説明

釣り用リールの水深表示装置

【課題】バックライトを配置しても、水深表示装置の小型化を図れるようにすることにある。
【解決手段】カウンタケース4は、仕掛けの水深を表示する装置であって、ケース部材19と、回路基板20と、液晶表示装置30と、バックライト23と、を備えている。ケース部材は、リール本体1に装着される。回路基板は、ケース部材の内部に固定される。液晶表示装置は、背面が回路基板に対向して配置される。バックライトは、発光素子33と、導光板28と、を有する。発光素子は、回路基板の背面と対向する上面に装着され、上面と交差する方向に光を出射する。導光板は、発光素子に対向して配置され発光素子から入光した光を折り曲げる反射部28a、及び反射部で折り曲げられた光を液晶表示装置の背面側に拡散する照射部28bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、特に、釣り用リールのリール本体に装着される水深表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、釣り用リールは、リール本体と、リール本体に装着されたスプールと、スプールを回転させるハンドルと、を有している。この種の釣り用リールにおいて水深表示用のカウンタケースと呼ばれる水深表示装置が搭載されているものがある。カウンタケースは、リール本体の上面に装着されている。カウンタケースには、セグメント方式またはドットマトリックス方式の液晶表示装置が搭載されており、魚が群れている水深である棚位置や現在の仕掛けの水深等を表示することができる。この種のカウンタケースにおいて、液晶表示装置の視認性を向上させるために、液晶表示装置の背面にバックライトを備えたものが従来知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
従来のバックライトは、光を照射する、たとえば発光ダイオード(LED)等の発光素子と、発光素子から照射される光を拡散する導光板と、を有している。発光素子は、カウンタケースの内部に設けられた各種の電気部品が配置される回路基板の一端側に装着され、光を回路基板に沿った方向に出射する。導光板は、液晶表示装置部の背面全体にわたって発光素子からの光を拡散する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−244099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の構成では、導光部材の端面に発光部材を配置している。このため、基板は液晶表示装置よりも広い面積が必要になる。基板が広くなればそれを収納するカウンタケースの面積も広くなり、リールの上部に広い平面を持つカウンタケースを配置しなければならない。これはリールの大型化を招き、釣りにおけるリールの把持性を損なってしまう。
【0006】
本発明の課題は、水深表示装置において、バックライトを配置しても水深表示装置の小型化を図れるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明1に係る釣り用リールの水深表示装置は、釣り用リールのリール本体に装着され仕掛けの水深を表示する装置であって、ケース部材と、回路基板と、液晶表示装置と、バックライトと、を備えている。ケース部材は、リール本体に装着される部材である。回路基板は、ケース部材の内部に固定されている。液晶表示装置は、背面が回路基板に対向して配置され回路基板に接続される。バックライトは、液晶表示装置の背面を照明する。バックライトは、発光素子と、導光板と、を有している。発光素子は、回路基板の背面と対向する第1面に装着され、第1面と交差する方向に光を出射する。導光板は、発光素子に対向して配置され発光素子から入光した光を折り曲げる反射部、及び反射部で折り曲げられた光を液晶表示装置の背面側に拡散する照射部を有する。
【0008】
この水深表示装置では、バックライトにおいて、発光素子から照射された光は第1面と交差する方向に出射され反射部に入光する。反射部に入光した光は、反射部で折り曲げられ、照射部により液晶表示装置の背面側に拡散して照射される。ここでは、導光板に反射部を設け、回路基板の第1面と交差する方向に発光素子から光を出射しても、液晶表示装置の背面側に光を拡散して照射できる。したがって、回路基板の面積を液晶表示装置と同程度に抑えることができ、バックライトを配置しても水深表示装置の小型化を図れるようになる。
【0009】
発明2に係る釣り用リールの水深表示装置は、発明1に記載の装置において、回路基板の第1面に装着され、導光板の照射部と液晶表示装置とを回路基板の第1面と間隔をあけて配置するLCDホルダをさらに備える。この場合には、LCDホルダを設け、そのLCDホルダに導光板の照射部及び液晶表示装置を配置しているので、LCDホルダにより液晶表示装置及び照射部を補強することができる。
【0010】
発明3に係る釣り用リールの水深表示装置は、発明1又は2に記載の装置において、回路基板の第1面には液晶表示装置を制御する制御素子が回路基板と照射部との間に形成された隙間に装着されている。この場合には、大きな制御素子を隙間に配置できるので、さらに水深表示装置の小型化を図れる。
【0011】
発明4に係る釣り用リールの水深表示装置は、発明1から3のいずれかに記載の装置において、反射部は、発光素子への対向部分から液晶表示装置に向かって傾斜し、液晶表示装置に向かって光を反射する反射面を有する。この場合には、傾斜する反射面で光を反射するので、反射部の構成が簡素になる。
【0012】
発明5に係る釣り用リールの水深表示装置は、発明1から4のいずれかに記載の装置であって、釣り用リールは、スプールを駆動するモータを有する電動リールであって、回路基板の液晶表示装置と逆側の第2面には、モータを駆動する駆動素子が装着されている。この場合には、大きな電気素子でありかつ発熱する駆動素子を液晶表示装置と離して回路基板の第2面に装着しているので、水深表示装置の小型化を図りつつ発熱による影響を液晶表示装置が受けにくくなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、導光板に反射部を設け、導光板に反射部を設け、回路基板の第1面と交差する方向に発光素子から光を出射しても、液晶表示装置の背面側に光を拡散して照射できる。したがって、回路基板の面積を液晶表示装置と同程度に抑えることができ、バックライトを配置しても水深表示装置の小型化を図れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態が採用された電動リールの斜視図。
【図2】電動リールの中心部分で切断した縦断面図。
【図3】カウンタケースの分解斜視図。
【図4】その側面断面図。
【図5】その正面断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<電動リールの全体構成>
図1及び図2において、本発明の一実施形態を採用した電動リールは、外部電源から供給された電力により駆動されるリールである。また、電動リールは糸繰り出し長さ又は糸巻取長さに応じて仕掛けの水深を表示する水深表示機能を有するリールである。
【0016】
電動リールは、釣り竿に装着可能なリール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール10の回転用のハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ3と、本発明の一実施形態による水深表示装置であるカウンタケース4と、を主に備えている。
【0017】
リール本体1は、左右1対の側板7a,7bとそれらを下部及び前部で連結する第1連結部材7c及び第2連結部材7d(図2)とからなるフレーム7と、フレーム7の左右を覆う左右の側カバー8a及び側カバー8bと、フレーム7の前部を覆う前カバー9とを有している。
【0018】
ハンドル2側の側カバー8bには、ハンドル2の回転軸が回転自在に支持されている。また、ハンドル2の支持部分の上方には、モータ12を複数段階に制御するための調整レバー5が揺動自在に支持されている。ハンドル2と逆側の側カバー8aの下面には、電源ケーブル接続用の図示しないコネクタが下向きに装着されている。下部の第1連結部材7cには、釣り竿に装着するための竿取付脚部14が一体形成されている。前部の第2連結部材7dは、スプール10の前方に筒状に形成されており、内部にスプール10を駆動するモータ12が固定されている。前カバー9には、釣り糸通過用の横長の開口9a(図2)が形成されている。
【0019】
リール本体1の内部には、モータ12及びハンドル2に連結されたスプール10が回転自在に支持されている。また、リール本体1の後部には、ハンドル2及びモータ12とスプール10との駆動伝達をオンオフするクラッチ(図示せず)の操作部材11が配置されている。このクラッチをオンすると、仕掛けの自重による糸繰り出し中に、糸繰り出し動作を停止できる。
【0020】
また、リール本体1の内部には、図2に示すように、スプール10に連動して動作するレベルワインド機構13やハンドル2の回転をスプール10に伝達する伝達機構(図示せず)等が設けられている。レベルワインド機構13は、スプール10と連動して釣り糸をスプール10に均一に巻き取るために設けられている。リール本体1の側板7a,7bの上部に、図1及び図2に示すように、釣り糸の先に装着された仕掛けの水深を表示するカウンタケース4が固定されている。
【0021】
<カウンタケース構成>
カウンタケース4は、図3から図5に示すように、リール本体1の上部に固定されたケース部材19と、回路基板20と、液晶表示装置30と、バックライト23と、LCDホルダ(架台部の一例)27と、を備えている。回路基板20は、ケース部材19の内部に固定されている。液晶表示装置30は、回路基板20に背面が対向して配置され、回路基板20に、たとえばフレキシブル基板46(図5)を介して接続されている。バックライト23は、回路基板20の背面に対向する上面(第1面の一例)に装着された発光素子33を有し、液晶表示装置30の背面を照明する。LCDホルダ27は、回路基板20の上面に装着され、バックライト23の後述する照明部23bと液晶表示装置30とを回路基板20の上面と間隔をあけて配置する。
【0022】
ケース部材19は、リール本体1の側板7a,7bの内側面にねじ38によりそれぞれ固定されている。ケース部材19は、下面に下面全体が開口する例えば矩形の第1開口24aを有し内部に収納空間SAを有する筐体部24、筐体部24から前方に延びる前カバー部25と、筐体部24の後方に配置された後カバー部26と、を有している。筐体部24は、上面部24bと、上面部24bの下面を囲むように四方に配置された壁部24cと、を有している。この壁部24cの下部が第1開口24aになっている。したがって、第1開口24aは、壁部24cの下面全体にわたり形成されている。
【0023】
上面部24bには、図4に示すように、窓部材22により塞がれた概ね矩形の第2開口24dと、2つのスイッチSW1,SW2を露出するための円形のスイッチ開口24e,24fと、が形成されている。スイッチSW1は、たとえば、0セット用のスイッチであり、スイッチSW2は、たとえば、棚メモ等のメモリ用のスイッチである。スイッチ開口24e,24fは、第2開口24dの後方に左右方向に並べて配置されている。スイッチ開口24e,24fの内周面の下部には、上部より大径のスイッチ壁部24gが筒状に形成されている。第1開口24aには、蓋部材21を位置決めして配置するための段差部24hが形成されている。上面部24bには、窓部材22を位置決めして載置するために内側に突出する載置部24iが上面より僅かに凹んで形成されている。この載置部24iに第2開口24dとスイッチ開口24e,24fが形成されている。したがって、載置部24iは、第2開口24dの内周側の周囲の全体にわたって形成されている。
【0024】
図5左側の壁部24cには、電源供給用のコネクタと、モータ12と、図示しないスプール回転センサと、に接続される、たとえば8本の配線を取り出す第1配線取出孔24jが形成されている。また、右側の壁面には、調整レバー5に接続される、たとえば3本の配線を取り出す第2配線取出孔24kが形成されている。これらの第1配線取出孔24j及び第2配線取出孔24kは、配線取り出し後に、たとえばシリコン樹脂製の充填材により封止される。スプール回転センサは、カウンタケース4の外部に配置されている。
【0025】
スイッチSW1は、硬質の合成樹脂製のスイッチ操作部材40と、スイッチ操作部材40により押圧されるタクトスイッチ41と、を有している。スイッチ操作部材40は、操作部42と、操作部42に装着された弾性体製のばね部43と、を有している。操作部42は、僅かに先細りの円柱状の部材であり、スイッチSW1の操作を行うためにスイッチ開口24eから先端が突出して設けられている。操作部42の外側面はメッキ処理されている。ばね部43は、操作部42に装着される装着部43aと、装着部43aと一体形成され装着部43aからスイッチ開口24eの大径側の内周面に拡がる拡大部43bと、拡大部43bの縁部から筒状に延びスイッチ壁部24gに接触するシール部43cと、を有している。装着部43aは、中心部から下方に延びてタクトスイッチ41を押圧可能な押圧部43dを有している。押圧部43dの下方に、回路基板20の上面に搭載されたタクトスイッチ41が僅かな隙間をあけて配置されている。
【0026】
拡大部43bは、装着部43aの周囲からスイッチ壁部24gに接触する位置まで薄い厚みでやや傾斜して板状に延びている。拡大部43bは、装着部43aからスイッチ壁部24gまでの隙間をカバーするとともに、操作部42を回路基板20から離反する方向に付勢するために設けられている。このような拡大部43bの作用により、操作部42を押圧操作後に手を離すと操作部42が回路基板20から離反する方向に自動的に戻る。シール部43cは、スイッチ壁部24gに沿って接触するように筒状に形成されている。このシール部43cの内側に密着部材44が密着している。
【0027】
密着部材44は、たとえばステンレス合金などの金属製の筒状の部材であり、シール部43cに沿った形状である。この密着部材44がシール部43cをスイッチ壁部24g側に押圧してシール部43cをスイッチ壁部24gに密着させている。これにより、スイッチ操作を行うために、ケース部材19にスイッチ開口24eを設けても、ケース部材19の内部に上面側から液体が浸入しにくくなる。しかも、シール部43cを密着部材44によりスイッチ壁部24gに押圧してシールしているので、回路基板20を装着するためのねじの本数を少なくすることができ、回路基板20の装着時に回路基板20が変形しにくくなる。
【0028】
操作部42に用いる合成樹脂としてはアクリル樹脂等のメッキが付着しやすく剥がれにくい合成樹脂が好ましい。ばね部43に用いる合成樹脂弾性体としては、スチレン‐ブタジエン‐ゴム(SBR)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐ゴム(NBR)、ブタジエン‐ゴム、イソプレン‐ゴム、クロロプレン‐ゴム、シリコン‐ゴム、ウレタン‐ゴムなどの絶縁性を有する合成ゴムが好ましい。
【0029】
このように構成されたスイッチSW1,SW2では、スイッチ操作部材40が硬質の操作部42と弾性体製のばね部43とで構成されている。このため、スイッチ操作部材40の意匠がばね部43の材質に限定されなくなり、操作部42の意匠を自由に決定できる。たとえば、この実施形態では、弾性体には施すことができないメッキ処理を操作部42に施している。また、塗料や操作部42の素材の色により任意の色を表現することもできる。
【0030】
回路基板20は、概ね矩形の合成樹脂製の基板であり、LCDホルダ27に、たとえば2本のねじ部材38により固定されている。回路基板20は、蓋部材21に載置された基板支持部材29によって蓋部材21と間隔を隔てて配置されている。回路基板20には、表示装置の一例である液晶表示装置(LCD)30と、モータ12を駆動するための電界効果トランジスタ(FET)からなる2つの駆動素子31と、が接続されている。また、回路基板20には、モータ12及び液晶表示装置を制御するマイクロコンピュータからなる制御素子32と、液晶表示装置30のバックライトとして機能する、たとえばLEDからなる発光素子33と、電池34と、電池の逆接防止用のダイオード35と、報知用のブザー36と、抵抗やコンデンサなどのその他の電気部品と、スプール回転センサと、が接続されている。電池34は、たとえば、ボタン電池であり、電気回路の電源として使用される。これにより、モータ12を使用しない場合には、手巻きのカウンタリールとして電動リールが機能する。ここで、回路基板20の上面には、制御素子32と、タクトスイッチ41と、発光素子33と、抵抗及びコンデンサ等のその他の電気部品と、が配置されている。回路基板20の下面には、駆動素子31と、電池34と、ダイオード35と、ブザー36と、その他の電気部品と、が配置されている。回路基板20は、ねじ部材38によりLCDホルダ27に固定されている。
【0031】
基板支持部材29は、蓋部材21に載置されている。基板支持部材29は、回路基板20を蓋部材21と離反させて配置するための複数の突起部29aを有している。また、基板支持部材29には、後述する蓋部材21の第1湾曲部21a及び第2湾曲部21bを通過させるための長円形開口29c及び円形開口29dが形成されている。
【0032】
ここで、回路基板20は、基板支持部材29に載置され、僅かに移動可能に支持されている。また、基板支持部材29は、蓋部材21に載置されているだけであり、蓋部材21にたとえば両面テープやねじ部材などの固定部材により固定されていない。さらに、回路基板20はLCDホルダ27に固定されているため、回路基板20,LCDホルダ27及び液晶表示装置30は一体化されている。この一体化された部分を、蓋部材21を装着したときに傾かないようにするために基板支持部材29が設けられている。すなわち、基板支持部材29は、回路基板20と蓋部材21との隙間を埋めるスペーサとして機能している。なお、基板支持部材29を蓋部材21に両面テープ等により固定してもよい。
【0033】
液晶表示装置30は、第2開口24dに臨むように配置されている。液晶表示装置30は、回路基板の上面に配置されたバックライト23の後述する導光板28に載置され、両面テープ48により導光板28に固定されている。液晶表示装置30とケース部材19の上面部24bの下面との間には、クッション部材47が配置されている。導光板28は、LCDホルダ27に載置され、両面テープ49により後述する載置面27aに固定されている。LCDホルダ27は、導光板28が載置される平板状の載置面27aと、載置面27aの下面に下方に突出して形成された複数(例えば4つ)の脚部27bと、導光板28の後述する反射部28aがはめ込まれるスリット部27cと、を有している。これにより、LCDホルダ27に導光板28と液晶表示装置30とが固定される。
【0034】
従来の回路基板では、液晶表示装置用の回路が搭載された回路基板と制御素子用の回路が搭載された回路基板との2枚の基板を用いている。しかし、本実施形態では、カウンタケース4の小型化を図るため、1枚の回路基板20に液晶表示装置30の回路と、駆動素子31を含む制御素子32の回路とを搭載している。このため、液晶表示装置30を導光板28と共にLCDホルダ27に載置し、液晶表示装置30と回路基板20の上面との間に隙間を開けることができる。これにより、隙間に制御素子32等の大きな電気素子を配置でき、回路基板20の上面を効率良く使用できるようになる。
【0035】
液晶表示装置30とLCDホルダ27との間には、バックライト23が配置されている。バックライト23は、前述した発光素子33と、発光素子33からの光を効率よく液晶表示装置の下面に導くための板状の導光板28と、を有している。発光素子33は、光を回路基板20の上面から離反する上方(第1面と交差する方向の一例)に光を出射する。このため、この実施形態では、導光板28は、扁平L字形に形成されている。導光板28は、透明な光学素子であり、光を拡散して効率よく液晶表示装置30の背面に導いて拡散させる。発光素子33は、回路基板20の上面に搭載されているため、液晶表示装置30から離れて配置されている。このため、この実施形態では、導光板28は、発光素子33の上方に対向して配置された反射部28aと、反射部28aから折れ曲がって液晶表示装置30の下面に配置される照射部28bと、を有している。反射部28aは、液晶表示装置30に向かって傾斜した面取り形状の反射面28cを、両側部を除く中央部分に有している。反射面28cには、たとえば白色の反射シート28dが貼り付けられている。この反射シート28dにより、発光素子33から照射された光を90度屈折させて照射部28bに導く。なお、反射シート28dに代えて、反射面28cに白色塗料を塗布してもよい。
【0036】
このような構成のバックライト23では、発光素子33から照射された光は図5に一点鎖線の矢印で示すように、回路基板20の上面と交差する上方に出射され導光板28の反射部28aに入光する。反射部28aに入光した光は、反射部28aで90度折り曲げられて照射部28bに向かい、照射部28bにより液晶表示装置30の背面側に拡散して照射される。
【0037】
蓋部材21は、たとえば、アルミニウム合金製の薄板状の部材をプレス加工により成形して作成された部材である。蓋部材21は、ケース部材19の下面に形成された第1開口24aの段差部24hに装着され、第1開口24aを閉塞する部材である。蓋部材21は、段差部24hに塗布された接着機能を有するシール部材52によりケース部材19に接着される。また、蓋部材21は、2本のねじ部材39によりケース部材19に固定されている。蓋部材21は、それぞれ上方に曲げられた第1湾曲部21aと第2湾曲部21bと、を有している。第1湾曲部21aには、回路基板20の下面に搭載された駆動素子31が近接して配置されている。第2湾曲部21bには、回路基板20の下面に搭載された逆接防止用のダイオード35が近接して配置されている。
【0038】
第1湾曲部21aは、回路基板20に接近する方向に長円形に凹んで形成され断面が等脚台形形状である。第2湾曲部21bは、回路基板20に接近する方向に円形に凹んで形成され、断面が二等辺三角形形状である。これらの第1湾曲部21a及び第2湾曲部21bは、プレス成形により型により形成される。第1湾曲部21aは、駆動素子31に接近させるために第2湾曲部21bより大きく凹んでいる。また、蓋部材21には、ブザー36が配置される窪み21cが回路基板20から離れる方向に僅かに凹んで形成されている。この窪み21cはプレス成形により形成される。ブザー36の上面は、回路基板20が支持された基板支持部材29の下面にリング状の両面テープ50により固定されている。ブザー36の下面には、蓋部材21の窪み21cに接触するリング状のブザークッション51が貼り付けられている。駆動素子31及びダイオード35には、放熱性能を高めるために放熱シート37a,37bがそれぞれ貼り付けられている。
【0039】
窓部材22は、載置部24iに配置され、第2開口24d及び液晶表示装置30の上方を覆う部材である。窓部材22は、透明な合成樹脂製の角が丸められた概ね矩形形状である。窓部材22は、上面が僅かに湾曲して形成されている。また、後方側が前方側より厚みが厚くなるように形成されている。窓部材22は、上面部24bに凹んで形成された載置部24iに載置されている。窓部材22は、載置部24iに貼り付けられた防水機能を有する窓部材22と略同外形の両面テープ45よりケース部材19に固定されている。この実施形態では、窓部材22は、第2開口24dに対向する部分以外は着色されている。また、窓部材22及び両面テープ45には、スイッチSW1,SW2の操作部42が貫通可能な通過孔22a,45aがそれぞれ形成されている。両面テープ45には第2開口24dに対向する部分に矩形の開口45bが形成されている。
【0040】
このような構成のカウンタケース4において、スイッチSW1のスイッチ操作部材40をケース部材19に装着する際には、まず、スイッチ操作部材40をケース部材19の内側からスイッチ開口24eに装着する。そして、シール部43cをスイッチ壁部24gに段差に当接するまで押し込む。この状態で、密着部材44を各シール部43cの内側面に装着することで、シール部43cがスイッチ壁部24gに密着してスイッチ開口24e
このような構成の電動リールでは、釣り糸を繰り出す時には、操作部材11を下方に押圧操作することによりクラッチをオフし、スプール10を自由に回転させ、釣り糸に装着された重りの自重により釣り糸を繰り出す。釣り糸が繰り出されるとスプール10が回転し、図示しないスプールの回転センサの検出パルスにより液晶表示装置30の水深表示が繰り出し量に応じて変化する。仕掛けが棚に到達すると、ハンドル2を糸巻取方向に回して図示しないクラッチ戻し機構によりクラッチをオンして釣り糸の繰り出しを停止する。
【0041】
魚の当たりがあると、調整レバー5を操作し釣り糸を巻き上げる。調整レバー5を図1時計回りに揺動させると、その揺動角度に応じてスプール10の回転速度又は釣り糸に作用する張力の最大値を段階的に設定できる。
【0042】
この結果、モータ12は、調整レバー5の揺動角度に応じて回転する。この巻き上げ時に作用する負荷に応じて駆動素子31は発熱するが、スプール10の回転により発生する空気の流れがケース部材19の蓋部材21に当たり蓋部材21を冷却する。この結果、蓋部材21の第1湾曲部21aに近接して配置された駆動素子31及び第2湾曲部21bに近接して配置されたダイオード35が容易かつ確実に冷却される。
【0043】
また、スイッチ操作部材40の筒状のシール部43cを密着部材44で押圧してスイッチ開口24eからの液体の浸入を防止しているので、回路基板20とケース部材19とでシール部を挟んでシールする従来技術に比べて、回路基板20の変形を抑えてカウンタケース4を確実にシールできる。
【0044】
<特徴>
(A)電動リールのカウンタケース4は、電動リールのリール本体1に装着され仕掛けの水深を表示する装置であって、ケース部材19と、回路基板20と、液晶表示装置30と、バックライト23と、を備えている。ケース部材19は、リール本体1に装着される部材である。回路基板20は、ケース部材19の内部に固定されている。液晶表示装置30は、背面が回路基板20に対向して配置され回路基板20に接続される。バックライト23は、液晶表示装置30の背面を照明する。バックライト23は、発光素子33と、導光板28と、を有している。発光素子33は、回路基板20の背面と対向する上面に装着され、上面と交差する方向に光を出射する。導光板28は、発光素子33に対向して配置され発光素子33から入光した光を折り曲げる反射部28a、及び回路基板20の上面と隙間をあけて配置され、反射部28aで折り曲げられた光を液晶表示装置30の背面側に拡散する照射部28bを有する。
【0045】
このカウンタケース4では、バックライト23において、発光素子33から照射された光は上面と交差する方向に出射され反射部28aに入光する。反射部28aに入光した光は、反射部28aで折り曲げられ、照射部28bにより液晶表示装置30の背面側に拡散して照射される。ここでは、導光板28に反射部28aを設け、回路基板20の上面と交差する方向に発光素子33から光を出射しても、液晶表示装置30の背面側に光を拡散して照射できる。したがって、照射部28bと回路基板20の上面との間に隙間を形成しても光を液晶表示装置30の背面に確実に導くことができる。このため、隙間に大きな電気素子を配置可能になり、カウンタケース4の小型化を図ることができる。
【0046】
(B)回路基板20の上面に装着され、導光板28の照射部28bと液晶表示装置30とを回路基板20の上面と間隔をあけて配置するLCDホルダ27をさらに備えている。このため、LCDホルダ27を設け、そのLCDホルダ27に導光板28の照射部28b及び液晶表示装置30を回路基板20の上面と間隔をあけて配置しているので、LCDホルダ27により液晶表示装置30及び照射部28bを補強することができる。
【0047】
(C)回路基板20の上面には液晶表示装置30を制御する制御素子32が回路基板20と照射部28bとの間に形成された隙間に装着されている。この場合、大きな制御素子32を隙間に配置できるので、さらにカウンタケース4の小型化を図れる。
【0048】
(D)反射部28aは、発光素子33への対向部分から液晶表示装置30に向かって傾斜し、液晶表示装置30に向かって光を反射する反射面28cを有している。このため、傾斜する反射面28cで光を反射するので、反射部28aの構成が簡素になる。
【0049】
(E)釣り用リールは、スプール10を駆動するモータを有する電動リールであって、回路基板20の液晶表示装置30と逆側の下面には、モータ12を駆動する駆動素子31が装着されている。この場合には、大きな電気素子でありかつ発熱する駆動素子31を液晶表示装置30と離して回路基板20の下面に装着しているので、カウンタケース4の小型化を図りつつ発熱による影響を液晶表示装置30が受けにくくなる。
【0050】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0051】
(a)前記実施形態では、導光板28及び液晶表示装置30をLCDホルダに載置したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、LCDホルダを設けずに液晶表示装置30と導光板28とをケース部材19に固定して隙間をあけてもよい。ただし、回路基板20に装着されたLCDホルダ27にバックライト23と液晶表示装置30とを配置して固定すると、それらをまとめて組み込むことができ、組立コストを低減できる。
【0052】
(b)前記実施形態では、釣り用リールとして電動リールを例示したが、釣り用リールは、カウンタケース付きの手巻きの両軸受リールであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 リール本体
4 カウンタケース
10 スプール
12 モータ
19 ケース部材
20 回路基板
23 バックライト
27 LCDホルダ(架台部の一例)
28 導光板
28a 反射部
28b 照射部
28c 反射面
30 液晶表示装置
31 駆動素子
32 制御素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り用リールのリール本体に装着され仕掛けの水深を表示する水深表示装置であって、
前記リール本体に装着されるケース部材と、
前記ケース部材の内部に固定された回路基板と、
前記回路基板に背面が対向して配置され、前記回路基板に接続される液晶表示装置と、
前記回路基板の前記背面と対向する第1面に装着され、前記第1面と交差する方向と光を出射する発光素子と、前記発光素子に対向して配置され前記発光素子から入光した光を折り曲げる反射部、及び前記反射部で折り曲げられた光を前記液晶表示装置の背面側に拡散する照射部を有する導光板と、を有し、前記液晶表示装置の前記背面を照明するバックライトと、
を備えた釣り用リールの水深表示装置。
【請求項2】
前記回路基板の前記第1面に装着され、前記導光板の照射部と前記液晶表示装置とを前記回路基板の前記第1面と間隔をあけて配置する架台部をさらに備える、請求項1に記載の釣り用リールの水深表示装置。
【請求項3】
前記回路基板の前記第1面には、前記液晶表示装置を制御する制御素子が前記回路基板と前記照射部との間に形成された隙間に装着されている、請求項1又は2に記載の釣り用リールの水深表示装置。
【請求項4】
前記反射部は、前記発光素子への対向部分から前記液晶表示装置に向かって傾斜し、前記液晶表示装置に向かって光を反射する反射面を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の釣り用リールの水深表示装置。
【請求項5】
前記釣り用リールは、スプールを駆動するモータを有する電動リールであって、
前記回路基板の前記液晶表示装置と逆側の第2面には、前記モータを駆動する駆動素子が装着されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の釣り用リールの水深表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−263838(P2010−263838A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118358(P2009−118358)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】