説明

鉄骨部材の識別用タグ及び鉄骨部材の管理システム

【課題】鉄骨部材を作業員が容易に識別でき、さらに鉄骨部材の位置情報等の個々の情報を円滑に管理することができる鉄骨部材の識別用タグ及び鉄骨部材の管理システムを提供する。
【解決手段】構造物を構成する鉄骨部材8を識別する鉄骨部材8の識別用タグ1において、前記識別用タグ1は、前記構造物における前記鉄骨部材8の大まかな位置情報である大分類識別データを色又は形状にて視認可能に形成された紐5と、無指向性の無線通信機能を有するとともに前記構造物における前記鉄骨部材8の詳細な位置情報を含む小分類識別データが記憶されたICタグ3と、前記鉄骨部材8に脱着可能な磁石4と、がケーシング2により一体化された構成を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物を構成する鉄骨部材を容易に識別可能とした識別用タグに関し、さらには該識別用タグを用いて鉄骨部材の出荷、納入、検収、及び現地における物揃え作業における鉄骨部材の管理を行うようにした鉄骨部材の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数種類の鉄骨部材により構成される構造物の施工においては、鉄骨部材の出荷、納入、検収、現場での物揃え作業の際に、複数種類の鉄骨部材をコンピュータにより作成されたリスト、或いはこれを出力した紙の管理表により鉄骨部材を管理することが多く行われている。このリストは、鉄骨部材の種類や溶接状況、或いは構造物のどの位置に鉄骨部材が配置されるかという位置情報等が記録されたものである。
【0003】
従来、このリスト作成は人手により行われることが多かったが、人手に頼っているため記載ミスが防げなかった。また、鉄骨部材が現場に到着した後にFAX等によりリストが送信されてくることがあり、検収作業が鉄骨部材の搬送単位ごとに行えないなどの問題もあった。
また、鉄骨部材を識別するためには、例えば鉄骨部材自体に部材番号を書いて識別することが行われているが、鉄骨部材の保管状況によっては部材番号が裏面側に位置して見え難い場合があり、確認に時間がかかるという問題もあった。
さらにまた、鉄骨部材が現地に配送された後、資材置き場から施工現場に鉄骨部材を移動させる時に、工事の工程にのっとり必要な部材が揃っているか物揃えをやり直すが、その時になって始めて納入遅れが発覚することがあり、工事の工程変更を含めた後戻り作業が発生することもあった。
【0004】
このように施工現場における鉄骨部材の管理において、ICタグにより鉄骨部材を管理する方法が提案されている。特許文献1(特開2006−299747号公報)では、溶接作業を行う鉄骨部材にICタグを貼付し、溶接方法に関する情報、施工状況に関する情報等を記録し、管理する方法が開示されており、さらに磁石を用いてICタグを鉄骨部材に貼付する方法が示されている。
また、ICタグを用いた管理システムとして、特許文献2(特開2008−123469号公報)には、管理対象物にICタグを配置し、携帯端末によりICタグから情報を読み取り、これを中央コンピュータで管理するようにした構成が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−299747号公報
【特許文献2】特開2008−123469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、鉄骨部材の管理においては、従来人手により作成されたリストによって管理を行っていたが、これは記載ミスがあったり、リストの受け渡しにタイムラグがあったりし、円滑な管理に支障をきたすことがあった。また、鉄骨部材を識別する際に、時間がかかるという問題があった。
一方、鉄骨部材の管理にICタグを用いる場合、ICタグにより情報管理の点においては改善されたが、鉄骨部材は配送元から施工現場へ、また現場内でも移動されることが多いため、ICタグが鉄骨部材のどこに貼付されているかを探すことが大変であった。
【0007】
また、ICタグを用いて中央コンピュータで管理する方法では、携帯端末を持っている人或いは中央コンピュータを操作可能な人にしかその情報が確認できず、他の多くの作業員はその情報を共有することができなかった
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、鉄骨部材を作業員が容易に識別でき、さらに鉄骨部材の位置情報等の個々の情報を円滑に管理することができる鉄骨部材の識別用タグ及び鉄骨部材の管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、構造物を構成する鉄骨部材を識別する鉄骨部材の識別用タグにおいて、
前記識別用タグは、前記構造物における前記鉄骨部材の大まかな位置情報である大分類識別データを視認可能に形成された紐と、無指向性の無線通信機能を有するとともに前記構造物における前記鉄骨部材の詳細な位置情報を含む小分類識別データが記憶されたICタグと、前記鉄骨部材に脱着可能な磁石と、がケーシングにより一体化されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、紐により構造物の大まかな位置情報である大分類識別データを視認可能とすることにより、多くの作業員がその鉄骨部材の位置情報を容易に確認することが可能となり、一方、携帯端末(タグリーダ)によりICタグから詳細な位置情報を含む小分類識別データを読み取ることにより、鉄骨部材の管理に必要とされるデータを確実に把握することが可能となる。また、鉄骨部材に単にICタグを貼付するのみでは、識別用タグの貼付位置が確認し難いが、本発明のように識別用タグに紐を取り付けることにより、識別用タグが鉄骨部材のどこについているかをすぐに把握することができる。特に、識別用タグが鉄骨部材の下面に貼付されている場合であっても、紐により識別用タグの位置が把握できるため、鉄骨部材を裏返すことなく携帯端末によりデータを読み取ることができる。さらにまた、ICタグが無指向性の無線通信機能を有しているため、どの角度からでも携帯端末によりデータを読み取ることができる。
【0010】
また、前記紐は、前記大分類識別データ毎に異なる色又は形状で分類されていることを特徴とする。
このように、大分類識別データ毎に紐の色又は形状を異ならせることにより、作業員が視認により簡単に鉄骨部材の大まかな位置情報を把握することができる。大まかな位置情報とは、例えば、鉄骨部材が構造物の高さ方向のどの位置に配置されるか、即ち何階部分に配置されるか、などの情報とする。詳細な位置情報とは、構造物の座標中の一点を示す位置情報であり、高さ方向の位置及び平面上の位置を含む。さらに小分類識別データには、この詳細な位置情報のほかに、鉄骨部材の溶接状況を示す情報、形状を示す情報等の他の情報を含んでいてもよい。
【0011】
また、構造物を構成する鉄骨部材を識別する識別用タグと、該識別用タグに記憶されたデータに基づいて前記鉄骨部材の出荷、納入、検収等を管理する管理サーバと、を備えた管理システムであって、
前記識別用タグは、前記構造物における前記鉄骨部材の大まかな位置情報である大分類識別データを視認可能に形成された紐と、無指向性の無線通信機能を有するとともに前記構造物における前記鉄骨部材の詳細な位置情報を含む小分類識別データが記憶されたICタグと、前記鉄骨部材に脱着可能な磁石と、がケーシングにより一体化された構成を備え、
前記管理サーバは、個々の鉄骨部材毎の位置情報及び出荷、納入、検収状況等の情報を含むデータが記載されたリストを格納した管理データベースに接続されるとともに、前記識別用タグから携帯端末にて読み取った前記小分類識別データを該携帯端末から入力する入力手段と、前記入力手段より入力された前記小分類識別データに基づいて前記管理データベースのリストを更新する更新手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、識別用タグの紐により構造物の大まかな位置情報である大分類識別データを作業員が容易に視認可能となるとともに、ICタグの小分類識別データを携帯端末により読み取り、管理サーバに入力することにより、鉄骨部材の詳細な位置情報をはじめとする小分類識別データに基づいて、管理データベースのリストを適宜更新し、該管理サーバにて鉄骨部材を管理することが可能となる。さらには、本発明を用いて鉄骨部材の管理を行うことにより、鉄骨メーカでの生産計画や現地での施工計画が容易に作成できる。
【0013】
さらに、前記管理サーバは、前記構造物の施工図面データが格納された施工図面データベースと接続され、前記施工図面データベースの施工図面データは前記管理データベースのリストと関連付けられており、前記リストに基づいて鉄骨部材の状況を施工図面上に視認可能に表示するようにしたことを特徴とする。
これは、出荷済みの鉄骨部材、納入済みの鉄骨部材、検収済みの鉄骨部材、或いは施工済みの鉄骨部材のデータを施工図面上に表すことができ、簡単に作業状況を確認することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上記載のごとく本発明の識別用タグによれば、紐により構造物の大まかな位置情報である大分類識別データを視認可能とすることにより、多くの作業員がその鉄骨部材の位置情報を容易に確認することが可能となり、一方、携帯端末によりICタグから詳細な位置情報を含む小分類識別データを読み取ることにより、鉄骨部材の管理に必要とされるデータを確実に把握することが可能となる。また、識別用タグに紐を取り付けることによりこれが目印となり識別用タグの位置がすぐに判るようになっている。
また、本発明の管理システムによれば、識別用タグの紐により構造物の大まかな位置情報である大分類識別データを作業員が容易に視認可能となるとともに、ICタグの小分類識別データを携帯端末により読み取り、管理サーバに入力することにより、鉄骨部材の詳細な位置情報をはじめとする小分類識別データに基づいて、管理データベースのリストを適宜更新し、該管理サーバにて鉄骨部材を管理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の実施形態に係る識別用タグの側断面図、図2は本発明の実施形態に係る識別用タグの構成図で、(a)ICタグ側の面を示す図、(b)磁石側の面を示す図、図3はICタグの内部構成を示すブロック図、図4はデータ内容を説明する図で、(a)施工図面を示す図、(b)施工図面に対応した識別用タグのデータ内容を示す図、図5は本発明の実施形態に係る管理システムの基本構成図、図6はタグリーダの内部構成を示すブロック図、図7は管理データベースに格納される管理リストを示す図、図8は本発明の実施形態に係る管理システムの概念図である。
【0016】
本発明の実施形態に係る識別用タグは、構造物を構成する鉄骨部材を識別するためのものである。構造物は、例えばボイラ等の設備、建物基礎などの鉄骨部材を用いた構造物である。また、本発明の実施形態に係る管理システムは、鉄骨部材の出荷、納入、検収、及び物揃え等における鉄骨部材の管理を行うためのシステムである。物揃えとは、施工場所において資材置き場から施工現場に部材を移動させる時の検品のことをいう。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の識別用タグ1は、無指向性の無線通信機能を有するとともに構造物における鉄骨部材8の詳細な位置情報を含む小分類識別データが記憶されたICタグ3と、構造物における鉄骨部材8の大まかな位置情報である大分類識別データを視認可能に形成された紐5と、鉄骨部材に脱着可能な磁石4と、がケーシング2により一体化された構成を備える。
【0018】
前記ICタグ3は、ROMやRAM等の記憶手段を備えたICチップ31と、無指向性のアンテナ32と、から構成される。ICチップ31は、構造物における鉄骨部材の詳細な位置情報を含む小分類識別データが記憶されているRAM33、プログラムを記憶するROM34、無線電波から電力を発生して各部に供給する電源供給部35、ICタグを読み取るタグリーダ9(図6参照)との間で情報を送受信するための通信部36、及び全体を制御する制御部37から構成されている。アンテナ32は無指向性であり、タグリーダ9との間で電波により情報を送受信する。
【0019】
前記紐5は、帯状紐、糸状紐等が用いられ、ケーシング2の一端側に取り付けられる。例えば、ケーシング2の一端側に穿孔された穴に紐5を通して、これを結んで固定することにより取り付けられる。該紐5は、脱着自在に取り付けられることが好ましい。該紐5は、構造物における鉄骨部材8の大まかな位置情報である大分類識別データを視認により識別可能な構成となっている。例えば、大分類識別データによって紐6の形状や色を異ならせるとよい。
【0020】
前記磁石4は、ケーシング2のうち鉄骨部材8に貼付される側に設けられる。一枚の板状の磁石であってもよいし、複数の磁石を離間させて配置してもよいが、何れにおいても識別用タグ1が鉄骨部材8に対して確実に固定されるような構成を有するものとする。
【0021】
ここで、大分類識別データにより識別される大まかな位置情報とは、鉄骨部材が構造物の高さ方向のどの位置に配置されるかなどの情報とする。小分類識別データにより識別される詳細な位置情報とは、構造物の座標中の一点を示す位置情報であり、高さ方向の位置及び平面上の位置を含む。さらに小分類識別データには、この詳細な位置情報のほかに、鉄骨部材の溶接状況を示す情報、形状を示す情報等の他の情報を含んでいてもよい。
例えば、図4に示すような施工図面10において、垂直方向に配列される鉄骨部材8の高さ方向位置をA、B、・・・で表し、水平方向に配列される鉄骨部材8の横方向位置を1、2、3、・・・で表す場合、紐5で識別される大分類識別データは、高さ方向位置A、B、・・・とする。ICタグ3で識別される小分類識別データは、個々の位置を特定する10B1−10、10B1−11、・・・とする。
【0022】
上記した識別用タグ1は、鉄骨部材8の一つ一つに磁石4により貼付される。構造物の施工における鉄骨部材の出荷、納入、検収、及び物揃え作業時に、識別用タグ1の紐5により構造物における鉄骨部材8の大まかな位置情報が把握できるため、鉄骨部材8の分類が簡単に行える。またタグリーダを用いてICタグ3を読み取ることにより、鉄骨部材8の詳細な位置情報を把握することができ、以下に示す管理システムを用いて鉄骨部材8を管理することが可能となる。
【0023】
また、鉄骨部材8に単にICタグを貼付するのみでは、識別用タグ1の貼付位置が確認し難いが、本実施形態のように識別用タグ1に紐5を取り付けることにより、識別用タグ1が鉄骨部材8のどこについているかをすぐに把握することができる。特に、識別用タグ1が鉄骨部材8の下面に貼付されている場合であっても、紐5により識別用タグ1の位置が把握できるため、鉄骨部材8を裏返すことなくタグリーダにより簡単にデータを読み取ることができる。
【0024】
図5を参照して、本実施形態に係る鉄骨部材の管理システムにつき説明する。
この管理システムは、上記した識別用タグ1と、該識別用タグ1からデータを読み取るタグリーダ9と、該タグリーダ9からのデータが通信回線400を介して入力される管理サーバ201と、鉄骨部材に関するデータが格納された管理リスト11(図7参照)が格納された鉄骨部材管理データベース202と、を備える。さらに、通信回線400により管理サーバ201と接続された端末装置301と、施工図面が格納された施工図面データベース302と、を備えていてもよい。
タグリーダ9から管理サーバ201にデータを転送する際には、インターネット等の公衆回線又はこれを利用した専用回線が用いられるが、これらの回線を用いずに、タグリーダ9から有線若しくは無線通信により直接管理サーバ201にデータを転送してもよい。
【0025】
前記管理サーバ201は、中央処理装置 (CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、入出力インタフェース(I/Oインタフェース)及び表示画面を備えたマイクロコンピュータで構成される。該管理サーバ201は、鉄骨部材管理データベース202、施工図面データベース302に接続可能であり、これらのデータベース202、302に格納されるデータを引き出したり、更新したりする操作を行うことができる。管理サーバ201とデータベース202、302は、上記と同様に、公衆回線又は専用回線、或いは有線又は無線通信を介して接続される。
【0026】
前記タグリーダ9は、図6に示すように、プログラムを記憶するROM91、各種データを(一時)記憶するRAM92、アンテナ94を介して識別用タグ1や通信回線400と通信を行う通信部93、キー等により各種操作信号を入力する入力部95、各種データを表示する表示部96、及び全体を制御する制御部97から構成されている。該タグリーダ9は、識別用タグ9から読み取った小分類識別データを、一旦端末装置301に転送した後、通信回線400等を介して管理サーバ201へ送信する。また別の方法として、端末装置301を介さずに直接通信回線400に接続して小分類識別データを管理サーバ201へ送信してもよい。また別の方法として、有線若しくは無線通信により直接小分類識別データを管理サーバ201へ送信してもよい。
【0027】
前記鉄骨部材管理データベース202には、図7に示すような、鉄骨部材毎の位置情報及び配送状況を含む情報が記載された管理リスト11が格納されている。該管理リスト11には、例えば、鉄骨部材の部材番号、構造物を施工する際にどの位置に鉄骨部材が配置されるかを示す位置情報、出荷状況、納入状況、検収状況等が格納されており、これらのうち出荷状況、納入状況、検収状況等においては、タグリーダ9から送信されてくるデータに基づいて、管理サーバ201により逐次更新されるようになっている。
前記施工図面データベース302には、図4に示すような、施工図面10が複数格納されている。この施工図面データ10は、CAD(Computer Aided Design)端末装置(不図示)等で作成される。尚、管理サーバ201は、CAD端末装置に接続されてこれらのデータを送受信できるようにすることが好ましい。
【0028】
また、施工図面データベース302中の施工図面データ10は、鉄骨部材管理データベース202の管理リスト11と関連付けられている。例えば、鉄骨部材8の検収を管理する場合、検収済みの鉄骨部材8の識別用タグ1をタグリーダ9にて読み取り、読み取った小分類識別データを管理サーバ201に入力すると、管理サーバ201により管理データベース202の管理リスト11を更新する。これに連携して、施工図面データベース302では、管理リスト11で検収済みの鉄骨部材8の位置が施工図面中で色づけ表示されるなどして示されるようになっている。
【0029】
図8に本発明の実施形態に係る管理システムの概念図を示す。
鉄骨メーカ100では、製造した鉄骨部材8に識別用タグ1を貼付するとともに、該識別用タグ1をタグリーダ9により読み取って、出荷リストを作成して管理サーバ201に送信する。施工会社200では、管理サーバ202にて受信した出荷リストに基づいて鉄骨部材管理データベース202を作成又は更新する。一方、鉄骨部材8は鉄骨メーカ100から建設現場300に配送される。
【0030】
建設現場300では、納入された鉄骨部材8の現地検収を行う。これは、鉄骨部材8を検収し、検収済みの鉄骨部材8の識別用タグ1をタグリーダ9により読み取り、管理サーバ201に送信する。管理サーバ201は受信したデータに基づいて検収管理を行う。また、建設現場300では、現地物揃えの際にも同様にタグリーダ9により識別用タグ1を読み取り、これを管理サーバ201に送信して管理を行う。また、建設現場300には端末装置301を備えていることが好ましく、施工図面データベース302に接続するとともに、鉄骨部材管理データベース202に接続し、納入、検収、物揃えの状況を施工図面上で確認するようにしてもよい。さらにまた、鉄骨部材管理データベース202及び施工図面データベース302に格納されたデータに基づいて、鉄骨部材の搬送計画や施工計画を作成することも可能である。
尚、図8では、管理サーバ201及び鉄骨部材管理データベース202を施工会社に、端末装置301及び施工図面データベース302を建設現場300に設置した構成を示したが、この構成に限定されるものではない。
【0031】
本実施形態によれば、識別用タグの紐5により鉄骨部材8の大まかな位置情報である大分類識別データを作業員が容易に視認可能となるとともに、ICタグ3の小分類識別データをタグリーダ9により読み取り、管理サーバ201に入力することにより、鉄骨部材8の詳細な位置情報をはじめとする小分類識別データに基づいて、該管理サーバ201にて鉄骨部材8の出荷、納入、検収、物揃え等を管理することが可能となる。さらに、鉄骨部材管理データベース202と施工図面データベース302を連携させることにより、施工図面上に鉄骨部材8の現時点における状況を表示することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、鉄骨部材の大まかな位置情報を視認で識別できるとともに、詳細な位置情報をICタグにより識別できるため、ボイラ等の設備、建物基礎などの鉄骨部材を用いた構造物全般に好適に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る識別用タグの側断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る識別用タグの構成図で、(a)ICタグ側の面を示す図、(b)磁石側の面を示す図である。
【図3】ICタグの内部構成を示すブロック図である。
【図4】データ内容を説明する図で、(a)施工図面を示す図、(b)施工図面に対応した識別用タグのデータ内容を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る管理システムの基本構成図である。
【図6】タグリーダの内部構成を示すブロック図である。
【図7】管理データベースに格納される管理リストを示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る管理システムの概念図である。
【符号の説明】
【0034】
1 識別用タグ
2 ケーシング
3 ICタグ
4 磁石
5 紐
8 鉄骨部材
9 タグリーダ
100 鉄骨メーカ
200 施工会社
201 管理サーバ
202 管理データベース
301 情報端末
302 図面データベース
300 建設現場

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物を構成する鉄骨部材を識別する鉄骨部材の識別用タグにおいて、
前記識別用タグは、前記構造物における前記鉄骨部材の大まかな位置情報である大分類識別データを視認可能に形成された紐と、無指向性の無線通信機能を有するとともに前記構造物における前記鉄骨部材の詳細な位置情報を含む小分類識別データが記憶されたICタグと、前記鉄骨部材に脱着可能な磁石と、がケーシングにより一体化されていることを特徴とする鉄骨部材の識別用タグ。
【請求項2】
前記紐は、前記大分類識別データ毎に異なる色又は形状で分類されていることを特徴とする請求項1記載の鉄骨部材の識別用タグ。
【請求項3】
構造物を構成する鉄骨部材を識別する識別用タグと、該識別用タグに記憶されたデータに基づいて前記鉄骨部材の出荷、納入、検収等を管理する管理サーバと、を備えた管理システムであって、
前記識別用タグは、前記構造物における前記鉄骨部材の大まかな位置情報である大分類識別データを視認可能に形成された紐と、無指向性の無線通信機能を有するとともに前記構造物における前記鉄骨部材の詳細な位置情報を含む小分類識別データが記憶されたICタグと、前記鉄骨部材に脱着可能な磁石と、がケーシングにより一体化された構成を備え、
前記管理サーバは、個々の鉄骨部材毎の位置情報及び出荷、納入、検収状況等の情報を含むデータが記載されたリストを格納した管理データベースに接続されるとともに、前記識別用タグから携帯端末にて読み取った前記小分類識別データを該携帯端末から入力する入力手段と、前記入力手段より入力された前記小分類識別データに基づいて前記管理データベースのリストを更新する更新手段と、を備えたことを特徴とする鉄骨部材の管理システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、前記構造物の施工図面データが格納された施工図面データベースと接続され、前記施工図面データベースの施工図面データは前記管理データベースのリストと関連付けられており、前記リストに基づいて鉄骨部材の状況を施工図面上に視認可能に表示するようにしたことを特徴とする請求項3記載の鉄骨部材の管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−117647(P2010−117647A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292055(P2008−292055)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】