説明

電子写真用現像剤および画像形成方法

【課題】 少量の添加剤でも流動性がよく、実質的に感光体汚染、フィルミングが少なく、定着性のよい二成分現像剤を提供すること。さらに、高速大量複写・長期使用においても現像剤の劣化が少なく、感光体摩耗が少なく、またクリーニング不良やフィルミングを防止することができる画像形成方法を提供すること。
【解決手段】 転写後の潜像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング手段を有する画像形成方法において、該二成分現像剤は磁性キャリアとトナーを有し、該キャリアの重量平均粒径は35〜100μmであり、該トナーは5μm以下のトナー粒子を1〜15個数%含有し、重量平均粒径の2倍径以上のトナー粒子を5重量%以下含有し、累積個数分布が25%と75%になる個数平均粒子径D25とD75の関係が0.60≦D25/D75≦0.85であり、重量平均粒径が6.0〜11.5μmであることを特徴とする画像形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真や静電記録の分野における画像形成技術に関する。特に、潜像担持体としてOPCベルト感光体、クリーニング手段としてブラシクリーニング方式を用いた高速画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法は、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙などに粉像を転写した後、加熱あるいは溶剤蒸気などにより定着し、コピーを得るものである。従来から、特許文献1(特開昭61−147261号公報)などに開示されているように、静電荷像をトナーを用いて現像する方法には大別して、トナーとキャリアとが混合されてなるいわゆる二成分系現像剤を用いる方法と、キャリアと混合されずにトナー単独で用いられる一成分系現像剤を用いる方法とがある。
【0003】
このうち二成分系現像剤を用いる方法は、トナーとキャリアとを撹拌摩擦することにより、各々を互いに異なる極性に帯電せしめ、この帯電したトナーにより反対極性を有する静電荷像が可視化(現像)されるものであり、トナーとキャリアの種類により、鉄粉キャリアを用いるマグネットブラシ法、ビーズキャリアを用いるカスケード法、ファーブラシ法等がある。これらの各種の現像方法に適用されるトナーとしては、天然樹脂あるいは合成樹脂からなる結着樹脂に、カーボンブラック等の着色剤を分散させた微粉末が用いられている。例えば、ポリスチレン等の結着樹脂中に、着色剤を分散させたものを1〜30μm程度に微粉砕した粒子がトナーとして用いられている。また、これらの成分にさらにマグネタイト等の磁性材料を含有せしめたものは磁性トナーとして用いられる。
【0004】
複写機、プリンターの分野では市場の要求から、より高速化、高画質化はもちろんのこと、加えて小型化、さらには高耐久性が強く望まれている。そのような背景から、トナー、感光体、帯電付与部材の開発が行なわれている。
【0005】
静電荷現像方式において、転写後の未転写トナーを潜像担持体から除去するクリーニング手段は、ブレードやファーブラシを直接潜像担持体に接触させて行なうのが一般的であり、このとき、潜像担持体表面の電荷輸送層CTLはクリーニング部材や現像部材と直接接触するため摩耗を受けることになる。特に高速機では非常に大量の複写、プリントに耐えうる感光体の耐摩耗性が要求される。このような理由から高速機については、感光体表面の有効利用面積を大きくとることができる可撓性を有するベルト状のOPC感光体と、感光体に対して比較的ソフトなクリーニングを行なうことのできるブラシクリーニングの組み合わせが主流となっている。しかしながら、こうした組み合わせでも百万枚を超えるような大量複写に対しては充分ではなく、より高耐久が望まれている。
【0006】
また、近年では、複写画像のより高精細化・高解像化が強く望まれている。しかしながら、従来の現像剤は長期間・多量枚数の複写、プリントにおいて、トナー粒子の選択的な現像により現像剤中でトナー粒子の粒度分布が変化し、この結果画像の解像度が低下する問題がある。一方、こうした高精細・高解像度の画像を得るために現像方式においては、特許文献2(特開平1−112253号公報)、特許文献3(特開平2−284158号公報)、特許文献4(特開平7−295283号公報)のように平均粒径が小さく、かつ5μm以下のトナー粒子含有量およびその分布を規定した現像剤が提案されている。
【0007】
ここでは、5μm以下のトナー粒子は高精細・高解像度の画像を形成するための必須成分であり、この粒径のトナーが感光体上の潜像の現像時に円滑に供給される場合に潜像に忠実であり、潜像からはみ出すことなく再現性に優れた画像が得られるとしている。また潜像周囲のエッジ部の電解強度が中央部よりも高く、そのため潜像内部がエッジ部よりもトナー粒子の付着量が少なくなり、画像が薄くなる傾向が5μm以下のトナー粒子では顕著になることに対し、5μm以上の中間粒径のトナー粒子の個数%を規定することで、この問題を解決できるとしている。
【0008】
しかしながら、小粒径のトナーほど高精細・高解像度の画像を形成するのに有利ではあるが、代表例とて第1、2図に示すように、5μm以下のトナー粒子を17個数%含有する場合、このトナーの重量分布では5μm以下のトナー粒子は3重量%が存在するだけであり、この程度の量では5μm以下の小粒径のトナーが潜像上の周囲部分に、5μm以上の中間粒径のトナーが潜像の中央部に選択的に乗るということは考えにくい。一方、第3、4図に代表例として示すように、5μm以下のトナー粒子を60個数%と多量に含有する場合では、特に低温環境下でトナー粒子がチャージアップと呼ばれる過剰帯電が生じ易くなり、このチャージアップしたトナーや微粉が現像剤キャリア表面や感光体表面に強固に付着し、その結果画像濃度の低下やかぶりの発生、感光体クリーニング不良や感光体上へのフィルミングの発生といった、好ましくない問題を生じさせる。
【0009】
特許文献5(特開平4−1773号公報)では、この問題を解決するため12.7〜16.0μmのトナー粒子を0.1〜5.0重量%含有させることで、流動性が向上するとしているが、5μm以下のトナー粒子を1〜15個数%にしたものより劣ることは確実である。
【0010】
一方、流動性を向上する方法として添加剤量を増加することが考えられるが、トナー粒子表面の添加剤の存在状態が同じときに流動性が同程度になると考えられるため、そのためには、5μm以下が60個数%の場合は5μm以下が17個数%のトナーに比べ、1.5〜2倍量の添加剤を加えなければならないことになる。このように多量の添加剤を加えた場合、添加剤による感光体汚染やフィルミング、定着性の悪化は避けられないことは明らかである。
【0011】
5μm以下のトナー粒子の数を少なく規定したものとしては特許文献6(特開平4−124682号公報)、特許文献7(特開平10−91000号公報)により、一成分トナーについてその効果が示されているが、画像の品質を決定付ける大部分のトナー粒子が存在する範囲の粒度分布については記載されておらず、高解像の画像を得るには足らなかった。
【0012】
【特許文献1】特開昭61−147261号公報
【特許文献2】特開平1−112253号公報
【特許文献3】特開平2−284158号公報
【特許文献4】特開平7−295283号公報
【特許文献5】特開平4−1773号公報
【特許文献6】特開平4−124682号公報
【特許文献7】特開平10−91000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、少量の添加剤でも流動性がよく、実質的に感光体汚染、フィルミングが少なく、定着性のよい二成分現像剤を提供することにある。さらに、本発明の目的は、高速大量複写・長期使用においても現像剤の劣化が少なく、感光体摩耗が少なく、またクリーニング不良やフィルミングを防止することができる画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は、本発明の(1)「少なくとも結着樹脂と着色剤とからなるトナーであって、5μm以下のトナー粒子を1〜15個数%含有し、重量平均粒径の2倍径以上のトナー粒子を5重量%以下含有し、累積個数分布が25%と75%になる個数平均粒子径D25とD75の関係が0.60≦D25/D75≦0.85であり、重量平均粒径が6.0〜11.5μmであることを特徴とするトナー」、(2)「5μm以下のトナー粒子を1〜12個数%含有し、重量平均粒径の2倍径以上のトナー粒子を3重量%以下含有し、累積個数分布が25%と75%になる個数平均粒子径D25とD75の関係が0.70≦D25/D75≦0.85であり、重量平均粒径が6.0〜9.5μmであることを特徴とするトナー」、(3)「該トナーが二成分トナーであることを特徴とする前記第(1)又は(2)項に記載のトナー」、(4)「該トナーが非磁性一成分トナーであることを特徴とする前記第(1)又は(2)項に記載のトナー」、(5)「該トナーが磁性トナーであることを特徴とする前記第(1)又は(2)項に記載のトナー」、(6)「該結着樹脂がポリオール樹脂であることを特徴とする前記第(1)乃至(5)項の何れかに記載のトナー」、(7)「該結着樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする前記第(1)乃至(5)項の何れかに記載のトナー」によって達成される。
【0015】
また、上記目的は、本発明の(8)「前記第(3)項記載のトナーと平均粒径が35〜100μmである磁性キャリアとを用いたことを特徴とする二成分現像剤」、(9)「該磁性キャリアの平均粒径は45〜75μmであることを特徴とする前記第(8)項記載の二成分現像剤」、(10)「潜像担持体としてOPCベルト感光体が用いられ、クリーニング手段として回転するロール状トナーテスターバー用ブラシを用いたクリーニング方式が用いられる電子写真のための前記第(8)又は(9)項に記載の現像剤」によって達成される。
【0016】
また上記目的は、本発明の(11)「前記第(1)乃至(7)項の何れかに記載のトナーを用いたことを特徴とする画像形成方法」、(12)「転写後の潜像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング手段を有する画像形成方法において、該二成分現像剤は磁性キャリアとトナーを有し、該キャリアの重量平均粒径は35〜100μmであり、該トナーは5μm以下のトナー粒子を1〜15個数%含有し、重量平均粒径の2倍径以上のトナー粒子を5重量%以下含有し、累積個数分布が25%と75%になる個数平均粒子径D25とD75の関係が0.60≦D25/D75≦0.85であり、重量平均粒径が6.0〜11.5μmであることを特徴とする画像形成方法」、(13)「転写後の潜像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング手段を有する画像形成方法において、該二成分現像剤は磁性キャリアとトナーを有し、該キャリアの重量平均粒径は45〜75μmであり、該トナーは5μm以下のトナー粒子を1〜12個数%含有し、重量平均粒径の2倍径以上のトナー粒子を3重量%以下含有し、累積個数分布が25%と75%になる個数平均粒子径D25とD75の関係が0.70≦D25/D75≦0.85であり、重量平均粒径が6.0〜9.5μmであることを特徴とする画像形成方法」、(14)「潜像担持体がOPCベルト感光体であり、クリーニング手段が回転するロール状トナーテスターバー用ブラシを用いたブラシクリーニング方式である前記第(11)乃至(13)項の何れかに記載の画像形成方法」によって達成される。
【0017】
また上記目的は、本発明の(15)「前記第(1)乃至(7)項の何れかに記載のトナーを用いたことを特徴とする画像形成装置」、(16)「前記第(1)乃至(7)項の何れかに記載のトナーを充填したことを特徴とするトナーカートリッジ」によって達成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、少量の添加剤でも流動性がよく、実質的に感光体汚染、フィルミングが少なく、定着性のよい、高画像濃度・高解像・高精細複写画像を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
上記の粒度分布を有し、疎水化処理された無機微粉体を所定量含有するトナーは、少量の無機微粉体の添加でも流動性がよく、感光体汚染やフィルミングが少なく、連続多量枚数の複写・プリントを続けた場合でも高解像・高精細な画像を維持し、再生用紙の使用に対してもクリーニング不良やフィルミング等の問題が生ずることなくきわめて安定した画像を形成できるものである。
【0020】
本発明に係るトナーにおいてこのような効果が得られる理由は必ずしも明確ではないが、以下のように推定される。
即ち、本発明のトナーにおいては、5μm以下の粒径のトナー粒子が1〜15個数%であることが一つの特徴である。トナーの平均粒径が小さくなると高精細・高解像度の画像を形成するのに有利にはなるが、5μm以下のトナー粒子は、帯電量コントロールが困難であったり、トナーの流動性を損ない、キャリア汚染の原因となる成分、またクリーニング不良やフィルミングの問題の原因となる成分、さらにはトナー飛散して画像形成装置内部を汚す成分となり得る。さらに流動性を改良するために無機酸化物を添加する場合、粒径が小さいほどトナー表面積が増加するため、トナー表面上の無機酸化物の存在率を同じにするためには、多量の無機酸化物を添加しなければならず、これがさらに、感光体汚染やフィルミング、定着性の悪化といった問題の原因となっていることが明らかとなった。すなわち、5μm以下のトナー粒子を多くすることは高解像度にはよい影響を示すものの、現像剤として長期に使用することを考えた場合、前記問題点を解決できず、満足できるものとはなり得ない。それよりもむしろ5μm以下のトナー粒子を1〜15個数%にすることで、少ない流動性向上剤でトナーとしての流動性が確保でき、実質的に感光体汚染、フィルミングが少なく、定着性のよいトナーが得られるものである。しかしながら、生産性を考慮した場合、重量平均粒径が6.0〜11.5μmの範囲で5μm以下のトナー粒子を0%にすることは難しく、実質的には1個数%以上、さらに好ましくは3個数%以上が好ましい。
【0021】
また本発明に係るトナーにおいては、篩下の累積個数分布が25%と75%になる個数平均粒子径D25とD75の関係が0.60≦D25/D75≦0.85であることが一つの特徴である。D25/D75は1に近いほど累積個数分布が25%と75%の範囲のトナー粒子の粒度分布がシャープであることを示している。実質的に画像の大部分を形成するトナーの粒度分布がシャープであるということは、トナー粒子一つ一つの特性も等しいものとなる。結果現像部における一つ一つのトナーの挙動も同じになるため、選択的なトナーの消費や、帯電量の異なるトナーが少なくなり、高精細、高解像度の画像を安定して形成できるものである。
【0022】
また、重量平均粒径の2倍径以上のトナー粒子は5重量%以下にし、できるだけ少ないほうが好ましい。
以上のトナーは二成分トナー、一成分トナー、非磁性トナーのいずれのトナーであっても、その効果を期待できるものである。
さらに、本発明のトナーを二成分トナーとして使用する場合は、平均粒径が35〜100μmの磁性キャリアと組み合わせることで、トナーの帯電量をより均一にすることができる。
本発明の現像剤は、従来の問題点を解決し、最近の高速画像形成装置における高画質化および低温定着、感光体の高耐久化への厳しい要求に耐えることを可能としたものである。
【0023】
本発明の構成についてさらに詳しく説明する。
5μm以下のトナー粒子が全粒子数の1〜15個数%であることがよく、好ましくは1〜12個数%であることがよく、さらに好ましくは3〜12個数%がよい。5μm以下のトナー粒子が15個数%以上であると、相対的に平均粒径が小さくなる分、高解像には有利にはなるが、トナーの流動性の悪化、クリーニング不良、フィルミングといった問題が発生する。しかしながら、0%にすることは難しく、実質的には1個数%以上、さらに生産性を考慮した場合は3個数%以上が好ましい。
【0024】
また、篩下の累積個数分布が25%と75%になる個数平均粒子径D25とD75の関係が0.60≦D25/D75≦0.85であることがよく、好ましくは、0.70≦D25/D75≦0.85がよい。D25/D75≦0.60では粒度分布がブロードになるため、トナー粒子一つ一つの挙動が均一でなくなり、選択的なトナーの消費や、帯電量の異なるトナーが画像を悪化する原因となる。また、D25/D75≧0.85ではシャープな粒度分布となり高解像度の画像形成には有利にはなるが、従来の乾式粉砕分級による製造方法では生産性が極端に低下するため、実質的ではない。
【0025】
また、重量平均粒径の2倍径以上のトナー粒子は5重量%以下であることが望ましく、さらに好ましくは3重量%以下である。5重量%を超えると細線再現性が劣る傾向にある。
【0026】
またトナーの重量平均粒径は6.0〜11.5μmであり、さらに好ましくは6.0〜9.5μmである。重量平均粒径6.0μm未満では長期間の使用でのトナー飛散による機内の汚れ、低湿環境下での画像濃度低下、感光体クリーニング不良等という問題が生じやすい。また重量平均粒径が11.5μmを超える場合では100μm以下の微小スポットの解像度が充分でなく非画像部への飛び散りも多く画像品位が劣る傾向となる。
【0027】
さらに、磁性キャリアの平均粒径は35〜100μmであり、さらに好ましくは45〜75μmである。磁性キャリアの平均粒径がこの範囲にあると、本発明のトナーと組み合わせることにより、現像機内部のトナー濃度が2〜10重量%の範囲内において、トナーの帯電量をより均一にすることができる。35μm以下ではキャリア粒子の感光体上への付着等が生じやすく、さらにトナーとの撹拌効率が悪くなりトナーの均一な帯電量が得られにくくなる。また100μmを超える場合では本発明トナーに対する帯電付与が充分でなくなるために、トナーの均一な帯電量が得られにくくなる。
【0028】
キャリアの平均粒径は、通常の篩分けによる方法や、光学顕微鏡から得られる画像からランダムに抽出した200〜400個を、画像処理解析装置により解析する方法を用いることができる。
【0029】
トナー粒度分布は種々の方法で測定可能であるが、本発明においてはコールターカウンターを用いて行なった。すなわち、測定装置としてはコールターカウンターTA−ll型(コールター社製)を用い、個数分布、重量分布を出力インターフェイス(日科機製)およびPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。測定法としては、前記電解水溶液10〜15ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加え、超音波分散器で約1〜3分分散処理を行なう。別のビーカーに電解水溶液100〜200mlを入れ、その中に前記サンプル分散液を所定の濃度になるように加え、前記コールターカウンターTA−ll型によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて個数を基準として2〜40μmの粒子の粒度分布を測定し、2〜40μmの粒子の重量分布と個数分布を算出し、重量分布から重量平均粒径(D4:各チャンネルの中央値をチャンネルの代表値とする)を求めた。
【0030】
また、本発明の二成分現像剤は流動性向上剤として無機微粉体をトナーに添加して用いることが可能であり特に好ましい。本発明の特徴とするような粒度分布をもつトナーでは、比表面積が従来のトナーよりも小さくなる。この場合、磁性キャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合では、従来のトナーよりもトナー粒子と磁性キャリアとの接触回数は減少し、キャリア表面の汚染や、トナー粒子の摩耗・解砕が発生しにくくなる。
さらに、比表面積が減少した分、無機微粉体の添加量を減少させることができ、無機微粉体による感光体の汚染やフィルミング、さらには定着不良といった問題が生じにくくなる。これによって現像剤および感光体の長寿命化が図れる。さらに本発明で重要な役割を果たすD25〜D75の範囲のトナー粒子は少量の無機微粉体の存在によりさらに効果を発揮し、高画質な画像を長期間安定して提供することができる。
【0031】
本発明の無機微粉体としてはSi、Ti、Al、Mg、Ca、Sr、Ba、In、Ga、Ni、Mn、W、Fe、Co、Zn、Cr、Mo、Cu、Ag、V、Zr等の酸化物や複合酸化物が挙げられる。これらのうち二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン(チタニア)、アルミナの微粒子が好適に用いられる。さらに、疎水化処理剤等により表面改質処理することが有効である。疎水化処理剤の代表例としては以下のものが挙げられる。
【0032】
ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、p−クロルフェニルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルジクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン、オクチル−トリクロルシラン、デシル−トリクロルシラン、ノニル−トリクロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−トリクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−トリクロルシラン、ジベンチル−ジクロルシラン、ジヘキシル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジノニル−ジクロルシラン、ジデシル−ジクロルシラン、ジドデシル−ジクロルシラン、ジヘキサデシル−ジクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−オクチル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジデセニル−ジクロルシラン、ジノネニル−ジクロルシラン、ジ−2−エチルヘキシル−ジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルベンチル−ジクロルシラン、トリヘキシル−クロルシラン、トリオクチル−クロルシラン、トリデシル−クロルシラン、ジオクチル−メチル−クロルシラン、オクチル−ジメチル−クロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−ジエチル−クロルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ジエチルテトラメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等。
この他チタネート系カップリング剤、アルミニューム系カップリング剤も使用可能である。
【0033】
本発明に用いられる無機微粉体はトナーに対して0.1〜2重量%使用されるのが好ましい。0.1重量%未満では、トナー凝集を改善する効果が乏しくなり、2重量%を超える場合は、細線間のトナー飛び散り、機内の汚染、感光体の傷や摩耗等の問題が生じやすい傾向がある。本発明におけるキーポイントは、この無機微粉体添加量が少量でも所定の流動性を確保でき、長期間、多数枚数の複写、プリントにおいても高解像度の画質を維持できることにあり、この効果は5μm以下のトナー量を多くして、無機微粉体を多量に添加した場合より、明らかに効果的である。
【0034】
また、本発明の現像剤には、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;あるいは酸化セリウム粉末、炭化珪素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;あるいは例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末等の導電性付与剤;また、逆極性の白色微粒子、および黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0035】
本発明のトナー用結着樹脂としては従来公知のものを広く使用することができる。例えば、ビニル樹脂あるいはポリエステル樹脂あるいはポリオール樹脂からなる。
ビニル樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体:スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体:ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等がある。
【0036】
ポリエステル樹脂としては以下のA群に示したような2価のアルコールと、B群に示したような二塩基酸塩からなるものであり、さらにC群に示したような3価以上のアルコールあるいはカルボン酸を第三成分として加えてもよい。
A群:エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4ブテンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等。
【0037】
B群:マレイン酸、フマール酸、メサコニン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタール酸、イソフタール酸、テレフタール酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、リノレイン酸、またはこれらの酸無水物または低級アルコールのエステル等。
【0038】
C群:グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール、トリメリト酸、ピロメリト酸等の3価以上のカルボン酸等。
【0039】
ポリオール樹脂としては、エポキシ樹脂と2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物、もしくはそのグリシジルエーテルとエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、エポキシ樹脂と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるものなどがある。その他にも必要に応じて以下の樹脂を混合して使用することもできる。
エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂等。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとエピクロロヒドリンとの重縮合物が代表的である。
【0040】
本発明で用いる顔料としては以下のものが用いられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。
黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
また、橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等がある。
これらは1種または2種以上を使用することができる。
【0041】
また、本発明におけるトナーには定着時のオフセット防止のために離型剤を内添することも可能である。離型剤としては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキルリン酸エステル等がある。これらは、結着樹脂および定着ローラー表面材質により選択される。これら離型剤の融点は65〜90℃であることが好ましい。この範囲より低い場合には、トナーの保存時のブロッキングが発生しやすくなり、この範囲より高い場合には定着ローラー温度が低い領域でオフセットが発生しやすくなる場合がある。
【0042】
本発明の現像剤には荷電制御剤を現像剤粒子に配合(内添)、または現像剤粒子と混合(外添)して用いることが好ましい。荷電制御剤によって、現像システムに応じた最適の荷電量コントロールが可能となり、特に本発明では、粒度分布と荷電量とのバランスを更に安定したものとすることが可能である。トナーを正荷電性に制御するものとして、ニグロシンおよび四級アンモニウム塩、イミダゾール金属錯体や塩類を、単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。また、トナーを負荷電性に制御するものとしてサリチル酸金属錯体や塩類、有機ホウ素塩類、カリックスアレン系化合物等が用いられる。
【0043】
磁性トナーとする場合には、トナー粒子に磁性体の微粒子を含有させれば良い。斯かる磁性体としては、フェライト、マグネタイトをはじめとする鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性を示す金属もしくは合金またはこれらの元素を含む化合物、強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、例えばマンガン銅アルミニウム、マンガン−銅−錫、などのマンガンと銅とを含むホイスラー合金と呼ばれる種頼の合金、二酸化クロム、その他を挙げることができる。磁性体は、平均粒径が0.1〜1μmの微粉末の形態で均一に分散されて含有されることが好ましい。そして磁性体の含有割合は、得られるトナーの100重量部に対して、10〜70重量部であることが好ましく、特に20〜50重量部であることが好ましい。
【0044】
本発明の現像剤に使用されるキャリアとしては公知のものが使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉、マグネタイト粉の如き磁性粒子あるいはこれら磁性粒子の表面をフッ素系樹脂、ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂等で処理したもの、あるいは磁性粒子が樹脂中に分散されている磁性粒子分散樹脂粒子等が挙げられる。これら磁性キャリアの平均粒径は35〜75μmがよい。
【0045】
本発明に係るトナーを作製する方法の一例としては、まず、前述した結着樹脂、着色剤としての顔料または染料、荷電制御剤、滑剤、その他の添加剤等をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分に混合した後、バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸押出し機、例えば神戸製鋼所社製KTK型2軸押出し機、東芝機械社製TEM型2軸押出し機、KCK社製2軸押出し機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出し機、栗本鉄工所社製KEX型2軸押出し機や、連続式の1軸混練機、例えばブッス社製コ・ニーダ等の熱混練機を用いて構成材料をよく混練し、冷却後、ハンマーミル等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式粉砕機により微粉砕し、旋回気流を用いた分級機やコアンダ効果を用いた分級機により所定の粒度に分級する。
ついで、無機微粉体と該トナーをヘンシェルミキサーの如き混合機により充分混合し、ついで250メッシュ以上の篩を通過させ、粗大粒子、凝集粒子を除去し本発明のトナーを得る。さらに二成分現像剤として使用する場合は、最後に前述した磁性キャリアと所定の混合比率で混合することによって二成分現像剤とする。
【0046】
次に、本発明の画像形成方法を、電子写真複写機(以下、複写機という)に適用した一実施形態について説明する。
まず、複写機(201)の概略構成図である図7を用いて、本実施形態にかかる複写機の構成、動作につき説明する。本実施形態における複写機(201)は、大きくは、画像読み取り手段としてのスキャナ(101)と画像出力手段としてのプリンタ(112)とからなる。上記スキャナ(101)は、原稿画像を光学的に読み取るためのものであり、原稿載置台としてのコンタクトガラス(209)、露光ランプ(210)、反射ミラー(211)、結像レンズ(212)、及びCCDイメージセンサ(213)等からなる。上記露光ランプ(210)としては、ハロゲンランプが使用されるのが一般的である。このスキャナ(101)による原稿画像の読み取りは次のようにして行なわれる。
【0047】
上記コンタクトガラス(209)上に載置された原稿を露光ランプ(210)によって光照射し、原稿からの反射光を反射ミラー(211)等により結像レンズ(212)に導く。この結像レンズ(212)にて上記反射光をCCDイメージセンサ(213)上に結像させる。該CCDイメージセンサ(213)は、上記反射光を原稿画像に対応したデジタル電気信号に変換する。このCCDイメージセンサ(213)は、フルカラーイメージセンサであり、与えられ光信号を、例えば、R(レッド)、G(グリーン)及びB(ブルー)の各色に色分解し、各色に対応したデジタル電気信号を出力する。また、上記CCDイメージセンサ(213)は、図面に対して垂直方向(この方向を主走査方向ともいう。)に列状に配置されている。上記CCDイメージセンサ(213)の出力であるデジタル電気信号は、後述する画像処理部にて、色変換処理等の画像処理がなされ、シアン(Cyan:以下、Cという)、マゼンタ(Magenta:以下、Mという)、イエロー(Yellow:以下、Yという)及び黒(以下、BKという)のカラー画像データとなる。これらカラー画像データに基づき、以下に述べるプリンタ(112)にて、C、M、Y、BKのトナーにより顕像化を行ない、得られたトナー像を重ねあわせてフルカラーの画像を形成する。
【0048】
上記プリンタ(112)の略中央部には、像担持体としての感光体(215)が配置されている。該感光体(215)は、有機感光体(OPC)ドラムであり、その外径は、120mm程度である。上記感光体の周囲には、感光体表面を一様に帯電する帯電装置(207)、BK現像ユニット(202)、C現像ユニット(203)、M現像ユニット(204)、Y現像ユニット(205)、中間転写ベルト(206)、及びクリーニング装置(214)等が配置されている。また、上記感光体(215)の上方であって、上記スキャナ(101)の下方には、前述したカラー画像データに基づいて光ビームを発生して、一様帯電された上記感光体(215)表面を光走査するレーザ光学系(208)が設けられている。このレーザ光学系(208)は、光ビームを発生するレーザダイオード、該光ビームを偏向するポリゴンミラー等からなる。
【0049】
かかる構成によって行なわれるプリンタ(112)における画像形成動作を、BK画像データに基づく場合を例にして説明すれば次のとおりである。上記レーザ光学系(208)からのBK画像データに基づく光ビームにより感光体(215)表面上に形成された潜像は、これに対応するBK現像ユニット(202)によって現像され、、BKトナー像となる。このトナー像は、上記中間転写ベルト(206)に転写される。以下、この感光体(215)から中間転写ベルト(206)へのトナー像の転写をベルト転写という。以上のような潜像の形成、現像、及びベルト転写という一連の動作が、C、M、Y、BKの4色について行なわれ、中間転写ベルト(206)上には4色重ねトナー像が形成される。この4色重ねトナー像を、給紙ユニット(216)から給送されてきた記録媒体、例えば記録紙上に、転写バイアスローラ(217)によって、一括して転写する。上記4色重ねトナー像が形成された記録媒体は、搬送ベルト(218)によって定着装置(219)に搬送される。上記定着装置(219)は、加熱及び加圧によって4色重ねのトナー像を溶融し、記録媒体上に定着する。定着が完了した記録媒体は、排紙トレイ(220)上に、排出される。一方、感光体(215)の表面に残留したトナーは、クリーニング装置(214)によって回収され、感光体(215)表面のクリーニングが行なわれる。クリーニング後の感光体(215)表面は、除電装置によって除電される。また、4色重ね画像を中間転写ベルト(206)から記録媒体上に転写した後に、上記中間転写ベルト(206)上に残留したトナーは、ベルトクリーニング装置(222)によって回収され、中間転写ベルト(206)表面のクリーニングが行なわれる。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を製造例および実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の配合における部数は全て重量部である。
【0051】
実施例1
結着樹脂 ポリオール樹脂 100部
着色剤 カーボンブラック 10部
帯電制御剤 サルチル酸亜鉛塩 5部
離型剤 低分子量ポリエチレン 5部
上記原材料をミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機により混練物温度120℃で溶融混練した。混練物を圧延冷却後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、旋回式風力分級装置を用いて、5μm以下が15.0個数%、D25/D75=0.63、重量平均粒径の2倍径以上が4.3重量%の粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、疎水性シリカ0.3部をヘンシェルミキサーにて混合しトナー(1)を得た。得られたトナーの粒度分布を表1に示す。本トナーの流動性を評価するため、ゆるみ見掛け密度、凝集率を測定した結果を表2に示す。
ゆるみ見掛け密度はホソカワミクロン社製パウダーテスターPT−N型により250メッシュの篩上から落下したトナーをカップに捕集して、その重量から求めた。凝集率はホソカワミクロン社製パウダーテスターPT−N型により、篩は目開きが150μm、75μm、45μmを用い、振動時間60secの条件でサンプルを篩分けし次式により求めた。
【0052】
【数1】

本トナーを平均粒径100μmのフェライト粒子にシリコン樹脂を表面にコートしたキャリア97.5部に対し、2.5部の割合で混合し、二成分現像剤を作成した。
【0053】
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングであるリコー製imagio DA505にセットし定着性の評価を行なった。定着性は複写機の指定定着温度の中心温度と、中心温度−30℃の定着温度でベタ画像を定着させ、上島社製描画試験機により荷重50gの条件でベタ画像上を引っ掻き、その引っ掻き傷を1〜5のランクで評価した。数値が大きいほど定着性は良好であり、3未満ではケシゴム等により剥離しやすくなるため、実質的に使用できないレベルである。
さらに、80万枚のランニングを実施し、クリーニング不良、フィルミングの発生状況の評価、および画像解像度の評価を行なった。画像解像度は、画像評価用標準S−3テストチャートの細線の分解能を拡大鏡にて観察し、1〜5のランク評価を行なった。数値が大きいほど細線の分解能が高く高解像度となる。評価結果を表2に示す。
【0054】
実施例2
実施例1で平均粒径が30μmのキャリアを使用する他は、実施例1と同様の方法で二成分現像剤を作成し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0055】
実施例3
実施例1で平均粒径が50μmのキャリアを使用する他は、実施例1と同様の方法で二成分現像剤を作成し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0056】
実施例4
実施例1で分級条件を変更し、5μm以下が15.0個数%、D25/D75=0.68、重量平均粒径の2倍径以上が2.2重量%の粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、疎水性シリカ0.5部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナー(2)を得た。その後実施例3と同様の方法で二成分現像剤を作成し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0057】
実施例5
実施例1で分級条件を変更し、5μm以下が12.1個数%、D25/D75=0.71、重量平均粒径の2倍径以上が1.5重量%の粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、疎水性シリカ0.5部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナー(3)を得た。その後実施例3と同様の方法で二成分現像剤を作成し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0058】
実施例6
実施例1で分級条件を変更し、5μm以下が7.2個数%、D25/D75=0.82、重量平均粒径の2倍径以上が0.3重量%の粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、疎水性シリカ0.5部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナー(4)を得た。その後実施例3と同様の方法で二成分現像剤を作成し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0059】
実施例7
結着樹脂 スチレン−メチルアクリレート共重合体 100部
着色剤 カーボンブラック 10部
帯電制御剤 ニグロシン 3部
上記原材料をミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機により混練物温度110℃で溶融混練した。混練物を圧延冷却後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、旋回式風力分級装置を用いて、5μm以下が14.8個数%、D25/D75=0.63、重量平均粒径の2倍径以上が3.7重量%の粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、疎水性シリカ0.3部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナー(5)を得た。その後実施例3と同様の方法で二成分現像剤を作成した。得られた現像剤を潜像担持体がOPCベルト感光体でクリーニング方式が磁気ブラシクリーニングである、リコー製FT9001IIにセットし実施例1と同様の評価を実施した。結果を表1、2に示す。
【0060】
実施例8
実施例7で分級条件を変更し、5μm以下が3.2個数%、D25/D75=0.74、重量平均粒径の2倍径以上が1.5重量%の粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、疎水性シリカ0.3部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナー(6)を得た。その後実施例7と同様の方法で二成分現像剤を作成し、実施例7と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0061】
実施例9
結着樹脂 ポリエステル樹脂 100部
着色剤 キナクリドン系マゼンタ顔料
(C.I.ピグメントレッド122) 8部
帯電制御剤 サルチル酸亜鉛塩 3部
上記原材料を実施例1と同様の方法で混練、粉砕、分級を行ない、5μm以下が14.9個数%、D25/D75=0.63、重量平均粒径の2倍径以上が4.2重量%の粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、疎水性シリカ0.3部をヘンシェルミキサーにて混合し、カラートナー(7)を得た。その後実施例3と同様の方法で二成分カラー現像剤を作成し、リコー製フルカラー複写機PRETER550にセットし、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0062】
実施例10
結着樹脂 ポリエステル樹脂 100部
着色剤 銅フタロシアニンブルー顔料
(C.I.ピグメントブルー15:3) 3.5部
帯電制御剤 サルチル酸亜鉛塩 5部
上記原材料を実施例1と同様の方法で混練、粉砕、分級を行ない、5μm以下が14.8個数%、D25/D75=0.64、重量平均粒径の2倍径以上が4.1重量%の粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、疎水性シリカ0.3部をヘンシェルミキサーにて混合し、一成分カラートナー(8)を得た。得られたトナーを一成分プリンターであるリコー製SP10PS ProIIにセットし、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0063】
実施例11
結着樹脂 スチレン−メチルアクリレート共重合体 100部
磁性体 四酸化三鉄 80部
帯電制御剤 サルチル酸亜鉛塩 4部
上記原材料を実施例1と同様の方法で混練、粉砕、分級を行ない、5μm以下が15.0個数%、D25/D75=0.63、重量平均粒径の2倍径以上が4.3重量%の粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、疎水性シリカ0.3部をヘンシェルミキサーにて混合し、一成分磁性トナー(9)を得た。得られたトナーを実施例10と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0064】
比較例1
実施例1で分級条件を変更し、5μm以下が23.5個数%、D25/D75=0.65、重量平均粒径の2倍径以上が1.7重量%の粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、疎水性シリカ0.5部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナー(10)を得た。その後実施例3と同様の方法で二成分現像剤を作成し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0065】
比較例2
実施例1で分級条件を変更し、5μm以下が23.5個数%、D25/D75=0.65、重量平均粒径の2倍径以上が1.7重量%の粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、疎水性シリカ0.7部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナー(11)を得た。その後実施例3と同様の方法で二成分現像剤を作成し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0066】
比較例3
実施例1で分級条件を変更し、5μm以下が70.0個数%、D25/D75=0.67、重量平均粒径の2倍径以上が0.3重量%の粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、疎水性シリカ3.0部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナー(12)を得た。その後実施例3と同様の方法で二成分現像剤を作成し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0067】
比較例4
実施例1で分級条件を変更し、5μm以下が70.0個数%、D25/D75=0.67、重量平均粒径の2倍径以上が0.3重量%の粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、疎水性シリカ1.0部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナー(13)を得た。その後実施例3と同様の方法で二成分現像剤を作成し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0068】
比較例5
実施例1で分級条件を変更し、5μm以下が14.6個数%、D25/D75=0.72、重量平均粒径の2倍径以上が8.1重量%の粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、疎水性シリカ0.3部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナー(14)を得た。その後実施例3と同様の方法で二成分現像剤を作成し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0069】
比較例6
実施例1で分級条件を変更し、5μm以下が10.34個数%、D25/D75=0.59、重量平均粒径の2倍径以上が0.7重量%の粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、疎水性シリカ0.3部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナー(15)を得た。その後実施例3と同様の方法で二成分現像剤を作成し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0070】
比較例7
実施例1で分級条件を変更し、5μm以下が0.3個数%、D25/D75=0.87、重量平均粒径の2倍径以上が0.0重量%の粒度分布に分級した。このときの歩留りは21%であり、他の分級条件に比べ著しく低下し、実質的に生産できるレベルではなかった。さらに、母体着色粒子100部に対して、疎水性シリカ0.3部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナー(16)を得た。その後実施例3と同様の方法で二成分現像剤を作成し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0071】
比較例8
実施例7で分級条件を変更し、5μm以下が37.0個数%、D25/D75=0.58、重量平均粒径の2倍径以上が4.4重量%の粒度分布に分級した。さらに母体着色粒子100部に対して、疎水性シリカ0.3部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナー(17)を得た。その後実施例7と同様の方法で二成分現像剤を作成し、実施例7と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0072】
比較例9
比較例8で疎水性シリカの量を0.6部にすること以外は比較例8と同様の方法で、トナー(18)を得た。その後実施例7と同様の方法で二成分現像剤を作成し、実施例7と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】従来の、5μm以下の粒子が17個数%の場合の代表的個数粒度分布を示す図である。
【図2】従来の、5μm以下の粒子が17個数%の場合の代表的重量粒度分布を示す図である。
【図3】従来の、5μm以下の粒子が60個数%の場合の代表的個数粒度分布を示す図である。
【図4】従来の、5μm以下の粒子が60個数%の場合の代表的重量粒度分布を示す図である。
【図5】本発明トナーの代表的個数粒度分布を示す図である。
【図6】本発明トナーの代表的重量粒度分布を示す図である。
【図7】実施例9で使用したフルカラー複写機の断面図である。
【符号の説明】
【0076】
101 スキャナ
112 プリンタ
201 複写機
202 黒現像ユニット
203 シアン現像ユニット
204 マゼンタ現像ユニット
205 イエロー現像ユニット
206 中間転写ベルト
207 帯電装置
208 レーザ光学系
209 コンタクトガラス
210 露光ランプ(ハロゲンランプ)
211 反射ミラー
212 結像レンズ
213 CCDイメージセンサ
214 クリーニング装置
215 感光体
216 給紙ユニット
217 転写バイアスローラ
218 搬送ベルト
219 定着装置
220 排紙トレイ
221 バイアスローラ
222 ベルトクリーニング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写後の潜像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング手段を有する画像形成方法において、該二成分現像剤は磁性キャリアとトナーを有し、該キャリアの重量平均粒径は35〜100μmであり、該トナーは5μm以下のトナー粒子を1〜15個数%含有し、重量平均粒径の2倍径以上のトナー粒子を5重量%以下含有し、累積個数分布が25%と75%になる個数平均粒子径D25とD75の関係が0.60≦D25/D75≦0.85であり、重量平均粒径が6.0〜11.5μmであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
転写後の潜像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング手段を有する画像形成方法において、該二成分現像剤は磁性キャリアとトナーを有し、該キャリアの重量平均粒径は45〜75μmであり、該トナーは5μm以下のトナー粒子を1〜12個数%含有し、重量平均粒径の2倍径以上のトナー粒子を3重量%以下含有し、累積個数分布が25%と75%になる個数平均粒子径D25とD75の関係が0.70≦D25/D75≦0.85であり、重量平均粒径が6.0〜9.5μmであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項3】
潜像担持体がOPCベルト感光体であり、クリーニング手段が回転するロール状トナーテスターバー用ブラシを用いたブラシクリーニング方式である請求項1又は2に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−31035(P2006−31035A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235174(P2005−235174)
【出願日】平成17年8月15日(2005.8.15)
【分割の表示】特願平11−299926の分割
【原出願日】平成11年10月21日(1999.10.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】