説明

電子機器

【課題】電子機器の姿勢を安定させることができる。
【解決手段】ノートパソコンに備わる足部のうち少なくとも一つの足部10aに、接地部材11、弾性部材12、ネジ13からなる姿勢調整機構を備えた。接地部材11は、弾性部材12によって凹部14の底面14bから離間(浮上)して配置され、外部から押圧力が印加された際に弾性部材12を圧縮変形させながら変位する。このような構成とすることにより、各足部の高さ寸法のバラツキや第1の筐体1の変形等が原因で第1の筐体1のガタツキが生じたとしても、全ての足部10a〜10dを載置面に接地させることができるので、第1の筐体1のガタツキを解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、機器支持部材を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートパソコンやデスクトップパソコン等のように卓上設置して使用することができる電子機器には、卓上との接地面に「足ゴム」等と呼ばれる機器支持部材が備わることが多い。足ゴムは、軟質ゴムで形成されていることが多く、電子機器へ加わろうとする衝撃や振動を緩和させている。足ゴムは、効率的に緩衝及び振動吸収を行うために電子機器に複数個備わることが多い。しかしながら近年、ノートパソコン等のモバイル機器は、携帯性を向上させるために機器本体が軽量化する傾向にあり、それに伴い筐体の薄肉化が進んでいる。機器の筐体が薄肉化すると、外部から強い衝撃や押圧力が加わったときに塑性変形してしまうことがあり、一部の足ゴムが接地しなくなるなど複数個の足ゴムの接地状態にバラツキが生じてしまう場合がある。足ゴムの接地状態にバラツキが生じると、電子機器を卓上等に設置した際に姿勢が安定しない。そこで、足ゴムの高さを調整できる構成が提案されている。
【0003】
特許文献1は、卓上装置の底面に回動自在に挿着し、抜け止め向きに付勢され、底面との対向面にラジアル方向に2〜4個の凸状部を等角度の間隔に備える調整足と、中心に調整足を挿入する挿入孔を配し、凸状部の先部が係止する凹状部をラジアル方向に等角度θ/Nの間隔に、且つ係止位置が軸方向の所定距離をNステップの階段状に繰り返し全面に設け、底面に備えられる挿着座とからなる、卓上装置の設置ガタ吸収足部構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−7084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1が開示している構成では、卓上装置の筐体が外圧等によって変形してしまうと、複数の調整足の接地状態にバラツキが生じ、卓上装置の姿勢が不安定になってしまう。特に、特許文献1が開示している調整足は、調整可能な高さや段数(Nステップ)が決まっており、複数の調整足の接地状態のバラツキを無くすことが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示する電子機器は、載置面に載置する筐体に配置される複数の足配置部と、前記複数の足配置部それぞれの設置面に設置した足部とを備えた電子機器であって、前記複数の足部のうち少なくとも一つの足部は、前記筐体における前記載置面に対向する裏面から突出するように、前記足配置部の前記設置面に配されている接地部材と、前記設置面と前記接地部材との間に配されている弾性部材とを備え、前記接地部材は、前記設置面から離間して配されている。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示によれば、複数の足部の接地状態のバラツキを抑え、電子機器の姿勢を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ノートパソコンの斜視図
【図2】第1の筐体の下面側の平面図
【図3】足部の分解斜視図
【図4A】接地部材の平面図
【図4B】接地部材の平面図
【図4C】図4BにおけるX−X部の断面図
【図5】足部近傍の断面図
【図6】接地部材の姿勢が変化した状態を示す足部近傍の断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態)
〔1.電子機器の構成〕
図1は、本実施の形態にかかるノートパソコンの外観を示す斜視図である。本実施の形態では、電子機器の一例としてノートパソコンを挙げたが、少なくとも卓上に設置して使用することができる機器であればよい。電子機器は、ノートパソコンの他、デスクトップパソコン、ディスプレイ機器、DVDプレーヤー等のディスク状媒体を、卓上型音響機器等であってもよい。
【0010】
図1に示すように、ノートパソコンは、第1の筐体1と第2の筐体2とを備えている。第1の筐体1は、各種電気素子が実装された回路基板やハードディスクドライブなどを内蔵している。第2の筐体2は、ディスプレイパネル4を備えている。ディスプレイパネル4は、例えば液晶ディスプレイパネルで実現することができる。第1の筐体1と第2の筐体2とは、ヒンジ部3によって互いに回動自在に支持されている。ヒンジ部3は、第1の筐体1と第2の筐体2とを矢印AまたはBに示す方向へ回動自在に支持する回動軸を備えている。第1の筐体1の上面1aには、キーボード5とポインティングデバイス6とが配されている。
【0011】
図2は、第1の筐体1の下面1bの平面図である。第1の筐体1の下面1bは、上面1aの裏側の面である。図2に示すように、第1の筐体1の下面1bには、4個の足部10a,10b,10c,および10dが備わる。足部10a〜10dのうち少なくとも一つの足部に姿勢調整機構を備えていることが好ましい。
【0012】
本実施の形態では、足部10a及び10bは姿勢調整機構を備え、足部10c及び10dは姿勢調整機構を備えていない。本実施の形態のように足部10a及び10bに姿勢調整機構を備えることにより、ノートパソコンをユーザーが通常の姿勢で操作する場合(ノートパソコンを図1に示すように開いた状態にして、ユーザーが第1の筐体1の前面1cに対峙する場合)、姿勢調整機構によって第1の筐体1の前面1c側がヒンジ部3側よりも僅かに低くなる場合がある。これにより、ユーザーは、手や腕を自然な姿勢にしてキーボード5等を操作することができる。仮に、足部10c及び10dに姿勢調整機構を備え、足部10a及び10bに姿勢調整機構を備えていない場合、姿勢調整機構によって第1の筐体1のヒンジ部3側が低くなり、ユーザーは手や腕を無理な姿勢にしてキーボード5等を操作しなければならなくなる場合がある。
【0013】
また、足部10a〜10dは、第1の筐体1の下面1bからの高さが全て同じであることが好ましい。また、足部10a及び10bは、足部10c及び10dよりも第1の筐体1の下面1bからの高さを低くすることにより、第1の筐体1の前面1c側をヒンジ部3側よりも僅かに低くすることができ、ユーザーが手や腕を自然な姿勢にしてキーボード5等を操作することができるため好ましい。
【0014】
なお、本明細書では、ノートパソコンの姿勢を安定させる機器支持部材を「足部」と称しているが、同様の機能を有するものであれば他の呼称(足ゴム、ゴム足、インシュレーター等)であっても、本発明における機器支持部材の範囲に含む。
【0015】
〔2.姿勢調整機構を備えた足部の構成〕
図3は、姿勢調整機構を備えた足部10aの分解斜視図である。図示は省略するが、足部10bは、足部10aと同一構成を有する。足部10aは、接地部材11、弾性部材12、およびネジ13を備えている。足部10aは、第1の筐体1の下面1bに形成された凹部14の内部に配置及び固定される。足部10aは、凹部14内に配置されている状態で、接地部材11の少なくとも一部が第1の筐体1の下面1bから突出する。
【0016】
接地部材11は、ノートパソコンを下面1bが載置平面に対向する姿勢で卓上等に設置した際に、載置平面に接する部材である。接地部材11は、略円柱状に形成されている。接地部材11は、緩衝効果、振動吸収効果、および位置安定性(載置平面に対して平行な方向へ押圧力が加わった際のノートパソコンの位置不動性)が得られる材料で形成されていることが好ましい。接地部材11は、例えば弾性または粘弾性を有する共重合体樹脂、内部可塑化樹脂またはゴム弾性を有する樹脂等のいわゆるエラストマー性を有する樹脂材料で形成することができる。接地部材11は、例えばポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)で形成することができる。接地部材11は、弾性部材12とネジ13の頭部13aとの間に配置される。接地部材11は、第1の筐体1の下面1bから突出して配置されることにより、第1の筐体1を載置平面等から離間(浮上)させることができるので、載置平面等から伝わる振動や衝撃を第1の筐体1へ伝わりにくくしたり、載置平面等から伝わる衝撃や振動を接地部材11で吸収したりすることができる。また、第1の筐体1を載置平面等から離間させることで、第1の筐体1の放熱性を向上させることができる。
【0017】
ここで、接地部材11の具体構成について説明する。図4Aは、接地部材11の接地面11h側の平面図である。図4Bは、接地部材11の下面11c側(接地面11hの裏側)の平面図である。図4Cは、図4BのX−X部の断面図である。図4A〜図4Cに示すように、接地部材11は、孔部11a、受け面11b、下面11c、接地面11h、凹部11kが備わる。孔部11aは、受け面11bの中央に形成されている。孔部11aは、ネジ13の円柱部13bの外径よりも大きく、ネジ13の頭部13aの外径よりも小さい内径R1を有する。受け面11bは、凹部11k内における孔部11aの周囲の部分である。受け面11bは、ネジ13で接地部材11と弾性部材12とを凹部14に螺結固定した際に、ネジ13の頭部13aが当接可能な面である。下面11cは、接地面11hの裏側の面である。接地面11hは、足部10aを第1の筐体1に装着した状態において、第1の筐体1の下面1bが載置平面に対向する姿勢でノートパソコンを卓上に載置した際に、載置平面に接する面である。凹部11kは、接地面11hの例えば中央に形成されている。凹部11kは、少なくともネジ13の頭部13aを内在可能な空間を有する。凹部11kの深さD1(図5を参照して後述)は、少なくともネジ13の頭部13aの厚さよりも大きく形成することにより、ネジ13の頭部13aが接地部材11から突出せず、ノートパソコンを卓上等に載置した際に姿勢が安定するため、好ましい。
【0018】
弾性部材12は、接地部材11の姿勢を可変させる部材である。弾性部材12は、略円筒状に形成されている。弾性部材12は、接地部材11と凹部14の底面14bとの間に配置される。弾性部材12は、接地部材11の姿勢を変化させるために、外圧に対して弾性変形しやすく、外圧が無くなると元の形状に復帰しやすい材料で形成されていることが好ましい。弾性部材12は、例えばポリウレタン等で形成することができる。弾性部材12は、円形に開口した孔部12aが形成されている。孔部12aは、弾性部材12の第1端面12bから第2端面12cまで貫通形成されている。第1端面12b及び第2端面12cは、接地部材11の姿勢を安定させることを考慮すると、それぞれ平面に形成されていることが好ましく、また両者が互いに平行となるように形成されていることがさらに好ましい。
【0019】
ネジ13は、少なくとも接地部材11を、第1の筐体1の凹部14内に保持させることができる。ネジ13は、頭部13a、円柱部13b、およびネジ部13cを備えている。頭部13aは、例えばプラスドライバー(ねじ回し)の先端を嵌合可能な溝13dが形成されている。円柱部13bは、頭部13aとネジ部13cとの間に形成されている。ネジ部13cは、周面に螺旋状にネジ溝(不図示)が形成されている。ネジ部13cは、凹部14内に形成されたネジ穴14aに螺合可能である。
【0020】
凹部14は、第1の筐体1の下面1bに形成されている。凹部14は、開口部分の形状が例えば円形であるが、円形に限らず他の形状であってもよい。凹部14は、底面14bにネジ穴14aが形成されている。ネジ穴14aは、本実施の形態では底面14bの中央に形成されているが、形成位置は中央に限らない。
【0021】
図5は、接地部材11、弾性部材12、およびネジ13を凹部14内に締結固定した状態を示す断面図である。
【0022】
足部10aを組み立てる場合は、まず、弾性部材12を凹部14内の底面14bに配置する。このとき、弾性部材12は、孔部12aとネジ穴14aとが重なる位置に配置し、さらに好ましくは孔部12aの中心とネジ穴14aの中心とが一致する位置に配置する。また、弾性部材12は、底面14bの面方向への変位が規制されていることが好ましく、例えば接着剤等で底面14bに固定することが好ましい。また、弾性部材12の固定方法は、接着剤に限らず、底面14bに爪部を形成しその爪部に弾性部材12を係合させる方法や、底面14bにおけるネジ穴14aの周囲に孔部12aに嵌合可能なリブを形成して弾性部材12を位置決めする方法や、弾性部材12の第1端面12b及び第2端面12cの間隙(以下、高さという)を吸収する幅を備える溝を底面14bに備える方法等であってもよい。
【0023】
次に、接地部材11を凹部14内に配置する。このとき、接地部材11を、下面11cが弾性部材12の第1端面12bに当接し、孔部11aが孔部12a及びネジ穴14aと重なる位置に配置する。接地部材11は、弾性部材12の第1端面12bの上に配置し、底面14bの上に第2端面12cを配置することで、底面14bとの間に間隙D1が形成される。すなわち、接地部材11は、弾性部材12によって底面14bから離間(浮上)した状態となる。
【0024】
次に、ネジ13を、孔部11a及び12aに挿通させて、ネジ穴14aに螺合させる。このとき、ネジ13は、円柱部13bの端面(ネジ部13c側の端面)が底面14bに当接する位置まで、ネジ穴14aに螺合させる。また、ネジ13の円柱部13bの矢印EまたはF方向における高さD3と、弾性部材12の高さD2(自然長)と、接地部材11の孔部11aの周辺部分の厚さD5とは、
D3≦(D2+D5)
の関係を有するため、ネジ13の頭部13aと底面14bとで、接地部材11と弾性部材12とを挟持した状態となる。なお、「D3<(D2+D5)」の関係を有する場合は、弾性部材12が矢印Eに示す方向へ僅かに圧縮変形した状態となる。また、この関係を満足すると、接地部材11の高さは、接地面11hが第1の筐体1の下面1bから突出した状態となるように設定する。
【0025】
なお、接地部材11の孔部11aの内径R1、凹部11bの内径R2、弾性部材12の孔部12aの内径R11、ネジ13の頭部13aの外径R21、円柱部13bの外径R22、ネジ穴14aの内径R31、凹部14の内径R32は、
R31<R22 ・・・(関係式1)
R22<R11 ・・・(関係式2)
R1<R21<R2 ・・・(関係式3)
R12<R3<R32 ・・・(関係式4)
の関係を有する。なお、接地部材11の外径R3は、図4Aに示す。
【0026】
関係式1によれば、ネジ13は、円柱部13bの端面(ネジ部13c側の端面)が凹部14の底面14bに当接し、矢印Eに示す方向の位置決めがなされている。関係式2によれば、ネジ13は、弾性部材12の孔部12aを挿通している。関係式3によれば、ネジ13の頭部13aは、接地部材11の凹部11k内に配置されるとともに、接地部材11の受け面11bに当接する。関係式4によれば、接地部材11は、凹部14内に配置される。また、関係式4によれば、弾性部材12は、接地部材11の下面11cと凹部14の底面14bとの間に配置される。
【0027】
また、弾性部材12の高さD2またはネジ13の円柱部13bの高さD3を調整することによって、接地部材11の下面11cと底面14bとの間隙D1(接地部材11の浮上量)を調整することができる。
【0028】
また、矢印D及びEに示す方向は、第1の筐体1の下面1bに直交する直交線と略一致する。なお、接地部材11は、第1の筐体1の下面1bに直交する直交線に完全に一致する方向に限らず、直交線に対して傾斜した方向にも変位可能である。したがって、本明細書における「直交線」とは、下面1bの直交線に完全に一致した方向に限らず、接地部材11が変位可能な範囲であれば直交線に対して多少傾斜した方向を含む。
【0029】
〔3.足部10aの姿勢調整方法〕
第1の筐体1は、金属や樹脂で平板状に形成されていることが多く、そのような形状の筐体は主平面中央近傍の曲げ剛性が低いことが多い。特に、第1の筐体1の上面1a(下面1b)の面積が大きいか、第1の筐体1の上面1a(下面1b)の形状が多角形の場合は少なくとも一つの辺が長いほど、曲げ剛性が低くなる。したがって、第1の筐体1の主平面(例えば図1に示す上面1a)に強い押圧力が印加されると、第1の筐体1の下面1b側が凸状となるように塑性変形してしまう場合がある。また、押圧力の印加方向によっては、第1の筐体1は、上面1a側が凸状となるように塑性変形してしまう場合もある。このように第1の筐体1が変形してしまうと、下面1bに備わる複数の足部10a〜10dの接地状態にバラツキが生じる。例えば、複数の足部10a〜10dのうちいずれか一つが、ノートパソコンの載置面に接地しない状態になってしまう場合がある。複数の足部10a〜10dのうちいずれか一つの足ゴムが接地しなくなると、ノートパソコンの姿勢が不安定となってしまう。例えば、ユーザーがノートパソコンのキーボード5を操作するために第1の筐体1のパームレスト部(ポインティングデバイス6の近傍部分)に手を置いたときと、パームレスト部から手を離したときとで、ノートパソコンの姿勢が変化してしまう場合がある。また、足部10c及び10dに代え、例えばヒンジ部3の中央部に1つだけ足部を配置した3つの構成の場合には、3つの足部でノートパソコンの平面性は確保できるものの、例えば上述のようにキーボード5の操作等の場合に、右端近傍または左端近傍のキーを操作する際に、ノートパソコンの姿勢が変化し、操作性が低下する。この理由により、足部は、下面1bの各角部に配置、すなわち4カ所以上に配置することが好ましい。
【0030】
本実施の形態の接地部材11は、弾性部材12によって底面14bから浮上した状態となっており、この状態から矢印Eに示す方向へ押圧されると弾性部材12を圧縮変形させながら矢印Eに示す方向へ変位可能である。また、本実施の形態では、図5に示す構造を、足部10a及び10bに採用した。
【0031】
図6は、足部10aの接地部材11が矢印Eに示す方向へ変位した状態を示す断面図である。例えば、下面1bが平面になっている第1の筐体1を机上等の載置平面に設置したとき、第1の筐体1が湾曲変形していなければ、下面1bと載置面100との間隙は下面1bの面方向において均一となる。しかし、第1の筐体1が、下面1bが凸状または凹状となるように湾曲変形している場合、第1の筐体1を載置面100に設置したときに、下面1bと載置面100との間隙は下面1bの面方向において不均一となる。下面1bと載置面100との間隙が不均一であると、複数の足部10a〜10dのうち少なくとも一つの足部が載置面100に接地しなくなる場合がある。
【0032】
本実施の形態では、接地部材11を矢印DまたはEに示す方向へ変位可能としたことにより、下面1bと載置面100との間隙が小さい部分の近傍に配された足部の接地部材11が、図6に示すように矢印Eに示す方向へ変位することができる。接地部材11が図5に示す位置から矢印Eに示す方向へ変位する際、弾性部材12は、接地部材11によって矢印Eに示す方向へ押圧されて圧縮変形する。
【0033】
また、ネジ13は、ネジ穴14aに螺合し円柱部13bが底面14bに当接しているため、接地部材11が矢印Eに示す方向へ変位したとしても、変位しない。したがって、図6に示すように接地部材11が矢印Eに示す方向へ変位すると、接地部材11の受け面11bとネジ13の頭部13aとの間には間隙が生じる。
【0034】
これにより、全ての足部10a〜10dを接地させることができる。
【0035】
また、接地部材11は、弾性部材12により支持されていることにより、図5における矢印FまたはGに示す方向へ傾いて変位することも可能である。例えば、接地部材11は、図5に示す間隙D1が間隙D2よりも大きくなる傾斜姿勢に変位することができる。したがって、第1の筐体1の下面1bと載置面100とが平行にならない形状に第1の筐体1が変形したとしても、接地部材11を載置面100に接地させることができ、ノートパソコンの姿勢を安定させることができる。
【0036】
〔4.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、ノートパソコンに備わる足部のうち少なくとも一つの足部10aに、接地部材11、弾性部材12、ネジ13からなる姿勢調整機構を備えたことにより、各足部の高さ寸法のバラツキや第1の筐体1の変形等が原因で第1の筐体1のガタツキが生じたとしても、全ての足部10a〜10dを載置面に接地させることができるので、第1の筐体1のガタツキを解消することができる。したがって、ノートパソコンの姿勢を安定させることができる。
【0037】
特に、ノートパソコンを薄型化及び軽量化するために、筐体を薄肉化すると、筐体の剛性が低下して容易に変形してしまう場合がある。筐体が変形すると、ノートパソコンを卓上等の載置平面に載置した際に、筐体の下面に配置されている複数の足部のうち幾つかの足部が接地していない状態になる場合があり、ノートパソコンの姿勢が不安定になるという問題が発生してしまう。そこで本実施の形態のように、少なくとも一つの足部の接地部材を変位可能としたことにより、上記のような問題を解消できる。
【0038】
また、本実施の形態では、図2に示す足部10a〜10dのうち足部10a及び10bに姿勢調整部材を備え、足部10c及び10dは第1の筐体1に固定されている構成とした。その理由は、第1の筐体1内におけるヒンジ部3に近い位置、すなわち足部10c及び10dが配されている側に、バッテリーパックやハードディスクドライブ等のように比較的高重量な部材が内蔵されているからである。つまり、ノートパソコンを載置面等に設置しているとき、足部10c及び10dには高重量な部材による高い荷重が連続的にかかっているが、足部10c及び10dは第1の筐体1に固定されているためノートパソコンの姿勢は安定する。仮に、足部10c及び10dに姿勢調整部材を備えると、高重量な部材により足部10c及び10dに高い荷重がかかり、接地部材11が変位してしまい、ノートパソコンの姿勢が不安定になる場合がある。さらに、図1に示した矢印B方向に、第2の筐体2を例えば100°回動した状態で、ノートパソコンを使用する場合等では、ディスプレイパネル4の重量も足部10c及び10bに加わるため、ノートパソコンの姿勢がより不安定になる傾向が助長される場合もある。
【0039】
また、本実施の形態では、弾性部材12は、円筒形状にしたことにより、第1の筐体1から接地部材11へかかる荷重が安定し、接地部材11の姿勢を安定させることができる。
【0040】
なお、本実施の形態では、図2に示す4つの足部10a〜10dのうち、足部10a及び10bに姿勢調整機構を備える構成としたが、足部10a〜10dのうちいずれか1つの足部に姿勢調整機構を備えてもよい。なお、足部10a〜10dの中から2個以下の足ゴムを選択してノートパソコンに搭載する場合には、上述した理由に基づき足部10aまたは10bを搭載することが好ましい。
【0041】
また、本実施の形態では、弾性部材12をポリウレタン等の弾性材料で形成したが、少なくとも接地部材11を底面14bから離間(浮上)させることができる構成であればよく、例えばコイルバネや板状バネで実現することも可能である。
【0042】
また、本実施の形態では、弾性部材12は、凹部14の底面14bに固定する構成としたが、接地部材11の下面11cに固定する構成としてもよい。
【0043】
また、本実施の形態では、弾性部材12を備えたが、弾性部材12に代えて、接地部材11の下面11cに弾性部材12と同形状のリブを一体形成してもよい。また、弾性部材12に代えて、凹部14の底面14bに弾性部材12と同形状のリブを一体形成してもよい。その際、リブは、弾性部材12と同等の弾性を有する必要がある。
【0044】
また、本実施の形態では、図6に、接地部材11が下面11cと底面14bとの平行性を保ったまま矢印Eに示す方向へ変位する構成を図示したが、接地部材11は下面11cと底面14bとが平行とならない傾斜姿勢をも取り得る。このような構成とすることで、第1の筐体1の下面1bが載置面100に対して不平行な形状に変形した場合にも、全ての足部10a〜10dの接地部材11を載置面100に接地させることができる。
【0045】
また、本実施の形態では、第1の筐体1に凹部14を備えたが、凹部14は省略することができる。凹部14を省略する場合、足部10a〜10dは、第1の筐体1の下面1bの上に配置する。
【0046】
また、本実施の形態では、接地部材11と弾性部材12を第1の筐体1に保持させるためにネジ13を用いたが、接地部材11と弾性部材12を第1の筐体1に保持させることができれば、ネジ以外の保持部材を用いてもよい。
【0047】
また、本実施の形態における接地部材11は、接地部材の一例である。本実施の形態における弾性部材12は、弾性部材の一例である。本実施の形態における凹部14は、足配置部の一例である。本実施の形態における底面14bは、設置面の一例である。本実施の形態における第1の筐体1は、筐体の一例である。本実施の形態における下面1bは、筐体における載置面に対向する裏面の一例である。本実施の形態における足部10a〜10dは、複数の足部の一例である。本実施の形態における足部10aまたは10bは、複数の足部のうち少なくとも一つの足部の一例である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本願の開示は、卓上等に載置可能な電子機器に有用である。
【符号の説明】
【0049】
10a、10b、10c、10d 足部
11 接地部材
12 弾性部材
13 ネジ
14 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面に載置する筐体に配置される複数の足配置部と、前記複数の足配置部それぞれの設置面に設置した足部とを備えた電子機器であって、
前記複数の足部のうち少なくとも一つの足部は、
前記筐体における前記載置面に対向する裏面から突出するように、前記足配置部の前記設置面に配されている接地部材と、
前記設置面と前記接地部材との間に配されている弾性部材とを備え、
前記接地部材は、前記設置面から離間して配されている、電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−156244(P2012−156244A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13065(P2011−13065)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】