説明

電力供給制御システム

【課題】オフィス等で使用される様々な電気機器による無駄な電力消費を抑制することが可能な電力供給制御システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る電力供給制御システムは、第1周波数帯信号を送信する送信機と、前記送信機からの第1周波数帯信号に呼応して第2周波数帯信号を送信するタグと、接続する外部機器へ電力供給を行うための電源供給装置と、コントローラとを備える電力供給制御システムであって、前記コントローラは、前記タグからの第2周波数帯信号を受信する受信手段と、前記受信手段により、第2周波数帯信号が受信されたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により第2周波数帯信号が受信されなかった旨の判定がなされたことを含む一定条件を満たす場合に、前記電源供給装置へ所定の制御信号を送信する制御信号送信手段とを備え、前記電源供給装置は、前記制御信号を受信した際に、前記外部機器への電力供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源タップに接続する外部機器に対する電力供給を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
LF帯の信号を定期的に送信する送信機とタグとを用いて、タグを所持する者の所在を管理する所在管理システムが知られている(例えば、特許文献1、2)。
送信機からのLF帯の信号を受信したタグは、自機の識別情報を含むUHF帯の信号を送信するため、このタグの識別情報を用いてタグを所持する者の所在を管理することができる。
【0003】
また、この所在管理システムで管理する所在情報を用いることで、空調や照明を制御する設備制御システムも知られている。
この設備制御システムによれば、タグを所持する人が存在するオフィス等のエリアでのみエアコンを稼動させ、そのエリアでのみ照明を点灯させるよう制御することができる。従って、人がわざわざ空調や照明の稼動を停止させる操作を行うことなく、不要な空調や照明の稼動を停止させ、省エネを図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−177775号公報
【特許文献2】特開2008−182566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、オフィス等では、空調や照明以外にも、様々な電気機器が使用されており、これらの電気機器による無駄な電力消費も抑制したいという要望がある。
そこで、本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、オフィス等で使用される様々な電気機器による無駄な電力消費を抑制することが可能な電力供給制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係る電力供給制御システムは、第1周波数帯信号を送信する送信機と、ユーザに所持され、前記送信機からの第1周波数帯信号を受信可能なエリアに存在する場合に、当該第1周波数帯信号に呼応して第2周波数帯信号を送信するタグと、接続する外部機器へ電力供給を行うための電源供給装置と、コントローラとを備える電力供給制御システムであって、前記コントローラは、前記タグからの第2周波数帯信号を受信する受信手段と、前記受信手段により、第2周波数帯信号が受信されたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により第2周波数帯信号が受信されなかった旨の判定がなされたことを含む一定条件を満たす場合に、前記電源供給装置へ所定の制御信号を送信する制御信号送信手段とを備え、前記電源供給装置は、前記制御信号を受信した際に、前記外部機器への電力供給を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記構成を備える本発明に係る電力供給制御システムによれば、オフィス等で使用される様々な電気機器による無駄な電力消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】電力供給制御システム1000のシステム構成図
【図2】コントローラ101aの主要部の機能構成を示すブロック図
【図3】LF送信機102aの主要部の機能構成を示すブロック図
【図4】タグ500の主要部の機能構成を示すブロック図
【図5】電源タップ105aの主要部の機能構成を示すブロック図
【図6】制御対象テーブル335及び受信フラグテーブル336のデータ構成及び内容例を示す図
【図7】コントローラ101aによる制御信号送信処理を示すフローチャート
【図8】電源タップ105aによる制御処理を示すフローチャート
【図9】エリア107aに存在する各機器の動作を説明するためのタイミングチャート
【図10】制御対象テーブル337のデータ構成及び内容例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪実施の形態≫
以下、本発明に係る電力供給制御システムの一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<構成>
<電力供給制御システム>
まず、実施の形態に係る電力供給制御システム1000の構成について説明する。
【0010】
図1は、電力供給制御システム1000のシステム構成図である。
電力供給制御システム1000は、あるオフィスの従業員それぞれが1台ずつ所持しているタグからの信号に基づいて、各従業員の席(机)に設置された電源タップに接続している電気機器への電力供給を制御するものである。
電力供給制御システム1000は、コントローラ101a、101bと、LF送信機102a〜102h、電源タップ105a〜105h、サーバ108、及び図示しないタグを含んで構成されている。
【0011】
ここで、同図において破線で示すエリア107a、107bは、オフィス内の異なる部署A、Bのエリアを示している。各エリア内に設置されている機器等は同様であるため、以下では、エリア107aの場合を例に説明する。
エリア107aには、部署Aの所属員用の机103a〜103dと椅子104a〜104dが配置されており、各机には、それぞれ1台ずつ、LF送信機と、電源タップと、電気機器とが設置されている。
【0012】
なお、各机に設置されている電源タップのメス側コンセントには、電気機器からのオス側コンセントが接続されているが、同図においては、図示を省略している。
また、コントローラ101a、101bは、各エリア107a、107bに1台ずつ設置されており、各コントローラ(101a、101b)は、イーサネット(登録商標)ケーブル100により、各コントローラを管理するサーバ108に接続されている。
【0013】
各LF送信機(102a〜102d)は、コントローラ101aからUHF帯で送信されるビーコン信号の受信を契機に、送信タイミングが重ならないように、自機の識別情報(以下、「送信機ID」という)を含ませたLF帯(例えば120kHz〜130kHz帯)の信号(以下、「LF帯信号」ともいう)を無線送信するものである。
部署Aの所属員が自分の椅子(例えば、椅子104a)に着席すると、その人の所持するタグは、LF送信機102aからのLF帯信号に呼応して、そのLF帯信号に含まれているLF送信機102aの送信機IDと、自機の識別情報(以下、「タグID」という)とを含ませたUHF帯(例えば300MHz)の信号(以下、「UHF帯信号」ともいう)を送信する。
【0014】
また、コントローラ101aは、エリア107a内の各LF送信機及び各電源タップ(105a〜105d)を管理しており、上述のビーコン信号の送信を行う他、タグからのUHF帯信号の受信の有無に応じて、各机(103a〜103d)に配置されている各電源タップから各電気機器への電力供給を制御する。
このコントローラ101aによる制御の結果、部署Aの所属員が自分の席に着くと、その席の机に設置されている電気機器への電力供給が開始され、その人が離席すると、その席の机に設置されている機器への電力供給が停止されるようになる。
【0015】
従って、机単位で各机に配置されている電気機器への電力供給を制御でき、省エネを図ることができる。
なお、同図では、2つのエリア(107a、107b)が存在するものとして説明したが、エリアの数は1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
以下、コントローラ、LF送信機、タグ、電源タップの構成について説明するが、各コントローラ(101a、101b)、各LF送信機(102a〜102h)、各タグ、各電源タップ(105a〜105h)の構成は同様であるため、コントローラ101a、LF送信機102a、タグ500、電源タップ105aを例に説明する。
【0016】
<コントローラ>
図2は、コントローラ101aの主要部の機能構成を示すブロック図である。
同図に示すように、コントローラ101aは、UHF帯通信部310と、UHFアンテナ311と、制御部320と、記憶部330とから構成される。
なお、コントローラ101aは、図示しないメモリ及びプロセッサを含んでおり、制御部320の機能は、プロセッサがメモリ上のプログラムを実行することにより実現される。
【0017】
ここで、UHF帯通信部310は、UHFアンテナ311と接続し、制御部320の指示に従って、各LF送信機(102a〜102d)へのビーコン信号を送信する機能を有する。また、UHF帯通信部310は、各タグからのUHF帯信号を受信し、制御部320へ伝達する機能を有する。
制御部320は、ビーコン送信部321と、判定部322と、制御信号送信部323、電力量通知部324とから構成される。
【0018】
ここで、ビーコン送信部321は、各LF送信機(102a〜102d)にLF帯信号の送信を指示するビーコン信号を所定間隔(例えば、700ms毎)でUHF帯通信部310を介して送信する機能を有する。
判定部322は、ビーコン送信部321によるビーコン信号を送信してから所定時間内に、エリア107a内の各LF送信機(102a〜102d)の送信機IDを含む各UHF帯信号をタグから受信したか否かを判定する機能を有する。なお、この所定時間は、上記ビーコン信号の送信間隔以下の時間であり、例えば、500msであるものとする。
【0019】
制御信号送信部323は、判定部322による判定結果に応じた内容の制御信号をUHF帯通信部310を介して送信する機能を有する。
ここで、制御信号は、エリア107a内の電源タップからその電源タップに接続する電気機器への電力供給の開始、停止を行うための信号であり、制御内容(電力供給の開始又は停止)を示す情報(以下、「コマンド」ともいう)と、制御対象となる電源タップの識別情報(以下、「タップID」ともいう)とを含む信号である。
【0020】
以下では、コマンドが「電力供給の開始」を示す制御信号を「ON信号」ともいい、コマンドが「電力供給の停止」を示す制御信号を「OFF信号」ともいう。
電力量通知部324は、エリア107a内の各電源タップ(105a〜105d)からUHF帯通信部310を介して受信した電力値信号(後述する)に含まれる、その電源タップに接続する各電気機器の消費電力の合計値をサーバ108に通知する機能を有する。
【0021】
記憶部330は、タグID表331、コントローラID332、送信UHFチャネル333、受信UHFチャネル334、制御対象テーブル335、受信フラグテーブル336を記憶するためのメモリ領域である。
これらのデータは、コントローラ101aの運用開始時点において、電力供給制御システム1000の管理者により、記憶部330に予め設定される。
【0022】
ここで、タグID表331は、エリア107aに対応する部署(部署A)の所属員が保持するタグのタグIDを登録したものである。
コントローラID332は、コントローラ101aの識別情報であり、コントローラ101aが備えるディップスイッチなどの設定手段により設定された値を示すものとなる。
送信UHFチャネル333は、UHF帯通信部310の送信用の無線UHFチャネル(送信周波数帯)を設定するための情報である。この送信UHFチャネル333を隣接するコントローラ間で異なるものに設定しておくことによりビーコン信号の衝突を回避することができる。
【0023】
受信UHFチャネル334は、UHF帯通信部310の受信用の無線UHFチャネル(受信周波数帯)を設定するための情報である。この受信UHFチャネル334を隣接するコントローラ間で異なるものに設定しておくことにより、各タグからのUHF帯信号の衝突を回避することができる。
制御対象テーブル335は、エリア107a内の各机(103a〜103d)について、その机に設置されているLF送信機の送信機IDと、その机に設置されている電源タップのタップIDとを対応付けて登録したものである。
【0024】
受信フラグテーブル336は、エリア107a内の各LF送信機(102a〜102d)について、そのLF送信機の送信機IDを含むUHF信号をタグから受信したか否かを示す受信フラグを登録したものである。
<LF送信機>
図3は、LF送信機102aの主要部の機能構成を示すブロック図である。
【0025】
同図に示すように、LF送信機102aは、UHF帯受信部400と、UHFアンテナ401と、LF帯送信部410と、LFアンテナ411と、制御部420と、記憶部430とから構成される。
なお、LF送信機102aは、図示しないメモリ及びプロセッサを含んでおり、制御部420の機能は、プロセッサがメモリ上のプログラムを実行することにより実現される。
【0026】
ここで、UHF帯受信部400は、UHFアンテナ401と接続し、コントローラ101aからのビーコン信号を受信し、制御部320へ伝達する機能を有する。
LF帯送信部410は、LFアンテナ411と接続しており、制御部420の指示に従って、LFアンテナ411を介してLF帯信号をタグに送信する機能を有する。
制御部420は、UHF帯受信部400を介して、コントローラ101aからのビーコン信号を受信してから、予め設定された時間後に、送信機ID431やこのLF帯信号に呼応してタグから送信されるUHF帯信号の周波数帯(チャネル)を示す情報等を含ませたLF帯信号を、LF帯送信部410を介して送信する機能を有する。
【0027】
このビーコン信号を受信してからLF帯信号を送信するまでの時間は、次にビーコン信号を受信するまでの時間より短く、かつ、エリア107a内の各LF送信機(102a〜102d)間で異なるものになるように、ディップスイッチなどの設定手段により設定されている。
記憶部430は、送信機ID431を記憶するためのメモリ領域である。
【0028】
<タグ>
図4は、タグ500の主要部の機能構成を示すブロック図である。
同図に示すように、タグ500は、LF帯受信部510と、LFアンテナ511と、UHF帯送信部520と、UHFアンテナ521と、制御部530と、記憶部540と、各部に電力を供給する電池550とから構成される。
【0029】
なお、タグ500は、図示しないメモリ及びプロセッサを含んでおり、制御部530の機能は、プロセッサがメモリ上のプログラムを実行することにより実現される。
ここで、LF帯受信部510は、LFアンテナ511と接続し、LF送信機からのLF帯信号を受信し、制御部530へ伝達する機能を有する。
UHF帯送信部520は、UHFアンテナ521と接続し、制御部530の指示に従って、UHF信号を送信する機能を有する。
【0030】
制御部530は、LF帯受信部510を介してLF送信機からのLF帯信号を受信した際に、タグID541、送信機ID431等を含ませたUHF帯信号を、UHF帯送信部520を介して送信する機能を有する。なお、このUHF帯信号の送信には、受信したLF帯信号に含まれていた情報が示すUHF帯信号の周波数帯が用いられる。
記憶部540は、タグID541を記憶するためのメモリ領域である。
【0031】
<電源タップ>
図5は、電源タップ105aの主要部の機能構成を示すブロック図である。
電源タップ105aは、複数のコンセント差込口であるメス側コンセント601a〜601c毎に電力供給をON/OFFするためのスイッチ(SW)602a〜602cを設けた電源タップであり、オス側コンセント603を、屋内の壁面等に設置されている電源コンセントに接続することで、AC100V電源を、各メス側コンセントに引き込み可能に構成されている。
【0032】
電源タップ105aは、上記メス側コンセント601a〜601c、スイッチ(SW)602a〜602c、及びオス側コンセント603の他、同図に示すように、電力計測部610a〜610c、UHF帯通信部620、UHFアンテナ621、記憶部630、供給制御部640、電力値取得部650、電力値送信部660、及び表示部670を備える。
【0033】
電源タップ105aは、図示しないメモリ及びプロセッサを含んでおり、供給制御部640、電力値取得部650、及び電力値送信部660の各機能は、プロセッサがメモリ上のプログラムを実行することにより実現される。
ここで、電力計測部610a〜610cは、対応するメス側コンセント(601a〜601c)に接続する電気機器の消費電力を、対応するメス側コンセントとオス側コンセント603との間を流れる電流と電圧とを検出することで、計測する機能を有する。
【0034】
UHF帯通信部620は、UHFアンテナ621と接続し、コントローラ101aからの制御信号(ON信号及びOFF信号)を受信し、供給制御部640及び電力値取得部650に伝達する機能を有する。
記憶部630は、タップID631を記憶するためのメモリ領域である。
供給制御部640は、UHF帯通信部620を介してコントローラ101aからタップID631を含む制御信号を受信した際に、その制御信号の内容に基づいて、オス側コンセント603から各メス側コンセント601a〜601cへの電力供給を制御する機能を有する。
【0035】
即ち、供給制御部640は、オス側コンセント603から各メス側コンセント601a〜601cへの電力供給を、ON信号を受信した場合に開始し、OFF信号を受信した場合に停止する。
電力値取得部650は、UHF帯通信部620を介してコントローラ101aからタップID631を含むON信号を受信してから、タップID631を含むOFF信号を受信するまでの間、繰り返し、各電力計測部(610a〜610c)から消費電力を取得して合計値(以下、「電力値」ともいう)を算出し、算出した電力値を電力値送信部660及び表示部670に伝達する機能を有する。
【0036】
電力値送信部660は、電力値取得部650から電力値を伝達される毎に、その電力値やタップID631等を含ませた電力値信号を、UHF帯通信部620を介して送信する機能を有する。
表示部670は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)を含み、電力値取得部650から伝達された電力値に基づいて、その電力値に対応する文字等をLCDに表示する機能を有する。
【0037】
なお、OFF信号を受信し、供給制御部640により、オス側コンセント603から各メス側コンセント601a〜601cへの電力供給を停止している場合でも、屋内の壁面等に設置されている電源コンセントにオス側コンセント603を接続している限り、UHF帯通信部620、記憶部630、供給制御部640、電力値取得部650、電力値送信部660への電力供給は行われる。
【0038】
<データ>
次に、コントローラ101aで使用されるデータについて説明する。
<制御対象テーブル>
図6(a)は、制御対象テーブル335のデータ構成及び内容例を示す図である。
制御対象テーブル335は、同図に示すように、送信機ID3350と、タップID3351とを対応付けて構成される情報である。
【0039】
ここで、送信機ID3350は、LF送信機の識別情報であり、タップID3351は、対応する送信機IDを含むUHF帯信号に基づいて電力供給を制御すべき電源タップの識別情報である。
以下では、各LF送信機(102a〜102d)の送信機IDは、「0」〜「3」であるものとし、各電源タップ(105a〜105d)のタップIDは、「0」〜「3」であるものとする。
【0040】
同図は、例えば、タップIDが「0」である電源タップ(105a)の電力供給の制御に用いられるUHF帯信号に含まれる送信機IDは「0」であることを示している。
<受信フラグテーブル>
図6(b)は、受信フラグテーブル336のデータ構成及び内容例を示す図である。
受信フラグテーブル336は、同図に示すように、送信機ID3360と、受信フラグ3361とを対応付けて構成される情報である。
【0041】
ここで、送信機ID3360は、LF送信機の識別情報であり、受信フラグ3361は、対応する送信機IDを含むUHF帯信号を受信したか否かを示す情報であり、同図では、受信した場合を「ON」と表記し、受信していない場合を「OFF」と表記している。
同図は、例えば、送信機ID「0」についての受信フラグは「ON」、つまり、送信機ID「0」を含むUHF帯信号をタグから受信しており、送信機ID「1」についての受信フラグは「OFF」、つまり、送信機ID「1」を含むUHF帯信号についてはタグから受信していないことを示している。
【0042】
<動作>
次に、上記構成を備え、上記データを取り扱う電力供給制御システム1000の各機器の動作について説明する。
<コントローラの動作>
コントローラ101aの動作について説明する。
【0043】
図7は、コントローラ101aによる制御信号送信処理を示すフローチャートである。
なお、特にフローチャートを用いて説明しないが、以下説明する制御信号送信処理とは非同期に、ビーコン送信部321はビーコン信号を繰り返し送信している。
また、エリア107a内の4台のLF送信機(102a〜102d)は、ビーコン信号を受信してから、102a、102b、102c、102dの順でLF帯信号を送信するよう設定されているものとする。
【0044】
また、コントローラ101aにおける制御部320は、ビーコン送信部321がビーコン信号を送信してから、エリア107a内の4台のLF送信機(102a〜102d)のうち、最初にLF帯信号を送信するLF送信機(この例では102a)からのLF帯信号を受信したタグが存在した場合に、そのタグからのUHF帯信号を受信し得るタイミングで、制御信号送信処理を開始するものとする。
【0045】
制御信号送信処理を開始すると、制御部320の判定部322は、ループ処理(ステップS1、S12)を、送信機IDを示す値iを0として開始し(ステップS1)、送信機ID「i」を含むタグからのUHF帯信号を受信したか否かを判定する(ステップS2)。
送信機ID「i」を含むUHF帯信号を受信した場合に(ステップS2:YES)、判定部322は、記憶部330のタグID表331を参照し、受信したUHF帯信号に含まれているタグIDがタグID表331に存在するか否かを判定する(ステップS3)。
【0046】
受信したUHF帯信号に含まれているタグIDがタグID表331に存在する場合に(ステップS3:YES)、制御信号送信部323は、記憶部330の受信フラグテーブル336を参照し、受信したUHF帯信号に含まれている送信機ID「i」に対応付けて登録されている受信フラグが「OFF」であるか否かを判定する(ステップS4)。
例えば、図6(b)に示す受信フラグテーブル336の例では、iが「0」の場合、送信機ID「0」に対応する受信フラグは「ON」なので、否定的な判定(ステップS4:NO)がなされることになる。また、iが「1」の場合、送信機ID「1」に対応する受信フラグは「OFF」なので、肯定的な判定(ステップS4:YES)がなされることになる。
【0047】
ステップS4において、肯定的な判定がなされた場合(ステップS4:YES)、制御信号送信部323は、この判定に用いた受信フラグを「ON」に更新する(ステップS5)。
また、制御信号送信部323は、記憶部330の制御対象テーブル335を参照し、受信したUHF帯信号に含まれている送信機ID「i」に対応付けて登録されているタップIDを取得する(ステップS6)。
【0048】
制御信号送信部323は、取得したタップIDを含ませたON信号をUHF帯通信部310を介して送信する(ステップS7)。
ステップS7の処理を完了し、又は、ステップS4において、否定的な判定がなされた場合(ステップS4:NO)、エリア107a内の4台のLF送信機(102a〜102d)のうち、次にLF帯信号を送信するLF送信機からのLF帯信号を受信したタグが存在した場合に、そのタグからのUHF帯信号を受信し得るタイミングで、iを1増加させて再びステップS1から処理を行う。
【0049】
ステップS2において、否定的な判定がなされた場合(ステップS2:NO)、及びステップS3において、否定的な判定がなされた場合(ステップS3:NO)、制御信号送信部323は、記憶部330の受信フラグテーブル336を参照し、送信機ID「i」に対応付けて登録されている受信フラグが「ON」であるか否かを判定する(ステップS8)。
【0050】
送信機ID「i」に対応付けて登録されている受信フラグが「ON」である場合(ステップS8:YES)、制御信号送信部323は、この判定に用いた受信フラグを「OFF」に更新し(ステップS9)、記憶部330の制御対象テーブル335から、送信機ID「i」に対応付けて登録されているタップIDを取得する(ステップS10)。
制御信号送信部323は、取得したタップIDを含ませたOFF信号をUHF帯通信部310を介して送信する(ステップS11)。
【0051】
ステップS11の処理を完了し、又は、ステップS8において、否定的な判定がなされた場合(ステップS8:NO)、エリア107a内の4台のLF送信機(102a〜102d)のうち、次にLF帯信号を送信するLF送信機からのLF帯信号を受信したタグが存在した場合に、そのタグからのUHF帯信号を受信し得るタイミングで、iを1増加させて再びステップS1から処理を行う。
【0052】
<電源タップの動作>
続いて、電源タップ105aの動作について説明する。
図8は、電源タップ105aによる制御処理を示すフローチャートである。
なお、以下説明する制御処理は、オス側コンセント603を、屋内の壁面等に設置されている電源コンセントに接続した際に開始され、開始時においては、オス側コンセント603から各メス側コンセント601a〜601cへの電力供給が停止しているものとして説明する。
【0053】
電源タップ105aの供給制御部640は、UHF帯通信部620を介して記憶部630のタップID631を含むON信号を受信したか否かを判定し(ステップS20)、受信していない場合には(ステップS20:NO)、再びステップS20の処理を行う。
タップID631を含むON信号を受信すると(ステップS20:YES)、供給制御部640は、オス側コンセント603から各メス側コンセント601a〜601cへの電力供給を開始する(ステップS21)。
【0054】
この結果、SW602a〜602cのうち、「ON」になっているSWに対応するメス側コンセントに接続する電気機器への電力供給が行われることになる。
続いて、電力値取得部650は、各電力計測部(610a〜610c)で計測された消費電力を取得して合計値(電力値)を算出し(ステップS22)、電力値送信部660及び表示部670に伝達する。伝達された電力値に基づいて、表示部670は、LCDに電力値を表示する。
【0055】
また、電力値送信部660は、伝達された電力値やタップID631等を含ませた電力値信号を、UHF帯通信部620を介して送信する(ステップS23)。
なお、コントローラ101aにおける制御部320の電力量通知部324は、ステップS23で送信された電力値信号を、UHF帯通信部310を介して受信し、電力値信号に含まれている電力値及びタップID631をイーサネット(登録商標)ケーブル100を介してサーバ108に送信し、サーバ108は、受信した電力値及びタップID631を受信日時等の情報と対応付けて管理する。
【0056】
これにより、サーバ108において、電力供給制御システム1000を構成する各電源タップに接続している電気機器での消費電力の履歴を一括して管理することができる。
続いて、供給制御部640は、UHF帯通信部620を介してタップID631を含むOFF信号を受信したか否かを判定し(ステップS24)、受信していない場合には(ステップS24:NO)、電力値取得部650は、再びステップS22から処理を行う。
【0057】
また、タップID631を含むOFF信号を受信した場合には(ステップS24:YES)、供給制御部640は、オス側コンセント603から各メス側コンセント601a〜601cへの電力供給を停止する(ステップS25)。
この結果、SW602a〜602cの状態によらず、全てのメス側コンセント(601a〜601c)に接続している電気機器への電力供給が行われなくなる。
【0058】
ステップS25の処理を完了すると、供給制御部640は、再びステップS20から処理を行う。
<具体例>
電力供給制御システム1000全体の動作について、図9に示す具体例を用いて説明する。
【0059】
図9は、エリア107aに存在する各機器の動作を説明するためのタイミングチャートである。
以下では、同図を用いて、コントローラ101aのタグID表に存在するタグIDを記憶しているタグを所持する部署Aの所属員が、椅子104aに着席し、その後、離席した場合を例に、電力供給制御システム1000全体の動作を説明する。
【0060】
なお、同図では、送信機IDがi(i=0〜3)であるLF送信機を「LF送信機[i]」と表記している。即ち、同図に示すLF送信機[0]は、送信機IDが0であるLF送信機102aを示している。同様に、同図では、タップIDが0である電源タップ105aを「電源タップ[0]」と表記している。
また、同図に示すTd0〜Td3は、各LF送信機[0]〜[3](102a〜102d)に設定されている、ビーコン信号を受信してからLF帯信号を送信するまでの時間を示している。
【0061】
また、以下の説明を開始する時点で、受信フラグテーブル336の各受信フラグには「OFF」が設定されているものとし、電源タップ[0](105a)の供給制御部640は、オス側コンセント603から各メス側コンセント601a〜601cへの電力供給を停止しているものとする。
<OFFからONへ>
まず、電源タップ[0]において停止していた電力供給が開始するまでの動作について説明する。
【0062】
図9に示すように、コントローラ101aにおける制御部320のビーコン送信部321が、UHF帯通信部310を介してビーコン信号10を送信する。
UHF帯受信部400を介して、このビーコン信号10を受信した各LF送信機[0]〜[3]の制御部420は、記憶部430の送信機ID431を含ませたLF帯信号を生成し、ビーコン信号10の受信から予め設定されている時間だけ待って、LF帯送信部410を介して、生成したLF帯信号を送信する。
【0063】
例えば、LF送信機[0]は、ビーコン信号10の受信から時間Td0だけ待って、LF帯信号20を送信する。
タグを所持する部署Aの所属員が椅子104aに着席するタイミングで、LF帯受信部510を介して、このLF帯信号20を受信したタグの制御部530は、LF帯信号20に含まれているLF送信機[0]の送信機ID「0」及び記憶部540のタグID541を含ませたUHF帯信号30を生成し、UHF帯送信部520を介して送信する。
【0064】
コントローラ101aにおける制御部320の判定部322は、送信機ID「0」及びタグID表に存在するタグIDを含むUHF帯信号30を、UHF帯通信部310を介して受信する(図7のステップS2:YES、S3:YES)。また、制御信号送信部323は、UHF帯信号30に含まれる送信機ID「0」と対応する受信フラグテーブル336の受信フラグが「OFF」なので(ステップS4:YES)、この受信フラグを「ON」に更新し、制御対象テーブル335から、UHF帯信号30に含まれる送信機ID「0」と対応するタップID「0」を取得する(ステップS5、S6)。
【0065】
また、制御信号送信部323は、取得したタップID「0」を含ませたON信号40を生成し、UHF帯通信部310を介して送信する(ステップS7)。
なお、コントローラ101aにおける制御部320は、以降、i=1〜3についてループ処理(ステップS1、S12)を行うが、この例では、送信機ID[1]〜[3]を含むタグからの各UHF帯信号を受信せず(ステップS2:NO)、対応する受信フラグは「OFF」であるため(ステップS8:NO)、制御信号送信部323による制御信号の送信は行われない。
【0066】
また、UHF帯通信部620を介して、タップID「0」を含むON信号40を受信した電源タップ[0](105a)の供給制御部640は、オス側コンセント603から各メス側コンセント601a〜601cへの電力供給を開始する(図8のステップS20:YES、S21)。
続いて、電源タップ[0]の電力値送信部660は、電力値取得部650で算出され伝達された電力値や記憶部630のタップID631を含ませた電力値信号50を生成し、UHF帯通信部620を介して送信する(ステップS22、S23)。
【0067】
なお、このとき、表示部670には、電力値取得部650で算出された電力値が表示されている。
以降、電源タップ[0]の電力値送信部660は、タップID「0」を含むOFF信号を受信するまでの間(ステップS24:NO)、最新の電力値を含ませた電力値信号を繰り返し送信することになる。
【0068】
<ONからOFFへ>
次に、電源タップ[0]において行われていた電力供給が停止するまでの動作について図9を用いて説明する。
コントローラ101aからのビーコン信号11に基づいて、各LF送信機[0]〜[3]からLF帯信号が送信されるところまでは、上記<OFFからON>で説明したのと同様である。
【0069】
しかしながら、この例では、タグを所持する部署Aの所属員が離席したため、このタグが、LF送信機[0]からのLF帯信号21を受信せず、UHF帯信号を送信しない点で上記<OFFからON>の場合とは異なる。同図中の点線部分31は、タグからのUHF帯信号が送信されなかったことを示している。
この結果、コントローラ101aにおける制御部320の制御信号送信部323は、送信機ID「0」と対応する受信フラグテーブル336の受信フラグが「ON」であるため(図7のステップS2:NO、S8:YES)、この受信フラグを「OFF」に更新し、制御対象テーブル335から取得した、送信機ID「0」と対応するタップID「0」を含ませたOFF信号60を生成し、UHF帯通信部310を介して送信する(ステップS9〜S11)。
【0070】
なお、コントローラ101aにおける制御部320は、以降、i=1〜3についてループ処理(ステップS1、S12)を行うが、上記<OFFからON>で説明したのと同様の理由から、制御信号送信部323による制御信号の送信は行われない。
また、UHF帯通信部620を介して、タップID「0」を含むOFF信号60を受信した電源タップ[0](105a)の供給制御部640は、オス側コンセント603から各メス側コンセント601a〜601cへの電力供給を停止する(図8のステップS24:YES、S25)。
【0071】
以降、電源タップ[0]の電力値送信部660は、タップID「0」を含むON信号を再び受信するまでの間(ステップS20:YES)、電力値信号の送信を停止することになる。
このように、本実施の形態に係る電力供給制御システム1000によれば、タグを用いてこのタグを所持する人の存在を管理し、このタグを所持する人が帰宅等した場合には、その人が使用する電気機器への電力供給を停止できるので、オフィス内の省エネを図ることができる。
【0072】
なお、実施の形態及び下記変形例では、本発明に係る電源供給装置の一例として電源タップを用いて説明したが、これに限られず、例えば、壁面露出型の壁配線型電源コンセントであってもよい。
<補足>
以上、本発明に係る電力供給制御システムを、実施の形態に基づいて説明したが、以下のように変形することも可能であり、本発明は上述した実施の形態で示した通りの電力供給制御システムに限られないことは勿論である。
【0073】
(1)実施の形態に係るコントローラ101aは、電源タップ単位で電力供給を制御するものとして説明したが、1つの電源タップに含まれるメス側コンセント単位で電力供給を制御できるようにしてもよい。
この場合、制御対象テーブル335を以下のように変形する必要がある。
図10は、この変形に係る制御対象テーブル337のデータ構成及び内容例を示す図である。
【0074】
制御対象テーブル337は、同図に示すように、送信機ID3350と、タップID3351と、コンセントID3370を対応付けて構成される情報である。
ここで、送信機ID3350及びタップID3351は、制御対象テーブル335と同様のものであるため説明は省略する。
コンセントID3370は、対応するタップIDが示す電源タップにおけるメス側コンセントの識別情報である。
【0075】
以下の説明では、図5に示すメス側コンセント601aのコンセントIDが「0」であり、メス側コンセント601bのコンセントIDが「1」であり、メス側コンセント601cのコンセントIDが「2」であるものとする。
図10は、例えば、タップIDが「0」である電源タップ(105a)のコンセントIDが「0」と「1」とである各メス側コンセント(601a、601b)の電力供給の制御に用いられるUHF帯信号に含まれる送信機IDは「0」であることを示している。
【0076】
また、この場合、コントローラ101aを、タップIDの他、コンセントIDを含ませた制御信号(ON信号、OFF信号)を送信するよう変形する必要がある。
具体的には、図7のステップS6及びS10を、この制御対象テーブル335を参照して、タップIDの他、送信機IDに対応するコンセントIDを取得するよう変形し、ステップS7及びS11を、この取得したコンセントIDを含ませた制御信号(ON信号、OFF信号)を送信するよう変形する必要がある。
【0077】
また、この場合、電源タップ105aの供給制御部640を、オス側コンセント603からの電力供給を、メス側コンセント単位でON/OFFできるよう変形する必要がある。
なお、この場合、電力値送信部660による電力信号の送信及び表示部670による電力値の表示は、例えば、全てのメス側コンセントへの電力供給がOFFになっている場合に限って行わないようにしてもよいし、全てのメス側コンセントへの電力供給がONになっている場合に限って行うようにしてもよい。
【0078】
(2)上記(1)で説明した制御対象テーブル337へのデータの登録は、電力供給制御システムの運用開始前に管理者が予め行うようにしてもよいが、電源タップが、対応する送信機IDとタップIDとコンセントIDとからなるデータ(以下、「レコード」ともいう)を生成し送信し、このレコードを受信した、この変形に係るコントローラ(以下、「変形コントローラ」という)が、制御対象テーブル337へ登録するようにしてもよい。
【0079】
このようにすることで、電力供給制御システムの管理者による設定の手間を削減することができる。
以下、この変形に係る電源タップを「変形電源タップ」という。
変形電源タップは、例えば、ディップスイッチなどの設定手段を用いて、レコードの生成及び送信を行うためのモード(以下、「登録モード」という)に切り替えることが可能なものである。
【0080】
また、登録モードに設定されている場合において、変形電源タップは、自機の電力供給の制御に用いられるべき送信機IDを、上記設定手段を用いて設定することができる。
また、変形電源タップは、メス側コンセント(601a〜601c)毎に、電気機器からのコンセントが挿入されているか否かを検出する検出手段と、レコードを含ませたUHF帯信号(以下、「登録信号」という)を送信する登録信号送信手段を備えている。
【0081】
電気機器のユーザが、この電気機器のコンセントをいずれかのメス側コンセントに挿入すると、上記検出手段がこの挿入を検出し、上記登録信号送信手段は、検出に係るメス側コンセントのコンセントIDと、上記設定手段により設定されている送信機IDと、自機のタップIDとからなるレコードを含み、そのレコードの登録を指示するためのUHF帯信号(登録信号)を送信する。
【0082】
(3)実施の形態に係る電源タップ105aは、電力値信号を送信する機能及び電力値をLCDに表示する機能を有するものとして説明したが、これらの機能のうちいずれか、又は両方を有さないよう変形してもよい。
即ち、電源タップの機能として、これらの機能は必須ではなく、コントローラ101aからの制御信号に基づいて、オス側コンセント603から各メス側コンセントへの電力供給を制御する機能を有すれば足りる。
【0083】
なお、実施の形態に係るサーバ108は、コントローラから受信した電力値及びタップID631を受信日時等の情報と対応付けて管理するものとして説明したが、上述のように、電源タップ105aを、電力値信号を送信する機能を有しないように変形した場合、電力供給制御システムの構成には、サーバ108が含まれないこととしてもよい。
(4)実施の形態に係るコントローラ101aは、タグからUHF帯信号を受信しなくなると、すぐにOFF信号を送信するものとして説明したが、すぐにはOFF信号を送信しないようにしてもよい。
【0084】
例えば、タグからUHF帯信号を受信しなくなってから所定時間が経過した後にOFF信号を送信するようにしてもよいし、タグから複数回以上UHF帯信号を受信しなくなった場合にOFF信号を送信するようにしてもよい。
また、実施の形態に係るコントローラ101aは、タグからUHF帯信号を受信しなくなると必ずOFF信号を送信するものとして説明したが、タグからUHF帯信号を受信しなくなった場合でも、一定条件下で、OFF信号を送信しないようにしてもよい。
【0085】
例えば、タグからのUHF帯信号を受信しなくなった日が予め定められた日(例えば、平日)である場合や、タグからのUHF帯信号を受信しなくなった時刻が、予め定められた時間帯(例えば、平日の8:00〜20:00)に含まれている場合には、OFF信号を送信しないようにしてもよい。なお、この予め定められた日や時間帯を一律に決定するのではなく、部署毎やタグの所有者毎に決定できるようにしてもよい。
【0086】
また、例えば、いわゆる入退室管理システムと連動させ、在室者が存在する間は、OFF信号を送信しないようにしてもよい。
このように、タグからUHF帯信号を受信しなくなっても、すぐにはOFF信号を送信しないようにしたり、一定条件下で、OFF信号を送信しないようにすることにより、タグを所持する人が、一旦離席してもすぐに戻るような場合に、この人が使用する電気機器への電力供給が継続されるようにし、利便性を向上させることができる。
【0087】
(5)実施の形態に係る電力供給制御システム1000では、LF送信機と電源タップとは別々の装置であり、それぞれがUHF帯の信号を受信するための受信手段を備えるものとして説明したが、LF送信機と電源タップとを1つの筐体として構成するよう変形し、又は有線で接続するよう変形することで、受信手段を共有するようにしてもよい。
例えば、図5に示す電源タップのUHF帯通信部620を共有するようにし、図3に示すLF送信機における制御部420は、このUHF帯通信部620を介してビーコン信号を受信するように構成してもよい。この場合、図3に示すLF送信機におけるUHF帯受信部400は不要になる。
【0088】
また、例えば、図3に示すLF送信機におけるUHF帯受信部400に代えて、UHF帯の信号を送受信可能なUHF帯通信部を備えるようLF送信機を変形し、このUHF帯通信部を共有するようにしてもよい。この場合、この共有に係るUHF帯通信部を介して、図5に示す電源タップの供給制御部640、電力値取得部650、電力値送信部660は、UHF帯の信号の授受を行うことになり、UHF帯通信部620は不要になる。
【0089】
(6)実施の形態に係るコントローラ101aは、電源タップに対して電力供給のON/OFFを制御するための制御信号を送信するものとして説明したが、更に、例えば、空調や照明を制御するためのシステムに対してもON/OFFを制御するための制御信号を送信するようにしてもよい。これにより、更なる省エネを図ることができる。
また、タグからUHF帯信号の送信があった後においては、そのUHF帯信号に含まれている送信機IDが示すLF送信機によるLF帯信号の送信間隔を延長するよう制御することで、更なる省エネを図るようにしてもよい。
【0090】
また、UHF帯信号を送信したタグについても、所定時間、電力消費を低減させることが可能なスリープモードに移行するようにすることで、電池550の寿命を延ばすようにしてもよい。
(7)実施の形態に係る電源タップ105aの電力値送信部660は、電力値取得部650で算出された、各電力計測部(610a〜610c)で取得した消費電力の合計値(電力値)を電力値信号に含ませて送信するものとして説明したが、各電力計測部(610a〜610c)で取得した消費電力の組を電力値信号に含ませて送信するようにしてもよい。
【0091】
(8)また、以下のように変形してもよい。
(A)タグID個別ごとに応じて、電源オンオフ対象とする電源タップ(又は壁配線型電源コンセント)1台ずつを電源導通オンオフ制御してもよいし、(B)更に、電源タップ(又は壁配線型電源コンセント)1台ずつにとどまらず、タグID個別ごとに応じて、電源タップ(又は壁配線型電源コンセント)を構成するコンセント1個ずつを個別に電源導通オンオフ制御してもよい。
【0092】
(C)また、タグIDとそれを捕捉したLFアンテナの送信機IDとの組み合わせに応じて、(A)と同じく、電源オンオフ対象とする電源タップ(又は壁配線型電源コンセント)1台ずつを電源導通オンオフ制御してもよいし、(D)更にまた、タグIDとそれを捕捉したLFアンテナの送信機IDとの組み合わせに応じて、タグID個別ごとに応じて、電源タップ(又は壁配線型電源コンセント)を構成するコンセント1個ずつを個別に電源導通オンオフ制御してもよい。
【0093】
(E)以上、(A)(B)(C)(D)のいずれの場合でも、タグからコントローラ101へ直接的に無線で連絡するに限らず、タグから発するUHF電波を受けたいずれかのLFアンテナの送信機が、コントローラ101へ中継転送するようにしてもかまわない。こうするためには、LFアンテナの送信機からコントローラ101への中継転送の手順を、衝突を起こさぬよう、例えば時分割にてシーケンスを組む必要があり、そのシーケンスがあれば、コントローラ101が、タグから発するUHF電波を受信し損なっても、その後にLFアンテナの送信機から中継転送を受ける機会が与えられることになる。
【0094】
(9)実施の形態に係るコントローラ101aによる制御信号送信処理(図7)において、ステップS3とS4の処理の間に、以下の処理を追加するようにしてもよい。
即ち、ステップS3において、肯定的な判定がなされた場合に(ステップS3:YES)、コントローラ101aは、受信した送信機IDと受信フラグテーブル336において対応付けられているタップIDが示す電源タップに対し、オス側コンセント603から各メス側コンセント601a〜601cへの電力供給が行われているか否かを示す情報を含むUHF帯信号(以下、「状態信号」という)の送信を要求する信号をUHF帯で送信する。
【0095】
このコントローラ101aからの信号に応じて、この電源タップから送信された状態信号を受信したコントローラ101aは、この状態信号が、オス側コンセント603から各メス側コンセント601a〜601cへの電力供給が行われていない旨を示す場合には、ステップS4の処理に進み、オス側コンセント603から各メス側コンセント601a〜601cへの電力供給が行われている旨を示す場合には、ステップS12に進む。
【0096】
(10)実施の形態において説明した各機器における各構成要素のうち、全部又は一部を1チップ又は複数チップの集積回路で実現してもよいし、コンピュータのプログラムで実現してもよいし、その他どのような形態で実現してもよい。
(11)実施の形態において説明した各機器による処理(例えば、図7に示すコントローラ101aによる制御信号送信処理や、図8に示す電源タップ105aによる制御処理等)をプロセッサに実行させるためのプログラムを、記録媒体に記録し又は各種通信路等を介して、流通させ頒布することもできる。このような記録媒体には、ICカード、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM、フラッシュメモリ等がある。流通、頒布されたプログラムは、機器におけるプロセッサで読み取り可能なメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのプロセッサがそのプログラムを実行することにより実施の形態で示した各機器の機能が実現される。
【0097】
(12)実施の形態に係る電力供給制御システムに、上記(1)〜(11)の一部又は全部の変形を組み合わせて適用してもよい。
(13)以下、更に本発明の一実施形態に係る電力供給制御システムの構成及び効果について説明する。
本発明に係る電力供給制御システムは、第1周波数帯信号を送信する送信機と、ユーザに所持され、前記送信機からの第1周波数帯信号を受信可能なエリアに存在する場合に、当該第1周波数帯信号に呼応して第2周波数帯信号を送信するタグと、接続する外部機器へ電力供給を行うための電源供給装置と、コントローラとを備える電力供給制御システムであって、前記コントローラは、前記タグからの第2周波数帯信号を受信する受信手段と、前記受信手段により、第2周波数帯信号が受信されたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により第2周波数帯信号が受信されなかった旨の判定がなされたことを含む一定条件を満たす場合に、前記電源供給装置へ所定の制御信号を送信する制御信号送信手段とを備え、前記電源供給装置は、前記制御信号を受信した際に、前記外部機器への電力供給を停止することを特徴とする。
【0098】
この電力供給制御システムによれば、タグを所持するユーザが、送信機からの第1周波数帯信号を受信可能なエリアの外に移動した場合に、このタグは第2周波数帯信号を送信しなくなるため、コントローラから電源タップに対する制御信号が送信され得る。
制御信号が送信された場合、電源タップは、外部機器への電力供給を停止するため、この電源タップにオフィス等で使用される様々な電気機器を接続しておくことで、無駄に生じていた電力消費を抑制することが可能になる。
【符号の説明】
【0099】
100 イーサネット(登録商標)ケーブル
101a、101b コントローラ
102a〜102h LF送信機
105a〜105h 電源タップ
106a〜106h 電気機器
108 サーバ
310、620 UHF帯通信部
311、401、521、621 UHFアンテナ
320、420、530 制御部
321 ビーコン送信部
322 判定部
323 制御信号送信部
324 電力量通知部
330、430、540、630 記憶部
400 UHF帯受信部
410 LF帯送信部
411、511 LFアンテナ
500 タグ
510 LF帯受信部
520 UHF帯送信部
550 電池
601a〜601c メス側コンセント
602a〜602c SW
603 オス側コンセント
610a〜610c 電力計測部
640 供給制御部
650 電力値取得部
660 電力値送信部
670 表示部
1000 電力供給制御システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1周波数帯信号を送信する送信機と、ユーザに所持され、前記送信機からの第1周波数帯信号を受信可能なエリアに存在する場合に、当該第1周波数帯信号に呼応して第2周波数帯信号を送信するタグと、接続する外部機器へ電力供給を行うための電源供給装置と、コントローラとを備える電力供給制御システムであって、
前記コントローラは、
前記タグからの第2周波数帯信号を受信する受信手段と、
前記受信手段により、第2周波数帯信号が受信されたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により第2周波数帯信号が受信されなかった旨の判定がなされたことを含む一定条件を満たす場合に、前記電源供給装置へ所定の制御信号を送信する制御信号送信手段とを備え、
前記電源供給装置は、前記制御信号を受信した際に、前記外部機器への電力供給を停止する
ことを特徴とする電力供給制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−55097(P2012−55097A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196136(P2010−196136)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】