説明

電力線通信システムおよびこの電力線通信システムで用いられる通信装備

本発明は、PLC回線接続多重化器およびPLCカップリング装置を含む電力線通信システムおよびこの電力線通信システムで用いられる通信装備に関する。本発明の電力線通信システムによれば、主に電話局内に設置されるPLC回線接続多重化器がデータ信号をPLCフレーム信号に変換して各需要家に送信することで、同じアパート団地内の加入者など互いに近距離に位置する多数の需要家間に通信を実行する場合に、PLCモデムを介したPLCフレーム信号のプロトコル変換およびPLC回線接続多重化器の制御を必要とせずに、各需要家が互いにPLCフレーム信号を直接に送受信できるようにする効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PLC(Power Line Communication)回線接続多重化器およびPLCカップリング装置を含む電力線通信システムおよびこの電力線通信システムで用いられる通信装備に関し、より詳細には、主に電話局に設置されるPLC回線接続多重化器を介してIP(Internet Protocol)ネットワークから受信するデータ信号を所定のPLCプロトコルに応じるPLCフレーム信号に変換して電話回線を介して1つ以上の需要家に送信し、需要家に設置されたPLCカップリング装置が電話回線を介してPLCフレーム信号を受信した後に、PLCフレーム信号を電力線にカップリングして1つ以上の通信端末機に電力線を介して送信する電力線通信システムおよびこの電力線通信システムで用いられる通信装備に関する。
【背景技術】
【0002】
電力線通信(以下、PLCとする)とは、家庭や事務室に電力供給用として配線されている電力線を介してデータ信号を送受信する通信方式を指称する。すなわち、ACラインにデータ信号を高周波信号に変調して送信し、この信号を50Hzまたは60Hz遮断周波数を有している高周波フィルタを用いて分離して受信することで、電力線通信を実現することができるのである。
【0003】
電力線通信技術は、既存の配線を用いてネットワークを構築することができるため、追加配線工事による費用の負担がないという長所がある。また、ネットワーク網が構築された後にも追加機器をプラグイン(Plug In)するだけでネットワークに追加させることができる拡張性が保障されているため、各種の有無線ネットワークソリューションに広く適用されている。
【0004】
図1は、従来技術に係る電話回線網を用いた加入者網と宅内電力線通信システムとのネットワーク構成を示す図である。
【0005】
図1に示す従来技術によれば、電話局110内に私設交換機112とともにデジタル加入者回線接続多重化器(以下、DSLAM(Dgital Subscriber Line Access Multiplexer)とする)111が設置される。DSLAM111は、xDSLモデムから送受信されるデータを集めてIPネットワークに送信するxDSL接続のための多重化装備である。すなわち、DSLAM111は、xDSL加入者とサービス提供会社とのインターフェースの役割を行い、xDSL加入者に多様なネットワーク機能を提供することができるのである。
【0006】
図1において、DSLAM111は、VODシステム、VoIPシステム、またはインターネット網から受信したデータ信号を多重化し、電話回線114を介して加入者端120のxDSLモデム123に送信する。このとき、電話回線114は、私設交換機112と連結した電話回線とカプラ113によってカップリングするようになる。すなわち、DSLAM111から送信されるデータ信号は、カプラ113によって私設交換機112から送信される音声信号とカップリング(Coupling)して加入者端120に設置されたカプラ121にともに送信されるのである。
【0007】
加入者端120に設置されたカプラ121は、電話回線114を介してカップリングした音声信号およびデータ信号を受信する。カプラ121は音声信号およびデータ信号をそれぞれ分離し、音声信号は電話機122に送信するし、データ信号はxDSLモデム123に送信する。
【0008】
xDSLモデム123は、データ信号をPLCモデム124に送信し、PLCモデム124は、データ信号を所定のPLCプロトコルに対応する信号に変換して電力線126にカップリングさせ、加入者端120に設置された1つ以上の通信端末機に送信する。
【0009】
1つ以上の通信端末機には、それぞれPLCモデム125が設置される。PLCモデム125は、電力線126を介して送信されたPLC信号からデータ信号を抽出し、抽出されたデータ信号を通信端末機に送信する。通信端末機は、ホームオートメーション装置、パソコン、テレビ、保安システムなどで実現することができる。
【0010】
このような従来技術の電力線通信システムによれば、加入者端で別途の配線工事をしなくても、既存に設置された電力線のみでホームネットワークを初めとした多様な通信サービスを実現することができるという長所がある。しかしながら、電力線通信サービスの加入者は、図1で説明したように、宅内にxDSLモデムとPLCモデムを別途でそれぞれ設置することで電力線通信サービスの提供を受けることができる。また、xDSLモデムとPLCモデムは、加入者端で互いの通信規約に応じたプロトコル変換を常に実行することで外部と信号を送受信することができる。
【0011】
さらに、xDSL通信の場合に、アップリンク(Uplink)およびダウンリンク(Downlink)の周波数帯域が互いに異なるため、加入者端の宅内に設置された1つ以上の通信端末機間の相互接続が不可能であるという短所がある。これと同時に、加入者端1に設置された通信端末機が加入者端2に設置された通信端末機と通信を実行するためには、各加入者端に設置されたPLCモデムを介してプロトコル変換を実行し、DSLAMを介することで加入者端2に設置された通信端末機と通信を実行することができる。
【0012】
例えば、従来技術のように、加入者端にxDSLモデムが設置される場合に、同じアパート団地内の加入者端間に通信を実行したとしても、データ信号が電話局のDSLAMを必ず経由することで通信が可能になる。また、このような従来技術の線路構成によれば、複数の加入者端は互いに1対Nの通信を実行することができず、1対1の通信のみが可能であるという短所がある。
【0013】
これにより、上述した従来技術の問題点を克服し、既存の電話線および電力線をそのまま用いながらも、各加入者端でプロトコル転換を実行せずにPLCフレームをそのまま適用し、加入者端に設置された通信端末機の相互連結を可能にすることで、各加入者端間に1対Nの通信を可能にする電力線通信システムの開発が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上述した従来技術を改善するために案出されたものであって、所定のIPネットワークから受信したデータ信号を所定のPLCプロトコルに対応するPLCフレーム信号に変換して一般の電話回線を介して1つ以上の需要家に送信することで、需要家でxDSLモデムおよびPLCモデムによるデータ信号のPLCプロトコル変換動作を実行しなくても、PLCフレーム信号をそのまま用いることができるようにするPLC回線接続多重化器を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、需要家に引入される電話回線を介して送信されるPLCフレーム信号を電力線にカップリングした後に需要家に設置された1つ以上の通信端末機に電力線を介して送信することで、データ信号のプロトコル変換動作および別途の電源供給がなくても、既存の電話回線および電力線を用いた電力線通信を実現することができるPLCカップリング装置を提供することを他の目的とする。
【0016】
また、本発明は、主に電話局内に設置されるPLC回線接続多重化器がデータ信号をPLCフレーム信号に変換して各需要家に送信することで、同じアパート団地内の加入者など互いに近距離に位置する多数の需要家間に通信を実行する場合に、PLCモデムを介したPLCフレーム信号のプロトコル変換およびPLC回線接続多重化器の制御を必要とせずに、各需要家が互いにPLCフレーム信号を直接に送受信できるようにする電力線通信システムを提供することを他の目的とする。
【0017】
さらに、本発明は、同じアパート団地内の加入者など互いに近距離に位置する多数の需要家に対してPLC回線接続多重化器およびPLCカップリング装置間の区間に設置された電話回線が互いに並列連結するようにカップリングして構成することで、近接区域内の加入者間にPLCプロトコル変換しなくても互いに1対Nの通信を可能にする電力線通信システムを提供することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記の目的を達成し、従来技術の問題点を解決するために、本発明に係るPLC回線接続多重化器は、所定のIPネットワークと接続し、前記IPネットワークからデータ信号を受信する第1通信ポート部と、所定の電話回線と連結する第2通信ポート部(前記電話回線は、交換機および1つ以上の需要家を連結する1つ以上の電話回線とそれぞれカップリングする)と、前記データ信号を所定のPLCプロトコルに対応するPLCフレーム信号に変換するPLC変換部と、前記PLCフレーム信号を前記第2通信ポート部と連結した前記電話回線を介して前記1つ以上の需要家にそれぞれ設置される所定のカップリング装置に送信する送信制御部とを備え、前記カップリング装置は、前記電話回線および所定の電力線とそれぞれ連結し、前記電話回線を介して受信した前記PLCフレーム信号を前記電力線にカップリングして前記需要家に設置された1つ以上の通信端末機に送信することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るPLCカップリング装置は、所定の電話回線と連結し、前記電話回線を介して連結した所定のPLC回線接続多重化器からPLCフレーム信号を受信する電話回線ポート部と、前記需要家に設置された1つ以上の通信端末機と電力線を介して連結する電力線ポート部と、前記PLCフレーム信号を前記電力線にカップリングして前記1つ以上の通信端末機に送信するカップリング制御部とを備え、前記PLC回線接続多重化器は、所定のIPネットワークから受信するデータ信号を所定のPLCプロトコルに対応するPLCフレーム信号に変換し、前記PLCフレーム信号を前記電話回線を介して前記電話回線ポート部に送信することを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る電力線通信システムは、所定のIPネットワークから受信するデータ信号を所定のPLCプロトコルに対応するPLCフレーム信号に変換し、前記PLCフレーム信号を所定の電話回線を介して連結した1つ以上の需要家に送信するPLC回線接続多重化器(前記電話回線は、交換機および前記1つ以上の需要家を連結する1つ以上の電話回線とそれぞれカップリングする)と、前記電話回線および所定の電力線とそれぞれ連結し、前記電話回線を介して受信した前記PLCフレーム信号を前記電力線にカップリングして前記需要家に設置された1つ以上の通信端末機に送信するPLCカップリング装置とを備えることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態に係る電力線通信システムの全体ネットワーク構成を示す図である。
【0023】
本発明の一実施形態に係る電力線通信システムは、電話局210に設置されるPLC回線接続多重化器211、私設交換機212、電話回線213、およびカプラ214と、需要家220に設置されるカプラ221、PLCカップリング装置222、電力線223、およびPLCモデム224を含む。
【0024】
PLC回線接続多重化器211は、主に電話局内に設置することができる。電話局は、企業やアパート団地などの大規模加入者に対して私設交換機(Private Branch Exchange:PBX)212が設置される屋外通信室、集中構内通信室(Main Distribution Frame:MDF)などの私設電話局を含む概念である。図2では、私設交換機212が設置された私設電話局の場合を例示して説明する。
【0025】
PLC回線接続多重化器211は、所定のIPネットワークと連結する。PLC回線接続多重化器211は、IPネットワークを介して受信するデータ信号を所定のPLCプロトコルに対応するPLCフレーム信号に変換する。これは、図3および図4を参照しながらより詳細に説明する。
【0026】
図3は、本発明の一実施形態に係るPLC回線接続多重化器の構成を示すブロック図である。
【0027】
本発明の一実施形態に係るPLC回線接続多重化器300は、第1通信ポート部310と、媒体変換部(Medium Converter:MC)320と、スィッチ330と、PLC変換部340と、送信制御部343と、第2通信ポート部350とを備える。PLC変換部340は、MACアドレス変換部341と、物理階層変換部342とを備える。
【0028】
第1通信ポート部310は、所定のIPネットワークと連結する。第1通信ポート部310は、IPネットワークを介して所定のサーバまたは端末機からデータ信号を受信する。例えば、第1通信ポート部310は、IPネットワークを介して所定のVODサーバから動画データを受信することもできるし、VoIPシステムからVoIP信号を受信することもできる。さらに、インターネットと連結した各種サーバまたは端末機から多様なデータ信号を受信することもできる。第1通信ポート部310は、IPネットワーク規約に対応する多種の通信回線がそれぞれ連結されるように、各通信回線の規格に対応する多種のポートをすべて含んで構成することができる。
【0029】
媒体変換部320は、IPネットワークがメトロ網(Metropolitan Area Network)で実現される場合に、既存の銅線方式のxDSL信号とイーサネット(登録商標)(Ethernet(登録商標))信号との媒体変換を実行する。メトロ網は、企業や機関、個人ユーザの近距離通信網(Local Area Network−LAN)と地域通信事業者の公衆通信網(Public Network)を光ケーブルで連結し、大都市基盤の単一通信網を構築し、イーサネットでデータを送信する通信網を意味する。このような場合に、媒体変換部320は、上述したように互いに異なる通信規約に応じた信号を互いに変換する動作を実行することができる。
【0030】
スィッチ330は、第1通信ポート部310を介してIPネットワークから受信したデータ信号の多重化(Multiplexing)および逆多重化(Demultiplexing)を実行し、データ信号のスイッチング(Switching)を実行する。すなわち、スィッチ330は、一般的な電力線通信システムにおけるDSLAMの機能をすべて含む動作を実行できるのである。
【0031】
PLC変換部340は、IPネットワークから第1通信ポート部310を介して受信するデータ信号を所定のPLCプロトコルに対応するPLCフレーム信号に変換する。PLC変換部340は、MACアドレス変換部341および物理階層変換部342を備えて構成することができる。
【0032】
MACアドレス変換部341は、データ信号のMACアドレスをPLCプロトコルに対応するMACアドレス(MAC Address)に変換する。PLCプロトコルは、当業界で電力線通信プロトコルとして用いられる全種類のプロトコルをすべて含むことができる。したがって、MACアドレス変換部341は、データ信号を各PLCプロトコルに対応する多種のMACアドレスを有するデータ信号に変換できるのである。
【0033】
物理階層変換部342は、MACアドレス変換したデータ信号をPLCプロトコルに対応する物理階層を有するPLCフレーム信号に変調(Modulation)する。すなわち、物理階層変換部342は、MACアドレス変換したデータ信号のチャンネルをPLCプロトコルに応じてカップリングし、変調または復調(Demodulation)できるのである。上述したように、チャンネルカップリングおよび変調を実行することにより、物理階層変換部342は、データ信号をPLCプロトコルに対応するPLCフレーム信号に変換することができる。
【0034】
送信制御部343は、PLCフレーム信号を第2通信ポート部350と連結した電話回線を介して1つ以上の需要家にそれぞれ設置される所定のカップリング装置に送信する。送信制御部343は、PLCフレーム信号を電話回線にアナログ信号でカップリングして送信することができる。このような動作のために、送信制御部343は、所定のカプラを備えて構成することができる。
【0035】
第2通信ポート部350は、上述したように、所定の電話回線と連結する。第2通信ポート部350は、1つ以上の電話回線と連結するように1つ以上の電話回線ポートを備えて構成することができる。すなわち、PLC変換部340は、PLC回線接続多重化器300内部に複数設置することができる。このような場合に、各PLC変換部から出力されるPLCフレーム信号は、第2通信ポート部350が備える各電話回線ポートを介してそれぞれ需要家に送信することができる。さらに、送信制御部343も、PLC変換部340および電話回線ポートの数に対応して複数設置することができる。
【0036】
図4は、本発明の他の実施形態に係るPLC回線接続多重化器の構成を示すブロック図である。
【0037】
本発明の他の実施形態に係るPLC回線接続多重化器400は、第1通信ポート部410と、イーサネットスィッチ420と、PLC変換部430と、送信制御部435と、第2通信ポート部440を備えて構成することができる。
【0038】
第1通信ポート部410、第2通信ポート部440、および送信制御部435は、図3を参照しながら説明した本発明の一実施形態に係るPLC回線接続多重化器300の各構成と同じように実現することができる。
【0039】
イーサネットスィッチ420は、第1通信ポート部410を介してIPネットワークから受信したデータ信号の多重化および逆多重化を実行し、データ信号のスイッチングを実行する。すなわち、イーサネットスィッチ420は、一般的な電力線通信システムにおけるDSLAMの機能をすべて含む動作を実行できるのである。
【0040】
PLC変換部430は、RJ−45(図面符号431)と、イーサネット物理階層変換部432と、MACアドレス変換部433と、物理階層変換部434とを備えて構成することができる。RJ−45(図面符号431)は、イーサネットスィッチとUTPケーブルを介して連結する。RJ−45(図面符号431)は、レセプタクルとプラグを備えるジャックで実現することができる。イーサネット物理階層変換部432は、一般的なイーサネット通信のための物理階層変換を実行することができる。MACアドレス変換部433および物理階層変換部434の構成および動作は、図3を参照しながら説明した本発明の一実施形態に係る構成および動作と同じように実現することができる。
【0041】
このように、本発明に係るPLC回線接続多重化器300および400は、IPネットワーク網の実現方式に応じて多様な構成要素を備えて実現することができる。
【0042】
各PLC回線接続多重化器300および400に連結する電話回線は、交換機および1つ以上の需要家を連結する1つ以上の電話回線とそれぞれカップリングすることができる。これについては、再び図2を参照しながらより詳細に説明する。
【0043】
再び図2において、PLC回線接続多重化器211と連結した電話回線213は、私設交換機212と連結した電話回線とカプラ214を介して連結することができる。カプラ214は、私設交換機212から送信される音声信号とPLC回線接続多重化器211から送信されるPLCフレーム信号とを互いにカップリングし、ともに需要家220のPLCカップリング装置222に送信する。
【0044】
このとき、図2に示すように、PLC回線接続多重化器211と連結した1つの電話回線は、私設交換機212と連結した複数の電話回線とそれぞれ並列に連結することができる。すなわち、私設交換機212から所定の区間内の複数の需要家と連結した複数の電話回線にそれぞれカプラ214が設置され、各カプラ214にPLC回線接続多重化器211と連結した1つの電話回線をそれぞれ連結できるのである。このような電話回線のカップリング連結は、同じアパート団地内の各需要家のように互いに近接して位置した複数の需要家に対して実現することができる。これによれば、複数の需要家は、PLC回線接続多重化器211の制御を受けなくても、カップリングした電話回線を介して互いに直接にPLCフレーム信号を送受信する1対Nの通信を実現することができる。
【0045】
以上のように、本発明に係る電力線通信システムのうち、電話局210に設置される各構成要素およびこれによる動作について説明した。以下では、電力線通信システムのうち、需要家220に設置される各構成要素およびこれによる動作について説明する。
【0046】
電話局210のカプラ214によってカップリングした音声信号およびPLCフレーム信号は、需要家220に位置したカプラ221に送信される。カプラ221は、カップリングした音声信号およびPLCフレーム信号から音声信号を抽出して電話機に送信する。また、カプラ221は、カップリングされた音声信号およびPLCフレーム信号からPLCフレーム信号を抽出してPLCカップリング装置222に送信する。このとき、カプラ221およびPLCカップリング装置222の区間は、電話回線で連結することができる。
【0047】
PLCカップリング装置222は、電話回線を介してカプラ221からPLCフレーム信号を受信する。PLCカップリング装置222は、受信したPLCカップリング信号を電力線223にカップリングし、各PLCモデム224に電力線を介して送信する。これについては、図5を参照しながら詳細に説明する。
【0048】
図5は、本発明の一実施形態に係る他のPLCカップリング装置の構成を示すブロック図である。
【0049】
本発明の一実施形態に係るPLCカップリング装置500は、電話回線ポート部501と、カップリング制御部502と、電力線ポート部503とを備えて構成することができる。
【0050】
電話回線ポート部501は、電話回線510を介してカプラ221と連結する。電話回線ポート部501は、電話回線510を介してカプラ221からPLCフレーム信号を受信する。
【0051】
電力線ポート部503は、電力線520を介して需要家220内に位置した1つ以上の通信端末機に設置されたPLCモデム224とそれぞれ連結する。
【0052】
カップリング制御部502は、電話回線ポート部501を介して受信したPLCフレーム信号を電力線520にカップリングし、1つ以上の通信端末機に設置されたPLCモデム224に送信する。カップリング制御部502は、一般的なPLCモデムが実行するデータ信号の電力線カップリング制御動作をすべて含んで実現することができる。さらに、カップリング制御部502は、PLCフレーム信号を電力線520の周波数バンド(Band)に対応してインピーダンスマッチングを実行することができる。
【0053】
すなわち、PLCカップリング装置500は、電話回線510を介して受信するPLCフレーム信号を電力線の電力信号にカップリングして各PLCモデムに送信する動作を実行するのである。したがって、PLCカップリング装置500は、図6に示すように、所定のインピーダンスマッチング回路と、コイルと、コンデンサを備える回路で簡単に実現できるのである。
【0054】
再び図2において、PLCカップリング装置222によって電力線223にカップリングしたPLCフレーム信号は、需要家220に位置した1つ以上の通信端末機と連結するPLCモデム224にそれぞれ送信される。PLCモデム224は、電力線223にカップリングして送信される電力信号およびPLCフレーム信号からPLCフレーム信号を抽出し、抽出されたPLCフレーム信号を所定のプロトコルに変換して各通信端末機に送信する。PLCモデム224は、一般的な電力線通信システムに用いられるPLCモデムで実現することができる。通信端末機は、ホームオートメーション装置、パソコン、テレビ、保安システムなどを含んで実現することができる。
【0055】
このように、本発明の電力線通信システムによれば、需要家にはxDSLモデムを設置する必要がない。さらに、データ信号をPLCフレーム信号に変換するPLCモデムをxDSLモデムとともに設置する必要がなく、需要家の電力線通信システムをより簡単に構成することができる。
【0056】
すなわち、本発明の電力線通信システムでは、PLC回線接続多重化器が電話局区間からデータ信号を電力線通信に適合するPLCフレーム信号に変換して需要家に送信する。したがって、需要家では、データ信号をPLCプロトコルに変換する動作を実行せずに、単純に通信端末機にPLCモデムを設置する動作だけで電力線通信サービスの提供を受けることができるのである。
【0057】
また、本発明の電力線通信システムでは、企業や同じアパート団地に所属する複数の加入者に対して、その数に対応するカプラをそれぞれ電話局区間の電話回線に設置し、PLC回線接続多重化器と連結した電話回線を交換機と連結した電話回線とカップリングさせることができる。
【0058】
このような場合に、企業や同じアパート団地に所属する複数の加入者は、互いに1対Nの通信網を構築して多者間のPLC通信を実行することができる。すなわち、複数の加入者は、電話局に位置したPLC回線接続多重化器の制御を受けずに、直接に互いにPLCフレーム信号を送受信することができる多者間通信網を構築できるのである。このとき、構築された通信網区間では、常にPLCフレーム信号のみが送受信されるため、プロトコル変換を実行する必要がなく、より安定した通信サービスの実現が可能となる。
【0059】
また、本発明の電力線通信システムを構築する場合に、加入者間の宅内通信端末機の相互連結が可能であり、別途の追加装備を設置しなくても、既存に設置したPLC網との連動が容易であるという長所がある。
【0060】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められ、発明を実施するための最良の形態により制限されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のPLC回線接続多重化器によれば、所定のIPネットワークから受信したデータ信号を所定のPLCプロトコルに対応するPLCフレーム信号に変換して一般電話回線を介して1つ以上の需要家に送信することで、各需要家でxDSLモデムおよびPLCモデムによるデータ信号のPLCプロトコル変換動作を実行せずに、PLCフレーム信号をそのまま用いることができるようにする効果を得ることができる。
【0062】
また、本発明のPLCカップリング装置によれば、需要家に引入される電話回線を介して送信されるPLCフレーム信号を電力線にカップリングした後に、需要家に設置された1つ以上の通信端末機に電力線を介して送信することで、データ信号のプロトコル変換動作および別途の電源供給がなくても、既存の電話回線および電力線を用いた電力線通信を実現することができる効果を得ることができる。
【0063】
また、本発明の電力線通信システムによれば、主に電話局内に設置されるPLC回線接続多重化器がデータ信号をPLCフレーム信号に変換して各需要家に送信することで、同じアパート団地内の加入者など互いに近距離に位置する多数の需要家間に通信を実行する場合に、PLCモデムを介したPLCフレーム信号のプロトコル変換およびPLC回線接続多重化器の制御を必要とせずに、各需要家が互いにPLCフレーム信号を直接に送受信できるようにする効果を得ることができる。
【0064】
また、本発明の電力線通信システムによれば、同じアパート団地内の加入者など互いに近距離に位置する多数の需要家に対してPLC回線接続多重化器およびPLCカップリング装置間の区間に設置された電話回線が互いに並列連結するようにカップリングして構成することで、近接区域内の加入者間にPLCプロトコル変換なく、互いに1対Nの通信を可能にする効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】従来技術に係る電話回線網を用いた加入者網と宅内電力線通信システムとのネットワーク構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電力線通信システムの全体ネットワーク構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るPLC回線接続多重化器の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係るPLC回線接続多重化器の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るPLCカップリング装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るPLCカップリング装置の回路を示す回路図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線通信システムの回線接続多重化器であって、
所定のIPネットワークと接続し、前記IPネットワークからデータ信号を受信する第1通信ポート部と、
所定の電話回線と連結し、前記電話回線が交換機および1つ以上の需要家を連結する1つ以上の電話回線とそれぞれカップリングする第2通信ポート部と、
前記データ信号を所定のPLCプロトコルに対応するPLCフレーム信号に変換するPLC変換部と、
前記PLCフレーム信号を前記第2通信ポート部と連結した前記電話回線を介して前記1つ以上の需要家にそれぞれ設置される所定のカップリング装置に送信する送信制御部と、
を備え、
前記カップリング装置は、前記電話回線および所定の電力線とそれぞれ連結し、前記電話回線を介して受信した前記PLCフレーム信号を前記電力線にカップリングして前記需要家に設置された1つ以上の通信端末機に送信することを特徴とするPLC回線接続多重化器。
【請求項2】
前記PLC変換部は、
前記データ信号のMACアドレスを前記PLCプロトコルに対応するMACアドレスに変換するMACアドレス変換部と、
前記MACアドレス変換したデータ信号を前記PLCプロトコルに対応する物理階層を有するPLCフレーム信号に変調する物理階層変換部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のPLC回線接続多重化器。
【請求項3】
前記送信制御部は、前記PLCフレーム信号をアナログ信号に変換し、前記電話回線を介して前記需要家のカップリング装置に送信することを特徴とする請求項1に記載のPLC回線接続多重化器。
【請求項4】
電力線通信システムの需要家に設置されるカップリング装置であって、
所定の電話回線と連結し、前記電話回線を介して連結した所定のPLC回線接続多重化器からPLCフレーム信号を受信する電話回線ポート部と、
前記需要家に設置された1つ以上の通信端末機と電力線を介して連結する電力線ポート部と、
前記PLCフレーム信号を前記電力線にカップリングして前記1つ以上の通信端末機に送信するカップリング制御部と、
を備え、
前記PLC回線接続多重化器は、所定のIPネットワークから受信するデータ信号を所定のPLCプロトコルに対応するPLCフレーム信号に変換し、前記PLCフレーム信号を前記電話回線を介して前記電話回線ポート部に送信することを特徴とするPLCカップリング装置。
【請求項5】
前記カップリング制御部は、前記受信したPLCフレーム信号を前記電力線周波数バンドに対応してインピーダンスマッチングすることを特徴とする請求項4に記載のPLCカップリング装置。
【請求項6】
電力線通信システムであって、
所定のIPネットワークから受信するデータ信号を所定のPLCプロトコルに対応するPLCフレーム信号に変換し、前記PLCフレーム信号を所定の電話回線を介して連結した1つ以上の需要家に送信するPLC回線接続多重化器(前記電話回線は、交換機および前記1つ以上の需要家を連結する1つ以上の電話回線とそれぞれカップリングする)と、
前記電話回線および所定の電力線とそれぞれ連結し、前記電話回線を介して受信した前記PLCフレーム信号を前記電力線にカップリングして前記需要家に設置された1つ以上の通信端末機に送信するPLCカップリング装置と、
を備えることを特徴とする電力線通信システム。
【請求項7】
PLC回線接続多重化器は、
前記IPネットワークと接続し、前記IPネットワークからデータ信号を受信する第1通信ポート部と、
前記電話回線と連結し、前記電話回線が交換機および1つ以上の需要家を連結する1つ以上の電話回線とそれぞれカップリングする第2通信ポート部と、
前記データ信号を所定のPLCプロトコルに対応するPLCフレーム信号に変換するPLC変換部と、
前記PLCフレーム信号を前記第2通信ポート部と連結した前記電話回線を介して前記1つ以上の需要家にそれぞれ設置される所定のカップリング装置に送信する送信制御部と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の電力線通信システム。
【請求項8】
前記PLCカップリング装置は、
前記電話回線と連結し、前記電話回線を介して連結した所定のPLC回線接続多重化器からPLCフレーム信号を受信する電話回線ポート部と、
前記需要家に設置された1つ以上の通信端末機と電力線を介して連結する電力線ポート部と、
前記PLCフレーム信号を前記電力線にカップリングして前記1つ以上の通信端末機に送信するカップリング制御部と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の電力線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−517961(P2009−517961A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543192(P2008−543192)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【国際出願番号】PCT/KR2006/005077
【国際公開番号】WO2007/064136
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(506336603)エルエス ケーブル リミテッド (9)
【Fターム(参考)】