説明

電子ミシン

【課題】表示部を大きくせずに、画面切替回数を減らして操作者の負担を減らす。
【解決手段】ミシン本体のミシンモータにより駆動されるミシン主軸を介して針棒を上下運動させる電子ミシン(M)は、複数のイラストデータを記憶するイラストデータ記憶部(15)と、イラストデータ記憶部に記憶されたイラストデータを表示する表示部(4)と、イラストデータに対応する音声データを記憶する音声データ記憶部(20)と、該音声データ記憶部に記憶された音声データを出力する音声出力部(21)とを具備し、イラストデータを表示部に表示しつつ、イラストデータに対応した音声データを音声出力部から出力するようにした。イラストデータがミシンの使用法を説明するためのデータであり、音声データが前記イラストデータに対応する説明文のデータであるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシン本体のミシンモータにより駆動されるミシン主軸を介して針棒を上下運動させる電子ミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
電子ミシンは多数の縫製機能、例えば模様縫い、実用縫いなどの機能を備えている。ところが、電子ミシンの縫製機能が増えるにつれてその操作が複雑になり、使用者は使用説明書をしばしば参照する必要がある。従って、使用者の負担が増えると共に、ミシン操作にかかる時間も長くなることになる。
【0003】
このため、特許文献1においては、ミシンに取付けられた表示部、例えば液晶ディスプレイに、ミシン操作の説明文と、その説明文に関するイラストとを表示している。この場合には、使用者は使用説明書を参照する必要はない。
【0004】
また、近年では、音声データをスピーカから出力する電子ミシンも流通している。例えば特許文献2に開示される電子ミシンは、ミシンの所定箇所に設けられた異常検出器が異常を検出したときに、異常内容を音声により使用者に通知すると共に、異常に対処するために行うべき作業を音声により使用者に通知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2650380号
【特許文献2】特公平1−34638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、表示部はミシンのアームとベッドとの間の柱状部に取付けられており、表示部の寸法は柱状部の寸法に応じて定まる。また、表示部の寸法は電子ミシンのコストにも影響する。このため、ミシンの使用に関するイラストおよび/または使用に関する説明文を一つの表示部に同時に表示するのは限界がある。従って、複雑な操作を説明するためには、複数のイラストおよび/または説明文を複数回に亙って表示部に表示する必要があり、使用者は表示部の画面切替操作を複数回、行うことになって、操作時間がかなり長くなる。画面切替操作を減らすために、イラストおよび/または文字を小さくすることも考えられるが、使用者の目の負担を抑えるために、イラストおよび/または文字を小さくするのは限界がある。
【0007】
また、特許文献2のように異常発生時に音声を出力するミシンにおいて、使用者が一旦、ミシンの操作に慣れてしまうと、異常を通知するための音声データは不要になる。また、異常や操作ミスを音声により何度も指摘されると、ストレスを感じる使用者もいる。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、表示部の寸法を大きくすることなしに、画面切替回数を減らして操作者の負担を減らすことのできる電子ミシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために1番目の発明によれば、ミシン本体のミシンモータにより駆動されるミシン主軸を介して針棒を上下運動させる電子ミシンにおいて、複数のイラストデータを記憶するイラストデータ記憶部と、該イラストデータ記憶部に記憶された前記イラストデータを表示する表示部と、前記イラストデータに対応する音声データを記憶する音声データ記憶部と、該音声データ記憶部に記憶された音声データを出力する音声出力部とを具備し、前記イラストデータを前記表示部に表示しつつ、前記イラストデータに対応した音声データを前記音声出力部から出力するようにした、電子ミシンが提供される。
【0010】
2番目の発明によれば、1番目の発明において、前記イラストデータが前記ミシンの使用法を説明するためのデータであり、前記音声データが前記イラストデータに対応する説明文のデータである。
【0011】
3番目の発明によれば、1番目または2番目の発明において、さらに、前記イラストデータに対応する音声データ及び異常を通知するための音声データを出力しないように切替える切替部を具備する。
【発明の効果】
【0012】
1番目および2番目の発明においては、文字情報をほとんど含まないイラストデータのみを表示部に表示し、表示されたイラストデータに対応する説明文は音声として出力している。このため、表示部にはイラストデータのみを表示すれば足りるので、表示部を大きくする必要はなく、また、イラストデータを小さく表示する必要もない。さらに、説明文を音声として出力しているので、画面切替操作を最小限にできる。従って、使用者の負担を減らすことが可能となる。
【0013】
3番目の発明においては、使用者の要求に応じて、音声データ出力しないようにできるので、使用者のストレスをさらに減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に基づく電子ミシンの正面図である。
【図2】図1に示される電子ミシンの制御部の機能ブロック図である。
【図3】(a)〜(n)表示部に表示されるイラストデータを示す図である。
【図4】電子ミシンの動作を示すフローチャートである。
【図5】切替部による切替動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図5による切替動作が行われた後における音声出力部の動作を示すフローチャートである。
【図7】(a)図1に示される操作パネルの部分拡大図である。(b)切替部による切替内容を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同様の部材には同様の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
図1は本発明に基づく電子ミシンの正面図である。図1に示されるように、電子ミシンMは、ベッド部Aと、ベッド部Aの右端部から立設された脚柱部Bと、脚柱部Bの上端からベッド部Aに対向するように左方へ延びるアーム部Cとを有している。さらに、アーム部Cの下端には、縫針7が装着された針棒9が昇降可能に取付けられている。
【0016】
針棒9の右方には、押さえ上げレバー6が設けられている。使用者が押さえ上げレバー6を上方に上げると、押さえ棒8がこれに連動して上昇し、押さえ棒8に取付けられた押さえ金10も同様に上昇する。一方、図1に示されるように押さえ上げレバー6を下げると、押さえ金10も下降して縫製物(図示しない)を押圧するようになる。
【0017】
図1に示されるように、アーム部Cには、電子ミシンMの起動および停止を行うスタートストップボタン11、および押圧されると返し縫いを行う返し縫いボタン19が設けられている。さらに、アーム部Cには、横方向にスライドさせて電子ミシンMの縫製スピードを調節するスピード調節ツマミ13が設けられている。
【0018】
さらに、図1に示されるように、電子ミシンMの前面は前カバー1により被覆されている。そして、脚柱部Bに対応する前カバー1の一部分には、操作パネル2が設けられている。この操作パネル2の下方部分にはスピーカ用穴部3が形成されている。図1には示さないものの、操作パネル2の下方部分の背面には、後述するスピーカ21が設けられている。スピーカ21から出力される音声は、スピーカ用穴部3を通じて電子ミシンMの外部に出力される。
【0019】
図7(a)は図1に示される操作パネル2の部分拡大図である。図7(a)に示されるように、操作パネル2には、後述するイラストデータおよび他のデータを表示する液晶表示装置4が設けられている。
【0020】
液晶表示装置4の下方には、各種のボタンが配置された表示板12が設けられている。表示板12のボタンは、電子ミシンMの各種の操作を行うのに使用される。例えば表示板12のボタン12b、12cは、メニュー画面で表示される電子ミシンの複数の操作から一つの操作を選択するのに使用される。表示板12の一つのボタン12aは、使用者が電子ミシンMの操作音およびエラー音声の切替を行う切替部としての役目を果たす。
【0021】
なお、透明のタッチパネル5が液晶表示装置4および表示板12の上面に配置されている。従って、液晶表示装置4および表示板12の所望部位に対応するタッチパネル5が押圧されると、その部位に応じた操作が行われる。
【0022】
図2は図1に示される電子ミシンの制御部の機能ブロック図である。この制御部は電子ミシンM内部に組込まれているものとする。制御部は、模様選択するときに使用される模様データ、ミシンの使用法を説明するときに使用されるイラストデータおよび各種のプログラムを記憶するROM15を含んでいる。CPU14は、ROM15に記憶された各種のプログラムを実行し、RAM16はCPU14の処理時にデータを一時的に記憶することなどに使用される。これらCPU14、ROM15およびRAM16は入出力装置17により互いに接続されるものとする。
【0023】
液晶表示装置4およびタッチパネル5は入出力装置17に接続されている。さらに、入出力装置17には、後述する音声データを含む音声合成LSI20が接続されている。この音声合成LSI20の音声データはスピーカ21を通じて出力される。
【0024】
表1は、音声合成LSI20に記憶された音声データを示すテーブルである。入出力装置17から音声合成LSI20に対してフレーズアドレスおよび再生コマンドが出力されると、フレーズアドレスに対応した音声データ(フレーズ内容)がスピーカ21から出力される。
【表1】

表1に示されるように、音声合成LSI20には、複数の音声データ(フレーズ内容)がフレーズアドレスに対応して記憶されている。また、これら音声データは、後述するように一つまたは複数のイラストデータに適宜、関連付けられているものとする。表1に示される音声データは、例えば下糸をセットする操作を説明するための一群の説明文である。また、表1のフレーズアドレスA21、A24に示されるように、音声合成LSI20には、タッチパネル5を押圧したときに出力されるキー入力音1および使用者が誤操作したときに出力される注意音1も記憶されている。
【0025】
再び図2を参照すると、入出力装置17には、さらに、スタートストップボタン11と、返し縫いボタン19と、スピード調節ツマミ13と、押さえ上げレバー6が上方位置または下方位置にあるときに所定の信号を出力する押さえ上げスイッチ23と、ミシン主軸(図示しない)の移動を検出するタイミングセンサ24とが接続されている。
【0026】
さらに、電子ミシンMの主軸(図示しない)を回転して針棒9を駆動するメインモータ26は、メインモータドライバ25を介して入出力装置17に接続されている。同様に、送り歯(図示しない)による縫製物の送り量を制御する送りパルスモータ28は、送りパルスモータドライバ27を介して入出力装置17に接続されている。さらに、針棒9を左右に移動させる針振れパルスモータ30は、針振れパルスモータドライバ29を介して入出力装置17に接続されている。さらに、図2に示されるように、これらモータ26、28、30は、縫い目模様を形成するための模様形成装置31に接続されている。
【0027】
図3(a)〜図3(n)は、ROM15に記憶されていて液晶表示装置4に表示されるイラストデータP1〜P14を示す図である。これらイラストデータP1〜P14は電子ミシンMに下糸をセットする操作を説明するときに使用される。図3(a)〜図3(n)より分かるように、イラストデータP1〜P14は実質的にイラストのみに関するデータであり、文字情報をほとんど含んでいない。
【0028】
さらに、図4は、「下糸のセット」を選択したときの電子ミシンの動作を示すフローチャートである。以下、図3(a)〜図3(n)および図4を参照しつつ、下糸のセットを選択したときの電子ミシンMの動作を説明する。
【0029】
はじめに、使用者が図示しないメニュー画面から「下糸のセット」の操作を選択する。これにより、図4のステップS1において、ROM15に記憶されたイラストデータP1(図3(a)を参照されたい)を液晶表示装置4に表示する。そして、ステップS2においては、イラストデータP1に関連づけられたフレーズアドレスA11とその再生コマンドを音声合成LSI20に出力する。これにより、スピーカ21から「ボビン解放レバーを、右に押して、カバーを外します」なる音声が出力される。
【0030】
ステップS3で所定時間、例えば2秒待機する。この所定時間は、一つの音声データを出力するのに十分な時間である。そして、ステップS4にて、イラストデータP2(図3(b)を参照されたい)を液晶表示装置4に出力する。その後、ステップS5にて2秒間待機した後、ステップS6においてイラストデータP3(図3(c)を参照されたい)を液晶表示装置4に出力する。
【0031】
図3(c)を参照して分かるように、イラストデータP3には「次」という領域が含まれている。前述したように液晶表示装置4上にはタッチパネル5が配置されている。使用者が、イラストデータP3の「次」に対応するタッチパネル5の一部分を押圧すると、ステップS8に進む。
【0032】
ステップS8においては、イラストデータP4(図3(d)を参照されたい)が液晶表示装置4上に表示されるようになる。そして、ステップS9においては、イラストデータP4に関連づけられたフレーズアドレスA12とその再生コマンドを音声合成LSI20に出力する。これにより、スピーカ21から「ボビンを、左回りになるようにして、ボビンケースに入れます。」なる音声が出力される。
【0033】
そして、ステップS10で2秒間待機した後、イラストデータP5(図3(e)を参照されたい)を液晶表示装置4に表示する。そして、使用者がイラストデータP5の「次」に対応するタッチパネル5の一部分を選択すると、ステップS13に進む。
【0034】
ステップS13においては、イラストデータP6(図3(f)を参照されたい)が液晶表示装置4上に表示されるようになる。そして、ステップS14においては、イラストデータP6に関連づけられたフレーズアドレスA13とその再生コマンドを音声合成LSI20に出力する。これにより、スピーカ21から「右手で、ボビンをかるく押さえ、左手で、糸を案内にひっかけます。」なる音声が出力される。
【0035】
そして、ステップS15で2秒間待機した後、イラストデータP7(図3(g)を参照されたい)を液晶表示装置4に表示する。そして、使用者がイラストデータP7の「次」に対応するタッチパネル5の一部分を押圧すると、ステップS18に進む。
【0036】
ステップS18においては、イラストデータP8(図3(h)を参照されたい)が液晶表示装置4上に表示されるようになる。そして、ステップS19においては、イラストデータP8に関連づけられたフレーズアドレスA14とその再生コマンドを音声合成LSI20に出力する。これにより、スピーカ21から「みぞに沿って、上から下に通し、右に引いて糸を切ります。」なる音声が出力される。
【0037】
そして、ステップS20で2秒間待機した後、イラストデータP9(図3(i)を参照されたい)を液晶表示装置4に表示する。ステップS22で2秒間待機した後、イラストデータP10(図3(j)を参照されたい)を液晶表示装置4に表示する。さらに、2秒間待機した後、イラストデータP11(図3(k)を参照されたい)を液晶表示装置4に表示する。そして、使用者がイラストデータP11の「次」に対応するタッチパネル5の一部分を押圧すると、ステップS27に進む。
【0038】
ステップS27においては、イラストデータP12(図3(l)を参照されたい)が液晶表示装置4上に表示されるようになる。そして、ステップS28においては、イラストデータP12に関連づけられたフレーズアドレスA15とその再生コマンドを音声合成LSI20に出力する。これにより、スピーカ21から「ボビンカバーの左側のツメを、みぞに差し込み、右側を軽く押します。」なる音声が出力される。
【0039】
そして、ステップS29で2秒間待機した後、イラストデータP13(図3(m)を参照されたい)を液晶表示装置4に表示する。ステップS31で2秒間待機した後、イラストデータP14(図3(n)を参照されたい)を液晶表示装置4に表示する。さらに、ステップS33で2秒間待機して処理を終了する。
【0040】
このような一連のステップS1〜ステップS33において、使用者は、液晶表示装置4に表示されるイラストデータP1〜P14とスピーカ21から出力されるフレーズアドレスA11〜A15に対応した音声データとに従って、下糸を電子ミシンMに容易にセットすることができる。
【0041】
本発明においては、下糸のセットを使用者に説明する際に、文字情報をほとんど含まないイラストデータP1〜P14のみを液晶表示装置4に表示すると共に、表示されたイラストデータP1〜P14に対応する説明文をフレーズアドレスA11〜A15に対応した音声データとして出力している。
【0042】
つまり、本発明においては、液晶表示装置4にはイラストデータP1〜P14のみを順次表示すれば足りるので、液晶表示装置4を大きくする必要はなく、また、イラストデータP1〜P14を小さくして表示する必要もない。さらに、説明文が音声データとして出力されるので、説明文を液晶表示装置4に表示した場合と比較して、液晶表示装置4の画面切替操作を最小限にすることができる。従って、使用者の負担を大幅に減らせるのが分かるであろう。
【0043】
ところで、図7(b)は切替部による切替内容を説明するための切替部を示す図である。図7(a)に示されるボタン12aを押圧すると、図7(b)に示される画面が液晶表示装置4に表示されるものとする。また、図5は切替部による切替動作を説明するためのフローチャートである。以下、図5および図7(b)を参照しつつ、切替部による切替動作について説明する。
【0044】
はじめに、図5のステップS34において、使用者が図7(b)に示されるように操作音の「OFF」部分を押圧したか否かが判定され、押圧されている場合には、RAM16の「sousaon」に「0」を設定して処理を終了する。この場合には、フレーズアドレスA21に対応した音声データ(キー入力音)は出力されない。
【0045】
ステップS34において、操作音の「OFF」部分を押圧されていないと判定された場合には、ステップS36に進み、使用者が操作音の「ON」部分を押圧したか否かが判定される。押圧されている場合には、RAM16の「sousaon」に「1」を設定する。この場合には、下糸のセットを説明するときに、フレーズアドレスA21に対応した音声データ(キー入力音)が出力されるようになる。
【0046】
さらに、ステップS36において操作音の「ON」部分を押圧されていない場合には、ステップS38に進む。ステップS38において、使用者がエラー音声の「OFF」部分を押圧したか否かが判定され、押圧されている場合には、RAM16の「onnsei」に「0」を設定する。この場合には、例えば下糸のセットを説明するときに、フレーズアドレスA11〜A15に対応した音声データはいずれも出力されず、また使用者が誤操作、例えば押さえ金10を下げる操作を忘れた場合であっても、フレーズアドレスA01に対応した音声データ「押さえを、下げてください」も出力されない。
【0047】
さらにステップS38においてエラー音声の「OFF」部分を押圧されていないと判定された場合には、ステップS40に進む。ステップS40において使用者がエラー音声の「ON」部分を押圧したか否かが判定され、押圧されている場合には、RAM16の「onnsei」に「1」を設定する。この場合には、例えば下糸のセットを説明するときに、フレーズアドレスA11〜A15に対応した音声データが前述したように出力され、また使用者が誤操作すると、その誤操作内容に応じたフレーズアドレスA01に対応した音声データが出力されるようになる。
【0048】
さらに、図6は図5による切替動作が行われた後における音声出力部の動作を示すフローチャートである。図6のステップS42において、スタートストップボタン11が押圧されているか否かが判定され、押圧された場合には、ステップS43に進む。
【0049】
ステップS43においては、押さえ上げスイッチ23が押圧されているかが判定される。押さえ上げスイッチ23が押圧されていないと判定された場合には、ステップS44に進む。ステップS44においては、RAM16の「sousaon」に「1」が設定されているかを判定し、設定されている場合にはステップS45に進み、「1」が設定されていない場合にはステップS50に進む。ステップS45においては、フレーズアドレスA21とその再生コマンドを音声合成LSI20に出力する。これにより、スピーカ21から「キー入力音1」が出力され、ステップS50においてメインモータ26を駆動させる。
【0050】
これに対し、押さえ上げスイッチ23が押圧されていると判定された場合には、ステップS46に進み、RAM16の「sousaon」に「1」が設定されているか否かが判定される。そして、「sousaon」に「1」が設定されている場合には、フレーズアドレスA24とその再生コマンドを音声合成LSI20に出力する。これにより、スピーカ21から「注意音1」が出力される。
【0051】
RAM16の「sousaon」に「1」が設定されていない場合には、ステップS48に進む。ステップS48においては、RAM16の「onnsei」に「1」が設定されているか否かが判定される。そして、「onnsei」に「1」が設定されている場合には、ステップS49において、フレーズアドレスA01とその再生コマンドを音声合成LSI20に出力する。これにより、スピーカ21から「押さえを下げてください」なる音声が出力される。
【0052】
このように、本発明においては、使用者の要求に応じて、操作音のON/OFF切替およびエラー音声のON/OFF切替を行うことができる。通常、使用者が電子ミシンMの操作に慣れた場合には、使用者は操作音および/またはエラー音声を必要としない。本発明では、使用者の要求に応じて、音声データを出力しないように切替ることができ、従って、使用者のストレスをさらに減らすことが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
1 前カバー
2 操作パネル
3 スピーカ用穴部
4 液晶表示装置(表示部)
5 タッチパネル
6 押さえ上げレバー
7 縫針
8 押さえ棒
9 針棒
10 押さえ金
12 表示板
12a ボタン(切替部)
13 スピード調節ツマミ
14 CPU
15 ROM(イラストデータ記憶部)
16 RAM
17 入出力装置
19 返し縫いボタン
20 音声合成LSI(音声データ記憶部)
21 スピーカ(音声出力部)
23 押さえ上げスイッチ
26 メインモータ
28 送りパルスモータ
30 針振れパルスモータ
31 模様形成装置
A ベッド
B 脚柱部
C アーム部
M 電子ミシン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシン本体のミシンモータにより駆動されるミシン主軸を介して針棒を上下運動させる電子ミシンにおいて、
複数のイラストデータを記憶するイラストデータ記憶部と、
該イラストデータ記憶部に記憶された前記イラストデータを表示する表示部と、
前記イラストデータに対応する音声データを記憶する音声データ記憶部と、
該音声データ記憶部に記憶された音声データを出力する音声出力部とを具備し、
前記イラストデータを前記表示部に表示しつつ、前記イラストデータに対応した音声データを前記音声出力部から出力するようにした、電子ミシン。
【請求項2】
前記イラストデータが前記ミシンの使用法を説明するためのデータであり、前記音声データが前記イラストデータに対応する説明文のデータである、請求項1に記載の電子ミシン。
【請求項3】
さらに、前記イラストデータに対応する音声データを出力しないように切替える切替部を具備する、請求項1または2に記載の電子ミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−179088(P2012−179088A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42256(P2011−42256)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(391003819)ハッピー工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】