説明

電子機器

【課題】 電子機器の不使用時には紐具により機器本体の落下を防止することができ、また、電子機器の使用時には紐具により機器本体の外観を損なうことがなく、さらに、機器本体の取付けや取外しを容易に行うことのできる電子機器を提供する。
【解決手段】 電子機器1は、ストラップ6が取り付けられる機器本体2と、ストラップ6が引っ掛けられる突片部8を有する取付け金具3を備える。取付け金具3は、壁面に固定される。機器本体2を取付け金具3から取り外した状態では、ストラップ6は、突片部8から外されて手提げ紐として使用可能である。機器本体2を取付け金具3に取り付けた状態では、ストラップ6は突片部8に引っ掛けられて落下防止紐として使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不使用時に壁面に取付けられ、使用時に壁面から取り外される電子機器
電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
災害用のラジオなどの電子機器は、機器を使用しない普段時(非災害時)には、機器を壁に取り付けておき、災害が発生したときに、機器を壁から取り外して使用するものである。従来、このような電子機器を壁に取付ける構造として、取付け金具を用いる取付け構造が提案されている。例えば、従来の取付け構造では、壁に固定される取付け金具にフックや突片が設けられており、そのフックや突片に機器本体の孔を係合させることによって、電子機器が壁に取付けられる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−23070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の取付け構造においては、フックや突片のみによって機器が壁に固定されているので、人や物がぶつかったときの外力あるいは地震の揺れなどの外力によってフックや突片の係合が外れてしまうと、機器が床に落下するおそれがあるという問題があった。
【0004】
そこで、機器にワイヤーなどを取り付けて床に落下するのを防止することも考えられるが、単にワイヤーを用いて機器を壁に固定する場合には、機器の取付けや取外しが面倒であるという問題があった。しかも、災害用のラジオなどの機器を持ち運んで使用する場合には、ワイヤーが機器に付いたままでは不自然に見えるし(機器の外観が損なわれるし)、また、ワイヤーが機器に付いていると持ち運びや操作の邪魔になるという問題もあった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、壁面に取付けられた不使用時に機器の落下を防止でき、壁面から取り外した使用時に機器の外観が損なわれず、また、機器の取付けや取外しを容易に行うことのできる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、環状部を有する紐具が取り付けられる機器本体と、前記環状部が引っ掛けられる突片部を有し、壁面に固定される取付け金具と、を備え、前記機器本体を前記取付け金具から取り外した状態では、前記環状部が前記突片部から外されて、前記紐具が手提げ紐として使用可能であり、前記機器本体を前記取付け金具に取り付けた状態では、前記環状部が前記突片部に引っ掛けられており、前記紐具が落下防止紐として使用される構成を有している。
【0007】
この構成により、電子機器を持ち運んで使用するときには、壁に固定された取付け金具から機器本体を取り外す。この状態では、紐具は、取付け金具の突片部から外されて、手提げ紐として使用できる。電子機器を使用しないときには、取付け金具を介して機器本体を壁面に取り付ける。この状態では、紐具は、取付け金具の突片部に引っ掛けられ、落下防止紐として使用される。このように、電子機器の使用時には、紐具を手提げ紐として使用できるので、自然な印象を与えることができ、また、電子機器の不使用時には、紐具が落下防止紐としての役割を果たす。
【0008】
また、本発明の電子機器では、前記突片部は、上方に向かって突出した形状を有しており、前記突片部の下部には、引っ掛けられた前記環状部を係止するための係止部が設けられており、前記係止部と前記壁面との隙間は、係止された前記環状部の紐太さより大きく設定されている構成を有している。
【0009】
この構成により、紐具の環状部を取付け金具の突片部の上側から引っ掛けて、突片部の下部の係止部に係止させることができるので、引っ掛けられた紐具が取付け金具から外れにくくなる。これにより、電子機器の不使用時に、地震の揺れなどの外力によって機器本体が取付け金具から外れたとしても、取付け金具の突片部に引っ掛けられた紐具は外れることがなく、紐具が落下防止紐としての役割を果たすことができる。
【0010】
また、本発明の電子機器では、前記係止部の上部には、前記係止部より前記壁面との隙間の狭い狭窄部が設けられており、前記狭窄部と前記壁面との隙間は、前記機器本体を前記取付け金具から取り外した状態では、係止された前記環状部の紐太さより大きくなり、前記機器本体を前記取付け金具に取り付けた状態では、係止された前記環状部の紐太さより小さくなるように設定されている構成を有している。
【0011】
この構成により、機器本体が取付け金具から取り外された状態で、取付け金具の突片部に紐具を引っ掛けるときには、突片部の上部に設けられた狭窄部を通って係止部に紐具を引っ掛ける。その後、機器本体が取付け金具に取り付けられると、紐具が狭窄部を通ることができなくなり、狭窄部によって紐具の抜けが防止される。このようにして、引っ掛けられた紐具が取付け金具から外れるのを防止できるので、紐具による落下防止の機能を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の電子機器では、前記突片部は、弾性体で構成されており、前記突片部には、係合部が設けられ、前記機器本体には、前記取付け金具に取り付られけたときに前記係合部と係合する被係合部が設けられており、前記機器本体を前記取付け金具に取り付けた状態では、前記突片部の弾性力によって、前記係合部が前記被係合部に押し付けられる構成を有している。
【0013】
この構成により、機器本体が取付け金具に取り付けられた状態では、取付け金具の突片部の弾性力を受けて、突片部の係合部と機器本体の被係合部との係合力が強くなり、機器本体が取付け金具から外れにくくなる。これにより、電子機器の不使用時に、地震の揺れなどの外力によって機器本体が取付け金具から外れるのを抑えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、電子機器の不使用時には紐具により機器本体の落下を防止することができ、また、電子機器の使用時には紐具により機器本体の外観を損なうことがなく、さらに、機器本体の取付けや取外しを容易に行うことができるという効果を有する電子機器を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態の電子機器について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態では、電子機器が災害用のラジオ等である場合を例示する。
【0016】
まず、本実施の形態の電子機器の構成を、図面を用いて説明する。図1および図2は、本実施の形態の電子機器の斜視図である。図1および図2に示すように、電子機器1は、機器本体2と、壁面(図1および図2では図示せず)にネジ止めされる取付け金具3を備えている。機器本体2には、ストラップ取付け部4が設けられており、このストラップ取付け部4には、環状ベルト部5を有するストラップ6が取り付けられている。ここでは、ストラップ6が、本発明の紐具に相当し、環状ベルト部5が、本発明の環状部に相当する。
【0017】
図1および図2に示すように、取付け金具3は、全体として四角い形状の金属板であり、取付け金具3の上側の角部や下辺部には、壁面に固定(ネジ止め)するためのネジ穴7が設けられている。そして、取付け金具3の中央部には、ストラップ6の環状ベルト部5を引っ掛けるための突片部8が設けられており、突片部8の両側には、機器本体2を取り付けるための左右一対のフック部9が設けられている。また、これらのフック部9の上下には、それぞれガイド突部10が設けられている。
【0018】
ここで、突片部8の構成について詳しく説明する。突片部8は、金属製の板バネであり、上方に向けて突出した形状をしている。突片部8の下部には、引っ掛けられたストラップ6を係止するための係止部11が設けられている。この場合、突片部8の下部を屈曲させることによって、係止部11が形成されている。そして、この係止部11と壁面との隙間は、引っ掛けられたストラップ6の紐太さより大きくなるように設定されている(図6および図7参照)。
【0019】
また、係止部11の上部には、係止部11より壁面との隙間の狭い狭窄部12が形成されている(図5〜図7参照)。上述のように突片部8が板バネで構成されているので、突片部8が弾性変形して撓むことにより、狭窄部12と壁面との間の隙間の大きさは変化する。この場合、機器本体2を取付け金具3から取り外した状態では、狭窄部12と壁面との隙間は、引っ掛けられた紐太さより大きくなるように設定されており(図5参照)、また、機器本体2を取付け金具3に取り付けた状態では、狭窄部12と壁面との隙間は、引っ掛けられた紐太さより小さくなるように設定されている(図7参照)。
【0020】
さらに、図1および図2に示すように、突片部8の上部には、凸形状の係合部13が形成されている。また、図3に示すように、機器本体2の裏面には、この係合部13に係合する凹形状の被係合部14が形成されている。この機器本体2の裏面には、取付け金具3のフック部9が係止する左右一対のフック溝15が設けられている。このフック溝15は、取付け金具3のフック部9を差し込むための開口部16と、差し込んだフック部9が相対的に上方にスライドする(機器本体2が下方にスライドする)ことによって係合する係合溝部17によって構成されている。また、機器本体2の裏面には、機器本体2の取付けや取外しを行うときに、取付け金具3のガイド突部10がスライドしながら当接する左右一対のガイドレール18が設けられている。さらに、機器本体2の裏面には、被係合部14の下部に、機器本体2の取付けや取外しを行うときに、突片部8の係合部13がスライドしながら当接する中央ガイド部19が設けられている。
【0021】
図3に示すように、これらの被係合部14とフック溝15とガイドレール18と中央ガイド部19は、機器本体2を横向き(図8参照)にも縦向き(図9参照)にも取り付けられるように、機器本体2の裏面に2セット設けられている。つまり、横向き取付け用の被係合部14とフック溝15とガイドレール18と中央ガイド部19のセットAと、縦向き取付け用の被係合部14とフック溝15とガイドレール18と中央ガイド部19のセットBが、それぞれ機器本体2の裏面に形成されている(図3参照)。
【0022】
以上のように構成された電子機器1について、図面を参照してその動作を説明する。
【0023】
(壁面への取付け)
本発明の実施の形態の電子機器1の機器本体2を壁面に取り付けるときには、まず、図4および図5に示すように、壁面にネジ止めで固定された取付け金具3の係合部13に、機器本体2に取り付けられたストラップ6の環状ベルト部5を引っ掛ける。
【0024】
つぎに、取付け金具3のフック部9に機器本体2の裏面のフック溝15の開口部16に差し込んだ後、図6に示すように、機器本体2を下方へスライドさせることによって、フック溝15の係合溝部17にフック部9が係合する。このとき、取付け金具3の突片部8は、バネ弾性力に抗して機器本体2の裏面に押されて壁面に向けて弾性変形する。また、突片部8の係合部13は、機器本体2の裏面の中央ガイド部19に当接しながらスライドし、取付け金具3のガイド突部10は、機器本体2の裏面のガイドレール18に当接しながらスライドする。
【0025】
そして、機器本体2のスライドが完了すると、図7に示すように、突片部8の係合部13が機器本体2の裏面の被係合部14に係合する。このとき、突片部8の係合部13は、突片部8のバネ弾性力によって被係合部14に押し付けられている。このようにして、機器本体2の壁面への取付けが完了する。この状態では、ストラップ6が落下防止紐として使用される。
【0026】
(壁面からの取り外し)
電子機器1の機器本体2を壁面から取り外すときには、壁面への取付けと逆の手順を行う。すなわち、まず、機器本体2を上方へ押し上げて、突片部8の係合部13と機器本体2の裏面の被係合部14との係合を解除する。そして、機器本体2を上方へスライドさせて、機器本体2の裏面のフック溝15の開口部16を取付け金具3のフック部9の位置にして、機器本体2裏面のフック溝15の開口部16を取付け金具3のフック部9から引き抜ことによって、機器本体2を取付け金具3から取り外す。
【0027】
最後に、取付け金具3の突片部8に引っ掛けられているストラップ6を外して、機器本体2の壁面からの取外しが完了する。この状態では、ストラップ6を手提げ紐として使用することができる。
【0028】
このような本発明の実施の形態の電子機器1によれば、電子機器1の不使用時にはストラップ6により機器本体2の落下を防止することができ、電子機器1の使用時にはストラップ6により機器本体2の外観を損なうことがなく、また、機器本体2の取付けや取外しを容易に行うことが可能である。
【0029】
すなわち、本実施の形態では、電子機器1を持ち運んで使用するときには、壁に固定された取付け金具3から機器本体2を取り外す。この状態では、ストラップ6は、取付け金具3の突片部8から外されて、手提げ紐として使用できる。電子機器1を使用しないときには、取付け金具3を介して機器本体2を壁面に取り付ける。この状態では、ストラップ6は、取付け金具3の突片部8に引っ掛けられ、落下防止紐として使用される。このように、電子機器1の使用時には、ストラップ6を手提げ紐として使用できるので、自然な印象を与えることができ、また、電子機器1の不使用時には、ストラップ6が落下防止紐としての役割を果たす。
【0030】
また、本実施の形態では、ストラップ6の環状ベルト部5を取付け金具3の突片部8の上側から引っ掛けて、突片部8の下部の係止部11に係止させることができるので、引っ掛けられたストラップ6が取付け金具3から外れにくくなる。これにより、電子機器1の不使用時に、地震の揺れなどの外力によって機器本体2が取付け金具3から外れたとしても、取付け金具3の突片部8に引っ掛けられたストラップ6は外れることがなく、ストラップ6が落下防止紐としての役割を果たすことができる。
【0031】
また、本実施の形態では、機器本体2が取付け金具3から取り外された状態で、取付け金具3の突片部8にストラップ6を引っ掛けるときには、突片部8の上部に設けられた狭窄部12を通って係止部11にストラップ6を引っ掛ける。その後、機器本体2が取付け金具3に取り付けられると、ストラップ6が狭窄部12を通ることができなくなり、狭窄部12によってストラップ6の抜けが防止される。このようにして、引っ掛けられたストラップ6が取付け金具3から外れるのを防止できるので、ストラップ6による落下防止の機能を向上させることができる。
【0032】
また、本実施の形態では、機器本体2が取付け金具3に取り付けられた状態では、取付け金具3の突片部8の弾性力を受けて、突片部8の係合部13と機器本体2の被係合部14との係合力が強くなり、機器本体2が取付け金具3から外れにくくなる。これにより、電子機器1の不使用時に、地震の揺れなどの外力によって機器本体2が取付け金具3から外れるのを抑えることができる。
【0033】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上のように、本発明にかかる電子機器は、電子機器の不使用時には紐具により機器本体の落下を防止することができ、また、電子機器の使用時には紐具により機器本体の外観を損なうことがなく、さらに、機器本体の取付けや取外しを容易に行うことができるという効果を有し、災害用のラジオ等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施の形態における電子機器(落下が防止されている状態)の斜視図
【図2】電子機器(機器本体を取付け金具から取り外した状態)の斜視図
【図3】機器本体の裏面図
【図4】取付け金具に紐具を引っ掛ける様子を示す斜視図
【図5】取付け金具に紐具を引っ掛ける様子を示す断面図
【図6】取付け金具に機器本体を取り付ける様子(スライド前)を示す断面図
【図7】取付け金具に機器本体を取り付ける様子(スライド後)を示す断面図
【図8】取付け金具に横向きに取り付けられた状態の機器本体の説明図
【図9】取付け金具に縦向きに取り付けられた状態の機器本体の説明図
【符号の説明】
【0036】
1 電子機器
2 機器本体
3 取付け金具
4 ストラップ取付け部
5 環状ベルト部
6 ストラップ
7 ネジ穴
8 突片部
9 フック部
10 ガイド突部
11 係止部
12 狭窄部
13 係合部
14 被係合部
15 フック溝
16 開口部
17 係合溝部
18 ガイドレール
19 中央ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状部を有する紐具が取り付けられる機器本体と、
前記環状部が引っ掛けられる突片部を有し、壁面に固定される取付け金具と、
を備え、
前記機器本体を前記取付け金具から取り外した状態では、前記環状部が前記突片部から外されて、前記紐具が手提げ紐として使用可能であり、
前記機器本体を前記取付け金具に取り付けた状態では、前記環状部が前記突片部に引っ掛けられており、前記紐具が落下防止紐として使用されることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記突片部は、上方に向かって突出した形状を有しており、
前記突片部の下部には、引っ掛けられた前記環状部を係止するための係止部が設けられており、
前記係止部と前記壁面との隙間は、係止された前記環状部の紐太さより大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記係止部の上部には、前記係止部より前記壁面との隙間の狭い狭窄部が設けられており、
前記狭窄部と前記壁面との隙間は、前記機器本体を前記取付け金具から取り外した状態では、係止された前記環状部の紐太さより大きくなり、前記機器本体を前記取付け金具に取り付けた状態では、係止された前記環状部の紐太さより小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記突片部は、弾性体で構成されており、
前記突片部には、係合部が設けられ、前記機器本体には、前記取付け金具に取り付られけたときに前記係合部と係合する被係合部が設けられており、
前記機器本体を前記取付け金具に取り付けた状態では、前記突片部の弾性力によって、前記係合部が前記被係合部に押し付けられることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−165822(P2010−165822A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6387(P2009−6387)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】