説明

集合住宅用マルチメディア通信システム

【課題】 通信システムを簡略化し、通信設備の故障リスクやメンテナンス費用を低減する。
【解決手段】 光キャビネット26は、外部の通信ネットワーク11から受信した光信号と、光送信機14により変換された光信号と、インターホン用MC25により変換された光信号とを、複数の住戸分の芯線を有する光幹線ケーブルCaに送出する。分岐成端箱30は、光幹線ケーブルCaを介して受信した光信号を、光幹線ケーブルCaから分岐して成端され、かつ、一の住戸分の複数の芯線を有する光支線ケーブルCbに送出する。光コネクタ41は、光支線ケーブルCbに含まれる各芯線を介して受信した各光信号を、光信号を電気信号に変換するネットワーク用MC42、光受信機43およびインターホン用MC44に対して送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅の各住戸にマルチメディアコンテンツを配信する集合住宅用マルチメディア通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンション等の集合住宅においては、複数のマルチメディア通信システム(例えば、光LANシステム、テレビ共聴システムおよびインターホンシステム)が、それぞれ別個独立に構築されている。ここで、マルチメディア通信システムで取り扱われるマルチメディアコンテンツとしては、例えば、静止画像・動画像・テレビ番組等を含む映像や、音声、文字などの情報がある。
【0003】
光LANシステムとしては、例えば、外部から集合住宅内に引き込まれた一の光ケーブルを全住戸で共用するシステムがある(例えば、特許文献1参照)。このようなシステムでは、一般に、一の光ケーブルが収容された通信機器室(MDF)と集合住宅の各住戸との間は、メタルケーブルにより接続されることになる。
【0004】
また、テレビ共聴システムとしては、例えば、テレビ幹線として2本のメタルケーブル(同軸ケーブル)が使用され、集合住宅の全住戸においてテレビ番組を共聴するシステムがある(例えば、特許文献2参照)。このようなシステムでは、一般に、テレビ放送局から送信されたテレビ放送波がTVアンテナにより受信され、集合住宅の各階に設けられた分岐器を経由して各住戸に送信されることになる。また、分岐器と各住戸間は、2本のメタルケーブル(同軸ケーブル)により接続されることになる。
【0005】
また、インターホンシステムとしては、例えば、集合玄関にいる来訪者を視覚的に確認することができる映像機能付きのシステムがある(例えば、特許文献3参照)。このようなシステムでは、一般に、集合玄関付近に設けられたインターホン制御装置と各住戸間は、メタルケーブル(ペア線)により接続されることになる。
【特許文献1】特開平9−217505号公報
【特許文献2】特開2001−245175号公報(従来の技術)
【特許文献3】特開2003−143308号公報(第9図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年の集合住宅における住戸数の増大に伴って、大規模な集合住宅が増加している。大規模な集合住宅において上述したようなマルチメディア通信システムを構築する場合には、集合住宅の規模に合わせて集合住宅内に敷設されるメタルケーブルの配線長を長くする必要がある。しかしながら、メタルケーブルの信号減衰量を考慮すると、メタルケーブルの配線長が、例えば、100mを超えるような場合には、減衰による損失が大きくなり、各住戸に配信されるマルチメディアコンテンツの品質が劣化してしまう傾向にある。したがって、集合住宅内に設けられた通信機器室から、例えば100M以上離れた遠方にある住戸に対してマルチメディアコンテンツを送信するような場合には、集合住宅の中間階に中継器や増幅器を設置して、メタルケーブルの配線長が100M以下に収まるように工夫する必要がある。しかしながら、中継器や増幅器を中間階に設置すると、通信システムが複雑化してしまい、通信設備の故障リスクやメンテナンス費用が増大してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するために、通信システムをより簡略化することができ、通信設備の故障リスクやメンテナンス費用をより低減することができる集合住宅用マルチメディア通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の集合住宅用マルチメディア通信システムは、集合住宅の各住戸にマルチメディアコンテンツを配信する集合住宅用マルチメディア通信システムであって、テレビ放送局から受信した電気信号を光信号に変換する信号変換手段と、住戸ごとに割り当てられた複数の芯線を複数組含んで形成された光幹線ケーブルと、外部の通信ネットワークから受信した住戸ごとの光信号、および信号変換手段により変換された光信号を、光幹線ケーブルに送出する第1の光信号送出手段と、住戸ごとに割り当てられた複数の芯線を一組含んで形成された光支線ケーブルと、光幹線ケーブルを介して受信した光信号を、当該光幹線ケーブルから分岐して成端された光支線ケーブルに送出する第2の光信号送出手段と、光信号を電気信号に変換する複数の信号変換装置と、光支線ケーブルに含まれる各芯線に対応して住戸内に設置された信号変換装置に対して、光支線ケーブルを介して受信した光信号を送出する第3の光信号送出手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、信号変換手段を備えることによって、テレビ放送局から受信した電気信号を光信号に変換することができる。これにより、第1の光信号送出手段が、信号変換手段により変換された光信号と、外部の通信ネットワークから受信した住戸ごとの光信号とを、複数の住戸分の芯数を有する光幹線ケーブルに統合させて送出することが可能となる。すなわち、住戸ごとに配信される各種マルチメディアコンテンツに対応する光信号を、各住戸に割り当てられた芯を統合して形成された光幹線ケーブルに送出することができる。また、第2の光信号送出手段を備えることによって、光幹線ケーブルにより統合して送信されてきた住戸ごとの光信号を、住戸ごとに割り当てられた光支線ケーブルに送出することができ、第3の光信号送出手段を備えることによって、住戸ごとに割り当てられた光支線ケーブルを介して送信されてきた各光信号を、各住戸内に設置された光/電気信号変換装置に送出することができる。これにより、各住戸内には、住戸ごとに配信される種々のマルチメディアコンテンツに対応する電気信号が送信されることとなる。このように、本発明によれば、第1の光信号送出手段から住戸内の信号変換装置までの間は、信号減衰量の少ない光ケーブルが用いられるため、集合住宅内に設けられた第1の光信号送出手段から、例えば100M以上離れた遠方にある住戸に対してマルチメディアコンテンツを送信するような場合であっても、集合住宅の中間階に中継器や増幅器を設けることなく、良好な品質に保持されたマルチメディアコンテンツを配信することが可能となる。また、第1の光信号送出手段から第2の光信号送出手段までの間は、複数の住戸分の芯数を含んで形成された光幹線ケーブルが用いられるため、ケーブル周辺の設備をより簡易にすることができるとともに、ケーブルスペースをより狭小させることができる。したがって、通信システムをより簡略化することができ、ひいては通信設備の故障リスクやメンテナンス費用をより低減させることができる。
【0010】
本発明の集合住宅用マルチメディア通信システムにおいて、上記第1の光信号送出手段は、通信ネットワークから受信した住戸ごとの光信号を、光幹線ケーブルに含まれる芯線のうち一の住戸に割り当てられた第1の芯線に送出し、信号変換手段により変換された光信号を、光幹線ケーブルに含まれる芯線のうち一の住戸に割り当てられた第2の芯線に送出することが好ましい。
【0011】
このようにすれば、集合住宅の住戸ごとに別個に配信される、通信ネットワークから受信した光信号と、信号変換手段により変換された光信号とを、光幹線ケーブルに含まれる芯線のうち、一の住戸に割り当てられた第1の芯線および第2の芯線に区別して送出することができる。すなわち、複数住戸分の光信号を統合して送信する光幹線ケーブルを用いて、住戸ごとの各光信号をそれぞれ区別させた上で送出することができる。
【0012】
本発明の集合住宅用マルチメディア通信システムにおいて、上記第2の光信号送出手段は、光幹線ケーブルに含まれる芯線のうち、一の住戸に割り当てられた第1の芯線および第2の芯線を介して受信した光信号を、当該一の住戸に割り当てられた光支線ケーブルに含まれる各芯線に対して送出することが好ましい。
【0013】
このようにすれば、光幹線ケーブルに含まれる芯線のうち一の住戸に割り当てられた第1の芯線および第2の芯線に区別して送出された住戸ごとの各光信号を、当該一の住戸に割り当てられた光支線ケーブルに含まれる各芯線に区別させて送出することができる。すなわち、複数住戸分の光信号を統合して送信する光幹線ケーブルから受信した住戸ごとの各光信号を、それぞれ区別させたまま、住戸ごとに割り当てられた光支線ケーブルに送出させることができる。
【0014】
また、本発明の集合住宅用マルチメディア通信システムは、集合住宅の各住戸にマルチメディアコンテンツを配信する集合住宅用マルチメディア通信システムであって、テレビ放送局から受信した電気信号を光信号に変換する第1の信号変換手段と、インターホンシステムから受信した住戸ごとの電気信号を光信号に変換する第2の信号変換手段と、住戸ごとに割り当てられた複数の芯線を複数組含んで形成された光幹線ケーブルと、外部の通信ネットワークから受信した住戸ごとの光信号、第1の信号変換手段により変換された光信号、および第2の信号変換手段により変換された住戸ごとの光信号を、光幹線ケーブルに送出する第1の光信号送出手段と、住戸ごとに割り当てられた複数の芯線を一組含んで形成された光支線ケーブルと、光幹線ケーブルを介して受信した光信号を、当該光幹線ケーブルから分岐して成端された光支線ケーブルに送出する第2の光信号送出手段と、光信号を電気信号に変換する複数の信号変換装置と、光支線ケーブルに含まれる各芯線に対応して住戸内に設置された信号変換装置に対して、光支線ケーブルを介して受信した光信号を送出する第3の光信号送出手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、第1の信号変換手段を備えることによって、テレビ放送局から受信した電気信号を光信号に変換することができ、第2の信号変換手段を備えることによって、インターホンシステムから受信した住戸ごとの電気信号を光信号に変換することができる。これにより、第1の光信号送出手段が、第1の信号変換手段により変換された光信号と、第2の信号変換手段により変換された住戸ごとの光信号と、外部の通信ネットワークから受信した住戸ごとの光信号とを、複数の住戸分の芯数を有する光幹線ケーブルに統合させて送出することが可能となる。すなわち、住戸ごとに配信される各種マルチメディアコンテンツに対応する光信号を、各住戸に割り当てられた芯を統合して形成された光幹線ケーブルに送出することができる。また、第2の光信号送出手段を備えることによって、光幹線ケーブルにより統合して送信されてきた住戸ごとの光信号を、住戸ごとに割り当てられた光支線ケーブルに送出することができ、第3の光信号送出手段を備えることによって、住戸ごとに割り当てられた光支線ケーブルを介して送信されてきた各光信号を、各住戸内に設置された光/電気信号変換装置に送出することができる。これにより、各住戸内には、住戸ごとに配信される種々のマルチメディアコンテンツに対応する電気信号が送信されることとなる。このように、本発明によれば、第1の光信号送出手段から住戸内の信号変換装置までの間は、信号減衰量の少ない光ケーブルが用いられるため、集合住宅内に設けられた第1の光信号送出手段から、例えば100M以上離れた遠方にある住戸に対してマルチメディアコンテンツを送信するような場合であっても、集合住宅の中間階に中継器や増幅器を設けることなく、良好な品質に保持されたマルチメディアコンテンツを配信することが可能となる。また、第1の光信号送出手段から第2の光信号送出手段までの間は、複数の住戸分の芯数を含んで形成された光幹線ケーブルが用いられるため、ケーブル周辺の設備をより簡易にすることができるとともに、ケーブルスペースをより狭小させることができる。したがって、通信システムをより簡略化することができ、ひいては通信設備の故障リスクやメンテナンス費用をより低減させることができる。
【0016】
本発明の集合住宅用マルチメディア通信システムにおいて、上記第1の光信号送出手段は、通信ネットワークから受信した住戸ごとの光信号を、光幹線ケーブルに含まれる芯線のうち一の住戸に割り当てられた第1の芯線に送出し、第1の信号変換手段により変換された光信号を、光幹線ケーブルに含まれる芯線のうち一の住戸に割り当てられた第2の芯線に送出し、第2の信号変換手段により変換された住戸ごとの光信号を、光幹線ケーブルに含まれる芯線のうち一の住戸に割り当てられた第3の芯線に送出することが好ましい。
【0017】
このようにすれば、集合住宅の住戸ごとに別個に配信される、通信ネットワークから受信した光信号と、第1の信号変換手段により変換された光信号と、第2の信号変換手段により変換された光信号とを、光幹線ケーブルに含まれる芯線のうち、一の住戸に割り当てられた第1の芯線、第2の芯線および第3の芯線に区別して送出することができる。すなわち、複数住戸分の光信号を統合して送信する光幹線ケーブルを用いて、住戸ごとの各光信号をそれぞれ区別させた上で送出することができる。
【0018】
本発明の集合住宅用マルチメディア通信システムにおいて、上記第2の光信号送出手段は、光幹線ケーブルに含まれる芯線のうち、一の住戸に割り当てられた第1の芯線、第2の芯線および第3の芯線を介して受信した光信号を、当該一の住戸に割り当てられた光支線ケーブルに含まれる各芯線に対して送出することが好ましい。
【0019】
このようにすれば、光幹線ケーブルに含まれる芯線のうち一の住戸に割り当てられた第1の芯線、第2の芯線および第3の芯線に区別して送出された住戸ごとの各光信号を、当該一の住戸に割り当てられた光支線ケーブルに含まれる各芯線に区別させて送出することができる。すなわち、複数住戸分の光信号を統合して送信する光幹線ケーブルから受信した住戸ごとの各光信号を、それぞれ区別させたまま、住戸ごとに割り当てられた光支線ケーブルに送出させることができる。
【0020】
本発明の集合住宅用マルチメディア通信システムにおいて、光幹線ケーブルに含まれる芯線よりも少ない芯線を含んで形成された光副幹線ケーブルを、さらに備え、上記第2の光信号送出手段は、光幹線ケーブルを介して受信した光信号を、当該光幹線ケーブルから分岐して成端された光副幹線ケーブルに送出するとともに、光副幹線ケーブルを介して受信した光信号を、当該光副幹線ケーブルから分岐して成端された光支線ケーブルに送出することが好ましい。
【0021】
本発明の集合住宅用マルチメディア通信システムにおいて、第1の信号変換手段により変換された光信号を増幅する光信号増幅手段を、さらに備え、上記第1の光信号送出手段は、光信号増幅手段により増幅された光信号を、光幹線ケーブルに送出することが好ましい。
【0022】
このようにすれば、光信号増幅手段によって増幅された光信号を、信号減衰量の少ない光幹線ケーブルに送出することができるため、各住戸には増幅された光信号が、ほとんど減衰することなく配信されることになる。したがって、大規模な集合住宅であっても、途中に増幅器を設置することなく、テレビ番組に対応する光信号を配信することができる。
【0023】
本発明の集合住宅用マルチメディア通信システムにおいて、光信号増幅手段により増幅された光信号の信号レベルを所定の信号レベルに調整するとともに、当該調整された光信号を、住戸数分に分配する光信号調整分配手段を、さらに備え、上記第1の光信号送出手段は、光信号調整分配手段により分配された光信号を、光幹線ケーブルに送出することが好ましい。
【0024】
このようにすれば、光信号調整分配手段によって信号レベルが最適なレベルに調整された光信号を、信号減衰量の少ない光幹線ケーブルに送出することができるため、各住戸には均一かつ最適な受光レベルに調整された光信号が、ほとんど減衰することなく配信されることになる。したがって、大規模な集合住宅であっても、全ての住戸に対して、均一で良好な品質に保たれたテレビ番組を配信することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る集合住宅用マルチメディア通信システムによれば、通信システムをより簡略化することができ、通信設備の故障リスクやメンテナンス費用をより低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る集合住宅用マルチメディア通信システムの実施形態を図面に基づき説明する。本実施形態における集合住宅用マルチメディア通信システムは、マルチメディア通信システムとして、例えば、光LANシステム、テレビ共聴システムおよびインターホンシステムを統合させたものである。
【0027】
図1は、実施形態における集合住宅用マルチメディア通信システム1の装置構成を例示する図である。図1に示すように、集合住宅用マルチメディア通信システム1は、TVアンテナ12と、混合器13と、光送信機14(信号変換手段、第1の信号変換手段)と、集合インターホン15と、インターホン制御装置16と、ラック20と、分岐成端箱30(第2の光信号送出手段)と、住宅情報盤40とを有する。
【0028】
図1に示す各ブロック間を結ぶ線のうち、通常の線(一本線)は、メタルケーブルによって接続されていることを示し、2重線は、光ケーブルによって接続されていることを示す。2重線で示される光ケーブルのうちのCaは、光幹線ケーブルである。この光幹線ケーブルCaは、住戸ごとに割り当てられた複数の芯線を複数組分含んで形成された光ケーブルである。すなわち、光幹線ケーブルCaは、集合住宅ごとに一または複数本割り当てられる光ケーブルである。また、2重線で示される光ケーブルのうちのCbは、光支線ケーブルである。この光支線ケーブルCbは、住戸ごとに割り当てられた複数の芯線を一組分含んで形成された光ケーブルである。すなわち、光支線ケーブルCbは、各住戸に1本割り当てられる光ケーブルである。
【0029】
ここで、本実施形態における光幹線ケーブルCaの芯数は、200芯および400芯を採用しており、光支線ケーブルCbの芯数は、4芯を採用している。したがって、例えば、芯数が200芯である光幹線ケーブルCaは、50戸分の芯数を含んで形成されていることになる。なお、本実施形態においては、光支線ケーブルCbに含まれる4芯のうち、3芯は光LANシステム、テレビ共聴システムおよびインターホンシステムにおけるそれぞれの光信号を送信するために用いられ、残りの1芯は予備として用いられる。
【0030】
図1に示すTVアンテナ12としては、例えば、UHF、VHF、BS放送(110度CS放送を含む。以下同様)およびCS放送用の各種のアンテナが該当する。本実施形態においては、TVアンテナ12に含まれるUHF、VHFおよびBS放送用の各アンテナにより受信されたテレビ放送波に対応する電気信号と、CS放送用のアンテナにより受信されたテレビ放送波に対応する電気信号が、それぞれ別個の同軸ケーブルを介して後述する光送信機14に送信される。
【0031】
混合器13は、TVアンテナ12により受信されたテレビ放送波のうち、UHF、VHFおよびBS放送用の各アンテナによって受信されたテレビ放送波に対応する電気信号を混合する装置である。
【0032】
光送信機14は、2本の同軸ケーブルを介して受信した電気信号を光信号に変換する装置である。
【0033】
集合インターホン15は、集合住宅の集合玄関に設置される装置であり、集合玄関にいる来訪者が各住人と通話をするための機能を有する。
【0034】
インターホン制御装置16は、インターホンシステムにおいて取り扱われる各種の情報を制御する装置である。インターホンシステムとしては、例えば、集合玄関や管理人室と各住戸との間での通話等を含む各種の情報のやり取りを実現させるシステムが該当する。
【0035】
ラック20は、集合住宅内の通信機器室(MDF)に設置される箱である。ラック20には、例えば、ONU(Optical Network Unit)21、ネットワーク用MC(Media Converter)22、光増幅器23(光信号増幅手段)、レベル調整器24(光信号調整分配手段)、インターホン用MC25(第2の信号変換手段)、および光キャビネット26(第1の光信号送出手段)が収容される。
【0036】
ONU21は、インターネット等の外部の通信ネットワークから受信した光信号を、電気信号に変換する装置である。なお、外部の通信ネットワークと集合住宅との間は、光ケーブルによって接続されている。また、ONU21は、ONUである場合に限定されず、例えば、MCであってもよい。
【0037】
ネットワーク用MC22は、ONU21によって変換された電気信号を、光信号に変換する装置である。なお、本実施形態においては、ONU21およびネットワーク用MC22を設けているが、これは、通信事業者ごとの責任区域を明確にするために便宜的に設けられているものである。したがって、技術的には、外部の通信ネットワークから受信した光信号を、ONU21およびネットワーク用MC22を介することなく、後述する光キャビネット26に直接送信することが可能である。
【0038】
光増幅器23は、光送信機14により変換された光信号の振幅変化を増大(増幅)させて出力する装置である。光増幅器23により増幅された光信号は、信号減衰量の少ない光ケーブルを介して各住戸内に送信される。したがって、各住戸には、増幅された光信号がほとんど減衰することなく配信されることになる。すなわち、大規模な集合住宅であっても、中間階にさらに増幅器を設置することなく、視聴するために十分に増幅された光信号に対応するテレビ番組を配信することができる。
【0039】
レベル調整器24は、光増幅器23により増幅された光信号の受光レベルを最適な受光レベルに調整するとともに、この調整された光信号を住戸数分に分配する。レベル調整器24は、分配する住戸ごとの光信号の受光レベルが、各住戸間で均一になるように調整する。このような機能を有するレベル調整器24は、例えば、LC−SC光パッチコードと光スプリッタとを用いて構成することができる。レベル調整器24を備えることによって、各住戸に配信されるTV番組映像の画質の低減を最小限に抑えることができ、かつ、各住戸間における画質のバラツキを抑えることができるため、全居室において均一かつ良好な品質のTV番組映像を視聴することが可能となる。
【0040】
インターホン用MC25は、インターホン制御装置16から送信された住戸ごとの電気信号を、光信号に変換する装置である。
【0041】
光キャビネット26は、ネットワーク用MC22により変換された光信号と、レベル調整器24により受光レベルが調整されて住戸数分に分配された光信号と、インターホン用MC25により変換された光信号とを、光幹線ケーブルCaに送出する。
【0042】
具体的に説明すると、例えば、光キャビネット26は、ネットワーク用MC22から受信した住戸ごとの光信号を、光幹線ケーブルCaに含まれる一の住戸に割り当てられた4本の芯のうちの第1の芯線に送出し、レベル調整器24から受信した住戸ごとの光信号を、光幹線ケーブルCaに含まれる一の住戸に割り当てられた4本の芯のうちの第2の芯線に送出し、インターホン用MC25から受信した住戸ごとの光信号を、光幹線ケーブルCaに含まれる一の住戸に割り当てられた4本の芯のうちの第3の芯線に送出する。
【0043】
これにより、集合住宅の住戸ごとに別個に配信される、通信ネットワーク11から受信した光信号と光送信機14により変換された光信号とインターホン用MC25とにより変換された各光信号を、光幹線ケーブルCaに含まれる芯線のうち、一の住戸に割り当てられた第1の芯線、第2の芯線および第3の芯線に区別して送出することができる。すなわち、複数住戸分の光信号を統合して送信する光幹線ケーブルCaを用いて、住戸ごとの各光信号をそれぞれ区別させた上で送出することができる。
【0044】
分岐成端箱30は、光幹線ケーブルCaを介して受信した光信号を、光幹線ケーブルCaから分岐して成端された光支線ケーブルCbに送出する。ここで、成端とは、一の光ケーブルに含まれる各芯線と、他の光ケーブルに含まれる各芯線とを融着することをいう。したがって、光幹線ケーブルCaと光支線ケーブルCbとを成端することによって、光幹線ケーブルCaに含まれる各芯線を分岐させて光支線ケーブルCbの各芯線に接続させることができる。
【0045】
具体的に説明すると、例えば、分岐成端箱30は、光幹線ケーブルCaに含まれる芯線のうち、一の住戸に割り当てられた上記第1の芯線、第2の芯線および第3の芯線を介して受信した光信号を、当該一の住戸に割り当てられた光支線ケーブルCbに含まれる各芯線に分岐させて送出する。
【0046】
これにより、光幹線ケーブルCaに含まれる芯線のうち、一の住戸に割り当てられた第1の芯線、第2の芯線および第3の芯線に区別して光キャビネット26から送出された住戸ごとの各光信号を、当該一の住戸に割り当てられた光支線ケーブルCbに含まれる各芯線に区別させて送出することができる。すなわち、複数住戸分の光信号を統合して送信する光幹線ケーブルCaから受信した住戸ごとの各光信号を、それぞれ区別させたまま、住戸ごとに割り当てられた光支線ケーブルCbに送出させることができる。
【0047】
なお、分岐成端箱30は、光幹線ケーブルCaから光支線ケーブルCbに分岐させる際に、複数段階に亘って徐々に芯数の少ない光ケーブルに分岐させていくこととしてもよい。この場合には、光幹線ケーブルCaに含まれる芯線よりも少ない芯線を含んで形成された光副幹線ケーブルが用いられることとなる。光副幹線ケーブルの芯数としては、例えば、8芯、16芯、24芯および32芯が該当する。
【0048】
ここで、例えば、32芯の光副幹線ケーブルを用いて2段階に亘って分岐・成端させる場合の分岐成端箱30の構成ついて説明する。この場合における分岐成端箱30は、第1の分岐成端箱と、第2の分岐成端箱とで構成される。第1の分岐成端箱では、例えば、1本の光幹線ケーブルCa(200芯)を分岐して、6本の光副幹線ケーブル(32芯)に成端される。第2の分岐成端箱では、例えば、6本ある光副幹線ケーブル(32芯)を分岐して、この6本の光副幹線ケーブルがそれぞれ8本の光支線ケーブルCb(4芯)に成端される。
【0049】
このように構成される第1の分岐成端箱は、光幹線ケーブルCaを介して受信した光信号を、光幹線ケーブルCaから分岐して成端された光副幹線ケーブルに送出する。また、第2の分岐成端箱は、光副幹線ケーブルを介して受信した光信号を、光副幹線ケーブルから分岐して成端された光支線ケーブルCbに送出する。
【0050】
住宅情報盤40は、各住戸内に設置される箱である。この住宅情報盤40には、光コネクタ41(第3の光信号送出手段)、ネットワーク用MC42(信号変換装置)、光受信機43(信号変換装置)、およびインターホン用MC44(信号変換装置)が収容される。
【0051】
光コネクタ41は、SCコネクタであり、光支線ケーブルCbに含まれる各芯線を、ネットワーク用MC42、光受信機43およびインターホン用MC44にそれぞれ接続する。光コネクタ41は、光支線ケーブルCbを介して受信した光信号を、ネットワーク用MC42、光受信機43およびインターホン用MC44に送出する。
【0052】
ネットワーク用MC42は、光支線ケーブルCbに含まれる一の芯線を介して受信した住戸ごとの光信号を、電気信号に変換してPC端末51に送信する装置である。また、PC端末51からメタルケーブルを介して受信した電気信号を、光信号に変換して通信ネットワーク11上に送信する装置でもある。
【0053】
光受信機43は、光支線ケーブルCbに含まれる一の芯線を介して受信した住戸ごとの光信号を、電気信号に変換してテレビ52に送信する装置である。
【0054】
インターホン用MC44は、光支線ケーブルCbに含まれる一の芯線を介して受信した住戸ごとの光信号を、電気信号に変換してインターホン子機53に送信する装置である。また、インターホン子機53からメタルケーブルを介して受信した電気信号を、光信号に変換して集合インターホン15宛に送信する装置でもある。なお、このインターホン用MC44は、インターホンの電気信号が有する広い周波数帯域に対応するものである。したがって、インターホン用MC44は、インターホンに特有の広い周波数帯域におよぶ電気信号を漏らすことなく受信して光信号に変換することができる。
【0055】
ここで、図1に示す各装置のうち、ONU21、ネットワーク用MC22,42、光キャビネット26、分岐成端箱30および光コネクタ41によって光LANシステムが構成される。また、TVアンテナ12、混合器13、光送信機14、光増幅器23、レベル調整器24、光キャビネット26、分岐成端箱30、光コネクタ41および光受信機43によってTV共聴システムが構成される。さらに、集合インターホン15、インターホン制御装置16、インターホン用MC25,44、光キャビネット26、分岐成端箱30および光コネクタ41によってインターホンシステムが構成される。このように、本実施形態における集合住宅用マルチメディア通信システム1では、光キャビネット26、分岐成端箱30および光コネクタ41を、各システムにおいて共用している。
【0056】
ここで、集合住宅においては、通信機器室に設置されるラックと、各住戸内に設置される住宅情報盤との間を施設するための空間(シャフト)が限定されている。しかしながら、本実施形態における集合住宅用マルチメディア通信システムでは、複数のシステムを統合させたものであるにもかかわらず、ラック20に収容される光キャビネット26と、住宅情報盤40に収容される光コネクタ41との間を、各システムで共用される光幹線ケーブルCa、分岐成端箱30および光支線ケーブルCbを用いて施設することができる。したがって、各システムを別個に構築する場合に比して、システム構成を格段に簡略化することが可能となり、ひいては通信設備の故障リスクやメンテナンス費用をより低減させることができる。
【0057】
次に、図2〜図4を参照して集合住宅用マルチメディア通信システム1における各信号の流れについて説明する。図2は、光LANシステムにおいて通信ネットワーク11からPC端末51に各種マルチメディアコンテンツが配信される際の信号の流れを例示するフローチャートである。図3は、TV共聴システムにおいてTVアンテナ12からテレビ52にテレビ番組が配信される際の信号の流れを例示するフローチャートである。図4は、インターホンシステムにおいて集合インターホン15からインターホン子機53に音声および映像が配信される際の信号の流れを例示するフローチャートである。
【0058】
まず、図2を参照して、外部の通信ネットワーク11からPC端末51に各種マルチメディアコンテンツが配信される際の信号の流れについて説明する。図2に示すように、ONU21は、インターネット等の外部の通信ネットワーク11から住戸ごとの光信号を受信する(ステップS1)。次に、ONU21は、受信した光信号を電気信号に変換する(ステップS2)。次に、ネットワーク用MC22は、ONU21によって変換された電気信号を光信号に変換する(ステップS3)。
【0059】
次に、光キャビネット26は、ネットワーク用MC22により変換された光信号を光幹線ケーブルCaに送出する(ステップS4)。次に、分岐成端箱30は、光幹線ケーブルCaを介して受信した光信号を、光支線ケーブルCbに分岐させて送出する(ステップS5)。
【0060】
次に、光コネクタ41は、光支線ケーブルCbに含まれる一の芯線を介して受信した住戸ごとの光信号を、ネットワーク用MC42に送出する(ステップS6)。次に、ネットワーク用MC42は、光コネクタ41を介して受信した光信号を、電気信号に変換し(ステップS7)、この電気信号をPC端末51に送信する(ステップS8)。これにより、PC端末51のディスプレイ上には、通信ネットワーク11から配信された映像、音声および文字等のマルチメディアコンテンツが表示される。
【0061】
次に、図3を参照して、TVアンテナ12からテレビ52にテレビ番組が配信される際の信号の流れについて説明する。まず、TVアンテナ12は、放送局から送信されるテレビ放送波を受信する(ステップS11)。次に、混合器13は、TVアンテナ12により受信されたテレビ放送波のうち、UHF、VHFおよびBS放送用の各TVアンテナ12によって受信されたテレビ放送波に対応する電気信号を混合する(ステップS12)。
【0062】
次に、光送信機14は、混合器13により混合された電気信号およびCS放送用のTVアンテナ12により受信されたテレビ放送波に対応する電気信号を光信号に変換する(ステップS13)。次に、光増幅器23は、光送信機14により変換された光信号を増幅する(ステップS14)。次に、レベル調整器24は、光増幅器23により増幅された光信号の受光レベルを最適な受光レベルに調整するとともに、この調整された光信号を住戸数分に分配する(ステップS15)。
【0063】
次に、光キャビネット26は、レベル調整器24により受光レベルが調整され、住戸数分に分配された光信号(各住戸間における受光レベルは均一)を光幹線ケーブルCaに送出する(ステップS16)。次に、分岐成端箱30は、光幹線ケーブルCaを介して受信した光信号を、光支線ケーブルCbに分岐させて送出する(ステップS17)。
【0064】
次に、光コネクタ41は、光支線ケーブルCbに含まれる一の芯線を介して受信した住戸ごとの光信号を、光受信機43に送出する(ステップS18)。次に、光受信機43は、光コネクタ41を介して受信した光信号を、電気信号に変換し(ステップS19)、この電気信号をテレビ52に送信する(ステップS20)。これにより、テレビ52の画面上には、放送局から配信されたテレビ番組が表示される。
【0065】
最後に、図4を参照して、集合インターホン15からインターホン子機53に映像および音声が配信される際の信号の流れについて説明する。まず、来訪者により集合インターホン15が操作され、所定の住戸への呼出ボタンが押下された場合に、インターホン制御装置16は、当該所定の住戸に備えられたインターホン子機53宛に電気信号を送信する(ステップS31)。次に、インターホン用MC25は、インターホン制御装置16から送信された所定のインターホン子機53宛の電気信号を、光信号に変換する(ステップS32)。
【0066】
次に、光キャビネット26は、インターホン用MC25により変換された光信号を光幹線ケーブルCaに送出する(ステップS33)。次に、分岐成端箱30は、光幹線ケーブルCaを介して受信した光信号を、光支線ケーブルCbに分岐させて送出する(ステップS34)。
【0067】
次に、光コネクタ41は、光支線ケーブルCbに含まれる一の芯線を介して受信した所定のインターホン子機53宛の光信号を、インターホン用MC44に送出する(ステップS35)。次に、インターホン用MC44は、光コネクタ41を介して受信した光信号を、電気信号に変換し(ステップS36)、この電気信号を所定のインターホン子機53に送信する(ステップS37)。これにより、インターホン子機53の画面上には、集合インターホン15から配信された来訪者の映像が表示され、インターホン子機53のスピーカーからは、集合インターホン15から配信された来訪者の音声が出力される。
【0068】
以上のように、集合住宅用マルチメディア通信システム1によれば、光送信機14を備えることによって、TVアンテナ12を介して受信されたテレビ放送波に対応する電気信号を光信号に変換することができ、インターホン用MC25を備えることによって、インターホンシステムから受信した住戸ごとの電気信号を光信号に変換することができる。これにより、光キャビネット26が、光送信機14により変換された光信号と、インターホン用MC25により変換された住戸ごとの光信号と、外部の通信ネットワーク11から受信した住戸ごとの光信号とを、複数の住戸分の芯数を有する光幹線ケーブルCaに統合させて送出することが可能となる。すなわち、住戸ごとに配信される各種マルチメディアコンテンツに対応する光信号を、各住戸に割り当てられた芯を含んで形成された光幹線ケーブルCaに送出することができる。
【0069】
また、分岐成端箱30を備えることによって、光幹線ケーブルCaにより統合して送信されてきた住戸ごとの光信号を、住戸ごとに割り当てられた光支線ケーブルCbに送出することができ、光コネクタ41を備えることによって、住戸ごとに割り当てられた光支線ケーブルCbを介して送信されてきた各光信号を、各住戸内に設置されたネットワーク用MC42、光受信機43およびインターホン用MC44に送出することができる。これにより、各住戸内には、住戸ごとに配信される種々のマルチメディアコンテンツに対応する電気信号が配信されることとなる。
【0070】
また、上述した集合住宅用マルチメディア通信システム1によれば、光キャビネット26からネットワーク用MC42、光受信機43およびインターホン用MC44までの間は、信号減衰量の少ない光ケーブルにより接続されている。したがって、集合住宅内に設けられた光キャビネット26から、例えば100M以上離れた遠方にある住戸に対してマルチメディアコンテンツを送信するような場合であっても、集合住宅の中間階に中継器や増幅器を設けることなく、良好な品質に保持されたマルチメディアコンテンツを各住戸に配信することができる。
【0071】
また、光キャビネット26から分岐成端箱30までの間は、複数の住戸分の芯数を含んで形成された光幹線ケーブルCaにより接続されているため、ケーブル周辺の設備をより簡易にすることができるとともに、ケーブルスペースをより狭小させることができる。
【0072】
また、集合住宅内のラック20に収容されたネットワーク用MC22から、各住戸内の住宅情報盤に収容されたネットワーク用MC42までは、各光ケーブルに含まれる1本の芯により接続されることとなるため、外部の通信ネットワーク11と各住戸との間を、各住戸専用の光ケーブルで接続するのと同様の構成にすることができる。したがって、各住人は、住戸ごとに別個の通信プロバイダを選択し、自由にネットワーク通信の契約を締結することができるようになる。これにより、従来のように、ネットワーク通信の利用の有無にかかわらず、一律に通信料を支払わなければならないという不公平感を払拭することができる。
【0073】
また、光ケーブルは、メタルケーブルに比して耐久性が高い。したがって、集合住宅内に施設されるケーブルを、光ケーブルにした本実施形態における集合住宅用マルチメディア通信システム1は、メンテナンス費用をより削減することができる。
【0074】
また、集合住宅のシャフト内には、中継器や増幅器などの各種の電気機器を備える必要がないため、従来の各マルチメディア通信システムを構築する際に必要とされていた電源工事を省くことができる。これにより、システム構築における初期費用を削減することができる。
【0075】
以上より、本実施形態における集合住宅用マルチメディア通信システム1によれば、集合住宅に構築されるマルチメディア通信システムを簡略化することができ、ひいては通信設備の故障リスクやメンテナンス費用をより低減させることができる。
【0076】
なお、上述した実施形態においては、集合住宅用マルチメディア通信システム1に含まれるマルチメディア通信システムとして、光LANシステム、テレビ共聴システムおよびインターホンシステムを用いて説明したが、集合住宅用マルチメディア通信システム1に含まれるマルチメディア通信システムの組合せは、これに限られない。すなわち、各マルチメディア通信システムを適宜自由に組み合わせることができ、例えば、光LANシステムとテレビ共聴システムとを統合したシステムであってもよい。この場合には、図1に示す各構成要素から、集合インターホン15、インターホン制御装置16、インターホン用MC25,44およびインターホン子機53が除外され、他の構成要素については、上述した実施形態と同様に備えられ、同様に機能することになる。したがって、この場合における各構成要素の説明は省略する。
【0077】
また、集合住宅用マルチメディア通信システム1に含まれるマルチメディア通信システムは、上述した光LANシステム、テレビ共聴システムおよびインターホンシステムに限られない。例えば、IP電話システムにも本発明が適用可能である。
【0078】
また、上述した実施形態における混合器13は、UHF、VHFおよびBS放送用の各アンテナによって受信されたテレビ放送波に対応する電気信号を混合しているが、混合する電気信号は、これらの電気信号に限られない。例えば、外部から集合住宅内に引き込まれた光ケーブルを介して送信されたテレビ放送波に対応する電気信号をさらに混合することとしてもよい。この場合には、まず、テレビ放送局により放送されたテレビ放送波を、光ケーブを介して受信する。次に、受信したテレビ放送波に対応する光信号を、例えば、ONUを用いて電気信号に変換する。そして、ONUにより変換された電気信号を、混合器13によって他の電気信号と混合した後に、混合した光信号を光送信機14に送信することとすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】発明の実施形態における集合住宅用マルチメディア通信システムの装置構成を示す図である。
【図2】光LANシステムにおいて通信ネットワークからPC端末に各種マルチメディアコンテンツが配信される際の信号の流れを例示するフローチャートである。
【図3】TV共聴システムにおいてTVアンテナからテレビにテレビ番組が配信される際の信号の流れを例示するフローチャートである。
【図4】インターホンシステムにおいて集合インターホンからインターホン子機に映像および音声が配信される際の信号の流れを例示するフローチャートである。
【符号の説明】
【0080】
1・・・集合住宅用マルチメディア通信システム、11・・・通信ネットワーク、12・・・TVアンテナ、13・・・混合器、14・・・光送信機、15・・・集合インターホン、16・・・インターホン制御装置、20・・・ラック、22,42・・・ネットワーク用MC、23・・・光増幅器、24・・・レベル調整器、25,44・・・インターホン用MC、26・・・光キャビネット、30・・・分岐成端箱、40・・・住宅情報盤、41・・・光コネクタ、43・・・光受信機、51・・・PC端末、52・・・テレビ、53・・・インターホン子機、Ca・・・光幹線ケーブル、Cb・・・光支線ケーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅の各住戸にマルチメディアコンテンツを配信する集合住宅用マルチメディア通信システムであって、
テレビ放送局から受信した電気信号を光信号に変換する信号変換手段と、
前記住戸ごとに割り当てられた複数の芯線を複数組含んで形成された光幹線ケーブルと、
外部の通信ネットワークから受信した前記住戸ごとの光信号、および前記信号変換手段により変換された光信号を、前記光幹線ケーブルに送出する第1の光信号送出手段と、
前記住戸ごとに割り当てられた複数の芯線を一組含んで形成された光支線ケーブルと、
前記光幹線ケーブルを介して受信した光信号を、当該光幹線ケーブルから分岐して成端された前記光支線ケーブルに送出する第2の光信号送出手段と、
光信号を電気信号に変換する複数の信号変換装置と、
前記光支線ケーブルに含まれる各芯線に対応して前記住戸内に設置された前記信号変換装置に対して、前記光支線ケーブルを介して受信した光信号を送出する第3の光信号送出手段と、
を備えることを特徴とする集合住宅用マルチメディア通信システム。
【請求項2】
前記第1の光信号送出手段は、
前記通信ネットワークから受信した前記住戸ごとの光信号を、前記光幹線ケーブルに含まれる芯線のうち一の前記住戸に割り当てられた第1の芯線に送出し、前記信号変換手段により変換された光信号を、前記光幹線ケーブルに含まれる芯線のうち一の前記住戸に割り当てられた第2の芯線に送出する
ことを特徴とする請求項1記載の集合住宅用マルチメディア通信システム。
【請求項3】
前記第2の光信号送出手段は、
前記光幹線ケーブルに含まれる芯線のうち一の前記住戸に割り当てられた前記第1の芯線および前記第2の芯線を介して受信した光信号を、当該一の前記住戸に割り当てられた前記光支線ケーブルに含まれる各芯線に対して送出する
ことを特徴とする請求項2記載の集合住宅用マルチメディア通信システム。
【請求項4】
集合住宅の各住戸にマルチメディアコンテンツを配信する集合住宅用マルチメディア通信システムであって、
テレビ放送局から受信した電気信号を光信号に変換する第1の信号変換手段と、
インターホンシステムから受信した前記住戸ごとの電気信号を光信号に変換する第2の信号変換手段と、
前記住戸ごとに割り当てられた複数の芯線を複数組含んで形成された光幹線ケーブルと、
外部の通信ネットワークから受信した前記住戸ごとの光信号、前記第1の信号変換手段により変換された光信号、および前記第2の信号変換手段により変換された前記住戸ごとの光信号を、前記光幹線ケーブルに送出する第1の光信号送出手段と、
前記住戸ごとに割り当てられた複数の芯線を一組含んで形成された光支線ケーブルと、
前記光幹線ケーブルを介して受信した光信号を、当該光幹線ケーブルから分岐して成端された前記光支線ケーブルに送出する第2の光信号送出手段と、
光信号を電気信号に変換する複数の信号変換装置と、
前記光支線ケーブルに含まれる各芯線に対応して前記住戸内に設置された前記信号変換装置に対して、前記光支線ケーブルを介して受信した光信号を送出する第3の光信号送出手段と、
を備えることを特徴とする集合住宅用マルチメディア通信システム。
【請求項5】
前記第1の光信号送出手段は、
前記通信ネットワークから受信した前記住戸ごとの光信号を、前記光幹線ケーブルに含まれる芯線のうち一の前記住戸に割り当てられた第1の芯線に送出し、前記第1の信号変換手段により変換された光信号を、前記光幹線ケーブルに含まれる芯線のうち一の前記住戸に割り当てられた第2の芯線に送出し、前記第2の信号変換手段により変換された前記住戸ごとの光信号を、前記光幹線ケーブルに含まれる芯線のうち一の前記住戸に割り当てられた第3の芯線に送出する
ことを特徴とする請求項4記載の集合住宅用マルチメディア通信システム。
【請求項6】
前記第2の光信号送出手段は、
前記光幹線ケーブルに含まれる芯線のうち一の前記住戸に割り当てられた前記第1の芯線、前記第2の芯線および前記第3の芯線を介して受信した光信号を、当該一の前記住戸に割り当てられた前記光支線ケーブルに含まれる各芯線に対して送出する
ことを特徴とする請求項5記載の集合住宅用マルチメディア通信システム。
【請求項7】
前記光幹線ケーブルに含まれる芯線よりも少ない芯線を含んで形成された光副幹線ケーブルを、さらに備え、
前記第2の光信号送出手段は、前記光幹線ケーブルを介して受信した光信号を、当該光幹線ケーブルから分岐して成端された前記光副幹線ケーブルに送出するとともに、前記光副幹線ケーブルを介して受信した光信号を、当該光副幹線ケーブルから分岐して成端された前記光支線ケーブルに送出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の集合住宅用マルチメディア通信システム。
【請求項8】
前記第1の信号変換手段により変換された光信号を増幅する光信号増幅手段を、さらに備え、
前記第1の光信号送出手段は、前記光信号増幅手段により増幅された光信号を、前記光幹線ケーブルに送出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の集合住宅用マルチメディア通信システム。
【請求項9】
前記光信号増幅手段により増幅された光信号の信号レベルを所定の信号レベルに調整するとともに、当該調整された光信号を、前記住戸数分に分配する光信号調整分配手段を、さらに備え、
前記第1の光信号送出手段は、前記光信号調整分配手段により分配された光信号を、前記光幹線ケーブルに送出することを特徴とする請求項8記載の集合住宅用マルチメディア通信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−140725(P2006−140725A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327954(P2004−327954)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(300071546)トーメンサイバービジネス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】