電動草刈り機
【課題】モータに供給される電力が遮断されても回転刃等を強制停止させることができ、より安全性の高い電動草刈り機を提供することを課題とする。
【解決手段】 電動草刈り機1の制御装置20は、モータ駆動部30と、制御動作部31と、制御電源部32と、電源接続検知部33とによって構成されている。
制御電源部32は、制御動作部31を機能させるための信号電圧(5V)を作る回路であり、3端子レギュレータ37の入力側に電解コンデンサ40とダイオード41が設けられている。電源部7の蓄電池21が脱落すると、電解コンデンサ40に溜められた電荷が放出され、所定以上の信号電圧が維持されて制御動作部31は機能しうる状態を維持する。この時間帯の間に、強制停止スイッチ18を操作すれば、モータ2が短絡制動されて回転刃11が強制停止される。
【解決手段】 電動草刈り機1の制御装置20は、モータ駆動部30と、制御動作部31と、制御電源部32と、電源接続検知部33とによって構成されている。
制御電源部32は、制御動作部31を機能させるための信号電圧(5V)を作る回路であり、3端子レギュレータ37の入力側に電解コンデンサ40とダイオード41が設けられている。電源部7の蓄電池21が脱落すると、電解コンデンサ40に溜められた電荷が放出され、所定以上の信号電圧が維持されて制御動作部31は機能しうる状態を維持する。この時間帯の間に、強制停止スイッチ18を操作すれば、モータ2が短絡制動されて回転刃11が強制停止される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータで回転刃やブレードを回転させる電動草刈り機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
畦道や公園等の草を刈る装置として、草刈り機が広く利用されている。旧来の草刈り機は、小型のエンジンによって回転刃等を回転させるものであったが、エンジンを利用した草刈り機は騒音が大きく、市街地で使用したり一般家庭用として使用するには使いにくい。そこで一般家庭で使用する用途を考慮して、エンジンに代わってモータを搭載した電動草刈り機が市販されている。
電動草刈り機には、商用電源から給電してモータを回転させるもの(特許文献1)と、蓄電池を搭載し、蓄電池からモータに給電する構造(特許文献2)のものがある。
【特許文献1】特開2007−20588号公報
【特許文献2】特開2006−288296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電動草刈り機は、エンジン搭載型の草刈り機に比べて騒音が低いばかりでなく、安全性が高い。すなわちエンジン搭載型の草刈り機は、回転刃等の回転にブレーキを掛けることができないが、電動草刈り機は、電気的にモータを制動して回転刃等の回転を強制的に停止させることができる。そのため庭石に回転刃が当たったり、回転刃が欠けるといった異常時に、回転刃の回転を強制的に停止させることができる。
【0004】
ところで電動草刈り機では、操作中に電力の供給が遮断される場合がある。例えば商用電源から給電してモータを回転させる形式の電動草刈り機では、草刈り作業の際に回転刃で給電線を切断してしまうことがあり、給電線が切断されると電動草刈り機のモータに供給される電力が遮断される。
また蓄電池からモータに給電する構造(特許文献2)の電動草刈り機では、草刈り作業中に蓄電池が脱落したり、蓄電池とモータとを結ぶ給電線が外れる場合があり、この様な場合にはモータに供給される電力が遮断される。
モータに供給される電力が遮断されると、モータの駆動が停止されるが、回転刃は相当の慣性を持つため、回転刃は、慣性力によって相当の時間に渡って回転を続ける。
【0005】
従来技術の電動草刈り機では、給電線が切断されたり、蓄電池が脱落した場合は、電動草刈り機の制御装置に供給される電力も遮断されてしまうので、制御装置が機能停止状態となり、電気的にモータを制動することができない状態となってしまう。
そのため例えば作業者が草刈り作業中に転倒し、蓄電池が外れた様な状況の時に、回転刃等の回転にブレーキを掛けることができないという問題があった。
また従来技術の電動草刈り機は、通常の草刈り作業中には回転刃にブレーキを掛けられるにも係わらず、蓄電池が外れた様な状況の場合にブレーキが掛からないので、作業者が動揺することが予想され、思わぬ事故を招くおそれがあった。
【0006】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、モータに供給される電力が遮断されても回転刃等を強制停止させることができ、より安全性の高い電動草刈り機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決すべく提供される請求項1に記載の発明は、電池又は商用電源からなる電源部と、回転部と、回転部を回転させるモータと、モータを電気的に制動する機能を備えた制御装置とを備えた電動草刈り機において、電源部からの通電が途絶えたときに放電して制御装置を動作可能な状態とする予備電源を備えたことを特徴とする電動草刈り機である。
【0008】
本発明の電動草刈り機では、電源部からの通電が途絶えたときに放電して制御装置を動作可能な状態とする予備電源を備えるので、電源部からの通電が途絶えても制御装置は機能している。そのため電源部からの通電が途絶えても公知の電気制動(例えば短絡制動)がなされる様にトランジスタ等に信号を発信することができ、回転刃等を強制停止することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、電池又は商用電源からなる電源部と、回転部と、回転部を回転させるモータと、モータを電気的に制動する機能を備えた制御装置とを備えた電動草刈り機において、電源部からの通電によって充電され、電源部からの通電が途絶えたときに放電して制御装置を動作可能な状態とする蓄電池又はコンデンサからなる予備電源を備えたことを特徴とする電動草刈り機である。
【0010】
本発明の電動草刈り機においても、電源部からの通電が途絶えたときに放電して制御装置を動作可能な状態とする予備電源を備えるので、電源部からの通電が途絶えても公知の電気制動(例えば短絡制動)がなされる様にトランジスタ等に信号を発信することができ、回転刃等を強制停止することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、電源部は電池であって着脱可能であり、電池の脱落または電池からの通電が途絶えたことを検知する電源監視手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動草刈り機である。
【0012】
本発明では、電池の脱落または電池からの通電が途絶えたことを検知する電源監視手段を備えるので、電池の脱落等を知ることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、電源監視手段が電池の脱落または電池からの通電が途絶えたことを検知したときにはモータの回転を強制的に停止させることを特徴とする請求項3に記載の電動草刈り機である。
【0014】
本発明では、電源監視手段が電池の脱落または電池からの通電が途絶えたことを検知したときにモータを強制停止するので安全性が高い。
【0015】
電源監視手段としては、電源部から供給される電圧が一定以上であることを検知する回路が考えられる(請求項5)。
【0016】
また電源監視手段の他の例として、電源部に設けられた回路と、当該回路と制御装置とを接続する接続手段と、回路及び接続手段の断続を電気的に検知する断続検知手段によって構成することも考えられる(請求項6)。
【0017】
また請求項7に記載の発明は、モータに対して電力を供給するモータ駆動部を備え、予備電源とモータ駆動部の間にダイオードが設けられ、当該ダイオードによって予備電源側からモータ駆動部側に電流が流れることが阻止されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電動草刈り機である。
【0018】
本発明の電動草刈り機では、ダイオードによって予備電源側からモータ駆動部側に電流が流れることが阻止されるので、予備電源の電力がモータで消費されることが阻止され、制御装置が動作し得る時間を延ばすことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電動草刈り機は、蓄電池が脱落したり、給電線を切断してしまった様な場合でも回転刃等のブレーキが機能する。そのため作業者は通常の手順によって回転刃等の回転を停止させることができ、安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる電動草刈り機を示す斜視図である。
本実施形態の電動草刈り機1は、モータ2を動力源として作動するものである。電動草刈り機1は、後記する制御装置20をはじめとするモータシステムが組み込まれている。電動草刈り機1は、図1に示すように、前方側操作杆3や、後方側操作杆5を接続してなる長尺状の外観を有する部分が主要部をなしている。電動草刈り機1は、前方側操作杆3の先端側に回転部6を有すると共に、後方側操作杆5の末端側に電源部7や、制御部8を有する。電動草刈り機1は、その全長の略中央部にモータ部10が設けられている。
【0021】
前方側操作杆3は、中空の筒体によって構成されており、動力伝動軸(図示せず)が内蔵されている。前方側操作杆3の先端側には回転部6が設けられている。回転部6は、従来公知の電動草刈り機と同様に、図示しない傘歯車列を有し、この傘歯車列の入力側に前方側操作杆3に内蔵されている動力伝動軸が接続されている。また、回転部6には、回転刃11が設けられており、これが前記した傘歯歯車に接続されている。
【0022】
モータ部10は、モータ2を内蔵している。図2は、図1に示す電動草刈り機において採用されているモータの内部構造を示す模式図である。
モータ2は、公知のブラシレスモータであり、回転子25や固定子26、ホール素子(図示せず)等を備えたものである。回転子25は、磁石を備えている。本実施形態では、回転子25として、N・S一対(2極)の磁極を備えた磁石が採用されている。また、回転子25には、図示しない回転軸が一体的に回転可能なように取り付けられている。固定子26は、多相(n相)の駆動コイル27を備えている。図2に示すように、本実施形態では、固定子26は、U,V,Wの3相の駆動コイル27(以下、それぞれを駆動コイル27U,27V,27Wとも称す)を備えている。
【0023】
ホール素子(図示せず)は、回転子25の磁極を検知してパルス信号を発信可能なものであり、回転子25の回転位置を検出するために設けられている。本実施形態では、3つのホール素子が回転子25の中心軸に対して120度の間隔をあけて配されており、これら3つのホール素子によって回転位置検出手段が形成されている。
【0024】
モータ2は、各ホール素子から発信される各モータパルス信号に基づいて駆動コイル27に順次切替通電することにより、回転子25およびこれに一体化された回転軸を所定方向に回転させることができる。また駆動コイル27を短絡すると回転子25や回転軸が制動される。
【0025】
前方側操作杆3には、前記した様に図示しない動力伝達軸が内蔵されており、この動力伝達軸は、モータ2の回転子26と連動して回転可能なように接続されている。そのため、電動草刈り機1は、モータ2を作動させることにより、モータ2において発生した回転動力を動力伝達軸および回転部6に設けられた傘歯歯車(図示せず)を介して回転刃11に伝達させ、これを回転させることができる。
【0026】
後方側操作杆5には、操作用ハンドル15が設けられている。操作用ハンドル15には、操作レバー16や回転刃11の回転速度調整用の切替スイッチ17及び回転刃を強制停止させる強制停止スイッチ18等が設けられている。また、後方側操作杆5の末端部分には制御部8が設けられている。制御部8には、後記する制御装置20が内蔵されている。制御部8を構成する制御装置20は、モータ2及び電源部7に対して電気的に接続されている。制御装置20には切替スイッチ17や強制停止スイッチ18等が接続されている。
【0027】
また、後方側操作杆5の後端には、電源部7が設けられている。電源部7には、モータシステムの電源を構成する蓄電池21が内蔵されている。蓄電池21は、モータ部10に設けられたモータ2に対して電気的に接続されている。
【0028】
次に本実施形態の電動草刈り機1の制御装置20について説明する。図3は、図1の電動草刈り機の制御装置の回路図である。
電動草刈り機1の制御装置20は、大きく分けてモータ駆動部30と、制御動作部31と、制御電源部32と、電源接続検知部33とによって構成されている。
モータ駆動部30は、6個のFET35を備え、FET35を切り換えることによって固定子26の駆動コイル27U,27V,27Wへの通電状況を切り換えるものである。
【0029】
制御動作部31は、主としてFET35の切り換え信号を発生させる回路であり、図示しないホール素子や強制停止スイッチ18等の信号が入力され、FET35に対して信号を発信するものである。
すなわち草刈り作業を実施する場合には、各ホール素子から発信される各モータパルス信号に基づいてFET35に対する信号を切り換え、駆動コイル27に順次切替通電することにより、モータ2を回転させる。
一方、強制停止スイッチ18が操作された場合は、駆動コイル27が短絡する様にFET35に信号を送る。
また電源接続検知部33から停止信号を受信した場合も同様であり、駆動コイル27が短絡する様にFET35に信号を送る。
【0030】
制御電源部32は、前記した制御動作部31を機能させるための信号電圧(5V)を作る回路であり、3端子レギュレータ37が内蔵されている。
また本実施形態に特有の構成として3端子レギュレータ37の入力側に電解コンデンサ40とダイオード41が設けられている。
ダイオード41は、電源部7から3端子レギュレータ37側への通電を許し、その逆を阻止する方向に接続されている。また電解コンデンサ40は、ダイオード41と3端子レギュレータ37の間にあり、3端子レギュレータ37に対して並列に接続されている。
【0031】
電解コンデンサ40は、予備電源として機能するものであり、大容量である。具体的には470μFから1000μF(マイクロファラッド)程度である。
【0032】
制御電源部32には他にコンデンサ43が設けられているが、コンデンサ43は、単に電源回路の高周波雑音を除去するために設けられたものであり、コンデンサ43を設ける回路は公知である。
【0033】
電源接続検知部33は、電源部7から供給される電圧が一定以上であることを検知するものであり、電源監視手段として機能する回路である。
電源接続検知部33は、比較器50を持ち、比較器50に、電源部7の電圧を抵抗R1,R4で分圧した電圧と、制御電源部32で発生させた信号電圧(5V)を抵抗R2,R3で分圧した電圧が入力されている。抵抗R1,R4で分圧した電圧が抵抗R2,R3で分圧した電圧よりも高い場合は、比較器50から信号が出力される。
電源部7から正常の電圧が印加されている場合は、比較器50から信号が出力され、電源部7の電圧が下がると出力が停止する。
また比較器50から信号が出力されていることを条件としてモータ駆動部30に電力が供給され、比較器50から信号が停止するとモータ駆動部30に電力を供給する回路が遮断されると共に、制御動作部31に停止信号を送る。具体的には「パワーイン」信号が停止される。
なお、前記した様にまた電源接続検知部33から制御動作部31に停止信号(「パワーイン」信号の停止)が発信されると、制御動作部31は駆動コイル27が短絡する様にFET35に信号を送り、モータ2を強制的に停止させる。
【0034】
電源接続検知部33は、電源部7からモータ駆動部30に電力を供給する電源供給回路45を兼ねており、電源供給回路45は、比較器50と並列に接続されており、分岐部とモータ駆動部30との間にダイオード51が設けられている。ダイオード51は電源部7からモータ駆動部30に向かう通電を許しその逆を阻止するものである。ダイオード51は例えばモータを制動する際にモータのコイルが発生する電気が比較器50側に印加されるのを防ぐものであり、モータ負荷の変動に伴う電源変動が電源部7側に戻ることを阻止して電源接続検知部33の検知精度を維持するものである。
【0035】
電動草刈り機1の制御装置20は、図3の様に電源部7が接続され、制御電源部32と電源接続検知部33が電源部7の正極側に並列に接続されている。さらに前記した様に制御電源部32の出力側が制御動作部31に接続されている。
また電源接続検知部33内の電源供給回路45がモータ駆動部30に接続されている。さらにモータ駆動部30のFET35がモータ2の各コイルに接続されている。
【0036】
本実施形態の電動草刈り機1は、上記した制御装置20を備えているため、草刈り作業中に蓄電池21が脱落すると、回転刃11の回転に強制的にブレーキが掛かる。
より具体的には、電源部7の蓄電池21が脱落すると、図4に示すように制御装置20の制御電源部32に印加される電圧が無くなるが、制御装置20の電解コンデンサ(予備電源)40に溜められた電荷が放出され、3端子レギュレータ37の入力側に当該電荷が供給される。すなわち電解コンデンサ40には常時蓄電池21の電圧が印加されているので、電解コンデンサ40には常時所定量の電荷が蓄積されている。そのため蓄電池21が脱落すると、電解コンデンサ40に蓄積された電荷が放出される。
一方、電解コンデンサ40は共通配線60を通じて電源接続検知部33及びモータ駆動部30へも接続されているが、電解コンデンサ40と共通配線60との間にはダイオード41が設けられているので、電解コンデンサ40の電荷がモータ駆動部30へ流出することは阻止される。
【0037】
従って電解コンデンサ40に溜められていた電荷は、3端子レギュレータ37側にのみ供給され、3端子レギュレータ37からは所定の信号電圧が出力され続ける。
すなわち3端子レギュレータ37に入力される電圧は、図4の様に時間と共に低下するが、一定の時間は、所定以上の信号電圧が維持される。
従って制御動作部31には電圧が印加され続け、制御動作部31は機能しうる状態を維持する。
【0038】
またこれと同時に電源部7の蓄電池21が脱落すると、直ちに制御装置20の電源接続検知部33がこの事実を検知し、モータへ電力を供給する回路を遮断すると共に電源接続検知部33から制御動作部31に停止信号(「パワーイン」信号の停止)が発信される。この停止信号を受けて制御動作部31が駆動コイル27が短絡する様にFET35に信号を送り、モータ2を強制的に停止させる。
すなわち蓄電池21が脱落すると電源接続検知部33の抵抗R1,R4に印加される電圧が低下する。これに対して制御電源部32で発生させた信号電圧(5V)は低下しないので、抵抗R2,R3で分圧した電圧が抵抗R1,R4で分圧した電圧を上回り、比較器50からの信号(パワーイン信号)が停止する。その結果モータ駆動部30に電力を供給する回路が遮断されると共に制御動作部31に停止信号が発信される。
その結果、モータ2が停止し、安全である。
【0039】
以上説明した実施形態では、電源接続検知部33を設け、電源接続検知部33で蓄電池21から供給される電圧を確認し、この電圧が低下して蓄電池21が離脱したことが判明すると、駆動コイル27を短絡してモータ2を強制的に停止させる構成を採用したが、電源接続検知部33は必ずしも必須ではない。
すなわち電源部7の蓄電池21が脱落しても、制御装置20の電解コンデンサ(予備電源)40に溜められた電荷が放出され、3端子レギュレータ37からは所定の信号電圧が出力され続け、制御動作部31が機能しうる状態を維持する。
したがって蓄電池21が脱落しても、強制停止スイッチ18は機能する。そのため蓄電池21が脱落しても、強制停止スイッチ18が操作された場合は、駆動コイル27が短絡され、モータ2を強制的に停止させることができる。
【0040】
また電源接続検知部33が、蓄電池21の離脱を検知した場合に、電源をコンデンサー等の予備電源に切り換える回路を採用してもよい。
また蓄電池21が離脱したことが判明した場合に、コンデンサー等の予備電源を利用して警告音を発生させてもよい。
蓄電池21が離脱したことを判定する方策としては、他に蓄電池21側の回路と制御装置側の回路の断続によって判断することも考えられる。
例えば図5の様に蓄電池がサーミスタ55を内蔵している場合があり、この様な蓄電池21を採用する場合には、接続コネクター(接続手段)56でサーミスタ55と制御装置20とを接続する。そして制御装置20からサーミスタ55に通電し、サーミスタ55の導通を監視する。蓄電池21が脱落するとサーミスタ55の導通が遮断されるので、サーミスタ55の導通が無くなった場合に蓄電池21が脱落したと判断する。
【0041】
上記した実施形態では、電解コンデンサー40に電荷を蓄積し、この電荷によって制御動作部31を動作させる電圧を維持させている。従って制御動作部31を維持させることができる時間は、電解コンデンサー40の容量によって決定される。
制御動作部31が動作することができる電圧を維持する時間は、5〜10秒程度であることが望ましい。本実施形態では、蓄電池21が脱落する等の事態が発生すると、自動的にモータ2が短絡されて制動されるが、モータ2の駆動コイル27を短絡して回転刃11の回転が停止するまでの時間は、5秒程度である。すなわち正常に電源が接続された状態で電気的にブレーキを動作させると5秒程度でモータ2が停止し、回転刃11の回転が止まる。したがって制御動作部31が動作することができる電圧を維持する時間は、モータ2が停止するまでに要する時間以上であることが望ましく、5秒以上であることが望ましい。ただし電圧を維持する時間を長くするためには電解コンデンサー40の容量を増大させなければならないので、過剰品質をさけるべく電圧を維持する時間が10秒以下となる様に設計することが推奨される。
【0042】
なお回転刃11が回転することによって発電される電気を利用し、電解コンデンサー40に電荷を蓄積する方策を採用することも可能であり、この方策を採用することによって制御動作部31が動作することができる電圧を維持する時間を伸ばすことができる。
【0043】
また電源接続検知部33を省略し、蓄電池21が脱落したときに強制停止スイッチ18を機能させて回転刃11の回転を停止させる場合には、制御動作部31が動作することができる電圧を維持する時間は、10〜30秒程度であることが望ましい。すなわち蓄電池21が脱落する等の事態が発生すると、モータ2に電力が供給されなくなるから、回転刃11の回転は、自然に停止する。本発明は、回転刃11の回転が自然停止する前に強制停止させることができる点に意義があるから、制御動作部31が動作することができる電圧を維持すべき時間は、回転刃11が自然に停止するまでの時間である。回転刃は、通常20秒前後で自然に回転を停止するから、電圧を維持すべき時間はこれに合わせて10〜30秒程度が適当である。
【0044】
また上記した実施形態では、予備電源としてコンデンサーを使用したが、ニッケルカドミウム電池やリチウム電池等の蓄電池を予備電源として使用してもよい。
以上説明した実施形態では、蓄電池を使用した電動草刈り機を例に本発明を説明したが、商用電源を使用する電動草刈り機にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態における電動草刈り機を示す斜視図である。
【図2】図1に示す電動草刈り機において採用されているモータの内部構造を示す模式図である。
【図3】図1の電動草刈り機の制御装置の回路図である。
【図4】図1の電動草刈り機の蓄電池の接続状況と各部の電圧の減衰状況を示すタイムチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態における電動草刈り機の概念図である。
【符号の説明】
【0046】
1 電動草刈り機
2 モータ
6 回転部
7 電源部
8 制御部
10 モータ部
11 回転刃
18 強制停止スイッチ
20 制御装置
21 蓄電池
30 モータ駆動部
31 制御動作部
32 制御電源部
33 電源接続検知部
37 3端子レギュレータ
40 電解コンデンサ(予備電源)
41 ダイオード
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータで回転刃やブレードを回転させる電動草刈り機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
畦道や公園等の草を刈る装置として、草刈り機が広く利用されている。旧来の草刈り機は、小型のエンジンによって回転刃等を回転させるものであったが、エンジンを利用した草刈り機は騒音が大きく、市街地で使用したり一般家庭用として使用するには使いにくい。そこで一般家庭で使用する用途を考慮して、エンジンに代わってモータを搭載した電動草刈り機が市販されている。
電動草刈り機には、商用電源から給電してモータを回転させるもの(特許文献1)と、蓄電池を搭載し、蓄電池からモータに給電する構造(特許文献2)のものがある。
【特許文献1】特開2007−20588号公報
【特許文献2】特開2006−288296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電動草刈り機は、エンジン搭載型の草刈り機に比べて騒音が低いばかりでなく、安全性が高い。すなわちエンジン搭載型の草刈り機は、回転刃等の回転にブレーキを掛けることができないが、電動草刈り機は、電気的にモータを制動して回転刃等の回転を強制的に停止させることができる。そのため庭石に回転刃が当たったり、回転刃が欠けるといった異常時に、回転刃の回転を強制的に停止させることができる。
【0004】
ところで電動草刈り機では、操作中に電力の供給が遮断される場合がある。例えば商用電源から給電してモータを回転させる形式の電動草刈り機では、草刈り作業の際に回転刃で給電線を切断してしまうことがあり、給電線が切断されると電動草刈り機のモータに供給される電力が遮断される。
また蓄電池からモータに給電する構造(特許文献2)の電動草刈り機では、草刈り作業中に蓄電池が脱落したり、蓄電池とモータとを結ぶ給電線が外れる場合があり、この様な場合にはモータに供給される電力が遮断される。
モータに供給される電力が遮断されると、モータの駆動が停止されるが、回転刃は相当の慣性を持つため、回転刃は、慣性力によって相当の時間に渡って回転を続ける。
【0005】
従来技術の電動草刈り機では、給電線が切断されたり、蓄電池が脱落した場合は、電動草刈り機の制御装置に供給される電力も遮断されてしまうので、制御装置が機能停止状態となり、電気的にモータを制動することができない状態となってしまう。
そのため例えば作業者が草刈り作業中に転倒し、蓄電池が外れた様な状況の時に、回転刃等の回転にブレーキを掛けることができないという問題があった。
また従来技術の電動草刈り機は、通常の草刈り作業中には回転刃にブレーキを掛けられるにも係わらず、蓄電池が外れた様な状況の場合にブレーキが掛からないので、作業者が動揺することが予想され、思わぬ事故を招くおそれがあった。
【0006】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、モータに供給される電力が遮断されても回転刃等を強制停止させることができ、より安全性の高い電動草刈り機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決すべく提供される請求項1に記載の発明は、電池又は商用電源からなる電源部と、回転部と、回転部を回転させるモータと、モータを電気的に制動する機能を備えた制御装置とを備えた電動草刈り機において、電源部からの通電が途絶えたときに放電して制御装置を動作可能な状態とする予備電源を備えたことを特徴とする電動草刈り機である。
【0008】
本発明の電動草刈り機では、電源部からの通電が途絶えたときに放電して制御装置を動作可能な状態とする予備電源を備えるので、電源部からの通電が途絶えても制御装置は機能している。そのため電源部からの通電が途絶えても公知の電気制動(例えば短絡制動)がなされる様にトランジスタ等に信号を発信することができ、回転刃等を強制停止することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、電池又は商用電源からなる電源部と、回転部と、回転部を回転させるモータと、モータを電気的に制動する機能を備えた制御装置とを備えた電動草刈り機において、電源部からの通電によって充電され、電源部からの通電が途絶えたときに放電して制御装置を動作可能な状態とする蓄電池又はコンデンサからなる予備電源を備えたことを特徴とする電動草刈り機である。
【0010】
本発明の電動草刈り機においても、電源部からの通電が途絶えたときに放電して制御装置を動作可能な状態とする予備電源を備えるので、電源部からの通電が途絶えても公知の電気制動(例えば短絡制動)がなされる様にトランジスタ等に信号を発信することができ、回転刃等を強制停止することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、電源部は電池であって着脱可能であり、電池の脱落または電池からの通電が途絶えたことを検知する電源監視手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動草刈り機である。
【0012】
本発明では、電池の脱落または電池からの通電が途絶えたことを検知する電源監視手段を備えるので、電池の脱落等を知ることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、電源監視手段が電池の脱落または電池からの通電が途絶えたことを検知したときにはモータの回転を強制的に停止させることを特徴とする請求項3に記載の電動草刈り機である。
【0014】
本発明では、電源監視手段が電池の脱落または電池からの通電が途絶えたことを検知したときにモータを強制停止するので安全性が高い。
【0015】
電源監視手段としては、電源部から供給される電圧が一定以上であることを検知する回路が考えられる(請求項5)。
【0016】
また電源監視手段の他の例として、電源部に設けられた回路と、当該回路と制御装置とを接続する接続手段と、回路及び接続手段の断続を電気的に検知する断続検知手段によって構成することも考えられる(請求項6)。
【0017】
また請求項7に記載の発明は、モータに対して電力を供給するモータ駆動部を備え、予備電源とモータ駆動部の間にダイオードが設けられ、当該ダイオードによって予備電源側からモータ駆動部側に電流が流れることが阻止されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電動草刈り機である。
【0018】
本発明の電動草刈り機では、ダイオードによって予備電源側からモータ駆動部側に電流が流れることが阻止されるので、予備電源の電力がモータで消費されることが阻止され、制御装置が動作し得る時間を延ばすことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電動草刈り機は、蓄電池が脱落したり、給電線を切断してしまった様な場合でも回転刃等のブレーキが機能する。そのため作業者は通常の手順によって回転刃等の回転を停止させることができ、安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる電動草刈り機を示す斜視図である。
本実施形態の電動草刈り機1は、モータ2を動力源として作動するものである。電動草刈り機1は、後記する制御装置20をはじめとするモータシステムが組み込まれている。電動草刈り機1は、図1に示すように、前方側操作杆3や、後方側操作杆5を接続してなる長尺状の外観を有する部分が主要部をなしている。電動草刈り機1は、前方側操作杆3の先端側に回転部6を有すると共に、後方側操作杆5の末端側に電源部7や、制御部8を有する。電動草刈り機1は、その全長の略中央部にモータ部10が設けられている。
【0021】
前方側操作杆3は、中空の筒体によって構成されており、動力伝動軸(図示せず)が内蔵されている。前方側操作杆3の先端側には回転部6が設けられている。回転部6は、従来公知の電動草刈り機と同様に、図示しない傘歯車列を有し、この傘歯車列の入力側に前方側操作杆3に内蔵されている動力伝動軸が接続されている。また、回転部6には、回転刃11が設けられており、これが前記した傘歯歯車に接続されている。
【0022】
モータ部10は、モータ2を内蔵している。図2は、図1に示す電動草刈り機において採用されているモータの内部構造を示す模式図である。
モータ2は、公知のブラシレスモータであり、回転子25や固定子26、ホール素子(図示せず)等を備えたものである。回転子25は、磁石を備えている。本実施形態では、回転子25として、N・S一対(2極)の磁極を備えた磁石が採用されている。また、回転子25には、図示しない回転軸が一体的に回転可能なように取り付けられている。固定子26は、多相(n相)の駆動コイル27を備えている。図2に示すように、本実施形態では、固定子26は、U,V,Wの3相の駆動コイル27(以下、それぞれを駆動コイル27U,27V,27Wとも称す)を備えている。
【0023】
ホール素子(図示せず)は、回転子25の磁極を検知してパルス信号を発信可能なものであり、回転子25の回転位置を検出するために設けられている。本実施形態では、3つのホール素子が回転子25の中心軸に対して120度の間隔をあけて配されており、これら3つのホール素子によって回転位置検出手段が形成されている。
【0024】
モータ2は、各ホール素子から発信される各モータパルス信号に基づいて駆動コイル27に順次切替通電することにより、回転子25およびこれに一体化された回転軸を所定方向に回転させることができる。また駆動コイル27を短絡すると回転子25や回転軸が制動される。
【0025】
前方側操作杆3には、前記した様に図示しない動力伝達軸が内蔵されており、この動力伝達軸は、モータ2の回転子26と連動して回転可能なように接続されている。そのため、電動草刈り機1は、モータ2を作動させることにより、モータ2において発生した回転動力を動力伝達軸および回転部6に設けられた傘歯歯車(図示せず)を介して回転刃11に伝達させ、これを回転させることができる。
【0026】
後方側操作杆5には、操作用ハンドル15が設けられている。操作用ハンドル15には、操作レバー16や回転刃11の回転速度調整用の切替スイッチ17及び回転刃を強制停止させる強制停止スイッチ18等が設けられている。また、後方側操作杆5の末端部分には制御部8が設けられている。制御部8には、後記する制御装置20が内蔵されている。制御部8を構成する制御装置20は、モータ2及び電源部7に対して電気的に接続されている。制御装置20には切替スイッチ17や強制停止スイッチ18等が接続されている。
【0027】
また、後方側操作杆5の後端には、電源部7が設けられている。電源部7には、モータシステムの電源を構成する蓄電池21が内蔵されている。蓄電池21は、モータ部10に設けられたモータ2に対して電気的に接続されている。
【0028】
次に本実施形態の電動草刈り機1の制御装置20について説明する。図3は、図1の電動草刈り機の制御装置の回路図である。
電動草刈り機1の制御装置20は、大きく分けてモータ駆動部30と、制御動作部31と、制御電源部32と、電源接続検知部33とによって構成されている。
モータ駆動部30は、6個のFET35を備え、FET35を切り換えることによって固定子26の駆動コイル27U,27V,27Wへの通電状況を切り換えるものである。
【0029】
制御動作部31は、主としてFET35の切り換え信号を発生させる回路であり、図示しないホール素子や強制停止スイッチ18等の信号が入力され、FET35に対して信号を発信するものである。
すなわち草刈り作業を実施する場合には、各ホール素子から発信される各モータパルス信号に基づいてFET35に対する信号を切り換え、駆動コイル27に順次切替通電することにより、モータ2を回転させる。
一方、強制停止スイッチ18が操作された場合は、駆動コイル27が短絡する様にFET35に信号を送る。
また電源接続検知部33から停止信号を受信した場合も同様であり、駆動コイル27が短絡する様にFET35に信号を送る。
【0030】
制御電源部32は、前記した制御動作部31を機能させるための信号電圧(5V)を作る回路であり、3端子レギュレータ37が内蔵されている。
また本実施形態に特有の構成として3端子レギュレータ37の入力側に電解コンデンサ40とダイオード41が設けられている。
ダイオード41は、電源部7から3端子レギュレータ37側への通電を許し、その逆を阻止する方向に接続されている。また電解コンデンサ40は、ダイオード41と3端子レギュレータ37の間にあり、3端子レギュレータ37に対して並列に接続されている。
【0031】
電解コンデンサ40は、予備電源として機能するものであり、大容量である。具体的には470μFから1000μF(マイクロファラッド)程度である。
【0032】
制御電源部32には他にコンデンサ43が設けられているが、コンデンサ43は、単に電源回路の高周波雑音を除去するために設けられたものであり、コンデンサ43を設ける回路は公知である。
【0033】
電源接続検知部33は、電源部7から供給される電圧が一定以上であることを検知するものであり、電源監視手段として機能する回路である。
電源接続検知部33は、比較器50を持ち、比較器50に、電源部7の電圧を抵抗R1,R4で分圧した電圧と、制御電源部32で発生させた信号電圧(5V)を抵抗R2,R3で分圧した電圧が入力されている。抵抗R1,R4で分圧した電圧が抵抗R2,R3で分圧した電圧よりも高い場合は、比較器50から信号が出力される。
電源部7から正常の電圧が印加されている場合は、比較器50から信号が出力され、電源部7の電圧が下がると出力が停止する。
また比較器50から信号が出力されていることを条件としてモータ駆動部30に電力が供給され、比較器50から信号が停止するとモータ駆動部30に電力を供給する回路が遮断されると共に、制御動作部31に停止信号を送る。具体的には「パワーイン」信号が停止される。
なお、前記した様にまた電源接続検知部33から制御動作部31に停止信号(「パワーイン」信号の停止)が発信されると、制御動作部31は駆動コイル27が短絡する様にFET35に信号を送り、モータ2を強制的に停止させる。
【0034】
電源接続検知部33は、電源部7からモータ駆動部30に電力を供給する電源供給回路45を兼ねており、電源供給回路45は、比較器50と並列に接続されており、分岐部とモータ駆動部30との間にダイオード51が設けられている。ダイオード51は電源部7からモータ駆動部30に向かう通電を許しその逆を阻止するものである。ダイオード51は例えばモータを制動する際にモータのコイルが発生する電気が比較器50側に印加されるのを防ぐものであり、モータ負荷の変動に伴う電源変動が電源部7側に戻ることを阻止して電源接続検知部33の検知精度を維持するものである。
【0035】
電動草刈り機1の制御装置20は、図3の様に電源部7が接続され、制御電源部32と電源接続検知部33が電源部7の正極側に並列に接続されている。さらに前記した様に制御電源部32の出力側が制御動作部31に接続されている。
また電源接続検知部33内の電源供給回路45がモータ駆動部30に接続されている。さらにモータ駆動部30のFET35がモータ2の各コイルに接続されている。
【0036】
本実施形態の電動草刈り機1は、上記した制御装置20を備えているため、草刈り作業中に蓄電池21が脱落すると、回転刃11の回転に強制的にブレーキが掛かる。
より具体的には、電源部7の蓄電池21が脱落すると、図4に示すように制御装置20の制御電源部32に印加される電圧が無くなるが、制御装置20の電解コンデンサ(予備電源)40に溜められた電荷が放出され、3端子レギュレータ37の入力側に当該電荷が供給される。すなわち電解コンデンサ40には常時蓄電池21の電圧が印加されているので、電解コンデンサ40には常時所定量の電荷が蓄積されている。そのため蓄電池21が脱落すると、電解コンデンサ40に蓄積された電荷が放出される。
一方、電解コンデンサ40は共通配線60を通じて電源接続検知部33及びモータ駆動部30へも接続されているが、電解コンデンサ40と共通配線60との間にはダイオード41が設けられているので、電解コンデンサ40の電荷がモータ駆動部30へ流出することは阻止される。
【0037】
従って電解コンデンサ40に溜められていた電荷は、3端子レギュレータ37側にのみ供給され、3端子レギュレータ37からは所定の信号電圧が出力され続ける。
すなわち3端子レギュレータ37に入力される電圧は、図4の様に時間と共に低下するが、一定の時間は、所定以上の信号電圧が維持される。
従って制御動作部31には電圧が印加され続け、制御動作部31は機能しうる状態を維持する。
【0038】
またこれと同時に電源部7の蓄電池21が脱落すると、直ちに制御装置20の電源接続検知部33がこの事実を検知し、モータへ電力を供給する回路を遮断すると共に電源接続検知部33から制御動作部31に停止信号(「パワーイン」信号の停止)が発信される。この停止信号を受けて制御動作部31が駆動コイル27が短絡する様にFET35に信号を送り、モータ2を強制的に停止させる。
すなわち蓄電池21が脱落すると電源接続検知部33の抵抗R1,R4に印加される電圧が低下する。これに対して制御電源部32で発生させた信号電圧(5V)は低下しないので、抵抗R2,R3で分圧した電圧が抵抗R1,R4で分圧した電圧を上回り、比較器50からの信号(パワーイン信号)が停止する。その結果モータ駆動部30に電力を供給する回路が遮断されると共に制御動作部31に停止信号が発信される。
その結果、モータ2が停止し、安全である。
【0039】
以上説明した実施形態では、電源接続検知部33を設け、電源接続検知部33で蓄電池21から供給される電圧を確認し、この電圧が低下して蓄電池21が離脱したことが判明すると、駆動コイル27を短絡してモータ2を強制的に停止させる構成を採用したが、電源接続検知部33は必ずしも必須ではない。
すなわち電源部7の蓄電池21が脱落しても、制御装置20の電解コンデンサ(予備電源)40に溜められた電荷が放出され、3端子レギュレータ37からは所定の信号電圧が出力され続け、制御動作部31が機能しうる状態を維持する。
したがって蓄電池21が脱落しても、強制停止スイッチ18は機能する。そのため蓄電池21が脱落しても、強制停止スイッチ18が操作された場合は、駆動コイル27が短絡され、モータ2を強制的に停止させることができる。
【0040】
また電源接続検知部33が、蓄電池21の離脱を検知した場合に、電源をコンデンサー等の予備電源に切り換える回路を採用してもよい。
また蓄電池21が離脱したことが判明した場合に、コンデンサー等の予備電源を利用して警告音を発生させてもよい。
蓄電池21が離脱したことを判定する方策としては、他に蓄電池21側の回路と制御装置側の回路の断続によって判断することも考えられる。
例えば図5の様に蓄電池がサーミスタ55を内蔵している場合があり、この様な蓄電池21を採用する場合には、接続コネクター(接続手段)56でサーミスタ55と制御装置20とを接続する。そして制御装置20からサーミスタ55に通電し、サーミスタ55の導通を監視する。蓄電池21が脱落するとサーミスタ55の導通が遮断されるので、サーミスタ55の導通が無くなった場合に蓄電池21が脱落したと判断する。
【0041】
上記した実施形態では、電解コンデンサー40に電荷を蓄積し、この電荷によって制御動作部31を動作させる電圧を維持させている。従って制御動作部31を維持させることができる時間は、電解コンデンサー40の容量によって決定される。
制御動作部31が動作することができる電圧を維持する時間は、5〜10秒程度であることが望ましい。本実施形態では、蓄電池21が脱落する等の事態が発生すると、自動的にモータ2が短絡されて制動されるが、モータ2の駆動コイル27を短絡して回転刃11の回転が停止するまでの時間は、5秒程度である。すなわち正常に電源が接続された状態で電気的にブレーキを動作させると5秒程度でモータ2が停止し、回転刃11の回転が止まる。したがって制御動作部31が動作することができる電圧を維持する時間は、モータ2が停止するまでに要する時間以上であることが望ましく、5秒以上であることが望ましい。ただし電圧を維持する時間を長くするためには電解コンデンサー40の容量を増大させなければならないので、過剰品質をさけるべく電圧を維持する時間が10秒以下となる様に設計することが推奨される。
【0042】
なお回転刃11が回転することによって発電される電気を利用し、電解コンデンサー40に電荷を蓄積する方策を採用することも可能であり、この方策を採用することによって制御動作部31が動作することができる電圧を維持する時間を伸ばすことができる。
【0043】
また電源接続検知部33を省略し、蓄電池21が脱落したときに強制停止スイッチ18を機能させて回転刃11の回転を停止させる場合には、制御動作部31が動作することができる電圧を維持する時間は、10〜30秒程度であることが望ましい。すなわち蓄電池21が脱落する等の事態が発生すると、モータ2に電力が供給されなくなるから、回転刃11の回転は、自然に停止する。本発明は、回転刃11の回転が自然停止する前に強制停止させることができる点に意義があるから、制御動作部31が動作することができる電圧を維持すべき時間は、回転刃11が自然に停止するまでの時間である。回転刃は、通常20秒前後で自然に回転を停止するから、電圧を維持すべき時間はこれに合わせて10〜30秒程度が適当である。
【0044】
また上記した実施形態では、予備電源としてコンデンサーを使用したが、ニッケルカドミウム電池やリチウム電池等の蓄電池を予備電源として使用してもよい。
以上説明した実施形態では、蓄電池を使用した電動草刈り機を例に本発明を説明したが、商用電源を使用する電動草刈り機にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態における電動草刈り機を示す斜視図である。
【図2】図1に示す電動草刈り機において採用されているモータの内部構造を示す模式図である。
【図3】図1の電動草刈り機の制御装置の回路図である。
【図4】図1の電動草刈り機の蓄電池の接続状況と各部の電圧の減衰状況を示すタイムチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態における電動草刈り機の概念図である。
【符号の説明】
【0046】
1 電動草刈り機
2 モータ
6 回転部
7 電源部
8 制御部
10 モータ部
11 回転刃
18 強制停止スイッチ
20 制御装置
21 蓄電池
30 モータ駆動部
31 制御動作部
32 制御電源部
33 電源接続検知部
37 3端子レギュレータ
40 電解コンデンサ(予備電源)
41 ダイオード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池又は商用電源からなる電源部と、回転部と、回転部を回転させるモータと、モータを電気的に制動する機能を備えた制御装置とを備えた電動草刈り機において、電源部からの通電が途絶えたときに放電して制御装置を動作可能な状態とする予備電源を備えたことを特徴とする電動草刈り機。
【請求項2】
電池又は商用電源からなる電源部と、回転部と、回転部を回転させるモータと、モータを電気的に制動する機能を備えた制御装置とを備えた電動草刈り機において、電源部からの通電によって充電され、電源部からの通電が途絶えたときに放電して制御装置を動作可能な状態とする蓄電池又はコンデンサからなる予備電源を備えたことを特徴とする電動草刈り機。
【請求項3】
電源部は電池であって着脱可能であり、電池の脱落または電池からの通電が途絶えたことを検知する電源監視手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動草刈り機。
【請求項4】
電源監視手段が電池の脱落または電池からの通電が途絶えたことを検知したときにはモータの回転を強制的に停止させることを特徴とする請求項3に記載の電動草刈り機。
【請求項5】
電源監視手段は、電源部から供給される電圧が一定以上であることを検知するものであることを特徴とする請求項3又は4に記載の電動草刈り機。
【請求項6】
電源監視手段は、電源部に設けられた回路と、当該回路と制御装置とを接続する接続手段と、回路及び接続手段の断続を電気的に検知する断続検知手段によって構成されることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の電動草刈り機。
【請求項7】
モータに対して電力を供給するモータ駆動部を備え、予備電源とモータ駆動部の間にダイオードが設けられ、当該ダイオードによって予備電源側からモータ駆動部側に電流が流れることが阻止されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電動草刈り機。
【請求項1】
電池又は商用電源からなる電源部と、回転部と、回転部を回転させるモータと、モータを電気的に制動する機能を備えた制御装置とを備えた電動草刈り機において、電源部からの通電が途絶えたときに放電して制御装置を動作可能な状態とする予備電源を備えたことを特徴とする電動草刈り機。
【請求項2】
電池又は商用電源からなる電源部と、回転部と、回転部を回転させるモータと、モータを電気的に制動する機能を備えた制御装置とを備えた電動草刈り機において、電源部からの通電によって充電され、電源部からの通電が途絶えたときに放電して制御装置を動作可能な状態とする蓄電池又はコンデンサからなる予備電源を備えたことを特徴とする電動草刈り機。
【請求項3】
電源部は電池であって着脱可能であり、電池の脱落または電池からの通電が途絶えたことを検知する電源監視手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動草刈り機。
【請求項4】
電源監視手段が電池の脱落または電池からの通電が途絶えたことを検知したときにはモータの回転を強制的に停止させることを特徴とする請求項3に記載の電動草刈り機。
【請求項5】
電源監視手段は、電源部から供給される電圧が一定以上であることを検知するものであることを特徴とする請求項3又は4に記載の電動草刈り機。
【請求項6】
電源監視手段は、電源部に設けられた回路と、当該回路と制御装置とを接続する接続手段と、回路及び接続手段の断続を電気的に検知する断続検知手段によって構成されることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の電動草刈り機。
【請求項7】
モータに対して電力を供給するモータ駆動部を備え、予備電源とモータ駆動部の間にダイオードが設けられ、当該ダイオードによって予備電源側からモータ駆動部側に電流が流れることが阻止されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電動草刈り機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2009−125056(P2009−125056A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306911(P2007−306911)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(592026819)伊東電機株式会社 (71)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(592026819)伊東電機株式会社 (71)
【Fターム(参考)】
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