説明

電子カメラ

【課題】光の状況に応じて、より見やすい表示を行うことが可能な電子カメラを提供する。
【解決手段】デジタルカメラ1は、その背面にライブビュー表示などを行う液晶ディスプレイ(LCD)5を備える。デジタルカメラ1の全体制御部は、LCD5に対する主入射光線の入射状態を、主入射光線のLCD5に対する入射の向きに応じて分類して判定する。そして、デジタルカメラ1の表示制御部は、その判定結果(具体的には、「逆光状態」「順光状態」「拡散光状態」等のいずれであるか)に応じて、LCD5における表示輝度を変更する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイなどの表示手段を備える電子カメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子カメラにおいては、ライブビューあるいは再生画像を表示するなどのために、背面液晶ディスプレイあるいは電子ビューファインダ(EVF)などの表示手段が設けられている。そして、このような表示手段には見やすさが求められる。
【0003】
このような表示手段における見やすさを考慮する従来技術としては、特開2001−309211号に記載される技術が存在する。
【0004】
この文献には、環境光の輝度等に応じて、表示手段における輝度等を変更することにより、表示形態の最適化を図る技術が記載されている。具体的には、環境光の輝度が低い場合には電子ビューファインダの輝度を低下させるように制御されることなどが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電子カメラの利用場面によっては、環境光の輝度のみに応じて表示手段の輝度を変更しても、見やすい画面とならないこともあり得る。たとえば、昼間の晴天時に逆光あるいは順光の下で撮影するときなどにおいては、表示手段における表示が見にくくなることもある。
【0006】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、光の状況に応じて、より見やすい表示を行うことが可能な電子カメラを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、電子カメラであって、情報を表示する表示手段と、前記表示手段に対する主入射光線の入射状態を、前記主入射光線の前記表示手段に対する入射の向きに応じて分類して判定する判定手段と、前記判定手段により判定された入射状態に応じて、前記表示手段における表示輝度を変更する表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る電子カメラにおいて、前記表示手段は、透過型液晶ディスプレイであり、前記表示制御手段は、前記判定手段によって前記入射状態が順光状態であると判定された場合には、順光状態以外の所定の状態であると判定された場合よりも前記表示手段における表示輝度を増大させることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1の発明に係る電子カメラにおいて、前記表示手段は、反射型液晶ディスプレイおよび反射透過併用型液晶ディスプレイのいずれかであり、前記表示制御手段は、前記判定手段によって前記入射状態が順光状態であると判定された場合には、順光状態以外の所定の状態であると判定された場合よりも前記表示手段における表示輝度を減少させることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る電子カメラにおいて、前記主入射光線の色温度を検出する色温度検出手段、をさらに備え、前記判定手段は、前記色温度検出手段による検出結果に基づいて、前記入射状態が、(1)順光状態あるいは逆光状態、および、(2)拡散光状態のうちのいずれであるかを判定することを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、電子カメラであって、光電変換を用いて被写体に関する画像信号を得る撮像手段と、透過型液晶ディスプレイを用いて構成される表示手段と、前記画像信号に基づいて前記表示手段における入射状態が順光状態であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により順光状態であると判定された場合には、前記順光状態以外の状態であると判定された場合に比べて、前記表示手段における表示輝度を増大させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
<1.第1実施形態>
<構成概要>
図1、図2及び図3は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ(より詳細にはデジタルスチルカメラ)1の外観構成を示す図であり、図1は正面図、図2は上面図、図3は背面図に相当する。これらの図は必ずしも三角図法に則っているものではなく、デジタルカメラ1の外観を例示することを主眼としている。
【0014】
デジタルカメラ1の正面側には撮影レンズ2が設けられる。この撮影レンズ2はズーム機能を有しており、ズームリング2aを手動操作で回動させることによって撮影倍率の変更を行うことができるように構成される。
【0015】
また、デジタルカメラ1の上面にはシャッタボタン(レリーズボタン)9が設けられており、該シャッタボタン9はユーザによる半押し状態(状態S1とも称する)と全押し状態(状態S2とも称する)とを区別して検出可能な2段階押し込みスイッチとなっており、自動合焦モードが設定されている場合には半押し状態のときに自動合焦制御を開始し、全押し状態のときに記録用画像を撮影するための本撮影動作を開始する。
【0016】
また、デジタルカメラ1の上面には、「撮影モード」と「再生モード」と「通信モード」とを切替設定するモード切替えダイアル3が設けられている。撮影モードは被写体の撮影を行って画像データの生成を行うモードであり、撮影モードはさらに静止画像撮影モードと動画像撮影モードとに細分化されている。また、再生モードはメモリカード90に記録された画像データを、デジタルカメラ1の背面側に設けられた液晶ディスプレイ(LCD)5に再生表示するモードである。さらに通信モードはデジタルカメラ1の側面に設けられる外部接続インタフェース38を介して、外部コンピュータ91等とのデータ転送を行うモードである。このように、デジタルカメラ1は、画像の撮影機能と画像の再生機能とを有している。
【0017】
デジタルカメラ1の背面には、本撮影動作前のプレビュー用の表示(すなわち、ライブビュー表示)及び記録画像の再生表示等を行うための液晶ディスプレイ5(以下、LCDとも称する)と、電子ビューファインダ(以下、EVFとも称する。)4とが設けられている。これらのLCD5及びEVF4では、それぞれカラー画像の表示が行われる。
【0018】
LCD5は、液晶および光源を用いて構成される表示部である。LCD5には、ライブビュー画像および撮影画像などの画像を含む各種の情報が表示される。LCD5としては、透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、反射透過併用型液晶ディスプレイなどのタイプのものを採用することが可能である。
【0019】
液晶自身は発光しないため、液晶ディスプレイ(LCD)は各方向から光を採り入れることによって画像を見せることが可能になる。この光の採り入れ方によって、液晶ディスプレイは上記の各タイプに分類される。
【0020】
このうち、透過型液晶ディスプレイは、液晶層の裏側(奥側)に所定の光源(以下、バックライトとも称する)を設け、その光源からの光が液晶層を透過することによって、画像等を表示するものである。
【0021】
また、反射型液晶ディスプレイは、入射光を反射する反射層(反射板)を液晶層の裏側(奥側)に設け、液晶層のおもて側(手前側)からの光を反射することによって画像等を表示するものである。光源としては、外光(環境光)のみを用いる場合もあるが、一定程度以上の明るさを確保するために、通常、液晶層のおもて側(手前側)に設けられた所定の光源(以下、フロントライトとも称する)が光源として用いられる。
【0022】
さらに、反射透過併用型液晶ディスプレイ(半透過型液晶ディスプレイとも称する)は、液晶層の裏側に設けられた反射層(反射板)が液晶層のおもて側からの光を反射するとともに液晶層の裏側からの光を透過するタイプのディスプレイである。端的に言えば、上記の反射板がハーフミラーの役割を果たすのである。より具体的には、この反射透過併用型液晶ディスプレイにおいては、通常、フロントライトは設けられずバックライトのみが光源として設けられる。そして、液晶層のおもて側からの外光(環境光)が反射板で反射されるとともに、液晶層の裏側に設けられたバックライトからの光がその反射板を透過するのである。バックライトを用いることにより、外光の光量が少ない場所でも画像等を表示することが可能になる。
【0023】
この第1実施形態においては、LCD5として透過型液晶ディスプレイを採用する場合について説明する。なお、他のタイプの液晶ディスプレイを採用する場合については他の実施形態において説明する。
【0024】
また、デジタルカメラ1の背面にはメニューボタン6が設けられており、このメニューボタン6が押下されることによって各種メニュー画面がLCD5に表示される。また、デジタルカメラ1の背面には、LCD5における表示カーソルを4方向に移動させるための十字カーソルボタン及び十字カーソルボタンの中央部に設けられる決定ボタンで構成されるコントロールボタン7が設けられる。これらメニューボタン6及びコントロールボタン7を用いて各種撮影パラメータの設定操作が行われる。各種撮影パラメータの設定状態はデジタルカメラ1の上面側に配置されるデータパネル8に表示される。なお、デジタルカメラ1の背面には上記の他にも拡大ボタン35a等の各種操作ボタンが配置される。
【0025】
さらに、デジタルカメラ1の側面には、着脱自在な記録媒体であるメモリカード90の挿入装着部が設けられており、本撮影によって得られる画像データはこの挿入装着部にセットされるメモリカード90に記録される。
【0026】
<内部構成>
次に、デジタルカメラ1の内部構成について説明する。図4は、デジタルカメラ1の内部機能を示すブロック図である。
【0027】
撮影レンズ2はレンズ駆動部31によって駆動され、CCD撮像素子10に結像される像の合焦状態を変化させるように構成される。なお、自動合焦(オートフォーカス)設定時には全体制御部20において画像から自動的に撮影レンズ2のレンズ駆動量が決定され、このレンズ駆動量に基づいて撮影レンズ2が駆動されるのに対し、手動合焦(マニュアルフォーカス)設定時にはユーザによるコントロールボタン7の操作量に応じてレンズ駆動量が決定され、このレンズ駆動量に基づいて撮影レンズ2が駆動される。
【0028】
CCD撮像素子10は被写体像を撮影して電子的な画像信号を生成する撮像手段として機能するものであり、所定数の画素を有し、撮影レンズ2によって結像された被写体の光像を、画素毎にR(赤),G(緑),B(青)の色成分の画像信号(各画素で受光された画素信号の信号列からなる信号)に光電変換して出力する。タイミングジェネレータ32は、CCD撮像素子10の駆動を制御するための各種のタイミングパルスを生成するものである。
【0029】
CCD撮像素子10から得られる画像信号は信号処理回路11に与えられ、信号処理回路11において画像信号(アナログ信号)に対して所定のアナログ信号処理が施される。信号処理回路11は相関二重サンプリング回路(CDS)とオートゲインコントロール回路(AGC)とを有しており、相関二重サンプリング回路により画像信号のノイズ低減処理を行い、オートゲインコントロール回路でゲインを調整することにより画像信号のレベル調整を行う。
【0030】
A/D変換器12は、画像信号の各画素信号を12ビットのデジタル信号に変換するものである。A/D変換器12は、全体制御部20から入力されるA/D変換用のクロックに基づいて各画素信号(アナログ信号)を12ビットのデジタル信号に変換する。
【0031】
WB(ホワイトバランス)回路13は、R,G,Bの各色成分のレベル変換を行うものである。WB回路13は、全体制御部20で記憶されるレベル変換テーブルを用いてR,G,Bの各色成分のレベルを変換する。なお、レベル変換テーブルの各色成分のパラメータ(特性の傾き)は全体制御部20により、オートまたはマニュアルで、撮影画像毎に設定される。γ補正回路14は、画素データの階調を補正するものである。
【0032】
色補正部15は、γ補正回路14から入力される画像データに対し、ユーザから設定された色補正に関するパラメータに基づいて色補正を行うとともに、RGB色空間で表現されたカラー情報をYCrCb色空間で表現されたカラー情報に変換する。この表色系変換により、全画素について輝度成分値が得られることになる。
【0033】
解像度変換部16は、CCD撮像素子10から得られる画像データに対して所定の解像度変換や、領域の切り出しを行うものである。
【0034】
なお、ライブビュー表示時には、解像度変換部16によって所定の解像度変換が施された画像データ(画像信号)は、全体制御部20を介して表示制御部33に与えられ、LCD5及びEVF4に対してライブビュー画像の表示が行われるとともに、測光演算部18にも与えられ、自動露出(AE)制御用の評価値が算出される。これに対し、自動合焦制御時には、解像度変換部16によって所定の解像度変換が施された画像データは、AF評価値演算部17に与えられ、自動合焦(AF)制御用の評価値が算出される。このように、ライブビュー時および自動合焦制御時には、それぞれ所定の処理が行われるとともに、被写体に関する画像がLCD5などに表示される。
【0035】
AF評価値演算部17はユーザによってシャッタボタン9が半押し状態とされた場合に機能し、コントラスト方式の自動合焦制御を行うための評価値演算動作が行われる。ここでは、解像度変換部16から得られるAF評価領域の画像成分に基づいて、水平方向に隣接する2画素間での差分絶対値の総和がAF用評価値として算出される。そしてAF評価値演算部17において算出されるAF用評価値は全体制御部20へと出力される。
【0036】
測光演算部18では、解像度変換部16から出力される画像データを小ブロックに分割し、各小ブロックの代表輝度値に基づいてAE用評価値を算出する。測光演算部18において算出されるAE用評価値は全体制御部20へと出力される。
【0037】
画像メモリ34は、本撮影時にCCD撮像素子10で取得され、上記の画像処理が施された画像データを一時的に記憶するメモリである。画像メモリ34は、少なくとも1フレーム分の記憶容量を有している。そして本撮影後に画像のアフタービュー表示等が行われる場合には、画像メモリ34から表示制御部33に画像データが与えられ、撮影画像を確認するための画像表示が行われる。また、ユーザによって記録指示が与えられた場合には、画像メモリ34からメモリカード90に対して画像データが転送され、画像データの記録保存が行われる。
【0038】
カードインタフェース(カードI/F)37は、デジタルカメラ1側面の挿入装着部に対して装着されるメモリカード90への画像データの書込み及び読出しを行うためのインタフェースである。メモリカード90に対する画像データの読み書き時には、圧縮・伸張部36において例えばJPEG方式で画像データの圧縮処理又は伸張処理が行われる。また、外部接続インタフェース(外部接続I/F)38は通信ケーブル等を介して外部コンピュータ91と通信可能にするためのインタフェースであり、例えばUSB規格に準拠した通信用インタフェース等で実現される。これらカードI/F37、外部接続I/F38を介して、メモリカード90や外部コンピュータ91にセットされるCD−ROM等の記録媒体に記録される制御プログラムを、全体制御部20のRAM20a又はROM20b内に取り込むことができる。
【0039】
操作部35は、上述したモード切替えダイアル3、メニューボタン6、コントロールボタン7、シャッタボタン9及び拡大ボタン35a等を含む操作部であり、ユーザがデジタルカメラ1の設定を操作する部材である。
【0040】
また、表示制御部33は、全体制御部20と協働して、LCD5に対する入射状態(後述)に応じて、LCD5における表示輝度を制御する機能を有している。
【0041】
全体制御部20は内部にRAM20a及びROM20bを備えたマイクロコンピュータによって構成され、マイクロコンピュータが所定の制御プログラムを実行することにより、上記各部を統括的に制御する制御手段として機能する。
【0042】
図5は、全体制御部20の一部の機能的構成等を示す機能ブロック図である。図5に示すように、全体制御部20は、輝度検出部21、色温度検出部22、および順光/逆光検出部23を有している。そして、後述するように、全体制御部20のうち、これらの検出部21,22,23は、LCD5に対する主入射光線の入射状態を判定する判定部として機能する。各検出部21,22,23の詳細動作については後述する。
【0043】
<入射状態および輝度制御>
上述したように、全体制御部20は、LCD5に対する主入射光線の入射状態を、主入射光線のLCD5に対する入射の向きに応じて分類して判定する機能を有している。ここで、「主入射光線」とは、LCD5に入射する外光のうち主要な光を意味するものとする。言い換えれば、「主入射光線」は、LCD5に入射する複数の外光光線のうちLCD5における表示に関して最も影響を与える光線であるということになる。
【0044】
図6は、LCD5に対する外光(環境光)の入射状態について説明する図である。図6(a)は「逆光状態」を示し、図6(b)は「順光状態」を示し、図6(c)は「拡散光状態」を示す。
【0045】
「逆光状態」とは、図6(a)に示すように、LCD5に対する主入射光線LBが、LCD5からデジタルカメラ1の操作者P(図においては操作者の眼が示されている)の方へと向かう向きに入射する状態を意味するものとする。端的に言えば、逆光状態は、LCD5の背後(ここではデジタルカメラ1の前側)から主入射光線LBが入射する状態である。この場合、操作者PからLCD5への向きと、LCD5に対する主入射光線LBの入射の向きとが概略「逆向き」になっている。
【0046】
「順光状態」とは、「逆光状態」と反対の状態であり、図6(b)に示すように、LCD5に対する主入射光線LBがデジタルカメラ1の操作者Pの方からLCD5へと向かう向きに入射する状態を意味するものとする。端的に言えば、順光状態は、LCD5の表示面側(ここではデジタルカメラ1の背面側)から主入射光線LBが入射する状態である。この場合、操作者PからLCD5への向きと、LCD5に対する主入射光線LBの入射の向きとが概略同じ向きになっている。
【0047】
「拡散光状態」とは、「順光状態」と「逆光状態」との中間の状態であり、図6(c)に示すように、散乱等により顕著な方向性(指向性)を有しない光線がLCD5に対して入射する状態を意味するものとする。
【0048】
この実施形態においては、太陽による昼光が指向性をもってLCD5に入射している場合には、「順光状態」および「逆光状態」のいずれかの状態であると判定し、太陽による昼光以外の光が入射している場合及び曇天のように太陽光が指向性をもってLCD5に入射しない場合に、「拡散光状態」であると判定するものとする。
【0049】
また、後述するように、この実施形態においては、「夜間状態」であるか否かをも併せて判定する。「夜間状態」とは、夜間などにおいて、照明光の光量が少ない状態、いわゆる「暗い」状態、を意味するものとする。
【0050】
全体制御部20は、LCD5に対する主入射光線の入射状態が、上記の4つの状態のいずれに該当するかを判定する。具体的には、CCD撮像素子10により取得された画像信号に基づいて、入射状態を判定する。判定基準および判定動作については後に詳述する。
【0051】
また、表示制御部33は、全体制御部20による判定結果に応じて、すなわち、LCD5に対する主入射光線の入射状態に応じて、LCD5における表示輝度を制御する。具体的には、LCD5のバックライト(光源)への供給電流を増減し、バックライトの発光輝度を増減することによって、LCD5における「表示輝度」を増減する。
【0052】
この明細書においては、「表示輝度」は、外光以外の光(たとえば、LCD5に内蔵された光源からの光)に起因する輝度を意味するものとする。換言すれば、「表示輝度」は、装置(デジタルカメラなど)によって増減可能な輝度成分を意味し、外光(環境光)の反射による輝度成分は除外するものとする。
【0053】
また、「表示輝度」の制御手法は、上述のようなバックライト(光源)への供給電流の増減によるものに限定されない。たとえば、画像処理を用いて表示画像の平均画素値を増大させることによって、バックライトなどの光源からの透過光量を増大させて「表示輝度」を増大させるようにしてもよい。
【0054】
上述したように、この第1実施形態においては、LCD5として透過型液晶ディスプレイを採用する場合について説明する。上述したように、透過型液晶ディスプレイは、光源としてバックライトを有している。
【0055】
図7は、各状態におけるバックライトの発光輝度をテーブル(表)形式で示す図である。LCD5のバックライトは白色LEDにより構成されており、図7においては当該白色LEDに対する供給電流も併せて示されている。
【0056】
図7に示すように、夜間状態においては白色LEDに電流I0を流し、拡散光状態においては白色LEDに電流I1を流し、逆光状態においては白色LEDに電流I2を流し、順光状態においては白色LEDに電流I3を流す。これにより、白色LEDを用いたバックライトの発光輝度は、各状態において、それぞれ、値L0,L1,L2,L3となる。具体的には、値L0は、夜間状態におけるバックライトの発光輝度であり、値L1は拡散光状態におけるバックライトの発光輝度であり、値L2は逆光状態におけるバックライトの発光輝度であり、L3値は順光状態におけるバックライトの発光輝度である。
【0057】
ところで、夜間状態における外光の入射光量A0と、拡散光状態における外光の入射光量A1と、逆光状態における外光の入射光量A2と、順光状態における外光の入射光量A3との関係は、
A0<A1<A2<A3、
となる。すなわち、各状態におけるLCD5への外光の入射光量は、夜間状態において最も少なく、順光状態において最も多くなる。また、逆光状態においては順光状態よりも少なく、拡散光状態においては逆光状態よりも少なくなる。
【0058】
また、透過型液晶ディスプレイを用いた場合には、LCD5の表示面への外光の入射光量が多いほど、LCD5の表示面での反射光が多くなり見づらくなる。
【0059】
そこで、表示制御部33は、LCD5の表示面への外光の入射光量が多くなるにつれて、バックライトの発光輝度を増大させてLCD5の液晶層からの透過光量を多くする。具体的には、電流値I0,I1,I2,I3が、次のような大小関係、すなわち、
I0<I1<I2<I3、
を有するように制御することによって、各発光輝度値L0,L1,L2,L3が、
L0<L1<L2<L3、
となるように制御する。言い換えれば、表示制御部33は、拡散光状態における発光輝度L1が夜間状態における発光輝度L0よりも大きく、かつ、逆光状態における発光輝度L2が拡散光状態における発光輝度L1よりも大きく、かつ、順光状態における発光輝度L3が逆光状態における発光輝度L2よりも大きくなるように、LCD5に対する供給電流を変更してLCD5における発光輝度を制御する。
【0060】
これによれば、拡散光状態の場合には、夜間状態に比べてLCD5の表示輝度が向上するので、視認性が向上しLCD5が見やすくなる。
【0061】
また、逆光状態の場合には、拡散光状態に比べてLCD5の表示輝度が向上するので、視認性が向上しLCD5が見やすくなる。
【0062】
さらに、順光状態の場合には、その他の状態(特に逆光状態)に比べてLCD5の表示輝度が向上するので、視認性が向上しLCD5が見やすくなる。
【0063】
以上のように、この第1実施形態のデジタルカメラによれば、LCD5の視認性を向上させることができる。すなわち、デジタルカメラにおける操作性を向上させることができる。
【0064】
<動作>
図8は、LCD5における表示輝度を自動調整モードを採用して制御する場合(すなわち「オート(AUTO)表示」を行う場合)の動作について説明する図である。この動作は、サブルーチンとして規定されており、メインルーチンから呼び出されることなどによって適宜のタイミングで実行される場合を想定している。図8のフローチャートにおいては、LCD5に対する主入射光線の入射状態が上記の4つの状態のいずれに該当するかを判定し、その判定結果に応じた各処理を行う様子が示されている。以下では、図8を参照しながら、入射状態をプレビュー用画像に基づいて判定しつつLCD5における表示状態を制御する動作について詳細に説明する。
【0065】
ここでは、モード切替えダイアル3によって「撮影モード」に設定されているものとし、LCD5においてライブビュー表示が行われているものとする。ライブビュー表示においては、CCD撮像素子10により取得された画像信号に基づく画像(以下、「プレビュー用画像」とも称する)がLCD5に表示されている。そして、このライブビュー表示を行うLCD5の表示輝度が以下のように制御されることになる。
【0066】
まず、ステップSP11において、輝度検出部21は、プレビュー用画像を用いて外光(ないし環境光)の輝度を測定する。プレビュー用画像の平均輝度は、撮影レンズ2を介してCCD撮像素子10に入射した光量を反映した値となっている。そこで、この性質を利用して、プレビュー用画像の平均輝度を測定し、その測定結果に基づいて環境光の輝度を推定するのである。具体的には、CCD撮像素子10内の所定数の画素の画素値を平均化した値V1を輝度の指標値とする。
【0067】
そして、輝度検出部21は、この平均輝度値V1が所定の閾値TH1よりも小さいときに夜間状態であると判定する。夜間状態であると判定される場合には、次のステップSP12の分岐処理から更にステップSP13へと進んで「夜間処理」を行う。このステップSP13においては、表示制御部33は、LCD5のバックライトを構成する白色LEDへの供給電流の値を値I0に設定する。これにより、バックライトの輝度L0が達成される。
【0068】
一方、平均輝度値V1が所定の閾値TH1以上のときには、夜間状態でないと判定される。夜間状態でないと判定される場合には、ステップSP14に進む。なお、平均輝度値V1が閾値TH1に等しいとき(V1=TH1)には、夜間状態であると判定してもよい。
【0069】
ステップSP14においては光源の色温度を検出し、光源の色温度の検出結果に応じて光源の種類を判定する。
【0070】
具体的には、プレビュー用画像を用いて光源の色温度を測定する。そのため、まず、プレビュー用画像内の所定数の画素について、各画素のR(赤),G(緑),B(青)の3つの色成分ごとの平均階調値を求める。詳細には、赤色成分(R)の平均値Raveと、緑色成分(G)の平均値Gaveと、青色成分(B)の平均値Baveとを求める。つぎに、値Rg,Bgを求める。値Rgは赤色成分(R)の平均値Raveの緑色成分(G)の平均値Gaveに対する比の値であり(すなわち値Rg=Rave/Gave)、値Bgは青色成分(B)の平均値Baveの緑色成分(G)の平均値Gaveに対する比の値である(すなわち値Bg=Bave/Gave)。
【0071】
図9は、値Rg,Bgの組合せと光源の種類との対応関係を示す図である。この図9によれば、たとえば、各値の組合せ(Rg,Bg)が(1.0,0.4)のときには、光源の種類が白熱光であることが判る。その他の組合せについても同様であり、各値の組合せに応じて光源の種類を判定することができる。具体的には、色温度検出部22は、各値の組合せ(Rg,Bg)と光源の種類との対応関係を示すデータを所定の記憶部に記憶しておき、検出された値(Rg,Bg)に応じて光源の種類を判定する。このようにして、色温度検出部22は、光源の種類で表現される色温度を検出(ないし判定)することができる。
【0072】
なお、ここでは、3つの色成分(R,G,B)ごとの平均階調値を単に用いて色温度を検出する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、被写体の種類に応じて、各色成分を重み付けすることによって、被写体の種類に応じた補正を行うようにしてもよい。これによれば、より正確に色温度を検出することが可能である。
【0073】
次のステップSP15においては、色温度検出部22は、判定された光源の種類に応じて、LCD5に対する主入射光線の入射状態が「拡散光状態」であるか否かを判定する。具体的には、光源の種類が「曇天」、「白熱光」、「蛍光灯」のいずれかであると判定された場合には「拡散光状態」であると判定し、「昼光」の場合には「拡散光状態」ではないと判定する。すなわち、色温度を用いて拡散光状態か否かが判定されることになる。これによれば、外光の入射状態をより的確に判定することができる。また、ここでは、画像(プレビュー用画像)を用いて色温度を検出しているので、色温度検出用センサを別個に設ける場合に比べて部品点数を削減することができる。
【0074】
拡散光状態であると判定された場合には、ステップSP16に進み、「拡散光処理」を行う。このステップSP16においては、表示制御部33は、LCD5のバックライトを構成する白色LEDへの供給電流の値を値I1に設定する。これにより、バックライトの輝度L1が達成される。
【0075】
一方、拡散光状態でないと判定される場合には、ステップSP17に進む。
【0076】
順光/逆光検出部23は、順光状態および逆光状態の別を判定し(ステップSP17)、その判定結果に応じて「順光処理」および「逆光処理」のうちのいずれの処理を行うべきかを決定する(ステップSP18)。
【0077】
具体的には、順光/逆光検出部23がプレビュー用画像を用いて「順光」および「逆光」の別を検出(ないし判定)する。図10は、その検出原理について説明する図である。
【0078】
まず、CCD撮像素子10からの画像信号に基づく画像(ここではプレビュー用画像)PVを、その中央部分の領域(中央領域)RAとその中央領域の周辺部分の領域(周辺領域)RBとに区分し、中央領域RA内の複数の画素の画素値の平均値(平均輝度)YAと周辺領域RB内の複数の画素の画素値の平均値(平均輝度)YBとをそれぞれ算出する。
【0079】
そして、後者の平均輝度YBを前者の平均輝度YAで除した(割った)値YC(YC=YB/YA)を求める。この値YCが所定の閾値TH2よりも大きくなるとき(YC>TH2)には「逆光状態」であると判定され、この値YCが所定の閾値TH2よりも小さくなるとき(YC<TH2)には「順光状態」であると判定される。これは、主被写体が中央部分に配置されることが多いという性質、および、逆光状態では主被写体が配置される中央部分よりも周辺部分の方が明るくなり、逆に順光状態では周辺部分よりも主被写体が配置される中央部分の方が明るくなるという性質を利用するものである。
【0080】
なお、YC=TH2のときには、「順光状態」および「逆光状態」のいずれに設定するようにしてもよい。ここでは、YC=TH2のときには「逆光状態」に設定するものとする。
【0081】
このように、順光/逆光検出部23は、プレビュー用画像の中央領域における平均輝度YAとプレビュー用画像の周辺部における平均輝度YBとの比較結果に基づいて、入射状態を判定する。より詳細には、順光/逆光検出部23は、算出値YC(=YB/YA)と閾値TH2との大小関係に基づいて、LCD5に対する入射光線の入射状態が「逆光状態」、「順光状態」のいずれに該当するかを検出(ないし判定)する。
【0082】
そして、入射状態が「順光状態」と判定されるときには「順光処理」(ステップSP19)が行われ、入射状態が「逆光状態」と判定されるときには「逆光処理」(ステップSP20)が行われる。「逆光状態」においては、表示制御部33は、LCD5のバックライトを構成する白色LEDへの供給電流の値を値I2に設定する。これにより、バックライトの輝度L2が達成される。また、「順光状態」においては、表示制御部33は、LCD5のバックライトを構成する白色LEDへの供給電流の値を値I3に設定する。これにより、バックライトの輝度L3が達成される。
【0083】
このサブルーチンにおいてはこのような処理が行われる。その後、このサブルーチンは、適宜のタイミングで繰り返し実行され、上記の表示制御が繰り返し行われる。
【0084】
以上のようにして、デジタルカメラ1は、LCD5に対する入射光線の入射状態が4つの状態のいずれに該当するかを判定し、その判定結果に応じてLCD5における表示輝度を制御することができる。したがって、LCD5に対する入射光線の状態に応じて、LCD5における表示輝度が最適化されるので、LCD5が見やすくなり操作性が向上する。
【0085】
特に、順光状態、逆光状態、拡散光状態の各状態に応じて表示輝度を変更しているので、LCD5に対する主入射光線の入射状態が様々に変化する場合であっても、LCD5における表示輝度を最適化することができる。したがって、デジタルカメラ1を持ち歩き様々な状況で撮影する場合において、LCD5がより見やすくなり操作性が向上する。
【0086】
また、順光状態においては、LCD5の表示輝度が4つの状態のうち最も大きくなっているので、明るい場所でLCD5に光が直接的に差し込むような場合であっても、より見やすい表示を行うことができる。
【0087】
なお、この実施形態においては、ステップSP14における色温度の検出結果を用いて拡散光状態か否かを判定しLCD5の表示輝度制御を行う技術が示されているが、色温度の検出結果は、外光に応じた色制御(ホワイトバランス制御など)にも利用することができる。具体的には、色温度に応じて(たとえば、「蛍光灯」であるのか「曇天」であるのかに応じて)、ホワイトバランス回路13における色成分毎のゲインを変更すればよい。
【0088】
<2.第2実施形態>
第2実施形態においては、LCD5として、反射型液晶ディスプレイを用いる場合について説明する。その他の装置構成については、第1実施形態と同様であり、以下では、相違点を中心に説明する。
【0089】
反射型液晶ディスプレイにおいては、バックライトの代わりにフロントライトが設けられており、このフロントライトからの光と太陽光などの外光とがディスプレイ内の反射板によって反射されてLCD5における表示に用いられる。そして、LCD5の表示面への外光の入射光量が多いほど、LCD5内の反射板での反射光量が多くなり、明るく見やすい表示が行われることになる。
【0090】
ここにおいて、外光の入射光量が多い場合には、反射板で比較的多量の外光が反射される。したがって、外光の入射光量が多い場合には、外光の入射光量が少ない場合に比べてバックライトの光量を削減しても、LCD5において所定程度の明るさを確保することが可能である。また、外光の入射光量が多い場合にも外光の入射光量が少ない場合と同レベルのバックライト光量を付与する場合には、LCD5が必要以上に明るすぎると認識されることにもなる。
【0091】
そこで、表示制御部33は、LCD5の表示面への外光の入射光量が多くなるにつれて、フロントライトの発光輝度を減少させるように制御する。具体的には、電流値I0,I1,I2,I3が、次のような大小関係、すなわち、
I0>I1>I2>I3、
を有するように制御することによって、各発光輝度値L0,L1,L2,L3が、
L0>L1>L2>L3、
となるように制御する。言い換えれば、表示制御部33は、拡散光状態における発光輝度L1が夜間状態における発光輝度L0よりも小さく、かつ、逆光状態における発光輝度L2が拡散光状態における発光輝度L1よりも小さく、かつ、順光状態における発光輝度L3が逆光状態における発光輝度L2よりも小さくなるように、LCD5に対する供給電流を変更してLCD5における発光輝度を制御する。なお、電流値I0,I1,I2,I3および発光輝度値L0,L1,L2,L3は、各状態におけるフロントライトにおける電流値および発光輝度値を表すものとする。
【0092】
具体的には、夜間状態の場合には、他の状態に比べてフロントライトに対して最も大きな電流I0を供給する。夜間状態においては、外光が他の状態よりも少量しかLCD5の表示面に入射しないので、最も大きな電流を供給することによって、LCD5が所定程度以上に明るい(端的に言えば十分に明るい)、と操作者に認識させるようにする。
【0093】
拡散光状態の供給電流I1は、夜間状態の供給電流I0に比べて少なくされ(I0>I1)、拡散光状態におけるフロントライトの輝度が夜間状態よりも減少するように制御される。拡散光状態においては、夜間状態よりも多量の外光がLCD5の表示面に入射しているので、フロントライトの発光輝度を夜間状態と同じ輝度のままにすると、LCD5は明るすぎると認識されることになる。そこで、LCD5が明るくなりすぎないように、その表示輝度を最適化するのである。この場合、拡散光状態においては、フロントライトへの供給電流を夜間状態よりも減らすことができるので、消費電力を低減することもできる。
【0094】
逆光状態の供給電流I2は、拡散光状態の供給電流I1に比べて少なくされ(I1>I2)、逆光状態におけるフロントライトの輝度が拡散光状態よりも減少するように制御される。逆光状態においては、拡散光状態よりも多量の外光がLCD5の表示面に入射しているので、フロントライトの発光輝度を拡散光状態と同じ輝度のままにすると、LCD5は明るすぎると認識されることになる。そこで、LCD5が明るくなりすぎないように、その表示輝度を最適化するのである。この場合、逆光状態においては、フロントライトへの供給電流を拡散光状態よりも減らすことができるので、消費電力を低減することもできる。
【0095】
順光状態の供給電流I3は、逆光状態の供給電流I2に比べて少なくされ(I2>I3)、順光状態におけるフロントライトの輝度が逆光状態よりも減少するように制御される。順光状態においては、逆光状態よりも多量の外光がLCD5の表示面に入射しているので、フロントライトの発光輝度を逆光状態と同じ輝度のままにすると、LCD5は明るすぎると認識されることになる。そこで、LCD5が明るくなりすぎないように、その表示輝度を最適化するのである。この場合、順光状態においては、フロントライトへの供給電流を逆光状態よりも減らすことができるので、消費電力を低減することもできる。
【0096】
以上のように、第2実施形態のデジタルカメラは、LCD5に対する入射光線の入射状態が4つの状態のいずれに該当するかを判定し、その判定結果に応じてLCD5における表示輝度を制御する。すなわち、LCD5に対する入射光線の状態に応じて、LCD5における表示輝度が最適化される。したがって、LCD5を見やすくして操作性を向上させるとともに、消費電力の低減を図ることもできる。
【0097】
特に、順光状態、逆光状態、拡散光状態の各状態に応じて表示輝度を変更しているので、LCD5に対する主入射光線の入射状態が様々に変化する場合であっても、LCD5における表示輝度を最適化することができる。したがって、デジタルカメラ1を持ち歩き様々な状況で撮影する場合において、LCD5がより見やすくなり操作性が向上する。
【0098】
また、順光状態においては、LCD5の表示輝度が4つの状態のうち最も小さくなっているので、LCD5が見やすくなるとともに、LCD5の光源(フロントライト)の発光輝度を低減すること、すなわち消費電力を低減することが可能になる。
【0099】
<3.第3実施形態>
第3実施形態においては、LCD5として、反射透過併用型液晶ディスプレイ(半透過型液晶ディスプレイとも称する)を用いる場合について説明する。
【0100】
その他の装置構成については、第1実施形態と同様であり、以下では、相違点を中心に説明する。
【0101】
反射透過併用型液晶ディスプレイにおいては、フロントライトではなくバックライトが設けられており、このバックライトの光と太陽光などの外光とがLCD5における表示に用いられる。具体的には、バックライトからの光が液晶層を透過し、および/または、液晶層の裏側の反射板によって反射した外光が液晶層を透過することによって、液晶層に描かれた画像が操作者に認識されることになる。
【0102】
ここにおいて、外光の入射光量が多い場合には、反射板で比較的多量の外光が反射される。したがって、外光の入射光量が多い場合には、外光の入射光量が少ない場合に比べてバックライトの光量を削減しても、LCD5において所定程度の明るさを確保することが可能である。また、外光の入射光量が多い場合にも外光の入射光量が少ない場合と同レベルのバックライト光量を付与する場合には、LCD5が必要以上に明るすぎると認識されることもなる。
【0103】
そこで、第2実施形態と同様に、表示制御部33は、LCD5の表示面への外光の入射光量が多くなるにつれて、バックライトの発光輝度を減少させるように制御する。具体的には、第2実施形態と同様に、電流値I0,I1,I2,I3が、次のような大小関係、すなわち、
I0>I1>I2>I3、
を有するように制御することによって、各発光輝度値L0,L1,L2,L3が、
L0>L1>L2>L3、
となるように制御する。
【0104】
この第3実施形態のデジタルカメラによれば、第2実施形態のデジタルカメラと同様の効果を得ることができる。
【0105】
<4.その他>
上記各実施形態においては、色温度によって拡散光状態であるか否かを判定したが、これに限定されない。たとえば、環境光輝度の大小に応じて拡散光状態であるか否かを判定するようにしてもよい。具体的には、ステップSP11(図8)において検出された平均輝度値V1が閾値TH1よりも大きくかつ閾値TH3よりも小さいとき(TH1<V1<TH3)に「拡散光状態」であると判定するようにしてもよい。ただし、閾値TH3は、拡散光状態と逆光状態とを区別するための閾値であり、閾値TH1よりも大きな所定の値である。
【0106】
また、上記各実施形態においては、撮影レンズ2とLCD5とが互いに反対側に(たとえば、デジタルカメラ1の正面側と背面側とに)に設けられている場合を例示したが、これに限定されない。
【0107】
たとえば、撮影レンズを有する部分とLCD5を有する部分とが互いに回転するように両部分を設けておき、撮影レンズ2とLCD5とが同一側に配置されるように回転させた後、撮影レンズ2を介して対面撮影する場合に適用してもよい。この場合、撮影レンズ2と同一側のLCD5にプレビュー用画像を表示させるに際して、プレビュー用画像に基づいてLCD5への主入射光線の入射状態を判定することができる。
【0108】
ただし、このような変形例においては、プレビュー用画像を用いた判定動作において、被写体Bとカメラ1と操作者Pとの位置関係が、上記実施形態におけるものとは異なっている点を考慮する。すなわち、上記実施形態においては、撮影レンズ2から被写体B(図6参照)への向きと、操作者PからLCD5への向きとがほぼ同じ向きであることを前提にしていたが、この変形例においては、撮影レンズから被写体への向きと、操作者からLCDへの向きとがほぼ逆向きになるので、順光および逆光の判定においては、上記実施形態と逆の判定基準が用いられる。具体的には、上記の値YC(=YB/YA)が所定の閾値TH2よりも大きくなるとき(YC>TH2)には、LCD5に対する主入射光線の入射状態は「順光状態」であると判定され、この値YCが所定の閾値TH2よりも小さくなるとき(YC<TH2)には、LCD5に対する主入射光線の入射状態は「逆光状態」であると判定されればよい。
【0109】
さらに、上記実施形態においては、プレビュー用画像に代表される、CCD撮像素子10からの画像信号に基づく画像を用いて、LCD5に対する主入射光線の入射状態を判定する場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、CCD撮像素子10とは別個に設けたセンサ(輝度センサなど)を用いて、LCD5に対する主入射光線の入射状態を判定するようにしても良い。より詳細には、デジタルカメラ1の前面側と背面側とにそれぞれ明るさを検知する輝度センサ(測光センサ)を設けておき、いずれの検出輝度が大きいかに応じてLCD5に対する主入射光線の入射の向きを判定するようにしてもよい。ただし、部品点数削減の観点からは、別個のセンサを設けることなく、上記実施形態のようにして主入射光線の向きを判定することが好ましい。
【0110】
また、上記実施形態においては、「撮影モード」時においてLCD5の表示輝度を調整する場合について説明したが、これに限定されず、「再生モード」時にLCD5の表示輝度を調整するようにしても良い。たとえば、別個に設けた輝度センサの出力値を利用してLCD5に対する主入射光線の入射状態を検出するようにしてもよい。あるいは、CCD撮像素子10からの画像信号に基づいてLCD5に対する主入射光線の入射状態を検出するようにしてもよい。
【0111】
さらに、上記実施形態においては、電子カメラとして、デジタルカメラ1、より詳細にはデジタルスチルカメラについて例示したが、これに限定されず、デジタルムービーカメラなどの電子カメラであってもよい。
【0112】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が含まれている。
【0113】
(1)請求項1に記載の電子カメラにおいて、
光電変換を用いて被写体に関する画像信号を得る撮像手段、
をさらに備え、
前記判定手段は、前記撮像手段による画像信号に基づいて前記入射状態を判定することを特徴とする電子カメラ。
【0114】
この(1)に記載の発明によれば、判定手段は、撮像手段による画像信号に基づいて入射状態を判定するので、入射状態を判定するために別途のセンサを設ける必要が無く、部品点数を削減することが可能である。
【0115】
(2)前記(1)に記載の電子カメラにおいて、
前記判定手段は、前記画像信号に基づく画像の中央領域における平均輝度と前記画像信号に基づく画像の周辺領域における平均輝度との比較結果に基づいて、前記入射状態を判定することを特徴とする電子カメラ。
【0116】
(3)請求項2に記載の電子カメラにおいて、
前記表示制御手段は、前記表示手段に設けられた光源の発光輝度を増減して前記表示輝度を制御することを特徴とする電子カメラ。
【0117】
(4)請求項3に記載の電子カメラにおいて、
前記表示制御手段は、前記表示手段に設けられた光源の発光輝度を増減して前記表示輝度を制御することを特徴とする電子カメラ。
【0118】
この(4)に記載の発明によれば、表示制御手段は、入射状態に応じて光源の発光輝度を増減して表示輝度を制御し、入射状態が順光であると判定された場合には、順光状態以外の所定の状態であると判定された場合よりも表示手段における表示輝度を減少させるので、消費電力を抑制することが可能である。
【0119】
(5)請求項3に記載の電子カメラにおいて、
前記判定手段は、前記色温度が昼光以外のときには、前記入射状態が拡散光状態であると判定することを特徴とする電子カメラ。
【0120】
(6)電子カメラであって、
光電変換を用いて被写体に関する画像信号を得る撮像手段と、
反射型液晶ディスプレイおよび反射透過併用型液晶ディスプレイのいずれかを用いて構成される表示手段と、
前記画像信号に基づいて前記表示手段における入射状態が順光状態であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により順光状態であると判定された場合には、前記順光状態以外の状態であると判定された場合に比べて、前記表示手段における表示輝度を減少させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする電子カメラ。
【0121】
この(6)に記載の発明によれば、反射型液晶ディスプレイおよび反射透過併用型液晶ディスプレイのいずれかを用いて構成される表示手段を備える電子カメラにおいて、表示手段における入射状態が順光状態であるか否かが画像信号に基づいて判定され、順光状態であると判定された場合には、順光状態以外の状態であると判定された場合に比べて表示手段における表示輝度が減少するので、順光状態において、より見やすい表示を行うことが可能である。
【0122】
(7)前記(6)に記載の電子カメラにおいて、
前記表示制御手段は、前記表示手段に設けられた光源の発光輝度を増減して前記表示輝度を制御することを特徴とする電子カメラ。
【0123】
この(7)に記載の発明によれば、表示制御手段は、入射状態に応じて光源の発光輝度を増減して表示輝度を制御し、入射状態が順光であると判定された場合には、順光状態以外の所定の状態であると判定された場合よりも表示手段における表示輝度を減少させるので、消費電力を抑制することが可能である。
【0124】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、表示手段に対する主入射光線の入射状態が入射の向きに応じて分類して判定され、判定された入射状態に応じて表示手段における表示輝度が変更されるので、光の状況に応じて、より見やすい表示を行うことが可能である。
【0125】
また、請求項2に記載の発明によれば、表示手段として透過型液晶ディスプレイを備える電子カメラにおいて、順光状態であると判定された場合には、順光状態以外の所定の状態であると判定された場合よりも表示手段における表示輝度が増大するので、より見やすい表示を行うことができる。
【0126】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、表示手段として反射型液晶ディスプレイおよび反射透過併用型液晶ディスプレイのいずれかを備える電子カメラにおいて、順光状態であると判定された場合には、順光状態以外の所定の状態であると判定された場合よりも表示手段における表示輝度が減少するので、より見やすい表示を行うことができる。
【0127】
また、請求項4に記載の発明によれば、判定手段は、色温度検出手段による検出結果に基づいて、入射状態が、(1)順光状態あるいは逆光状態、および、(2)拡散光状態、のうちのいずれであるかを判定するので、入射状態をより的確に判定することができる。
【0128】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、透過型液晶ディスプレイを用いて構成される表示手段を備える電子カメラにおいて、表示手段における入射状態が順光状態であるか否かが画像信号に基づいて判定され、順光状態であると判定された場合には、順光状態以外の状態であると判定された場合に比べて表示手段における表示輝度が増大するので、順光状態において、より見やすい表示を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】デジタルカメラの外観構成を示す正面図である。
【図2】デジタルカメラの外観構成を示す上面図である。
【図3】デジタルカメラの外観構成を示す背面図である。
【図4】デジタルカメラの内部機能を示すブロック図である。
【図5】全体制御部の一部の機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図6】LCDに対する入射状態について説明する図である。
【図7】各状態におけるバックライトの発光輝度等を示す図である。
【図8】LCDにおける表示輝度の制御動作を示すフローチャートである。
【図9】値Rg,Bgの組合せと光源の種類との関係を示す図である。
【図10】「順光状態」および「逆光状態」の検出について説明する図である。
【符号の説明】
1 デジタルカメラ
2 撮影レンズ
5 液晶ディスプレイ
I0,I1,I2,I3 光源(バックライト等)への供給電流
LB 主入射光線
L0,L1,L2,L3 光源(バックライト等)の発光輝度
PV プレビュー用画像
RA 中央領域
RB 周辺領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子カメラであって、
情報を表示する表示手段と、
前記表示手段に対する主入射光線の入射状態を、前記主入射光線の前記表示手段に対する入射の向きに応じて分類して判定する判定手段と、
前記判定手段により判定された入射状態に応じて、前記表示手段における表示輝度を変更する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
前記表示手段は、透過型液晶ディスプレイであり、
前記表示制御手段は、前記判定手段によって前記入射状態が順光状態であると判定された場合には、順光状態以外の所定の状態であると判定された場合よりも前記表示手段における表示輝度を増大させることを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
前記表示手段は、反射型液晶ディスプレイおよび反射透過併用型液晶ディスプレイのいずれかであり、
前記表示制御手段は、前記判定手段によって前記入射状態が順光状態であると判定された場合には、順光状態以外の所定の状態であると判定された場合よりも前記表示手段における表示輝度を減少させることを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子カメラにおいて、
前記主入射光線の色温度を検出する色温度検出手段、
をさらに備え、
前記判定手段は、前記色温度検出手段による検出結果に基づいて、前記入射状態が、(1)順光状態あるいは逆光状態、および、(2)拡散光状態のうちのいずれであるかを判定することを特徴とする電子カメラ。
【請求項5】
電子カメラであって、
光電変換を用いて被写体に関する画像信号を得る撮像手段と、
透過型液晶ディスプレイを用いて構成される表示手段と、
前記画像信号に基づいて前記表示手段における入射状態が順光状態であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により順光状態であると判定された場合には、前記順光状態以外の所定の状態であると判定された場合に比べて、前記表示手段における表示輝度を増大させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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