説明

閉鎖型水槽

【課題】系内に収容された生物を、一層長期間維持することのできる閉鎖空間内に生態系を収容した観賞用水槽を提供する。
【解決手段】
密閉された透明容器2内に、液相21と気相22を設け、液相21内に、エビ類3、貝類4、微生物5、水生植物7、植物遺体8を収容し、エビ類3、貝類4からの排泄物を微生物5で迅速に吸収・分解し、系内に汚濁物質の蓄積を抑制し、独立栄養微生物と、これを捕食する貝類4で、二酸化炭素の増加を抑制し、植物遺体8とこれを分解する固着性従属微生物によって減少する資源を緩やかに供給することにより、密閉水槽でエビ類3を生存させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、観賞用水槽に係り、詳しくは、閉鎖された生態系を備えた観賞用水槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の観賞用水槽では、水槽の中に魚、水生植物などを収容し、水槽内を泳ぎまわる魚などを観賞する構成となっている。そして、水槽内には外部から水中に空気を吹き入れる装置や水質を浄化する装置、餌を投入する装置など適宜取り付けられ、魚等が飼育される。そして、このような観賞用水槽では、水槽内に収容された生物の生存領域内に、水槽の外側から餌を供給し、或いは、汚染物質の除去などの作業を外側から施すことで、魚や他の生物を長期間生存させることができるものである。
【0003】
従って、従来の観賞用水槽では、使用者による、餌の供給や水質の維持などの行為が担保できない場合には、水槽内生物の良好な生存環境を維持することが困難となり、観賞水槽用として機能させることができない。
【0004】
また、従来の鑑賞用水槽は、湿気や臭いなどの理由で、設置場所が限られる場合がある。例えば、これまで衛生環境の厳しい病院や飲食店に設置することは困難であった。
【0005】
このような問題に対して、閉鎖空間内に生態系を収容し、餌の供給など、外部からの生態系維持作業を不要とする観賞用水槽として、商品名ビーチワールド(非特許文献1)が存在する。この商品は、透明な容器内に完全に密封された水中に、藻とエビを収容させ、藻をエビに食させるといった食物連鎖と、エビにより消費される酸素を、藻の光合成によって生産し、長期間エビを存続させ得る構成とした密閉型水槽である。また、密閉型水槽であるため、外部に湿気や臭いがもれることがない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
http://www.beachworld.jp/wwnu-beac-history.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の密閉型水槽(商品名:ビーチワールド)は、使用するにつれて壁面に藻が付着し、観賞価値が低下するという問題があった。この問題を解決するために、熱帯魚用の藻類抑制剤も販売されているが、耐性をもつ藻類の発生を防ぐことはできず、この問題を根本的に解決するものではない。また、マグネットを利用したガラスクリーナーで壁面を清掃する方法もあるが、増殖した藻は、壁面から取り除かれたとしても、液相内に過剰に存在しているため、清掃後にも再び壁面に付着し、観賞価値を低下させる。つまり、ガラスクリーナーで壁面に付着した藻を除去する行為は、抜本的な解決にはならない。また、藻の繁殖により生態系のバランスが崩れるため、エビ類の生育環境は悪化する。そのため、エビ類の死亡が起こりやすい状況になる。
【0008】
この発明は、閉鎖空間内の生物を長期間生存させることができ、かつ鑑賞価値を維持することができる生態系を収容した観賞用水槽を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 光透過可能な容器内に密閉された、空気からなる気相と、水からなる液相とを備え、
前記液相中に水生節足動物、貝類、微生物、水生植物を有し、
前記水生節足動物による酸素の総消費量と、前記貝類による酸素の総消費量との和が、前記水生植物による酸素の総一次生産量以下となるように、前記水生節足動物、前記貝類、前記微生物及び前記水生植物の各バイオマスが規定されていることを特徴とする観賞用水槽。
【0010】

(2)
前記液相内に、前記水生節足動物及び前記貝類が前記水生植物を摂食するといった食物連鎖と、水生植物の枯死体や排泄物等を分解・吸収し、また前記水生植物に栄養塩を供給する前記微生物が前記水生節足動物及び前記貝類に捕食されるといった食物連鎖を含むものである(1)に記載の鑑賞用水槽。
【0011】

(3)
前記微生物は、独立栄養微生物と従属栄養微生物を含み、
前記独立栄養微生物は、前記液相中に含まれる二酸化炭素と無機栄養塩を吸収し、
前記従属栄養微生物は、前記液相中に含まれる無機栄養塩を吸収し、
前記節足動物及び前記貝類は、前記独立栄養微生物と前記従属栄養微生物を摂食するものである上記(1)および(2)に記載の鑑賞用水槽。
【0012】

(4)
前記液相中にはさらに植物遺体が含まれ、
前記植物遺体表面で増殖する固着性従属栄養微生物は前記植物遺体を分解・吸収するものである上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の観賞用水槽。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、光透過可能な容器内の水生植物は光合成によって酸素を生成することができる。また水生節足動物による酸素の総消費量と、貝類による酸素の総消費量との和が、水生植物による酸素の総一次生産量以下になるように、前記水生節足動物、前記貝類及び前記水生植物の各バイオマスが規定されているので、液相内で酸素の生産と消費の平衡が保たれる。そのため、酸素不足による生物の死亡を防ぐことができるので、水生節足動物、貝類、水生植物の生存を長期間維持することが可能となる。何らかの理由で酸素不足に陥った場合、気相は液相に酸素を供給するリザーバーとして機能する。また、酸素代謝平衡を保つためには、人工生態系の取り巻く環境を調節する必要がある。
【0014】

請求項2に記載の発明によれば、水生節足動物及び貝類は、系の消費者として存在する。水生節足動物は、主に水生植物と一部の微生物を摂食する。貝類は、主に微生物及び一部水生植物を摂食する。水生植物を起点とする食物連鎖は主に水生節足動物によって利用されるが、一方、微生物を起点とする食物連鎖は主に貝類によって利用される。さらに、水生節足動物も貝類も両方の食物連鎖を利用することができるため、消費者は複数の利用可能な資源をもつことになり、生態系の安定化が図られる構成となっている。このように本発明は、水生植物を起点とする食物連鎖と、微生物を起点とする食物連鎖を含有する。また、水槽の壁に発生する固着性の独立栄養微生物は貝類によって摂食されるため、従来の密閉型水槽で問題となっている藻は発生しない、もしくは速やかに除去される。そのため、貝類は液相内の外部からの視認を容易とする作用と水生植物の光環境を改善する機能を有する。
【0015】
貝類と水生節足動物の排泄物及び水生植物の枯死体等は、主に固着性従属栄養微生物の生命活動に利用される過程で、溶存態有機炭素に変化する。さらに、溶存態有機炭素は、主に浮遊性従属栄養微生物に取り込まれ、生命活動に利用される。その過程で溶存態有機炭素は、二酸化炭素や無機栄養塩に分解される。水中に放出された二酸化炭素及び無機塩類は、水生植物に取り込まれ、光合成基質として再利用される。
【0016】
これらの分解過程に関わる微生物の中には、嫌気性のものも含まれるため、人工生態系内に嫌気層を設ける必要がある。しかし、嫌気層でメタン菌や硫化菌などの嫌気性微生物が異常発生することにより、水質が悪化する恐れがある。そこで、本発明では、嫌気性微生物の異常発生の原因となる有機物が嫌気層に過度に蓄積することを防ぐ構成とした。すなわち、貝類は嫌気層を適度に撹乱し、蓄積する沈降性有機物を摂食するため、嫌気性微生物の過剰な増殖を抑制する作用を持つ。
【0017】
また、この沈降性有機物は水生節足動物や植物にとって利用できない資源となっているが、貝類がこれを摂食、分解することで系内に資源がフィードバックされる。
【0018】
以上のように、本発明では、鑑賞価値を低下させる原因の一つである水生節足動物と貝類の排泄物及び水生植物の枯死体等を、微生物の作用によって、迅速に分解することで、また貝類が壁面に付着する藻を摂食することで、観賞価値を維持することができる。さらに、生成した二酸化炭素や無機塩類などを、食物網を利用して水中ではなく常に生物体内にとどめておくことにより、長期的な水質の安定化が図られる構成となっている。
【0019】

請求項3に記載の発明によれば、環境の急変による二酸化炭素やアンモニア、硝酸などの有害な無機栄養塩の短期的な増加を防ぐため、独立栄養微生物と従属栄養微生物が含まれる。
【0020】
急増した二酸化炭素は、浮遊性の微小藻類を中心とする独立栄養微生物に吸収され、光合成によって体内に蓄積される。また、アンモニア及び硝酸等の無機栄養塩は、独立栄養微生物もしくは従属栄養微生物に吸収され、液相から除去される。二酸化炭素や無機栄養塩の吸収に伴い増加した微生物は、主に貝類によって、また一部は水生節足動物によって摂食される。微生物の過剰増殖が抑制されるため、微生物の増加に伴う水質悪化の危険性が排除されることになる。このように、微生物の特徴である高い増殖速度を活かして、液相における環境毒性物質としての二酸化炭素及び無機栄養塩類の短期的な増加を抑制し、さらに捕食圧によって微生物の生物量を一定に保つ作用が発揮される。
【0021】

請求項4に記載の発明によれば、植物遺体に含まれる炭素は、植物遺体表面で増殖する固着性従属栄養微生物によりエネルギー源として利用される。この従属栄養微生物は呼吸代謝によって系内に二酸化炭素を放出する。さらに、固着性従属栄養微生物を捕食する水生節足動物と貝類は、同様に呼吸代謝によって二酸化炭素を放出する。すなわち、固着性従属栄養微生物が植物遺体を分解し、炭素資源を系内に供給するだけでなく、消費者である水生節足動物や貝類が固着性従属栄養微生物を摂食することで、炭素資源の供給が促進される構成となっている。このように、分解過程が多栄養段階で行われることで植物由来の資源を緩慢にかつ持続的に供給することができる。また、このような植物遺体から始まる食物連鎖が加わることは、人工生態系における食物網の安定性に寄与する。
【0022】
この固着性従属栄養微生物は好気性微生物であるため、植物遺体の表面にのみ増殖する。このため、植物遺体の重量と表面積の割合を操作することで、物質を液相内に供給する速度や供給可能な期間を設定することができる。これにより、水質を悪化させることなく、適切な量の炭素を液相内に持続的に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の鑑賞用水槽を示す模式図である
【図2】人工生態系内部の物質循環を示す模式図である。
【図3】液相内での汚濁物質の蓄積を防ぐメカニズムを示す模式図である。
【図4】液相内での好適環境維持プロセスを示す模式図である。
【図5】液相内での植物遺体からの資源供給過程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適実施形態について添付図面に基づいて詳説する。図1は、本発明の観賞用水槽1の構成を示す模式図である。観賞用水槽1は、球形の密閉容器2内に、水からなる液相21、空気からなる気相22、砂利23を収容している。密閉容器2は、ガラス、ポリカーボネート樹脂等、光の透過が可能な材料により構成され、透明又は半透明に構成されている。また、容器2は、後述する水生植物に十分な光を当てることができる構成であることを条件に、一部が透明又は半透明の容器であってもよい。容器2の底部には、容器2を支える台座24が設けられている。また容器2の形状は、球形の他、直方体等の他の形状であってもよい。
【0025】
液相21内には、水生節足動物3、貝類4、微生物5、水生植物6及び植物遺体7が収容されている。水生節足動物3は、摂食範囲の広いジェネラリストであることが好ましく、例えばミナミヌマエビなどのエビ類であると良い。貝類4は、水生植物、微生物を摂食し、容器2の内壁に藻(固着性の独立栄養微生物)が発生した場合、これを速やかに摂食するものであり、例えば、カワニナなどが挙げられる。微生物5は、浮遊性従属栄養微生物、固着性従属栄養微生物、独立栄養微生物を含み、液相21中の汚濁物質等を吸収・分解する。水生植物6は、液相中から二酸化炭素を吸収し、光合成により酸素を生成するものであり、例えばウィローモス等が挙げられる。また、砂利23内は、好気層部分と嫌気層部分に分けられる。嫌気層部分には、排泄物など汚濁物質の分解過程に関わる嫌気性微生物を含む。
【0026】
以上のような構成において、図2に示されているように、水生節足動物3及び貝類4は水生植物6及び微生物5を摂食し、微生物5は水生節足動物3及び貝類4の排泄物や水生植物6の枯葉を分解して体内に蓄積するか、もしくは無機栄養塩として放出し、水生植物6は水生節足動物3及び貝類4の排泄物や水生植物6の枯葉から溶出する栄養塩もしくは微生物5に放出された栄養塩を吸収し光エネルギーを利用して光合成を行う、といった循環が完成される。
【0027】
そして、液相21内では、各生物の酸素代謝に着目し、水生節足動物3による酸素の総消費量と、貝類4による酸素の総消費量との和が、水生植物6による酸素の総一次生産量以下になるように、水生節足動物3、貝類4、水生植物6の各バイオマスが規定されている。これにより、液相21内における酸素の生成量と消費量の平衡が保たれ、長期間の生物の生存が可能となる。突発的に上記酸素の消費量と生成量との平衡が崩れ、液相21内が酸素不足状態となった場合には、気相22から酸素を液相内へ取り込むことができる。つまり、気相22は酸素のリザーバーとして機能する。
【0028】
液相21内は、水生節足動物3の生育環境である。液相21における二酸化炭素、アンモニアおよび、硝酸等の無機塩類濃度の増加は水生節足動物3の生息環境を悪化させるため、これらの物質が過剰に蓄積されないようにする必要がある。本発明の観賞用水槽1では、図2で示したように、食物網を活用し、液相21中に含まれる上記の物質(二酸化炭素、アンモニア、硝酸など)を生物体内に吸収・蓄積させ、さらに生物間で循環させることで、液相21への蓄積を防ぎ、長期的な水質安定化を可能にした。また、鑑賞価値の低下をまねく藻(固着性の独立栄養微生物)に対してこれを摂食する捕食者(貝類)を組み込むことにより、藻の異常増殖を防ぐような構成とした。これにより、藻が繁殖することはほとんどなく、鑑賞価値の維持が可能になる。
【0029】
突発的な無機塩類濃度の増加に対しては、図3に示すように、微生物5の増殖速度と消費者の捕食圧を利用することで、好適環境を維持することを可能にした。過剰増加した二酸化炭素は、独立栄養微生物により吸収され、独立栄養微生物は二酸化炭素と光エネルギーを用いて光合成を行い、体内に有機物を蓄積する。また、液相21へ放出されたアンモニア及び、硝酸等は独立栄養微生物および従属栄養微生物の迅速な吸収によって液相中から排除される。液相中の二酸化炭素及び無機塩類を吸収し増殖した微生物は酸素代謝平衡を崩す可能性があるので、水生節足動物及び貝類の捕食圧よって微生物の大幅な増殖を抑制する。このため、短期的な水質悪化に対しても、液相の好適な環境が維持される。
【0030】
図4に基づいて短期的な水質悪化に対する好適環境維持プロセスについて具体的に説明する。好適環境にある状態(図4(a))から、水生節足動物3や貝類4からの排泄物などによって、汚濁物質が蓄積されていく(図4(b))。その結果、これらの汚濁物質を吸収、分解する微生物5が増加する(図4(c))。この際、微生物5の増加によって、汚濁物質は減少する。さらに、増加した微生物5は、水生節足動物3や貝類4に捕食されることにより減少し、元の好適な環境に戻される(図4(d))。このように、微生物5や汚濁物質の増加に対して、これを減らす方向に摂食圧が作用し、好適な環境が持続的に維持されるよう構成される。このような構成では、液相21内の汚濁物質の吸収は、微生物により迅速に吸収・分解され、一部は栄養塩として水生植物に供給された後、水生節足動物3及び貝類4に摂食され、液相内に再び放出される循環経路と、微生物5の生体中に不動化され、微生物5として水生節足動物3及び貝類4に捕食された後、液相内に再び放出される循環経路とに分けられる。このように、速度の異なる複数の循環経路によって、汚濁物質の吸収と放出が行われることで、時間差をもって再度系内へ物質を回帰させることができる。これにより、液相21内での汚濁物質の急激な増減が抑制され、水生節足動物3に対して、安定した好適環境を持続的に提供することができる。
【0031】
一方、以上のような物質の循環が確立されている場合においても、生物は生命活動の過程において、系内の物質を体内に固定するために、一部の物質は時間経過とともに生物体内に不動化されていく。さらに、生物の生命活動は多様な物質を生産し、その中には難分解性物質も一定の割合で含まれる。これらの難分解性物質は分解に長期間かかる、もしくは特殊な条件が必要になるため、不動化されることに等しい。つまり、時間の経過に伴い、系内の利用可能資源は減少する。生態系を維持するためには資源を系内に補給するシステムが必要となる。さらに、資源由来の物質が一時的かつ大量に系内に入ると環境を改変させ、水生節足動物3及び貝類4の生命活動をも低下させることから、系内への物質供給は長期的に緩慢に行われることが必要となる。
【0032】
そこで、図1に示されているように、植物遺体7を液相内に加えた。図5に基づいて、資源供給メカニズムについて解説する。落ち葉や枯死材などの植物遺体に含まれる炭素は、主に植物遺体表面に固着する従属栄養微生物によってのみ利用されるため、植物遺体に含まれる物質は生態系内の植物遺体に固着する従属栄養微生物以外の生物にとっては利用できない資源となっている。植物遺体を利用して増殖した従属栄養微生物は、呼吸代謝を通して二酸化炭素の形で植物遺体由来の炭素を系内に供給する。さらに、この従属栄養微生物を捕食する消費者は、同様に呼吸代謝によって二酸化炭素を放出する。
【0033】
植物遺体の表面に付着する従属栄養微生物は好気性微生物であるため、植物遺体の表面にのみ生育する。このため、植物遺体の重量と表面積の割合を操作することで、系内に物質を供給する速度や供給可能な時間を設定することができる。
【0034】
以上説明した観賞用水槽における好ましい実施形態は、
例えば、容器材質がガラス又はポリカーボネートで、
容量は 1500〜1890ml
気相は 100〜210ml
液相は 1400〜1600ml
砂利は 40〜50ml
使用時の光環境は700〜2000ルクスの光を、14時間〜18時間程度照射されていることが、十分な酸素生産を行わすためには望ましく、1000ルクス以上1500ルクス以下の光が16時間照射されるのがより望ましい。
【0035】
使用時の温度は7℃以上、35℃以下であることが生物の生存のためには好ましく、、15℃以上25℃以下に保つことがより望ましい。
【0036】
水生節足動物:種名)ミナミヌマエビ(Neocaridina denticulata denticulate) 300〜500mg
貝類:種名)ハベカワニナ(Biwamelania habei)1800〜2000mg
水生植物:種名)ウィローモス(クロカワゴケ(Fontinalis antipyretica)もしくはミズキャラハゴケ(Taxiphyllum barbieri))1800〜2000mg
植物遺体:種名) イネ科植物 の遺体 30〜100mg
の範囲であることが好ましい。
【実施例】
【0037】
容器:材質 ガラス
容器容量: 1840 ml 気相 210 ml 液相 1600 ml ろ材層 50 ml
水生節足動物:種名)ミナミヌマエビ(Neocaridina denticulata denticulate) 500 mg
貝類:種名)ハベカワニナ(Biwamelania habei) 2000 mg
水生植物:種名) ウィローモス(クロカワゴケ(Fontinalis antipyretica)もしくはミズキャラハゴケ(Taxiphyllum barbieri)) 2000 mg
植物遺体:種名) イネ科植物 の遺体 50 mg
以上の構成の水槽を作成し、明期16時間、暗期8時間の実験的条件の下、平均室温摂氏 20 度で培養した結果、180日目まで、ミナミヌマエビ及びカワニナが生存した。
【符号の説明】
【0038】
1 観賞用水槽
2 容器
21 液相
22 気相
23 砂利
24 台座
3 水生節足動物(エビ類)
4 貝類
5 微生物
6 水生植物
7 植物遺体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過可能な容器内に密閉された、空気からなる気相と、水からなる液相とを備え、
前記液相中に水生節足動物、貝類、微生物、水生植物を有し、
前記水生節足動物による酸素の総消費量と、前記貝類による酸素の総消費量との和が、前記水生植物による酸素の総一次生産量以下となるように、前記水生節足動物、前記貝類、前記微生物及び前記水生植物の各バイオマスが規定されていることを特徴とする観賞用水槽。
【請求項2】
前記液相内に、前記水生節足動物及び前記貝類が前記水生植物を摂食するといった食物連鎖と、水生植物の枯死体や排泄物等を分解・吸収し、また前記水生植物に栄養塩を供給する前記微生物が前記水生節足動物及び前記貝類に捕食されるといった食物連鎖を含むものである請求項1に記載の鑑賞用水槽
【請求項3】
前記微生物は、独立栄養微生物と従属栄養微生物を含み、
前記独立栄養微生物は、前記液相中に含まれる二酸化炭素と無機栄養塩を吸収し、
前記従属栄養微生物は、前記液相中に含まれる無機栄養塩を吸収し、
前記節足動物及び前記貝類は、前記独立栄養微生物と前記従属栄養微生物を摂食するものである請求項1および2に記載の鑑賞用水槽。
【請求項4】
前記液相中にはさらに植物遺体が含まれ、
前記植物遺体表面で増殖する固着性従属栄養微生物は前記植物遺体を分解・吸収するものである請求項1ないし3のいずれか1に記載の観賞用水槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−284151(P2010−284151A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184950(P2009−184950)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【特許番号】特許第4547688号(P4547688)
【特許公報発行日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(507180939)フモト・トレーディング株式会社 (2)
【Fターム(参考)】