説明

電動圧縮機

【課題】外部冷媒回路からの液冷媒のハウジング内での貯留を抑制して導電部の絶縁性を確保することができる電動圧縮機の提供の提供にある。
【解決手段】回転軸29を有する電動モータ12と、回転軸29と連結され、電動モータ12の駆動により冷媒の圧縮を行う圧縮機構11と、電動モータ12および圧縮機構11を収容する金属製のハウジング13と、ハウジング13に形成された吸入口17と接続され、ハウジング13の内部と連通する冷媒の吸入通路Sと、ハウジング13の内部と連通し、圧縮機構11から吐出された冷媒の吐出通路Dと、を備えた電動圧縮機10において、吸入通路Sおよび吐出通路Dの少なくとも一方に液冷媒を貯留する液冷媒貯留室が設けられた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動圧縮機に関し、特に、ハウジング内に収容された電動モータと、電動モータの駆動により冷媒の圧縮を行う圧縮機構を備えた電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電動圧縮機では、金属製のハウジング内に、電動モータおよび電動モータの駆動により冷媒の圧縮を行う圧縮機構が収容されている。
この種の電動圧縮機は外部冷媒回路と接続されており、圧縮運転時においてハウジング内および圧縮機構に冷媒が通過する。
ところが、電動圧縮機が停止した状態では冷媒が冷却されて、ハウジング内に液化した冷媒(以下「液冷媒」と表記する)が貯留する場合がある。
ハウジング内に貯留される液冷媒には潤滑油も含まれており、特定の種類の潤滑油は液冷媒との混合により液冷媒の電気抵抗率を低下させる性質を持つ。
ハウジング内の電動モータおよび電動モータの周辺には、配線の端子等、液冷媒に晒されるおそれのある導電部が存在する場合がある。
このような導電部がハウジング内に貯留された液冷媒に浸漬されると、導電部とハウジングとの間の絶縁性が低下するおそれがある。
【0003】
そこで、従来では、導電部とハウジングとの絶縁性を向上する技術として、例えば、特許文献1に開示された電動圧縮機が提案されている。
特許文献1に開示された電動圧縮機には、電動モータの固定子に三相の導電性巻線によるコイルが形成されており、各相の導電性巻線の終端側をコイルから引き出し、引き出した結束用引出部の先端部を束ねて結束部を形成している。
結束部の先端に各導電性巻線の芯線同士を接続して結線接続部が形成され、結線接続部は中性点を形成している。
さらに、結束部を絶縁性チューブに挿入して、結束部において結線接続部とハウジングとの絶縁最短距離を長くした余長部が形成されている。
特許文献1に開示された電動圧縮機によれば、ハウジング内に貯留された液冷媒が結線接続部を浸漬しても、結線接続部とハウジングとの絶縁最短距離を長くなることにより、結線接続部とハウジングとの絶縁抵抗を高めるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−264279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された電動圧縮機は、液冷媒に浸漬された結線接続部とハウジングとの絶縁抵抗を高めることができるものの、余長部を形成するためのスペースがハウジング内に必要となる。このため、余長部を形成することによって電動圧縮機の体格が増大し、例えば、電動圧縮機の車両等への搭載性が悪化する。このように、電動圧縮機の体格の制約を受ける条件下では、液冷媒への対策として余長部を電動圧縮機に形成することができない場合がある。
ところで、圧縮運転停止時に、ハウジング内に貯留される液冷媒としては、ハウジング内で冷却されて生じた液冷媒の他に、外部冷媒回路内にて冷却されて生じた液冷媒がハウジング内に浸入して貯留されるものがある。
外部冷媒回路内にて冷却されて生じた液冷媒がハウジング内に浸入すると、多量の液冷媒がハウジング内に貯留されることになる。
特に、余長部を形成することができない電動圧縮機の場合、導電部が液冷媒に浸漬されやすくなり、導電部とハウジングとの絶縁性が悪化するという問題がある。
また、ハウジング内に多量の液冷媒が貯留される状態のままで電動圧縮機を起動すると、起動当初に液圧縮を生じる。
液圧縮の発生は、通常の起動時のトルクと比較して大きなトルクを必要とする等、電動圧縮機に対する負荷が大きくなる。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、外部冷媒回路からの液冷媒のハウジング内での貯留を抑制して導電部の絶縁性を確保することができる電動圧縮機の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、回転軸を有する電動モータと、前記回転軸と連結され、前記電動モータの駆動により冷媒の圧縮を行う圧縮機構と、前記電動モータおよび前記圧縮機構を収容する金属製のハウジングと、前記ハウジングに形成された吸入口と接続され、前記ハウジングの内部と連通する冷媒の吸入通路と、前記ハウジングの内部と連通し、前記圧縮機構から吐出された冷媒の吐出通路と、を備えた電動圧縮機において、前記吸入通路および前記吐出通路の少なくとも一方に液冷媒を貯留する液冷媒貯留室が設けられることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、電動圧縮機の圧縮運転時においては、冷媒は吸入通路からハウジングの内部を通って圧縮機構へ達し、圧縮機構において圧縮された冷媒が圧縮機構から吐出通路を通じて外部冷媒回路へ達する。
そして、冷媒は吸入通路および吐出通路の少なくとも一方に設けた液冷媒貯留室を通過する。
電動圧縮機の運転停止時においては、吸入通路および吐出通路の少なくとも一方に設けた液冷媒貯留室に外部冷媒回路から流れ込む液冷媒が貯留される。
このため、外部冷媒回路からの液冷媒のハウジングの内部への浸入は妨げられる。
その結果、電動圧縮機の運転停止時において、外部冷媒回路からの液冷媒のハウジング内での貯留を抑制して電動モータおよび電動モータの近くに設けられた導電部の絶縁性を確保することができる。
【0009】
また、本発明は、上記の電動圧縮機において、前記液冷媒貯留室は、前記ハウジングの外部に液冷媒貯留室ケースを接合することにより形成される構成としてもよい。
この場合、液冷媒貯留室はハウジングと一体的に形成することができ、電動圧縮機の寸法抑制を図ることができる。
【0010】
また、本発明は、上記の電動圧縮機において、前記吸入通路および前記吐出通路のうち、前記電動モータに近い通路に前記液冷媒貯留室を設ける構成としてもよい。
【0011】
この場合、圧縮運転停止時に液冷媒貯留室に液冷媒が貯留され、電動モータに近い通路からの液冷媒のハウジングの内部への浸入が妨げられることから、ハウジングの内部の電動モータおよび電動モータの近くに設けられた導電部が液冷媒に浸漬され難くなる。
【0012】
また、本発明は、上記の電動圧縮機において、前記液冷媒貯留室は前記吸入通路に設けられる構成としてもよい。
【0013】
この場合、吸入通路に液冷媒貯留室が設けられることで、圧縮運転停止時に液冷媒貯留室に液冷媒が貯留され、吸入通路からの液冷媒のハウジング内への浸入を抑制することができる。
電動モータが収容されているハウジングの内部と吸入通路が連通している電動圧縮機の場合、電動モータおよび電動モータの近くに設けられた導電部の液冷媒による浸漬がより抑制される。
【0014】
また、本発明は、上記の電動圧縮機において、前記液冷媒貯留室は、前記吸入通路および前記吐出通路のそれぞれに設けられる構成としてもよい。
【0015】
この場合、液冷媒貯留室が吸入通路および吐出通路のそれぞれに設けられるから、運転停止時にそれぞれの液冷媒貯留室に液冷媒が貯留され、吸入通路および吐出通路からの液冷媒のハウジング内への浸入を確実に防止することができる。
【0016】
また、本発明は、上記の電動圧縮機において、前記吸入通路は、前記ハウジングの前記電動モータが収容されている側と連通し、前記吐出通路は、前記ハウジングの前記圧縮機構が収容されている側と連通する構成としてもよい。
このような構成の電動圧縮機は、本発明の適用対象として特に好適である。
【0017】
また、本発明は、上記の電動圧縮機において、前記吸入通路に設けられた前記液冷媒貯留室は、内部連通管を内部に備え、前記内部連通管は、一方の端部が前記吸入口と連通し、他方の端部が前記液冷媒貯留室の内部の液冷媒貯留域に配置される構成としてもよい。
【0018】
この場合、電動圧縮機の起動開始時に、液冷媒貯留域に配置される内部連通管の他方の端部から液冷媒に含まれる潤滑油が液冷媒とともに内部連通管を通じてハウジング内に供給されるから、ハウジング内の摺動部に潤滑油を供給することができる。
【0019】
また、本発明は、上記の電動圧縮機において、前記吸入通路には、配管が設けられ、 前記配管は前記液冷媒貯留室の下部に接続されている構成としてもよい。
【0020】
この場合、配管の一部も液冷媒貯留室とともに液冷媒を貯留する空間として利用することができる。
【0021】
また、本発明は、上記の電動圧縮機において、前記ハウジングには、前記回転軸を回転可能に支持する軸受が設けられ、前記軸受は前記吸入口と対向する位置に設置されている構成としてもよい。
【0022】
この場合、電動圧縮機を起動すると、液冷媒が吸入口を通過するため、液冷媒に含まれている潤滑油が吸入口を通過して軸受の潤滑を行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、外部冷媒回路からの液冷媒のハウジング内での貯留を抑制して導電部の絶縁性を確保することができる電動圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電動圧縮機の縦断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る電動圧縮機の縦断面図である。
【図3】変形例1に係る電動圧縮機の概略平面図である。
【図4】変形例2に係る電動圧縮機の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る電動圧縮機について図面を参照して説明する。
この実施形態に係る電動圧縮機は、走行用の電動モータと内燃機関を走行駆動源とするハイブリッド車に搭載される車載用の電動圧縮機であり、具体的にはスクロール型の電動圧縮機である。
図1に示す電動圧縮機10は、車両用空調装置における冷媒回路の一部を構成している。
車両用空調装置は、電動圧縮機10のほか、図示はしないが、凝縮器としてのコンデンサと、レシーバと、膨張弁及びエバポレータを備えたクーリングユニットと、これらの機器を接続する配管を備えている。
【0026】
図1に示すように、電動圧縮機10は、流体としての冷媒を圧縮する圧縮機構11と、圧縮機構11を駆動する圧縮機用の電動モータ12が一体化された圧縮機である。
電動圧縮機10のハウジング13は金属製のハウジングであり、本実施形態ではアルミ系金属材料により形成されている。
ハウジング13は、第1ハウジング体14と、第2ハウジング体15を有している。
第1ハウジング体14の端面と第2ハウジング体15の端面は接合され、第1ハウジング体14および第2ハウジング体15はボルト16により一体的に固定されている。
因みに、この実施形態の電動圧縮機10は、エンジンルーム内において横置き状態にて設置される。
【0027】
電動圧縮機10の第1ハウジング体14の内部には、圧縮機構11と、圧縮機用の電動モータ12が収容されている。
第1ハウジング体14の電動モータ12側の端部には吸入口17が形成されている。
電動圧縮機10の圧縮運転時には、外部冷媒回路からの低圧の冷媒は吸入口17を通過し、第1ハウジング体14の内部に送入される。
【0028】
第2ハウジング体15の内部には圧縮機構11と連通する吐出室19が形成されている。
第2ハウジング体15の上部には吐出口20が形成されている。
第2ハウジング体15には、吐出室19と吐出口20との間を連通する連通路21が形成されており、連通路21にはオイルセパレータ22が設置されている。
オイルセパレータ22は、圧縮機構11から吐出された冷媒に含まれるミスト状のオイルを冷媒から分離する。
オイルセパレータ22の下方には、オイル戻し通路23が形成されており、オイル戻し通路23は分離されたオイルを圧縮機構11へ戻す通路である。
電動圧縮機10の圧縮運転時には、圧縮機構11から吐出室19に吐出された高圧の冷媒は連通路21を経て吐出口20へ達する。
【0029】
圧縮機構11は、第1ハウジング体14内に固定された固定スクロール25と、固定スクロール25に対して旋回する可動スクロール26を備えている。
固定スクロール25と可動スクロール26との間には圧縮室27が形成されている。
第1ハウジング体14内における電動モータ12と固定スクロール25との間には、軸支部材28が設けられている。
軸支部材28は、圧縮機構11の一部を構成し、電動モータ12が備える回転軸29の一方の端部を軸支する軸受30を備えている。
回転軸29の他方の端部は、軸受31を介して第1ハウジング体14に軸支されている。
つまり、軸受30、31は回転軸29を回転可能に支持する。
本実施形態では、軸受31が吸入口17に対向する位置に設置され、吸入口17から吸入される冷媒は軸受31を通る。
軸支部材28には圧縮室27と連通する吸入ポート32が形成されており、吸入口17から第1ハウジング体14内に取り込まれた冷媒は、吸入ポート32を通じて圧縮室27へ導入される。
第1ハウジング体14の内部空間のうち、吸入ポート32と連通する空間部は吸入圧雰囲気となる吸入圧空間である。
【0030】
可動スクロール26は、電動モータ12の回転軸29に設けられた偏心軸33に軸受34を介して設けられている。
回転軸29の回転により可動スクロール26が旋回し、可動スクロール26の旋回により圧縮室27の容積が増減される。
圧縮室27の容積増大により冷媒が吸入ポート32を通じて圧縮室27へ導入され、圧縮室27の容積減少により圧縮室27の冷媒は圧縮される。
固定スクロール25の中心に吐出室19と連通する吐出ポート35が形成されており、吐出ポート35を開閉する吐出弁36が備えられている。
圧縮された冷媒は、吐出ポート35を通じて吐出室19へ吐出される。
第2ハウジング体15の内部空間(吐出室19および連通路21)は、吐出圧雰囲気となる吐出圧空間である。
【0031】
圧縮機用の電動モータ12は、三相交流電力により駆動されるモータである。
電動モータ12は、第1ハウジング体14の内壁に固定されたステータ37と、ステータ37内に挿入され、回転軸29に固定されたロータ38を備えている。
ロータ38は、回転軸29の軸芯方向に設けた複数の挿入孔を備えたロータコア39と、ロータコア39の磁石挿入孔(図示せず)に挿入された永久磁石(図示せず)を有している。
ステータ37はステータコア40とステータコア40に巻線されたU相、V相、W相の各相のコイル41を有する。
各相のコイル41を形成する巻線の一方の端部は電力の供給を受けるリード線47としてコイル41から引き出されている。
また、各相のコイル41を形成する巻線の他方の端部は互いに結線されることにより中性点48を形成している。
本実施形態の中性点48はコイル41における圧縮機構11側の上部に位置しており、各相の巻線における他方の端部が互いに接触することにより導電部を形成する。
【0032】
電動モータ12は、第1ハウジング体14の外壁に設けられた電動モータ制御部42の制御を受けて駆動される。
電動モータ制御部42は、第1ハウジング体14の外壁に接合された制御部ケース43を備えている。
制御部ケース43は、インバータ44を保護するケースであり、第1ハウジング体14と同じアルミ系金属材料により形成されている。
第1ハウジング体14と制御部ケース43とにより形成された密閉空間には、インバータ44とインバータ44と電気的に接続された気密端子45が設置されている。
インバータ44は、外部から電動圧縮機10の駆動に必要な電力の供給を受け、供給される直流電力を交流電力に変換する。
インバータ44は、第1ハウジング体14の外壁に固定されており、インバータ44と第1ハウジング体14との絶縁状態が保たれている。
【0033】
気密端子45はインバータ44側のコネクタを介してインバータ44と電気的に接続されている。
第1ハウジング体14の内部にはクラスタブロック46が設けられ、気密端子45はクラスタブロック46を介して各相のコイル41から引き出されているリード線47と電気的に接続されている。
クラスタブロック46は樹脂等の絶縁材料から成る四角形状の箱体で形成されている。
クラスタブロック46の上面には、気密端子45の各端子ピン(図示せず)が挿入される端子挿入孔(図示せず)が穿設されている。
なお、気密端子45の端子ピンと、クラスタブロック46の端子挿入孔に設けたピン接点は導電部を形成している。
このように、電動モータ12とインバータ44は電気的に接続されており、インバータ44から気密端子45を介して電動モータ12のコイル41に通電されると、ロータ38が回転され、回転軸29と連結された圧縮機構11が作動される。
【0034】
ところで、本実施形態の電動圧縮機10は、液冷媒を貯留する吸入側液冷媒貯留室50を備えている。
吸入側液冷媒貯留室50は、第1ハウジング体14の電動モータ12側の端面に接合された液冷媒貯留室ケースとしての吸入側貯留室ケース51により形成されている。
第1ハウジング体14の電動モータ12側の端面は、ハウジング13の外部に相当する。
吸入側貯留室ケース51には、外部冷媒回路と連通する配管18が接続されている。
配管18は吸入側液冷媒貯留室50とともに吸入通路Sを形成する。
吸入通路Sは、ハウジング13の電動モータ12が収容されている側と連通し、後述する吐出通路Dよりも電動モータ12に近い通路に相当する。
配管18は、吸入側貯留室ケース51の側面において下部に接続されている。
吸入側貯留室ケース51の側面における下部とは、底部寄りであって、少なくとも吸入側貯留室ケース51の側面において高さの半分以下の範囲を示す。
吸入側液冷媒貯留室50には内部連通管52が設置されており、内部連通管52の一方の端部は吸入口17と接続され、内部連通管52の他方の端部は吸入側液冷媒貯留室50に開放されている。
吸入側液冷媒貯留室50の内部には、電動圧縮機10の停止中に生じる液冷媒R(図1において符号Rにより示す)が確実に貯留される液冷媒貯留域が設定されており、内部連通管52の他方の端部は液冷媒貯留域内に配置されている。
従って、電動圧縮機10の運転中に配管18を通る冷媒は、吸入側液冷媒貯留室50に入り、内部連通管52を通って吸入口17から第1ハウジング体14内に入る。
吸入側液冷媒貯留室50は、電動圧縮機10の停止中に生じる潤滑油を含む液冷媒Rを貯留することが可能である。
因みに、吸入口17は、吸入側液冷媒貯留室50に貯留される液冷媒の液面よりも高い位置に設けられることが好ましく、吸入口17の位置が液冷媒の液面よりも高い位置となることで、液冷媒が第1ハウジング体14の内部に流れ込むことがない。
【0035】
また、本実施形態の電動圧縮機10は、液冷媒を貯留する吐出側液冷媒貯留室53を備えている。
吐出側液冷媒貯留室53は、第2ハウジング体15の端面に接続された液冷媒貯留室ケースとしての吐出側貯留室ケース54により形成されており、液冷媒を貯留可能な空間を有している。
第2ハウジング体15の端面はハウジング13の外部に相当する。
吐出側貯留室ケース54には、外部冷媒回路と連通する配管24が接続されている。
配管24は吐出側液冷媒貯留室53とともに吐出通路Dを形成する。
配管24は、吐出側貯留室ケース54の上面において吐出口20と非重畳の位置に接続されている。
従って、電動圧縮機10の運転中に吐出口20から吐出された冷媒は、吐出側液冷媒貯留室53に入り、配管24を通じて外部冷媒回路へ吐出される。
吐出側液冷媒貯留室53は、電動圧縮機10の停止中において吐出通路Dから逆流する液冷媒を貯留することが可能である。
【0036】
次に、本実施形態の電動圧縮機10の作動について説明する。
電動モータ12に電力が供給されてロータ38が回転すると、圧縮機構11が吸入ポート32から冷媒を圧縮室27に吸入して圧縮し、圧縮した冷媒を吐出ポート35から吐出室19へ冷媒を吐出する。
第1ハウジング体14の内部における吸入ポート32と連通する空間の圧力は、起動時の圧縮機構11の作動により低下する。
この空間の圧力が所定圧力まで低下すると、冷媒は配管18から吸入側液冷媒貯留室50に導入され、吸入側液冷媒貯留室50に導入された冷媒は内部連通管52を通り、吸入口17から第1ハウジング体14の内部に吸入される。
【0037】
一方、吐出室19および連通路21の圧力は、電動圧縮機10の起動時には圧縮機構11から冷媒が吐出されることにより上昇する。
吐出口20から吐出された冷媒は、吐出側液冷媒貯留室53を通り、配管24を通じて外部冷媒回路へ送出される。
また、電動圧縮機10が圧縮運転を継続する状態では、冷媒は連続的にハウジング13の外部に吐出されるので、ハウジング13の内部に多量の液冷媒が貯留することはない。
【0038】
電動モータ12が停止して、電動圧縮機10が圧縮運転停止状態となり、時間の経過とともに車両用空調装置が冷却されると、電動圧縮機10内や外部冷媒回路内における冷媒が冷却されて液冷媒が生じる。
圧縮運転停止中では、外部冷媒回路において発生した液冷媒が吸入通路Sおよび吐出通路Dを通じて電動圧縮機10へ向かって流れ込もうとしても、吸入通路S側から流れ込もうとする液冷媒は吸入側液冷媒貯留室50の液冷媒貯留域に貯留される。
また、圧縮運転停止中に吐出通路D側から流れ込もうとする液冷媒は吐出側液冷媒貯留室53に貯留される。
つまり、液冷媒は吸入側液冷媒貯留室50および吐出側液冷媒貯留室53に貯留され、ハウジング13の内部に導入されることはない。
なお、液冷媒は吸入側液冷媒貯留室50および吐出側液冷媒貯留室53に貯留される液冷媒には潤滑油も含まれている。
外部冷媒回路において生じた液冷媒がハウジング13の内部に導入されないことから、ハウジング13の内部において液冷媒が発生しても、ハウジング13の内部に溜まる液冷媒は少量となる。
このため、導電部を持つ気密端子45、クラスタブロック46および中性点48が、ハウジング13の内部に溜まる液冷媒に浸漬されることはない。
【0039】
また、液冷媒がハウジング13の内部に発生しても、ハウジング13の内部に溜まる液冷媒は少量となることから、電動圧縮機10の起動時に発生しがちな液圧縮を防止しやすい。
液圧縮が防止されることにより、液圧縮による圧縮機構11の物理的負荷や電動モータ12の電力消費量の増大が防止される。
【0040】
図1に示すように、液冷媒Rが吸入側液冷媒貯留室50の液冷媒貯留域に貯留されている状態から、電動圧縮機10を起動すると、内部連通管52を通じて液冷媒Rが吸入口17を通過する。
液冷媒Rには潤滑油が含まれており、液冷媒Rに含まれている潤滑油は、吸入口17から軸受31を通過するときに軸受31の潤滑を行うほか、ハウジング13内の摺動部を潤滑する。
電動圧縮機10の起動当初は、液冷媒Rがハウジング13内に導入されるが、冷媒の圧縮作用によりハウジング13の温度が上昇し、ハウジング13の温度上昇により液冷媒Rは気化し、液冷媒Rに含まれている潤滑油はミスト状となる。
液冷媒Rが気化することにより、ハウジング13において潤滑油を含む液冷媒Rの貯留が解消され、金属製のハウジング13と各導電部との絶縁性は維持される。
【0041】
本実施形態に係る電動圧縮機10は以下の作用効果を奏する。
(1)電動圧縮機10の圧縮運転時においては、冷媒は外部冷媒回路から配管18を介して吸入側液冷媒貯留室50に導入される。吸入側液冷媒貯留室50に導入された冷媒は内部連通管52を通り、吸入口17からハウジング13の内部を通って圧縮機構11へ達し、圧縮機構11において圧縮された冷媒が圧縮機構11から吐出通路D(吐出側液冷媒貯留室53および配管24)を通じて外部冷媒回路へ達する。圧縮運転停止時には、外部冷媒回路にて発生した液冷媒が吸入通路S、吐出通路Dを通じて電動圧縮機10へ向かっても、吸入通路Sを通る液冷媒は吸入側液冷媒貯留室50の液冷媒貯留域に貯留され、吐出通路Dを通る液冷媒は吐出側液冷媒貯留室53に貯留される。このため、吸入通路Sおよび吐出通路Dを介した外部冷媒回路からの液冷媒のハウジング13の内部への浸入は妨げられる。その結果、電動圧縮機10の圧縮運転停止時において、ハウジング13の内部への液冷媒の貯留を抑制することができる。
【0042】
(2)吸入通路Sおよび吐出通路Dのうち、電動モータ12に近い通路である吸入通路Sを通る液冷媒は圧縮運転停止時に吸入側液冷媒貯留室50の液冷媒貯留域に貯留され、液冷媒の第1ハウジング体14の内部への浸入が妨げられる。このため、第1ハウジング体14の内部の電動モータ12が液冷媒に浸漬され難くなる。また、第1ハウジング体14の内部の冷媒が液冷媒となっても液冷媒は少量で済み、電動モータ12が液冷媒に浸漬される可能性は低い。その結果、電動モータ12および電動モータ12の近くに設けられた導電部を持つ気密端子45、クラスタブロック46および中性点48が、ハウジング13の内部に溜まる液冷媒に浸漬することはなく、金属製のハウジング13と各導電部との絶縁性を保つことができる。
(3)吸入通路Sを通る液冷媒は吸入側液冷媒貯留室50の液冷媒貯留域に貯留され、吐出通路Dを通る液冷媒は吐出側液冷媒貯留室53に貯留される。このため、ハウジング13の内部に溜まる液冷媒は少量となり、電動圧縮機10の起動時に発生しがちな液圧縮を防止しやすい。これにより、液圧縮による圧縮機構11の物理的負荷を低減することができるほか、電動モータ12の電力消費量の増大を防止することができる。
【0043】
(4)液冷媒Rが吸入側液冷媒貯留室50の液冷媒貯留域に貯留されている状態から、電動圧縮機10を起動すると、内部連通管52を通じて液冷媒Rが吸入口17を通過するため、液冷媒Rに含まれている潤滑油が吸入口17を通過して軸受31の潤滑を行うことができる。
(5)配管18が吸入側貯留室ケース51の側面において下部に接続されているから、配管18の一部も液冷媒Rを貯留する空間として利用することができる。
【0044】
(6)吐出側液冷媒貯留室53が吐出口20と配管24との間となるように設けられることから、吐出側液冷媒貯留室53は、液冷媒の貯留だけでなく電動圧縮機10の運転時における吐出側での脈動および騒音を防止することができる。このため、別に脈動および騒音を防止する部屋(マフラー室)を電動圧縮機10に設ける必要がなく、電動圧縮機10の製作コストの上昇を抑えることができる。
(7)第1ハウジング体14の端面に吸入側貯留室ケース51を接合して吸入側液冷媒貯留室50を形成し、第2ハウジング体15の端面に吐出側貯留室ケース54を接合して吐出側液冷媒貯留室53を形成するから、電動圧縮機10の径方向の寸法拡大を抑制できる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る電動圧縮機について説明する。
本実施形態に係る電動圧縮機は、吸入側に液冷媒貯留室を設け、吐出側には液冷媒貯留室を備えない点で、第1の実施形態の電動圧縮機と異なる。
本実施形態の電動圧縮機の構成は、吐出側に液冷媒貯留室を備えない点を除き、第1の実施形態と同一であるから第1の実施形態で用いた符号を共通して用いる。
【0046】
図2に示すように、電動圧縮機60は吸入口17および配管18と連通する吸入側液冷媒貯留室50を備えているが、吐出口20および配管24と連通する吐出側液冷媒貯留室を設けていない。
このため、電動圧縮機60の圧縮運転時において圧縮機構11から吐出室19へ吐出された冷媒は、連通路21およびオイルセパレータ22を通じて吐出口20へ達し、吐出口20から外部冷媒回路へ直ちに送出される。
電動圧縮機60が圧縮運転を停止して冷却されると、吸入側液冷媒貯留室50は吸入通路Sから流れ込む液冷媒を貯留し、吸入通路Sからハウジング13の内部への液冷媒の浸入が阻止される。
【0047】
吐出通路D側に生じた液冷媒は、吐出口20から第2ハウジング体15へ浸入し、連通路21および吐出室19を通じて圧縮機構11に達する。
本実施形態の圧縮機構11はスクロール式の圧縮機構であるため、吐出口20から浸入した液冷媒は圧縮機構11を通過することができず、第1ハウジング体14(電動モータ12)へ到達することは困難である。
つまり、吐出口20から第2ハウジング体15へ浸入した液冷媒の第1ハウジング体14への浸入は圧縮機構11により防止される。
【0048】
本実施形態では、吐出通路Dに吐出側液冷媒貯留室を設けることなく、吸入通路Sに吸入側液冷媒貯留室50を設けるだけで、液冷媒の第1ハウジング体14への浸入を防止することができる。
また、吐出側液冷媒貯留室を設ける必要がないことから、吐出側液冷媒貯留室を設けた電動圧縮機10と比較して部品点数を削減することができるほか、電動圧縮機60の小型化を図ることができる。
【0049】
(変形例1)
次に、変形例1に係る電動圧縮機について説明する。
図3は変形例1に係る電動圧縮機70を概略的に示す平面図であり、第1の実施形態と共通する要素は同一の符号を用いる。
図3に示す電動圧縮機70は、液冷媒貯留室としての吸入側液冷媒貯留室71を備える。
吸入側液冷媒貯留室71は、第1ハウジング体14の外周面における電動モータ12側の端面寄りに接合された液冷媒貯留室ケースとしての吸入側貯留ケース72により形成されており、液冷媒が貯留可能である。
第1ハウジング体14の外周面はハウジング13の外部に相当する。
吸入側貯留ケース72には、外部冷媒回路と連通する配管18が接続されている。
配管18は吸入側液冷媒貯留室71とともに吸入通路Sを構成する。
吸入側液冷媒貯留室71には内部連通管73が設置されており、内部連通管73の一方の端部は吸入口74と接続され、内部連通管73の他方の端部は吸入側液冷媒貯留室71の内部の空間に開放されている。
吸入側液冷媒貯留室71の内部には、電動圧縮機70の停止中に生じる液冷媒(図示せず)が確実に貯留される液冷媒貯留域が設定されており、内部連通管73の他方の端部は液冷媒貯留域内に配置されている。
従って、電動圧縮機70の運転中に吸入通路Sを通る冷媒は、吸入側液冷媒貯留室71に入り、内部連通管73を通って吸入口74から第1ハウジング体14内に入る。
吸入側液冷媒貯留室71は、電動圧縮機70の停止中に生じる潤滑油を含む液冷媒を貯留することが可能である。
【0050】
また、図3に示す電動圧縮機70は、液冷媒貯留室としての吐出側液冷媒貯留室75を備えている。
吐出側液冷媒貯留室75は、第2ハウジング体15の外周面の端面寄りに接合された液冷媒貯留室ケースとしての吐出側貯留室ケース76により形成されており、液冷媒を貯留可能な空間を有している。
第2ハウジング体15の外周面はハウジング13の外部に相当する。
吐出側貯留室ケース76には、外部冷媒回路と連通する配管24が接続されている。
配管24は吐出側液冷媒貯留室75とともに吐出通路Dを構成する。
吐出側液冷媒貯留室75は第2ハウジング体15の吐出口77と連通する。
従って、電動圧縮機70の運転中に吐出口77から吐出された冷媒は、吐出側液冷媒貯留室75に入り、配管24を通じて外部冷媒回路へ吐出される。
吐出側液冷媒貯留室75は、電動圧縮機70の停止中において吐出通路Dから流入する液冷媒を貯留することが可能である。
【0051】
変形例1に係る電動圧縮機70は、ハウジング13の外周面に液冷媒貯留室が形成される。
このため、第1、第2の実施形態の電動圧縮機10、60と比較して電動圧縮機70の回転軸29の軸方向における寸法抑制を図ることができる。
【0052】
(変形例2)
次に、変形例2に係る電動圧縮機について説明する。
図4は変形例2に係る電動圧縮機80を概略的に示す平面図であり、第1の実施形態と共通する要素は同一の符号を用いる。
図4に示す電動圧縮機80は、制御部ケース81が第1ハウジング体14の端面に接合され、制御部ケース81内にインバータ44が収容されている。
電動圧縮機80は、液冷媒貯留室としての吸入側液冷媒貯留室82を備える。
吸入側液冷媒貯留室82は、制御部ケース81の端面に接合された液冷媒貯留室ケースとしての吸入側貯留室ケース83により形成されており、液冷媒を貯留可能な空間を有している。
制御部ケース81の端面はハウジング13の外部に相当する。
【0053】
吸入側貯留室ケース83には、外部冷媒回路と連通して吸入通路Sを形成する配管18が接続されている。
吸入側液冷媒貯留室82には内部連通管84が設置されており、内部連通管84の一方の端部は第1ハウジング体14の吸入口85と接続されている。
内部連通管84の他方の端部は吸入側液冷媒貯留室82に開放されている。
吸入側液冷媒貯留室82の内部には、電動圧縮機80の停止中に生じる液冷媒(図示せず)が確実に貯留される液冷媒貯留域が設定されており、内部連通管84の他方の端部は液冷媒貯留域内に配置されている。
このため、変形例2に係る内部連通管84は制御部ケース81の内部を貫通する。
従って、電動圧縮機80の運転中に吸入通路Sを通る冷媒は、吸入側液冷媒貯留室82に入り、内部連通管84を通って吸入口85から第1ハウジング体14内に入る。
吸入側液冷媒貯留室82は、電動圧縮機80の停止中に生じる潤滑油を含む液冷媒を貯留することが可能である。
【0054】
変形例2に係る電動圧縮機80では、インバータ44が吸入側液冷媒貯留室82と隣接して位置するため、電動圧縮機80の運転中、インバータ44は吸入側液冷媒貯留室82に貯留される液冷媒や吸入通路Sを通る冷媒により冷却される。
つまり、吸入側液冷媒貯留室82は液冷媒を貯留するだけでなく、通過する冷媒や貯留された液冷媒Rによりインバータ44の冷却を促進することができる。
【0055】
なお、上記の実施形態は、本発明の一実施形態を示すものであり、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、下記のように発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0056】
○ 上記の実施形態では、吸入側液冷媒貯留室および吐出側液冷媒貯留室を設けた例と、吸入側液冷媒貯留室を設け、吐出側液冷媒貯留室を設けない例の2例について説明したが、液冷媒貯留室は吸入側および吐出側の少なくとも一方に設けられるようにすればよい。例えば、吸入側液冷媒貯留室を設けず、吐出側液冷媒貯留室を設けるようにしてもよい。
○ 上記の実施形態では、ハウジングにおいて吸入圧の冷媒が通過する吸入圧空間に電動モータが収容される構成としたが、ハウジング内において吐出圧の冷媒が通過する吐出圧空間に電動モータを収容した構成としてもよい。この場合、電動モータが収容されたハウジングの内部と吐出通路とが連通しており、吐出通路は吸入通路よりも電動モータに近い通路に相当する。よって、電動モータが収容された空間への液冷媒の浸入を防止するように吐出通路に吐出側液冷媒貯留室を設けることがより好ましい。
○ 上記の実施形態では、ハウジングの外部に液冷媒貯留室ケースを接合することにより液冷媒貯留室を形成するとしたが、液冷媒貯留室は液冷媒貯留室ケースの接合以外の手段により形成されてもよい。例えば、ハウジングの内部の空間を隔壁により分割して液冷媒貯留室を形成するようにしてもよい。
○ 上記の実施形態では、吸入通路の配管が吸入側液冷媒貯留室の下部に連通するとしたが、吸入側液冷媒貯留室における吸入通路の配管の連通位置は特に限定されない。例えば、吸入側液冷媒貯留室の上部に連通してもよく、あるいは、側部に連通してもよい。
○ 上記の実施形態では、スクロール型の圧縮機構としたが、圧縮機構はスクロール型に限定されない。例えば、ベーン式の圧縮機構としてもよく、圧縮機構の方式は特に制限されない。
○ 上記の変形例2では、第1ハウジング体の端面にインバータが設けられる構造としたが、インバータの位置は特に限定されず、インバータを冷却できるように吸入通路に液冷媒貯留室を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10、60、70、80 電動圧縮機
11 圧縮機構
12 電動モータ
13 ハウジング
14 第1ハウジング体
15 第2ハウジング体
16 ボルト
17、74、85 吸入口
18、24 配管
19 吐出室
20、77 吐出口
21 連通路
25 固定スクロール
26 可動スクロール
27 圧縮室
29 回転軸
30、31 軸受
36 吐出弁
37 ステータ
38 ロータ
41 コイル
42 電動モータ制御部
43、81 制御部ケース
44 インバータ
45 気密端子
46 クラスタブロック
50、71、82 吸入側液冷媒貯留室
51、72、83 吸入側貯留室ケース
52、73、84 内部連通管
53、75 吐出側液冷媒貯留室
54、76 吐出側貯留室ケース
S 吸入通路
D 吐出通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有する電動モータと、
前記回転軸と連結され、前記電動モータの駆動により冷媒の圧縮を行う圧縮機構と、
前記電動モータおよび前記圧縮機構を収容する金属製のハウジングと、
前記ハウジングに形成された吸入口と接続され、前記ハウジングの内部と連通する冷媒の吸入通路と、
前記ハウジングの内部と連通し、前記圧縮機構から吐出された冷媒の吐出通路と、を備えた電動圧縮機において、
前記吸入通路および前記吐出通路の少なくとも一方に液冷媒を貯留する液冷媒貯留室が設けられることを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記液冷媒貯留室は、前記ハウジングの外部に液冷媒貯留室ケースを接合することにより形成されることを特徴とする請求項1記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記吸入通路および前記吐出通路のうち、前記電動モータに近い通路に前記液冷媒貯留室を設けることを特徴とする請求項1又は2記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記液冷媒貯留室は前記吸入通路に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記液冷媒貯留室は、前記吸入通路および前記吐出通路のそれぞれに設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の電動圧縮機。
【請求項6】
前記吸入通路は、前記ハウジングの前記電動モータが収容されている側と連通し、前記吐出通路は、前記ハウジングの前記圧縮機構が収容されている側と連通することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の電動圧縮機。
【請求項7】
前記吸入通路に設けられた前記液冷媒貯留室は、内部連通管を内部に備え、
前記内部連通管は、一方の端部が前記吸入口と連通し、他方の端部が前記液冷媒貯留室の内部の液冷媒貯留域に配置されることを特徴とする請求項6記載の電動圧縮機。
【請求項8】
前記吸入通路には、配管が設けられ、
前記配管は前記液冷媒貯留室の下部に接続されていることを特徴とする請求項6又は7記載の電動圧縮機。
【請求項9】
前記ハウジングには、前記回転軸を回転可能に支持する軸受が設けられ、
前記軸受は前記吸入口と対向する位置に設置されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項記載の電動圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−113234(P2013−113234A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261082(P2011−261082)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】