説明

電子器具

【課題】点灯装置199などの電子器具に対して所望の放熱効果を得た上で、材料費・加工費などの製造コストを抑え、また、小型化し、さらに製造効率を高めることを目的とする。
【解決手段】ハロゲンランプや白熱灯を点灯させる点灯装置199をケース200に内蔵した電子器具において、電子トランス基板100に実装されている電子部品(例えば、電子部品102、電子部品104)に略L字形の金属製放熱フィン300を放熱面320がケース200の天面202や底面201側になるように取り付ける。そして、その放熱フィン300の放熱面320に弾力性のある熱伝達用のパッド330を取り付ける。これにより、パッド330がケース200の天面202や底面201に適度な応力で接触し、電子部品で発した熱を効率良くケース200で放熱することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、点灯装置の放熱構造を有する電子器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
低ボルトハロゲンランプなどの白熱灯用点灯装置は、商用電源をダイオードブリッジ等で全波整流し、全波整流により脈流化された直流電圧をトランジスタ等のスイッチング素子を用いて20kHz〜50kHzでスイッチングし、スイッチングにより出力された矩形波電圧を降圧トランスで概ね12Vまで降圧し、降圧された電圧をランプに印加する回路で構成するのが一般的である。
この点灯装置が搭載される電子器具は大きく分けてダクトプラグ型(内蔵型)と呼ばれる器具と別置型と呼ばれる器具との2つに分類される。
【0003】
図7はダクトプラグ型照明器具400の構造を示す図であり、図8は別置型照明器具401の構造を示す図である。
図7に示すように、ダクトプラグ型照明器具400は電子トランス基板100と電子トランス基板100に配置された電子部品198とで構成される点灯装置199が金属若しくは樹脂のケース200に収められ、天井520に設置されたダクトレール510にワンタッチで取り付けられる構造が一般的である。そして、全体が天井面にむき出しで設置されるため、美観を損なわないようにダクトプラグ型照明器具400には点灯装置199が収められているケース200を出来るだけ小さくすることが求められている。但し、ケース200を小さくすると電子部品198で発した熱がケース200内に滞留しやすくなる。
また、図8に示すように、別置型照明器具401はランプ440や反射板420が天井520に空けられた天井孔521に取り付けられ、点灯装置199が金属のケース200に収められてランプ440や反射板420とは別に天井裏の造営材530等に固定される構造が一般的である。別置型照明器具401は点灯装置199がランプ440や反射板420から離れて位置するため、電子部品198で発した熱がダクトプラグ型照明器具400に比べて放熱されやすい。
また、ダクトプラグ型照明器具400および別置型照明器具401のソケット430に取り付けられるランプ440には一般的に低ボルトハロゲンなどが用いられ、低ボルトハロゲンなどを用いたランプ440は発熱量が大きい。
【0004】
また、図7や図8に示す基板に取り付けられる電子部品にはディスクリート部品と面実装部品がある。
特許文献1は面実装部品から熱を発散させる装置を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−214559号公報
【特許文献2】特開2002−050889号公報
【特許文献3】特開2003−309386号公報
【特許文献4】特開2002−313131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、ランプ440と点灯装置199の収納されたケース200とが近いうえにケース200の外形を出来るだけ小さくすることが求められるダクトプラグ型照明器具400は、別置型照明器具401に比べて電子部品198で発した熱が放熱されにくくケース200内に滞留しやすい。このため、ダクトプラグ型照明器具400にとって点灯装置199に使用される電子部品198の発熱を抑えることは設計上の大きな課題の一つである。また、別置型照明器具401にとっても点灯装置199に使用される電子部品198の発熱を抑えることは設計上の大きな課題の一つである。一般的に電子部品を用いた器具(電子器具)をケースに収納する場合、電子器具にとって電子部品の発熱を抑えることは設計上の大きな課題である。
【0007】
電子部品198の熱対策には一般的に放熱フィンを使用して放熱させる方法、ケース内にシリコンやウレタン等の充填材を充填して放熱する方法、定格ランプ出力を絞る方法の3つの方法がある。
【0008】
図9は放熱フィン110を用いる熱対策方法を示す図であり、図10は充填材120を用いる熱対策方法を示す図である。
図9は、電子トランス基板100に大きな放熱フィン110が取り付けられていることを正面(下図)と上方(上図)から示している。
図10は、ケース200に充填された充填材120が点灯装置199の各電子部品(電子部品101〜電子部品108)を覆っていることを示している。
【0009】
図9に示す放熱フィン110を用いる熱対策方法は放熱フィン110を電子部品(図9では電子部品102、電子部品104および電子部品105)に取り付けることで放熱面積を増やして放熱する方法であり、放熱効果を得るために大きな放熱フィン110を必要とする。そのため、この熱対策方法には放熱フィン110の材料費・加工費共に高額なものになってしまうという課題や各電子部品を配置する電子トランス基板100の面積が大きくなるといった課題がある。
また、図10に示す充填材120を充填する熱対策方法は各電子部品をシリコンやウレタンなどの充填材120で覆うため放熱効果が高い。しかし、この熱対策方法には加工の難易度が高いという課題や充填材120を成形する専用の設備を導入する必要が有る上に充填材料も高価であるため製造コストが掛かるといった課題がある。
また、定格ランプ出力を絞る熱対策方法はランプに表示されている定格電力とは異なる出力で点灯させる方法である。そのため、この熱対策方法には、例えば、「定格電力とは異なる出力で点灯させる」旨をユーザー側にインフォメーションする必要があるといった課題がある。
【0010】
本発明は、例えば、定格電力でのランプ出力において点灯装置の電子部品に対して所望の放熱効果を得た上で、材料費・加工費などの電子器具の製造コストを抑え、また、電子部品を配置する基盤の面積を抑えて電子器具を小型化し、さらに、加工を容易にして電子器具の製造効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の電子器具は、
電子部品と、
前記電子部品が内蔵されるケースと、
前記電子部品に取り付ける放熱フィンであり、前記電子部品に接する接部と、前記接部と連接する連接部と、前記連接部の表面に取り付けられると共に前記ケースの内面に接して前記電子部品で発した熱をケースへ伝達する弾性部とを有する放熱フィンと
を備える電子器具であって、
前記放熱フィンにおいて、前記連接部は前記弾性部の取り付け部分に凹凸形状を有し、前記弾性部は前記連接部の前記凹凸形状に沿って変形して前記連接部に密着している
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、例えば、放熱フィンの弾性部がケースと適度な応力で接するため、所望の放熱効果を得ることができる。また例えば、本発明によれば、大きな放熱フィンを不要とすると共に充填材を不要とするため、材料費・加工費などの電子器具の製造コストを抑えることができる。また例えば、本発明によれば、大きな放熱フィンを不要とするため、電子部品を配置する基盤の面積を抑えて電子器具を小型化することができる。また例えば、本発明によれば、各電子部品を覆うように充填材を充填することを不要とするため、加工を容易にして電子器具の製造効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1における放熱フィン300の取り付けられた点灯装置199を示す図。
【図2】実施の形態1における放熱フィン300の取り付けられた電子部品102を示す図。
【図3】実施の形態1における放熱フィン300の取り付けられた電子部品104および電子部品105を示す図。
【図4】実施の形態1におけるケース200に収められた点灯装置199を示す図。
【図5】実施の形態1におけるケース200に収められた点灯装置199を示す図。
【図6】実施の形態1におけるケース200に収められた点灯装置199を示す図。
【図7】ダクトプラグ型照明器具400の構造を示す図。
【図8】別置型照明器具401の構造を示す図。
【図9】放熱フィン110を用いる熱対策方法を示す図。
【図10】充填材120を用いる熱対策方法を示す図。
【図11】実施の形態2における放熱フィン300の取り付けられた点灯装置199を示す図。
【図12】実施の形態2におけるケース200に収められた点灯装置199を示す図。
【図13】実施の形態2におけるケース200に収められた点灯装置199を示す図。
【図14】実施の形態2におけるケース200に収められた点灯装置199を示す図。
【図15】実施の形態3における放熱フィン300の取り付けられた点灯装置199を示す図。
【図16】実施の形態3におけるケース200に収められた点灯装置199を示す図。
【図17】実施の形態3におけるケース200に収められた点灯装置199を示す図。
【図18】実施の形態4における放熱フィン300の取り付けられた点灯装置199を示す図。
【図19】実施の形態4における放熱フィン300の取り付けられた点灯装置199を示す図。
【図20】実施の形態5における放熱フィン300の取り付けられた点灯装置199を示す図。
【図21】実施の形態6におけるケース200に収められた点灯装置199を示す図。
【図22】実施の形態6におけるケース200に収められた点灯装置199を示す図。
【図23】実施の形態8における放熱フィン300とケース200との接触部分を示す図。
【図24】実施の形態9における放熱フィン300の取り付けられた点灯装置199を示す図。
【図25】実施の形態9におけるダクトプラグ型照明器具400のケース200に収められた点灯装置199を示す断面図。
【図26】実施の形態9における電子部品102に対する放熱フィン300の取り付けを示す図。
【図27】実施の形態9における放熱フィン300の取り付けられた電子部品102を示す図。
【図28】実施の形態9における電子部品104および電子部品105に対する放熱フィン300の取り付けを示す図。
【図29】実施の形態9における放熱フィン300の取り付けられた電子部品104および電子部品105を示す図。
【図30】実施の形態9における放熱フィン300の取り付けられた電子部品102、電子部品104および電子部品105の配置関係を示す図。
【図31】実施の形態9における点灯装置199の電子部品を電子トランス基板100に半田付けする工程を示す図。
【図32】実施の形態9におけるダクトプラグ型照明器具400を示す分解斜視図。
【図33】実施の形態9におけるダクトプラグ型照明器具400を示す図。
【図34】実施の形態9におけるダクトプラグ型照明器具400を示す分解斜視図。
【図35】実施の形態9における放熱フィン300の取り付けられた点灯装置199を示す図。
【図36】実施の形態9における放熱フィン300の取り付けられた点灯装置199を示す図。
【図37】実施の形態10における放熱フィン300の取り付けられた電子部品104および電子部品105。
【図38】実施の形態10における放熱フィン300の取り付けられた電子部品104および電子部品105を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における放熱フィン300の取り付けられた点灯装置199を示す図である。
図1は、点灯装置199が電子トランス基板100(プリント基板)と電子トランス基板100に配置されたディスクリート部品(電子部品101〜電子部品108)とにより構成されていることを点灯装置199の正面(下図)と上方(上図)とから示している。電子部品101〜電子部品108は、例えば、はんだにより電子トランス基板100に接続されている。
そして、実施の形態1における放熱構造として、点灯装置199は比較的高温を発するダイオードブリッジやスイッチングトランジスタといった半導体の電子部品に実施の形態1の特徴である金属製(例えば、アルミ製)の放熱フィン300が取り付けられている。但し、放熱フィン300を取り付ける電子部品はダイオードブリッジやスイッチングトランジスタに限らず、放熱フィン300は放熱させたい電子部品に取り付けるとよい。また、放熱フィン300は金属製に限らないが、熱伝導性の高い材質であることが望ましい。放熱フィン300を電子部品に取り付けることにより、電子部品で発した熱は放熱フィン300に伝達される。図1では、電子部品102がダイオードブリッジであり、電子部品104と電子部品105との対がスイッチングトランジスタである。
【0015】
実施の形態1における放熱構造は、図1に示すように、放熱フィン300の断面が概略L字形状であり、放熱フィン300が断面概略L字形を形成する一つの面(以下、放熱面320とする)にシリコン、ウレタン、ラバーなどの弾性を備えたパッド330を有することを特徴とする。また、実施の形態1における放熱構造は、放熱フィン300が断面概略L字形を形成するパッド330の配置されていない方の一面(以下、接面310とする)においてディスクリート部品(電子部品)の垂直面に取り付けられることを特徴とする。
つまり、実施の形態1における放熱構造は、放熱フィン300がディスクリート部品に接する接面310と、接面310と連接する放熱面320と、放熱面320の表面に取り付けられるパッド330とを有することを特徴とする。
【0016】
図2は、実施の形態1における放熱フィン300の取り付けられた電子部品102を示す図である。
図3は、実施の形態1における放熱フィン300の取り付けられた電子部品104および電子部品105を示す図である。
図2および図3は、放熱フィン300が取り付けられた電子部品102、電子部品104および電子部品105を正面(右下図)と上方(右上図)と左側方(左図)とから示している。
図2、図3に示すように、放熱フィン300はネジ301によるネジ止めにより電子部品102、電子部品104および電子部品105に取り付けられる。但し、放熱フィン300を取り付ける方法は電子部品に密着する方法であれば接着や係合などのネジ止め以外の方法であっても構わない。放熱フィン300を電子部品に密着させることにより、電子部品で発した熱は放熱フィン300に伝達される。
【0017】
図4、図5、図6は、実施の形態1におけるケース200に収められた点灯装置199を示す図である。
図4、図5は、点灯装置199を収めたケース200の内部を正面から示している。
図6は、点灯装置199を収めたケース200の内部を下方から示している。
図4〜図6に示すように、実施の形態1における点灯装置199は、ケース200に収められた際、放熱フィン300に取り付けられたパッド330がケース200に接することを特徴とする。
図4では、点灯装置199は、ディスクリート部品(電子部品)が下方に向かって伸長するように、つまり、電子トランス基板100が上で放熱フィン300の取り付けられた電子部品が下になるように、下向きでケース200に収められている。そして、図4では、放熱フィン300のパッド330はケース200の底面201に接している。
図5では、点灯装置199は、ディスクリート部品(電子部品)が上方に向かって伸長するように、つまり、電子トランス基板100が下で放熱フィン300の取り付けられた電子部品が上になるように、上向きでケース200に収められている。そして、図5では、放熱フィン300のパッド330はケース200の天面202に接している。
図6では、点灯装置199は、ディスクリート部品(電子部品)が横方向に向かって伸長するように、つまり、電子トランス基板100と電子部品とが左右に位置するように、横向きでケース200に収められている。そして、図6では、放熱フィン300のパッド330はケース200の側面203に接している。
【0018】
実施の形態1における放熱構造では電子部品に取り付けた放熱フィン300のパッド330がケース200に適度な応力で接することにより高い放熱効果が得られる。そこで、ケース200の内径が点灯装置199のサイズに対して大きすぎる場合などには、パッド330がケース200に適度な応力で接した状態で点灯装置199が固定されるように、点灯装置199を係合するレールや突起などの固定機構をケース200の形状・内面に備えるとよい。
実施の形態1における放熱構造は、ケース200の外形について「高さを低くしたい」「幅(奥行き)を小さくしたい」といった要求に対して、図4や図5のように点灯装置199を縦置きでケース200に収めたり、図6のように点灯装置199を横置きでケース200に収めたりすることで対応することもできる。
【0019】
図4〜図6に示すように、実施の形態1における放熱構造は、ハロゲンランプや白熱灯を点灯させる点灯装置199をケース200に内蔵した電子器具(例えば、ダクトプラグ型照明器具400)において、その点灯装置199の電子トランス基板100(プリント基板)に実装されている電子部品に断面概略L字形の金属製放熱フィン300を取り付けている。またこのとき、放熱フィン300は放熱面320がケース200の天面202、底面201若しくは側面203側に配置されるように放熱フィン300に取り付けられる。そして、放熱フィン300の放熱面320に弾力性のある熱伝達用のパッド330を取り付けている。
【0020】
実施の形態1における放熱構造は、断面概略L字形の放熱フィン300が、パッド330の配置されていない接面310においてディスクリート部品(電子部品)と面接触すると共に、放熱面320に取り付けられた弾性を備えるパッド330においてケース200と面接触することを特徴とする。
また、実施の形態1における上記放熱構造を用いた放熱方法(熱対策方法)は、電子部品で発した熱を放熱フィン300からパッド330を介してケース200に伝達してケース200およびケース200の外部に放熱することを特徴とする。
そして、実施の形態1における放熱構造・放熱方法では、弾性を備えるパッド330が適度な応力でケース200と接することにより、放熱フィン300とケース200との間での熱伝導効率が高いため、電子部品で発した熱に対する高い放熱効果が得られる。
また、実施の形態1における放熱構造・放熱方法では、電子部品で発した熱の放熱先であるケース200が電子部品や放熱フィン300に比べて大きな表面積を有するため、電子部品で発生した熱に対して高い放熱効果が得られる。
【0021】
つまり、実施の形態1における放熱構造・放熱方法では、適当なパッド330を用いて放熱フィン300とケース200との間に適当な応力を得ることにより、電子部品で発した熱に対して所望の放熱効果が得られる。
また、実施の形態1における放熱構造・放熱方法では、放熱フィン300が電子部品で発した熱をケース200で放熱することにより、それ自体で放熱する大きな放熱フィンを不要とする。さらに、実施の形態1における放熱構造・放熱方法では、放熱フィン300のパッド330がケース200に適度な応力で接して高い放熱効果が得ることにより、高い放熱効果がある充填材を不要とする。このため、実施の形態1の放熱構造・放熱方法では大きな放熱フィンや充填材を用いる放熱方法に比べて点灯装置199およびダクトプラグ型照明器具400(または別置型照明器具401)の材料費・加工費を抑えることができる。また、実施の形態1の放熱構造・放熱方法では大きな放熱フィンを用いる放熱方法に比べて電子トランス基板100、点灯装置199およびダクトプラグ型照明器具400(または別置型照明器具401)を小型化することができる。また、実施の形態1の放熱構造・放熱方法では加工の難易度が高い充填材を用いる放熱方法に比べて点灯装置199およびダクトプラグ型照明器具400(または別置型照明器具401)の製造効率を高めることができる。
【0022】
実施の形態1の放熱構造において電子部品で発した熱に対する所望の放熱効果を得るためのパッド330の特性について、後述する実施の形態8で説明する。パッド330の特性とは、例えば、厚さ、硬度、面積である。実施の形態1における放熱方法では、適当な特性を有するパッド330を用いることにより、放熱フィン300とケース200との間に適当な応力が得られ、電子部品で発した熱に対して所望の放熱効果が得られる。
【0023】
実施の形態2.
実施の形態1では放熱フィン300の放熱面320およびパッド330がディスクリート部品の伸長方向先に位置する、つまり、放熱フィン300の放熱面320およびパッド330が電子部品の上方に位置するように放熱フィン300を電子部品に取り付ける形態について説明した。
実施の形態2ではパッド330が電子部品の側方に位置するように放熱フィン300を電子部品に取り付ける形態について説明する。
以下、電子部品に対する放熱フィン300の取り付け向きについて説明し、実施の形態1と同様である放熱構造、放熱方法、パッド330の特性、放熱フィン300の取り付け方法、作用、効果などのその他の事項については説明を省略する。
【0024】
図11は、実施の形態2における放熱フィン300の取り付けられた点灯装置199を示す図である。
図11は、実施の形態1の図1に対応する図であり、放熱面320およびパッド330が電子部品102、電子部品104および電子部品105の側方に位置するように放熱フィン300を取り付けていることが実施の形態1の図1と異なる点である。
【0025】
図12、図13、図14は、実施の形態2におけるケース200に収められた点灯装置199を示す図である。
図12〜図14はそれぞれ、実施の形態1の図4、図5、図6に対応する図であり、図11に示した実施の形態2における点灯装置199をケース200に収める方法を示している。
電子部品102、電子部品104および電子部品105に取り付けられた放熱フィン300のパッド330は、図12ではケース200の底面201に接し、図13ではケース200の天面202に接し、図14ではケース200の側面203に接している。
【0026】
実施の形態2における放熱構造は電子部品に対する放熱フィン300の取り付け向きだけが異なるため、実施の形態1における放熱構造と同様な効果が得られる。
また、実施の形態2における放熱構造では、放熱フィン300が電子部品や電子トランス基板100を上から覆うことが無いため、点灯装置199の点検をし易くできる。
【0027】
実施の形態3.
実施の形態1および実施の形態2では、複数の放熱フィン300について、互いの放熱面320およびパッド330が同じ方向を向くように各放熱フィン300を電子部品に取り付ける形態について説明した。
実施の形態3では、互いの放熱面320およびパッド330が異なる方向を向くように各放熱フィン300を電子部品に取り付ける形態について説明する。
以下、電子部品に対する放熱フィン300の取り付け向きについて説明し、実施の形態1と同様である放熱構造、放熱方法、パッド330の特性、放熱フィン300の取り付け方法、作用、効果などのその他の事項については説明を省略する。
【0028】
図15は、実施の形態3における放熱フィン300の取り付けられた点灯装置199を示す図である。
図15は、実施の形態3の図11に対応する図であり、電子部品102に取り付けられた放熱フィン300の放熱面320と電子部品104および電子部品105に取り付けられた放熱フィン300の放熱面320とが異なる方向を向いていることが実施の形態3の図11と異なる点である。
【0029】
図16、図17は、実施の形態3におけるケース200に収められた点灯装置199を示す図である。
図16、図17はそれぞれ、実施の形態2の図12(または図13)、図14に対応する図であり、図15に示した実施の形態3における点灯装置199をケース200に収める方法を示している。
電子部品102に取り付けられた放熱フィン300のパッド330と電子部品104および電子部品105に取り付けられた放熱フィン300のパッド330とは、図16ではケース200の底面201と天面202とに接し、図17ではケース200の左右の側面203に接している。
【0030】
図15〜図17では放熱面320およびパッド330が電子部品の左右いずれかの側方を向くように放熱フィン300を電子部品に取り付けているが、放熱面320およびパッド330が電子部品の上方を向くように放熱フィン300を電子部品に取り付けてもよい。
例えば、3つの放熱フィン300をそれぞれ異なる電子部品に取り付ける場合、2つの放熱フィン300については図15に示すようにそれぞれの放熱面320およびパッド330が左右異なる側方を向くように電子部品に取り付け、残り1つの放熱フィン300については図1に示すように放熱面320およびパッド330が上方を向くように電子部品に取り付けてもよい。
【0031】
実施の形態3における放熱構造は電子部品に対する放熱フィン300の取り付け向きだけが異なるため、実施の形態1における放熱構造と同じ効果が得られる。
また、実施の形態3における放熱構造では、電子部品で発生した熱を放熱フィン300およびパッド330を介してケース200の異なる面で放熱することができるため、実施の形態1よりも高い放熱効果を得ることができる。
【0032】
実施の形態4.
実施の形態1〜実施の形態3では、放熱フィン300の断面を概略L字形とする形態について説明したが、放熱フィン300はその他の形状であっても構わない。
実施の形態4では、断面概略L字形以外の形状を有する放熱フィン300を用いた放熱構造の例を示す。
実施の形態4において、放熱フィン300の形状以外については実施の形態1〜実施の形態3と同様である。
【0033】
図18、図19は、実施の形態4における放熱フィン300の取り付けられた点灯装置199を示す図である。
図18、図19はそれぞれ、実施の形態1の図1に対応する図であり、断面概略U字形、断面概略π字形の放熱フィン300が電子部品に取り付けられていることを示している。放熱フィン300の形状以外に、図18、図19は、放熱フィン300が一つ(電子部品102)または直列(横)に並んだ複数の電子部品(電子部品104と電子部品105)に取り付けられている実施の形態1の図1に対して、並列(向かい合わせ)に並ぶ電子部品(電子部品102と電子部品105、電子部品102と電子部品104)に取り付けられていることが特徴点である。
【0034】
また、放熱フィン300の形状は断面が概略L字形、概略U字形、概略π字形以外の形状であっても構わず、断面が概略T字形や概略F字形などであっても構わない。
【0035】
実施の形態5.
図20は、実施の形態5における放熱フィン300の取り付けられた点灯装置199を示す図である。
図20は、放熱フィン300が面実装の電子部品109に取り付けられた点灯装置199を正面(左下図)と上方(左上図)と側方(右図)とから示している。
実施の形態1〜実施の形態4ではディスクリート部品に放熱フィン300を取り付ける形態について説明したが、図20に示すように、電子トランス基板100に面実装された電子部品109(面実装部品)に放熱フィン300を取り付けてもよい。
実施の形態5において、電子部品の形態以外については実施の形態1〜実施の形態4と同様である。
【0036】
実施の形態6.
実施の形態6では放熱効果を高めるために、外形サイズを変えずに、パッド330の表面積を広くする放熱構造について説明する。
実施の形態6において、以下に説明すること以外の事項については実施の形態1〜実施の形態5と同様である。
【0037】
図21、図22は、実施の形態6におけるケース200に収められた点灯装置199を示す図である。
図21、図22は、実施の形態1の図4に対応する図であり、点灯装置199を収めたケース200の内部を正面から表した図(上図)およびパッド330とケース200との接触部分の拡大図(下図)を示している。
図21に示す実施の形態6における放熱構造は、ケース200において熱伝達用パッド330との接触部分に凹凸を付けたことを特徴とする。これにより、弾性を有するパッド330は凹凸に追従するように変形してケース200と密着するため、ケース200とパッド330との間の熱伝導面積が広くなり、パッド330からケース200への熱伝導効率が上がり、放熱効果を高めることができる。
図22に示す実施の形態6における放熱構造は、金属製放熱フィン300の放熱面320においてパッド330の結合部分に凹凸を付けたことを特徴とする。これにより、弾性を有するパッド330は凹凸に追従するように変形して放熱面320と結合するため、放熱面320とパッド330との間の熱伝導面積が広くなり、放熱フィン300からパッド330への熱伝導効率が上がり、放熱効果を高めることができる。
【0038】
ケース200と放熱フィン300の放熱面320との両方に凹凸を設けてもよい。
【0039】
実施の形態7.
実施の形態1〜実施の形態6ではパッド330を放熱フィン300に結合する形態について説明したが、パッド330をケース200に結合しても構わない。
この場合、点灯装置199をケース200に収めた際、電子部品に取り付けられた放熱フィン300の放熱面320と、ケース200に取り付けられたパッド330とが、適度な応力で接触する。そして、実施の形態1〜実施の形態6と同様に電子部品で発した熱に対する高い放熱効果を得ることができる。
【0040】
実施の形態8.
実施の形態8では実施の形態1で述べた所望の放熱効果を得るためのパッド330の特性について説明する。
実施の形態1で述べたようにパッド330の特性には、例えば、厚さ、硬度、面積などがある。
【0041】
図23は、実施の形態8における放熱フィン300とケース200との接触部分を示す図である。
図23に示す新たな符号について以下に説明する。
【0042】
「L1」は放熱フィン300の放熱面320とケース200との間隔を示す。
「L2」はパッド330の厚さを示す。
「P」はパッド330の圧縮量を示し、「L2−L1」で表される。
「C」はパッド330の硬度を示す。
「A」はパッド330の面積を示す。
「S」はパッド330とケース200との間に生じる応力を示す。
【0043】
熱伝導効率は熱伝導面に適度な応力を与えることで高めることができる。つまり、各実施の形態においてパッド330とケース200との間に適当な応力Sを与えることにより電子部品で発した熱に対する放熱効果を高めることができる。
また、パッド330とケース200との間での応力Sはパッド330の圧縮量P(パッド330を押し潰すサイズ)、パッド330の硬度C、パッド330とケース200とが接する面積Aなどに影響される。
そこで、放熱効果およびコスト面を考慮して、各実施の形態で説明した放熱構造・放熱方法に適したパッド330に関して自ら有する本質的な特性(厚さL2、硬度C、面積A)および他の物の特性に影響される付随的な特性(間隔L1、圧縮量P)について以下に具体例を挙げる。ここで、パッド330の本質的な特性とパッド330の付随的な特性とを合わせてパッド330の特性とする。
【0044】
<実施例1>
(1)放熱フィン300の放熱面320とケース200との間隔L1は1mm(ミリメートル)以上3mm以下とする。
(2)パッド330の厚さL2は2mm以上4mm以下とする。
(3)パッド330の圧縮量Pは1mmとする。
(4)パッド330の硬度CはアスカーC硬度で25以下相当とする。
【0045】
実施例1において、パッド330の各特性は以下のような関係にある。
(a)L2 = L1+1(mm)
(b)1.3 ≦ L2/L1 ≦ 2.0
【0046】
なお、パッド330の特性において「Xmm(1mm〜4mm)」といった記載は、「略Xmm」を意味し、四捨五入した値、小数点以下を切り上げ・切り捨てした値などの凡その値を示す。
【0047】
実施例1においてパッド330の特性を上記のように設定した理由として以下の3点が挙げられる。
第1の理由は、パッド330の厚さL2が薄すぎるとパッド330の弾性が十分に得られないため、点灯装置199をケース200に収納した際に電子部品のはんだ部分に応力がかかり、最悪の場合、はんだにクラックが発生する恐れがある為である。
第2の理由は、パッド330が厚すぎるとパッド330の熱抵抗が大きくなり、放熱フィン300からケース200への熱の伝達性が悪化する為である。
第3の理由は、パッド330の厚さL2は1〜4mmが汎用サイズであり、このサイズ以上若しくは以下の厚さL2を持つパッド330は特注品となり価格が高くなる為である。
【0048】
実施の形態9.
本実施の形態は、実施の形態1〜実施の形態8の放熱フィン300(放熱板)とケース200との密着性を高めるために、放熱フィン300のケース200と接触する面(放熱面320、パッド330)をケース200に対して略平行となるように規制する構造に関するものである。
【0049】
図24は、実施の形態9における放熱フィン300の取り付けられた点灯装置199を示す図である。図24は、実施の形態1に対応し、点灯装置199を正面(下図)と上方(上図)とから示している。
図25は、実施の形態9におけるダクトプラグ型照明器具400のケース200に収められた点灯装置199を示す断面図である。
図26は、実施の形態9における電子部品102に対する放熱フィン300の取り付けを示す図である。
図27は、実施の形態9における放熱フィン300の取り付けられた電子部品102を示す図である。図27は放熱フィン300の取り付けられた電子部品102を正面(下図)と上方(上図)とから示している。
図28は、実施の形態9における電子部品104および電子部品105に対する放熱フィン300の取り付けを示す図である。
図29は、実施の形態9における放熱フィン300の取り付けられた電子部品104および電子部品105を示す図である。図29は放熱フィン300の取り付けられた電子部品104および電子部品105を正面(下図)と上方(上図)とから示している。
図30は、実施の形態9における放熱フィン300の取り付けられた電子部品102、電子部品104および電子部品105の配置関係を示す図である。図30は放熱フィン300の取り付けられた電子部品102、電子部品104および電子部品105を上方(上図)から示している。
実施の形態9における点灯装置199の構成について、図24〜図30に基づいて以下に説明する。
【0050】
図24および図25に示すように、放熱フィン300は、断面が略L字形状になるように折り曲げて形成され、電子部品(例えば、電子部品102、電子部品104、電子部品105)に接触する接面310とケース200に接触する放熱面320とを有する。放熱フィン300の放熱面320はパッド330を有し、パッド330を介してケース200に接触し、電子部品の熱をケース200に伝達して放熱する。
放熱フィン300は前記各実施の形態と同様である。
【0051】
また、図26や図28に示すように、放熱フィン300の接面310には、ネジ301、傾き規制ネジ620を挿入するネジ切りしたネジ穴340を略一直線上に3つ備えている。
図26や図27に示すように、放熱対象の電子部品102(ダイオードブリッジ)にはネジ301によって放熱フィン300が取り付けられている。ネジ301は互いに接する電子部品102と放熱フィン300の接面310とを貫通して電子部品102に放熱フィン300を固定する。
【0052】
図24や図25に示すように、電子部品102に取り付けられたネジ301のネジ頭302は電子部品102より突出しており、このネジ頭302が電子トランス基板100上に配置された他の電子部品101(ラインフィルタ)に接触するように、電子部品101と電子部品102とは配置される。つまり、放熱対象であり放熱フィン300が取り付けられる電子部品102の隣りに配置されるその他の電子部品101とは、電子部品102に放熱フィン300を固定するネジ301のネジ頭302の高さ(厚さ)分だけ離れた位置に配置される。言い換えると、放熱フィン300は電子部品102と電子部品101との配置間隔分の高さを持つネジ頭302を有するネジ301により電子部品102に固定される。また、ネジ301は電子部品101側にネジ頭302が位置するように電子部品101が配置される側から電子部品102のネジ穴131および放熱フィン300のネジ穴340に挿入され、電子部品102に放熱フィン300を固定する。放熱フィン300の接面310を電子部品102と電子部品101との間に配置して放熱フィン300を電子部品102に固定する場合、ネジ301のネジ頭302は、電子部品102と電子部品101との間隔幅から接面310の厚さを差し引いた分の高さを持つことになる。以下、放熱フィン300の接面310が電子部品102と電子部品101との間ではなく、電子部品102と電子部品102に対向して配置される電子部品104および電子部品105との間に配置されるものとして説明する。
【0053】
このとき、ケース200にパッド330を介して接触する放熱面320を電子部品101側に突出するように放熱フィン300を電子部品102に取り付けると、放熱フィン300の自重により電子部品102が電子部品101に接触しやすくなり、電子部品102が安定してほぼ直立する。つまり、放熱フィン300は、接面310に対して直角方向に突出する放熱面320が電子部品101側に配置されるように、電子部品102に取り付けられる。このため、放熱フィン300が取り付けられた電子部品102には放熱面320の突出方向、つまり、電子部品101側に放熱フィン300の荷重がかかる。しかし、実施の形態9では、放熱フィン300を電子部品102に取り付けるネジ301のネジ頭302が電子部品101に当接するため、放熱フィン300から荷重を受けても電子部品102は電子部品101側に傾かない。また、電子部品102には電子部品101側に荷重がかかるため、電子部品102は電子部品101が配置されていない反対側(電子部品104および電子部品105側)に傾くこともない。つまり、電子部品102は直立を維持することができる。ここで、電子部品101は直方体を形成し、直方体の下面の4隅から突出する4本の配線脚132により電子トランス基板100に取り付けられているものとする。四角形の下面の4隅に配置された4本の配線脚132により安定して取り付けられた電子部品101は、電子部品102に取り付けられた放熱フィン300の放熱面320が接面310から伸張する側において、放熱フィン300を電子部品102に取り付けるネジ301のネジ頭302の高さ分だけ離れた位置に配置され、直列に配置された4本の配線脚132(図26参照)で取り付けられた不安定な電子部品102をネジ頭302を介して支持する。
【0054】
電子部品102が直立を維持できることにより、電子部品102に取り付けられたL字形の放熱フィン300の放熱面320は、電子トランス基板100に対して平行を維持し、直方体のケース200の底面201(または、天面202、側面203)に対して略平行となり、パッド330をケース200に対して均一な応力で面接触させることができる。この結果、パッド330からケース200に熱伝導しやすくなり、電子部品102に対する放熱効果が向上する。
【0055】
なお、本実施の形態では、電子部品102に取り付けられるネジ301のネジ頭302が電子部品101に接触する場合について説明したが、ネジ頭302が接触するのは電子部品101に限らず、電子トランス基板100上に安定して取り付けられる他の電子部品であってもよい。
また、ネジ301はネジ頭302が電子部品102に当接するまで完全にねじ込まなくてもよく、ネジ頭302が電子部品101に接する程度にねじ込めばよい。
【0056】
次に、電子部品104および電子部品105に放熱フィン300を固定するネジ(ネジ301、傾き規制ネジ620)に関して説明する。
【0057】
図28や図29に示すように、スイッチング素子である電子部品105および電子部品104(MOS−FET)にはそれぞれネジ301、傾き規制ネジ620によって同一の放熱フィン300が取り付けられている。ネジ301は互いに接する電子部品105と放熱フィン300の接面310とを貫通して電子部品105に放熱フィン300を固定し、傾き規制ネジ620は互いに接する電子部品104と放熱フィン300の接面310とを貫通して電子部品104に放熱フィン300を固定する。
この電子部品104に放熱フィン300を取り付ける傾き規制ネジ620はネジ301より長く(例えば、全長20mm)、放熱フィン300を貫通して先端部621を放熱フィン300からネジ301より長く突出させる。但し、傾き規制ネジ620が電子部品105に放熱フィン300を固定し、ネジ301が電子部品104に放熱フィン300を固定しても構わない。
この傾き規制ネジ620の突出する長さは、電子部品102、電子部品104および電子部品105を略直立に電子トランス基板100に実装したときに、傾き規制ネジ620の先端部621が電子部品102に取り付けられた放熱フィン300の接面310に接触する長さ、または、傾き規制ネジ620の先端部621が電子部品102に取り付けられた放熱フィン300のネジ穴340に挿入される程度の長さである。
【0058】
図30に示すように、電子部品104および放熱フィン300から突出させた傾き規制ネジ620の先端部621が電子部品102に取り付けられた放熱フィン300に接触するように、電子トランス基板100上に電子部品102、電子部品104および電子部品105を実装する。または、傾き規制ネジ620の先端部621を電子部品102に取り付けられた放熱フィン300のネジ穴340にねじ込んで、電子部品102、電子部品104および電子部品105を電子トランス基板100に実装する。
つまり、電子部品102に取り付けられた放熱フィン300は、接面310の表面に電子部品102が固定され、接面310の裏面に傾き規制ネジ620の先端部621が接触、または、挿入される。
これにより、電子部品104および電子部品105は放熱フィン300を介して傾き規制ネジ620により電子部品102に結合される。
こうして、電子部品102、電子部品104および電子部品105は、電子部品102が有する直列に配置された4本の配線脚132(図26参照)と電子部品104および電子部品105が形成する直列に配置された4本の配線脚132(図28参照)との対向する8本の配線脚132により安定して電子トランス基板100に取り付けられる。
電子部品104および電子部品105は電子トランス基板100に安定して取り付けられることにより直立を維持する。
そして、電子部品104および電子部品105が直立を維持することにより、電子部品104および電子部品105に取り付けられた断面L字形の放熱フィン300の放熱面320は、電子トランス基板100に対して平行を維持し、直方体のケース200の底面201(または、天面202、側面203)に対して略平行となり、パッド330をケース200に対して均一な応力で面接触させることができる。この結果、パッド330からケース200に熱伝導しやすくなり、電子部品104および電子部品105に対する放熱効果が向上する。
【0059】
図31は、実施の形態9における点灯装置199の電子部品を電子トランス基板100に半田付けする工程を示す図である。
フロー式の半田付けを行うとき、図31に示すように、電子トランス基板100は製造ライン上で搬送路701により斜面を半田槽700まで登る。
このとき、電子トランス基板100に配置された各電子部品は半田付けが行われていないため、ライン上の斜面を登る際に傾く恐れがある。
しかしながら、電子部品102は、電子トランス基板100上に安定的に配置された電子部品101に接触するため、ほぼ直立状態を保つことができる。
また、電子部品104および電子部品105は、放熱フィン300から突出させた傾き規制ネジ620の先端部621が電子部品102に取り付けられた放熱フィン300に接触するため、電子部品102と同様、ほぼ直立状態を保つことができる。
搬送路701を登った後、、電子トランス基板100は半田槽700をほぼ水平を保って通過すると共に半田が下側から噴出され、各電子部品のリード部(配線脚132)が電子トランス基板100のパターンに半田付けされる。
このように、放熱フィン300が取り付けられた電子部品102、電子部品104および電子部品105は、ほぼ直立状態を保った状態で半田付けされるため、半田付け後もほぼ直立状態となる。つまり、半田付け後も電子部品102に取り付けられた放熱フィン300と電子部品104および電子部品105に取り付けられた放熱フィン300とは、放熱面320がケース200の底面201に対して平行状態となり、パッド330の面を均等にケース200に接することができる。これにより、各放熱フィン300のパッド330とケース200とが適度な応力で接し、電子部品102、電子部品104および電子部品105で発生した熱に対して高い放熱効果が得られる。
なお、本実施の形態において、電子部品を半田付けする方法としてフロー方式による半田付けの場合について説明したが、他の方法による半田付け(例えば、リフロー方式、手作業による半田付け)により電子部品を半田付けしてもよい。
【0060】
図32は、実施の形態9におけるダクトプラグ型照明器具400を示す分解斜視図である。
図33は、実施の形態9におけるダクトプラグ型照明器具400を示す図である。
図34は、実施の形態9におけるダクトプラグ型照明器具400を示す分解斜視図である。
図32、図33に示すように、ダクトプラグ型照明器具400のケース200は、底面201と側面203とで断面コの字状を形成するケース本体220と天面202と側面203とで断面コの字状を形成するケース蓋210とからなる。ケース本体220の一面は開口しており、点灯装置199はケース本体220の開口している面から放熱フィン300の放熱面320がケース本体220の底面201に接触するように組み込まれる。点灯装置199が組み込まれたケース本体220にはケース本体220の開口面を閉塞するケース蓋210が被せられ、ダクトプラグ型照明器具400が組み立てられる。組み立てられたダクトプラグ型照明器具400の内部では、ケース蓋210の天面202とケース本体220の底面201とが点灯装置199を挟み込み、点灯装置199がケース200内に固定されている。
このとき、図25に示すように、点灯装置199の半田面(電子部品のリード部先端が突出する電子トランス基板100の裏面)はケース200の開口している面側に来る。このため、ケース蓋210が電気を通す材質(例えば、金属)で製造されている場合には、図34に示すように、電気的に絶縁をする絶縁シート230を電子トランス基板100とケース蓋210との間に入れる。例えば、図34に示すように、長手方向で屈折する断面コ字形状のプラスチックシートを絶縁シート230として用いて電子トランス基板100の半田面と側方とを絶縁シート230で覆う。
【0061】
なお、本実施の形態では、傾き規制ネジ620の先端部621を他の放熱フィン300に接触させる場合について説明したが、傾き規制ネジ620の先端部621を他の電子部品(例えば、電子部品102)に接触させてもよい。傾き規制ネジ620の先端部621を接触させる電子部品は電子トランス基板100上に安定して配置されるものが好ましい。
【0062】
図35、図36は、実施の形態9における放熱フィン300の取り付けられた点灯装置199を示す図である。図35、図36は図24に対応する図である。
また、図35に示すように、傾き規制ネジ620により放熱フィン300を電子部品102に固定してもよい。電子部品102に放熱フィン300を固定する傾き規制ネジ620は、ネジ頭622が電子部品101に接すると共に、先端部621が電子部品104および電子部品105に取り付けられた放熱フィン300のネジ穴340にねじ込まれる。
また、図36に示すように、電子部品104および電子部品105に取り付けられた放熱フィン300は放熱面320が電子部品104および電子部品105が位置しない側、つまり、電子部品102側に伸張するように取り付けられてもよい。
【0063】
実施の形態9では、以下のような点灯装置199について説明した。
【0064】
点灯装置199は以下のものを備える。
(a)電子部品(電子部品102)
(b)電子部品が実装される基板(電子トランス基板100)
(c)基板を内蔵するケース200
(d)略L字形状に折り曲げて形成され、ケース200に接触する放熱面320と電子部品に接触する接面310とを有する放熱部材(放熱フィン300)
(e)電子部品を放熱部材に固定するとともに、電子部品から突出する取付頭部(ネジ頭302)が放熱部材のケース200に接触する放熱面320をケース200に対してほぼ平行となるように他の電子部品(電子部品101)に接触する固定部材(ネジ301)
【0065】
点灯装置199は以下のものを備える。
(a)電子部品(電子部品104、電子部品105)
(b)電子部品が実装される基板
(c)基板を内蔵するケース200
(d)略L字形状に折り曲げて形成され、ケース200に接触する放熱面320と電子部品に接触する接面310とを有する放熱部材
(e)電子部品を放熱部材に固定するとともに、放熱部材から突出する先端部(先端部621)が放熱部材のケース200に接触する放熱面320をケース200に対してほぼ平行となるように他の電子部品(電子部品102または電子部品102に取り付けられた放熱フィン300)に接触する固定部材(傾き規制ネジ620)
【0066】
点灯装置199は以下のものを備える。
(a)電子部品(電子部品102、電子部品104および電子部品105)
(b)電子部品が実装される基板
(c)基板を内蔵するケース200
(d)略L字形状に折り曲げて形成され、ケース200に接触する放熱面320と電子部品に接触する接面310とを有する2つの放熱部材
(e)電子部品(電子部品102)を一方の放熱部材に固定するとともに、放熱部材から突出する先端部が、放熱部材のケース200に接触する放熱面320をケース200に対してほぼ平行となるように他の電子部品(電子部品101)に接触する第1の固定部材
(f)前記電子部品とは異なる他の電子部品(電子部品104および電子部品105)を他方の放熱部材に固定する第2の固定部材
そして、点灯装置199は、放熱部材の電子部品(電子部品102)に接触する接面310が、ケース200に接触する放熱面320の配置される側の他の電子部品(電子部品101)に接触するとともに、当該他の電子部品に接触する接面310の裏面側において第2の固定部材の先端部に接触する。
また、この点灯装置199は、各放熱部材の電子部品を接触させる接面310を互いに相対向するように配置して、いずれかの放熱部材と電子部品を固定する固定部材とが、他方の放熱部材にほぼ接触する。
また、この点灯装置199は、各放熱部材のケース200に接触する放熱面320を電子部品に接触する接面310に対して同一方向に突出させてもよいし、各放熱部材のケース200に接触する放熱面320を電子部品に接触する接面310に対して相対する方向に突出させてもよい。
また、この点灯装置199は、放熱部材の電子部品に接触する接面310に固定穴(ネジ穴340)を少なくとも2つ備え、一方の放熱部材を固定する固定部材の先端部が他方の放熱部材の固定穴に接触する。
また、この点灯装置199は、ケース200と放熱部材のケース200に接触する放熱面320との間に熱伝導部材(パッド330)を有する。
【0067】
実施の形態10.
図37は、実施の形態10における放熱フィン300の取り付けられた電子部品104および電子部品105を示す図である。
図38は、実施の形態10における放熱フィン300の取り付けられた電子部品104および電子部品105を示す図である。
図37および図38は、放熱フィン300の取り付けられた電子部品104および電子部品105を正面(下図)と下方(上図)とから示している。
実施の形態9と異なる方法により、放熱フィン300のケース200と接触する面(放熱面320、パッド330)をケース200に対して略平行となるように規制する構造について、図37および図38に基づいて以下に説明する。図37および図38は、実施の形態9の図30に対応する図である。
【0068】
図37に示すように、実施の形態10における点灯装置199は、直列する電子部品104と電子部品105との間に、電子部品197(例えば、サーマルプロテクタ)を電子部品104および電子部品105と直交させて断面T字形を形成するように配置する。また、電子部品197は放熱フィン300の接面310と直交する向き(直角を成す向き)で接し、放熱フィン300の接面310と断面T字形を形成する。これにより、放熱面320の伸張する側にかかる放熱フィン300の荷重を電子部品197で受けることができ、放熱フィン300が放熱面320の伸張方向に傾くことを防ぐことができる。また、傾き規制ネジ620の先端部621が電子部品102に取り付けられた放熱フィン300に接することにより、電子部品104および電子部品105に取り付けられた放熱フィン300は放熱面320が位置しない側にも傾かない。この結果、電子部品104および電子部品105に取り付けられた放熱フィン300の放熱面320は、ケース200の面に対して略平行となり、パッド330をケース200に対して均一な応力で面接触させ、電子部品104および電子部品105に対する高い放熱効果を得る。
【0069】
また、図38に示すように、電子部品197を電子部品104(または電子部品105)の端部側において電子部品104と直交させて断面L字形を形成するように配置してもよい。つまり、電子部品197と放熱フィン300の接面310とで断面L字形を形成してもよい。
【0070】
実施の形態10では、以下のものを備える点灯装置199について説明した。
(a)電子部品(電子部品104、電子部品105)
(b)電子部品が実装される基板(電子トランス基板100)
(c)基板を内蔵するケース200
(d)略L字形状に折り曲げて形成され、ケース200に接触する放熱面320と電子部品に接触する接面310とを有する放熱部材(放熱フィン300)
(e)電子部品を放熱部材に固定する固定部材(ネジ301)
そして、点灯装置199は、放熱部材の電子部品に接触する接面310が、ケース200に接触する放熱面320が配置される側の他の電子部品(電子部品197)に接触する。
【符号の説明】
【0071】
100 電子トランス基板、101,102,103,104,105,106,107,108,109,197,198 電子部品、110 放熱フィン、111 ネジ穴、112 配線脚、120 充填材、131 ネジ穴、132 配線脚、199 点灯装置、200 ケース、201 底面、202 天面、203 側面、210 ケース蓋、220 ケース本体、230 絶縁シート、300 放熱フィン、301 ネジ、302 ネジ頭、303 ネジ本体、310 接面、320 放熱面、330 パッド、340 ネジ穴、400 ダクトプラグ型照明器具、401 別置型照明器具、410 照明取付軸、420 反射板、430 ソケット、440 ランプ、450 コード、510 ダクトレール、520 天井、521 天井孔、530 造営材、620 傾き規制ネジ、621 先端部、622 ネジ頭、623 ネジ本体、700 半田槽、701 搬送路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品と、
前記電子部品が内蔵されるケースと、
前記電子部品に取り付ける放熱フィンであり、前記電子部品に接する接部と、前記接部と連接する連接部と、前記連接部の表面に取り付けられると共に前記ケースの内面に接して前記電子部品で発した熱をケースへ伝達する弾性部とを有する放熱フィンと
を備える電子器具であって、
前記放熱フィンにおいて、前記連接部は前記弾性部の取り付け部分に凹凸形状を有し、前記弾性部は前記連接部の前記凹凸形状に沿って変形して前記連接部に密着している
ことを特徴とする電子器具。
【請求項2】
電子部品と、
前記電子部品が内蔵されるケースと、
前記電子部品に取り付ける放熱フィンであり、前記電子部品に接する接部と、前記接部と連接する連接部と、前記連接部の表面に取り付けられると共に前記ケースの内面に接して前記電子部品で発した熱をケースへ伝達する弾性部とを有する放熱フィンと
を備える電子器具であって、
前記ケースは前記放熱フィンの前記弾性部が接する部分に凹凸形状を有し、前記放熱フィンの前記弾性部は前記ケースの前記凹凸形状に沿って変形して前記ケースに密着する
ことを特徴とする電子器具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2012−33959(P2012−33959A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228735(P2011−228735)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【分割の表示】特願2007−175232(P2007−175232)の分割
【原出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】