階段
【課題】階段フレームの取付け作業が容易であるとともに、ボルトなどの締結部分が踊り場10の下方に露出せず、見栄えもよい階段を提供する。
【解決手段】建物の下階1と上階2との間に設置された階段において、複数の踏板が取り付けられた階段フレームと、その上側又は下側から延長された水平フレーム3a、4aで構成される踊り場10とを備え、上記水平フレーム3a、4aの先端部上面には切欠き部11を形成し、上記建物の躯体から室内側に突設された受金具17を、上記切欠き部11を通じて上記水平フレーム3a、4aの断面内に案内し、上記受金具17と水平フレーム3a、4aとを連結材15によって連結した。
【解決手段】建物の下階1と上階2との間に設置された階段において、複数の踏板が取り付けられた階段フレームと、その上側又は下側から延長された水平フレーム3a、4aで構成される踊り場10とを備え、上記水平フレーム3a、4aの先端部上面には切欠き部11を形成し、上記建物の躯体から室内側に突設された受金具17を、上記切欠き部11を通じて上記水平フレーム3a、4aの断面内に案内し、上記受金具17と水平フレーム3a、4aとを連結材15によって連結した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物の下階と上階との間に設置された階段に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物内部の一階と二階との間に踊り場を有する階段を設置する場合、複数の踏板が取り付けられた上側と下側の階段フレームと、踊り場とはそれぞれ別体である(特許文献1参照)から、踊り場を固定し、さらに踊り場に下側階段の上端と上側階段の下端を固定し、踊り場を適宜手段によって固定することが行なわれている。
【0003】
ところが、踊り場をどのように固定するかについては、踊り場を下階に設けた支柱の上に支持させる方式や、踊り場を支柱ではなく、下階に固定した左右両側板の上に支持させる方式などが知られている。ところが、踊り場が普通の子供の背丈を越えるような高さになった場合、支柱は踊り場の下方空間を制限し、物を置くときの障害になったり、人の動線の邪魔になったりするという問題がある。
【0004】
そこで、踊り場を建物躯体と上下部の階段フレームとによって支持することが考えられる。上下部の階段フレームの各下端部と上端部とから水平のフレームを延設し、このフレームを直接に建物の躯体に固定すれば、水平フレーム上に踊り場を構成することができる。水平フレームを建物の躯体に固定する場合、躯体側には水平フレームを受ける受け部材が必要となる。すなわち、躯体側から突設された受け部材に水平フレームを構成を採用すればよい。具体的には、締結時には受け部材が外部に露出しないように、水平フレームの中空部の内部に建物の躯体から室内側に突設された受金具を挿入し、水平フレームと受け部材とをボルトで締結すればよい。これにより、踊り場を躯体と階段フレームとによって支持することができるので、踊り場の下方の空間を広くとることができる。
【特許文献1】実用新案登録第3115604号公報
【特許文献2】特開2005−240321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の階段構造によれば、施工にあたっては、階段フレームをクレーン等により水平フレームの先端を躯体の受け部材の位置まで吊り上げ、さらに水平方向に移動させて水平フレームの先端を受け部材に挿入するという作業を要することになる。このような作業は非常に困難であり、現実的ではない。
挿上には床材等を張るので問題はないが、踊り場の下には階段フレームとその水平部分だけでなく、水平住むの端部と受け金具のボルト部分も露出する。特にボルトの締結部分は屋内から直接に見えるので見栄えがよくない。
【0006】
本発明は上記問題点を解消し、階段フレームの取付け作業が容易であるとともに、ボルトなどの締結部分が踊り場の下方に露出せず、見栄えもよい階段を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、建物の下階と上階との間に設置された階段において、複数の踏板が取り付けられた階段フレームと、その上側又は下側から延長された水平フレームで構成される踊り場とを備え、上記水平フレームの先端部上面には切欠き部を形成し、上記建物の躯体から室内側に突設された受金具を、上記切欠き部を通じて上記水平フレームの断面内に案内し、上記受金具と水平フレームとを連結材によって連結したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記連結材を上記受金具の上に重合し、該連結材を上記水平フレームと上記受金具に締結したことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又はにおいて、上記連結材は予め上記水平フレームの断面内で、上記切欠き部から露出する位置に設けられたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1又は2において、上記連結材は予め上記水平フレームの断面内で、上記切欠き部から露出する位置にスライド可能に設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、階段フレームを吊り上げ、水平フレームの先端を躯体に設けた受金具の下に移動させ、さらに上に移動させることにより、水平フレームの先端上部の切欠き部を通じて上記水平フレームの断面内に案内することができるので、水平フレームの取付作業を容易かつ確実に行なうことができる。また、受金具と水平フレームとを連結材によって連結したので、連結材が水平フレームを補強する機能を有することになり、受金具と水平フレームとを強固に連結することができる。
【0012】
また、受け金具は水平フレームの断面内に案内され、連結部材はその上部に重合しているので、連結部分も切欠きも踊り場の下から見ることはできない。したがって見栄えがよく、また下側に切欠き部を隠すための化粧材を設ける必要もない。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、上記連結材を上記受金具の上に重合し、該連結材を上記水平フレームと上記受金具に締結する構成であるから、水平フレームの上面の切欠き部を利用してその上から締結作業をすることができ、水平フレームの取付作業を容易に行なうことができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、連結材は予め上記水平フレームの断面内で、上記切欠き部から露出する位置に設けられているので、上記受金具の上に連結材を重合した後、水平フレームの上面の切欠き部を利用してすぐに連結作業をすることができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、連結材は予め上記水平フレームの断面内で、上記切欠き部から露出する位置にスライド可能に設けられているから、階段フレームを移動操作する場合には連結材を切欠き部から退避させておくことにより、上記切欠き部をフルに利用して受金具を水平フレームの断面内に案内することができる。案内後は、連結材をスライドして上記切欠き部から露出させ、切欠き部を利用してすぐに連結作業をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明を建物の内部に設置された折り返し階段において実施した場合の形態を示す側面図であり、図2はその平面図である。この折り返し階段は、建物の下階1と上階2との間に金属製の下側の階段フレーム3と上側の階段フレーム4とを折り返しにして連続させて設置したもので、上下の階段フレーム4、3には間隔をおいて踏板受け5を介して踏板6が取り付けられている。なお、7は壁躯体を示す。
【0017】
上記下側の階段フレーム3と上側の階段フレーム4とは踊り場10を介して接続されている。踊り場10は次に示すように構成されている。
【0018】
まず、図3に示すように、下側の階段フレーム3の上端には水平フレーム3aが一体に延長形成されている。そして、水平フレーム3aの先端上面には切欠き部11が形成されている。
【0019】
また、図4に示すように、水平フレーム3aは中空で、上部両側にはそれぞれ断面逆L字形の縁12が形成され、また上面部には少し片寄り位置に凹溝13が長手方向に沿って形成されている。凹溝13の先端側の溝底には受け板14が配置されている。
【0020】
さらに、水平フレーム3aの先端部には連結材15が配置されている。連結材15は図5に示すように逆L字形の板材15aの上に厚板15bを溶接固定してなる部材で、図4のように上記受け板14から上記凹溝13を貫通した固定ネジ(図7(b)参照)によって受け板14ととともに水平フレーム3aに締結固定されている。連結材15の先端にはボルト挿通孔16が形成されている。
【0021】
これに対し、壁躯体には踊り場10に対応する位置に受金具17(図6参照)が突設されている。これらの受金具17は下向きに開口する断面コ字形の部材で、壁躯体7を構成する構造材(図示せず)などに一体に固定されている。
【0022】
上記階段フレーム3の水平フレーム3aを壁躯体の受金具17に固定するときは、まず図6に示すように、階段フレーム3をロープ20で吊り、水平フレーム3aの先端を受金具17に接近させ、図7(a)(b)のように、水平フレーム3aを受金具17の下の方から上側にすくうように移動させて切欠き部11から水平フレーム3aの断面内に案内する。そして、受金具17の上に上記連結材15を係合させてボルト21を連結材15のボルト挿通孔16から受金具17のボルト孔18に螺着して締結固定すればよい。これにより、連結材15を介して受金具17と水平フレーム3aとが連結される。
【0023】
次に、上側の階段フレーム4の下部にも図3に示すように上記踊り場10を構成するための水平フレーム4aが延長して設けられている。この水平フレーム4aの断面形状も、図4に示す上記下側階段フレーム3の水平フレーム3aと同じで、水平フレーム4aの先端上面には切欠き部11が形成されている。また、水平フレーム4aの上部両側にはそれぞれ断面逆L字形の縁12が形成され、また上面部には少し片寄り位置に凹溝13が長手方向に沿って形成されている。なお、凹溝13の先端側の溝底13aにはスライド孔22(図9参照)が形成されているとともに、受け板14が配置されている。
【0024】
水平フレーム4aの先端部には、図8(a)、図9及び図10(a)に示されるように、上述のものと同じ構成の連結材15が上記スライド孔22の範囲内で水平フレーム4aの長手方向に沿ってスライド自在に取り付けられている。また、図9に示されるように、この連結材15は上記受け板14から上記スライド孔22を貫通したネジ23によって受け板14の先端から後退する位置で受け板14に仮止め固定されている。この状態で、受け板14には固定ネジ挿通孔25が、連結材15にはネジ孔26が互いに整合するように配置されている。凹溝13の溝底13aにも、上記受け板14と連結材15とが所定量スライドしたときのネジ挿通孔25とネジ孔26に整合する位置にネジ挿通孔27が形成されている。なお、このとき受け板14の先端は連結材15の先端よりも後退した位置に保持されている。また、連結材15の先端近傍にはスライド操作用のネジ28が取り付けられている。
【0025】
これに対し、壁躯体の踊り場10に対応する位置には、上述と同様の受金具17が突設されている。
【0026】
上記上側の階段フレーム4の水平フレーム3a4aを壁躯体の受金具17に固定するときは、まず水平フレーム4aの受け板14に連結材15を仮止めするネジ23を緩めておき、図9(a)(b)のように階段フレーム4をロープ20で吊り、水平フレーム4aの先端を受金具17に接近させ、図10(a)(b)に示されるように、水平フレーム4aを受金具17の下の方から上側に移動させて切欠き部11から水平フレーム4aの断面内に案内する。そこで、上記連結材15の操作用ネジ28(図8(b)参照)に指を掛けて引き出し、図8(b)及び図10(c)に示すように、切欠き部11から露出する所定位置までスライドさせて上記受金具17の上に重合させる。このとき、受け板14も同時に同じ量だけスライド移動する。そして、上記操作用ネジ28を外し、図12(a)(b)に示されるように、切欠き部11の上から連結材15と受金具17とをボルト21で締結するとともに、水平フレーム4aの受け板14と凹溝13の溝底に形成されたのネジ挿通孔25、27(図9参照)から挿通した固定ネジ30を連結材15のネジ孔26に締結して固定すればよい。これにより、連結材15を介して受金具17と水平フレーム4aとが連結される。
【0027】
なお、上記下側の階段フレーム3と上側の階段フレーム4の水平フレーム3a、4aにより踊り場10用のフレームが形成されるから、その上に床パネルを張り、さらにその上からフローリング施工等を行なえばよい。さらに、階段フレームに続く手摺用支柱を立設し、その上に手摺を支持させ、さらに手摺の下方にはパネルを配設すればよい。
【0028】
上記構成によれば、階段フレーム3、4を吊り上げ、水平フレーム3a、4aの先端を躯体に設けた受金具17の下に移動させ、さらに上に移動させることにより、水平フレーム3a、4aの先端上部の切欠き部11を通じて上記水平フレーム3a、4aの断面内に案内することができるので、水平フレーム3a、4aの取付作業を容易かつ確実に行なうことができる。また、受金具17と水平フレーム3a、4aとを連結材15によって連結したので、連結材15が水平フレーム3a、4aを補強する機能を有することになり、受金具17と水平フレーム3a、4aとを強固に連結することができる。
【0029】
また、受金具17は水平フレーム3a、4aの断面内に案内され、連結材15はその上部に重合しているので、連結部分は踊り場10の下から見ることはできない。したがって見栄えがよい。
【0030】
さらに、上記連結材15を上記受金具17の上に重合し、該連結材15を上記水平フレーム3a、4aと上記受金具17に締結する構成であるから、水平フレーム3a、4aの上面の切欠き部11を利用してその上から締結作業をすることができる。このため、水平フレーム3a、4aの取付作業を容易に行なうことができる。
【0031】
加えて、下側の階段フレーム3の水平フレーム3aを取り付けるにあたり、連結材15は予め上記水平フレーム3aの断面内で、上記切欠き部11から露出する位置に設けられているので、上記受金具17の上に連結材15を重合した後、水平フレーム3aの上面の切欠き部11を利用してすぐに連結作業をすることができる。
【0032】
また、上側の階段フレーム4の水平フレーム4aを取り付けるにあたり、連結材15は予め上記水平フレーム4aの断面内で、上記切欠き部11から露出する位置にスライド可能に設けられているから、階段フレームを移動操作する場合には連結材15を切欠き部11から退避させておくことにより、上記切欠き部11をフルに利用して受金具17を水平フレーム4aの断面内に案内することができる。案内後は、連結材15をスライドして上記切欠き部11から露出させ、切欠き部11を利用してすぐに連結作業をすることができる。
【0033】
なお、上述の実施形態では、躯体の受金具17に下側階段フレーム3の水平フレーム3aと上側階段フレーム4の水平フレーム4aを連結するにあたり、連結材15を一方の水平フレーム3aに対しては予め固定しておき、他方の水平フレーム4aにはスライド可能にした場合の取付態様につき示したが、これに限定されない。連結材を両方の水平フレームに対して予め固定しておいてもよく、あるいは両方の水平フレームに対して予めスライド可能としておいてもよい。
【0034】
また、受金具は躯体を構成するものであれば壁躯体に設ける形態に限定されない。柱に設ける構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る延長床付き階段の側面図
【図2】上記階段の平面図
【図3】階段フレームの斜視図
【図4】水平フレームの断面図
【図5】連結材の斜視図
【図6】下側階段の取付態様説明図
【図7】(a)(b)は下側階段の水平フレームの取付態様説明図
【図8】(a)(b)は上側階段の水平フレームと連結材の取付態様説明図
【図9】(a)(b)は上記上側の水平フレームの縦断面図
【図10】(a)(b)(c)は上記水平フレームの取付態様説明図
【図11】(a)(b)は上側階段フレームの取付態様説明図
【図12】(a)(b)は上側階段の水平フレームの取付状態の側面図と断面図
【符号の説明】
【0036】
1 下階
2 上階
3 下側の階段フレーム
4 上側の階段フレーム
3a 下側の水平フレーム
4a 上側の水平フレーム
10 踊り場
11 切欠き部
15 連結材
17 受金具
【技術分野】
【0001】
本発明は建物の下階と上階との間に設置された階段に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物内部の一階と二階との間に踊り場を有する階段を設置する場合、複数の踏板が取り付けられた上側と下側の階段フレームと、踊り場とはそれぞれ別体である(特許文献1参照)から、踊り場を固定し、さらに踊り場に下側階段の上端と上側階段の下端を固定し、踊り場を適宜手段によって固定することが行なわれている。
【0003】
ところが、踊り場をどのように固定するかについては、踊り場を下階に設けた支柱の上に支持させる方式や、踊り場を支柱ではなく、下階に固定した左右両側板の上に支持させる方式などが知られている。ところが、踊り場が普通の子供の背丈を越えるような高さになった場合、支柱は踊り場の下方空間を制限し、物を置くときの障害になったり、人の動線の邪魔になったりするという問題がある。
【0004】
そこで、踊り場を建物躯体と上下部の階段フレームとによって支持することが考えられる。上下部の階段フレームの各下端部と上端部とから水平のフレームを延設し、このフレームを直接に建物の躯体に固定すれば、水平フレーム上に踊り場を構成することができる。水平フレームを建物の躯体に固定する場合、躯体側には水平フレームを受ける受け部材が必要となる。すなわち、躯体側から突設された受け部材に水平フレームを構成を採用すればよい。具体的には、締結時には受け部材が外部に露出しないように、水平フレームの中空部の内部に建物の躯体から室内側に突設された受金具を挿入し、水平フレームと受け部材とをボルトで締結すればよい。これにより、踊り場を躯体と階段フレームとによって支持することができるので、踊り場の下方の空間を広くとることができる。
【特許文献1】実用新案登録第3115604号公報
【特許文献2】特開2005−240321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の階段構造によれば、施工にあたっては、階段フレームをクレーン等により水平フレームの先端を躯体の受け部材の位置まで吊り上げ、さらに水平方向に移動させて水平フレームの先端を受け部材に挿入するという作業を要することになる。このような作業は非常に困難であり、現実的ではない。
挿上には床材等を張るので問題はないが、踊り場の下には階段フレームとその水平部分だけでなく、水平住むの端部と受け金具のボルト部分も露出する。特にボルトの締結部分は屋内から直接に見えるので見栄えがよくない。
【0006】
本発明は上記問題点を解消し、階段フレームの取付け作業が容易であるとともに、ボルトなどの締結部分が踊り場の下方に露出せず、見栄えもよい階段を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、建物の下階と上階との間に設置された階段において、複数の踏板が取り付けられた階段フレームと、その上側又は下側から延長された水平フレームで構成される踊り場とを備え、上記水平フレームの先端部上面には切欠き部を形成し、上記建物の躯体から室内側に突設された受金具を、上記切欠き部を通じて上記水平フレームの断面内に案内し、上記受金具と水平フレームとを連結材によって連結したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記連結材を上記受金具の上に重合し、該連結材を上記水平フレームと上記受金具に締結したことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又はにおいて、上記連結材は予め上記水平フレームの断面内で、上記切欠き部から露出する位置に設けられたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1又は2において、上記連結材は予め上記水平フレームの断面内で、上記切欠き部から露出する位置にスライド可能に設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、階段フレームを吊り上げ、水平フレームの先端を躯体に設けた受金具の下に移動させ、さらに上に移動させることにより、水平フレームの先端上部の切欠き部を通じて上記水平フレームの断面内に案内することができるので、水平フレームの取付作業を容易かつ確実に行なうことができる。また、受金具と水平フレームとを連結材によって連結したので、連結材が水平フレームを補強する機能を有することになり、受金具と水平フレームとを強固に連結することができる。
【0012】
また、受け金具は水平フレームの断面内に案内され、連結部材はその上部に重合しているので、連結部分も切欠きも踊り場の下から見ることはできない。したがって見栄えがよく、また下側に切欠き部を隠すための化粧材を設ける必要もない。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、上記連結材を上記受金具の上に重合し、該連結材を上記水平フレームと上記受金具に締結する構成であるから、水平フレームの上面の切欠き部を利用してその上から締結作業をすることができ、水平フレームの取付作業を容易に行なうことができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、連結材は予め上記水平フレームの断面内で、上記切欠き部から露出する位置に設けられているので、上記受金具の上に連結材を重合した後、水平フレームの上面の切欠き部を利用してすぐに連結作業をすることができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、連結材は予め上記水平フレームの断面内で、上記切欠き部から露出する位置にスライド可能に設けられているから、階段フレームを移動操作する場合には連結材を切欠き部から退避させておくことにより、上記切欠き部をフルに利用して受金具を水平フレームの断面内に案内することができる。案内後は、連結材をスライドして上記切欠き部から露出させ、切欠き部を利用してすぐに連結作業をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明を建物の内部に設置された折り返し階段において実施した場合の形態を示す側面図であり、図2はその平面図である。この折り返し階段は、建物の下階1と上階2との間に金属製の下側の階段フレーム3と上側の階段フレーム4とを折り返しにして連続させて設置したもので、上下の階段フレーム4、3には間隔をおいて踏板受け5を介して踏板6が取り付けられている。なお、7は壁躯体を示す。
【0017】
上記下側の階段フレーム3と上側の階段フレーム4とは踊り場10を介して接続されている。踊り場10は次に示すように構成されている。
【0018】
まず、図3に示すように、下側の階段フレーム3の上端には水平フレーム3aが一体に延長形成されている。そして、水平フレーム3aの先端上面には切欠き部11が形成されている。
【0019】
また、図4に示すように、水平フレーム3aは中空で、上部両側にはそれぞれ断面逆L字形の縁12が形成され、また上面部には少し片寄り位置に凹溝13が長手方向に沿って形成されている。凹溝13の先端側の溝底には受け板14が配置されている。
【0020】
さらに、水平フレーム3aの先端部には連結材15が配置されている。連結材15は図5に示すように逆L字形の板材15aの上に厚板15bを溶接固定してなる部材で、図4のように上記受け板14から上記凹溝13を貫通した固定ネジ(図7(b)参照)によって受け板14ととともに水平フレーム3aに締結固定されている。連結材15の先端にはボルト挿通孔16が形成されている。
【0021】
これに対し、壁躯体には踊り場10に対応する位置に受金具17(図6参照)が突設されている。これらの受金具17は下向きに開口する断面コ字形の部材で、壁躯体7を構成する構造材(図示せず)などに一体に固定されている。
【0022】
上記階段フレーム3の水平フレーム3aを壁躯体の受金具17に固定するときは、まず図6に示すように、階段フレーム3をロープ20で吊り、水平フレーム3aの先端を受金具17に接近させ、図7(a)(b)のように、水平フレーム3aを受金具17の下の方から上側にすくうように移動させて切欠き部11から水平フレーム3aの断面内に案内する。そして、受金具17の上に上記連結材15を係合させてボルト21を連結材15のボルト挿通孔16から受金具17のボルト孔18に螺着して締結固定すればよい。これにより、連結材15を介して受金具17と水平フレーム3aとが連結される。
【0023】
次に、上側の階段フレーム4の下部にも図3に示すように上記踊り場10を構成するための水平フレーム4aが延長して設けられている。この水平フレーム4aの断面形状も、図4に示す上記下側階段フレーム3の水平フレーム3aと同じで、水平フレーム4aの先端上面には切欠き部11が形成されている。また、水平フレーム4aの上部両側にはそれぞれ断面逆L字形の縁12が形成され、また上面部には少し片寄り位置に凹溝13が長手方向に沿って形成されている。なお、凹溝13の先端側の溝底13aにはスライド孔22(図9参照)が形成されているとともに、受け板14が配置されている。
【0024】
水平フレーム4aの先端部には、図8(a)、図9及び図10(a)に示されるように、上述のものと同じ構成の連結材15が上記スライド孔22の範囲内で水平フレーム4aの長手方向に沿ってスライド自在に取り付けられている。また、図9に示されるように、この連結材15は上記受け板14から上記スライド孔22を貫通したネジ23によって受け板14の先端から後退する位置で受け板14に仮止め固定されている。この状態で、受け板14には固定ネジ挿通孔25が、連結材15にはネジ孔26が互いに整合するように配置されている。凹溝13の溝底13aにも、上記受け板14と連結材15とが所定量スライドしたときのネジ挿通孔25とネジ孔26に整合する位置にネジ挿通孔27が形成されている。なお、このとき受け板14の先端は連結材15の先端よりも後退した位置に保持されている。また、連結材15の先端近傍にはスライド操作用のネジ28が取り付けられている。
【0025】
これに対し、壁躯体の踊り場10に対応する位置には、上述と同様の受金具17が突設されている。
【0026】
上記上側の階段フレーム4の水平フレーム3a4aを壁躯体の受金具17に固定するときは、まず水平フレーム4aの受け板14に連結材15を仮止めするネジ23を緩めておき、図9(a)(b)のように階段フレーム4をロープ20で吊り、水平フレーム4aの先端を受金具17に接近させ、図10(a)(b)に示されるように、水平フレーム4aを受金具17の下の方から上側に移動させて切欠き部11から水平フレーム4aの断面内に案内する。そこで、上記連結材15の操作用ネジ28(図8(b)参照)に指を掛けて引き出し、図8(b)及び図10(c)に示すように、切欠き部11から露出する所定位置までスライドさせて上記受金具17の上に重合させる。このとき、受け板14も同時に同じ量だけスライド移動する。そして、上記操作用ネジ28を外し、図12(a)(b)に示されるように、切欠き部11の上から連結材15と受金具17とをボルト21で締結するとともに、水平フレーム4aの受け板14と凹溝13の溝底に形成されたのネジ挿通孔25、27(図9参照)から挿通した固定ネジ30を連結材15のネジ孔26に締結して固定すればよい。これにより、連結材15を介して受金具17と水平フレーム4aとが連結される。
【0027】
なお、上記下側の階段フレーム3と上側の階段フレーム4の水平フレーム3a、4aにより踊り場10用のフレームが形成されるから、その上に床パネルを張り、さらにその上からフローリング施工等を行なえばよい。さらに、階段フレームに続く手摺用支柱を立設し、その上に手摺を支持させ、さらに手摺の下方にはパネルを配設すればよい。
【0028】
上記構成によれば、階段フレーム3、4を吊り上げ、水平フレーム3a、4aの先端を躯体に設けた受金具17の下に移動させ、さらに上に移動させることにより、水平フレーム3a、4aの先端上部の切欠き部11を通じて上記水平フレーム3a、4aの断面内に案内することができるので、水平フレーム3a、4aの取付作業を容易かつ確実に行なうことができる。また、受金具17と水平フレーム3a、4aとを連結材15によって連結したので、連結材15が水平フレーム3a、4aを補強する機能を有することになり、受金具17と水平フレーム3a、4aとを強固に連結することができる。
【0029】
また、受金具17は水平フレーム3a、4aの断面内に案内され、連結材15はその上部に重合しているので、連結部分は踊り場10の下から見ることはできない。したがって見栄えがよい。
【0030】
さらに、上記連結材15を上記受金具17の上に重合し、該連結材15を上記水平フレーム3a、4aと上記受金具17に締結する構成であるから、水平フレーム3a、4aの上面の切欠き部11を利用してその上から締結作業をすることができる。このため、水平フレーム3a、4aの取付作業を容易に行なうことができる。
【0031】
加えて、下側の階段フレーム3の水平フレーム3aを取り付けるにあたり、連結材15は予め上記水平フレーム3aの断面内で、上記切欠き部11から露出する位置に設けられているので、上記受金具17の上に連結材15を重合した後、水平フレーム3aの上面の切欠き部11を利用してすぐに連結作業をすることができる。
【0032】
また、上側の階段フレーム4の水平フレーム4aを取り付けるにあたり、連結材15は予め上記水平フレーム4aの断面内で、上記切欠き部11から露出する位置にスライド可能に設けられているから、階段フレームを移動操作する場合には連結材15を切欠き部11から退避させておくことにより、上記切欠き部11をフルに利用して受金具17を水平フレーム4aの断面内に案内することができる。案内後は、連結材15をスライドして上記切欠き部11から露出させ、切欠き部11を利用してすぐに連結作業をすることができる。
【0033】
なお、上述の実施形態では、躯体の受金具17に下側階段フレーム3の水平フレーム3aと上側階段フレーム4の水平フレーム4aを連結するにあたり、連結材15を一方の水平フレーム3aに対しては予め固定しておき、他方の水平フレーム4aにはスライド可能にした場合の取付態様につき示したが、これに限定されない。連結材を両方の水平フレームに対して予め固定しておいてもよく、あるいは両方の水平フレームに対して予めスライド可能としておいてもよい。
【0034】
また、受金具は躯体を構成するものであれば壁躯体に設ける形態に限定されない。柱に設ける構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る延長床付き階段の側面図
【図2】上記階段の平面図
【図3】階段フレームの斜視図
【図4】水平フレームの断面図
【図5】連結材の斜視図
【図6】下側階段の取付態様説明図
【図7】(a)(b)は下側階段の水平フレームの取付態様説明図
【図8】(a)(b)は上側階段の水平フレームと連結材の取付態様説明図
【図9】(a)(b)は上記上側の水平フレームの縦断面図
【図10】(a)(b)(c)は上記水平フレームの取付態様説明図
【図11】(a)(b)は上側階段フレームの取付態様説明図
【図12】(a)(b)は上側階段の水平フレームの取付状態の側面図と断面図
【符号の説明】
【0036】
1 下階
2 上階
3 下側の階段フレーム
4 上側の階段フレーム
3a 下側の水平フレーム
4a 上側の水平フレーム
10 踊り場
11 切欠き部
15 連結材
17 受金具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の下階と上階との間に設置された階段において、複数の踏板が取り付けられた階段フレームと、その上側又は下側から延長された水平フレームで構成される踊り場とを備え、
上記水平フレームの先端部上面には切欠き部を形成し、上記建物の躯体から室内側に突設された受金具を、上記切欠き部を通じて上記水平フレームの断面内に案内し、上記受金具と水平フレームとを連結材によって連結した
ことを特徴とする階段。
【請求項2】
上記連結材を上記受金具の上に重合し、該連結材を上記水平フレームと上記受金具に締結したことを特徴とする、請求項1に記載の階段。
【請求項3】
上記連結材は予め上記水平フレームの断面内で、上記切欠き部から露出する位置に設けられたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の階段。
【請求項4】
上記連結材は予め上記水平フレームの断面内で、上記切欠き部から露出する位置にスライド可能に設けられたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の階段。
【請求項1】
建物の下階と上階との間に設置された階段において、複数の踏板が取り付けられた階段フレームと、その上側又は下側から延長された水平フレームで構成される踊り場とを備え、
上記水平フレームの先端部上面には切欠き部を形成し、上記建物の躯体から室内側に突設された受金具を、上記切欠き部を通じて上記水平フレームの断面内に案内し、上記受金具と水平フレームとを連結材によって連結した
ことを特徴とする階段。
【請求項2】
上記連結材を上記受金具の上に重合し、該連結材を上記水平フレームと上記受金具に締結したことを特徴とする、請求項1に記載の階段。
【請求項3】
上記連結材は予め上記水平フレームの断面内で、上記切欠き部から露出する位置に設けられたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の階段。
【請求項4】
上記連結材は予め上記水平フレームの断面内で、上記切欠き部から露出する位置にスライド可能に設けられたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の階段。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−138413(P2008−138413A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−324450(P2006−324450)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】
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