリ31CL,31CRによって行うことにより、機体の伝動構成を簡易できると共に部品点数を削減することができるので、省資源化を図ることができる。
【0045】
さらに、複数の内側挟持補助ローラ35・・・を機体外側部に取り付けた左右内側挟持補助フレーム40,40と、複数の外側挟持補助ローラ41・・・を機体内側部に取り付けた左右外側挟持補助フレーム40,40とを設けたことによって、玉葱Oの茎葉部を挟持して圃場から引き抜く左右引抜搬送装置49L,49Rの挟持搬送始端側の挟持力を強くすることができるので、玉葱Oの抜き残しが少なくなり作業能率が向上すると共に、作業者が手作業で抜き残された玉葱Oを収穫する作業が省略されるので、作業者の労力が軽減される。
【0046】
そして、左右外側挟持補助フレーム40,40を回動支点Pを支点として機体左右方向に回動自在に設けたと共に、左右開閉レバー42,42を機体左右方向に回動自在に取り付けたことによって、作業者は左右開閉レバー42,42を機体外側に回動させて引けば左右外側挟持補助フレーム40,40を機体外側方向に動かして左右引抜搬送装置49L,49Rの挟持搬送始端側の挟持状態を解除することができるので、玉葱Oの茎葉部や石等の夾雑物を左右引抜搬送装置49L,49Rの挟持搬送始端側で噛み込んでしまっても、作業者は簡単に噛み込み状態を解消して収穫作業に戻ることができるので作業能率が向上する。また、作業時には左右開閉レバー42,42を機体内側に回動させておくと、左右開閉レバー42,42が引抜搬送作業の邪魔にならないので、作業能率が向上する。
【0047】
また、土中の玉葱Oの周囲の土を掘り解すソイラ53を取り付けたことによって、土質の硬い圃場であっても玉葱Oを引き抜きやすくすることができるので、玉葱Oの抜き残しが少なくなり作業能率が向上すると共に、作業者が手作業で抜き残された玉葱Oを収穫する作業が省略されるので、作業者の労力が軽減される。さらに、引き抜きの際に左右引抜搬送装置49L,49Rにかかる負荷が軽減されるので、左右引抜搬送装置49L,49Rを構成する各部材の耐久性が向上し、機体寿命が長くなる。
【0048】
さらに、1条の玉葱Oに対して引起し装置64Lと64C、あるいは64Rと64Cとで茎葉部を引き起こすことによって、玉葱Oの茎葉部が左右に乱雑に倒れていても確実に茎葉部を引き起こすため、左右引抜搬送装置49L,49Rが茎葉部を確実に掴むことができるので、玉葱Oの抜き残しが少なくなり作業能率が向上すると共に、作業者が手作業で抜き残された玉葱Oを収穫する作業が省略されるので、作業者の労力が軽減される。
【0049】
また、機体左右両外側の引起しケース58,58の機体外側部に複数の穴部を形成し、この複数の穴部に上下方向に長穴を形成した左右引起し支持アーム66,66を合わせて取り付けることによって、引起し装置64L,64C,64Rの作業高さを作業条件に合わせて変更することができるので、様々な作業の適応性が向上し、作業能率が向上する。
【0050】
次に、調製装置Dについて説明する。
図11〜図15で示すように、前記メインフレーム1の上部で且つ左右引抜搬送装置49L,49Rの搬送経路下方に夫々左根切フレーム69L,69Lと右根切フレーム69R,69Rとを機体左右方向に所定間隔離間させて着脱自在に配置する。また、該左右根切フレーム69L,69L、69R,69Rの前側上部に左駆動プーリ70L,70Lと右駆動プーリ70R,70Rとを軸着した左右駆動シャフト71,71を回転自在に取り付け、後側上部に左従動プーリ72L,72Lと右従動プーリ72R,72Rとを軸着した左右従動シャフト73,73を回転自在に取り付けると共に、左右根切フレーム69L,69L、69R,69Rの下部に複数の左右テンションローラ74L,74R・・・を回転自在に取り付ける。また、該左駆動プーリ70L,70Lと左従動プーリ72L,72Lと複数の左テンションローラ74L・・・とに塩ビ、ゴム等の軟質部材で構成する左根切搬送ベルト75L,75Lを無端状に巻き掛けると共に、右駆動プーリ70R,70Rと右従動プーリ72R,72Rと複数の右テンションローラ74R・・・とに塩ビ、ゴム等の軟質部材で構成する右根切搬送ベルト75R,75Rを無端状に巻き掛ける
そして、前記左右根切フレーム69L,69L、69R,69Rの前側から左右駆動プーリ70L,70L、70R,70Rの搬送方向に対して前後方向略中央部に亘って玉葱Oの根部を下方に引き込んで揃える左右一対の根部揃えローラ76L,76Rを夫々回転自在に取り付ける。このとき、左右根部揃えローラ76L,76Rの機体上下方向において下端部を、左右根切フレーム69L,69L、69R,69Rの上端部に近接させて配置する。
【0051】
そして、該根部揃えローラ76L,76Rと左右根切搬送ベルト75L,75L、75R,75Rとの上下間隔部で且つ根部揃えローラ76L,76Rの後側上方に左右根切搬送ベルト75L,75L、75R,75Rによって搬送される玉葱Oの根部を切断する左右回転刃77,77を回転自在に取り付けると共に、該左右回転刃77,77の上部に搬送方向後部ほど根部揃えローラ76L,76Rの中心部に切断作用部がオーバーラップしている玉葱Oの根部を切断する固定刃78,78を取り付けて、左右根部処理装置79L,79Rが構成される。このとき、根部揃えローラ76L,76Rの後端部は、回転刃77,77及び固定刃78,78の後端部よりも機体前側に位置するように配置する。
【0052】
なお、固定刃78,78の代わりに回転刃77,77を設けてもよい。また、固定刃78,78の切断作用部で且つ根部揃えローラ76L,76Rの外側部に、玉葱Oの根部を切断せずに左根切フレーム69L,69Lと右根切フレーム69R,69Rとの間の空間部上方まで案内するガイドカバー80,80を取り付けてもよい。
【0053】
さらに、図12及び図13で示すように、左右根部揃えローラ76L,76Rの機体前側部分をテーパ形状とすると、玉葱Oの根部が太さに係らず左右根部揃えローラ76L,76Rの間に入り込むため、玉葱Oの根部が左右根部揃えローラ76L,76Rに確実に引き込まれて整えられるので、根部を確実に切断でき、作業能率が向上すると共に作業者が手作業で玉葱Oの根部を除去する労力が軽減される。また、左右根部揃えローラ76L,76Rの先端部に左右ガイド104,104,104,104を取り付けると、上記効果がいっそう向上する。
【0054】
また、図14及び図15に示すように、前記搬送カバー32,32,32,32のうち、左右両外側の搬送カバー32,32の内側下部に押圧フレーム81,81,81,81を機体上下方向に回動自在に取り付ける。そして、該押圧フレーム81,81,81,81に、押圧フレーム81,81,81,81の回動支点を兼ねる駆動軸82,82,82,82を夫々回転自在に取り付け、該駆動軸82,82,82,82に駆動プーリ83,83,83,83を夫々軸着する。また、該駆動プーリ83,83,83,83と前記左右根部処理装置79L,79Rを構成する左右駆動シャフト71,71の左右両側端部に軸着した出力プーリ84,84,84,84とに連繋伝動ベルト85,85,85,85を無端状に巻き掛ける。
【0055】
さらに、前記駆動軸82,82,82,82の両外側端に押圧駆動プーリ86,86,86,86を軸着し、押圧フレーム81,81,81,81との前側端部に第1押圧従動プーリ87,87,87,87を回転自在に取り付け、後側端部に第2押圧従動プーリ88,88,88,88を回転自在に取り付けると共に、該第1押圧従動プーリ87,87,87,87と第2押圧従動プーリ88,88,88,88の前後間で且つ上部位置に第3押圧従動プーリ89,89,89,89を回転自在に取り付ける。
【0056】
そして、該第1押圧従動プーリ87,87,87,87と第2押圧従動プーリ88,88,88,88と第3押圧従動プーリ89,89,89,89とに玉葱Oを根部処理装置79L,79Rに押圧する押圧ベルト90,90,90,90を巻き掛けると共に、該押圧ベルト90,90,90,90の搬送作用面側を前記押圧駆動プーリ86,86,86,86で押圧することによって、左右押圧搬送装置91L,91Rが構成される。
【0057】
なお、押圧フレーム81,81,81,81を搬送カバー32,32,32,32に着脱自在に取り付けることによって、根部処理が必要ない場合や、強い圧力をかけると傷んでしまう品種の玉葱Oを収穫する際に左右押圧搬送装置91L,91Rを外しておくことができるので、様々な作業条件に対応できて作業能率が向上し、省エネルギー化を図ることができると共に、玉葱Oが傷付くことが防止されて玉葱Oの商品価値が維持される。
【0058】
また、図14及び図16に示すように、前記伝動フレーム28の機体後側に左右後部出力軸92L,92Rと中央後部出力軸92Cの基部を夫々取り付け、該左右後部出力軸92L,92Rの端部に左右後部伝動ケース93L,93Rを取り付けると共に、中央後部出力軸92Cの端部に中央後部伝動ケース93Cを取り付ける。そして、該左右後部伝動ケース93L,93Rの出力軸に排葉駆動プーリ94L,94Rを軸着すると共に、中央後部伝動ケース93Cの2本の出力軸に排葉駆動プーリ94CL,94CRを夫々軸着する。さらに、該排葉駆動プーリ94L,94R,94CL,94CRの上部から機体前側に亘って排葉カバー95,95,95,95を取り付け、該排葉カバー95,95,95,95の前端部で且つ左右押圧搬送装置91L,91Rの終端部上方に排葉従動プーリ96,96,96,96を回転自在に取り付ける。
【0059】
また、排葉カバー95,95,95,95の下面で且つ排葉駆動プーリ94L,94R,94CL,94CRと排葉従動プーリ96,96,96,96との間にとの前後間に伝動プーリ97,97,97,97を回転自在に取り付けると共に、該伝動プーリ96,96,96,96に伸縮自在な回転軸98,98,98,98を軸着すると共に、該回転軸98,98,98,98の下端部に玉葱Oの茎葉部を切断する茎葉切断刃99,99,99,99を軸着する。さらに、前記排葉駆動プーリ94CL,94CRを設けた機体内側の排葉カバー95,95の下面で且つ前記伝動プーリ96,96よりも後方に左右テンションプーリ100,100を機体左右方向に所定間隔を開けて回転自在に取り付ける。
【0060】
そして、前記機体外側の排葉駆動プーリ94L,94Rと排葉従動プーリ96,96と伝動プーリ97,97とに外側排葉搬送ベルト101o,101oを無端状に巻き掛け、機体内側の排葉駆動プーリ94CL,94CRと排葉従動プーリ96,96と伝動プーリ97,97とに内側排葉搬送ベルト101i,101iを無端状に巻き掛けると共に、前記左右テンションプーリ100,100で該内側排葉搬送ベルト101i,101iを機体内側から機体外側方向に張圧することにより、左右排用搬送装置102L,102Rを構成する。
【0061】
なお、機体左右方向に所定間隔を開けて取り付けた左右テンションプーリ100,100によって内側排葉搬送ベルト101i,101iを機体内側から機体外側方向に張圧して形成した空間部Vに、収穫搬送装置Cにエンジン5の駆動力を伝動する中央出力軸29Cを通過させると、機体の伝動構成を複雑化することなく駆動力を機体各部に伝動することができるので、機体構成の簡易化や部品点数の削減による省資源化が図られる。
【0062】
さらに、該排葉搬送装置102L,102Rの後端部に、前記茎葉切断刃99,99,99,99によって切断された玉葱Oの茎葉部を排出する排葉シュータ103を機体外側方向に下り傾斜姿勢で取り付けることによって、根部処理装置79L,79Rと左右押圧搬送装置91L,91Rと左右排葉搬送装置102L,102Rから、玉葱Oの根部や茎葉部を除去する調製装置Dが構成される。
【0063】
上記構成によれば、左根切フレーム69L,69Lと右根切フレーム69R,69Rとを機体左右方向に所定間隔離間させて空間部Qを構成したことによって、玉葱Oの根部が空間部Qを通過するため、根部が根部処理装置79L,79Rの作用範囲の外に逃げるのを防止することができるので、根部を確実に切断でき、作業能率が向上すると共に作業者が手作業で玉葱Oの根部を除去する労力が軽減される。加えて、左根切フレーム69L,69Lと右根切フレーム69R,69Rとが切断された根部が左根切搬送ベルト75L,75L及び右根切搬送ベルト75R,75Rの巻回域内に入り込むことを防止すると共に、下方に落下するガイドとなることによって、左根切搬送ベルト75L,75L及び右根切搬送ベルト75R,75Rの巻回域内に根部を巻き込むことなどによる故障が防止されると共に、切断された茎葉を根部処理装置79L,79Rの下方に集めて容易に廃棄できるので、メンテナンス性が向上する。
【0064】
また、切断された根部を空間部Qから下方に落下させることができるので、切断された根部が飛散することが防止され、根部を巻き込むことなどによる故障が防止されると共に、切断された茎葉を容易に集めて廃棄できるので、メンテナンス性が向上する。
【0065】
さらに、左根切フレーム69L,69Lと右根切フレーム69R,69Rとをメインフレーム1に着脱自在に取り付けて、根部処理装置79L,79Rを着脱自在に構成すると、根切り作業を人手で行いたい場合や根部を残したまま収穫したい場合等の作業条件に合わせた作業を行うことができると共に、根部処理に必要な動力が不要となるので省エネルギー化を図ることができる。
【0066】
そして、左右根切フレーム69L,69L、69R,69Rの前側から左右駆動プーリ70L,70L、70R,70Rの搬送方向に対して前後方向略中央部に亘って玉葱Oの根部を下方に引き込んで揃える左右根部揃えローラ76L,76Rを取り付け、根部揃えローラ76L,76Rの後側上方に回転刃77,77を取り付けると共に、左右回転刃77,77の上部に搬送方向後部ほど根部揃えローラ76L,76Rの中心部に切断作用部がオーバーラップしている玉葱Oの根部を切断する固定刃78,78を取り付けたことによって、根部を根部揃えローラ76L,76Rによって十分に下方に引き込んで揃えてから切断するため、根部が根部処理装置79L,79Rの作用範囲の外に逃げるのを防止することができるので、根部を確実に切断でき、作業能率が向上すると共に作業者が手作業で玉葱Oの根部を除去する労力が軽減される。
【0067】
また、左右根部揃えローラ76L,76Rの後端部が回転刃77,77及び固定刃78,78の後端部よりも機体前側にあることによって、切断された根部が回転刃77,77及び固定刃78,78の後端部に挟まって作業を停止させることが防止されるので、作業能率が向上する。
【0068】
さらに、左右根部揃えローラ76L,76Rの下端部を左右根切フレーム69L,69L、69R,69Rの上端部に近接させて配置したことによって、左右根部揃えローラ76L,76Rに玉葱Oと共に搬送されてきた泥土や茎葉部の破片等の夾雑物が付着しても、左右根切フレーム69L,69L、69R,69Rの上端部を泥土や茎葉部の破片等の夾雑物を削ぎ落とすスクレーパとして作用させることができるので、左右根部揃えローラ76L,76Rが常に玉葱Oの根部を下方に引き込んでまとめることのできる状態に保たれ、作業能率が向上すると共に、根部を確実に切断でき、作業者が手作業で玉葱Oの根部を除去する労力が軽減される。
【0069】
また、左右押圧搬送装置91L,91Rが左右駆動軸82,82,82,82を回動支点として機体上下方向に回動自在に構成されたことによって、玉葱Oの大きさや形状に応じて左右押圧搬送装置91L,91Rが自動的に上下動するため、左右押圧搬送装置91L,91Rと根部処理装置79L,79Rとの間に玉葱Oが詰まることを防止できるので、作業能率が向上する。
【0070】
そして、左右押圧搬送装置91L,91Rの駆動力を、根部処理装置79L,79Rの左右出力プーリ84,84,84,84から押圧駆動プーリ86,86,86,86で受けて得ることによって、伝動部品を減らすことができるので省資源化が図られると共に、機体構成が簡単になりメンテナンス性が向上する。
【0071】
さらに、押圧ベルト90,90,90,90の搬送作用面側を押圧駆動プーリ86,86,86,86で押圧することによって、テンションプーリが不要となるので、省資源化を図ることができる。
【0072】
また、玉葱Oの茎葉部を切断する茎葉切断刃99,99,99,99を伸縮自在な回転軸98,98,98,98の下端部に軸着したことによって、茎葉部を残さずに玉葱Oを収穫する場合は回転軸98,98,98,98を伸ばして茎葉部全体を切断できると共に、茎葉部をワイヤー等に吊るして乾燥させるために茎葉部を残して切断する場合は、回転軸98,98,98,98を縮めて茎葉部の上部だけを切断することができるので、収穫作業後の乾燥作業方法に応じた収穫を行えて作業能率が向上すると共に、茎葉部を前部切断して乾燥作業を行う場合、作業者が手作業で茎葉部を除去する必要がなくなるので、作業者の労力が軽減される。
【0073】
そして、左右排葉搬送装置102L,102Rの機体内側の駆動を中央後部伝動ケース93Cの2本の出力軸に夫々軸着した排葉駆動プーリ94CL,94CRによって行うことにより、機体の伝動構成を簡易できると共に部品点数を削減することができるので、省資源化を図ることができる。
【0074】
さらに、左右押圧搬送装置91L,91Rの搬送終端部上方に左右排葉搬送装置102L,102Rの搬送始端部を配置すると共に、左右押圧搬送装置91L,91Rの搬送終端部と左右排葉搬送装置102L,102Rの搬送始端部との後方に茎葉切断刃99,99,99,99を配置したことによって、玉葱Oの茎葉部が左右排葉搬送装置102L,102Rに挟持される前に左右押圧搬送装置91L,91Rが玉葱Oを押圧するため、玉葱Oの根部を根部処理装置79L,79Rで確実に切断することができるので、作業能率が向上すると共に作業者が手作業で玉葱Oの根部を除去する労力が軽減される。
【0075】
また、玉葱Oが根部処理装置79L,79Rに押さえ付けられた状態で左右排葉搬送装置102L,102Rは玉葱Oの茎葉部を挟持するため、適切な位置で茎葉部を切断することができるので、玉葱Oを傷つけることが防止され、玉葱Oの商品価値が維持される。
【0076】
次に、貯留部Eについて説明する。
図1、図2及び図4〜図9に示すように、前記根部処理装置79L,79Rの搬送終端部よりも後方で、左右排葉搬送装置102L,102Rの搬送終端部下方で且つメインフレーム1上に機体前後方向において後下がり傾斜姿勢で且つ根部処理装置79L,79Rの左右幅と略同じ左右幅の引継シュータ105を取り付けると共に、該引継シュータ105よりも後方で且つメインフレーム1上に引継シュータ105の左右幅と略同じ左右幅の玉葱Oを貯留するホッパ106を取り付ける。そして、該ホッパ106の機体外側底部に機体内側方向に下方傾斜すると共に、内側端部に下方に屈曲した屈曲部107aを形成した底板107の基部を取り付け、該底板107の基部を回動中心として開閉自在に構成する。
【0077】
また、前記ホッパ106の機体内側底部にホッパ106から落下する玉葱Oを畝上で且つ玉葱Oの既堀側に案内する案内プレート108の基部を取り付け、該案内プレート108の基部を回動支点として端部を機体上下方向に回動自在に構成することにより、貯留部Eが構成される。
【0078】
なお、本実施例では底板107を開閉自在に構成しているが、底板107を着脱する構成としてもよい。
上記構成によれば、ホッパ106を取り付けたことによって、収穫された玉葱Oの数が多いときでもホッパ106内に玉葱Oを貯留しておくことができるので、選別作業を追いつかせるために左右引抜搬送装置49L,49Rや根部処理装置79L,79Rを一時停止させて玉葱Oの収穫作業を中断する必要がなくなるので、作業能率が向上する。
【0079】
また、底板107は機体内側方向に下方傾斜しているので、底板107に乗った玉葱Oは後述する選別搬送コンベア116の搬送始端部に向かって自動的に滑り降りて移動することができるので、玉葱Oが少ないとき、玉葱Oが貯留部Eに滞留することが防止され、作業能率が向上する。
【0080】
加えて、底板107の機体内側端部に下方に屈曲した屈曲部107aを形成することによって、上述の滞留防止効果がいっそう高められ、作業能率もまたいっそう向上する。
なお、屈曲部107aと選別搬送コンベア116との間に玉葱Oが落下しない程度の空間部Wを形成することによって、玉葱Oに付着していた泥土等を圃場に落下させることができるので、選別搬送コンベア116や収容部Gに泥土等が付着しにくくなり、作業後の掃除にかかる労力が軽減される。
【0081】
そして、底板107が開閉自在に取り付けられていることによって、玉葱Oを収容部Gで回収する場合には底板107を閉じてホッパ106から玉葱Oを貯留すると共に、玉葱Oを畝上で乾燥させて後からドーザー等で回収する場合には底板107を開いてホッパ106から玉葱Oを畝上に落下するように切り替えることができるので、玉葱Oの品種や圃場の状態等に合わせた作業を行え、作業能率が向上すると共に、玉葱Oの品質が向上する。
【0082】
また、案内プレート108が機体上下方向に回動自在に取り付けられていることによって、案内プレート108を回動させることにより、玉葱Oを玉葱Oを引き抜き収穫した後の畝上に案内することができるので、落下の勢いで玉葱Oが畝上から畝溝に転がり落ちることを防止でき、畝溝に落ちた玉葱Oを左右走行クローラ19L,19Rが踏み潰してしまうことが防止され、玉葱Oの商品価値が維持されると共に、左右走行クローラ19L,19Rで玉葱Oを踏み潰すことを未然に防ぐために、機体を停止させて作業者が玉葱Oを手作業で拾い集める作業が省略されるので、作業者の労力が軽減される。
【0083】
また、畝の未収穫側に植生している玉葱Oの上にホッパ106から落下する玉葱Oが衝突することを防止できるので、落下した玉葱Oと未収穫側に植生している玉葱Oとが落下時の衝突で互いに傷付くことが防止され、玉葱Oの商品価値が維持されると共に、未収穫側の畝上に落下した玉葱Oが、未収穫側に植生している玉葱Oの茎葉部を押し倒してしまい、未収穫側の玉葱Oを左右引抜搬送装置49L,49Rによって引き抜きにくくなることが防止されるので、この未収穫側の玉葱Oを円滑に引き抜くことができ、作業能率が向上する。
【0084】
次に、選別搬送装置Fについて説明する。
図1、図2、図5、図7及び図9に示すように、前記ホッパ106の機体内側端部よりも機体内側に前後選別搬送フレーム109F,109Rを機体上方に向かって取り付け、該前後選別搬送フレーム109F,109Rの下端側の前後間に駆動ローラ110を回転自在に取り付けると共に、前後選別搬送フレーム109F,109Rのいずれかに該駆動ローラ110を回転させる駆動モータ111を取り付ける。そして、前記前後選別搬送フレーム109F,109Rの上端側の前後間に従動ローラ112を回転自在に取り付けると共に、該従動ローラ112と駆動ローラ110とに玉葱Oを搬送する選別搬送ベルト113を無端状に巻き掛ける。該選別搬送ベルト113の表面には、玉葱Oが下方に落下することを防止する複数の突起体114・・・を形成する。
【0085】
また、前記選別搬送ベルト113の巻回域内で且つ駆動ローラ110と従動ローラ112との上下間に、選別搬送ベルト113の弛みを防止する複数のテンションプレート115・・・を取り付けて、上面が開放された選別搬送コンベア116が構成される。
【0086】
そして、該選別搬送コンベア116の搬送終端部に排出シュータ117を取り付け、選別搬送コンベア116よりも機体後方に補助作業者が選別作業等を行うと共に、玉葱Oを収容する容器122である箱型のコンテナ122aやフレキシブルコンテナ122b、その他の収穫作業に必要な道具等を載置する後部ステップ119を選別搬送コンベア116の搬送始端部近傍からメインフレーム1の収穫搬送装置Cを設けた外側端部に亘って取り付ける。さらに、ステップ119の後部で且つ選別搬送コンベア116の搬送始端部よりも後方位置に側面視コの字形状の補助座席フレーム120を取り付けると共に、該補助座席フレーム120の上部の選別搬送コンベア116方向に近接した突出部に補助作業者が着座して玉葱Oの選別作業等を行う補助座席121を回転自在に取り付けることによって、選別搬送装置Fが構成される。
【0087】
上記構成によれば、選別搬送ベルト113の表面に複数の突起体114・・・を形成したことによって、玉葱Oが選別搬送コンベア116から落下することを防止できるので、落下の衝撃で玉葱Oが傷付くことが防止され、玉葱Oの品質が向上する。
【0088】
また、選別搬送コンベア116の上面が開放されていることによって、補助作業者は搬送中の玉葱Oを目視で不良品(傷物、腐れ物、小粒、奇形等)を選別して取り除くことができるので、作業後に別途不良品を取り除く作業が省略されるため、作業者の労力が軽減される。
【0089】
そして、補助作業座席121が補助座席フレーム120の上部の選別搬送コンベア116方向に近接した突出部に取り付けられていることによって、補助作業者は座ったまま玉葱Oの選別作業を行うことができるので、補助作業者の労力が軽減される。
【0090】
さらに、補助作業座席121が回転自在に取り付けられていることによって、補助作業者は補助作業座席121に座ったままステップ119に載置しているコンテナ119を収容部Gに載置することができるので、補助作業者の労力が軽減される。
【0091】
次に、収容部Gについて説明する。
図4〜図9に示すように、前記操縦装置11の後方で選別搬送コンベア116の終端部下方で且つ左走行クローラ19Lと左補助走行輪126Lの上方のメインフレーム1上に収容底板123を配置し、該収容底板123の前後端部に前後壁部材124F,124Rを取り付けると共に、選別搬送コンベア116の終端部下方位置に内側壁部材125を取り付ける。また、該前後壁部材124F,124Rの機体外側面に、機体上下方向に等間隔に取付フック127,127・・・を複数取り付けると共に、前後壁部材124F,124Rの機体外側面で且つ下端部に、容器122を載置する載置台128を外側端部が基部よりも上方に位置する傾斜状態に調節可能で且つ回動自在に取り付けて、積載キャリア129を構成する。
【0092】
さらに、該積載キャリア129の機体外側の開放部Sから箱型のコンテナ122aを収容底板123上に載置し、必要であれば収容底板123上に載置したコンテナ122aの上にコンテナ112aを載置する。あるいは、前記選別搬送コンベア116を構成する前後選別搬送フレーム109F,109Rの上端部外側に前後吊下げアーム130F,130Rを回動自在に取り付け、該前後吊下げアーム130F,130Rに玉葱Oを収容する袋状のフレキシブルコンテナ122b等の袋状の容器122を吊り下げ、前記積載キャリア129内に配置する。そして、積載キャリア129に載置したコンテナ122aの上下高さ、あるいはフレキシブルコンテナ122の上下高さに合わせて、前記取付フック127,127・・・にコンテナ122aやフレキシブルコンテナ122b等の容器122の落下を防止する、着脱自在な支持板131を積載キャリア129の機体外側端部から外側方向へ所定の間隔をおいて取り付けることによって、収容部Gが構成される。
【0093】
なお、前後壁部材124F,124Rの上下高さは、補助座席121に着座した補助作業者の視点高さである約110〜130cmよりも低く、且つ箱型のコンテナ122aを3個上下方向に並べた高さである約90〜100cmと略同程度にすると、補助作業者は補助座席121に着座したまま積載キャリア129内にあるコンテナ122aやフレキシブルコンテナ122bに収容される玉葱Oの収容状態を確認することができるので、作業者に機体や左右引抜搬送装置49L,49Rの停止を促し、玉葱Oがコンテナ122aやフレキシブルコンテナ122b、もしくは積載キャリア129から溢れ出てしまうことを防止でき、落下の衝撃で玉葱Oが傷付くことが防止されて玉葱Oの商品価値が維持されると共に、機外に落下した玉葱Oを作業者及び補助作業者が拾い集める必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0094】
また、支持板131は、載置台128と機体前後方向の長さを略同じとし、外側端部位置を載置台128の外側端部位置に合わせると共に、内側にコンテナ122aを載置可能な受け部を形成すると、コンテナ122a等の容器122の機外への落下を防止しつつ載置台128上にもコンテナ122aを載置できると共に、フレキシブルコンテナ122bの容量を大きくすることができるので、一度の作業で回収できる玉葱Oの量が増え、作業能率が向上する。加えて、コンテナ122aやフレキシブルコンテナ122b等の容器122を頻繁に積載キャリア129から積み下ろす必要がなくなるので、作業者の労力が軽減される。
【0095】
そして、支持板131を積載キャリア129の外側端部から外側方向に取り付ける際の間隔は、コンテナ122aの幅と略同じ長さとすることによって、積載キャリア129に複数個のコンテナ122aを追加して積むことができるので、コンテナ122aを機体から積み下ろす回数を減らすことができ、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。加えて、コンテナ122aの積載量が増加したことによって、玉葱Oを複数のコンテナ122aに分けて収容することができるので、コンテナ122aの底部に収容された玉葱Oが上側に積まれる玉葱Oの重量によって傷付くことが防止され、玉葱Oの商品価値が維持される。
【0096】
また、フレキシブルコンテナ122bを用いる場合は、コンテナ122aの幅の分だけ大きなフレキシブルコンテナ122bを用いることができるので、一度に多くの玉葱Oを回収できるため、コンテナ122aを機体から積み下ろす回数を減らすことができ、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0097】
なお、積載キャリア129に直接玉葱Oを投入する場合でも、積載キャリア129の容量が大きくなっているため、一度に多くの玉葱Oを収容することができるので、玉葱Oを積載キャリア129から排出する作業の回数を減らすことができ、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0098】
上記構成によれば、載置板128を回動自在に取り付けたことによって、収容底板123だけではコンテナ122aを載置するスペースが足りなくなっても、延長底板124を展開してコンテナ122aを載置することができるので、頻繁にコンテナ122aを交換する必要が無くなり、作業者の労力が軽減されると共に、コンテナ122a交換のたびに機体をその場に停止させる必要がなくなるので、作業能率が向上する。
【0099】
また、フレキシブルコンテナ122bの前後幅及び左右幅が収容底板123の前後幅及び左右幅よりも大きな場合でも、載置板128を展開することによってフレキシブルコンテナ122bの全幅を収容底板123と延長底板124とで受けることができるので、玉葱Oをフレキシブルコンテナ122bの収容限度まで収容することができるので、頻繁にフレキシブルコンテナ122bを交換する必要が無くなり、作業者の労力が軽減されると共に、フレキシブルコンテナ122b交換のたびに機体をその場に停止させる必要がなくなるので、作業能率が向上する。
【0100】
そして、作業終了後には載置板128を機体内側方向に回動させることによって、機体の左右幅を短くすることができるので、トラック等の搬送手段に積載する際に機体が荷台からはみ出すことが防止され、機体搬送作業の安全性が向上すると共に、倉庫等に機体を格納する際、余分なスペースを費やすことが防止される。
【0101】
さらに、載置台128を外側端部が基部よりも上方に位置する傾斜状態に調節可能であることによって、載置台128に載置されるコンテナ122aは載置台128の傾斜に合わせて傾斜するため、コンテナ122aが機体外側に移動して機外に落下することを防止できるので、落下の衝撃で玉葱Oが傷付くことが防止されて玉葱Oの商品価値が維持されると共に、作業者が玉葱Oやコンテナ122aを拾い集める作業が省略されるので、作業者の労力が軽減される。
【0102】
また、載置台128の外側端部が基部よりも上方に位置していることによって、玉葱Oの茎葉部が載置台128に接触し、玉葱Oの茎葉部が載置台128に絡み付いて千切れてしまい、左右引抜搬送装置49L,49Rで引き抜けなくなることが防止できるので、作業者が引き抜かれなかった玉葱Oを野菜収穫機による収穫作業後に手作業で引き抜く作業を行う必要がなくなり、作業者の労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
【0103】
そして、前後壁部材124F,124Rの機体外側面に、機体上下方向に等間隔に取付フック127,127・・・を複数取り付けると共に、取付フック127,127・・・に着脱自在な支持板131を取り付けることによって、積み上げたコンテナ122aの上下高さに合わせて、あるいはフレキシブルコンテナ122bの収容量に合わせて、コンテナ122aやフレキシブルコンテナ122b等の容器122が積載キャリア129の機体外側部の開放部S方向に移動することを規制するため、落下の衝撃で玉葱Oが傷付くことが防止されて玉葱Oの商品価値が維持されると共に、作業者が玉葱Oや容器122を拾う作業が省略されるので、作業者の労力が軽減される。
【0104】
また、積載キャリア129を構成する収容底板123が、左走行クローラ19Lと左補助走行輪126Lとの上方に位置していることによって、積載キャリア129内に玉葱Oが収容され、積載キャリア129にかかる重量が増加しても機体のバランスを保つことができるので、機体の走行姿勢が安定して横転等の事故が起こりにくくなり、作業の安全性が向上する。
【0105】
さらに、左右引抜搬送装置49L,49Rの引抜位置がずれることを防止できるので、作業者は収穫されなかった玉葱Oを野菜収穫機による収穫作業後に手作業で引き抜く作業を行う必要がなくなり、作業者の労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
【0106】
なお、積載キャリア129は、コンテナ122aやフレキシブルコンテナ122b等の容器122を載置せず、直接玉葱Oを収容してもよい。
上記A〜Gの構成によれば、前記アッパーフレーム2よりも上下方向において下方に位置するメインフレーム1上に収穫搬送装置Cと調製装置Dと貯留部Eと選別搬送装置Fと収容部Gとを設けたことによって、機体の上下高さを低くすることができるので、機体サイズがコンパクトになり、天井の低い倉庫等にも機体を収納することができるようになる。
【0107】
以下、本件玉葱Oの収穫機の別実施例を説明する。
図17に示すように、積載キャリア129を構成する収容底板123の底部で且つ背面視で左走行クローラ19Lの上方に回動軸132を取り付け、該回動軸132を回動支点として積載キャリア129を機体内外側方向(あるいは、機体左右方向)に回動自在に構成してもよい。
【0108】
上記構成によれば、積載キャリア129の回動支点となる回動軸132を背面視で左走行クローラ19Lの上方としたことによって、積載キャリア129はバランスが均衡した状態となるので、作業者は手作業で積載キャリア129を機体外側方向に回動させ、収容底板123上に載置したコンテナ122aや、玉葱Oを満載したフレキシブルコンテナ122bを圃場や道路上に下ろすことができるので、作業者の労力が軽減される。また、積載キャリア129を機体内側方向に回動させるときも、作業者は略同じ力で積載キャリア129を動かすことができる。
【0109】
なお、積載キャリア129を機体外側方向に回動させる際、載置台128を開放しておくと、コンテナ122aやフレキシブルコンテナ122bを機外へ移動させるシュータとしての作用をさせることができ、スムーズにコンテナ122aやフレキシブルコンテナ122bを機外に排出させられるので、作業能率が向上する。
【0110】
図18で示すように、積載キャリア129を構成する収容底板123を、機体外側方向を基部として機体上下方向に回動自在に構成すると共に、該収容底板123の端部側下部に玉葱Oが畝上から転がり落ちることを防止する移動規制板133を取り付ける構成としてもよい。
【0111】
上記構成によれば、収穫した玉葱Oを畝上に放置して天日で乾燥させたいときには、収容底板123を下方回動させることによって、積載キャリア129に投入される玉葱Oを畝上に案内することができるので、収穫作業後に作業者や補助作業者が手作業で畝上に玉葱Oを並べる作業が省略されて、作業能率が向上する。
【0112】
また、収容底板123の端部側下部に移動規制板133を取り付けたことによって、畝から玉葱Oが転がり落ちることを防止できるので、畝溝に落ちた玉葱Oが走行クローラ19Lや左補助走行輪126Lに踏み潰されることが防止され、玉葱Oの商品価値を向上させることができると共に、畝溝に落ちた玉葱Oが走行クローラ19Lや左補助走行輪126Lに踏み潰されることを避けるために、収穫作業を中断して作業者や補助作業者が畝溝に落ちた玉葱Oを畝上に拾い上げる作業が省略されるので、作業能率が向上する。
【0113】
なお、1、2条目から収穫する玉葱Oは前記ホッパ106の底板107を開放して落下させ、3、4条目から収穫する玉葱Oは収容底板123を開放して落下させると、玉葱Oを畝上に密集し過ぎないように置いていくことができ、日当たりが良くなり天日乾燥の効率が向上すると共に、風通しもよくなるのでさらに乾燥の効率が向上し、玉葱Oの自然乾燥にかかる時間を短くすることができる。
【0114】
図19に示すように、選別搬送コンベア116を構成する前後選別搬送フレーム109F,109Rの搬送終端下部から積載キャリア129の機体外側下端部に亘って、隣接する玉葱Oの収穫作業の終了した畝上に玉葱Oを移動させる排出シュータ134を機体上下方向に回動自在に取り付ける。そして、該排出シュータ134の排出側に複数の玉葱Oを貯留するバケット135を取り付けると共に、該バケット135の上端部から排出シュータ135の終端部に亘って、バケット135の上端部を回動支点とする蓋体136を機体上下方向に回動自在に取り付ける構成としてもよい。
【0115】
なお、該排出シュータ134の長さは、積載キャリア129の上下長さよりも長くすることによって、玉葱Oが積載キャリア129内に排出されてしまい、作業者や補助作業者が作業終了後に積載キャリア129内の玉葱Oを畝上に置く作業が省略されるので作業能率が向上すると共に、排出シュータ134の排出部と畝上との距離が短くなるので、落下の衝撃で玉葱Oが傷付くことが防止され、玉葱Oの商品価値が維持される。
【0116】
上記構成によれば、排出シュータ134によって収穫した玉葱Oを、収穫作業の終わった隣接する畝上に排出させることによって、排出された玉葱Oが収穫されていない玉葱Oとぶつかって傷付くことが防止できるので、玉葱Oの商品価値が維持されると共に、収穫されていない玉葱Oの茎葉部を押し倒してしまい、左右引抜搬送装置49L,49Rで引き抜くことができず、作業者や補助作業者が収穫作業後に手作業で玉葱Oを圃場から引き抜く作業が省略されるので、作業能率が向上する。
【0117】
また、排出シュータ134の排出側にバケット135を取り付けたことによって、作業者又は補助作業者は複数の玉葱Oを一箇所にまとめて排出することができるので、天日乾燥させた玉葱Oを回収する際、効率よく回収することができる。
【0118】
そして、蓋体136の回動支点をバケット135の回動支点としたことによって、蓋体136を開閉しても畝上に接触させることなく玉葱Oを排出することができるので、蓋体136が破損することが防止され、機体の耐久性が向上する。
【0119】
さらに、排出シュータ134を回動自在に構成していることによって、排出シュータ134を回動させて畝上の適切な位置に合わせて玉葱Oを落下させることができるので、玉葱Oを効率的に天日乾燥させることができ、玉葱Oの自然乾燥にかかる時間が短縮される。
【0120】
図20(a)及び(b)で示すように、玉葱Oの茎葉部を引き起こす引起装置を、左右引起装置137,137と中央引起装置138とで構成し、該中央引起装置138の左右両側に、中央引起装置138が引き起こした玉葱Oの茎葉部を左右引抜搬送装置49L,49Rに案内する左右案内ガイド139,139を取り付ける。そして、該中央引起装置138の左右方向中央部で且つ機体前側の底部に、長尺な茎葉部が隣の引抜搬送装置49Lもしくは49R側に垂れることを防止する垂れ下がり防止カバー140を取り付ける構成としても良い。
【0121】
上記構成によれば、中央引起装置138の左右方向中央部で且つ機体前側の底部に垂れ下がり防止カバー140を取り付けたことによって、左右引抜搬送装置49L,49Rに夫々引き抜かれる玉葱Oの茎葉部が、引き抜く玉葱Oに対して反対側の引抜搬送装置49L又は49R側に垂れ下がって挟持されてしまうことが防止されるので、誤って挟持された茎葉部が左右引抜搬送装置49L,49Rを停止させてしまうことが防止されるので、作業能率が向上する。
【0122】
図21(a)及び(b)で示すように、中央引起装置138の左右方向中央部で且つ機体前側の底部に、長尺な茎葉部が隣の引抜搬送装置49Lもしくは49R側に垂れることを防止する、機体前後方向において後側ほど左右方向に幅広な茎葉部案内カバー141を、中央引起装置138の下部を支点として機体前後方向に回動自在に取り付ける。そして、該茎葉部案内カバー141の上部と中央引起装置138の茎葉部案内カバー141の上部よりも上方位置との間にスプリング142を設けて、通常時は茎葉部案内カバー141を上方に吊り上げる構成としてもよい。
【0123】
上記構成によれば、茎葉部案内カバー141が機体後側ほど左右方向に幅広であるので、中央引起装置138によって引き起こされた玉葱Oの茎葉部は、引き抜かれる側の左右引抜搬送装置49L,49Rの反対側に垂れ下がることなく引き抜かれる側の左右引抜搬送装置49L,49Rへと案内されるので、誤って挟持された茎葉部が左右引抜搬送装置49L,49Rを停止させてしまうことが防止されるので、作業能率が向上する。
【0124】
また、スプリング142によって、茎葉部案内カバー141を上方に吊り上げていることによって、案内される茎葉の量に応じて茎葉部案内カバー141が回動支点を中心として揺動し、茎葉部が左右引抜搬送装置49L,49Rを詰まらせず、且つ挟持しやすい位置に移動させるので、効率よく茎葉部が挟持されて玉葱Oが収穫されるので、作業能率が向上する。
【0125】
なお、図22で示すように、茎葉部案内カバー141の機体前側上部に茎葉部案内カバー141を揺動させる回転自在な揺動ローラ143を、中央引起装置138の内側で非作用状態の複数の引起し爪144・・・の突出部144aが接触する位置に取り付ける構成としてもよい。
【0126】
上記構成によれば、茎葉部を引き起こす引起し爪144・・・の突出部144aが揺動ローラ143に接触すると茎葉部案内カバー141が揺動するため、作用位置にある引起し爪144・・・が茎葉部を持ち上げるのに連動して茎葉部案内カバー141を揺動させることができるので、引き起こされた茎葉部は茎葉部案内カバー141によって確実に左右引抜搬送装置49L,49Rに案内されるので、作業能率が向上する。
【0127】
なお、揺動ローラ143は、突出部144aと接触する位置を変更可能に設けると、茎葉部の状態や圃場の条件に応じて揺動幅を変更することができるので、作業条件の変化に対応した作業を行える。
【0128】
図23(a)及び(b)で示すように、中央引起装置138の後下端部に揺動ローラ145を回転自在且つ作用位置を調節自在に取り付け、該揺動ローラ145よりも上方に支点フレーム146を着脱自在に取り付けると共に、該支点フレーム146の後端部にトルクスプリング147を取り付ける。そして、該トルクスプリング147の両端部に平面視でU字型の案内ガイド148の基部を機体上下方向に回動自在に取り付け、該案内ガイド148の端部を前記揺動ローラ145の下部に接触させる構成としてもよい。
【0129】
上記構成によれば、中央引起装置138によって引き起こされた玉葱Oの茎葉部は、案内ガイド148によって引き抜かれる側の左右引抜搬送装置49L,49Rの反対側に垂れ下がることなく引き抜かれる側の左右引抜搬送装置49L,49Rへと案内されるので、誤って挟持された茎葉部が左右引抜搬送装置49L,49Rを停止させてしまうことが防止されるので、作業能率が向上する。
【0130】
また、案内ガイド148の回動支点を中央引起装置138に着脱自在に取り付ける支点フレーム146に設けたことによって、案内ガイド148が必要の無いときには取り外すことができ、作業条件の変化に対応した作業を行える。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】玉葱収穫機の側面図
【図2】玉葱収穫機の一部部材を除いた側面図
【図3】玉葱収穫機の走行部伝動系に関する要部背面図
【図4】玉葱収穫機の平面図
【図5】玉葱収穫機の収容部に関する要部背面図
【図6】収容部を拡張した平面図
【図7】収容部を拡張した要部背面図
【図8】収容部を拡張し、フレキシブルコンテナを容器に用いた平面図
【図9】収容部を拡張し、フレキシブルコンテナを容器に用いた要部背面図
【図10】引抜搬送装置の平面図
【図11】根部処理装置の背面図
【図12】根部処理装置の側面図
【図13】根部処理装置の平面図
【図14】調製装置の要部側面図
【図15】押圧搬送装置の要部正面図
【図16】排葉搬送装置の要部平面図
【図17】玉葱収穫機の収容部の傾斜移動に関する要部背面図
【図18】玉葱収穫機の収容部の底板の開閉に関する要部背面図
【図19】玉葱収穫機の隣接条に玉葱を排出するシュータに関する要部背面図
【図20】(a)茎葉引起し装置と茎葉案内ガイドの要部平面図 (b)茎葉引起し装置と茎葉案内ガイドの要部側面図
【図21】(a)茎葉引起し装置と揺動自在な茎葉案内ガイドの要部平面図 (b)茎葉引起し装置と揺動自在な茎葉案内ガイドの要部側面図
【図22】揺動ローラにより揺動する茎葉案内ガイドの要部側面図
【図23】(a)茎葉引起し装置と揺動自在な茎葉案内ガイドの別実施例の要部平面図 (b)茎葉引起し装置と揺動自在な茎葉案内ガイドの別実施例の要部側面図
【符号の説明】
【0132】
1 機体フレーム
19L 左走行クローラ(走行装置)
19R 右走行クローラ(走行装置)
49L,49R 引抜搬送装置(収穫装置)
116 選別搬送コンベア(搬送装置)
122 容器
128 載置台
129 積載キャリア(積載部)
131 支持板(支持部材)
O 野菜
S 開放部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム(1)の左右両側に畝を跨いで走行する走行装置(19L,19R)を設け、機体フレーム(1)の左右一側に野菜(O)を圃場から収穫する収穫装置(49L,49R)を設け、該収穫装置(49L,49R)の搬送終端部下方に収穫された野菜(O)を搬送する搬送装置(116)の搬送始端部を配置し、該搬送装置(116)の搬送終端部の下方に、野菜(O)を収容する容器(122)を積載する積載部(129)を設け、該積載部(129)の機体外側の部位に開放部(S)を設け、該開放部(S)に積載部(129)の外側端部から外側方向へ所定の間隔をおいて配置して容器(122)の脱落を防止する支持部材(131)を着脱自在に設けたことを特徴とする野菜収穫機。
【請求項2】
前記支持部材(131)と積載部(129)の外側端部との間隔を、容器(122)の幅と略同じ長さに設定したことを特徴とする請求項1記載の野菜収穫機。
【請求項3】
前記支持部材(131)と積載部(129)の外側端部との間の下方の位置に、容器(122)を載置する載置台(128)を設け、該載置台(128)を機体フレーム(1)に対して上下回動自在に取り付けたことを特徴とする請求項1又は2記載の野菜収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−284842(P2009−284842A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142414(P2008−142414)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】