説明

除雪用バケット

【課題】バケットの左右幅を抑えながらも、車体を壁面障害物から離した状態で壁面障害物の近傍にある雪を掻き取り可能にする。
【解決手段】ホイールローダ1の昇降アーム10に取り付けられる除雪用のバケット20であって、側面視凹形状で左右に延在する凹状壁部22と、凹状壁部22の左右両側を閉鎖する一対の側壁部23とを有し、地面の雪が前方から導入されるメイン開口部24が形成されたバケット本体21と、一対の側壁部23に形成されたサブ開口部25と、後部を支点として開閉可能にサブ開口部25を外側から閉鎖するウイング26とを備え、ウイング26をその前端部30aが外側に移動するように回動させてサブ開口部25を開くことで、地面の雪がウイング26に案内されてサブ開口部24を通過しバケット本体22内に導入される構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールローダ等のベース車の昇降アームに取り付けられる除雪用バケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、道路等に雪が積もった場合には、例えば、ホイールローダのバケットにより地面の雪を掻き取ることで除雪作業が行われている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、ホイールローダの昇降アームを下げてバケットを地面に接地させた状態で前進走行することにより、バケットの前方開口部から雪をバケット内に描き込み、前方開口部が上に向くようにバケットをチルトさせることにより、雪を掬い上げるようにしている。そして、壁面障害物に沿って除雪作業を行う際には、車体の左右幅とバケットの左右幅とが同程度であるため、バケットを壁面障害物に近づけるべく車体も壁面障害物に近づけた状態でホイールローダを走行させている。
【特許文献1】特開2008−57275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、車体を壁面障害物に近づけすぎると接触してしまうおそれがあるため、実際には車体及びバケットと壁面障害物との間に、ある程度の隙間をあけた状態で除雪作業を行っている。そうすると、この隙間に存在する雪はバケット内に掻き取ることができずに地面に残存するため、後で手作業により雪掻きを行わねばならない。
【0004】
その対策として、バケットの左右幅を車体の左右幅よりも大きくし、車体を壁面障害物から離した状態でバケットを壁面障害物に近接可能にすることが考えられる。ところが、道路運送車両の保安基準では、10トン前後のホイールローダのバケットは、「幅2.5mを超えてはならない」と規定されている。さらに、道路運送車両法では、小型特殊自動車の全幅は「1.7m以下」と規定されており、大型特殊自動車の登録を望まない場合にはこの制限もかかることとなる。つまり、バケットの左右幅を車体の左右幅に比べて十分に大きくすることは困難であるのが現状である。
【0005】
そこで本発明は、バケットの左右幅を抑えながらも、車体を壁面障害物から離した状態で壁面障害物の近傍にある雪を掻き取り可能にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る除雪用バケットは、ベース車の昇降アームに取り付けられる除雪用のバケットであって、側面視凹形状で左右に延在する凹状壁部と、前記凹状壁部の左右両側を閉鎖する一対の側壁部とを有し、地面の雪が前方から導入されるメイン開口部が形成されたバケット本体と、前記一対の側壁部の少なくとも一方に形成されたサブ開口部と、後部を支点として開閉可能に前記サブ開口部を外側から閉鎖するウイングとを備え、前記ウイングをその前端部が外側に移動するように回動させて前記サブ開口部を開くことで、地面の雪が前記ウイングに案内されて前記サブ開口部を通過し前記バケット本体内に導入される構成であることを特徴とする。
【0007】
前記構成によれば、ウイングがサブ開口部を閉じた状態では、バケット全体の左右幅が小さくなるため、各種法規の幅制限を満たすことができる。そして、ウイングがサブ開口部を開いた状態では、ウイングが、その後端部を支点としてその前端部が移動するので、バケット本体よりも左右方向外側の雪を掻き込むことが可能となる。したがって、ウイングが閉じた状態におけるバケットの左右幅を抑えながらも、ベース車の車体を壁面障害物から離した状態で壁面障害物の近傍にある雪を掻き取ることができる。さらに、ウイングにより案内される雪は、側壁部のサブ開口部を通過してバケット本体内に導入されるため、バケット本体内に既に積み込まれていた雪を側方から押すことになる。そうすると、バケット本体内の左右両側に偏って雪が積み込まれるのが抑制され、バケットの全容積を十分に活かして効率的に除雪作業を行うことができる。
【0008】
前記ウイングを回動させるアクチュエータをさらに備えていてもよい。
【0009】
前記構成によれば、アクチュエータを駆動させるだけで、ベース車の運転中に容易にウイングを開閉することができる。
【0010】
前記サブ開口部は、前記側壁部の前端部を残した状態で形成されていてもよい。
【0011】
前記構成によれば、サブ開口部が側壁部の前端まで切り欠かれている場合に比べて、バケット本体の強度を良好に保つことができる。また、ウイングが閉じたときにその前端部が側壁部の前端部の外面又は該外面に設けられた部材に当接するようにすることで、ウイングの動作範囲を簡単に規制することができる。
【0012】
前記側壁部の前端部には、外側に突出して上下方向に延在する突条部が設けられ、前記ウイングの前端部には、前記ウイングが閉じた状態で前記突条部の後面に当接する屈曲部が設けられていてもよい。
【0013】
前記構成によれば、ウイングが閉じた状態おいてウイングの前端部は突条部の後面に位置するので、前方からの雪が、ウイングの前端部と側壁部の前端部との間に噛みこむことを抑制することができる。
【0014】
前記サブ開口部の後端縁から後方に続く前記バケット本体の壁には、後側がバケット本体中央側に近づくように傾斜したガイド部が設けられていてもよい。
【0015】
前記構成によれば、ウイングに案内されてサブ開口部を通過した雪が、ガイド部によりスムーズにバケット本体中央側に向けて導かれるので、バケット本体内の左右両側に偏って雪が積み込まれるのをより好適に抑制することができ、バケットの全容積を十分に活かして効率的に除雪作業を行うことができる。
【0016】
前記サブ開口部の下端縁は、前記凹状壁部の地面に接地する底壁部分に沿って配置されていてもよい。
【0017】
前記構成によれば、地面に浅く積もった雪もサブ開口部を通じてバケット本体内に容易に導くことができる。
【0018】
前記ウイングは、前記バケット本体に対して上下位置調節可能に取り付けられていてもよい。
【0019】
前記構成によれば、地面の形状や積雪量などに応じてウイングの高さ位置を調節することで、ウイングにより適切に雪を案内させることができる。
【0020】
前記ウイングの下端部には、アタッチメントプレートが下方に突出した状態で上下位置調節可能に取り付けられていてもよい。
【0021】
前記構成によれば、地面の形状や積雪量などに応じてアタッチメントプレートの上下位置を調節することで、浅く積もった雪も適切に案内することができる。
【0022】
前記ウイングは、後板部と前板部とに分割されており、前記前板部は、回動機構により前記後板部に対して外側に回動可能に接続され、かつ、前記前板部は、所定の荷重がかかったとき破断するシャーピンにより前記後板部に対して固定されていてもよい。
【0023】
前記構成によれば、万が一、ウイングが壁面障害物に接触したとしても、シャーピンが破断して前板部が外側に回動し、接触負荷を逃がすことが可能となるので、ベース車全体に接触負荷が伝達されるのを防止することができる。
【0024】
前記ウイングは、金属からなり、前記ウイングの前端部には、樹脂からなるエッジ部材が設けられていてもよい。
【0025】
前記構成によれば、万が一、ウイングが壁面障害物に接触したとしても、エッジ部材で衝撃を吸収することが可能となるので、ベース車全体に接触負荷が伝達されるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ウイングが閉じた状態におけるバケットの左右幅を抑えながらも、ベース車の車体を壁面障害物から離した状態で壁面障害物の近傍にある雪を掻き取ることができる。さらに、バケット本体内の左右両側に偏って雪が積み込まれるのが抑制され、バケットの全容積を十分に活かして効率的に除雪作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、ホイールローダに搭乗した運転手から見た方向を基準とする。
【0028】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る除雪用バケット20が装着されたホイールローダ1の一部破断側面図である。図2は図1に示すホイールローダ1の平面図である。ベース車であるホイールローダ1は、エンジン等が搭載された車両本体2の前後左右に前輪3及び後輪4が設けられた四輪走行車であり、前輪3と後輪4との間の車両本体2には運転室5が設けられている。車両本体2の前部には、油圧シリンダ6,7及びリンク機構8を備えた支持装置9が設けられている。除雪用バケット20は、この支持装置9に取り付けられた状態でホイールローダ1に装着されている。
【0029】
リンク機構8は、昇降アーム10、回動アーム11及び連結アーム12を有している。昇降アーム10は油圧シリンダ7によって昇降され、回動アーム11は油圧シリンダ6によって回動される。連結アーム12は、回動アーム11を除雪用バケット20に連結している。昇降アーム10及び連結アーム12の先端は、左右方向を軸線方向とした連結ピン13,14によって除雪用バケット20に枢着されることにより、除雪用バケット20が支持装置9に着脱可能に取り付けられている。このような構成により、昇降アーム10の昇降により除雪用バケット20を昇降させたり、回動アーム11の回動により除雪用バケット20の上下方向のチルト角を変更することが可能になっている。なお、ホイールローダ1の除雪用バケット20を除いた部分全体を車体15と称することとする。
【0030】
図3は図1に示すホイールローダ1に装着された除雪用バケット20の斜視図である。図4は図3に示す除雪用バケット20の平面図である。図5は図3に示す除雪用バケット20の正面図である。図6は図3に示す除雪用バケット20の側面図である。図3乃至6に示すように、除雪用バケット20は、側面視凹形状で左右に延在する凹状壁部22と、その凹状壁部22の左右両側を閉鎖する一対の側壁部23とを有するバケット本体21を備えている。バケット本体21の前部には、地面の雪が前方から導入されるメイン開口部24が形成されている。なお、バケット本体21は、金属からなる。
【0031】
一対の側壁部23には、サブ開口部25が矩形状に形成されている。サブ開口部25は、側壁部23の前端部23aを柱状に残した状態で形成されている。また、サブ開口部25の下端縁25a(図7及び8も参照)は、凹状壁部22の地面に接地する底壁部分22aに沿って配置されている。サブ開口部25は、ウイング26により外側から(例えば、左側のウイングの場合には左側から)開閉可能に閉鎖されている。ウイング26は、略平板状のウイング本体30と、ウイング本体30の外側面に水平方向に平行に突設された上下一対の支持バー31,32とを有している。なお、ウイング26は、金属からなる。
【0032】
下側の支持バー32は、その後端部32aにおいて、回動軸27を介して回動自在にバケット本体21の側壁部23に取り付けられている。上側の支持バー31は、その後端部31bが下側の支持バー32よりも後方に延出している。上側の支持バー31は、下側の支持バー32の後端部32aに対応する位置にある部分31aにおいて、回動軸27を介して回動自在にバケット本体21の側壁部23に取り付けられている。この回動支点となる回動軸27は、サブ開口部25よりも後方に位置している。
【0033】
上側の支持バー31の後端部31bは、油圧シリンダ式のアクチュエータ28に接続されている。アクチュエータ28は、シリンダ部28aと、そのシリンダ部28aから左右方向に進退するロッド部28bとを有している。シリンダ部28aは、バケット本体21に固定されており、ロッド部28bの先端部28cは、支持バー31の後端部31bに接続されている。よって、アクチュエータ28が駆動されてロッド部28bが進退すると、ウイング26が、回動軸27を支点として回動してサブ開口部25を開閉するようになっている。なお、アクチュエータ28は、運転室5に設置された入力部(図示せず)を操作することで駆動制御されるように構成されている。
【0034】
図7は図3に示す除雪用バケット20の要部斜視図である。図8は図3に示す除雪用バケット20の別角度から見た要部斜視図である。図9は図3に示す除雪用バケット20の要部水平断面図である。図7乃至9に示すように、バケット本体21の側壁部23の前端部23aには、外側に向けて突出した突条部29が固定されている。突条部29は、サブ開口部25の前端縁に沿って上下方向に延在している。突条部29は、その水平断面が略三角形状となるように形成され、当該三角形の辺となる傾斜した後面部29a及び前面部29bを有している。
【0035】
ウイング26のウイング本体30の前端部30aは、ウイング26が閉じた状態で突条部29の後面部29aに当接する屈曲部となっている(以下、符号30aは屈曲部とも称す)。サブ開口部25の後端縁25bから後方に続くバケット本体21の壁には、後側がバケット本体21中央側に近づくようにテーパ状に傾斜したガイド部33が設けられている。ウイング本体30の後端部30bは、ウイング26が閉じた状態でガイド部33の前端部に当接する屈曲部となっている(図9参照)。
【0036】
以上に説明した構成によれば、ウイング26がサブ開口部25を閉じた状態では、バケット20全体の左右幅が小さくなるため、各種法規の幅制限を満たすことができる。一方、図7等に示すように、ウイング26をアクチュエータ28により回動軸27を支点として回動させてサブ開口部25を開けば、バケット本体21よりも左右方向外側にある地上の雪が、ウイング26の内面に案内されてサブ開口部25を通過しバケット本体21内に掻き込まれる。
【0037】
そして、図2に示すように、ホイールローダ1が壁面障害物100に沿って除雪作業を実施する際には、ウイング26の左右方向の外端位置と壁面障害物100との間の距離をL1とし、車体15の左右方向の外端位置と壁面障害物100との間の距離をL2とすれば、L1<L2の関係が成立し、車体15(特に、前後輪3,4)を壁面障害物100から安全な距離を保ちながらも、ウイング26により壁面障害物100の近傍の雪を掻き取ることが可能となる。
【0038】
さらに、ウイング26により案内される雪は、側壁部23のサブ開口部25を通過してバケット本体21内に導入されるため、バケット本体21内に既に積み込まれていた雪を側方から(図7において矢印方向から)押すことになる。そうすると、バケット本体21内の左右両側に偏って雪が積み込まれるのが抑制され、バケット本体21の全容積を十分に活かして効率的に除雪作業を行うことができる。
【0039】
また、サブ開口部25は、側壁部23の前端部23aを残存させた状態で形成されているので、サブ開口部25が側壁部23の前端まで切り欠かれている場合に比べて、バケット本体21の強度を良好に保つことができる。さらに、ウイング26が閉じた状態おいてウイング26の前端部30aは突条部29の後面29aに位置するので、前方からの雪が、ウイング26の前端部30aと側壁部23の前端部23aとの間に噛みこむことを抑制することができる。また、ウイング26が閉じたときにその前端部30aが側壁部23の前端部23aの突条部29に当接するので、ウイング26の動作範囲を簡単に規制することができる。
【0040】
さらに、ウイング26に案内されてサブ開口部25を通過した雪は、ガイド部33によりスムーズにバケット本体21中央側に向けて導かれるので、バケット本体21内の左右両側に偏って雪が積み込まれるのを好適に抑制することができ、バケット本体21の全容積を十分に活かして効率的に除雪作業を行うことができる。また、サブ開口部25の下端縁25aは、凹状壁部22の地面に接地する底壁部分22aの左右側端縁に沿って配置されているので、地面に浅く積もった雪もサブ開口部25を通じてバケット本体21内に容易に導くことができる。
【0041】
なお、本実施形態では、側壁部23の前端部23aに突条部29が設けられているが、突条部29を設けずに、ウイング26が閉じられた状態おいてウイング26の前端部を側壁部23の前端部23aの外面に当接させるようにするとよい。
【0042】
(第2実施形態)
図10は本発明の第2実施形態に係る除雪用バケット40の側面図である。図10に示すように、本実施形態の除雪用バケット40は、ウイング26がバケット本体21に対して上下位置調節可能に取り付けられている。具体的には、サブ開口部25の後方において、バケット本体21の側壁部23に上下方向に長尺の回動軸41が固定されている。この回動軸41の上下端には、それぞれフランジ部42,43が設けられている。ウイング26の支持バー31,32は、回動軸41に対して回転自在かつ上下スライド自在に取り付けられている。そして、下側の支持バー32と下側のフランジ部42との間において、ユーザが選んだ個数のリング状スペーサ(図示せず)を回動軸41に嵌めることで、ウイング26の高さがユーザにより調節可能となっている。このような構成とすることで、地面の形状や積雪量などに応じてユーザがウイング26の高さ位置を調節し、地表上の雪を適切に掻き取ることが可能となる。なお、他の構成は前述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0043】
(第3実施形態)
図11は本発明の第3実施形態に係る除雪用バケットのウイング50の側面図である。図11に示すように、本実施形態のウイング50は、ウイング本体30の下端部にアタッチメントプレート51が取り付けられている。アタッチメントプレート51は、樹脂又は金属からなる水平方向に長い矩形板であり、その上側領域に上下方向に長軸を有する長孔54が水平方向に間隔をあけて4つ形成されている。ウイング本体30の下端部には、アタッチメントプレート51の長孔54に対応するネジ穴53が水平方向に間隔をあけて4つ形成されている。
【0044】
そして、アタッチメントプレート51の長孔54とウイング本体30のネジ穴53とにネジ52が螺着され、アタッチメントプレート51がウイング本体30から下方に突出するように取り付けられている。よって、アタッチメントプレート51は、長孔54をネジ52に対して上下にスライドさせることで、上下位置調節可能となっている。このような構成とすることで、地面の形状や積雪量などに応じてアタッチメントプレート51の上下位置を調節して、浅く積もった雪なども適切に案内することができる。なお、他の構成は前述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0045】
(第4実施形態)
図12は(a)は本発明の第4実施形態に係る除雪用バケットのウイング60の側面図、(b)は要部平面図である。図12(a)(b)に示すように、本実施形態のウイング60は、後板部61と前板部62とに分割されており、前板部62の水平方向の長さは後板部61の水平方向の長さよりも短くなっている。この前板部62は、上下一対の回動機構65により後板部61に対して外側に回動可能に接続され、かつ、所定の荷重がかかったとき破断するシャーピン64により後板部61に対して固定されている。
【0046】
回動機構65は、後板部61から突出した回動用ブラケット61aと、前板部62から突出した回動用ブラケット62aと、それら回動用ブラケット61a,62aを上下方向に回転自在に貫通して支持するピン63とを有している。シャーピン64は、後板部61から突出した固定用ブラケット61bと、前板部62から突出した固定用ブラケット62bとを貫通して固定している。
【0047】
このような構成とすることで、万が一、ウイング60が壁面障害物100(図2参照)に接触したとしても、シャーピン64が破断して前板部62が回動機構65により外側に回動し、接触負荷を逃がすことが可能となるので、ホイールローダ全体に接触負荷が伝達されるのを防止することができる。なお、他の構成は前述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0048】
(第5実施形態)
図13は(a)は本発明の第5実施形態に係る除雪用バケットのウイング70の側面図、(b)は要部平面図である。図13(a)(b)に示すように、本実施形態のウイング70は、その金属からなるウイング本体30の前端部30aに、樹脂からなるエッジ部材71がビス72で固定されている。エッジ部材71は、ウイング本体30の前端部30aに沿って上下方向に長い矩形状の平板である。このような構成とすることで、万が一、ウイング70が壁面障害物100(図2参照9に接触したとしても、エッジ部材71で衝撃を吸収することが可能となるので、ホイールローダ全体に接触負荷が伝達されるのを防止することができる。なお、他の構成は前述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明に係る除雪用バケットは、ウイングが閉じた状態におけるバケットの左右幅を抑えながらも、ベース車の車体を壁面障害物から離した状態で壁面障害物の近傍にある雪を掻き取ることができ、さらに、バケットの全容積を十分に活かして効率的に除雪作業を行うことができる優れた効果を有し、除雪作業を行うホイールローダ等に広く適用すると有益である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態に係る除雪用バケットが装着されたホイールローダの一部破断側面図である。
【図2】図1に示すホイールローダの平面図である。
【図3】図1に示すホイールローダに装着された除雪用バケットの斜視図である。
【図4】図3に示す除雪用バケットの平面図である。
【図5】図3に示す除雪用バケットの正面図である。
【図6】図3に示す除雪用バケットの側面図である。
【図7】図3に示す除雪用バケットの要部斜視図である。
【図8】図3に示す除雪用バケットの別角度から見た要部斜視図である。
【図9】図3に示す除雪用バケットの要部水平断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る除雪用バケットの側面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る除雪用バケットのウイングの側面図である。
【図12】(a)は本発明の第4実施形態に係る除雪用バケットのウイングの側面図、(b)は要部平面図である。
【図13】(a)は本発明の第5実施形態に係る除雪用バケットのウイングの側面図、(b)は要部平面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ホイールローダ(ベース車)
10 昇降アーム
15 車体
20,40 除雪用バケット
21 バケット本体
22 凹状壁部
22a 底壁部分
23 側壁部
23a 前端部
24 メイン開口部
25 サブ開口部
26,50,60,70 ウイング
27 回動軸
28 アクチュエータ
29 突条部
29a 後面部
30a 屈曲部(前端部)
33 ガイド部
51 アタッチメントプレート
61 後板部
62 前板部
64 シャーピン
65 回動機構
71 エッジ部材
100 壁面障害物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース車の昇降アームに取り付けられる除雪用のバケットであって、
側面視凹形状で左右に延在する凹状壁部と、前記凹状壁部の左右両側を閉鎖する一対の側壁部とを有し、地面の雪が前方から導入されるメイン開口部が形成されたバケット本体と、
前記一対の側壁部の少なくとも一方に形成されたサブ開口部と、
後部を支点として開閉可能に前記サブ開口部を外側から閉鎖するウイングとを備え、
前記ウイングをその前端部が外側に移動するように回動させて前記サブ開口部を開くことで、地面の雪が前記ウイングに案内されて前記サブ開口部を通過し前記バケット本体内に導入される構成であることを特徴とする除雪用バケット。
【請求項2】
前記ウイングを回動させるアクチュエータをさらに備えている請求項1に記載の除雪用バケット。
【請求項3】
前記サブ開口部は、前記側壁部の前端部を残した状態で形成されている請求項1又は2に記載の除雪用バケット。
【請求項4】
前記側壁部の前端部には、外側に突出して上下方向に延在する突条部が設けられ、
前記ウイングの前端部には、前記ウイングが閉じた状態で前記突条部の後面に当接する屈曲部が設けられている請求項3に記載の除雪用バケット。
【請求項5】
前記サブ開口部の後端縁から後方に続く前記バケット本体の壁には、後側がバケット本体中央側に近づくように傾斜したガイド部が設けられている請求項1乃至4のいずれかに記載の除雪用バケット。
【請求項6】
前記サブ開口部の下端縁は、前記凹状壁部の地面に接地する底壁部分に沿って配置されている請求項1乃至5のいずれかに記載の除雪用バケット。
【請求項7】
前記ウイングは、前記バケット本体に対して上下位置調節可能に取り付けられている請求項1乃至6のいずれかに記載の除雪用バケット。
【請求項8】
前記ウイングの下端部には、アタッチメントプレートが下方に突出した状態で上下位置調節可能に取り付けられている請求項1乃至7のいずれかに記載の除雪用バケット。
【請求項9】
前記ウイングは、後板部と前板部とに分割されており、
前記前板部は、回動機構により前記後板部に対して外側に回動可能に接続され、かつ、前記前板部は、所定の荷重がかかったとき破断するシャーピンにより前記後板部に対して固定されている請求項1乃至8のいずれかに記載の除雪用バケット。
【請求項10】
前記ウイングは、金属からなり、
前記ウイングの前端部には、樹脂からなるエッジ部材が設けられている請求項1乃至9のいずれかに記載の除雪用バケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−275435(P2009−275435A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128755(P2008−128755)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【出願人】(599031526)北海道川重建機株式会社 (1)
【Fターム(参考)】