説明

電力管理システムおよび管理サーバ

【課題】住人が自住居の電力使用量と他の住居の電力使用量とを比較する際に、自住居に設置されている電気機器を考慮した精度の高い比較を住人にさせて住人の省エネルギーに対する意識を高める。
【解決手段】電力管理システムは、複数の住居側管理装置1と、管理サーバ2とを備える。各住居側管理装置1は、対応する住居8を自住居とし、自住居における電気機器7を要素とする機器構成の情報を機器構成情報として取得する機器管理部31と、自住居の電力使用量の情報を電力使用量情報として取得する電力情報取得部32と、表示装置4とを備える。管理サーバ2の選定部221は、機器構成情報を用いて、機器構成に含まれる要素の少なくとも一部が同一である他の住居8を比較対象住居として選定する。上記のような電力管理システムにおいて、各住居側管理装置1の表示装置4は、比較対象住居の電力使用量情報を自住居の電力使用量情報とともに表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の住居の電力使用量を管理する電力管理システムおよび管理サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の住居の電力使用量を管理する電力管理システムとして、住人に対して自住居の電力使用量と他の住居の電力使用量とを表示するシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のシステムでは、センターサーバが各住居の電力使用量情報を取得して地域ごとに分類し、自住居と同じ地域にある他の住居の電力使用量情報を自住居のネット端末に配信する。特許文献1に記載のシステムによれば、住人は、自住居の電力使用量と同じ地域にある他の住居の電力使用量とを比較することができる。
【0004】
また、特許文献1に記載のシステムは、各住居の電力使用量情報を世帯人数または年齢構成のような家族構成ごとに分類し、自住居と同一家族構成である他の住居の電力使用量情報をネット端末に配信することもできる。また、特許文献1に記載のシステムは、各住居の電力使用量情報を建物構造ごとに分類し、自住居と同一建物構造である他の住居の電力使用量情報をネット端末に配信することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−92681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムのように地域、家族構成または建物構造が同一であったとしても、住人の生活水準または嗜好によって、各住居に設置されている電気機器の種類および台数は異なる。このため、特許文献1に記載のシステムでは、住人に対して地域、家族構成または建物構造が同一の住居間で電力使用量を比較させても、住人の省エネルギーに対する意識を十分に高めることができなかった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みて為され、本発明の目的は、住人が自住居の電力使用量と他の住居の電力使用量とを比較する際に、自住居に設置されている電気機器を考慮した精度の高い比較を住人にさせて住人の省エネルギーに対する意識を高めることができる電力管理システムおよび管理サーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電力管理システムは、それぞれ電気機器が設置されている複数の住居の電力使用量を管理する電力管理システムであって、住居に対応して設けられ、自住居における前記電気機器を要素とする機器構成の情報を機器構成情報として取得する機器構成情報取得部と、前記自住居の電力使用量の情報を電力使用量情報として取得する電力情報取得部と、前記自住居の前記電力使用量情報を提示する提示部とを有する住居側管理装置を複数備えるとともに、前記機器構成情報を用いて、前記機器構成に含まれる前記要素の少なくとも一部が同一である他の住居を比較対象住居として選定する選定部を備え、各住居側管理装置の前記提示部は、前記比較対象住居の前記電力使用量情報を前記自住居の前記電力使用量情報とともに提示することを特徴とする。
【0009】
この電力管理システムにおいて、各住居側管理装置とネットワークを介して通信を行う管理サーバを備え、前記管理サーバは、前記選定部と、前記通信によって各住居側管理装置から前記機器構成情報および前記電力使用量情報を取得する通信部と、前記提示部に対して前記比較対象住居の前記電力使用量情報を前記自住居の前記電力使用量情報とともに提示させる提示制御部とを有し、各住居側管理装置の前記提示部は、前記提示制御部の指示に従って、前記比較対象住居の前記電力使用量情報を前記自住居の前記電力使用量情報とともに提示することが好ましい。
【0010】
この電力管理システムにおいて、各住居には、前記電気機器が複数設置され、各住居側管理装置の前記機器構成情報取得部は、前記自住居に設置されている各電気機器から機器種別の情報を取得し、前記選定部は、前記機器構成情報として所定機器種別および当該所定機器種別の電気機器の個数の各情報を用いて、前記比較対象住居を選定することが好ましい。
【0011】
この電力管理システムにおいて、前記選定部は、前記所定機器種別を、定格電力が規定値以上である電気機器の機器種別とし、前記機器構成に含まれる前記要素のうち定格電力が当該規定値以上である要素が同一である他の住居を前記比較対象住居として選定することが好ましい。
【0012】
この電力管理システムにおいて、前記選定部は、前記比較対象住居を選定することができなかった場合に、前記規定値をこれまでよりも大きくし、定格電力が前記規定値以上である要素の数を減らして前記比較対象住居を選定することが好ましい。
【0013】
この電力管理システムにおいて、前記選定部は、前記所定機器種別を、定格電力が規定範囲内である電気機器の機器種別とし、前記機器構成に含まれる前記要素のうち定格電力が当該規定範囲内である要素が同一である他の住居を前記比較対象住居として選定することが好ましい。
【0014】
この電力管理システムにおいて、前記電力使用量情報は、前記電気機器の機器種別ごとの電力使用量の情報であることが好ましい。
【0015】
本発明の管理サーバは、それぞれ電気機器が設置されている複数の住居に対して互いに異なる住居に対応して設けられた複数の住居側管理装置とネットワークを介して通信を行う管理サーバであって、前記通信によって各住居側管理装置から自住居における前記電気機器を要素とする機器構成の情報を機器構成情報として取得するとともに前記自住居の電力使用量の情報を電力使用量情報として取得する通信部と、前記機器構成情報を用いて、前記機器構成に含まれる前記要素の少なくとも一部が同一である他の住居を比較対象住居として選定する選定部と、各住居の提示装置に対して前記比較対象住居の前記電力使用量情報を前記自住居の前記電力使用量情報とともに提示させる提示制御部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、設置されている電気機器の少なくとも一部が自住居と同一である他の住居を比較対象住居として選定し、比較対象住居の電力使用量情報を自住居の電力使用量情報とともに提示することによって、住人が自住居の電力使用量と他の住居の電力使用量とを比較する際に、自住居に設置されている電気機器を考慮した精度の高い比較を住人にさせることができる。その結果、本発明によれば、住人の省エネルギーに対する意識を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1に係る電力管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同上に係る電力管理システムで用いられるデータフォーマットを示す図である。
【図3】実施形態2に係る管理サーバの構成を示すブロック図である。
【図4】同上に係る電力管理システムで用いられる機器種別と基準定格電力との対応関係を示す図である。
【図5】同上に係る電力管理システムの使用例であって、(a)が各住居における電気機器の設置状態を示す図、(b)が機器種別と基準定格電力との対応関係を示す図である。
【図6】実施形態3に係る電力管理システムの使用例であって、各住居における電気機器の設置状態を示す図である。
【図7】実施形態4に係る電力管理システムにおいて、ブレーカ系統と機器種別との対応関係を示す図である。
【図8】同上に係る電力管理システムで用いられるデータフォーマットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の実施形態1〜4では、複数の住居の電力使用量を管理する電力管理システムについて説明する。
【0019】
(実施形態1)
実施形態1に係る電力管理システムは、図1に示すように、互いに異なる住居8に対応して設けられる複数(図示例では2台)の住居側管理装置1と、各住居側管理装置1と通信する管理サーバ2とを備えている。各住居8には、それぞれ複数(図示例では4台)の電気機器7が設置されている。
【0020】
各住居側管理装置1は、対応する住居8を自住居とし、自住居に設置されている各電気機器7を制御するコントローラ3と、表示機能を有する表示装置4とを備え、自住居に設置された分電盤5に接続されている。
【0021】
分電盤5は、各ブレーカ系統ごとに消費された電力量(電力使用量)を計測する電力計測機能を有している。
【0022】
コントローラ3は、プロセッサが搭載されたコンピュータを主構成要素とし、機器管理部31と、電力情報取得部32と、住居側通信部33と、記憶装置34とを備えている。コントローラ3は、例えばインターネットなどのネットワーク6に接続され、ネットワーク6を介して管理サーバ2と通信する。
【0023】
機器管理部31は、各電気機器7から機器情報を個別に取得する。図2(a)に示すように、機器情報には、機器種別と定格電力との各情報が含まれている。機器管理部31は、機器情報を含む機器構成情報を作成することができる。機器管理部31は、本発明の機器構成情報取得部に相当する。機器管理部31(コントローラ3)と各電気機器7との間の通信手段は、有線であっても無線(例えば赤外線など)であってもよい。また、機器管理部31は、各電気機器7を個別に制御して運転と停止を切り替えたり、各電気機器7の動作状態を個別に取得したりする。
【0024】
機器構成情報は、図2(b)に示すように、住居8ごとに予め割り当てられた住居IDと、自住居に設置されている電気機器7の機器台数(住居内機器台数)と、各電気機器7の機器情報とで構成されている。電気機器7によっては同じ機器種別であっても定格電力が異なる場合があるので、機器構成情報(住居IDを除く)は例えば以下のようになる。つまり、定格電力800Wのエアコンと定格電力900Wのエアコンとは別機器として扱われる。
【0025】
(住居内機器台数)4
(機器種別)エアコン−(定格電力)800W
(機器種別)エアコン−(定格電力)900W
(機器種別)冷蔵庫−(定格電力)450W
(機器種別)洗濯機−(定格電力)650W
【0026】
また、同じ品番の機種が複数存在する場合、機器構成情報(住居IDを除く)は以下のようになる。以下の例では、定格電力900Wのエアコンが2台存在する例である。つまり、定格電力800Wのエアコンが1台、定格電力900Wのエアコンが2台として扱われる。
【0027】
(住居内機器台数)5
(機器種別)エアコン−(定格電力)800W
(機器種別)エアコン−(定格電力)900W
(機器種別)エアコン−(定格電力)900W
(機器種別)冷蔵庫−(定格電力)450W
(機器種別)洗濯機−(定格電力)650W
【0028】
電力情報取得部32は、自住居で消費された電力使用量の情報を分電盤5から収集する。本実施形態の電力情報取得部32は、自住居の1ヶ月分の総電力使用量の情報を収集する。つまり、本実施形態の電力情報取得部32は、ブレーカ系統別に電力使用量の情報を収集する必要はなく、各ブレーカ系統の電力使用量の総和(総電力使用量)の情報でよい。なお、分電盤5からブレーカ系統別の電力使用量の情報が通知される場合、コントローラ3は、ブレーカ系統別の電力使用量の情報を用いて総電力使用量を求める。また、1ヶ月分のデータの蓄積は分電盤5側で行われてもよいし、コントローラ3側で行われてもよい。さらに、電力情報取得部32は、総電力使用量の情報を上記のように月単位で収集することに限定されず、週単位または日単位で収集してもよい。
【0029】
電力情報取得部32は、分電盤5から収集した情報から電力使用量情報を作成する。電力使用量情報は、図2(d)に示すように、住居IDと、年月情報と、月単位の総電力使用量情報とで構成されている。
【0030】
住居側通信部33は、各電気機器7の機器情報を含む機器構成情報および電力使用量情報を管理サーバ2に送信する。なお、住居側通信部33は、機器構成情報と電力使用量情報とを同時に送信してもよいし、個別に送信してもよい。
【0031】
記憶装置34は、機器情報および機器構成情報を記憶したり、分電盤5からコントローラ3に収集された情報および電力使用量情報を記憶したりする。
【0032】
管理サーバ2は、プロセッサが搭載されたコンピュータで構成され、サーバ側通信部21と、データ処理装置22と、コンテンツ管理装置23と、第1の記憶装置24と、第2の記憶装置25とを備えている。
【0033】
サーバ側通信部21は、各住居側管理装置1とネットワーク6を介して通信を行う。具体的には、サーバ側通信部21は、上記通信によって、各住居側管理装置1のコントローラ3から機器構成情報および電力使用量情報を取得する。サーバ側通信部21は、本発明の通信部に相当する。
【0034】
データ処理装置22は、コントローラ3からの機器構成情報を参照し、同一の住居IDの機器構成情報が既に登録(記憶)されているか否かを検索する。未登録の場合、データ処理装置22は、上記機器構成情報を新規に登録する。一方、同一の住居IDの機器構成情報が既に登録されている場合、データ処理装置22は、取得した内容に機器構成情報を更新する。
【0035】
また、データ処理装置22は、以下の選定部221の機能を実行する。選定部221は、各住居側管理装置1から機器構成情報を取得し、上記機器構成情報を用いて、住居8ごとに機器構成に含まれる電気機器7の組み合わせが同一である他の住居8を比較対象住居として選定する。なお、機器構成に含まれる電気機器7の組み合わせが同一である住居8が複数該当する場合、選定部221は、該当する全ての住居8を比較対象住居として選定する。
【0036】
コンテンツ管理装置23は、以下のコンテンツ作成部231と表示制御部232との各機能を実行する。
【0037】
コンテンツ作成部231は、自住居の電力使用量情報と比較対象住居の電力使用量情報とを表示装置4に表示させるためのWebコンテンツを作成する。コンテンツ作成部231で作成されたWebコンテンツは、第2の記憶装置25に記憶される。
【0038】
表示制御部232は、表示装置4からの要求に応じて、要求元の表示装置4に対して、第2の記憶装置25に記憶されているWebコンテンツを提供(配信)して、比較対象住居の電力使用量情報を自住居の電力使用量情報とともに表示させる。つまり、コンテンツ管理装置23は、Webサーバ機能を有していることになる。
【0039】
第1の記憶装置24は、機器構成情報記憶部241と、電力使用量情報記憶部242とを備えている。機器構成情報記憶部241は、図2(c)に示すように、住居8ごとに機器構成情報を記憶している。電力使用量情報記憶部242は、図2(e)に示すように、住居8ごとに電力使用量情報を記憶している。電力使用量情報記憶部242は、最新月の電力使用量情報だけではなく、過去の履歴も記憶している。これにより、コンテンツ管理装置23は、最新月の電力使用量情報だけではなく、例えば1年前の電力使用量情報を表示装置4に表示させることもできる。
【0040】
上記のような構成の電力管理システムにおいて、各住居側管理装置1の表示装置4は、管理サーバ2からWebコンテンツの提供を受け、このWebコンテンツを表示するWebブラウザとしての機能を有している。コンテンツ管理装置23がWebサーバであるのに対し、表示装置4はWebクライアントになる。表示装置4は、管理サーバ2にアクセスすると、管理サーバ2の表示制御部232の指示に従ってWebコンテンツが配信され、比較対象住居の電力使用量情報を自住居の電力使用量情報とともに表示する。表示装置4は、本発明の提示部および提示装置に相当する。
【0041】
次に、本実施形態に係る電力管理システムの動作について説明する。最初に電力管理システムの立ち上げ動作について説明する。まず、コントローラ3および各電気機器7に電源が投入されると、各電気機器7はコントローラ3に対して機器情報を通知する。コントローラ3は、各電気機器7から機器情報を取得した後、管理サーバ2に機器構成情報を送信する。その後、管理サーバ2は、コントローラ3から取得した機器構成情報を参照し、同一の住居IDの機器構成情報が未登録の場合、上記機器構成情報を新規に登録する。一方、同一の住居IDの機器構成情報が既に登録されている場合、管理サーバ2は、受信した内容に機器構成情報を更新する。
【0042】
続いて、住居8間の電力使用量情報の提供について説明する。まず、分電盤5は、コントローラ3に総電力使用量の情報を通知する。その後、コントローラ3は、電力使用量情報を管理サーバ2に送信する。管理サーバ2は、上記電力使用量情報を電力使用量情報記憶部242に書き込む。その後、管理サーバ2は、上記電力使用量情報の住居IDに対応する機器構成情報を機器構成情報記憶部241から読み出し、同一の機器構成を持つ住居IDを機器構成情報記憶部241から検索する。管理サーバ2は、該当した住居IDについて、上記電力使用量情報と同じ年月の電力使用量情報を参照する。その後、管理サーバ2は、該当した住居IDの住居8を比較対象住居に選定し、自住居の電力使用量情報(総電力使用量情報、年月情報)および比較対象住居の電力使用量情報をWebコンテンツへ反映する。
【0043】
続いて、自住居および比較対象住居の電力使用量情報の表示について説明する。まず、住人が表示装置4への操作により、「当月の電力使用量」のメニューを選択する。上記メニューのURLは管理サーバ2にリンクされている。管理サーバ2は、アクセス元(要求元)の住居IDを確認し、Webコンテンツを要求元の表示装置4に配信する。要求元の表示装置4は、管理サーバ2からWebコンテンツが配信されると、自住居および比較対象住居の電力使用量情報を表示する。
【0044】
以上、本実施形態の電力管理システムによれば、設置されている各電気機器7の組み合わせが自住居と同一である他の住居8を比較対象住居として選定し、比較対象住居の電力使用量情報を自住居の電力使用量情報とともに提示している。これにより、住人が自住居の電力使用量と他の住居8の電力使用量とを比較する際に、自住居に設置されている電気機器7を考慮した精度の高い比較を住人にさせることができる。その結果、本実施形態の電力管理システムによれば、住人の省エネルギーに対する意識を高めることができる。
【0045】
(実施形態2)
実施形態2に係る電力管理システムは、定格電力の大きな電気機器7の組み合わせが同一である他の住居8を比較対象住居として選定する点で、実施形態1に係る電力管理システムと相違する。以下、本実施形態の電力管理システムについて図1および図3〜5を用いて説明する。なお、実施形態1の電力管理システムと同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
本実施形態の管理サーバ2において、第1の記憶装置24は、図3に示すように、機器種別ごとに基準定格電力を予め記憶する基準定格電力情報記憶部243を備えている。
【0047】
基準定格電力は、図4に示すように、機器種別(エアコン、洗濯機、冷蔵庫など)ごとに規定されている。例えば同じエアコンであっても、メーカや機種(品番)によって定格電力が異なるが、代表的な値によって基準定格電力が決定されている。基準定格電力の決定方法については特に限定されず、例えば、各住居8から得られる機器構成情報に含まれている定格電力の平均値を基準定格電力とする方法、今年度に各メーカから発売された機種の平均値を基準定格電力とする方法または前年度に最もよく売れた機種のトップ5の平均値を基準定格電力とする方法などがある。
【0048】
本実施形態の選定部221は、各住居側管理装置1(図1参照)の機器構成情報を用いて、基準定格電力が規定値以上である電気機器7(図1参照)の組み合わせが同一である他の住居8を比較対象住居として選定する。規定値は、予め設定された値である。
【0049】
次に、本実施形態に係る電力管理システムにおいて、住居8間の電力使用量情報の提供について説明する。まず、実施形態1と同様に、コントローラ3(図1参照)が電力使用量情報を管理サーバ2に送信し、管理サーバ2が電力使用量情報を電力使用量情報記憶部242に書き込む。また、管理サーバ2は、各機器種別の基準定格電力情報を読み出し、基準定格電力が規定値以上である機器種別を全て記憶する。その後、管理サーバ2は、上記電力使用量情報の住居IDに対応する機器構成情報を読み出し、基準定格電力が規定値以上である機器種別の電気機器7について同一の組み合わせを持つ住居IDを機器構成情報記憶部241から検索する。管理サーバ2は、該当した住居IDについて、上記電力使用量情報と同じ年月の電力使用量情報を参照する。その後、管理サーバ2は、該当した住居IDの住居8を比較対象住居に選定し、自住居の電力使用量情報(総電力使用量情報、年月情報)と比較対象住居の電力使用量情報とをWebコンテンツへ反映する。
【0050】
次に、本実施形態に係る電力管理システムの使用例について図5を用いて説明する。図5(a)は、ある住居8(自住居81)に対して4戸の他の住居8(他住居82〜85)が存在する場合である。自住居81には、機器種別「A」である第1の電気機器71が2台、機器種別「B」である第2の電気機器72が1台、機器種別「C」である第3の電気機器73が2台、機器種別「D」である第4の電気機器74が2台の計7台の電気機器7が設置されている。なお、自住居81には、機器種別「E」である第5の電気機器75および機器種別「F」である第6の電気機器76は設置されていない。
【0051】
規定値が500Wである場合、図5(b)に示すように、第1〜3の電気機器71〜73が比較対象となる。管理サーバ2は、他住居82〜85の機器構成情報から、第1の電気機器71が2台、第2の電気機器72が1台、第3の電気機器73が2台である他の住居8を検索する。その結果、管理サーバ2は、他住居84を比較対象住居に選定する。他住居82,83,85は、第1〜3の電気機器71〜73の各台数が自住居81と同一ではないため、比較対象住居には選定されない。
【0052】
以上、本実施形態の電力管理システムによれば、基準定格電力が大きい電気機器7の組み合わせによって比較対象住居を選定することによって、電力使用量への影響度を考慮しながら、比較対象住居の選択肢を増やすことができる。
【0053】
なお、本実施形態の変形例として、管理サーバ2の選定部221は、基準定格電力を用いて比較対象住居を選定するのではなく、各電気機器7ごとに実測された電力(電力量)を定格電力とし、この定格電力が規定値以上である電気機器7の組み合わせが同一である他の住居8を比較対象住居として選定してもよい。また、選定部221は、各電気機器7の定格電力をそのまま用いて、比較対象住居を選定してもよい。以下の実施形態3,4においても同様である。
【0054】
また、本実施形態の変形例として、選定部221は、定格電力が規定値以上である電気機器7の組み合わせではなく、定格電力が規定範囲内(下限値以上かつ上限値以下)である電気機器7の組み合わせが同一である他の住居8を比較対象住居として選定してもよい。以下の実施形態3,4においても同様である。例えば自住居にエアコンが設置されている場合、選定部221は、自住居と他の住居8との間でエアコンの台数が同じであり、他の住居8に設置されているエアコンの定格電力が自住居のエアコンとほぼ同じ大きさであるときは、上記の住居8を比較対象住居として選定する。一方、自住居と他の住居8との間でエアコンの台数が同じであっても、他の住居8に設置されているエアコンの定格電力が自住居のエアコンと大きく異なるときは、選定部221は、上記の住居8を比較対象住居として選定しない。また、選定部221は、他の住居8において、自住居の電気機器7と同じ型番の電気機器7が存在しなければ、比較対象住居として選定しないようにしてもよい。
【0055】
(実施形態3)
実施形態3に係る電力管理システムは、比較対象住居を選定することができなかった場合に規定値を大きくして、再度、比較対象住居を選定する点で、実施形態2に係る電力管理システムと相違する。以下、本実施形態の電力管理システムについて図1,3および図6を用いて説明する。なお、実施形態2の電力管理システムと同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
本実施形態の選定部221(図3参照)は、比較対象住居を選定することができなかった場合に、規定値をこれまでよりも大きくする。その後、選定部221は、基準定格電力が規定値以上である電気機器7(図1参照)の数を減らして比較対象住居を選定する。
【0057】
次に、本実施形態に係る電力管理システムにおいて、住居8間の電力使用量情報の提供について説明する。まず、実施形態2と同様に、コントローラ3(図1参照)が電力使用量情報を管理サーバ2(図3参照)に送信し、管理サーバ2が電力使用量情報を電力使用量情報記憶部242(図3参照)に書き込む。また、管理サーバ2は、各機器種別の基準定格電力情報を読み出し、基準定格電力が規定値以上である機器種別を全て記憶する。その後、管理サーバ2は、上記電力使用量情報の住居IDに対応する機器構成情報を読み出し、基準定格電力が規定値以上である機器種別の電気機器7について同一の組み合わせを持つ住居IDを機器構成情報記憶部241(図3参照)から検索する。
【0058】
検索により該当する住居IDが見つからなかった場合、管理サーバ2は、規定値を大きくする。該当する住居IDが見つかるまで繰り返す。
【0059】
その後、管理サーバ2は、該当した住居IDについて、上記電力使用量情報と同じ年月の電力使用量情報を参照する。その後、管理サーバ2は、該当した住居IDの住居8を比較対象住居に選定し、自住居の電力使用量情報(総電力使用量情報、年月情報)と比較対象住居の電力使用量情報とをWebコンテンツへ反映する。
【0060】
次に、本実施形態に係る電力管理システムの使用例について図6を用いて説明する。図6に示すように、実施形態2と同様、自住居81に対して4戸の他住居82〜85が存在する場合について説明する。ただし、自住居81および他住居82,83,85の機器構成は実施形態2の場合と同じであるが、他住居84の機器構成は実施形態2の場合とは異なる。他住居84には、機器種別「A」である第1の電気機器71が2台、機器種別「B」である第2の電気機器72が1台、機器種別「C」である第3の電気機器73が3台、機器種別「D」である第4の電気機器74が1台、機器種別「E」である第5の電気機器75が1台の計8台の電気機器7が設置されている。なお、本実施形態における第1〜6の電気機器71〜76の基準定格電力は、実施形態2の場合と同じである(図5(b)参照)。
【0061】
規定値の初期値が300Wである場合、第1〜4の電気機器71〜74が比較対象となる(図5(b)参照)。この場合、他住居82〜85に機器構成が同じ住居は存在しないため、管理サーバ2は規定値を500Wに変更する。この場合、第1〜3の電気機器71〜73が比較対象となる。しかしながら、この場合も他住居82〜85に機器構成が同じ住居は存在しない。規定値を700Wに変更した場合は規定値が500Wである場合と条件が変わらないため、管理サーバ2は、規定値を900Wに変更する。この場合、第1,2の電気機器71,72が比較対象となる。他住居84,85が自住居81と同一の機器構成であるため、管理サーバ2は、他住居84,85を比較対象住居に選定する。
【0062】
以上、本実施形態の電力管理システムによれば、比較対象住居を選定することができなかった場合に、規定値をこれまでよりも大きくし、基準定格電力が規定値以上である電気機器7の数を減らしてから、再度、比較対象住居を選定している。これにより、他の住居8との機器構成の類似具合と総電力使用量に占める各電気機器7の電力使用量の割合とを考慮しながら、最適な比較対象住居を選定することができる。
【0063】
(実施形態4)
実施形態4に係る電力管理システムは、自住居および比較対象住居の機器種別ごとの電力使用量情報を表示する点で、実施形態3に係る電力管理システムと相違する。以下、本実施形態の電力管理システムについて図1,3および図7,8を用いて説明する。なお、実施形態3の電力管理システムと同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
本実施形態では、図7に示すように、各電気機器7(図1参照)が機器種別単位で分電盤5(図1参照)の各ブレーカ系統に接続されている。ブレーカ系統と機器種別との対応関係は、コントローラ3(図1参照)および管理サーバ2(図3参照)で共有されている。
【0065】
本実施形態の電力情報取得部32(図1参照)は、ブレーカ系統別に1ヶ月分の電力使用量の情報を分電盤5から収集する。分電盤5から収集した情報は、図8(a)に示すように、ブレーカ系統情報と、系統別電力使用量情報とで構成されている。上記より、本実施形態の電力情報取得部32は、機器種別ごとの1ヶ月分の電力使用量の情報を取得することができる。電力情報取得部32は、分電盤5から収集した情報を用いて電力使用量情報を作成する。本実施形態の電力使用量情報は、図8(b)に示すように、住居IDと、年月情報と、総電力使用量情報と、ブレーカ系統情報と、系統別電力使用量情報とで構成されている。
【0066】
次に、本実施形態に係る電力管理システムの動作について説明する。まず、分電盤5は、コントローラ3に各ブレーカ系統の電力使用量の情報を通知する。その後、コントローラ3は、電力使用量情報を管理サーバ2に送信する。管理サーバ2は、上記電力使用量情報を電力使用量情報記憶部242に書き込む。その後、実施形態3と同様の手順によって、管理サーバ2は比較対象住居を選定する。その後、管理サーバ2は、自住居および比較対象住居の電力使用量情報のうち、基準定格電力が規定値以上である電気機器7に該当するブレーカ系統の電力使用量の情報を読み出す。管理サーバ2は、自住居および比較対象住居における上記ブレーカ系統の電力使用量の情報をWebコンテンツへ反映する。
【0067】
その後、住人が表示装置4(図1参照)への操作により、「当月の電力使用量」のメニューを選択する。上記メニューのURLは管理サーバ2にリンクされている。管理サーバ2は、アクセス元の住居IDを確認し、Webコンテンツを配信する。表示装置4は、管理サーバ2からWebコンテンツが配信されると、自住居の当月における上記ブレーカ系統の電力使用量の情報と、比較対象住居の同月における上記ブレーカ系統の電力使用量の情報とを表示する。
【0068】
以上、本実施形態の電力管理システムによれば、自住居と比較対象住居との間で機器種別ごとに電力使用量を比較することができる。
【0069】
なお、本実施形態のように機器種別ごとに電力使用量を表示するための構成を実施形態1,2の電力管理システムに適用してもよい。
【0070】
実施形態1〜4では提示部(提示装置)として表示装置4を用いているが、実施形態1〜4の変形例として、提示部にスピーカを用いてもよい。本変形例の場合、提示部であるスピーカは、比較対象住居の電力使用量情報を自住居の電力使用量情報とともに音声出力する。
【0071】
また、実施形態1〜4においては、機器管理部31と、電力情報取得部32と、記憶装置34とが住居8に設けられ、選定部221の機能を実行するデータ処理装置22と、コンテンツ作成部231および表示制御部232の各機能を実行するコンテンツ管理装置23と、第1の記憶装置24と、第2の記憶装置25とが管理サーバ2に設けられているが、この構成には限定されない。
【0072】
例えば、機器管理部31と電力情報取得部32と記憶装置34との一部または全部が管理サーバ2に設けられていてもよい。また、データ処理装置22とコンテンツ管理装置23と第1の記憶装置24と第2の記憶装置25との一部または全部が住居8に設けられていてもよい。データ処理装置22とコンテンツ管理装置23と第1の記憶装置24と第2の記憶装置25との全部が住居8に設けられ、管理サーバ2が省略された分散型の電力管理システムでは、複数の住居8間で住居側管理装置1同士が通信する。
【符号の説明】
【0073】
1 住居側管理装置
2 管理サーバ
21 サーバ側通信部(通信部)
221 選定部
232 表示制御部(提示制御部)
243 基準定格電力記憶部(記憶部)
31 機器管理部(機器構成情報取得部)
32 電力情報取得部
4 表示装置(提示部、提示装置)
6 ネットワーク
7 電気機器
8 住居

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ電気機器が設置されている複数の住居の電力使用量を管理する電力管理システムであって、
住居に対応して設けられ、自住居における前記電気機器を要素とする機器構成の情報を機器構成情報として取得する機器構成情報取得部と、前記自住居の電力使用量の情報を電力使用量情報として取得する電力情報取得部と、前記自住居の前記電力使用量情報を提示する提示部とを有する住居側管理装置を複数備えるとともに、
前記機器構成情報を用いて、前記機器構成に含まれる前記要素の少なくとも一部が同一である他の住居を比較対象住居として選定する選定部を備え、
各住居側管理装置の前記提示部は、前記比較対象住居の前記電力使用量情報を前記自住居の前記電力使用量情報とともに提示する
ことを特徴とする電力管理システム。
【請求項2】
各住居側管理装置とネットワークを介して通信を行う管理サーバを備え、
前記管理サーバは、前記選定部と、前記通信によって各住居側管理装置から前記機器構成情報および前記電力使用量情報を取得する通信部と、前記提示部に対して前記比較対象住居の前記電力使用量情報を前記自住居の前記電力使用量情報とともに提示させる提示制御部とを有し、
各住居側管理装置の前記提示部は、前記提示制御部の指示に従って、前記比較対象住居の前記電力使用量情報を前記自住居の前記電力使用量情報とともに提示する
ことを特徴とする請求項1記載の電力管理システム。
【請求項3】
各住居には、前記電気機器が複数設置され、
各住居側管理装置の前記機器構成情報取得部は、前記自住居に設置されている各電気機器から機器種別の情報を取得し、
前記選定部は、前記機器構成情報として所定機器種別および当該所定機器種別の電気機器の個数の各情報を用いて、前記比較対象住居を選定する
ことを特徴とする請求項1または2記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記選定部は、前記所定機器種別を、定格電力が規定値以上である電気機器の機器種別とし、前記機器構成に含まれる前記要素のうち定格電力が当該規定値以上である要素が同一である他の住居を前記比較対象住居として選定することを特徴とする請求項3記載の電力管理システム。
【請求項5】
前記選定部は、前記比較対象住居を選定することができなかった場合に、前記規定値をこれまでよりも大きくし、定格電力が前記規定値以上である要素の数を減らして前記比較対象住居を選定することを特徴とする請求項4記載の電力管理システム。
【請求項6】
前記選定部は、前記所定機器種別を、定格電力が規定範囲内である電気機器の機器種別とし、前記機器構成に含まれる前記要素のうち定格電力が当該規定範囲内である要素が同一である他の住居を前記比較対象住居として選定することを特徴とする請求項3記載の電力管理システム。
【請求項7】
前記電力使用量情報は、前記電気機器の機器種別ごとの電力使用量の情報であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の電力管理システム。
【請求項8】
それぞれ電気機器が設置されている複数の住居に対して互いに異なる住居に対応して設けられた複数の住居側管理装置とネットワークを介して通信を行う管理サーバであって、
前記通信によって各住居側管理装置から自住居における前記電気機器を要素とする機器構成の情報を機器構成情報として取得するとともに前記自住居の電力使用量の情報を電力使用量情報として取得する通信部と、
前記機器構成情報を用いて、前記機器構成に含まれる前記要素の少なくとも一部が同一である他の住居を比較対象住居として選定する選定部と、
各住居の提示装置に対して前記比較対象住居の前記電力使用量情報を前記自住居の前記電力使用量情報とともに提示させる提示制御部とを有する
ことを特徴とする管理サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−48409(P2012−48409A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188827(P2010−188827)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】