防塵カバー構造体、研削装置及び切削装置
【課題】ゴム状弾性材から形成されて回転研削体を覆う防塵カバーを備える防塵カバー構造体において、研削装置における防塵カバーの着脱の容易化を図る。
【解決手段】研削装置Gの防塵カバー構造体Cは、回転研削体20を覆う防塵カバー30と、保護カバー10に防塵カバー30を保持するベルト状部材60とを備える。ゴム状弾性材から形成される防塵カバー30は、回転研削体20を覆う覆い壁Woに形成されて保護カバー10の1対の端部11a,11bにそれぞれ係合する1対の係合部(一方の係合部33が図示)を有する。覆い壁Woには、覆い壁Woを周方向に分断する切欠き開口40が形成される。防塵カバー30は、本体1に結合されている状態の保護カバー10に、覆い壁Woがベルト状部材60により保持され、かつ前記1対の係合部が係合することで、保護カバー10に着脱可能に取り付けられる。
【解決手段】研削装置Gの防塵カバー構造体Cは、回転研削体20を覆う防塵カバー30と、保護カバー10に防塵カバー30を保持するベルト状部材60とを備える。ゴム状弾性材から形成される防塵カバー30は、回転研削体20を覆う覆い壁Woに形成されて保護カバー10の1対の端部11a,11bにそれぞれ係合する1対の係合部(一方の係合部33が図示)を有する。覆い壁Woには、覆い壁Woを周方向に分断する切欠き開口40が形成される。防塵カバー30は、本体1に結合されている状態の保護カバー10に、覆い壁Woがベルト状部材60により保持され、かつ前記1対の係合部が係合することで、保護カバー10に着脱可能に取り付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転研削体を覆って研削時に発生する研削粉の飛散を抑制する防塵カバー構造体、及び、防塵カバー構造体を備える研削装置並びに切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
研削装置が、その本体に回転可能に支持された回転研削体と、当該回転研削体を覆う防塵カバー構造体とを備え、当該防塵カバー構造体が、前記回転研削体及び当該回転研削体に隣接して前記本体に設けられた保護カバーを覆う防塵カバーと、カバー支持部材としての前記保護カバーに防塵カバーを保持する保持部材とを備え、さらに防塵カバーがゴム状弾性材により形成されたものは知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
具体的には、特許文献1に開示された研削装置において、カッタホイール(回転研削体に相当)を覆うダストカバー(防塵カバーに相当)はゴム等の弾性部材で形成され、当該ダストカバーが研削装置の本体の延長部に設けられたカバー用取付部(保護カバーに相当)に装着される。
【0003】
また、特許文献2に開示された研削装置において、砥石(回転研削体に相当)を覆う防護カバーが、第一カバー部分(保護カバーに相当)と、当該第一カバー部分の突出爪部が押し込まれる爪収容部が形成されたゴムカバー(防塵カバーに相当)とから構成される。ゴムカバーは、その軸覆い部において、第一カバー部分の軸覆い部と共に、研削装置のケース(本体に相当)の軸覆い部に、クランプ部材で着脱可能に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3053729号公報
【特許文献2】特開平10−559号公報(図10,11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
研削装置の本体に、ゴム状弾性材から形成された防塵カバーが着脱可能に取り付けられる際、特許文献1の研削装置では、防塵カバーを保持するカバー支持部材としてのカバー用取付部を本体から取り外す必要があり、また特許文献2の研削装置では、ゴムカバーを保持するクランプ部材(保持部材に相当)を取り外すことにより、ケース(本体に相当)から第一カバー部分を取り外す必要がある。このため、防塵カバーが本体に対して着脱される際、カバー用取付部及び第一カバー部分を本体に対して着脱する分、余分に手間が掛かかり、防塵カバーを研削装置に対して簡単に着脱することができない。
【0006】
また、ゴム状弾性材からなる防塵カバーに形成された係合部(例えば、特許文献2の爪収容部が相当)が、本体に結合されるカバー支持部材(例えば、特許文献2の第一カバー部分が相当)に係合する場合に、当該係合部の形成位置による制約を極力少なくして、同じ防塵カバーを、カバー支持部材の形状(例えば、カバー支持部材の外径)が異なる機種の研削装置への使用可能性を高めること、すなわち防塵カバーの汎用性を高めることが、防塵カバーのコスト削減の観点から望ましい。
【0007】
また、防塵カバーが被研削面に接触するのを防止しながら、研削装置の移動の円滑化による研削の作業性向上及び防塵カバーによる研削粉の飛散抑制効果の向上のために、研削時に被研削面に接触するスカート部が防塵カバーに設けられている。しかし、スカート部が防塵カバーと一体に形成されていると、磨耗することを回避するために当該スカート部をブラシ状に形成し、そのブラシ部分が弾性部材により出没できるように構成される等、構造的に複雑になってしまった。したがって、防塵カバーにスカート部を設ける場合、位置調整が容易であること、及び、被研削面の隅部の研削時に回転研削体とスカート部との接触に起因するスカート部の損傷を防止することが望まれている。
【0008】
さらに、研削粉を吸い込むための吸込通路が防塵カバーに形成された研削装置においては、防塵カバーにより形成されるダスト空間内に配置される回転研削体の上方で、回転研削体に引きずられて旋回する研削粉が存在する。このため、回転研削体に連れ回りする当該研削粉を効率よく吸引して、集塵効率を高めることが望ましい。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、研削装置における防塵カバーの着脱の容易化を図り、また、研削装置の異なる機種にも対応でき、さらに、スカート部の構成の簡素化図り、研削粉の集塵効率の向上を図る防塵カバー構造体及び防塵カバー構造体を備える研削装置並びに切削装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、加工装置(G)の本体(1)に回転可能に支持されて被作業面(S1)を加工する回転加工体(20)を覆う防塵カバー(30)と、前記本体(1)に結合されるカバー支持部材(10)に前記防塵カバー(30)を保持する保持部材(60)と、を備える防塵カバー構造体(C)において、ゴム状弾性材から形成される前記防塵カバー(30)は、前記回転加工体(20)を覆う覆い壁(Wo)と、前記覆い壁(Wo)に形成されて前記カバー支持部材(10)に係合する係合部(33,34)と、を有し、前記覆い壁(Wo)には、前記回転加工体(20)を回転駆動する駆動軸(18)が挿通されると共に前記覆い壁(Wo)を周方向に分断する切欠き開口(40)が形成され、前記防塵カバー(30)は、前記本体(1)に結合されている状態の前記カバー支持部材(10)に、前記覆い壁(Wo)が前記保持部材(60)により保持され、かつ前記係合部(33,34)が係合することで、前記カバー支持部材(10)に着脱可能に取り付けられる防塵カバー構造体(C)である。
【0011】
これによれば、防塵カバー構造体は、本体に取り付けられているカバー支持部材に向かって、その覆い壁を切欠き開口から周方向の一端を分断するように広く開かせて、切欠き開口側から駆動軸を挿通させた状態で、防塵カバーを容易に弾性変形させて取り付けることができる。そして、防塵カバーは、カバー支持部材に取り付けられるときに、保持部材に係合部が係合するようにすることで防塵カバーの取り付け状態を安定させている。さらに、防塵カバーは、回転加工体及びカバー支持部材の着脱とは無関係に取り付けられる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の防塵カバー構造体(C)において、前記覆い壁(Wo)は、前記切欠き開口(40)により周方向で分断された1対の取付部(51,52)を有し、前記各取付部(51,52)は、前記係合部(33,34)に対して周方向に延びていると共に、前記カバー支持部材(10)の径方向外方で前記保持部材(60)により前記カバー支持部材(10)に保持されるものである。
【0013】
これによれば、防塵カバー構造体は、1対の取付部が、係合部に対して周方向に延びてカバー支持部材を径方向外方から囲むように配置されることで、係合部がカバー支持部材に係合した状態を維持しながら、切欠き開口により分断された1対の取付部を大きく弾性変形させることができ、加工装置の構成の異なる複数の機種に対応することができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、前記加工装置が研削装置であり、前記回転加工体は、回転体(21)に被作業面を研削する研削具(22)が設けられた回転研削体(20)である構成としてもよい。
これによれば、防塵カバー構造体は、研削装置の回転研削体に適応して研削された粉塵を外部に撒き散らすことなく防ぐことが可能となる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の防塵カバー構造体(C)において、前記カバー支持部材(10)は、前記回転研削体(20)に隣接して配置されて前記防塵カバー(30)により覆われると共に周方向での所定角度範囲(θ1)で前記回転研削体(20)を覆う保護カバー(10)であり、前記保護カバー(10)は、前記回転研削体(20)を上方から覆う平板状の上壁(11)を有し、前記上壁(11)の周方向端部(11a,11b)が前記係合部(33,34)に係合するものである。
【0016】
これによれば、防塵カバー構造体は、覆い壁を切欠き開口から周方向の一端を分断するように拡げた状態で、保護カバーが有する上壁の周方向端部自体が係合部に係合すればよく、取付作業が容易になる。また、上壁は平板状であるので、係合部の形状を簡単化できるうえ、径方向での係合位置の自由度も大きくなる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の防塵カバー構造体(C)において、前記覆い壁(Wo)の下端部(32f)よりも下方に延出していて前記被研削面(S1)に接触するスカート部(70)を備え、前記スカート部(70)は、前記覆い壁(Wo)に取り付けられる面ファスナ(61)から構成されるものである。
【0018】
これによれば、また、スカート部が面ファスナから構成されるので、スカート部がブラシから構成される場合に比べてコストを削減できる。また、防塵カバーに対する面ファスナの取付位置の調整や着脱は容易であるので、防塵カバーにおけるスカート部の位置調整が容易になるうえ、防塵カバーから下方へのスカート部の延出量の調整も容易になり、さらに被研削面の隅部を研削する際に、スカート部を部分的に剥がした状態とすることで、スカート部が回転研削体と接触してスカート部に摩耗が発生することを回避できる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の防塵カバー構造体(C)において、前記保持部材(60)は、前記カバー支持部材(10)及び前記覆い壁(Wo)を周方向で囲んで配置されると共に前記覆い壁(Wo)に着脱可能に取り付けられるベルト状部材(60)であり、前記ベルト状部材(60)は、前記覆い壁(Wo)の下端部(32f)から下方に延出していて前記被研削面(S1)に接触するスカート部(70)を構成するものである。
【0020】
これによれば、ベルト状部材の保持部材がスカート部を兼ねるので、部品点数が削減される。また、防塵カバーがベルト状部材によりカバー支持部材に保持されることでスカート部が防塵カバーに保持されるので、スカート部のみを、保持部材とは別個に防塵カバーに取り付ける必要がない。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の防塵カバー構造体(C)において、前記覆い壁(Wo)の下端部(32f)よりも下方に延出していて前記被研削面(S1)に接触するスカート部(70)を構成するブラシ(67)を備え、前記保持部材(60)は、前記カバー支持部材(10)及び前記覆い壁(Wo)を周方向で囲んで配置されると共に前記覆い壁(Wo)に着脱可能に取り付けられる面ファスナ(66)であり、前記ブラシ(67)は、前記面ファスナ(66)に設けられるものである。
【0022】
これによれば、保持部材が面ファスナから構成されるので、カバー支持部材に対して防塵カバーを面ファスナにより容易に取り付けることができる。また、スカート部を構成するブラシは覆い壁に取り付けられる面ファスナに設けられることから、防塵カバーに対する面ファスナの取付位置の調整や着脱は容易であるので、防塵カバーにおけるブラシの位置調整が容易になるうえ、防塵カバーから下方へのブラシの延出量の調整も容易になり、さらに被研削面の隅部を研削する際に、面ファスナを部分的に剥がした状態とすることで、ブラシが回転研削体と接触してブラシに摩耗が発生することを回避できる。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の防塵カバー構造体(C)において、前記覆い壁(Wo)は、周方向での特定角度範囲(θ2)に渡って、前記回転研削体(20)との径方向空隙(c1)が前記特定角度範囲(θ2)以外の範囲に比べて小さい近接部(37)を有するものである。
【0024】
これによれば、被研削面のうちの、被研削面から立ち上がる立上がり壁面の近傍部分である隅部が、研削装置により研削される際に、近接部を立上がり壁面に押し付けることにより、回転研削体を壁面に近づけるための防塵カバーの変形量を小さくできる。
【0025】
請求項9記載の発明は、請求項3から請求項8のいずれか1項記載の防塵カバー構造体(C)において、前記防塵カバー(30)は、前記防塵カバー(30)により形成されるダスト空間(A)内の研削粉が吸引される吸込通路(43)を形成する吸込通路形成部(35)と、前記回転研削体(20)の上方に配置されて前記回転研削体(20)の上方で浮遊する研削粉を前記吸込通路(43)に案内する案内部(36)と、を有するものである。
【0026】
これによれば、回転研削体の上面付近で回転研削体に引きずられて旋回しようとする研削粉は、回転研削体の上面に突出する案内部により案内されて吸込通路に向けて移動するので、回転研削体の上方で浮遊する研削粉が回転研削体に連れ回りすることが抑制される。
【0027】
請求項10記載の発明は、装置本体(1)に回転可能に支持されて被作業面を研削又は切削する回転加工体(20A)を覆う防塵カバー(100)と、前記装置本体に結合される円弧状の外周壁(12)を有するカバー支持部材(10)に前記防塵カバーを保持する保持部材(140)と、を備える防塵カバー構造体(CA)において、前記防塵カバー(100)は、前記回転加工体の有効作業面を露出させた状態で覆う覆い壁(130)と、この覆い壁の一端側に形成され、切粉を集塵する集塵装置(7)に接続する接続部(101)と、前記覆い壁(130)に形成されて前記カバー支持部材(10)に係合する係合部(112)と、を備え、前記覆い壁(130)は、前記接続部にそれぞれの一端側を支持して対面し、前記外周壁(12)に沿って形成された外周面(115、122)を有する
第1側壁(110)及び第2側壁(120)を備え、前記第1側壁(110)は、前記回転加工体(20A)を回転駆動する駆動軸が挿通されると共に当該第1側壁を周方向に分断する切欠き開口(114)が側壁面から外周面(115)にわたって形成され、かつ、前記側壁面の切欠き開口における両側となる位置に前記係合部(112,112)が配置され、前記防塵カバー(100)は、少なくとも前記第1側壁(110)がゴム状弾性材から形成され、前記係合部が前記カバー支持部材に係合して、かつ、前記装置本体に結合されている状態の前記カバー支持部材(10)に、前記保持部材(140)により保持されて、前記カバー支持部材に着脱可能に取り付けられる構成とした。
【0028】
これによれば、防塵カバー構造体は、接続部にその一端側を支持される覆い壁の第1側壁および第2側壁を互いに弾性力に抗して離間するように広げて、第1側壁の円弧状の外周面を装置本体のカバー支持部材の円弧状の外周壁に当接させた状態で、第1側壁を変形させながら切り欠き開口の両側に設けた係合部をカバー支持部材に係合させる。そして、防塵カバー構造体は、第1側壁を第2側壁に当接する方向に閉じて装置本体の回転加工体の両側面に沿って第1側壁及び第2側壁を配置する。そして、防塵カバー構造体は、カバー支持部材の外周壁に位置する第1側壁及び第2側壁の部分を保持部材により保持することで装置本体に取付けられる。防塵カバー構造体は、第1側壁の切り欠き開口を弾性変形することにより、回転加工体を装置本体から取り外すことなく、防塵カバーを取り付けることができる。また、防塵カバー構造体は、装置本体のカバー支持部材に取り付けられると、外部に設置される集塵装置の接続ホースと接続部とが接続された状態で加工作業が行われる。加工作業を行う場合には、防塵カバー構造体は、回転加工体の有効作業面が露出した状態で回転加工体を覆っているため、回転加工体が回転して被作業面に接触することで発生する切粉の飛散を、防塵カバー体により抑制して、接続部から集塵装置に集塵することができる。
【0029】
請求項11記載の発明は、請求項10に記載の防塵カバー構造体において、前記保持部材は、前記第1側壁及び前記第2側壁のそれぞれの弧状部の内周面に設けられると共に、前記カバー支持部材の弧状部の外周面に設けられた面ファスナ(141,142,143)である構成とした。
これによれば、防塵カバー構造体は、第1側壁及び第2側壁のそれぞれの弧状部の内周面に設けた面ファスナを、カバー支持部材の弧状部の外周面に設けた面ファスナに係合することで装置本体の回転加工体に対して防塵カバーを取り付けることができる。
【0030】
請求項12記載の発明は、請求項10又は請求項11に記載の防塵カバー構造体において、前記保持部材は、前記第1側壁及び前記第2側壁の弧状部の内周面を前記カバー支持部材の弧状部の外周面に沿わせた状態で、前記第1側壁及び前記第2側壁の弧状部の外周に当接して保持する保持クランプ(150)であって、前記保持クランプは、第1ベルト(151)及び第2ベルト(152)と、前記第1ベルト及び前記第2ベルトのそれぞれの一端に設けられ締結解放を自在にするクランプ部(153)とを備え、前記第1ベルト及び第2ベルトは、それぞれの一端側に、前記カバー支持部材の弧状部の一端と他端にそれぞれ係止する係止部(151a,152a)を有し、前記クランプ部は、前記第1ベルトの他端側に設けたクランプ係合部(153A)と、前記第2ベルトの他端側に設けられ前記クランプ係合部を支持するクランプ支持部(153d)とを有する構成とした。
【0031】
これによれば、防塵カバー構造体は、第1側壁及び第2側壁のそれぞれの弧状部をカバー支持部材の弧状部の外周面に当接させた状態で、第1ベルトの係止部をカバー支持部材の弧状部の一端に係止し、かつ、第2ベルトの係止部をカバー支持部材の弧状部の他端に係止して、第1ベルトのクランプ係合部と、第2ベルトのクランプ支持部とを締結させることで、防塵カバーをカバー支持部材に取り付けられる。
【0032】
請求項13の発明は、請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の防塵カバーの構造体において、防塵カバー(100)は、前記接続部側から前記第2側壁側に前記回転加工体の切刃が回転して移動する移動経路に対応して、前記第2側壁(120)又は前記接続部(103)から前記回転加工体の側面に近接する位置まで突出させ、前記回転加工体の側方に浮遊する切粉を前記接続部の吸込通路(101a)に案内する案内部(108)を設けた構成とした。
これによれば、防塵カバー構造体は、回転加工体が高速で回転して被加工物を切削又は研削して発生する切粉を、回転加工体の回転で防塵カバー内に巻き込んだときに、切粉の浮遊移動する通路上となる位置に設けた案内部により、切粉の回転方向の移動を妨げて接続部の吸引通路に導くことができる。
【0033】
請求項14記載の発明は、請求項1から請求項9のいずれか1項記載の防塵カバー構造体(C)を備えることを特徴とする研削装置(G)である。
これによれば、研削装置は、回転研削体及びカバー支持部材の着脱とは無関係に取り付けられる防塵カバー構造体を備えるため、防塵カバーの取付作業性が向上する。
【0034】
請求項15記載の発明は、請求項1及び請求項2並びに請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の防塵カバー構造体(CA)を備える切削装置として構成した。
これによれば、切削装置は、回転切削体及びカバー支持部材の着脱とは無関係に取り付けられる防塵カバー構造体を備えるため、防塵カバーの取付作業性が向上する。
【発明の効果】
【0035】
請求項1記載の発明によれば、防塵カバー構造体は、覆い壁が切欠き開口により周方向の一端側で分断されたことで容易に弾性変形でき、また、カバー支持部材に対して係合部が係合することから、回転加工体及びカバー支持部材を本体に対して着脱する必要がなく、研削装置への取り付けが容易になる。
請求項2記載の発明によれば、防塵カバー構造体は、1対の取付部が、係合部に対して周方向に延びていることで大きな弾性変形が可能となるので、回転加工体の外径やカバー支持部材の外径や形状が異なる機種の研削及び切削を行う加工装置に容易に取り付けることが可能になり、防塵カバーの汎用性が向上する。
【0036】
請求項3記載の発明によれば、防塵カバー構造体は、研削装置に適用したときに、回転研削体を覆うように容易に取り付けることが可能となる。
請求項4記載の発明によれば、防塵カバー構造体は、保護カバーの平板状の上壁面における周方向端部自体が係合部に係合することから、係合部の形状を簡単化でき、しかも上壁の径方向での係合位置の自由度を大きくすることができて、防塵カバーの汎用性の向上に寄与する。
【0037】
請求項5記載の発明によれば、防塵カバー構造体は、スカート部が面ファスナであるので、覆い壁に対するスカート部の位置調整及び下方への延出量の調整が容易化される。また、被研削面の隅部の研削の際に、一部を覆い壁から剥がすことにより回転研削体との接触によるスカート部の摩耗が回避される。
請求項6記載の発明によれば、防塵カバー構造体は、保持部材がスカート部を兼ねるので、部品点数を削減してスカート部を設けることができてコストを削減でき、しかも防塵カバーにスカート部を設ける手間が簡素化される。
請求項7記載の発明によれば、保持部材が面ファスナであることにより、カバー支持部材に対する防塵カバーの着脱が容易になる。また、ブラシが防塵カバーの覆い壁に取り付けられる面ファスナに設けられるので、覆い壁に対する面ファスナの取り付け位置の位置調整により覆い壁に対するブラシの位置調整及び下方への延出量の調整が容易化され、さらに被研削面の隅部の研削の際に、ブラシが設けられた面ファスナの一部を覆い壁から剥がすことにより回転研削体との接触によるブラシの摩耗が回避される。
【0038】
請求項8記載の発明によれば、防塵カバー構造体は、被研削面の隅部を研削する際に、近接部を被研削面と立上がり壁面に当接させることで、回転研削体を壁面に近づけるための防塵カバーの変形量を小さくできるので、当該隅部の研削が容易になる。
【0039】
請求項9記載の発明によれば、防塵カバー構造体は、回転研削体の上方で浮遊する研削粉が回転研削体に連れ回りすることが案内部により抑制されるので、研削粉の集塵効率が向上して、研削粉を防塵カバーにより形成されるダスト空間内から効率よく集塵できる。
請求項10記載の発明によれば、防塵カバー構造体は、回転加工体及びカバー支持部材を外すことなく、回転加工体の有効作業面を露出させた状態で第1側壁及び第2側壁が覆う状態として、容易に取り付けることが可能となる。
請求項11、12記載の発明によれば、保持部材を面ファスナあるいは保持クランプとしているため、簡易な構成で防塵カバーの装着離脱が更に容易に行うことができる。
請求項13記載の発明によれば、案内部を設けることで、切粉を接続部の吸引通路に効率よく導くことが可能となる。
請求項14、15記載の発明によれば、研削装置及び切削装置は、回転研削体又は回転切削体及びカバー支持部材の着脱とは無関係に取り付けられる防塵カバー構造体を備えるため、防塵カバーの取付作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態を示し、本発明が適用された防塵カバー構造体を備える研削装置の上方からの分解斜視図であり、集塵装置が模式的に示されている。
【図2】図1の研削装置の要部の平面図であり、図4(a)のII−II矢視での要部の図である。
【図3】図1の研削装置の要部の底面図である。
【図4】(a)は、図2のIVa−IVa線断面図であり、(b)は、図2のIVb−IVb線断面図である。
【図5】図1の研削装置の防塵カバー単体の下方からの斜視図である。
【図6】図1の研削装置の防塵カバー単体の底面図である。
【図7】(a)は、図1の研削装置により被研削面の隅部が研削されるときの防塵カバー構造体の要部平面図であり、(b)は、(a)のb−b線断面図である。
【図8】図1の研削装置での防塵カバーの取付手順を説明する概略の要部上平面図であり、(a)は、研削装置において防塵カバーが保護カバーから分離されている状態を示し、(b)は、保護カバーに対して防塵カバーが係合の途中にある状態を示し、(c)は、防塵カバーが保護カバーに係合して保持され、面ファスナにより保持される前の状態を示し、(d)は、防塵カバーが係合部および面ファスナにより保持された状態を示す。
【図9】図1の研削装置の防塵カバー構造体の変形例を示し、防塵カバーの下方からの要部斜視図である。
【図10】図1の研削装置の防塵カバー構造体の別の変形例を示し、(a)は、ベルト状部材およびスカート部の上方からの斜視図であり、(b)は、図4(a)に相当する図の要部を示す断面図である。
【図11】(a)、(b)、(c)は、本発明に係る防塵カバー構造体の他の構成を示し、防塵カバー構造体の装着前と装着したときの状態を表わす斜視図である。
【図12】(a)、(b)、(c)は、本発明に係る防塵カバー構造体の他の構成を示し、図11で示す本体をひっくり返して反対方向から防塵カバー構造体の装着状態を示す斜視図である。
【図13】本発明の防塵カバー構造体を模式的に示す斜視図である。
【図14】本発明の防塵カバー構造体を装着した状態を模式的に示す平面図である。
【図15】本発明の防塵カバー構造体を装着した状態を模式的に示す図14のX−X線における断面図である。
【図16】本発明の防塵カバー構造体を装着し集塵ホース及集塵装置に接続した状態を模式的に示す側面図である。
【図17】本発明の防塵カバー構造体の保持部材の他の構成を模式的に示す断面図である。
【図18】(a)、(b)、(c)は、本発明の防塵カバーに切込溝を形成した構成を示す斜視図、動作説明図、及び、接合筒部が変形したときの模式図である。
【図19】(a)、(b)、(c)は、本発明の防塵カバーに案内部を設けた構成を模式的に示す横断面図、一部を切欠いた斜視図、縦断面図である。
【図20】本発明の防塵カバー構造体の保持部材の更に他の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明に係る防塵カバー構造体についての実施形態を図面を参照して説明する。
図1に示されるように、本発明が適用された防塵カバー構造体Cを取り付けた研削装置Gは、コンクリート、金属または合成樹脂などの形成材料で形成された構造物または物品である研削対象物が有する面を被研削面S1(図4(a)参照)として研削するために使用され、当該被研削面S1における凸部、付着物または塗膜等の被研削物を削り取る。
【0042】
図1〜図4(a)に示されるように、携帯型の研削装置Gは、作業者が把持する把持部4が設けられた本体1と、当該本体1に回転可能に支持されて被研削面S1を研削する回転研削体20と、本体1に設けられて回転研削体20を回転駆動する駆動装置16と、本体1に設けられると共に防塵カバー30が着脱可能に取り付けられるカバー支持部材としての保護カバー10とを備えている。また、研削装置Gには、回転研削体20による被研削面S1の研削時に発生する研削粉の飛散を防止または抑制すべく回転研削体20を覆う防塵カバー30を備える防塵カバー構造体Cが取り付けられている。そして、研削装置Gに取り付けた防塵カバー構造体Cの防塵カバー30により形成されるダスト空間A内の研削粉を吸引して集める集塵装置7が防塵カバー30に接続されている。
【0043】
集塵装置7は、ダスト空間A内の空気及び研削粉を吸い出す吸引力を発生すると共に吸引した研削粉を集める集塵機8と、集塵機8及び防塵カバー30に接続されると共にダスト空間A内の研削粉を空気と共に集塵機8に導く集塵通路9aを形成する部材である集塵ホース9(図6に二点鎖線で示される。)とを備える。
【0044】
本体1は、把持部4が着脱可能に設けられると共に駆動装置16を収容するケース2と、保護カバー10が結合されて固定される結合部3とを備える。結合部3は、回転研削体20の回転中心線Lgに沿ってケース2から軸線方向で下方に突出している筒状の、ここでは円筒状の部分であり、駆動装置16の駆動軸18を収容する収容部でもある。
【0045】
なお、明細書または特許請求の範囲において、軸線方向は、回転研削体20の回転中心線Lgまたは防塵カバー30の中心線Lc(図6参照)に平行な方向であるとし、径方向及び周方向は、それぞれ、回転中心線Lgまたは中心線Lcを中心とする径方向及び周方向であるとし、便宜上、軸線方向において、回転研削体20に対して被研削面S1が位置する方向を下方とし、当該下方と反対の方向を上方とする。
【0046】
保護カバー10は、防塵カバー30を形成しているゴム状弾性材である軟質材料に比べて破壊強度及び硬さが大きい材料である硬質材料、例えば金属または合成樹脂であり、この実施形態では鉄から形成されている。保護カバー10は、回転研削体20が高速回転することから作業者の手指を保護するためのものである。さらに、保護カバー10は、ダスト空間A内に集塵装置7が発生する吸引力によりダスト空間A内の圧力が負圧状態になるときの防塵カバー30の過度の変形を防止すると共に、研削装置Gの安全性を高めている。
【0047】
回転研削体20に隣接して配置される保護カバー10は、結合手段としてのクランプ14により、結合部3に着脱可能に取り付けられる。
保護カバー10は、軸線方向で上方から回転研削体20を覆うと共に軸線方向に直交する平面にほぼ平行な平板状の支持側の上壁11と、当該上壁11の外周縁に連なると共に上壁11から回転中心線Lgに沿って下方に延びている支持側の第1周壁である外周壁12と、上壁11の内周縁に連なると共に上壁11から回転中心線Lgに沿って上方に延びている支持側の第2周壁である内周壁13とを有する。そして、上壁11及び外周壁12は、回転研削体20を覆う支持側覆い壁Wiを構成する。
【0048】
内周壁13は、当該内周壁13に結合具としての1対のネジ15,15により結合されるクランプ14と共に、結合部3を径方向外方から締め付けることにより結合部3に固定される。
回転研削体20の径方向外方に位置する外周壁12の下端部12cは、回転研削体20の最下部である後述する研削具22,22,…よりも上方に位置する。
【0049】
保護カバー10の上壁11及び外周壁12は、周方向での所定角度範囲θ1で回転研削体20の一部を覆い、したがって研削粉の飛散を抑制する機能を有する一方、周方向での両端部11a,11b及び両端部12a,12bをそれぞれ有する。このため、回転研削体20は、周方向での所定角度範囲θ1以外の角度範囲で、保護カバー10から露出している。所定角度範囲θ1は、この実施形態では、ほぼ180°であるが、別の例では、180°よりも小さいか、または180°よりも大きくてもよい。
そして、この実施形態において、ダスト空間Aは、防塵カバー30及び保護カバー10により形成される。
【0050】
ケース2に設けられる駆動装置16(図1参照)は、ケース2内に収容されて回転研削体20を回転駆動する駆動源としての電動機17と、当該電動機17が発生する駆動力を回転研削体20に伝達して、回転研削体20を回転駆動する伝動機構(図示されず)とを有し、当該伝動機構は、回転研削体20が結合される駆動部材としての駆動軸18を有する。本体1に軸受を介して回転可能に支持される駆動軸18は、結合部3内とダスト空間Aとに渡って延びている。回転研削体20は、駆動軸18の下端部に螺合する固定手段としてのナット19により、回転中心線Lgを有する駆動軸18と結合される。それゆえ、駆動軸18と一体に回転する回転研削体20は、駆動軸18を介して本体1に回転可能に支持される。
【0051】
回転研削体20は、駆動軸18にナット19により着脱可能に結合されるカップ状の回転体21と、回転体21に設けられて被研削面S1を研削する研削具22,22,…とを有する。複数の研削具22,22,…は、軸線方向で被研削面S1に対向して回転体21に分散されて固定されている。回転体21は、研削具22,22,…が設けられると共に回転中心線Lgに直交する平面にほぼ平行な平板状部である環状部21aと、環状部21aから上方に突出すると共にナット19により駆動軸18に結合される円筒状の筒状部21bとを有する。
回転研削体20の別の例として、回転体21自体または環状部21a自体が研削具により構成されてもよい。
【0052】
図1〜図6に示されるように、防塵カバー構造体Cは、回転研削体20及び保護カバー10を上方及び径方向外方で覆う防塵カバー30のほかに、保護カバー10に防塵カバー30を保持する保持部材としてのベルト状部材60と、防塵カバー30に設けられるスカート部70と、を備える。
防塵カバー30は、ゴム状弾性を有するゴム状弾性材、例えばゴムまたは合成樹脂、この実施形態ではゴムから形成されている。
【0053】
防塵カバー30は、回転研削体20に結合される駆動軸18が挿通される挿通穴41が形成されたカバー側の上壁31と、当該上壁31の外周縁に連なって形成されて保護カバー10の外周壁12の少なくとも一部を囲む外周壁であるカバー側の周壁32と、上壁31または周壁32の内側(すなわち、上壁31または周壁32においてダスト空間A側)に形成された1対のカバー側係合部33,34と、集塵ホース9が接続される接続部35と、ダスト空間A内の空気及び研削粉を吸込通路43に案内する案内部36とを有している。
防塵カバー30において、上壁31及び周壁32は、周方向で回転研削体20を覆うカバー側覆い壁Woを構成する。そして、上方及び径方向外方から回転研削体20を覆う覆い壁Woは、保護カバー10の覆い壁Wiである内側覆い壁を、上方及び径方向外方から覆う外側覆い壁である。
【0054】
図1,図2,図4(a)に示されるように、挿通穴41は、防塵カバー30の中心線Lcを中心に結合部3および駆動軸18よりも大径に形成されて結合部3及び駆動軸18が挿通し得る大きさである中心穴41aと、中心穴41aから径方向に延びている径方向穴(径方向溝)41bとから構成される。一方、周壁32には、連絡穴としての径方向穴41bに連なる切り口42が形成される。そして、上壁31を周方向に分断する挿通穴41と、周壁32を周方向に分断する切り口42とから構成される1つの切欠き開口40により、上壁31及び周壁32が(したがって、覆い壁Woが)周方向に部分的に分断される。
覆い壁Woに切欠き開口40が形成されることにより、防塵カバー30は、軸線方向から見て(以下、「平面視」という。)でほぼC形の形状を呈する。
【0055】
中心線Lcに直交する平面にほぼ平行な平坦な上面31sを有する上壁31は、柔軟部(または低剛性部)としての薄肉部31aと、軸線方向での肉厚が薄肉部31aよりも大きく、薄肉部31aよりも剛性が高い高剛性部としての厚肉部31bと、径方向内方で厚肉部31bに連なる補強リブ31cとを有する。薄肉部31aは、防塵カバー30において厚肉部31bに比べて径方向及び軸線方向に弾性変形し易い部分である。また、薄肉部31aとほぼ同じ肉厚を有する補強リブ31cは、防塵カバー30を軽量化しながら厚肉部31bの剛性を高めている。
【0056】
図1〜図3,図5,図6に示されるように、厚肉部31bには、保護カバー10が有する1対の支持側係合部としての周方向端部11a,11bがそれぞれ挿入される挿入溝33a,34aがそれぞれ形成された1対の係合部33,34と、厚肉部31bの外側(すなわち、厚肉部31bにおいてダスト空間A側とは反対側)に位置する接続部35と、厚肉部31bから下方に向かって突出する案内部36とが形成され、さらに接続部35により形成されると共に集塵通路9aに連通する吸込通路43が開口する。
ここで、厚肉部31bは、同一構造の両係合部33,34を連結する連結部を構成する。接続部35は吸込通路43を形成する吸込通路形成部である。また、挿入溝33a,34aは軸線方向に直交する平面にほぼ平行に形成されている。
【0057】
図5,図6に示されるように、吸込通路43の入口43aは、厚肉部31bにおいて一方の係合部33付近でダスト空間A(図4(a)参照)に開口する。このため、吸込通路43における入口43a付近の部分及び入口43aが厚肉部31bに形成されるので、吸込通路43が形成されることによる防塵カバー30の剛性の低下が抑制される。
【0058】
薄肉部31aは、径方向穴41bに対して周方向で当該径方向穴41bを挟んで弧状に延びていると共に厚肉部31bに連なる1対の第1柔軟部としての第1薄肉部31a1,31a2と、平面視で厚肉部31bを挟んで各第1薄肉部31a1,31a2とは反対側に配置されると共に径方向外方で厚肉部31bに連なる弧状の第2柔軟部としての第2薄肉部31a3とを有する。
径方向穴41bに対して周方向で互いに反対方向に延びている1対の第1薄肉部31a1,31a2は、厚肉部31bまたは1対の係合部33,34とそれぞれ周方向で連なる基部31a5,31a7と、径方向穴41bの周方向幅d1を規定する1対の周方向端部31a6,31a8とを有する。
【0059】
径方向で厚肉部31bに連なる第2薄肉部31a3には、集塵装置7による研削粉の吸引時に、防塵カバー30の外側の空気をダスト空間A内に導く空気取入口44が周方向に細長く延びて形成されている。空気取入口44は、軸線方向で上方から見て回転研削体20の回転体21の外周部と研削具22,22,…の径方向外端部または外周部とが露出する位置にあり、防塵カバー30が本体1に取り付けられた状態でそれらの位置を視認可能な視認用開口を兼ねる(図2,図3参照)。
【0060】
周壁32は、柔軟部(または低剛性部)としての薄肉部32nと、径方向での肉厚が薄肉部32nよりも大きく、薄肉部32nよりも剛性が高い高剛性部としての厚肉部32mとを有する。また、軸線方向での幅が周方向での全範囲でほぼ均一の周壁32において、その下端部32f(図4(a)参照)は、防塵カバー30が保護カバー10を介して本体1に取り付けられた状態で、回転研削体20の環状部21aよりも上方に位置する。
そして、周壁32は、1対の第1薄肉部31a1,31a2にそれぞれ連なると共に薄肉部32nから構成される1対の第1弧状部32a,32bと、第2薄肉部31a3に連なると共に薄肉部32nから構成される第2弧状部32cと、周方向で第1,第2弧状部32a,32cの間および第1,第2弧状部32b,32cの間にそれぞれ位置すると共に厚肉部31bに連なる1対の第3弧状部32d,32eとを有する。各第3弧状部32d,32eは厚肉部32mから構成される。
そして、防塵カバー30の中心線Lcは、平面視で、1対の第1弧状部32a,32bの内周面の、ほぼ曲率中心である。
【0061】
図5,図6に示されるように、切り口42に対して周方向で互いに反対方向に延びている1対の第1弧状部32a,32bは、厚肉部31bと周方向で連なる基部32a1,32b1と、切り口42の周方向幅d2を規定する1対の周方向端部32a2,32b2とを有する。
第1弧状部32aは、周方向で第3弧状部32dに近づくにつれて肉厚が漸増する厚肉部分32a3を有する。そして、基部32a1は該厚肉部分32a3から構成される。また、第1弧状部32aの周方向端部32a2および当該周方向端部32a2付近と、第1弧状部32bと、第2弧状部32cとは、それぞれの周方向での形成範囲でほぼ均一の肉厚であって、薄肉部31aの肉厚とほぼ同じ肉厚を有する。第3弧状部32dは、周方向で第1弧状部32a寄りに、かつ周方向での第1係合部33の形成範囲とほぼ同じ周方向範囲で局部的に径方向内方に向かって突出する厚肉部分32d1を有する。
【0062】
なお、別の例として、第1弧状部32aは、周方向での全範囲でほぼ均一の肉厚であって、薄肉部31aの肉厚とほぼ同じ肉厚を有していてもよい。
また、この実施形態では、防塵カバー30が保護カバー10に取り付けられてない自然状態にあるとき、両周方向幅d1,d2は同一であるが、別の例では、両周方向幅d1,d2が異なる値に設定されてもよい。
第2弧状部32cは、周壁32において、周方向での特定角度範囲θ2に渡って、回転研削体20との径方向空隙c1(図3参照)が特定角度範囲θ2以外の範囲に比べて小さい近接部37を構成する。
【0063】
そして、防塵カバー30において、各第1薄肉部31a1,31a2及び各第1弧状部32a,32bは、防塵カバー30の1対の取付部51,52それぞれを構成し、第2薄肉部31a3及び第2弧状部32cは、回転研削体20により被研削面S1の隅部S1aが研削される際に、被研削面S1に対して上方に立ち上がる立上がり壁面S2(図4(a)参照)に押し付けられる押付け部53を構成する。
各取付部51,52は、厚肉部31bまたは各係合部33,34に対して周方向に延びていると共に、保護カバー10の外周壁12に、当該外周壁12の径方向外方でベルト状部材60により保持される。
また、第1薄肉部31a1の基部31a5と第1弧状部32aの基部32a1とは、厚肉部31bおよび第3弧状部32dに連なる取付部51の基部51aを構成し、第1薄肉部31a2の基部31a7と第1弧状部32bの基部32b1とは、厚肉部31bおよび第3弧状部32eに連なる取付部52の基部52aを構成する。
【0064】
また、防塵カバー30の中心線Lcを含むと共に切り口42を通る仮想平面の1つを特定平面Pとするとき、1対の係合部33,34、そして1対の取付部51,52は、特定平面Pの両側にそれぞれ1つずつ配置されるように設けられる。そして、この実施形態では、1対の係合部33,34、1対の取付部51,52、空気取入口44は、特定平面Pを対称面として、当該特定平面Pに関してほぼ面対称に配置されている。
中心線Lcは、防塵カバー30が保護カバー10に取り付けられてない自然状態で回転中心線Lgに平行な直線であるとし、防塵カバー30が保護カバー10に取り付けられた状態で、回転中心線Lgにほぼ一致するか、または回転中心線Lgの付近に位置する。
【0065】
径方向穴41b及び切り口42のそれぞれの周方向幅d1、d2は、各係合部33,34が対応する保護カバー10の各周方向端部11a,11bに係合した状態で、防塵カバー30の1対の取付部51,52の弾性変形により周方向に変更可能である。このため、1対の取付部51,52を弾性変形させて拡径または縮径することにより、同じ防塵カバー30を、例えば保護カバー10の外周壁12の外径や形状が異なる複数の研削装置に対して、取り付けることができる。
【0066】
上壁31の上面31sから上方に突出すると共に平面視で入口43a近傍の周壁32での接線方向にほぼ沿って延びている接続部35には、ダスト空間A内の研削粉を吸引する集塵ホース9が接続される。挿通穴41よりも径方向外方に配置される接続部35は、異なる口径の接続端部を有する集塵ホース9が、それぞれ嵌合可能な、ここでは外嵌合可能な外径が異なる複数の、この実施形態では2つの嵌合部である外嵌合部35a,35bを有する。図6に示されるように、外嵌合部35aに嵌合する集塵ホース9(二点鎖線で示される。)とは、接続端部の口径が異なる別の集塵ホース91が別の外嵌合部35bに接続されたときの状態が別の二点鎖線で示されている。
【0067】
このように、口径が異なる集塵ホース9を接続部35に接続することができるので、防塵カバー30の汎用性が高められ、防塵カバー30のコストが削減される。
また、保護カバー10は、接続部35に集塵ホース9が接続された状態での防塵カバー30が集塵ホース9の重量により曲げ変形して、周壁32または上壁31が回転研削体20に接触することを防止するために、防塵カバー30の過度の前記曲げ変形を抑制する変形抑制部材として機能する。そのために、接続部35及び保護カバー10は、平面視で部分的に互いに重なる位置、より具体的には、接続部35が、その一部である外嵌合部35a,35b寄りの部分で、保護カバー10の上壁11および外周壁12のそれぞれの一部と重なる位置に配置される。
【0068】
さらに、接続部35は、平面視で、周壁32において肉厚が大きいことにより剛性が高められた高剛性部位を構成する基部32a1および第3弧状部32dと重なる位置に設けられるので、当該高剛性部位(すなわち、基部32a1および第3弧状部32d)によっても前記曲げ変形が抑制される。しかも、第3弧状部32dは、平面視で接続部35と重なる位置に厚肉部分32d1を有するので、この厚肉部分32d1により前記曲げ変形が一層抑制される。
【0069】
保護カバー10に被せられて取り付けられる防塵カバー30は、その周壁32にて、ベルト状部材60により、周壁32及び切り口42が保護カバー10の外周壁12の外周側に位置する状態で保持される。そして、保護カバー10に防塵カバー30が取り付けられた状態で、各取付部51,52の上壁部分である各第1薄肉部31a1,31a2は保護カバー10の上壁11に載置された状態で上壁11により保持される。
【0070】
図1〜図3,図4(a)に示されるように、防塵カバー30の周壁32の外周面に巻き付けられると共に当該周壁32に着脱可能に取り付けられるベルト状部材60は、周方向での両端を有する帯状の面ファスナ61により構成される。そのため、押付け部53を構成する第2弧状部32cを除いて、周壁32の、各第1弧状部32a,32b及び各第3弧状部32d,32eの外周面には、ベルト状部材60が着脱可能に取り付けられる取付支持部としての支持側面ファスナ62が固定手段により固定されている。なお、面ファスナ62を防塵カバー30の周壁32に固定する前記固定手段は、例えば、接着剤、両面テープまたは止め具(具体的には、リベット、ステープラ用つづり針またはハトメなど)などであり、さらに接着剤、両面テープおよび止め具の少なくとも2種類の組み合わせ、または複数の種類の止め具の組み合わせである。一例として、接着剤または両面テープで固定された面ファスナ62を、止め具であるリベット、ステープラ用つづり針またはハトメで部分的に固定することにより、防塵カバー30に面ファスナ62をより確実に固定できる。
【0071】
防塵カバー30を保護カバー10に着脱可能に取り付けるために、係合部33,34及びベルト状部材60により構成される第1取付手段のほかに、防塵カバー構造体Cには、第2取付手段が設けられる。
この第2取付手段は、各第1弧状部32a,32bの内周面に固定手段(例えば接着)により着脱可能に取り付けられて設けられる取付側結合手段としての取付側面ファスナ63と、保護カバー10の外周壁12の外周面に固定手段(例えば接着)により着脱可能に取り付けられて設けられて、面ファスナ63が着脱可能に付着して取り付けられる支持側結合手段としての支持側面ファスナ64とから構成される。
なお、ベルト状部材60による保護カバー10への防塵カバー30の保持が前記第1取付手段のみで十分な場合には、前記第2取付手段は設けられなくてもよい。また、当該第2取付手段は、面ファスナ以外の部材(例えば両面接着テープ)から構成されてもよい。
【0072】
このように、防塵カバー30は、係合部33,34及び面ファスナ61により、保護カバー10の上壁11及び外周壁12で、したがって保護カバー10における本体1への固定部である内周壁13以外の部分で、保護カバー10に取り付けられる。
また、保護カバー10の各周方向端部11a,11bは、取付部51,52の弾性変形時に保護カバー10に対して係合部33,34が軸線方向に移動することを規制する一方、径方向での係合部33,34の若干の移動を許容するように、対応する係合部33,34に係合する。このため、各係合部33,34により、防塵カバー30は保護カバー10に対して軸線方向での移動が僅かとなるように規制される一方、拡径及び縮径される各取付部51,52が径方向に弾性変形し易くされるので、防塵カバー30が各係合部33,34で保護カバー10に保持された状態において、ベルト状部材60または面ファスナ61による保護カバー10への防塵カバー30の保持が容易になる。
【0073】
図1,図4に示されるように、ベルト状部材60である面ファスナ61は、防塵カバー30の周壁32に取り付けられて当該防塵カバー30を保護カバー10に保持した状態で、周壁32の下端部32fから下方に延出している延出部を有し、ベルト状部材60の一部である当該延出部は、防塵カバー30が被研削面S1に接触することを防止すべく、研削時に被研削面S1に接触するスカート部70を構成する。
【0074】
図7(a),(b)に示されるように、研削装置Gにより被研削面S1の隅部S1a(図4(a)参照)が研削される際、押付け部53が作業者により立上がり壁面S2に押し付けられることで、周壁32の第2弧状部32c(すなわち、近接部37)及び上壁31の第2薄肉部31a3が径方向内方に向かって変形する。この状態で、壁面S2に近づけられた回転研削体20により隅部S1aが研削される。
このとき、面ファスナ61を第2弧状部32cから剥がすことにより、面ファスナ61が壁面S2と回転研削体20とに挟まれることが回避されて、面ファスナ61が回転研削体20により研削されて破損することが防止され、また周壁32の第2弧状部32cが回転研削体20の環状部21aよりも上方に位置することで、第2弧状部32cが回転研削体20により研削されて破損することが防止される。
【0075】
また、隅部S1aの研削の際には、押付け部53が立上がり壁面S2に押し付けられた状態で研削作業が行われるため、壁面S2に防塵カバー30が壁面S2で擦られて、壁面S2に防塵カバー30のゴム跡がつくことがある。そこで、壁面S2での押付け部53の跡が目立たないようにするためには、壁面S2に近い色、例えば壁面S2がコンクリート製の壁面S2であれば、防塵カバー30を形成するゴムの色は、白色や灰色であることが好ましい。
【0076】
図4〜図6に示されるように、案内部36は、回転研削体20の環状部21aの上方に配置されて上壁の肉厚部から軸線方向で環状部21aに向かって下方に突出して延びていると共に、環状部21aの径方向内方から、入口43aの、回転研削体20の回転方向Rでの回転方向側の端部43a1に向かって径方向に延びている板状の部材である。案内部36の下端部36aと環状部21aとの間の軸線方向での空隙は、当該空隙からの研削粉の漏れを抑制すべく僅少に設定されている。
案内部36は、回転体21の上方で当該回転体21に引きずられて回転中心線Lgを中心に旋回する研削粉を空気流と共に吸込通路43に向けて案内して、回転体21の上面21cに研削粉が堆積することを抑制する。
【0077】
図2,図4(a)に示されるように、結合部3、内周壁13及びクランプ14と、防塵カバー30の上壁31との間には、挿通穴41の一部により、径方向での環状の空隙c2が形成され、当該空隙c2からもダスト空間A内に外気が導かれる。この空隙c2から流入する空気により、ダスト空間A内の研削粉が回転研削体20の回転体21の上面21cに侵入することが抑制されて、吸込通路43に流入し易くなり、研削粉の集塵効率が向上する。
【0078】
図1,図8を参照して、防塵カバー30の取付手順を説明する。
先ず、図8(a)に示されるように、保護カバー10がクランプ14(図1参照)により本体1の結合部3に固定された状態で、1対の係合部33,34(図2も参照)が保護カバー10の1対の周方向端部11a,11bにそれぞれ挿入される(図8(b)参照)。1対の係合部33,34(図3も参照)を保護カバー10の1対の周方向端部11a,11bにそれぞれ係合させる際、防塵カバー30の1対の取付部51,52を弾性変形させて互いに離隔する方向に広げて拡径することにより、各係合部33,34と各周方向端部11a,11bとの係合作業が容易になる。図8(a)には、拡径されたときの1対の取付部51,52が二点鎖線で示されている。
【0079】
次いで、1対の係合部33,34と1対の周方向端部11a,11bとがそれぞれ係合し、防塵カバー30が各係合部33,34により保護カバー10に保持される。そして、保護カバー10に係合している係合部33,34により保護カバー10に仮止めされた状態の防塵カバー30において、1対の取付部51,52を弾性変形させて互いに離隔する方向に拡径することにより、各取付部51,52が保護カバー10の外周壁12の径方向外方に配置される(図8(c)参照)。
その後、外周壁12に面ファスナ62を介してベルト状部材60である面ファスナ61が、各取付部51,52を含めて周壁32を径方向外方から覆うように、一重に巻き付けられて、面ファスナ62と結合される。そして、面ファスナ61により、防塵カバー30が保護カバー10に保持される(図8(d)参照)。
【0080】
なお、回転研削体20は、図8(a)に示されるように、各係合部33,34が各周方向端部11a,11bに係合する前に、ナット19(図1参照)により駆動軸18に結合されていてもよいが、面ファスナ61による防塵カバー30の取付後に、ナット19により駆動軸18に結合されてもよい。
そして、本体1に取り付けられた状態の防塵カバー30に対して、その接続部35に集塵装置7の集塵ホース9(図6参照)が接続される。
【0081】
次に、前述のように構成された実施形態の作用及び効果について説明する。
研削装置Gの防塵カバー構造体Cは、回転研削体20を覆う防塵カバー30と、本体1に結合される保護カバー10に防塵カバー30を保持するベルト状部材60とを備え、ゴム状弾性材から形成される防塵カバー30は、回転研削体20を覆う覆い壁Woと、覆い壁Woに形成されて保護カバー10の1対の周方向端部11a,11bにそれぞれ係合する1対の係合部33,34とを有し、覆い壁Woには、回転研削体20を回転駆動する駆動軸18が挿通されると共に覆い壁Woを周方向に分断する切欠き開口40が形成され、防塵カバー30は、本体1に結合されている状態の保護カバー10に、覆い壁Woがベルト状部材60により保持され、かつ各係合部33,34が係合することで、保護カバー10に着脱可能に取り付けられる。
【0082】
この構造により、防塵カバー30は、本体1に結合されている状態のカバー支持部材である保護カバー10に、保持部材であるベルト状部材60により保持され、かつ各係合部33,34が係合するので、防塵カバー30が本体1に対する保護カバー10の着脱とは無関係に取り付けられる。この結果、保護カバー10が本体1に着脱可能に取り付けられる研削装置Gにおける防塵カバー30の取付の際に、保護カバー10を本体1に対して着脱する必要がないので、その分、防塵カバー30の取付が容易になる。
また、防塵カバー30の各係合部33,34を保護カバー10に係合させることで、係合部33,34により防塵カバー30が保護カバー10に保持された状態で、ベルト状部材60により防塵カバー30を保護カバー10に取り付けることができ、しかもゴム状弾性材により形成された防塵カバー30は、その覆い壁Wo(したがって、上壁31及び周壁32)が切欠き開口40により周方向に分断されることから、切欠き開口40に駆動軸18を挿通させた状態で、防塵カバー30を容易に弾性変形させることができるので、保護カバー10に対する防塵カバー30の取付容易性が向上する。
【0083】
また、各係合部33,34は防塵カバー30の高剛性部である厚肉部31bに連なって形成されていることにより、各係合部33,34が保護カバー10の各周方向端部11a,11bに係合した状態で、厚肉部31bの剛性により防塵カバー30が安定して保持されるので、この保持安定性が防塵カバー30の取付容易性の向上に寄与する。
【0084】
防塵カバー30の覆い壁Woは、切欠き開口40により周方向に分断された1対の取付部51,52を有し、各取付部51,52は、係合部33,34に対して周方向に延びていると共に、保護カバー10の径方向外方でベルト状部材60により保護カバー10に保持される。この構造により、防塵カバー30を保護カバー10に保持するために、ベルト状部材60により保持される1対の取付部51,52は、係合部33,34に対して周方向に延びていて、しかも保護カバー10を径方向外方から囲むように配置されるので、係合部33,34が保護カバー10に係合した状態を維持しながら、切欠き開口40により分断された1対の取付部51,52を大きく弾性変形させることができる。この結果、同じ防塵カバー30を、当該1対の取付部51,52にて、回転研削体20の外径や保護カバー10の外径が異なる機種の研削装置に容易に取り付けることが可能になり、防塵カバー30の汎用性が向上する。
【0085】
回転研削体20に隣接して配置されて防塵カバー30により覆われると共に周方向での所定角度範囲θ1で回転研削体20を覆う保護カバー10は、回転研削体20を上方から覆う平板状の上壁11を有し、上壁11の両周方向端部11a,11bが1対の係合部33,34にそれぞれ係合する。この構造により、保護カバー10が有する上壁11の各周方向端部11a,11b自体が対応する各係合部33,34に係合されるので、当該係合部33,34に係合させるための特別な部分を保護カバー10に形成する必要がなく、コストが削減される。また、上壁11は平板状であるので、係合部33,34の形状を簡単化できるうえ、径方向での係合位置の自由度を大きくすることができて、防塵カバー30の汎用性の向上に寄与する。
【0086】
防塵カバー構造体Cは、覆い壁Woの下端部32fよりも下方に延出していて被研削面S1に接触するスカート部70を備え、スカート部70は、周壁32に取り付けられる面ファスナ61から構成される。この構造により、スカート部70が面ファスナ61から構成されるので、スカート部70がブラシから構成される場合に比べてコストを削減できる。また、防塵カバー30に対する面ファスナ61の取付位置の調整や着脱は容易であるので、防塵カバー30におけるスカート部70の位置調整が容易になるうえ、防塵カバー30から下方へのスカート部70の延出量eの調整も容易になり、さらに被研削面S1の隅部S1aを研削する際に、スカート部70を部分的に剥がした状態とすることで、スカート部70が回転研削体20と接触してスカート部70に摩耗が発生することを回避できる。この結果、スカート部70が面ファスナ61であるので、覆い壁Woに対するスカート部70の位置調整及び下方への延出量eの調整が容易化される。また、被研削面S1の隅部S1aの研削の際に、一部を剥がすことにより回転研削体20との接触によるスカート部70の摩耗が回避されるので、スカート部70の寿命が延びる。
【0087】
防塵カバー30を保護カバー10に保持する保持部材は、保護カバー10及び覆い壁Woを周方向で囲んで配置されると共に覆い壁Woに着脱可能に取り付けられるベルト状部材60であり、ベルト状部材60は、覆い壁Woの周壁32の下端部32fから下方に延出していて被研削面S1に接触するスカート部70を構成する。この構造により、ベルト状部材60の保持部材がスカート部70を兼ねるので、部品点数を削減してスカート部70を設けることができてコストを削減できる。しかも、防塵カバー30がベルト状部材60により保護カバー10に保持されることでスカート部70が防塵カバー30に保持されるので、スカート部70のみを、ベルト状部材60とは別個に防塵カバー30に取り付ける必要がないことから、防塵カバー30にスカート部70を設ける作業が効率化される。
【0088】
防塵カバー30の覆い壁Woは、周方向での特定角度範囲θ2に渡って、回転研削体20との径方向空隙c1が特定角度範囲θ2以外の範囲に比べて小さい近接部37を有し、当該近接部37が押付け部53を構成することにより、被研削面S1のうちの、被研削面S1から立ち上がる立上がり壁面S2の近傍部分である隅部S1aが、研削装置Gにより研削される際に、押付け部53の近接部37を立上がり壁面S2に押し付けることにより、回転研削体20を壁面S2に近づけるための防塵カバー30の変形量を小さくできる。この結果、被研削面S1の隅部S1aを研削する際に、近接部37を被研削面S1と壁面S2に当接させることで、回転研削体20を壁面S2に近づけるための防塵カバー30の変形量を小さくできるので、当該隅部S1aの研削が容易になる。
【0089】
防塵カバー30は、当該防塵カバー30により形成されるダスト空間A内の研削粉が吸引される吸込通路43を形成する吸込通路形成部である接続部35と、回転研削体20の上方に配置されて回転研削体20の上方で浮遊する研削粉を空気流と共に吸込通路43に案内する案内部36とを有する。この構造により、回転研削体20の上面21c付近で回転研削体20に引きずられて旋回しようとする研削粉は、案内部36により案内されて吸込通路43に向けて移動するので、回転研削体20の回転体21の上方で浮遊する研削粉が回転研削体20に連れ回りすることが抑制される。この結果、研削粉の集塵効率が向上して、研削粉を防塵カバー30により形成されるダスト空間A内から効率よく集塵できる。
【0090】
以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した形態について、変更した構成に関して説明する。
防塵カバー30の周壁32には、異なる研削装置において保護カバー10と回転研削体20の環状部21aとの軸線方向での間隔が異なる場合に、ユーザによる周壁32の高さ(すなわち、周壁32の軸線方向での幅)の設定を容易にするために、周方向で周壁32の全体に渡って、または周方向に間隔を置いて、カッタ等の切断具により周壁32の下部を切り取ることが容易になるように、切取用の周方向溝が形成されてもよい。
カバー支持部材は、研削粉の飛散を抑制するように回転研削体20を覆っていない部材であってもよい。
【0091】
カバー支持部材または保護カバーは、本体の結合部と一体成形されて、当該結合部に固定されて設けられてもよい。
スカート部は、保持部材でないベルト状部材により構成されてもよく、また防塵カバー30に一体成形により設けられてもよく、さらに防塵カバー30の下端部32fに、着脱可能に、または一体形成によりに設けられたブラシであってもよい。
防塵カバーには集塵装置が接続されていなくてもよく、したがって防塵カバーは、接続部35及び案内部36を有していなくてもよく、さらに防塵カバーに吸込通路43が形成されていなくてもよい。
【0092】
周壁32を保持する保持部材は、面ファスナ以外の部材またはベルト状部材以外の部材により構成されてもよく、金属または合成樹脂から形成される締め付け型のクランプや、ピンであってもよい。
接続部35は、複数の外嵌合部35a,35bを有する代わりに、異なる口径の集塵ホースが、それぞれ内嵌合可能な内径が異なる複数の内嵌合部を有していてもよい。
支持側面ファスナ62は、図9に示されるように、周壁32に周方向に間隔を置いて設けられた複数のスリット46を利用して、周方向で周壁32の外周側及び内周側に交互に位置するように配置されてもよい。
【0093】
防塵カバー30が有する1対の係合部または一方の係合部は、覆い壁Woの外側、したがって上壁31または周壁32の外側に形成されてもよい。また、防塵カバー30が有する係合部の数は、1つまたは2以外の複数であってもよい。
覆い壁Woは、椀状の壁であってもよい。
近接部37は、図6に二点鎖線で示されるように、周壁32において周方向にほぼ平坦な平坦部32hから構成されてもよく、当該平坦部32hによっても、近接部37が弧状部32cから構成される場合と同じ効果が奏される。
【0094】
近接部37は、防塵カバー30の周壁32が、平面視で中心線Lcを中心とするほぼ真円形状に形成されるとき、回転中心線Lgに対して中心線Lcが偏心した位置を占めるように、防塵カバー30が保護カバー10に取り付けられることにより形成されてもよい。
スカート部70が面ファスナ61で構成される場合に、被研削面S1に対するスカート部70の滑りを向上させるために、スカート部70に被研削面S1と接触するフエルトやブラシが取り付けられてもよい。
また、図10に示されるように、ベルト状部材60が、前述の実施形態と同様に面ファスナ62(図1,図2も参照)に着脱可能に取り付けられる面ファスナ66で構成され、スカート部70は、面ファスナ66の下端部66aに結合されて当該面ファスナ66と一体に設けられるブラシ67から構成されてもよい。下端部32fよりも下方に延出していて被研削面S1(図4(a)参照)に接触するブラシ67は、面ファスナ66に接着等の固定手段により固定される取付手段としてのベルト状保持体68により、面ファスナ66に取り付けられる。
この構造によれば、ベルト状部材60が面ファスナ66から構成されるので、保護カバー10に対して防塵カバー30を面ファスナ66により容易に取り付けることができて、保護カバー10に対する防塵カバー30の着脱が容易になる。また、スカート部70を構成するブラシ67は面ファスナ62により覆い壁Woの周壁32に取り付けられる面ファスナ66に設けられることから、防塵カバー30に対する面ファスナ66の取付位置の調整や着脱は容易であるので、防塵カバー30におけるブラシ67の位置調整が容易になるうえ、防塵カバー30から下方へのブラシ67の延出量eの調整も容易になり、さらに被研削面S1の隅部S1a(図4(a)参照)を研削する際に、面ファスナ66を第2弧状部分32c(図2参照)において周壁32から部分的に剥がした状態とすることで、ブラシ67が回転研削体20と接触してブラシ67に摩耗が発生することを回避できる。
【0095】
防塵カバー30の周壁32は、周方向で保護カバー10の外周壁12の全体を覆ってもよい。
図1に示されるように、押付け部53の第2弧状部32cには、径方向で回転研削体20と対向する位置に、被研削面S1の隅部S1aの研削時に、回転研削体20が防塵カバー30から露出可能な切欠き(または開口)47が設けられてもよい。これにより、被研削面S1の隅部S1aでの壁面S2と防塵カバー30の周壁32との接触による摩耗回避による長寿命化が可能になる。
【0096】
また、図1から図10では、研削装置Gに防塵カバー構造体Cを装着する形態を説明したが、図11〜図17に示すように、切削装置Fに装着して使用する防塵カバー構造体CAとしてもよい。以下、防塵カバー構造体CAについて説明する。なお、すでに説明した同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、図14の二点鎖線で示す位置における断面を図15で示している。そして、図14の一点鎖線であるL1は、本体1の軸線を示している
【0097】
図11(a)、(b)に示すように、防塵カバー構造体CAは、木材、コンクリート、金属または合成樹脂などの形成材料で形成された構造物または物品である被加工物を切削、切断するための切削装置Fに装着して使用される。
なお、切削装置Fの本体1の構成は、すでに説明した研削装置G(図1参照)の把持部4(本体に形成された取付螺子孔tb(図16参照)の位置に螺合して使用)の取付け位置が異なるのみで他の駆動装置16、駆動軸18、保護カバー10等の構成は同じものである。
【0098】
図11及び図12に示すように、切削装置Fに着脱可能に取り付けられる回転加工体である回転切削体20Aは、平板円板状の回転体20A1の周面に切欠部20A2を介して所定間隔で切削刃20A3が形成されている。この回転切削体20Aは、加工する被作業面の種類によりその種類を換えて使用される。なお、回転切削体20Aは、ここでは、すでに説明した回転研削体20と共通の結合具であるナット19等により駆動軸18側に取り付けられる構成である。つまり、回転研削体20を使用する場合は、被作業面が平面であったときに、保護カバー10の上壁11が被作業面と平行となるように本体1を把持して操作され、回転切削体20Aを使用する場合には、保護カバー10の上壁11が被作業面と直交する垂直となるように本体1を把持して操作されることになる。
【0099】
防塵カバー構造体CAは、防塵カバー100と、この防塵カバー100を保護カバー10に取り付ける面ファスナである保持部材140とを備えている。そして、防塵カバー100は、第1側壁110及び第2側壁120を有する覆い壁130と、この覆い壁130の一端側に接続される接続部101とを備えている。なお、防塵カバー100は、ここでは、第1側壁110、第2側壁120、接続部101がゴム状弾性材から形成されている。
【0100】
接続部101は、筒状に形成され外部に設置される集塵装置7(図15参照)の集塵ホース9を接続するものである。この接続部101は、一端側に筒状の接続筒部102と、この接続筒部102に連続して形成され覆い壁130とを接合する接合筒部103とを備えている。なお、接続部101は、接続筒部102の一端開口から接合筒部103の他端開口まで連通して空気通路となる吸引通路101a(図13参照)が形成されている。また、接合筒部103は、外観形状が円筒形状となるようにここでは形成されており、その円筒形状の側面に覆い壁130の一端側が接続するように構成されている。なお、接続部101の外観及び筒内形状は特に限定されるものではない。
【0101】
覆い壁130は、回転切削体20Aの有効作業面を露出させてその回転切削体20Aの両側面から覆うカバーである。この覆い壁130は、回転切削体20Aの一側面に対面する第1側壁110と、回転切削体20Aの他側面に対面する第2側壁120とを備えている。そして、覆い壁130は、その接合筒部103の接続側において、第1側壁110と第2側壁120との間は、接合筒部103内に連通する開口を介在して形成されている。なお、第1側壁110及び第2側壁120の間の当該開口から加工時に発生する切粉が送出される。
【0102】
覆い壁130は、定常状態では、第1側壁110と、第2側壁120とが互いに近接あるいは当接した状態で配置される。そして、覆い壁130は、作業者の操作により第1側壁110と第2側壁120とが、その弾性力に抗して互いに離間する方向に移動できるゴムなどの弾性部材で構成されている。つまり、覆い壁130は、第1側壁110及び第2側壁120の接続部側を起点としてその接続部側の反対となる部分が互いに離間して両側壁が開口するように(図11(a)(b)、図12(a)参照)弾性変形することができるように構成されている。
【0103】
図12(a)に示すように、第1側壁110は、平面視において扇形の外形となるように形成されると共に、その中央の側壁面に切欠き開口114が形成され、かつ、円弧部分に切欠き開口114から連続して切り口116が形成されており、回転切削体20Aの一側面に対面して配置される。第1側壁110は、本体1との関係では、本体1側に配置される。そして、第1側壁110は、切欠き開口114の周縁に形成され回転切削体20Aに平行な平面縁部111(図12(a)参照)と、この平面縁部111の円弧部分に当該平面縁部111の面と直交する方向に連続して形成される外周面115と、平面縁部111の切欠き開口114の両側に設けた係合部112,112と、を備えている。さらに、円弧部分の平面縁部111及び外周面115を周方向に分断して、切欠き開口114から連続して切り口116が形成されている。
【0104】
図11及び図12に示すように、切欠き開口114は、本体1の駆動軸18、結合部3あるいは内周壁13及びクランプ14等の本体1から突出する部分を受け入れて装着できるように第1側壁110の側壁面から外周面115にわたる位置に形成されている。この切欠き開口114は、大きさの異なる半円形を対面させた形状の第1開口114a,第2開口114bと、第1開口114aに連続する溝状の開口である切り口116とから構成されている。つまり、第1開口114aが大きなほぼ半円形状で形成され、その第1開口114aの直線部分に、当該第1開口114aより小さな半円形状の第2開口114bの直線部分を対面した状態となる開口形状と、第1開口114aに連続して後記する溝形状の切り口116が形成されている。
【0105】
図12(a)に示すように、第1開口114aは、半円形の直線と曲線の交わる一方の部分が欠けた形状にここでは形成されている。つまり、第1開口114aは、接続部101側の一部により半円形状の部分を開口していない状態として形成されている。この第1開口114aは、特に開口形状が限定されるものではなく、本体1側から突出する部分を開口内に受け入れて装着できればよい。
【0106】
第2開口114bは、保護カバー10に形成されている半円形状の内周壁13と同等あるいはそれよりやや大きな直径の半円形にここでは形成されている。この第2開口114bは、結合部3及び内周壁13(図1参照)あるいは回転切削体20Aのナット19等の取付金具(図1参照)を、収容できる大きさで、かつ、後記する係合部112,112が保護カバー10の平面板部分に係合できる大きさに形成されている。
【0107】
図11(a)及び図12(a)に示すように、第2開口114bの周縁には、平面縁部111の内側面に肉厚に形成した係合ガイド部113を有している。この係合ガイド部113は、係合部112,112を形成するためと、第1側壁110の強度を保つために形成されている。係合ガイド部113は、ここでは図11(a)に示すように、平面視において円弧部分の一部が開口端部を境に形成されない半環状体になるように、かつ、第1側壁のその他の部分と比べて肉厚に形成されている。そして、図13に示すように、第2開口114bの両側となる位置において係合ガイド部113の半環状体の両端部分に係合部112,112が形成されている。
【0108】
係合部112,112は、第1側壁110を保護カバー10に係合するものである。この係合部112,112は、半環状体である係合ガイド部113の両端となる肉厚部分を、第1側壁110の表面に平行な溝形状にすることで構成されている。そして、係合部112は、溝形状にすることで形成された下部係合部112aと、この下部係合部112aと対をなして保護カバー10に係合する上部係合部112bと、上部係合部112b及び下部係合部112aに係合した保護カバー10の端面が当接するストッパ部112cと、を備えている。また、この係合部112,112は、保護カバー10の内周壁13及びクランプ14のフランジ部分が係合したときに係合の障害にならないように、フランジ部分に対応する位置の表面側の部材を除去してフランジ用開口112dとしている。
【0109】
図13及び図15に示すように、下部係合部112aは、第2開口114bの両側となる位置で、第1開口114aと第2開口114bの境の位置から所定の肉厚でストッパ部112cまで板状に形成されている。また、下部係合部112aは、その幅方向の長さとして、保護カバー10の外周壁12の幅より小さく、かつ、内周壁13の位置の両側となるように形成されている。つまり、下部係合部112aは、保護カバー10の外周壁12の内側で、かつ、上壁11の下面に当接する位置に形成されている。
【0110】
図13に示すように、上部係合部112bの一方は、第1側壁110の上面側の部位により形成されている。また、上部係合部112bの他方は、接合筒部103の上部側の一部により形成されている。この上部係合部112b、112bは、下部係合部112a,112aまでの間隔が、保護カバー10の上壁11を挟持することで係合できるような間隔に調整されている。
上部係合部112b及び下部係合部112aは、第1側壁110がゴム状の弾性部材で形成されていることから、上部係合部112b及び下部係合部112aの対面する間隔が保護カバー10の上壁11の厚みより小さくても弾性変形によりその上壁11を挟持して係合できるようになっている。
【0111】
ストッパ部112cは、係合した保護カバー10の周方向端部11a,11bに当接して保護カバー10の係合深さがそれ以上奥に行かないように抑制するものである。このストッパ部112cは、下部係合部112aから一段高くなるように形成されている。
【0112】
図13及び図14に示すように、フランジ用開口112dは、保護カバー10が係合したときに、そのクランプ14及び内周壁13の両側に突出するフランジ部分を収めて、クランプ14及び内周壁13が所定の位置に配置されるように形成されている。このフランジ用開口112dは、ストッパ部112cから一段高い部分の厚みが階段状に現れるように、第1側壁110の表面側の肉厚が除去されて形成されている。
【0113】
図13及び図12(a)に示すように、第1側壁110の平面縁部111は、切欠き開口114の周囲となる側面部分であり、第1開口114aの円弧部分に沿って形成される円弧状平面111aと、第2開口114b及びフランジ用開口112dの縁に形成される縁平面111bとを備えている。そして、円弧状平面111aには、所定位置に切り口116の径方向切り口(径方向溝)116aが形成され、その円弧状平面111aに連続して形成されている外周面115に切り口116の外周切り口116bが形成されている。この切り口116が形成されていることで、円弧状平面111a及び外周面115は、周方向に平面縁部111及び外周面115が分断され、保護カバー10を取り付け易くするように弾性力に抗してより変形しやすくなる。なお、切り口116の形成位置は、保護カバー10に取り付けることができるように、平面縁部111及び外周面115を離間するように分断できれば、その円弧部分における形成位置は限定されない。また、切り口116は、すでに説明した図1〜図10におけるものと、その形状、間隔等がほぼ同等である。
【0114】
図11(c)及び図12(a)に示すように、第2側壁120は、平面視において扇状の一方の直線部分が接続部101の接合筒部103に接続された状態で、第1側壁110と対面する位置に形成されている。第2側壁120は、回転切削刃20Aと平行な扇状の側面部121と、その側面部121の円弧状部分となる外周面122とを備えている。また、第2側壁120は、その内側(第1側壁110と対向する側)に円環状の肉厚部123が形成されている。肉厚部123は、第2側壁120の形状を維持するガイドの役割をするものである。肉厚部123は、円環の円弧状の一部が切り落とされた形状に形成されており、第1側壁110の係合ガイド部113の形状とその一部が対向して同じ位置関係になるように形成されている。なお、肉厚部123の周縁部分および環内部分の厚みは、肉厚部123より薄い薄肉部124,125となるように形成されている。第2側壁120の円弧状の外周面122は、薄肉部125とほぼ同等の厚みで形成されている。また、肉厚部123の形状は、ここでは円環状として説明したが、特にその形状が限定されるものではない。
【0115】
図15に示すように、第1側壁110の外周面115と、第2側壁120の外周面122は、第1側壁110と第2側壁120が対向したときに、当接する位置関係、あるいは、離間して対向する位置関係のどちらの状態であっても構わない。また、それぞれの外周面115及び外周面122は、その内側に保持部材140の一方である面ファスナ141が取り付けられている。また、保護カバー10の円弧状部分の外周面にも保持部材140の他方である面ファスナ142が取り付けられている。それぞれの面ファスナ141,142としての保持部材140により、防塵カバー100が保護カバー10に設けた面ファスナ143に着脱自在に固定される。
【0116】
また、図16に示すように、防塵カバー100を装着したときに、回転切削体20Aの有効作業面となる刃先から回転中心に向かう長さα2は、刃先から径方向に回転中心までの距離α1を100%としたときに、ここでは、50〜65%露出するように設定されている。例えば、半径が刃先から回転中心まで58mmの回転切削体20Aであれば、30mmが露出するようになっている。なお、図15に示すように、本体1の中心軸線L1に対して防塵カバー100の開口端部の直線L2との角度θ1は、面ファスナ141〜143の取り付け位置により適宜に調整することが可能となる。
【0117】
なお、防塵カバー100は、弾性変形できる素材で形成されているために、例えば、図18(b)に示すように、回転切削体20Aで壁際まで加工作業を行う場合にも、防塵カバー100の接続部101の先端側が弾性変形して回転切削体20Aの刃先が加工したい際まで到達することが可能となる。
【0118】
防塵カバー構造体CAは、以上説明したように構成されているため、以下のようにして切削装置Fの保護カバー10に装着して使用される。
はじめに、図11(a)及び図12(a)に示すように、切削装置Fの保護カバー10に対して、防塵カバー100の第1側壁110及び第2側壁120を弾性力に抗して互いに離間させた状態とすると共に、第1側壁110の切り口116の部分を開口させて、保護カバー10に装着する。また、保護カバー10は、回転切削体20Aを取り外すことなく、保護カバー10の内周壁13及びクランプ14のネジ15,15(図1参照)を正面側からドライバーを差し込んで操作ができるため、作業者の使用状態に応じて適宜その取り付け角度を調整している。ここでは、図15に示すように、被作業面に対して本体1の軸線L1と防塵カバー100の開口端部の直線L2との角度θ1としたときに、保護カバー10が防塵カバー100から露出しないようにその取り付け角度を調整している。また、本体1の先端部分についても、防塵カバー100の端部より出っ張る位置に来ないようにしている。
【0119】
なお、防塵カバー100は、装着するときに、図11(b)及び図12(b)に示すように、第1側壁110に設けた係合部112,112を保護カバー10の周方向端部11a,11bから係合して第1側壁110を保護カバー10に取り付け(図14参照)、その後、保護カバー10の外周壁12に設けた面ファスナ143と、第1側壁110の外周面115の内側に設けた面ファスナ141とを接続させることで第1側壁110を装着する。
【0120】
第1側壁110が取り付けられた状態では、保護カバー10の内周壁13及びクランプ14のフランジ部分がフランジ用開口112dの位置に配置されるようになる。
そして、図11(c)及び図12(c)に示すように、防塵カバー100は、第2側壁120の外周面122の内側に設けた面ファスナ142を、保護カバー10の外周壁12に設けた面ファスナ143に接続することで、当該防塵カバー100の全体を保護カバー10に取り付ける。なお、面ファスナ141,142,143は、面接触で固定することになるため、防塵カバー100の装着位置が確実に維持される。
【0121】
図12及び図15に示すように、防塵カバー100が本体1に装着されると、回転切削体20Aは、第1側壁110の係合ガイド部113及び第2側壁120の肉厚部123に離間した状態で、かつ、図14に示すように、その円弧の一部が防塵カバー100の端部から露出した状態となる。
そして、図16に示すように、防塵カバー100及び保持部材140により防塵カバー構造体CAが本体1に取り付けられ、接続部101に集塵装置7の集塵ホース9を接続して加工作業の準備が整う。
【0122】
作業者は、本体1の回転切削体20Aをトリガー等のスイッチを操作しながら、被加工物の切削作業(加工作業)を行い、切削作業中において、集塵装置7が作動しているので、接続部101から集塵ホース9により被加工物の切粉が集塵される。また、加工するときには、回転切削体20Aを覆う防塵カバー100により、被加工物の切粉が飛び散ることが最小限に防止される。
【0123】
なお、図16に示すように、防塵カバー100を装着したときに、本体1の中心軸線L1に対して防塵カバー100の開口端部の直線L2を所定の角度θ1に設定しているので、回転切削体20Aの有効作業面のα2が例えば、回転切削体20Aの刃先から55%の割合で確保できる。したがって、刃先から回転中心までの半径53mmの回転切削体20Aであれば、28mmの切込み深さを確保することが可能となる。
また、切削加工を行う場合に、回転切削体20Aの有効作業面となる刃先からの長さα2が露出した状態で、図16に示す矢印の回転方向であると、切粉が接続部101の開口から集塵されやすくなる。また、防塵カバー100がゴム状の弾性部材で形成されているため、壁際における作業でも、回転切削体20Aが隅まで届くように弾性変形(図8(c)参照)して対応することが可能となる。
【0124】
以上説明したように、防塵カバー構造体C、CAは、本体1に簡単に装着することができ、回転加工体である回転研削体20あるいは回転切削体20Aにより加工時に発生する加工粉(研削粉及び切粉)を防塵カバーで飛散するのを防止しながら、集塵装置7により集塵して作業を行うことが可能となる。
【0125】
なお、図11〜図16においては、保持部材140として面ファスナ141,142,143を一例として説明したが、図17に示すような保持クランプ150が保持部材であっても構わない。
図17に示すように、保持クランプ150は、第1ベルト151と、第2ベルト152と、クランプ部153とを備えている。第1ベルト151は、その一端にクランプ部153の係合クランプ部153Aを備えると共に、当該第1ベルト151の他端に保護カバー10に係止する第1係止部151aを備えている。また、第2ベルト152は、その一端にクランプ部153のクランプ支持部153dを備えると共に、当該第2ベルト152の他端に保護カバー10に係止する第2係止部152aを備えている。
【0126】
第1ベルト151及び第2ベルト152は、ここでは金属ベルトで形成され、第1係止部151a及び第2係止部152aは、それぞれ金属ベルトの一端側を折り曲げて保護カバー10に係止できるように形成されている。また、第2ベルト152のクランプ支持部153dも金属ベルトの他端側を折り曲げて形成されている。
係合クランプ部153Aは、クランプ支持部153dに係合する係合リング153cとこの係合リング153cを長穴の範囲でスライド可能に支持するリング保持部153bと、このリング保持部153bに支持される係合リング153cをスライドさせると共に、クランプ支持部153dに係合した係合リング153cの状態で留めるクランプ留金153aとを備えている。なお、ここで説明するクランプ部153は、所謂、パッチン錠とよばれる一般的なものである。
【0127】
また、保持クランプ150を使用する場合には、図17に示すように、防塵カバー100において、接続部101と外周面115とが接する位置に第1ベルト151を挿入する挿入穴104が形成される構成となる。
保持クランプ150を使用するときには、はじめに、防塵カバー100を保護カバー10に沿って取り付け、保護カバー10の外周壁12に、第1側壁110及び第2側壁120のそれぞれの外周面115,122(図12(c)参照)を沿わせた状態で、第2ベルト152の第2係止部152aを保護カバー10の端部に係止して、外周面115,122の円周方向の半分側を覆った状態として配置する。そして、第1ベルト151により外周面115,122の円周方向の残りの半分側を覆った状態で、係合リング153cをクランプ支持部153dに係合させ、クランプ留金153aを第1ベルト151に当接する方向に移動させることで弾性力に抗して係合することで留める。
【0128】
このように、保持クランプ150を使用すると、ワンタッチで離脱させることができると共に、防塵カバー100を確実に保護カバー10に留め付けることが可能となる。また、保持クランプ150は、留めるか、外すかのどちらかの状態であるかが明確となるため、装着状態を簡単に確認することができる。
【0129】
なお、図16に示すように、本体1は、ハンドルを螺合するための側面側の取付穴tbが形成されており、必要に応じてハンドル(例えば、図1参照)を螺合することで、ハンドルを手指で把持して使用するようにすることも可能である。
【0130】
また、防塵カバー100は、その接続部101の端部が壁際での作業を行った際に弾性力に抗して変形したときに、回転切削体20Aが接触しないように、図18に示すように、予め切込溝105を形成する構成であっても構わない。すなわち、図18(a)に示すように、接続部101は、接合筒部103の開口端部の回転切削体20Aの板厚延長線上となる位置に、その開口端部から所定長さで切込溝105が形成されている。この切込溝105は、その周囲に着脱する覆片106を取り付けることで、接合筒部103が変形するような作業を行うときだけ、覆片106を取り外して回転切削体20Aの接触を防ぐようになっている。
【0131】
なお、切込溝105は、回転切削体20Aの板幅よりも幅広となるように溝が形成されている。また、覆片106を着脱するためには、その覆片106の裏面と、その覆片106の対面する接合筒部103の位置に、例えば、面ファスナを設けることで構成することができる。このような切込溝105を形成していることで、図18(b)に示すように、切削装置Fが被加工作業面の壁際に位置したときに、覆片106を作業者が一旦、装置を止めて剥がし、切込溝105を露出させた状態で、壁際まで切削作業を行ったときに、接合筒部103が弾性変形して、図18(c)に示すように、回転切削体20Aを際まで移動させて作業を行うことが可能となる。
【0132】
以上、図11〜図18において、切削装置Fに防塵カバー構造体CAを装着した構成について説明したが、防塵カバー100の第1側壁110及び第2側壁120の厚みは、全体が同じ厚みとなるように形成してもよい。また、防塵カバー100は、ゴム状弾性部材で形成した例として説明したが、第1側壁110のみがゴム状弾性部材で形成され第2側壁120及び接続部101が合成樹脂で構成される構成とすることや、あるいは、第1側壁110及び接続部101がゴム状弾性部材で形成され、第2側壁120が合成樹脂で形成される構成であっても構わない。
更に、上部係合部112b,112bのそれぞれは、ここでは、異なる部位により形成されているが、その両方が第1側壁の上面側の部位で形成されるように接合筒部103と覆い壁130の位置を調整するようにしても構わない。
【0133】
また、図19に示すように、第2側壁120と接合筒部103との間となる位置で、第2側壁120に案内部108を設ける構成としても構わない。図19においてすでに説明した構成は同じ符号を付して説明を省略する。
図19(a)、(b)に示すように、第2側壁120には、接合筒部103との間となる位置に、回転切削体20Aの回転により巻き込む切粉を、接合筒部103の吸引通路101aに案内する案内部108が設けられている。案内部108は、肉厚部123に隣接する位置で、接続筒部103の筒壁の内側となる位置で、かつ、肉厚部123と外周面122と薄肉部125とで囲繞される流路を、空間109をあけた状態で塞ぐ位置に設けられている。
【0134】
なお、図19(a)に示すように、案内部108と外周面122との間となる位置に空間109が形成された状態で案内部108が設けられているが、この空間109は、図19(c)に示すように、保護カバー10の外周壁12及び面ファスナ142,143が位置するために空けられている。案内部108の形状は、特に限定されるものではなく、回転切削体20Aの側面に当接しない高さで、且つ、回転切削体20Aに近接させるように、第2側壁120から突設されている。案内部108は、ここでは、肉厚部123よりも高く、かつ、回転切削体20Aに接触しない高さとなるように形成されている。したがって、図19(c)に示すように、肉厚部123と外周面122と回転切削体20Aの側面で囲まれる空間は、案内部108でほぼ塞がれて、浮遊する切粉の流れを、案内部108により吸引通路101aに導くように、作用することになる。
【0135】
なお、案内部108は、切粉を吸引通路101aに案内することができれば、突出位置は、第2側壁120側の位置、接合筒部103側の位置、あるいは、第2側壁120と接合筒部103との間となる位置のいずれであってもよい。また、回転切削体20Aの切刃が回転して移動する移動経路となる位置とは、ここでは、刃先から切欠部20A2の深さまでの幅に対応する位置において、回転切削体20Aが回転して移動する経路を示している。したがって、案内部108は、その刃先から切欠部20A2までの幅から当該幅を超える幅寸法となるように形成されることが望ましい。
【0136】
更に、図20に示すように、第1側壁110の外周壁115Aと、第2側壁120の外周壁122とを互いに重なる位置関係となるように設けるようにしても構わない。そして、第1側壁110の外周壁115Aの外側に面ファスナ144を設けて、面ファスナ141〜144を保持部材140としても構わない。このように、それぞれの外周壁115A、122Aが重なる位置関係の構成にすることで、面ファスナ141〜144までが重なる位置関係となり、防塵カバー100を保護カバー10に強固に取り付けることが可能となる。なお、図20に示す構成に、図19で示す案内部108を設ける構成としてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0137】
1…本体、7…集塵装置、9…集塵ホース、10…保護カバー、11…上壁、12…外周壁、18…駆動軸、20…回転研削体(回転加工体)、20A…回転切削体(回転加工体)30…防塵カバー、31…上壁、32…周壁、33,34…係合部、35…接続部、36…案内部、37…近接部、40…切欠き開口、41…挿通穴、42…切り口、51,52…取付部、53…押付け部、60…ベルト状部材、61,62,63,64,66…面ファスナ、67…ブラシ、100…防塵カバー、101…接続部、110…第1側壁、120…第2側壁、130…覆い壁、140…保持部材(面ファスナ)、150…保持クランプ。
G…研削装置、F…切削装置、C…防塵カバー構造体、Wo,Wi…覆い壁、A…ダスト空間、d1,d2…周方向幅、c1…径方向空隙、Lg…回転中心線、Lc…中心線、θ1…所定角度範囲、θ2…特定角度範囲。
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転研削体を覆って研削時に発生する研削粉の飛散を抑制する防塵カバー構造体、及び、防塵カバー構造体を備える研削装置並びに切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
研削装置が、その本体に回転可能に支持された回転研削体と、当該回転研削体を覆う防塵カバー構造体とを備え、当該防塵カバー構造体が、前記回転研削体及び当該回転研削体に隣接して前記本体に設けられた保護カバーを覆う防塵カバーと、カバー支持部材としての前記保護カバーに防塵カバーを保持する保持部材とを備え、さらに防塵カバーがゴム状弾性材により形成されたものは知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
具体的には、特許文献1に開示された研削装置において、カッタホイール(回転研削体に相当)を覆うダストカバー(防塵カバーに相当)はゴム等の弾性部材で形成され、当該ダストカバーが研削装置の本体の延長部に設けられたカバー用取付部(保護カバーに相当)に装着される。
【0003】
また、特許文献2に開示された研削装置において、砥石(回転研削体に相当)を覆う防護カバーが、第一カバー部分(保護カバーに相当)と、当該第一カバー部分の突出爪部が押し込まれる爪収容部が形成されたゴムカバー(防塵カバーに相当)とから構成される。ゴムカバーは、その軸覆い部において、第一カバー部分の軸覆い部と共に、研削装置のケース(本体に相当)の軸覆い部に、クランプ部材で着脱可能に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3053729号公報
【特許文献2】特開平10−559号公報(図10,11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
研削装置の本体に、ゴム状弾性材から形成された防塵カバーが着脱可能に取り付けられる際、特許文献1の研削装置では、防塵カバーを保持するカバー支持部材としてのカバー用取付部を本体から取り外す必要があり、また特許文献2の研削装置では、ゴムカバーを保持するクランプ部材(保持部材に相当)を取り外すことにより、ケース(本体に相当)から第一カバー部分を取り外す必要がある。このため、防塵カバーが本体に対して着脱される際、カバー用取付部及び第一カバー部分を本体に対して着脱する分、余分に手間が掛かかり、防塵カバーを研削装置に対して簡単に着脱することができない。
【0006】
また、ゴム状弾性材からなる防塵カバーに形成された係合部(例えば、特許文献2の爪収容部が相当)が、本体に結合されるカバー支持部材(例えば、特許文献2の第一カバー部分が相当)に係合する場合に、当該係合部の形成位置による制約を極力少なくして、同じ防塵カバーを、カバー支持部材の形状(例えば、カバー支持部材の外径)が異なる機種の研削装置への使用可能性を高めること、すなわち防塵カバーの汎用性を高めることが、防塵カバーのコスト削減の観点から望ましい。
【0007】
また、防塵カバーが被研削面に接触するのを防止しながら、研削装置の移動の円滑化による研削の作業性向上及び防塵カバーによる研削粉の飛散抑制効果の向上のために、研削時に被研削面に接触するスカート部が防塵カバーに設けられている。しかし、スカート部が防塵カバーと一体に形成されていると、磨耗することを回避するために当該スカート部をブラシ状に形成し、そのブラシ部分が弾性部材により出没できるように構成される等、構造的に複雑になってしまった。したがって、防塵カバーにスカート部を設ける場合、位置調整が容易であること、及び、被研削面の隅部の研削時に回転研削体とスカート部との接触に起因するスカート部の損傷を防止することが望まれている。
【0008】
さらに、研削粉を吸い込むための吸込通路が防塵カバーに形成された研削装置においては、防塵カバーにより形成されるダスト空間内に配置される回転研削体の上方で、回転研削体に引きずられて旋回する研削粉が存在する。このため、回転研削体に連れ回りする当該研削粉を効率よく吸引して、集塵効率を高めることが望ましい。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、研削装置における防塵カバーの着脱の容易化を図り、また、研削装置の異なる機種にも対応でき、さらに、スカート部の構成の簡素化図り、研削粉の集塵効率の向上を図る防塵カバー構造体及び防塵カバー構造体を備える研削装置並びに切削装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、加工装置(G)の本体(1)に回転可能に支持されて被作業面(S1)を加工する回転加工体(20)を覆う防塵カバー(30)と、前記本体(1)に結合されるカバー支持部材(10)に前記防塵カバー(30)を保持する保持部材(60)と、を備える防塵カバー構造体(C)において、ゴム状弾性材から形成される前記防塵カバー(30)は、前記回転加工体(20)を覆う覆い壁(Wo)と、前記覆い壁(Wo)に形成されて前記カバー支持部材(10)に係合する係合部(33,34)と、を有し、前記覆い壁(Wo)には、前記回転加工体(20)を回転駆動する駆動軸(18)が挿通されると共に前記覆い壁(Wo)を周方向に分断する切欠き開口(40)が形成され、前記防塵カバー(30)は、前記本体(1)に結合されている状態の前記カバー支持部材(10)に、前記覆い壁(Wo)が前記保持部材(60)により保持され、かつ前記係合部(33,34)が係合することで、前記カバー支持部材(10)に着脱可能に取り付けられる防塵カバー構造体(C)である。
【0011】
これによれば、防塵カバー構造体は、本体に取り付けられているカバー支持部材に向かって、その覆い壁を切欠き開口から周方向の一端を分断するように広く開かせて、切欠き開口側から駆動軸を挿通させた状態で、防塵カバーを容易に弾性変形させて取り付けることができる。そして、防塵カバーは、カバー支持部材に取り付けられるときに、保持部材に係合部が係合するようにすることで防塵カバーの取り付け状態を安定させている。さらに、防塵カバーは、回転加工体及びカバー支持部材の着脱とは無関係に取り付けられる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の防塵カバー構造体(C)において、前記覆い壁(Wo)は、前記切欠き開口(40)により周方向で分断された1対の取付部(51,52)を有し、前記各取付部(51,52)は、前記係合部(33,34)に対して周方向に延びていると共に、前記カバー支持部材(10)の径方向外方で前記保持部材(60)により前記カバー支持部材(10)に保持されるものである。
【0013】
これによれば、防塵カバー構造体は、1対の取付部が、係合部に対して周方向に延びてカバー支持部材を径方向外方から囲むように配置されることで、係合部がカバー支持部材に係合した状態を維持しながら、切欠き開口により分断された1対の取付部を大きく弾性変形させることができ、加工装置の構成の異なる複数の機種に対応することができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、前記加工装置が研削装置であり、前記回転加工体は、回転体(21)に被作業面を研削する研削具(22)が設けられた回転研削体(20)である構成としてもよい。
これによれば、防塵カバー構造体は、研削装置の回転研削体に適応して研削された粉塵を外部に撒き散らすことなく防ぐことが可能となる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の防塵カバー構造体(C)において、前記カバー支持部材(10)は、前記回転研削体(20)に隣接して配置されて前記防塵カバー(30)により覆われると共に周方向での所定角度範囲(θ1)で前記回転研削体(20)を覆う保護カバー(10)であり、前記保護カバー(10)は、前記回転研削体(20)を上方から覆う平板状の上壁(11)を有し、前記上壁(11)の周方向端部(11a,11b)が前記係合部(33,34)に係合するものである。
【0016】
これによれば、防塵カバー構造体は、覆い壁を切欠き開口から周方向の一端を分断するように拡げた状態で、保護カバーが有する上壁の周方向端部自体が係合部に係合すればよく、取付作業が容易になる。また、上壁は平板状であるので、係合部の形状を簡単化できるうえ、径方向での係合位置の自由度も大きくなる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の防塵カバー構造体(C)において、前記覆い壁(Wo)の下端部(32f)よりも下方に延出していて前記被研削面(S1)に接触するスカート部(70)を備え、前記スカート部(70)は、前記覆い壁(Wo)に取り付けられる面ファスナ(61)から構成されるものである。
【0018】
これによれば、また、スカート部が面ファスナから構成されるので、スカート部がブラシから構成される場合に比べてコストを削減できる。また、防塵カバーに対する面ファスナの取付位置の調整や着脱は容易であるので、防塵カバーにおけるスカート部の位置調整が容易になるうえ、防塵カバーから下方へのスカート部の延出量の調整も容易になり、さらに被研削面の隅部を研削する際に、スカート部を部分的に剥がした状態とすることで、スカート部が回転研削体と接触してスカート部に摩耗が発生することを回避できる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の防塵カバー構造体(C)において、前記保持部材(60)は、前記カバー支持部材(10)及び前記覆い壁(Wo)を周方向で囲んで配置されると共に前記覆い壁(Wo)に着脱可能に取り付けられるベルト状部材(60)であり、前記ベルト状部材(60)は、前記覆い壁(Wo)の下端部(32f)から下方に延出していて前記被研削面(S1)に接触するスカート部(70)を構成するものである。
【0020】
これによれば、ベルト状部材の保持部材がスカート部を兼ねるので、部品点数が削減される。また、防塵カバーがベルト状部材によりカバー支持部材に保持されることでスカート部が防塵カバーに保持されるので、スカート部のみを、保持部材とは別個に防塵カバーに取り付ける必要がない。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の防塵カバー構造体(C)において、前記覆い壁(Wo)の下端部(32f)よりも下方に延出していて前記被研削面(S1)に接触するスカート部(70)を構成するブラシ(67)を備え、前記保持部材(60)は、前記カバー支持部材(10)及び前記覆い壁(Wo)を周方向で囲んで配置されると共に前記覆い壁(Wo)に着脱可能に取り付けられる面ファスナ(66)であり、前記ブラシ(67)は、前記面ファスナ(66)に設けられるものである。
【0022】
これによれば、保持部材が面ファスナから構成されるので、カバー支持部材に対して防塵カバーを面ファスナにより容易に取り付けることができる。また、スカート部を構成するブラシは覆い壁に取り付けられる面ファスナに設けられることから、防塵カバーに対する面ファスナの取付位置の調整や着脱は容易であるので、防塵カバーにおけるブラシの位置調整が容易になるうえ、防塵カバーから下方へのブラシの延出量の調整も容易になり、さらに被研削面の隅部を研削する際に、面ファスナを部分的に剥がした状態とすることで、ブラシが回転研削体と接触してブラシに摩耗が発生することを回避できる。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の防塵カバー構造体(C)において、前記覆い壁(Wo)は、周方向での特定角度範囲(θ2)に渡って、前記回転研削体(20)との径方向空隙(c1)が前記特定角度範囲(θ2)以外の範囲に比べて小さい近接部(37)を有するものである。
【0024】
これによれば、被研削面のうちの、被研削面から立ち上がる立上がり壁面の近傍部分である隅部が、研削装置により研削される際に、近接部を立上がり壁面に押し付けることにより、回転研削体を壁面に近づけるための防塵カバーの変形量を小さくできる。
【0025】
請求項9記載の発明は、請求項3から請求項8のいずれか1項記載の防塵カバー構造体(C)において、前記防塵カバー(30)は、前記防塵カバー(30)により形成されるダスト空間(A)内の研削粉が吸引される吸込通路(43)を形成する吸込通路形成部(35)と、前記回転研削体(20)の上方に配置されて前記回転研削体(20)の上方で浮遊する研削粉を前記吸込通路(43)に案内する案内部(36)と、を有するものである。
【0026】
これによれば、回転研削体の上面付近で回転研削体に引きずられて旋回しようとする研削粉は、回転研削体の上面に突出する案内部により案内されて吸込通路に向けて移動するので、回転研削体の上方で浮遊する研削粉が回転研削体に連れ回りすることが抑制される。
【0027】
請求項10記載の発明は、装置本体(1)に回転可能に支持されて被作業面を研削又は切削する回転加工体(20A)を覆う防塵カバー(100)と、前記装置本体に結合される円弧状の外周壁(12)を有するカバー支持部材(10)に前記防塵カバーを保持する保持部材(140)と、を備える防塵カバー構造体(CA)において、前記防塵カバー(100)は、前記回転加工体の有効作業面を露出させた状態で覆う覆い壁(130)と、この覆い壁の一端側に形成され、切粉を集塵する集塵装置(7)に接続する接続部(101)と、前記覆い壁(130)に形成されて前記カバー支持部材(10)に係合する係合部(112)と、を備え、前記覆い壁(130)は、前記接続部にそれぞれの一端側を支持して対面し、前記外周壁(12)に沿って形成された外周面(115、122)を有する
第1側壁(110)及び第2側壁(120)を備え、前記第1側壁(110)は、前記回転加工体(20A)を回転駆動する駆動軸が挿通されると共に当該第1側壁を周方向に分断する切欠き開口(114)が側壁面から外周面(115)にわたって形成され、かつ、前記側壁面の切欠き開口における両側となる位置に前記係合部(112,112)が配置され、前記防塵カバー(100)は、少なくとも前記第1側壁(110)がゴム状弾性材から形成され、前記係合部が前記カバー支持部材に係合して、かつ、前記装置本体に結合されている状態の前記カバー支持部材(10)に、前記保持部材(140)により保持されて、前記カバー支持部材に着脱可能に取り付けられる構成とした。
【0028】
これによれば、防塵カバー構造体は、接続部にその一端側を支持される覆い壁の第1側壁および第2側壁を互いに弾性力に抗して離間するように広げて、第1側壁の円弧状の外周面を装置本体のカバー支持部材の円弧状の外周壁に当接させた状態で、第1側壁を変形させながら切り欠き開口の両側に設けた係合部をカバー支持部材に係合させる。そして、防塵カバー構造体は、第1側壁を第2側壁に当接する方向に閉じて装置本体の回転加工体の両側面に沿って第1側壁及び第2側壁を配置する。そして、防塵カバー構造体は、カバー支持部材の外周壁に位置する第1側壁及び第2側壁の部分を保持部材により保持することで装置本体に取付けられる。防塵カバー構造体は、第1側壁の切り欠き開口を弾性変形することにより、回転加工体を装置本体から取り外すことなく、防塵カバーを取り付けることができる。また、防塵カバー構造体は、装置本体のカバー支持部材に取り付けられると、外部に設置される集塵装置の接続ホースと接続部とが接続された状態で加工作業が行われる。加工作業を行う場合には、防塵カバー構造体は、回転加工体の有効作業面が露出した状態で回転加工体を覆っているため、回転加工体が回転して被作業面に接触することで発生する切粉の飛散を、防塵カバー体により抑制して、接続部から集塵装置に集塵することができる。
【0029】
請求項11記載の発明は、請求項10に記載の防塵カバー構造体において、前記保持部材は、前記第1側壁及び前記第2側壁のそれぞれの弧状部の内周面に設けられると共に、前記カバー支持部材の弧状部の外周面に設けられた面ファスナ(141,142,143)である構成とした。
これによれば、防塵カバー構造体は、第1側壁及び第2側壁のそれぞれの弧状部の内周面に設けた面ファスナを、カバー支持部材の弧状部の外周面に設けた面ファスナに係合することで装置本体の回転加工体に対して防塵カバーを取り付けることができる。
【0030】
請求項12記載の発明は、請求項10又は請求項11に記載の防塵カバー構造体において、前記保持部材は、前記第1側壁及び前記第2側壁の弧状部の内周面を前記カバー支持部材の弧状部の外周面に沿わせた状態で、前記第1側壁及び前記第2側壁の弧状部の外周に当接して保持する保持クランプ(150)であって、前記保持クランプは、第1ベルト(151)及び第2ベルト(152)と、前記第1ベルト及び前記第2ベルトのそれぞれの一端に設けられ締結解放を自在にするクランプ部(153)とを備え、前記第1ベルト及び第2ベルトは、それぞれの一端側に、前記カバー支持部材の弧状部の一端と他端にそれぞれ係止する係止部(151a,152a)を有し、前記クランプ部は、前記第1ベルトの他端側に設けたクランプ係合部(153A)と、前記第2ベルトの他端側に設けられ前記クランプ係合部を支持するクランプ支持部(153d)とを有する構成とした。
【0031】
これによれば、防塵カバー構造体は、第1側壁及び第2側壁のそれぞれの弧状部をカバー支持部材の弧状部の外周面に当接させた状態で、第1ベルトの係止部をカバー支持部材の弧状部の一端に係止し、かつ、第2ベルトの係止部をカバー支持部材の弧状部の他端に係止して、第1ベルトのクランプ係合部と、第2ベルトのクランプ支持部とを締結させることで、防塵カバーをカバー支持部材に取り付けられる。
【0032】
請求項13の発明は、請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の防塵カバーの構造体において、防塵カバー(100)は、前記接続部側から前記第2側壁側に前記回転加工体の切刃が回転して移動する移動経路に対応して、前記第2側壁(120)又は前記接続部(103)から前記回転加工体の側面に近接する位置まで突出させ、前記回転加工体の側方に浮遊する切粉を前記接続部の吸込通路(101a)に案内する案内部(108)を設けた構成とした。
これによれば、防塵カバー構造体は、回転加工体が高速で回転して被加工物を切削又は研削して発生する切粉を、回転加工体の回転で防塵カバー内に巻き込んだときに、切粉の浮遊移動する通路上となる位置に設けた案内部により、切粉の回転方向の移動を妨げて接続部の吸引通路に導くことができる。
【0033】
請求項14記載の発明は、請求項1から請求項9のいずれか1項記載の防塵カバー構造体(C)を備えることを特徴とする研削装置(G)である。
これによれば、研削装置は、回転研削体及びカバー支持部材の着脱とは無関係に取り付けられる防塵カバー構造体を備えるため、防塵カバーの取付作業性が向上する。
【0034】
請求項15記載の発明は、請求項1及び請求項2並びに請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の防塵カバー構造体(CA)を備える切削装置として構成した。
これによれば、切削装置は、回転切削体及びカバー支持部材の着脱とは無関係に取り付けられる防塵カバー構造体を備えるため、防塵カバーの取付作業性が向上する。
【発明の効果】
【0035】
請求項1記載の発明によれば、防塵カバー構造体は、覆い壁が切欠き開口により周方向の一端側で分断されたことで容易に弾性変形でき、また、カバー支持部材に対して係合部が係合することから、回転加工体及びカバー支持部材を本体に対して着脱する必要がなく、研削装置への取り付けが容易になる。
請求項2記載の発明によれば、防塵カバー構造体は、1対の取付部が、係合部に対して周方向に延びていることで大きな弾性変形が可能となるので、回転加工体の外径やカバー支持部材の外径や形状が異なる機種の研削及び切削を行う加工装置に容易に取り付けることが可能になり、防塵カバーの汎用性が向上する。
【0036】
請求項3記載の発明によれば、防塵カバー構造体は、研削装置に適用したときに、回転研削体を覆うように容易に取り付けることが可能となる。
請求項4記載の発明によれば、防塵カバー構造体は、保護カバーの平板状の上壁面における周方向端部自体が係合部に係合することから、係合部の形状を簡単化でき、しかも上壁の径方向での係合位置の自由度を大きくすることができて、防塵カバーの汎用性の向上に寄与する。
【0037】
請求項5記載の発明によれば、防塵カバー構造体は、スカート部が面ファスナであるので、覆い壁に対するスカート部の位置調整及び下方への延出量の調整が容易化される。また、被研削面の隅部の研削の際に、一部を覆い壁から剥がすことにより回転研削体との接触によるスカート部の摩耗が回避される。
請求項6記載の発明によれば、防塵カバー構造体は、保持部材がスカート部を兼ねるので、部品点数を削減してスカート部を設けることができてコストを削減でき、しかも防塵カバーにスカート部を設ける手間が簡素化される。
請求項7記載の発明によれば、保持部材が面ファスナであることにより、カバー支持部材に対する防塵カバーの着脱が容易になる。また、ブラシが防塵カバーの覆い壁に取り付けられる面ファスナに設けられるので、覆い壁に対する面ファスナの取り付け位置の位置調整により覆い壁に対するブラシの位置調整及び下方への延出量の調整が容易化され、さらに被研削面の隅部の研削の際に、ブラシが設けられた面ファスナの一部を覆い壁から剥がすことにより回転研削体との接触によるブラシの摩耗が回避される。
【0038】
請求項8記載の発明によれば、防塵カバー構造体は、被研削面の隅部を研削する際に、近接部を被研削面と立上がり壁面に当接させることで、回転研削体を壁面に近づけるための防塵カバーの変形量を小さくできるので、当該隅部の研削が容易になる。
【0039】
請求項9記載の発明によれば、防塵カバー構造体は、回転研削体の上方で浮遊する研削粉が回転研削体に連れ回りすることが案内部により抑制されるので、研削粉の集塵効率が向上して、研削粉を防塵カバーにより形成されるダスト空間内から効率よく集塵できる。
請求項10記載の発明によれば、防塵カバー構造体は、回転加工体及びカバー支持部材を外すことなく、回転加工体の有効作業面を露出させた状態で第1側壁及び第2側壁が覆う状態として、容易に取り付けることが可能となる。
請求項11、12記載の発明によれば、保持部材を面ファスナあるいは保持クランプとしているため、簡易な構成で防塵カバーの装着離脱が更に容易に行うことができる。
請求項13記載の発明によれば、案内部を設けることで、切粉を接続部の吸引通路に効率よく導くことが可能となる。
請求項14、15記載の発明によれば、研削装置及び切削装置は、回転研削体又は回転切削体及びカバー支持部材の着脱とは無関係に取り付けられる防塵カバー構造体を備えるため、防塵カバーの取付作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態を示し、本発明が適用された防塵カバー構造体を備える研削装置の上方からの分解斜視図であり、集塵装置が模式的に示されている。
【図2】図1の研削装置の要部の平面図であり、図4(a)のII−II矢視での要部の図である。
【図3】図1の研削装置の要部の底面図である。
【図4】(a)は、図2のIVa−IVa線断面図であり、(b)は、図2のIVb−IVb線断面図である。
【図5】図1の研削装置の防塵カバー単体の下方からの斜視図である。
【図6】図1の研削装置の防塵カバー単体の底面図である。
【図7】(a)は、図1の研削装置により被研削面の隅部が研削されるときの防塵カバー構造体の要部平面図であり、(b)は、(a)のb−b線断面図である。
【図8】図1の研削装置での防塵カバーの取付手順を説明する概略の要部上平面図であり、(a)は、研削装置において防塵カバーが保護カバーから分離されている状態を示し、(b)は、保護カバーに対して防塵カバーが係合の途中にある状態を示し、(c)は、防塵カバーが保護カバーに係合して保持され、面ファスナにより保持される前の状態を示し、(d)は、防塵カバーが係合部および面ファスナにより保持された状態を示す。
【図9】図1の研削装置の防塵カバー構造体の変形例を示し、防塵カバーの下方からの要部斜視図である。
【図10】図1の研削装置の防塵カバー構造体の別の変形例を示し、(a)は、ベルト状部材およびスカート部の上方からの斜視図であり、(b)は、図4(a)に相当する図の要部を示す断面図である。
【図11】(a)、(b)、(c)は、本発明に係る防塵カバー構造体の他の構成を示し、防塵カバー構造体の装着前と装着したときの状態を表わす斜視図である。
【図12】(a)、(b)、(c)は、本発明に係る防塵カバー構造体の他の構成を示し、図11で示す本体をひっくり返して反対方向から防塵カバー構造体の装着状態を示す斜視図である。
【図13】本発明の防塵カバー構造体を模式的に示す斜視図である。
【図14】本発明の防塵カバー構造体を装着した状態を模式的に示す平面図である。
【図15】本発明の防塵カバー構造体を装着した状態を模式的に示す図14のX−X線における断面図である。
【図16】本発明の防塵カバー構造体を装着し集塵ホース及集塵装置に接続した状態を模式的に示す側面図である。
【図17】本発明の防塵カバー構造体の保持部材の他の構成を模式的に示す断面図である。
【図18】(a)、(b)、(c)は、本発明の防塵カバーに切込溝を形成した構成を示す斜視図、動作説明図、及び、接合筒部が変形したときの模式図である。
【図19】(a)、(b)、(c)は、本発明の防塵カバーに案内部を設けた構成を模式的に示す横断面図、一部を切欠いた斜視図、縦断面図である。
【図20】本発明の防塵カバー構造体の保持部材の更に他の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明に係る防塵カバー構造体についての実施形態を図面を参照して説明する。
図1に示されるように、本発明が適用された防塵カバー構造体Cを取り付けた研削装置Gは、コンクリート、金属または合成樹脂などの形成材料で形成された構造物または物品である研削対象物が有する面を被研削面S1(図4(a)参照)として研削するために使用され、当該被研削面S1における凸部、付着物または塗膜等の被研削物を削り取る。
【0042】
図1〜図4(a)に示されるように、携帯型の研削装置Gは、作業者が把持する把持部4が設けられた本体1と、当該本体1に回転可能に支持されて被研削面S1を研削する回転研削体20と、本体1に設けられて回転研削体20を回転駆動する駆動装置16と、本体1に設けられると共に防塵カバー30が着脱可能に取り付けられるカバー支持部材としての保護カバー10とを備えている。また、研削装置Gには、回転研削体20による被研削面S1の研削時に発生する研削粉の飛散を防止または抑制すべく回転研削体20を覆う防塵カバー30を備える防塵カバー構造体Cが取り付けられている。そして、研削装置Gに取り付けた防塵カバー構造体Cの防塵カバー30により形成されるダスト空間A内の研削粉を吸引して集める集塵装置7が防塵カバー30に接続されている。
【0043】
集塵装置7は、ダスト空間A内の空気及び研削粉を吸い出す吸引力を発生すると共に吸引した研削粉を集める集塵機8と、集塵機8及び防塵カバー30に接続されると共にダスト空間A内の研削粉を空気と共に集塵機8に導く集塵通路9aを形成する部材である集塵ホース9(図6に二点鎖線で示される。)とを備える。
【0044】
本体1は、把持部4が着脱可能に設けられると共に駆動装置16を収容するケース2と、保護カバー10が結合されて固定される結合部3とを備える。結合部3は、回転研削体20の回転中心線Lgに沿ってケース2から軸線方向で下方に突出している筒状の、ここでは円筒状の部分であり、駆動装置16の駆動軸18を収容する収容部でもある。
【0045】
なお、明細書または特許請求の範囲において、軸線方向は、回転研削体20の回転中心線Lgまたは防塵カバー30の中心線Lc(図6参照)に平行な方向であるとし、径方向及び周方向は、それぞれ、回転中心線Lgまたは中心線Lcを中心とする径方向及び周方向であるとし、便宜上、軸線方向において、回転研削体20に対して被研削面S1が位置する方向を下方とし、当該下方と反対の方向を上方とする。
【0046】
保護カバー10は、防塵カバー30を形成しているゴム状弾性材である軟質材料に比べて破壊強度及び硬さが大きい材料である硬質材料、例えば金属または合成樹脂であり、この実施形態では鉄から形成されている。保護カバー10は、回転研削体20が高速回転することから作業者の手指を保護するためのものである。さらに、保護カバー10は、ダスト空間A内に集塵装置7が発生する吸引力によりダスト空間A内の圧力が負圧状態になるときの防塵カバー30の過度の変形を防止すると共に、研削装置Gの安全性を高めている。
【0047】
回転研削体20に隣接して配置される保護カバー10は、結合手段としてのクランプ14により、結合部3に着脱可能に取り付けられる。
保護カバー10は、軸線方向で上方から回転研削体20を覆うと共に軸線方向に直交する平面にほぼ平行な平板状の支持側の上壁11と、当該上壁11の外周縁に連なると共に上壁11から回転中心線Lgに沿って下方に延びている支持側の第1周壁である外周壁12と、上壁11の内周縁に連なると共に上壁11から回転中心線Lgに沿って上方に延びている支持側の第2周壁である内周壁13とを有する。そして、上壁11及び外周壁12は、回転研削体20を覆う支持側覆い壁Wiを構成する。
【0048】
内周壁13は、当該内周壁13に結合具としての1対のネジ15,15により結合されるクランプ14と共に、結合部3を径方向外方から締め付けることにより結合部3に固定される。
回転研削体20の径方向外方に位置する外周壁12の下端部12cは、回転研削体20の最下部である後述する研削具22,22,…よりも上方に位置する。
【0049】
保護カバー10の上壁11及び外周壁12は、周方向での所定角度範囲θ1で回転研削体20の一部を覆い、したがって研削粉の飛散を抑制する機能を有する一方、周方向での両端部11a,11b及び両端部12a,12bをそれぞれ有する。このため、回転研削体20は、周方向での所定角度範囲θ1以外の角度範囲で、保護カバー10から露出している。所定角度範囲θ1は、この実施形態では、ほぼ180°であるが、別の例では、180°よりも小さいか、または180°よりも大きくてもよい。
そして、この実施形態において、ダスト空間Aは、防塵カバー30及び保護カバー10により形成される。
【0050】
ケース2に設けられる駆動装置16(図1参照)は、ケース2内に収容されて回転研削体20を回転駆動する駆動源としての電動機17と、当該電動機17が発生する駆動力を回転研削体20に伝達して、回転研削体20を回転駆動する伝動機構(図示されず)とを有し、当該伝動機構は、回転研削体20が結合される駆動部材としての駆動軸18を有する。本体1に軸受を介して回転可能に支持される駆動軸18は、結合部3内とダスト空間Aとに渡って延びている。回転研削体20は、駆動軸18の下端部に螺合する固定手段としてのナット19により、回転中心線Lgを有する駆動軸18と結合される。それゆえ、駆動軸18と一体に回転する回転研削体20は、駆動軸18を介して本体1に回転可能に支持される。
【0051】
回転研削体20は、駆動軸18にナット19により着脱可能に結合されるカップ状の回転体21と、回転体21に設けられて被研削面S1を研削する研削具22,22,…とを有する。複数の研削具22,22,…は、軸線方向で被研削面S1に対向して回転体21に分散されて固定されている。回転体21は、研削具22,22,…が設けられると共に回転中心線Lgに直交する平面にほぼ平行な平板状部である環状部21aと、環状部21aから上方に突出すると共にナット19により駆動軸18に結合される円筒状の筒状部21bとを有する。
回転研削体20の別の例として、回転体21自体または環状部21a自体が研削具により構成されてもよい。
【0052】
図1〜図6に示されるように、防塵カバー構造体Cは、回転研削体20及び保護カバー10を上方及び径方向外方で覆う防塵カバー30のほかに、保護カバー10に防塵カバー30を保持する保持部材としてのベルト状部材60と、防塵カバー30に設けられるスカート部70と、を備える。
防塵カバー30は、ゴム状弾性を有するゴム状弾性材、例えばゴムまたは合成樹脂、この実施形態ではゴムから形成されている。
【0053】
防塵カバー30は、回転研削体20に結合される駆動軸18が挿通される挿通穴41が形成されたカバー側の上壁31と、当該上壁31の外周縁に連なって形成されて保護カバー10の外周壁12の少なくとも一部を囲む外周壁であるカバー側の周壁32と、上壁31または周壁32の内側(すなわち、上壁31または周壁32においてダスト空間A側)に形成された1対のカバー側係合部33,34と、集塵ホース9が接続される接続部35と、ダスト空間A内の空気及び研削粉を吸込通路43に案内する案内部36とを有している。
防塵カバー30において、上壁31及び周壁32は、周方向で回転研削体20を覆うカバー側覆い壁Woを構成する。そして、上方及び径方向外方から回転研削体20を覆う覆い壁Woは、保護カバー10の覆い壁Wiである内側覆い壁を、上方及び径方向外方から覆う外側覆い壁である。
【0054】
図1,図2,図4(a)に示されるように、挿通穴41は、防塵カバー30の中心線Lcを中心に結合部3および駆動軸18よりも大径に形成されて結合部3及び駆動軸18が挿通し得る大きさである中心穴41aと、中心穴41aから径方向に延びている径方向穴(径方向溝)41bとから構成される。一方、周壁32には、連絡穴としての径方向穴41bに連なる切り口42が形成される。そして、上壁31を周方向に分断する挿通穴41と、周壁32を周方向に分断する切り口42とから構成される1つの切欠き開口40により、上壁31及び周壁32が(したがって、覆い壁Woが)周方向に部分的に分断される。
覆い壁Woに切欠き開口40が形成されることにより、防塵カバー30は、軸線方向から見て(以下、「平面視」という。)でほぼC形の形状を呈する。
【0055】
中心線Lcに直交する平面にほぼ平行な平坦な上面31sを有する上壁31は、柔軟部(または低剛性部)としての薄肉部31aと、軸線方向での肉厚が薄肉部31aよりも大きく、薄肉部31aよりも剛性が高い高剛性部としての厚肉部31bと、径方向内方で厚肉部31bに連なる補強リブ31cとを有する。薄肉部31aは、防塵カバー30において厚肉部31bに比べて径方向及び軸線方向に弾性変形し易い部分である。また、薄肉部31aとほぼ同じ肉厚を有する補強リブ31cは、防塵カバー30を軽量化しながら厚肉部31bの剛性を高めている。
【0056】
図1〜図3,図5,図6に示されるように、厚肉部31bには、保護カバー10が有する1対の支持側係合部としての周方向端部11a,11bがそれぞれ挿入される挿入溝33a,34aがそれぞれ形成された1対の係合部33,34と、厚肉部31bの外側(すなわち、厚肉部31bにおいてダスト空間A側とは反対側)に位置する接続部35と、厚肉部31bから下方に向かって突出する案内部36とが形成され、さらに接続部35により形成されると共に集塵通路9aに連通する吸込通路43が開口する。
ここで、厚肉部31bは、同一構造の両係合部33,34を連結する連結部を構成する。接続部35は吸込通路43を形成する吸込通路形成部である。また、挿入溝33a,34aは軸線方向に直交する平面にほぼ平行に形成されている。
【0057】
図5,図6に示されるように、吸込通路43の入口43aは、厚肉部31bにおいて一方の係合部33付近でダスト空間A(図4(a)参照)に開口する。このため、吸込通路43における入口43a付近の部分及び入口43aが厚肉部31bに形成されるので、吸込通路43が形成されることによる防塵カバー30の剛性の低下が抑制される。
【0058】
薄肉部31aは、径方向穴41bに対して周方向で当該径方向穴41bを挟んで弧状に延びていると共に厚肉部31bに連なる1対の第1柔軟部としての第1薄肉部31a1,31a2と、平面視で厚肉部31bを挟んで各第1薄肉部31a1,31a2とは反対側に配置されると共に径方向外方で厚肉部31bに連なる弧状の第2柔軟部としての第2薄肉部31a3とを有する。
径方向穴41bに対して周方向で互いに反対方向に延びている1対の第1薄肉部31a1,31a2は、厚肉部31bまたは1対の係合部33,34とそれぞれ周方向で連なる基部31a5,31a7と、径方向穴41bの周方向幅d1を規定する1対の周方向端部31a6,31a8とを有する。
【0059】
径方向で厚肉部31bに連なる第2薄肉部31a3には、集塵装置7による研削粉の吸引時に、防塵カバー30の外側の空気をダスト空間A内に導く空気取入口44が周方向に細長く延びて形成されている。空気取入口44は、軸線方向で上方から見て回転研削体20の回転体21の外周部と研削具22,22,…の径方向外端部または外周部とが露出する位置にあり、防塵カバー30が本体1に取り付けられた状態でそれらの位置を視認可能な視認用開口を兼ねる(図2,図3参照)。
【0060】
周壁32は、柔軟部(または低剛性部)としての薄肉部32nと、径方向での肉厚が薄肉部32nよりも大きく、薄肉部32nよりも剛性が高い高剛性部としての厚肉部32mとを有する。また、軸線方向での幅が周方向での全範囲でほぼ均一の周壁32において、その下端部32f(図4(a)参照)は、防塵カバー30が保護カバー10を介して本体1に取り付けられた状態で、回転研削体20の環状部21aよりも上方に位置する。
そして、周壁32は、1対の第1薄肉部31a1,31a2にそれぞれ連なると共に薄肉部32nから構成される1対の第1弧状部32a,32bと、第2薄肉部31a3に連なると共に薄肉部32nから構成される第2弧状部32cと、周方向で第1,第2弧状部32a,32cの間および第1,第2弧状部32b,32cの間にそれぞれ位置すると共に厚肉部31bに連なる1対の第3弧状部32d,32eとを有する。各第3弧状部32d,32eは厚肉部32mから構成される。
そして、防塵カバー30の中心線Lcは、平面視で、1対の第1弧状部32a,32bの内周面の、ほぼ曲率中心である。
【0061】
図5,図6に示されるように、切り口42に対して周方向で互いに反対方向に延びている1対の第1弧状部32a,32bは、厚肉部31bと周方向で連なる基部32a1,32b1と、切り口42の周方向幅d2を規定する1対の周方向端部32a2,32b2とを有する。
第1弧状部32aは、周方向で第3弧状部32dに近づくにつれて肉厚が漸増する厚肉部分32a3を有する。そして、基部32a1は該厚肉部分32a3から構成される。また、第1弧状部32aの周方向端部32a2および当該周方向端部32a2付近と、第1弧状部32bと、第2弧状部32cとは、それぞれの周方向での形成範囲でほぼ均一の肉厚であって、薄肉部31aの肉厚とほぼ同じ肉厚を有する。第3弧状部32dは、周方向で第1弧状部32a寄りに、かつ周方向での第1係合部33の形成範囲とほぼ同じ周方向範囲で局部的に径方向内方に向かって突出する厚肉部分32d1を有する。
【0062】
なお、別の例として、第1弧状部32aは、周方向での全範囲でほぼ均一の肉厚であって、薄肉部31aの肉厚とほぼ同じ肉厚を有していてもよい。
また、この実施形態では、防塵カバー30が保護カバー10に取り付けられてない自然状態にあるとき、両周方向幅d1,d2は同一であるが、別の例では、両周方向幅d1,d2が異なる値に設定されてもよい。
第2弧状部32cは、周壁32において、周方向での特定角度範囲θ2に渡って、回転研削体20との径方向空隙c1(図3参照)が特定角度範囲θ2以外の範囲に比べて小さい近接部37を構成する。
【0063】
そして、防塵カバー30において、各第1薄肉部31a1,31a2及び各第1弧状部32a,32bは、防塵カバー30の1対の取付部51,52それぞれを構成し、第2薄肉部31a3及び第2弧状部32cは、回転研削体20により被研削面S1の隅部S1aが研削される際に、被研削面S1に対して上方に立ち上がる立上がり壁面S2(図4(a)参照)に押し付けられる押付け部53を構成する。
各取付部51,52は、厚肉部31bまたは各係合部33,34に対して周方向に延びていると共に、保護カバー10の外周壁12に、当該外周壁12の径方向外方でベルト状部材60により保持される。
また、第1薄肉部31a1の基部31a5と第1弧状部32aの基部32a1とは、厚肉部31bおよび第3弧状部32dに連なる取付部51の基部51aを構成し、第1薄肉部31a2の基部31a7と第1弧状部32bの基部32b1とは、厚肉部31bおよび第3弧状部32eに連なる取付部52の基部52aを構成する。
【0064】
また、防塵カバー30の中心線Lcを含むと共に切り口42を通る仮想平面の1つを特定平面Pとするとき、1対の係合部33,34、そして1対の取付部51,52は、特定平面Pの両側にそれぞれ1つずつ配置されるように設けられる。そして、この実施形態では、1対の係合部33,34、1対の取付部51,52、空気取入口44は、特定平面Pを対称面として、当該特定平面Pに関してほぼ面対称に配置されている。
中心線Lcは、防塵カバー30が保護カバー10に取り付けられてない自然状態で回転中心線Lgに平行な直線であるとし、防塵カバー30が保護カバー10に取り付けられた状態で、回転中心線Lgにほぼ一致するか、または回転中心線Lgの付近に位置する。
【0065】
径方向穴41b及び切り口42のそれぞれの周方向幅d1、d2は、各係合部33,34が対応する保護カバー10の各周方向端部11a,11bに係合した状態で、防塵カバー30の1対の取付部51,52の弾性変形により周方向に変更可能である。このため、1対の取付部51,52を弾性変形させて拡径または縮径することにより、同じ防塵カバー30を、例えば保護カバー10の外周壁12の外径や形状が異なる複数の研削装置に対して、取り付けることができる。
【0066】
上壁31の上面31sから上方に突出すると共に平面視で入口43a近傍の周壁32での接線方向にほぼ沿って延びている接続部35には、ダスト空間A内の研削粉を吸引する集塵ホース9が接続される。挿通穴41よりも径方向外方に配置される接続部35は、異なる口径の接続端部を有する集塵ホース9が、それぞれ嵌合可能な、ここでは外嵌合可能な外径が異なる複数の、この実施形態では2つの嵌合部である外嵌合部35a,35bを有する。図6に示されるように、外嵌合部35aに嵌合する集塵ホース9(二点鎖線で示される。)とは、接続端部の口径が異なる別の集塵ホース91が別の外嵌合部35bに接続されたときの状態が別の二点鎖線で示されている。
【0067】
このように、口径が異なる集塵ホース9を接続部35に接続することができるので、防塵カバー30の汎用性が高められ、防塵カバー30のコストが削減される。
また、保護カバー10は、接続部35に集塵ホース9が接続された状態での防塵カバー30が集塵ホース9の重量により曲げ変形して、周壁32または上壁31が回転研削体20に接触することを防止するために、防塵カバー30の過度の前記曲げ変形を抑制する変形抑制部材として機能する。そのために、接続部35及び保護カバー10は、平面視で部分的に互いに重なる位置、より具体的には、接続部35が、その一部である外嵌合部35a,35b寄りの部分で、保護カバー10の上壁11および外周壁12のそれぞれの一部と重なる位置に配置される。
【0068】
さらに、接続部35は、平面視で、周壁32において肉厚が大きいことにより剛性が高められた高剛性部位を構成する基部32a1および第3弧状部32dと重なる位置に設けられるので、当該高剛性部位(すなわち、基部32a1および第3弧状部32d)によっても前記曲げ変形が抑制される。しかも、第3弧状部32dは、平面視で接続部35と重なる位置に厚肉部分32d1を有するので、この厚肉部分32d1により前記曲げ変形が一層抑制される。
【0069】
保護カバー10に被せられて取り付けられる防塵カバー30は、その周壁32にて、ベルト状部材60により、周壁32及び切り口42が保護カバー10の外周壁12の外周側に位置する状態で保持される。そして、保護カバー10に防塵カバー30が取り付けられた状態で、各取付部51,52の上壁部分である各第1薄肉部31a1,31a2は保護カバー10の上壁11に載置された状態で上壁11により保持される。
【0070】
図1〜図3,図4(a)に示されるように、防塵カバー30の周壁32の外周面に巻き付けられると共に当該周壁32に着脱可能に取り付けられるベルト状部材60は、周方向での両端を有する帯状の面ファスナ61により構成される。そのため、押付け部53を構成する第2弧状部32cを除いて、周壁32の、各第1弧状部32a,32b及び各第3弧状部32d,32eの外周面には、ベルト状部材60が着脱可能に取り付けられる取付支持部としての支持側面ファスナ62が固定手段により固定されている。なお、面ファスナ62を防塵カバー30の周壁32に固定する前記固定手段は、例えば、接着剤、両面テープまたは止め具(具体的には、リベット、ステープラ用つづり針またはハトメなど)などであり、さらに接着剤、両面テープおよび止め具の少なくとも2種類の組み合わせ、または複数の種類の止め具の組み合わせである。一例として、接着剤または両面テープで固定された面ファスナ62を、止め具であるリベット、ステープラ用つづり針またはハトメで部分的に固定することにより、防塵カバー30に面ファスナ62をより確実に固定できる。
【0071】
防塵カバー30を保護カバー10に着脱可能に取り付けるために、係合部33,34及びベルト状部材60により構成される第1取付手段のほかに、防塵カバー構造体Cには、第2取付手段が設けられる。
この第2取付手段は、各第1弧状部32a,32bの内周面に固定手段(例えば接着)により着脱可能に取り付けられて設けられる取付側結合手段としての取付側面ファスナ63と、保護カバー10の外周壁12の外周面に固定手段(例えば接着)により着脱可能に取り付けられて設けられて、面ファスナ63が着脱可能に付着して取り付けられる支持側結合手段としての支持側面ファスナ64とから構成される。
なお、ベルト状部材60による保護カバー10への防塵カバー30の保持が前記第1取付手段のみで十分な場合には、前記第2取付手段は設けられなくてもよい。また、当該第2取付手段は、面ファスナ以外の部材(例えば両面接着テープ)から構成されてもよい。
【0072】
このように、防塵カバー30は、係合部33,34及び面ファスナ61により、保護カバー10の上壁11及び外周壁12で、したがって保護カバー10における本体1への固定部である内周壁13以外の部分で、保護カバー10に取り付けられる。
また、保護カバー10の各周方向端部11a,11bは、取付部51,52の弾性変形時に保護カバー10に対して係合部33,34が軸線方向に移動することを規制する一方、径方向での係合部33,34の若干の移動を許容するように、対応する係合部33,34に係合する。このため、各係合部33,34により、防塵カバー30は保護カバー10に対して軸線方向での移動が僅かとなるように規制される一方、拡径及び縮径される各取付部51,52が径方向に弾性変形し易くされるので、防塵カバー30が各係合部33,34で保護カバー10に保持された状態において、ベルト状部材60または面ファスナ61による保護カバー10への防塵カバー30の保持が容易になる。
【0073】
図1,図4に示されるように、ベルト状部材60である面ファスナ61は、防塵カバー30の周壁32に取り付けられて当該防塵カバー30を保護カバー10に保持した状態で、周壁32の下端部32fから下方に延出している延出部を有し、ベルト状部材60の一部である当該延出部は、防塵カバー30が被研削面S1に接触することを防止すべく、研削時に被研削面S1に接触するスカート部70を構成する。
【0074】
図7(a),(b)に示されるように、研削装置Gにより被研削面S1の隅部S1a(図4(a)参照)が研削される際、押付け部53が作業者により立上がり壁面S2に押し付けられることで、周壁32の第2弧状部32c(すなわち、近接部37)及び上壁31の第2薄肉部31a3が径方向内方に向かって変形する。この状態で、壁面S2に近づけられた回転研削体20により隅部S1aが研削される。
このとき、面ファスナ61を第2弧状部32cから剥がすことにより、面ファスナ61が壁面S2と回転研削体20とに挟まれることが回避されて、面ファスナ61が回転研削体20により研削されて破損することが防止され、また周壁32の第2弧状部32cが回転研削体20の環状部21aよりも上方に位置することで、第2弧状部32cが回転研削体20により研削されて破損することが防止される。
【0075】
また、隅部S1aの研削の際には、押付け部53が立上がり壁面S2に押し付けられた状態で研削作業が行われるため、壁面S2に防塵カバー30が壁面S2で擦られて、壁面S2に防塵カバー30のゴム跡がつくことがある。そこで、壁面S2での押付け部53の跡が目立たないようにするためには、壁面S2に近い色、例えば壁面S2がコンクリート製の壁面S2であれば、防塵カバー30を形成するゴムの色は、白色や灰色であることが好ましい。
【0076】
図4〜図6に示されるように、案内部36は、回転研削体20の環状部21aの上方に配置されて上壁の肉厚部から軸線方向で環状部21aに向かって下方に突出して延びていると共に、環状部21aの径方向内方から、入口43aの、回転研削体20の回転方向Rでの回転方向側の端部43a1に向かって径方向に延びている板状の部材である。案内部36の下端部36aと環状部21aとの間の軸線方向での空隙は、当該空隙からの研削粉の漏れを抑制すべく僅少に設定されている。
案内部36は、回転体21の上方で当該回転体21に引きずられて回転中心線Lgを中心に旋回する研削粉を空気流と共に吸込通路43に向けて案内して、回転体21の上面21cに研削粉が堆積することを抑制する。
【0077】
図2,図4(a)に示されるように、結合部3、内周壁13及びクランプ14と、防塵カバー30の上壁31との間には、挿通穴41の一部により、径方向での環状の空隙c2が形成され、当該空隙c2からもダスト空間A内に外気が導かれる。この空隙c2から流入する空気により、ダスト空間A内の研削粉が回転研削体20の回転体21の上面21cに侵入することが抑制されて、吸込通路43に流入し易くなり、研削粉の集塵効率が向上する。
【0078】
図1,図8を参照して、防塵カバー30の取付手順を説明する。
先ず、図8(a)に示されるように、保護カバー10がクランプ14(図1参照)により本体1の結合部3に固定された状態で、1対の係合部33,34(図2も参照)が保護カバー10の1対の周方向端部11a,11bにそれぞれ挿入される(図8(b)参照)。1対の係合部33,34(図3も参照)を保護カバー10の1対の周方向端部11a,11bにそれぞれ係合させる際、防塵カバー30の1対の取付部51,52を弾性変形させて互いに離隔する方向に広げて拡径することにより、各係合部33,34と各周方向端部11a,11bとの係合作業が容易になる。図8(a)には、拡径されたときの1対の取付部51,52が二点鎖線で示されている。
【0079】
次いで、1対の係合部33,34と1対の周方向端部11a,11bとがそれぞれ係合し、防塵カバー30が各係合部33,34により保護カバー10に保持される。そして、保護カバー10に係合している係合部33,34により保護カバー10に仮止めされた状態の防塵カバー30において、1対の取付部51,52を弾性変形させて互いに離隔する方向に拡径することにより、各取付部51,52が保護カバー10の外周壁12の径方向外方に配置される(図8(c)参照)。
その後、外周壁12に面ファスナ62を介してベルト状部材60である面ファスナ61が、各取付部51,52を含めて周壁32を径方向外方から覆うように、一重に巻き付けられて、面ファスナ62と結合される。そして、面ファスナ61により、防塵カバー30が保護カバー10に保持される(図8(d)参照)。
【0080】
なお、回転研削体20は、図8(a)に示されるように、各係合部33,34が各周方向端部11a,11bに係合する前に、ナット19(図1参照)により駆動軸18に結合されていてもよいが、面ファスナ61による防塵カバー30の取付後に、ナット19により駆動軸18に結合されてもよい。
そして、本体1に取り付けられた状態の防塵カバー30に対して、その接続部35に集塵装置7の集塵ホース9(図6参照)が接続される。
【0081】
次に、前述のように構成された実施形態の作用及び効果について説明する。
研削装置Gの防塵カバー構造体Cは、回転研削体20を覆う防塵カバー30と、本体1に結合される保護カバー10に防塵カバー30を保持するベルト状部材60とを備え、ゴム状弾性材から形成される防塵カバー30は、回転研削体20を覆う覆い壁Woと、覆い壁Woに形成されて保護カバー10の1対の周方向端部11a,11bにそれぞれ係合する1対の係合部33,34とを有し、覆い壁Woには、回転研削体20を回転駆動する駆動軸18が挿通されると共に覆い壁Woを周方向に分断する切欠き開口40が形成され、防塵カバー30は、本体1に結合されている状態の保護カバー10に、覆い壁Woがベルト状部材60により保持され、かつ各係合部33,34が係合することで、保護カバー10に着脱可能に取り付けられる。
【0082】
この構造により、防塵カバー30は、本体1に結合されている状態のカバー支持部材である保護カバー10に、保持部材であるベルト状部材60により保持され、かつ各係合部33,34が係合するので、防塵カバー30が本体1に対する保護カバー10の着脱とは無関係に取り付けられる。この結果、保護カバー10が本体1に着脱可能に取り付けられる研削装置Gにおける防塵カバー30の取付の際に、保護カバー10を本体1に対して着脱する必要がないので、その分、防塵カバー30の取付が容易になる。
また、防塵カバー30の各係合部33,34を保護カバー10に係合させることで、係合部33,34により防塵カバー30が保護カバー10に保持された状態で、ベルト状部材60により防塵カバー30を保護カバー10に取り付けることができ、しかもゴム状弾性材により形成された防塵カバー30は、その覆い壁Wo(したがって、上壁31及び周壁32)が切欠き開口40により周方向に分断されることから、切欠き開口40に駆動軸18を挿通させた状態で、防塵カバー30を容易に弾性変形させることができるので、保護カバー10に対する防塵カバー30の取付容易性が向上する。
【0083】
また、各係合部33,34は防塵カバー30の高剛性部である厚肉部31bに連なって形成されていることにより、各係合部33,34が保護カバー10の各周方向端部11a,11bに係合した状態で、厚肉部31bの剛性により防塵カバー30が安定して保持されるので、この保持安定性が防塵カバー30の取付容易性の向上に寄与する。
【0084】
防塵カバー30の覆い壁Woは、切欠き開口40により周方向に分断された1対の取付部51,52を有し、各取付部51,52は、係合部33,34に対して周方向に延びていると共に、保護カバー10の径方向外方でベルト状部材60により保護カバー10に保持される。この構造により、防塵カバー30を保護カバー10に保持するために、ベルト状部材60により保持される1対の取付部51,52は、係合部33,34に対して周方向に延びていて、しかも保護カバー10を径方向外方から囲むように配置されるので、係合部33,34が保護カバー10に係合した状態を維持しながら、切欠き開口40により分断された1対の取付部51,52を大きく弾性変形させることができる。この結果、同じ防塵カバー30を、当該1対の取付部51,52にて、回転研削体20の外径や保護カバー10の外径が異なる機種の研削装置に容易に取り付けることが可能になり、防塵カバー30の汎用性が向上する。
【0085】
回転研削体20に隣接して配置されて防塵カバー30により覆われると共に周方向での所定角度範囲θ1で回転研削体20を覆う保護カバー10は、回転研削体20を上方から覆う平板状の上壁11を有し、上壁11の両周方向端部11a,11bが1対の係合部33,34にそれぞれ係合する。この構造により、保護カバー10が有する上壁11の各周方向端部11a,11b自体が対応する各係合部33,34に係合されるので、当該係合部33,34に係合させるための特別な部分を保護カバー10に形成する必要がなく、コストが削減される。また、上壁11は平板状であるので、係合部33,34の形状を簡単化できるうえ、径方向での係合位置の自由度を大きくすることができて、防塵カバー30の汎用性の向上に寄与する。
【0086】
防塵カバー構造体Cは、覆い壁Woの下端部32fよりも下方に延出していて被研削面S1に接触するスカート部70を備え、スカート部70は、周壁32に取り付けられる面ファスナ61から構成される。この構造により、スカート部70が面ファスナ61から構成されるので、スカート部70がブラシから構成される場合に比べてコストを削減できる。また、防塵カバー30に対する面ファスナ61の取付位置の調整や着脱は容易であるので、防塵カバー30におけるスカート部70の位置調整が容易になるうえ、防塵カバー30から下方へのスカート部70の延出量eの調整も容易になり、さらに被研削面S1の隅部S1aを研削する際に、スカート部70を部分的に剥がした状態とすることで、スカート部70が回転研削体20と接触してスカート部70に摩耗が発生することを回避できる。この結果、スカート部70が面ファスナ61であるので、覆い壁Woに対するスカート部70の位置調整及び下方への延出量eの調整が容易化される。また、被研削面S1の隅部S1aの研削の際に、一部を剥がすことにより回転研削体20との接触によるスカート部70の摩耗が回避されるので、スカート部70の寿命が延びる。
【0087】
防塵カバー30を保護カバー10に保持する保持部材は、保護カバー10及び覆い壁Woを周方向で囲んで配置されると共に覆い壁Woに着脱可能に取り付けられるベルト状部材60であり、ベルト状部材60は、覆い壁Woの周壁32の下端部32fから下方に延出していて被研削面S1に接触するスカート部70を構成する。この構造により、ベルト状部材60の保持部材がスカート部70を兼ねるので、部品点数を削減してスカート部70を設けることができてコストを削減できる。しかも、防塵カバー30がベルト状部材60により保護カバー10に保持されることでスカート部70が防塵カバー30に保持されるので、スカート部70のみを、ベルト状部材60とは別個に防塵カバー30に取り付ける必要がないことから、防塵カバー30にスカート部70を設ける作業が効率化される。
【0088】
防塵カバー30の覆い壁Woは、周方向での特定角度範囲θ2に渡って、回転研削体20との径方向空隙c1が特定角度範囲θ2以外の範囲に比べて小さい近接部37を有し、当該近接部37が押付け部53を構成することにより、被研削面S1のうちの、被研削面S1から立ち上がる立上がり壁面S2の近傍部分である隅部S1aが、研削装置Gにより研削される際に、押付け部53の近接部37を立上がり壁面S2に押し付けることにより、回転研削体20を壁面S2に近づけるための防塵カバー30の変形量を小さくできる。この結果、被研削面S1の隅部S1aを研削する際に、近接部37を被研削面S1と壁面S2に当接させることで、回転研削体20を壁面S2に近づけるための防塵カバー30の変形量を小さくできるので、当該隅部S1aの研削が容易になる。
【0089】
防塵カバー30は、当該防塵カバー30により形成されるダスト空間A内の研削粉が吸引される吸込通路43を形成する吸込通路形成部である接続部35と、回転研削体20の上方に配置されて回転研削体20の上方で浮遊する研削粉を空気流と共に吸込通路43に案内する案内部36とを有する。この構造により、回転研削体20の上面21c付近で回転研削体20に引きずられて旋回しようとする研削粉は、案内部36により案内されて吸込通路43に向けて移動するので、回転研削体20の回転体21の上方で浮遊する研削粉が回転研削体20に連れ回りすることが抑制される。この結果、研削粉の集塵効率が向上して、研削粉を防塵カバー30により形成されるダスト空間A内から効率よく集塵できる。
【0090】
以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した形態について、変更した構成に関して説明する。
防塵カバー30の周壁32には、異なる研削装置において保護カバー10と回転研削体20の環状部21aとの軸線方向での間隔が異なる場合に、ユーザによる周壁32の高さ(すなわち、周壁32の軸線方向での幅)の設定を容易にするために、周方向で周壁32の全体に渡って、または周方向に間隔を置いて、カッタ等の切断具により周壁32の下部を切り取ることが容易になるように、切取用の周方向溝が形成されてもよい。
カバー支持部材は、研削粉の飛散を抑制するように回転研削体20を覆っていない部材であってもよい。
【0091】
カバー支持部材または保護カバーは、本体の結合部と一体成形されて、当該結合部に固定されて設けられてもよい。
スカート部は、保持部材でないベルト状部材により構成されてもよく、また防塵カバー30に一体成形により設けられてもよく、さらに防塵カバー30の下端部32fに、着脱可能に、または一体形成によりに設けられたブラシであってもよい。
防塵カバーには集塵装置が接続されていなくてもよく、したがって防塵カバーは、接続部35及び案内部36を有していなくてもよく、さらに防塵カバーに吸込通路43が形成されていなくてもよい。
【0092】
周壁32を保持する保持部材は、面ファスナ以外の部材またはベルト状部材以外の部材により構成されてもよく、金属または合成樹脂から形成される締め付け型のクランプや、ピンであってもよい。
接続部35は、複数の外嵌合部35a,35bを有する代わりに、異なる口径の集塵ホースが、それぞれ内嵌合可能な内径が異なる複数の内嵌合部を有していてもよい。
支持側面ファスナ62は、図9に示されるように、周壁32に周方向に間隔を置いて設けられた複数のスリット46を利用して、周方向で周壁32の外周側及び内周側に交互に位置するように配置されてもよい。
【0093】
防塵カバー30が有する1対の係合部または一方の係合部は、覆い壁Woの外側、したがって上壁31または周壁32の外側に形成されてもよい。また、防塵カバー30が有する係合部の数は、1つまたは2以外の複数であってもよい。
覆い壁Woは、椀状の壁であってもよい。
近接部37は、図6に二点鎖線で示されるように、周壁32において周方向にほぼ平坦な平坦部32hから構成されてもよく、当該平坦部32hによっても、近接部37が弧状部32cから構成される場合と同じ効果が奏される。
【0094】
近接部37は、防塵カバー30の周壁32が、平面視で中心線Lcを中心とするほぼ真円形状に形成されるとき、回転中心線Lgに対して中心線Lcが偏心した位置を占めるように、防塵カバー30が保護カバー10に取り付けられることにより形成されてもよい。
スカート部70が面ファスナ61で構成される場合に、被研削面S1に対するスカート部70の滑りを向上させるために、スカート部70に被研削面S1と接触するフエルトやブラシが取り付けられてもよい。
また、図10に示されるように、ベルト状部材60が、前述の実施形態と同様に面ファスナ62(図1,図2も参照)に着脱可能に取り付けられる面ファスナ66で構成され、スカート部70は、面ファスナ66の下端部66aに結合されて当該面ファスナ66と一体に設けられるブラシ67から構成されてもよい。下端部32fよりも下方に延出していて被研削面S1(図4(a)参照)に接触するブラシ67は、面ファスナ66に接着等の固定手段により固定される取付手段としてのベルト状保持体68により、面ファスナ66に取り付けられる。
この構造によれば、ベルト状部材60が面ファスナ66から構成されるので、保護カバー10に対して防塵カバー30を面ファスナ66により容易に取り付けることができて、保護カバー10に対する防塵カバー30の着脱が容易になる。また、スカート部70を構成するブラシ67は面ファスナ62により覆い壁Woの周壁32に取り付けられる面ファスナ66に設けられることから、防塵カバー30に対する面ファスナ66の取付位置の調整や着脱は容易であるので、防塵カバー30におけるブラシ67の位置調整が容易になるうえ、防塵カバー30から下方へのブラシ67の延出量eの調整も容易になり、さらに被研削面S1の隅部S1a(図4(a)参照)を研削する際に、面ファスナ66を第2弧状部分32c(図2参照)において周壁32から部分的に剥がした状態とすることで、ブラシ67が回転研削体20と接触してブラシ67に摩耗が発生することを回避できる。
【0095】
防塵カバー30の周壁32は、周方向で保護カバー10の外周壁12の全体を覆ってもよい。
図1に示されるように、押付け部53の第2弧状部32cには、径方向で回転研削体20と対向する位置に、被研削面S1の隅部S1aの研削時に、回転研削体20が防塵カバー30から露出可能な切欠き(または開口)47が設けられてもよい。これにより、被研削面S1の隅部S1aでの壁面S2と防塵カバー30の周壁32との接触による摩耗回避による長寿命化が可能になる。
【0096】
また、図1から図10では、研削装置Gに防塵カバー構造体Cを装着する形態を説明したが、図11〜図17に示すように、切削装置Fに装着して使用する防塵カバー構造体CAとしてもよい。以下、防塵カバー構造体CAについて説明する。なお、すでに説明した同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、図14の二点鎖線で示す位置における断面を図15で示している。そして、図14の一点鎖線であるL1は、本体1の軸線を示している
【0097】
図11(a)、(b)に示すように、防塵カバー構造体CAは、木材、コンクリート、金属または合成樹脂などの形成材料で形成された構造物または物品である被加工物を切削、切断するための切削装置Fに装着して使用される。
なお、切削装置Fの本体1の構成は、すでに説明した研削装置G(図1参照)の把持部4(本体に形成された取付螺子孔tb(図16参照)の位置に螺合して使用)の取付け位置が異なるのみで他の駆動装置16、駆動軸18、保護カバー10等の構成は同じものである。
【0098】
図11及び図12に示すように、切削装置Fに着脱可能に取り付けられる回転加工体である回転切削体20Aは、平板円板状の回転体20A1の周面に切欠部20A2を介して所定間隔で切削刃20A3が形成されている。この回転切削体20Aは、加工する被作業面の種類によりその種類を換えて使用される。なお、回転切削体20Aは、ここでは、すでに説明した回転研削体20と共通の結合具であるナット19等により駆動軸18側に取り付けられる構成である。つまり、回転研削体20を使用する場合は、被作業面が平面であったときに、保護カバー10の上壁11が被作業面と平行となるように本体1を把持して操作され、回転切削体20Aを使用する場合には、保護カバー10の上壁11が被作業面と直交する垂直となるように本体1を把持して操作されることになる。
【0099】
防塵カバー構造体CAは、防塵カバー100と、この防塵カバー100を保護カバー10に取り付ける面ファスナである保持部材140とを備えている。そして、防塵カバー100は、第1側壁110及び第2側壁120を有する覆い壁130と、この覆い壁130の一端側に接続される接続部101とを備えている。なお、防塵カバー100は、ここでは、第1側壁110、第2側壁120、接続部101がゴム状弾性材から形成されている。
【0100】
接続部101は、筒状に形成され外部に設置される集塵装置7(図15参照)の集塵ホース9を接続するものである。この接続部101は、一端側に筒状の接続筒部102と、この接続筒部102に連続して形成され覆い壁130とを接合する接合筒部103とを備えている。なお、接続部101は、接続筒部102の一端開口から接合筒部103の他端開口まで連通して空気通路となる吸引通路101a(図13参照)が形成されている。また、接合筒部103は、外観形状が円筒形状となるようにここでは形成されており、その円筒形状の側面に覆い壁130の一端側が接続するように構成されている。なお、接続部101の外観及び筒内形状は特に限定されるものではない。
【0101】
覆い壁130は、回転切削体20Aの有効作業面を露出させてその回転切削体20Aの両側面から覆うカバーである。この覆い壁130は、回転切削体20Aの一側面に対面する第1側壁110と、回転切削体20Aの他側面に対面する第2側壁120とを備えている。そして、覆い壁130は、その接合筒部103の接続側において、第1側壁110と第2側壁120との間は、接合筒部103内に連通する開口を介在して形成されている。なお、第1側壁110及び第2側壁120の間の当該開口から加工時に発生する切粉が送出される。
【0102】
覆い壁130は、定常状態では、第1側壁110と、第2側壁120とが互いに近接あるいは当接した状態で配置される。そして、覆い壁130は、作業者の操作により第1側壁110と第2側壁120とが、その弾性力に抗して互いに離間する方向に移動できるゴムなどの弾性部材で構成されている。つまり、覆い壁130は、第1側壁110及び第2側壁120の接続部側を起点としてその接続部側の反対となる部分が互いに離間して両側壁が開口するように(図11(a)(b)、図12(a)参照)弾性変形することができるように構成されている。
【0103】
図12(a)に示すように、第1側壁110は、平面視において扇形の外形となるように形成されると共に、その中央の側壁面に切欠き開口114が形成され、かつ、円弧部分に切欠き開口114から連続して切り口116が形成されており、回転切削体20Aの一側面に対面して配置される。第1側壁110は、本体1との関係では、本体1側に配置される。そして、第1側壁110は、切欠き開口114の周縁に形成され回転切削体20Aに平行な平面縁部111(図12(a)参照)と、この平面縁部111の円弧部分に当該平面縁部111の面と直交する方向に連続して形成される外周面115と、平面縁部111の切欠き開口114の両側に設けた係合部112,112と、を備えている。さらに、円弧部分の平面縁部111及び外周面115を周方向に分断して、切欠き開口114から連続して切り口116が形成されている。
【0104】
図11及び図12に示すように、切欠き開口114は、本体1の駆動軸18、結合部3あるいは内周壁13及びクランプ14等の本体1から突出する部分を受け入れて装着できるように第1側壁110の側壁面から外周面115にわたる位置に形成されている。この切欠き開口114は、大きさの異なる半円形を対面させた形状の第1開口114a,第2開口114bと、第1開口114aに連続する溝状の開口である切り口116とから構成されている。つまり、第1開口114aが大きなほぼ半円形状で形成され、その第1開口114aの直線部分に、当該第1開口114aより小さな半円形状の第2開口114bの直線部分を対面した状態となる開口形状と、第1開口114aに連続して後記する溝形状の切り口116が形成されている。
【0105】
図12(a)に示すように、第1開口114aは、半円形の直線と曲線の交わる一方の部分が欠けた形状にここでは形成されている。つまり、第1開口114aは、接続部101側の一部により半円形状の部分を開口していない状態として形成されている。この第1開口114aは、特に開口形状が限定されるものではなく、本体1側から突出する部分を開口内に受け入れて装着できればよい。
【0106】
第2開口114bは、保護カバー10に形成されている半円形状の内周壁13と同等あるいはそれよりやや大きな直径の半円形にここでは形成されている。この第2開口114bは、結合部3及び内周壁13(図1参照)あるいは回転切削体20Aのナット19等の取付金具(図1参照)を、収容できる大きさで、かつ、後記する係合部112,112が保護カバー10の平面板部分に係合できる大きさに形成されている。
【0107】
図11(a)及び図12(a)に示すように、第2開口114bの周縁には、平面縁部111の内側面に肉厚に形成した係合ガイド部113を有している。この係合ガイド部113は、係合部112,112を形成するためと、第1側壁110の強度を保つために形成されている。係合ガイド部113は、ここでは図11(a)に示すように、平面視において円弧部分の一部が開口端部を境に形成されない半環状体になるように、かつ、第1側壁のその他の部分と比べて肉厚に形成されている。そして、図13に示すように、第2開口114bの両側となる位置において係合ガイド部113の半環状体の両端部分に係合部112,112が形成されている。
【0108】
係合部112,112は、第1側壁110を保護カバー10に係合するものである。この係合部112,112は、半環状体である係合ガイド部113の両端となる肉厚部分を、第1側壁110の表面に平行な溝形状にすることで構成されている。そして、係合部112は、溝形状にすることで形成された下部係合部112aと、この下部係合部112aと対をなして保護カバー10に係合する上部係合部112bと、上部係合部112b及び下部係合部112aに係合した保護カバー10の端面が当接するストッパ部112cと、を備えている。また、この係合部112,112は、保護カバー10の内周壁13及びクランプ14のフランジ部分が係合したときに係合の障害にならないように、フランジ部分に対応する位置の表面側の部材を除去してフランジ用開口112dとしている。
【0109】
図13及び図15に示すように、下部係合部112aは、第2開口114bの両側となる位置で、第1開口114aと第2開口114bの境の位置から所定の肉厚でストッパ部112cまで板状に形成されている。また、下部係合部112aは、その幅方向の長さとして、保護カバー10の外周壁12の幅より小さく、かつ、内周壁13の位置の両側となるように形成されている。つまり、下部係合部112aは、保護カバー10の外周壁12の内側で、かつ、上壁11の下面に当接する位置に形成されている。
【0110】
図13に示すように、上部係合部112bの一方は、第1側壁110の上面側の部位により形成されている。また、上部係合部112bの他方は、接合筒部103の上部側の一部により形成されている。この上部係合部112b、112bは、下部係合部112a,112aまでの間隔が、保護カバー10の上壁11を挟持することで係合できるような間隔に調整されている。
上部係合部112b及び下部係合部112aは、第1側壁110がゴム状の弾性部材で形成されていることから、上部係合部112b及び下部係合部112aの対面する間隔が保護カバー10の上壁11の厚みより小さくても弾性変形によりその上壁11を挟持して係合できるようになっている。
【0111】
ストッパ部112cは、係合した保護カバー10の周方向端部11a,11bに当接して保護カバー10の係合深さがそれ以上奥に行かないように抑制するものである。このストッパ部112cは、下部係合部112aから一段高くなるように形成されている。
【0112】
図13及び図14に示すように、フランジ用開口112dは、保護カバー10が係合したときに、そのクランプ14及び内周壁13の両側に突出するフランジ部分を収めて、クランプ14及び内周壁13が所定の位置に配置されるように形成されている。このフランジ用開口112dは、ストッパ部112cから一段高い部分の厚みが階段状に現れるように、第1側壁110の表面側の肉厚が除去されて形成されている。
【0113】
図13及び図12(a)に示すように、第1側壁110の平面縁部111は、切欠き開口114の周囲となる側面部分であり、第1開口114aの円弧部分に沿って形成される円弧状平面111aと、第2開口114b及びフランジ用開口112dの縁に形成される縁平面111bとを備えている。そして、円弧状平面111aには、所定位置に切り口116の径方向切り口(径方向溝)116aが形成され、その円弧状平面111aに連続して形成されている外周面115に切り口116の外周切り口116bが形成されている。この切り口116が形成されていることで、円弧状平面111a及び外周面115は、周方向に平面縁部111及び外周面115が分断され、保護カバー10を取り付け易くするように弾性力に抗してより変形しやすくなる。なお、切り口116の形成位置は、保護カバー10に取り付けることができるように、平面縁部111及び外周面115を離間するように分断できれば、その円弧部分における形成位置は限定されない。また、切り口116は、すでに説明した図1〜図10におけるものと、その形状、間隔等がほぼ同等である。
【0114】
図11(c)及び図12(a)に示すように、第2側壁120は、平面視において扇状の一方の直線部分が接続部101の接合筒部103に接続された状態で、第1側壁110と対面する位置に形成されている。第2側壁120は、回転切削刃20Aと平行な扇状の側面部121と、その側面部121の円弧状部分となる外周面122とを備えている。また、第2側壁120は、その内側(第1側壁110と対向する側)に円環状の肉厚部123が形成されている。肉厚部123は、第2側壁120の形状を維持するガイドの役割をするものである。肉厚部123は、円環の円弧状の一部が切り落とされた形状に形成されており、第1側壁110の係合ガイド部113の形状とその一部が対向して同じ位置関係になるように形成されている。なお、肉厚部123の周縁部分および環内部分の厚みは、肉厚部123より薄い薄肉部124,125となるように形成されている。第2側壁120の円弧状の外周面122は、薄肉部125とほぼ同等の厚みで形成されている。また、肉厚部123の形状は、ここでは円環状として説明したが、特にその形状が限定されるものではない。
【0115】
図15に示すように、第1側壁110の外周面115と、第2側壁120の外周面122は、第1側壁110と第2側壁120が対向したときに、当接する位置関係、あるいは、離間して対向する位置関係のどちらの状態であっても構わない。また、それぞれの外周面115及び外周面122は、その内側に保持部材140の一方である面ファスナ141が取り付けられている。また、保護カバー10の円弧状部分の外周面にも保持部材140の他方である面ファスナ142が取り付けられている。それぞれの面ファスナ141,142としての保持部材140により、防塵カバー100が保護カバー10に設けた面ファスナ143に着脱自在に固定される。
【0116】
また、図16に示すように、防塵カバー100を装着したときに、回転切削体20Aの有効作業面となる刃先から回転中心に向かう長さα2は、刃先から径方向に回転中心までの距離α1を100%としたときに、ここでは、50〜65%露出するように設定されている。例えば、半径が刃先から回転中心まで58mmの回転切削体20Aであれば、30mmが露出するようになっている。なお、図15に示すように、本体1の中心軸線L1に対して防塵カバー100の開口端部の直線L2との角度θ1は、面ファスナ141〜143の取り付け位置により適宜に調整することが可能となる。
【0117】
なお、防塵カバー100は、弾性変形できる素材で形成されているために、例えば、図18(b)に示すように、回転切削体20Aで壁際まで加工作業を行う場合にも、防塵カバー100の接続部101の先端側が弾性変形して回転切削体20Aの刃先が加工したい際まで到達することが可能となる。
【0118】
防塵カバー構造体CAは、以上説明したように構成されているため、以下のようにして切削装置Fの保護カバー10に装着して使用される。
はじめに、図11(a)及び図12(a)に示すように、切削装置Fの保護カバー10に対して、防塵カバー100の第1側壁110及び第2側壁120を弾性力に抗して互いに離間させた状態とすると共に、第1側壁110の切り口116の部分を開口させて、保護カバー10に装着する。また、保護カバー10は、回転切削体20Aを取り外すことなく、保護カバー10の内周壁13及びクランプ14のネジ15,15(図1参照)を正面側からドライバーを差し込んで操作ができるため、作業者の使用状態に応じて適宜その取り付け角度を調整している。ここでは、図15に示すように、被作業面に対して本体1の軸線L1と防塵カバー100の開口端部の直線L2との角度θ1としたときに、保護カバー10が防塵カバー100から露出しないようにその取り付け角度を調整している。また、本体1の先端部分についても、防塵カバー100の端部より出っ張る位置に来ないようにしている。
【0119】
なお、防塵カバー100は、装着するときに、図11(b)及び図12(b)に示すように、第1側壁110に設けた係合部112,112を保護カバー10の周方向端部11a,11bから係合して第1側壁110を保護カバー10に取り付け(図14参照)、その後、保護カバー10の外周壁12に設けた面ファスナ143と、第1側壁110の外周面115の内側に設けた面ファスナ141とを接続させることで第1側壁110を装着する。
【0120】
第1側壁110が取り付けられた状態では、保護カバー10の内周壁13及びクランプ14のフランジ部分がフランジ用開口112dの位置に配置されるようになる。
そして、図11(c)及び図12(c)に示すように、防塵カバー100は、第2側壁120の外周面122の内側に設けた面ファスナ142を、保護カバー10の外周壁12に設けた面ファスナ143に接続することで、当該防塵カバー100の全体を保護カバー10に取り付ける。なお、面ファスナ141,142,143は、面接触で固定することになるため、防塵カバー100の装着位置が確実に維持される。
【0121】
図12及び図15に示すように、防塵カバー100が本体1に装着されると、回転切削体20Aは、第1側壁110の係合ガイド部113及び第2側壁120の肉厚部123に離間した状態で、かつ、図14に示すように、その円弧の一部が防塵カバー100の端部から露出した状態となる。
そして、図16に示すように、防塵カバー100及び保持部材140により防塵カバー構造体CAが本体1に取り付けられ、接続部101に集塵装置7の集塵ホース9を接続して加工作業の準備が整う。
【0122】
作業者は、本体1の回転切削体20Aをトリガー等のスイッチを操作しながら、被加工物の切削作業(加工作業)を行い、切削作業中において、集塵装置7が作動しているので、接続部101から集塵ホース9により被加工物の切粉が集塵される。また、加工するときには、回転切削体20Aを覆う防塵カバー100により、被加工物の切粉が飛び散ることが最小限に防止される。
【0123】
なお、図16に示すように、防塵カバー100を装着したときに、本体1の中心軸線L1に対して防塵カバー100の開口端部の直線L2を所定の角度θ1に設定しているので、回転切削体20Aの有効作業面のα2が例えば、回転切削体20Aの刃先から55%の割合で確保できる。したがって、刃先から回転中心までの半径53mmの回転切削体20Aであれば、28mmの切込み深さを確保することが可能となる。
また、切削加工を行う場合に、回転切削体20Aの有効作業面となる刃先からの長さα2が露出した状態で、図16に示す矢印の回転方向であると、切粉が接続部101の開口から集塵されやすくなる。また、防塵カバー100がゴム状の弾性部材で形成されているため、壁際における作業でも、回転切削体20Aが隅まで届くように弾性変形(図8(c)参照)して対応することが可能となる。
【0124】
以上説明したように、防塵カバー構造体C、CAは、本体1に簡単に装着することができ、回転加工体である回転研削体20あるいは回転切削体20Aにより加工時に発生する加工粉(研削粉及び切粉)を防塵カバーで飛散するのを防止しながら、集塵装置7により集塵して作業を行うことが可能となる。
【0125】
なお、図11〜図16においては、保持部材140として面ファスナ141,142,143を一例として説明したが、図17に示すような保持クランプ150が保持部材であっても構わない。
図17に示すように、保持クランプ150は、第1ベルト151と、第2ベルト152と、クランプ部153とを備えている。第1ベルト151は、その一端にクランプ部153の係合クランプ部153Aを備えると共に、当該第1ベルト151の他端に保護カバー10に係止する第1係止部151aを備えている。また、第2ベルト152は、その一端にクランプ部153のクランプ支持部153dを備えると共に、当該第2ベルト152の他端に保護カバー10に係止する第2係止部152aを備えている。
【0126】
第1ベルト151及び第2ベルト152は、ここでは金属ベルトで形成され、第1係止部151a及び第2係止部152aは、それぞれ金属ベルトの一端側を折り曲げて保護カバー10に係止できるように形成されている。また、第2ベルト152のクランプ支持部153dも金属ベルトの他端側を折り曲げて形成されている。
係合クランプ部153Aは、クランプ支持部153dに係合する係合リング153cとこの係合リング153cを長穴の範囲でスライド可能に支持するリング保持部153bと、このリング保持部153bに支持される係合リング153cをスライドさせると共に、クランプ支持部153dに係合した係合リング153cの状態で留めるクランプ留金153aとを備えている。なお、ここで説明するクランプ部153は、所謂、パッチン錠とよばれる一般的なものである。
【0127】
また、保持クランプ150を使用する場合には、図17に示すように、防塵カバー100において、接続部101と外周面115とが接する位置に第1ベルト151を挿入する挿入穴104が形成される構成となる。
保持クランプ150を使用するときには、はじめに、防塵カバー100を保護カバー10に沿って取り付け、保護カバー10の外周壁12に、第1側壁110及び第2側壁120のそれぞれの外周面115,122(図12(c)参照)を沿わせた状態で、第2ベルト152の第2係止部152aを保護カバー10の端部に係止して、外周面115,122の円周方向の半分側を覆った状態として配置する。そして、第1ベルト151により外周面115,122の円周方向の残りの半分側を覆った状態で、係合リング153cをクランプ支持部153dに係合させ、クランプ留金153aを第1ベルト151に当接する方向に移動させることで弾性力に抗して係合することで留める。
【0128】
このように、保持クランプ150を使用すると、ワンタッチで離脱させることができると共に、防塵カバー100を確実に保護カバー10に留め付けることが可能となる。また、保持クランプ150は、留めるか、外すかのどちらかの状態であるかが明確となるため、装着状態を簡単に確認することができる。
【0129】
なお、図16に示すように、本体1は、ハンドルを螺合するための側面側の取付穴tbが形成されており、必要に応じてハンドル(例えば、図1参照)を螺合することで、ハンドルを手指で把持して使用するようにすることも可能である。
【0130】
また、防塵カバー100は、その接続部101の端部が壁際での作業を行った際に弾性力に抗して変形したときに、回転切削体20Aが接触しないように、図18に示すように、予め切込溝105を形成する構成であっても構わない。すなわち、図18(a)に示すように、接続部101は、接合筒部103の開口端部の回転切削体20Aの板厚延長線上となる位置に、その開口端部から所定長さで切込溝105が形成されている。この切込溝105は、その周囲に着脱する覆片106を取り付けることで、接合筒部103が変形するような作業を行うときだけ、覆片106を取り外して回転切削体20Aの接触を防ぐようになっている。
【0131】
なお、切込溝105は、回転切削体20Aの板幅よりも幅広となるように溝が形成されている。また、覆片106を着脱するためには、その覆片106の裏面と、その覆片106の対面する接合筒部103の位置に、例えば、面ファスナを設けることで構成することができる。このような切込溝105を形成していることで、図18(b)に示すように、切削装置Fが被加工作業面の壁際に位置したときに、覆片106を作業者が一旦、装置を止めて剥がし、切込溝105を露出させた状態で、壁際まで切削作業を行ったときに、接合筒部103が弾性変形して、図18(c)に示すように、回転切削体20Aを際まで移動させて作業を行うことが可能となる。
【0132】
以上、図11〜図18において、切削装置Fに防塵カバー構造体CAを装着した構成について説明したが、防塵カバー100の第1側壁110及び第2側壁120の厚みは、全体が同じ厚みとなるように形成してもよい。また、防塵カバー100は、ゴム状弾性部材で形成した例として説明したが、第1側壁110のみがゴム状弾性部材で形成され第2側壁120及び接続部101が合成樹脂で構成される構成とすることや、あるいは、第1側壁110及び接続部101がゴム状弾性部材で形成され、第2側壁120が合成樹脂で形成される構成であっても構わない。
更に、上部係合部112b,112bのそれぞれは、ここでは、異なる部位により形成されているが、その両方が第1側壁の上面側の部位で形成されるように接合筒部103と覆い壁130の位置を調整するようにしても構わない。
【0133】
また、図19に示すように、第2側壁120と接合筒部103との間となる位置で、第2側壁120に案内部108を設ける構成としても構わない。図19においてすでに説明した構成は同じ符号を付して説明を省略する。
図19(a)、(b)に示すように、第2側壁120には、接合筒部103との間となる位置に、回転切削体20Aの回転により巻き込む切粉を、接合筒部103の吸引通路101aに案内する案内部108が設けられている。案内部108は、肉厚部123に隣接する位置で、接続筒部103の筒壁の内側となる位置で、かつ、肉厚部123と外周面122と薄肉部125とで囲繞される流路を、空間109をあけた状態で塞ぐ位置に設けられている。
【0134】
なお、図19(a)に示すように、案内部108と外周面122との間となる位置に空間109が形成された状態で案内部108が設けられているが、この空間109は、図19(c)に示すように、保護カバー10の外周壁12及び面ファスナ142,143が位置するために空けられている。案内部108の形状は、特に限定されるものではなく、回転切削体20Aの側面に当接しない高さで、且つ、回転切削体20Aに近接させるように、第2側壁120から突設されている。案内部108は、ここでは、肉厚部123よりも高く、かつ、回転切削体20Aに接触しない高さとなるように形成されている。したがって、図19(c)に示すように、肉厚部123と外周面122と回転切削体20Aの側面で囲まれる空間は、案内部108でほぼ塞がれて、浮遊する切粉の流れを、案内部108により吸引通路101aに導くように、作用することになる。
【0135】
なお、案内部108は、切粉を吸引通路101aに案内することができれば、突出位置は、第2側壁120側の位置、接合筒部103側の位置、あるいは、第2側壁120と接合筒部103との間となる位置のいずれであってもよい。また、回転切削体20Aの切刃が回転して移動する移動経路となる位置とは、ここでは、刃先から切欠部20A2の深さまでの幅に対応する位置において、回転切削体20Aが回転して移動する経路を示している。したがって、案内部108は、その刃先から切欠部20A2までの幅から当該幅を超える幅寸法となるように形成されることが望ましい。
【0136】
更に、図20に示すように、第1側壁110の外周壁115Aと、第2側壁120の外周壁122とを互いに重なる位置関係となるように設けるようにしても構わない。そして、第1側壁110の外周壁115Aの外側に面ファスナ144を設けて、面ファスナ141〜144を保持部材140としても構わない。このように、それぞれの外周壁115A、122Aが重なる位置関係の構成にすることで、面ファスナ141〜144までが重なる位置関係となり、防塵カバー100を保護カバー10に強固に取り付けることが可能となる。なお、図20に示す構成に、図19で示す案内部108を設ける構成としてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0137】
1…本体、7…集塵装置、9…集塵ホース、10…保護カバー、11…上壁、12…外周壁、18…駆動軸、20…回転研削体(回転加工体)、20A…回転切削体(回転加工体)30…防塵カバー、31…上壁、32…周壁、33,34…係合部、35…接続部、36…案内部、37…近接部、40…切欠き開口、41…挿通穴、42…切り口、51,52…取付部、53…押付け部、60…ベルト状部材、61,62,63,64,66…面ファスナ、67…ブラシ、100…防塵カバー、101…接続部、110…第1側壁、120…第2側壁、130…覆い壁、140…保持部材(面ファスナ)、150…保持クランプ。
G…研削装置、F…切削装置、C…防塵カバー構造体、Wo,Wi…覆い壁、A…ダスト空間、d1,d2…周方向幅、c1…径方向空隙、Lg…回転中心線、Lc…中心線、θ1…所定角度範囲、θ2…特定角度範囲。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工装置の本体に回転可能に支持されて被作業面を加工する回転加工体を覆う防塵カバーと、前記本体に結合されるカバー支持部材に前記防塵カバーを保持する保持部材と、を備える防塵カバー構造体において、
ゴム状弾性材から形成される前記防塵カバーは、前記回転加工体を覆う覆い壁と、前記覆い壁に形成されて前記カバー支持部材に係合する係合部と、を有し、
前記覆い壁には、前記回転加工体を回転駆動する駆動軸が挿通されると共に前記覆い壁を周方向に分断する切欠き開口が形成され、
前記防塵カバーは、前記本体に結合されている状態の前記カバー支持部材に、前記覆い壁が前記保持部材により保持され、かつ前記係合部が係合することで、前記カバー支持部材に着脱可能に取り付けられること特徴とする防塵カバー構造体。
【請求項2】
前記覆い壁は、前記切欠き開口により周方向に分断された1対の取付部を有し、
前記各取付部は、前記係合部に対して周方向に延びていると共に、前記カバー支持部材の径方向外方で前記保持部材により前記カバー支持部材に保持されることを特徴とする請求項1記載の防塵カバー構造体。
【請求項3】
前記加工装置が研削装置であり、前記回転加工体は、回転体に被作業面である被研削面を研削する研削具が設けられた回転研削体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防塵カバー構造体。
【請求項4】
前記カバー支持部材は、前記回転研削体に隣接して配置されて前記防塵カバーにより覆われると共に周方向での所定角度範囲で前記回転研削体を覆う保護カバーであり、
前記保護カバーは、前記回転研削体を上方から覆う平板状の上壁を有し、
前記上壁の周方向端部が前記係合部に係合することを特徴とする請求項3に記載の防塵カバー構造体。
【請求項5】
前記覆い壁の下端部よりも下方に延出していて前記被研削面に接触するスカート部を備え、
前記スカート部は、前記覆い壁に取り付けられる面ファスナから構成されることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の防塵カバー構造体。
【請求項6】
前記保持部材は、前記カバー支持部材及び前記覆い壁を周方向で囲んで配置されると共に前記覆い壁に着脱可能に取り付けられるベルト状部材であり、
前記ベルト状部材は、前記覆い壁の下端部から下方に延出していて前記被研削面に接触するスカート部を構成することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の防塵カバー構造体。
【請求項7】
前記覆い壁の下端部よりも下方に延出していて前記被研削面に接触するスカート部を構成するブラシを備え、
前記保持部材は、前記カバー支持部材及び前記覆い壁を周方向で囲んで配置されると共に前記覆い壁に着脱可能に取り付けられる面ファスナであり、
前記ブラシは、前記面ファスナに設けられることを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の防塵カバー構造体。
【請求項8】
前記覆い壁は、周方向での特定角度範囲に渡って、前記回転研削体との径方向空隙が前記特定角度範囲以外の範囲に比べて小さい近接部を有することを特徴とする請求項3から請求項7のいずれか1項記載の防塵カバー構造体。
【請求項9】
前記防塵カバーは、前記防塵カバーにより形成されるダスト空間内の研削粉が吸引される吸込通路を形成する吸込通路形成部と、前記回転研削体の上方に配置されて前記回転研削体の上方に浮遊する研削粉を前記吸込通路に案内する案内部と、を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項記載の防塵カバー構造体。
【請求項10】
装置本体に回転可能に支持されて被作業面を研削又は切削する回転加工体を覆う防塵カバーと、前記装置本体に結合される円弧状の外周壁を有するカバー支持部材に前記防塵カバーを保持する保持部材と、を備える防塵カバー構造体において、
前記防塵カバーは、前記回転加工体の有効作業面を露出させた状態で覆う覆い壁と、この覆い壁の一端側に形成され、切粉を集塵する集塵装置に接続する筒状の接続部と、前記覆い壁に形成されて前記カバー支持部材に係合する係合部と、を備え、
前記覆い壁は、前記接続部にそれぞれの一端側を支持して対向し、前記外周壁に沿って形成された外周面を有する第1側壁及び第2側壁を備え、
前記第1側壁は、前記回転加工体を回転駆動する駆動軸が挿通されると共に当該第1側壁を周方向に分断する切欠き開口が側壁面から外周面にわたって形成され、かつ、前記側壁面の切欠き開口における両側となる位置に前記係合部が配置され、
前記防塵カバーは、少なくとも前記第1側壁がゴム状弾性材から形成され、前記係合部が前記カバー支持部材に係合して、かつ、前記装置本体に結合されている状態の前記カバー支持部材に、前記保持部材により保持されて、前記カバー支持部材に着脱可能に取り付けられること特徴とする防塵カバー構造体。
【請求項11】
前記保持部材は、前記第1側壁及び前記第2側壁のそれぞれの弧状部の内周面に設けられると共に、前記カバー支持部材の弧状部の外周面に設けられた面ファスナであることを特徴とする請求項10に記載の防塵カバー構造体。
【請求項12】
前記保持部材は、前記第1側壁及び前記第2側壁の弧状部の内周面を前記カバー支持部材の弧状部の外周面に沿わせた状態で、前記第1側壁及び前記第2側壁の弧状部の外周に当接して保持する保持クランプであって、
前記保持クランプは、第1ベルト及び第2ベルトと、前記第1ベルト及び前記第2ベルトのそれぞれの一端に設けられ締結解放を自在にするクランプ部とを備え、
前記第1ベルト及び第2ベルトは、それぞれの一端側に、前記カバー支持部材の弧状部の一端と他端にそれぞれ係止する係止部を有し、
前記クランプ部は、前記第1ベルトの他端側に設けたクランプ係合部と、前記第2ベルトの他端側に設けられ前記クランプ係合部を支持するクランプ支持部とを有することを特徴とする請求項10に記載の防塵カバー構造体。
【請求項13】
前記防塵カバーは、前記接続部側から前記第2側壁側に前記回転加工体の切刃が回転して移動する当該切刃の移動経路に対応して、前記第2側壁又は前記接続部から前記回転加工体の側面に近接する位置まで突出させ、前記回転加工体の側方に浮遊する切粉を前記接続部の吸込通路に案内する案内部を設けたことを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項記載の防塵カバー構造体。
【請求項14】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の防塵カバー構造体を備えることを特徴とする研削装置。
【請求項15】
請求項1及び請求項2並びに請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の防塵カバー構造体を備えることを特徴とする切削装置。
【請求項1】
加工装置の本体に回転可能に支持されて被作業面を加工する回転加工体を覆う防塵カバーと、前記本体に結合されるカバー支持部材に前記防塵カバーを保持する保持部材と、を備える防塵カバー構造体において、
ゴム状弾性材から形成される前記防塵カバーは、前記回転加工体を覆う覆い壁と、前記覆い壁に形成されて前記カバー支持部材に係合する係合部と、を有し、
前記覆い壁には、前記回転加工体を回転駆動する駆動軸が挿通されると共に前記覆い壁を周方向に分断する切欠き開口が形成され、
前記防塵カバーは、前記本体に結合されている状態の前記カバー支持部材に、前記覆い壁が前記保持部材により保持され、かつ前記係合部が係合することで、前記カバー支持部材に着脱可能に取り付けられること特徴とする防塵カバー構造体。
【請求項2】
前記覆い壁は、前記切欠き開口により周方向に分断された1対の取付部を有し、
前記各取付部は、前記係合部に対して周方向に延びていると共に、前記カバー支持部材の径方向外方で前記保持部材により前記カバー支持部材に保持されることを特徴とする請求項1記載の防塵カバー構造体。
【請求項3】
前記加工装置が研削装置であり、前記回転加工体は、回転体に被作業面である被研削面を研削する研削具が設けられた回転研削体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防塵カバー構造体。
【請求項4】
前記カバー支持部材は、前記回転研削体に隣接して配置されて前記防塵カバーにより覆われると共に周方向での所定角度範囲で前記回転研削体を覆う保護カバーであり、
前記保護カバーは、前記回転研削体を上方から覆う平板状の上壁を有し、
前記上壁の周方向端部が前記係合部に係合することを特徴とする請求項3に記載の防塵カバー構造体。
【請求項5】
前記覆い壁の下端部よりも下方に延出していて前記被研削面に接触するスカート部を備え、
前記スカート部は、前記覆い壁に取り付けられる面ファスナから構成されることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の防塵カバー構造体。
【請求項6】
前記保持部材は、前記カバー支持部材及び前記覆い壁を周方向で囲んで配置されると共に前記覆い壁に着脱可能に取り付けられるベルト状部材であり、
前記ベルト状部材は、前記覆い壁の下端部から下方に延出していて前記被研削面に接触するスカート部を構成することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の防塵カバー構造体。
【請求項7】
前記覆い壁の下端部よりも下方に延出していて前記被研削面に接触するスカート部を構成するブラシを備え、
前記保持部材は、前記カバー支持部材及び前記覆い壁を周方向で囲んで配置されると共に前記覆い壁に着脱可能に取り付けられる面ファスナであり、
前記ブラシは、前記面ファスナに設けられることを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の防塵カバー構造体。
【請求項8】
前記覆い壁は、周方向での特定角度範囲に渡って、前記回転研削体との径方向空隙が前記特定角度範囲以外の範囲に比べて小さい近接部を有することを特徴とする請求項3から請求項7のいずれか1項記載の防塵カバー構造体。
【請求項9】
前記防塵カバーは、前記防塵カバーにより形成されるダスト空間内の研削粉が吸引される吸込通路を形成する吸込通路形成部と、前記回転研削体の上方に配置されて前記回転研削体の上方に浮遊する研削粉を前記吸込通路に案内する案内部と、を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項記載の防塵カバー構造体。
【請求項10】
装置本体に回転可能に支持されて被作業面を研削又は切削する回転加工体を覆う防塵カバーと、前記装置本体に結合される円弧状の外周壁を有するカバー支持部材に前記防塵カバーを保持する保持部材と、を備える防塵カバー構造体において、
前記防塵カバーは、前記回転加工体の有効作業面を露出させた状態で覆う覆い壁と、この覆い壁の一端側に形成され、切粉を集塵する集塵装置に接続する筒状の接続部と、前記覆い壁に形成されて前記カバー支持部材に係合する係合部と、を備え、
前記覆い壁は、前記接続部にそれぞれの一端側を支持して対向し、前記外周壁に沿って形成された外周面を有する第1側壁及び第2側壁を備え、
前記第1側壁は、前記回転加工体を回転駆動する駆動軸が挿通されると共に当該第1側壁を周方向に分断する切欠き開口が側壁面から外周面にわたって形成され、かつ、前記側壁面の切欠き開口における両側となる位置に前記係合部が配置され、
前記防塵カバーは、少なくとも前記第1側壁がゴム状弾性材から形成され、前記係合部が前記カバー支持部材に係合して、かつ、前記装置本体に結合されている状態の前記カバー支持部材に、前記保持部材により保持されて、前記カバー支持部材に着脱可能に取り付けられること特徴とする防塵カバー構造体。
【請求項11】
前記保持部材は、前記第1側壁及び前記第2側壁のそれぞれの弧状部の内周面に設けられると共に、前記カバー支持部材の弧状部の外周面に設けられた面ファスナであることを特徴とする請求項10に記載の防塵カバー構造体。
【請求項12】
前記保持部材は、前記第1側壁及び前記第2側壁の弧状部の内周面を前記カバー支持部材の弧状部の外周面に沿わせた状態で、前記第1側壁及び前記第2側壁の弧状部の外周に当接して保持する保持クランプであって、
前記保持クランプは、第1ベルト及び第2ベルトと、前記第1ベルト及び前記第2ベルトのそれぞれの一端に設けられ締結解放を自在にするクランプ部とを備え、
前記第1ベルト及び第2ベルトは、それぞれの一端側に、前記カバー支持部材の弧状部の一端と他端にそれぞれ係止する係止部を有し、
前記クランプ部は、前記第1ベルトの他端側に設けたクランプ係合部と、前記第2ベルトの他端側に設けられ前記クランプ係合部を支持するクランプ支持部とを有することを特徴とする請求項10に記載の防塵カバー構造体。
【請求項13】
前記防塵カバーは、前記接続部側から前記第2側壁側に前記回転加工体の切刃が回転して移動する当該切刃の移動経路に対応して、前記第2側壁又は前記接続部から前記回転加工体の側面に近接する位置まで突出させ、前記回転加工体の側方に浮遊する切粉を前記接続部の吸込通路に案内する案内部を設けたことを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項記載の防塵カバー構造体。
【請求項14】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の防塵カバー構造体を備えることを特徴とする研削装置。
【請求項15】
請求項1及び請求項2並びに請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の防塵カバー構造体を備えることを特徴とする切削装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−700(P2011−700A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265412(P2009−265412)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000142919)株式会社呉英製作所 (21)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000142919)株式会社呉英製作所 (21)
【Fターム(参考)】
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