説明

電子機器の2軸ヒンジ

【課題】 ノート型パソコンのような電子機器の第1筐体に対して第2筐体を安定的に保持できた上で、永年使用の後、第2筐体が捩じれてしまうことのない2軸ヒンジを提供せんとする。
【解決手段】ノート型パソコンのような電子機器の第1筐体に離間対向させて設けた一対の取付部材間にベースフレームを上下方向へ回転可能に取り付ける開閉用ヒンジと、このベースフレームの中央部に前記第2筐体を支持する支持部材を水平方向へ回転可能に取り付ける回転用ヒンジと、前記開閉用ヒンジの動作角度により前記回転用ヒンジの動作を規制するリンクブロックとから成り、このリンクブロックと前記開閉用ヒンジのヒンジシャフトを共に非回転に構成し、この非回転のヒンジシャフトと前記リンクブロックとの間を連結軸で連結することで解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばノート型パソコンのような比較的大型のキーボード部を有する第1筐体とディスプレイ部を有する第2筐体とから成る電子機器において、前記第2筐体を第1筐体に対して上下方向へ開閉可能、かつ水平方向へ回転可能に取り付ける際に用いて好適な2軸ヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機のような小型の電子機器の2軸ヒンジとして、下記特許文献1に記載されたような、第1筐体に対して第2筐体を上下方向へ開閉させ、任意の開閉角度で停止保持できる開閉用ヒンジと、第2筐体の第1筐体に対する上下方向の所定の開閉角度で、開閉用ヒンジのヒンジシャフトに対して直交する方向へ第2筺体を第1筺体に対して回転させることのできる回転用ヒンジとを有しているものが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-177829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された2軸ヒンジは、第1の筐体側に所定間隔を空けて一対の取付部材を取り付け、この取付部材に開閉用ヒンジを介して基本フレーム(ベースフレーム)を上下方向へ開閉可能に取り付け、この基本フレームに回転用ヒンジを介して第2筐体を支持する支持部材が水平方向へ回転可能に取り付けられている。そして、第2筐体の第1筐体に対する開閉用ヒンジを介しての上下方向の開閉角度によって、第2筐体を水平方向へ回転させる回転用ヒンジの動作を規制する必要があるために、開閉用ヒンジと回転用ヒンジとの間にリンクブロックが設けてある。そのためこのリンクブロックを設けた側のベースフレーム(基本フレーム)の長さが短い。この構成は、第1筐体と第2筐体が携帯電話機のように小型の電子機器のものの場合には良いが、第1筐体と第2筐体が中型や大型のノート型パソコンなどの場合には、この小型の電子機器用のベースフレームで第2筐体を支持するには、安定性に欠けるという問題がある。そこで、このベースフレームの全体の長さを長くして、回転用ヒンジを設ける側のベースフレームを短くするということが考えられたが、このように構成すると、現状のままではベースフレームの回転用ヒンジを挟んだ左右の長さに長短が生じ、ベースフレームの剛性に差異が生じることから、第2筐体に回転用ヒンジのヒンジシャフトを挟んで捩じれが発生するというおそれが生じた。
【0005】
本願の目的は、第1筐体に対して第2筐体を安定的に保持できた上で、永年使用の後、第2筐体が捩じれてしまうことのない2軸ヒンジを提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、ノート型パソコンのような電子機器のキーボード部を有する第1筐体に対して、ディスプレイ部を有する第2筐体を上下方向へ開閉可能かつ水平方向へ回転可能に連結するものであって、前記第1筐体に離間対向させて設けた一対の取付部材間にベースフレームを上下方向へ回転可能に取り付ける開閉用ヒンジと、前記ベースフレームの中央部に前記第2筐体を支持する支持部材を水平方向へ回転可能に取り付ける回転用ヒンジと、前記開閉用ヒンジの動作角度により前記回転用ヒンジの動作を規制するリンクブロックとから成り、このリンクブロックと前記開閉用ヒンジのヒンジシャフトを共に非回転に構成し、この非回転のヒンジシャフトと前記リンクブロックとの間を連結軸で連結したことを特徴とする。
【0007】
その際に本発明は、前記開閉用ヒンジを軸ヒンジとチルトヒンジで構成することができる。
【0008】
本発明はまた、前記リンクブロックを、前記ベースフレームより垂下させた保持部材に当該保持部材が回転可能となるように取り付け、前記リンクブロックの回転を前記連結軸で規制するように構成することができる。
【0009】
そして本発明は、前記リンクブロックを取り付ける開閉用ヒンジを、チルトヒンジとし、このチルトヒンジのチルトヒンジシャフトを、前記取付部材へ非回転に取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上のように構成することにより、ベースフレームの回転用ヒンジシャフトを挟んだ左右の長さを同じ長さにすることができることから、ベースフレームに回転用ヒンジシャフトを挟んで剛性の差異が生せず、かつ、ベースフレームの長さを必要なだけ得ることができるので、安定的に第2筐体を保持でき、かつ、経時変化によって第2筐体が第1筐体に対し捩じれてしまうことなく、良好な閉成状態と開成状態を保つことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る2軸ヒンジを用いたノート型パソコンにおいて、第2筐体を第1筐体に対して90°開いた状態の正面図である。
【図2】図1の状態の側面図である。
【図3】第1筐体に対して第2筐体を閉じた状態における2軸ヒンジの側面図である。
【図4】図3の状態における2軸ヒンジの部分の正面図である。
【図5】本発明に係る2軸ヒンジの図1の状態における分解斜視図である。
【図6】図5における2軸ヒンジを後部側から見た分解斜視図である。
【図7】本発明に係る2軸ヒンジのうち、回転用ヒンジの部分の拡大斜視図である。
【図8】本発明に係る2軸ヒンジのリンクブロックの部分の動作を説明する説明図であり、(a)は第2筐体を第1筐体に対して90°まで開いた状態を示し、(b)は第2筐体を第1筐体に対し90度に至らない中間角度まで開いた状態を示している。
【図9】チルトヒンジシャフトの拡大斜視図である。
【図10】フリクションワッシャーの斜視図である。
【図11】第1カムワッシャーの斜視図である。
【図12】第2カムワッシャーの斜視図である。
【図13】リンクブロックの拡大斜視図である。
【図14】連結軸の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を添付した図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の説明では電子機器の一例として、ノート型パソコンを例に挙げているが、本発明は、その他の、例えばPDA、携帯電話機、ビデオカメラ、DVDモニターなどの電子機器にも適用できることは言うまでもない。
【実施例1】
【0013】
図1乃至図4において、指示記号1で示されたものは、ノート型パソコンであり、このノート型パソコン1は、キーボード部2aを有する第1筐体2と、ディスプレイ部3aを有する第2筐体3と、第1筐体2と第2筐体3とを互いに上下方向へ開閉可能にし、かつ、所定の開成角度で第2筐体3を第1筐体2に対して水平方向へ回転できるようにする、2軸ヒンジ4とで構成されている。
【0014】
この2軸ヒンジ4は、とくに図1と図5乃至図6に示したように、第1筐体2の後端部上側に所定間隔を空けて取り付けられたところの断面略アングル形状を呈した一対の取付部材5、6の間に、断面略コの字形状を呈したベースフレーム9を上下方向へ回転可能に取り付けた通常の軸ヒンジ7とチルトヒンジ8からなる開閉用ヒンジAと、ベースフレーム9の略中央部に第2筐体3を支持する支持部材11を水平方向へ回転可能に取り付ける回転用ヒンジBと、ベースフレーム9の下側に取り付けられたところの断面略アングル形状の保持部材12に当該保持部材12が回転可能となるように取り付けたリンクブロック13と、このリンクブロック13とチルトヒンジ8との間を当該リンクブロック13が非回転となるように連結する連結軸34とで構成されている。
【0015】
尚、図面では、リンクブロック13へ連結軸34で連結する開閉用ヒンジAはチルトヒンジ8であるが、軸ヒンジ7にしても良いことは勿論である。即ち、軸ヒンジ7のヒンジシャフト7aとリンクブロック13との間を連結軸34で連結するように構成しても良い。
【0016】
軸ヒンジ7は、とくに図1乃至図6に示したように、ベースフレーム9の一方の側板9aに設けた軸支孔9cと、筒状のスペーサー9dと、軸支孔9cと筒状のスペーサー9dと取付部材5の側板5aに設けた円形取付孔5bとを貫通して、当該円形取付孔5bへその端部7cをかしめて固定したフランジ部7b付のヒンジシャフト7aと、で構成されており、ベースフレーム9の側板9aは取付部材5の側板5aに対してヒンジシャフト7aを支点に回転可能に連結されている。尚、この軸ヒンジ7の構成は一列であって、実施例のものに限定されない。その他の公知構成のヒンジに代えることができる。さらに、例えばスペーサー9dは省略される場合がある。また、指示記号5cは取付部材5を第1筺体2へ取り付けるための取付板である。さらに、ベースフレーム9の指示記号9gはリブ部であり、9hは取付ネジ孔、9kは軸受孔である。
【0017】
チルトヒンジ8は、同じくとくに図1乃至図6に示したように、もう一方の取付部材6の側板6aに設けた変形取付孔6bへ自身の変形取付部14aを挿入してかしめることによって非回転に固定されたチルトヒンジシャフト14と、このチルトヒンジシャフト14とベースフレーム9の側板9bの間に設けられたチルト機構15とで構成されている。尚、指示記号6cは、取付部材6を第1筺体2へ取り付けるための取付板である。
【0018】
チルトヒンジシャフト14は、とくに図9に示したように、変形取付部14aと大径部14bと変形小径軸部14cとで構成され、変形小径軸部14cは、大径部14b側から円形軸部14d、第1変形軸部14e、及び第2変形軸部14fと第3変形軸部14gとで構成されている。
【0019】
チルト機構15は、とくに図5乃至図6及び図10に示したように、中心部軸方向へ円形挿通孔16aを有し、面部に油溜め用の小孔又は凹部16bが設けられ、外縁部にはチルトヒンジシャフト14の大径部14bに設けた係止溝14hと係合する係止片16cを有するフリクションワッシャー16と、軸支孔9fと係止孔9eを有するベースフレーム9の側板9bと、とくに図11に示したように、外縁よりベースフレーム9の側板9bに設けた係止孔9eへ係合させる係止片17bを有すると共に、その外周側に円弧状の第1凹状カム部17cを有し、円形挿通孔17aの側に円弧状の第2凹状カム部17dを有する第1カムワッシャー17と、とくに図12に示したように、中心部軸方向に変形挿通孔18aを有し、第1カムワッシャー17の外周側に設けた第1凹状カム部17c及び円形挿通孔17aの側に設けた第2凹状カム部17dと対向する側に設けた同じく円弧状の第1凸状カム部18b及び第2凸状カム部18cを有する第2カムワッシャー18と、それぞれ中心部軸方向に円形挿通孔19aを有し、一対ずつ向かい合わせに配置して成る6枚の皿バネ19と、その中心部軸方向に設けた変形挿通孔20aを有し、外縁にストッパー用の係止突片20b有するストッパープレート20と、中心部軸方向に設けた変形挿通孔21aと外周に設けた一対の係止溝21b、21bとを有する押え用ワッシャー21とで構成されている。
【0020】
そして、チルトヒンジシャフト14は、円形軸部14dの部分をベースフレーム9の側板9bに設けた軸支孔9fへ挿通させ、フリクションワッシャー16と第1カムワッシャー17の各円形挿通孔16a、17aを同じく円形軸部14dへ挿通させている。次いで、第2カムワッシャー18の変形挿通孔18aへチルトヒンジシャフト14の第1変形軸部14eを挿通係合させ、さらに、各皿バネ19の円形挿通孔19aへ第3変形軸部14gを挿通させている。
【0021】
また、ストッパープレート20の変形挿通孔20aと押え用ワッシャー21の変形挿通孔21aへチルトヒンジシャフト14の第3変形軸部14gを挿通係合させた上で、押え用ワッシャー21より突出した第3変形軸部14gの端部をかしめることにより、所定のフリクショントルクがチルト機構15によりベースフレーム9の側板9bの両側に生ずるように構成されている。
【0022】
回転用ヒンジ10は、とくに図5乃至図7に示したように、ベースフレーム9の中央部に設けた軸受孔9kへ回転可能に軸挿された筒状の回転用ヒンジシャフト22と、この回転用ヒンジシャフト22の端部に設けた第1変形軸部22aをその中央部に設けた変形取付孔11aへ挿通させた上で第1変形軸部22aの端部をかしめることによって当該回転用ヒンジシャフト22へ固定された支持部材11と、ベースフレーム9の下面と回転用ヒンジシャフト22の変形フランジ部22bとの間に設けられたフリクションクリック機構23とで構成されている。フリクションクリック機構23は、その中心部軸方向に設けた挿通孔24aへ回転用ヒンジシャフト22を回転可能に挿通させ、その両端部より立ち上げた取付片24b、24bの先端部をベースフレーム9に設けた係止孔9i、9jへ挿入係止させたクリックベース部材24と、その中心部軸方向に設けた円形挿通孔25a、26aへ回転用ヒンジシャフト22を回転可能に挿通させつつクリックベース部材24の上側と下側に当該クリックベース部材24に設けた係止孔24c、24cへ自己に設けた係止片25b、25b・26b、26bを挿入させた一対のクリックプレート25、26と、この各クリックプレート25、26の上部側より下部側にその中心部に設けた変形挿通孔27a、28a・29a、30aへ回転用ヒンジシャフト22の第2変形軸部22cを挿入固定させて設けた各一対のスプリングプレート27、28・29、30と、上側のスプリングプレート28とベースフレーム9との間にその中心部軸方向に設けた円形挿通孔31aを挿通させた上で、ベースフレーム9に固定されたフリクションプレート31とで構成されている。尚、このフリクションプレート31は、両側部に係止溝31b、31bを有し、上方へ立設させて係止片31cが設けられている。
【0023】
さらに、ベースフレーム9の上側にはその中心部軸方向に設けた円形挿通孔32aへ回転可能に回転用ヒンジシャフト22を挿通させた平ワッシャー32と、その中心部軸方向に設けた挿通孔33aへ回転用ヒンジシャフトを回転可能に挿通させてなるスペーサー33とが設けられている。
【0024】
また、各クリックプレート25、26には180°間隔で凹部25c、25c・26c、26cが設けられ、各スプリングプレート27、28・29、30には、その回転角度によって凹部25c、25c・26c、26cへ嵌入する凸部27b、27b,28b、28b・29b、29b・30b、30bが設けられている。尚、回転用ヒンジ10の構成は、実施例のものに限定されない。それは要するに支持部材11を第2筐体3と共に水平方向へ回転させる際に、適当なフリクショントルクをもって回転され、好ましくは180°の回転角度でクリック停止する機能を持っていれば、その構成に限定はない。
【0025】
リンクブロック13は、とくに図13に示したように、軸部13aと、この軸部13aの一方の側に設けた係合突部13bと、軸部13aに設けた周溝13cと、この周溝13cとの間に所定間隔を空けて設けられたフランジ部13dと、このフランジ部13dの外側に設けたDカット部13eとで構成されている。このリンクブロック13は、軸部13aをベースフレーム9の下面に取り付けた断面アングル形状の取付板12aと側板12bから成る保持部材12の側板12bに設けた円形挿通孔12cへ挿通させつつその側板12bを周溝13cとフランジ部13dとの間に位置させることにより、保持されている。周溝13cにはEリング13fが取り付けられている。尚、このEリング13fは、これを省略してリンクブロック13を側板12bの円形挿通孔として抜け止めするように構成してもよい。尚、図5と図6に示したように、保持部材12の下方に指示記号12dで示したものは、当該保持部材12の取付ビスであリ、指示記号12eのものは取付孔である。
【0026】
このリンクブロック13とチルトヒンジ8との間に連結軸34が設けられている。この連結軸34は、とくに図5と図6及び図14に示したように、一端部に設けた係止片34a、34aをチルトヒンジ8の押え用ワッシャー21の係止溝21b、21bと係合させると共に、他端部に設けた係合溝34b、34bへリンクブロック13の係合突部13bを挿入係合させている。尚、リンクロック13は、軸ヒンジ7の方へ設けてもよいことは前述した。
【0027】
次に本発明に係る2軸ヒンジ4の作用効果について説明する。
【0028】
第1筐体2に対して第2筐体3を閉じた図3に示した状態においては、図4に示したように、ベースフレーム9と支持部材11は、ヒンジシャフト7aとチルトヒンジシャフト14を支点にして回転し、共に前側へ倒れている。この閉成状態から第2筐体3を第1筐体2に対して上方へ押して開くと、軸ヒンジ7とチルトヒンジ8が動作して第2筐体3は第1筐体2に対して開かれ、チルト機構15により、任意の開成角度で、第2筐体3を第1筐体2に対して停止保持させておくことができる。この上下方向の開成角度はストッパープレート20により規制され、実施例のもので最大180°である。
【0029】
即ち、第2筐体3を第1筐体2に対して上下方向へ開閉させると、支持部材11と共にベースフレーム9が開閉用ヒンジAを介して回転し、ベースフレーム9のチルトヒンジ8側の側板9bの一方の側に圧接しているフリクションワッシャー16とベースフレーム9の側板9bの一方の側との間、及びベースフレーム9のチルトヒンジ8側の側板9bの他方の側に固定させた第1カムワッシャー17に圧接している第2カムワッシャー18との間にフリクショントルクが発生し、第2筐体3はフリーストップに開閉される。
【0030】
そして、第2筐体3の第1筐体2に対する、とくに図3と図4に示した閉成状態において、第1カムワッシャー17に設けた第1凹状カム部17c及び第2凹状カム部17dへ第2カムワッシャー18に設けた第1凸状カム部18b及び第2凸状カム部18cが落ち込み、ロック状態となることで、第2筐体3は第1筐体2に対して安定した閉成状態を保つものである。
【0031】
第2筐体3の上下方向の開成角度が90°になると、図8の(a)に示したように、回転用ヒンジ10の回転用ヒンジシャフト22が、その回転をリンクブロック13のDカット部13eによって規制されなくなるので、第2筐体3は第1筐体2に対して水平方向へ回転することが可能となる。尚、第2筐体3の開成角度が90°になるまでは、図8の(b)に示したように、回転用ヒンジ10の回転用ヒンジシャフト22は、リンクブロック13のDカット部13eに当接してその回転を規制されている。
【0032】
この回転用ヒンジ10による第2筐体3の水平方向への回転は、図1と図2に示したように、第2筐体3を第1筐体3に対して上下方向へ90°開いた状態から、180°どちらの方向へも可能であるが、180°回転すると、フリクションクリック機構23のスプリングプレート27、28、29、30の凸部27b、27b・28b、28b・29b、29b・30b、30bが、クリックプレート25、26の凹部25c、25c・26c、26cへ嵌入することにより、吸い込まれるようにして回転し、180°でクリック停止する。尚、この第2筺体の水平方向の回転角度は、第1筐体2側から第2筐体3側へ、筒状のヒンジシャフト22内へ通す図示してないコードがあることから規制を受ける。好ましくは左右いずれかの方向へ180°回転したところでストッパー規制を受け元位置に戻るようにすることが好ましい。
【0033】
また、回転用ヒンジ10の動作時には、回転用ヒンジシャフト22の変形フランジ部22bがリンクブロック13のDカット部13eに阻まれて、チルトヒンジ8による上下方向への開閉操作を規制されることになる。
【0034】
尚、連結軸34は、チルトヒンジ8の側でなく軸ヒンジ7の側に設けることができることは先に説明した。また、開閉用ヒンジAは、軸ヒンジ7に代えて両方ともチルトヒンジとすることは可能である。
【0035】
以上詳細に説明したように、開閉用ヒンジAと回転用ヒンジ10との間にリンクブロック13を設け、このリンクブロック13と回転用ヒンジ10の回転用ヒンジシャフト22との間を、連結軸34で連結させるようにしたので、ベースフレーム9の長さを長くし、しかも回転用ヒンジ10に対して左右同じ長さとすることができたので、大型のノート型パソコンの第2筐体3を第1筐体2に対して安定的に支持できた上で、ベースフレーム9に捩じれが生じることを防止できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、以上のように構成したので、比較的に大型のノート型パソコンを始めとする電子機器やOA機器の第2筐体を第1筐体に対して上下方向へ開閉させたり、第2筐体を第1筐体に対して水平方向へ回転させたりすることのできる2軸ヒンジとして好適に用いられるものである。
【符号の説明】
【0037】
1 ノート型パソコン
2 第1筐体
2a キーボード部
3 第2筐体
3a ディスプレイ部
4 2軸ヒンジ
5 取付部材(右)
5a 側板
5b 円形取付孔
5c 取付板
6 取付部材(左)
6a 側板
6b 変形取付孔
6c 取付板
7 軸ヒンジ
7a ヒンジシャフト
7b フランジ部
7c 端部
8 チルトヒンジ
9 ベースフレーム
9a 側板(右)
9b 側板(左)
9c 軸支孔
9d スペーサー
9e 係止孔
9f 軸支孔
9g リブ部
9h 取付ネジ孔
9i、9j 係止孔
9k 軸受孔
10 回転用ヒンジ
11 支持部材
11a 変形取付孔
12 保持部材
12a 取付板
12b 側板
12c 円形挿通孔
12d 取付ビス
12e 取付孔
13 リンクブロック
13a 軸部
13b 係合突部
13c 周溝
13d フランジ部
13e Dカット部
13f Eリング
14 チルトヒンジシャフト
14a 変形取付部
14b 大径部
14c 変形小径軸部
14d 円形軸部
14e 第1変形軸部
14f 第2変形軸部
14g 第3変形軸部
14h 係止溝
15 チルト機構
16 フリクションワッシャー
16a 円形挿通孔
16b 小孔又は凹部
16c 係止片
17 第1カムワッシャー
17a 円形挿通孔
17b 係止片
17c 第1凹状カム部(外側)
17d 第2凹状カム部(内側)
18 第2カムワッシャー
18a 変形挿通孔
18b 第1凸状カム部(外側)
18c 第2凸状カム部(内側)
19 皿バネ
19a 円形挿通孔
20 ストッパープレート
20a 変形挿通孔
20b 係止突片
21 押え用ワッシャー
21a 変形挿通孔
21b 係止溝
22 回転用ヒンジシャフト
22a 第1変形軸部
22b 変形フランジ部
22c 第2変形軸部
23 フリクションクリック機構
24 クリックベース部材
24a 挿通孔
24b 取付片
24c 係止孔
25 クリックプレート
25a 円形挿通孔
25b 係止片
25c 凹部
26 クリックプレート
26a 円形挿通孔
26b 係止片
26c 凹部
27 スプリングプレート
27a 変形挿通孔
27b 凸部
28 スプリングプレート
28a 変形挿通孔
28b 凸部
29 スプリングプレート
29a 変形挿通孔
29b 凸部
30 スプリングプレート
30a 変形挿通孔
30b 凸部
31 フリクションプレート
31a 円形挿通孔
31b 係止溝
31c 係止片
32 平ワッシャー
32a 円形挿通孔
33 スペーサー
33a 挿通孔
34 連結軸
34a 係止片
34b 係合溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノート型パソコンのような電子機器のキーボード部を有する第1筐体に対して、ディスプレイ部を有する第2筐体を上下方向へ開閉可能かつ水平方向へ回転可能に連結するものであって、前記第1筐体に離間対向させて設けた一対の取付部材間にベースフレームを上下方向へ回転可能に取り付ける開閉用ヒンジと、前記ベースフレームの中央部に前記第2筐体を支持する支持部材を水平方向へ回転可能に取り付ける回転用ヒンジと、前記開閉用ヒンジの動作角度により前記回転用ヒンジの動作を規制するリンクブロックとから成り、このリンクブロックと前記開閉用ヒンジのヒンジシャフトを共に非回転に構成し、この非回転のヒンジシャフトと前記リンクブロックとの間を連結軸で連結したことを特徴とする、電子機器の2軸ヒンジ。
【請求項2】
前記開閉用ヒンジを軸ヒンジとチルトヒンジで構成したことを特徴とする、請求項1に記載の電子機器の2軸ヒンジ。
【請求項3】
前記リンクブロックは、前記ベースフレームより垂下させた保持部材に当該保持部材が回転可能となるように取り付け、前記リンクブロックの回転を前記連結軸で規制するように構成したことを特徴とする、請求項1に記載の電子機器の2軸ヒンジ。
【請求項4】
前記リンクブロックを取り付ける開閉用ヒンジは、チルトヒンジであって、このチルトヒンジのチルトヒンジシャフトは、前記取付部材へ非回転に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の電子機器の2軸ヒンジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−97846(P2012−97846A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246712(P2010−246712)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000124085)加藤電機株式会社 (117)
【Fターム(参考)】