金型装置
【課題】桁連結部を有するパレットの下半体を、簡単な金型装置で成形できる。多サイズの金型装置に入子や分割金型部の一部を兼用できる。
【解決手段】溶着タイプのパレットJにおける下半体Iを成形するための金型装置1である。金型装置1を固定金型2と可動金型3とで構成する。固定金型2又は可動金型3のいずれか一方の金型の少なくとも一部を、桁連結部Gの複数のリブFが突設した下面側を成形するための複数のリブ成形用凹部4を有するリブ側桁連結部成形用入子5を取付けることで構成する。固定金型2又は可動金型3のいずれか他方の金型を複数に分割した分割金型部6を並設することで構成する。リブ側桁連結部成形用入子5に対応する部分においても分割金型部6を複数並べて構成する。
【解決手段】溶着タイプのパレットJにおける下半体Iを成形するための金型装置1である。金型装置1を固定金型2と可動金型3とで構成する。固定金型2又は可動金型3のいずれか一方の金型の少なくとも一部を、桁連結部Gの複数のリブFが突設した下面側を成形するための複数のリブ成形用凹部4を有するリブ側桁連結部成形用入子5を取付けることで構成する。固定金型2又は可動金型3のいずれか他方の金型を複数に分割した分割金型部6を並設することで構成する。リブ側桁連結部成形用入子5に対応する部分においても分割金型部6を複数並べて構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットの下半体を成形するための金型装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から合成樹脂の上半体と合成樹脂の下半体とを溶着一体化することで構成した溶着タイプのパレットが知られている。
【0003】
この溶着タイプのパレットとしては2種類の溶着タイプのパレットが知られている。一種類(両面使用)の溶着タイプのパレットは、上面がべた面となった上デッキ部の下面部に複数の上桁部を一体に垂設した上半体と、下面がべた面となった下デッキ部の上面部に複数の下桁部を一体に突設した下半体とを、上半体の上桁部の下端部と下半体の下桁部の上端部とを溶着一体化することで構成されたものである。
【0004】
他の一種類(片面使用)の溶着タイプのパレットは、デッキ部の下面部に複数の上桁部を一体に垂設した上半体と、複数の下桁部の下部同士を上面が面状部となり且つ該面状部から下方に複数のリブを突設した桁連結部で一体に繋ぐと共に桁連結部と下桁部とで囲まれた部分に上下に開口する開口部を設けた下半体とが、上半体の上桁部の下端部と下半体の下桁部の上端部とを溶着一体化することで構成されたものである。
【0005】
上記、上下面にデッキ部がある溶着タイプのパレットは上下反転しても使用できるが、上下面がべた面となったデッキ部であるため、多くの樹脂量が必要で、コストが高くなると共に、重量も重くなるという問題がある。
【0006】
また、上記上面だけがデッキ部となった溶着タイプのパレットは、下半体の下桁部と、下桁部間を一体に繋ぐ桁連結部とに囲まれた部分が開口部となっていることで、樹脂量が少なくてコストが低く、また、軽量化が図れるという特徴を有している。
【0007】
上記の上下面にデッキ部がある溶着タイプのパレットの上半体、下半体をそれぞれ成形するための金型装置として、例えば特許文献1が知られている。この特許文献1にはデッキ面部の片面に複数の桁部を突設した上半体や下半体を形成するための金型として、各桁部を形成するための複数の桁部形成用金型部と、桁部を除くデッキ面部を形成するためのデッキ面部形成用金型部とを分割し、更に、各桁部形成用金型部を複数の桁部形成用分割型に分割すると共に桁部形成用分割型間に桁部用スペーサ金型部を配置してサイズの異なる桁部形成用金型部の構成が選択できるようにし、また、デッキ面部形成用金型部を複数の共通型と共通型間に選択的に配置されるスペーサ用型とで構成し、これによりサイズの異なる上半体、下半体を成形して、成形した上半体、下半体を溶着一体化することで溶着タイプのパレットを形成できるようにしたものである。
【0008】
このように従来から、デッキ部の片面に複数の桁部を突設する上半体や、下半体を種々のサイズに成形するための金型装置は従来から提案されている。
【0009】
しかしながら、複数の下桁部の下部同士を上面が面状部となり且つ該面状部から下方に複数のリブを突設した桁連結部で一体に繋ぐと共に桁連結部と下桁部とで囲まれた部分に上下に開口する開口部を設けた下半体を成形するには、従来は下半体のサイズ毎に、専用の固定金型、可動金型を用意し、この専用の固定金型、可動金型を用いて所定サイズの下半体を成形していた。
【0010】
図19にはその固定金型2、可動金型3よりなる金型装置の一例を示している。図19において、30は固定金型2に設けた上面が面状部Eとなり且つ下面に複数のリブFを突設した桁連結部Gの下面部側を成形するためのリブ側桁連結部成形部であり、31は可動金型3に設けた桁連結部Gの面状部Eとなった上面部側を成形するための面状部側桁連結部成形部であり、リブ側桁連結部成形部30が上面部に複数のリブ成形用凹部4を有する凸となり、面状部側桁連結部成形部31が凹となり、上記凸のリブ側桁連結部成形部30間に凹部33を形成し、上記面状部側桁連結部成形部31に開口部形成用凸部34が形成してある。そして、図19(a)のように、可動金型3を固定金型2側に移動して開口部形成用凸部34を凹部33に嵌め込み、図19(b)の状態で固定金型2と可動金型3との間に合成樹脂8を射出し、次に、図19(b)の状態から可動金型3を固定金型2側に移動して図19(c)のようにプレスすることで、下半体Iを成形するようになっている。この場合、開口部形成用凸部34が凹部33に嵌り込んだ状態でスライドして図19(c)の状態となり、この開口部形成用凸部34が凹部33に嵌り込んだ部分には合成樹脂8が充填されない開口部Hが形成される。
【0011】
このように、複数の下桁部Dの下部同士を上面が面状部Eとなり且つ該面状部Eから下方に複数のリブFを突設した桁連結部Gで一体に繋ぐと共に桁連結部Gと下桁部Dとで囲まれた部分に上下に開口する開口部Hを設けた下半体Iを成形するには、従来は下半体Iのサイズ毎に、専用の固定金型2、可動金型3を必要としていたので、金型コストが高くなるという問題があった。
【0012】
また、図19のような従来例においては、開口部Hを形成する箇所においては、可動金型3に設けた開口部形成用凸部34が固定金型2に設けた凹部33に嵌り込んでスライドする構造のため、可動金型3に設けた開口部形成用凸部34が固定金型2に設けた凹部33にスムーズに挿入可能とし、しかも、挿入状態で可動金型3の移動により抵抗なくスムーズにスライドするためには、可動金型3に設けた開口部形成用凸部34の側面と固定金型2に設けた凹部33の内側面との間に上記スムーズな挿入、スライドを許容するための一定の余裕のある隙間が必要であり、このため、可動金型3を移動してプレスすると、可動金型3に設けた開口部形成用凸部34の側面と固定金型2に設けた凹部33の内側面との間の隙間に合成樹脂8が入り込みバリになってしまうという問題があり、成形後のバリ取り作業が面倒となるという問題がある。
【特許文献1】特開平6−79757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、上面側はフォークが通過するため面状部となり且つ下面部は強度を必要とするために複数のリブが突出して下面側の形状が複雑となる桁連結部を有するパレットの下半体を、簡単な金型装置で成形することができると共に金型装置の製造が容易に行なえ、しかも、種々のサイズの異なるパレットの下半体の成形に当たって、一部の入子、分割金型部を兼用して使用することが可能となって、多サイズの下半体の成形に対して有利となり、しかも、開口部の周囲にバリが発生しないようにできる金型装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明に係る金型装置は、デッキ部Aの下面部に複数の上桁部Bを一体に垂設した上半体Cと、複数の下桁部Dの下部同士を上面が面状部Eとなり且つ該面状部Eから下方に複数のリブFを突設した桁連結部Gで一体に繋ぐと共に桁連結部Gと下桁部Dとで囲まれた部分に上下に開口する開口部Hを設けた下半体Iとが、上半体Cの上桁部Bの下端部と下半体Iの下桁部Dの上端部とを溶着一体化することで構成されるパレットJにおける下半体Iを成形するための金型装置1であって、該金型装置1を固定金型2と可動金型3とで構成し、固定金型2又は可動金型3のいずれか一方の金型の少なくとも一部を、桁連結部Gの複数のリブFが突設した下面側を成形するための複数のリブ成形用凹部4を有するリブ側桁連結部成形用入子5を取付けることで構成し、固定金型2又は可動金型3のいずれか他方の金型を複数に分割した分割金型部6を並設することで構成し、上記リブ側桁連結部成形用入子5に対応する部分においても分割金型部6を複数並べて構成してあることを特徴とするものである。
【0015】
下半体Iを成形するための固定金型2と可動金型3のうち下半体Iの下面側を成形するための金型において、桁連結部Gの下面部を成形する部分は最も強度を要求されるために複数のリブを成形する部分であって形状が複雑な部分であり、また、この部分は金型部に多数箇所(4方差しのパレットJの下半体Iの場合は12箇所)設けられる。このため、桁連結部Gの下面部を成形する部分を金型部と一体に加工すると、金型部の多数箇所にそれぞれ複雑な加工を施さねばならず、加工にコストと時間がかかるが、これに対し、本発明においては、この桁連結部Gの下面部を成形する部分をリブ側桁連結部成形用入子5として金型とは別途成形することで、加工コストの低下と加工時間の短縮が可能となる。また、同一寸法で、リブの本数や肉厚等を変更したリブ側桁連結部成形用入子5を交換することによって、軽量タイプ(リブの本数が少ない)や高強度タイプ(リブの本数が多い)のパレットJを成形できる。しかも、リブ側桁連結部成形用入子5が金型とは別体であるため、リブ側桁連結部成形用入子5を複数種類用意しておくことで、異なるサイズの下半体Iを成形する金型を構成する際に入子として組み込むことができ、また、一部の入子を異なるサイズの下半体Iを成形する金型を構成する際の入子として兼用することが可能となる。下半体Iは、直接地面に載置されるが、入子点数が少なく精度による不具合(段差)が生じ難く、パレットJのがたつき防止になる。また、段差は、パレットJをコンクリート上でひきずって、削れゴミの発生にも繋がるが、それをも抑制することになる。また、下半体Iを成形するための固定金型2と可動金型3のうち下半体Iの上面側を成形するための金型においては、上記のようにリブFを形成するための複雑な形状を必要としないので、比較的簡単な加工ですむ分割金型部6を複数並設して金型を構成でき、これによりサイズの異なる下半体Iの上面側を成形する金型を簡単に構成できる。しかも、リブ側桁連結部成形用入子5のサイズが異なるものの場合でも、リブ側桁連結部成形用入子5に対応する部分においても分割金型部6を複数並べて構成するので、サイズに応じて複数の分割金型部6の組み合わせを選択することで簡単に対応することができる。
【0016】
また、デッキ部Aの下面部に複数の上桁部Bを一体に垂設した上半体Cと、複数の下桁部Dの下部同士を上面が面状部Eとなり且つ該面状部Eから下方に複数のリブを突設した桁連結部Gで一体に繋ぐと共に桁連結部Gと下桁部Dとで囲まれた部分に上下に開口する開口部Hを設けた下半体Iとが、上半体Cの上桁部Bの下端部と下半体Iの下桁部Dの上端部とを溶着一体化することで構成されるパレットにおける下半体Iを成形するための金型装置1であって、該金型装置1を固定金型2と可動金型3とで構成し、固定金型2又は可動金型3のいずれか一方の金型の少なくとも一部を桁連結部Gの下面側を成形するための複数のリブ成形用凹部4を有するリブ側桁連結部成形用入子5を取付けると共に、開口部Hの下部を形成するための開口部下部成形用入子7を上方に弾性付勢した状態で上下移動自在に取付けることで構成し、固定金型2又は可動金型3のいずれか他方の金型を複数に分割した分割金型部6を並設することで構成し、上記リブ側桁連結部成形用入子5に対応する部分においても分割金型部6を複数並べて構成し、上記開口部下部成形用入子7に対応する分割金型部6が上記開口部下部成形用入子7の上面に面接触して開口部下部成形用入子7を押圧することで開口部Hの上部を形成するものであってもよい。
【0017】
このような構成とすることで、下半体Iを成形するための固定金型2と可動金型3のうち下半体Iの下面側を成形するための金型において、桁連結部Gの下面部を成形する部分は最も強度を要求されるために複数のリブを成形する部分であって形状が複雑な部分であり、また、この部分は金型部に多数箇所(4方差しのパレットJの下半体Iの場合は12箇所)設けられる。このため、桁連結部Gの下面部を成形する部分を金型部と一体に加工すると、金型の加工にコストと時間がかかるが、これに対し、本発明においては、この桁連結部Gの下面部を成形する部分をリブ側桁連結部成形用入子5として金型とは別途成形することで、加工コストの低下と加工時間の短縮が可能となる。しかも、リブ側桁連結部成形用入子5が金型とは別体であるため、リブ側桁連結部成形用入子5を複数種類用意しておくことで、異なるサイズの下半体Iを成形する金型を構成する際に入子として組み込むことができ、また、一部の入子を異なるサイズの下半体Iを成形する金型を構成する際の入子として兼用することが可能となる。また、開口部下部成形用入子7に対応する分割金型部6が上記開口部下部成形用入子7の上面に面接触して開口部下部成形用入子7を押圧することで開口部Hの上部を形成するものであるから、開口部Hの周囲にバリの発生がないように成形できる。また、下半体Iを成形するための固定金型2と可動金型3のうち下半体Iの上面側を成形するための金型においては、上記のようにリブFを形成するための複雑な形状を必要としないので、比較的簡単な加工ですむ分割金型部6を複数並設して金型を構成でき、これによりサイズの異なる下半体Iの上面側を成形する金型を簡単に構成できる。しかも、リブ側桁連結部成形用入子5のサイズが異なるものの場合でも、リブ側桁連結部成形用入子5に対応する部分においても分割金型部6を複数並べて構成するので、サイズに応じて複数の分割金型部6の組み合わせを選択することで簡単に対応することができる。
【0018】
また、開口部下部成形用入子7の上面に面接触して開口部下部成形用入子7を押圧することで開口部Hの上部を成形するための分割金型部6の端部が開口部下部成形用入子7の側面よりも側方に突出して側方突出部9となり、該側方突出部9の側端面が桁連結部Gの側面上部を成形するものであり、該側方突出部9の少なくとも突出基部のキャビティ10に対向する面が開口部下部成形用入子7の上面に面接触する平坦面11と面一に連続した面12となっていることが好ましい。
【0019】
このような構成とすることで、プレス圧により開口部下部成形用入子7の上面とこれに対向する分割金型部6との間に隙間が生じることがなく、バリが発生しないようにできる。
【0020】
また、開口部下部成形用入子7の上面に面接触して開口部下部成形用入子7を押圧することで開口部Hの上部を成形するための分割金型部6の端部が開口部下部成形用入子7の側面よりも側方に突出して側方突出部9となり、該側方突出部9の側端面が桁連結部Gの側面上部を成形するものであり、該側方突出部9のキャビティ10に対向する面が、成形される桁連結部Gの上コーナ部が傾斜したコーナ部となるように成形するための傾斜面部分13となっていることが好ましい。
【0021】
このような構成とすることで、桁連結部Gの上コーナ部を傾斜するように成形するに当たり、分割金型部6に鋭角に突出した部分(ピン角となった部分)が発生せず、分割金型部6が破損し難くなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、上面側はフォークが通過するため面状部となり且つ下面部は強度を必要とするために複数のリブが突出して下面側の形状が複雑となる桁連結部を有するパレットの下半体を成形するための金型装置を、低コストで簡単に構成できる。また、種々のサイズの異なるパレットの下半体の成形に当たって一部の入子、分割金型を兼用して使用することが可能となって、多サイズの成形に対して有利となり、しかも、開口部の周囲にバリが発生しないようにできる金型装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0024】
図12には合成樹脂製の溶着タイプのパレットJが示してあり、図12の溶着タイプのパレットJは、デッキ部Aの下面部に複数の上桁部Bを一体に垂設した合成樹脂製の上半体Cと、複数の下桁部Dの下部同士を上面が面状部Eとなり且つ該面状部Eから下方に複数のリブFを突設した桁連結部Gで一体に繋ぐと共に桁連結部Gと下桁部Dとで囲まれた部分に上下に開口する開口部Hを設けた合成樹脂製の下半体Iとが、上半体Cの上桁部Bの下端部と下半体Iの下桁部Dの上端部とを溶着一体化することで構成してあり、上桁部Bと下桁部Dを溶着一体化して構成した桁部と桁部との間がフォーク挿入部Kとなっている。
【0025】
本発明の金型装置1は上記の溶着タイプのパレットJにおける下半体Iを成形するためのものである。図9乃至図11には下半体Iの一実施形態が示してある。この図9乃至図11に示す下半体Iは1200mm×1100mmサイズのパレットJを形成するための下半体Iが示してあり、このため、図11の下半体Iは1200mm×1100mmサイズの例が示してある。
【0026】
上記した下半体Iを成形するための金型装置1は、固定金型2と可動金型3とで構成してある。
【0027】
固定金型2又は可動金型3のうち一方が下半体Iの下面側を成形するための金型であり、他方が下半体Iの上面側を成形するための金型であり、可動金型3と固定金型2との対向面にキャビティ10が形成される。ここで、合成樹脂8をキャビティ内に射出後に可動金型3を移動して合成樹脂8をプレスするプレス成形するものでも、あるいは、可動金型3と固定金型2とを型締めした後にキャビティ10内に合成樹脂8を射出成形するものでもよい。また、下半体Iの下面側を固定金型2で形成し、上面側を可動金型3で形成してもよく、また、下半体Iの上面側を固定金型2で形成し、下面側を可動金型3で形成してもよい。
【0028】
添付図面に示す実施形態ではプレス成形する例で説明する。また、下半体Iの下面側を固定金型2で成形すると共に上面側を可動金型3で成形する例で説明する。説明の都合上、以下の説明では、固定金型2側を下、可動金型3側を上と定義し、また、可動金型3の移動方向を上下方向と定義して説明するが、必ずしも固定金型2側が下、可動金型3側が上となるように配置されるもののみに限定されず、固定金型2側が上、可動金型3側が下となるように配置したり、あるいは、固定金型2、可動金型3を左右に配置して可動金型3を左右方向に移動するようにしたものであってもよい。
【0029】
図3、図4には固定金型2の一例が示してあり、固定金型2の上面のキャビティ10の内面となる面のうち少なくとも一部は、下半体Iの桁連結部Gの下面側を成形するためのリブ側桁連結部成形用入子5と、開口部Hの下部を形成するための開口部下部成形用入子7とを固定金型2の上面に取付けることで構成してある。
【0030】
すなわち、固定金型2の上面の桁連結部Gの下面側を成形する箇所(図11の実施形態では4方差しのパレットJの下半体Iを成形するものであるから桁連結部Gは12箇所)には入子取付け用凹部14が設けてあり、各入子取付け用凹部14にはリブ側桁連結部成形用入子5が着脱自在に嵌め込んであってボルトにより取付けてある。リブ側桁連結部成形用入子5の上面部には成形するための複数のリブFが突設した桁連結部Gの下面側を成形するための複数のリブ成形用凹部4が形成してある。
【0031】
ここで、固定金型2の上面の桁連結部Gの下面側を成形する箇所にリブ側桁連結部成形用入子5を取付けて構成する入子構造としたのは、下半体Iの下面側においては、桁連結部Gの下面側が補強用の複数のリブFが突設されるため最も複雑な形状をしていて金型の加工が最も複雑となる箇所であり、しかも、この複雑となる箇所が一つの固定金型2の上面の複数箇所(4方差しの場合は12箇所)に加工して形成する必要があるので、一つの固定金型2の複数箇所に加工するよりも、固定金型2としては複雑な加工をする必要がない本体部2aと、複雑な加工を必要とするリブ側桁連結部成形用入子5とに分けることで、加工を容易に且つ低コストでおこない、また、同一寸法で、リブの本数や肉厚等を変更したリブ側桁連結部成形用入子5を交換することによって、軽量タイプ(リブの本数が少ない)や高強度タイプ(リブの本数が多い)のパレットJを成形できる。また、複雑な加工を必要とするリブ側桁連結部成形用入子5を複数サイズ用意することで、サイズの異なるパレットJの下半体Iを形成する場合に、任意のサイズのリブ側桁連結部成形用入子5を選択して使用できるようにすると共に、一部のリブ側桁連結部成形用入子5を複数サイズのパレットJの下半体Iを形成する場合に兼用して使用することが可能となる。下半体Iは、直接地面に載置されるが、入子点数が少なく精度による不具合(段差)が生じ難く、パレットJのがたつき防止になる。また、段差は、パレットJをコンクリート上でひきずって、削れゴミの発生にも繋がるが、それをも抑制することになる。リブ側桁連結部成形用入子5には、水抜き孔を形成するための突型部を設けてもよい。
【0032】
また、固定金型2の上面の開口部Hの下部を成形する箇所(図3、図4の実施形態では4方差しのパレットJの下半体Iを成形するものであるから開口部Hは4箇所)には入子嵌め込み用凹部15が設けてあり、各入子嵌め込み用凹部15には開口部Hの下部を形成するための開口部下部成形用入子7の下部を上下移動自在に嵌め込んで取付けてあり、入子嵌め込み用凹部15の底部と開口部下部成形用入子7の下面部との間にはばね材16が介装してあって開口部下部成形用入子7を上方に弾性付勢してあり、開口部下部成形用入子7の側面上部が入子嵌め込み用凹部15の上端よりも上方に突出し、桁連結部Gの側面下部は開口部下部成形用入子7の入子嵌め込み用凹部15の上端よりも上方に突出した側端面により形成される。付勢手段としては、ばね以外に油圧シリンダーやエアーシリンダーであってもよい。
【0033】
ここで、固定金型2の上面の開口部Hの下部を形成する箇所に入子嵌め込み用凹部15を設けて開口部下部成形用入子7の下部を上下移動自在に嵌め込んだ入子構造としたのは、固定金型2の形成時に入子嵌め込み用凹部15に開口部下部成形用入子7を摺動自在に組み込むので、入子嵌め込み用凹部15の側面と開口部下部成形用入子7の側面との間に隙間が生じないように精度よく上下移動自在に組み込むことができ、入子嵌め込み用凹部15の側面と開口部下部成形用入子7の側面との間に合成樹脂8が入り込んでバリが発生するという現象が生じないようにできるためである。
【0034】
図5乃至図7には上記図3、図4に示す固定金型2に対応する可動金型3の一実施形態が示してある。可動金型3は複数に分割してブロック化された分割金型部6を並設することで構成してある。ここで、上記リブ側桁連結部成形用入子5に対応する部分(桁連結部Gの上面の面状部Eを成形する部分)においても分割金型部6が複数並んでいる。なお、この桁連結部Gの上面の面状部Eを形成する部分に設けた分割金型部6には水抜き孔を形成するための突型部を設けてもよい。
【0035】
上記のように、可動金型3を複数に分割した分割金型部6を並設し構成したのは、サイズの異なるパレットJの下半体Iの上面側を形成する可動金型3を構成する場合、複数の分割金型部6の組み合わせを選択したり、複数の分割金型部6の一部を各種サイズの可動金型3を構成するための分割金型部6として兼用して使用することで、多サイズのものに容易に対応できるようにするためであり、更に、リブ側桁連結部成形用入子5に対応する部分においても複数の分割金型部6を並設することで、複数のサイズのリブ側桁連結部成形用入子5に対応する箇所においても、複数の分割金型部6の組み合わせを選択したり、複数の分割金型部6の一部を各種サイズの可動金型3を構成するための分割金型部6として兼用して使用することで対応できるようにするためである。
【0036】
また、開口部下部成形用入子7に対向する分割金型部6(以下、開口部上部成形用分割金型部6Aという)は、可動金型3を固定金型2側に移動することで下面が開口部下部成形用入子7の上面に面接触して面接触状態のまま上記ばね材16に抗して開口部下部成形用入子7を入子嵌め込み用凹部15内に押し込んで開口部Hの上部を形成するようになっている。
【0037】
図13(a)、図13(b)の実施形態では、上記開口部上部成形用分割金型部6Aは下面が開口部下部成形用入子7の上面よりも大きく、開口部上部成形用分割金型部6Aの下面を開口部下部成形用入子7の上面に面接触した状態で、開口部上部成形用分割金型部6Aの側端部が開口部下部成形用入子7の側面よりも側方に突出するように構成してあり、この開口部下部成形用入子7の側方に突出した部分である側方突出部9の側端面が桁連結部Gの側面上部を成形するようになっている。また、桁連結部Gの側面下部は開口部下部成形用入子7の側端面により形成されるようになっている。
【0038】
ここで、上記図13(a)に示す実施形態では、更に側方突出部9の少なくとも突出基部のキャビティ10に対向する面が開口部下部成形用入子7の上面に面接触する平坦面11と面一に連続した面12となっている。
【0039】
すなわち、側方突出部9の突出基部が平坦面11となっていないと、図13(c)の参考例のように、開口部下部成形用入子7の上面端部と開口部上部成形用分割金型部6Aの下面端部との隙間が形成されたり、あるいは、プレス時の熱膨張で図13(c)の参考例のようになって隙間が形成されたりするが、上記のように、側方突出部9の少なくとも突出基部のキャビティ10に対向する面が開口部下部成形用入子7の上面に面接触する平坦面11と面一に連続した面12とすることで、プレス時の熱膨張が生じても図13(c)のような隙間が形成されることを回避してこの部分にバリが発生しないようにすることができる。
【0040】
しかも、後述の図8のように可動金型3が固定金型2側に移動して合成樹脂8を押圧しながらプレス成形する際に、リブ側桁連結部成形用入子5に対応する分割金型部6の下面で押圧される合成樹脂8がリブ側桁連結部成形用入子5に対応する分割金型部6の下面に沿って開口部下部成形用入子7の上面と開口部上部成形用分割金型部6Aの下面が面接触している箇所に流れ込もうとするのを、側方突出部9を設けることで、プレスによる合成樹脂8の流れの向きを略下向きに変えることでができ、これによりプレス圧によって開口部上部成形用分割金型部6Aの下面が開口部下部成形用入子7の上面に面接触している箇所に流れ込まないようにできていっそうこの部分にバリが発生しないようにできる。この場合、リブ側桁連結部成形用入子5に対応する複数の分割金型部6のうち少なくとも開口部上部成形用分割金型部6Aに隣接する分割金型部6の下面の一部又は全部が開口部上部成形用分割金型部6A側程下となるような傾斜面18となっているとプレス圧による合成樹脂8の流れが傾斜面18に沿って開口部上部成形用分割金型部6Aの下面が開口部下部成形用入子7の上面に面接触している箇所に流れ込もうとするが、上記のように側方突出部9を設けることで、プレスによる合成樹脂8の流れの向きを略下向きに変えて上記面接触している箇所に流れ込まないようにできるのである。仮に、合成樹脂の流れが上向きでも、固定された開口部上部成形用分割金型部6Aのため、隙間もできないので、合成樹脂が流れ込んでバリになることがない。
【0041】
また、図13(a)、図13(b)に示す実施形態では、側方突出部9のキャビティ10に対向する面が、成形される桁連結部Gの上コーナ部が傾斜したコーナ部となるように成形するための傾斜面部分13となっている。該傾斜面部分13としては図13(a)(b)のように断面弧状となった傾斜面部だけでなく、断面直線状となった傾斜面部も含むものとする。
【0042】
これは桁連結部Gの上コーナ部が傾斜したコーナ部となるように成形するに当たって、図13(d)の参考図に示すように開口部上部成形用分割金型部6Aの隣に位置する分割金型部6に桁連結部Gの上コーナ部を傾斜するための傾斜面部分13’を形成した場合、この傾斜面部分13’を含む端部が開口部上部成形用分割金型部6Aよりも下方に突出して鋭角突出部19(ピン角となった部分)となり、可動金型3を移動して分割金型部6の鋭角突出部19の側面を開口部下部成形用入子7の側面に嵌め込む構造となるため、嵌め込みの際に上記ピン角となった鋭角突出部19が破損し易いが、上記のように側方突出部9のキャビティ10に対向する面を、成形される桁連結部Gの上コーナ部が傾斜したコーナ部となるように成形するための傾斜面部分13を形成することで、分割金型部6に鋭角に突出した部分(ピン角となった部分)が発生せず、分割金型部6が破損し難くなる。
【0043】
上記した固定金型2と可動金型3とよりなる本発明の金型装置1を用いて溶着タイプのパレットJにおける下半体Iを成形するには以下のようにして行なう。
【0044】
まず、図8(a)の矢印に示すように可動金型3を固定金型2側に移動して図8(b)のように可動金型3と固定金型2とでキャビティ10を形成する。この図8(b)の状態では可動金型3の開口部上部成形用分割金型部6Aの下面が開口部下部成形用入子7の上面に面接触して押圧している。この図8(b)の状態でキャビティ10内に合成樹脂8を射出する。次に、可動金型3を固定金型2側に移動して図8(c)のプレス完了位置まで合成樹脂8をプレスする。この場合、開口部下部成形用入子7は開口部上部成形用分割金型部6Aにより面接触状態で押圧されることでばね材16のばね力に抗して入子嵌め込み用凹部15内に後退していく。図8(c)のプレス完了により下半体Iが成形されるのであるが、この場合、開口部下部成形用入子7により開口部Hの下部が成形され、開口部上部成形用分割金型部6Aにより開口部Hの上部が成形される。つまり、開口部Hの内周面の下部(つまり桁連結部Gの開口部H側の側面の下部)が開口部下部成形用入子7の上部側面により成形され、開口部Hの内周面の上部(つまり桁連結部Gの開口部H側の側面の上部)が開口部上部成形用分割金型部6Aの下部側面により成形される。
【0045】
上記のように開口部下部成形用入子7が入子嵌め込み用凹部15内をスライドして後退しながらプレス成形するのであるが、すでに述べたように開口部下部成形用入子7が入子嵌め込み用凹部15の側面と開口部下部成形用入子7の側面との間に隙間が生じないように精度よく上下移動自在に組み込むことができるので、入子嵌め込み用凹部15の側面と開口部下部成形用入子7の側面との間に合成樹脂8が入り込んでバリが発生するという現象が生じない。また、開口部上部成形用分割金型部6Aの下面が開口部下部成形用入子7の上面をばね材16に抗して面接触状態で押圧しながらスライドして図 のプレス完了位置となるので、プレス中に、開口部上部成形用分割金型部6Aの下面が開口部下部成形用入子7の上面とは隙間無くぴったりと面接触した状態を維持し、両者の接触部分にも合成樹脂が入り込むことがなく、この部分にもバリが発生しない。
【0046】
なお、開口部Hを形成するに当たって、図13(e)、(f)のように分割金型部6の側面のみで形成することも考えられるが、図13(e)の参考例の場合、固定金型2に移動自在に設ける入子7’の位置が安定しないため破損したり、バリが発生したりし、また、図13(f)の参考例の場合、縦向きのバリが発生するため好ましくない。
【0047】
このように、本発明によれば、成形された下半体Iの開口部Hの周囲にはバリが発生せず、開口部Hの周囲のバリ除去の後作業を必要としない。
【0048】
また、すでに述べたように、図13(a)のように開口部上部成形用分割金型部6Aの側端部に側方突出部9を設け、この側方突出部9の少なくとも突出基部のキャビティ10に対向する面が開口部下部成形用入子7の上面に面接触する平坦面11と面一に連続した面12としたものにおいては、よりいっそうプレス圧により開口部下部成形用入子7の上面とこれに対向する分割金型部6との間に隙間が生じることがなく、バリが発生しないようにできる。
【0049】
また、図13(g)には本発明の他の実施形態が示してあり、開口部下部成形用入子7の上面端部と開口部上部成形用分割金型部6Aの下面端部が共に平行な傾斜面となっていて傾斜面同士が面接触している例である。
【0050】
ところで、パレットJとしては種々のサイズがあり、例えば、平面視で900mm×900mm、……950mm×1000mm、……1000mm×1100mm、……1200mm×900mm、1200mm×1000mm、1200mm×1100mm……等多種類のサイズがある。このため、下半体Iとしても、上記パレットJのサイズに対応して900mm×900mm、……950mm×1000mm、……1000mm×1100mm、……1200mm×900mm、1200mm×1000mm、1200mm×1100mm……等多種類のサイズがある。
【0051】
上記のように多種類のサイズの固定金型2、可動金型3を構成するに当たって、サイズが違うものにおいてその構成部材の一部を兼用する一例を図3乃至図7、図14乃至図18に基づいて説明する。
【0052】
図3、図4には1200mm×1100mmサイズの下半体Iを成形するため固定金型2を示し、図5乃至図7には1200mm×1100mmサイズの下半体Iを成形するため可動金型3を示している。
【0053】
また、図14、図15には1200mm×900mmサイズの下半体Iを成形するため固定金型2を示し、図16乃至図18には1200mm×900mmサイズの下半体Iを成形するため可動金型3を示している。
【0054】
ここで、図3、図4、図14、図15においてサイズの異なる固定金型2に取付けるリブ側桁連結部成形用入子5のうち、多数のドッドを施して描いたリブ側桁連結部成形用入子5は、1200mm×1100mmサイズの下半体Iを成形するため固定金型2と、1200mm×900mmサイズの下半体Iを成形するため固定金型2の双方に共通して取付ける入子として兼用している。他方、図3、図4、図14、図15において白抜きで描いたリブ側桁連結部成形用入子5は1200mm×1100mmサイズと、1200mm×900mmサイズとでは兼用していない。
【0055】
また、図5乃至図7、図16乃至図18においてサイズの異なる可動金型3を構成するに当たって、ブロック化された分割金型部6のうち、多数のドッドを施して描いた分割金型部6は、それぞれ1200mm×1100mmサイズの下半体Iを成形するため可動金型3、1200mm×900mmサイズの下半体Iを成形するため可動金型3の双方に共通して取付ける分割金型部6として兼用しており、他方、図5乃至図7、図16乃至図18において白抜きで描いた分割金型部6は1200mm×1100mmサイズと、1200mm×900mmサイズとでは兼用していない。
【0056】
なお、上記例では開口部下部成形用入子7としてはそれぞれサイズの違うものを使用している。もちろん、上記サイズ以外のもので開口部下部成形用入子7を兼用することもできる。
【0057】
このように、予め多種類のサイズの下半体Iの下面側を形成する固定金型2を構成するに当たって、サイズの異なる複数種類のリブ側桁連結部成形用入子5、サイズの異なる複数種類の開口部下部成形用入子7を用意し、この中から任意のリブ側桁連結部成形用入子5、開口部下部成形用入子7選択して各サイズ毎に形成した固定金型2の本体部2aの入子取付け用凹部14、入子嵌め込み用凹部15に取付けることで、目的とするサイズの固定金型2を構成することができ、この場合、一部のリブ側桁連結部成形用入子5、開口部下部成形用入子7を兼用することができるので、低コストで多種類のサイズの固定金型2を構成することができる。
【0058】
また、サイズの異なるブロック化された複数種類の分割金型部6を用意することで、この中からブロック化された複数の分割金型部6を選択して並設して種々のサイズの可動金型3を構成することができ、この場合、一部の分割金型部6を兼用することができるので、低コストで多種類のサイズの可動金型3を構成することができる。
【0059】
なお、上記実施形態においては、下半体Iの下面側を固定金型2により成形すると共に、下半体Iの上面側を可動金型3により成形する例を説明したが、下半体Iの上面側を固定金型2により成形すると共に、下半体Iの下面側を可動金型3により成形するものでもよく、この場合は上記説明において可動金型3を固定金型2に、固定金型2を可動金型3にそれぞれ置き換えたものとなる。
【0060】
なお、溶着タイプのパレットJの上半体Cを成形する金型装置としては、従来から公知の種々の構成の金型装置により成形することができる。
【0061】
また、上半体Cと下半体Iとを溶着するに当たっては従来から公知の種々の装置を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態の金型装置の図10のX−X線に対応する部分の断面図である。
【図2】同上の図10のY−Y線に対応する部分の断面図である。
【図3】同上の金型装置の固定金型の平面図である。
【図4】同上の固定金型の分解平面図である。
【図5】同上の金型装置の可動金型の平面図である。
【図6】同上の可動金型を構成するブロック化された分割金型部の分解平面図である。
【図7】同上の可動金型の下面図である。
【図8】(a)(b)(c)は同上の金型装置により下半体を成形する成形順序を示す説明図である。
【図9】同上の金型装置で成形した下半体の平面図である。
【図10】同上の金型装置で成形した下半体の下面図である。
【図11】(a)は同上の金型装置で成形した下半体の正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は図10のX−X線の断面図であり、(d)は図10のY−Y線の断面図である。
【図12】同上の金型装置で成形した下半体を用いて形成した溶着タイプのパレットを示し、(a)は平面図であり、(b)は下面図であり、(c)は正面図であり、(d)は側面図である。
【図13】(a)(b)(g)はそれぞれ同上の開口部を形成するための開口部下部成形用入子、分割金型部の各実施形態を示す断面図であり、(c)(d)(e)(f)はそれぞ参考例を示す断面図である。
【図14】本発明の異なるサイズの金型装置の固定金型の平面図である。
【図15】同上の固定金型の分解平面図である。
【図16】同上の金型装置の可動金型の平面図である。
【図17】同上の可動金型を構成するブロック化された分割金型部の分解平面図である。
【図18】同上の金型装置の下面図である。
【図19】(a)(b)(c)は従来の金型装置により下半体を成形する成形順序を示す説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1 金型装置
2 固定金型
3 可動金型
4 リブ成形用凹部
5 リブ側桁連結部成形用入子
6 分割金型部
7 開口部下部成形用入子
9 側方突出部
10 キャビティ
11 平坦面
12 面
13 傾斜面
A デッキ部
B 上桁部
C 上半体
D 下桁部
E 面状部
F リブ
G 桁連結部
H 開口部
I 下半体
J パレット
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットの下半体を成形するための金型装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から合成樹脂の上半体と合成樹脂の下半体とを溶着一体化することで構成した溶着タイプのパレットが知られている。
【0003】
この溶着タイプのパレットとしては2種類の溶着タイプのパレットが知られている。一種類(両面使用)の溶着タイプのパレットは、上面がべた面となった上デッキ部の下面部に複数の上桁部を一体に垂設した上半体と、下面がべた面となった下デッキ部の上面部に複数の下桁部を一体に突設した下半体とを、上半体の上桁部の下端部と下半体の下桁部の上端部とを溶着一体化することで構成されたものである。
【0004】
他の一種類(片面使用)の溶着タイプのパレットは、デッキ部の下面部に複数の上桁部を一体に垂設した上半体と、複数の下桁部の下部同士を上面が面状部となり且つ該面状部から下方に複数のリブを突設した桁連結部で一体に繋ぐと共に桁連結部と下桁部とで囲まれた部分に上下に開口する開口部を設けた下半体とが、上半体の上桁部の下端部と下半体の下桁部の上端部とを溶着一体化することで構成されたものである。
【0005】
上記、上下面にデッキ部がある溶着タイプのパレットは上下反転しても使用できるが、上下面がべた面となったデッキ部であるため、多くの樹脂量が必要で、コストが高くなると共に、重量も重くなるという問題がある。
【0006】
また、上記上面だけがデッキ部となった溶着タイプのパレットは、下半体の下桁部と、下桁部間を一体に繋ぐ桁連結部とに囲まれた部分が開口部となっていることで、樹脂量が少なくてコストが低く、また、軽量化が図れるという特徴を有している。
【0007】
上記の上下面にデッキ部がある溶着タイプのパレットの上半体、下半体をそれぞれ成形するための金型装置として、例えば特許文献1が知られている。この特許文献1にはデッキ面部の片面に複数の桁部を突設した上半体や下半体を形成するための金型として、各桁部を形成するための複数の桁部形成用金型部と、桁部を除くデッキ面部を形成するためのデッキ面部形成用金型部とを分割し、更に、各桁部形成用金型部を複数の桁部形成用分割型に分割すると共に桁部形成用分割型間に桁部用スペーサ金型部を配置してサイズの異なる桁部形成用金型部の構成が選択できるようにし、また、デッキ面部形成用金型部を複数の共通型と共通型間に選択的に配置されるスペーサ用型とで構成し、これによりサイズの異なる上半体、下半体を成形して、成形した上半体、下半体を溶着一体化することで溶着タイプのパレットを形成できるようにしたものである。
【0008】
このように従来から、デッキ部の片面に複数の桁部を突設する上半体や、下半体を種々のサイズに成形するための金型装置は従来から提案されている。
【0009】
しかしながら、複数の下桁部の下部同士を上面が面状部となり且つ該面状部から下方に複数のリブを突設した桁連結部で一体に繋ぐと共に桁連結部と下桁部とで囲まれた部分に上下に開口する開口部を設けた下半体を成形するには、従来は下半体のサイズ毎に、専用の固定金型、可動金型を用意し、この専用の固定金型、可動金型を用いて所定サイズの下半体を成形していた。
【0010】
図19にはその固定金型2、可動金型3よりなる金型装置の一例を示している。図19において、30は固定金型2に設けた上面が面状部Eとなり且つ下面に複数のリブFを突設した桁連結部Gの下面部側を成形するためのリブ側桁連結部成形部であり、31は可動金型3に設けた桁連結部Gの面状部Eとなった上面部側を成形するための面状部側桁連結部成形部であり、リブ側桁連結部成形部30が上面部に複数のリブ成形用凹部4を有する凸となり、面状部側桁連結部成形部31が凹となり、上記凸のリブ側桁連結部成形部30間に凹部33を形成し、上記面状部側桁連結部成形部31に開口部形成用凸部34が形成してある。そして、図19(a)のように、可動金型3を固定金型2側に移動して開口部形成用凸部34を凹部33に嵌め込み、図19(b)の状態で固定金型2と可動金型3との間に合成樹脂8を射出し、次に、図19(b)の状態から可動金型3を固定金型2側に移動して図19(c)のようにプレスすることで、下半体Iを成形するようになっている。この場合、開口部形成用凸部34が凹部33に嵌り込んだ状態でスライドして図19(c)の状態となり、この開口部形成用凸部34が凹部33に嵌り込んだ部分には合成樹脂8が充填されない開口部Hが形成される。
【0011】
このように、複数の下桁部Dの下部同士を上面が面状部Eとなり且つ該面状部Eから下方に複数のリブFを突設した桁連結部Gで一体に繋ぐと共に桁連結部Gと下桁部Dとで囲まれた部分に上下に開口する開口部Hを設けた下半体Iを成形するには、従来は下半体Iのサイズ毎に、専用の固定金型2、可動金型3を必要としていたので、金型コストが高くなるという問題があった。
【0012】
また、図19のような従来例においては、開口部Hを形成する箇所においては、可動金型3に設けた開口部形成用凸部34が固定金型2に設けた凹部33に嵌り込んでスライドする構造のため、可動金型3に設けた開口部形成用凸部34が固定金型2に設けた凹部33にスムーズに挿入可能とし、しかも、挿入状態で可動金型3の移動により抵抗なくスムーズにスライドするためには、可動金型3に設けた開口部形成用凸部34の側面と固定金型2に設けた凹部33の内側面との間に上記スムーズな挿入、スライドを許容するための一定の余裕のある隙間が必要であり、このため、可動金型3を移動してプレスすると、可動金型3に設けた開口部形成用凸部34の側面と固定金型2に設けた凹部33の内側面との間の隙間に合成樹脂8が入り込みバリになってしまうという問題があり、成形後のバリ取り作業が面倒となるという問題がある。
【特許文献1】特開平6−79757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、上面側はフォークが通過するため面状部となり且つ下面部は強度を必要とするために複数のリブが突出して下面側の形状が複雑となる桁連結部を有するパレットの下半体を、簡単な金型装置で成形することができると共に金型装置の製造が容易に行なえ、しかも、種々のサイズの異なるパレットの下半体の成形に当たって、一部の入子、分割金型部を兼用して使用することが可能となって、多サイズの下半体の成形に対して有利となり、しかも、開口部の周囲にバリが発生しないようにできる金型装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明に係る金型装置は、デッキ部Aの下面部に複数の上桁部Bを一体に垂設した上半体Cと、複数の下桁部Dの下部同士を上面が面状部Eとなり且つ該面状部Eから下方に複数のリブFを突設した桁連結部Gで一体に繋ぐと共に桁連結部Gと下桁部Dとで囲まれた部分に上下に開口する開口部Hを設けた下半体Iとが、上半体Cの上桁部Bの下端部と下半体Iの下桁部Dの上端部とを溶着一体化することで構成されるパレットJにおける下半体Iを成形するための金型装置1であって、該金型装置1を固定金型2と可動金型3とで構成し、固定金型2又は可動金型3のいずれか一方の金型の少なくとも一部を、桁連結部Gの複数のリブFが突設した下面側を成形するための複数のリブ成形用凹部4を有するリブ側桁連結部成形用入子5を取付けることで構成し、固定金型2又は可動金型3のいずれか他方の金型を複数に分割した分割金型部6を並設することで構成し、上記リブ側桁連結部成形用入子5に対応する部分においても分割金型部6を複数並べて構成してあることを特徴とするものである。
【0015】
下半体Iを成形するための固定金型2と可動金型3のうち下半体Iの下面側を成形するための金型において、桁連結部Gの下面部を成形する部分は最も強度を要求されるために複数のリブを成形する部分であって形状が複雑な部分であり、また、この部分は金型部に多数箇所(4方差しのパレットJの下半体Iの場合は12箇所)設けられる。このため、桁連結部Gの下面部を成形する部分を金型部と一体に加工すると、金型部の多数箇所にそれぞれ複雑な加工を施さねばならず、加工にコストと時間がかかるが、これに対し、本発明においては、この桁連結部Gの下面部を成形する部分をリブ側桁連結部成形用入子5として金型とは別途成形することで、加工コストの低下と加工時間の短縮が可能となる。また、同一寸法で、リブの本数や肉厚等を変更したリブ側桁連結部成形用入子5を交換することによって、軽量タイプ(リブの本数が少ない)や高強度タイプ(リブの本数が多い)のパレットJを成形できる。しかも、リブ側桁連結部成形用入子5が金型とは別体であるため、リブ側桁連結部成形用入子5を複数種類用意しておくことで、異なるサイズの下半体Iを成形する金型を構成する際に入子として組み込むことができ、また、一部の入子を異なるサイズの下半体Iを成形する金型を構成する際の入子として兼用することが可能となる。下半体Iは、直接地面に載置されるが、入子点数が少なく精度による不具合(段差)が生じ難く、パレットJのがたつき防止になる。また、段差は、パレットJをコンクリート上でひきずって、削れゴミの発生にも繋がるが、それをも抑制することになる。また、下半体Iを成形するための固定金型2と可動金型3のうち下半体Iの上面側を成形するための金型においては、上記のようにリブFを形成するための複雑な形状を必要としないので、比較的簡単な加工ですむ分割金型部6を複数並設して金型を構成でき、これによりサイズの異なる下半体Iの上面側を成形する金型を簡単に構成できる。しかも、リブ側桁連結部成形用入子5のサイズが異なるものの場合でも、リブ側桁連結部成形用入子5に対応する部分においても分割金型部6を複数並べて構成するので、サイズに応じて複数の分割金型部6の組み合わせを選択することで簡単に対応することができる。
【0016】
また、デッキ部Aの下面部に複数の上桁部Bを一体に垂設した上半体Cと、複数の下桁部Dの下部同士を上面が面状部Eとなり且つ該面状部Eから下方に複数のリブを突設した桁連結部Gで一体に繋ぐと共に桁連結部Gと下桁部Dとで囲まれた部分に上下に開口する開口部Hを設けた下半体Iとが、上半体Cの上桁部Bの下端部と下半体Iの下桁部Dの上端部とを溶着一体化することで構成されるパレットにおける下半体Iを成形するための金型装置1であって、該金型装置1を固定金型2と可動金型3とで構成し、固定金型2又は可動金型3のいずれか一方の金型の少なくとも一部を桁連結部Gの下面側を成形するための複数のリブ成形用凹部4を有するリブ側桁連結部成形用入子5を取付けると共に、開口部Hの下部を形成するための開口部下部成形用入子7を上方に弾性付勢した状態で上下移動自在に取付けることで構成し、固定金型2又は可動金型3のいずれか他方の金型を複数に分割した分割金型部6を並設することで構成し、上記リブ側桁連結部成形用入子5に対応する部分においても分割金型部6を複数並べて構成し、上記開口部下部成形用入子7に対応する分割金型部6が上記開口部下部成形用入子7の上面に面接触して開口部下部成形用入子7を押圧することで開口部Hの上部を形成するものであってもよい。
【0017】
このような構成とすることで、下半体Iを成形するための固定金型2と可動金型3のうち下半体Iの下面側を成形するための金型において、桁連結部Gの下面部を成形する部分は最も強度を要求されるために複数のリブを成形する部分であって形状が複雑な部分であり、また、この部分は金型部に多数箇所(4方差しのパレットJの下半体Iの場合は12箇所)設けられる。このため、桁連結部Gの下面部を成形する部分を金型部と一体に加工すると、金型の加工にコストと時間がかかるが、これに対し、本発明においては、この桁連結部Gの下面部を成形する部分をリブ側桁連結部成形用入子5として金型とは別途成形することで、加工コストの低下と加工時間の短縮が可能となる。しかも、リブ側桁連結部成形用入子5が金型とは別体であるため、リブ側桁連結部成形用入子5を複数種類用意しておくことで、異なるサイズの下半体Iを成形する金型を構成する際に入子として組み込むことができ、また、一部の入子を異なるサイズの下半体Iを成形する金型を構成する際の入子として兼用することが可能となる。また、開口部下部成形用入子7に対応する分割金型部6が上記開口部下部成形用入子7の上面に面接触して開口部下部成形用入子7を押圧することで開口部Hの上部を形成するものであるから、開口部Hの周囲にバリの発生がないように成形できる。また、下半体Iを成形するための固定金型2と可動金型3のうち下半体Iの上面側を成形するための金型においては、上記のようにリブFを形成するための複雑な形状を必要としないので、比較的簡単な加工ですむ分割金型部6を複数並設して金型を構成でき、これによりサイズの異なる下半体Iの上面側を成形する金型を簡単に構成できる。しかも、リブ側桁連結部成形用入子5のサイズが異なるものの場合でも、リブ側桁連結部成形用入子5に対応する部分においても分割金型部6を複数並べて構成するので、サイズに応じて複数の分割金型部6の組み合わせを選択することで簡単に対応することができる。
【0018】
また、開口部下部成形用入子7の上面に面接触して開口部下部成形用入子7を押圧することで開口部Hの上部を成形するための分割金型部6の端部が開口部下部成形用入子7の側面よりも側方に突出して側方突出部9となり、該側方突出部9の側端面が桁連結部Gの側面上部を成形するものであり、該側方突出部9の少なくとも突出基部のキャビティ10に対向する面が開口部下部成形用入子7の上面に面接触する平坦面11と面一に連続した面12となっていることが好ましい。
【0019】
このような構成とすることで、プレス圧により開口部下部成形用入子7の上面とこれに対向する分割金型部6との間に隙間が生じることがなく、バリが発生しないようにできる。
【0020】
また、開口部下部成形用入子7の上面に面接触して開口部下部成形用入子7を押圧することで開口部Hの上部を成形するための分割金型部6の端部が開口部下部成形用入子7の側面よりも側方に突出して側方突出部9となり、該側方突出部9の側端面が桁連結部Gの側面上部を成形するものであり、該側方突出部9のキャビティ10に対向する面が、成形される桁連結部Gの上コーナ部が傾斜したコーナ部となるように成形するための傾斜面部分13となっていることが好ましい。
【0021】
このような構成とすることで、桁連結部Gの上コーナ部を傾斜するように成形するに当たり、分割金型部6に鋭角に突出した部分(ピン角となった部分)が発生せず、分割金型部6が破損し難くなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、上面側はフォークが通過するため面状部となり且つ下面部は強度を必要とするために複数のリブが突出して下面側の形状が複雑となる桁連結部を有するパレットの下半体を成形するための金型装置を、低コストで簡単に構成できる。また、種々のサイズの異なるパレットの下半体の成形に当たって一部の入子、分割金型を兼用して使用することが可能となって、多サイズの成形に対して有利となり、しかも、開口部の周囲にバリが発生しないようにできる金型装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0024】
図12には合成樹脂製の溶着タイプのパレットJが示してあり、図12の溶着タイプのパレットJは、デッキ部Aの下面部に複数の上桁部Bを一体に垂設した合成樹脂製の上半体Cと、複数の下桁部Dの下部同士を上面が面状部Eとなり且つ該面状部Eから下方に複数のリブFを突設した桁連結部Gで一体に繋ぐと共に桁連結部Gと下桁部Dとで囲まれた部分に上下に開口する開口部Hを設けた合成樹脂製の下半体Iとが、上半体Cの上桁部Bの下端部と下半体Iの下桁部Dの上端部とを溶着一体化することで構成してあり、上桁部Bと下桁部Dを溶着一体化して構成した桁部と桁部との間がフォーク挿入部Kとなっている。
【0025】
本発明の金型装置1は上記の溶着タイプのパレットJにおける下半体Iを成形するためのものである。図9乃至図11には下半体Iの一実施形態が示してある。この図9乃至図11に示す下半体Iは1200mm×1100mmサイズのパレットJを形成するための下半体Iが示してあり、このため、図11の下半体Iは1200mm×1100mmサイズの例が示してある。
【0026】
上記した下半体Iを成形するための金型装置1は、固定金型2と可動金型3とで構成してある。
【0027】
固定金型2又は可動金型3のうち一方が下半体Iの下面側を成形するための金型であり、他方が下半体Iの上面側を成形するための金型であり、可動金型3と固定金型2との対向面にキャビティ10が形成される。ここで、合成樹脂8をキャビティ内に射出後に可動金型3を移動して合成樹脂8をプレスするプレス成形するものでも、あるいは、可動金型3と固定金型2とを型締めした後にキャビティ10内に合成樹脂8を射出成形するものでもよい。また、下半体Iの下面側を固定金型2で形成し、上面側を可動金型3で形成してもよく、また、下半体Iの上面側を固定金型2で形成し、下面側を可動金型3で形成してもよい。
【0028】
添付図面に示す実施形態ではプレス成形する例で説明する。また、下半体Iの下面側を固定金型2で成形すると共に上面側を可動金型3で成形する例で説明する。説明の都合上、以下の説明では、固定金型2側を下、可動金型3側を上と定義し、また、可動金型3の移動方向を上下方向と定義して説明するが、必ずしも固定金型2側が下、可動金型3側が上となるように配置されるもののみに限定されず、固定金型2側が上、可動金型3側が下となるように配置したり、あるいは、固定金型2、可動金型3を左右に配置して可動金型3を左右方向に移動するようにしたものであってもよい。
【0029】
図3、図4には固定金型2の一例が示してあり、固定金型2の上面のキャビティ10の内面となる面のうち少なくとも一部は、下半体Iの桁連結部Gの下面側を成形するためのリブ側桁連結部成形用入子5と、開口部Hの下部を形成するための開口部下部成形用入子7とを固定金型2の上面に取付けることで構成してある。
【0030】
すなわち、固定金型2の上面の桁連結部Gの下面側を成形する箇所(図11の実施形態では4方差しのパレットJの下半体Iを成形するものであるから桁連結部Gは12箇所)には入子取付け用凹部14が設けてあり、各入子取付け用凹部14にはリブ側桁連結部成形用入子5が着脱自在に嵌め込んであってボルトにより取付けてある。リブ側桁連結部成形用入子5の上面部には成形するための複数のリブFが突設した桁連結部Gの下面側を成形するための複数のリブ成形用凹部4が形成してある。
【0031】
ここで、固定金型2の上面の桁連結部Gの下面側を成形する箇所にリブ側桁連結部成形用入子5を取付けて構成する入子構造としたのは、下半体Iの下面側においては、桁連結部Gの下面側が補強用の複数のリブFが突設されるため最も複雑な形状をしていて金型の加工が最も複雑となる箇所であり、しかも、この複雑となる箇所が一つの固定金型2の上面の複数箇所(4方差しの場合は12箇所)に加工して形成する必要があるので、一つの固定金型2の複数箇所に加工するよりも、固定金型2としては複雑な加工をする必要がない本体部2aと、複雑な加工を必要とするリブ側桁連結部成形用入子5とに分けることで、加工を容易に且つ低コストでおこない、また、同一寸法で、リブの本数や肉厚等を変更したリブ側桁連結部成形用入子5を交換することによって、軽量タイプ(リブの本数が少ない)や高強度タイプ(リブの本数が多い)のパレットJを成形できる。また、複雑な加工を必要とするリブ側桁連結部成形用入子5を複数サイズ用意することで、サイズの異なるパレットJの下半体Iを形成する場合に、任意のサイズのリブ側桁連結部成形用入子5を選択して使用できるようにすると共に、一部のリブ側桁連結部成形用入子5を複数サイズのパレットJの下半体Iを形成する場合に兼用して使用することが可能となる。下半体Iは、直接地面に載置されるが、入子点数が少なく精度による不具合(段差)が生じ難く、パレットJのがたつき防止になる。また、段差は、パレットJをコンクリート上でひきずって、削れゴミの発生にも繋がるが、それをも抑制することになる。リブ側桁連結部成形用入子5には、水抜き孔を形成するための突型部を設けてもよい。
【0032】
また、固定金型2の上面の開口部Hの下部を成形する箇所(図3、図4の実施形態では4方差しのパレットJの下半体Iを成形するものであるから開口部Hは4箇所)には入子嵌め込み用凹部15が設けてあり、各入子嵌め込み用凹部15には開口部Hの下部を形成するための開口部下部成形用入子7の下部を上下移動自在に嵌め込んで取付けてあり、入子嵌め込み用凹部15の底部と開口部下部成形用入子7の下面部との間にはばね材16が介装してあって開口部下部成形用入子7を上方に弾性付勢してあり、開口部下部成形用入子7の側面上部が入子嵌め込み用凹部15の上端よりも上方に突出し、桁連結部Gの側面下部は開口部下部成形用入子7の入子嵌め込み用凹部15の上端よりも上方に突出した側端面により形成される。付勢手段としては、ばね以外に油圧シリンダーやエアーシリンダーであってもよい。
【0033】
ここで、固定金型2の上面の開口部Hの下部を形成する箇所に入子嵌め込み用凹部15を設けて開口部下部成形用入子7の下部を上下移動自在に嵌め込んだ入子構造としたのは、固定金型2の形成時に入子嵌め込み用凹部15に開口部下部成形用入子7を摺動自在に組み込むので、入子嵌め込み用凹部15の側面と開口部下部成形用入子7の側面との間に隙間が生じないように精度よく上下移動自在に組み込むことができ、入子嵌め込み用凹部15の側面と開口部下部成形用入子7の側面との間に合成樹脂8が入り込んでバリが発生するという現象が生じないようにできるためである。
【0034】
図5乃至図7には上記図3、図4に示す固定金型2に対応する可動金型3の一実施形態が示してある。可動金型3は複数に分割してブロック化された分割金型部6を並設することで構成してある。ここで、上記リブ側桁連結部成形用入子5に対応する部分(桁連結部Gの上面の面状部Eを成形する部分)においても分割金型部6が複数並んでいる。なお、この桁連結部Gの上面の面状部Eを形成する部分に設けた分割金型部6には水抜き孔を形成するための突型部を設けてもよい。
【0035】
上記のように、可動金型3を複数に分割した分割金型部6を並設し構成したのは、サイズの異なるパレットJの下半体Iの上面側を形成する可動金型3を構成する場合、複数の分割金型部6の組み合わせを選択したり、複数の分割金型部6の一部を各種サイズの可動金型3を構成するための分割金型部6として兼用して使用することで、多サイズのものに容易に対応できるようにするためであり、更に、リブ側桁連結部成形用入子5に対応する部分においても複数の分割金型部6を並設することで、複数のサイズのリブ側桁連結部成形用入子5に対応する箇所においても、複数の分割金型部6の組み合わせを選択したり、複数の分割金型部6の一部を各種サイズの可動金型3を構成するための分割金型部6として兼用して使用することで対応できるようにするためである。
【0036】
また、開口部下部成形用入子7に対向する分割金型部6(以下、開口部上部成形用分割金型部6Aという)は、可動金型3を固定金型2側に移動することで下面が開口部下部成形用入子7の上面に面接触して面接触状態のまま上記ばね材16に抗して開口部下部成形用入子7を入子嵌め込み用凹部15内に押し込んで開口部Hの上部を形成するようになっている。
【0037】
図13(a)、図13(b)の実施形態では、上記開口部上部成形用分割金型部6Aは下面が開口部下部成形用入子7の上面よりも大きく、開口部上部成形用分割金型部6Aの下面を開口部下部成形用入子7の上面に面接触した状態で、開口部上部成形用分割金型部6Aの側端部が開口部下部成形用入子7の側面よりも側方に突出するように構成してあり、この開口部下部成形用入子7の側方に突出した部分である側方突出部9の側端面が桁連結部Gの側面上部を成形するようになっている。また、桁連結部Gの側面下部は開口部下部成形用入子7の側端面により形成されるようになっている。
【0038】
ここで、上記図13(a)に示す実施形態では、更に側方突出部9の少なくとも突出基部のキャビティ10に対向する面が開口部下部成形用入子7の上面に面接触する平坦面11と面一に連続した面12となっている。
【0039】
すなわち、側方突出部9の突出基部が平坦面11となっていないと、図13(c)の参考例のように、開口部下部成形用入子7の上面端部と開口部上部成形用分割金型部6Aの下面端部との隙間が形成されたり、あるいは、プレス時の熱膨張で図13(c)の参考例のようになって隙間が形成されたりするが、上記のように、側方突出部9の少なくとも突出基部のキャビティ10に対向する面が開口部下部成形用入子7の上面に面接触する平坦面11と面一に連続した面12とすることで、プレス時の熱膨張が生じても図13(c)のような隙間が形成されることを回避してこの部分にバリが発生しないようにすることができる。
【0040】
しかも、後述の図8のように可動金型3が固定金型2側に移動して合成樹脂8を押圧しながらプレス成形する際に、リブ側桁連結部成形用入子5に対応する分割金型部6の下面で押圧される合成樹脂8がリブ側桁連結部成形用入子5に対応する分割金型部6の下面に沿って開口部下部成形用入子7の上面と開口部上部成形用分割金型部6Aの下面が面接触している箇所に流れ込もうとするのを、側方突出部9を設けることで、プレスによる合成樹脂8の流れの向きを略下向きに変えることでができ、これによりプレス圧によって開口部上部成形用分割金型部6Aの下面が開口部下部成形用入子7の上面に面接触している箇所に流れ込まないようにできていっそうこの部分にバリが発生しないようにできる。この場合、リブ側桁連結部成形用入子5に対応する複数の分割金型部6のうち少なくとも開口部上部成形用分割金型部6Aに隣接する分割金型部6の下面の一部又は全部が開口部上部成形用分割金型部6A側程下となるような傾斜面18となっているとプレス圧による合成樹脂8の流れが傾斜面18に沿って開口部上部成形用分割金型部6Aの下面が開口部下部成形用入子7の上面に面接触している箇所に流れ込もうとするが、上記のように側方突出部9を設けることで、プレスによる合成樹脂8の流れの向きを略下向きに変えて上記面接触している箇所に流れ込まないようにできるのである。仮に、合成樹脂の流れが上向きでも、固定された開口部上部成形用分割金型部6Aのため、隙間もできないので、合成樹脂が流れ込んでバリになることがない。
【0041】
また、図13(a)、図13(b)に示す実施形態では、側方突出部9のキャビティ10に対向する面が、成形される桁連結部Gの上コーナ部が傾斜したコーナ部となるように成形するための傾斜面部分13となっている。該傾斜面部分13としては図13(a)(b)のように断面弧状となった傾斜面部だけでなく、断面直線状となった傾斜面部も含むものとする。
【0042】
これは桁連結部Gの上コーナ部が傾斜したコーナ部となるように成形するに当たって、図13(d)の参考図に示すように開口部上部成形用分割金型部6Aの隣に位置する分割金型部6に桁連結部Gの上コーナ部を傾斜するための傾斜面部分13’を形成した場合、この傾斜面部分13’を含む端部が開口部上部成形用分割金型部6Aよりも下方に突出して鋭角突出部19(ピン角となった部分)となり、可動金型3を移動して分割金型部6の鋭角突出部19の側面を開口部下部成形用入子7の側面に嵌め込む構造となるため、嵌め込みの際に上記ピン角となった鋭角突出部19が破損し易いが、上記のように側方突出部9のキャビティ10に対向する面を、成形される桁連結部Gの上コーナ部が傾斜したコーナ部となるように成形するための傾斜面部分13を形成することで、分割金型部6に鋭角に突出した部分(ピン角となった部分)が発生せず、分割金型部6が破損し難くなる。
【0043】
上記した固定金型2と可動金型3とよりなる本発明の金型装置1を用いて溶着タイプのパレットJにおける下半体Iを成形するには以下のようにして行なう。
【0044】
まず、図8(a)の矢印に示すように可動金型3を固定金型2側に移動して図8(b)のように可動金型3と固定金型2とでキャビティ10を形成する。この図8(b)の状態では可動金型3の開口部上部成形用分割金型部6Aの下面が開口部下部成形用入子7の上面に面接触して押圧している。この図8(b)の状態でキャビティ10内に合成樹脂8を射出する。次に、可動金型3を固定金型2側に移動して図8(c)のプレス完了位置まで合成樹脂8をプレスする。この場合、開口部下部成形用入子7は開口部上部成形用分割金型部6Aにより面接触状態で押圧されることでばね材16のばね力に抗して入子嵌め込み用凹部15内に後退していく。図8(c)のプレス完了により下半体Iが成形されるのであるが、この場合、開口部下部成形用入子7により開口部Hの下部が成形され、開口部上部成形用分割金型部6Aにより開口部Hの上部が成形される。つまり、開口部Hの内周面の下部(つまり桁連結部Gの開口部H側の側面の下部)が開口部下部成形用入子7の上部側面により成形され、開口部Hの内周面の上部(つまり桁連結部Gの開口部H側の側面の上部)が開口部上部成形用分割金型部6Aの下部側面により成形される。
【0045】
上記のように開口部下部成形用入子7が入子嵌め込み用凹部15内をスライドして後退しながらプレス成形するのであるが、すでに述べたように開口部下部成形用入子7が入子嵌め込み用凹部15の側面と開口部下部成形用入子7の側面との間に隙間が生じないように精度よく上下移動自在に組み込むことができるので、入子嵌め込み用凹部15の側面と開口部下部成形用入子7の側面との間に合成樹脂8が入り込んでバリが発生するという現象が生じない。また、開口部上部成形用分割金型部6Aの下面が開口部下部成形用入子7の上面をばね材16に抗して面接触状態で押圧しながらスライドして図 のプレス完了位置となるので、プレス中に、開口部上部成形用分割金型部6Aの下面が開口部下部成形用入子7の上面とは隙間無くぴったりと面接触した状態を維持し、両者の接触部分にも合成樹脂が入り込むことがなく、この部分にもバリが発生しない。
【0046】
なお、開口部Hを形成するに当たって、図13(e)、(f)のように分割金型部6の側面のみで形成することも考えられるが、図13(e)の参考例の場合、固定金型2に移動自在に設ける入子7’の位置が安定しないため破損したり、バリが発生したりし、また、図13(f)の参考例の場合、縦向きのバリが発生するため好ましくない。
【0047】
このように、本発明によれば、成形された下半体Iの開口部Hの周囲にはバリが発生せず、開口部Hの周囲のバリ除去の後作業を必要としない。
【0048】
また、すでに述べたように、図13(a)のように開口部上部成形用分割金型部6Aの側端部に側方突出部9を設け、この側方突出部9の少なくとも突出基部のキャビティ10に対向する面が開口部下部成形用入子7の上面に面接触する平坦面11と面一に連続した面12としたものにおいては、よりいっそうプレス圧により開口部下部成形用入子7の上面とこれに対向する分割金型部6との間に隙間が生じることがなく、バリが発生しないようにできる。
【0049】
また、図13(g)には本発明の他の実施形態が示してあり、開口部下部成形用入子7の上面端部と開口部上部成形用分割金型部6Aの下面端部が共に平行な傾斜面となっていて傾斜面同士が面接触している例である。
【0050】
ところで、パレットJとしては種々のサイズがあり、例えば、平面視で900mm×900mm、……950mm×1000mm、……1000mm×1100mm、……1200mm×900mm、1200mm×1000mm、1200mm×1100mm……等多種類のサイズがある。このため、下半体Iとしても、上記パレットJのサイズに対応して900mm×900mm、……950mm×1000mm、……1000mm×1100mm、……1200mm×900mm、1200mm×1000mm、1200mm×1100mm……等多種類のサイズがある。
【0051】
上記のように多種類のサイズの固定金型2、可動金型3を構成するに当たって、サイズが違うものにおいてその構成部材の一部を兼用する一例を図3乃至図7、図14乃至図18に基づいて説明する。
【0052】
図3、図4には1200mm×1100mmサイズの下半体Iを成形するため固定金型2を示し、図5乃至図7には1200mm×1100mmサイズの下半体Iを成形するため可動金型3を示している。
【0053】
また、図14、図15には1200mm×900mmサイズの下半体Iを成形するため固定金型2を示し、図16乃至図18には1200mm×900mmサイズの下半体Iを成形するため可動金型3を示している。
【0054】
ここで、図3、図4、図14、図15においてサイズの異なる固定金型2に取付けるリブ側桁連結部成形用入子5のうち、多数のドッドを施して描いたリブ側桁連結部成形用入子5は、1200mm×1100mmサイズの下半体Iを成形するため固定金型2と、1200mm×900mmサイズの下半体Iを成形するため固定金型2の双方に共通して取付ける入子として兼用している。他方、図3、図4、図14、図15において白抜きで描いたリブ側桁連結部成形用入子5は1200mm×1100mmサイズと、1200mm×900mmサイズとでは兼用していない。
【0055】
また、図5乃至図7、図16乃至図18においてサイズの異なる可動金型3を構成するに当たって、ブロック化された分割金型部6のうち、多数のドッドを施して描いた分割金型部6は、それぞれ1200mm×1100mmサイズの下半体Iを成形するため可動金型3、1200mm×900mmサイズの下半体Iを成形するため可動金型3の双方に共通して取付ける分割金型部6として兼用しており、他方、図5乃至図7、図16乃至図18において白抜きで描いた分割金型部6は1200mm×1100mmサイズと、1200mm×900mmサイズとでは兼用していない。
【0056】
なお、上記例では開口部下部成形用入子7としてはそれぞれサイズの違うものを使用している。もちろん、上記サイズ以外のもので開口部下部成形用入子7を兼用することもできる。
【0057】
このように、予め多種類のサイズの下半体Iの下面側を形成する固定金型2を構成するに当たって、サイズの異なる複数種類のリブ側桁連結部成形用入子5、サイズの異なる複数種類の開口部下部成形用入子7を用意し、この中から任意のリブ側桁連結部成形用入子5、開口部下部成形用入子7選択して各サイズ毎に形成した固定金型2の本体部2aの入子取付け用凹部14、入子嵌め込み用凹部15に取付けることで、目的とするサイズの固定金型2を構成することができ、この場合、一部のリブ側桁連結部成形用入子5、開口部下部成形用入子7を兼用することができるので、低コストで多種類のサイズの固定金型2を構成することができる。
【0058】
また、サイズの異なるブロック化された複数種類の分割金型部6を用意することで、この中からブロック化された複数の分割金型部6を選択して並設して種々のサイズの可動金型3を構成することができ、この場合、一部の分割金型部6を兼用することができるので、低コストで多種類のサイズの可動金型3を構成することができる。
【0059】
なお、上記実施形態においては、下半体Iの下面側を固定金型2により成形すると共に、下半体Iの上面側を可動金型3により成形する例を説明したが、下半体Iの上面側を固定金型2により成形すると共に、下半体Iの下面側を可動金型3により成形するものでもよく、この場合は上記説明において可動金型3を固定金型2に、固定金型2を可動金型3にそれぞれ置き換えたものとなる。
【0060】
なお、溶着タイプのパレットJの上半体Cを成形する金型装置としては、従来から公知の種々の構成の金型装置により成形することができる。
【0061】
また、上半体Cと下半体Iとを溶着するに当たっては従来から公知の種々の装置を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態の金型装置の図10のX−X線に対応する部分の断面図である。
【図2】同上の図10のY−Y線に対応する部分の断面図である。
【図3】同上の金型装置の固定金型の平面図である。
【図4】同上の固定金型の分解平面図である。
【図5】同上の金型装置の可動金型の平面図である。
【図6】同上の可動金型を構成するブロック化された分割金型部の分解平面図である。
【図7】同上の可動金型の下面図である。
【図8】(a)(b)(c)は同上の金型装置により下半体を成形する成形順序を示す説明図である。
【図9】同上の金型装置で成形した下半体の平面図である。
【図10】同上の金型装置で成形した下半体の下面図である。
【図11】(a)は同上の金型装置で成形した下半体の正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は図10のX−X線の断面図であり、(d)は図10のY−Y線の断面図である。
【図12】同上の金型装置で成形した下半体を用いて形成した溶着タイプのパレットを示し、(a)は平面図であり、(b)は下面図であり、(c)は正面図であり、(d)は側面図である。
【図13】(a)(b)(g)はそれぞれ同上の開口部を形成するための開口部下部成形用入子、分割金型部の各実施形態を示す断面図であり、(c)(d)(e)(f)はそれぞ参考例を示す断面図である。
【図14】本発明の異なるサイズの金型装置の固定金型の平面図である。
【図15】同上の固定金型の分解平面図である。
【図16】同上の金型装置の可動金型の平面図である。
【図17】同上の可動金型を構成するブロック化された分割金型部の分解平面図である。
【図18】同上の金型装置の下面図である。
【図19】(a)(b)(c)は従来の金型装置により下半体を成形する成形順序を示す説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1 金型装置
2 固定金型
3 可動金型
4 リブ成形用凹部
5 リブ側桁連結部成形用入子
6 分割金型部
7 開口部下部成形用入子
9 側方突出部
10 キャビティ
11 平坦面
12 面
13 傾斜面
A デッキ部
B 上桁部
C 上半体
D 下桁部
E 面状部
F リブ
G 桁連結部
H 開口部
I 下半体
J パレット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキ部の下面部に複数の上桁部を一体に垂設した上半体と、複数の下桁部の下部同士を上面が面状部となり且つ該面状部から下方に複数のリブを突設した桁連結部で一体に繋ぐと共に桁連結部と下桁部とで囲まれた部分に上下に開口する開口部を設けた下半体とが、上半体の上桁部の下端部と下半体の下桁部の上端部とを溶着一体化することで構成されるパレットにおける下半体を成形するための金型装置であって、
該金型装置を固定金型と可動金型とで構成し、固定金型又は可動金型のいずれか一方の金型の少なくとも一部を、桁連結部の複数のリブが突設した下面側を成形するための複数のリブ成形用凹部を有するリブ側桁連結部成形用入子を取付けることで構成し、固定金型又は可動金型のいずれか他方の金型を複数に分割した分割金型部を並設することで構成し、上記リブ側桁連結部成形用入子に対応する部分においても分割金型部を複数並べて構成してあることを特徴とする金型装置。
【請求項2】
デッキ部の下面部に複数の上桁部を一体に垂設した上半体と、複数の下桁部の下部同士を上面が面状部となり且つ該面状部から下方に複数のリブを突設した桁連結部で一体に繋ぐと共に桁連結部と下桁部とで囲まれた部分に上下に開口する開口部を設けた下半体とが、上半体の上桁部の下端部と下半体の下桁部の上端部とを溶着一体化することで構成されるパレットにおける下半体を成形するための金型装置であって、
該金型装置を固定金型と可動金型とで構成し、固定金型又は可動金型のいずれか一方の金型の少なくとも一部を、桁連結部の複数のリブが突設した下面側を成形するための複数のリブ成形用凹部を有するリブ側桁連結部成形用入子を取付けると共に、開口部の下部を形成するための開口部下部成形用入子を上方に弾性付勢した状態で上下移動自在に取付けることで構成し、固定金型又は可動金型のいずれか他方の金型を複数に分割した分割金型部を並設することで構成し、上記リブ側桁連結部成形用入子に対応する部分においても分割金型部を複数並べて構成し、上記開口部下部成形用入子に対応する分割金型部が上記開口部下部成形用入子の上面に面接触して開口部下部成形用入子を押圧することで開口部の上部を形成するものであることを特徴とする金型装置。
【請求項3】
開口部下部成形用入子の上面に面接触して開口部下部成形用入子を押圧することで開口部の上部を成形するための分割金型部の端部が開口部下部成形用入子の側面よりも側方に突出して側方突出部となり、該側方突出部の側端面が桁連結部の側面上部を成形するものであり、該側方突出部の少なくとも突出基部のキャビティに対向する面が開口部下部成形用入子の上面に面接触する平坦面と面一に連続した面となっていることを特徴とする請求項2記載の金型装置。
【請求項4】
開口部下部成形用入子の上面に面接触して開口部下部成形用入子を押圧することで開口部の上部を成形するための分割金型部の端部が開口部下部成形用入子の側面よりも側方に突出して側方突出部となり、該側方突出部の側端面が桁連結部の側面上部を成形するものであり、該側方突出部のキャビティに対向する面が、成形される桁連結部の上コーナ部が傾斜したコーナ部となるように成形するための傾斜面となっていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の金型装置。
【請求項1】
デッキ部の下面部に複数の上桁部を一体に垂設した上半体と、複数の下桁部の下部同士を上面が面状部となり且つ該面状部から下方に複数のリブを突設した桁連結部で一体に繋ぐと共に桁連結部と下桁部とで囲まれた部分に上下に開口する開口部を設けた下半体とが、上半体の上桁部の下端部と下半体の下桁部の上端部とを溶着一体化することで構成されるパレットにおける下半体を成形するための金型装置であって、
該金型装置を固定金型と可動金型とで構成し、固定金型又は可動金型のいずれか一方の金型の少なくとも一部を、桁連結部の複数のリブが突設した下面側を成形するための複数のリブ成形用凹部を有するリブ側桁連結部成形用入子を取付けることで構成し、固定金型又は可動金型のいずれか他方の金型を複数に分割した分割金型部を並設することで構成し、上記リブ側桁連結部成形用入子に対応する部分においても分割金型部を複数並べて構成してあることを特徴とする金型装置。
【請求項2】
デッキ部の下面部に複数の上桁部を一体に垂設した上半体と、複数の下桁部の下部同士を上面が面状部となり且つ該面状部から下方に複数のリブを突設した桁連結部で一体に繋ぐと共に桁連結部と下桁部とで囲まれた部分に上下に開口する開口部を設けた下半体とが、上半体の上桁部の下端部と下半体の下桁部の上端部とを溶着一体化することで構成されるパレットにおける下半体を成形するための金型装置であって、
該金型装置を固定金型と可動金型とで構成し、固定金型又は可動金型のいずれか一方の金型の少なくとも一部を、桁連結部の複数のリブが突設した下面側を成形するための複数のリブ成形用凹部を有するリブ側桁連結部成形用入子を取付けると共に、開口部の下部を形成するための開口部下部成形用入子を上方に弾性付勢した状態で上下移動自在に取付けることで構成し、固定金型又は可動金型のいずれか他方の金型を複数に分割した分割金型部を並設することで構成し、上記リブ側桁連結部成形用入子に対応する部分においても分割金型部を複数並べて構成し、上記開口部下部成形用入子に対応する分割金型部が上記開口部下部成形用入子の上面に面接触して開口部下部成形用入子を押圧することで開口部の上部を形成するものであることを特徴とする金型装置。
【請求項3】
開口部下部成形用入子の上面に面接触して開口部下部成形用入子を押圧することで開口部の上部を成形するための分割金型部の端部が開口部下部成形用入子の側面よりも側方に突出して側方突出部となり、該側方突出部の側端面が桁連結部の側面上部を成形するものであり、該側方突出部の少なくとも突出基部のキャビティに対向する面が開口部下部成形用入子の上面に面接触する平坦面と面一に連続した面となっていることを特徴とする請求項2記載の金型装置。
【請求項4】
開口部下部成形用入子の上面に面接触して開口部下部成形用入子を押圧することで開口部の上部を成形するための分割金型部の端部が開口部下部成形用入子の側面よりも側方に突出して側方突出部となり、該側方突出部の側端面が桁連結部の側面上部を成形するものであり、該側方突出部のキャビティに対向する面が、成形される桁連結部の上コーナ部が傾斜したコーナ部となるように成形するための傾斜面となっていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の金型装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−160894(P2007−160894A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−363906(P2005−363906)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】
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