説明

電子的構造素子

【課題】例えば電極とガス敏感性層との間の接触位置での縁部の引き千切れによって熱的に高度に負荷された構造部材の場合に生じる問題を解決する。
【解決手段】少なくとも1つの電極5およびガス敏感性範囲3を基板上に有し、このガス敏感性範囲3が少なくとも1つの導電性のガス敏感性層で被覆されており、電極5がガス敏感性層と接触している電子的構造素子の場合に、少なくとも1つの電極5の少なくとも一部分は、ガス敏感性範囲3の一部分を覆っている。
【効果】電極のよりいっそう大きな層厚または電極のための材料の変性、例えばよりいっそう僅かな比抵抗値により、ガス敏感性層と電極との間の界面での縁部の引き千切れを、例えば熱応力下に回避させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載された電子的構造素子から出発する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
少なくとも1つの電極と少なくとも1つのガス敏感性層で被覆された少なくとも1つのガス敏感性範囲とを有する電子的構造素子は、例えばガス敏感性の電界効果トランジスターである。この電界効果トランジスターは、ガス流中で特定のガス種を検出するために使用される。このために、少なくとも1つのガス敏感性層は、できるだけ特殊なガス反応が達成されるように選択されている。そのために、ガス敏感性層は、一般に部分的に触媒活性でありかつ部分的にナノ結晶性の形で存在する金属成分を含有する。迅速なガス反応を可能にするために、ガス敏感性層は、一般に極めて薄手であり、少なくとも部分的に多孔性である。多孔度により、大きな比表面積が達成され、この比表面積によってガス反応を加速させることができる。
【0003】
信号送信機として作業する電界効果トランジスターのための作業点を調節するために、少なくとも1つのガス敏感性層を電気的に接触させることが必要である。更に、電界効果トランジスターのチャンネルに影響を及ぼす、生じる電位、ひいてはトランジスターによる電流は、ガス敏感性層上でのガス反応によって変化する。できるだけ大きなガス反応、ひいては生じる電位のできるだけ大きな変化を達成させるために、公知技術水準から公知の電界効果トランジスターの場合には、できるだけ全てのガス敏感性範囲は、ガス敏感性層で被覆され、電極は、ガス敏感性範囲の外側に配置される。
【0004】
現在製造されるガス敏感性の電界効果トランジスターの場合、電極は、ガス敏感性層のガス敏感性材料の電気的結合のために既に信号送信機のプロセス化の際に施こされる。一般に、この電極は、ガス敏感性材料とは別の組成および別の構造を有する。この結果、例えば電極とガス敏感性層との間の接触位置での縁部の引き千切れによって熱的に高度に負荷された構造部材の場合に問題をまねきうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明には、前記に記載されたような課題が課された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくとも1つの電極5および少なくとも1つのガス敏感性範囲3を基板上に有し、このガス敏感性範囲3が少なくとも1つの導電性のガス敏感性層で被覆されており、電極5がガス敏感性層と接触している電子的構造素子の場合に、少なくとも1つの電極5の少なくとも一部分が、ガス敏感性範囲3の一部分を覆っていることによって特徴付けられる。
【0007】
発明の概要
発明の利点
本発明により構成された電子的構造素子は、少なくとも1つの電極と少なくとも1つの導電性のガス敏感性層で被覆された少なくとも1つのガス敏感性範囲とを有する。電極は、ガス敏感性層と接触する。少なくとも1つの電極の少なくとも一部分は、ガス敏感性範囲の一部分を覆う。
【0008】
ガス敏感性範囲の一部分を少なくとも1つの電極によって覆うことにより、ガス敏感性層の持続的で信頼できる点検可能なコンタクトが達成される。
【0009】
更に、本発明により構成された電子的構造素子の利点は、既に製造の際に機能試験を実施することができることであり、その後にガス敏感性層は、施こされる。これは、少なくとも1つの電極がゲート範囲として作用するガス敏感性範囲の一部分を覆い、こうして公知技術水準から公知の電界効果トランジスターとは異なり、ゲート範囲として作用するガス敏感性範囲と直接に接触する。
【0010】
少なくとも1つの電極が完成されている材料は、特に貴金属、例えばパラジウム、白金、金、レニウム、ルテニウムならびにこれらからの合金、または導電性で化学的に安定性の材料、例えばチタン、窒化チタンまたは窒化タンタルである。電極のための材料としての貴金属を半導体上、例えば窒化ガリウムまたは炭化珪素上に付着させることを改善するために、しばしば、チタン、ジルコニウム、窒化チタン、珪化タンタル、ニッケル−クロム合金およびこれらの相当する酸化物が使用される。
【0011】
ゲート範囲として使用されるガス敏感性範囲のための材料として、絶縁材料、例えば酸化物、例えば酸化珪素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)または酸化ハフニウム(HfO2)、窒化物、例えば窒化珪素(Si34)または窒化硼素(BN)、炭化物、例えば炭化珪素(SiC)ならびに珪化物、例えば珪化タンタル(TaSi2)または珪化タングステン(WSi2)またはダイヤモンドが適している。
【0012】
少なくとも1つのガス敏感性層が完成されている材料は、特に貴金属、例えばパラジウム、白金、金、レニウム、ロジウムまたはルテニウムならびにこれらの合金および貴金属および/または金属、金属酸化物および/または他の酸化物または炭化物からなるナノ構造体からなる群から選択されている。
【0013】
電極は、例えば蒸着、スパッタリングまたは当業者に公知の別の薄膜技術によって施与される。好ましくは、少なくとも1つの電極は、蒸着またはスパッタリングによって施与される。更に、薄手のガス敏感性層を数回施与することによって一定の範囲内で厚手の電極面を得ることが可能であり、この電極面は、僅かな平面抵抗でガス敏感性層の低いオーム抵抗性の電気的結合を可能にする。この方法は、ガス敏感性層と電極との間で丸みを付けられた縁部の造形を可能にする。
【0014】
少なくとも1つのガス敏感性層は、同様に特に蒸着またはスパッタリングによって施与される。他の選択可能な方法によれば、ガス敏感性層は、液状、ガス状またはプラズマ状の媒体中に存在し、乾燥または析出の後で固体のコンパクトな敏感性層または浸透性の敏感性層を形成する材料として構成されていてよい。
【0015】
電極とガス敏感性層との接触範囲内での縁部の引き千切れの発生を回避させるために、少なくとも1つの電極が少なくとも1つのガス敏感性層と同じ材料から完成されていることは、好ましい。他の選択可能な方法によれば、ガス敏感性層の材料と同じかまたは類似した性質を有する材料から少なくとも1つの電極を完成させることも可能である。殊に、電極の材料とガス敏感性層の材料が本質的に同じ温度膨脹係数を有することは、好ましい。この結果、ガス敏感性層の温度膨脹と電極の温度膨脹とは、本質的に同じであり、したがってガス敏感性層と電極との界面で縁部の引き千切れが全く起こらないことを生じる。
【0016】
更に、電極とガス敏感性層とのできるだけ良好な接触を達成させるために、電極が凹凸を有する構造を有することは、好ましい。凹凸によって表面積の拡大が達成され、それにより電極とガス敏感性層との間でよりいっそう大きな接触範囲が生じる。これは、縁部の引き千切れの場合であっても電極範囲内で別の範囲がさらにガス敏感性層と接触し、こうして電子的構造素子の機能損失を生じないという利点を有する。
【0017】
本発明の実施態様において、少なくとも2つの電極は、ガス敏感性層と接触し、この場合それぞれの電極は、ガス敏感性層の少なくとも1つの部分を覆う。
【0018】
ガス敏感性層と接触する少なくとも2つの電極の場合、敏感性層の電気的接触度ならびに敏感性層の性質、例えば層抵抗の定数を測定することができる。測定は、例えば四点測定により行なうことができる。ガス敏感性層の性質の測定の可能により、ガス敏感性層の予想される変化または剥離を早期に検出することができる。こうして、電子的構造素子の頃合いのよい交換は、機能の欠落前に可能である。
【0019】
本発明の特に好ましい実施態様において、2つの電極は、ガス敏感性層と接触し、電極の構造は、インターデジタル構造(interdigitalstruktur)である。インターデジタル構造の場合、それぞれの電極は、指の形の凸部を有し、この場合この凸部は、それぞれ櫛状に互いに係合している。しかし、この場合、電極との直接の接触は、回避される。電極間の範囲は、ガス敏感性層の材料によって完全または部分的に充填されている。他の選択可能な方法によれば、ガス敏感性層は、電極を含めて全てのセンサー範囲を覆うことができる。
【0020】
一般に、電子的構造素子は、少なくとも1つの他の電極を含み、この電極は、ガス敏感性範囲と接触していない。電子的構造素子が電界効果トランジスターである場合には、一般に少なくとも2つの他の電極を含み、これらの電極は、ガス敏感性範囲と接触していない。この場合、2つの電極は、ソース電極として、およびドレイン電極として使用される。
【0021】
電子的構造素子がガス敏感性範囲と接触していない少なくとも2つの他の電極を含む場合には、電極により運転中に機能試験を実施することが可能である。このために、好ましくは、ガス敏感性層と接触する全ての電極は、定義された電位に置かれる。
【0022】
ガス敏感性層と接触しない電極は、電位が変化される。
【0023】
ガス敏感性範囲と接触しない電極は、例えばガス敏感性層の下方で、またはガス敏感性層の横でチャンネルに平行して、またはチャンネルと直交して存在するものである。
【0024】
ガス敏感性層と接触しない電極面を通じて、信号送信機のチャンネルの変化を測定することができる。殊に、こうしてゲート範囲とチャンネルとの間での前縁の変化を検出することができる。
【0025】
1つの特に好ましい実施態様において、電子的構造素子のガス敏感性範囲は、ガス敏感性の電界効果トランジスターのゲート範囲である。ガス敏感性範囲上に施与されているガス敏感性層の材料に依存して、異なるガスを検出することができる。例えば、多数の異なるガスをガス敏感性の電界効果トランジスターで検出するために、例えば多数のガス敏感性層をガス敏感性範囲上に施与することは、可能である。この場合には、例えばそれぞれのガス敏感性層で別のガスまたはガスの別の成分を検出しうることを可能にする。
【0026】
ガス敏感性範囲がガス敏感性の電界効果トランジスターのゲート範囲である場合には、特にガス敏感性材料からなる層と接触し、およびガス敏感性範囲の一部分を覆う少なくとも1つの電極は、電界効果トランジスターのゲート電極である。
【0027】
電極とガス敏感性層のために同じかまたは類似の材料を使用する場合には、例えば、電極の材料を、この材料がガス敏感性層の材料よりも僅かな比抵抗値を有するように変性することができる。これは、予想されるガス依存性の抵抗値の変化が主に記載された範囲内で電極の外側で起こり、したがってセンサー範囲の電気的結合が殆んど変化しないという利点を有する。
【0028】
更に、電極が完成された材料を、ガス敏感性層のための材料よりも大きな層厚で塗布することも可能である。これは、例えば電極のための材料の複数の層を施与することによって行なうことができる。電極のよりいっそう大きな層厚または電極のための材料の変性、例えばよりいっそう僅かな比抵抗値により、ガス敏感性層と電極との間の界面での縁部の引き千切れを、例えば熱応力下に回避させることができる。
【0029】
その上、複数の層を施与した場合には、縁部の引き千切れに抗して最適化された縁部の形、例えば丸みを達成させることができる。
【0030】
ガス敏感性の電界効果トランジスターとしての使用と共に、本明細書中に記載された電極装置は他の化学的ガスセンサー中で、例えばCV構造またはショットキーダイオードの形で使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1の実施態様において本発明により構成された電子的構造素子を示す平面図。
【図2】第2の実施態様において本発明により構成された電子的構造素子を示す平面図。
【図3.1】電界効果トランジスターのゲート層の接触のための他の選択可能な方法による1つの実施態様を示す略図。
【図3.2】電界効果トランジスターのゲート層の接触のための他の選択可能な方法による1つの実施態様を示す略図。
【図3.3】電界効果トランジスターのゲート層の接触のための他の選択可能な方法による1つの実施態様を示す略図。
【図3.4】電界効果トランジスターのゲート層の接触のための他の選択可能な方法による1つの実施態様を示す略図。
【図3.5】電界効果トランジスターのゲート層の接触のための他の選択可能な方法による1つの実施態様を示す略図。
【0032】
本発明の実施例を図面に示し、以下の記述において詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1には、第1の実施態様において本発明により構成された電子的構造素子の平面図が示されている。
【0034】
電子的構造素子は、例えば、信号発信機としてガスの検出に使用され、ガス敏感性範囲3を有する。
【0035】
電子的構造素子がガス敏感性の電界効果トランジスターである場合には、ガス敏感性範囲3は、一般に電界効果トランジスターのゲート範囲である。ガス敏感性範囲3は、例えば異なるガス敏感性層で被覆されていてよい。異なるガス敏感性層によって、できるだけ特殊なガス反応を達成させることができる。一般にガス敏感性層は、金属成分を含有する。この金属成分は、少なくとも一部分は触媒活性であってよい。勿論、他の選択可能な方法によれば、全てのガス敏感性層を触媒活性材料から完成させることも可能である。
【0036】
一般に、ガス敏感性層の金属成分は、少なくとも一部分はナノ結晶性の形で存在する。ナノ結晶性の形によって、ガス敏感性層上またはガス敏感性層中で迅速なガス反応を実現させることができ、それというのも、このガス敏感性層は、特に極めて薄手であり、一般に少なくとも部分的に多孔性であるからである。この場合、ガス敏感性層の層厚は、一般に10nm〜10μmの範囲内にあることができる。
【0037】
ガス敏感性層のための材料としては、検出すべきガスまたはガスの検出すべき成分に依存して、例えば貴金属、例えばパラジウム、白金、金、レニウム、ロジウムまたはルテニウムならびにこれらの合金および貴金属および/または金属、金属酸化物および/または他の酸化物または炭化物からなるナノ構造体が適している。それぞれ検出すべき種に適した材料は、当業者に公知である。
【0038】
定義された電位、ひいては信号送信機のための作業点を調節するために、ガス敏感性層を電気的に接触させることが必要である。この場合、ガス敏感性層の電気的接触は、少なくとも1つの電極5によって行なわれる。電子的構造素子1が電界効果トランジスターである場合には、電極5は、ゲート電極である。電極5の電気的接触は、それぞれ電気的接続7により行なわれる。この場合、電極5の電気的接続7は、当業者に公知のそれぞれ任意の方法で行なうことができる。
【0039】
本発明によれば、電極5は、電極5の一部分がガス敏感性範囲3を覆うように構成されている。このために、図1に図示された実施態様において、電極5は、L字形に構成されており、この場合電極の第1の大腿部9は、ガス敏感性範囲3の外側に配置されており、第2の大腿部11は、ガス敏感性範囲32の縁部でガス敏感性範囲3上に載置されている。それによって、電極5によるガス敏感性範囲3の被覆は、第2の大腿部11で行なわれる。
【0040】
電極5によって覆われていない、ガス敏感性範囲3の面は、少なくとも1つのガス敏感性層によって被覆されている。この場合、ガス敏感性層は、電極5と境を接している。電極5とガス敏感性層との間には、境界面が形成される。この境界面は、同時に電極5とガス敏感性層との間で電気的コンタクトとして使用される。
【0041】
熱応力が発生する際に電極5とガス敏感性層との間の境界面で縁部の引き千切れが生じることを回避させるために、電極5とガス敏感性層とを同じ材料から構成することは、好ましい。他の選択可能な方法によれば、例えば電極5とガス敏感性層とを2つの異なる材料から構成させることも可能であり、この場合この材料は、本質的に同じ温度膨脹係数を有する。
【0042】
電極5とガス敏感性層とが同じ材料を含有する場合には、電極5を例えばガス敏感性層よりも大きな層厚で構成させることが可能である。よりいっそう大きな層厚は、例えば材料を電極範囲上に数回塗布することによって達成させることができる。電極とガス敏感性層とが同じ材料から完成されている場合には、電極とガス敏感性層とは、例えば同じ作業工程で完成させることができる。更に、電極5の材料を、例えば簡単に変性させることも可能であり、電極上に、例えば僅かな抵抗値が達成される。この場合、電極5のための材料の変性は、例えば良好に導電性の材料を添加することによって行なわれる。更に、この材料は、ガス敏感性層も形成される材料との合金の形で存在することができる。
【0043】
更に、電界効果トランジスターとして構成された電子的構造素子1は、チャンネル範囲13を有する。チャンネル範囲13は、一般に電界効果トランジスターのソース接続部およびドレイン接続部を含む。ソース接続部およびドレイン接続部は、一般に電極5によって接触されているガス敏感性層との直接的な接触を有しない。
【0044】
一般に、チャンネル範囲13は、ソース接続部およびドレイン接続部と一緒に基板としての半導体材料上に施与され、電極5およびガス敏感性範囲3は、相応するガス敏感性層と一緒に基板としての半導体材料上に施与される。基板のための半導体材料としては、通常、Si、SiCまたは(Al)GaNまたは2eVより大きなバンド間隙を有する他の半導体が使用される。
【0045】
電極5が部分的にガス敏感性範囲3を覆うことによって、機能試験は、例えば既に信号送信機の製造中に可能である。殊に、機能試験は、既に実施することができ、その後にガス敏感性層は、ガス敏感性範囲3上に施与される。運転中にも機能試験は、電子的構造素子1で実施されることができる。このために、例えばガス敏感性層と接触する電極5は、定義された電位に置かれる。チャンネル範囲13中に配置されたソース電極およびドレイン電極は、例えばチャンネル13と平行に存在するかまたはチャンネルと直交して存在し、電位が変化される。ガス敏感性層と接触しない電極面を通じて、信号送信機のチャンネル13の変化を測定することができる。殊に、ゲート範囲とチャンネル範囲13との間での絶縁の変化を検出することができる。
【0046】
更に、図1にも図示されているように、少なくとも2つの電極5の場合には、ガス敏感性層の電気的接触ならびにその性質、例えば層抵抗の定数を測定することができる。更に、測定は、例えば四点測定により行なわれる。こうして、層の予想される変化または剥離を早期に検出させることができる。それによって、電子的構造素子1の頃合いのよい交換は、可能である。
【0047】
図2には、電子的構造素子1が第2の実施態様で図示されている。
【0048】
図2に図示された電子的構造素子1は、電極5の形状によって図1に図示された電子的構造素子1と区別される。図1に図示されているようなL字形電極5と異なって、図2に記載の電極5は、それぞれ指状の凸部15を有する。指状の凸部15間には、それぞれ凹部17が形成されている。ガス敏感性範囲3上には、2つの電極5が載置され、この場合電極の1つの凸部15は、それぞれ別の電極5の凹部17中に係合する。それによって、電極5のインターデジタル構造が生じる。インターデジタル構造によって、電極5とガス敏感性範囲3およびガス敏感性層との良好な接触を意図することができ、小さな抵抗体が移行部中で達成されうる。その上、電極は、図2に示されているような構造に基づき、例えば図1に図示された電極の場合よりも極めて大きな、ガス敏感性層との境界面を有する。それによって、例えば電極の一部分で起こる、縁部の引き千切れは、別の範囲での接触によって補償されることができる。
【0049】
しかし、図1および図2に図示された、電極5の構造と共に、電極5は、それぞれ任意の別の形状を取ることができる。電極5の任意の形状により、ガス敏感性層によって覆われるガス敏感性範囲3を任意の望ましい形に形成させることができる。こうして、ガス敏感性層を施与することにより、正確に定義された範囲を得ることができる。この場合、電極5を造形する場合には、それぞれ単に、この電極5がガス敏感性範囲3の一部分を覆うことに注目すべきである。
【0050】
図3.1〜3.5には、ゲート層の本発明による接触のための他の選択可能な方法による実施態様を示す平面図が示されている。
【0051】
図3.1では、電極5は、ガス敏感性層3の電気的接触のためにリング状に構成されている。この場合、電極は、少なくとも部分的にガス敏感性層上に載置されている。この場合、電極5は、完全にガス敏感性層上に載置されていてよく、この場合ガス敏感性層の外側の寸法と電極5の外側の寸法は、同じであるか、或いは電極5は、ガス敏感性範囲3と重なり合っている。
【0052】
図3.2に図示された実施態様において、電極5は、この電極5がそれぞれほぼガス敏感性範囲3の三分の一を覆うように構成されている。この場合、電極5は、矩形で構成されている。
【0053】
L字形電極5を有する1つの実施態様は、図3.3に図示されている。図3.3に図示された実施態様は、本質的に図1に図示された実施態様に対応する。しかし、ガス敏感性範囲3の矩形の形状のために、電極5によって覆われていない、ガス敏感性範囲3の面積は、図1に図示された実施態様の場合よりも小さい。
【0054】
2つの他の選択可能な方法による実施態様は、図3.4および3.5に図示されている。この場合、電極は、それぞれインターデジタル構造の形で矩形のガス敏感性範囲3上に形成されており、この場合電極5は、それぞれ指状の凸部と互いに係合している。この場合、凸部は、ある時は図3.4と同様に図示されて電気的接続部7の方向に構成されており、ある時は図3.5と同様に図示されて電気的接続部7の方向に対して横方向に構成されている。即ち、図3.4に図示された実施態様の場合、電界効果トランジスターの電流は、ゲート範囲内で電極5の指部に対して横方向に流れ、図3.5では、電極5の指部の方向に流れる。
【符号の説明】
【0055】
3 ガス敏感性範囲、 5 電極、 15 凸部、 17 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電極(5)および少なくとも1つのガス敏感性範囲(3)を基板上に有し、このガス敏感性範囲(3)が少なくとも1つの導電性のガス敏感性層で被覆されており、電極(5)がガス敏感性層と接触している電子的構造素子において、
少なくとも1つの電極(5)の少なくとも一部分が、ガス敏感性範囲(3)の一部分を覆っていることを特徴とする、少なくとも1つの電極(5)および少なくとも1つのガス敏感性範囲(3)を基板上に有する電子的構造素子。
【請求項2】
少なくとも1つの電極(5)が完成されている材料は、パラジウム、白金、金、レニウム、ロジウム、ルテニウムならびにこれらの合金、チタン、窒化チタンおよび窒化タンタルからなる群から選択されている、請求項1記載の電子的構造素子。
【請求項3】
少なくとも1つのガス敏感性層が完成されている材料が、パラジウム、白金、金、レニウム、ロジウム、ルテニウムならびにこれらの合金および貴金属および/または金属および/または金属酸化物からなるナノ構造体からなる群から選択されている、請求項1または2記載の電子的構造素子。
【請求項4】
少なくとも1つの電極(5)が少なくとも1つのガス敏感性層と同じ材料から完成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の電子的構造素子。
【請求項5】
電極(5)は、凹部(17)および凸部(15)を有する構造を有し、ガス敏感性層に対して大きな接触面積が得られる、請求項1から4までのいずれか1項記載の電子的構造素子。
【請求項6】
少なくとも2つの電極(5)がガス敏感性層と接触し、それぞれの電極(5)がガス敏感性範囲(3)の少なくとも1つの一部分を覆う、請求項1から5までのいずれか1項記載の電子的構造素子。
【請求項7】
2つの電極(5)がガス敏感性範囲と接触し、電極(5)の構造がインターデジタル構造である、請求項1から6までのいずれか1項記載の電子的構造素子。
【請求項8】
ガス敏感性範囲(3)と接触しない少なくとも1つの他の電極を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の電子的構造素子。
【請求項9】
ガス敏感性範囲(3)がガス敏感性の電界効果トランジスターのゲート範囲である、請求項1から8までのいずれか1項記載の電子的構造素子。
【請求項10】
ガス敏感性材料からなる層と接触する少なくとも1つの電極(5)がゲート電極である、請求項9記載の電子的構造素子。
【請求項11】
電極(5)の材料は、この材料がガス敏感性層の材料よりも僅かな比抵抗を有するように変性されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の電子的構造素子。

【図1】
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【図2】
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【図3.1】
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【図3.2】
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【図3.3】
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【図3.4】
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【図3.5】
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【公開番号】特開2010−96762(P2010−96762A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236920(P2009−236920)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】