説明

除湿機及びその運転制御方法

【課題】既存の構成を利用した安価で大型化をもたらさず、除湿ロータに吸着される有機化合物を効果的に除去することのできる機能を備えた除湿機及びその運転制御方法を提供する。
【解決手段】ケーシング21と、回転可能に配置された除湿ロータ51と、除湿ロータ駆動手段と、周囲の空気を吸引して除湿ロータで除湿された乾燥空気を周囲に排出する第1ファンと、再生空気を循環させる第2ファンと、再生通路内に配置され、再生空気と除湿ロータを加熱する加熱ヒータと、再生通路内部を流動する再生空気を、外部を通過する空気により冷却して結露させる熱交換器81と、熱交換器により得られた結露水を貯留するタンク15と、運転時間を計時する計時手段と、除湿運転モード運転時間の累計値を算出する累計手段と、運転時間の累計値が設定時間に到達すれば除湿ロータに吸着された有機化合物を除去する有機化合物除去運転モードを実行する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿機及びその運転制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、除湿機として、ゼオライトやシリカゲル等の吸着素子を含有し、通過する空気中に含まれる水分を除去する除湿ロータを備えたものがある。
【0003】
ところで、前記除湿ロータには、水分だけではなく、生活臭(たばこ・ペット・台所・生ゴミ)、VOC(volatile organic compounds:揮発性有機化合物)を含む有機化合物等も吸着される。このような有機化合物は、再放出によって異臭を発生させたり、除湿性能を低下させたりする原因となるだけでなく、濃縮有機化合物であれば、再生時の加熱により発火の可能性もある。
【0004】
このため、従来では、除湿ロータに、吸着素子とは別に、有機化合物を分解可能な触媒を含有させたり、有機化合物を分解可能な熱風を通過させたり(例えば、特許文献1参照)、あるいは、再生通路内に有機物を分解するための触媒フィルターを設けたり(例えば、特許文献2参照)することにより対策している。
【0005】
しかしながら、前記従来の除湿機では、別途、触媒や触媒フィルター、あるいは、熱風の吹付のための機構が必要であり、コストアップを招来するという問題がある。特に、熱風を吹き付ける機構は、占有スペースが大きく、装置の大型化をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2934878号公報
【特許文献2】特開2008−221174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、既存の構成を利用した安価で大型化をもたらすこともなく、除湿ロータに吸着される有機化合物を効果的に除去することのできる機能を備えた除湿機及びその運転制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
除湿通路と再生通路を備えたケーシングと、
前記両通路に跨って回転可能に配置された除湿ロータと、
前記除湿ロータを正転方向に回転駆動する駆動手段と、
前記除湿通路内に配置され、周囲の空気を吸引して前記除湿ロータで除湿することにより得られた乾燥空気を周囲に排出する第1ファンと、
前記再生通路内に配置され、再生空気を循環させる第2ファンと、
前記再生通路内に配置され、前記再生空気と除湿ロータを加熱する加熱ヒータと、
前記再生通路の一部を構成し、内部を流動する再生空気を、外部を通過する空気により冷却して結露させる熱交換器と、
前記熱交換器により得られた結露水を貯留するタンクと、
を備えた除湿機であって、
運転時間を計時する計時手段と、
前記計時手段で計時される除湿運転モードに於ける運転時間の累計値を算出する累計手段と、
前記累計手段で算出された運転時間の累計値が設定時間に到達すれば、前記除湿ロータに吸着された有機化合物を除去する有機化合物除去運転モードを実行する制御手段と、
を備えたものである。
【0009】
この構成により、構造上、何等変更を加えることなく、運転モードを変更するだけで、除湿ロータに吸着された有機化合物を効果的に除去することができる。
【0010】
前記再生通路は、前記除湿ロータに対向する、加熱手段が配置される1箇所の加熱領域と、再生空気がそのまま通過し、前記加熱領域の両側に配置される第1冷却領域及び第2冷却領域とを備え、前記各領域は、再生通路での空気流れに対して、第1冷却領域、加熱領域、第2冷却領域の順で配置され、前記空気流れを直交する方向に方向変換させて除湿ロータに向かわせるように構成され、
前記制御手段は、除湿ロータを逆転方向に回転させ、除湿ロータを第2冷却領域、加熱領域、第1冷却領域の順で横切らせることにより、前記有機化合物除去運転モードを実行すればよい。
【0011】
この構成により、除湿ロータを正転方向に回転させた場合、除湿ロータは、加熱領域を通過する際、加熱手段によって加熱されて吸湿した水分を除去された後、冷却領域を通過することにより冷却される。加熱領域では、空気流れが直交する方向に方向変換されている。このため、空気流れの上流側に比べて下流側の風量が多くなり、温度分布が、空気流れの上流側から下流側に向かって徐々に低くなる傾向がある。したがって、除湿ロータを逆転方向に回転させた場合、除湿ロータは、加熱領域の低い領域から徐々に温度の高い領域に移る。この結果、除湿ロータに吸着された有機化合物が徐々に加熱されることになり、除湿ロータに吸着された有機化合物は発火点に至らず、徐々に分解されて除去されることになる。
【0012】
前記制御手段は、前記除湿ロータを除湿運転モードに比べて遅い設定速度で回転させることにより、前記有機化合物除去運転モードを実行すればよい。
【0013】
この構成により、除湿ロータが加熱手段によって加熱される再生通路をゆっくりと通過することになる。したがって、再生通路に於ける除湿ロータの加熱量が増大し、吸着された有機化合物を効果的に除去することができる。
【0014】
前記制御手段は、前記除湿運転モードに比べて、前記加熱ヒータへの通電量を増大させることにより、前記有機化合物除去運転モードを実行してもよい。
【0015】
前記制御手段は、前記計時手段によって計時される有機化合物除去運転モードに於ける運転時間が、予め設定した解除時間に到達すれば、前記除湿運転モードに復帰させるようにすればよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、除湿運転モードでの運転時間の累計値が設定時間になることにより自動的に有機化合物除去運転モードを実行するだけでよいので、別途、有機化合物を除去するための構造を備える必要がなく、既存の構造で安価に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る除湿機の正面側から見た状態を示す斜視図である。
【図2】図1の部分破断斜視図である。
【図3】図2の仕切部材の斜視図である。
【図4】図1を反対方向から見た状態を示す斜視図である。
【図5】図4の部分破断斜視図である。
【図6】図3を反対方向から見た状態を示す斜視図である。
【図7】本実施形態に係る除湿機の側面断面図である。
【図8】第2仕切部材の斜視図である。
【図9】図8を反対方向から見た状態を示す斜視図である。
【図10】(a)は図3に示す除湿ロータのギアの拡大側面図、(b)は(a)のギアの拡大図、(c)は(a)のギアとフォトインタラプタの断面図である。
【図11】(a)は除湿ロータが正回転している状態でのフォトインタラプタの出力信号を示す図、(b)は逆回転での出力信号を示す図である。
【図12】図1の除湿機に除湿ロータを取り付けた状態を示す正面図である。
【図13】図1の除湿機の再生通路を概略的に示す図である。
【図14】図1の除湿機のヒータケースの部分拡大断面図である。
【図15】図6のB−B線断面図である。
【図16】図3のA−A線断面図である。
【図17】図1の除湿機のラジエータと熱交換部との位置関係を示す断面図である。
【図18】図15のラジエータの部分破断斜視図である。
【図19】図1の除湿機の熱交換部を示す斜視図である。
【図20】図17の熱交換部の変形例を示す平面断面図である。
【図21】本実施形態に係る除湿機のブロック図である。
【図22】本実施形態に係る除湿機の有機化合物除去処理を示すフローチャートである。
【図23】他の実施形態に係るヒータ収容部を示す概略断面図と、風量分布及び温度分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
【0019】
(1.全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る除湿機11を示す。この除湿機11は、除湿機本体12の内部に、除湿通路と再生通路とを備え、駆動部品等は制御部120(図21参照)によって駆動制御されるようになっている。
【0020】
(1−1.除湿機本体12)
除湿機本体12は、図2、図5、図7等に示すように、略直方体形状のケーシング21の内部空間を仕切り部材41によって前後に2分割したものである。
【0021】
(1−1−1.ケーシング)
ケーシング21は、図1に示すように、除湿通路上流側に配設された前カバー22と、除湿通路下流側に配設された後カバー23と、これらの上部に配設された天カバー24とからなる。
【0022】
前カバー22は、図2に示すように、前壁25と、上下壁26と、両側壁27とを備え、前壁25には除湿機11内部に空気を取り込む吸気口28が形成されている。吸気口28は、横方向に連続する複数のスリット29で構成されている。
【0023】
後カバー23は、図5に示すように、後壁30と、上下壁31と、両側壁32とを備え、上壁31には除湿機11内部の空気を機外に排出する排気口33が形成されている。排気口33は、上壁31の前カバー22とは反対側の縁部に沿う長方形状の範囲で開口する格子状のものである。
【0024】
天カバー24は略直方体形状であり、前カバー22と反対側の縁部には、天板35から排気口33に至る凹部36が形成されている。凹部36を構成する両内側面の間には、支軸37を中心として開閉板38が回動可能に取り付けられている。開閉板38を回動させて所定の位置に位置決めすることにより、除湿機11から機外に排出する空気流れの方向を変更可能となっている。
【0025】
(1−1−2.仕切部材)
仕切り部材41は、図7に示すように、第1仕切部42と第2仕切部43からなる。
【0026】
第1仕切部42には、図2及び図3に示すように、円形開口部44と、この円形開口部44の側方に隣接する矩形状筒部45とが形成されている。円形開口部44には後述する除湿ロータ51が配置される。矩形状筒部45には後述するラジエータ81が配置される。円形開口部44及び矩形状筒部45よりも下方側には、分離壁46が設けられている。分離壁46の上方側には後述する熱交換部91が配置され、分離壁46の下方側には結露水を回収するための貯水タンク15が配置される。
【0027】
第2仕切部43の中心付近には、図7から図9に示すように、円形開口部48が形成され、第2仕切部43の背面側には後述するメインファン47が配置されている。メインファン47は、その中心に回転軸を固定したメインファン駆動モータ49の駆動により回転するようになっている。メインファン駆動モータ49は円形開口部48の内縁部に固定した、中心部から3方に向かって均等に延びる支持梁48aに支持されている。メインファン47の周囲には、上方に向かって延びる略半円形状の内壁50が形成され、除湿機11内に取り入れた空気を機外へと案内するインボリュート通路を構成している。メインファン47からインボリュート通路に吹き出された空気は、図5中、反時計回り方向へと案内され、排気口33を介して外部に排気される。
【0028】
(1−2.除湿通路)
除湿通路は、吸気口28から排気口33に至る通路であり、その途中には、除湿通路を通過する空気(以下、処理空気と記載する。)に含有される水蒸気を吸着する除湿ロータ51と、処理空気の空気流れを形成するためのメインファン47とが配設されている。
【0029】
(1−2−1.除湿ロータ)
除湿ロータ51は、図10に示すように、円板状のロータ本体52と、ロータ本体52の外周縁部に取り付けられたロータホルダ53とから構成されている。ロータ本体52の中心部には、貫通穴54aを有するロータベアリング54が接着により固定されている。除湿ロータ51は、後述するように、回転支持部材58によって外周部を支持されており、従来のような中心軸で支持する構造は採用されていない。このため、ロータホルダ53には、中心から径方向に向かって放射状に延びる支持リブは不要となっている。したがって、除湿ロータ51の開口面積を増やすことができ、より多くの処理空気を通過させて除湿性能を高めることが可能である。
【0030】
ロータ本体52には、ゼオライトやシリカゲル等を結合させたセラミックハニカムが使用されている。ここでは、除湿ロータ51には、例えば、300℃から400℃の耐熱温度の低いものを使用し、例えば、200℃から300℃の低温で再生(吸湿した水分の蒸発)するようにしている。したがって、除湿ロータ51を加熱し再生する加熱手段であるヒータ64の発熱量を下げ、除湿機11の消費電力を低減すると共に、ヒータ64の温度制御を適切に行うことができる。
【0031】
ロータホルダ53の外周面にはギア部55が形成されている。ギア部55を構成する各ギア55aには、除湿ロータ51の回転及び回転方向を検出するための検出穴56がそれぞれ形成されている。検出穴56は、除湿ロータ51の中心から延び、各ギア55aの中心を通る直線(中心線)に対して、非対称、あるいは、中心線の片側にのみ形成されている。例えば、図10(b)では、ギア55aの中心線に対して、除湿ロータ51の回転方向上流側にのみ広がった扇型形状に形成されている。
【0032】
検出穴56は、図10(c)に示すように、発光素子57aと受光素子57bからなる非接触式センサ、ここではフォトインタラプタ57によって検出されるようになっている。この場合、フォトインタラプタ57からの出力信号は、除湿ロータ51が正回転している場合、図11(a)に示すように、各ギア55aが通過する際には、検出時間の長い波形の次に検出時間の短い波形が形成される。一方、除湿ロータ51が逆回転している場合、図11(b)に示すように、各ギア55aが通過する際には、検出時間の短い波形の次に検出時間の長い波形が形成される。したがって、フォトインタラプタ57の出力信号により除湿ロータ51の回転及び回転方向を検出することが可能である。なお、ここでは、特殊な処理を施す場合を除き、除湿ロータ51は正回転させるようにしている。
【0033】
また、除湿ロータ51は除湿機本体12の円形開口部44に配設され、図12に示すように、2箇所に設けた回転支持部材58によって支持され、1箇所に設けた駆動ギア59aを介して回転する。
【0034】
各回転支持部材58は、第1仕切部42の円形開口部44の中心よりも下方側であって、第1仕切部42の円形開口部44の周縁に沿って配置されている。各回転支持部材58は外周面に複数のギア58aを備え、ロータホルダ53のギア部55を構成するギア55aと噛合し、除湿ロータ51の回転に従動して回転する。したがって、検出穴56を、ロータホルダ53のギア部55の各ギア55aに代えて、図12に示すように、回転支持部材58の各ギア58aに設けることも可能である。この場合、検出穴56を設けるために大型化していたロータホルダ53のギア55aを小さくし、除湿ロータ51を小型化することが可能となる。なお、回転支持部材58は除湿ロータ51を回転可能に支持することができる構成であれば、ローラ等の他の支持部材を使用することも可能である。
【0035】
駆動ギア59aは、第1仕切部42の円形開口部44の中心よりも上方側であって、除湿ロータ51と後述するラジエータ81との間に第1仕切部42の円形開口部44の周縁に沿って配設されている。駆動ギア59aは、除湿ロータ駆動モータ59の回転軸に固定され、この除湿ロータ駆動モータ59を駆動することにより除湿ロータ51を正回転できるようになっている。ここでは、除湿ロータ駆動モータ59としてシンクロナスモータを使用している。シンクロナスモータは、交流電源の周波数に比例した正確な回転速度で正逆回転駆動可能なものであるが、ここでは正回転駆動させるだけとしている。除湿ロータ駆動モータ59の正回転駆動により除湿ロータ51は正回転し、除湿通路を横切り、後述する再生通路の高温領域を横切った後、冷却領域を横切る。
【0036】
(1−2−2.メインファン)
メインファン47は、図7から図9に示すように、後カバー23の背面側に回転可能に取り付けた、有底筒状のシロッコファンで、外周面に複数のフィンが設けられている。メインファン47の中心にはメインファン駆動モータ48の回転軸が固定されている。そして、メインファン駆動モータ48を駆動してメインファン47を回転させることにより、吸気口29を介して除湿機本体12内に取り込まれた空気は、除湿通路側と、後述するラジエータ81側とに分岐して流動するようになっている(以下、ラジエータ81側を通過する空気を冷却空気と記載する。)。
【0037】
(1−3.再生通路)
再生通路は、除湿ロータ51から吸湿した水分を除去するための通路であり、図13の矢印で示す閉ループを構成し、再生空気が循環する(以下、再生通路を循環する空気を再生空気と記載する。)。再生通路の途中には、ヒータユニット61と、ラジエータ81と、ヒータユニット61とラジエータ81とを連通する熱交換部91とが設けられている。
【0038】
(1−3−1.ヒータユニット)
ヒータユニット61は、図6に示すように、ユニット本体62と、ユニット本体62の一端に配設されたサブファン63と、ユニット本体62の他端に配設された加熱ヒータ64とから構成されている。
【0039】
ユニット本体62は、サブファン63を配設するために円形に形成されたファン収容部66と、ファン収容部66とは反対側に、除湿ロータ51の半径方向に沿って設けられた中空直方体形状のヒータ収容部67と、ファン収容部66とヒータ収容部67とを連通し、除湿ロータ51の表面上を除湿ロータ51の中心に向かって延びる通路68とを備えている。
【0040】
ヒータ収容部67は、除湿ロータ51の中心側から周縁側に向かって形成され、除湿ロータ51の表面と所定間隔で対向するように配置されている。ヒータ収容部67は、ロータ本体52の表面のうち、1/8の領域に対応する部分と対向している。ロータ本体52の残る7/8の領域は通風可能に開口して除湿通路内に位置している。
【0041】
ヒータ収容部67には、図14に示すように、断面略L字形状のヒータ反射板71により、内部空間が、除湿ロータ51の回転方向上流側に位置する上流側開口部72と、除湿ロータ51の回転方向下流側に位置する下流側開口部73とに分割されている(ここでは、除湿ロータ51は矢印方向に移動する。)。ヒータ反射板71は金属製であり、ここではステンレス(SUS430)が使用されている。上流側開口部72には、除湿ロータ51と対向するように加熱ヒータ64が配設されており、この領域が除湿ロータ51に加熱された再生空気を供給するための加熱領域76となっている。一方、下流側開口部73は、サブファン63から吹き出された再生空気が、直接、除湿ロータ51に供給される冷却領域77となっている。
【0042】
また、ヒータ収容部67には、図15に示すように、除湿ロータ51の中心部に設けたロータベアリング54の端面と面接触して取り付けられる、略円形の取付部74が一体に形成されている。後述するロータカバー111には、ロータベアリング54と対向する面に、ロータベアリング54の貫通穴54a内に挿通し、ヒータ収容部67の取付部74まで延びる突出部112が設けられている。ヒータ収容部67の取付部74とロータカバー111の突出部112とがネジ113で連結されている。これにより、ユニット本体62を、ロータベアリング54の端面に当接する取付部74を基準として取り付けることができ、加熱ヒータ64と除湿ロータ51との隙間を一定寸法とすることが可能となる。この結果、ユニット本体62が除湿ロータ51に接触するのを防止しつつ、再生空気経路からの空気漏れを防ぎ、除湿能力の低下を防止することが可能となる。
【0043】
サブファン63は公知のシロッコファンであり、図示しない駆動モータの駆動により回転して熱交換部91内の空気を吸い込み、ヒータユニット61内に吹き出すことで、再生通路内で空気を循環させる。
【0044】
加熱ヒータ64は、上流側開口部72を通過する処理空気を加熱して除湿ロータ51に供給するほか、除湿ロータ51を直接加熱する。これにより、除湿ロータ51に吸湿された水分を蒸発させることができ、除湿ロータ51の吸湿能力を回復させることが可能となっている。
【0045】
ここでは前述の通り、除湿ロータ51として、例えば、200℃から300℃の低温で再生させる低温再生型除湿ロータを使用することにより、除湿機11の製造コストを低減している。なお、低温再生型除湿ロータは、除湿素子の吸湿スピード、吸湿性能が低いがロータホルダ53から支持リブを不要として処理空気の通過量を増大させることにより、広い吸湿面積を確保している。
【0046】
加熱ヒータ64は、図示しない電源からの供給電力により発熱し、除湿ロータ51を、通過させる再生空気を加熱して間接的に、あるいは、直接加熱する。これにより、除湿ロータ51は吸湿した水分を蒸発させる。ここでは、加熱ヒータ64にPTCヒータを使用している。PTCヒータは、チタン酸バリウム(BaTi03)を主成分とする半導体セラミックからなり、放熱性能が高く、又、ワット密度(ヒータ容量をヒータ表面積で割った値で、単位面積あたりのワット数)が高くなるように設計することができる。したがって、PTCヒータの専有面積を小さくして小型化を図ることが可能となっている。ところで、PTCヒータは、ヒータ自身の温度が上がれば抵抗値を大きくして発熱量を抑制するという性能を有する。このため、PTCヒータは、所定温度(ここでは、除湿ロータ51の低温の耐熱温度よりも低い温度)を超えて高温になることがない。また、図示しないが、PTCヒータには、アルミ合金等の熱伝導性に優れた材料からなる波形の放熱フィンが一体化されている。これにより、除湿ロータ51を加熱する領域を広くし、均一なものとすることができる。そして、PTCヒータへの通電を停止した後は、放熱フィンの働きにより急速に冷却することができ、除湿ロータ51に与える熱影響を迅速に排除することが可能となる。したがって、除湿ロータ51に、前述のような耐熱性の低いものであっても安心して使用することができる。なお、加熱ヒータ64には、PTCヒータ以外にも、セラミックヒータ等を使用することも可能である。
【0047】
加熱ヒータ64は、ヒータ収容部67に、除湿ロータ51の中心から半径方向外方に向かって広がる扇状とするのが好ましい。ただし、除湿ロータ51を十分に加熱することができる限り、加熱ヒータ64は半径方向に沿った長方形状としてもよい。長方形状の加熱ヒータ64を使用する場合、単位面積当たりの加熱時間は、除湿ロータ51の内周側では長く、外周側では短くなり、除湿ロータ51を径方向に均一に加熱することができない。この場合、加熱ヒータ64の外周側のワット密度を大きくし、内周側のワット密度を小さくしたり、あるいは、内周側のヒータ開口部の面積を小さくしたりすればよい。
【0048】
(1−3−2.ラジエータ)
ラジエータ81は、図16に示すように、加熱ヒータ64で加熱されて除湿ロータ51を通過した処理空気が流入する第1ラジエータ部82と、この第1ラジエータ部82で一旦冷却された再生空気が流入する第2ラジエータ部83と、この2つのラジエータ部83の上端部同士を互い連通する蓋体84とで構成されている。また、ラジエータ81は、後述する熱交換部91の上方側に配置され、第1仕切部42の矩形状筒部45に取り付けられている(図3参照)。
【0049】
各ラジエータ部82、83は、図18に示すように、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂材料からなる複数のパイプ85(85a、85b)で構成されている。第1ラジエータ部82は径の太いパイプ85aで構成され、第2ラジエータ部83は径の細いパイプ85bで構成されている。これらパイプ85は、上端が1枚の平板形状の上板86に、下端が1枚の平板形状の下板87に溶着・一体化されている。これにより、各パイプ85間の距離を一定に保ち、パイプ85同士が接触したり、折れ曲がったりするのを防止することができる。なお、パイプ85の中央は平板形状の中板88に溶着すれば、より一層、各パイプ85間の位置関係を安定させることができる点で好ましい。第1ラジエータ部82の下端は、図16及び図17に示すように、後述する熱交換部91の高温空気流動通路105と連通し、第2ラジエータ部83の下端は、後述する熱交換部91の低温空気流動通路106と連通している。また、蓋体84は、下面に開口する中空の直方体形状で、上板86にネジにより固定されている。したがって、ラジエータ81内では、再生空気は、高温空気流動通路105から第1ラジエータ部82を通過して上方に向かい、蓋体84で方向変換され、第2ラジエータ部83を下方に向かって流動した後、低温空気流動通路106へと流出される。
【0050】
ラジエータ81を2つのラジエータ部82、83で構成することにより、その表面積を十分に増大させることができる。また、第1ラジエータ部82を径の太いパイプ85aで構成することにより、第1ラジエータ部82内で発生した結露水が、上方に向かう再生空気の流れに拘わらず、流下させることが可能となっている。また、ラジエータ81で発生した結露水を、その下方に配置した熱交換器91へと流下させることができるように構成しているので、別途、結露水の排水構造を設ける必要がなく、構成を簡略化することができる。
【0051】
(1−3−3.熱交換器)
熱交換部91は、図19及び図20に示すように、中空のタンク状のものであり、熱交換部91の上壁92は、ラジエータ81のパイプ85を挿通する挿通口93が形成された第1水平面94と、第1水平面94の一方の端部から除湿ロータ51の形状に沿って湾曲する湾曲面95と、湾曲面95の第1水平面94と反対側の端部から第1仕切部42の分離壁46に向かって斜め下方に向かって延びる傾斜面96と、傾斜面96の湾曲面95と反対側の端部から水平方向に延びる第2水平面97とから構成されている。傾斜面96には、ロータカバー111と連通する連通孔96aが形成されている。熱交換部91の底壁98の最下点には、ラジエータ81からの結露水を排水する排水口99が設けられており、熱交換部91の底壁98は、ラジエータ81の下方から排水口99に向かう下り勾配の案内面101と、底壁98の前記案内面101と反対側の端部から排水口99に向かう傾斜面102とから構成されている。熱交換部91の側壁103は、前記上壁92及び底壁98の端面を覆うように形成されている。一方の側壁103の一端側には、ヒータユニット61のファン収容部66側へと連通する連通口103aが形成されている。
【0052】
また、熱交換部91は除湿機本体12の除湿ロータ51及びラジエータ81の下方であって、分離壁46よりも上方側に取り付けられている。熱交換部91の内部は、側壁103と同一形状の隔壁104により、加熱ヒータ64から除湿ロータ51を通過した高温再生空気をラジエータ81まで搬送する高温空気流動通路105と、ラジエータ81で冷却された低温再生空気を加熱ユニット64まで搬送する低温空気流動通路106とに分割されている。そして、隔壁104を介して、高温空気流動通路105を通過する高温再生空気と、低温空気流動通路106を通過する低温再生空気との間で熱交換させることが可能となっている。
【0053】
隔壁104は、熱伝導率の高い金属材料、例えば、アルミ合金等で形成され、表裏面に複数の凹凸部107を備える。凹凸部107の凹状となった領域には、熱交換器91の内側面からリブ108がそれぞれ延設されている。凹凸部107により、隔壁104の表裏面の面積を大きくすると共に、リブ108の働きとも相俟って、高温空気流動通路105及び低温空気流動通路106内にそれぞれ乱流を発生させることができ、より一層、高温空気流動通路105と低温空気流動通路106の間での熱交換を促進することが可能となっている。
【0054】
高温空気流動通路105の一端部は、除湿ロータ51を介してヒータ収容部67と対向し、除湿ロータ51の表面領域から待避するように延びるロータカバー111と連通し、他端部は、第1水平面94を介して第1ラジエータ部82と連通している。したがって、高温の再生空気は高温空気流動通路105内を、図17の実線の矢印で示す方向に流動する。すなわち、再生空気はロータカバー111から高温空気流動通路105に鉛直下向きに流入し、高温空気流動通路105を通過して、第1ラジエータ部82に鉛直上向きに流出することにより略U字状に流動する。したがって、再生空気よりも比重の大きい埃は、自重による落下に加えて遠心力によっても落下するので、案内面101を流れる結露水に付着しやすくなり、再生空気内の埃をより確実に除去することができる。
【0055】
しかも、案内面101は、排水口99から、高温空気流動通路105での再生空気の流動方向に沿って所定角度立ち上がっている。したがって、高温空気流動通路105内の高温再生空気が案内面101に衝突し、埃が案内面101を流れる結露水にも付着しやすくなるので、高温再生空気中の埃をさらに除去することができる。
【0056】
低温空気流動通路106の一端部は、第2ラジエータ部83と連通し、他端部は、ヒータユニット61と連通している。したがって、低温の再生空気は低温空気流動通路106内を、図17の点線の矢印で示す方向に流動する。
【0057】
熱交換部91では、低温空気流動通路106が除湿通路の上流側に位置し、高温空気流動通路105が除湿通路の下流側に位置するように除湿機本体12に取り付けられている。吸気口28から吸い込まれた空気は除湿通路側にも流動するが、上流側に低温空気流動通路106を位置させることにより、上流側に高温空気流動通路105を位置させる場合に比べて、吸い込まれた空気との温度差を小さくすることができる。つまり、再生空気の熱が吸い込まれた空気に奪われにくくなる。
【0058】
また、熱交換部91では、案内面101、すなわち高温空気流動通路105及び低温空気流動通路106の底面を、ここで生じた結露水の排水のみならず、ラジエータ81で生じた結露水をも貯水タンク105に排水する排水通路として使用することができる。排水通路は排水口99と、案内面101とから構成されている。ラジエータ81で生じた結露水は案内面101に滴下し、案内面101の傾斜面に沿って排水口99に向かい、排水される。排水通路を高温空気流動通路105及び低温空気流動通路106に一体的に設けているので、別部品等を用いて排水通路を設ける必要がなく、部品点数を減らして製造コストを低減することができる。
【0059】
(1−4.制御部120)
制御部120は、図21に示すように、前記フォトインタラプタ57等からの入力信号に基づいて、メインファン47、サブファン63、加熱ヒータ64等を制御する。
【0060】
(2.動作)
次に、本実施形態に係る除湿機11の除湿動作について具体的に説明する。
【0061】
メインファン47の駆動により、吸気口28から吸い込まれる周囲の空気は、除湿通路側とラジエータ81側とに分岐して流動する。
【0062】
(2−1.除湿通路での空気流れ)
除湿通路では、吸気口28から吸い込まれた空気が除湿ロータ51を通過する際に、含有した水分が吸着される。これにより、乾燥した空気がインボリュート通路を流動し、後カバー23の排気口33から室内に排出される。
【0063】
除湿ロータ51では、前述のように表裏面に支持リブが設けられておらず、除湿ロータ51の開口面積が増え、より多くの空気を通過させることができる。
【0064】
ラジエータ81では、吸気口28から吸い込まれた空気のうち、分岐した冷却空気が通過し、ラジエータ81内を流動する再生空気と熱交換を行う。
【0065】
(2−2.再生通路での空気流れ)
再生通路では、サブファン63の駆動により、再生空気が通路68を介してヒータ収容部67に流入する。ヒータ収容部67内に流入した再生空気は、ヒータ反射板71により分岐され、一方は加熱ヒータ64で加熱された後、除湿ロータ51を通過し(高温再生空気)、他方は加熱ヒータ64を経ずに除湿ロータ51を通過する(低温再生空気)。
【0066】
高温再生空気は除湿ロータ51を通過する際に、除湿ロータ51に吸着した水分を加熱して蒸発させる。低温再生空気は除湿ロータ51を通過する際に、高温再生空気と加熱ヒータ64とによって加熱された除湿ロータ51を冷却することで、除湿通路で除湿ロータ51を通過する空気が加熱されて機外に排出されるのを抑制する。
【0067】
除湿ロータ51を通過した高温再生空気及び低温再生空気は、ロータカバー111を介して熱交換部91の高温空気流動通路105に流入する。高温空気流動通路105は横方向に長いので、再生空気の移動距離が長くなる。よって、再生空気に含まれる埃を自重により落ちやすくし、底壁98に生じる結露水に付着させて除去することができる。また、高温空気流動通路105の再生空気は案内面101に衝突し、再生空気中の埃が案内面101を流れる結露水にも付着しやすくなるので、埃をさらに除去することができる。そして、再生空気はロータカバー111を鉛直下方に移動し、高温空気流動通路105内を略水平方向に移動し、第1ラジエータ部82を鉛直上方に移動する。これにより、再生空気は略U字型に搬送されるので、再生空気よりも比重の大きい埃は自重による滴下に加えて、遠心力によっても落下するので、案内面101を流れる結露水に付着し、再生空気内の埃をより確実に除去することができる。
【0068】
高温空気流動通路105を通過した再生空気は、第1ラジエータ部82に流入し、パイプ85a内を上方に向かって搬送される。再生空気が第1ラジエータ部82を通過する際、この再生空気とラジエータ81を通過する冷却空気との温度差による熱交換で再生空気は冷却され、再生空気中の水分が結露する。結露水は、ラジエータ81から熱交換部91の排水通路に排水され、排水口99から貯水タンク15に回収される。このように、排水通路を底壁98に一体に設けているので、別部品等を用いて排水通路を設ける必要がなく、除湿機11の部品点数を減らし製造コストを低減することができる。また、第1ラジエータ部82を構成するパイプ85aの断面積が大きいので、上方に再生空気を搬送しつつパイプ85a内で発生する結露水を、パイプ85aの下端まで導き、排水することができる。
【0069】
第1ラジエータ部82から流出した再生空気は、蓋体84で折り返し第2ラジエータ部83に流入し、冷却空気と熱交換を行う。具体的には、第2ラジエータ部83内の再生空気、つまり、冷却の進んだ再生空気が冷却空気の上流側と熱交換を行うので、ラジエータ81内の再生空気温度をより低下させてラジエータ81の冷却性能を向上させることができる。
【0070】
また、熱交換部91内では、隔壁104を介して高温空気流動通路105と低温空気流動通路106内を再生空気が対向する方向に流動するので、隔壁104を介して高温の再生空気と低温の再生空気とが熱交換を行うことができる。これにより、ラジエータ81に流入する前の高温の再生空気を予め冷却し、加熱ヒータ64に流入する前の低温再生空気を予め加熱することができる。
【0071】
低温空気流動通路106から流出した再生空気は、サブファン63によりヒータ収容部67に向かって再び供給されて循環する。
【0072】
(2−3.有機化合物除去処理)
ところで、前記除湿機では、長期に亘って使用していると、除湿ロータ51に有機化合物が付着してくる。この有機化合物をそのままにしておくと、異臭を発生させたり、除湿性能を低下させたり、場合によっては火災の原因ともなる。
【0073】
そこで、図22のフローチャートに示すようにして有機化合物を除去するための有機化合物除去処理(リフレッシュ処理)を実行する。
【0074】
すなわち、まず、運転モードが有機化合物を除去するためのリフレッシュモードに移行すべきか否かを判断する(ステップS1)。ここでは、リフレッシュモードに移行するか否かの判断は、通常運転モードでの運転時間の累計値が予め設定したリフレッシュモードへの移行時間に到達したか否かにより行う。但し、リフレッシュモードに移行すべきか否かの判断は、除湿ロータ51の表面状態を赤外線センサでの検出結果等に基づいて行うようにすることも可能である。
【0075】
リフレッシュモードに移行すべきであると判断すれば、除湿ロータ駆動モータ59を逆回転させ、回転速度を低下させることによりリフレッシュモードを開始する(ステップS2)。これにより、除湿ロータ51は、冷却領域を横切った後、加熱領域を横切ることになる。加熱領域では、除湿ロータ51が空気流れの下流側から横切ることになるが、除湿ロータ51に向かって空気流れが約90度方向変換される関係上、方向変換されるまでの空気流れの下流側で空気量が多くなる。このため、加熱ヒータ64により加熱される空気温度が上流側に比べて下流側の方が低くなる。つまり、除湿ロータ51は加熱領域を横切る際、徐々に温度が高くなるように加熱されることになる。したがって、除湿ロータ51に付着した有機化合物は、急激に加熱されて発火点に至るといったことがなく、徐々に温度上昇して熱分解される。熱分解された有機化合物は、除湿ロータ51を通過し、前述の埃等と同様にして結露水に吸着されて除去される。そして、リフレッシュモードに移行してから、予め設定したリフレッシュ時間が経過すれば(ステップS3)、通常運転モードによる運転時間の累計値をリセット(=0)し(ステップS4)、運転モードを通常運転モードに復帰させる(ステップS5)。
【0076】
一方、リフレッシュモードに移行すべきでないと判断すれば(ステップS1:NO)、累計値が移行時間に到達するまで、通常運転モードによる運転時間のカウントを続行する。
【0077】
このように、前記実施形態に係る除湿機によれば、除湿ロータ51への有機化合物の付着量が増大すれば、除湿ロータ51を逆回転させるだけでリフレッシュモードに切り替えて有機化合物を除去することができる。したがって、既存の構造を何等変更することなく対応することができ、簡単かつ安価な構成とすることが可能となる。
【0078】
(3.他の実施形態)
図23は、他の実施形態に係る除湿機のヒータ収容部67を示す。このヒータ収容部67内は、前記同様のヒータ反射板71aと、新たに設けたヒータ反射板71bとで、加熱ヒータ64が配置される加熱領域と、再生空気がそのまま通過し、前記加熱領域の両側に配置される第1冷却領域及び第2冷却領域とに区画されている。前記各領域は、再生通路での空気流れに対して、第1冷却領域、加熱領域、第2冷却領域の順で配置されている。この場合、加熱領域での温度分布は、前記実施形態に係るものと同様であり、除湿ロータ51にほぼ平行な空気流れの下流側で空気量が多くなり、それに伴い空気温度が低くなる。
【0079】
前記構成の除湿機では、運転モードをリフレッシュモードとする場合、除湿ロータを逆転方向に回転させ、除湿ロータを第2冷却領域、加熱領域、第1冷却領域の順で横切らせる。これによれば、前記実施形態と同様に、除湿ロータ51は加熱領域で徐々に加熱されて付着した有機化合物が熱分解される。そして、除湿ロータ51が加熱領域を横切る前に、再生通路を循環移動する、除湿通路を通過する空気よりも温度の高い空気によって若干暖めることができる。したがって、加熱領域での有機化合物の熱分解を、より一層促進させて効果的に行わせることが可能となる。
【0080】
また、前記実施形態では、加熱ヒータ64への通電量は一定としたが、リフレッシュモードでは、通電量を増やして加熱量を増大させるようにしてもよい。これによれば、除湿ロータ51の回転速度を低下させることなく有機化合物を除去することができ、リフレッシュモードの所要時間を短縮化することが可能となる。また、除湿ロータ51の回転速度を低下させる場合、除湿ロータ51が加熱領域を横切る際、最初に横切る温度の低い側で発火点を超えないように、加熱ヒータ64への通電量、除湿ロータ51の回転速度、あるいは、その両方を調整する必要がある。
【符号の説明】
【0081】
11…除湿機
12…除湿機本体
15…貯水タンク
21…ケーシング
22…前カバー
23…後カバー
24…天カバー
25…前壁
26…上下壁
27…両側壁
28…吸気口
30…後壁
31…上下壁
32…両側壁
33…排気口
35…天板
36…凹部
37…支軸
38…開閉板
41…仕切り部材
42…第1仕切部
43…第2仕切部
44…円形開口部
45…矩形状筒部
46…分離壁
47…メインファン(第1ファン)
48…円形開口部
49…メインファン駆動モータ
50…内壁
51…除湿ロータ
52…ロータ本体
53…ロータホルダ
54…ロータベアリング
54a…貫通穴
55…ギア部
55a…ギア
56…検出穴
57…フォトインタラプタ
58…回転支持部材
59…除湿ロータ駆動モータ(駆動手段)
59a…駆動ギア
61…ヒータユニット
62…ユニット本体
63…サブファン(第2ファン)
64…加熱ヒータ
66…ファン収容部
67…ヒータ収容部
68…通路
71…ヒータ反射板
72…上流側開口部
73…下流側開口部
74…取付部
76…加熱領域
77…冷却領域
81…ラジエータ(熱交換器)
82…第1ラジエータ部
83…第2ラジエータ部
84…蓋体
85a…径の太いパイプ
85b…径の細いパイプ
86…上板
87…下板
88…中板
91…熱交換部
92…上壁
93…挿通口
94…第1水平面
95…湾曲面
96…傾斜面(上壁)
97…第2水平面
98…底壁
99…排水口
101…案内面
102…傾斜面(底壁)
103…側壁
104…隔壁
105…高温空気流動通路
106…低温空気流動通路
107…凹凸部
111…ロータカバー
112…突出部
113…ネジ
120…制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除湿通路と再生通路を備えたケーシングと、
前記両通路に跨って回転可能に配置された除湿ロータと、
前記除湿ロータを正転方向に回転駆動する駆動手段と、
前記除湿通路内に配置され、周囲の空気を吸引して前記除湿ロータで除湿することにより得られた乾燥空気を周囲に排出する第1ファンと、
前記再生通路内に配置され、再生空気を循環させる第2ファンと、
前記再生通路内に配置され、前記再生空気と除湿ロータを加熱する加熱ヒータと、
前記再生通路の一部を構成し、内部を流動する再生空気を、外部を通過する空気により冷却して結露させる熱交換器と、
前記熱交換器により得られた結露水を貯留するタンクと、
を備えた除湿機であって、
運転時間を計時する計時手段と、
前記計時手段で計時される除湿運転モードに於ける運転時間の累計値を算出する累計手段と、
前記累計手段で算出された運転時間の累計値が設定時間に到達すれば、前記除湿ロータに吸着された有機化合物を除去する有機化合物除去運転モードを実行する制御手段と、
を備えたことを特徴とする除湿機。
【請求項2】
前記再生通路は、前記除湿ロータに対向する、加熱手段が配置される1箇所の加熱領域と、再生空気がそのまま通過し、前記加熱領域の両側に配置される第1冷却領域及び第2冷却領域とを備え、前記各領域は、再生通路での空気流れに対して、第1冷却領域、加熱領域、第2冷却領域の順で配置され、前記空気流れを直交する方向に方向変換させて除湿ロータに向かわせるように構成され、
前記制御手段は、除湿ロータを逆転方向に回転させ、除湿ロータを第2冷却領域、加熱領域、第1冷却領域の順で横切らせることにより、前記有機化合物除去運転モードを実行することを特徴とする請求項1に記載の除湿機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記除湿ロータを除湿運転モードに比べて遅い設定速度で回転させることにより、前記有機化合物除去運転モードを実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の除湿機。
【請求項4】
前記制御手段は、前記除湿運転モードに比べて、前記加熱ヒータへの通電量を増大させることにより、前記有機化合物除去運転モードを実行することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の除湿機。
【請求項5】
前記制御手段は、前記計時手段によって計時される有機化合物除去運転モードに於ける運転時間が、予め設定した解除時間に到達すれば、前記除湿運転モードに復帰させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の除湿機。
【請求項6】
除湿通路と再生通路を備えたケーシング内で、駆動手段により前記両通路に跨って配置した除湿ロータを回転させ、
第1ファンを駆動して除湿通路に周囲の空気を吸引して除湿ロータで除湿し、得られた乾燥空気を周囲に排出する一方、
前記再生通路内に配置した第2ファンを駆動し、
再生空気を循環させて加熱ヒータで加熱し、前記除湿ロータに吸湿された水分を蒸発させることにより再生し、
水蒸気を含有する空気を熱交換器で凝縮させ、
発生した結露水をタンクへと回収する、
除湿運転モードを実行する除湿機の運転制御方法であって、
運転時間を計時し、
計時される除湿運転モードに於ける運転時間の累計値を算出し、
算出された運転時間の累計値が設定時間に到達すれば、前記除湿ロータに吸着された有機化合物を除去する有機化合物除去運転モードを実行することを特徴とする除湿機の運転制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−36782(P2011−36782A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185777(P2009−185777)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】