説明

除雪排雪支援システム

【課題】除排雪作業時に周辺地物等の存在、除排雪車両の現在位置や周辺画像をオペレータに教示して注意を喚起し、除排雪作業を円滑に行う除排雪支援システムを提供する。
【解決手段】除排雪の対象となる道路上の画像データが蓄積された画像データ蓄積部14と、画像データの位置情報が蓄積された位置情報蓄積部16と、地図データと関連づけられ、除排雪対象の道路における縁石、標識等の地物の存在を示す周辺地物データが蓄積された周辺地物情報蓄積部18と、走行中の除排雪車両の位置を測定する車両位置測定手段13とを具備し、車両の位置に対応する画像データを画像データ蓄積部14から抽出して表示する情報伝達手段20を有し、前記周辺地物データを車両の位置に基づいて情報伝達手段20に画像データとともに表示し、除排雪車両のオペレータに音声等により周辺地物の存在を注意喚起する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冬期間の降雪時に行われる道路上の除雪作業や、道路脇などに堆積した雪の排雪作業を行う除排雪作業車両に設置される除排雪支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
降雪地域においては、雪に覆われた道路の安全かつ円滑な交通を確保するために、除雪作業車両による作業効率の向上が望まれている。
多量の降雪時や悪天候の場合は、道路の路面が深く雪に覆われ、且つ見通しが悪くなるために、車両通行帯と、中央分離帯や歩道などの周辺地物との境界部分を目視によって判別することが困難な状況となる。そのため、予め降雪前に道路脇にスノーポール(視線誘導標の一種)を設置しておき、降雪中或いは降雪後、積雪面から突出したスノーポールに沿って除雪車両を運行させて車両通行帯の除雪を行ったり、降雪の季節前に運転員が道路状況を目視確認する等の作業を前もって行う必要があった。
【0003】
ところが、降雪量が極めて多量となった場合は、スノーポールの先端までもが雪に埋没し、その機能を発揮することができないことがあり、また、降雪の季節が終了した後はスノーポールを撤去する際、多大な作業手間と人手を必要とし、自治体の財政を圧迫する原因にもなっていた。
また、運転員の記憶等を頼りに除雪することは、自ずと正確性に限度があり、やはり周辺地物を損傷させることもあった。
【0004】
従来、前述した課題を解決すべく、特開2005−9238号公報(特許文献1)記載の発明が提案されている。同文献には、降雪前に予めGPS受信機によって道路の位置座標を測定し、これらの位置座標を記録媒体に保存し、降雪後の除雪作業時に、除雪作業車両に搭載されているGPS受信機により改めて測定した位置座標と、前記記録媒体に保管された道路の位置座標とを比較することにより除雪位置を把握する道路除雪方法に関する発明が開示されている。
【0005】
また、降雪地域においては、消火栓、ガードレール、看板、道路標識、縁石、コンクリート塀、街路樹等の道路周辺に設置されている地物は、多量の雪または通行帯の除雪によって道路脇に堆積された雪に埋没し、その存在を目視できず、除雪車両による除雪作業時に損傷を受けることが多々ある。さらに、吹雪等の視界不良のため、除雪作業車両による道路の周辺地物の破損事故も多々発生している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−9238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の発明は、通行帯を除雪する方法として開示されているのみであり、消火栓、ガードレール、看板、道路標識、縁石、街路樹等、道路脇に周辺地物が複雑に存在する市街地などで、堆積した雪を効率的に除雪、排雪することに直ちに転用することは困難であった。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決すべく、除雪又は排雪作業時に、除雪車両の位置に応じて当該除雪車両に道路の周辺地物等の存在をオペレータに音声、画像など何らかの手段で教示して注意を喚起することが可能であり、除雪車両又は当該除雪車両のブレードなどの付属機器と、道路の周辺地物との接触を防止するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、除排雪の対象となる道路上の画像データが蓄積された画像データ蓄積部と、該画像データの位置情報が蓄積された位置情報蓄積部と、地図データと関連づけられ、除排雪対象の道路における縁石、標識等の地物の存在を示す周辺地物データが蓄積された周辺地物情報蓄積部と、走行中の除排雪車両の位置を測定する車両位置測定手段とを具備する除排雪支援システムであって、車両位置測定手段によって測定された車両の位置データに基づいて、当該位置データに対応する画像データを前記画像データ蓄積部から抽出して除排雪車両の走行中に連続的に表示する情報伝達手段を有し、車両の位置データに基づいて、前記周辺地物情報蓄積部から周辺地物データを抽出して前記画像データにとともに前記情報伝達手段上に表示し、若しくは表示と同時に除排雪車両のオペレータに音声等により周辺地物の存在につき注意喚起を行うことを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の発明は、上記1項において、前記車両位置測定手段は、全地球測位システム、若しくは慣性計測システム、各種の無線標識等であって、これらの車両位置測定手段を単独、若しくは併用することによって車両位置を測定することを特徴としている。
【0011】
請求項3記載の発明は、上記1項又は2項において、前記除排雪車両には、除排雪作業に際して使用する除排雪用付属機器の座標データを測定するセンサが設置され、該座標データに除排雪車両の寸法を加味することにより、前記除排雪用付属機器の位置を算出する座標データ演算手段を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項4記載の発明は、上記1項〜3項のうち、いずれか1項において、前記周辺地物情報蓄積部に周辺地物の座標データである点群データを蓄積し、該点群データと、前記座標データ演算手段によって演算される座標データ及び前記車両位置測定手段によって測定された位置データとに基づいて、除排雪作業時における該除排雪用付属機器と周辺地物との間の距離を算出し、前記情報伝達手段により、前記画像データにとともに周辺地物のオブジェクトデータを表示することを特徴としている。
【0013】
請求項5記載の発明は、上記1項〜4項のうち、いずれか1項において、前記周辺地物情報蓄積部の点群データと、前記座標データ演算手段によって演算される座標データ及び前記車両位置測定手段によって測定された位置データとに基づいて、除排雪作業時における該除排雪用付属機器と周辺地物との間の距離を算出し、当該距離が閾値を下回った場合に、除排雪車両のオペレータに音声等による注意喚起を行う注意喚起手段を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、消火栓、ガードレール、看板、道路標識、縁石、街路樹、電柱、中央分離帯等、道路の周辺地物が複雑に存在する市街地などの通行帯、及び通行帯の脇に堆積した雪を、当該道路の周辺地物の損傷を防いで効率的に除雪、排雪することができる。これにより、除排雪作業を円滑に行うことが可能となり、交通渋滞の緩和、通行止めなどの交通規制の頻度を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る除排雪支援システムが搭載された除排雪車両を後部側から視た場合の概略図である。
【図2】同じく、本発明の一実施形態に係る除排雪支援システムが搭載された除排雪車両の概略構成を示す平面図である。
【図3】同じく、本発明の一実施形態に係る除排雪支援システムに関する制御系の信号授受の流れを示すブロック図である。
【図4】同じく、本発明の一実施形態に係る除排雪支援システムにおけるデータ記憶部に蓄積される画像データ、位置情報、周辺地物情報の蓄積作業を行う際に使用されるデータ収集用車両の一例を示す概略図である。
【図5】同じく、本発明の一実施形態に係る除排雪支援システムにおけるデータ収集から実際に得られたデータを利用し、除排雪車両によって除排雪作業を行うまでの一連の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る除排雪支援システムが搭載された除排雪車両であって、車体の中央から中折れ可能な重機タイプの車両における座標データについて模式的に示した概略説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る除排雪支援システムが搭載された除排雪車両を後部側から視た場合の概略図、図2は本発明の一実施形態に係る除排雪支援システムが搭載された除排雪車両の概略構成を示す平面図、図3は本発明に係る除排雪支援システムに関する制御系の信号授受の流れを示すブロック図である。
【0017】
図1及び図2に示される除排雪車両1は、正面側に道路上の雪をラッセルする除雪用付属機器として、上下動並びに角度調整可能なスノウプラウ(除雪板)2を車両の前部側に備えているとともに、車両左側部には道路側方に溜まった雪を移動させるサイドグレーダ3を備えている。スノウプラウ(除雪板)2、並びにサイドグレーダ3は、車両1に設置されているシリンダによって上下動、前後動等、3次元の動きが可能になっている。
【0018】
図3に示されるように、除排雪車両1は車載コンピュータ10を備え、その制御部11にはデータ記憶部12、車両位置測定手段13、座標データ演算手段15、情報伝達手段20が接続され、データ記憶部12からは予め蓄積された画像等の各データが、車両位置測定手段13からは車両位置の実測データが、座標データ演算手段15からは座標データを算出するソフトウエアが制御部11に入力されるようになっている。
【0019】
車両位置測定手段13は、いわゆるGPS13A(全地球測位システム〜若しくはGNSS)、IMU(慣性位置計測装置)、GPSコンパス13B、図示しない傾斜計などで、これらの複数の測定手段13によって除排雪車両1の現在位置や進行方向、路面に対する車両1の傾き加減など、車両の走行状態を途切れなく測定し、制御部11に測定結果を随時出力する。つまり、人工衛星を用いるGPS,ジャイロを用いるIMUなど複数の測定手段を併用することで除排雪車両1の位置の誤差を修正するとともに、若しくは各機器相互間で補完し合うことにより、測定・算出される車両1の位置座標の精度向上を図っている。
【0020】
座標データ演算手段15は、後述する各種のセンサによる検出結果に基づいて演算を行うソフトウエアが格納されたハードディスク等であり、車載コンピュータ10を立ち上げた後、所定の操作を行うことによって格納されているソフトウエアを制御部11に読み込ませるようになっている。制御部11はスノウプラウ(除雪板)2、並びにサイドグレーダ3の座標データを演算する。
情報伝達手段20は走行時における道路周辺の画像や周辺地物の存在を表示するディスプレィや、音声による注意喚起を行うスピーカ、振動発生装置等の注意喚起手段等も含む概念であり、オペレータ席に設置されている。除排雪作業の際は、これらの情報伝達手段20を使用することにより、オペレータが除排雪作業を円滑に行うことができるように支援する。
【0021】
図2に示されるように、スノウプラウ2と除排雪車両1との間には、スノウプラウ2の上下位置を検出するエンコーダ等の上下位置検出センサ4が回転軸などの可動部分に設置されている。上下位置検出センサ4は、スノウプラウ2下端の基準点と、路面との間の距離をパルスカウンターによってカウントすることによって測定するとともに、その測定結果に基づいて制御部11によって演算し、スノウプラウ2の座標データを算出する。算出された座標データは、後述する所定の処理を経て除排雪用車両1に搭載されている情報伝達手段20に出力されるようになっている。
【0022】
図2には図示していないが、除排雪車両1におけるスノウプラウ2の一部が折り畳み可能である等、プラウ2の開き角度、向きを変更することが可能な仕様になっている場合は、開き角度や向きを検出するセンサを別途設置することにより、そのデータを制御部11に出力するように構成し、制御部11による演算処理によってスノウプラウ2の全幅や側端部4A,4Bの座標データを把握することも可能である。
【0023】
さらに、サイドグレーダ3と除排雪車両1との間には、除排雪車両1の側面側に対する開き角度を検出する角度検出センサ5A、車両1に対する上下角度を検出する角度検出センサ5B、車両1に対するサイドグレーダ3全体の高さ位置を移動角度として検出する角度検出センサ5Cが設置されている。
これらのセンサ5A〜5Cは、角度算出の基準となるM−M´線、L−L´線、N―N´線に対する相対角度を測定し、測定された角度、予め設定されている車両の寸法などに基づいて制御部11による演算を経て、スノウプラウ2の位置を座標データとして随時算出し、当該データを図3に示される情報伝達手段20に出力するようになっている。
【0024】
また、サイドグレーダ3は、除排雪車両1に沿って移動機構22を介して前後動可能に設置されており、車両1に対する相対位置は変位センサ6によって検出可能であり、その検出結果を制御部11に出力するようになっている。
制御部11は、車載コンピュータ10を立ち上げると同時に座標データ演算手段15に予め格納されているソフトウエアを読み込んで、角度検出センサ5A,5B,5Cにより検出された座標データ、並びに、変位センサ6により検出された座標データに基づいて、サイドグレーダ3の除排雪車両1に対する相対位置、つまり座標データを随時算出するようになっている。
【0025】
図4は、図3におけるデータ記憶部12に蓄積される画像データ、位置情報、周辺地物情報の蓄積作業を行う際に使用されるデータ収集用車両の一例を示す概略図、図5はデータ収集から実際に得られたデータを利用して除排雪車両によって除排雪作業を行うまでの一連の流れを示すフローチャートである。
図4に示されるように、データ収集用車両200は、複数台のカメラ202A、202B・・、GPSユニット204A,204B、IMUユニット206、DMI(距離計)208、車速センサ等を備えて構成され、車両200には得られた各々の情報を処理して蓄積するパーソナルコンピュータ等のデータ処理装置が搭載されている。
【0026】
図5に示されるように、除排雪の対象となる道路の選定などの準備・計画の後(S300)、データ収集用車両200による画像・周辺地物データの計測作業を行う(S301)。具体的には、除排雪支援システムのデータ記憶部12に蓄積されるデータを得るために、除排雪の対象となる道路を実際に走行しモバイルマッピングを行いながらカメラ202A、202B・・によって道路周辺の全周(360°)画像を収集する。収集される画像は、1秒間当たり16コマなど、除排雪時の移動速度や、除排雪車両に搭載されるコンピュータの処理能力を考慮して画像の収集レートが決定される。
【0027】
また、同時に距離計208によって走行距離を測定しながら除排雪の障害となる可能性のある歩道部、道路標識、電柱、中央分離帯、凍上の恐れのあるマンホール等の周辺地物の情報を図示しないレーザセンサ、超音波センサによって収集する。これらの画像データ並びに周辺地物情報は、GPSユニット204A,204B、IMUユニット206によってモバイルマッピングが行われ、地図データと関連づけられる。
そして、収集された情報はデータ解析後、画像処理され、特に周辺地物のデータは点群データとして処理され、オブジェクトデータとして蓄積される(S302)。周辺地物データを点群データとして蓄積することにより、周辺地物の情報量を支障のない範囲で減少させ、データ処理時における演算に要する負荷を低減するようにしている。次いで、得られたデータを検証し、周辺地物データの内容に誤りや漏れがないかの検証作業を行う(S303)。
【0028】
なお、ステップ304以下は、除排雪車両1における機器設置作業等の流れを示しており、ステップ304では除排雪車両へのGPS受信機、GPSコンパス等、各種のセンサの取付、ステップ305にて試運転、ステップ306にて実際の除排雪作業、ステップ307にて除排雪作業終了後の各部点検、ステップ308にて実際の除排雪作業に伴うシステム全体の見直し、バージョンアップなどの検証作業を行う。
【0029】
図6は中央から中折れ可能な重機タイプの除雪車両における座標データについて模式的に示した概略説明図である。図6に示される除雪車両30は、いわゆる車両本体が前部車両30A並びに後部車両30Bの2つのボディにより構成され、車両の運行時に中央部を中心に、車両30A,30B間の角度を変更することによって旋回半径を小さくすることが可能であり、作業時の取り回しに優れるなどの長所がある。
【0030】
前述の図1及び図2に示される除排雪車両10では、スノウプラウ2並びにサイドグレーダ3の角度のデータをエンコーダによって検出しているが、図6に示す除雪車両30では、前側の除雪板32と前部車両30Aとの角度を、角度検出センサ(エンコーダまたは巻き取り変位計)34によって検出するとともに、前部車両30Aと後部車両30Bとの間の角度を角度検出センサ(エンコーダまたは巻き取り変位計)36によって検出し、検出された角度データに基づいて、除雪板32等の座標データを算出する。座標データはGPS原点(0,0)を基準に演算され、制御部11によるデータ処理が行われる。
また、車両30の位置や向き並びに姿勢は、後部車両30Bに設置されたGPS38、GPSコンパス40によって随時計測されており、その計測データに基づいて支援システムが稼働するのは除排雪車両10の場合と同様である。
【0031】
以下、本実施形態に係る除排雪支援システムの除排雪作業時における作用について説明する。
前述した図3に示されるように、除排雪車両1には車載コンピュータ10が搭載されており、この車載コンピュータ10の画像蓄積部14には除排雪の対象となる道路、並びにその周辺の全周画像を蓄積しておく。
また、除排雪車両1には、車両位置測定手段13としてGPS13A、IMU(慣性位置計測装置)、GPSコンパス13B、傾斜計等が搭載され、除排雪時には車両位置測定手段13から車載コンピュータ10に位置情報が入力され、入力された位置情報をディスプレィ等の情報伝達手段20に出力して除排雪車両の現在位置を地図上に表示し、除排雪作業にあたるオペレータに伝達するようになっている。
【0032】
さらに、制御部11は、前述した車両位置測定手段13によって測定された車両位置に基づいて、画像データ蓄積部14から最も近い座標の全周画像を情報伝達手段20に出力するとともに、周辺地物情報蓄積部18から除排雪対象の道路における縁石、標識、電柱等の周辺地物の存在を示す周辺地物データを情報伝達手段20に出力する。周辺地物の存在は、オブジェクトの形態で別のディスプレィ若しくは地図情報並びに全周画像が既に表示されているディスプレィ上の別ウインドウに表示され、除排雪時に障害となる可能性がある電柱、消火栓等の地物の存在をオペレータに教示し、注意を喚起するようになっている。
【0033】
この場合、除排雪車両1におけるスノウプラウ2やサイドグレーダ3の座標データについても、常に制御部11によってモニタされているので、除排雪中のスノウプラウ2やサイドグレーダ3が周辺地物に接近し、座標データが衝突の危険性があるとする閾値を超えた場合には、制御部11から情報伝達手段20に注意喚起信号を出力し、オペレータに対し、除排雪作業の支援を行って地物の破損事故、接触事故を未然に回避するようになっている。
つまり、周辺地物情報蓄積部18に蓄積されている点群データと、スノウプラウ2やサイドグレーダ3の座標データとの間の距離が、所定の閾値を下回ったと判断された場合に、除排雪車両1のオペレータに音声等による注意喚起を行うことにより、衝突を未然に回避するように支援する。これによって、除排雪作業におけるオペレータの監視負担を軽減することが可能となり、作業効率の向上、迅速化等を図ることができる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の除排雪支援システムによれば、除排雪作業に、作業の障害となる周辺地物の存在や、画像を表示することによって、オペレータが作業し易い環境を提供することが可能となる。このため、例えば経験の少ないオペレータであっても除排雪作業を効率的に行うことができるとともに、悪天候時における作業能率の向上に寄与する。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上説明したように、本発明によれば、除排雪作業時に周辺地物等の存在、除排雪車両の現在位置や周辺画像を表示してオペレータに注意を喚起することができるので、除排雪作業を円滑に行うことができるようになる。
【符号の説明】
【0036】
1 除排雪車両
2 スノウプラウ
3 サイドグレーダ
4 上下位置検出センサ
5A 5B 5C 角度検出センサ
6 変位計
10 車載コンピュータ
11 制御部
12 データ記憶部
13 車両位置測定手段
14 画像データ蓄積部
15 座標データ演算手段
16 位置情報蓄積部
18 周辺地物情報蓄積部
20 情報伝達手段
30 除雪車両
30A 前部車両
30B 後部車両
32 除雪板
34 36 角度検出センサ
38 GPS
40 GPSコンパス
200 データ収集用車両
202A 202B カメラ
204A 204B GPSユニット
206 IMUユニット
208 距離計




【特許請求の範囲】
【請求項1】
除排雪の対象となる道路上の画像データが蓄積された画像データ蓄積部と、該画像データの位置情報が蓄積された位置情報蓄積部と、地図データと関連づけられ、除排雪対象の道路における縁石、標識等の地物の存在を示す周辺地物データが蓄積された周辺地物情報蓄積部と、走行中の除排雪車両の位置を測定する車両位置測定手段とを具備する除排雪支援システムであって、
車両位置測定手段によって測定された車両の位置データに基づいて、当該位置データに対応する画像データを前記画像データ蓄積部から抽出して除排雪車両の走行中に連続的に表示する情報伝達手段を有し、
車両の位置データに基づいて、前記周辺地物情報蓄積部から周辺地物データを抽出して前記画像データにとともに前記情報伝達手段上に表示し、若しくは表示と同時に除排雪車両のオペレータに音声等により周辺地物の存在につき注意喚起を行うことを特徴とする除排雪支援システム。
【請求項2】
前記車両位置測定手段は、全地球測位システム、若しくは慣性計測システム、各種の無線標識等であって、これらの車両位置測定手段を単独、若しくは併用することによって車両位置を測定することを特徴とする請求項1に記載の除排雪支援システム。
【請求項3】
前記除排雪車両には、除排雪作業に際して使用する除排雪用付属機器の座標データを測定するセンサが設置され、該座標データに除排雪車両の寸法を加味することにより、前記除排雪用付属機器の位置を算出する座標データ演算手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に除排雪支援システム。
【請求項4】
前記周辺地物情報蓄積部に周辺地物の座標データである点群データを蓄積し、該点群データと、前記座標データ演算手段によって演算される座標データ及び前記車両位置測定手段によって測定された位置データとに基づいて、除排雪作業時における該除排雪用付属機器と周辺地物との間の距離を算出し、前記情報伝達手段により、前記画像データにとともに周辺地物のオブジェクトデータを表示することを特徴とする請求項1〜3のうち、何れか1項に記載の除排雪支援システム。
【請求項5】
前記周辺地物情報蓄積部の点群データと、前記座標データ演算手段によって演算される座標データ及び前記車両位置測定手段によって測定された位置データとに基づいて、除排雪作業時における該除排雪用付属機器と周辺地物との間の距離を算出し、当該距離が閾値を下回った場合に、除排雪車両のオペレータに音声等による注意喚起を行う注意喚起手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のうち、何れか1項に記載の除排雪支援システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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