説明

電子機器

【課題】アンテナが他の電子部品に与える影響をより少なくすることができる電子機器を提供すること。
【解決手段】筐体と、筐体に内蔵され、開口が形成された回路基板と、回路基板の一方の面に対向して配置されたアンテナと、回路基板の他方の面側の、アンテナと回路基板を介して対面する位置に、回路基板に固定されていない状態で配置された電子部品と、回路基板の開口を通過し、一方の端部が、回路基板の他方の面側で電子部品と接続し、他方の端部が、回路基板の一方の面で回路基板と接続する配線部とを有すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ及び電子部品を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、例えば、携帯電話、PDA、ポータブルナビゲーション装置、携帯ゲーム機等の携帯電子機器、パソコン(PC)等の固定型の電子機器には、通信を行うためのアンテナが配置されている。また、電子機器には、カメラ、入力デバイス等の電子部品も配置されている。なお、特許文献1には、アンテナ素子とアンテナ素子で取得した信号を処理する回路とを有するアンテナが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−101334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、電子機器は、アンテナに高周波電流が流れると装置内の他の電子部品の一部にも高周波電流が流れてしまう。このように、電子部品に高周波電流が流れると、電子部品でも電界が発生し、筐体の外部に出力され電子機器を使用するユーザに到達する電界が大きくなる。
【0005】
これに対して、電子機器を大きくし、アンテナをユーザから離せば、ユーザに到達する電界を弱くすることができる。しかしながら、電子機器は、小型化が進んでおり、アンテナをユーザから離すには限界がある。また、電子機器は、小型化しているため、アンテナの配置位置や、基板の配置可能な範囲が狭くなり、各部材の距離が近くなっている。
【0006】
また、アンテナから出力する電波の出力を小さくすることで、発生する電界を小さくすることができるが、通信波の出力が小さくなるため装置としての性能が低下してしまう。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、アンテナが他の電子部品に与える影響をより少なくすることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、筐体と、前記筐体に内蔵され、開口が形成された回路基板と、前記回路基板の一方の面に対向して配置されたアンテナと、前記回路基板の他方の面側の、前記アンテナと前記回路基板を介して対面する位置に、前記回路基板に固定されていない状態で配置された電子部品と、前記回路基板の前記開口を通過し、一方の端部が、前記回路基板の前記他方の面側で前記電子部品と接続し、他方の端部が、前記回路基板の一方の面で前記回路基板と接続する配線部とを有することを特徴とする。
【0009】
ここで、前記配線部は、フレキシブルプリント基板であることが好ましい。
【0010】
また、前記回路基板は、前記一方の面にコネクタが配設され、前記配線部の他方の端部は、前記コネクタと接続されていることが好ましい。
【0011】
また、前記回路基板は、前記一方の面にアンテナと接続するアンテナ給電点が形成され、前記開口は、前記アンテナ給電点と、前記回路基板と前記配線部との接続部との間に形成されていることが好ましい。
【0012】
また、前記配線部のうち、前記回路基板の一方の面と対面した部分と、前記アンテナとの間に配置された接地電極をさらに有することが好ましい。
【0013】
また、前記配線部のうち、前記回路基板の他方の面と対面した部分と、前記回路基板との間に配置された接地電極をさらに有することが好ましい。
【0014】
また、前記電子部品は、前記筐体の表面に露出している検出面を備え、該検出面に接触している対象物の変位を検出する変位検出部であることが好ましい。
【0015】
また、前記変位検出部は、接触面の画像を連続して取得し、該画像を処理し、前記対象物の特徴点の変位を検出し、検出した前記特徴点の変位を前記対象物の変位として検出することが好ましい。
【0016】
また、前記変位検出部は、前記接触面に不可視領域の光を照射し、前記接触面で反射した光を取得して、前記接触面の画像を取得することが好ましい。
【0017】
また、前記対象物は、指または棒状の物体の先端であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる電子機器は、アンテナが他の電子部品に与える影響をより少なくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、携帯電話端末の外観を示す正面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線断面図である。
【図3】図3は、携帯電話端末の概略構成を一方の方向から示す分解図である。
【図4】図4は、携帯電話端末の概略構成を他方の方向から示す分解図である。
【図5】図5は、携帯電話端末の基板と入力デバイスとの関係を模式的に示す断面図である。
【図6】図6は、携帯電話端末の基板と入力デバイスとの関係を模式的に示す正面図である。
【図7】図7は、携帯電話端末の基板と入力デバイスとの関係を模式的に示す背面図である。
【図8】図8は、入力デバイスの概略構成を示す断面図である。
【図9】図9は、入力デバイスの概略構成を示す表面図である。
【図10】図10は、入力動作の一例を説明するための説明図である。
【図11】図11は、携帯電話端末の機能の概略構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、基板の概略構成を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、電子機器として携帯電話端末を例として説明するが、本発明の適用対象は携帯電話端末に限定されるものではなく、入力部を備える各種装置、例えば、PHS(Personal Handyphone System)、PDA、ポータブルナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、ゲーム機等に対しても本発明は適用できる。
【実施例】
【0021】
図1は、本発明の文字入力装置の一実施形態である携帯電話端末の外観を示す正面図である。また、図2は、図1のA−A線断面図であり、図3は、携帯電話端末の概略構成を一方の方向から示す分解図であり、図4は、携帯電話端末の概略構成を他方の方向から示す分解図である。
【0022】
図1に示すように、携帯電話端末1は、薄板状の筐体12を有する。また、図2に示すように、筐体12は、第1筐体12Aと、第2筐体12Bとを有する。筐体12は、第1筐体12Aと、第2筐体12Bとを張り合わせることで、内部に空間を形成した箱型となる。以下、本実施形態では、第1筐体12A側(第1筐体12Aのタッチパネル2が配置されている面)を正面、第2筐体12B側(正面とは反対側の第2筐体12Bの面)を背面とする。
【0023】
また、図1に及び図2に示すように、携帯電話端末1は、第1筐体12Aの表面に、タッチパネル2と、ボタン20、ボタン22及び入力デバイス24からなる入力部3と、レシーバ7と、マイク8とが配置されている。また、第1筐体12Aは、開口が形成されており、タッチパネル2、入力部3、レシーバ7、マイク8の各部の必要な部分を露出させている。さらに、携帯電話端末1は、図3及び図4に示すように、第1筐体12Aと第2筐体12Bとの間に、基板4が配置されている。また、携帯電話端末1は、第1筐体12Aと第2筐体12Bとの間には、コネクタ64と、配線部66と、アンテナ68と、接地電極69と、接地電極70とを有する。なお、携帯電話端末1は、第1筐体12Aと第2筐体12Bとの間に、基板(回路基板)4、コネクタ64、配線部66、アンテナ68、接地電極70に加え、各部を接続する接続端子や、携帯電話端末1の各種機能を実行するための部材、機器が配置されている。
【0024】
タッチパネル2は、板状の第1筐体12Aの面積が最も広い面(正面)に配置されている。また、入力部3も、第1筐体12Aのタッチパネル2が配置されている面の、長手方向の一方の端部に配置されている。入力部3は、短手方向の一方から他方に向かって、ボタン20、入力デバイス24、ボタン22の順で配置されている。また、レシーバ7は、第1筐体12Aのタッチパネル2が配置されている面の長手方向の他方の端部、つまり、入力部3が配置されている端部とは反対側の端部に配置されている。また、マイク8は、第1筐体12Aのタッチパネル2が配置されている面の長手方向の一方の端部、つまり、入力部3が配置されている端部に配置されている。
【0025】
タッチパネル2は、文字、図形、画像等を表示するとともに、指、スタイラス、ペン(ペンの先端、棒状部材の先端)等(以下、単に「指」という)を用いてタッチパネル2に対して行われる各種動作を検出する。また、タッチパネル2は、図3に示すように、タッチセンサ2Aとタッチセンサ2Aに重畳された表示部2Bとを有する。タッチセンサ2Aは、ユーザによる接触を検出し、表示部2Bは、画像を表示させる。また、タッチセンサ2Aは、第1筐体12Aに固定され、表示部2Bは、後述する基板4に固定されている。
【0026】
入力部3は、ボタン20、22が押下された場合に、押下されたボタンに対応する機能を起動させる。また、入力部3は、入力デバイス24に入力された動作も操作として検出し、入力された操作に基づいて各種制御を行う。入力デバイス24については、後ほど説明する。
【0027】
基板(回路基板)4は、板状の部材であり、図3及び図4に示すように、第1筐体12A側の面には、タッチパネル2が配置され、第2筐体12B側の面には、回路4Aが配置されている。ここで、回路4Aは、携帯電話端末1の各機能を実行するため、つまり、後述する主制御部、RAM、記憶部等を実現するための演算部、記憶部である。また、基板4は、入力デバイス24が配置されている領域に開口62が形成されている。また、基板4には、回路4Aに加え、各種電子部品が配置されている。
【0028】
ここで、携帯電話端末1は、基板4に配置された回路4Aと、入力デバイス24とを接続する機構として、上述したコネクタ64と、配線部66とを有する。コネクタ64は、図2及び図4に示すように、基板4の第2筐体12B側の面の、入力デバイス24の近傍に配置されている。具体的には、コネクタ64は、基板4の第2筐体12B側の面の、入力デバイス24と開口62とを結んだ線の延長線上に配置されている。なお、コネクタ64は、回路4Aと接続されており、信号の送受信や、電力の配給を行う。
【0029】
配線部66は、入力デバイス24とコネクタ64とを接続し、信号の送受信や、電力の配給を行う配線である。配線部66としては、例えば、柔軟性があり大きく変形させることが可能なプリント基板、例えば、FPC(フレキシブルプリント基板、Flexible Printed Circuits)を用いることができる。また、配線部66としては、フレキシブルケーブルも用いることができる。配線部66は、一方の端部が入力デバイス24と接続され、他方の端部がコネクタ64に接続されている。また、配線部66は、開口62を通過しており、入力デバイス24側の部分が基板4よりも第1筐体12A側に配置され、コネクタ64側の部分が基板4よりも第2筐体12B側に配置される。
【0030】
次に、アンテナ68は、図3に示すように、第2筐体12Bの長手方向において入力デバイス24及びマイク8が配置されている側の端部に配置されている。なお、アンテナ68は、第2筐体12Bの基板4と対面して配置されており、基板4に設けられた回路4Aの一部と接続している。なお、アンテナ68は、通話等の通信、つまり基地局と通信を行うためのアンテナでも、GPS衛星と通信を行うためのアンテナでもよい。
【0031】
接地電極69は、筐体12内部に配置された各種回路の基準電位を保持する電極である。接地電極69は、基板4の第1筐体12A側の面に配置されている。また、接地電極69は、一部が基板4の第1筐体12A側の面の入力デバイス24と、開口62との間に配置されている。具体的には、接地電極69は、配線部66の第1筐体12A側の部分と対面する位置に配置されている。したがって、接地電極69は、配線部66とアンテナ68との間に配置されている。これにより、接地電極69は、アンテナ68が配線部66に与える影響を抑制する。
【0032】
接地電極70は、筐体12内部に配置された各種回路の基準電位を保持する電極である。接地電極70は、基板4の第2筐体12B側の面に配置されている。また、接地電極70は、一部が基板4の第2筐体12B側の面のコネクタ64と、開口62との間に配置されている。具体的には、接地電極70は、配線部66の第2筐体12B側の部分と対面する位置に配置されている。したがって、接地電極70は、配線部66と基板4との間に配置されている。これにより、接地電極70は、配線部66から発生し、基板4を通過する電界の強度を低減することができる。
【0033】
次に、図5から図7を用いて、携帯電話端末1の基板4と入力デバイス24との関係についてより詳細に説明する。ここで、図5は、携帯電話端末の基板と入力デバイスとの関係を模式的に示す断面図である。また、図6は、携帯電話端末の基板と入力デバイスとの関係を模式的に示す正面図であり、図7は、携帯電話端末の基板と入力デバイスとの関係を模式的に示す背面図である。
【0034】
携帯電話端末1は、図5に示すように、入力デバイス24と、アンテナ68が基板4を介して向かい合って配置されている。また、入力デバイス24と回路4Aとの間で信号を送受信や、電力の配給を行う配線部66は、開口62を通過し、基板4の第2筐体12B側に配置されたコネクタ64と接続されるように配置されている。これにより、配線部66は、図6及び図7に示すように、一部が第1筐体12A側に配置され、一部が第2筐体12B側に配置される。
【0035】
また、図6に示すように、基板4の第1筐体12A側の面には、接地電極69が配置され、図7に示すように、基板4の第2筐体12B側の面には、接地電極70が配置されている。なお、接地電極69上及び接地電極70上には、他の電子部品が積層されて配置されている。また、配線部66の第1筐体12A側に露出した部分は、配線部66と基板4との間に接地電極69が配置されている。また、配線部66の第2筐体12B側に露出した部分は、配線部66と基板4との間に接地電極70が配置されている。
【0036】
携帯電話端末1は、以上のように、コネクタ64を基板4の第2筐体12B側に配置し、基板4に配線部66を通過させる開口62を入力デバイス24とコネクタ64との間に形成することで、入力デバイス24と接続する配線部66の一部を、アンテナ68が配置されている側に配置させることができる。つまり、配線部66は、コネクタ64を基板4の第1筐体12A側に配置した場合よりも、基板4より第1筐体12A側に配置される部分を少なくすることができる。これにより、配線部66は、基板4の第1筐体12A側に配置された入力デバイス24と回路4Aとを接続させつつ、第1筐体12A側から外に出力する電界の大きさ(または外部に出力する電磁波、高周波電流)を小さくすることができる。具体的には、配線部66の一部を基板4の第2筐体12B側に配置することで、配線部66と第1筐体12Aとの距離を少なくとも基板4の厚み分遠くすることができる。これにより、配線部66から出力される電界が第1筐体12Aに到達したときの強度(電界の強度)を小さくすることができる。このように、第1筐体12A側から外に出力される電界を小さくできることで、入力デバイス24及びマイク8の周辺から出力される電界を小さくすることができる。通話時等に、マイク8の周辺にあるユーザに到達する電界(及び/または高周波電流)を小さくすることができる。これにより、携帯電話端末1としての比吸収率(SAR:Specific Absorption Rate)をより低減することができる。
【0037】
また、基板4に開口62を形成し、開口62に配線部66を通し、配線部66の一部を基板4の第2筐体12B側に配置することで、本実施形態のように、第1筐体12A側に入力デバイス24を配置した構成としても、入力デバイス24を機能させるための配線部66が発生させる電界の影響を小さくすることができる。これにより、入力デバイス24をアンテナ68の近傍に配置する場合でも、アンテナ68の機能(例えば、アンテナ68から出力させるパワー)を低下させることなく、入力デバイス24を配置することができる。また、アンテナ68と対面する位置に入力デバイス24を配置できることで、装置の効率よくかつ機能的に各部品を配置することができる。また、基板4のアンテナ68と対向する面を効率よく利用することができるため、この点でも筐体12内のスペースを有効に活用することができる。これにより、装置を小型化、薄型化することができる。
【0038】
さらに、配線部66を、基板4の開口62を通過し、基板4の第1筐体12A側の面と第2筐体12B側の面の両面に渡って配置する構成とすることで、配線部66が第1筐体12Aの表面に直交する方向に撓むことを抑制することができる。つまり、第1筐体12Aの表面に平行な方向における入力デバイス24とコネクタ64との距離に対して配線部66が長い場合でも、配線部66が撓むことを抑制することができる。また、配線部66の撓みを抑制できることで、携帯電話端末1の機体の設計誤差で、第1筐体12Aに到達する電界の強度がばらつくことを抑制することができる。これにより、装置をより設計しやすくすることができる。
【0039】
また、本実施形態のように、配線部66の基板4よりも第1筐体12A側に配置されている部分と、基板4との間の少なくとも一部に接地電極69を配置することで、つまり、配線部66とアンテナ68との間に接地電極69を配置することで、第1筐体12A側から外に出力される電界をさらに小さくできる。具体的には、アンテナ68から出力される電界(高周波電流)を接地電極70で吸収することができ、配線部66の基板4よりも第1筐体12A側に配置されている部分に到達する電界(高周波電流)を小さくすることができる。これにより、アンテナ68の影響で配線部66で発生する電界を小さくすることができ、第1筐体12Aまで到達する電界を小さくすることができる。
【0040】
また、本実施形態のように、配線部66の基板4よりも第2筐体12B側に配置されている部分と、アンテナ68との間の少なくとも一部に接地電極70を配置することで、第1筐体12A側から外に出力される電界をさらに小さくできる。具体的には、配線部66の基板4よりも第2筐体12B側に配置されている部分で発生する電界を接地電極70で吸収することができ、配線部66の基板4よりも第2筐体12B側に配置されている部分で発生し、基板4を通過して第1筐体12Aまで到達する電界を小さくすることができる。
【0041】
次に、図8から図10を用いて、本実施形態の入力デバイス24の構成について説明する。ここで、図8は、入力デバイスの概略構成を示す断面図であり、図9は、入力デバイスの概略構成を示す表面図であり、図10は、入力動作の一例を説明するための説明図である。
【0042】
入力デバイス24は、光源30と、光学ユニット32と、センサ34と、処理部36と、接触面38と、を有し、筐体12の表面に露出した接触面38に接触する指Fの動きを検出し、解析することで、指Fによって入力された操作を検出する。なお、本実施形態では、指Fの動きとしたが、接触面38に接触し、その接触の変化、つまり移動を検出することができる対象物であれば、操作を入力する対象物として用いることができる。対象物としては、上述のタッチパネル2と同様に、指、スタイラス、ペン等を用いることができる。また、接触面38は、表面に指F等の対象物が接触することにより、光の反射の特性が変化する材料で形成されている。また、接触面38は、露出面が円形形状である。なお、入力デバイス24の近傍には、タッチパネル2が配置されており、タッチパネル2は、表示部2Bと、表示部2Bに重畳されたタッチセンサ2Aとで構成されている。
【0043】
光源30は、光を出力する光源である。光源としては、LED(Light Emitting Diode)、レーザダイオード等を用いることができる。なお、光源としては、一定の波長、特に、不可視領域の波長の光を出力する光源を用いることが好ましい。不可視領域の波長の光を用いることで、接触面38から外部に光が射出されても、認識されないようにすることができ、ユーザがまぶしい思いをすることを抑制できる。また、光学ユニットを簡単にすることができるため、指向性の高い光を射出する光源を用いることが好ましい。
【0044】
光学ユニット32は、光源30から出力された光を、接触面38に到達させた後、センサ34まで案内する光の経路を構成する機構であり、ミラー32aと、光学系32bとを有する。ミラー32aは、光源30から出力された光を反射し、接触面38に向けて偏向する。光学系32bは、光を集光、屈折させる光学部材で構成され、接触面38で反射した光をセンサ34に向けて偏向する。
【0045】
センサ34は、接触面38で反射された光を検出する光検出素子である。センサ34は、平面の検出面を有し、平面の各位置に入射される光の強度の分布を検出することで、接触面38の画像を取得する。センサ34は、検出した結果(画像)を処理部36に送る。処理部36は、入力処理部(DSP、Digital Signal Processor)であり、センサ34での検出結果に基づいて、指Fの動きを検出する。なお、処理部36については、後ほど説明する。
【0046】
入力デバイス24は、以上のような構成であり、光源30から出力した光を光学ユニット32で案内することで、接触面38で反射させた後、センサ34に入射させる。その後、入力デバイス24は、センサ34で入射した光の分布の情報を処理部36に送り、処理部36で、検出結果を解析することで、接触面38に接触している指F(対象物)の形状を検出する。入力デバイス24は、このように、接触面38に接触している指Fの形状の検出を一定時間毎に繰り返すことで、接触面38に接触している指Fの形状の変化、つまり、指Fの動き、指Fの移動を検出する。なお、入力デバイス24は、指Fの画像を検出することで、指Fの凹凸(指紋等)を検出し、その指紋から特徴点を検出し、その特徴点の移動を検出することで、指の移動を検出することができる。また、図8では、接触面38の1箇所のみを検出している状態を示しているが、同様のユニットを複数配置することで、接触面38の全域の画像を取得(検出)することができる。
【0047】
ここで、入力デバイス24は、図9に示すように、接触面38の領域が、第1領域40と、第2領域42と、第3領域44と、第4領域46とに分割して設定されている。ここで、第1領域40は、接触面38の中心を中心として、タッチパネル2に最も近い点を0°とした場合、315°から45°間までの領域である。同様に、第2領域42は、135°から225°間までの領域である。また、第3領域44は、225°から315°間までの領域である。また、第4領域46は、45°から135°間までの領域である。
【0048】
入力デバイス24は、例えば、タッチパネル2に長手方向を上下方向とした画像を表示させている場合に、第1領域40から第2領域42に指F(指Fの任意の特徴点)が移動したことを検出したら、カーソル等の操作対象が、下方向に移動する指示が入力されたと判定する。また、図10に示すように、指FがX方向に移動し、入力デバイス24が、指Fが第3領域44から第4領域46に移動したことを検出したら、操作対象が、右方向に移動する指示が入力されたと判定する。このように、入力デバイス24は、領域を分割しておき、どの領域からどの領域に指が移動したかを検出することで、上下左右の4つのうちいずれの方向に移動する操作が入力されたかを判定することができる。つまり、入力デバイス24を方向キーとして好適に用いることができる。
【0049】
次に、携帯電話端末1の機能と制御部との関係を説明する。図11は、図1に示す携帯電話端末の機能の概略構成を示すブロック図である。図11に示すように携帯電話端末1は、タッチパネル2と、入力部3と、電源部5と、通信部6と、レシーバ7と、マイク8と、記憶部9と、主制御部10と、RAM(Random Access Memory)11とを有する。
【0050】
タッチパネル2は、上述したように、タッチセンサ2Aとタッチセンサ2Aに重畳された表示部2Bとを有する。タッチセンサ2Aは、指を用いてタッチパネル2に対して行われた各種動作を、動作が行われた場所のタッチパネル2上での位置とともに検出する。タッチセンサ2Aによって検出される動作には、指をタッチパネル2の表面に接触させる動作や、指をタッチパネル2の表面に接触させたまま移動させる動作や、指をタッチパネル2の表面から離す動作が含まれる。なお、タッチセンサ2Aは、感圧式、静電式等のいずれの検出方式を採用していてもよい。表示部2Bは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネル等で構成され、文字、図形、画像等を表示する。
【0051】
例えば、携帯電話端末1は、利用者から文字の入力を受け付けるために、タッチパネル2上に仮想キーボードを表示させる。携帯電話端末1は、タッチパネル2上に仮想キーボードを表示させる状態で、指によってタッチパネル2に入力される各種動作を検出し、仮想キーボードのどのキーが押下されたか、接触されたかを検出し、押下、接触を検出したキーを入力したキーとすることで、文字入力を行うことができる。また、タッチパネル2は、文字の入力によらず、表示させている画像と、指によってタッチパネル2に対して行われる各種動作とに基づいて、各種操作の入力を検出し、入力された操作に基づいて各種制御を行う。
【0052】
入力部3は、上述したようにボタン20、22と、入力デバイス24とを有する。ボタン20、22は、物理的な入力(押下)を通じて利用者の操作を受け付け、受け付けた操作に対応する信号を主制御部10へ送信する。入力デバイス24は、接触面38に接触する指等の移動を検出し、その検出結果に対応する操作信号を生成し、生成した信号を主制御部10へ送信する。
【0053】
電源部5は、蓄電池または外部電源から得られる電力を、主制御部10を含む携帯電話端末1の各機能部へ供給する。通信部6は、基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA方式等による無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信及び情報通信を行う。レシーバ7は、電話通信における相手側の音声や着信音等を出力する。マイク8は、利用者等の音声を電気的な信号へ変換する。
【0054】
記憶部9は、例えば、不揮発性メモリや磁気記憶装置であり、主制御部10での処理に利用されるプログラムやデータを保存する。具体的には、記憶部9は、メールの送受信や閲覧のためのメールプログラム9Aや、WEBページの閲覧のためのブラウザプログラム9Bや、入力デバイス24に入力された入力操作に基づいてテキスト編集の動作、処理を決定する入力処理プログラム9Cを記憶する。また、記憶部9には、携帯電話端末1の基本的な機能を実現するオペレーティングシステムプログラムや、氏名、電話番号、メールアドレス等が登録されたアドレス帳データ等の他のプログラムやデータも記憶される。また、記憶部9には、タッチパネル2に入力された入力操作に基づいて制御動作、処理を決定するプログラム等も記憶される。なお、制御動作、処理とは、携帯電話端末1で実行する各種動作、処理が含まれ、例えば、カーソル、ポインタの移動、画面の表示切替、文字入力処理、各種アプリケーションの起動処理、終了処理がある。
【0055】
主制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、携帯電話端末1の動作を統括的に制御する。具体的には、主制御部10は、記憶部9に記憶されているデータを必要に応じて参照しつつ、記憶部9に記憶されているプログラムを実行して、タッチパネル2、入力部3、通信部6等を制御することによって各種処理を実行する。主制御部10は、記憶部9に記憶されているプログラムや、処理を実行することによって取得/生成/加工されたデータを、一時的な記憶領域を提供するRAM11に必要に応じて展開する。なお、主制御部10が実行するプログラムや参照するデータは、通信部6による無線通信でサーバ装置からダウンロードすることとしてもよい。携帯電話端末1の各部の機能を以上のような構成である。携帯電話端末1は、操作に基づいて、他の通信端末との通信を行い、通話やWEBページの取得を行う。また、携帯電話端末1は、操作部として、入力デバイス24を用いることで、指を移動させるだけで種々の操作を入力することができる。
【0056】
ここで、携帯電話端末1は、図12に示すように、アンテナ給電点82を、開口62を介してコネクタ64と向かい合う位置に配置することが好ましい。なお、図12は、基板の概略構成を示す背面図である。アンテナ給電点82は、基板4において、アンテナ68と接触する部分である。アンテナ68は、アンテナ給電点82を介して、基板4に形成された回路(例えば回路4Aやその他の回路)と通電する。このように、携帯電話端末1は、アンテナ給電点82とコネクタ64との間に開口62を配置した構成とすることで、アンテナ給電点82からコネクタ64に流れる電流をより確実に遮断することができる。これにより、配線部66に流れる高周波電流を少なくすることができ、配線部66で発生する電界の強度をより低くすることができる。
【0057】
なお、上記実施形態では、入力デバイスと回路とを接続させる配線部の場合として説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、基板上の回路と電気的に接続する必要があり、かつ、基板に固定しない、各種電子部品を有する電子機器に用いることができる。つまり、回路と基板に固定しない電子部品とを配線により接続する各種電子機器に用いることができる。例えば、電子部品としては、カメラを対象とすることもできる。なお、対象となる電子部品は、アンテナの近傍で、かつ、アンテナよりもマイクまたはレシーバが配置されている面に近い側に配置される電子部品である。なお、電子部品としては、配線により基板と接続される各種部品が対象となるが、フレキシブルプリント基板で接続する電子部品に用いることが好ましい。これにより、アンテナの近傍でかつアンテナよりもマイク、レシーバ側に配置された電子部品をより電界を発生させやすいフレキシブルプリント基板を用いて基板と接続した場合でも、SARを好適に低減させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明に係る電子機器は、アンテナと、アンテナに対面する位置に配置された電子部品とを有する構成である場合に適している。
【符号の説明】
【0059】
1 携帯電話端末
2 タッチパネル
2A タッチセンサ
2B 表示部
3 入力部
4 基板
4A 回路
5 電源部
6 通信部
7 レシーバ
8 マイク
9 記憶部
9A メールプログラム
9B ブラウザプログラム
9C 入力処理プログラム
10 主制御部
11 RAM
12 筐体
12A 第1筐体
12B 第2筐体
20、22 ボタン
24 入力デバイス
30 光源(LED素子)
32 光学ユニット
32a ミラー
32b 光学系
34 センサ
36 処理部
38 接触面
40 第1領域
42 第2領域
44 第3領域
46 第4領域
62 開口
64 コネクタ
66 配線部
68 アンテナ
82 アンテナ給電点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に内蔵され、開口が形成された回路基板と、
前記回路基板の一方の面に対向して配置されたアンテナと、
前記回路基板の他方の面側の、前記アンテナと前記回路基板を介して対面する位置に、前記回路基板に固定されていない状態で配置された電子部品と、
前記回路基板の前記開口を通過し、一方の端部が、前記回路基板の前記他方の面側で前記電子部品と接続し、他方の端部が、前記回路基板の一方の面で前記回路基板と接続する配線部とを有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記配線部は、フレキシブルプリント基板であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記回路基板は、前記一方の面にコネクタが配設され、
前記配線部の他方の端部は、前記コネクタと接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記回路基板は、前記一方の面にアンテナと接続するアンテナ給電点が形成され、
前記開口は、前記アンテナ給電点と、前記回路基板と前記配線部との接続部との間に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記配線部のうち、前記回路基板の一方の面と対面した部分と、前記アンテナとの間に配置された接地電極をさらに有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記配線部のうち、前記回路基板の他方の面と対面した部分と、前記回路基板との間に配置された接地電極をさらに有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記電子部品は、前記筐体の表面に露出している検出面を備え、該検出面に接触している対象物の変位を検出する変位検出部であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記変位検出部は、接触面の画像を連続して取得し、該画像を処理し、前記対象物の特徴点の変位を検出し、検出した前記特徴点の変位を前記対象物の変位として検出することを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記変位検出部は、前記接触面に不可視領域の光を照射し、前記接触面で反射した光を取得して、前記接触面の画像を取得することを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記対象物は、指または棒状の物体の先端であることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−49926(P2012−49926A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191458(P2010−191458)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】