説明

電子機器

【課題】インサート成形による筐体の軽量化を図ることができる電子機器を提供する。
【解決手段】筐体20において電子部品23を支持する板金部25の平板部251に設けられた折曲部252を、樹脂部26により覆う。このとき、折曲部252には、切欠部253が設けられているので、筐体の軽量化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型内に挿入した金属部品の周りに樹脂を注入して金属と樹脂を一体化した部品を用いる電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属部品の周りに樹脂を注入して金属と樹脂を一体化することにより形成される部品が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5に示す部品100は、電動機のコネクタを兼ねたエンドケースに用いられる部品であり、金属心材101と樹脂102によりインサート成形したものである。
金属心材101は中心部に固定軸の端部が圧入固定される圧入部103を有しており、圧入部103からリブ部104が放射状に伸びて、樹脂102との結合強度の増加を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−159146号公報(第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、前述したような、金属をインサート成形した部品は、電子機器にも多用されている。
また、電子機器においては、軽量化が求められており、インサート成形部品である例えば電子機器の筐体等の軽量化が求められている。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、インサート成形による筐体等の部品の軽量化を図ることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子機器は、板金部と、前記板金部の平板部に設けられた折曲部を覆う樹脂部とを有する筐体と、前記板金部に支持される電子部品と、を備え、前記折曲部に切欠部が設けられたものである。
【0008】
また、本発明の電子機器は、前記平板部が平面略矩形状であるとともに、前記折曲部が前記平板部における互いに平行な一対の縁部にそれぞれ設けられ、かつ、前記各切欠部が前記各折曲部における非対称位置に設けられたものである。
【0009】
また、本発明の電子機器は、前記切欠部が前記平板部に向かって先細りとなる側面視略台形状であるものである。
【0010】
さらに、本発明の電子機器は、前記板金部がアルミニウム製であるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、筐体において電子部品を支持する板金部の平板部に設けられた折曲部を、樹脂部により覆う。このとき、折曲部には、切欠部が設けられているので、筐体の軽量化を図ることができるという効果を有する電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る実施形態の携帯端末の分解斜視図
【図2】板金部および樹脂部の斜視図
【図3】図2中III−III位置の断面図
【図4】切欠部の正面図
【図5】従来の電子機器の断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の電子機器に係る実施形態について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明に係る実施形態の携帯端末10は、上筐体20と、下筐体30と、上筐体20および下筐体30を回動可能に連結するヒンジ部40を有する。
【0014】
上筐体(筐体)20は、内部に回路基板(図示省略)等を収容するケース21を有しており、ケース21の外面側(図1において上面側)を覆う矩形板状のカバー22を有する。ケース21の内面側(図1において下面側)には、液晶表示板(LCD)からなる表示装置(電子部品)23が取り付けられ、表示装置23の前側には保護ガラス24が取り付けられる。
下筐体30は、内面(図1において上面)に、複数のキー31からなる操作部32を有する。
【0015】
なお、ここでは、ヒンジ部40は、下筐体30に対して上筐体20を矢印A方向へ回動可能に支持する支持軸41と、矢印B方向へ回動可能に支持する支持軸42とを有する2軸タイプの携帯端末10を示す。
【0016】
図2に示すように、ケース21は、矩形平面状の平板部251と、平板部251において互いに平行な左右一対の縁部251A、251Aにそれぞれ設けられた折曲部252、252から構成される板金部25を有する。板金部25は、アルミニウムで形成するのが望ましい。
図3に示すように、折曲部252は、平板部251の縁部から略直角に曲げ上げられている。ここでは、一旦下方へ折り曲げ、水平部を経て上方へ折り曲げて折曲部252が形成されているが、途中の形状は問わない。
【0017】
図2に示すように、両折曲部252、252には、各々切欠部253が設けられている。各切欠部253の、上筐体20の長手方向に沿った設置位置は、中心線CLに対して非対称な位置に設けられている。すなわち、左右の切欠部253、253は、長手方向に沿って異なる位置に設けられている。
これにより、上筐体20に曲げ外力が作用した際に、少なくとも一方は切り欠かれていない折曲部252が抵抗することになる。
【0018】
図4に示すように、切欠部253は、平板部251に向かって(図4において下向きに)先細りとなる側面視略台形状をしている。すなわち、切欠部253の下辺の長さL1は、切欠部253の上辺の長さL2よりも短く、下辺と斜辺との隅部252Bのなす角度θ1,θ2は、ともに鈍角に形成されている。
なお、角度θ1と角度θ2は、同じでも良いが、異なっても良い。また、隅部252Bには、R(曲線)ですりつけるのが望ましい。
また、切欠部253の領域においても、折曲部252Aは一定の高さを確保するように切欠部253を形成して、剛性を確保する。
【0019】
図2および図3に示すように、折曲部252および平板部251の一定幅の左右の縁部251Aは、樹脂で覆われて樹脂部26を構成している。樹脂部26は、ここでは、上筐体20における左右の折曲部252および板金部25の下辺254(図2において左下側)に設けられており、上辺255を除く全体U字形状に設けられている。
なお、上筐体20の側面である樹脂部26に、外部機器との接続用の切欠き等を設けることもできる。
【0020】
以上、説明した本発明に係る実施形態の携帯端末10によれば、上筐体20において表示装置23を支持する板金部25の平板部251に設けられた折曲部252を、樹脂部26により覆う。このとき、折曲部252には、切欠部253が設けられているので、上筐体20の軽量化を図ることができる。
【0021】
また、本発明の携帯端末10によれば、折曲部252が平板部251における互いに平行な一対の縁部251A、251Aにそれぞれ設けられている。
そして、折曲部252に設けた切欠部253が、各折曲部252における非対称位置に設けられたので、上筐体20に曲げ外力が作用した際に、少なくとも一方は切り欠かれていない折曲部252が抵抗することになる。これにより、切欠部253による曲げ強度の低下を低減して、一定の曲げ剛性を確保することができる。
【0022】
また、本発明の携帯端末10によれば、切欠部253が平板部251に向かって先細りとなる側面視略台形状に形成されているので、切欠部253の隅部252Bにおける切欠部側の角度θ1、θ2が鈍角になり、隅部252Bからの破断を防止できる。また、隅部252Bを、R(曲線)ですりつけることで、更に隅部252Bからの破断を防止できる。
また、開口側(平板部251と反対側)に広がる形状であるので、成形時における樹脂の流れを良好にして、樹脂部26との一体化を図ることができる。
【0023】
また、本発明の携帯端末10によれば、板金部25がアルミニウム製であるので、軽量化を図ることができる。
【0024】
なお、本発明の電子機器は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した実施形態においては、下筐体30に対して上筐体20を2支持軸41、42の回りに回動可能に支持する2軸タイプの携帯端末10について例示したが、本発明はこれに限るものではない。
すなわち、支持軸41回りに回動可能に支持する1軸タイプや、スライド可能に支持するタイプや、一筐体だけでヒンジ部が設けられていないタイプの携帯端末等にも同様に適用可能である。
【0025】
また、前述した実施形態においては、電子部品として表示装置23を例示し、上筐体20について説明した。このほか、キーシート、回路基板、電池パック等も電子部品として採用することができ、これらを支持する部位について、上述した構成を適用することができる。
【0026】
また、前述した実施形態においては、板金部25の左右両側に折曲部252を設けた場合について例示したが、一方にのみ折曲部252を設けた場合にも、適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上のように、本発明にかかる電子機器は、筐体において電子部品を支持する板金部の平板部に設けられた折曲部を、樹脂部により覆う。このとき、折曲部には、切欠部が設けられているので、筐体の軽量化を図ることができるという効果を有し、金型内に挿入した金属部品の周りに樹脂を注入して金属と樹脂を一体化した筐体等の部品を用いる電子機器等として有用である。
【符号の説明】
【0028】
10 携帯端末(電子機器)
20 上筐体(筐体)
23 表示装置(電子部品)
25 板金部
251 平板部
251A 縁部
252 折曲部
253 切欠部
26 樹脂部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板金部と、前記板金部の平板部に設けられた折曲部を覆う樹脂部とを有する筐体と、
前記板金部に支持される電子部品と、を備え、
前記折曲部に切欠部が設けられている電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記平板部が平面略矩形状であるとともに、前記折曲部が前記平板部における互いに平行な一対の縁部にそれぞれ設けられ、かつ、前記各切欠部が前記各折曲部における非対称位置に設けられている電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子機器において、
前記切欠部が前記平板部に向かって先細りとなる側面視略台形状である電子機器。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の電子機器において、
前記板金部がアルミニウム製である電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−8917(P2013−8917A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141853(P2011−141853)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】