説明

電動作業機

【課題】電動作業機の部材を的確に保護した電動作業機を提供する。
【解決手段】電動作業機は、モータと、電源から供給される電力に基づいて前記モータを駆動する電源回路と、を備える電動作業機であって、前記電源回路は、前記電動作業機の所定部位の温度を検出するための温度検出手段と、前記温度検出手段によって前記所定部位の温度を検出する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記温度検出手段によって検出した温度が所定の基準を満たすと、前記モータに流れる電流を下げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記の電動作業機として、例えば、モータによって被駆動物(例えば、回転刃)が駆動される電動作業機(例えば電動刈払機)がある。このような電動刈払機として、例えば、特許文献1には、モータの回転数を調整可能な電動刈払機が開示されている。この電動刈払機は、コンバータでモータの印加電圧を変化させることによってモータの回転数を変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−217843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1には電動作業機の部材自体(例えば、電源回路又はモータ)を保護する技術については開示がなく、電動作業機の部材は十分に保護されていない。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、電動作業機の部材を的確に保護した電動作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る電動作業機は、
モータと、
電源から供給される電力に基づいて前記モータを駆動する電源回路と、を備える電動作業機であって、
前記電源回路は、
前記電動作業機の所定部位の温度を検出するための温度検出手段と、
前記温度検出手段によって前記所定部位の温度を検出する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段によって検出した温度が所定の基準を満たすと、前記モータに流れる電流を下げる。
【0007】
また、前記電源回路は、前記電源の出力電圧に応じて入力される入力電圧を変換して所定の出力電圧を生成し、生成した前記出力電圧を前記モータに出力することを順次行う電圧変換手段をさらに備え、
前記印可電圧は、前記出力電圧であってもよい。
【0008】
また、前記電源回路は、前記電圧変換手段が出力する前記出力電圧に応じた電圧値の信号を前記電圧変換手段に出力する電圧制御手段をさらに備え、
前記電圧変換手段は、前記電圧制御手段が出力する前記信号の前記電圧値に応じた電圧値を有する前記出力電圧を新たに生成し、
前記制御手段は、前記電圧制御手段を制御して前記電圧制御手段が出力する前記信号の前記電圧値を制御することによって、前記モータに印加される印加電圧を下げてもよい。
【0009】
また、前記所定部位は、前記モータであってもよい。
【0010】
前記所定部位は、前記電圧変換手段が備える回路素子であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電動作業機の部材を的確に保護した電動作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1に係る電動作業機の外観を表す図。
【図2】図1に示された電動刈払い機のモータを示す断面図。
【図3】図2に示されたモータの出力軸と回転子とを分解して示す断面図。
【図4】図3に示された回転子のファンを示す下面図。
【図5】本発明の実施形態1に係る電動作業機の電源回路の構成を説明するためのブロック図。
【図6】本発明の実施形態1に係る電動作業機の電源回路の一例を説明するための回路図。
【図7】本発明の実施形態1に係る電動作業機の電源回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態2に係る電動作業機の電源回路の構成を説明するためのブロック図。
【図9】本発明の実施形態2に係る電動作業機の電源回路の一例を説明するための回路図。
【図10】本発明の実施形態3に係る電動作業機の電源回路の一例を説明するための回路図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る電動作業機を、図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施形態及び図面によって限定されるものではない。下記の実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることができるのはもちろんである。また、以下の説明では、本発明の理解を容易にするために、重要でない公知の技術的事項の説明を適宜省略する。また、本実施形態に係る電動作業機は、モータで回転刃が回転する電動刈払機である。
【0014】
(実施形態1)
以下、本発明の第1実施形態を添付の図1乃至図7に沿って説明する。図1に示すように、実施形態1に係る電動作業機1は、電源部10と、操作部20と、連結部30と、駆動部40と、を備える。
【0015】
電源部10は、電源ハウジング11と、電源回路12と、を備える。また、電源部10には、電池2が取り付けられる。
【0016】
電源ハウジング11は、電源部10の筐体を構成し、電源回路12を収容する。
【0017】
電池2は、電源ハウジング11に設けられた電池ホルダに装着されて、電源回路12と電気的に接続される。電池2は、電源回路12に電力を供給する電源となる。
【0018】
電源回路12は、電池2の出力電圧を所定の大きさに変換して、変換後の電圧を駆動部40の後述するモータ50に出力する。電源回路12の詳細については後述する。電源回路12は、電池から供給される電力に基づいてモータ50を駆動する。
【0019】
操作部20は、ハンドル21と、トリガレバー22と、を備える。
【0020】
ハンドル21は、電源部10の電源ハウジング11に固定されると共に、連結部30の一端に固定される。
【0021】
トリガレバー22は、電源部10の電源回路12の後述するスイッチ113に接続されており、ユーザに操作されることによって、スイッチ113をON/OFFする。従って、トリガレバー22は、モータ50を駆動/停止する。
【0022】
連結部30は、アルミニウム合金、強化プラスチック等によって形成された中空管31を備える。連結部30は、操作部20と駆動部40とを連結している。連結部30の中空管31には、電源部10の電源回路12から駆動部40のモータ50へと延びる電源線が挿通されている。この電源線によって駆動部40と電源回路12とが電気的に接続され、電源回路12からモータ50に電力が供給される。
【0023】
また、連結部30は補助ハンドル36を備える。ユーザは、補助ハンドル36及びハンドル21を持って、電動作業機1を操作する。さらに、連結部30は、駆動部40の回転刃42の一部を覆って、ユーザが使用中に回転刃42に触れないようにする保護カバー37を備える。
【0024】
駆動部40は、モータ50と、回転刃42(作業具)と、を備える。モータ50は、電源部10の電源回路12から電力の供給を受けて、回転刃42を回転させる。
【0025】
次に、図2を参照して、モータ50について詳細に説明する。
【0026】
モータ50は、モータハウジング51と、出力軸52と、回転子53と、固定子54と、摺動子55と、から構成される、整流子モータである。
【0027】
モータハウジング51は、連結部30の他端に固定されている。モータハウジング51には排気口56が形成されている。なお、連結部30にはモータハウジング51内に連通する吸気口38が形成されている。
【0028】
出力軸52は、モータハウジング51に設けられた軸受57,58により回転可能に支持されている。出力軸52の一端は、モータハウジング51から突出しており、回転刃42が固定されている。
【0029】
回転子53は、モータハウジング51に収容され、出力軸52と一体に設けられている。回転子53は、図3に示すように、フランジ61と、コイル・コミュテータディスク62と、4つのコイルディスク63と、ロータヨーク67と、ファン68と、から構成されている。
【0030】
フランジ61は、アルミニウム合金から形成されており、円筒状の固定部材611と、固定部材611の外周面から略垂直に延出する円板状の支持部材612と、から構成されている。フランジ61は、固定部材611が出力軸52と嵌合すると共に回転止めされており、出力軸52と一体に回転する。
【0031】
コイル・コミュテータディスク62とコイルディスク63とは、中心に嵌合穴を有する円板状に形成されており、絶縁体基板に導体パターンが形成されたプリント配線板である。1つのコイル・コミュテータディスク62と4つのコイルディスク63とは、コイル・コミュテータディスク62を最上層として、積層されている。
【0032】
コイル・コミュテータディスク62の上面には、円環状のコミュテータ領域80が設けられている。コミュテータ領域80には、導体パターンにより、図略のコミュテータが形成されている。コミュテータは、周方向に配列された図略の複数のコミュテータ片から構成されている。
【0033】
また、コイル・コミュテータディスク62とコイルディスク63との上面には、コミュテータ領域80の外周側に位置する、円環状のコイル領域90が設けられている。各コイル領域90には、略同様の導体パターンにより、周方向に配列された図略の複数のコイルが形成されている。なお、各コイル領域90に形成されたコイルは、上下方向の磁界を発生するように形成されている。そして、コイル・コミュテータディスク62とコイルディスク63とは、例えば、各コイル領域90に形成されたコイルが周方向に略等しい間隔を有して配列されるように、所定の配置で積層されている。
【0034】
コイル・コミュテータディスク62のコイル領域90に形成されたコイルの一端と他端とは、コミュテータ領域80に形成された対応するコミュテータ片に、導体パターンにより直接に接続されている。また、コイルディスク63のコイル領域90に形成されたコイルの一端と他端とは、コミュテータ領域80に形成された対応するコミュテータ片に、コミュテータ領域80に形成された図示しないスルーホール又はビアを介して接続されている。
【0035】
なお、コイル・コミュテータディスク62に設けられたコミュテータ領域80及びコイル領域90の導体パターンは、同一のプリント配線上に形成されている。また、コイル・コミュテータディスク62の導体パターンは、コイルディスク63の導体パターンよりも、厚く形成されている。
【0036】
また、コイル・コミュテータディスク62とコイルディスク63とは、互いに略等しい内径と外径とを有し、フランジ61の固定部材611に嵌合すると共にフランジ61の支持部材612の上面に支持され、フランジ61に固定されている。
【0037】
ロータヨーク67は、鉄から円環板状に形成されており、図略の絶縁層を介して、コイル・コミュテータディスク62の上面に固着されている。ロータヨーク67は、コイル・コミュテータディスク62及びコイルディスク63と略等しい外径を有すると共に、コイル領域90を覆い隠す内径を有する。
【0038】
ファン68は、合成樹脂から円環状に形成されており、ロータヨーク67と、コイル・コミュテータディスク62と、コイルディスク63と、の外周面に嵌合すると共に、図略の接着層を介して、ロータヨーク67の上面に固着されている。ファン68は、外径方向に突出して形成された複数のブレード681を備える。複数のブレード681は、図4に示すように、周方向に略等間隔に配列されている。
【0039】
なお、回転子53の不釣合い(回転軸に対する重量のアンバランス)を修正するため、図2に示すように、ロータヨーク67の上面には穴671が加工されている。なお、回転子53の不釣合いを修正するため、ロータヨーク67の上面にはウェイトが付されていても良い。
【0040】
固定子54は、マグネット71と、ステータヨーク72と、から構成されている。マグネット71は、周方向に配列された磁極を有して円環状に形成されており、最下層のコイルディスク63と対向すると共に、コイル・コミュテータディスク62とコイルディスク63とのコイル領域90と対向して、ステータヨーク72に固着されている。ステータヨーク72は、マグネット71と略等しい内径と外径とを有する円環状に形成されており、モータハウジング51に固定されている。
【0041】
2つの摺動子55は、コイル・コミュテータディスク62のコミュテータ領域80に形成された2つのコミュテータ片に当接して、モータハウジング51に固定された2つの摺動子ホルダ59に保持されている。摺動子55は、電気伝導性を有するカーボンから形成されており、連結部30に挿通された電源線39を介して、上述の電源部10の電源回路12に接続されている。
【0042】
電源部10の電源回路12から摺動子55に印加された電圧は、回転子53のコミュテータを介して、回転子53のコイルに順次印加される。そして、励磁されたコイルと固定子54のマグネット71との間に発生する吸引力により、回転子53及び回転子53に固定された出力軸52にトルクが発生し、回転刃42が回転する。
【0043】
次に、電源回路12について図5及び図6を参照して説明する。なお、下記での接続は、電気的な接続をいう。また、High信号とは、所定の閾値を超える電圧値の信号であり、Low信号とは所定の閾値以下の電圧値の信号である。なお、閾値は、各High信号(各Low信号)について同じであってもよいし、異なっても良い。例えば、電源スイッチ制御信号、電圧低下信号等についての閾値は、同じであってもよいし、互いに異なっても良い。
【0044】
電源回路12は、電源スイッチ回路101と、電圧検出部102と、電圧変換部103と、電圧制御部104と、電流検出部105と、制御用電源部106と、スイッチ状態検出部107と、制御部108と、温度検出部109と、電流増幅部110と、スイッチ113と、を備える。また、電源回路12は、入力端子I1、入力端子I2、入力端子I3をさらに備える。
【0045】
電池2は、所定の直流電力を供給する電源であればよい。ここでは、電池2は、電池パックである。電池2は、複数の素電池2aと、保護回路2bと、過電流検出抵抗2cと、正極端子(+)と、負極端子(−)と、制御信号出力端子(LD)と、を備える。
【0046】
複数の素電池2aは、直列に接続される。素電池2aは、ここでは、リチウムイオン電池である。直列に接続された複数の素電池2aの正極側は、正極端子(+)に接続される。また、負極側は、過電流検出抵抗2cの一端に接続される。過電流検出抵抗2cの他端は、負極端子(−)に接続される。過電流検出抵抗2cは、素電池2a(電池2)から流れる電流(電池2内を流れる)を検出するためのものである。
【0047】
保護回路2bは、素電池2a、過電流検出抵抗2c等に接続され、素電池2aの電圧を検出するとともに、素電池2aから流れる電流を過電流検出抵抗2cによって検出する。また、保護回路2bは、制御信号出力端子(LD)にも接続される。保護回路2bは、検出した、素電池2aの電圧、素電池2aから流れる電流等が異常であるかを判別し、異常であって場合に制御信号出力端子(LD)を介して電池2の外部に制御信号(電池過放電・過電流信号)を出力する。なお、この制御信号は、電池2において過放電又は過電流の少なくともいずれかが生じた場合に出力されるLow信号である。この信号は、例えば、保護回路2bが、制御信号出力端子(LD)と負極端子(−)とを短絡させることで生成され、出力される。
【0048】
電池2が電源部10に取り付けられると、正極端子(+)は入力端子I1に、負極端子(−)は入力端子I2に接続される。これによって、電池2から電源回路12に対して電力が供給可能な状態になる。また、制御信号出力端子(LD)は、入力端子I3に接続される。入力端子I3は、電源スイッチ回路101に接続されており、電池過放電・過電流信号は、電源スイッチ回路101に供給される。
【0049】
電源回路12の各要素は、電源回路12が備える、正極側配線L1、負極側配線L2等の配線に適宜接続されるか、これらの配線の途中に配置される。正極側配線L1は、電池2の正極端子(+)に接続される配線であり、入力端子I1に接続される。負極側配線L2は、電池2の負極端子(−)に接続される配線であり、入力端子I2に接続される。正極側配線L1と負極側配線L2とに、電池2とモータ50とが接続される。これによって、電池2からモータ50に電力が供給される。
【0050】
スイッチ113は、正極側配線L1の途中、かつ、入力端子I1と電源スイッチ回路101との間に配置される。スイッチ113は、トリガレバー22が、引かれるとONし、トリガレバー22が元の状態に復帰するとOFFする。スイッチ113がONすると、電源回路12に電池2から電力が供給されることになる。
【0051】
制御用電源部106には、スイッチ113がONの状態になると、電池2からの電力が供給される。制御用電源部106は、電池2から供給される電力に基づいて、所定の定電圧Vcc(ここでは、5V)を電源回路12の所定の要素(制御部108、電源スイッチ回路101、電流検出部105等)に出力する定電圧電源回路として動作する。なお、定電圧Vccは、比較器105b等の要素にも印加される。なお、電源スイッチ回路101、電流検出部105等に定電圧Vccを印加する配線(制御電源線)は、公知の構成を採用でき、図5及び図6ではその配線が適宜省略されている。定電圧Vccが印加される各要素は定電圧Vccが印加されて動作する。
【0052】
制御用電源部106は、制御用電源回路106aと、コンデンサ106bと、コンデンサ106cとを備える。
【0053】
制御用電源回路106aは、正極側配線L1の途中に配置されるとともに、負極側配線L2に接続される。また、電源回路106aは、制御部108(電源部108e)にも接続される。制御用電源回路106aには、スイッチ113がONの状態になると、電池2が出力する電圧である出力電圧が印加される。制御用電源回路106aは、この電圧を前記の定電圧Vccに変換し、制御部108(電源部108e)の他、電源回路12の所定の要素(上記参照)に出力する。
【0054】
コンデンサ106bとコンデンサ106cとは、それぞれ、一端が制御用電源回路106aに接続され、他端が負極側配線L2に接続される。コンデンサ106bとコンデンサ106cとは、それぞれ、制御用電源回路106aに印加される前記の電圧及び制御用電源回路106aが出力する定電圧Vccを平滑化するためのものである。
【0055】
スイッチ状態検出部107は、スイッチ113のONの状態を検出する。スイッチ113がON状態になると、電池2からの電力が供給される。スイッチ状態検出部107は、この電力の供給に基づいて、スイッチ113のON状態に応じた制御信号(スイッチ状態検出信号)を制御部108に出力する。このようにして、スイッチ状態検出部107は、スイッチ113のONの状態を検出する。
【0056】
スイッチ状態検出部107は、抵抗107aと、抵抗107bと、抵抗107cと、FET(Field Effect Transistor)107dとを備える。
【0057】
抵抗107aの一端は、正極側配線L1に接続され、他端は、抵抗107bとFET107dのゲートとに接続される。抵抗107bは、一端が抵抗107aとFET107dのゲート電極とに接続され、他端が負極側配線L2に接続される。抵抗107cは、一端が正極側配線L1に接続され、他端がFET107dのドレインにノードN1を介して接続される。抵抗107cとFET107dとは、直列に接続されている。FET107dのソースは、負極側配線L2に接続される。FET107dは、ここでは、nチャネル型のパワーMOSFET(パワー絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)である。ノードN1は、制御部108に接続されている。
【0058】
スイッチ113がON状態になると、直列に接続された抵抗107cとFET107dとには、定電圧Vccが印加される。一方、スイッチ113がON状態になると、電池2から電力が供給され、直列に接続された抵抗107aと、抵抗107bと、に所定の電圧が印加される。この電圧は、抵抗107aと抵抗107bとによって分圧される。分圧された電圧は、FET107dのソース−ゲート間に印加される。このため、FET107dはONし、ソース−ドレイン間に電流が流れる。これによって、直列に接続された抵抗107cとFET107dとのうちのソース−ドレイン間の電位差が小さくなり、ノードN1から制御部108(入力ポート108a)にLow信号の制御信号(スイッチ状態検出信号)が出力される。
【0059】
温度検出部109は、電導作業機1の所定部位の温度を測定するためのものである。温度検出部109は、所定部位の温度に応じた電気信号(温度信号)を制御部108に出力する。
【0060】
温度検出部109は、抵抗109aと感温素子109bとを備える。
【0061】
抵抗109aは、一端が、定電圧Vccを印加する電源線に接続され、他端がノードN2を介して感温素子109bの一端に接続される。感温素子109bの他端は、負極側配線L2に接続される。感温素子109bは、実際の温度検出に用いられる素子であり、温度を検出したい前記の所定部位に接触するか、その近傍に位置するように配置される。これによって、前記の所定部位の温度によって感温素子109bは暖められ、これによって、感温素子109bは、抵抗値が変化する。感温素子109bは、ここではサーミスタである。
【0062】
抵抗109aと感温素子109bとは、直列に接続されており、定電圧Vccが印加される。定電圧Vccは、抵抗109aと感温素子109bとによって分圧される。これによって、N2から制御部108(A/D(Analog/Digital)変換器108c)に、抵抗109aと感温素子109bとによって分圧された電圧値を有する電気信号(温度信号)が供給される。感温素子109bは、温度によって抵抗値が変化するので、温度信号の電圧値は、この温度によって変化する。このため、この電圧値を測定することによって、前記の所定部位の温度が検出される。
【0063】
電源スイッチ回路101は、正極側配線L1の途中かつ負極側配線L2の途中に形成される。より詳細には、電池2と電圧変換部103との間、かつ、電池2から見てスイッチ113の後段に位置するように配置される。
【0064】
電源スイッチ回路101は、制御部108から供給される後述の制御信号(電源スイッチ制御信号)によって制御される。電源スイッチ回路101は、電源制御スイッチ信号が供給されることによって、正極側配線L1を導通させる。これによって、電池2から電力がモータ50に供給される。
【0065】
また、電源スイッチ回路101は、電池2から供給される電池過放電・過電流信号が供給される。電源スイッチ回路101は、電池過放電・過電流信号が供給されると、正極側配線L1を非導通にさせる。これによって、モータ50への電力の供給が停止する。これによって、電池2についての過放電・過電流が生じた場合に、モータ50への電力の供給が停止するので、電源回路12は全体として保護される。また、電池2も保護される。
【0066】
電源スイッチ回路101は、FET101aと、抵抗101bと、抵抗101cと、FET101bと、を備える。FET101aはpチャネル型のパワーMOSFET、FET101bはnチャネル型のパワーMOSFETである。
【0067】
FET101aは、正極側配線L1の途中に配置され、ソース及びドレインが、正極側配線L1にソース側がスイッチ113側になるように接続されている。FET101aのゲートとソースとには、抵抗101bが接続されている。FET101aのゲートは、さらに抵抗101cの一端に接続されている。抵抗101cの他端は、FET101dのドレインに接続されている。FET101dのソースは、負極側配線L2に接続されている。FET101dのゲートは、制御部108と入力端子I3とに接続されている。
【0068】
制御部108(出力ポート108b)から供給される電源スイッチ制御信号(ここでは、High信号である。)がFET101dのゲートに供給されるとFET101dはONする。これによって、FET101dのソース−ドレイン間に電流が流れる。電流が流れると、FET101aのゲートが負極側配線L2と接続され、Low信号がFET101aのゲートに供給されるため、FET101aがONする。これによって、正極側配線L1が導通し、モータ50への電力の供給が開始する。
【0069】
また、電池2から電池過放電・過電流信号(Low信号)がFET101dのゲートに供給され、これによって、FET101dはOFFする。これによって、FET101dのソース−ドレイン間には電流が流れなくなり、FET101aのゲートにもLow信号が供給されなくなるため、FET101aがOFFする。これによって、正極側配線L1が非導通となり、モータ50への電力の供給が停止し、電源回路12は全体として保護される。
【0070】
電圧変換部103は、電池2が出力する電圧(出力電圧)に応じた入力電圧が入力され、入力された入力電圧を変換して所定の電圧(出力電圧)を生成し、生成した出力電圧をモータ50に出力することを連続して順次行う。ここでは、電池2の出力電圧が入力電圧として電圧変換部103に入力される。電圧変換部103は、ここでは、電池2の出力電圧を所定の電圧値の出力電圧に昇圧する昇圧回路である。電圧変換部103は、モータ50と電源スイッチ回路101との間(より詳細には、電圧検出部102と電圧制御部104との間)に位置するとともに、正極側配線L1の途中かつ負極側配線L2の途中に位置する。電圧変換部103は、例えば、フライバック式の昇圧回路である。
【0071】
電圧変換部103は、電圧制御部104から供給される制御信号(電圧検出信号)に応じて、生成する出力電圧の電圧値を上下させ(電圧値の変化の度合いは予め設定されている。)又は維持し、目標の電圧値の出力電圧を生成して出力するように動作する。また、電圧変換部103は、電流検出部105又は電圧検出部102からの制御信号(電圧低下信号)が供給される。電圧変換部103は、電圧低下信号が供給されると、新たに生成する出力電圧の電圧値を下げる(電圧値の変化の度合いは予め設定されている。この度合いは、前記の度合いと同じでよい。)。つまり、新たに生成される出力電圧の電圧値が下がることになる。電圧変換部103には、電圧低下信号が供給された場合、電圧検出信号よりも優先して、新たに生成する出力電圧の電圧値を下げる。
【0072】
電圧変換部103は、例えば、スイッチングIC(Integrated Circuit)103aと、FET103bと、チョークコイル103cと、ダイオード103dと、コンデンサ103eと、コンデンサ103fと、を備える。
【0073】
コンデンサ103fは、電圧変換部103の入力側に位置し、一端が正極側配線L1に、他端が負極側配線L2に接続される。コンデンサ103fは、電圧変換部103に印加される入力電圧を平滑化する。
【0074】
スイッチングIC103aは、正極側配線L1と負極側配線L2とFET103bと電圧検出部102と電圧制御部104と電流検出部105とに接続される。FET103bは、ソースが負極側配線L2に接続され、ドレインが正極側配線L1に接続されている。チョークコイル103cは、正極側配線L1の途中に配置される。ダイオード103dは、正極側配線L2の途中に配置されるとともに、一端がチョークコイル103cとFET103eのドレインとに接続される。
【0075】
スイッチングIC103aは、FET103bのゲートに接続され、このゲート端子に、High信号又はLow信号を供給し、FET103bのON・OFFを切り替える。
【0076】
FET103bは、ここでは、nチャネル型のパワーMOSFETである。FET103bのゲートにHigh信号が供給されると、FET103bはONし、FET103bのソース−ドレイン間に電流が流れ、FET103bのゲートにLow信号が供給されると、FET103bはOFFし、FET103bのソース−ドレイン間に電流が流れない。
【0077】
チョークコイル103cはFET103bのON・OFFが切り替わることによりフライバック効果を起こす。フライバック効果が起こることによって、チョークコイル103cの端子間電圧は上昇する。これによって、電圧変換部103の入力電圧が変換(ここでは、昇圧)され、所定の電圧値の電圧が生成され、出力される。つまり、電圧変換部103は、スイッチングIC103aがFET103bのON・OFFを繰り返し切り替えることで、チョークコイル103cのフライバック効果によって、入力された入力電圧を昇圧する。なお、FET103bのON・OFFの切り替えデューティー比(1回のONの期間(t)/1回のON及びOFFの期間(T))が上がれば、入力電圧の昇圧の幅は大きくなり、電圧変換部103の出力電圧は大きくなる。
【0078】
ダイオード103dは、チョークコイルによって昇圧された電圧を整流する。
【0079】
スイッチングIC103aは、電圧制御部104から供給された電圧検出信号の電圧値に応じた頻度で、FET103bのゲートに供給する信号をHighとLowとに切り替える。
【0080】
例えば、電圧検出信号の電圧値がある値(予め設定された値で、以下、設定値という。)よりも小さい場合、スイッチングIC103aはFET103bに供給する信号のHighとLowとについての信号デューティー比(Highの期間(t)/周期(T))を上げ、FET103bのON・OFFの切り替えデューティー比を上げる。電圧検出信号の電圧値が設定値より高い場合、スイッチングIC103aはFET103bに供給する信号の信号デューティー比を下げ、FET103bのON・OFFの切り替えデューティー比を下げる。電圧検出信号の電圧値が設定値と同じである場合、スイッチングIC103aはFET103bに供給する信号の信号デューティー比をそのまま維持し、FET103bのON・OFFの切り替えデューティー比を維持する。
【0081】
電圧検出信号は、電圧変換部103が出力する出力電圧の電圧値に応じた電圧値をもつ信号であり、電圧検出信号の電圧値が設定値よりも小さい場合には、出力電圧の電圧値が目標の電圧値よりも低いことになる。この場合、スイッチングIC103aは、FET103bのON・OFFの切り替えデューティー比を上げて、新たに生成する出力電圧の電圧値を目標の電圧値に近づける。また、電圧検出信号の電圧値が設定値よりも大きい場合には、出力電圧の電圧値が目標の電圧値よりも高いことになる。この場合、スイッチングIC103aは、FET103bの切り替えデューティー比を下げて、新たに生成する出力電圧の電圧値を目標の電圧値に近づける。また、電圧検出信号の電圧値が設定値と同じである場合には、出力電圧の電圧値が目標の電圧値と同じになる。この場合、スイッチングIC103aは、FET103bのON・OFFの切り替えデューティー比を維持し、新たに生成する出力電圧の電圧値を維持する。
【0082】
コンデンサ103eは、電圧変換部103の出力側に位置し、一端が正極側配線L1に、他端が負極側配線L2に接続される。コンデンサ103eは、電圧変換部103が出力する電圧を平滑化する。
【0083】
ここでは、上記構成によって、電圧変換部103は、入力電圧をフライバック効果によって変換(昇圧)し、変換した後の出力信号を出力することを順次繰り返し行う。そして、電圧変換部103は、電圧検出信号の電圧値に応じてFET103bのON・OFFの切り替えデューティー比を上下させ、又は維持する。電圧変換部103は、このような動作を順次繰り返して行うことによって、入力電圧を変換する度合い(入力電圧と出力電圧との差、以下、変換度という。)を変化又は維持し、入力電圧に基づいて目標の電圧値の出力電圧を生成するように動作する。デューティー比の変化度は予め設定されている。
【0084】
さらに、スイッチングIC103aには、電圧検出部102又は電流検出部105から電圧低下信号が供給される。この電圧低下信号の電圧値は前記の設定値よりも高い。これによって、前記設定値スイッチングIC103aは、電圧低下信号が供給されると、FET103bのON・OFFを切り替える速度を下げ、電圧変換部103が新たに生成する出力電圧の電圧値(変換度)を下げる。また、電圧低下信号の電圧値は、電圧検出信号の電圧値よりも十分大きな値である。これによって、電圧低下信号と電圧検出信号とがスイッチングIC103aに同時に供給されても、電圧低下信号によって電圧検出信号は無効化され(電圧制御部104の制御が無効化され)、スイッチングIC103aは、電圧低下信号に従って、出力電圧の電圧値を下げる。
【0085】
ここでは、上記構成によって、電圧変換部103は、電圧低下信号が供給されると、FET103bのON・OFFの切り替えデューティー比を下げ、電圧低下信号の供給後に生成する出力電圧の電圧値を下げる。デューティー比の変化度は予め設定されている(この変化度は上記の変化度と同じでよい。)。
【0086】
電動作業機1は、上述のように電圧変換部103aにより電池2が出力電圧を変換して所定の電圧を生成することから、電圧や容量の異なる電池を電源部10に流用することができる。
【0087】
電圧制御部104は、電池2から見て、電圧変換部103の後段に配置され、電圧変換部103の出力電圧に応じた電圧値を有する電圧検出信号を電圧変換部103にフィードバックする。電圧変換部103は、正極側配線L1及び負極側配線L2に接続される。また、電圧制御部104は、制御部108に接続され、制御部108から温度検出信号が供給されると、フィードバックする電圧検出信号の電圧値を強制的に上げる。これによって、電圧変換部103の出力電圧の電圧値が、温度検出信号の供給前の状態に比べて下がりやすくなる。出力電圧の電圧値が目標の電圧値になっている場合等においては、温度検出信号の供給後、電圧変換部103の出力電圧は温度検出信号の供給前の状態に比べて下がる。
【0088】
電圧制御部104は、抵抗104aと、抵抗104bと、抵抗104cと、FET194dと、を備える。抵抗104aと抵抗104bとを接続するノードN3は、スイッチングIC103aに接続される。電圧検出信号は、ノードN3から出力される。
【0089】
抵抗104aと、抵抗104bと、抵抗104cとは、正極側配線L1及び負極側配線L2との間で直列に接続される。抵抗104aの一端が正極側配線L1に接続される。FET104dは、ソースが負極側配線L2に接続され、ドレインが抵抗104cの一端に接続される。また、FET104dのゲートは、制御部108(出力ポート108d)に接続される。抵抗104cの他端は負極側配線L2に接続される。FET104dは、ここではnチャネル型のMOSFETである。
【0090】
通常、FET104dのゲートには、制御部108(出力ポート108d)からHigh信号が供給される。このため、FET104dのソース−ドレイン間には、電流が流れる。このため、電圧検出信号の電圧値は、電圧変換部103の出力電圧の電圧値を抵抗104aと抵抗104bとによって分圧された値になる。
【0091】
一方、温度検出信号(Low信号)がFET104dのゲートに供給されると、FET104dのソース−ドレイン間には、電流が流れない。このため、電圧検出信号の電圧値は、電圧変換部103の出力電圧の電圧値を抵抗104aと抵抗104b及び抵抗104cとによって分圧された値になる。つまり、同じ電圧値の出力電圧であっても、温度検出信号(Low信号)が供給されたときと供給されていないときとでは、電圧検出信号の電圧値は異なる。具体的には、温度検出信号(Low信号)が供給されると、電圧検出信号の電圧値は上がる。このため、電圧検出信号の電圧値が設定値を超えやすくなるため、電圧変換部103の出力電圧が下がりやすくなる。このため、出力電圧の電圧値が目標の電圧値になっている場合等においては、電圧検出信号の電圧値が設定値を超えることになるので、電圧変換部103の出力電圧は温度検出信号の供給前の状態に比べて下がる。
【0092】
電圧検出部102は、電源スイッチ回路101と電圧変換部103との間に配置され、正極側配線L1と負極側配線L2と電圧変換部103(スイッチングIC103a)に接続される。電圧検出部102は、電池2の出力電圧(電池電圧)を検出し、検出した出力電圧の電圧値の大きさが基準Aを満たさなくなると(例えば、閾値A以下になると)、電圧変換部103の出力電圧を下げる信号である電圧低下信号を電圧変換部103に供給する。
【0093】
電圧検出部102は、抵抗102aと抵抗102bと抵抗102cと抵抗102dと比較器102eとダイオード102fとを備える。
【0094】
抵抗102aと抵抗102bとは直列に接続される。抵抗102aの一端は正極側配線L1に接続され、他端はノードN4を介して、比較器102eのマイナス端子(−)と抵抗102bの一端とに接続される。抵抗102bの他端は負極側配線L2に接続される。
【0095】
抵抗102cと抵抗102dとは直列に接続される。抵抗102cの一端は定電圧Vccを印加する電源線に接続され、他端はノードN5を介して、比較器102eのプラス端子(+)と抵抗102dの一端とに接続される。抵抗102dの他端は負極側配線L2に接続される。
【0096】
比較器102eの出力端子は、ダイオード102fに接続され、ダイオードは、電圧変換部103(スイッチングIC103a)に接続される。
【0097】
正極側配線L1と負極側配線L2との間の電圧(電池2によって印加される電圧であり、電池電圧である。)は、抵抗102aと抵抗102bとによって分圧される。分圧された電圧値の信号は、ノードN4から比較器102eのマイナス端子(−)に供給される。定電圧Vccは、抵抗102cと抵抗102dとによって分圧される。分圧された電圧値の信号は、ノードN4から比較器102eのプラス端子(+)に供給される。
【0098】
比較器102eは、マイナス端子(−)に供給された信号の電圧値とプラス端子(+)に供給された信号の電圧値とを比較し、マイナス端子(−)に供給された信号の電圧値がプラス端子(+)に供給された信号の電圧値を下回った場合に、電圧低下信号(High信号)を電圧変換部103(スイッチングIC103a)に出力する。この比較によって、電池電圧が閾値A(+端子(+)に供給された信号の電圧値に応じた値)と比較され、電池電圧が基準Aを満たすか判別される。
【0099】
抵抗102a乃至102dの各抵抗値は、それぞれ、電池電圧が閾値A以下になったときに比較器102eがHigh信号を出力するような値にする。閾値Aは、電池電圧の大きさ(電圧値)がこの閾値A以下であるときに、電池2から流れる電流が大きくなりすぎるような値にする。閾値Aは予め設定される。
【0100】
ダイオード102fは、電圧低下信号を整流するとともに、比較器102eの出力端子から比較器102eに電流が逆流することを防止する。
【0101】
電流検出部105は、負極側配線L2の途中、かつ、電圧変換部103とモータ50との間(より詳細には、電圧制御部104とモータ50との間)に位置し、電圧変換部103(スイッチングIC103a)に接続される。電流検出部102は、モータ50に流れる電流(モータ電流)を検出し、検出したモータ電流の大きさ(電流値)が基準Bを満たすと(例えば、閾値Bを越えると)、電圧変換部103の出力電圧を下げる信号である電圧低下信号を電圧変換部103(スイッチングIC103a)に供給する。
【0102】
なお、電圧低下信号は、例えば無負荷状態においてモータ50に流れる電流が上昇していった際に、電池2から出力される電池過放電・過電流信号より先に出力されるように設定されている。
【0103】
電流検出部105は、ダイオード105aと比較器105bと抵抗105cと抵抗105dと抵抗105eと抵抗105fと抵抗105gとを備える。
【0104】
抵抗105gは、負極側配線L2の途中に配置され、一端がモータ50に接続される。抵抗105gは、モータ50に流れる電流を検出するためのものである。抵抗105gの一端は、抵抗105cの一端に接続され、抵抗105cの他端は比較器105bのプラス端子(+)に接続される。
【0105】
抵抗105fと抵抗105eとは直列に接続される。抵抗105fの一端は定電圧Vccを印加する電源線に接続され、他端はノードN6を介して、比較器105bのマイナス端子(−)と抵抗105eの一端とに接続される。抵抗105eの他端は負極側配線L2に接続される。
【0106】
比較器105bの出力端子は、ダイオード105aに接続され、ダイオードは、電圧変換部103(スイッチングIC103a)に接続される。
【0107】
抵抗105gの両端の電圧値(抵抗105gを流れる電流に比例する電圧値になる)の信号は抵抗105cを介して比較器105bのプラス端子に供給される。定電圧Vccは、抵抗105fと抵抗105eとによって分圧される。分圧された電圧値の信号は、ノードN6から比較器105bのマイナス端子(−)に供給される。
【0108】
比較器105bは、マイナス端子(−)に供給された信号の電圧値とプラス端子(+)に供給された信号の電圧値とを比較し、プラス端子(+)に供給された信号の電圧値が、マイナス端子(−)に供給された信号の電圧値を超えた場合に、電圧低下信号(High信号)を電圧変換部103(スイッチングIC103a)に出力する。この比較によって、モータ電流(抵抗105gに流れる電流)が閾値B(プラス端子(+)に供給された信号の電圧値に応じた電流値)と比較され、モータ電流が基準Bを満たすか判別される。
【0109】
抵抗105c乃至105gの各抵抗値は、それぞれ、モータ電流が閾値Bを超えたときに比較器105bがHigh信号を出力するような値にする。閾値Bは、モータ電流の大きさ(電流値)がこの閾値Bを越えたときに、モータ電流が大きくなりすぎるような値にする。閾値Bは予め設定される。
【0110】
ダイオード105aは、電圧低下信号を整流するとともに、比較器105bの出力端子から比較器105bに電流が逆流することを防止する。
【0111】
電流増幅部110は、モータ電流の電流値に応じた電圧値の信号を電流検出信号として制御部108に出力する。電流増幅部110は、電流検出部105に接続される。
【0112】
電流増幅部110は、増幅器110aと、抵抗110bと、抵抗110cと、抵抗110dと、を備える。
【0113】
抵抗110dは、一端が抵抗105gのモータ50側の一端に接続され、他端が増幅器110aのプラス端子(+)に接続される。抵抗110cは、一端が抵抗105gの他端に接続され、他端が増幅器110aのマイナス端子(−)に接続される。抵抗110bは、一端が増幅器110aの出力端子に接続され、他端が増幅器110aのマイナス端子(−)に接続される。また、増幅器110aは制御部108(A/D変換器108c)に接続される。
【0114】
上記構成によって、増幅器110aは、モータ電流の電流値に応じた電圧(抵抗105gの両端の電位差)を増幅する。増幅器110aは、増幅した電圧値の信号を電流検出信号として制御部108(A/D変換器108c)に出力する。
【0115】
制御部108は、図示しない、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。ROMは、プログラム、データ等を格納する。CPUは、ROMに格納されているプログラムに従って、また、ROMに格納されているデータ等を用いて、制御部108が行う処理を実際に行う。RAMは、CPUのワーキングメモリとして機能する。
【0116】
制御部108は、さらに、入力ポート108aと、出力ポート108bと、A/D変換器108cと、出力ポート108dと、電源部108eと、を備える。
【0117】
制御部108(CPU)は、入力ポート108aにスイッチ状態検出信号が供給されると、出力ポート108bから電源スイッチ制御信号の電源スイッチ回路101(FET101d)への供給を開始する。これによって、モータ50への電力の供給が開始する。
【0118】
電源部108eには、定電圧Vccが入力される。これによって、電源部108eは動作する。
【0119】
A/D変換器108cには、温度信号が入力され、入力された温度信号をデジタルデータ(温度データ)に変換する。温度データは、温度検出部109を用いて検出される温度を特定するデータであり、温度に応じた電圧値(温度信号の電圧値)を示すデータである。制御部108(CPU)は、変換された温度データを取得する。これによって、制御部108は電動作業機1の所定部位の温度が検出したものとする。制御部108(CPU)は、温度データが示す電圧値と閾値Cを比較し、電圧値が閾値Cを超えた場合(温度データが特定する温度が基準Cを満たす場合)に、出力ポート108dから温度検出信号(Low信号)を電圧制御部104(FET104dのゲート)に供給する。これによって、電圧制御部104が出力する電圧検出信号の電圧値が上がり、電圧変換部103の出力電圧が下がりやすくなる。なお、通常、制御部108は、出力ポート108dからHigh信号を出力する。
【0120】
A/D変換器108cには、電流検出信号が入力され、入力された電流検出信号をデジタルデータ(電流データ)に変換する。電流データは、電流増幅部110が増幅した電流を特定するデータであり、電流増幅部110が増幅した電圧値(つまり、この電圧値によって増幅された電流値が示される。)を示すデータである。制御部108(CPU)は、変換された電流値データを取得する。これによって、制御部108(CPU)は、モータ電流が検出したものとする。制御部108(CPU)は、電流データが示す電圧値と閾値Dとを比較し、電圧値が所定期間、閾値Dを超えた場合(モータ電流が所定期間、基準Dを満たす場合)、出力ポート108bからの電源スイッチ制御信号の供給を停止する。つまり、制御部108は、出力ポート108bからLow信号を電源スイッチ回路101(FET104dのゲート)に供給する。これによって、電源スイッチ回路101は、電池過放電・過電流信号が供給された場合と同様、正極側配線L1を非導通にして、モータ50への電力の供給を停止させる。なお、基準Dは、基準Bと同じ基準であってもよい。
【0121】
次に、図7を参照して、電源回路12の動作を説明する。電源回路12は電池2が接続され、スイッチ113がONされるまで動作せず(ステップS101;NO及びステップS102;オフ)、電源回路12に電池2が接続され、トリガレバー22が引かれてスイッチ113がONすると(ステップS101;YES及びステップS102;オン)、制御用電源部106が定電圧Vccを生成し、制御部108に出力することによって、制御部108が動作を開始する(ステップS103)。また、スイッチ状態検出部107から制御部108にスイッチ状態検出信号が供給されることによって、制御部108は、スイッチ状態(ON状態)を検出する(ステップS104)。制御部108は、ON状態を検出すると、電源スイッチ制御信号を電源スイッチ回路101に供給する。これによって、電源スイッチ回路101は、正極側配線L1を導通し、電池2からモータ50への電力の供給が開始される(ステップS105)。
【0122】
電力の供給が開始されると、電圧変換部103が動作を開始する(ステップS106)。ステップS106以降、電圧回路はステップS107等の処理を並行して行う。
【0123】
ステップS107において、電圧変換部103は、入力電圧から出力電圧の変換を繰り返し連続して常時行う。このとき、電圧変換部103は、電圧制御部104から供給される電圧検出信号に応じて、出力電圧の電圧値を上下させ又は維持し、目標の電圧値の出力電圧を生成して出力するように繰り返し動作する。これは、スイッチ113がOFFになるか、電源スイッチ回路101がモータ50への電力の供給を停止するまで行う。なお、適宜のタイミングで、電池化電流・過放電信号が供給されると、電源スイッチ回路101はモータ50への電力の供給を停止する。
【0124】
ステップS108において、電流検出部105は、モータ電流を検出し、モータ電流の電流値が基準Bを満たすかを常に監視(上記の比較によって行われる。)し、電流値が基準Bを満たすと電圧低下信号を出力し、電圧変換部103は、電圧低下信号が供給されると、この電圧低下信号の供給後に生成する出力電圧の電圧値をこの電圧低下信号の供給前に生成した出力電圧の電圧値よりも下げる(電圧値の下げ幅は予め設定されているものとする)。なお、ステップS108の電圧値を低下させる処理は、上述のようにステップS107の処理に優先されて行われる。また、この処理により、電圧変換部103から流れる電流も低下する。このような処理は、スイッチ113がOFFになるか、電源スイッチ回路101がモータ50への電力の供給を停止するまで行う。
【0125】
また、ステップS109において、電圧検出部102は、電池電圧を検出し、電池電圧の電圧値が基準Aを満たすかを常に監視(上記の比較によって行われる。)し、電圧値が基準Aを満たさなくなると電圧低下信号を出力し、電圧変換部103は、電圧低下信号(ここでは、電流検出部105が出力する電圧低下信号と同じ電圧値の信号)が供給されると、この電圧低下信号の供給後に生成する出力電圧の電圧値をこの電圧低下信号の供給前に生成した出力電圧の電圧値よりも下げる(電圧値の下げ幅は予め設定されているものとする)。なお、ステップS109の電圧値を低下させる処理は、上述のようにステップS107の処理に優先されて行われる。このような処理は、スイッチ113がOFFになるか、電源スイッチ回路101がモータ50への電力の供給を停止するまで行う。
【0126】
また、ステップS110において、制御部108は、温度検出部109を用いて、電動作業機Aの所定部位の温度を検出し、検出した温度が基準Cを満たすかを常に監視し、電圧値が基準Cを満たすと温度検出信号を電圧制御部104に出力する。電圧制御部104は、温度検出信号が供給されると、出力する電圧検出信号の電圧値を上げる。これによって、電圧変換部103の出力電圧が下がりやすくなる。このような処理は、スイッチ113がOFFになるか、電源スイッチ回路101がモータ50への電力の供給を停止するまで行う。
【0127】
ステップS111において、制御部108は、電流増幅部110が出力する電流検出信号に基づく電流データによってモータ電流を検出し、モータ電流が所定期間、基準Dを満たすかを監視(上記の比較参照)し、モータ電流が所定期間、基準Dを満たす場合、電源スイッチ回路101を制御し、正極側配線L1を非導通にして、モータ50への電力の供給を停止する。これによって、電源スイッチ回路101は、モータ50への電力の供給を停止させる。
【0128】
本実施形態における電源回路12では、上記の構成例によって、電池2の電池電圧に応じて入力される入力電圧を変換して出力電圧を生成し、生成した出力電圧をモータ50に出力することを順次行う電圧変換部103と、電源回路12の所定部分に流れる電流(ここでは、モータ50に流れる電流(モータ電流)、つまり、電源回路12の所定部分はモータ50に接続された電源回路12内の配線になる)に応じて電圧低下信号を出力する電流検出部105と、を備える。そして、上記の構成例によって、電圧変換部103は、電流検出部105が電圧低下信号を出力すると、新たに生成する出力電圧の電圧値を下げる。
【0129】
このような構成によって、モータ50に流れる電流に応じて、電圧変換部103の出力電圧の電圧値を下げることができるので、モータ50に流れる電流が大きくなることを抑制できる。これによって、電源回路12の少なくとも一部及びモータ50に大電流が流れることを防ぐ又は軽減できる。このため、本実施形態の電動作業機1は、モータ50及び電源回路12(ここでは、特にモータ50)を的確に保護した電動作業機になる。特に、モータ50に高い負荷がかかった場合でも、大電流が流れることを防ぐ又は軽減できるため、本実施形態の電動作業機1は、モータ50及び電源回路12を的確に保護した電動作業機になる。
【0130】
特に、本実施形態の電動作業機1においては、回転刃42の重量が大きいことから、モータ50に大きな電流が流れようとするが、出力電圧の電圧値の上限が定められているため、回転加速度が制限され、回転刃42の回転数が徐々に上昇する構成となるため、モータ50を保護する効果を得ることができる。
【0131】
また、本実施形態の電動作業機1には、電池2の異常状態を判別して制御信号(過放電・過電流信号)を出力し、モータ50への電力の供給を停止させる構造となっているが、モータ50に供給される電流が上昇した場合に、電流検出部105により電圧低下信号が、電池2から過放電・過電流信号が出力されるタイミングより先に出力されるよう閾値が設定されていることから、過放電・過電流信号が出力されてモータ50が停止してしまうことがない。さらに、電流検出部105が故障等により動作しなかった場合でも、電池2から過放電・過電流信号が出力されることで、モータ50及び電源回路12に大電流が流れることを最小源に抑えることができる。
【0132】
本実施形態における電源回路12では、上記構成例によって、電流検出部105は、モータ50に流れる電流の電流値の大きさが基準Bを満たすと、電圧低下信号を出力する。これによって、モータ50に流れる電流が大きくなったときに、電圧変換部103の出力電圧の電圧値を下げることができるので、モータ50に流れる電流が大きくなることを抑制できる。
【0133】
また、仮に電流検出部105を電池2と電圧変換部103との間に位置させ、電圧変換前の電流のみを監視した場合、電圧変換部103から出力される電圧が一定であることから、例えば電池2に大きい電池電圧を有する電池を取付け、全体の出力が大きくなった場合などに、たとえ電圧変換前の電流が小さくても、モータ50に大きな電流が流れる可能性がある。そこで、本実施形態においては、電流検出部105は、電圧変換部103とモータ50との間に位置している構成としたことで、電池電圧に依存せず、モータ50に流れる電流を正確に検出し、的確に保護することが可能となる。
【0134】
特に、本実施形態のモータ50のプリント配線板に形成された導体パターンは、厚みによっては加熱による溶解などの問題が発生する可能性があるが、上述の構成によってこれらの問題を抑制することができ、モータ50の寿命を向上させることができる。
【0135】
また、モータ50は上述のようにコイルとなるプリント配線板が形成されたプリント基板を磁束が軸方向に通過する構成として円盤状に構成されているため、軽量でトルクが大きい電動作業機を構成することが可能となる。
【0136】
また、本実施形態において、電動刈払機1は、回転刃42モータ50の出力軸52に直接接続され、駆動される構成、即ちギヤ等を介さずに回転刃42が直接駆動される構成であるため、機械的な損失を少なくすると共に、ギヤ音が発生しないことから騒音の発生を抑制することができる。なお、このようにモータ50と回転刃42とを直接接続した場合には、回転刃42の重量が大きいことから回転を開始させるためにモータ50に必要なトルクが大きくなり、これによって、電池2の電流が急激に大きくなってしまうことが考えられるが、本実施形態における電源回路12の保護回路によれば、モータ2に大電流が流れることを防ぐ又は軽減できるため、電池2に過大な電流が流れることを禁止する規制手段を備えた電動作業機を構成することができる。
【0137】
本実施形態における電源回路12では、上記構成例によって、電圧変換部103は、電圧低下信号が供給されると、電圧変換部103が生成する出力電圧の電圧値を下げる。
【0138】
本実施形態における電源回路12では、上記構成例によって、電源回路12は、電圧変換部103が出力する出力電圧に応じた電圧値の信号(電圧検出信号)を電圧変換部103に出力する(フィードバックする)電圧制御部104をさらに備え、電圧変換部103は、電圧低下信号が供給されていないときに、電圧検出信号に応じた電圧値を有する出力電圧を順次生成する。このような構成によって、電圧変換部103の出力電圧は目標の電圧(モータ50に印加したい電圧(モータ50の駆動電圧))になって安定するとともに、電圧変換部103は、電圧低下信号が供給されると強制的に出力電圧の電圧値を下げるので、電源回路12が的確に保護される。
【0139】
本実施形態における電源回路12では、上記構成例によって、電源回路12は、モータ50に流れる電流の電流値が、所定期間において、基準Dを満たすと、電源スイッチ回路101を制御してモータ50への電池2からの電力の供給を停止させる。これによって、モータ50に所定期間、電源回路12の少なくとも一部に大きな電流が流れた場合(例えば、回転刃42に何か挟まり、モータ50に高負荷が掛かった場合)、モータ50への所定の電力の供給を停止させる。これによって、モータ50と電源回路12の少なくとも一部とに大電流が流れることを防ぐ又は軽減できる。このため、本実施形態の電動作業機1は、モータ50と電源回路12とを的確に保護した電動作業機になる。
【0140】
本実施形態における電源回路12では、上記構成例によって、電源回路12は電池2の電池電圧に応じて電圧低下信号を出力する電圧検出部102をさらに備える。また、電圧変換部103は、電圧検出部102が電圧低下信号を出力すると、新たに生成する出力電圧の電圧値を変更する(下げる)。これにより、電圧変換部103は、電池電圧に応じて、新たに生成する出力電圧の電圧値を変更する(下げる)。
【0141】
電池電圧が少なくなると、電圧変換部103が変換(昇圧)する電圧の幅が大きくなり、電圧変換部103等に大電流が流れてしまう場合がある。特に、本実施形態の電池2の例として示したリチウムイオン電池は特性として電池電圧の変動が大きく、作業中の電圧降下が起こり易い。上記構成によれば、電池2の電池電圧に応じて電圧変換部103の出力電圧の電圧値を下げることができるので、電圧変換部103等に流れる電流が大きくなることを抑制できる。このため、本実施形態の電動作業機1は、電源回路12を的確に保護した電動作業機になる。また、電圧変換部103の出力電圧の電圧値を下げることで、電池2の出力電圧も回復することができる。
【0142】
また、本実施形態における電動作業機1は、電圧や容量の異なる電池を電源部10に流用することができる構成としたため、作業性に応じて変更したり、又は手持ちの電池を利用することができ、有用である。さらに、市場においては、出力電圧が大きく異なる電池(例えば14Vから36V)が存在する。このように電池電圧が異なる電池を用いた場合(特に低い電池電圧を持つ電池を使用した場合)においても、電圧変換部103の負担が大きくなることを抑制できる。
【0143】
本実施形態における電源回路12では、上記構成例によって、電圧検出部102は、電池電圧の電圧値の大きさが所定基準を満たさない場合に、前記電圧低下信号を出力する。これによって、電池電圧が小さくなったときに、電圧変換部103の出力電圧の電圧値を変更する(下げる)ことができるので、電圧変換部103等に流れる電流が大きくなることを抑制できる。
【0144】
本実施形態における電源回路12では、上記構成例によって、電圧変換部103は、電圧低下信号が電圧検出部102から供給されると、出力電圧の電圧値を下げる。
【0145】
本実施形態における電源回路12では、上記構成例によって、電圧変換部103は、電圧低下信号が供給されていないときに、電圧制御手段が出力する電圧検出信号に応じた電圧値を有する出力電圧を生成する。このような構成によって、電圧変換部103は、電圧低下信号が供給されると強制的に出力電圧の電圧値を下げるので、電源回路12が的確に保護される。
【0146】
また、本実施形態における電源回路12では、上記構成例によって、電源回路12は、電動作業機1の所定部位の温度を検出するための温度検出部109と、温度検出部109によって所定部位の温度を検出する制御部108と、を備え、制御部108は、温度検出部109によって検出した温度が基準Cを満たすと、モータ50に印加される印加電圧を下げる。また、これによりモータ50に流れる電流の電流値も下がる。
【0147】
所定部位とは、例えば、電源回路12の電圧変換部103のFET103b等の電源回路12の回路素子である。モータ50に印加される印加電圧を下げれば、回路素子の負荷(例えば、FET103bのスイッチングの間隔等)が小さくなり、これによってその回路素子の熱が低下し、電源回路12は的確に保護される。
【0148】
さらに、所定部位とは、例えば、モータ50であってもよい。この場合、モータ50に印加される印加電圧を下げれば、モータに流れる電流(電源回路12に流れる電流)を小さくすることができ、モータ50の発熱が抑制され、モータ50が熱から的確に保護される。また、適宜、電源回路12も保護される。
【0149】
上記のような構成によって、所定部位が熱から保護され、電動作業機は、部材が的確に保護される。
【0150】
本実施形態における電源回路12では、印加電圧は、電圧変換手段が生成する出力電圧である。これによって、モータ50に印加される印加電圧を下げることができる。
【0151】
本実施形態における電源回路12では、上記構成例によって、制御部108は、電圧制御部104を制御して電圧制御部104が出力する電圧検出信号の電圧値を制御することによって、モータ50に印加される印加電圧を下げる。これによって、的確にモータ50に印加される印加電圧を下げることができる。
【0152】
(実施形態2)
次に、本発明の第2実施形態について、図8乃至図9を参照して説明する。実施形態2は、実施形態1と電源回路が異なる。本実施形態2に係る電源回路12は、実施形態1に係る電源回路12の構成に加えてさらに、第2電流検出部205を備える。電源回路12の他の構成については、実施形態1と同じなので、説明を省略する。電流検出部105は第1電流検出部105になっているが、動作、構成等は同じである。
【0153】
第2電流検出部205は、負極側配線L2の途中、かつ、電池2から見て電圧変換部103の前段(より詳細には、電源スイッチ回路101の前段)に位置し、電圧変換部103(スイッチングIC103a)に接続される。第2電流検出部205は、電池2と電圧変換部103との間に流れる電流(電池電流)を検出し、検出した電池電流の大きさ(電流値)が基準Bを満たすと(例えば、閾値Bを越えると)、電圧変換部103の出力電圧を下げる信号である電圧低下信号を電圧変換部103(スイッチングIC103a)に供給する。第2電流検出部205から電圧低下信号が供給されたときの電圧変換部103の動作は、第1電流検出部105から電圧低下信号が供給されたときと同じなので、説明を省略する(実施形態1参照)。
【0154】
第2電流検出部205は、ダイオード205aと比較器205bと抵抗205cと抵抗205dと抵抗205eと抵抗205fとを備える。
【0155】
抵抗205fは、負極側配線L2の途中に配置され、一端が入力端子I2(電池2)に接続される。抵抗205fは、電池2と電圧変換部103との間に流れる電流を検出するためのものである。抵抗205fの他端は、抵抗205cの一端に接続され、抵抗205cの他端は比較器205bのプラス端子(+)に接続される。
【0156】
抵抗205dと抵抗205eとは直列に接続される。抵抗205eの一端は定電圧Vccを印加する電源線に接続され、他端はノードN7を介して、比較器205bのマイナス端子(−)と抵抗205dの一端とに接続される。抵抗205dの他端は負極側配線L2及び抵抗205fの他端に接続される。
【0157】
比較器205bの出力端子は、ダイオード205aに接続され、ダイオードは、電圧変換部103(スイッチングIC103a)に接続される。
【0158】
抵抗205fの両端の電圧値(抵抗205fを流れる電流に比例する電圧値になる)の信号は抵抗205cを介して比較器205bのプラス端子に供給される。定電圧Vccは、抵抗105eと抵抗105dとによって分圧される。分圧された電圧値の信号は、ノードN7から比較器205bのマイナス端子(−)に供給される。
【0159】
比較器205bは、マイナス端子(−)に供給された信号の電圧値とプラス端子(+)に供給された信号の電圧値とを比較し、プラス端子(+)に供給された信号の電圧値が、マイナス端子(−)に供給された信号の電圧値を超えた場合に、電圧低下信号(High信号)を電圧変換部103(スイッチングIC103a)に出力する。この比較によって、電池電流(抵抗205fに流れる電流)が閾値B(プラス端子(+)に供給された信号の電圧値に応じた電流値)と比較され、電池電流が基準Bを満たすか判別される。
【0160】
抵抗205c乃至205fの各抵抗値は、それぞれ、モータ電流が閾値Bを超えたときに比較器105bがHigh信号を出力するような値にする。閾値Bは、モータ電流の大きさ(電流値)がこの閾値Bを越えたときに、モータ電流が大きくなりすぎるような値にする。閾値Bは予め設定される。なお、閾値と上記の基準とは、閾値Bと基準Bとは別の閾値及び基準であってもよい。
【0161】
ダイオード205aは、電圧低下信号を整流するとともに、比較器205bの出力端子から比較器205bに電流が逆流することを防止する。
【0162】
本実施形態における電源回路12では、上記の構成例によって、電池電流に応じて電圧低下信号を出力する第2電流検出部205を備える。そして、上記の構成例によって、電圧変換部103は、第2電流検出部205が電圧低下信号を出力すると、新たに生成する出力電圧の電圧値を下げる。
【0163】
このような構成によって、電池2と電圧変換部103との間に流れる電流に応じて(電流値が基準Bを満たすほどに大きい場合)、電圧変換部103の出力電圧の電圧値を下げることができるので、電池2と電圧変換部103との間に流れる電流が大きくなることを抑制できる。これによって、電源回路12の少なくとも一部に大電流が流れることを防ぐ又は軽減できる。このため、本実施形態の電動作業機1は、電源回路12及びモータ50(ここでは、特に電源回路12)を的確に保護した電動作業機になる。特に、第1電流検出部105と第2電流検出部205とによって二重の保護がなされる。
【0164】
(実施形態3)
次に、本発明の第3実施形態について、図10を参照して説明する。実施形態3は、実施形態1と電源回路12の電圧制御手段が異なる。本実施形態3に係る電圧制御手段304は、実施形態1に係る電圧制御手段104の構成に加えてさらに、コンデンサ304eを備え、更に抵抗304bが可変抵抗により構成される。電源回路12の他の構成については、実施形態1と同じなので、説明を省略する。
【0165】
本実施形態において、抵抗304bは可変抵抗から構成され、この値を変更することで、電圧変換部103からの出力に対応した電圧検出信号の電圧値を変化させることが可能となる。このため、擬似的に電圧変換部103の目標値を変更させる効果を得る。抵抗104bは、電源ハウジング11の外部から操作可能に設けられており(図示せず)、作業者によって任意に変更可能となっている。
【0166】
コンデンサ104eは、電源スイッチ回路101の起動時にフィードバックさせる電圧検出信号の電圧値を強制的に上昇させるよう働く。その後、電圧検出信号の電圧値は、電圧変換部103の出力電圧に応じた電圧値を出力する通常の状態に徐々に移行する。上記構成によれば、電源スイッチ回路101の起動時には、モータ50に印加される電圧は徐々に上昇する構成となり、所謂ソフトスタート機構(規制手段)を構成することが可能となる。
【0167】
本実施形態における電動作業機1では、電圧変換部103から出力される出力信号を任意に変更可能にしたことにより、所望の回転数を得ることができ、例えば本実施形態における電動作業機1に取付けた回転刃42に換え、ナイロンコードを備えたカッターを取り付けた場合などにも、快適に作業を行うことができる。
【0168】
また、本実施形態における電動作業機1では、回転刃42を始動させる際にモータ50に大きな電流が流れようとするが、始動時にのみ作動するソフトスタート機構により、モータ50に印加される電圧が徐々に上昇する構成としたため、電池2に過大電流が流れることを禁止している。これにより、モータ50及び電源回路12にかかる負担をさらに軽減すると共に、始動時に電池2を保護することが可能となる。
【0169】
(変形例)
また、上記実施形態では、電動モータ(モータ50)を用いた電動刈払機に適用した電動作業機の例を説明したが、本発明は任意の電気機器に応用でき、他の電動モータを用いた作業機にも同様に広く適用できる。特に、サンダ、ポリッシャ、ルータ、集じん機など電動モータの回転が減速機を介さず作業具(回転刃、ファン等)に直接伝達されるものに適する。
【符号の説明】
【0170】
1 電動刈払機
2 電池
12 電源回路
50 モータ
101 電源スイッチ回路
102 電圧検出部
103 電圧変換部
104 電圧制御部
105 電流検出部(第1電流検出部)
106 制御用電源部
107 スイッチ状態検出部
108 制御部
109 温度検出部
110 電流増幅部
113 スイッチ
205 第2電流検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
電源から供給される電力に基づいて前記モータを駆動する電源回路と、を備える電動作業機であって、
前記電源回路は、
前記電動作業機の所定部位の温度を検出するための温度検出手段と、
前記温度検出手段によって前記所定部位の温度を検出する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段によって検出した温度が所定の基準を満たすと、前記モータに流れる電流を下げる、
ことを特徴とする電動作業機。
【請求項2】
前記電源回路は、前記電源の出力電圧に応じて入力される入力電圧を変換して所定の出力電圧を生成し、生成した前記出力電圧を前記モータに出力することを順次行う電圧変換手段をさらに備え、
前記印可電圧は、前記出力電圧である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動作業機。
【請求項3】
前記電源回路は、前記電圧変換手段が出力する前記出力電圧に応じた電圧値の信号を前記電圧変換手段に出力する電圧制御手段をさらに備え、
前記電圧変換手段は、前記電圧制御手段が出力する前記信号の前記電圧値に応じた電圧値を有する前記出力電圧を新たに生成し、
前記制御手段は、前記電圧制御手段を制御して前記電圧制御手段が出力する前記信号の前記電圧値を制御することによって、前記モータに印加される印加電圧を下げる、
ことを特徴とする請求項2に記載の電動作業機。
【請求項4】
前記所定部位は、前記モータである、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項5】
前記所定部位は、前記電圧変換手段が備える回路素子である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電動作業機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−142861(P2011−142861A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6327(P2010−6327)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】