説明

電動車両の駆動装置、電動車両、及び電動車両の駆動方法

【課題】商業車等の電動車両において走行頻度の高い低速度領域の効率を改善すると共に、中速度領域においても、駆動効率を高めることができる電動車両の駆動装置、電動車両、及び電動車両の駆動方法を提供する。
【解決手段】低速度型モーター12aと高速度型モーター12bを並列に車輪13の駆動軸14に接続し、モーター12a,12bの回転速度が低速度領域にある場合は低回転型モーター12aを動作させ、回転速度が高速度領域にある場合は高速度型モーター12bのみで駆動軸14を駆動し、回転速度が両方のモーター12a,12bにおける高効率領域が重なる中速度領域にある場合には、両方のモーター12a,12bの効率を比較して、効率の高い方のモーター12a(又は12b)を選択して駆動軸14を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商業車等の電動トラック、電動バス等の電動車両で、走行頻度が高い低速度領域での駆動効率を改善すると共に、中速度領域においても駆動効率を高めることができる電動車両の駆動装置、電動車両、及び電動車両の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モーター(電動機)を搭載して、このモーターによって駆動をアシスト又は駆動されるハイブリッド車(HV車)や電気自動車(EV車)等の電動車両で、比較的大きな駆動力を必要とする電動トラックや電動バス等の場合は、図4に示すように、複数のモーターを搭載し、必要なトルクを得ているものがある。
【0003】
図4は、ハイブリッド車の電動車両の構成を例示する図であり、この電動車両1Xは、エンジン(内燃機関)10と2つのジェネレーター(G:発電機)11と2つのモーター(M:電動機)12を搭載し、エンジン10で車輪13を駆動する駆動軸14を駆動したり、エンジン10の出力で駆動されるジェネレーター11で発電した電力をバッテリ15に充電しておいて、必要なときに、モーター12で駆動軸14を駆動したりしている。
【0004】
2つのモーター12を使用するのは、必要なトルクや出力を1個のモーターやモータージェネレータ(電動発電機)で得ようとすると、モーターやモータージェネレータの径が大きくなり寸法的に電動車両に搭載できない等の理由があるからである。このような電動車両では、同じ仕様の複数のモーターを同時に運転して、両方のモーターから同一のトルクを出し、あたかも1個の大きなモーターから出力を得るかのようにして、駆動軸を駆動している。
【0005】
しかしながら、モーター1つの特性(S)とモーターを2つ同時に動かした場合の特性(D)を示す図5から分かるように、2つのモーターを同時に動作させた場合には、効率の高い領域(斜線部:D)が高い負荷側(トルクの高い方)に移動してしまい、低トルク側の効率の悪化を招くという問題がある。
【0006】
この問題に対して、負荷領域によってモーターを一台だけ運転したり、二台を運転したりして、モーターの運転を切り替える制御が提案されている。図6に示すように、この場合のモーター特性は、モーターを一台だけ運転した場合(A)では、高効率の部分(斜線部A)が低トルク側に留まるので、上記の問題を解決できる。なお、モーターを二台とも運転した場合(B)の高効率の部分(斜線部B)も示すが、高トルク側になっている。
【0007】
その一方で、商業車では、都市内の渋滞の時などでは、低速度、低負荷で長時間走行することがあり、このような低速度領域に高効率の領域を設定することは、一台のモーター駆動と二台のモーター駆動を切り替える方法だけでは困難である。
【0008】
これへの対策として、駆動源を大型化することなく、低速から高速まで充分に対応可能とするために、車両の後輪を低速回転トルク仕様(低回転でトルクを出し易い)の第1モータと高速回転トルク仕様(低回転でトルクを出し易い)の第2モータで駆動し、車速に応じてモータの駆動を選択し、モータ切換タイミング(第1モータ停止のタイミング)を変速機のシフトに同期を取らせる車両用駆動装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
この装置では、車速が切替車速を超えているか否かで、切替車速以下では、2台のモータ、又は低車速用の第1モータを駆動状態とし、切替車速を超えると低車速用の第1モータを停止し、高車速用の第2モータのみで駆動している。
【0010】
また、駆動源を大型化することなく、低速から高速まで充分に対応可能とするために、車両の後輪を車速が低速の場合に第1モータで駆動し、車速が高速の場合に第2モータで駆動し、第1モータの駆動を停止する場合に、メイン・クラッチを一時的に開放状態にして、第1モータの出力だけを切り離すためのサブ・クラッチを開放することで、サブ・クラッチを確実に開放すると共に、サブ・クラッチの開放時のショックや異音を抑える車両の駆動装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
しかしながら、いずれの装置も、電動車両の車両速度が低速度の場合と高速度の場合のモーターの切り替えに関するものであり、電動車両の車両速度が低速度と高速度の間の中速度にある場合に関する制御については触れておらす、この部分における駆動効率を高める工夫はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−126056号公報
【特許文献2】特開2005−127505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、商業車等の電動車両において走行頻度の高い低速度領域における効率を改善すると共に、中速度領域においても、駆動効率を高めることができる電動車両の駆動装置、電動車両、及び電動車両の駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記のような目的を達成するための本発明の電動車両は、低速度型モーターと高速度型モーターを並列に車輪の駆動軸に接続し、前記低速度型モーターと前記駆動軸との間にクラッチを設けて、該クラッチにより前記駆動軸から前記低速度型モーターを切り離せる構造とし、前記高速度型モーター又は前記駆動軸の回転速度が低速度領域にある場合は前記低回転型モーターを動作させ、前記回転速度が高速度領域にある場合は前記クラッチを断絶して前記低回転型モーターと前記駆動軸との接続を断って、前記高速度型モーターのみで前記駆動軸を駆動する電動車両の駆動装置において、
前記回転速度が前記低速度型モーターと前記高速度型モーターの両方のモーターにおける高効率領域が重なる中速度領域にある場合には、両方のモーターの効率を比較して、効率の高い方のモーターを選択して前記駆動軸を駆動するように構成される。
【0015】
この低速度型モーターは、効率点が電動車両の走行頻度の高い低速度領域の速度・負荷領域になるように選定される。例えば、都市内小口配送車は、渋滞路走行時の走行抵抗・車速に合致するように選定される。また、高速度型モーターは、電動車両が必要とする最高出力・最高速度を、高速度型モーターの出力が満足させることができるように選定される。一般に、車両が必要とする最高出力は最高速度に必要な走行抵抗(走行負荷:走行エネルギー)に相当する。
【0016】
なお、モーターの回転速度として、高速度型モーターの回転速度を用いるのは、低速度型モーターは駆動軸からクラッチで断絶すると、低速度型モーターは回転しなくなるが、一方の高速度型モーターは常に駆動軸に接続されているからである。
【0017】
また、上記の電動車両の駆動装置において、前記高速度型モーター又は前記駆動輪の回転速度で低速度領域か中速度領域か高速度領域かを判定する代わりに、前記車輪の回転速度、又は、電動車両の走行速度を用いて判定するように構成される。
【0018】
そして、上記のような目的を達成するための本発明の電動車両は、上記の電動車両の駆動装置を備えて構成される。
【0019】
また、上記のような目的を達成するための本発明の電動車両の駆動方法は、低速度型モーターと高速度型モーターを並列に車輪の駆動軸に接続し、前記高速度型モーター又は前記駆動軸の回転速度が低速度領域にある場合は低回転型モーターを動作させ、前記回転速度が高速度領域にある場合は前記低速度型モーターと前記駆動軸との間に設けたクラッチを断絶することにより前記駆動軸から前記低速度型モーターを切り離して、前記高速度型モーターのみで前記駆動軸を駆動する電動車両の駆動方法において、前記回転速度が前記低速度型モーターと前記高速度型モーターの両方のモーターにおける高効率領域が重なる中速度領域にある場合には、両方のモーターの効率を比較して、効率の高い方のモーターを選択して前記駆動軸を駆動することを特徴とする方法である。
【0020】
また、上記の電動車両の駆動方法において、前記高速度型モーター又は前記駆動軸の回転速度で低速度か中速度か高速度かを判定する代わりに、前記車輪の回転速度、又は、電動車両の走行速度を用いて判定する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る電動車両の駆動装置、電動車両、及び、電動車両の駆動方法によれば、商業車等の電動車両において走行頻度の高い低速度領域の効率を改善すると共に、高速度型モーターの回転速度が低速度型モーターと高速度型モーターの両方のモーターにおける高効率領域が重なる中速度領域では、両方のモーターの効率を比較して、効率の高い方のモーターを選択して駆動軸を駆動することで、駆動効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態の電動車両の駆動装置、及び、電動車両の構成を示す図である。
【図2】低速度型モーター(L)と高速度型モーター(H)の特性を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態の電動車両の駆動方法の制御フローの一例を示す図である。
【図4】ハイブリッド車の電動車両1Xの構成の一例を示す図である。
【図5】モーター1つの特性(S)とモーターを2つ同時に動かした場合の特性(D)を示す図である。
【図6】モーターを一台だけ運転した場合の特性(A)と、モーターを二台とも運転した場合の特性(B)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施の形態の電動車両の駆動装置、電動車両、及び、電動車両の駆動方法について、図面を参照しながら説明する。ここでは、ハイブリッド車(HV車)を例にして説明するが、本発明は、ハイブリッド車に限定されることなく、電動車(EV車)にも適用でき、2つのモーターで駆動軸を駆動する電動車両の駆動装置及び電動車両に適用できる。
【0024】
図1に示すように、本発明に係る実施の形態の電動車両1は、エンジン(内燃機関)10と2つのジェネレーター(G:発電機)11と2つのモーター(M:電動機)12a,12bを搭載し、エンジン10で車輪13を駆動する駆動軸14を駆動したり、エンジン10の出力で駆動されるジェネレーター11で発電した電力をバッテリ15に充電しておいて、必要なときに、モーター12a,12bを駆動したりして、駆動軸14を駆動するように構成される。
【0025】
一方のモーター12aは、効率点が電動車両1の走行頻度の高い低速度領域の速度・負荷領域になるように選定、例えば、都市内小口配送車では、渋滞路走行時の走行抵抗・車速に合致するように選定される低速度型モーターとして構成される。
【0026】
また、他方のモーター12bは、電動車両1が必要とする最高出力・最高速度を、高速度型モーターの出力が満足させることができるように選定される高速度型モーターとして構成される。一般に、車両が必要とする最高出力は最高速度に必要な走行抵抗(走行負荷:走行エネルギー)に相当する。
【0027】
この低速度型モーター12aと高速度型モーター12bを並列に車輪13の駆動軸14に接続し、低速度型モーター12aと駆動軸14との間にクラッチ16を設けて、このクラッチ16により駆動軸14から低速度型モーター12aを切り離せる構造とする。
【0028】
この場合の低速度型モーター12aと高速度型モーター12bの特性を図2に例示する。この図2から、高速度型モーター12b又は」駆動軸14の回転速度Riが低速度領域にある場合は低回転型モーター12aを、また、高速度領域に有る場合は高速度型モーター12bを動作させることによって、効率的な動作が可能となることが分かる。
【0029】
また、図2に示すように、低速度型モーター12aの高効率領域(L)(斜線部)と、高速度型モーター12bの高効率領域(H)(斜線部)とが、中速度の領域(下限回転速度Rb〜上限回転速度Ra)で重なり合っていることが分かる。この下限回転速度Rbは、高速度型モーター12bの高効率領域(H)の下限となる高速度型モーター12bの回転速度であり、上限回転速度Raは、低速度型モーター12aの高効率領域(L)の上限となる低速度型モーター12aの回転速度である。
【0030】
そして、高速度型モーター12bの回転速度Riが予め設定した第1判定速度R1以下の低速度領域のある場合は低回転型モーター12aを動作させる。この時、高速度型モーター12bの動作領域は低速度モーター12aの動作領域を含んでいるため、高速度モーター12bは、低速度モーター12aが動作している間は無負荷で空転している状態となり、低速度モーター12bの影響を受けないので、特に高速度モーター12bを駆動軸14から切り離す必要はない。
【0031】
なお、高速度型モーター12bの回転速度Riを用いるのは、低速度型モーター12aはクラッチ16を駆動軸14から断絶すると、低速度型モーター12aは回転しなくなるが、一方の高速度型モーター12bは常に駆動軸14に接続され回転しているからである。
【0032】
また、回転速度Riが予め設定した第2判定速度R2よりも大きい高速度領域にある場合はクラッチ16を断絶することにより、低回転型モーター12aと駆動軸14との接続を切り離して、高速度型モーター12bのみで駆動軸14を駆動する。この低回転型モーター12aと駆動軸14の接続を断つ理由は、高速度型モーター12bにより高回転速度で回転駆動される駆動軸14に低回転型モーター12aが接続したままであると、低回転型モーター12aの回転が過回転となり、動作補償範囲を超えてしまい、故障の恐れが生じるからである。
【0033】
そして、本発明においては、高速度型モーター12b(又は駆動軸14)の回転速度Riが、第1判定速度R1よりも大きく、第2判定速度R2以下で、低速度型モーター12aと高速度型モーター12bの両方のモーター12a,12bにおける高効率領域が重なる中速度領域にある場合には、両方のモーター12a,12bの効率を比較して、効率の高い方のモーター12a(又は、12b)を選択して駆動軸14を駆動するように構成する。
【0034】
更に、ここで、第1判定速度R1として高速度型モーター12bの下限回転速度Rbを用い、第2判定速度R2として低速度型モーター12aの上限回転速度Raを用いる。つまり、モーター12a,12bの回転速度Riが下限回転速度Rbと上限回転速度Raの間にある場合には、両方のモーター12a,12bの効率を比較して、効率の高い方のモーター12a(又は、12b)を選択して駆動軸14を駆動するように構成する。なお、駆動軸14の回転速度Riを用いる場合は、上限回転速度Raとなる駆動軸の14の回転数を上限回転速度とし、下限回転速度Rbとなる駆動軸の14の回転数を下限回転速度とする。
【0035】
この制御を図3に例示する制御フローに従って説明する。モーターの12a,12bの回転速度をRi、モーター12a,12b間の境界回転速度として下限回転速度Rbと上限回転速度Raを用い、低速度型モーター12aの効率をEa、高速度型モーター12bの効率をEbとしたときの制御フローを図3に示す。
【0036】
この図3の制御フローは、モーター12a,12bにより駆動軸14を駆動する場合に上級の制御フローから呼ばれて、スタートする。図3の制御フローがスタートすると、ステップS11で、高速度型モーター12a(又は駆動軸14)の回転速度Riを入力する。
【0037】
次のステップS12で、回転速度Riの判定を行い、回転速度Riが下限回転速度Rb以上であるか否かを判定する。この判定で、回転速度Riが下限回転速度Rb以上でなければ(NO)、低速度領域にあるとして、ステップS16に行き、低速度型モーター12aを選択して駆動軸14を回転駆動し、低速度型モーター12aで走行する。この時、高速度型モーター12bは低速度型モーター12aの回転速度で回転する空転状態となる。
【0038】
一方、このステップS12の判定で、回転速度Riが下限回転速度Rb以上であれば(YES)、ステップS13に行き、回転速度Riの判定を行い、回転速度Riが上限回転速度Ra以下であるか否かを判定する。この判定で、回転速度Riが上限回転速度Ra以下でなければ(NO)、高速度領域にあるとして、ステップS17に行き、高速度型モーター12bを選択して駆動軸14を回転駆動し、高速度型モーター12bで走行する。この時、低速度型モーター12aは高回転速度にならないように、クラッチ16を断絶して、低速度型モーター12aの回転を停止させて、過回転による故障を防止する。
【0039】
ステップS13の判定で、回転速度Riが上限回転速度Ra以下であれば(YES)、中速度領域にあるとして、ステップS14に行き、両モーター12a,12bのその回転速度Riにおけるモーターの効率Ea,Ebを入力する。
【0040】
次のステップS15で、モーターの効率Ea,Ebの判定を行い、低速度型モーター12aの効率Eaが高速度型モーター12bの効率Ebより小さいか否かを判定する。この判定で、効率Eaが効率Ebより小さくない場合には(NO)、ステップS16に行き、低速度型モーター12aで走行する。また、効率Eaが効率Ebより小さい場合には(YES)、ステップS17に行き、高速度型モーター12bで走行する。
【0041】
このステップS16又はステップS17で、走行するためのモーター12a(又は12b)を選択した後、リターンして上位の制御フローに戻る。そして、上位の制御フローで、モーターによる駆動開始のタイミング、及び、低速度型モーター12aと高速度型モーター12bの切り替えのタイミングで、繰り返し図3の制御フローが呼ばれ、走行するためのモーター12a(又は12b)を選択する。そして、電動車両1の運転停止と共に、上位の制御フローの終了に伴って図3の制御フローも終了する。
【0042】
これにより、本発明に係る実施の形態の電動車両の駆動方法を実施できる。つまり、低速度型モーター12aと高速度型モーター12bを並列に車輪13の駆動軸14に接続し、高速度型モーター12b又は駆動軸14の回転速度Riが低速度領域にある場合は低回転型モーター12aを動作させ、回転速度Riが高速度領域にある場合は低速度型モーター12aと駆動軸14との間に設けたクラッチ16を断絶することにより駆動軸14から低速度型モーター12aを切り離して、高速度型モーター12bのみで駆動軸14を駆動し、更に、回転速度Riが低速度型モーター12aと高速度型モーター12bの両方のモーター12a,12bにおける高効率領域が重なる中速度領域にある場合には、両方のモーター12a,12bの効率Ea,Ebを比較して、効率の高い方のモーター12a(又は12b)を選択して駆動軸14を駆動することができる。
【0043】
なお、ここでは、高速度型モーター12b又は駆動軸14の回転速度Riで低速度領域か中速度領域か高速度領域かを判定しているが、車輪13の回転速度、又は、電動車両1の走行速度等で代用してもよい。
【0044】
上記の構成の電動車両の駆動装置、電動車両1、及び、電動車両の駆動方法によれば、商業車等の電動車両1において走行頻度の高い低速度領域における効率を改善すると共に、低速度型モーター12aと高速度型モーター12bの両方のモーター12a,12bにおける高効率領域が重なる中速度領域(Rb≦Ri≦Ra)では、両方のモーター12a,12bの効率Ea,Ebを比較して、効率Ea(又はEb)の高い方のモーター12a(又は12b)を選択して駆動軸14を駆動するので、駆動効率を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の電動車両の駆動装置、電動車両、及び、電動車両の駆動方法によれば、低速度領域と高速度領域のみならず、中速度領域においても、駆動効率を高めることができるので、ハイブリッド車や電動自動車に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 電動車両
10 エンジン(内燃機関)
11 ジェネレーター(G:発電機)
12a 低速度型モーター(M:電動機)
12b 高速度型モーター(M:電動機)
13 車輪
14 駆動軸
15 バッテリ
16 クラッチ
R1 第1判定速度
R2 第2判定速度
Ra 上限回転速度
Rb 下限回転速度
Ri モーターの回転速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低速度型モーターと高速度型モーターを並列に車輪の駆動軸に接続し、前記低速度型モーターと前記駆動軸との間にクラッチを設けて、該クラッチにより前記駆動軸から前記低速度型モーターを切り離せる構造とし、前記高速度型モーター又は前記駆動軸の回転速度が低速度領域にある場合は前記低回転型モーターを動作させ、前記回転速度が高速度領域にある場合は前記クラッチを断絶して前記低回転型モーターと前記駆動軸との接続を断って、前記高速度型モーターのみで前記駆動軸を駆動する電動車両の駆動装置において、
前記回転速度が前記低速度型モーターと前記高速度型モーターの両方のモーターにおける高効率領域が重なる中速度領域にある場合には、両方のモーターの効率を比較して、効率の高い方のモーターを選択して前記駆動軸を駆動することを特徴とする電動車両の駆動装置。
【請求項2】
前記高速度型モーター又は前記駆動輪の回転速度で低速度領域か中速度領域か高速度領域かを判定する代わりに、前記車輪の回転速度、又は、電動車両の走行速度を用いて判定することを特徴とする請求項1記載の電動車両の駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電動車両の駆動装置を備えたことを特徴とする電動車両。
【請求項4】
低速度型モーターと高速度型モーターを並列に車輪の駆動軸に接続し、前記高速度型モーター又は前記駆動軸の回転速度が低速度領域にある場合は低回転型モーターを動作させ、前記回転速度が高速度領域にある場合は前記低速度型モーターと前記駆動軸との間に設けたクラッチを断絶することにより前記駆動軸から前記低速度型モーターを切り離して、前記高速度型モーターのみで前記駆動軸を駆動する電動車両の駆動方法において、
前記回転速度が前記低速度型モーターと前記高速度型モーターの両方のモーターにおける高効率領域が重なる中速度領域にある場合には、両方のモーターの効率を比較して、効率の高い方のモーターを選択して前記駆動軸を駆動することを特徴とする電動車両の駆動方法。
【請求項5】
前記高速度型モーター又は前記駆動軸の回転速度で低速度か中速度か高速度かを判定する代わりに、前記車輪の回転速度、又は、電動車両の走行速度を用いて判定することを特徴とする請求項4記載の電動車両の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−17326(P2013−17326A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149206(P2011−149206)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】