説明

電動車両

【目的】シフトレバーを操作してレンジを切り替える時に変速フィーリングが低下することがないようにする。
【構成】車速を検出する車速検出手段12と、アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段13と、レンジを選択するレンジ選択手段と、選択されたレンジを検出するシフトセンサ14を有する。レンジが選択されると、出力トルク指令値計算手段15aによって、車速及びアクセル開度から出力トルク指令値が計算され、該出力トルク指令値によってモータ21が駆動される。この時、シフトセンサ14からの出力トルク指令値計算手段15aに対するセンサ入力が不定になると、不定時間が計時される。そして、不定時間があらかじめ設定された時間より短い場合には前回のレンジを維持し、あらかじめ設定された時間以上になるとフェールセーフ処理を行うようになっている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電動車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電動車両は、モータを駆動して出力トルクを発生させ、モータの回転をそのまま駆動輪に伝達するか、トランスミッションによって減速した後、駆動輪に伝達するようになっている。このような電動車両においては、出力トルク制御装置が設けられていて、シフトレバーの操作によって前進レンジ、後進レンジ、ニュートラルレンジ等を選択することができ、アクセルペダルなどを踏み込むことによって、モータの出力トルクを制御することができるようになっている。
【0003】この場合、シフトレバーの位置すなわちレンジ位置を検出するために、シフトセンサが設けられ、該シフトセンサが検出したレンジ位置の信号を前記出力トルク制御装置に送り、該出力トルク制御装置において選択されたレンジの判断を行うようになっている。そして、前記シフトセンサには、一重系独立接点式のシフトセンサが使用されている。
【0004】図7は従来の電動車両に使用されたシフトセンサの動作説明図である。図の(a)はシフトセンサの接点を、(b)はシフトセンサの作動を示す。図において、1はシフトレバーに連結されたスライド式接点(以下、「シフトレバー」という。)、2はシフトセンサである。該シフトセンサ2において、シフトレバー1をパーキングレンジ(P)、後進レンジ(R)、ニュートラルレンジ(N)、前進レンジ(D)及びローレンジ(L)の各位置に置くことができる。
【0005】また、IGは共通接点、PL はパーキングレンジが選択された時に共通接点IGと接続されるパーキング用接点、RL は後進レンジが選択された時に共通接点IGと接続される後進用接点、NL はニュートラルレンジが選択された時に共通接点IGと接続されるニュートラル用接点、DL は前進レンジが選択された時に共通接点IGと接続される前進用接点、LL はローレンジが選択された時に共通接点IGと接続されるロー用接点である。
【0006】前記パーキング用接点PL 、後進用接点RL 、ニュートラル用接点NL 、前進用接点DL 及びロー用接点LL がいずれも同じ円周上に配列され、これらは独立して共通接点IGと接続され、シフトレバー1の位置に対して1対1でオンになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の電動車両においては、シフトセンサ2が一重系独立接点式のもので構成されるため、シフトレバー1を操作する時、例えば前進レンジからローレンジに切り替える(以下、「D→Lシフト」という。)際に、極めて短時間ではあるが、シフトレバー1がシフトセンサ2の不感帯を通過する。すなわち、前進用接点DL 及びロー用接点LL の中間にシフトレバー1が位置すると、センサ出力がオフになってしまう。
【0008】この場合、前記出力トルク制御装置においては、シフトセンサ2からのセンサ入力が不定となるため、フェールセーフ処理を行い出力トルク指令値を0としてしまう。この間の時間は非常に短く、シフトレバー1がロー用接点LL に到達すると、センサ出力がオンになるが、走行時におけるトルク抜け状態が発生するため、変速フィーリングが低下してしまう。
【0009】また、例えば前進レンジから後進レンジに切り替える(以下、「D→Rシフト」という。)場合、シフトレバー1が後進用接点RL に到達すると直ちにモータの駆動方向が反転することになる。この場合、過大なエンジンブレーキ状態で、しかも、過大な回生状態となり、変速フィーリングが低下するだけでなく、モータの耐久性も低下してしまう。
【0010】本発明は、前記従来の電動車両の問題点を解決して、シフトレバーを操作してレンジを切り替える時に変速フィーリングが低下することがなく、モータの耐久性が低下することがない電動車両を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明の電動車両においては、車速を検出する車速検出手段と、アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、レンジを選択するレンジ選択手段と、選択されたレンジを検出するシフトセンサを有する。そして、出力トルク指令値計算手段が、検出した車速及びアクセル開度から出力トルク指令値を計算し、この時、前記シフトセンサからのセンサ入力の不定時間があらかじめ設定された時間より短い場合には前回のレンジを維持し、あらかじめ設定された時間以上になるとフェールセーフ処理を行うようになっている。
【0012】また、電動車両の進行方向を判断する進行方向判断手段を備えることができ、駆動方向計算手段が、前進走行レンジと後進走行レンジ間のレンジの切替えを、車速の絶対値があらかじめ設定された値以上である時に禁止する。
【0013】
【作用及び発明の効果】本発明によれば、前記のように電動車両は車速を検出する車速検出手段と、アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、レンジを選択するレンジ選択手段と、選択されたレンジを検出するシフトセンサを有する。そして、レンジ選択手段によってレンジが選択されると、出力トルク指令値計算手段によって、検出した車速及びアクセル開度から出力トルク指令値が計算され、該出力トルク指令値によってモータが駆動される。
【0014】この時、前記シフトセンサからの出力トルク指令値計算手段に対するセンサ入力が不定になると、不定時間が計時される。そして、不定時間があらかじめ設定された時間より短い場合には前回のレンジを維持してレンジの切替えを行わず、あらかじめ設定された時間以上になるとフェールセーフ処理を行うようになっている。
【0015】したがって、レンジを選択する際にレンジ選択手段がシフトセンサの不感帯を通過した場合などにおいてセンサ出力が不定になっても、前回のレンジを維持して走行しフェールセーフ処理は行われないので、走行時におけるトルク抜け状態は発生せず、変速フィーリングが低下することはない。また、進行方向判断手段によって電動車両の進行方向を判断するとともに、駆動方向計算手段によって前進走行レンジと後進走行レンジ間のレンジの切替えを、車速の絶対値があらかじめ設定された値以上である時に禁止することができる。この場合、車速の絶対値があらかじめ設定された値以上であるとモータの駆動方向が反転しない。
【0016】したがって、過大なエンジンブレーキ状態で、しかも、過大な回生状態となることがなく、変速フィーリングが低下するのを防止し、モータの耐久性を向上させることができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施例を示す電動車両の出力トルク制御装置のブロック図、図2は本発明の電動車両に使用されたシフトセンサの動作説明図である。図2の(a)はシフトセンサの接点を、(b)はシフトセンサの作動を示す。
【0018】図1において、11は図示しないCPU、RAM、ROM等から成る出力トルク制御装置、12は電動車両の車速を例えばモータ21の内部の回転体の絶対的な位置を検出する図示しないモータ回転数センサなどで検出する車速検出手段、13はアクセル開度を図示しないアクセルペダルの踏込量で検出する図示しないアクセルセンサなどのアクセル開度検出手段、14は後述するシフトレバーを運転者が操作することによって選択されたレンジをシフトレバーの位置、すなわちレンジ位置で検出するシフトセンサである。
【0019】また、12aは前記車速検出手段12からの回転体の絶対的な位置の時間的な変化量によって車速を計算する車速計算手段、16は該車速計算手段12aが受けた前記車速検出手段12からの回転体の絶対的な位置の変化の正負によって、電動車両の進行方向を判断する進行方向判断手段である。そして、13aは前記アクセル開度検出手段13からのアクセルペダルの踏込量の信号によってアクセル開度を計算するアクセル開度計算手段、14aは前記シフトセンサ14からのレンジ位置の信号によって、選択されたレンジを判断するレンジ判断手段である。
【0020】15は出力トルク指令値・駆動方向計算手段であり、出力トルク指令値計算手段15aと駆動方向計算手段15bから成る。前記出力トルク指令値計算手段15aは、前記車速計算手段12aが計算した車速の信号及びアクセル開度計算手段13aが計算したアクセル開度の信号を受けて出力トルク指令値を計算する。また、前記駆動方向計算手段15bは、前記車速の信号、レンジ位置判断手段14aが判断したレンジの信号及び進行方向判断手段16が判断した進行方向の信号を受けて、モータ21の駆動方向を計算する。
【0021】そして、17は前記出力トルク指令値・駆動方向計算手段15が計算した出力トルク指令値及び駆動方向をモータ21に対して出力する出力トルク指令値出力手段である。前記モータ21は、出力トルク指令値出力手段17から出力トルク指令値及び駆動方向を受けると、それに対応するモータ電流が供給されて駆動され、出力トルクを発生する。
【0022】次に、本発明の実施例を示す電動車両に使用されるシフトセンサ14について説明する。図2において、3はシフトレバー、14はグレーコード式の出力パターンと1対1式の出力パターンを有する二重系のシフトセンサである。該シフトセンサ14において、シフトレバー3をパーキングレンジ(P)、後進レンジ(R)、ニュートラルレンジ(N)、前進レンジ(D)及びローレンジ(L)の各位置に置くことができる。
【0023】また、IGは共通接点、NSはパーキングレンジが選択された時に共通接点IGと接続されるパーキング用接点、及びニュートラルレンジが選択された時に共通接点IGと接続されるニュートラル用接点、BLは後進レンジが選択された時に共通接点IGと接続される後進用接点である。前記パーキング用接点及びニュートラル用接点NS、後進用接点BLは、1対1式の出力パターンを形成する。これらは独立して共通接点IGと接続され、シフトレバー1の位置に対して1対1でオンになる。
【0024】また、A〜C,PAはグレーコード式の出力パターンを形成する接点であり、図の(b)に示すように作動して各レンジ位置に対応してオンになる。このように、シフトセンサ14に二重系の出力パターンが同心状に形成されているため、接触不良やノイズなどが発生してもレンジ位置を誤判定する確率が減少する。
【0025】ところで、シフトレバー3がシフトセンサ14の不感帯を通過すると、出力トルク制御装置11(図1)に対するシフトセンサ14からのセンサ入力が不定となってしまう。この場合、フェールセーフ処理を行い出力トルク指令値を0とすると、トルク抜け状態が発生するため変速フィーリングが低下してしまう。そこで、センサ入力が不定になった場合、一定時間だけ前回のレンジを維持するようにしている。
【0026】次に、本発明の実施例を示す電動車両の動作について説明する。図3は本発明の実施例における電動車両の動作を示す第1のフローチャート、図4は本発明の実施例における電動車両の動作を示す第2のフローチャート、図5は本発明の実施例における電動車両の出力トルク指令値マップを示す図、図6は本発明の実施例における電動車両のトルク出力率マップを示す図である。
【0027】前記シフトセンサ14(図1)からのセンサ入力が不定となると、前記レンジ判断手段14aはそれを出力トルク指令値・駆動方向計算手段15に通知する。該出力トルク指令値・駆動方向計算手段15は、不定時間計測用のタイマによってセンサ入力が不定になってからの不定時間を計時し、該不定時間が例えば1〔sec〕以上である場合、出力トルク指令値・駆動方向計算手段15にそれを通知する。
【0028】これに対して該出力トルク指令値・駆動方向計算手段15はフェールセーフ処理を行い、出力トルク指令値を0又はほぼ0に近い値とし、ランプなどによって運転者に警告する。また、前記不定時間が1〔sec〕未満である場合、前記出力トルク指令値・駆動方向計算手段15は、前回のシフトポジションデータMOLD を今回のシフトポジションデータMNEW としてセーブし、シフトレバー3を操作したにもかかわらずレンジの切替えを行わない。
【0029】そして、シフトセンサ14からのセンサ入力が不定でない場合は、前記タイマをリセットし、レンジ判断手段14aからレンジの信号として受けた今回のシフトポジションデータMNEW をセーブし、シフトレバー3の操作どおりレンジの切替えを行う。ところで、前進レンジ時又は後進レンジ時においてレンジが切り替えられ、モータ21の駆動方向が反転すると、過大なエンジンブレーキ状態で、しかも、過大な回生状態となり、変速フィーリングが低下するだけでなく、モータ21の耐久性も低下してしまう。そこで、前記出力トルク指令値・駆動方向計算手段15の駆動方向計算手段15bは、前進レンジ時又は後進レンジ時においてモータ21の方向が直ちに反転することがないようにしている。
【0030】すなわち、今回のシフトポジションデータMNEW によって中立レンジ、すなわちニュートラルレンジ又はパーキングレンジが選択された場合は、前回のシフトポジションデータMOLD に今回のシフトポジションデータMNEW をコピーする。これによって、ニュートラルレンジ又はパーキングレンジを確定し、ニュートラルレンジ又はパーキングレンジへの切替えが行われる。
【0031】また、今回のシフトポジションデータMNEW によって前進走行レンジ、すなわち前進レンジ又はローレンジが選択された場合は、前回のレンジが前進レンジ又はローレンジであれば、前回のシフトポジションデータMOLD に今回のシフトポジションデータMNEW をコピーする。これによって、前進レンジ又はローレンジを確定し、前進レンジ又はローレンジへの切替えが行われる。
【0032】これに対して、前回のレンジが前進レンジ又はローレンジ以外であって、車速が例えば−5〔km/h〕以下(絶対値が5〔km/h〕以上)の場合は、モータ21の駆動方向を反転しないようにする。そのため、今回のシフトポジションデータMNEW をキャンセルし、強制的にニュートラルレンジ又はパーキングレンジのデータを今回のシフトポジションデータMOLD に書き込み、ニュートラルレンジ又はパーキングレンジを確定する。
【0033】一方、車速が−5〔km/h〕より高い場合は、モータ21の駆動方向を反転してもよいと判断し、前回のシフトポジションデータMOLD に今回のシフトポジションデータMNEW をコピーし、前進レンジ又はローレンジを確定する。また、今回のシフトポジションデータMNEW によって後進レンジが選択された場合は、前回のレンジが後進レンジであれば、前回のシフトポジションデータMOLD に今回のシフトポジションデータMNEW をコピーする。これによって後進レンジを確定し、そのまま後進レンジを維持する。
【0034】これに対して、前回のレンジが後進レンジ以外であって、車速が例えば5〔km/h〕以上(絶対値が5〔km/h〕以上)の場合は、モータ21の駆動方向を反転しないようにする。そのため、今回のシフトポジションデータMNEW をキャンセルし、強制的にニュートラルレンジ又はパーキングレンジのデータを今回のシフトポジションデータMOLD に書き込み、ニュートラルレンジ又はパーキングレンジを確定する。
【0035】一方、車速が5〔km/h〕より低い場合は、モータ21の駆動方向を反転してもよいと判断し、前回のシフトポジションデータMOLD に今回のシフトポジションデータMNEW をコピーし、後進レンジを確定する。次に、出力トルク指令値・駆動方向計算手段15内の出力トルク指令値計算手段15aは、このようにして確定されたレンジが前進レンジ又はローレンジである場合は図示しない前進マップを、後進レンジである場合には図示しない後進マップを参照して出力トルク指令値を計算する。また、ニュートラルレンジ又はパーキングレンジである場合は、出力トルク指令値を0とし、それをモータ21に対して出力する。
【0036】前記出力トルク指令値計算手段15aにおいて出力トルク指令値を計算する場合、まず、図5の出力トルク指令値マップを参照して、アクセル開度が100〔%〕の時のその時点の車速に対応する出力トルク指令値を計算する。次に、図6のトルク出力率マップを参照して、その時点のアクセル開度に対応するトルク出力率を算出する。
【0037】そして、前記アクセル開度が100〔%〕の時の出力トルク指令値にトルク出力率を乗ずることによって、出力トルク指令値を計算することができる。この場合、前進レンジと後進レンジでそれぞれ別の出力トルク指令値マップ及びトルク出力率マップが設定される。
ステップS1 アクセル開度計算手段13aがアクセルペダルの踏込量の信号からアクセル開度を計算する。
ステップS2 車速計算手段12aが回転体の絶対的な位置の時間的な変化量から車速を計算するとともに、進行方向判断手段16が進行方向を判断する。
ステップS3 レンジ判断手段14aに対し、シフトセンサ14からのセンサ入力が行われる。
ステップS4 出力トルク指令値・駆動方向計算手段15が、シフトセンサ14からのセンサ入力が不定であるか否かを判断する。不定である場合はステップS5に、不定でない場合はステップS8に進む。
ステップS5 不定時間計測用のタイマが計時した不定時間が1〔sec〕以上であるか否かを判断する。1〔sec〕以上である場合はステップS6に、1〔sec〕未満である場合はステップS7に進む。
ステップS6 フェールセーフ処理を行う。
ステップS7 前回のシフトポジションデータMOLD に今回のシフトポジションデータMNEW をコピーし、ステップS10に進む。
ステップS8 不定時間計時用のタイマをリセットする。
ステップS9 今回のシフトポジションデータMNEW をセーブする。
ステップS10 今回のシフトポジションデータMNEW がいずれのレンジのデータであるかを判断する。後進レンジのデータである場合はステップS11に、前進レンジのデータ及びローレンジのデータである場合はステップS15に、ニュートラルレンジのデータ及びパーキングレンジのデータである場合はステップS14に進む。
ステップS11 前回のシフトポジションデータMOLD が後進レンジのデータであるか否かを判断する。後進レンジのデータである場合はステップS13に、後進レンジのデータでない場合はステップS12に進む。
ステップS12 車速が5〔km/h〕以上であるか否かを判断する。5〔km/h〕以上である場合はステップS14に、5〔km/h〕より低い場合はステップS13に進む。
ステップS13 シフトポジションデータMOLD を後進レンジのデータにする。
ステップS14 シフトポジションデータMOLD をニュートラルレンジのデータ又はパーキングレンジのデータにする。
ステップS15 前回のシフトポジションデータMOLD が前進レンジのデータ又はローレンジのデータであるか否かを判断する。前進レンジのデータ又はローレンジのデータである場合はステップS17に、前進レンジのデータ又はローレンジのデータでない場合はステップS16に進む。
ステップS16 車速が−5〔km/h〕以下であるか否かを判断する。−5〔km/h〕以下である場合はステップS14に、−5〔km/h〕より高い場合はステップS17に進む。
ステップS17 シフトポジションデータMOLD を前進レンジのデータ又はローレンジのデータにする。
ステップS18 シフトポジションデータMOLD がどのレンジのデータであるか否かを判断する。後進レンジのデータである場合はステップS19に、ニュートラルレンジのデータ又はパーキングレンジのデータである場合はステップS20に、前進レンジのデータ又はローレンジのデータである場合はステップS21に進む。
ステップS19 出力トルク指令値・駆動方向計算手段15の出力トルク指令値計算手段15aは、後進マップを参照して出力トルク指令値を計算する。
ステップS20 出力トルク指令値を0とする。
ステップS21 出力トルク指令値・駆動方向計算手段15の出力トルク指令値計算手段15aは、前進マップを参照して出力トルク指令値を計算する。
ステップS22 前記出力トルク指令値及び駆動方向をモータ21に対して出力する。
【0038】本実施例においては、前進走行レンジが前進レンジ及びローレンジで構成されるものとして説明しているが、ほかにセカンドレンジなども含むようにすることもできる。なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す電動車両の出力トルク制御装置のブロック図である。
【図2】本発明の電動車両に使用されたシフトセンサの動作説明図である。
【図3】本発明の実施例における電動車両の動作を示す第1のフローチャートである。
【図4】本発明の実施例における電動車両の動作を示す第2のフローチャートである。
【図5】本発明の実施例における電動車両の出力トルク指令値マップを示す図である。
【図6】本発明の実施例における電動車両のトルク出力率マップを示す図である。
【図7】従来の電動車両に使用されたシフトセンサの動作説明図である。
【符号の説明】
3 シフトレバー
12 車速検出手段
13 アクセル開度検出手段
14 シフトセンサ
15a 出力トルク指令値計算手段
15b 駆動方向計算手段
16 進行方向判断手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)車速を検出する車速検出手段と、(b)アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、(c)レンジを選択するレンジ選択手段と、(d)選択されたレンジを検出するシフトセンサと、(e)検出した車速及びアクセル開度から出力トルク指令値を計算するとともに、前記シフトセンサからのセンサ入力の不定時間があらかじめ設定された時間より短い場合には前回のレンジを維持し、あらかじめ設定された時間以上になるとフェールセーフ処理を行う出力トルク指令値計算手段を有することを特徴とする電動車両。
【請求項2】 (a)車速を検出する車速検出手段と、(b)アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、(c)レンジを選択するレンジ選択手段と、(d)選択されたレンジを検出するシフトセンサと、(e)検出した車速及びアクセル開度から出力トルク指令値を計算する出力トルク指令値計算手段と、(f)電動車両の進行方向を判断する進行方向判断手段と、(g)前進走行レンジと後進走行レンジ間のレンジの切替えを、車速の絶対値があらかじめ設定された値以上である時に禁止する駆動方向計算手段を有することを特徴とする電動車両。

【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開平6−98420
【公開日】平成6年(1994)4月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−244770
【出願日】平成4年(1992)9月14日
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【上記1名の代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠 (外2名)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【上記1名の代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠 (外1名)