説明

電子機器

【課題】耐衝撃性を向上させることができる電子機器を得る。
【解決手段】実施形態によれば、電子機器は、筐体と、回路基板と、ユニットと、緩衝部と、を具備する。前記回路基板は、第1端子部と第1絶縁部とを含む第1コネクタが実装されている。前記ユニットは、第1位置とこの第1位置よりも前記第1コネクタに近づく第2位置とに亘り前記第1端子部と電気的に接続可能な第2端子部と、前記第2位置で前記第1絶縁部と当接される第2絶縁部とを含む第2コネクタを有する。前記緩衝部は、前記第1位置で前記筐体の一部および前記ユニットの少なくとも一方とは当接されないとともに、前記第1位置と前記第2位置との間の位置で前記筐体の一部および前記ユニットの少なくとも一方と当接されはじめて、前記第1絶縁部と前記第2絶縁部との当接を抑制可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートPCのような電子機器は、例えばHDD(Hard disk drive)のようなモジュールを備えている。モジュールは、回路基板のコネクタにフレキシブルケーブルを介して接続されている。外部から大きな衝撃を受けた時、この衝撃はフレキシブルケーブルによって吸収される。
【0003】
特許文献1は、カード用コネクタを開示している。ヘッダー部の収納面には、カードの前面に当接するカード受け部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−197119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年、電子機器の低コスト化がさらに要望されている。そのため、フレキシブルケーブルを省略し、回路基板のコネクタにモジュールを直接に接続することが本発明者らにより検討されている。
【0006】
しかしながら、回路基板のコネクタにモジュールを直接に接続すると、外部から大きな衝撃を受けた時、モジュールやコネクタが破損に至るおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、耐衝撃性を向上させることができる電子機器を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、電子機器は、筐体と、回路基板と、ユニットと、緩衝部と、を具備する。回路基板は、第1端子部と、該第1端子部を支持した第1絶縁部とを含む第1コネクタが実装されている。ユニットは、第1位置とこの第1位置よりも前記第1コネクタに近づく第2位置とに亘り前記第1端子部と電気的に接続可能な第2端子部と、該第2端子部を支持するとともに前記第2位置で前記第1絶縁部と当接される第2絶縁部とを含む第2コネクタを有する。緩衝部は、前記第1位置で前記筐体および前記ユニットの少なくとも一方とは当接されないとともに、前記第1位置と前記第2位置との間の位置で前記筐体の一部および前記ユニットの少なくとも一方と当接されはじめて、前記第1絶縁部と前記第2絶縁部との当接を抑制可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子機器の耐衝撃性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電子機器の斜視図。
【図2】図1中に示された電子機器の下壁を示す平面図。
【図3】図2中に示されたHDDユニットの斜視図。
【図4】図2中に示されたHDD収容部の内部を示す平面図。
【図5】図4中に示されたHDD収容部にHDDユニットを取り付けた状態(スライド前)を示す平面図。
【図6】図4中に示されたHDD収容部にHDDユニットを取り付けた状態(スライド後)を示す平面図。
【図7】図5中に示されたHDDユニットのF7線で囲まれた領域を示す断面図。
【図8】図6中に示されたHDDユニットのF8線で囲まれた領域を示す断面図。
【図9】図6中に示されたHDD収容部のF9−F9線に沿う断面図。
【図10】図5中に示された取付部のF10−F10線に沿う断面図。
【図11】図6中に示された取付部のF11−F11線に沿う断面図。
【図12】図5中に示された取付部のF12−F12線に沿う断面図。
【図13】図6中に示された取付部のF13−F13線に沿う断面図。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る電子機器の緩衝部を示す断面図。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る電子機器の緩衝部を示す断面図。
【図16】本発明の第4の実施形態に係る電子機器の緩衝部を示す断面図。
【図17】本発明に関連するHDD収容部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を、ノートブック型パーソナルコンピュータ(以下、ノートPC)に適用した図面に基づいて説明する。
【0012】
図1乃至図13は、本発明の第1の実施形態に係る電子機器1を開示している。電子機器1は、例えばノートPCである。なお本発明が適用可能な電子機器は、上記に限定されるものではない。本発明は、例えばテレビのような表示装置や、PDA(Personal digital Assistant)、およびゲーム機などを含む種々の電子機器に広く適用可能である。
【0013】
図1に示すように、電子機器1は、本体ユニット2と、表示ユニット3と、第1および第2のヒンジ4,5とを備えている。本体ユニット2は、メインボードを搭載した電子機器本体である。本体ユニット2は、筐体6(本体筐体)を有する。筐体6は、上壁7、下壁8、および周壁9を有し、扁平な箱状に形成されている。上壁7、下壁8、および周壁9は、それぞれ「外壁」の一例である。
【0014】
下壁8は、電子機器1を机上に置いた時に、その机上面に向かい合う。下壁8は、机上面に対して略平行になる。上壁7は、下壁8との間に空間を空けて、下壁8と略平行(すなわち略水平)に広がる。上壁7には、キーボード10が取り付けられている。なおキーボード10は、一部のキーのみを図示している。周壁9は、下壁8に対して起立し、下壁8の周縁部と上壁7の周縁部との間を繋いでいる。
【0015】
図1に示すように、表示ユニット3は、表示筐体11と、この表示筐体11に収容された表示装置12とを備えている。表示筐体11は、表示装置12の表示画面12aを外部に露出させる比較的大きな開口部11aを有する。
【0016】
第1および第2のヒンジ4,5は、本体ユニット2の後端部に表示ユニット3を回動可能(開閉可能)に連結している。これにより、表示ユニット3は、本体ユニット2を上方から覆うように倒された閉じ位置と、本体ユニット2に対して起こされる開き位置との間で回動可能である。
【0017】
図2に示すように、筐体6には、回路基板14が収容されている。回路基板14は、例えばメインボードである。回路基板14には、第1のコネクタ15が実装されている(図4参照)。第1のコネクタ15は、回路基板14に直接に固定されている。図7に示すように、第1のコネクタ15は、絶縁材料で形成されたヘッダー16(ベース部)と、このヘッダー16から突出した複数の端子ピン17とを有する。ヘッダー16は、「第1の当接部」の一例である。
【0018】
図2に示すように、本体ユニット2は、筐体6に設けられたHDD収容部21と、このHDD収容部21に収容されたHDDユニット22とを備えている。HDD収容部21は、本発明でいう「収容部」の一例である。HDDユニット22は、「ユニット」の一例である。
【0019】
図4および図9に示すように、HDD収容部21は、下壁8に対して筐体6の内側に窪んだ窪み部である。HDD収容部21は、例えば略矩形状をしている。図7に示すように、HDD収容部21は、第1のコネクタ15を露出させる開口部23を有する。第1のコネクタ15は、開口部23を通じてHDD収容部21に配置されている。
【0020】
HDDユニット22は、フレキシブルケーブルを介さず、第1のコネクタ15に直接に接続される。詳しくは後述するが、HDD収容部21へのHDDユニット22の取り付けは次の手順で行なわれる。つまり、図5に示すように、HDDユニット22を、まず略鉛直方向に沿って第1のコネクタ15の側方となる位置に載置する。そしてその後、第1のコネクタ15に向けてHDDユニット22を略水平方向にスライド移動(図5中の矢印参照)させる。これにより、HDDユニット22が第1のコネクタ15に接続される。
【0021】
そこで本明細書では、HDDユニット22のスライド方向を基準として、前後左右を定義する。すなわち、HDDユニット22から見て、第1のコネクタ15が位置する方を前、第1のコネクタ15とは反対側を後とする。
【0022】
図4および図9に示すように、HDD収容部21は、底壁部25、起立壁部26、固定部27、および蓋載置部28を有している。底壁部25および起立壁部26は、それぞれ本発明でいう「壁部」の一例である。
【0023】
底壁部25は、下壁8に対して窪んだ位置にあり、例えば略矩形状をしている。底壁部25は、例えば略水平に広がり、下壁8と略平行である。底壁部25には、HDDユニット22が載置される。底壁部25は、HDDユニット22の長手方向においてHDDユニット22よりも大きく形成されている。この底壁部25に沿ってHDDユニット22が上記スライド移動可能になっている。
【0024】
起立壁部26は、底壁部25の周縁部、例えば底壁部25の4つの周辺から起立し、下壁8に向いて延びている。起立壁部26は、HDDユニット22の周囲を取り囲んでいる。起立壁部26は、第1乃至第4の壁部31,32,33,34を有している。
【0025】
図4および図9に示すように、第1の壁部31は、HDDユニット22の前側に起立し、HDDユニット22の長手方向においてHDDユニット22に対向している。第1の壁部31には、上記開口部23が設けられ、第1のコネクタ15が露出されている。第2の壁部32は、HDDユニット22の後側に起立し、第1の壁部31とは反対側からHDDユニット22に対向している。第3および第4の壁部33,34は、HDDユニット22の両側に分かれて起立している。
【0026】
図4および図9に示すように、固定部27は、第1のコネクタ15とは反対側となるHDD収容部21の端部に設けられている。固定部27は、第2の壁部32の先端部から後方に延びている。固定部27は、載置面36、ねじ穴37、フック38、および凹部39を有する。フック38および凹部39は、それぞれ「被係合部」の一例である。
【0027】
載置面36は、略水平に広がり、底壁部25と略平行になる。ねじ穴37は、例えば固定部27の略中央部に設けられている。図10に示すように、フック38は、載置面36から突出した第1の部分38aと、この第1の部分38aの先端部から折れ曲った第2の部分38bとを有する。
【0028】
第2の部分38bは、HDDユニット22のスライド方向とは反対方向に突出している。第2の部分38bと載置面36との間には、後述するHDD45の取付部57と略同じ厚さの隙間が設けられている。図12に示すように、凹部39は、載置面36に対して筐体6の内側に窪んでいる。
【0029】
図2に示すように、蓋載置部28は、起立壁部26の先端部から、HDD収容部21の外側に向いて略水平に延びている。図2および図9に示すように、蓋載置部28には、HDDカバー41が載置される。HDDカバー41は、挿通孔42を有する。挿通孔42は、HDD収容部21のねじ穴37に対向する。ねじ43が挿通孔42からねじ穴37に係合することで、HDDカバー41が筐体6に固定される。HDDカバー41は、HDDユニット22およびHDD収容部21を筐体6の外部から覆い隠す。
【0030】
図3に示すように、HDDユニット22は、HDD45と、HDD45を保持したホルダ46とを備えている。HDD45は、「モジュール」の一例であり、且つ、「記憶媒体」の一例である。ホルダ46は、「取付板金」の一例である。
【0031】
HDD45は、長方形状の扁平状に形成されている。HDD45は、第1および第2の主面45a,45bと、周面45cとを有する。第1および第2の主面45a,45bは、HDD45の磁気ディスクと平行に広がる面である。図9に示すように、第1の主面45aは、HDDカバー41の内面に対向する。第2の主面45bは、HDD収容部21の底壁部25に対向する。
【0032】
周面45cは、前面45ca、後面45cb、第1の側面45cc(左側面)、および第2の側面45cd(右側面)を含む。前面45ca、後面45cb、第1の側面45cc、および第2の側面45cdは、HDD収容部21の第1の壁部31、第2の壁部32、第3の壁部33、および第4の壁部34にそれぞれ対向する。
【0033】
図3に示すように、HDD45は、その長手方向の端部である第1および第2の端部48,49を有する。第1の端部48には、第2のコネクタ51が設けられている。第2のコネクタ51は、第1のコネクタ15に直接に接続(すなわち嵌合)される。すなわち、HDDユニット22を上記スライド移動させることで、第2のコネクタ51には第1のコネクタ15が差し込まれる。
【0034】
図7に示すように、第2のコネクタ51は、絶縁材料で形成されたソケット52を有する。ソケット52には、上記端子ピン17が挿入される複数の差込穴を有する。ソケット52は、「第2の当接部」の一例である。
【0035】
第1および第2のコネクタ15,51は、所定の有効嵌合長を有する。「有効嵌合長」とは、第1および第2のコネクタ15,51が互いに最奥部まで差し込まれていない状態、すなわち、第1および第2のコネクタ15,51が互いに100%嵌合する前の状態で、第1および第2のコネクタ15,51が互いに電気的に接続される範囲のことである。
【0036】
第1および第2のコネクタ15,51の有効嵌合長は、例えば約1.5mmである。すなわち、図8に示すように、第1および第2のコネクタ15,51の間の隙間S(つまり、ヘッダー16とソケット52との間の隙間S)が1.5mm以下であれば、第1および第2のコネクタ15,51が互いに電気的に接続される。
【0037】
HDDユニット22は、第1のコネクタ15との電気的接続を維持してヘッダー16とソケット52とが離間される第1の位置と、ヘッダー16とソケット52とが当接される第2の位置との間で移動可能に保持される。上記第1の位置は、第1および第2のコネクタ15,51の有効嵌合長の範囲内であり、ヘッダー16とソケット52との間に隙間Sが空いている。
【0038】
図3および図5に示すように、ホルダ46は、例えば板金部材で形成されている。ホルダ46は、第1および第2の保持部54,55、連結部56、並びに取付部57を備えている。第1および第2の保持部54,55は、起立した板状に形成され、HDD45の第1および第2の側面45cc,45cdに対向している。
【0039】
第1および第2の保持部54,55は、第1および第2の側面45cc,45cdに沿ってHDD45の長手方向に延びている。第1および第2の保持部54,55は、HDD45の長手方向の略全長に亘って延びている。第1および第2の保持部54,55は、その間にHDD45を挟持する。HDD45は、第1および第2の保持部54,55に例えばねじ止めなどで固定されている。
【0040】
図5および図7に示すように、第1および第2の保持部54,55の前端部には、それぞれ当接部60(クッション部、第2の緩衝部)が設けられている。当接部60は、第1の壁部31に向いて(すなわち後述の緩衝部材71,72に向いて)、HDD45の側方を外れる領域まで突出している。当接部60は、板状に突出するとともに、その先端部に折曲部61を有する。折曲部61は、板状の当接部60がその厚み方向に折れ曲っている。
【0041】
第1および第2の保持部54,55に分かれて設けられた一対の当接部60は、互いに向かう合う向きに、すなわち第2のコネクタ51に向かう向きに折れ曲っている。折曲部61は、第1の壁部31に対向した当接面60aを有する。当接面60aは、第1の壁部31と略平行である。
【0042】
図3および図9に示すように、連結部56は、起立した板状に形成され、HDD45の後面45cbに対向している。連結部56は、第1および第2の保持部54,55の後端部同士を連結している。
【0043】
取付部57は、連結部56のHDDカバー側の端部から後方に延びている。取付部57は、HDD収容部21の載置面36に載置される。取付部57は、切欠き部62、係合穴63、係合部64、およびスリット65を有する。係合穴63および係合部64は、それぞれ「係合部」の一例である。
【0044】
図3および図5に示すように、切欠き部62は、取付部57の後端部に設けられている。図6に示すように、HDDユニット22をスライド移動させて第1のコネクタ15に接続したとき、切欠き部62は、固定部27のねじ穴37に対向する。HDDカバー41の挿通孔42に通されたねじ43は、切欠き部62を通ってねじ穴37に係合する。これにより、HDDユニット22は、ねじ穴37に係合したねじ43により、後方への移動が規制され、その位置が固定される。
【0045】
図5および図6に示すように、係合穴63は、フック38に係合する。係合穴63は、HDDユニット22のスライド方向に所定の長さを有する。図10に示すように、HDD収容部21にHDDユニット22が略鉛直方向に沿って載置されたとき、係合穴63にフック38が通される。その後、HDDユニット22を第1のコネクタ15に向けて略水平方向にスライド移動させると、図11に示すように、取付部57の一部がフック38と載置面36との間の隙間に入り込む。これによりHDDユニット22がHDD収容部21から浮き上がらなくなる。
【0046】
図5および図6に示すように、係合部64は、例えば凹部39に入り込むように折れ曲っており、凹部39に係合する。凹部39は、HDDユニット22のスライド方向に所定の長さを有する。図12に示すように、HDD収容部21にHDDユニット22が略鉛直方向に沿って載置されたとき、係合部64が凹部39に入り込む。その後、HDDユニット22を第1のコネクタ15に向けて略水平方向にスライド移動させると、図13に示すように、係合部64が凹部39の端面39aに例えば僅かな距離を空けて対向する。なお係合部64は、端面39aに当接していてもよい。
【0047】
図3に示すように、スリット65は、HDDユニット22の短手方向(すなわちスライド方向とは交差する方向)に延びている。スリット65は、例えばいくつか設けられている。これらいくつかのスリット65を足し合わせると、上記短手方向において例えば取付部57の半分以上の長さが切り抜かれている。これにより、取付部57の一部に、他の部位に比べて相対的に脆弱な脆弱部66が形成されている。
【0048】
図4に示すように、HDD収容部21には、第1および第2の緩衝部材71,72が設けられている。第1および第2の緩衝部材71,72は、それぞれ本発明でいう「緩衝部」の一例である。なお説明の便宜上、図4、図5、図6において第1および第2の緩衝部材71,72にはハッチングを施してある。
【0049】
第1および第2の緩衝部材71,72は、例えば筐体6の起立壁部26に設けられている。第1および第2の緩衝部材71,72は、例えば弾性部材、より具体的な一例としてはゴム部材である。第1および第2の緩衝部材71,72は、例えばL字形に形成されており、それぞれHDD収容部21の角部に配置されている。
【0050】
図7に示すように、第1の緩衝部材71は、互いに一体に形成された第1および第2の部分71a,71bを有する。第1の壁部31は、第1のコネクタ15が第2のコネクタ51に対向する方向においてホルダ46の当接部60に対向している。第1の部分71aは、第1の壁部31に貼り付けられ、ホルダ46の当接部60に対向する。第1の部分71aは、当接部60の当接面60aに略平行になる。
【0051】
第2の部分71bは、第1の部分71aに対して折れ曲がっている。第2の部分71bは、第3の壁部33に貼り付けられ、ホルダ46の第1の保持部54に対向する。第1の部分71aは、第2の部分71bよりも厚く形成されている。
【0052】
図4に示すように、第2の緩衝部材72は、同様に、互いに一体に形成された第1および第2の部分72a,72bを有する。第1の部分72aは、第1の壁部31に貼り付けられ、ホルダ46の当接部60に対向する。第2の部分72bは、第1の部分72aに対して折れ曲がっている。第2の部分72bは、第4の壁部34に貼り付けられ、ホルダ46の第2の保持部55に対向する。第1の部分72aは、第2の部分72bよりも厚く形成されている。
【0053】
図6および図8に示すように、HDDユニット22の第2のコネクタ51を第1のコネクタ15に接続したとき、第1および第2の緩衝部材71,72の第1の部分71a,72aは、ホルダ46の当接部60に当接する。すなわち、第1および第2の緩衝部材71,72は、HDDユニット22を上記第1の位置から上記第2の位置まで移動する間に、ホルダ46に当接する。
【0054】
第1および第2の緩衝部材71,72の第1の部分71a,72aは、第1のコネクタ15が第2のコネクタ51に電気的に接続される範囲(すなわち有効嵌合長の範囲)で、第1のコネクタ15と第2のコネクタ51との間に隙間Sを残すように、第1の壁部31とホルダ46との間に介在される。
【0055】
隙間Sは、例えば約0.5mmであるが、有効嵌合長の範囲内であればその大きさは限定されない。なお、「第1のコネクタと第2のコネクタとの間に隙間を残す」とは、図8に示すように、ソケット52がヘッダー16に当接しておらず、ヘッダー16とソケット52との間に隙間Sが存在することをいう。
【0056】
図4に示すように、HDD収容部21には、複数の第3の緩衝部材73が設けられている。図9に示すように、第3の緩衝部材73は、HDD45の第2の主面45bに対向している。HDDカバー41には、複数の第4の緩衝部材74が設けられている。第4の緩衝部材74は、HDD45の第1の主面45aに対向している。第4の緩衝部材74は、第3の緩衝部材73とは反対側からHDDユニット22に対向している。第3および第4の緩衝部材73,74は、それぞれ例えば弾性部材、具体的な一例ではゴム部材である。
【0057】
次に、HDD収容部21に対するHDDユニット22の取り付けについて説明する。
HDD収容部21に対するHDDユニット22の取り付けは、電子機器1を上下逆さまの姿勢、すなわち下壁8を上にして行なう。図5に示すように、まず、上方に露出されたHDD収容部21に対して、HDDユニット22を上方から略鉛直方向に沿ってHDD収容部21に収容する。これにより、図10および図12に示すように、フック38が係合穴63に通されるとともに、係合部64が凹部39に係合する。
【0058】
次に、図6に示すように、HDDユニット22を第1のコネクタ15に向けて略水平方向にスライド移動させる。このとき、第1および第2の緩衝部材71,72の第2の部分71b,72b、並びに第3の緩衝部材73がHDDユニット22を案内するガイドとなる。
【0059】
そして、図8に示すように、ホルダ46の当接部60が第1および第2の緩衝部材71,72の第1の部分71a,72aに当接することで、HDDユニット22のスライド移動が停止される。このとき、第1および第2のコネクタ15,51の間には隙間Sが残される。
【0060】
図11および図13に示すように、HDDユニット22が第1のコネクタ15に接続されたとき、取付部57の一部がフック38の下に入り込む。これにより、HDDユニット22がHDD収容部21に対して仮固定される。また係合部64が凹部39の端面39aに対向する。
【0061】
次に、図2および図9に示すように、HDDカバー41を蓋載置部28に載置する。そしてねじ43をHDDカバー41の挿通孔42およびホルダ46の切欠き部62を通して、HDD収容部21のねじ穴37に係合させる。これにより、HDDユニット22は、第1および第2のコネクタ15,51の間に隙間Sを残した位置で筐体6にねじ止め固定される。
【0062】
次に、電子機器1の作用について説明する。
第1および第2のコネクタ15,51の間に隙間Sが存在していると、例えば誤って電子機器1を落下させた時などに外部から加わる衝撃が、第1および第2のコネクタ15,51の間で伝わりにくい。そのため、衝撃が加わったときでも第1のコネクタ15およびHDDユニット22が破損しにくい。
【0063】
つまり、HDDユニット22を上記スライド方向に移動させる衝撃が加わったとき、ホルダ46の当接部60が第1および第2の緩衝部材71,72に当接しているため、HDDユニット22が第1のコネクタ15に向けて移動しにくい。このため、HDDユニット22と第1のコネクタ15との間に隙間Sが維持されやすく、HDDユニット22および第1のコネクタ15に無理な力が作用しにくい。
【0064】
また、外部から衝撃が加わったとき、板状に形成されたホルダ46の当接部60が屈曲することで、HDD45に伝わる衝撃の一部が吸収され、HDD45に大きな衝撃が作用することが抑制される。
【0065】
さらに、外部から衝撃が加わったとき、フック38の下に入り込んだ取付部57がフック38の第1の部分38aに当接する。さらに係合部64が凹部39の端面39aに当接する。つまり、第1のコネクタ15が第2のコネクタ51に電気的に接続される範囲で、第1および第2のコネクタ15,51の間に隙間Sを残すように、係合穴63および係合部64がフック38および凹部39に当接する。これらにより、第1および第2のコネクタ15,51の間の隙間Sがより確実に維持され、HDDユニット22および第1のコネクタ15の破損が抑制される。
【0066】
一方で、上記スライド方向とは反対方向、すなわちHDDユニット22が第1のコネクタ15から抜ける向きの衝撃が加わったときは、取付部57の脆弱部66が屈曲し、衝撃が吸収される。これによりHDD45に加わる力が緩和されている。
【0067】
HDDユニット22の短手方向の衝撃が加わったときは、第1および第2の緩衝部材71,72の第2の部分71b,72bがHDDユニット22を保護する。さらに、HDDユニット22の厚さ方向の衝撃が加わったときは、第3および第4の緩衝部材73,74がHDDユニット22を保護する。
【0068】
このような構成によれば、電子機器1の耐衝撃性を向上させることができる。比較のため、図17に第1および第2のコネクタ15,51の間に隙間が存在しない電子機器を開示する。ソケット52は、ヘッダー16に当接している。このような構成によれば、例えば誤って電子機器1を落下させたときの衝撃が、第1および第2のコネクタ15,16の間で強く伝わり、第1のコネクタ15およびHDD45が破損に至るおそれがある。
【0069】
一方で本実施形態の構成では、第1および第2のコネクタ15,51の間に隙間Sを残すように第1の壁部31とホルダ46との間に介在される緩衝部材71,72を備えるので、電子機器1に大きな衝撃が加わったときでも第1および第2のコネクタ15,51が直接に接触することが抑制される。これにより、第1のコネクタ15およびHDDユニット22の破損のおそれが小さくなる。
【0070】
このため、フレキシブルケーブルを介さずに、回路基板14のコネクタ15にHDDユニット22を直接に接続した電子機器1において、耐衝撃性を向上させることができる。フレキシブルケーブルは高価であるため、これを省略できると電子機器1の低コスト化を図ることができる。さらに部品点数や重量の削減も可能になるので、部品管理などを行ないやすくなる。
【0071】
第1のコネクタ15が第2のコネクタ51に対向する方向においてホルダ46に対向した第1の壁部31に緩衝部材71,72を設けることで、緩衝部材71,72が第1の壁部31とホルダ45との間により確実に入り込む。このため、第1および第2のコネクタ15,51の間の隙間Sを維持しやすくなる。
【0072】
緩衝部材71,72に向いて板状に突出するとともに、その先端部が折れ曲がった当接部60をホルダ46が有し、この当接部60が緩衝部材71,72に当接すると、大きな衝撃が加わったときに板状の当接部60が屈曲して衝撃の一部を吸収することができる。これにより、HDD45に作用する衝撃をさらに小さくすることができる。緩衝部材71,72がHDD収容部21の角部に設けられていると、衝撃をより吸収しやすい。
【0073】
ホルダ46が、第1および第2のコネクタ15,51の間に隙間Sを残した位置で筐体6にねじ43で固定されると、このねじ43も隙間Sを維持するのに寄与することになる。ホルダ46が、第1および第2のコネクタ15,51の間に隙間Sを残すようにフック38および凹部39に当接する係合穴63および係合部64を有すると、上記隙間Sがさらに維持されやすくなる。これらは、電子機器1の耐衝撃性の向上に寄与する。緩衝部材71,72が弾性部材であると、緩衝部材71,72による衝撃の吸収機能がより大きくなる。
【0074】
本実施形態の構成によれば、HDDユニット22の取り付け時にHDDユニット22を仮固定できるので、HDDカバー41とHDDユニット22を1つのねじ43で共締めすることができる。これにより、ねじ本数を削減することができる。本実施形態の構成によれば、HDDユニット22が取り付けと同時に第1のコネクタ15に接続されるので、フレキシブルケーブルを用いた場合に比べて組み立てが容易になる。これにより製造性を向上させることができる。
【0075】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る電子機器1について、図14を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
【0076】
図14に示すように、本実施形態に係る緩衝部材71,72は、ホルダ46に設けられている。緩衝部材71,72は、例えば弾性部材、より具体的な一例としてはゴム部材である。緩衝部材71,72は、HDDユニット22が上記第1の位置から上記第2の位置まで移動する間に、第1の壁部31に当接する。
【0077】
このような構成によっても、上記第1の実施形態と同様に、電子機器1の耐衝撃性を向上させることができる。
【0078】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る電子機器1について、図15を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
【0079】
図15に示すように、本実施形態に係る緩衝部71,72は、筐体6の一部として形成されている。緩衝部71,72は、第1の壁部31と一体に形成された凸部であり、合成樹脂製である。
【0080】
このような構成によっても、上記第1の実施形態と同様に、電子機器1の耐衝撃性を向上させることができる。
【0081】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る電子機器1について、図16を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
【0082】
図16に示すように、本実施形態に係る緩衝部71,72は、ホルダ46に設けられている。緩衝部71,72は、ホルダ46と一体に形成された凸部であり、例えば金属製である。
【0083】
このような構成によっても、上記第1の実施形態と同様に、電子機器1の耐衝撃性を向上させることができる。
【0084】
以上、本発明の第1乃至第4の実施形態に係る電子機器1について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。第1乃至第4の実施形態に係る各構成要素は、適宜組み合わせて用いることができる。また、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0085】
緩衝部が当接するのは、ホルダ46の当接部60に限らず、ホルダ46の側面や天面、底面などホルダ46のいずれの面でもよい。緩衝部は、通常時において、第1の壁部31やホルダ46に当接していてもよいし、当接していなくてもよい。すなわち、緩衝部は、通常時に第1の壁部31やホルダ46から離れているとともに、衝撃が加わったときに第1の壁部31やホルダ46に当接し、第1および第2のコネクタ15,51の間の隙間Sを維持するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0086】
S…隙間、1…電子機器、6…筐体、14…回路基板、15…第1のコネクタ、21…HDD収容部、22…HDDユニット、23…開口部、26…起立壁部、38…フック、39…凹部、45…HDD、46…ホルダ、51…第2のコネクタ、54,55…保持部、60…当接部、71,72…緩衝部材(緩衝部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
第1端子部と、該第1端子部を支持した第1絶縁部とを含む第1コネクタが実装された回路基板と、
第1位置とこの第1位置よりも前記第1コネクタに近づく第2位置とに亘り前記第1端子部と電気的に接続可能な第2端子部と、該第2端子部を支持するとともに前記第2位置で前記第1絶縁部と当接される第2絶縁部とを含む第2コネクタを有したユニットと、
前記第1位置で前記筐体および前記ユニットの少なくとも一方とは当接されないとともに、前記第1位置と前記第2位置との間の位置で前記筐体の一部および前記ユニットの少なくとも一方と当接されはじめて、前記第1絶縁部と前記第2絶縁部との当接を抑制可能な第1緩衝部と、
を具備したことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記第1緩衝部は、当該電子機器に外力が作用しない状態で、前記第1位置と前記第2位置との間で前記第1絶縁部と前記第2絶縁部との間に隙間が残る第3位置に前記ユニットを支持することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2の記載において、
前記ユニットは、前記第3位置で前記筐体に固定される剛性の取付部を有したことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項3の記載において、
前記ユニットは、前記第1緩衝部に当接される第1端部と、該第1端部とは反対側に位置された第2端部とを有し、前記取付部は、前記第2端部に設けられたことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1または請求項4の記載において、
前記筐体は、前記第1緩衝部が設けられた壁部を有し、
前記ユニットは、前記第2コネクタが設けられたモジュールと、該モジュールを保持した保持部とを有し、
前記第1緩衝部は、前記モジュールには当接されずに、前記保持部に当接されることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項5の記載において、
前記保持部は、当該電子機器に外部からの衝撃が作用した時に変形可能な第2緩衝部を有し、
前記第1緩衝部は、前記第2緩衝部に当接されることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6の記載において、
前記第2緩衝部は、前記保持部から前記第1緩衝部に向いて板状に突出するとともに、前記モジュールの端部との間に隙間が空いた折曲部を有し、当該電子機器に外部からの衝撃が作用した時に、該第2緩衝部の少なくとも一部が前記モジュールの端部と前記折曲部との間の隙間で曲がることで前記衝撃が緩和されることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1または請求項7の記載において、
前記第1緩衝部は、弾性部材であることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項1または請求項7の記載において、
前記第1緩衝部は、前記筐体の一部であることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項1または請求項7の記載において、
前記第1緩衝部は、前記保持部に設けられたことを特徴とする電子機器。
【請求項11】
壁部を有した筐体と、
前記筐体に収容された回路基板と、
第1絶縁部と、この第1絶縁部に支持された端子部とを有し、前記回路基板に実装された第1コネクタと、
第2絶縁部を有した第2コネクタが設けられ、前記第1絶縁部と前記第2絶縁部との間に隙間があるとともに、前記第1コネクタの端子部が前記第2コネクタに接触し、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが電気的に接続される第1位置と、この第1位置よりも前記第1コネクタに近づき、前記第1絶縁部と前記第2絶縁部とが当接される第2位置との間で移動可能なユニットと、
前記筐体の壁部と前記ユニットとの間に設けられ、前記第1位置では前記壁部及び前記ユニットの少なくとも一方との間に隙間があるとともに、前記第1位置から前記第2位置に向いて移動するユニットが前記第2位置に達する前に、前記壁部と前記ユニットとの間に挟まれ、前記ユニットに反力を及ぼす緩衝部と、
を具備したことを特徴とする電子機器。
【請求項12】
請求項11の記載において、
前記緩衝部は、当該電子機器に外力が作用しない状態で、前記第1位置と前記第2位置との間で前記第1絶縁部と前記第2絶縁部との間に隙間が残る第3位置に前記ユニットを支持することを特徴とする電子機器。
【請求項13】
請求項12の記載において、
前記ユニットは、前記第3位置で前記筐体に固定される剛性の取付部を有したことを特徴とする電子機器。
【請求項14】
請求項13の記載において、
前記ユニットは、前記第2コネクタが設けられたモジュールと、該モジュールを保持したホルダとを有し、
前記ホルダは、前記緩衝部に当接される第1端部と、該第1端部とは反対側に位置され、前記取付部が設けられた第2端部とを有し、
前記モジュールは、前記緩衝部と前記取付部とによって、2方向から前記第3位置に支持されたことを特徴とする電子機器。
【請求項15】
請求項11または請求項13の記載において、
前記ユニットは、前記第2コネクタが設けられたモジュールと、該モジュールを保持したホルダとを有し、
前記緩衝部は、前記モジュールには当接されずに、前記ホルダに当接されることを特徴とする電子機器。
【請求項16】
請求項15の記載において、
前記ホルダは、該ホルダから前記緩衝部に向けて板状に突出するとともに、前記モジュールの端部との間に隙間が空いて折れ曲がった当接部を有し、
前記当接部は、前記第2端子部が前記第1位置から前記第2位置まで移動する間に前記緩衝部に当接され、当該電子機器に外部からの衝撃が作用した時に、前記モジュールの端部と該当接部との間の隙間で曲がることで前記衝撃が緩和されることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−48815(P2012−48815A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244425(P2011−244425)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【分割の表示】特願2009−296142(P2009−296142)の分割
【原出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】