説明

防風網

【課題】 取り付け及び取り外しを容易に行うことができる防風網を提供することである。
【解決手段】 複数本の支柱(10)と、支柱の間に張る網パネル(18)とを備え、支柱の各々が、管状部材で形成された下部支柱(12)と、下部支柱の上端に回転可能に差し込まれる上部支柱(14)とを有し、網パネルが、矩形の網(18a)と、網の両縁に配置された一対のビーム(18b)とを有し、上部支柱の上端に第1ビーム受け具が設けられ、上部支柱の下端付近に第2ビーム受け具が設けられており、網が撓んだ状態になるように、上部支柱を回転させて第1及び第2ビーム受け具にビームの上端及び下端を挿入し、上部支柱を更に回転させることにより網を緊張状態にするように構成されていることを特徴とする防風網が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、防風網に関する。より詳細には、本発明は、取り付け/取り外しの容易な防風網に関する。
【背景技術】
【0002】
風は、農業に悪影響を及ぼす自然現象であるので、種々の風対策が講じられている。典型的な風対策としては、防風林や防風網の設置が知られている。このうち防風林は、固定的な施設であり、樹木の成長に伴いその形状が変化するため、防風機能を持続させる補完手段として防風網が用いられている。
【0003】
図6は、従来の典型的な防風網を示した概略斜視図である。図6に示される防風網は、各支柱の上端、中間、下端に設けられたリング状取付具(図示せず)に番線を通すことによって各支柱を連結し、所定箇所に網を配置し、網に取り付けられた取付具(図示せず)を番線に接続することによって網を緊張状態に張るように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の防風網では、網を緊張状態に張る作業が煩雑であるため、防風網の設置に多大な手間とコストを要するという課題がある。また、農薬散布時に防風網が散布作業の障害になることがあるが、従来の防風網では、取り外しが容易ではないため、作業に支障を来すことがあった。
【0005】
本発明は、従来技術における防風網の上述のような課題を克服すべく開発されたものであって、取り付け及び取り外しを容易に行うことができる防風網を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に記載の防風網は、複数本の支柱と、隣接する前記支柱の間に張る網パネルとを備え、前記支柱の各々が、管状部材で形成された下部支柱と、前記下部支柱の上端に回転可能に差し込まれる上部支柱とを有し、前記網パネルが、矩形の網と、網の両縁に配置された一対のビームとを有し、前記上部支柱の上端に第1ビーム受け具が設けられ、前記上部支柱の下端付近に第2ビーム受け具が設けられており、前記網が撓んだ状態になるように、前記上部支柱を回転させて前記第1及び第2ビーム受け具に前記ビームの上端及び下端を挿入し、前記上部支柱を更に回転させることにより前記網を緊張状態にするように構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
本願請求項2に記載の防風網は、前記請求項1の防風網において、前記上部支柱が、前記下部支柱の内径よりも僅かに小さな外径をもつ管状部材で形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
本願請求項3に記載の防風網は、前記請求項1又は2の防風網において、前記上部支柱の回転を係止するための上部支柱回転係止手段を更に備えていることを特徴とするものである。
【0009】
本願請求項4に記載の防風網は、前記請求項3の防風網において、前記上部支柱回転係止手段が、雄ねじが設けられたボルト軸と、前記ボルト軸の一端に120°角度を隔てて取り付けられた3枚の矩形板と、前記下部支柱の上端より僅かに下方の箇所に設けられた開口が位置する外壁に固定されたナットとを有し、前記ナットにねじ込まれた前記ボルト軸を回転させて先端を前記上部支柱の外壁に押し付けることにより前記上部支柱の回転を係止するように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上部支柱を回転させさえすれば、を緊張状態にすることができるので、防風網の取り付け及び取り外しを容易にすることができ、設置作業の工期短縮・コスト削減に寄与することが可能になる。また、上部支柱回転係止手段を使用することにより、矩形板を踏めば、上部支柱の回転を係止することができるので、かがむことなく設置作業及び取り外し作業を一層迅速に遂行することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係る防風網について詳細に説明する。本発明の好ましい実施の形態に係る防風網は、複数本の支柱10と、隣接する支柱10の間に張る網パネル18とを備えている。図1は、組み立てられた状態の支柱10を示した概略斜視図である。支柱10は、管状部材で形成された下部支柱12と、下部支柱12の内径よりも僅かに小さな外径をもつ管状部材で形成された上部支柱14とを有している。
【0012】
上部支柱14の上端には、第1ビーム受け具が設けられている。第1ビーム受け具は、上部支柱14の直径方向に対向した箇所14a1(図2(b)参照)から互いに遠去かる方向へ所定の間隔を隔てた位置に配置された一対の円筒部材14aと、各円筒部材14aを上部支柱14にそれぞれ固定するための連結部材14bとを有している。
【0013】
上部支柱14の下端から所定距離h上方の箇所(図2(a)参照)には、第2ビーム受け具が設けられている。第2ビーム受け具は、上部支柱14の直径方向に対向した箇所14c1(図2(c)参照)から互いに遠去かる方向へ所定の間隔を隔てた位置に配置された一対の円筒部材14cと、各円筒部材14cを上部支柱14にそれぞれ固定するための連結部材14dとを有している。なお、各円筒部材14cには、図2(a)に示されるように、底壁14c2がそれぞれ取り付けられている。
【0014】
支柱10は、上部支柱14の下部を下部支柱12の上部に差し込んで使用される。なお、上部支柱14の外径が下部支柱12の内径よりも僅かに小さいので、上部支柱14の下部を下部支柱12の上部に差し込むことができるが、上部支柱14の下部を下部支柱12の上部に差し込むと、下部支柱12の上端が上部支柱14の連結部材14dに当たるため、上部支柱14の下部支柱12への差し込み長さはhとなる。
【0015】
防風網は又、下部支柱12に差し込まれた上部支柱の回転を係止するための上部支柱回転係止手段16を備えている。上部支柱回転係止手段16は、図3に最も良く示されるように、雄ねじが設けられたボルト軸16aと、ボルト軸16aの一端に120°角度を隔てて取り付けられた3枚の矩形板16bと、下部支柱12の上端より僅かに下方の箇所に設けられた開口12aが位置する外壁に溶接等で固定されたナット16cとを有している。そして、ナット16cにボルト軸16aをねじ込んでおき、上部支柱14の回転を係止しようとするときに、矩形板16bを足で踏んでボルト軸16aを回転させて先端を上部支柱14の外壁に押し付けることにより、上部支柱14の回転を係止することができる。
【0016】
網パネル18は、図4に示されるように、矩形の網18aと、網18aの両縁に配置された一対のビーム18bとを有している。網18aとしては例えば、ポリエチレンラッセル織(2mm目)のネットが使用され、ビーム18bとしては例えば、亜鉛メッキ鋼管が使用される。
【0017】
次に図5を参照して、以上のように構成されている本発明の防風網の使用について説明する。まず最初に、防風網を設置しようとする箇所に、所定間隔を隔てて支柱10を配置する(図5(a)参照)。その際、下部支柱12を地中に打ち込んでから上部支柱14を差し込む。次いで、上部支柱14の第1ビーム受け具の円筒部材14aにビーム18bの上端を挿入し、第2ビーム受け具の円筒部材14cにビーム18bの下端を挿入する(図5(b)参照)。なお、その際、円筒部材14a、14cが、隣接する支柱10を含む平面内に位置するように、上部支柱14を回転させておく。網18aは、図5(b)に示されるように撓んだ状態になる。次いで、支柱の両側に位置するビーム18bを左右の手で掴んで、図5(c)の矢印で示される方向に回転させると、網18aが緊張した状態になる。最後に、上部支柱回転係止手段16の矩形板16bを踏むと、上部支柱14の回転が係止される(図5(d)参照)。以上の作業を、支柱の各径間ごとに行うことにより、防風網が設置される。
【0018】
農薬の散布時等に防風網の一部を取り外そうとする場合には、取り外そうとする箇所の支柱10の上部支柱回転係止手段16を弛め上部支柱14を回転させて網18aを撓んだ状態にした後、ビーム受け具からビーム18bを取り外すことにより、所望の箇所の防風網を容易に取り外すことができる。
【0019】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0020】
例えば、前記実施の形態で示された上部支柱回転係止手段16は、ボルトの先端を上部支柱14の外壁に押し付けることにより、上部支柱14の回転を係止しているが、他の適当な手段で上部支柱14の回転を係止するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の好ましい実施の形態に係る防風網の支柱を示した斜視図である。
【図2】図2(a)は図1の支柱の分解断面図、図2(b)は図2(a)の線2b−2bに沿って見た平面図、図2(c)は図2(a)の線2c−2cに沿って見た断面図である。
【図3】図2(a)の部分3を示した拡大断面図である。
【図4】本発明の好ましい実施の形態に係る防風網の網を示した斜視図である。
【図5】本発明の好ましい実施の形態に係る防風網の設置手順を示した一連の図である。
【図6】従来の典型的な防風網を概略的に示した斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
10 支柱
12 下部支柱
14 上部支柱
14a、14c 円筒部材
14b、14d 連結部材
16 上部支柱回転係止手段
16a ボルト軸
16b 矩形板
16c ナット
18 網パネル
18a 網
18b ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の支柱と、隣接する前記支柱の間に張る網パネルとを備え、
前記支柱の各々が、管状部材で形成された下部支柱と、前記下部支柱の上端に回転可能に差し込まれる上部支柱とを有し、
前記網パネルが、矩形の網と、網の両縁に配置された一対のビームとを有し、
前記上部支柱の上端に第1ビーム受け具が設けられ、前記上部支柱の下端付近に第2ビーム受け具が設けられており、
前記網が撓んだ状態になるように、前記上部支柱を回転させて前記第1及び第2ビーム受け具に前記ビームの上端及び下端を挿入し、前記上部支柱を更に回転させることにより前記網を緊張状態にするように構成されていることを特徴とする防風網。
【請求項2】
前記上部支柱が、前記下部支柱の内径よりも僅かに小さな外径をもつ管状部材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防風網。
【請求項3】
前記上部支柱の回転を係止するための上部支柱回転係止手段を更に備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の防風網。
【請求項4】
前記上部支柱回転係止手段が、雄ねじが設けられたボルト軸と、前記ボルト軸の一端に120°角度を隔てて取り付けられた3枚の矩形板と、前記下部支柱の上端より僅かに下方の箇所に設けられた開口が位置する外壁に固定されたナットとを有し、前記ナットにねじ込まれた前記ボルト軸を回転させて先端を前記上部支柱の外壁に押し付けることにより前記上部支柱の回転を係止するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の防風網。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−148592(P2008−148592A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337730(P2006−337730)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(500175727)エスケー産業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】