説明

鏡面化粧板

【課題】 端部にコーナーアール等の小さな曲面加工が施され、かつ高い鏡面性を有する鏡面化粧板を提供する。
【解決手段】 基材上に鏡面化粧シートが設けられた鏡面化粧板であって、
前記鏡面化粧シートが、厚さ50〜300μmでヘイズ値が1%未満の透明樹脂フィルムと、厚さ200〜900μmの樹脂フィルム層とが、加飾層を介して積層され、総厚が400〜1000μmであり、鏡面化粧板の少なくとも一端がダイレクトポストフォーム加工により曲面加工された鏡面化粧板により、小さな曲面加工が施されていても高い鏡面性を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端部に曲面加工が施された鏡面化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅内装用キッチンや収納の扉材に使用されている化粧板に関し、特に高級グレードの扉材には高鏡面の仕様が好まれており、鏡面シートを貼合することによる、鏡面化粧板が広く用いられている。高い鏡面性を高めるには、シートに写りこんだ画像が白濁することなく鮮鋭に表現される高透明性や、表面に凹凸がなく、写りこんだ画像の輪郭が鮮鋭に表現される高平滑性が求められる。また、これら内装用の化粧板には、設置される態様に応じて、化粧板端部にコーナーアール加工が施されることも多い。特に、コーナーアール部は径が小さいほどシャープなデザインとなり、意匠的に高級感を得ることができる。
【0003】
高い鏡面性を有する化粧シートとしては、例えば、透明樹脂フィルムと樹脂フィルムを積層した高鮮映化粧シートが開示されている(例えば、特許文献1参照)。当該化粧シートは、ヘイズ及び光線透過率が一定透明樹脂フィルムを表層に使用することで高鮮映化した化粧シートであり、当該高鮮映化粧シートを各種平板や曲面板等に貼り付けて建築物の内装等に適用できることが開示されている。また、板状基材に貼り付けてVカット、Uカット加工することにより、曲げ加工等を実施できることが開示されている。
【0004】
しかし、当該化粧シートは板上基材に貼り付けた後、VカットやUカットにより曲げ加工を行うことは可能であるが、端部に小さなコーナーアールを有する板状基材へ直接貼り付けるに際しては、シートの反発により良好な貼付ができない場合や、高鏡面を保持できない場合があった。
【0005】
一方、住宅用設備のキッチンカウンター等に使用される化粧板において小さなコーナーアールの曲面加工を形成する方法として、0.1〜0.8mm程度の樹脂板を使用して、2mm〜4mmのアール加工を施すダイレクトポストフォーム加工方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。当該加工方法は、小さなアール加工の化粧板を製造できる方法であるが、他層構造の高鏡面化粧シートを使用した化粧板において、高鏡面を保持しつつ小さなアール加工を形成できる化粧板構成については、何ら開示されていなかった。
【0006】
【特許文献1】特開平10−258488号
【特許文献2】特開2005−271489号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、端部にコーナーアール等の小さな曲面加工が施され、かつ高い鏡面性を有する鏡面化粧板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の鏡面化粧板は、基材上に鏡面化粧シートが設けられた鏡面化粧板であって、前記鏡面化粧シートが、厚さ50〜300μmでヘイズ値が1.0%未満の透明樹脂フィルムと、厚さ200〜900μmの樹脂フィルム層とが、加飾層を介して積層され、総厚が400〜1000μmであり、鏡面化粧板の少なくとも一端がダイレクトポストフォーム加工により曲面加工されている鏡面化粧板により、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の鏡面化粧板は、端部にコーナーアール等の微小な曲面加工が施されていても、高い鏡面性を有することから、キッチン、収納の扉材等の住宅内装材へ好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の鏡面化粧板に使用する鏡面化粧シートの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の鏡面化粧板に使用する鏡面化粧シートの一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の鏡面化粧板に使用する鏡面化粧シートの一例を示す概略断面図である。
【図4】実施例にて製造したダイレクトポストフォーム加工前の鏡面化粧板の積層構成を示す概略断面図である。
【図5】実施例にて製造した本発明の鏡面化粧板の概略断面図である。
【図6】比較例にて製造した端部曲面加工を施した化粧板の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の鏡面化粧板は、厚さ50〜300μmでヘイズ値が1.0%未満の透明樹脂フィルムと、厚さ200〜900μmの樹脂フィルム層とが、加飾層を介して積層され、総厚が400〜1000μmの鏡面化粧シートを使用し、当該鏡面化粧シートを基材上に設けた鏡面化粧板の少なくとも一端をダイレクトポストフォーム加工により曲面加工した鏡面化粧板である。
【0012】
[鏡面化粧シート]
本発明に使用する鏡面化粧シートは、厚さ50〜300μmの透明樹脂フィルムと、厚さ200〜900μmの樹脂フィルム層とが、加飾層を介して積層され、総厚が厚さ400〜1000μmの化粧シートである。本発明においては、当該構成の鏡面化粧シートを使用することで、高い鏡面性の化粧板を得ることができ、かつ端部に曲面加工を施した際に当該曲面加工部分においても高い鏡面性を保持できる。
【0013】
(透明樹脂フィルム)
透明樹脂フィルムには、厚み50〜300μm、好ましくは、厚み100〜200μmの透明樹脂フィルムを使用する。透明樹脂フィルムの厚みを当該厚みとすることで好適な表面平滑性を確保でき、得られる化粧板の高鏡面性を実現できる。また、当該厚みの透明樹脂フィルムにより、内装材として良好な表面硬度を確保しやすく、材料調達も容易となりコストの低減にも有効である。透明樹脂フィルムに使用する樹脂としては、熱可塑性樹脂を好ましく使用でき、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PP(ポリプロピレン)、PETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)、アクリル等の熱可塑性樹脂を用いることができる。その中でも、より透明度の高い樹脂としてPET、アクリルが好ましく、洗浄溶剤や界面活性剤等によるひび割れ(クレージング)防止の観点から、PETを使用することが更に好ましい。
【0014】
透明樹脂フィルムの透明性としては、ヘイズ値を1%未満、好ましくは0.9%以下とすることで、白濁のない特に好適な鏡面性の化粧板を得ることができる。
【0015】
(樹脂フィルム層)
樹脂フィルム層は、樹脂フィルムからなる層であり、厚み200〜900μm、好ましくは、300〜700μm、より好ましくは300〜500μmの層である。当該樹脂フィルム層は透明樹脂フィルムの下層に設けられる層であり、当該樹脂フィルム層の厚みを当該厚みとすることで、ダイレクトポストフォーム加工による曲面加工時の化粧シートの切削に際して、化粧シートの鏡面性を損なうことなく切削が可能となり、高鏡面性を保持しつつ好適な曲げ加工性を実現できることから、曲面加工部分においても高い鏡面性を保持できる。樹脂フィルム層に使用する樹脂フィルムの樹脂としては、熱可塑性樹脂を好適に使用でき、PET、PVC、PP、PETG、アクリル等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0016】
樹脂フィルム層は、一枚の樹脂フィルムからなる層であっても、複数の樹脂フィルムを積層した層であってもよい。また、樹脂フィルム層に使用する樹脂フィルムは、透明性を有するものであっても、隠蔽性を有するものであってもよく、着色されているものであってもよいが、着色樹脂フィルムからなる樹脂フィルム層が、加飾層による意匠性を向上させやすいため好ましい。
【0017】
(加飾層)
加飾層としては、木目柄または抽象柄など所望の意匠性付与のために、設けられる。加飾層としてはグラビア印刷をはじめとする各種の印刷によるものや、蒸着によるもの等を挙げることができるが、グラビア印刷によれば種々の色柄模様の印刷が容易にできるため、好適である。
【0018】
(層構成)
本発明に使用する鏡面化粧シートは、上記透明樹脂フィルムと樹脂フィルム層とが、加飾層を介して積層された構成であり、その総厚さが400〜1000μmの鏡面化粧シートである。本発明においては、透明樹脂フィルムと樹脂フィルム層の厚さを上記範囲とし、さらに総厚さを当該範囲とすることで、高意匠性を保持しつつ好適な曲面加工が可能となる。
【0019】
加飾層を介した透明樹脂フィルムと樹脂フィルム層との積層は、透明樹脂フィルムの樹脂フィルム層と積層する表面、あるいは、樹脂フィルム層の透明樹脂フィルムと積層する表面のいずれかに加飾層を設け、透明樹脂フィルムと樹脂フィルム層とを積層することが好ましい。なかでも、透明樹脂フィルムの樹脂フィルム層と積層する表面に加飾層を設けて、透明樹脂フィルムと樹脂フィルム層とを積層すると、加飾層による意匠性が好適に視認されやすいため好ましい。
【0020】
透明樹脂フィルムと基材樹脂フィルムの積層方法には特に限定はなく、熱融着型の接着層や印刷インキ層を介して、熱により貼り合わせる熱ラミネート法や、ドライラミネート法が使用できる。
【0021】
鏡面化粧シートには、必要に応じて、上記各層以外の層として、各層を積層するための接着剤層や、表面硬度を高めるためのハードコート層が設けられていてもよい。また、各層の接着性を高めるためにコロナ処理やプライマー処理等の易接着処理が施されていてもよい。
【0022】
鏡面化粧シートの好ましい構成例としては、透明樹脂フィルムの樹脂フィルム層と積層する表面に加飾層を設け、接着剤を介して樹脂フィルム層と積層した構成(図1)、当該図1の構成の透明樹脂フィルムの表層にハードコート層が設けられた構成(図2)、当該図1の構成の樹脂フィルム層が複数の樹脂フィルムからなる構成(図3)等を例示できる。
【0023】
[基材]
本発明の鏡面化粧板に使用する基材はダイレクトポストフォーム加工に適用できる基材であれば特に制限されないが、木質基材を好ましく使用でき、合板、パーティクルボード(PB)、中密度繊維板(MDF)等を好ましく使用できる。特に表面平滑性が高く、高鏡面性を得やすいことから、MDFを使用することが好ましい。
【0024】
[鏡面化粧板]
本発明の鏡面化粧板は、上記鏡面化粧シートの樹脂フィルム層側と基材とを積層した鏡面化粧板であり、その少なくとも一つの端部が、ダイレクトポストフォーム加工により曲面加工された鏡面化粧板である。
【0025】
鏡面化粧シートと基材との積層方法は特に制限されず、各種接着剤を用いて貼り合わせることができる。貼り合わせに使用する接着剤には、酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂等のエマルジョン系接着剤や、溶剤系ウレタン樹脂接着剤、反応性ホットメルト型ウレタン接着剤等が使用でき、なかでも表面平滑性の観点から、反応性ホットメルト型ウレタン接着剤が好ましい。
【0026】
接着剤塗工方法に限定はなく、ダイコーター等の押し出し型塗工機を使用したシート塗布方式や、ロールコーター等を使用した基材塗布方式が使用できる。
【0027】
本発明の鏡面化粧板は、ダイレクトポストフォーム加工機により、化粧板の少なくとも一つの端部の切削加工と折り曲げ加工を行うことで、端部に曲面加工が設けられる。鏡面化粧板は、各種用途に応じた任意の形状であってよいが、内装材としては、正方形や長方形等の方形形状が多く用いられる。これら化粧板の少なくとも一つの端部、方形形状であれば周囲の四辺の少なくとも一辺に設けられる曲面加工は、一辺のみ曲面加工されている場合、二辺以上が加工されている場合等、化粧板を適用する箇所に応じて適宜所望の端部が加工される。
【0028】
端部に設けられる曲面加工は、コーナーアール加工であることが好ましい。本発明の鏡面化粧板は、アール加工の曲率半径が小さい場合であっても好適な鏡面性を保持できる。当該曲率半径としては3mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましく、1.5mm以下であることが特に好ましい。
【0029】
ダイレクトポストフォーム加工による曲面加工の好適な加工工程例を示す。
鏡面化粧板の基材および鏡面化粧シートの一部を残して切削加工する。この時、曲げ加工を行いやすくするために、曲面加工部は鏡面化粧シートのみを残したくさび加工部を設ける。
【0030】
このくさび加工部および木口接着面に接着剤、好ましくはホットメルト接着剤を使用する。接着剤には、エチレン/酢ビ共重合系ホットメルト接着剤や、ウレタン樹脂系反応性ホットメルト接着剤が使用できる。
【0031】
その後、切削した形状にそっており曲げ加工を行う。この加工方法では、化粧板端部の側面部分(木口面)では同種の基材同士の貼り合わせとなるので、十分な接着強度が得られる。また、曲面加工部においては、折り曲げのさしかかりから曲げ終了部まで、鏡面化粧シートのみを曲げているので、木質基材由来の凹凸(ダク)が生じず、意匠性に優れた曲面加工が行える。
【0032】
上記にて得られる本発明の鏡面化粧板は、基材6上に接着剤5を介して鏡面化粧シート10が積層されており、アール加工された曲面部分は、残し厚tを残して切削された化粧シート10が接着剤7を介して基材6と接着されている。そして、アール加工された化粧板端部の側面部分(木口面)は、切削時の残存基材6’が接着剤7により、基材6と接着された構成となる(図5)。
【0033】
本発明の鏡面化粧板におけるダイレクトポストフォーム加工に際しては、曲げ加工を行う化粧シートの切削部は、化粧シートの残し厚を、100〜500μmとすることが好ましい。
【0034】
本発明の鏡面化粧板は、端部にコーナーアール等の微小な曲面加工が施されていても、高い鏡面性を有することから、キッチン、収納の扉材等の住宅内装材へ好適に利用できる。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
厚さ100μm、ヘイズ0.9%の透明PETフィルムの片面に、2液硬化型ウレタン系加飾用グラビアインキをグラビア印刷し、加飾層を形成した。当該加飾層表面にポリウレタン系ヒートシール剤を塗布した後、当該ヒートシール剤塗布面に厚さ450μmのPET−G(1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート)を重ねて、加熱ロールにより熱ラミネートし、総厚550μmの鏡面化粧シートを作成した(図1)。
【0036】
厚さ18mm×幅945mm(短辺)×長さ1850mm(長辺)の長方形状のMDF基材に、反応性ホットメルト型ウレタン接着剤をロールコーターにより塗布し、当該塗布面に上記鏡面化粧シートのPET−G側とをラミネートして貼り合わせ、鏡面化粧板を得た(図4)。得られた鏡面化粧板の長辺二辺の端部を、ダイレクトポストフォーム加工機を用いて鏡面化粧板端部のアール加工を行い、端部アール加工が施された鏡面化粧板を得た(図5)。なおダイレクトポストフォーム加工時の鏡面化粧板切削部の残し厚(化粧シートの残し厚)は400μm、アール加工の曲率半径Rは1.5mmとした。
【0037】
(実施例2)
透明樹脂フィルムとして、厚さ100μm、ヘイズ0.9%の透明PETフィルムにかえて、厚さ125μm、ヘイズ0.9%のアクリルフィルムを使用した以外は、実施例1と同様にして端部アール加工が施された鏡面化粧板を作成した。
【0038】
(実施例3)
透明樹脂フィルムとして、厚さ100μm、ヘイズ0.9%の透明PETフィルムにかえて、厚さ50μm、ヘイズ0.9%のPETフィルムを使用し、樹脂フィルムとして厚さ450μmのPET−Gにかえて、厚さ350μmのPET−Gを使用した以外は、実施例1と同様にして端部アール加工が施された鏡面化粧板を作成した。
【0039】
(比較例1)
樹脂フィルムとして、厚さ450μmのPET−Gにかえて、厚さ60μmのPETGを使用し、R部残し厚tを130μmとした以外は、実施例1と同様の方法で化粧シートおよび化粧板を作成した。
【0040】
(比較例2)
透明樹脂フィルムとして、厚さ100μm、ヘイズ0.9%の透明PETフィルムにかえて、厚さ100μm、ヘイズ7.2%のPETフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして端部アール加工が施された鏡面化粧板を作成した。
【0041】
(比較例3)
厚さ18mm×幅945mm(短辺)×長さ1850mm(長辺)の長方形状のMDF基材の長辺二辺の端部に、曲率半径1.5mmのアール加工を形成した。次いで、実施例1と同様にして得られた鏡面化粧シートのPET−G面に反応性ホットメルト型ウレタン接着剤を塗工し、ラミネート法により、表面および木口面を同時に貼り合わせて化粧板を作成した(図6)。
【0042】
(比較例4)
比較例3と同様にしてMDF基材を得た。次いで、実施例1と同様にして得られた鏡面化粧シートのPET−G面に溶剤系ウレタン樹脂接着剤を塗工し、真空成型法により表面および木口面を同時に貼り合わせして化粧板を作成した(図6)。
【0043】
上記実施例および比較例の化粧板につき、以下の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0044】
<表面平滑性>
机の上に化粧板を配置し、蛍光灯から化粧板までの距離を1800mmとして、化粧板表面に映った蛍光灯の像を観察した。この時の像のゆらぎを目視にて観察し、以下の基準で評価した。尚、表面平滑性○以上を合格とした。
◎:像がきれいに映り込み、ほとんど揺らぎがない
○:像の輪郭が崩れていないが、わずかにゆらぎがある
△:像の輪郭がやや崩れ、ゆらぎが目立つ
×:像の輪郭が認識できない
【0045】
<透明性>
化粧板表面の白濁度合いを目視にて観察し、以下の基準で評価した。尚、透明性○以上を合格とした。
○:白濁していない
×:白濁が目立つ
【0046】
<ポストフォーム加工適性>
曲げ加工を行う際のシート反発による浮きあがりや、アール部のひび割れを以下の基準で評価した。尚、加工適性○以上を合格とした。
○:問題なく加工できる。
×:シートの反発による浮きや割れが生じ加工できない。
【0047】
<曲面部意匠>
アール部および木口側面部のダク、凹凸を目視にて観察し、以下の基準で評価した。尚、曲面部意匠○以上を合格とする。
◎:曲面部のさしかかりが滑らかであり木口部の平滑性も良好
○:曲面部さしかかりの段差や木口部のダクが僅かに確認できる
△:曲面部さしかかりの段差や、木口部のダクが目立つ
×:曲げ加工不可のため評価不可
【0048】
【表1】

【0049】
上記表1の通り、本発明の実施例1〜2の化粧板は、表面平滑性、透明性、R加工適性、R部意匠で良好な結果を得た。特に実施例1の化粧板が最もバランスがよく、クレージングの影響も受けない等、バランスに優れていた。
【0050】
比較例1においては、樹脂フィルムの厚さが薄いため、木質基材表面の凹凸が表面に反映され、表面平滑性に劣る結果となった。比較例2においては、表面平滑性は良好であるものの、透明樹脂フィルムのヘイズ値が高いため、透明性に欠け表面が白濁する結果となった。比較例3においては、シートの反発が強いためにR加工を行うことができない結果となった。比較例4においては良好な表面平滑性が得られず、また、R部は基材切削時のダクが表面に反映され、意匠性に欠ける結果となった。
【符号の説明】
【0051】
1.透明樹脂フィルム
2.加飾層
3.接着剤層
4.樹脂フィルム層
5.接着剤層
6.基材層
7.接着剤層(木口部)
8.接着剤層(R部)
9.ハードコート層
10.鏡面化粧シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に鏡面化粧シートが設けられた鏡面化粧板であって、
前記鏡面化粧シートが、厚さ50〜300μmでヘイズ値が1%未満の透明樹脂フィルムと、厚さ200〜900μmの樹脂フィルム層とが、加飾層を介して積層され、総厚が400〜1000μmであり、鏡面化粧板の少なくとも一端がダイレクトポストフォーム加工により曲面加工されていることを特徴とする鏡面化粧板。
【請求項2】
前記樹脂フィルム層が、熱可塑性の樹脂フィルムからなる層である請求項1に記載の鏡面化粧板。
【請求項3】
前記曲面加工が、アール1.5mm以下のコーナーアール加工である請求項1又は2に記載の鏡面化粧板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−210792(P2012−210792A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78626(P2011−78626)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】