説明

閾値が低減されたレーザー装置

【課題】本発明の課題は、特に、三準位レーザーを効果的にポンピングすることにある。
【解決手段】
上記課題を達成するために、レーザーの空洞共振器内に、波長λpのポンプビームによって励起可能で、ポンプ波長と三準位レーザーの波長λsの間の中間波長λiをエミットする第二のレイジング媒質をレーザーの空洞共振器内に収容させた。レーザーの空洞共振器のミラーが、波長λiで最高反射率Rmaxを有することを確実にさせるための処置が取られている。好ましくは、レーザーλsが直接的にポンピングされる場合に、レーザーλiの閾値がレーザーλsの閾値を下回る。更に、波長λiは、好ましくは、三準位レイジング媒質によって吸収され、この吸収が空洞共振器のその他の損失を上回る。空洞共振器内には、偏光子、フィルター又は非線形クリスタルの如き他の素子を追加してもよい。本発明は、特に、母材に応じて波長が約980nmのI’Yb3+三準位遷移に適用される。これにより、約980nmでエミットするレーザー、又は空洞共振器内周波数重複装置を含んでいる場合には、約490nmでエミットするレーザーを作ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー装置に関するものである。このレーザー装置は、限定されるものではないけれども、低い遷移準位(low transition level)が基底水準に対応する、有効な三準位遷移ポンピングにおいて特に有効に使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
一般に三準位レーザーは、レーザー遷移の低準位が基底水準であるレーザーである。媒質は、半分より多くのイオンが励起状態にある時にのみ増幅する。
【0003】
励起のこのレベルを達成するのに必要な局所的なポンプパワーは、P=hv/σapτであり、hvはポンプ光子のエネルギー、Aはポンプの横方向領域の面積、σapはポンプの有効吸収断面積、τは励起状態の寿命である。シングルエミッターダイオードは、数10−8の領域に焦点を合わせ、これにより、母材(host material)の大半を占める三価形態の希土類元素の大部分で、約数W〜数十WのPの値が生成される。一般にレーザーの閾値はPより大きい。このことは、ダイオードポンプ型の三準位レーザーがいかに製造されていないかを明らかにしている。
【0004】
準位は多様であることが多く、エネルギーの点で若干分けられるにすぎないため、現実は更により複雑である。サブ準位(sub−level)の各々は、熱的に分布し、一般的にはボルツマン平衡(Boltzmann equilibrium)にある。有効断面積は、絶対有効断面積にサブ準位の相対分布を掛け合わせたものである。こうして、有効発光と吸収断面積は、σ≠σと異なる。低準位の遷移が高エネルギーのサブ準位であるとき、σ<<σであり、レーザー作用は四準位レーザーの作用に近づく。これは、例えば、ネオジミウムヤグの946nm遷移(Nd:YAG(3/29/2))の場合である。他方、例えば、準位9/2の基底サブ準位に対応する約875nmの発光を実証した実験は知られておらず、この遷移は三準位レーザーに対応する。
【0005】
特に、三価イッテルビウム(Yb)には二つの準位がある。その基底準位7/2には四つのサブ準位がある。励起レベル5/2には三つある。一般に、最大有効吸収断面積は、最も低い二つのサブ準位間における遷移に対応する。この遷移は、三準位レーザー(約980nm)の遷移であり、従って、この同じ三準位レーザーのポンピングには使用できない。これは、σapが低く、従ってレーザー閾値は必然的に高いことを意味している。これは、殆どの実験が例えば三準位Ybレーザーの作用を実証していないことの理由である。
【0006】
一例として挙げると、イッテルビウムの三準位遷移に基づくレーザーを実証した二つの注目すべき実験しかない。
【0007】
その第一の実験は、915nmで18WをエミットするダイオードによってポンピングされるYbドープファイバーレーザー(Yb−doped fibre laser)に関するものである。これは、977nmで1Wの出力パワーを超える唯一のレーザーである。このタイプのレーザーは、以下の刊行物に記載されている。K.H. Yla−Jarkko, R. Selvas, D.B.S. Soh, J. K. Sahu, C.A. Codemard, J. Nilsson, S.A. Alam, A.B. Grudinin共著の「A 3.5−W 977−nm cladding−pumped jacketed air−clad Ytterbium−doped fiber laser」、Zayhowski, JJ.編 Advanced Solid−State Photonics 2003,Wahington DC,USA,Optical Society of America Trends in Optics and Photonics Series(OSA TOPS Vol 83)。
【0008】
この文献によれば、ポンプ領域を10倍以上に削減させることの可能なファイバーの導波路構造及び高輝度{こうきど}ダイオードによって、閾値の低減を達成できるとしている。しかし、このようなファイバーレーザーでは、ポンプ注入効率は良好ではない。そのようなレーザーの工業的生産には、偏光を維持したファイバーを必要とする。結論的には、10Wより少ないレーザーパワーでは、例えば、従来の非線形クリスタルによる良好な周波数重複効率が得られず、ポンプと(488nmでの)青色発光との間の変換収率は低い。
【0009】
第二の実験は、985mnで250mWをエミットするYb:S−FAPレーザーに関するものである。このレーザーについては、S. Yiou, F. Balembois, K. Schaffers, P. Georges共著「Efficient laser operation of an Yb: S−FAP crystal at 985 nm」、 Appl. Opt. 42, 4883−4886 (2003)の論文で解説されている。それは、900nmで1.45WをエミットするTi:サファイアレーザーによってポンピングされる。
【0010】
閾値の低減は、積σapτを最大化させる材料(S−FAP)の選択と、レーザーポンピングとによって確保され、それにより、ポンプ領域Aを少なくとも10倍削減することを可能にする。
【0011】
約980nmでエミットするYbレーザーの主な難点は二つある。一つは四準位発光と三準位発光との間の利得競合である。四準位発光の最大利得を三準位発光の閾値まで低減させるには、イッテルビウムのコンセントレーションNと長さLとの積(the product of Ytterbium concentration N and the length L)を低減させなければならない。他方の難点は、ポンプの有効吸収断面積の寸法が小さいことと(900〜950nm)、市販の半導体源での最大吸収波長が不十分であることに起因する。低いNL積(low NL product)とポンプの小さな有効吸収断面積とが組み合わさって、レーザーにおけるポンプ吸収の低減を引き起こす。従って、これは、レーザー効率を低減させることとなる。
【0012】
Yb:S−FAPクリスタルの選択は、S−FAPにおけるYbの有効吸収断面積の高い値のファンクションとして行った。S−FAPサプライヤーを欠いていることと、ポンプ波長(899nm)が市販のダイオードに対応していないことから二つの大きな問題が持ち上がっている。その他の公知のクリスタルは、より好ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、上述の欠点を改善すること、特に三準位レーザーの発光閾値を低減させることにある。本発明の別の課題は、より広い範囲の波長で励起可能な三準位レーザーを設計することにある。本発明の更なる課題は、極めて有効なコンパクトレーザーを提供することにある。本発明の最終的な目的は、(波長の利用不可能性又はポンプモードの空間適応性(spatial adaptation)の欠如に起因して)増幅媒質の励起をポンプダイオードによる直接的なポンピングによって実行することができない場合に対処したダイオードポンプ型レーザーを設計することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的のうちの少なくとも一つは、
出力波長λsの第一の出力レーザービームを発することの可能な第一の増幅媒質と、
ポンプ波長λpと波長λsの間の中間波長λiの第二のレーザービームを発することが可能で、前記ポンプ波長λpでポンピングされることの可能な第二の増幅媒質と、
第一の増幅媒質と第二の増幅媒質とを含む単一レーザー空洞共振器を有し、その空洞共振器が、中間波長λiで最大反射率を発揮する二つのミラーによって閉鎖されているレーザー装置によって達成される。
【0015】
本発明による装置では、第二の増幅媒質のレーザー発光が、単一のレーザー空洞共振器内の第一の増幅媒質をポンピングするために使用される。こうして、本発明は、第一の増幅媒質がレーザー光を放射する(lase)ことを許容するために用いられるポンプ波長の範囲を広げることを可能にする。換言すれば、ダイオードによって発せられる波長を通常は効果的に吸収しない何らかの増幅媒質をポンピングすることが可能となる。
【0016】
第一の増幅媒質は三準位増幅媒質であるのが有益である。本発明は、特に、レーザー発光の閾値を大幅に低減させると同時に、三準位レーザーの効率を上昇させることを可能にする。特に、前記空洞共振器内でλiとλsの二つの異なるレーザー波長が生ずる。
【0017】
本発明の有益な特徴によれば、第一の増幅媒質は、中間波長λiのレーザービームを吸収する活性素子を含んでいる。特に、第一の増幅媒質における中間波長λiのレーザービームの吸収は、中間波長λiのこのレーザービームの非共振損失よりも大きい。
【0018】
本発明の有益な構成要素を確保するために、後述する処置が執られる。
【0019】
レーザーの閾値を超えて、ポンプパワーP,レーザーパワーP及び励起イオンのフラクションxと関係する式はほぼ次のように表現できる。
[式1]

【0020】
Aはポンプの断面積、Nはドーピングイオンの濃度、Lは増幅媒質の長さ、τは励起状態の寿命、Gはレーザー空洞共振器の損失ηを正確に補う利得、αp1(χ)=σap1(1−Γχ)は、反転分布の関数としてのポンプの線形吸収係数、Γは、励起イオンの横方向分布に亘るポンプのオーバーラップ係数である。xの値はG(χ)η=1を解くことによって与えられる。閾値はP=0である場合に(1)の解であるPの値である。
【0021】
厳密な三準位レーザーでは、Xは約0.5以上であるが、四準位レーザーでは、xの値は0.01程度に低くてもよい。(式の左側の部分に関連する)レーザー閾値を低減させるためには、積Nが最小限にさせなければならない。他方、レーザーへのポンプパワーの良好な伝達のためには、αpt(x)L>>1であることが要求される。有効吸収断面積σap1が小さい場合には、それは、積Nは大きくなければならないことを意味する。
【0022】
閾値の問題及びレーザーへのポンプパワーの伝達の問題を解決するために、本発明により新規なレーザーの設計が提案される。コンセントレーションN,長さL及びポンプ波長λpを吸収する励起状態寿命τを有し、ポンプ波長とレーザー波長λsの間の中間波長λiで利得を有する第二の増幅媒質を追加することが提案される。波長λiは、第一の増幅媒質によって吸収される。レーザーλiの非共振損失ηを最小限に抑えるために、ミラーは波長λiで高い反射率を有する。その損失は1%をかなり下回ることが可能である。第一の増幅媒質の吸収がηをかなり上回る場合に(数%の吸収でも可能)、新規なレーザーは、以下の式によってほぼ表現される。
[式2]

【0023】
第一の増幅媒質の励起イオンのフラクションxは、波長λiでのレーザー閾値を許容するフラクションである。第二の増幅媒質が適切に選択されれば、xの値はかなり低くなる(<0.1)。
【0024】
第二の増幅媒質を使用することにより、一般に、ポンプの吸収レベルを増加させつつ、積Nの値を10倍低減させることを可能にする。レーザー閾値を大幅に削減するためには、項AN/τが項AN/τと比較してかなり低ければ十分である。
【0025】
本発明の有益な実施形態によれば、空洞共振器はモノリシック共振線形タイプのものであり、別の素子を光学的に接触させることが可能である。
【0026】
好ましくは、第一の増幅媒質が直接的にポンピングされる時に、波長λiでの第二の増幅媒質の発光閾値は、波長λsでの第一の増幅媒質の発光閾値を下回る。
【0027】
一例を挙げれば、第一の増幅媒質は、出力波長が約980nmである、三価イッテルビウムの三準位遷移に基づいている。このイッテルビウムは、イッテルビウム(Yb)でドープされたシリケートマトリックス(silicate matrix)中に含まれていてもよい。
【0028】
第二の増幅媒質は、三価ネオジムNdの遷移3/29/2に基づくもので、そのネオジムは、YAG,YVO,GdVO,YAP又はYLFのいずれかの材料のマトリックス中に含まれているものであってよい。
【0029】
本発明の有益な特徴によれば、例えば偏光子、フィルター、非線形クリスタルの如き素子、又はレーザー空洞共振器に挿入するのに好適なその他の素子を、本発明に従って空洞共振器内に挿入することができる。
【0030】
特に、本発明による装置は、第一の増幅媒質が約980nmにおいてエミットするイッテルビウムを含むようなものであってもよい。更に、共振器内周波数重複非線形クリスタル(intra−cavity frequency−doubling non−linear crystal)を使用することができる。この場合に、レーザー装置によって発せられる波長は、第一の増幅媒質の波長の半分である。
【0031】
本発明のその他の利点及び特徴については、本発明を何ら限定するものではない実施形態に関する後述の詳細な説明及び添付の図面から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1は、三準位レーザーのエネルギー状態を示した図である。三つの異なった状態、即ち、状態1:基底エネルギー準位、状態2:励起エネルギー準位、状態3:ポンプ吸収エネルギー準位、に区別することができる。ある状態から別の状態への各遷移は物理的現象に関係している。状態1から状態3への移行は、光子の吸収での光学的なポンピングによって起こる。状態3から状態2への移行は、原子の緩和、即ち一般的な非放射及び急速な下方遷移により起こる。原子は、一定の持続時間に相当する一定時間の間、状態2に留まっている。状態2から状態1への移行は、レーザービームを形成する光子の発光によって起こる。
【0033】
図2は、レーザーダイオード5によってポンピングされる本発明によるレーザー装置4を示している。このレーザー装置4は、モノリシック線形空洞共振器を形成する二つの増幅媒質6及び7を含んでいる。レーザーダイオード5によって発せられるレーザービームは、レーザー装置4と共線的である。
【0034】
第一の増幅媒質6は活性三準位レーザー媒質で、第二の増幅媒質7の下流に配置されるが、順序は逆であってもよい。第二の増幅媒質7の発光波長λiは、ポンプ5の発光波長λpと第一の増幅媒質の発光波長λsの間である。第二の増幅媒質は、ポンプ5によって励起される。この装置のレーザー空洞共振器は、波長λiで最大反射率Rmaxを発揮するミラー8を含み、このミラーは第一の増幅媒質6の出力面に連結されている。また、この装置のレーザー空洞共振器は、波長λiで最大反射率Rmaxを発揮するミラー9を含み、このミラーは第二の増幅媒質7の入力面に連結されている。
【0035】
図3〜5は、本発明を約980nmでエミットする三準位イッテルビウムYbレーザーに適用した場合に、本発明によってもたらされる利点を明らかにすることを可能にさせる図である。
【0036】
Yb:YAGクリスタルは、1031nmでの発光(四準位レーザー)のために頻繁に使用されている。YAGマトリックスでは、Ybイオンは、波長968nmで三準位遷移を有している。残念ながら、この波長では、σa1=7.10−25>σe1 =3.10−25である。これは、発光レーザーの閾値が、70%より多くのイオンの励起を必要とすることを意味する。この問題を克服するために、若干異なる結晶性マトリックス(GGG)が選択されている。Yb:GGGの特徴は、三準位発光ピークが971nm,四準位発光ピークが1031nm,吸収帯域幅が930〜945nm,σa1(971)=6.6.10−25,σa1(940)=4.10−25,τ=0.8msである。図3には、有効吸収及び発光断面積が示されている。即ち、2%Ybでドープされたクリスタル(N=2.5.1026−3)である。ポンプは150μmの直径に亘って均一であるとみなす。例えば空洞共振器内周波数重複を考慮する場合に、Rmaxのミラーを備える空洞共振器を考慮して、ラウンドトリップ損失(round−trip loss)が2%相当であるとみなして、971nmのレーザーパワーが算出される。そのシミュレーションは、クリスタルの長さL=5nmが最適値に近いことを示している。この値を超えて、レーザー閾値は極めて高くなり、四準位レーザーの利得が多くなり過ぎてそれが発振することを防ぐことが困難となる。この長さを下回ると、ポンプは最早効率的に吸収されなくなる。5mmの長さに対しては、レーザー閾値は15Wである。17.5Wのポンプパワーに対しては、レーザーパワーは、20Wに達する(図4の右側の線を参照)。
【0037】
本発明による効果は、第二の利得媒質としてNd:YAGを使用することにより実証する。1.1%のNdでドープされて(N=1.53.1026−3)、厚みがL=2mmのクリスタルを考慮する。Ndイオンは808nmでポンピングされ、946nmの波長でエミットすることができる。励起状態の寿命はτ=0.19ms、σa2(808)=6.15.10−24で、σe2(946)=3.9.10−24、σa2(946)=4.5.10−26である。上述したように、例えばYb:GGGの厚みをL=0.5mmにまで大幅に削減することが可能である。これらの値で、レーザー閾値は、0.9Wを下回り、971nmでのレーザーパワーは、図4の左側の線に一致して、ポンプパワー1.55Wでは、20Wに到達する。
【0038】
こうして、ポンプの吸収及び変換効率を維持し、又は更に向上させることにより三準位レーザーの閾値を大幅に削減させることが可能であることが本発明によって実証された。特に本発明の意図するところは、限定されるものではないが、Ybの三準位遷移から(周波数重複クリスタルを空洞共振器中に挿入することにより)約980nm又は約490nmのレーザー源を作り出すことにある。976nmでエミットするという利点を有するYb:SiO(図5)を含む、母材の多くを考慮に入れることが可能である。重複周波数は、アルゴンレーザー(488nm)の主波長に厳密に対応する。
【0039】
一般的な態様では、本発明は、三準位レーザーの効果的なポンピングを可能にする。その効果的なポンピングを実現するため、波長λpのポンプで励起可能な第二のレーザー媒質をレーザー空洞共振器内に挿入した。この第二の媒質は、ポンプ波長と三準位レーザー波長λsの間の中間波長λiを発する。レーザー空洞共振器のミラーは、波長λiでRmax(最大反射率)を有することが保証された。レーザーが直接的にポンピングされる場合には、レーザー閾値λiは、レーザー閾値λsを下回ることが好ましい。更に、波長λiは、三準位レーザー媒質によって吸収されるのが好ましく、この吸収は空洞共振器のその他の損失を上回る。空洞共振器内には、偏光子、フィルター又は非線形クリスタルの如き他の要素を追加することが可能である。本発明は、母材に応じて波長が約980nmであるYb3+の三準位遷移に特に適用される。これにより、約980nmでエミットするレーザー、又は空洞共振器内周波数重複装置が含まれている場合には、約490nmでエミットするレーザーを作ることが可能になる。
【0040】
勿論、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲でこれらの実施形態に多くの調整を加えることが可能である。実際、本発明は、例えば四準位増幅媒質の如き、三準位増幅媒質以外の増幅媒質に有効に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】三準位レーザーの概略図である。
【図2】レーザーダイオードによってポンピングされる、本発明によるレーザー装置の概略図である。
【図3】GGGマトリックスにおけるイッテルビウムの有効吸収及び発光断面積の曲線で示したグラフである。
【図4】従来のレーザーの特徴及び本発明によるレーザーの特徴を示すグラフである。
【図5】シリカマトリックスにおけるイッテルビウムの有効吸収及び発光断面積を曲線で示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力波長λsの第一の出力レーザービームをエミットすることの可能な第一の増幅媒質と、
ポンプ波長λpと波長λsの間の中間波長λiの第二のレーザービームをエミットすることが可能で、前記ポンプ波長λpでポンピングされることの可能な第二の増幅媒質と、
前記第一の増幅媒質と前記第二の増幅媒質とを収容する単一レーザー空洞共振器を有し、
前記空洞共振器が、前記中間波長λiで最大反射率を発揮する二つのミラーによって閉鎖されて、前記空洞共振器内で二つの異なるレーザー波長λi及びλsが発生することを特徴とするレーザー装置。
【請求項2】
前記第一の増幅媒質が、前記中間波長λiのレーザービームを吸収する活性素子を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載のレーザー装置。
【請求項3】
前記第一の増幅媒質における中間波長λiのレーザービームの吸収が、中間波長λiの当該レーザービームの非共振損失を上回ることを特徴とする、請求項2に記載のレーザー装置。
【請求項4】
前記空洞共振器がモノリシック共振線形タイプの共振器であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載のレーザー装置。
【請求項5】
前記第一の増幅媒質が直接的にポンピングされる場合に、波長λiでの前記第二の増幅媒質の発光閾値が、波長λsでの前記第一の増幅媒質の発光閾値を下回ることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載のレーザー装置。
【請求項6】
前記第一の増幅媒質が、三価イッテルビウムの三準位遷移に基づいていることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載のレーザー装置。
【請求項7】
前記第一の増幅媒質が、イッテルビウム(Yb)でドープされたシリケートマトリックスを含んでいることを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第二の増幅媒質が、三価ネオジムNdの遷移3/29/2に基づいていることを特徴とする、請求項1〜7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記三価Ndが、YAG,YVO,GdVO,YAP又はYLFのいずれかの材料のマトリックス中に含まれていることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記空洞共振器が偏光子を更に含んでいることを特徴とする、請求項1〜9の何れか一項に記載のレーザー装置。
【請求項11】
前記空洞共振器がフィルターを更に含んでいることを特徴とする、請求項1〜10の何れか一項に記載のレーザー装置。
【請求項12】
前記空洞共振器が非線形クリスタルを更に含んでいることを特徴とする、請求項1〜11の何れか一項に記載のレーザー装置。
【請求項13】
前記第一の増幅媒質が、約980nmでエミットするイッテルビウムを含み、空洞共振器内周波数重複非線形クリスタルを更に含んでいることを特徴とする、請求項12に記載のレーザー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−522799(P2009−522799A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549039(P2008−549039)
【出願日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000005
【国際公開番号】WO2007/077392
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508202740)
【Fターム(参考)】